説明

容器搬送装置

【解決手段】容器6を積み重ねて構成された容器スタック2を保持し得る容器保持具21を有する容器保持機構11と、上記容器保持機構11を移送し得る位置制御機構12とを備えている。その一つの観点によれば、上記容器保持具21は、容器スタック保持部を有する長手状部材71、72、112〜115、118、119、143を備え、上記長手状部材は、その長さ方向における中間部分において、取付け部75〜77、111、141によって取り付け支持されている。
【効果】容器スタック2の搬送を自動的にかつ繰り返して行うことができるから、容器スタック2を人手によって搬送する場合に較べて能率的である。また、上記一つの観点によれば、箱1内に横倒しにして配列してある容器スタック2を容器保持具21で比較的簡単に保持することができるから、公知の容器搬送機に較べて容器スタック2の一番上の容器6の内部にごみやほこりが入るのを効果的に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特願平7−291980号(特開平9−109080号公報参照)によって、紙コップなどの容器を上下に積み重ねて構成された容器スタックを把持することができる容器保持機構を備えた容器搬送機(以下、「上記公知の容器搬送機」という)をすでに提案している。そして、上記公知の容器搬送機によれば、上面に開口面を有するダンボール箱などの箱内にそれらの積み重ね方向が上下方向になるように収納した多数本の容器スタックを上記容器保持機構によって把持して充填機の容器ホルダの所定の箇所まで1本ずつ順番に搬送することができる。
【特許文献1】特開平9−109080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記公知の容器搬送機によって容器スタックを搬送するときには、容器保持機構によって把持される各容器スタックの一番上の容器は、その内部を箱の開口面を通して外部に露出させている。したがって、容器搬送工程中やその前後(特に、箱を開口させてから容器スタックが容器保持機構によって把持されるまでの間)にごみやほこりがこの一番上の容器内に入り込むから、不衛生である。
【0004】
また、上記公知の容器搬送機による1回の容器搬送工程によって搬送される容器スタックは1本だけであるから、箱内の多数の容器スタックを全部搬送するためには多数回の容器搬送工程を必要とし、このために、非能率的である。
【0005】
本発明は、上記公知の容器搬送機の上述のような欠点を簡単な構成により効果的に是正し得るようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その第1の観点によれば、容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置において、上記容器保持具は、互いにほぼ平行になるように並列させた複数のものからなり、上記容器保持具による上記容器スタックの上記保持の時点からこの保持の解除の時点までの間に、これら複数の容器保持具の相互の間隔を変更し得るように構成したものである。
【0007】
また、本発明は、その第2の観点によれば、容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置において、上記容器保持具は、容器スタック保持部を有する長手状部材を備え、上記長手状部材は、その長さ方向における中間部分において、取付け部によって取り付け支持されたものである。この場合、上記容器保持具は、上記長手状部材によって形成される容器スタック収容空間の端部を少なくとも部分的に封鎖し得る少なくとも一つの位置規制部材を備え、上記位置規制部材は、上記封鎖を可能にする封鎖位置と上記封鎖を解除する封鎖解除位置との間を往復動可能であり、上記封鎖解除位置にある上記位置規制部材は、上記長手状部材の長さ方向における両端間まで退避しているのが好ましい。
【0008】
また、本発明は、その第3の観点によれば、容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置において、上記容器保持具は、第1および第2の容器スタック保持部をそれぞれ有する固定側長手状部材と、上記第1の容器スタック保持部に対向し得る第3の容器スタック保持部を有する第1の可動側長手状部材と、上記第2の容器スタック保持部に対向し得る第4の容器スタック保持部を有する第2の可動側長手状部材とを備え、上記第1の容器スタック保持部と上記第3の容器スタック保持部とによって第1の容器スタック収容空間が形成され得るとともに、上記第2の容器スタック保持部と上記第4の容器スタック保持部とによって第2の容器スタック収容空間が形成され得るように構成したものである。
【0009】
さらに、本発明は、その第4の観点によれば、容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置において、上記容器保持具は、容器スタック保持部を構成する長手状のエア吸引面を有するサクションボックスを備え、上記容器スタックの側面部分に弾性的に接触し得るクッション部材が上記サクションボックスの上記エア吸引面に設けられたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器スタックの搬送を自動的にかつ繰り返して行うことができるから、容器スタックを人手によって搬送する場合に較べて能率的である。
【0011】
また、請求項1および4に記載した発明によれば、1回の容器搬送工程によって複数本の容器スタックを同時に搬送することができるから、容器スタックをさらに能率的に搬送することができる。特に、請求項4に記載の発明によれば、簡単な構造の容器保持具を提供することができる。
【0012】
また、請求項1に記載した発明によれば、搬送前と搬送後とで複数本の容器スタックの相互の間隔を変更することができるので、複数本の容器スタックの搬送前の相互の間隔と搬送後の相互の間隔とを必要に応じて互いに異ならせることができて便利である。
【0013】
また、請求項2および3に記載した発明によれば、容器保持具がその積み重ね方向とはほぼ直交する方向から容器スタックに接近して容器スタックを保持することができるから、例えば箱内に横倒しにして配列してある容器スタックを容器保持具で比較的簡単に保持することができ、このために、上記公知の容器搬送機の場合に較べて容器スタックの一番上の容器の内部にごみやほこりが入るのを効果的に防止することができる。
【0014】
また、請求項3に記載した発明によれば、搬送前にはその積み重ね方向がほぼ水平な状態の容器スタックが搬送後にはその積み重ね方向がほぼ垂直または傾斜した状態になるように搬送するときに、容器スタックが容器保持具から不測に落下しないように確実に搬送することができる。
【0015】
