説明

寸法測定装置

【課題】複雑な外形を有する多様な被測定物の寸法を非接触で測定できる寸法測定装置を提供する。
【解決手段】寸法測定装置は、フレームに支持されて被測定物の反対側に配置された第1の非接触式距離測定センサと第2の非接触式距離測定センサとを少なくとも有する測定部を有する。測定部は、複数の平行な第1測定線における複数の第1物体位置までの複数の第1間隔距離と、複数の平行な第2測定線における複数の第2物体位置までの複数の第2間隔距離とを測定する。距離演算部は、第1および第2間隔距離に基づいて複数の候補物体長を演算する。各候補物体長は、第1物体位置のひとつと第2物体位置のひとつとの間の距離である。最大値選択部は、複数の候補物体長のなかから最大物体長を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の寸法を測定する寸法測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体の寸法を簡便に測定するためにメジャーやノギスのような接触型の測定器が利用されている。しかし、被測定物が変形し得る場合、接触型の測定器は被測定物の変形を引き起こす場合があり、これによって測定の誤差が発生し得る。被測定物に作用する力の大きさに応じて変形量は変化し、そのような測定の誤差を補償することは困難である。
【0003】
光学変位センサのような非接触型の距離測定器を備えた測定装置が産業上で利用されている。例えば、特開平9−273912号公報(1997年公開)および特開2004−294368号公報(2004年公開)の各々は、工場の生産ラインにて使用できる厚さ測定装置を開示する。この厚さ測定装置は、シート状の素材の移送経路の途中に配置されて間隔をあけた一対の光学変位センサを有する。シート状または板状の素材は1個ずつセンサの間隙を通過し、各センサは、当該センサ自身と現に移動している素材との間の距離を測定する。センサによる測定に基づいて素材の厚さが特定される。同様の装置が、非特許文献1に開示されている。しかし、これらの従来の非接触型の測定装置は、厚さが一様である単純な外形の被測定物のみを測定するために設計されていた。
【特許文献1】特開平9−273912号公報
【特許文献2】特開2004−294368号公報
【非特許文献1】ニッテツ北海道制御システム株式会社、"製品紹介"、電子検査機器・レーザ厚み計(Cフレーム)、[online]、インターネット<URL:http://www.ncsfox.co.jp/product/dn/laser_c.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、複雑な外形を有する多様な被測定物の寸法を非接触で測定できる寸法測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のひとつの態様によれば、フレームと測定部と距離演算部と最大値選択部とを具備する寸法測定装置が提供される。前記フレームは、被測定物の周囲に配置可能であり、前記測定部は、前記フレームに支持された少なくとも一対の非接触式距離測定センサを有し、前記一対の非接触式距離測定センサは、第1の非接触式距離測定センサと第2の非接触式距離測定センサとを有し、前記各センサは、光を出射し、前記被測定物からの反射光を受け、当該センサから前記被測定物までの距離に応じた信号を生成し、前記第1および第2のセンサは、前記フレームの内側にある前記被測定物を挟んで反対側に配置され、前記第1のセンサは、当該第1のセンサと第1測定線における前記被測定物上の第1物体位置との間の第1間隔距離を測定し、前記第2のセンサは、当該第2のセンサと、前記第1測定線と同一または平行な第2測定線における前記被測定物上の第2物体位置との間の第2間隔距離を測定し、前記測定部は、複数の平行な第1測定線上における複数の第1物体位置までの複数の第1間隔距離と、前記複数の第1測定線と同じ平面内にある複数の平行な第2測定線上における複数の第2物体位置までの複数の第2間隔距離とを測定し、前記距離演算部は、前記複数の第1および第2の間隔距離に基づいて複数の候補物体長を演算し、各候補物体長は、前記第1物体位置のひとつと前記第2物体位置のひとつとの間の距離であり、前記最大値選択部は、前記複数の候補物体長のなかから最大物体長を選択する。この構成によれば、寸法測定装置は、複雑な外形を有する不均一な測定されるべき物体の寸法を、測定されるべき物体を変形させずに非接触で測定することができる。
