定盤表面調整用砥石及び表面調整方法
【解決手段】 研磨定盤上に研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを配設し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して上記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨定盤を表面調整するための定盤表面調整用砥石であって、ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100である合成樹脂製弾性砥石からなることを特徴とする定盤表面調整用砥石。
【効果】 本発明によれば、シリコンウエハー、合成石英ガラス等の研磨ワークを効率よく研磨することができ、研磨時間を短縮化し得、これにより研磨コストを低減できる。また、研磨ワーク表面の粗度バラツキも小さく、安定品質の研磨品を得ることができる。
【効果】 本発明によれば、シリコンウエハー、合成石英ガラス等の研磨ワークを効率よく研磨することができ、研磨時間を短縮化し得、これにより研磨コストを低減できる。また、研磨ワーク表面の粗度バラツキも小さく、安定品質の研磨品を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨定盤上に研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを配設し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して上記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨定盤を表面調整するための定盤表面調整用砥石、及び前記研磨定盤の表面調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、セラミックス等の研磨ワークを研磨する研磨装置として、図1に示すものが用いられている。ここで、図1中、1は研磨定盤(下定盤)であり、粒状黒鉛が含有された鋳鉄製である。この定盤1は、図示していない駆動装置によって回転可能に設置されている。この定盤1内径側には、その中心部にギア(サンギア)2が配設されていると共に、外周縁に沿ってリング状のギア(インターナルギア)3が配設され、これらギア2,3に噛合されて複数のキャリアー4が配設されている。これらキャリアー4には、それぞれ研磨ワーク保持用孔5が形成され、これら保持用孔5に研磨ワーク6が挿入されるものである。なお、図示していないが、これらキャリアー4の上には、上定盤を同様に回転可能に配設することができる。上記研磨ワーク6は、上記定盤を回転させるとこの回転と反対方向にキャリアー4が回転し、研磨ワーク6が公転かつ自転しながら定盤に供給される遊離砥粒によって研磨されるものである。
【0003】
上述した研磨装置により、ポリッシング工程、ラッピング工程を繰り返すと、研磨定盤が摩耗して定盤が凸形状あるいは凹凸形状になり、このような形状になると、定盤と同質材料の鋳鉄製の定盤修正用治具を用いて遊離砥粒を供給しながら定盤表面の修正、平坦化を行う。このようにして定盤を修正した後は、再度ポリッシング工程、ラッピング工程を同様に行うものであるが、従来、このようなポリッシング加工やラッピング加工を施す研磨装置の定盤の面精度を修正するための定盤修正用治具としては、特許文献1:特開2000−135666号公報、特許文献2:特開2000−218521号公報等に記載されたものが知られている。
【0004】
しかし、これらの定盤修正用治具は、定盤を修正、平坦化するためには有効であるが、研磨加工をより効率化する点では効果がなく、このため研磨加工をより効率よく行う方法が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−135666号公報
【特許文献2】特開2000−218521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記要望に応えたもので、定盤での遊離砥粒保持力を増加させることができ、これにより研磨力を向上させることができると共に、定盤に対し、均一粗面を与えて調整直後から安定した一定の研磨力が得られる定盤表面状態を付与することができる定盤表面調整用砥石、及びこの砥石を用いた定盤の表面調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100の合成樹脂製砥石、特に内部の多数の微小気孔を有する多孔性合成樹脂製砥石を用い、遊離砥粒、特にシリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、セラミックス等の所用の研磨ワークを研磨するときに使用する遊離砥粒と同一の遊離砥粒を供給しながら研磨定盤の面粗度を調整することにより、セラミックス、金属等から形成される修正リング等の定盤修正用治具を用いて同一砥粒を供給しながら定盤の表面修正を行った場合の定盤面粗度より1.5〜3倍程度の粗い面粗度に定盤表面が調整されて、研磨ワークを実際に遊離砥粒を用いて研磨する際、定盤表面の該砥粒保持力が増加して研磨力が向上し、これにより研磨時間が短縮化されて効率よく研磨ワークの研磨を行うことができると共に、上記表面調整初期から切削力が一定で、研磨ワークに安定した均一研磨面を形成でき、研磨力の安定が得られ、この点でも研磨工程の効率化が計られることを見出し、本発明なすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記の定盤表面調整用砥石及び定盤表面調整方法を提供する。
請求項1:
研磨定盤上に研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを配設し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して上記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨定盤を表面調整するための定盤表面調整用砥石であって、ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100である合成樹脂製弾性砥石からなることを特徴とする定盤表面調整用砥石。
請求項2:
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項1記載の定盤表面調整用砥石。
請求項3:
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項2記載の定盤表面調整用砥石。
請求項4:
弾性砥石の嵩密度が0.4〜0.9g/cm3である請求項1,2又は3記載の定盤表面調整用砥石。
請求項5:
弾性砥石に、前記研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項1〜4のいずれか1項記載の定盤調整用砥石。
請求項6:
ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100である合成樹脂製弾性砥石を保持する保持用孔部を有する調整用キャリアーを研磨定盤上に配設し、該キャリアー孔部に前記砥石を保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して、上記研磨定盤表面を上記弾性砥石で研磨して、定盤表面を上記砥粒の粗度に応じて粗面化することを特徴とする研磨定盤の表面調整方法。
請求項7:
遊離砥粒として、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒を使用する請求項6記載の表面調整方法。
請求項8:
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項6又は7記載の表面調整方法。
請求項9:
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項8記載の表面調整方法。
請求項10:
弾性砥石の嵩密度が0.4〜0.9g/cm3である請求項6〜9のいずれか1項記載の表面調整方法。
請求項11:
弾性砥石に、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項6〜10のいずれか1項記載の表面調整方法。
請求項12:
研磨ワークがシリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、又はセラミックスである請求項6〜11のいずれか1項記載の表面調整方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、セラミックス等の研磨ワークを効率よく研磨することができ、研磨時間を短縮化し得、これにより研磨コストを低減できる。また、研磨ワーク表面の粗度バラツキも小さく、安定品質の研磨品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の定盤表面調整用砥石は、合成樹脂製の弾性砥石からなるものである。
この場合、上記弾性砥石としては、砥石内部に多数の微小気孔を有する多孔性のもので熱硬化性樹脂製、特に内部に多数の微小気孔を有するポリビニルアセタール又はポリウレタン製のものが好適に用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えばポリビニルアセタール樹脂、フェノール樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、得られる砥石の硬度、消耗度等の点からポリビニルアセタールを含む材料で形成されたものが好ましく、ポリビニルアセタール製の弾性砥石としては、ポリビニルアセタール樹脂と、該ポリビニルアセタール樹脂以外の熱硬化性樹脂とを併用して形成されたものが好ましい。
【0011】
この場合、その割合は、ポリビニルアセタール樹脂10〜35質量部、その他の熱硬化性樹脂5〜20質量部とすることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂が少なすぎると、多孔質部分が少なくなり、弾性が失われ、砥石硬度が高くなるおそれがあり、その他の熱硬化性樹脂が少なすぎると、ポリビニルアセタール樹脂の多孔質部分と微細砥粒との結合力が悪くなり、砥石の硬度が低下するおそれがある。
上述したように、ポリビニルアセタール製弾性砥石は、多数の微小気孔を有する多孔性のものが好ましいが、これを多孔性にする手段としては、ポリビニルアセタール樹脂生成過程において、事前に気孔生成剤としてコーンスターチ等の気孔生成剤を添加し、アセタール化反応後、コーンスターチ等の気孔生成剤を水で洗い流し出すことにより、コーンスターチ等の気孔生成剤が反応中存在していた部分を気孔として砥石内に生成させる方法等が採用される。
【0012】
また、ポリウレタン製砥石も好適に使用できる。このポリウレタン製砥石としては、ポリエーテル系及び/又はポリエステル系ポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られたポリウレタンからなるものを使用することができる。ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が用いられ、有機イソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート等を使用することができる。
【0013】
このポリウレタン製砥石も多孔性であることが好ましいが、多孔性にする手段としては、水等の公知の発泡剤を加える方法、反応硬化時に撹拌によって空気を巻き込む方法等が挙げられる。
【0014】
なお、多孔性砥石は連通気泡構造でも独立気泡構造でもよいが、気孔径30〜150μmが好ましい。
【0015】
なお、上記合成樹脂製弾性砥石には、微細砥粒を配合させることが好ましく、この場合、その配合量は砥石全体の30〜70質量%、特に40〜60質量%とすることが好ましい。微細砥粒としては、平均粒径が40〜1μm程度の微粒のものが好ましく、材質としては炭化珪素、アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及びジルコンサンド等を単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、特に、本発明に従って定盤の表面調整を行った後、研磨ワークを研磨する際に使用する遊離砥粒と材質、粒度が同一のものを使用することが好ましい。
【0016】
このように、砥粒を配合して砥石に砥粒を分散、固定することにより表面調整を効率よく行うことができ、またこの場合、研磨ワークの研磨加工に用いる遊離砥粒と同じ砥粒を分散、固定すれば、この砥石を用いて定盤の表面調整を行った場合、表面調整後に万一この砥石からの砥粒が脱落して定盤表面に残存していたとしても、これは研磨ワークの研磨に用いる遊離砥粒と同じ砥粒であるから、残存砥粒によってワークに引っかき傷をつける等の不都合はない。
【0017】
本発明において、上記合成樹脂製弾性砥石は、そのロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100、特に−80〜−50のものを使用するもので、ロックウェル硬度が低すぎると、研磨による砥石消耗量が増大し、経済的でなくなってしまう。ロックウェル硬度が高すぎると、弾性砥石特有のスプリング効果が失われて、均一に定盤の表面を調整することができなくなってしまう。この場合、ロックウェル硬度は、スケールとして圧子直径1/2インチ鋼球を用いて試験荷重100kgでのHRS数値である。
【0018】
また、上記弾性砥石は、上述したように、多数の微小気孔(セル)を有する多孔性砥石が好ましいが、この場合、微小気孔(セル)の大きさ[セル径(気孔径)]は30〜150μm、特に40〜100μmが好ましい。この場合、気孔径30μm未満では弾性砥石としての弾性が小さくなり、スプリング効果が失われる。また、気孔径150μmを超えるとスプリング効果を得やすいが、砥石組織が粗となり、砥石消耗量が増大し、経済的でなくなってしまう。上記弾性砥石は、嵩密度が0.4〜0.9g/cm3であることが好ましく、0.5〜0.7g/cm3のものがより好ましい。嵩密度が低すぎると、砥石組織が粗となり、砥石全体が脆く、研磨中に砥石が破壊してしまう。嵩密度が高すぎると、砥石組織が過密状態となり、弾性によるスプリング効果が失われる。
【0019】
なお、本発明に係る砥石の形状は、特に制限はなく、円形状、四角,六角,八角等の正多角形状など、種々の平面形状に形成でき、その厚さは10〜75mm程度とすることが好ましい。
【0020】
ここで、本発明の弾性砥石からなる表面調整用砥石を用いて定盤の表面調整を行う時期は、特に制限はされないが、本発明の表面調整用砥石は、定盤を使用しているうちに生じる表面の凸状あるいは凹凸形状を修正し、表面を平坦化する効果はないので、このような場合は、公知の定盤修正用治具を用いて定盤表面の修正を行った後に、本発明の砥石を用いる表面調整を行うことが好ましい。
【0021】
