説明

安全装置

【課題】潜り込み後の衝突が発生した場合でも、乗員を衝突から適切に保護することができる安全装置を提供すること。
【解決手段】本発明による安全装置1は、車両の前方端部が前方障害物に対して衝突することなく前方障害物の下方に潜り込み、前記車両の乗員と前記前方障害物が直接衝突する可能性を有すること、つまりは潜り込みを検出する検出手段6を備えることを特徴とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の自動車に適用して好適な安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両には、衝突時において乗員をシートに拘束して、衝突時の衝撃により乗員が車両内部のインパネロアパネルやステアリングコラムやフロントガラス等に衝突するあるいは、車外に放り出されることを防止するためにシートベルト装置が備えられている。これに加えて、特許文献1に記載されているように、実際の衝突時において、このシートベルト装置による乗員の拘束をより確実なものとするために、車両用シートのシートバックの傾斜角度を、直立位置を含む範囲とすることが行われている。
【特許文献1】特開平5−229380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このような構成の安全装置においては、車両が自車よりも大きな大型車両等の前方の障害物に潜り込むように衝突して、大型車両に対して自車の前方のボンネットやバンパーが衝突することなく、フロントガラスやフロントピラーが直接的に前方の障害物に衝突する事態は想定されていなかった。このため、このような潜り込みが発生した場合には、前方の障害物が直接的にフロントガラスやフロントピラーに衝突して乗員に衝突してしまい、シートバックの傾斜角度を直立位置近傍に位置させることに伴って、更に乗員を危険にさらすことになってしまい、乗員を潜り込み後の衝突から適切に保護することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑み、潜り込み後の衝突が発生した場合でも、乗員を衝突から適切に保護することができる安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決するため、本発明に係る安全装置は、
車両の前方端部が前方障害物に対して衝突することなく前方障害物の下方に潜り込み、前記車両の乗員と前記前方障害物が直接衝突する可能性を有すること、つまりは潜り込みを検出する検出手段を備えることを特徴とする。
【0006】
なお、前記前方端部とは車両のボンネットの前方端部のフロントグリル又はフロントバンパー等であり、前方障害物とは例えば車両の前方を走行中の大型車両である。これにより以下のような作用効果を得ることができる。
【0007】
ここで、前記安全装置において、
前記車両の前方端部上方に位置する前記障害物との上下方向距離を検出する距離検出手段を備えるととともに、
前記距離検出手段が検出した前記障害物との上下方向距離が、前記距離検出手段から前記車両のルーフまでの上下方向距離よりも小さい場合に、前記検出手段が前記車両の前方障害物への潜り込みを検出することを特徴とすることが好ましい。
【0008】
ここで、前記距離検出手段とは、具体的にはLEDセンサアレイやミリ波レーダーを指す。
【0009】
これによれば、より簡易な構成により、前記車両の前記前方障害物の潜り込みを検出して、以下に示すような種々の安全対策を実施することができる。
【0010】
あるいは、前記安全装置において、
前記車両の前方端部上方に位置する前記障害物との上下方向距離を検出する距離検出手段と、
前記車両の乗員高を検出する乗員高検出手段を備えるとともに、
前記距離検出手段が検出した前記障害物との上下方向距離が、前記乗員高検出手段により検出された前記距離検出手段を基準とする乗員高よりも小さい場合に、前記検出手段が車両の前方障害物への潜り込みを検出することを特徴としてもよい。
【0011】
ここで、前記距離検出手段とは、具体的にはLEDセンサアレイやミリ波レーダーを指す。また、前記乗員高検出手段とは例えば撮像カメラと画像処理装置を組み合わせたものである。
【0012】
これによっても、より簡易な構成により、前記車両の前記前方障害物の潜り込みを検出して、以下に示すような種々の安全対策を実施することができる。
【0013】
あるいは、前記安全装置において、
前記車両のフロントピラーに配置された車両上部衝撃力検出手段と、前記車両の前方端部に配置された車両前部衝撃力検出手段とを備えるとともに、
前記車両上部衝撃力検出手段が衝撃力を検出し、前記車両前部衝撃力検出手段が衝撃力を検出しない場合に、前記検出手段が車両の前方障害物への潜り込みを検出することを特徴としてもよい。
【0014】
ここで、車両上部衝撃力検出手段と、車両前部衝撃力検出手段は、具体的には歪みゲージ等の応力を検出する応力センサや、加速度センサなどを用いることができる。
【0015】
これによっても、より簡易な構成により、前記車両の前記前方障害物の潜り込みを検出して、以下に示すような種々の安全対策を実施することができる。
【0016】
さらに、前記安全装置において、
前記車両と前記前方障害物との前後方向距離を検出する前後方向距離検出手段と、