【0006】
この明細書および特許請求の範囲において、「物体長」や「被測定物の長さ」という文言は、通常は被測定物の「幅」「横幅」「奥行き」「厚さ」または「高さ」と呼ばれるかも知れないが、何れにせよ被測定物の大きさを意味する。換言すると、「物体長」や「被測定物の長さ」という文言は、前述の言葉のなかの何れかひとつを表わす。
【0007】
この寸法測定装置は、前記第1および第2の非接触式距離測定センサをフレームに対してそれぞれ移動させる移動機構部をさらに具備してもよく、前記第1のセンサは、複数の平行な第1測定線上における複数の第1物体位置までの複数の第1間隔距離を測定し、前記各第1間隔距離は、前記第1のセンサのセンサ位置と前記被測定物上の第1物体位置との間の距離であり、前記第2のセンサは、複数の平行な第2測定線上における複数の第2物体位置までの複数の第2間隔距離を測定し、前記各第2間隔距離は、前記第2のセンサのセンサ位置と前記被測定物の第2物体位置との間の距離である。この形態においては、ひとつのセンサが複数の間隔距離を測定することができる。
【0008】
この寸法測定装置は、前記第1および第2の非接触式距離測定センサの少なくとも一方が当該センサの移動の限界に到達したか否かを判定する限界検出部と、前記センサが前記限界に到達したことを前記限界検出部が検出すると、当該センサによる前記間隔距離の測定を停止させる測定終止部とをさらに具備してもよい。この形態においては、センサが移動の限界に到達したときに間隔距離の測定を終止させることができる。
【0009】
別の形態において、前記一対の非接触式距離測定センサは、前記第1のセンサによって前記第1間隔距離が測定される前記第1測定線が、前記第2のセンサによって前記第2間隔距離が測定される前記第2測定線と同一となるように、前記フレームに固定的に支持されてもよい。この形態においては、センサがフレームに固定されるから、装置を容易に製造できる。センサはフレームに固定されるが、フレームを移動させることでそれらは被測定物に対して移動させられ、これによって各センサは複数の間隔距離を測定できる。
【0010】
フレームの移動を容易にするために、寸法測定装置は、前記被測定物に対する前記フレームの移動を案内する少なくともひとつのガイド部をさらに具備してもよい。
【0011】
寸法測定装置は、前記第1および第2の非接触式距離測定センサの少なくとも一方が前記被測定物の端部に到達したか否かを判定する端部検出部と、前記センサが前記被測定物の前記端部に到達したことを前記端部検出部が検出すると、当該センサによる前記間隔距離の測定を停止させる測定終止部とをさらに具備してもよい。この形態においては、センサが被測定物の端部に到達したときに間隔距離の測定を終止させることができる。
【0012】
さらに好適には、前記端部検出部は、閾値を上回る第1または第2間隔距離をセンサが測定した場合に、前記センサが前記被測定物の前記端部に到達したと判定する。この形態においては、被測定物の端部を容易に検出することができる。
【0013】
この寸法測定装置は、前記第1および第2のセンサの始動および停止を操作者が指示する操作部と、操作者が前記第1および前記第2のセンサの始動を指示した場合に、前記第1および第2のセンサによる前記第1および第2間隔距離の測定を開始させる測定開始部と、操作者が前記第1および第2のセンサの停止を指示した場合に、前記第1および第2のセンサによる前記第1および第2間隔距離の測定を停止させる測定終止部とをさらに具備してもよい。この形態においては、間隔距離の測定を簡便な方法によって手動で開始または終止させることができる。
【0014】
ひとつの形態において、前記測定部は、複数対の非接触式距離測定センサを具備し、前記各対は、前記フレームに固定的に支持された第1および第2の非接触式距離測定センサを具備し、前記第1のセンサの各々は、当該第1のセンサと、第1測定線における前記被測定物上の第1物体位置との間の第1間隔距離を測定し、前記第2のセンサの各々は、当該第2のセンサと、前記第1の測定線に平行または同一の第2測定線における前記被測定物上の第2物体位置との間の第2間隔距離を測定してもよい。この形態においては、センサがフレームに固定されるから、装置を容易に製造することができる。
【0015】
