説明

容器散水処理装置

【課題】貯水タンク10から送水ポンプ24によって散水ノズル8に給水し、容器搬送コンベヤ6の上方から散水した処理水を、回収手段12を介して回収し貯水タンク10に環流させて、処理水を循環させる容器散水処理装置であって、貯水タンク10の収容水量を循環中に必要とする水量よりも小さい量とする。
【解決手段】前記回収手段12の排出管12Adに給水制御手段としてのバルブ18を設けて、回収手段12を補給手段として利用できるようにし、散水開始時には、送水ポンプ24を作動させるとともに、前記バルブ18を開放し、貯水タンク10の水を散水ノズル8に送りつつ、回収手段12内の水を貯水タンク10に補給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯水タンクに貯留された設定温度の水を散水ノズルに送り、この散水ノズルから搬送されている容器に散水して、加熱、冷却等の処理を行う容器散水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器を搬送する搬送コンベヤの上方に散水ノズルを配置し、搬送コンベヤの下方には、それぞれ異なる処理温度に設定された水を貯留する複数の貯水タンクを設置し、搬送コンベヤによって搬送されている容器に対し、各貯水タンクから給水配管を介してそれぞれの上方に配置された散水ノズルに送水して散水させ、散水後の処理水をたらい状の回収手段により受けて、その下方の貯水タンクに流入させるようにした容器散水処理装置が従来から広く知られている。
【0003】
前述のように従来の散水処理装置は、貯水タンク内の水を給水配管を通して散水ノズルに送り、これら散水ノズルから容器に散水し、処理後の水を回収して再び貯水タンクに戻すようにしている。このように散水して水を循環させている間は、給水配管や散水ノズル等を流れている流量、散水ノズルから散水されて空中を飛散している水量、容器や搬送コンベヤに付着している水滴の量、流下してきた処理後の水を受けて貯水タンクに戻すために回収手段(たらい)を流れている水量等、貯水タンク内に貯留されている水量以外の水量があるため、安定して水を循環させている間は貯水タンクの容量が小さくてもよい。しかしながら、運転開始前、あるいは運転終了後は、前記循環中に貯水タンクの外部を流れている水を貯水タンク内に収容しなければならないので、大きな容量の貯水タンクが必要となる。
【0004】
ところが、前記各貯水タンクは、それぞれ異なる設定温度の水を貯留しており、運転の開始時や設定温度の変更時には、設定温度まで加熱しなければならないため、貯水タンクの貯水容量を大きくすると加熱するための熱エネルギーが大きくなるとともに、設定温度に昇温するまでの時間が長くなるという問題があった。そこで、直接温度管理を行う貯水タンクの容量は小さくし、必要なときには別のアキュームタンクから補給するようにした容器熱処理装置が提案された(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載された容器熱処理装置は、熱処理用の異なる温度の水を貯える複数の貯水タンクと、水の移動を制限する制限手段を介して前記貯水タンクと連通されたアキュームタンクを設けた構成としている。この特許文献1の発明の構成では、アキュームタンクと各貯水タンクとの間の水の自由な移動が制限され、各貯水タンク内の温度変動が抑えられるとともに、貯水タンク内の貯水量の変動は制限手段を介してアキュームタンクから自動的に補給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−30911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載された発明では、水の移動を制限する制限手段を介して貯水タンクとアキュームタンクを設け、貯水タンクを小型化することにより加熱エネルギーの低減を計っている。しかしながらこのような構成のアキュームタンクは、貯水されている水が循環に使用されることはほとんどなく、単に貯水されているもので、実際に循環に必要な水量よりも遙かに多い水量を貯留しているため無駄であるという問題がある。また、アキュームタンクが貯水タンクと一体に設けられているため、レイアウト上制約されるという問題があった。さらに、アキュームタンクがたらい状の回収手段の下方に設置されているため、清掃やメンテナンスの際の作業性が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、容器を搬送する搬送手段と、この搬送手段による容器搬送経路の上方に配置された散水ノズルと、前記搬送手段の下方に配置され、散水されて流下する使用後の処理水を受ける回収手段と、この回収手段で回収された処理水を収容する貯水タンクと、貯水タンクと散水ノズルを結ぶ給水配管と、貯水タンクから散水ノズルへ送水する送水ポンプとを備え、前記貯水タンクの処理水を散水ノズルに送って容器に散水し、再び貯水タンクへ回収して、処理水を循環させて使用する容器散水処理装置において、前記貯水タンクの収容量を、散水開始時の必要量よりも少ない収容量にするとともに、散水ノズルからの散水開始時に不足する処理水を補給する補給手段を設け、散水開始時は貯水タンクの処理水を散水ノズルに供給するとともに、補給手段から貯水タンクに処理水を補給して散水ノズルから散水させ、処理終了時には貯水タンクと補給手段に処理水を収容させることを特徴とするものである。
【0009】
