説明

寸法測定方法

【課題】測定対象が入射する波長の長さに近づくにつれて、測定誤差や再現率、リニアリティーが低下しない寸法測定装置を提供する。
【解決手段】 画像処理において、予め作成しておいた、校正用スライステーブル及び計算式により、一度計測した測定値から、新たなスライスレベルを参照することで、測定誤差や再現率、リニアリティーが改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置によって被測定物を撮像し、撮像された画像を画像処理して検査や測定をする寸法測定装置に測定方法に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡と 撮像装置等の二次元イメージセンサを利用して、半導体ウェハやガラス基板上に形成された配線パターンや電極パターン等の膜の線幅や間隔の寸法を測定する寸法測定装置が従来から使用されている。
従来の寸法測定装置の簡単な構成を図3によって説明する。図3は従来の寸法測定装置の概略的な構造を示す図である。
寸法測定装置は、例えば、液晶ディスプレイの TFT( Thin Film Transistor )や半導体のマスクのパターン幅やパターン間隔などの測定を行う装置である。301 は被測定物を載置し XY 軸方向に移動する XY ステージ、303 は顕微鏡、304 は撮像装置、305 は光源、306 は制御用 PC( Personal Computer )、307 はモニタ、302 は XY ステージ 301 または顕微鏡 303 を高さ( Z 軸)方向に移動する Z 軸移動機構、308 は XY ステージ 301 ,Z 軸移動機構 302 ,顕微鏡 303 ,撮像装置 304 ,等のベースである。撮像装置 304 は、例えば、テレビジョンカメラである。
図3に示すように、通常、寸法測定装置は、被測定物を載せる XY ステージ 301 、Z 移動機構 302 、撮像装置 304 、光源 305 、顕微鏡 303 、制御用 PC 306 、モニタ 307 、ベース 308 で構成される。
【0003】
図3において、制御用 PC 306 は XY ステージ 301 、Z 移動機構 302 、撮像装置 304 、光源 305 、顕微鏡 303 、等を制御している。
光源 305 から出力された光は、例えば顕微鏡 303 の光軸に沿って被測定物に照射され、反射光が顕微鏡 303 に入射する。顕微鏡 303 に入射した入射光は撮像装置 304 に入射する。こうして、顕微鏡 303 により拡大された被測定物の画像は、撮像装置 304 により、電気信号に変換され、制御用 PC 306 を介してモニタ 307 に表示される。
【0004】
制御用 PC 306 は、撮像装置 304 から入力されたデジタル化された映像信号に画像処理を行うことで、半導体マスクなどに形成されたパターンの幅や間隔を測定する。測定した結果は、自身または寸法測定装置内の記憶部に記憶し、また、例えば、モニタ 307 上に所定の形式に従って表示する(特許文献1参照。)。
【0005】
従来の寸法測定装置における画像処理を図4によって説明する。図4は、従来の図3の制御用 PC 306 が実行する画像処理の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0006】
図4において、測定位置指定ステップ 1 では、モニタ 307 上でのユーザの操作で、被測定物の測定位置を決定する。被測定物の測定位置は、モニタ 307 に表示された被測定物の画像を見ながら、ユーザが画面上で GUI( Graphical User Interface )操作することで決定される。勿論、予め記憶されたレシピをユーザが指定しても良い。尚、図3では、ユーザが GUI 操作を行うユーザインタフェースは図示していない。
次に、スライスレベル入力ステップ 2 では、モニタ 307 にユーザ入力画面を表示し、ユーザの指定により、二値化に必要となる閾値(以降、スライスレベルと称する)TH を決定する。
【0007】
次に AF ステップ 3 では、寸法測定装置の Z 移動機構 302 を制御し、顕微鏡 303 または XY ステージ 302 を上下させて、得られた画像の輝度値を基に、フォーカス位置を設定し、決定したフォーカス位置とする。
次に、画像データ読出しステップ 4 では、被測定物の測定位置領域の画像をデジタル化して読出す。
次に、前処理ステップ 5 では、読出された画像データのノイズ成分などの低減や除去を行い、二値化するための画像データを生成する。
【0008】