また、請求項5に記載した発明によれば、容器保持具のサクションボックスの長手状エア吸引面にクッション部材を介して容器スタックの側面部分を吸引して保持するようにしたから、非常に簡単な構造の容器保持具によって容器スタックを確実に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
つぎに、本発明の第1〜第3の実施例を図面を参照しつつ各実施例毎に項分けして説明する。
【0017】
第1の実施例
まず、本発明の第1の実施例を図1〜図9を参照しつつ容器搬送システム全体の構成、容器搬送機の容器保持機構およびその位置制御機構の各構成ならびに容器搬送機の動作毎に項分けして説明する。
【0018】
(1)容器搬送システム全体の構成
この第1の実施例による容器搬送システムは、図1に示すように、ダンボール箱などの箱1内に収納されている多数本の容器スタック2を、容器スタック2を供給される装置(例えば、液状食品などの充填機)4の容器ホッパ5まで容器搬送装置としての容器搬送機3によって1本ずつまたは複数本ずつ(図示の実施例の場合には、2本ずつ)搬送するようにしたものである。この場合、容器スタック2の積み重ね方向の長さは、この積み重ね方向における箱1の内部空間の長さとほぼ同一または多少小さくてよい。
【0019】
容器スタック2は、図1に示すように、容器6を上下に順次積み重ねて構成されたものであり、具体的には、上側の容器6の上端部を除くほぼ全体を下側の容器6内に順次収納して例えば50個を柱状に積み重ねたものであってよい。また、容器6は、紙製コップ(いわゆる、紙コップ)、合成樹脂製コップなどの各種の容器であってよい。そして、容器6の形状は、円形(具体的には、円錐台形)、四角形(具体的には、四角錐台)などの任意の形状であってよい。さらに、容器6の上端部には、通常の円形紙コップのように、環状のつば部(すなわち、環状の突出部)6aが形成されていてよい。
【0020】
多数(例えば数ダース)の容器スタック2は、図1に示すように、互いにほぼ平行になるように左右方向に並列されかつ上下に重ね合わされた状態で箱1内にそれぞれ詰め込まれている。なお、これらの容器スタック2は、収納空間が最小になりかつ輸送時に型崩れしないように、箱1に千鳥状に密着した状態で詰められていてよい。この場合、各容器6の高さが例えば数センチメートルであっても、このような容器6を上下に例えば50個重ね合せることによって得られる各容器スタック2の上下方向(すなわち、積み重ね方向)の高さは、通常、40〜60センチメートルになる。
【0021】
箱1は、図1に示すように、1つの面に開口面1aを有するほぼ直方体形状であってよく、また、この開口面1aがほぼ水平な上面になるように、ほぼ水平な状態で配置されていてよい。そして、各容器スタック2は横倒しの状態(換言すれば、容器6の積み重ね方向が開口面1aとほぼ平行な状態)でこの箱1に収納されているので、各容器スタック2のうちの一番上に積み重ねられた容器6内にごみやほこりが入り込む恐れがほとんどない。ただし、各容器スタック2の上端(および下端)は、図1に示すように、箱1の共通の側面に対向しているのが好ましい。さらに、箱1は、コーナ部材などの位置決め手段7によって、水平方向を位置決めされることができる。
【0022】
容器搬送機3は、ロボット(すなわち、完全に自己制御できる電子的、電気的および/または機械的装置)として構成されていてよい。具体的には、容器搬送機3は、図1に示すように、容器スタック2を保持することができるロボットのハンド部としての容器保持機構11と、この容器保持機構11の移動位置を制御する位置制御機構12とを備えている。なお、これらの容器保持機構11およびその位置制御機構12の詳細については、順次項分けして後述する。
【0023】
容器スタック2を供給される装置4は、図1に示すように、ほぼ垂直または或る程度傾斜して上下方向に延びる複数(図示の実施例では4個)の容器ホッパ5と、これらの容器ホッパ5の下方にそれぞれ対向するように配設された複数の落下用開口13をそれぞれ有する複数の筒状突出部15とを備えている。なお、容器スタック2は、その上端および下端を上方および下方にそれぞれ向けた状態で容器ホッパ5内に保持される。そして、各容器スタック2は、容器ホッパ5の下端に設けられた左右一対のシャッタ部材14a、14bを左側外方および右側外方に向ってそれぞれ開放させたときに、落下用開口13を通って装置4の所定の容器保持位置(図示せず)へと送り込まれる。また、容器ホッパ5は、容器スタック2が容器ホッパ5内に安定した状態で保持されかつ落下用開口13を通って上記所定の容器保持位置へと確実に送り込まれるように、上端部から下端部に向って外方(すなわち、前方)へ多少傾斜しているのが好ましい。
【0024】
(2)容器保持機構11の構成
容器保持機構11は、図2などに示すように、容器スタック2をそれぞれ保持することができかつ互いにほぼ平行になるように並列させた前後一対の容器保持具21と、これらの容器保持具21を支持しかつ作動させることができる機構本体22とを備えている。
【0025】
機構本体22は、図3、図7などに示すように、図1に示す位置制御機構12の第5の腕98に取付けられる取付け部材23と、この取付け部材23がその上側に取付けられている支持基板24とを備えている。そして、この支持基板24の下側には、前後一対の第1の軸受け部材25a、25bおよび前後一対の第2の軸受け部材26a、26bが左右両側にそれぞれ設けられている。また、これら第1および第2の軸受け部材25a、25bおよび26a、26bには、左右一対のガイド軸27、28がそれぞれ支持されている。
【0026】
左右一対のガイド軸27、28には、図5、図7などに示すように、ほぼL字状の板などからなる前後一対の移動部材31、32がこれら左右一対のガイド軸27、28にまたがるようにかつ摺動などによりこれらのガイド軸27、28に沿って移動可能にそれぞれ取付けられている。また、これらのガイド軸27、28のそれぞれには、各移動部材31、32の前後方向の移動位置を規制することができる前後二対ずつの位置規制部材33a、33b、33c、33dおよび34a、34b、34c、34dがそれぞれ設けられている。
【0027】
一方の移動部材31には、図7などに示すように、エアシリンダなどからなるシリンダ機構35のシリンダ36が取付けられている。そして、このシリンダ機構35のピストン37は、他方の移動部材32に取付けられている。したがって、シリンダ機構35の伸縮動作によって、一対の移動部材31、32が前方側の位置規制部材33a、34aおよび後方側の位置規制部材33d、34dにそれぞれ当接する第1の状態と、これら一対の移動部材31、32が中間位置にある位置規制部材33b、34bおよび33c、34cにそれぞれ当接する第2の状態とが得られる。そして、上記第1の状態では、一対の移動部材31、32の相互の間隔が最も大きくなる。また、上記第2の状態では、これら一対の移動部材31、32の相互の間隔が最も小さくなる。
【0028】