より好適には、前記フレームは、1辺が開いた形状であり、前記フレームは、一対の脚部と前記一対の脚部を連結する連結部とを有し、前記第1および第2の非接触式距離測定センサは前記脚部にそれぞれ支持される。フレームの1辺が開いているから、様々な被測定物の周囲に装置を容易に配置することができる。この特徴は、例えば寝たきりの老人や身障者を測定する場合に特に有利である。
【0016】
ひとつの形態において、前記第1のセンサによって前記第1間隔距離が測定される第1測定線は、前記第2のセンサによって前記第2間隔距離が測定される第2測定線と平行であって同一ではなく、
前記距離演算部は、前記第1および第2測定線に平行な方向における前記第1および第2物体位置の間の平行物体長を前記第1および第2間隔距離に基づいて演算し、前記平行物体長と、前記第1および第2測定線に垂直な方向における前記第1および第2物体位置の間の垂直物体長とに基づいて、前記候補物体長のひとつを演算する。この形態において、第1測定線は第2測定線と同じ直線上に配列しないが、距離演算部は、平行物体長または垂直物体長に基づいて候補物体長を演算することができる。この形態は、第1および第2のセンサの一方が固定されて他方が移動させられ、固定の物体位置と可変の物体位置との間の複数の候補物体長が演算されるように使用されてもよい。この形態はまた、第1物体位置と複数の第2物体位置との間の複数の候補物体長が第1間隔距離と複数の第2間隔距離とに基づいて演算され、この演算が他の第1間隔距離についても繰り返されるように使用されてもよい。
【0017】
別の形態において、寸法測定装置は、前記フレームに対する第1および第2の非接触式距離測定センサの間の直線の角度を、第1方向における前記第1および第2のセンサの間の距離と、前記第1方向に垂直な第2方向における前記第1および第2のセンサの間の距離とに基づいて演算する角度演算部と、前記第1のセンサによって前記第1間隔距離が測定される前記第1測定線が、前記第2のセンサによって前記第2間隔距離が測定される前記第2測定線と同一となるように、前記角度に基づいて前記第1および第2のセンサの測定線の角度を各々が調節する複数のセンサ角度調節部とを具備してもよい。この形態においては、第1および第2間隔距離の方向を揃えるために第1および第2センサの各々の角度をセンサ角度調節部が調節するから、距離演算部は、第1および第2のセンサの間の同じ直線上における第1および第2物体位置の間の候補物体長を正確に演算することができる。
【0018】
寸法測定装置は、フレームのサイズの調節を可能とするフレームサイズ調節機構をさらに具備してもよい。この形態においては、様々なサイズの被測定物を測定することができる。
【0019】
寸法測定装置は、前記被測定物の基準位置に対する当該寸法測定装置の配置を容易にするために、前記フレームに配置されて前記被測定物上に参照光を照射する参照光出射部をさらに具備してもよい。この形態においては、装置の配置(すなわち位置決め)を参照光によって支援することができる。
【0020】
寸法測定装置は、前記被測定物に対する前記フレームの傾斜の調節を可能とするフレーム傾斜調節機構をさらに具備してもよい。この形態においては、傾斜した様々な平面に沿って測定を実行することができる。
【0021】
寸法測定装置は、前記最大物体長を表示する表示部と、前記表示部が或る時間長にわたって前記最大物体長を保持するように前記表示部を制御する表示制御部とをさらに具備してもよい。この形態においては、表示された最大物体長を表示部が少なくとも一時的に保持するから、測定の完了後に、操作者は、表示された数値を容易に確認することができ、測定の完了後にセンサが偶発的に移動した場合であっても、表示画像の変化を回避することができる。
【0022】
寸法測定装置は、表示部と、前記第1物体位置と前記第2物体位置とによって画定される前記被測定物の断面が2次元の画像として表示されるように、前記測定部にて測定された前記第1間隔距離および前記第2間隔距離とに基づいて前記表示部を制御する表示制御部とをさらに具備してもよい。この形態においては、操作者は、被測定物の断面(すなわち外形)を、当該断面が複雑な場合であっても一目で容易に認識することができる。
【0023】