次に、二値化処理ステップでは、画像データの二値化を行い、二値化画像を生成する。二値化とは、画像の輝度値を所定のスライスレベル(閾値)TH で“ 0 ”と“ 1 ”の2つの値に分離することである。
次に、エッジ検出ステップ 7 では、二値化により、2つに分離された領域から、パターンなどのエッジを検出し、検出したエッジ位置データ生成する。
次に、測定ステップ 8 では、検出された複数のエッジ位置を組合せて計算し、パターンの線幅や間隔を測定する。
次に、表示ステップ 9 では、モニタ 307 に測定結果等を表示する。
尚、測定結果と画像は、別途、寸法測定装置内または外部の記憶部に記憶しても良い。
【0009】
【特許文献1】特開2003−279318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の従来技術では、測定するパターンの線幅や間隔が微小になると、光学的な限界に近づくため、特に入射する光の波長に近い線幅になると、誤差精度、再現率、リニアリティー等が極端に低下する欠点があった。
本発明の目的は、上記のような欠点を除去し、誤差精度、再現率、リニアリティー等が低下しない寸法測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の一側面の寸法測定方法は、計測前に既知のマスクのパターンを利用して、校正用のスライスレベルテーブルを作成する機能を有し、実際の計測時には一旦、あるスライスレベル(閾値)で被写体を計測し、その計測値から、校正用のスライスレベルテーブルを参照し、新たな校正されたスライスレベルを決定して、再度計測する機能を有する。
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の一側面の寸法測定方法は、被測定物の画像を取得し、画像の所定部分領域の輝度レベルについて所定の閾値で二値化処理し、二値化処理後エッジ検出して被測定物の所定箇所の寸法を測定する寸法測定装置の寸法測定方法であって、予め二値化に使用する第2の閾値を決定するためのテーブルを作成し、所定の初期閾値によって二値化処理して第1の寸法を測定し、測定された第1の寸法に該当する第2の閾値を上記テーブルから参照し、参照した第2の閾値によって二値化処理して第2の寸法を測定し、第2の寸法を被測定物の所定箇所の寸法とするものである。
【0013】
また、本発明の一側面の寸法測定方法は、予め寸法が既知でそれぞれ異なる寸法の複数のサンプルを用意し、複数のサンプルについて、所定の閾値で二値化処理して第3の寸法を測定し、第3の寸法と既知の寸法とを比較し、第3の寸法と既知の寸法との差が、所定の第1の値より小さい場合には閾値を減少して二値化処理して第3の寸法を測定し、第3の寸法と既知の寸法との差が、所定の第2の値より大きい場合には閾値を増加して二値化処理して第3の寸法を測定し、第3の寸法と既知の寸法との差が、第2の値より小さく第1の値より大きい場合には、その測定寸法を得たときの閾値と所定の初期閾値二値化処理して測定した寸法とを関連付けして記憶することによって、校正用のテーブルを作成するものである。
【0014】
また、本発明の一側面の寸法測定方法は、予め寸法が既知でそれぞれ異なる寸法の複数のサンプルを用意し、複数のサンプルについて、所定の初期閾値で二値化処理して第3の寸法を測定し、第3の寸法と既知の寸法とを比較し、第3の寸法と既知の寸法との差が、所定の第1の値より小さい場合には閾値を増加して二値化処理して第3の寸法を測定し、第3の寸法と既知の寸法との差が、所定の第2の値より大きい場合には閾値を減少して二値化処理して第3の寸法を測定し、第3の寸法と既知の寸法との差が、第2の値より小さく第1の値より大きい場合には、その測定寸法を得たときの閾値と所定の初期閾値で二値化処理して測定した寸法とを関連付けして記憶することによって、校正用のテーブルを作成するものである。
【0015】
また、本発明の一側面の寸法測定方法は、被測定物の画像を取得し、画像の所定部分領域を輝度レベルについて所定の閾値で二値化処理し、二値化処理後エッジ検出して被測定物の所定箇所の寸法を測定する寸法測定装置の寸法測定方法であって、所定の初期閾値によって二値化処理して第1の寸法を測定し、予め第1の寸法の値に応じて第2の閾値を関連付けるテーブルを用意し、測定された第1の寸法に該当する閾値を上記テーブルから参照し、参照した第2の閾値によって二値化処理して第2の寸法を測定し、第2の寸法を被測定物の所定箇所の寸法とするものである。
【0016】