また、第2の発明は、容器を搬送する搬送手段と、この搬送手段による容器搬送経路の上方に配置された散水ノズルと、前記搬送手段の下方に配置され、散水されて流下する使用後の処理水を受ける回収手段と、この回収手段で回収された処理水を収容する貯水タンクと、貯水タンクと散水ノズルを結ぶ給水配管と、貯水タンクから散水ノズルへ送水する送水ポンプを備え、前記貯水タンクの処理水を散水ノズルに送って容器に散水し、再び貯水タンクへ回収して、処理水を循環させて使用する容器散水処理装置において、前記貯水タンクの収容量を、散水開始時の必要量よりも少ない収容量にするとともに、散水ノズルからの散水開始時に不足する処理水を補給する補給手段を設け、散水開始時には、先ず、補給手段から散水ノズルに処理水を供給した後、貯水タンクの処理水を散水ノズルに供給して散水させ、処理終了時には貯水タンクと補給手段に処理水を収容させることを特徴とするものである。
【0010】
さらに第3の発明は、請求項1に記載した発明において、前記回収手段が補給手段として散水開始時に不足する処理水を補給できるだけの処理水の収容量を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の容器散水処理装置は、散水ノズルから散水を開始するときに処理水を補給する補給手段を設け、散水開始時は貯水タンクの処理水を散水ノズルに供給するとともに、補給手段から貯水タンクに処理水を補給し、または、先に補給手段から処理水を散水ノズルに供給した後、貯水タンクの処理水を散水ノズルに供給するようにしたので、貯水タンクを小型化しても、この容器散水熱処理措置の散水を行っている間に必要とする水量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は容器散水処理装置の全体の配置を簡略化して示す図である。(実施例1)
【図2】図2は前記容器散水処理装置の一つの散水ゾーンを示す図である。
【図3】図3は第2の実施例に係る容器散水処理装置の図2に対応する図である。(実施例2)
【図4】図4は第3の実施例に係る容器散水処理装置の図2に対応する図である。(実施例3)
【図5】図5は第4の実施例に係る容器散水処理装置の図2に対応する図である。(実施例4)
【図6】図6は第5の実施例に係る容器散水処理装置の図2に対応する図である。(実施例5)
【図7】図7は第5の実施例の作動時を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
容器を搬送する搬送手段の上方に、この搬送手段によって搬送されている容器に処理水を散水する散水ノズルを、そして下方には、散水ノズルから散水されて流下する使用後の処理水を受ける回収手段と、この回収手段が受けた処理水を収容する貯水タンクをそれぞれ設け、さらに、この貯水タンクを散水ノズルに接続する給水配管と、貯水タンクから散水ノズルに処理水を送る送水ポンプとを設け、貯水タンク内に収容されている処理水を散水ノズルに送って搬送手段により搬送されている容器に散水し、流下した処理水を回収手段で受けて、再び元の貯水タンクに環流させることにより、前記処理水を循環させて使用する容器散水処理装置であって、特に、前記貯水タンクの収容量を、散水開始時の必要水量を収容することができない小さいサイズとするとともに、この貯水タンクと別に、散水を開始するときに不足する処理水を補給する補給手段を設け、散水開始時には、送水ポンプを作動させて貯水タンク内の処理水を散水ノズルに供給しつつ、補給手段から貯水タンクに処理水を補給し、あるいは、先に補給手段から散水ノズルに水を供給し、その後貯水タンクから散水ノズルに水を供給するようにし、貯水タンクに処理水を回収している間は、貯水タンクによる処理水の回収量と貯水タンクからの供給量とをバランスさせるという構成にしたことにより、貯水タンクを小型化しても、安定した散水、循環を行うことができるという目的を実現した。
【実施例1】
【0014】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この容器散水処理装置は函体2の内部に設置されており、多数の容器4を複数列で連続的に搬送する容器搬送コンベヤ6と、この容器搬送コンベヤ6の上方に配置された複数の散水ノズル8と、容器搬送コンベヤ6の下方に設置された複数の貯水タンク10と、前記散水ノズル8から散水された処理水を受けて前記貯水タンク10に戻すためのたらい状の回収手段12とを備えている。この実施例では、異なる温度の処理水を搬送される容器4に散水する4つの散水ゾーン(第1ないし第4散水ゾーンA、B、C、D)を備えており、これら各散水ゾーンA、B、C、Dには、容器搬送コンベヤ6による容器4の搬送経路の上方に、搬送方向の上流側(図1の左側)から順に第1ないし第4散水ノズル8A、8B、8C、8Dが、そして、容器搬送コンベヤ6の下方に、前記各散水ノズル8A、8B、8C、8Dに対応して、第1ないし第4回収手段12A、12B、12C、12Dおよび第1ないし第4貯水タンク10A、10B、10C、10Dがそれぞれ配置されている。なお、図1は、この実施例に係る容器散水処理装置の基本的な構成および配置を説明するもので、散水する処理水の循環経路等その他の構成は省略して示している。
【0015】