一対の移動部材31、32の下側には、図3、図5などに示すように、ほぼ逆U字状の板などからなる前後一対の支持枠41、42が取付けられている。なお、機構本体22において、前後一対の支持枠41、42にそれぞれ取付けられている各部の構造は、各支持枠41、42毎にほぼ同一であるから、以下においては、一方の支持枠41に取付けられている各部の構造のみについて説明する。
【0029】
支持枠41の上板部41aの下側には、図3などに示すように、取付け具43を介してエアシリンダなどからなるシリンダ機構44のシリンダ45がそれぞれ取付けられている。そして、このシリンダ機構44のピストン46には、第1の連結レバー47の一端部が連結ピン40により回動可能に取付けられている。また、この第1の連結レバー47の中間部は、支持枠41の左右一対の下垂板部41b、41cの間に掛け渡された支持軸48に回動可能に支持されている。さらに、第1の連結レバー47の他端部には、第2の連結レバー49の一端部が連結ピン50により回動可能に連結されている。
【0030】
支持枠41の左右一対の下垂板部41b、41cの内側には、図2、図3、図9などに示すように、左右一対のガイド板52、53が取付けピン(図示の実施例の場合にはそれぞれ3本ずつ)51によって取付けられている。そして、これら一対のガイド板52、53は、ほぼ円弧状の板などからなっていてよく、その上下両側面には、ほぼ円弧状のガイド面52a、52bおよび53a、53bがそれぞれ形成されている。また、これらのガイド板52、53には、これら左右一対のガイド板52、53のほぼ円弧状の長さ方向に沿ってほぼ円弧状に移動する左右一対の移動部材54、55が係合している。
【0031】
左右一対の移動部材54、55は、図3、図9などに示すように、連結軸56によって互いに連結されている。また、各移動部材54、55には、各ガイド板52、53のガイド面52a、52bまたは53a、53bに沿ってそれぞれ移動する少なくとも2つの移動子57が設けられている。なお、これらの移動子57は、図示の実施例においては、各ガイド板52、53のガイド面52a、52bまたは53a、53b上を転動するローラである。そして、これらのローラ57は、各移動部材54、55に上下一対ずつ(計4個)設けられている。さらに、連結軸56には、第2の連結レバー49の他端部が回動可能に取付けられている。
【0032】
支持枠41の左右一対の下垂板部41b、41cの外側には、図2、図3などに示すように、取付け具61、62をそれぞれ介してエアシリンダなどからなる左右一対のシリンダ機構63、64のシリンダ65、66がそれぞれ取付けられている。また、これら一対の下垂板部41b、41cの外側の下端部には、上記シリンダ機構63、64の下方に位置するようにほぼ水平に延びる補助取付け板67、68が突設されている。
【0033】
前後一対の容器保持具21のそれぞれは、図2、図3、図9などに示すように、ほぼ左右方向にそれぞれ延びている前後一対の長手状板71、72と、これら一対の長手状板71、72の左右両端部にそれぞれ対向し得る左右一対の位置規制部材73、74とを備えている。そして、一方の長手状板71のそれぞれは、その全体が容器スタック保持部を構成するものであって、補助取付け板67、68の下側にそれぞれ設けられた左右一対の連結板75、76にその外周面の中間部分において取付けられて前後一対の支持枠41、42にそれぞれ固定されている。また、他方の長手状板72のそれぞれは、左右一対の移動部材54、55の下端部にほぼ前後方向に延びるように形成された左右一対の取付け耳部77にその外周面の中間部分において取付けられている。なお、長手状板71、72のそれぞれは、2ヶ所(すなわち、連結板75、76または一対の取付け耳部77)で支持されているが、1ヶ所または3ヶ所以上で支持されていてもよい。また、長手状板71、72のそれぞれは、長さ方向における中間部分(すなわち、両端部以外の部分)でかつ幅方向における中間部分において、その外周面を支持されている。したがって、後述のように長手状部材71、72が箱1内の容器スタック2の側面部分2aにその内周面側から接近するときに、その支持部分(すなわち、連結板75、76、一対の取付け耳部77など)が邪魔になる恐れがない。
【0034】
前後一対の長手状部材71、72は、その長手方向とはほぼ直交する方向においてほぼ円弧状に湾曲している。そして、長手状部材71、72の内周面を含む第1の仮想円(図9Aに示す容器スタック2の包絡面の外周円にほぼ相当している)の半径は、容器スタック2の側面部分の最大径の部分からなる第2の仮想円の半径とほぼ同一または多少大きくなっていてよい。また、上記第1の仮想円の中心O1は、ガイド板52、53のガイド面52a、52bおよび53a、53bを含む第3および第4の仮想円の中心とそれぞれほぼ一致していてよい。さらに、長手状部材71、72の長さは、容器スタック2の積み重ね方向の高さとほぼ同一または多少大きいか多少小さくてよく、箱1の内部空間の一方の長さ(容器スタック2の積み重ね方向における箱1の内部空間の長さ)よりも多少小さくなっていてよい。
【0035】
左右一対の位置規制部材73、74のそれぞれは、ほぼL字状の板からなっていてよく、それらの一半部分はほぼY字状の位置規制部73a、74aを構成し、その他半部分は取付け板部73b、74bを構成している。また、補助取付け板67、68には、互いに対向する前後一対の取付け部78、79が形成されている。そして、これら一対の取付け部78、79には、左右一対の連結レバー81、82が軸80によって回動可能に軸支されている。また、これらの連結レバー81、82の基端付近には、連結耳部81a、82aがそれぞれ形成されている。そして、これらの連結耳部81a、82aには、シリンダ機構63、64のピストン83、84がそれぞれ連結されている。さらに、連結レバー81、82の自由端部には、位置規制部材73、74の取付け板部73b、74bがそれぞれ取付けられている。
【0036】
(3)位置制御機構12の構成
位置制御機構12は、図1に示すように、容器保持機構11がその先端部に支持されている多関節の腕部材91と、この腕部材91の動作を自動制御する動作制御手段(図示せず)とを備えている。
【0037】
腕部材91は、図1に示すように、
(a)床に固定されている基盤92、
(b)ほぼ垂直方向に延びる第1の軸L1を回動中心として基盤92上で水平
方向に沿って回動(すなわち、自転)できる回転台93、
(c)ほぼ水平方向に延びる第2の軸L2を軸心として回転台93の上端部に
その基端部が軸支されていて、上記第2の軸L2を回動中心として回動できる
第1の腕94、
(d)ほぼ水平方向に延びる第3の軸L3を軸心として第1の腕94の先端部
にその基端部が軸支されていて、上記第3の軸L3を回動中心として回動でき
る第2の腕95、
(e)第2の腕95の長さ方向にほぼ延びる第4の軸L4を回動中心として回
動(すなわち、自転)できるように、第2の腕95の先端部にその基端部が支
持されている第3の腕96、
(f)第3の軸96の長さ方向とはほぼ直交する方向に延びる第5の軸L5を