また、本発明の一側面の寸法測定方法は、被測定物の画像を取得し、画像の所定部分領域の輝度レベルを検出し、検出された輝度レベルの最大値と最小値との輝度差を算出し、輝度差について所定の閾値で二値化処理し、二値化処理後エッジ検出して被測定物の所定箇所の寸法を測定する寸法測定装置の寸法測定方法であって、テーブルに輝度差の大きさに応じて第2の閾値と関連付け、第2の閾値を輝度差の大きさに該当するテーブルから参照し、参照した第2の閾値によって二値化処理して寸法を測定し、寸法を被測定物の所定箇所の寸法とするものである。
また好ましくは、予め所定の初期閾値の大きさに応じて、輝度値、校正用閾値、初期閾値による寸法の三次元テーブルを有し、任意の初期閾値における寸法を上記被測定物の所定箇所の寸法とするものである。
【0017】
また、本発明の一側面の寸法測定方法は、被測定物の画像を取得し、画像の所定部分領域を輝度レベルについて所定の閾値で二値化処理し、二値化処理後エッジ検出して被測定物の所定箇所の寸法を測定する寸法測定装置の寸法測定方法であって、所定の初期閾値によって二値化処理して第1の寸法を測定し、予め第1の寸法の値に応じて第2の閾値を関連付けるテーブルを用意し、輝度差の大きさに該当する第2の閾値をテーブルから参照し、参照した第2の閾値によって二値化処理して第2の寸法を測定し、第2の寸法を被測定物の所定箇所の寸法とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被測定物の誤差精度や再現率、リニアリティーなどが改善する。特に、入射する光の波長に近い線幅の被測定物に対して、誤差精度や再現率、リニアリティーなどが改善する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の寸法測定方法の実施形態は、例えば、図3に示した寸法測定装置を用い、例えば、主として制御用 PC 306 の制御によって、被測定物の寸法を測定を以下の手順で実行する。
(1)スライスレベル(閾値)初期値で二値化を行い、エッジ検出した位置で測定を行う。
(2)校正用スライステーブルを参照し、測定された寸法値に対応するスライスレベル(閾値)を抽出する。
(3)抽出されたスライスレベルで二値化を行い、エッジ検出した位置で測定した値を正しい寸法とする。
【0020】
本発明の校正用スライステーブルの作成は、例えば、以下のようにして作成する。ただし、被測定物の背景が暗く、測定対象パターンが明るい(例えば、基材部が暗部となり、測定パターンが明部となる画像)場合の例である。
即ち、寸法が既知の複数のパターンを用い、所定のスライスレベル(スライスレベル初期値)で二値化処理を行って、エッジ検出した位置を測定する。そして、測定値がそのパターンの既知の値(真値)より小さい場合は、スライスレベルを減少させ、真値より大きい場合にはスライスレベルを増加させる。次に、変更したスライスレベルによって二値化を行い、エッジ検出した位置を測定する。これを測定値と真値とがほぼ等しくなるまで、繰返し実行し、真値と測定値が等しくなった時のスライスレベルを、そのスライスレベル初期値で二値化処理して得た測定値と関連付ける。
同様の処理をそれぞれのパターンごとに実行し、複数の測定値(スライスレベル初期値で二値化処理して得た測定値)に対応するスライスレベルのテーブル(校正用スライステーブル)を作成する。
【0021】
もし、被測定物の背景が明るく、測定対象パターンが暗い(例えば、基材部が明部となり、測定パターンが暗部となる画像)場合には、スライスレベルの変更は、測定値がそのパターンの既知の値(真値)より小さい場合は、スライスレベルを増加させ、真値より大きい場合にはスライスレベルを減少させる。
以下の例では、被測定物の背景が暗く、測定対象パターンが明るい(例えば、基材部が暗部となり、測定パターンが明部となる画像)場合で説明する。
【0022】
本発明の校正用スライステーブルの作成の一実施例を図2によって説明する。図2は、本発明の一実施例の校正用のスライスレベルテーブルを作成する処理動作の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、処理動作を始める前にユーザは、線幅の異なる L 個の既知のパターンを有する被測定物を寸法測定装置の XY ステージ 301 に載置する。
図2において、初期値入力ステップ 201 では、スライスレベル初期値 TH0 、パターンの数 L 、及び、差分の最小値 a と最大値 b をユーザが入力し、制御用 PC 306 は入力された値に基づいて、スライスレベル初期値 TH0 、測定数(測定数)L 、及び差分の最小値 a と最大値 b を設定し、他のパラメータをリセットする。例えば、カウント数 N をゼロ( N = 0 )とする。