寸法測定装置は、追加的測定部と被測定物端部検出部と長さ演算部とをさらに具備してもよく、前記追加的測定部は、前記フレームに支持された少なくともひとつの第3の非接触式距離測定センサを有し、前記第3のセンサは、光を出射し、当該第3のセンサの正面にある物からの反射光を受け、前記第3のセンサから当該第3のセンサの正面の物までの距離に応じた信号を生成し、前記第3のセンサは、当該第3のセンサと第3測定線上の被測定位置との間の第3間隔距離を測定し、前記追加的測定部は、前記第1および第2の測定線と同じ平面内にある複数の平行な第3測定線上における複数の被測定位置までの複数の第3間隔距離を測定し、前記被測定物端部検出部は、前記複数の第3間隔距離に基づいて前記被測定物の第1端および第2端を検出し、前記長さ演算部は、前記被測定物の前記第1および第2端の間の前記被測定物の長さを演算し、前記最大値選択部は、前記複数の候補物体長のなかから最大値を選択することに代えてまたはこれに加えて、前記被測定物の長さと複数の候補物体長とのなかから最大物体長を選択する。この形態においては、候補物体長に加えて被測定物の第1および第2端の間の長さ(すなわち間隔)が最大物体長の候補として利用されることで、測定の精度が改善される。
【0024】
本発明の別の態様によれば、支持部材と測定部と被測定物端部検出部と長さ演算部とを具備する寸法測定装置が提供される。前記支持部材は、被測定物の近傍に配置可能であり、前記測定部は、前記支持部材に支持された少なくともひとつの非接触式距離測定センサを有し、前記センサは、光を出射し、当該センサの正面にある物からの反射光を受け、前記センサから当該センサの正面の物までの距離に応じた信号を生成し、前記センサは、当該センサと、測定線上の被測定位置との間の間隔距離を測定し、前記測定部は、複数の平行な測定線上における複数の被測定位置までの複数の間隔距離を測定し、前記被測定物端部検出部は、前記複数の間隔距離の各々に基づいて前記被測定物の第1端および第2端を検出し、前記長さ演算部は、前記被測定物の前記第1および第2端の間の前記被測定物の長さを演算する。この構成によれば、寸法測定装置は、複雑な外形を有する不均一な被測定物の寸法を、当該被測定物を変形させずに非接触で測定することができる。
【0025】
寸法測定装置は、前記非接触式距離測定センサを前記支持部材に対して移動させる移動機構部をさらに具備してもよく、前記センサは、複数の平行な測定線上における複数の被測定位置までの複数の間隔距離を測定する。この構成によれば、ひとつのセンサが複数の間隔距離を測定することができる。
【0026】
寸法測定装置は、前記センサが前記被測定物の前記第1端を経過した後に当該センサが前記被測定物の前記第2端に到達したことを前記被測定物端部検出部が検出すると、前記センサによる前記間隔距離の測定を停止させる測定終止部をさらに具備してもよい。この形態においては、センサが被測定物の第2端に到達したときに間隔距離の測定を終止することができる。
【0027】
より好適には、前記被測定物端部検出部は、前記センサが、閾値を下回る間隔距離を測定するかエラー信号を出力した場合に、前記センサが前記被測定物の前記第1端に到達したと判定し、前記被測定物端部検出部は、前記センサが、閾値を上回る間隔距離を測定するかエラー信号を出力した場合に、前記センサが前記被測定物の前記第2端に到達したと判定する。この形態においては、被測定物の端部を容易に検出することができる。
【0028】
寸法測定装置は、前記センサの始動および停止を操作者が指示する操作部と、操作者が前記センサの始動を指示した場合に、前記センサによる前記間隔距離を測定を開始させる測定開始部と、操作者が前記センサの停止を指示した場合に、前記センサによる前記間隔距離の測定を停止させる測定終止部とをさらに具備してもよい。この形態においては、間隔距離の測定を簡便な方法によって手動で開始または終止させることができる。
【0029】
寸法測定装置は、前記支持部材のサイズの調節を可能とする支持部材サイズ調節機構をさらに具備してもよい。この形態によれば、様々なサイズの物体を測定することができる。
【0030】
別の形態において、前記測定部は、前記支持部材に固定的に支持され、複数の平行な測定線上における複数の被測定位置までの複数の間隔距離をそれぞれ測定する複数の前記非接触式距離測定センサを具備してもよい。この形態においては、センサが支持部材に固定されるから、装置を容易に製造することができる。
【0031】
より好適には、前記支持部材は、1辺が開いた形状であり、前記支持部材は、一対の脚部と前記一対の脚部を連結する連結部とを有し、前記非接触式距離測定センサは前記連結部に支持される。フレームの1辺が開いているから、様々な被測定物の周囲に装置を容易に配置することができる。この特徴は、例えば寝たきりの老人や身障者を測定する場合に特に有利である。