軸心として第3の腕96の先端部にその基端部が軸支されていて、上記第5の
軸L5を回動中心として回動できる第4の腕97、
(g)第4の腕97のほぼ長さ方向に延びる第6の軸L6を回動中心として回
動(すなわち、自転)できるように、第4の腕97の先端部にその基端部が支
持されている第5の腕98、
をそれぞれ備えている。そして、この第5の腕98の先端部側には、容器保持機構11の取付け部材23がボルト・ナットなどにより着脱自在に取付けられる。なお、上記第1〜第6の軸L1〜L6は、いずれも、仮想の軸を意味していてよい。
【0038】
したがって、容器保持機構11は、図1に示すように、回転台93および第1〜第5の腕94〜98からなる6軸の制御によって、腕部材91のリーチの範囲で所望の3次元運動を行うことが可能である。また、腕部材91の先端部に支持されている容器保持機構11は、容器スタック2および/または容器6の種類などに応じて、種類の異なるものに交換されることが可能である。
【0039】
前記動作制御手段(図示せず)には、箱1に詰められている容器スタック2を箱1から取り出すのに必要な各種の情報(すなわち、容器スタック2を収納している箱1の形状や大きさ、容器6の形状や大きさ、各容器スタック2の上下に積み重ねられた容器6の個数、容器スタック2の箱1内での配列の仕方など)や、箱1から取り出した容器スタック2を所定の箇所(図示の実施例の場合には、充填機4などの容器ホッパ5)まで搬送するのに必要な位置情報などが予め入力されている。したがって、上記動作制御手段(図示せず)が腕部材91をステップモータ、油圧シリンダなどにより自動制御することによって、この腕部材91の先端部に支持されている容器保持機構11は、位置決め手段7により所定の位置に位置決めされている箱1内の所定の容器スタック2に対向する所定の位置や、充填機4などの容器ホッパ5に対向する所定の位置に順次搬送される。
【0040】
(4)容器搬送機の動作
図1に示すように箱1内に収納されている多数の容器スタック2を容器搬送機3によって充填機4などの容器ホッパ5まで搬送し始めるときには、容器保持機構11は、前記動作制御手段(図示せず)によって、つぎの(a)項〜(c)項に記載する初期状態に設定されている。
(a)図7などに示すように、シリンダ機構35が復動状態になっていてピス
トン37がシリンダ36側に向って短縮しており、このために、一対の移動部
材31、32(ひいては、一対の容器保持具21)の相互の間隔が小さくなっ
ている。
(b)図9Bに示すように、シリンダ機構44が復動状態になっていてピ
ストン46がシリンダ45とは反対側に向かって伸長しており、このために、
可動側の長手状部材72が固定側の長手状部材71にほぼ接触する位置まで接
近している。
(c)図4などに示すように、シリンダ機構63、64が復動状態になってい
てピストン83、84がシリンダ65、66とは反対側に向かって伸長してお
り、このために、位置規制部材73、74の位置規制部73a、74aが長手
状部材71、72の両端部から内方側の斜め上方に退避している。
上記(a)項〜(c)項に記載した初期状態において、前記動作制御手段(図示せず)は、図9Bに示すように、腕部材91を自動制御することにより一対の容器保持具21を箱1内の一対の容器スタック2にこの箱1の開口面1aから接近させて、これら一対の容器保持具21のそれぞれの一対の長手状部材71、72の内周面をこれら一対の容器スタック2の側面部分2aにほぼ接触させる。この場合、上記一対の容器スタック2は、必ずしも互いに隣接している必要はない。しかし、図示の実施例においては、一対の容器保持具21の相互の間隔が互いに隣接する一対の容器スタック2の相互の間隔にほぼ一致している。したがって、一対の容器保持具21は互いに隣接する一対の容器スタック2に接近するので、一対の長手状部材71、72のそれぞれはこれら一対の容器スタック2の側面部分2aにその内周面側から接近してほぼ接触する。また、この接触状態においては、容器保持具21の長手状部材71、72の長さ方向が容器スタック2における容器6の積み重ね方向とほぼ一致している。なお、一対の容器保持具21のそれぞれは、箱1の外側から容器スタック2における容器6の積み重ね方向(好ましくは、開口面1a)とほぼ直交する方向に移送されて、箱1内の容器スタック2に接近する。
【0041】
ついで、シリンダ機構44が往動状態となると図9Aに示すようにピストン46がシリンダ45側に短縮するので、第1の連結レバー47は支持軸48を支点として図9Bにおける反時計方向に回動する。したがって、一対の移動部材54、55は、第2の連結レバー49を介して図9Bにおける左方から右方に押されるので、図9Aに示すように、ガイド板52にガイドされてほぼ円弧状に往動する。このために、可動側の長手状部材72は、容器スタック2の包絡面の外周円にほぼ沿って固定側の長手状部材71から遠ざかる方向に往動する。よって、容器スタック2は、その側面部分2aを一対の長手状部材71、72によって180°よりも大きい範囲にわたって包囲されて、これら一対の長手状部材71、72によって把持され得る状態になる。
【0042】
この図9Aに示す状態においては、固定側の長手状部材71の一方の周側端からこの長手状部材71の内周面を経て他方の周側端を至り、ついで、一対の長手状部材71、72の間隔を経て可動側の長手状部材72の一方の周側端に至り、さらに、この一方の周側端からこの長手状部材72の内周面を経て他方の周側端に至るほぼ円弧状の部分の、前記第1の仮想円の中心O1に対してなす角度θ1は、180°よりも大きくなっている。したがって、容器保持機構11が上昇して一対の長手状部材71、72が容器スタック2を持ち上げたときに、一対の長手状部材71、72の下方側の間隙(すなわち、固定側の長手状部材71の上記一方の周側端と可動側の長手状部材72の上記他方の周側端との間隙)から容器スタック2がこぼれ落ちる恐れはない。なお、上記角度θ1は、図示の実施例においては、約210°であるが、実用性の観点から見て、190°〜300°の範囲であるのが好ましく、200°〜250°の範囲であるのがさらに好ましい。
【0043】
可動側の長手状部材72が復動している図9Bに示す状態においては、固定側の長手状部材71の上記一方の周側縁から可動側の長手状部材72の上記他方の周側縁に至るほぼ円弧状の部分の、前記第1の仮想円の中心O1に対してなす角度θ2は、180°よりも小さいかほぼ等しくなっている。したがって、容器保持具21が箱1内の容器スタック2に接近するときに、固定側の長手状部材71の上記一方の周側端および可動側の長手状部材72の上記他方の周側端が容器スタック2の側面部分2aの一部に引っ掛かかる恐れはないから、一対の長手状部材71、72の内周面は容器スタック2の側面部分2aに常に確実に接触することができる。なお、上記角度θ2は、図示の実施例においては、約170°であるが、実用性の観点から見て、120°〜180°の範囲であるのが好ましく、150°〜175°の範囲であるのがさらに好ましい。