前記車両と前記前方障害物との相対速度を検出する相対速度検出手段とを備えるとともに、
前記検出手段が潜り込みを検出した後において、前記前後方向距離検出手段の検出した前後方向距離と、前記相対速度検出手段の検出した相対速度と、車両の減速性能に基づいて、前記前方障害物と前記車両のフロントピラーとの衝突回避の不可を判定する判定手段を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0017】
なお、前記前後方向距離検出手段とは具体的にはミリ波レーダーであり、前記相対速度検出手段は具体的にはミリ波レーダーと微分回路を組み合わせたものである。
【0018】
あるいは、前記車両のフロントピラーに配置された車両上部衝撃力検出手段と、前記車両の前方端部に配置された車両前部衝撃力検出手段とを備える前記安全装置において、
前記検出手段が前記車両の前方障害物への潜り込みを検出した場合に、前記前方障害物と前記車両のフロントピラーとの衝突回避の不可を判定する判定手段を備えることを特徴としてもよい。
【0019】
いずれによっても、より簡易な手段により、前記車両が前記前方障害物に潜り込んだ後、前記前方障害物と前記車両のフロントピラーとの衝突回避の不可を判定して、以下に示すような種々の安全対策を実施することができる。
【0020】
ここで、
前記安全装置において、
前記車両の車両用シート又は前記車両用シートのシートバックの傾斜角度を制御する制御手段を備えるとともに、
前記判定手段が衝突回避の不可を判定した場合に、前記制御手段が前記車両用シート又は前記シートバックを後倒させることを特徴とすることが好ましい。
【0021】
これによれば、前記潜り込みが検出された後、前記車両のフロントピラーと前記前方障害物との衝突の回避が不可であると判定された場合に、前記車両用シート又は前記シートバックを後倒させて、乗員を前記車両の下方に退避させることができるので、前記車両のフロントピラーに前記前方障害物が衝突しても、乗員を保護することができる。
【0022】
さらに、
前記安全装置において、
前記制御手段が前記シートバックを後倒させた場合に、乗員を前記車両用シートに拘束する拘束手段を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0023】
これによれば、前記車両用シート又は前記シートバックを後倒させた状態では、通常のシートベルト装置やエアバッグによる乗員の拘束力が弱くなり、衝突の衝撃により乗員が車両前方に大きく移動させられることを、前記拘束手段により乗員を前記車両用シートに拘束することにより防止して、乗員を適切に保護することができる。
【0024】
ここで、
前記安全装置において、
前記拘束手段が前記車両のシートベルト装置のウェビングに張力を付与する張力付与手段であることを特徴としてもよい。
【0025】
これによれば、より簡易な手段により乗員を前記車両用シートに拘束することができる。
【0026】
加えて、
前記安全装置において、
前記拘束手段が前記車両用シートの座部前方を上昇させる上昇手段であることを特徴としてもよい。
【0027】
これによっても、より簡易な手段により乗員を前記車両用シートに拘束することができる。
【0028】
ここで、
前記安全装置において、
前記車両の後席の乗員の有無を検出する後席乗員検出手段を備えるととともに、
当該後席乗員検出手段が後席の乗員を検出した場合には、前記制御手段が前記車両用シート又は前記シートバックを後倒する角度を所定角度に制限することを特徴とすることが好ましい。
【0029】
これによれば、前記車両の前記後席に乗員が着座している場合に、前部の車両用シート又は前記シートバックを後倒させて、前記後席の乗員が怪我をしてしまうことを、後倒する角度を所定角度に制限することで、防止することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、潜り込み後の衝突が発生した場合でも、乗員を衝突から適切に保護することができる安全装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明に係わる安全装置の一実施形態を示す模式図であり、図2は本発明に係わる安全装置の一実施形態を示す模式ブロック図である。
【0033】
この安全装置1は、LEDセンサアレイ2と、応力センサ3と、応力センサ4と、ミリ波レーダー5と、潜り込みECU6(Electronic Control Unit)と、PCSECU7(Electronic Control Unit)と、ブレーキアクチュエータ8と、シートECU9(Electronic Control Unit)と、シートアクチュエータ10と、プリテンショナ11と、シートアクチュエータ12を備えて構成される。潜り込みECU6と、PCSECU7と、ブレーキアクチュエータ8と、シートECU9はCAN(Controller Area Network)等の通信規格により相互に接続される。
【0034】
また、ここでは詳細は図示しないが、本発明に係わる安全装置1が適用される車両Cの車両用シートには、着座している乗員をその背面及び下側に位置する車両用シートのシートバック及び座部に拘束するものであり、いわゆる三点式のシートベルトが備えられており、図1中Wはシートベルトのウェビングの乗員の腰部付近を車幅方向に延びる部分を示すものである。