前記容器搬送コンベヤ6には、供給コンベヤ14によって上流側(図1の左方)から搬送されてきた容器4が順次供給され、この容器搬送コンベヤ6によって各散水ゾーンA、B、C、Dを搬送される容器4に、各散水ゾーンA、B、C、Dの貯水タンク10A、10B、10C、10Dから送られた処理水が散水ノズル8A、8B、8C、8Dによって散水される。容器4に散水されて加熱、冷却等の処理を行った処理水は、流れ落ちて各散水ゾーンA、B、C、Dの回収手段12A、12B、12C、12Dに回収され、その後、貯水タンク10A、10B、10C、10Dに戻される。散水処理を受けた容器4は、容器搬送コンベヤ6から排出コンベヤ16に受け渡されて函体2から排出され、次の工程に送られる。容器搬送コンベヤ6は、函体2の入口2a側と出口2b側に配置されたスプロケット6a、6bに掛け回されたエンドレスチェーン6cを備えており、その上流端6Aに、前記供給コンベヤ14から容器4が供給され、下流端6Bから排出コンベヤ16に容器2が排出される。なお、前記散水ゾーンA、B、C、Dの数は4に限るものではなく、適宜設定できることはいうまでもない。
【0016】
この実施例の容器散水処理装置は、貯水タンク10A、10B、10C、10Dの収容可能な水量が小さく、収容量が散水開始時に必要とする処理水の量には不足している。そのため、この不足する処理水を補給する補給手段を備えている。図2に示す第1の実施例では、前記たらい状の回収手段12(12A、12B、12C、12D)を補給手段として利用している。なお、各散水ゾーンA、B、C、Dは同一の構成を有しているので、この実施例では、第1の散水ゾーンAの構成についてだけ説明する。回収手段12Aは、垂直に立ち上がった周壁12Aaと受けた水を放出するための出口孔12Acに向かって傾斜した底面12Abと、出口孔12Acから貯水タンク10Aへ延びる排出管12Adとを有している。そして、この第1実施例では、回収手段12Aを補給手段として利用するために、排出管12Adに給水制御手段としてのバルブ18を設けており、このバルブ18を閉じることによって回収手段12A内に水を貯留することができる。このバルブ18は制御手段20によって開度を制御するようになっており、回収手段12A内に貯留した水を必要に応じて貯水タンク10A内に補給できるようになっている。
【0017】
貯水タンク10Aから散水ノズル8Aに水を送る給水配管22が設けられており、この給水配管22に設けられた送水ポンプ24によって、貯水タンク10A内に貯留されている水が散水ノズル8Aに送られる。この送水ポンプ24の作動は前記制御手段20によって制御される。貯水タンク10Aには、清水供給配管26を介して清水供給手段28が接続されており、前記制御手段20によって制御されるバルブ30を介して清水を貯水タンク10Aに供給することができる。また、貯水タンク10Aには、スチーム供給配管32を介してスチーム供給手段34が接続されており、前記制御手段20によって制御されるバルブ36を介してスチームを貯水タンク10Aに供給することができる。貯水タンク10A内に貯留されている水の温度は、温度センサ38によって常時検出されており、この温度センサ38からの信号によって制御手段20が前記清水供給手段28とスチーム供給手段34のバルブ30、36を制御して、貯水タンク10A内の水の温度を設定温度に調整するようになっている。
【0018】
前記構成の容器散水処理装置の作動について説明する。先ず、運転の開始に当たり送水ポンプ24を作動させて貯水タンク10A内の水を給水配管22を介して散水ノズル8Aに送る。送水ポンプ24の作動に伴って、回収手段12Aの排出管12Adに設けられているバルブ18(給水制御手段)を開いて、回収手段12(この実施例では請求項1の補給手段を構成している)から貯水タンク10Aに給水する。送水ポンプ24の作動時には、前記バルブ18を全開にして給水を開始する。送水ポンプ24から給水配管22を通って散水ノズル8Aに送られた水は、散水ノズル8Aから容器搬送コンベヤ6上に散水され、下方の回収手段12A内に流下する。なお、この時点では、容器4は供給されず、容器搬送コンベヤ6は停止している。回収手段12A内に回収された水は、開放しているバルブ18を通って貯水タンク10A内に給水される。また、散水する水を循環させている間に、回収手段12Aから補給された水が貯水タンク10Aから溢れないようにバルブ18の開度を調節する。
【0019】
貯水タンク10A内から散水ノズル8Aに送られて散水された水は、回収手段12Aによって回収された後、貯水タンク10Aに環流する。このように散水する水を循環させながら、貯水タンク10A内に収容されている水の温度調節を行う。温度調節を行う場合には、スチーム供給手段34のバルブ36を開放して貯水タンク10A内にスチームを供給し、また、清水供給手段28のバルブ30を開放して貯水タンク10A内に清水を供給する等により、貯水タンク10A内の温度を設定された温度に調整する。
【0020】
前記のように散水する水を循環させながら貯水タンク10A内の温度の調節を行い、目標温度に到達したら、容器搬送コンベヤ6、供給コンベヤ14、排出コンベヤ16等の運転を開始し、この容器散水処理装置の函体2内に容器4を導入する。容器搬送コンベヤ6によって連続的に搬送されている容器4は、先ず、第1散水ゾーン8Aで貯水タンク10Aから送られた水の散水を受ける。第1散水ゾーンAでは、前述のように貯水タンク10A内の水が設定温度に維持されており、この温度の水が散水ノズル8Aから散水されて容器4が所定の温度に加熱される。第1散水ゾーンAを通過した容器4は、次の第2散水ゾーンBに移動され、第2貯水タンク8B内の水が、前記第1散水ゾーンAと同様に第2散水ノズル8Bへ給水配管22を通って供給されて散水される。容器4に散水されて熱処理を行った水は、回収手段12Bに流入した後、貯水タンク10Bに環流する。第2散水ゾーンBを通過した容器4は、同様に第3散水ゾーンC、第4散水ゾーンDで、各散水ノズル8C、8Dから順次散水を受け、各散水ゾーンC、Dで加熱または冷却等の処理を受ける。各散水ゾーンA、B、C、Dでの処理が終わった容器4は、排出コンベヤ16に乗り移ってこの容器散水処理装置の函体2内から排出される。