本発明の定盤表面調整用砥石を用いて定盤の表面調整を行う場合、まず前記弾性砥石を保持する保持用孔部を有する調整用キャリアーを用いて、該キャリアーの保持用孔部に砥石を保持させる。この場合、砥石平面形状が図1に示したキャリアーの研磨ワーク保持用孔に嵌挿し得る形状、即ち研磨ワークと同じ平面形状の場合は、このキャリアーをそのまま調整用キャリアーとして使用し得るので、砥石を研磨ワーク保持用孔に嵌挿する。また、砥石が研磨ワークと異なる形状の場合、該砥石平面形状と同じ平面形状の保持用孔を有する調整用キャリアーを準備し、この保持用孔に砥石を嵌挿する。例えば、砥石が正方形の平面形状を有する場合、図2に示すように、正方形状の保持用孔5aを有する調整用キャリアー4aを準備し、この保持用孔5aに定盤表面調整用砥石10を嵌挿し、例えば図1においてそのキャリアー4の代わりに上記調整用キャリアー4aを研磨装置に組み入れ、研磨ワークの研磨の場合と同様にして遊離砥粒を定盤に供給しながら定盤表面を研磨処理するものである。なお、調整用キャリアーは、上記研磨ワークを保持するキャリアーと同一材質であるか、定盤と同一材質であることが異種材質の混入を防止できるので望ましい。ここで、これらキャリアーは、通常鉄、鋳鉄、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂等にて形成される。
【0022】
この場合、この研磨条件は、適宜選定されるが、この表面調整を行った後に、研磨ワークの研磨を行う場合における研磨条件と同様の条件とすることが好ましい。
【0023】
このように弾性砥石により定盤の研磨処理を行う場合、遊離砥粒は、その後に行う研磨ワークの研磨に用いる遊離砥粒と同一の砥粒を使用することが、たとえ上記弾性砥石による定盤の研磨処理後に定盤に遊離砥粒が残ったとしても、その後の研磨ワークの研磨に支障が生じないため、好ましい。
【0024】
上記合成樹脂製弾性砥石により定盤の研磨処理を行った場合、遊離砥粒の材質、粒度等に応じて粗面化されるが、同じ遊離砥粒を用いて定盤と同一材質の鋳鉄あるいはセラミックスやダイヤモンド電着等の定盤修正用治具を用いて定盤研磨を行った場合に比べて、定盤面粗度より1.5〜3倍粗面化される。図3,4はこれを示すもので、図3は本発明に係る弾性砥石を用いて定盤研磨を行った場合の定盤1の表面状態を示し、図4はこれに対比される、定盤と同一材質の鋳鉄製の定盤修正用治具(修正リング)を用いて定盤研磨を行った場合の定盤の表面状態を示す。
【0025】
更に、詳述すると、弾性砥石を用いる場合、特に多孔性合成樹脂からなる弾性砥石を用いる場合、図5に示すように定盤表面調整用砥石(弾性砥石)10を押圧しつつ遊離砥粒7を供給しながら研磨定盤1表面を研磨するに際し、定盤1と弾性砥石10の中に遊離砥粒7を供給しながら圧力Pを加えると、弾性砥石10組織内に存在する微小気孔(セル)11により弾性砥石にスプリング弾性が生じ、加圧変動が生じても定盤に均一でより粗度の大きい粗面が形成される。これに対し、図6に示すように、弾性のないビトリファイド砥石、結合剤13により結着されたレジノイド砥石12は、砥石中に気孔を含まず、セルが存在しないためにスプリング弾性がなく、均一な粗さの表面が得がたく、粗度も比較的小さいものになると考えられる。
【0026】
このように、本発明に従って定盤を研磨した場合、従来の定盤修正用治具を用いた場合に比較して定盤1の表面が適度に粗面化されるので、図3,4に示したように、遊離砥粒7が定盤粗面化表面の凹凸部8に保持されやすく、定盤表面から飛び出し、脱け出し難く、このため研磨ワーク6の研磨に際して遊離砥粒の研磨力が有効に発揮され、このため短時間で研磨ワークを研磨し得ると共に、研磨に使用する遊離砥粒の使用量を低減し得る。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0028】
[実施例I、比較例I]
研磨装置として15B、4Way両面研磨装置(不二越機械工業(株)製)を用い、まず、下記定盤に対し、下記修正リングを用いて下記方法、条件で上下定盤の表面修正を行った。
定盤 材質:粒状黒鉛が含有された鋳鉄
サイズ:15B
修正リング 材質:定盤と同一材質で4個
サイズ:380mmφ
修正方法、条件
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:65rpm
上定盤回転数:21.5rpm
遊離砥粒種類:FO#1200
砥粒濃度:20%分散液
遊離砥粒供給量:180cc/min
研磨時間:30min
【0029】
更に、上記修正リングで表面を修正した上下定盤の表面を下記の定盤表面調整用砥石を用いて下記方法、条件で定盤の表面調整を行った。
定盤表面調整用砥石No.1(図12参照)
形状・サイズ:150mmφ砥石12個
材質:ポリウレタン
セル径(気孔径):100μm
ロックウェル硬度:−80
嵩密度:0.5g/cm3
定盤表面調整用砥石No.2(図13参照)
形状・サイズ:150mmφ砥石12個
材質:ポリウレタン
セル径(気孔径):50μm
ロックウェル硬度:−70
嵩密度:0.6g/cm3
調整用キャリアー
材質:定盤と同一材質の鋳鉄
サイズ:380mmφ
個数:4
表面調整方法、条件
修正リングを用いた定盤の表面修正方法と同一である。
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:65rpm
上定盤回転数:21.5rpm
遊離砥粒種類:FO#1200
砥粒濃度:20%分散液
遊離砥粒供給量:180cc/min
研磨時間:30min
【0030】
上記のように定盤表面を修正・調整した場合における定盤表面粗さを表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
なお、修正リングによる修正で、定盤表面は平坦化されたが、上記表面調整用砥石による処理では、定盤表面の平坦化状態は処理前後に実質的に差がなく、従って表面調整用砥石では、定盤表面の凹凸形状を平坦化、修正する機能を有さないことが認められた。
【0033】
次に、上記修正リングで修正した表面を持つ研磨定盤、上記定盤表面調整用砥石No.1、No.2で調整した表面を持つ研磨定盤を用いて、図1に示す方法と同様にして、下記条件でシリコンウエハーの研磨を繰り返し行った。その結果を表2〜4及び図7に示す。
【0034】
ワーク:シリコンウエハー
ワークサイズ:31.4cm2
1バッチワーク使用枚数:35
1バッチ研磨時間:10min
リサイクル:有
上定盤回転数:21.5rpm
下定盤回転数:65rpm
加重:100g/cm2
スラリー濃度:20wt%
防錆剤:1%
滴下量:180ml/min
砥石サイズ:151×40×50
使用砥粒:FO#1200
キャリアー材質:塩化ビニル樹脂
キャリアーサイズ:380mmφ
キャリアーのワーク:4インチシリコンウエハー7枚
キャリアー個数:5個
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
[実施例II、比較例II]
研磨装置として6B、4Way両面研磨装置(不二越機械工業(株)製)を使用し、まず、下記定盤に対し、下記修正リングを用いて下記方法、条件で上下定盤の表面修正を行った。
定盤 材質:粒状黒鉛が含有された鋳鉄
サイズ:6B
修正リング 材質:定盤と同一材質の鋳鉄
サイズ:150mmφで4個
修正方法、条件
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:60rpm
上定盤回転数:20rpm
遊離砥粒種類:GC#1500
砥粒濃度:25%分散液
遊離砥粒供給量:500cc/min
研磨時間:30min
【0039】
更に、上記修正リングで表面を修正した上下定盤の表面を下記の定盤表面調整用砥石を用いて下記方法、条件で定盤の表面調整を行った。
定盤表面調整用砥石No.3
形状・サイズ:120mmφで4個
材質:ポリビニルアセタール、メラミン樹脂
セル径(気孔径):60μm
ロックウェル硬度:−60
嵩密度:0.7g/cm3
定盤表面調整用砥石No.4
形状・サイズ:120mmφで4個
材質:ポリウレタン
セル径(気孔径):100μm
ロックウェル硬度:−80
嵩密度:0.5g/cm3