【0035】
LEDセンサアレイ2は、後述するミリ波レーダー5に比して比較的近距離の対象物との距離を測定するものであり、車両Cのボンネットの前端部の上面に、上方に志向するように四箇所に設けられて、車両Cのボンネットの前端部よりも底面が高い前方の大型車両FCに対して車両Cがその前端部が衝突することなく潜り込んだ場合に、その大型車両の底面との上下方向距離を測定して、その測定結果を潜り込みECU6に出力する距離検出手段を構成するものである。ここで大型車両FCは前方障害物を構成する。
【0036】
応力センサ3は、車両Cのフロントガラスの車幅方向外側に位置してルーフの荷重を支持するフロントピラーの内部に設けられるものであり、車両Cが前方の大型車両FCに潜り込んだ後、大型車両FCにフロントピラーが衝突した場合の衝撃力を測定して、その測定結果を潜り込みECU6に出力するものであり、車両上部衝撃力検出手段を構成するものである。
【0037】
応力センサ4は、車両Cのボンネットの前端部のフロントバンパーに設けられるものであり、車両Cのボンネットの前端部が前方の大型車両FCの衝突することなく潜り込んだ場合には、衝撃力が作用しないことを測定し、通常の前面衝突が発生した場合には衝撃力が作用することを測定して、その測定結果を潜り込みECU6に出力するものであり、車両前部衝撃力検出手段を構成するものである。
【0038】
ミリ波レーダー5は、車両Cのルーフ下面かつフロントガラスの後方に隣接させて、前方を指向するように設けられて、車両Cの前方に位置する大型車両FCとの前後方向距離L2を測定して、測定結果を潜り込みECU6に出力するものであり、前後方向距離検出手段を構成するものである。
【0039】
潜り込みECU6は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが所定の処理を行うものである。この潜り込みECU6は、車両Cのボンネットの前端部が前方の大型車両に対して衝突することなく下方に潜り込んで、車両Cの乗員と、前方の大型車両FCが直接衝突する可能性を有する、潜り込みが発生していることを検出する検出手段6aを備える。
【0040】
これとともに、潜り込みECU6は、ミリ波レーダー5の検出した前後方向距離L2の微分値を計算して、車両Cと大型車両FCとの相対速度VLを検出する、相対速度検出手段6bを構成する。さらに、潜り込みECU6は、この潜り込みが発生した後、車両Cのフロントピラーと大型車両FCが衝突することが回避できることが不可かどうかを判定する判定手段6cをも備える。
【0041】
この判定手段6cは、以下のようにして衝突回避の不可を判定する。つまり、ミリ波レーダー5により測定された、ミリ波レーダー5を基準とした前方の大型車両FCと車両Cとの車両前後方向距離L2と、同じく相対速度検出手段6bにより求めた相対速度VLと、予め定めされた車両Cの減速度Aとの相互関係が、L2<VL×VL/(2×A)である場合には、ブレーキを作用させても、車両Cのフロントピラーと大型車両FCが衝突することが回避できることが不可であると判定する。
【0042】
PCSECU7は、いわゆるプリクラッシュシステムを構成するECUであり、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが所定の処理を行うものである。このPCSECU7は、ミリ波レーダー5が測定した前方の大型車両FCとの前後方向距離L2を潜り込みECU6及びCANを介して取得して、この前後方向距離L2に基づいて適宜車両Cのブレーキアクチュエータ8のブレーキ指令を出力するものである。
【0043】
シートECU9は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが所定の処理を行うものであり、車両Cの車両用シートのシートバックの傾斜角度を制御する制御手段を構成する。つまり、潜り込みECU6の判定手段6cが車両Cのフロントピラーと大型車両FCとの衝突の回避が不可であると判定した場合には、シートアクチュエータ10及びシートアクチュエータ12に指令を出力して、シートバックを後倒するとともに、座部の前方を上昇させ、シートベルト装置のウェビングWに付加的に張力を付与するプリテンショナ11を動作させる。
【0044】
シートアクチュエータ10は、図示しないピストンとシリンダとにより構成され、潜り込みECU6の判定手段6cが、車両Cのフロントピラーと大型車両FCとの衝突の回避が不可であると判定した場合に、シートECU9の指令に基づいて、ピストンを火薬の爆発力により動作させることにより、車両用シートのシートバックを後倒させるものである。
【0045】
プリテンショナ11は、これも図示しないピストンとシリンダとにより構成され、潜り込みECU6の判定手段6cが衝突の回避が不可であると判定した場合に、ピストンを火薬の爆発力により動作させることにより、乗員の腰部に車幅方向に延在して位置するウェビングWに、付加的に張力を付与する張力付与手段を構成するとともに、乗員を車両用シートに拘束する拘束手段を構成するものである。
【0046】
シートアクチュエータ12は、これも図示しないピストンとシリンダとにより構成され、潜り込みECU6の判定手段6cが衝突の回避が不可であると判定した場合に、ピストンを火薬の爆発力により動作させることにより、車両用シートの座部を上昇させる上昇手段を構成するとともに、乗員を車両用シートに拘束する拘束手段を構成するものである。