尚、予め記憶されたレシピをユーザが指定しても良い。スライスレベル初期値は、例えば、50 %に設定される。50 %のスライスレベルとは、測定対象画像領域中の輝度レベルの最小値を 0 %、最大値を 100 %としたときの中間の輝度値である。
【0023】
次に、測定位置指定ステップ 202 では、例えば、GUI 操作によって、線幅が既知の測定位置を指定する。既知の被測定物の測定位置は、モニタ 307 に表示された被測定物の画像を見ながら、ユーザが画面上で GUI( Graphical User Interface )操作することで決定される。尚、予め記憶されたレシピをユーザが指定しても良い。
また、既知のパターンは同一の被測定物中に存在する必要はない。
【0024】
真値入力ステップ 203 では、モニタ 307 に既知の測定位置のパターンの線幅の真値 ms を入力する画面をモニタ 307 に表示し、ユーザの入力によって真値 ms を設定する。
尚、予め記憶されたレシピをユーザが指定しても良い。
また、差分の最小値 a と最大値 b を各パターン毎に設定するようにしても良い。
【0025】
次に、図4のステップ 3 から ステップ 5 を実行し、既知の被測定物の測定位置領域の画像データ(ノイズ成分などの低減や除去を行った二値化するための画像データ)を生成する。
次に、二値化処理ステップ 6 では、スライスレベルの初期値 TH0 を使って画像データの二値化を行い、二値化画像を生成する。
次に、ステップ 7 とステップ 8 を実行し、被測定物の既知のパターンの線幅を測定し測定値を算出する。
【0026】
次に、差分ステップ 204 では、真値 ms と測定値 mm との差 m を算出する。
m = ms − mm
次に、差分判定ステップ 205 では、差 m と差分の最小値 a と最大値 b との比較を行い、m < a ならステップ 206 に進み、b < m ならステップ 207 に進む。また、a ≦ m ≦ b ならステップ 211 に進む。
【0027】
スライスレベル減少ステップ 206 では、スライスレベル TH を所定値 ta 減少( TH = TH − ta )させ、ステップ 208 に進む(ただし、最初のスライスレベルは、TH = TH0 である。)。
スライスレベル増加ステップ 207 では、スライスレベル TH を所定値 tb 増加( TH = TH + tb )させ、ステップ 208 に進む(ただし、最初のスライスレベルは、TH = TH0 である。)。
二値化処理ステップ 208 では、増加または減少して更新されたスライスレベル TH を使って、画像データに再度二値化処理を施し、ステップ 8 に戻り、差分判定ステップ 205 で a ≦ m ≦ b と判定されるまで処理を繰り返す。
尚、減少させる所定値 ta 及び増加させる所定値 tb は、予め定めておく。また減少させる所定値 ta 及び増加させる所定値 tb は、同じでなくても良いし、一定でなくても良い。
【0028】
データ保存ステップ 211 では、二値化処理ステップ 208 でのスライスレベル TH を校正用のスライスレベル TH とし、スライスレベルの初期値 TH0 で測定した測定値 mm と関連付けして保存する。
次に、カウントアップステップ 212 では、カウンタのカウント数 N を 1 増加( N = N + 1 )する。
次に、カウント判定ステップ 213 では、線幅の測定を行う回数 L とカウント数 N を比較し、N ≠ L ならステップ 202 に戻り、N = L ならステップ 214 に進む。ステップ 202 では、別のパターンの位置を指定する。
【0029】
スライステーブル作成ステップ 214 では、保存されたそれぞれのデータ(校正用のスライスレベル TH と、スライスレベルの初期値 TH0 で測定した測定値 mm )でスライステーブルを作成し、処理を終了する。
図5は、作成したスライステーブルの一例を示す図である。横軸がスライスレベルの初期値 TH0 で測定した測定値 mm 、縦軸が校正用のスライスレベル TH である。
【0030】
図5に示すように、スライステーブルは、スライスレベルの初期値における線幅と校正用のスライスレベルを組みとしたテーブルである。
スライステーブル作成ステップ 214 では、ユーザが指定した測定数分のスライスレベルの初期値における測定値と校正用のスライスレベルの組から、直線補間や曲線補間を用いてスライスレベルの初期値における線幅と校正用のスライスレベルの組を推測して、スライスレベルテーブルを作成する。
【0031】
校正用スライステーブルの作成は、図3のような反射型の入射光像を撮像して得られた画像による他、透過型の顕微鏡を使って、透過型の入射光像を撮像して得られた画像について実行しても良く、反射光と透過光の合成した像によって得られる画像であっても良い。これらの選択は、被測定物及びパターンの種類によって行う。