【0032】
寸法測定装置は、前記被測定物の基準位置に対する当該寸法測定装置の配置を容易にするために、前記支持部材に配置されて前記被測定物上に参照光を照射する参照光出射部をさらに具備してもよい。この形態においては、装置の配置(すなわち位置決め)を参照光によって支援することができる。
【0033】
寸法測定装置は、前記被測定物に対する前記支持部材の傾斜の調節を可能とする支持部材傾斜調節機構をさらに具備する。この形態においては、傾斜した様々な平面に沿って測定を実行することができる。
【0034】
寸法測定装置は、前記被測定物の長さを表示する表示する表示部と、前記表示部が或る時間長にわたって前記被測定物の長さを保持するように前記表示部を制御する表示制御部とをさらに具備してもよい。この形態においては、表示された長さを表示部が少なくとも一時的に保持するから、測定の完了後に、操作者は、表示された数値を容易に確認することができ、測定の完了後にセンサが偶発的に移動した場合であっても、表示画像の変化を回避することができる。
【0035】
寸法測定装置は、表示部と、複数の前記被測定位置が2次元の画像として表示されるように、前記測定部にて測定された複数の間隔距離に基づいて前記表示部を制御する表示制御部とをさらに具備してもよい。この形態において、操作者は、被測定物の概略的な外形を、被測定物の断面が複雑な場合であっても一目で容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る様々な実施形態を説明する。
【0037】
第1実施形態
図1から図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る寸法測定装置1は、支持部材、すなわち被測定物15の周囲に配置され得る可搬型のフレーム14を有する。被測定物15は、本形態においては、床またはベッド16の上に横たわる人間であるが、任意の適切な物体を測定できる。
【0038】
フレーム14は、1辺が開放された略長方形である。さらに詳述すると、フレーム14は、ベッド16上に鉛直に起立する一対の平行な脚部3aおよび3bと、両端部が脚部3aおよび3bに連結された連結部2とを有する。フレーム14の1辺が開放されているので、寸法測定装置1は、様々な被測定物15の周囲に容易に配置され得る。この特徴は、被測定物15が寝たきりの老人や身障者である場合に特に有利である。
【0039】
寸法測定装置1のコンソールが連結部2に設けられる。このコンソールは、操作の案内や測定の結果や操作者のための他の情報を表示する表示部4と、例えば電源の投入や測定の開始のための指令を操作者が装置に付与できるスイッチやボタンの少なくとも何れかを含む操作部5とを有する。連結部2の内部には、寸法測定装置1を制御するための電気回路(後述)が設置される。
【0040】
また、寸法測定装置1は、図2に示す最大物体長Lmaxを計測するための測定部を有する。この測定部は、一対の非接触式距離測定センサ、すなわちフレームの脚部3aおよび3bにそれぞれ支持された第1および第2のセンサ6aおよび6bを有する。第1および第2のセンサは、フレーム14の内側にある被測定物15を挟んで反対側に配置される。各センサは、水平方向に光線(例えば赤外線であるがこれに限定されない)を出射する発光部と、当該センサの正面にある物(例えば被測定物15)からの反射光を受光し、センサから当該センサの正面にある物までの距離に応じた信号を生成する受光部とを有する光学距離センサである。このように、各センサは、当該センサとセンサの正面にある物との間隔距離を測定する。
【0041】
図1および2において、矢印LAおよびLBは、センサ6aおよび6bから水平方向に出射する光線を表す。図2に示す状態において、第1のセンサ6aは、当該第1のセンサ6aと、水平な第1測定線(第1のセンサ6aからの光線の経路)が交差する被測定物15上の第1物体位置との間の第1間隔距離DAを測定する。また、第2のセンサ6bは、当該第2のセンサ6bと、水平な第2測定線(第2のセンサ6bからの光線の経路)が交差する被測定物15上の第2物体位置との間の第2間隔距離DBを測定する。図1および2に示すように、第1および第2測定線は同一である。
【0042】