【0047】
以下、本実施例1の安全装置1の制御内容を、フローチャートを用いて説明する。図3は、本発明による安全装置1の制御内容を示すフローチャートである。
【0048】
S1において、潜り込みECU6の検出手段6aが、LEDセンサアレイ2により、車両Cのボンネットの前端部の上方に前方から接近してきた大型車両FCの底面との上下方向距離H2を検出し、S2において、潜り込みECU6の検出手段6aがミリ波レーダー5により、車両Cと大型車両FCとの前後方向距離L2を検出するとともに、潜り込みECU6の相対速度検出手段6bが前後方向距離L2の微分値である相対速度VLを求める。
【0049】
S3において、潜り込みECU6の検出手段6aが、応力センサ3により、車両Cのフロントピラーにおける車両上部衝撃力F1を検出し、S4において、潜り込みECU6の検出手段6aは、応力センサ4により車両Cのボンネットの前端部における車両前部衝撃力F2を検出する。
【0050】
S5において、潜り込みECU6の検出手段6aは、S4において検出した、車両前部衝撃力F2の出力がONであるかどうかを判定し、車両前部衝撃力F2の出力がONである場合には、潜り込みが発生しない単なる前面衝突であるとみなして、S10にすすむ。S10において、潜り込みECU6の検出手段6aからの指令に基づいて、PCSECU7は車両Cの各車輪に設けられたブレーキアクチュエータ8にブレーキ指令を出力して、ブレーキを動作させる。
【0051】
S5において、潜り込みECU6の検出手段6aは、S4において検出した、車両前部衝撃力F2の出力がOFFである場合には、単なる前面衝突ではないとみなして、S6にすすむ。
【0052】
S6において、潜り込みECU6の判定手段6cは、S3において検出した、車両上部衝撃力F1の出力がONであるかどうかを判定し、車両上部衝撃力F1の出力がONである場合には、車両Cが前方の大型車両FCに潜り込んで、さらに、大型車両FCが車両Cのフロントピラーにすでに衝突しており、車両Cと大型車両FCとの衝突回避が不可であるとみなして、S9にすすむ。
【0053】
S9において、シートECU9の制御手段は、潜り込みECU6の判定手段6cからの指令に基づいて、シートアクチュエータ10、プリテンショナ11、シートアクチュエータ12を動作させる。
【0054】
すなわち、S9において、シートアクチュエータ10の動作に基づいて、車両用シートのシートバックは後倒されて、乗員は、車両Cの車室内空間の下側に退避される。加えて、シートアクチュエータ12の動作に基づいて、車両用シートの座部の前方は上昇されて、衝突時の衝撃により乗員が車両前方に移動させられることを防止する。さらに、プリテンショナ11の動作に基づいて、車両用シートのシートベルト装置のウェビングWに付加的な張力が付与されて、乗員が車両用シートベルトに拘束されて、これによっても、衝突時の衝撃により乗員が車両用シートから投げ出されることが防止される。
【0055】
S7において、潜り込みECU6の検出手段6aが、S1において検出した、車両Cのボンネットの前端部と大型車両FCとの上下方向距離H2が、予め求められる、LEDセンサアレイ2を基準とした車両Cのルーフ高さH1よりも小さく、かつ、S2において検出した、車両Cと前方の大型車両FCとの前後方向距離L2が、これも予め求められる、車両Cのボンネットの前端部とミリ波レーダー5との前後方向距離L1より小さいかどうかを判定する。
【0056】
S7において、潜り込みECU6の検出手段6aが、上下方向距離H2が上下方向距離H1より小さく、かつ、前後方向距離L2が前後方向距離L1より小さいと判定する場合には、車両Cのボンネットが大型車両FCに潜り込んでいると見なせるので、S8にすすむ。S7において、潜り込みECU6の検出手段6aが、上下方向距離H2が上下方向距離H1より小さく、かつ、前後方向距離L2が前後方向距離L1より小さいと判定しない場合には、車両Cのボンネットが大型車両FCに潜り込んでいないと見なせるので、S1に戻る。
【0057】
S8において、潜り込みECU6の判定手段6cは、S2において検出した、車両Cのボンネットの前端部と大型車両FCとの前後方向距離L2が、前後方向距離L2の微分値として求まる相対速度VLの2乗を車両の減速度Aの2倍で除した値よりも大きいかどうか、つまりは、潜り込みが発生してから車両Cにブレーキを作用させて、大型車両FCの車両Cのフロントピラーに対する衝突を回避できるかどうかを判定する。
【0058】
S8において、L2>VL×VL/(2×A)であると判定される場合には、潜り込みが発生した後においても、大型車両FCの車両Cのフロントピラーに対する衝突が回避できるということであるから、S9をとばして、S10にすすんで、プリクラッシュシステムつまりはPCSECU7により、ブレーキアクチュエータ8のブレーキ指令
を出力して、車両Cにブレーキをかける。
【0059】
S8において、L2>VL×VL/(2×A)であると判定されない場合には、潜り込みが発生した後において、大型車両FCの車両Cのフロントピラーに対する衝突が回避できないということであるから、S9にすすんで、潜り込みECU6の判定手段6cの指令に基づいて、シートECU9の制御手段が、シートアクチュエータ10、プリテンショナ11、シートアクチュエータ12を動作させる。