また、校正用スライステーブルを作成する際の既知の寸法を有するパターンは、該当する測定装置が最も確実に動作する条件のサンプルが望ましく。できるだけ理想的な測定が可能な被測定物を選ぶのが良い。
【0032】
次に、実際の計測を行う場合、一旦、スライスレベルの初期値で測定した後、この測定結果から、校正用のスライスレベルを参照して、測定する処理の流れとなる。
本発明の一実施例を図1によって説明する。図1は、本発明の画像処理の一実施例の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図1は、本発明の寸法測定方法の一実施例で、被測定物の寸法測定を開始する前に、被測定物のパターン幅の異なる複数の既知の線幅を測定して校正用のスライスレベルテーブルを作成し、作成された校正用のスライステーブルを用いて被測定物の測定を実施する例を示すフローチャートである。図2によって説明したように校正用のスライスレベルテーブルは、所定のスライスレベルの測定値から、校正用の新たなスライスレベルが参照可能なテーブルである。
【0033】
図1において、校正用スライステーブル作成ステップ 101 では、例えば図2の処理を行い、校正用スライステーブルを作成する。
次に、ユーザは、寸法測定装置の XY ステージに測定目的の被測定物を載置して、測定を開始する。このとき、スライスレベルは、校正用スライステーブル作成時のスライスレベルの初期値(例えば、50 %)に設定する。
次に、寸法測定(1)ステップ 102 では、図4で説明したステップ 1 〜ステップ 8 を実行し、パターンの線幅や間隔を測定する。
【0034】
テーブル参照ステップ 103 では、校正用スライステーブルを参照し、ステップ 8 で測定した値に相当する寸法値の時のスライスレベルを校正用スライスレベルとして抽出する。
次に、寸法測定(2)ステップ 104 では、校正用スライスレベルをスライスレベルとして、図4の二値化処理ステップ 6 〜測定ステップ 8 を実行し、校正用スライスレベルによって二値化処理し、エッジ検出した位置に基づいて寸法測定を行う。この二値化処理ステップ 6 では寸法測定(1)ステップ 102 と同じ画像データを処理している。
次に、出力ステップ 105 では、測定結果をモニタ 307 に出力し、モニタ 307 は測定値を表示する。
このとき、モニタ 307 には、測定値の他に測定箇所の画像や、その画像中に測定箇所を示す図形(例えば、矢印や直線)を同時に表示しても良い。
【0035】
上述の実施例では、校正用スライスレベルテーブルを寸法が既知の複数のパターンを実際に測定しながら、真値とほぼ等しくなる時のスライスレベルを求めることによって行っている。
しかし、上述の方法以外にも、例えば、測定対象画像領域中の輝度レベルの最小値と最大値の差を算出し、所定の近似曲線を作成し、校正用テーブルとしても良い。即ち、輝度レベルの最小値と最大値の差が小さい時は、小さなスライスレベルで二値化を行い、輝度レベルの最小値と最大値の差が大きい時は、大きなスライスレベルで二値化を行うことでも良い。
また、校正用スライスレベルテーブルの他の作成方法として、線幅が大のときには、スライスレベルを大きくし、線幅が小のときにはスライスレベルを小さくしていく方法でも良い。
また、近似曲線は、被測定対象物の種類や測定方法で経験的に決定する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の画像処理の一実施例の処理動作例を示すフローチャート。
【図2】本発明の画像処理の一実施例の処理動作例を示すフローチャート。
【図3】従来の寸法測定装置の概略的な構造を示す図。
【図4】従来の画像処理の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の校正用スライステーブルの一実施例を示す図。
【符号の説明】
【0037】
301:XY ステージ、 302:Z 軸移動機構、 303:顕微鏡、 304:撮像装置、 305:光源、 306:制御用 PC 、 307:モニタ、 308:ベース。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の画像を取得し、該画像の所定部分領域の輝度レベルについて所定の閾値で二値化処理し、二値化処理後エッジ検出して該被測定物の所定箇所の寸法を測定する寸法測定方法であって、
予め二値化に使用する第2の閾値を決定するためのテーブルを作成し、
所定の初期閾値によって二値化処理して第1の寸法を測定し、