調整用キャリアー
材質:定盤と同一材質の鋳鉄
サイズ:150mmφ
個数:4
表面調整方法、条件
修正リングを用いた定盤の表面修正方法と同一である。
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:60rpm
上定盤回転数:20rpm
遊離砥粒種類:GC#1500
砥粒濃度:25%分散液
遊離砥粒供給量:500cc/min
研磨時間:30min
【0040】
次に、上記修正リングで修正した表面を持つ研磨定盤、上記定盤表面調整用砥石No.3、No.4で調整した表面を持つ研磨定盤を用いて、図1に示す方法と同様にして、下記条件で合成石英ガラスの研磨を繰り返し行った。その結果を表5〜7及び図8,9に示す。
【0041】
ワーク:合成石英ガラス
ワークサイズ:76mm×76mm
1バッチワーク使用枚数:6
1バッチ研磨時間:10min
リサイクル:有
定盤サイズ:6B
上定盤回転数:20rpm
下定盤回転数:60rpm
加重:100g/cm2
スラリー濃度:25wt%
防錆剤:1%
滴下量:500ml/min
使用砥粒:GC#1500
キャリアー材質:塩化ビニル樹脂
サイズ:150mmφ
個数:6
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
[参考例]
研磨装置として6B、4Way両面研磨装置(不二越機械工業(株)製)を使用し、下記の定盤を用い、下記方法、条件で定盤の表面を下記の修正リングあるいは砥石で処理した。
定盤
材質:粒状黒鉛が含有された鋳鉄
サイズ:6B
修正リング
材質:定盤と同一材質の鋳鉄
形状・サイズ:150mmφで4個
砥石PVA
a:ポリビニルアセタール、メラミン樹脂含有砥粒径8μm(GC)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):30μm
ロックウェル硬度:−70
嵩密度:0.60g/cm3
b:ポリビニルアセタール、メラミン樹脂含有砥粒径14μm(GC)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):60μm
ロックウェル硬度:−60
嵩密度:0.65g/cm3
c:ポリビニルアセタール、メラミン樹脂含有砥粒径25μm(GC)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):40μm
ロックウェル硬度:−50
嵩密度:0.70g/cm3
砥石PU
d:ポリウレタン含有砥粒径8μm(C)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):100μm
ロックウェル硬度:−80
嵩密度:0.50g/cm3
e:ポリウレタン含有砥粒径8μm(C)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):100μm
ロックウェル硬度:−90
嵩密度:0.45g/cm3
f:ポリウレタン含有砥粒径6.5μm(C)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):80μm
ロックウェル硬度:−80
嵩密度:0.50g/cm3
処理方法、条件
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:60rpm
上定盤回転数:20rpm
遊離砥粒種類:GC#1500
砥粒濃度:25%分散液
遊離砥粒供給量:500cc/min
研磨時間:30min
【0046】
その時の定盤の切削量及び表面粗さの結果を表8及び図10,11に示す。
【0047】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】研磨ワークの研磨装置の一例を示す上定盤を省略した状態の概略平面図である。
【図2】調整用キャリアーの一例を示す平面図である。
【図3】本発明の砥石を用いて定盤を研磨した場合の定盤表面の概念図である。
【図4】定盤修正用治具を用いて定盤を修正、研磨した場合の定盤表面の概念図である。
【図5】弾性砥石を用いて定盤を研磨した時の状態を示す断面概念図である。
【図6】非弾性砥石を用いて定盤を研磨した時の状態を示す断面概念図である。
【図7】実施例I、比較例Iにおいてシリコンウエハーを研磨した場合のバッチ数と切削量との関係を示すグラフである。
【図8】実施例II、比較例IIにおいて、合成石英ガラスを研磨した場合のバッチ数と切削量との関係を示すグラフである。
【図9】同バッチ数と粗度との関係を示すグラフである。
【図10】参考例において、定盤を種々の砥石で研磨した場合の切削量を示すグラフである。
【図11】同表面粗さを示すグラフである。
【図12】定盤表面調整用砥石No.1の顕微鏡写真である。
【図13】定盤表面調整用砥石No.2の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0049】
1 研磨定盤
2 サンギア
3 インターナルギア
4 キャリアー
4a 調整用キャリアー
5 保持用孔
5a 保持用孔
6 研磨ワーク
7 遊離砥粒
8 凹凸部
10 定盤表面調整用砥石
13 結合剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨定盤上に研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを配設し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して上記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨定盤を表面調整するための定盤表面調整用砥石、及び前記研磨定盤の表面調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、セラミックス等の研磨ワークを研磨する研磨装置として、図1に示すものが用いられている。ここで、図1中、1は研磨定盤(下定盤)であり、粒状黒鉛が含有された鋳鉄製である。この定盤1は、図示していない駆動装置によって回転可能に設置されている。この定盤1内径側には、その中心部にギア(サンギア)2が配設されていると共に、外周縁に沿ってリング状のギア(インターナルギア)3が配設され、これらギア2,3に噛合されて複数のキャリアー4が配設されている。これらキャリアー4には、それぞれ研磨ワーク保持用孔5が形成され、これら保持用孔5に研磨ワーク6が挿入されるものである。なお、図示していないが、これらキャリアー4の上には、上定盤を同様に回転可能に配設することができる。上記研磨ワーク6は、上記定盤を回転させるとこの回転と反対方向にキャリアー4が回転し、研磨ワーク6が公転かつ自転しながら定盤に供給される遊離砥粒によって研磨されるものである。
【0003】
上述した研磨装置により、ポリッシング工程、ラッピング工程を繰り返すと、研磨定盤が摩耗して定盤が凸形状あるいは凹凸形状になり、このような形状になると、定盤と同質材料の鋳鉄製の定盤修正用治具を用いて遊離砥粒を供給しながら定盤表面の修正、平坦化を行う。このようにして定盤を修正した後は、再度ポリッシング工程、ラッピング工程を同様に行うものであるが、従来、このようなポリッシング加工やラッピング加工を施す研磨装置の定盤の面精度を修正するための定盤修正用治具としては、特許文献1:特開2000−135666号公報、特許文献2:特開2000−218521号公報等に記載されたものが知られている。
【0004】
しかし、これらの定盤修正用治具は、定盤を修正、平坦化するためには有効であるが、研磨加工をより効率化する点では効果がなく、このため研磨加工をより効率よく行う方法が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−135666号公報