【0044】
上述のように可動側の長手状部材72が固定側の長手状部材71から遠ざかる方向に往動すると、図9Aに示すように、一対の長手状部材71、72の相互の隙間は大きくなる。しかし、この大きくなる隙間が前記第1の仮想円の中心O1に対してなす角度は(θ2−θ1)にしかすぎない。したがって、一対の長手状部材71、72の相互の隙間が上述のように大きくなっても、一対の長手状部材71、72が容器スタック2の側面部分2aを把持するときの支障にはならない。
【0045】
ついで、前記動作制御手段(図示せず)は、腕部材91を動作させて容器保持機構11を上昇させるので、一対の容器保持具21のそれぞれは、一対の長手状部材71、72が容器スタック2の側面部分2aを把持した状態で、箱1内から容器スタック2における容器6の積み重ね方向(好ましくは、開口面1a)とほぼ直交する方向に引き上げられて箱1内から取り出される。そして、容器保持機構11の一対の容器保持具21は、腕部材91によって充填機4などの容器ホッパ5の近傍にまで移送される。
【0046】
容器保持具21が箱1内から容器ホッパ5の近傍まで移送されるまでに、容器保持機構11のシリンダ機構63、64および35がそれぞれ往動状態となる。なお、シリンダ機構63、64が往動状態なる時期は、一対の長手状部材71、72が箱1内から取り出された直後であるのが好ましい。そして、シリンダ機構63、64が往動状態となると、ピストン83、84がシリンダ65、66側に向かって短縮するので、連結レバー81、82(ひいては、位置規制部材73、74)は、軸80を支点として図4における反時計方向および時計方向にそれぞれ往回動する。このために、これらの位置規制部材73、74の位置規制部73a、74aは、図3に示すように、一対の長手状部材71、72によって形成される容器スタック収容空間(一対の長手状部材71、72の内周面および前記第1の仮想円を含むほぼ円筒形状の空間であって、容器スタック2の包絡面とほぼ一致している)99の両端部のそれぞれを少なくとも部分的に封鎖する。
【0047】
図4に示すように、シリンダ機構63、64が復動状態となっているときには、位置規制部材73、74の位置規制部73a、74a(ひいては、位置規制部材73、74の全体)は、長手状部材71、72の両端からその長さ方向に対してほぼ直交して上方に延びる第1および第2の仮想面W1、W2の間(すなわち、内方側)における上方に位置している。したがって、容器保持具21を箱1内に挿入したり箱1内から取り出したりするときに、位置規制部材73、74が箱1や容器スタック2に不必要に引っ掛かる恐れがない。
【0048】
図7に示す復動状態にあるシリンダ機構35が往動状態になると、図8に示すように、ピストン37がシリンダ36とは反対側に向かって伸長するので、一対の移動部材31、32の相互の間隔は最も大きくなる。この大きくなった相互の間隔は、充填機4などの一対の容器ホッパ5の相互の間隔にほぼ一致している。この場合、上記一対の容器ホッパ5は、必ずしも互いに隣接している必要はない。しかし、図示の実施例においては、一対の容器保持具21の大きくなった相互の間隔が互いに隣接する一対の容器ホッパ5の相互の間隔にほぼ一致している。
【0049】
さらに、腕部材91は、一対の容器保持具21を箱1内から一対の容器ホッパ5の近傍までそれぞれ移送するまでに、これら一対の容器保持具21を一対の容器ホッパ5にそれぞれほぼ平行な状態で対向させるために、容器保持機構11を所定の角度回動させる。なお、箱1の開口面1aとほぼ平行になるようにほぼ水平な状態になっている一対の容器保持具21は、容器ホッパ5とほぼ平行になるようにほぼ垂直な状態(ただし、容器ホッパ5と同様に多少傾斜している)になるまで回動するのが好ましい。したがって、上記所定の角度は、約90°であってよく、この場合、容器スタック2は、容器スタック収容空間99内で一番下の容器6の底部が一番下側となって位置規制部材73の位置規制部73aによって位置規制されて、下方に落下するのを防止されるのが好ましい。したがって、一対の位置規制部材73、74のいずれか一方およびその作動機構(シリンダ機構63または64など)は、必要に応じて省略することができる。
【0050】
一対の容器保持具21は、腕部材91によって移送されて、図1に示すように、一対の容器スタック2を一対の容器ホッパ5にそれぞれ収容させる。この場合、容器スタック2は、容器ホッパ5の一対のシャッタ部材14a、14b上に載置されるかそのすぐ上方に持ちきたされる。また、位置規制部材73の位置規制部73aは、容器スタック収容空間99の下端面の手前側の一半部分に存在するだけであるから、容器ホッパ5のシャッタ部材14a、14bの手前に位置していて、これらのシャッタ部材14a、14bと上下に重なり合うことはない。
【0051】
ついで、シリンダ機構45および63、64がそれぞれ復動状態になるので、往動状態になった場合とは逆の動作が行われる。したがって、一対の容器スタック2は一対の長手状部材71、72による把持を解除される。また、これと同時またはその前後に、位置規制部材73、74の位置規制部73a、74aによる容器スタック収容空間99の両端部の封鎖も解除される。この時点で、一対の容器ホッパ5にそれぞれ設けられた一対のシャッタ部材14a、14bを開放させて、一対の容器スタック2を落下用開口13を通して充填機4などの所定の容器保持位置へと送り込んでもよい。しかし、図示の実施例においては、図1に示すように、上述の場合と同様の工程を繰り返して残りの容器ホッパ5にも容器スタック2を収容させた後に、全部の容器ホッパ5の一対のシャッタ部材14a、14bを同時に開放させるようにしている。
【0052】
ついで、前記動作制御手段(図示せず)による自動制御に従って、前記(a)項〜(c)項に記載した初期状態に戻してから上述の場合とほぼ同様の工程を順次繰り返して、箱1内の残りの容器スタック2の総てを容器ホッパ5に順次収容させるようにしている。
【0053】
第2の実施例
この第2の実施例による容器搬送機は、ロボットのハンド部としての容器保持機構11の具体的構成が相違することを除いて、上述の第1の実施例と実質的に同一である。したがって、以下において、容器保持機構11について説明し、容器搬送機のそれ以外の部分についての説明は適当に省略する。また、第2の実施例において、第1の実施例と共通の部分には同一の符号を付してその具体的な説明を適当に省略する。
【0054】
容器保持機構11は、図10などに示すように、容器スタック2をそれぞれ保持することができる前後一対の容器保持具21と、これらの容器保持具21を支持しかつ作動させることができる機構本体22とを備えている。
【0055】
機構本体22は、図10および図11に示すように、図1に示す位置制御機構12の第5の腕98に取付けられる取付け板101と、この取付け板101がその上面に取付けられている支持板102と、この支持板102がその上端面に取付けられかつ2枚の板をほぼ垂直の状態で互いに張り合わせて構成した支持基板103とを備えている。なお、機構本体22においては、支持基板103の左右両側にそれぞれ設けられている各部がこの支持基板103を対称の中心として点対称的に構成されているから、機構本体22の右側の各部の構成について説明し、左側の各部の構成についての説明を適当に省略する。