【0060】
すなわち、S9において、シートアクチュエータ10の動作に基づいて、車両用シートのシートバックは後倒されて、乗員は、車両Cの車室内空間の下側に退避される。加えて、シートアクチュエータ12の動作に基づいて、車両用シートの座部の前方は上昇されて、衝突時の衝撃により乗員が車両前方に移動させられることを防止する。さらに、プリテンショナ11の動作に基づいて、車両用シートのシートベルト装置のウェビングWに付加的な張力が付与されて、乗員が車両用シートベルトに拘束されて、これによっても、衝突時の衝撃により乗員が車両用シートから投げ出されることが防止される。
【0061】
これとともに、S10において、プリクラッシュシステムつまりはPCSECU7により、ブレーキアクチュエータ8のブレーキ指令を出力して、車両Cにブレーキをかける。
【0062】
以上述べた制御内容により実現される実施例1によれば、潜り込みECU6の検出手段6aにより、車両Cの前方の大型車両FCへの潜り込みが検出された後、判定手段6cにより、車両Cのフロントピラーと前方の大型車両FCとの衝突の回避が不可であると判定された場合に、車両用シートのシートバックを後倒させて、乗員を車両Cの車室内空間の下側に退避させることができるので、車両Cのフロントピラーに前方の大型車両が衝突しても、乗員を保護することができる。
【0063】
また、車両Cが大型車両FCに潜り込んだ場合でも、ブレーキ動作により、大型車両FCの車両Cのフロントピラーに対する衝突を回避できる場合には、ブレーキ動作のみを行うことにより、車両用シートのシートバックの無駄な後倒動作を回避することができる。
【0064】
また、シートバックを後倒させた場合においては、シートベルト装置のウェビングのうち、乗員の肩から腰にたすき状に位置する部分は、乗員に対して拘束力を発揮し得ないが、車幅方向に位置するウェビングWに付加的に張力を付与すること及び座部の前方を上昇させることにより、このような場合でも乗員を車両用シートに確実に拘束することができる。
【実施例2】
【0065】
上述した実施例1においては、車両Cのボンネットの前端部と大型車両FCの底面との上下方向距離H2を、予め求められる、LEDセンサアレイ2を基準とした車両Cのルーフ高さH1と比較して、潜り込みを検出したが、この構成に換えて、上下方向距離H2を乗員の高さと比較する以下のような構成とすることもできる。以下にその構成を実施例2として示す。図4は、本発明に係わる安全装置の一実施形態を示す模式ブロック図である。
【0066】
この安全装置21は、LEDセンサアレイ2と、応力センサ3と、応力センサ4と、ミリ波レーダー5と、潜り込みECU26(Electronic Control Unit)と、PCSECU7(Electronic Control Unit)と、ブレーキアクチュエータ8と、シートECU9(Electronic Control Unit)と、シートアクチュエータ10と、プリテンショナ11と、シートアクチュエータ12と、乗員撮像カメラ23を備えて構成される。
【0067】
なお、潜り込みECU26と、PCSECU7と、ブレーキアクチュエータ8と、シートECU9はCAN(Controller Area Network)等の通信規格により相互に接続される。なお、乗員撮像カメラ23と、潜り込みECU26以外の構成については実施例1に示したものと同様であるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は割愛する。
【0068】
乗員撮像カメラ23は、例えばCCDカメラあるいはCMOSカメラであり、例えば車両室内のウインドシールド中央上部に、車両Cの車室内空間全体を画角に納めることができるように配設されて、前席の乗員及び後席の乗員を撮像するものである。
【0069】
潜り込みECU26は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが所定の処理を行うものである。この潜り込みECU26は、車両Cのボンネットの前端部が前方の大型車両に対して衝突することなく下方に潜り込んで、車両Cの乗員と、前方の大型車両FCが直接衝突する可能性を有する、潜り込みが発生していることを検出する検出手段26aを備える。
【0070】
これとともに、潜り込みECU26は、ミリ波レーダー5の検出した前後方向距離L2の微分値を計算して、車両Cと大型車両FCとの相対速度VLを検出する、相対速度検出手段26bを構成する。さらに、潜り込みECU26は、この潜り込みが発生した後、車両Cのフロントピラーと大型車両FCが衝突することが回避できることが不可かどうかを判定する判定手段26cをも備える。
【0071】
この判定手段26cは、以下のようにして衝突回避の不可を判定する。つまり、ミリ波レーダー5により測定された、ミリ波レーダー5を基準とした前方の大型車両FCと車両Cとの車両前後方向距離L2と、同じく相対速度検出手段26bにより求めた相対速度VLと、予め定めされた車両Cの減速度Aとの相互関係が、L2<VL×VL/(2×A)である場合には、ブレーキを作用させても、車両Cのフロントピラーと大型車両FCが衝突することが回避できることが不可であると判定する。
【0072】