【特許文献2】特開2000−218521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記要望に応えたもので、定盤での遊離砥粒保持力を増加させることができ、これにより研磨力を向上させることができると共に、定盤に対し、均一粗面を与えて調整直後から安定した一定の研磨力が得られる定盤表面状態を付与することができる定盤表面調整用砥石、及びこの砥石を用いた定盤の表面調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100の合成樹脂製砥石、特に内部の多数の微小気孔を有する多孔性合成樹脂製砥石を用い、遊離砥粒、特にシリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、セラミックス等の所用の研磨ワークを研磨するときに使用する遊離砥粒と同一の遊離砥粒を供給しながら研磨定盤の面粗度を調整することにより、セラミックス、金属等から形成される修正リング等の定盤修正用治具を用いて同一砥粒を供給しながら定盤の表面修正を行った場合の定盤面粗度より1.5〜3倍程度の粗い面粗度に定盤表面が調整されて、研磨ワークを実際に遊離砥粒を用いて研磨する際、定盤表面の該砥粒保持力が増加して研磨力が向上し、これにより研磨時間が短縮化されて効率よく研磨ワークの研磨を行うことができると共に、上記表面調整初期から切削力が一定で、研磨ワークに安定した均一研磨面を形成でき、研磨力の安定が得られ、この点でも研磨工程の効率化が計られることを見出し、本発明なすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記の定盤表面調整用砥石及び定盤表面調整方法を提供する。
請求項1:
研磨定盤上に研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを配設し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して上記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨定盤を表面調整するための定盤表面調整用砥石であって、ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100である合成樹脂製弾性砥石からなることを特徴とする定盤表面調整用砥石。
請求項2:
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項1記載の定盤表面調整用砥石。
請求項3:
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項2記載の定盤表面調整用砥石。
請求項4:
弾性砥石の嵩密度が0.4〜0.9g/cm3である請求項1,2又は3記載の定盤表面調整用砥石。
請求項5:
弾性砥石に、前記研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項1〜4のいずれか1項記載の定盤調整用砥石。
請求項6:
ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100である合成樹脂製弾性砥石を保持する保持用孔部を有する調整用キャリアーを研磨定盤上に配設し、該キャリアー孔部に前記砥石を保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して、上記研磨定盤表面を上記弾性砥石で研磨して、定盤表面を上記砥粒の粗度に応じて粗面化することを特徴とする研磨定盤の表面調整方法。
請求項7:
遊離砥粒として、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒を使用する請求項6記載の表面調整方法。
請求項8:
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項6又は7記載の表面調整方法。
請求項9:
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項8記載の表面調整方法。
請求項10:
弾性砥石の嵩密度が0.4〜0.9g/cm3である請求項6〜9のいずれか1項記載の表面調整方法。
請求項11:
弾性砥石に、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項6〜10のいずれか1項記載の表面調整方法。
請求項12:
研磨ワークがシリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、又はセラミックスである請求項6〜11のいずれか1項記載の表面調整方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、セラミックス等の研磨ワークを効率よく研磨することができ、研磨時間を短縮化し得、これにより研磨コストを低減できる。また、研磨ワーク表面の粗度バラツキも小さく、安定品質の研磨品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の定盤表面調整用砥石は、合成樹脂製の弾性砥石からなるものである。
この場合、上記弾性砥石としては、砥石内部に多数の微小気孔を有する多孔性のもので熱硬化性樹脂製、特に内部に多数の微小気孔を有するポリビニルアセタール又はポリウレタン製のものが好適に用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えばポリビニルアセタール樹脂、フェノール樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、得られる砥石の硬度、消耗度等の点からポリビニルアセタールを含む材料で形成されたものが好ましく、ポリビニルアセタール製の弾性砥石としては、ポリビニルアセタール樹脂と、該ポリビニルアセタール樹脂以外の熱硬化性樹脂とを併用して形成されたものが好ましい。
【0011】
この場合、その割合は、ポリビニルアセタール樹脂10〜35質量部、その他の熱硬化性樹脂5〜20質量部とすることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂が少なすぎると、多孔質部分が少なくなり、弾性が失われ、砥石硬度が高くなるおそれがあり、その他の熱硬化性樹脂が少なすぎると、ポリビニルアセタール樹脂の多孔質部分と微細砥粒との結合力が悪くなり、砥石の硬度が低下するおそれがある。
上述したように、ポリビニルアセタール製弾性砥石は、多数の微小気孔を有する多孔性のものが好ましいが、これを多孔性にする手段としては、ポリビニルアセタール樹脂生成過程において、事前に気孔生成剤としてコーンスターチ等の気孔生成剤を添加し、アセタール化反応後、コーンスターチ等の気孔生成剤を水で洗い流し出すことにより、コーンスターチ等の気孔生成剤が反応中存在していた部分を気孔として砥石内に生成させる方法等が採用される。
【0012】
また、ポリウレタン製砥石も好適に使用できる。このポリウレタン製砥石としては、ポリエーテル系及び/又はポリエステル系ポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られたポリウレタンからなるものを使用することができる。ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が用いられ、有機イソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート等を使用することができる。
【0013】