【0021】
全ての容器処理が終了してこの容器散水処理装置の運転を終了する際には、先ず、供給コンベヤ14、容器搬送コンベヤ6および排出コンベヤ16の駆動を停止する。続いて、各散水ゾーンA、B、C、Dの貯水タンク10A、10B、10C、10Dに接続されている清水供給手段28からの清水の供給およびスチーム供給手段34からのスチームの供給を停止し、温度調節を終了する。その後、バルブ18(給水制御手段)を閉じるとともに、送水ポンプ24の作動を停止する。バルブ18を停止した後に散水ノズル8から散水され、回収手段12A、12B、12C、12D内に流下した水は、この回収手段12A、12B、12C、12D内に貯留される。この実施例に係る容器散水処理装置では、貯水タンク10A、10B、10C、10Dが、散水開始時に必要とする水量よりも少ない収容量を有しており、この貯水タンク10A、10B、10C、10Dに貯留されている水量だけでは、散水して水を循環させている間に、給水配管22から散水ノズル8A、8B、8C、8Dに流れている水、散水ノズル8A、8B、8C、8Dから放出されて空気中を飛散している水、容器4や搬送コンベヤ6に付着している水滴等貯水タンク10A、10B、10C、10D外にある水と、循環中に貯水タンク10A、10B、10C、10D内で必要な水位を維持するための水量とを確保することができない。そこで散水開始時に補給手段(回収手段)12A、12B、12C、12Dから水を補給するようにしたものである。このように貯水タンク10(10A、10B、10C、10D)の容量を小さくしたので、従来のような大容量の貯水タンクで水を加熱、冷却する場合に比べて、均等に効率よく温度を変更することが可能で、温度調節に使用する熱量が小さくて済み、また、設置スペースも小さく、レイアウト上有利である。
【実施例2】
【0022】
図3は、第2の実施例に係る容器散水処理装置の要部(複数の散水ゾーンの一つ)を示す図である。容器搬送コンベヤ106、散水ノズル108、回収手段112、貯水タンク110、給水配管122と送水ポンプ124、温度調節機構としての清水供給手段128とスチーム供給手段134およびこれらの作動を制御する制御手段120等を備えている点は、前記第1実施例と同様である。
【0023】
第1実施例では、たらい状の回収手段12を補給手段として使用したが、この第2実施例では、回収手段112は、散水した水を受けて貯水タンク100に環流させる機能だけを有している。従って、排出管112dにはバルブが設けられていない。そして、補給手段として別のバッファタンク140を設けている。この実施例では、貯水タンク110内に貯留されている水を散水ノズル108に送る給水配管122が送水ポンプ124よりも下流側で分岐しており、第1の分岐管122Aを散水ノズル108に接続するとともに、第2の分岐管122Bを前記バッファタンク140に接続している。この給水配管122の送水ポンプ124側と、各分岐配管122A、122B内にそれぞれバルブ(以下、送水ポンプ側のバルブ142を第1バルブ、第1分岐管122Aのバルブ144を第2バルブ、第2分岐管122Bのバルブ146を第3バルブと呼ぶ)が設けられている。
【0024】
また、バッファタンク140内の水を前記回収手段112に送るために、バッファタンク140と回収手段112内を接続する補給配管148が設けられている。この補給配管148には給水制御手段としてのバルブ150(以下、第4バルブと呼ぶ)が設けられている。前記第1ないし第3バルブ142、144、146およびこの第4バルブ150は、それぞれ制御手段120によって制御される。さらに、バッファタンク140には、このバッファタンク140内を大気に開放するため、バルブ152を介して通気口154が設けられている。この通気口154のバルブ152も、前記制御手段120によって開閉制御される。
【0025】
さらに、貯水タンク110には、スチーム供給配管132を介してスチーム供給手段134が接続され、バルブ136の開閉によって貯水タンク110内にスチームを供給するようになっている。また、清水供給配管126を介して清水供給手段128が接続され、バルブ130の開閉によって貯水タンク110内に清水を供給できるようになっている。貯水タンク110内の水温は温度センサ138によって検出されており、制御手段120が、この温度センサ138からの信号によって前記各バルブ130、136を開閉して貯水タンク110内に貯留されている処理水の温度を調節する。なお、この実施例では、貯水タンク内の温度調節を行うために、スチーム供給手段134と清水供給手段128を貯水タンク110に接続したが、必ずしも貯水タンク110内に供給する必要はなく、例えば、給水配管122の散水ポンプ124の前後に接続して、スチームおよび清水を供給するようにしてもよい。
【0026】