さらに、潜り込みECU26は、乗員撮像カメラ23の撮像した画像に基づいて、前席の車両用シートに着座している乗員の高さを検出する乗員高検出手段26dを備えるとともに、後席の車両用シートの乗員の有無を検出する後席乗員検出手段26eを備える。
【0073】
以下、本実施例2の安全装置21の制御内容を、フローチャートを用いて説明する。図5は、本発明による安全装置21の制御内容を示すフローチャートである。
【0074】
S11において、潜り込みECU26の検出手段26aが、LEDセンサアレイ2により、車両Cのボンネットの前端部の上方に前方から接近してきた大型車両FCの底面との上下方向距離H2を検出し、S12において、潜り込みECU26の検出手段26aがミリ波レーダー5により、車両Cと大型車両FCとの前後方向距離L2を検出するとともに、潜り込みECU26の相対速度検出手段26bが前後方向距離L2の微分値である相対速度VLを求める。
【0075】
S13において、潜り込みECU26の検出手段26aが、応力センサ3により、車両Cのフロントピラーにおける車両上部衝撃力F1を検出し、S14において、潜り込みECU26の検出手段26aは、応力センサ4により車両Cのボンネットの前端部における車両前部衝撃力F2を検出する。
【0076】
S15において、潜り込みECU26の乗員高検出手段26dは、乗員撮像カメラ23の撮像した画像に基づいて、前席の乗員の高さH3を検出するとともに、潜り込みECU26の後席乗員検出手段26eは、後席の乗員の有無を検出する。
【0077】
S16において、潜り込みECU26の検出手段26aは、S14において検出した、車両前部衝撃力F2の出力がONであるかどうかを判定し、車両前部衝撃力F2の出力がONである場合には、潜り込みが発生しない単なる前面衝突であるとみなして、S23にすすむ。S23において、潜り込みECU26の検出手段26aからの指令に基づいて、PCSECU7は車両Cの各車輪に設けられたブレーキアクチュエータ8にブレーキ指令を出力して、ブレーキを動作させる。
【0078】
S16において、潜り込みECU26の検出手段26aは、S14において検出した、車両前部衝撃力F2の出力がOFFである場合には、単なる前面衝突ではないとみなして、S17にすすむ。
【0079】
S17において、潜り込みECU26の判定手段26cは、S13において検出した、車両上部衝撃力F1の出力がONであるかどうかを判定し、車両上部衝撃力F1の出力がONである場合には、車両Cが前方の大型車両FCに潜り込んで、さらに、大型車両FCが車両Cのフロントピラーにすでに衝突しており、車両Cと大型車両FCとの衝突回避が不可であるとみなして、S20にすすむ。
【0080】
S20において、シートECU9が、後席乗員有の場合はS21において前席の車両用シートのシートバックの後倒の傾斜角を、後席の乗員に接触しない範囲に制限し、S22にすすむ。S20において、後席乗員無の場合はS22にすすむ。S22において、シートECU9の制御手段は、潜り込みECU26の判定手段26cからの指令に基づいて、シートアクチュエータ10、プリテンショナ11、シートアクチュエータ12を動作させる。
【0081】
すなわち、S22において、シートアクチュエータ10の動作に基づいて、車両用シートのシートバックは傾斜角の制限の有無に係わらず後倒されて、乗員は、車両Cの車室内空間の下側に退避される。
【0082】
加えて、S22において、シートアクチュエータ12の動作に基づいて、車両用シートの座部の前方は上昇されて、衝突時の衝撃により乗員が車両前方に移動させられることを防止する。さらに、プリテンショナ11の動作に基づいて、車両用シートのシートベルト装置のウェビングWに付加的な張力が付与されて、乗員が車両用シートベルトに拘束されて、これによっても、衝突時の衝撃により乗員が車両用シートから投げ出されることが防止される。
【0083】
S18において、潜り込みECU26の検出手段26aが、S11において検出した、車両Cのボンネットの前端部と大型車両FCとの上下方向距離H2が、前席の乗員高さH3よりも小さく、かつ、S12において検出した、車両Cと前方の大型車両FCとの前後方向距離L2が、予め求められる、車両Cのボンネットの前端部とミリ波レーダー5との前後方向距離L1より小さいかどうかを判定する。
【0084】
S18において、潜り込みECU26の検出手段26aが、上下方向距離H2が乗員高さH3より小さく、かつ、前後方向距離L2が前後方向距離L1より小さいと判定する場合には、車両Cのボンネットが大型車両FCに潜り込んでいると見なせるので、S19にすすむ。S18において、潜り込みECU26の検出手段26aが、上下方向距離H2が乗員高さH3より小さく、かつ、前後方向距離L2が前後方向距離L1より小さいと判定しない場合には、車両Cのボンネットが大型車両FCに潜り込んでいないと見なせるので、S11に戻る。
【0085】
S19において、潜り込みECU26の判定手段26cは、S12において検出した、車両Cのボンネットの前端部と大型車両FCとの前後方向距離L2が、前後方向距離L2の微分値として求まる相対速度VLの2乗を車両の減速度Aの2倍で除した値よりも大きいかどうか、つまりは、潜り込みが発生してから車両Cにブレーキを作用させて、大型車両FCの車両Cのフロントピラーに対する衝突を回避できるかどうかを判定する。