このポリウレタン製砥石も多孔性であることが好ましいが、多孔性にする手段としては、水等の公知の発泡剤を加える方法、反応硬化時に撹拌によって空気を巻き込む方法等が挙げられる。
【0014】
なお、多孔性砥石は連通気泡構造でも独立気泡構造でもよいが、気孔径30〜150μmが好ましい。
【0015】
なお、上記合成樹脂製弾性砥石には、微細砥粒を配合させることが好ましく、この場合、その配合量は砥石全体の30〜70質量%、特に40〜60質量%とすることが好ましい。微細砥粒としては、平均粒径が40〜1μm程度の微粒のものが好ましく、材質としては炭化珪素、アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及びジルコンサンド等を単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、特に、本発明に従って定盤の表面調整を行った後、研磨ワークを研磨する際に使用する遊離砥粒と材質、粒度が同一のものを使用することが好ましい。
【0016】
このように、砥粒を配合して砥石に砥粒を分散、固定することにより表面調整を効率よく行うことができ、またこの場合、研磨ワークの研磨加工に用いる遊離砥粒と同じ砥粒を分散、固定すれば、この砥石を用いて定盤の表面調整を行った場合、表面調整後に万一この砥石からの砥粒が脱落して定盤表面に残存していたとしても、これは研磨ワークの研磨に用いる遊離砥粒と同じ砥粒であるから、残存砥粒によってワークに引っかき傷をつける等の不都合はない。
【0017】
本発明において、上記合成樹脂製弾性砥石は、そのロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100、特に−80〜−50のものを使用するもので、ロックウェル硬度が低すぎると、研磨による砥石消耗量が増大し、経済的でなくなってしまう。ロックウェル硬度が高すぎると、弾性砥石特有のスプリング効果が失われて、均一に定盤の表面を調整することができなくなってしまう。この場合、ロックウェル硬度は、スケールとして圧子直径1/2インチ鋼球を用いて試験荷重100kgでのHRS数値である。
【0018】
また、上記弾性砥石は、上述したように、多数の微小気孔(セル)を有する多孔性砥石が好ましいが、この場合、微小気孔(セル)の大きさ[セル径(気孔径)]は30〜150μm、特に40〜100μmが好ましい。この場合、気孔径30μm未満では弾性砥石としての弾性が小さくなり、スプリング効果が失われる。また、気孔径150μmを超えるとスプリング効果を得やすいが、砥石組織が粗となり、砥石消耗量が増大し、経済的でなくなってしまう。上記弾性砥石は、嵩密度が0.4〜0.9g/cm3であることが好ましく、0.5〜0.7g/cm3のものがより好ましい。嵩密度が低すぎると、砥石組織が粗となり、砥石全体が脆く、研磨中に砥石が破壊してしまう。嵩密度が高すぎると、砥石組織が過密状態となり、弾性によるスプリング効果が失われる。
【0019】
なお、本発明に係る砥石の形状は、特に制限はなく、円形状、四角,六角,八角等の正多角形状など、種々の平面形状に形成でき、その厚さは10〜75mm程度とすることが好ましい。
【0020】
ここで、本発明の弾性砥石からなる表面調整用砥石を用いて定盤の表面調整を行う時期は、特に制限はされないが、本発明の表面調整用砥石は、定盤を使用しているうちに生じる表面の凸状あるいは凹凸形状を修正し、表面を平坦化する効果はないので、このような場合は、公知の定盤修正用治具を用いて定盤表面の修正を行った後に、本発明の砥石を用いる表面調整を行うことが好ましい。
【0021】
本発明の定盤表面調整用砥石を用いて定盤の表面調整を行う場合、まず前記弾性砥石を保持する保持用孔部を有する調整用キャリアーを用いて、該キャリアーの保持用孔部に砥石を保持させる。この場合、砥石平面形状が図1に示したキャリアーの研磨ワーク保持用孔に嵌挿し得る形状、即ち研磨ワークと同じ平面形状の場合は、このキャリアーをそのまま調整用キャリアーとして使用し得るので、砥石を研磨ワーク保持用孔に嵌挿する。また、砥石が研磨ワークと異なる形状の場合、該砥石平面形状と同じ平面形状の保持用孔を有する調整用キャリアーを準備し、この保持用孔に砥石を嵌挿する。例えば、砥石が正方形の平面形状を有する場合、図2に示すように、正方形状の保持用孔5aを有する調整用キャリアー4aを準備し、この保持用孔5aに定盤表面調整用砥石10を嵌挿し、例えば図1においてそのキャリアー4の代わりに上記調整用キャリアー4aを研磨装置に組み入れ、研磨ワークの研磨の場合と同様にして遊離砥粒を定盤に供給しながら定盤表面を研磨処理するものである。なお、調整用キャリアーは、上記研磨ワークを保持するキャリアーと同一材質であるか、定盤と同一材質であることが異種材質の混入を防止できるので望ましい。ここで、これらキャリアーは、通常鉄、鋳鉄、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂等にて形成される。
【0022】
この場合、この研磨条件は、適宜選定されるが、この表面調整を行った後に、研磨ワークの研磨を行う場合における研磨条件と同様の条件とすることが好ましい。
【0023】
このように弾性砥石により定盤の研磨処理を行う場合、遊離砥粒は、その後に行う研磨ワークの研磨に用いる遊離砥粒と同一の砥粒を使用することが、たとえ上記弾性砥石による定盤の研磨処理後に定盤に遊離砥粒が残ったとしても、その後の研磨ワークの研磨に支障が生じないため、好ましい。
【0024】
上記合成樹脂製弾性砥石により定盤の研磨処理を行った場合、遊離砥粒の材質、粒度等に応じて粗面化されるが、同じ遊離砥粒を用いて定盤と同一材質の鋳鉄あるいはセラミックスやダイヤモンド電着等の定盤修正用治具を用いて定盤研磨を行った場合に比べて、定盤面粗度より1.5〜3倍粗面化される。図3,4はこれを示すもので、図3は本発明に係る弾性砥石を用いて定盤研磨を行った場合の定盤1の表面状態を示し、図4はこれに対比される、定盤と同一材質の鋳鉄製の定盤修正用治具(修正リング)を用いて定盤研磨を行った場合の定盤の表面状態を示す。
【0025】
更に、詳述すると、弾性砥石を用いる場合、特に多孔性合成樹脂からなる弾性砥石を用いる場合、図5に示すように定盤表面調整用砥石(弾性砥石)10を押圧しつつ遊離砥粒7を供給しながら研磨定盤1表面を研磨するに際し、定盤1と弾性砥石10の中に遊離砥粒7を供給しながら圧力Pを加えると、弾性砥石10組織内に存在する微小気孔(セル)11により弾性砥石にスプリング弾性が生じ、加圧変動が生じても定盤に均一でより粗度の大きい粗面が形成される。これに対し、図6に示すように、弾性のないビトリファイド砥石、結合剤13により結着されたレジノイド砥石12は、砥石中に気孔を含まず、セルが存在しないためにスプリング弾性がなく、均一な粗さの表面が得がたく、粗度も比較的小さいものになると考えられる。
【0026】
このように、本発明に従って定盤を研磨した場合、従来の定盤修正用治具を用いた場合に比較して定盤1の表面が適度に粗面化されるので、図3,4に示したように、遊離砥粒7が定盤粗面化表面の凹凸部8に保持されやすく、定盤表面から飛び出し、脱け出し難く、このため研磨ワーク6の研磨に際して遊離砥粒の研磨力が有効に発揮され、このため短時間で研磨ワークを研磨し得ると共に、研磨に使用する遊離砥粒の使用量を低減し得る。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0028】
[実施例I、比較例I]
研磨装置として15B、4Way両面研磨装置(不二越機械工業(株)製)を用い、まず、下記定盤に対し、下記修正リングを用いて下記方法、条件で上下定盤の表面修正を行った。
定盤 材質:粒状黒鉛が含有された鋳鉄
サイズ:15B
修正リング 材質:定盤と同一材質で4個
サイズ:380mmφ
修正方法、条件