第2実施例の容器散水処理装置の作動について説明する。先ず、送水ポンプ124の運転を開始するとともに、第1バルブ142、第2バルブ144および第4バルブ150(給水制御手段)を開放する。なお、この時点では第3バルブ146は閉じておく。送水ポンプ124の作動により貯水タンク110内に貯留されていた水が、散水ノズル108に送られて停止中の容器搬送コンベヤ6上に散水される。散水された水は回収手段112内に流下してそのまま貯水タンク110に還流する。一方、第4バルブ150も開放しているので、バッファタンク140内に貯留されていた水が回収手段112に流入し、貯水タンク110内に処理水を補給する。バッファタンク140内の水位が低下したら、第4バルブ150を閉じてバッファタンク140からの補給を停止する。貯水タンク110内に貯留されている水量では、散水して循環させる水量に不足してしまうが、散水開始時に、バッファタンク140から補給することにより必要な水量を確保することができる。
【0027】
このように貯水タンク110から散水ノズル108を通って処理水を循環させつつ、スチーム供給手段134のバルブ136および清水供給手段128のバルブ130を開放して貯水タンク110内の処理水の温度調節を行う。各貯水タンク110内の処理水が設定温度で安定した後、容器搬送コンベヤ106および供給コンベヤ14と排出コンベヤ16を運転して各散水ゾーンA、B、C、Dに順次容器4を供給し、それぞれ設定温度の水を散水することにより容器4の熱処理を行う。
【0028】
容器4の熱処理が終了してこの容器散水処理装置の運転を停止する場合には、先ず、容器搬送コンベヤ106と、供給コンベヤ14および排出コンベヤ16の運転を停止する。また、清水供給手段128とスチーム供給手段134からの供給を停止し、貯水タンク110内の温度調節を停止する。この時点では、第1バルブ142および第2バルブ144が開放した状態で、貯水タンク110内の水を散水ノズル108に送って循環させているが、ここで第1分岐管122Aの第2バルブ144を閉じて散水ノズル108への給水を停止するとともに、第2分岐管122Bの第3バルブ146を開放する。この装置の運転開始時に、回収手段112を介して貯水タンク110に処理水を補給したために、水位が低下しているバッファタンク140に水を供給して満水にする。バッファタンク140内を満水にした後、送水ポンプ124を停止してこの容器散水処理装置の運転を終了する。この実施例でも、前記第1実施例と同様に、散水して循環させるために必要な水量を収容できないサイズの貯水タンク106であっても、散水開始時にバッファタンク140から水を補給することにより十分な水量を確保して安定した散水、循環を行うことができる。なお、この実施例では、補給手段としてバッファタンク140を用いたが、必ずしもタンクである必要はなく、例えば、第2分岐管122Bを延長させる等して長い配管等を用いることもできる。
【実施例3】
【0029】
図4は、第3の実施例に係る容器散水処理装置の要部(複数の散水ゾーンの一つ)を示す図である。容器搬送コンベヤ206、散水ノズル208、回収手段212、貯水タンク210、給水配管222と送水ポンプ224、温度調節機構としての清水供給手段228とスチーム供給手段234およびこれらの作動を制御する制御手段220等を備えている点は、前記第1実施例および第2実施例と同様であるので、相違する部分についてだけ説明する。
【0030】
この実施例では、貯水タンク210内の水を散水ノズル208へ供給する給水配管222に設けられている送水ポンプ224の上流側に、この給水配管222を連通遮断するバルブ260(以下第1バルブと呼ぶ)が設けられている。また、この実施例では、バッファタンク240が貯水タンク210からオーバーフローした水が流入するように貯水タンク210よりも低い位置に設置されている。なお、262はオーバーフロー通路である。このバッファタンク240からの供給配管264が、前記給水配管222のバルブ260と送水ポンプ224の間に接続されている。そして、この供給配管264に給水制御手段としてのバルブ266(以下第2バルブと呼ぶ)が設けられている。これら送水ポンプ224および第1バルブ260、第2バルブ266は、それぞれ制御手段220によって作動を制御される。
【0031】
さらに、貯水タンク210には、スチーム供給配管232を介してスチーム供給手段234が接続され、バルブ236の開閉によって貯水タンク210内にスチームを供給できるようになっている。また、貯水タンク210には、清水供給配管226を介して清水供給手段228が接続され、バルブ230の開閉によって貯水タンク210内に清水を供給できるようになっている。貯水タンク210内の水温は温度センサ238によって常時検出されており、制御手段220が、この温度センサ238からの信号によって前記各バルブ230、236を開閉して、スチームおよび清水を供給して貯水タンク210内に貯留されている水の温度を調節する。
【0032】
前記構成の第3実施例の作動について説明する。貯水タンク210側の第1バルブ260を閉じるとともに、バッファタンク240からの供給配管264に設けられた第2バルブ266を開放する。この状態で送水ポンプ224を運転する。運転開始時には貯水タンク210内に貯留されている水を使用せず、バッファタンク240内の水を散水ノズル208に送って散水する。散水された水は、停止している容器搬送コンベヤ6を通過して回収手段212内に流れ落ち、貯水タンク210に流入する。バッファタンク240から散水ノズル208に処理水を供給してバッファタンク240内の水位が低下した後、このバッファタンク240からの供給配管264の第2バルブ266を閉じるとともに、貯水タンク210側の第1バルブ260を開放する。これら両バルブ260、266を切り換えることにより、貯水タンク210内の水を散水ノズル208に送って散水し、回収手段212によって回収して貯水タンク210に戻す。このようにして水を循環させつつ、スチーム供給手段234および清水供給手段228のバルブ236、230を開放して、スチームや清水を貯水タンク210に供給して貯水タンク210内の水の温度調節を行う。貯水タンク210から送られて循環している水が貯水タンク210に流入した際に、貯水タンク210内の所定の水位を超えた場合には、オーバーフロー通路262からバッファタンク240に戻される。