該測定された第1の寸法に該当する第2の閾値を上記テーブルから参照し、
該参照した第2の閾値によって二値化処理して第2の寸法を測定し、
該第2の寸法を上記被測定物の所定箇所の寸法とすることを特徴とする寸法測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の寸法測定方法において、
予め寸法が既知でそれぞれ異なる寸法の複数のサンプルを用意し、
該複数のサンプルについて、所定の初期閾値で二値化処理して第3の寸法を測定し、
該第3の寸法と既知の寸法とを比較し、
該第3の寸法と既知の寸法との差が、所定の第1の値より小さい場合には上記閾値を減少して二値化処理して上記第3の寸法を測定し、
該第3の寸法と既知の寸法との差が、所定の第2の値より大きい場合には上記閾値を増加して二値化処理して上記第3の寸法を測定し、
該第3の寸法と上記既知の寸法との差が、該第2の値より小さく上記第1の値より大きい場合には、その測定寸法を得たときの閾値と上記所定の初期閾値で二値化処理して測定した寸法とを関連付けして記憶することによって、上記校正用のテーブルを作成することを特徴とする寸法測定方法。
【請求項3】
請求項1記載の寸法測定方法において、
予め寸法が既知でそれぞれ異なる寸法の複数のサンプルを用意し、
該複数のサンプルについて、所定の閾値で二値化処理して第3の寸法を測定し、
該第3の寸法と既知の寸法とを比較し、
該第3の寸法と既知の寸法との差が、所定の第1の値より小さい場合には上記閾値を増加して二値化処理して上記第3の寸法を測定し、
該第3の寸法と既知の寸法との差が、所定の第2の値より大きい場合には上記閾値を減少して二値化処理して上記第3の寸法を測定し、
該第3の寸法と上記既知の寸法との差が、該第2の値より小さく上記第1の値より大きい場合には、その測定寸法を得たときの閾値と上記所定の初期閾値で二値化処理して測定した寸法とを関連付けして記憶することによって、上記校正用のテーブルを作成することを特徴とする寸法測定方法。
【請求項4】
被測定物の画像を取得し、該画像の所定部分領域を輝度レベルについて所定の閾値で二値化処理し、二値化処理後エッジ検出して該被測定物の所定箇所の寸法を測定する寸法測定装置の寸法測定方法であって、
所定の初期閾値によって二値化処理して第1の寸法を測定し、
予め該第1の寸法の値に応じて第2の閾値を関連付けるテーブルを用意し、
該測定された第1の寸法に該当する閾値を上記テーブルから参照し、
該参照した第2の閾値によって二値化処理して第2の寸法を測定し、
該第2の寸法を上記被測定物の所定箇所の寸法とすることを特徴とする寸法測定方法。
【請求項5】
請求項2または請求項3のいずれかに記載の寸法測定方法において、
被測定物の画像を取得し、該画像の所定部分領域の輝度レベルを検出し、該検出された輝度レベルの最大値と最小値との輝度差を算出し、該輝度差について所定の閾値で二値化処理し、二値化処理後エッジ検出して該被測定物の所定箇所の寸法を測定する寸法測定装置の寸法測定方法であって、
上記テーブルに上記輝度差の大きさに応じて第2の閾値と関連付け、
第2の閾値を上記輝度差の大きさに該当する上記テーブルから参照し、
該参照した第2の閾値によって二値化処理して寸法を測定し、
該寸法を上記被測定物の所定箇所の寸法とすることを特徴とする寸法測定方法。
【請求項6】
請求項5記載の寸法測定方法において、
予め所定の初期閾値の大きさに応じて、輝度値、校正用閾値、初期閾値による寸法の三次元テーブルを有し、任意の初期閾値における寸法を上記被測定物の所定箇所の寸法とすることを特徴とする寸法測定方法。
【請求項7】
被測定物の画像を取得し、該画像の所定部分領域を輝度レベルについて所定の閾値で二値化処理し、二値化処理後エッジ検出して該被測定物の所定箇所の寸法を測定する寸法測定装置の寸法測定方法であって、
所定の初期閾値によって二値化処理して第1の寸法を測定し、
予め該第1の寸法の値に応じて第2の閾値を関連付けるテーブルを用意し、
上記輝度差の大きさに該当する第2の閾値を上記テーブルから参照し、
該参照した第2の閾値によって二値化処理して第2の寸法を測定し、
該第2の寸法を上記被測定物の所定箇所の寸法とすることを特徴とする寸法測定装置の寸法測定方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−30029(P2006−30029A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210667(P2004−210667)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】