【0086】
S19において、L2>VL×VL/(2×A)であると判定される場合には、潜り込みが発生した後においても、大型車両FCの車両Cのフロントピラーに対する衝突が回避できるということであるから、S20、S21、S22をとばして、S23にすすんで、プリクラッシュシステムつまりはPCSECU7により、ブレーキアクチュエータ8のブレーキ指令を出力して、車両Cにブレーキをかける。
【0087】
S19において、L2>VL×VL/(2×A)であると判定されない場合には、潜り込みが発生した後においても、大型車両FCの車両Cのフロントピラーに対する衝突が回避できないということであるから、S20にすすむ。
【0088】
S20において、シートECU9が、後席乗員有の場合はS21において前席の車両用シートのシートバックの後倒の傾斜角を、後席の乗員に接触しない範囲に制限し、S22にすすむ。S20において、後席乗員無の場合はS22にすすむ。S22において、シートECU9の制御手段は、潜り込みECU26の判定手段26cからの指令に基づいて、シートアクチュエータ10、プリテンショナ11、シートアクチュエータ12を動作させる。
【0089】
すなわち、S22において、シートアクチュエータ10の動作に基づいて、車両用シートのシートバックは傾斜角の制限の有無に係わらず後倒されて、乗員は、車両Cの車室内空間の下側に退避される。
【0090】
加えて、S22において、シートアクチュエータ12の動作に基づいて、車両用シートの座部の前方は上昇されて、衝突時の衝撃により乗員が車両前方に移動させられることを防止する。さらに、プリテンショナ11の動作に基づいて、車両用シートのシートベルト装置のウェビングWに付加的な張力が付与されて、乗員が車両用シートベルトに拘束されて、これによっても、衝突時の衝撃により乗員が車両用シートから投げ出されることが防止される。
【0091】
これとともに、S23において、プリクラッシュシステムつまりはPCSECU7により、ブレーキアクチュエータ8のブレーキ指令を出力して、車両Cにブレーキをかける。
【0092】
以上述べた制御内容により実現される実施例2によっても、潜り込みECU26の検出手段26aにより、車両Cの前方の大型車両FCへの潜り込みが検出された後、判定手段26cにより、車両Cのフロントピラーと前方の大型車両FCとの衝突の回避が不可であると判定された場合に、車両用シートのシートバックを後倒させて、乗員を車両Cの車室内空間の下側に退避させることができるので、車両Cのフロントピラーに前方の大型車両が衝突しても、乗員を保護することができる。
【0093】
また、車両Cが大型車両FCに潜り込んだ場合でも、ブレーキ動作により、大型車両FCの車両Cのフロントピラーに対する衝突を回避できる場合には、ブレーキ動作のみを行うことにより、車両用シートバックの無駄な後倒動作を回避することができる。
【0094】
また、シートバックを後倒させた場合においては、シートベルト装置のウェビングのうち、乗員の肩から腰にたすき状に位置する部分は、乗員に対して拘束力を発揮し得ないが、車幅方向に位置するウェビングWに付加的に張力を付与すること及び座部の前方を上昇させることにより、このような場合でも乗員を車両用シートに確実に拘束することができる。
【0095】
さらに、後席に乗員がいる場合には、前席の後倒の傾斜角を制限することにより、前席の後倒により後席の乗員が負傷することをも防止することができる。また、前席の乗員の高さH3を検出して、上下方向距離H2と比較することにより、単に車両Cのルーフ高さH1と、上下方向距離H2との比較により潜り込みを判定することに比べて、潜り込み後の乗員の危険性を寄りシビアに評価した上で、車両用シートのシートバックの後倒を実施することができる。
【0096】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0097】
例えば、上述した実施例においては、シートアクチュエータ10、シートアクチュエータ12を火薬式のものとしたが、潜り込みが発生してから、大型車両FCが車両Cのフロントピラーに衝突するまでの時間に余裕がある場合、つまりは、L2>>VL×VL/(2×A)には、電動式モータによるもの、クラッチを用いた方式によるもので代用することが可能である。
【0098】
また、上述した実施例では車両用シートのシートバックを後倒させたが、車両用シートを車両Cの床面に対して車幅方向を軸として揺動自在に設けて、車両用シート自体を後倒することもできる。これによれば、上述した実施例に比べて、シートバックを後倒するとともに座部の前方を上方させるという二重の制御を廃することができる。
【0099】
また、後倒することに換えて、車両用シートを車両Cの床面に対して前後方向にスライド自在に設けて、潜り込み発生後に大型車両FCとの衝突が回避できない場合には、アクチュエータによりスライドさせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、車両用の安全装置に関するものであり、潜り込み後の衝突が発生した場合でも、乗員を衝突から適切に保護することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る安全装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明に係る安全装置の一実施形態を示す模式ブロック図である。