【0033】
貯水タンク210内の水の温度が設定温度になった後、容器搬送コンベヤ106と供給コンベヤ14および排出コンベヤ16を運転し、容器4の供給を開始する。前記各実施例と同様に容器4を各散水ゾーンA、B、C、Dに順次移動させて、各散水ノズル218から散水を行うことにより熱処理を行う。すべての容器4の熱処理を終えた後、各コンベヤ206、14、16の運転を停止し、続いて、清水供給手段228およびスチーム供給手段234のバルブ230、236を閉じて温度調節を停止する。その後、送水ポンプ224を停止して水の循環を終了する。そして、貯水タンク210からの給液配管222に設けられた第1バルブ260と、バッファタンク240からの供給配管264に設けられた第2バルブ266を閉じる。この実施例では、運転の開始時にバッファタンク240から水を供給し、貯水タンク210内の水だけでは不足していた循環用の水を補給している。従って、循環を停止して、給水配管222や散水ノズル208内および散水ノズル208から散水されて空中にある水等が回収手段212で回収されて貯水タンク210に流入すると、貯水タンク210の容量を超えてしまうが、その余分な水はオーバーフロー通路262からバッファタンク240に戻り、バッファタンク240に次の運転に必要な補給用の水を貯留した状態に戻る。
【実施例4】
【0034】
図5は、第4の実施例に係る容器散水処理装置の要部(複数の散水ゾーンの一つ)を示す図である。容器搬送コンベヤ306、散水ノズル308、回収手段312、貯水タンク310、給水配管322と送水ポンプ324、温度調節機構としての清水供給手段328とスチーム供給手段334およびこれらの作動を制御する制御手段320等を備えている点は、前記第1実施例ないし第3実施例と同様であるので、相違する部分についてだけ説明し、同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
この実施例では、前記各実施例と同様に、各散水ゾーンA、B、C、Dに、散水ノズル308、たらい状の回収手段312および貯水タンク310が設けられ、貯水タンク310内の水を送水ポンプ324(以下メインポンプと呼ぶ)の作動により給水配管322を通って散水ノズル308に送り、容器搬送コンベヤ306上に散水する。散水された水は、回収手段312を介して貯水タンク310に戻って循環する。また、前記第3実施例と同様に、バッファタンク340が、貯水タンク310からオーバーフローした処理水が流入するように貯水タンク310よりも低い位置に設置されている。このバッファタンク340から貯水タンク310に水を補給する補給配管370が設けられており、この補給配管370に給水制御手段としてのポンプ372(以下サブポンプと呼ぶ)が設けられている。なお、362は、貯水タンク310からバッファタンク340へのオーバーフロー通路である。
【0036】
さらに、貯水タンク310には、スチーム供給配管332を介してスチーム供給手段334が接続され、バルブ336の開閉によって貯水タンク310内にスチームを供給するようになっている。また、清水供給配管326を介して清水供給手段328が接続され、バルブ330の開閉によって貯水タンク310内に清水を供給できるようになっている。貯水タンク310内の水温は温度センサ338によって常時検出されており、制御手段320が、この温度センサ338からの信号によって前記各バルブ330、336を開閉して貯水タンク310内に貯留されている水の温度を調節する。
【0037】
第4実施例の作動について説明する。先ず、メインポンプ324の運転を開始し、さらにサブポンプ372も運転を開始する。メインポンプ324は、貯水タンク310内の水を給水配管322を介して散水ノズル308に送り、散水ノズル308が貯水タンク310から送られた水を、停止している容器搬送コンベヤ306上に散水する。メインポンプ324の作動により貯水タンク310内の水を循環させるが、貯水タンク310の容量が送水ポンプ324から散水ノズル308を通って循環させる水量には不足しているので、サブポンプ372の作動によってバッファタンク340から貯水タンク310に水を補給する。バッファタンク340から補給した水を加えて、貯水タンク310から散水ノズル308を通って水を循環させる。このようにバッファタンク340から水を補給すると、バッファタンク340内の水位が低下するので、所定量まで水位が低下したときにサブポンプ372を停止する。
【0038】
前記のようにして処理水を循環させる状態になると、スチーム供給手段334および清水供給手段328のバルブ366、330を開放して、スチームや清水を貯水タンク310内に供給して、貯水タンク310内に貯留されている処理水の温度調節を行う。貯水タンク310から送られて循環している処理水が貯水タンク310に流入した際に、貯水タンク310内の所定の水位を超えた場合には、オーバーフロー通路362からバッファタンク340に戻される。
【0039】