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:65rpm
上定盤回転数:21.5rpm
遊離砥粒種類:FO#1200
砥粒濃度:20%分散液
遊離砥粒供給量:180cc/min
研磨時間:30min
【0029】
更に、上記修正リングで表面を修正した上下定盤の表面を下記の定盤表面調整用砥石を用いて下記方法、条件で定盤の表面調整を行った。
定盤表面調整用砥石No.1(図12参照)
形状・サイズ:150mmφ砥石12個
材質:ポリウレタン
セル径(気孔径):100μm
ロックウェル硬度:−80
嵩密度:0.5g/cm3
定盤表面調整用砥石No.2(図13参照)
形状・サイズ:150mmφ砥石12個
材質:ポリウレタン
セル径(気孔径):50μm
ロックウェル硬度:−70
嵩密度:0.6g/cm3
調整用キャリアー
材質:定盤と同一材質の鋳鉄
サイズ:380mmφ
個数:4
表面調整方法、条件
修正リングを用いた定盤の表面修正方法と同一である。
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:65rpm
上定盤回転数:21.5rpm
遊離砥粒種類:FO#1200
砥粒濃度:20%分散液
遊離砥粒供給量:180cc/min
研磨時間:30min
【0030】
上記のように定盤表面を修正・調整した場合における定盤表面粗さを表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
なお、修正リングによる修正で、定盤表面は平坦化されたが、上記表面調整用砥石による処理では、定盤表面の平坦化状態は処理前後に実質的に差がなく、従って表面調整用砥石では、定盤表面の凹凸形状を平坦化、修正する機能を有さないことが認められた。
【0033】
次に、上記修正リングで修正した表面を持つ研磨定盤、上記定盤表面調整用砥石No.1、No.2で調整した表面を持つ研磨定盤を用いて、図1に示す方法と同様にして、下記条件でシリコンウエハーの研磨を繰り返し行った。その結果を表2〜4及び図7に示す。
【0034】
ワーク:シリコンウエハー
ワークサイズ:31.4cm2
1バッチワーク使用枚数:35
1バッチ研磨時間:10min
リサイクル:有
上定盤回転数:21.5rpm
下定盤回転数:65rpm
加重:100g/cm2
スラリー濃度:20wt%
防錆剤:1%
滴下量:180ml/min
砥石サイズ:151×40×50
使用砥粒:FO#1200
キャリアー材質:塩化ビニル樹脂
キャリアーサイズ:380mmφ
キャリアーのワーク:4インチシリコンウエハー7枚
キャリアー個数:5個
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
[実施例II、比較例II]
研磨装置として6B、4Way両面研磨装置(不二越機械工業(株)製)を使用し、まず、下記定盤に対し、下記修正リングを用いて下記方法、条件で上下定盤の表面修正を行った。
定盤 材質:粒状黒鉛が含有された鋳鉄
サイズ:6B
修正リング 材質:定盤と同一材質の鋳鉄
サイズ:150mmφで4個
修正方法、条件
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:60rpm
上定盤回転数:20rpm
遊離砥粒種類:GC#1500
砥粒濃度:25%分散液
遊離砥粒供給量:500cc/min
研磨時間:30min
【0039】
更に、上記修正リングで表面を修正した上下定盤の表面を下記の定盤表面調整用砥石を用いて下記方法、条件で定盤の表面調整を行った。
定盤表面調整用砥石No.3
形状・サイズ:120mmφで4個
材質:ポリビニルアセタール、メラミン樹脂
セル径(気孔径):60μm
ロックウェル硬度:−60
嵩密度:0.7g/cm3
定盤表面調整用砥石No.4
形状・サイズ:120mmφで4個
材質:ポリウレタン
セル径(気孔径):100μm
ロックウェル硬度:−80
嵩密度:0.5g/cm3
調整用キャリアー
材質:定盤と同一材質の鋳鉄
サイズ:150mmφ
個数:4
表面調整方法、条件
修正リングを用いた定盤の表面修正方法と同一である。
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:60rpm
上定盤回転数:20rpm
遊離砥粒種類:GC#1500
砥粒濃度:25%分散液
遊離砥粒供給量:500cc/min
研磨時間:30min
【0040】
次に、上記修正リングで修正した表面を持つ研磨定盤、上記定盤表面調整用砥石No.3、No.4で調整した表面を持つ研磨定盤を用いて、図1に示す方法と同様にして、下記条件で合成石英ガラスの研磨を繰り返し行った。その結果を表5〜7及び図8,9に示す。
【0041】
ワーク:合成石英ガラス
ワークサイズ:76mm×76mm
1バッチワーク使用枚数:6
1バッチ研磨時間:10min
リサイクル:有
定盤サイズ:6B
上定盤回転数:20rpm
下定盤回転数:60rpm
加重:100g/cm2
スラリー濃度:25wt%
防錆剤:1%
滴下量:500ml/min
使用砥粒:GC#1500
キャリアー材質:塩化ビニル樹脂
サイズ:150mmφ
個数:6
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
[参考例]
研磨装置として6B、4Way両面研磨装置(不二越機械工業(株)製)を使用し、下記の定盤を用い、下記方法、条件で定盤の表面を下記の修正リングあるいは砥石で処理した。
定盤
材質:粒状黒鉛が含有された鋳鉄
サイズ:6B
修正リング
材質:定盤と同一材質の鋳鉄
形状・サイズ:150mmφで4個
砥石PVA
a:ポリビニルアセタール、メラミン樹脂含有砥粒径8μm(GC)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):30μm
ロックウェル硬度:−70
嵩密度:0.60g/cm3
b:ポリビニルアセタール、メラミン樹脂含有砥粒径14μm(GC)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):60μm
ロックウェル硬度:−60
嵩密度:0.65g/cm3
c:ポリビニルアセタール、メラミン樹脂含有砥粒径25μm(GC)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):40μm
ロックウェル硬度:−50
嵩密度:0.70g/cm3
砥石PU
d:ポリウレタン含有砥粒径8μm(C)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):100μm
ロックウェル硬度:−80
嵩密度:0.50g/cm3
e:ポリウレタン含有砥粒径8μm(C)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):100μm
ロックウェル硬度:−90
嵩密度:0.45g/cm3
f:ポリウレタン含有砥粒径6.5μm(C)
形状・サイズ:120mmφで4個
セル径(気孔径):80μm
ロックウェル硬度:−80
嵩密度:0.50g/cm3
処理方法、条件
研磨荷重:100g/cm2
下定盤回転数:60rpm
上定盤回転数:20rpm
遊離砥粒種類:GC#1500
砥粒濃度:25%分散液
遊離砥粒供給量:500cc/min
研磨時間:30min
【0046】
その時の定盤の切削量及び表面粗さの結果を表8及び図10,11に示す。
【0047】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】研磨ワークの研磨装置の一例を示す上定盤を省略した状態の概略平面図である。
【図2】調整用キャリアーの一例を示す平面図である。
【図3】本発明の砥石を用いて定盤を研磨した場合の定盤表面の概念図である。