【0056】
支持基板103の左右両側には、前後一対ずつのガイド板104、105が取付けられている。そして、これらのガイド板104、105は、ほぼ円弧状のロッドなどからなっていてよく、その上下両側面には、ほぼ円弧状のガイド面104a、104bおよび105a、105bがそれぞれ形成されている。また、ガイド板104、105には、これらのガイド板104、105のほぼ円弧状の長さ方向に沿ってほぼ円弧状に往復動する前後一対の移動部材106、107の上端部の近傍部分がそれぞれ係合している。
【0057】
前後一対の移動部材106、107の中間部分は、図11などに示すように、連結リンク108によって互いに連結されている。そして、一対の移動部材106、107および連結リンク108によってリンク機構が構成されている。また、前後一対の移動部材106、107の下端部には、ほぼ左右方向に延びるように一対の取付け耳部111がそれぞれ形成されている。そして、これらの取付け耳部111には、一対の長手状部材112、114がその外周面の中間部分において取付けられている。なお、残り一対の長手状部材113、115は、支持基板103の左側に同様に設けられている取付け耳部(図示せず)に同様に取付けられている。
【0058】
長手状部材112〜115は、既述の第1の実施例における可動側の長手状部材72にそれぞれ相当している。ただし、ほぼ円弧状でかつ長手状の容器スタック把持部116の周側端には、ほぼL字状の横断面でかつ長手状の取付け部117が連設されている。また、前後一対の長手状部材112、113の間および前後一対の長手状部材114、115の間には、前後一対の長手状部材118、119が配置されている。なお、これらの長手状部材118、119は、既述の第1の実施例における固定側の長手状部材71にそれぞれ相当している。ただし、各長手状部材118、119は、長手状部材112〜115の容器スタック保持部116にそれぞれ対向している幅方向がほぼ円弧状でかつ長手状の前後一対の容器スタック保持部121、122と、これら一対の容器スタック保持部121、122を連結している長手状連結部123とを備えている。そして、各長手状部材118、119は、それらの長手状連結部123において支持基板103の下端にそれぞれ取付けられている。さらに、可動側の長手状部材112〜115の容器スタック保持部116および固定側の長手状部材118、119の容器スタック保持持部121、122の左右両端部には、位置規制用の舌状片124、125がそれぞれ設けられている。
【0059】
支持板102の先端部分の下側には、図10および図11に示すように、ほぼ逆U字状の取付け具126を介してエアシリンダなどからなるシリンダ機構127のシリンダ128が取付けられている。そして、このシリンダ機構127のピストン129には、連結リンク108と取付け部117との間において、一方の移動部材106が連結軸130を介して取付けられている。
【0060】
上述のように構成された図10および図11に示す容器保持機構11によれば、図11に示すように互いにほぼ平行な状態でかつ相互の間隔がほぼ一定になるように配列されている複数の容器スタック2の側面部分2aを把持して、所定の位置まで搬送することができる。
【0061】
すなわち、一対の容器保持具21は、図11Bに示すように可動側の長手状部材112〜115の容器スタック保持部116が上昇して復動状態になっているときに、4つの容器スタック2の側面部分2aに接近する。そして、可動側の長手状部材112〜115の容器スタック保持部116および固定側の長手状部材118、119の容器スタック保持部121、122のそれぞれは、それらの内周面側から容器スタック2の側面部分に接近してほぼ接触する。この場合、一対の容器保持具21のそれぞれは、容器スタック2における容器6の積み重ね方向とほぼ直交する方向(好ましくは、複数の容器スタック2の配列方向(換言すれば、図11の左右方向)ともほぼ直交する方向)に移送されて容器スタック2に接近してほぼ接触する。
【0062】
ついで、シリンダ機構127が往動状態になると、図11Aに示すようにピストン129がシリンダ128とは反対側に伸長する。このために、一方の移動部材106はこのピストンに129に押されるので、ガイド板104にガイドされてほぼ円弧状に往動する。したがって、長手状部材112は、移動部材106に伴われて下方に向かってほぼ円弧状に往動する。よって、2つの容器スタック2は、図11Aに示すように、その側面部分2aを可動側の移動部材112の容器スタック保持部116および固定側の移動部材118の容器スタック保持部121によって把持され得る状態になる。この場合、これらの容器スタック保持部116および121によって形成される容器スタック収容空間99の左右両側端部は、位置規制用の舌状片124、125によって少なくとも部分的に封鎖されている。
【0063】
これと同時に、連結リンク108によって移動部材106に連結されている移動部材107がこの移動部材106と同様の動作を行うので、移動部材107に取付けられている可動側の長手状部材114も、下方に向ってほぼ円弧状に往動する。よって、残り2つの容器スタック2も、図11Aに示すように、可動側の長手状部材114の容器スタック保持部116および固定側の移動部材119の容器スタック保持部121によって把持され得る状態になる。この場合にも、これらの容器スタック保持部116、121によって形成される容器スタック収容空間99の左右両側端部は、位置規制用の舌状片124、125によって少なくとも部分的に封鎖されている。
【0064】
ついで、上述のように容器保持機構11によって保持された容器スタック2は、既述の第1の実施例の場合と同様に、機構本体22によって所定の箇所(例えば、ほぼ水平な載置台上)まで搬送される。そして、シリンダ機構127が復動状態になると、往動状態の場合とは逆の動作が行われる。したがって、容器スタック2は長手状部材112〜115、118、119による把持を解除される。
【0065】
なお、上述の第2の実施例においては、互いにほぼ平行になるように並列させた一対の容器保持具21の相互の間隔を一定にした。しかし、既述の第1の実施例の場合のように、一対の容器保持具21の相互の間隔を大きくしたり(前記第1の状態)、小さくしたり(前記第2の状態)し得るようにしてもよく、さらに、互いにほぼ平行になるように並列させた各容器保持具21の一対の容器スタック収容空間99の相互の間隔を大きくしたり(前記第1の状態)、小さくしたり(前記第2の状態)し得るようにしてもよい。
【0066】
第3の実施例