【図3】本発明に係る安全装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る安全装置の一実施形態を示す模式ブロック図である。
【図5】本発明に係る安全装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
1 安全装置
2 LEDセンサアレイ
3 応力センサ
4 応力センサ
5 ミリ波レーダー
6 潜り込みECU
6a 検出手段
6b 相対速度検出手段
6c 判定手段
7 PCSECU
8 ブレーキアクチュエータ
9 シートECU
10 シートアクチュエータ
11 プリテンショナ
12 シートアクチュエータ
21 安全装置
23 乗員撮像カメラ
26 潜り込みECU
26a 検出手段
26b 相対速度検出手段
26c 判定手段
26d 乗員高検出手段
26e 後席乗員検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方端部が前方障害物に対して衝突することなく前方障害物の下方に潜り込み、前記車両の乗員と前記前方障害物が直接衝突する可能性を有すること、つまりは潜り込みを検出する検出手段を備えることを特徴とする安全装置。
【請求項2】
前記車両の前方端部上方に位置する前記障害物との上下方向距離を検出する距離検出手段を備えるととともに、
前記距離検出手段が検出した前記障害物との上下方向距離が、前記距離検出手段から前記車両のルーフまでの上下方向距離よりも小さい場合に、前記検出手段が前記車両の前方障害物への潜り込みを検出することを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記車両の前方端部上方に位置する前記障害物との上下方向距離を検出する距離検出手段と、
前記車両の乗員高を検出する乗員高検出手段を備えるとともに、
前記距離検出手段が検出した前記障害物との上下方向距離が、前記乗員高検出手段により検出された前記距離検出手段を基準とする乗員高よりも小さい場合に、前記検出手段が車両の前方障害物への潜り込みを検出することを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項4】
前記車両のフロントピラーに配置された車両上部衝撃力検出手段と、前記車両の前方端部に配置された車両前部衝撃力検出手段とを備えるとともに、
前記車両上部衝撃力検出手段が衝撃力を検出し、前記車両前部衝撃力検出手段が衝撃力を検出しない場合に、前記検出手段が車両の前方障害物への潜り込みを検出することを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項5】
前記車両と前記前方障害物との前後方向距離を検出する前後方向距離検出手段と、
前記車両と前記前方障害物との相対速度を検出する相対速度検出手段とを備えるとともに、
前記検出手段が潜り込みを検出した後において、前記前後方向距離検出手段の検出した前後方向距離と、前記相対速度検出手段の検出した相対速度と、車両の減速性能に基づいて、前記前方障害物と前記車両のフロントピラーとの衝突回避の不可を判定する判定手段を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の安全装置。
【請求項6】
前記検出手段が前記車両の前方障害物への潜り込みを検出した場合に、前記前方障害物と前記車両のフロントピラーとの衝突回避の不可を判定する判定手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の安全装置。
【請求項7】
前記車両の車両用シート又は前記車両用シートのシートバックの傾斜角度を制御する制御手段を備えるとともに、
前記判定手段が衝突回避の不可を判定した場合に、前記制御手段が前記車両用シート又は前記シートバックを後倒させることを特徴とする請求項5又は6に記載の安全装置。
【請求項8】
前記制御手段が前記シートバックを後倒させた場合に、乗員を前記車両用シートに拘束する拘束手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の安全装置。
【請求項9】
前記拘束手段が前記車両のシートベルト装置のウェビングに張力を付与する張力付与手段であることを特徴とする請求項8に記載の安全装置。
【請求項10】
前記拘束手段が前記車両用シートの座部前方を上昇させる上昇手段であることを特徴とする請求項8に記載の安全装置。
【請求項11】
前記車両の後席の乗員の有無を検出する後席乗員検出手段を備えるととともに、
当該後席乗員検出手段が後席の乗員を検出した場合には、前記制御手段が前記車両用シート又は前記シートバックを後倒する角度を所定角度に制限することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−179205(P2008−179205A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13053(P2007−13053)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】