【図4】定盤修正用治具を用いて定盤を修正、研磨した場合の定盤表面の概念図である。
【図5】弾性砥石を用いて定盤を研磨した時の状態を示す断面概念図である。
【図6】非弾性砥石を用いて定盤を研磨した時の状態を示す断面概念図である。
【図7】実施例I、比較例Iにおいてシリコンウエハーを研磨した場合のバッチ数と切削量との関係を示すグラフである。
【図8】実施例II、比較例IIにおいて、合成石英ガラスを研磨した場合のバッチ数と切削量との関係を示すグラフである。
【図9】同バッチ数と粗度との関係を示すグラフである。
【図10】参考例において、定盤を種々の砥石で研磨した場合の切削量を示すグラフである。
【図11】同表面粗さを示すグラフである。
【図12】定盤表面調整用砥石No.1の顕微鏡写真である。
【図13】定盤表面調整用砥石No.2の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0049】
1 研磨定盤
2 サンギア
3 インターナルギア
4 キャリアー
4a 調整用キャリアー
5 保持用孔
5a 保持用孔
6 研磨ワーク
7 遊離砥粒
8 凹凸部
10 定盤表面調整用砥石
13 結合剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨定盤上に研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを配設し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して上記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨定盤を表面調整するための定盤表面調整用砥石であって、ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100である合成樹脂製弾性砥石からなることを特徴とする定盤表面調整用砥石。
【請求項2】
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項1記載の定盤表面調整用砥石。
【請求項3】
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項2記載の定盤表面調整用砥石。
【請求項4】
弾性砥石の嵩密度が0.4〜0.9g/cm3である請求項1,2又は3記載の定盤表面調整用砥石。
【請求項5】
弾性砥石に、前記研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項1〜4のいずれか1項記載の定盤調整用砥石。
【請求項6】
ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100である合成樹脂製弾性砥石を保持する保持用孔部を有する調整用キャリアーを研磨定盤上に配設し、該キャリアー孔部に前記砥石を保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して、上記研磨定盤表面を上記弾性砥石で研磨して、定盤表面を上記砥粒の粗度に応じて粗面化することを特徴とする研磨定盤の表面調整方法。
【請求項7】
遊離砥粒として、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒を使用する請求項6記載の表面調整方法。
【請求項8】
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項6又は7記載の表面調整方法。
【請求項9】
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項8記載の表面調整方法。
【請求項10】
弾性砥石の嵩密度が0.4〜0.9g/cm3である請求項6〜9のいずれか1項記載の表面調整方法。
【請求項11】
弾性砥石に、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項6〜10のいずれか1項記載の表面調整方法。
【請求項12】
研磨ワークがシリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、又はセラミックである請求項6〜11のいずれか1項記載の表面調整方法。
【請求項1】
研磨定盤上に研磨ワーク保持用孔部を有する研磨ワーク用キャリアーを配設し、前記キャリアーの孔部に研磨ワークを保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して上記研磨ワークを研磨する研磨装置において、前記研磨定盤を表面調整するための定盤表面調整用砥石であって、ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100である合成樹脂製弾性砥石からなることを特徴とする定盤表面調整用砥石。
【請求項2】
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項1記載の定盤表面調整用砥石。
【請求項3】
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項2記載の定盤表面調整用砥石。
【請求項4】
弾性砥石の嵩密度が0.4〜0.9g/cm3である請求項1,2又は3記載の定盤表面調整用砥石。
【請求項5】
弾性砥石に、前記研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項1〜4のいずれか1項記載の定盤調整用砥石。
【請求項6】
ロックウェル硬度(HRS)が−30〜−100である合成樹脂製弾性砥石を保持する保持用孔部を有する調整用キャリアーを研磨定盤上に配設し、該キャリアー孔部に前記砥石を保持して、研磨定盤及びキャリアーをそれぞれ回転させると共に、前記研磨定盤に遊離砥粒を供給して、上記研磨定盤表面を上記弾性砥石で研磨して、定盤表面を上記砥粒の粗度に応じて粗面化することを特徴とする研磨定盤の表面調整方法。
【請求項7】
遊離砥粒として、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒を使用する請求項6記載の表面調整方法。
【請求項8】
合成樹脂製弾性砥石が、多孔性のものである請求項6又は7記載の表面調整方法。
【請求項9】
弾性砥石が、多数の微小気孔を有するポリウレタン又はポリビニルアセタール製砥石である請求項8記載の表面調整方法。
【請求項10】
弾性砥石の嵩密度が0.4〜0.9g/cm3である請求項6〜9のいずれか1項記載の表面調整方法。
【請求項11】
弾性砥石に、研磨ワークを研磨するときに用いる遊離砥粒と同じ砥粒が分散固定された請求項6〜10のいずれか1項記載の表面調整方法。
【請求項12】
研磨ワークがシリコンウエハー、合成石英ガラス、水晶、液晶ガラス、又はセラミックである請求項6〜11のいずれか1項記載の表面調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−69323(P2007−69323A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260526(P2005−260526)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(595073432)信濃電気製錬株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(595073432)信濃電気製錬株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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