この第3の実施例による容器搬送機は、ロボットのハンド部としての容器保持機構11の具体的構成が相違することを除いて、既述の第1の実施例と実質的に同一である。したがって、以下において、容器保持機構11について説明し、容器搬送機のそれ以外の部分についての説明は適当に省略する。また、第3の実施例において、第1の実施例と共通の部分には同一の符号を付してその具体的な説明を適当に省略する。
【0067】
容器保持機構11は、図12などに示すように、容器スタック2を保持することができる容器保持具21と、この容器保持具21を支持することができる支持機構141と、この容器保持具21を作動させることができる作動機構142とを備えている。
【0068】
容器保持具21は、1つの側面(図示の実施例では、下側)に容器スタック保持部としての長手状のエア吸引面143bを有する長手状のサクションボックス143と、このサクションボックス143のエア吸引面143bに取付けられた柔軟性および可撓性を有するクッション部材145とを備えている。そして、このクッション部材145は、容器スタック2の側面部分2aに弾性的に接触することができる。また、サクションボックス143は、図13、図14などに示すように、ほぼ直方体形状(ただし、長手状)などであってよく、容器スタック2の容器積み重ね方向の長さおおび容器スタック2の幅とほぼ同程度の長さおよび幅をそれぞれ有している。さらに、サクションボックス143の下側143bのうちで容器スタック2の一番下の容器6の側面部分に対向する部分134cは、この容器6の側面部分の形状(すなわち、ほぼ円錐台形)にならってこの容器6の上端側から下端側にかけて外方に向って膨出するように次第に傾斜している。
【0069】
サクションボックス143のエア吸引面143bは、その全体が容器スタック保持部を構成するものであって、図12などに示すように、幅方向においてほぼ円弧状になるように湾曲した形状に構成されている。そして、サクションボックス143のエア吸引面143bには、外部の空気を吸引し得る多数の開口(すなわち、吸気口)146が形成されている。また、クッション部材145は、発泡ゴムなどからほぼ等厚の薄板状に構成されていてよく、そして、サクションボックス143のエア吸引面143bとほぼ同形であってよい。さらに、クッション部材145は、それ自体が通気性であってもよいが、サクションボックス143に対応させて多数の吸気口を設けた非通気性材料からなっているのが好ましい。また、クッション部材145は、サクションボックス143のエア吸引面143bの全面に形成されているのが好ましいが、エア吸引面143bの外周囲に沿ったほぼ長方形状の枠状体になるように部分的に形成されていてもよい。
【0070】
支持機構141は、サクションボックス143の別の1つの側面(図示の実施例では、上側)143aに設けられた取付け具からなっている。そして、この取付け具141は、図1に示す位置制御機構12の第5の腕部材98に取付けられている。また、取付け具141には、容器保持具21に過大な応力が加わったときに機構本体22の腕部材91が損傷するのを防止するために、機械的なブレーカ機構が内蔵されていてよい。
【0071】
作動機構142は、図12などに示すように、サクションボックス143の上側143aに設けられたパイプ接続用筒状部147と、この筒状部147にその一端を取付けられた可撓性パイプ148とを備えている。そして、この可撓性パイプ148の他端は、エア吸引用駆動源としての吸引ポンプ、真空ポンプなどのエア吸引用ポンプ(図示せず)に取付けられている。
【0072】
上述のように構成された図12〜図14に示す容器保持機構11によれば、図1に示すように箱1内に収納されている多数の容器スタック2を、以下に述べるようにして、充填機4などの容器ホッパ5まで順次搬送することができる。
【0073】
すなわち、既述の第1および第2の実施例の場合と同様に、容器保持具21のクッション部材145側を容器スタック2の側面部分2aに接近させて、クッション部材145のほぼ全面をこの側面部分2aにほぼ接触させるか多少弾性的に押圧する。そして、その前後から前記動作制御手段(図示せず)によりエア吸引用ポンプ(図示せず)を駆動させて作動機構142にエア吸引動作を行わせることによって、図13および図14に示すように、容器スタック2の側面部分2aをクッション部材145に吸着させて容器保持具21に容器スタック2を保持させる。ついで、第1の実施例の場合と同様にして、容器スタック2を図1に示す容器ホッパ5に収容させる。
【0074】
ついで、前記動作制御手段(図示せず)による自動制御に従って、既述の第1の実施例の場合と同様にして上述の工程を繰り返すと、図1に示す箱1内の残りの容器スタック2の総てを容器ホッパ5に順次収容させることができる。
【0075】
なお、上述の第3の実施例においては、容器保持具21を1つだけ設けた。しかし、記述の第1の実施例の場合のように、容器保持具21を互いにほぼ平行になるように並列させて2つ以上設けることができ、また、これらの容器保持具21の相互の間隔を大きくしたり(前記第1の状態)、小さくしたり(前記第2の状態)し得るようにすることができる。
【0076】
以上において、本発明の第1〜第3の実施例について詳細に説明したが、本発明は、これら第1〜第3の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0077】
例えば、上述の第1および第3の実施例においては、箱1内に収納されている容器スタック2を箱1の内部以外の箇所まで搬送するようにした。しかし、これとは逆に、箱1の内部以外の箇所にある容器スタック2を箱1の内部まで搬送するようにしてもよい。また、箱1内に収納されている容器スタック2を別の箱(例えば、より大きな箱またはより小さな箱)の内部まで搬送して上記箱1内に収納されている場合と同様にまたは異なるように配列された状態で収納してよい。
【0078】
また、上述の第1および第2の実施例においては、可動側の容器スタック保持部と固定側の容器スタック保持部とによって容器スタック収容空間99を形成するようにした。しかし、上記固定側容器スタック保持部も、上記可動側容器スタック保持部と同様に往復動し得るようにして、可動側容器スタック保持部として構成してもよい。
【0079】
また、上述の第1および第2の実施例におけるシリンダ機構35、44、63、64、127のうちの1つまたは複数のシリンダ機構は、エアシリンダ以外に油圧シリンダであってもよく、また、ソレノイド・プランジャなどの別の往復駆動源であってもよい。
【0080】
また、上述の第1および第2の実施例におけるシリンダ機構35、44、63、64、127のうちの1つまたは複数のシリンダ機構におけるピストンおよびシリンダの位置関係を互いに逆にしてもよい。
【0081】
また、上述の第1および第2の実施例においては、2つの容器スタック保持部によって1つの容器スタック収容空間99を形成し、そして、上述の第3の実施例においては、1つの容器スタック保持部によって1つの容器スタック収容空間99を形成した。しかし、上述の第1および第2の実施例において、1つの容器スタック収容空間99を3つまたはそれ以上の容器スタック保持部によって形成してもよく、そして、上述の第3の実施例において、1つの容器スタック収容空間99を2つまたはそれ以上の容器スタック保持部によって形成してもよい。