貯水タンク310内の処理水の温度が設定温度になった後、容器搬送コンベヤ306と供給コンベヤ14および排出コンベヤ16の運転を開始し、函体2内に容器4を導入する。前記各実施例と同様に容器4を各散水ゾーンA、B、C、Dに順次移動させて、各散水ノズル308から散水を行うことにより熱処理を行う。すべての容器4の熱処理を終えた後、各コンベヤ306、14、16の運転を停止し、続いて、清水供給手段328およびスチーム供給手段334のバルブ330、336を閉じて温度調節を停止する。その後、メインポンプ324を停止して水の循環を終了する。この実施例では、運転の開始時にバッファタンク340から水を供給し、貯水タンク310内の水だけでは不足していた循環用の水を補給している。従って、循環を停止して、給水配管322や散水ノズル308内および散水ノズル308から散水されて空中にある水等が回収手段312で回収されて貯水タンク310に流入すると、貯水タンク310の容量を超えてしまうが、その余分な水はオーバーフローしてバッファタンク340に戻り、バッファタンク340は、次の運転に必要な補給用の水を貯留した状態に戻る。
【実施例5】
【0040】
図6は、第5の実施例に係る容器散水処理装置の要部(複数の散水ゾーンの一つ)を示す図である。この実施例も、容器搬送コンベヤ406、散水ノズル408、回収手段412、貯水タンク410、給水配管422と送水ポンプ424、温度調節機構としての清水供給手段428とスチーム供給手段434およびこれらの作動を制御する制御手段420等を備えている点は、前記第1実施例等と同様である。この実施例は、図2の第1実施例に対して、給水制御手段としてのバルブ18を省略し、回収手段412と貯水タンク410を一体化した点が異なっている。また、この実施例では、補給手段として第1実施例と同様に回収手段412を用いている。
【0041】
さらに、この実施例では、清水供給手段428とスチーム供給手段434を、それぞれバルブ430が設けられた清水供給配管426、バルブ436が設けられたスチーム供給配管432を介して、給水配管422に接続している。スチーム供給手段434から給水配管422へのスチームの供給部にはミキシングパイプ480を設けて配管径を大きくしている。また、スチーム供給手段434の接続部よりも下流側に温度センサ438を設けて給水配管422内の温度を検出している。なお、清水供給手段428とスチーム供給手段434は、前記各実施例と同様に、貯水タンク410に接続するようにしてもよい。また、貯水タンク410の周囲を覆うジャケットを設け、このジャケットの内部に蒸気または冷水を満たして、貯水タンク410自体を加熱、冷却することも可能である。
【0042】
前記構成の容器散水処理装置の作動について説明する。先ず、送水ポンプ424を作動させて貯水タンク410内の水を給水配管422を介して散水ノズル408に送る。送水ポンプ424の作動に伴って、回収手段412から貯水タンク410に自動的に水が補給される。送水ポンプ424から給水配管422を通って散水ノズル408に送られた水は、散水ノズル408から容器搬送コンベヤ406上に散水され、下方の回収手段412内に回収され、貯水タンク410内に流入する。図7は、この容器散水処理装置の作動時(散水時)の状態を示す図であり、給水配管422から散水ノズル408に流れている水や、散水ノズル408から放出されて空気中を飛散している水があるため、貯水タンク410内の水面482が低下している。このように散水する水を循環させながら、スチーム供給手段434および清水供給手段428からのスチームおよび清水の供給を制御して、給水配管422内を流れる水の温度調節を行う。
【0043】
前記のように散水する水を循環させながら給水配管422内を流れる水の温度の調節を行い、目標温度に到達したら、容器搬送コンベヤ406および供給コンベヤ14等の運転を開始し、この容器散水処理装置内に容器4を導入する。容器搬送コンベヤ406によって連続的に搬送されている容器4は、前記各実施例と同様に、各散水ゾーンを通過して各散水ノズル408から順次散水を受け加熱または冷却等の処理を受ける。各散水ゾーンでの処理が終わった容器4は、排出コンベヤ16に乗り移ってこの容器散水処理装置から排出される。
【0044】
全ての容器処理が終了してこの容器散水処理装置の運転を終了する際には、先ず、容器搬送コンベヤ406等の各コンベヤの駆動を停止する。続いて、各散水ゾーンの給水配管422に接続されている清水供給手段428からの清水の供給およびスチーム供給手段434からのスチームの供給を停止し、温度調節を終了する。その後、送水ポンプ424の作動を停止する。送水ポンプ422の運転を停止すると、循環していた水が回収手段412に回収されて貯水タンク410に戻り、図6に示す状態になる。この実施例でも、前記各実施例と同様の効果を奏することができる。
【0045】
この実施例では、貯水タンク410をより小型化することにより、貯水タンク410での水の滞留をなくし、タンク410内の清浄性を保つようにしている。従来のように大型のタンクで水を貯留するようにした場合には、水位が大きく変動することがなく水が滞留した状態になり、タンク内が徐々に汚染されてしまう。しかしながら、この実施例のように貯水タンク410の容量を必要最小限まで小さくすることにより、貯水タンク410内の流速を大きくして汚垢の沈着を防止し清浄状態を維持することができる。なお、貯水タンク410の必要最小限の水位は、ポンプ424がエアを吸引しない高さに設定される。また、水面の面積は、清浄化に必要な流速が生じるように設定される。水面の面積について、レイノルズ数が25,000を超えると、攪乱作用により洗浄効果が大きく向上することが知られているので、この実施例では、容器4を加熱し冷却するパストライザにおいて、レイノルズ数が25,000を超える流速として、毎分1m以上という流速を選定して、貯水タンク410における水面の面積を設定している。