【0082】
さらに、上述の第1〜第3の実施例において、容器スタック収容空間を形成する長手状容器スタック保持部の長さを調節可能にすれば、積み重ね方向における長さが異なる複数種類の容器スタックに対して共通に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施例による容器搬送機の使用状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図2】図1に示す容器搬送機の容器保持機構の斜視図である。(実施例1)
【図3】図2に示す容器保持機構の容器保持状態における正面図である。(実施例1)
【図4】図3に示す容器保持機構の、容器スタックの側面部分を把持した状態における図3と同様の正面図である。(実施例1)
【図5】図3に示す容器保持機構の側面図である。(実施例1)
【図6】図5に示す容器保持機構の、一対の容器保持具の相互の間隔を大きくした状態における図5と同様の側面図である。(実施例1)
【図7】図5のVII−VII線での断面図である。(実施例1)
【図8】図6のVIII−VIII線での断面図である。(実施例1)
【図9A】図3のIX−IX線での断面図である。(実施例1)
【図9B】図9Aに示す容器保持具が容器保持状態から容器スタックの側面部分の把持を解除した状態における図3のIX−IX線での断面図である。(実施例1)
【図10】本発明の第2の実施例による容器搬送機の容器保持機構の斜視図である。(実施例2)
【図11A】図10に示す容器保持機構の容器保持状態における右側面図である。(実施例2)
【図11B】図11Aに示す容器保持機構の、4つの容器保持具が容器スタックの側面部分の把持をそれぞれ解除した状態における図11Aと同様の右側面図である。(実施例2)
【図12】本発明の第3の実施例による容器搬送機の容器保持機構の、容器スタックの側面部分を保持する直前の状態における斜視図である。(実施例3)
【図13】図12に示す容器保持機構の容器保持状態における部分的に切り欠いた正面図である。(実施例3)
【図14】図13のXIV−XIV線での断面図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0084】
1 箱
1a 開口面
2 容器スタック
2a 側面部分
3 容器搬送機(容器搬送装置)
4 充填機
5 容器ホッパ
6 容器
11 容器保持機構
12 位置制御機構
21 容器保持具
71 固定側長手状部材
72 可動側長手状部材
73 位置規制部材
74 位置規制部材
75 連結板(取付け部)
76 取付け耳部(取付け部)
77 連結板(取付け部)
99 容器スタック収容空間
111 取付け耳部(取付け部)
112 可動側長手状部材
113 可動側長手状部材
114 可動側長手状部材
115 可動側長手状部材
118 固定側長手状部材
119 固定側長手状部材
141 取付け具(取付け部)
143 サクションボックス
143b エア吸引面(容器スタック保持部)
145 クッション部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、
上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置において、
上記容器保持具は、互いにほぼ平行になるように並列させた複数のものからなり、
上記容器保持具による上記容器スタックの上記保持の時点からこの保持の解除の時点までの間に、これら複数の容器保持具の相互の間隔を変更し得るように構成したことを特徴とする容器搬送装置。
【請求項2】
容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、
上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置において、
上記容器保持具は、容器スタック保持部を有する長手状部材を備え、
上記長手状部材は、その長さ方向における中間部分において、取付け部によって取り付け支持されていることを特徴とする容器搬送装置。
【請求項3】
上記容器保持具は、上記長手状部材によって形成される容器スタック収容空間の端部を少なくとも部分的に封鎖し得る少なくとも一つの位置規制部材を備え、
上記位置規制部材は、上記封鎖を可能とする封鎖位置と上記封鎖を解除する封鎖解除位置との間を往復動可能であり、
上記封鎖解除位置にある上記位置規制部材は、上記長手状部材の長さ方向における両端間まで退避していることを特徴とする請求項2に記載の容器搬送装置。
【請求項4】
容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、
上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置において、
上記容器保持具は、第1および第2の容器スタック保持部をそれぞれ有する固定側長手状部材と、上記第1の容器スタック保持部に対向し得る第3の容器スタック保持部を有する第1の可動側長手状部材と、上記第2の容器スタック保持部に対向し得る第4の容器スタック保持部を有する第2の可動側長手状部材とを備え、
上記第1の容器スタック保持部と上記第3の容器スタック保持部とによって第1の容器スタック収容空間が形成され得るとともに、上記第2の容器スタック保持部と上記第4の容器スタック保持部とによって第2の容器スタック収容空間が形成され得るように構成したことを特徴とする容器搬送装置。
【請求項5】
容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、
上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置において、
上記容器保持具は、容器スタック保持部を構成する長手状のエア吸引面を有するサクションボックスを備え、
上記容器スタックの側面部分に弾性的に接触し得るクッション部材が上記サクションボックスの上記エア吸引面に設けられていることを特徴とする容器搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−187861(P2006−187861A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19110(P2006−19110)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【分割の表示】特願2001−327752(P2001−327752)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】