【0046】
すなわち、パストライザにおいては、容器に散水する水量を120〜160L/min・mで設定しているが、この水量ではパストライザとして必要な散水面積において、毎分1m以上という流速を得ることはできない。つまり、必要な散水面積と同じ貯水タンクの水面の面積では、ほとんど水位が上下することはない。そこで、本実施例では、毎分1m以上の流速が得られるように、散水面積よりも小さな面積を求めて貯水タンク410の水面の面積、すなわち、貯水タンク410の開口面積として設定する。なお、この開口面積としては、パストライザの運転状態における水位の水面の面積が相当する。
【0047】
一例として、
Re=UL/v
Re:レイノルズ数
U:流速(m/s)
L:代表長さ(m)
v:動粘性係数(m/s)
Reは25,000として、Lとしては、パストライザにおいては1つの散水ゾーンの一辺の長さをあてるものとして、最小値の1mとする。また、vは散水する温度範囲のほぼ中間値の40℃の時の水の動粘性係数0.668×10−6とする。これらより、U=0.0167(m/s)が求められ、これを毎分に換算すると、毎分約1mとなる。
U=25,000×0.668×10(m/s)/1(m)
容器搬送方向の長さが2.1m、幅が8mの散水エリアで、水量を140L/min・mと設定した場合では、流量は、
140(L/min・m)×(2.1(m)×8(m))=2380L/min=0.04m/s
となる。
この流量に対して、流速U=0.0167(m/s)以上とする場合には、水面の面積Sは、
S=0.04(m/s)/0.0167(m/s)=2.4m
となる。
すなわち、散水エリアの面積2.1(m)×8(m)=16.8mに対し、貯水タンクの開口の面積は、2.4mとすることで、レイノルズ数が25,000以上となり貯水タンク内の清浄性が向上する。なお、この例は、前記各実施例のいずれにも応用することができる。
なお、貯水タンク410の水面482の位置は図7に示すものに限らず、回収手段412の底と同水準であったり、これよりもやや高く回収手段412にも貯水するよう構成してもよい。この場合でも、貯水タンク410内に必要な流速を得ることで清浄性を向上させることは可能である。また、貯水タンク410の径を送水ポンプ424を設けた給水配管422と同程度まで細くするよう構成することも可能で、この場合は送水ポンプ422の吸引口までを貯水タンク410として規定する。
【符号の説明】
【0048】
4 容器
6 搬送手段(容器搬送コンベヤ)
8 散水ノズル
10 貯水タンク
12 回収手段(補給手段)
20 制御手段
22 給水配管
24 送水ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送する搬送手段と、この搬送手段による容器搬送経路の上方に配置された散水ノズルと、前記搬送手段の下方に配置され、散水されて流下する使用後の処理水を受ける回収手段と、この回収手段で回収された処理水を収容する貯水タンクと、貯水タンクと散水ノズルを結ぶ給水配管と、貯水タンクから散水ノズルへ送水する送水ポンプとを備え、
前記貯水タンクの処理水を散水ノズルに送って容器に散水し、再び貯水タンクへ回収して、処理水を循環させて使用する容器散水処理装置において、
前記貯水タンクの収容量を、散水開始時の必要量よりも少ない収容量にするとともに、散水ノズルからの散水開始時に不足する処理水を補給する補給手段を設け、
散水開始時は貯水タンクの処理水を散水ノズルに供給するとともに、補給手段から貯水タンクに処理水を補給して散水ノズルから散水させ、処理終了時には貯水タンクと補給手段に処理水を収容させることを特徴とする容器散水処理装置。
【請求項2】
容器を搬送する搬送手段と、この搬送手段による容器搬送経路の上方に配置された散水ノズルと、前記搬送手段の下方に配置され、散水されて流下する使用後の処理水を受ける回収手段と、この回収手段で回収された処理水を収容する貯水タンクと、貯水タンクと散水ノズルを結ぶ給水配管と、貯水タンクから散水ノズルへ送水する送水ポンプを備え、
前記貯水タンクの処理水を散水ノズルに送って容器に散水し、再び貯水タンクへ回収して、処理水を循環させて使用する容器散水処理装置において、
前記貯水タンクの収容量を、散水開始時の必要量よりも少ない収容量にするとともに、散水ノズルからの散水開始時に不足する処理水を補給する補給手段を設け、
散水開始時には、先ず、補給手段から散水ノズルに処理水を供給した後、貯水タンクの処理水を散水ノズルに供給して散水させ、処理終了時には貯水タンクと補給手段に処理水を収容させることを特徴とする容器散水処理装置。
【請求項3】
前記回収手段が補給手段として散水開始時に不足する処理水を補給できるだけの処理水の収容量を備えていることを特徴とする請求項1に記載の容器散水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−131198(P2011−131198A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295699(P2009−295699)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(393028357)シブヤマシナリー株式会社 (77)
【Fターム(参考)】