移動機構部7aおよび7bは、第1および第2の非接触式距離測定センサ6aおよび6bをフレーム14に対して或る範囲内で鉛直方向にそれぞれ移動させるために脚部3aおよび3bにそれぞれ配置される。例えば、各移動機構部は、回転手段(例えばステッピングモータ)によって駆動される複数のプーリに掛け渡された無端ベルトを有し、対応するセンサ6aまたは6bは当該無端ベルトに取り付けられる。あるいは、当該技術分野の当業者に公知である他の適切な移動機構部を利用することができる。移動機構部7aおよび7bによって、第1および第2のセンサ6aおよび6bは、図3に想像線で図示するように、同一の鉛直面内にて脚部3aおよび3bに沿って同時に上昇または下降する。
【0043】
第1のセンサ6aが鉛直方向に移動している間、第1のセンサ6aは、同じ鉛直面内にある平行な複数の水平な第1測定線上の複数の第1(左側)物体位置までの複数の第1間隔距離DA1ないしDA4を測定する。各第1間隔距離は、第1のセンサ6aのセンサ位置と被測定物15上の第1(左側)物体位置との間の距離である。第2のセンサ6bが鉛直方向に移動している間、第2のセンサ6bは、複数の第1測定線が位置するのと同じ鉛直面内にある平行な複数の水平な第2測定線上の複数の第2(右側)物体位置までの複数の第2間隔距離DB1ないしDB4を測定する。各第2間隔距離は、第2のセンサ6bのセンサ位置と被測定物15上の第2(右側)物体位置との間の距離である。したがって、測定部が2個のセンサしか持たないにも拘わらず、各センサは、被測定物15上において複数の平行な水平線上にある複数の物体位置までの複数の間隔距離を測定することができる。図3においては、第1間隔距離DA1ないしDA4と第2間隔距離DB1ないしDB4とが例示のために図示されているが、間隔距離の数が図示の形態での数に限定されないことは理解されるべきである。
【0044】
脚部3aおよび3bは平行であるから、センサ6aおよび6bが移動しても、第1および第2測定線に平行な水平方向における両者間の水平距離間隔INTは変化せずに維持される。したがって、複数の第1および第2間隔距離DAおよびDBと固定の間隔INTとに基づいて、最大物体長Lmaxの候補である複数の候補物体長Lを算定することが可能である。例えば、間隔距離DA1とDB1とが同じ高さにある場合に、候補物体長は、INT−DA1−DB1に等しい。同様に、別の候補物体長は、INT−DA2−DB2に等しい。第3の候補物体長はINT−DA3−DB3に等しく、第4の候補物体長はINT−DA4−DB4に等しい。図3から理解されるように、各候補物体長Lは、第1(左側)物体位置のひとつと第2(右側)物体位置のひとつとの距離である。
【0045】
現実の最大物体長は、前述の複数の候補物体長Lのなかの最大値に概ね等しい。これが、装置1によって実現される最大長測定の概略的な原理である。最大物体長Lmaxの推定の精度は、水平な複数の測定線の鉛直方向の距離間隔を減少させて測定される間隔距離の数を増加させた場合に改善される。
【0046】
図4のブロック図を参照して、寸法測定装置の電気的な構成を説明する。連結部2内の前述の電気回路は、表示部4と操作部5とセンサ6aおよび6bと移動機構部7aおよび7bとに接続されたマイクロコンピュータ8を有する。マイクロコンピュータ8は、電源13によって作動し、記憶部12とプロセッサとを有し、このプロセッサは制御部9,演算部10および判定部11を機能的に有する。
【0047】
制御部9(すなわち制御手段)は、寸法測定装置1の全体的な制御を実行する。全体的な制御は、距離DAおよびDBを測定するためのセンサ6aおよび6bの制御と、センサ6aおよび6bを移動させるための移動機構部7aおよび7bの制御とを含む。
【0048】
演算部10は、センサ6aおよび6bが測定した複数の第1および第2間隔距離DAおよびDBに基づいて複数の候補物体長Lを算定する距離演算部(すなわち距離演算手段)として機能する。
【0049】
判定部11は、複数の候補物体長Lのなかから最大物体長Lmaxを選択する最大値選択部(すなわち最大値選択手段)として機能する。判定部11は、第1および第2のセンサ6aおよび6bの少なくとも一方が当該センサの移動の限界に到達したか否かを判定する限界検出部(すなわち限界検出手段)としても機能する。本形態において、判定部11は、センサ6aおよび6bの各々についてこのような限界検出を実行する。センサが移動の限界に到達したことを判定部11が検出すると、制御部9は、センサによる間隔距離の測定を終止させる測定終止部(すなわち測定終止手段)として機能する。
【0050】
記憶部12は、初期値やシステム設定値や演算式などの様々なデータを予め記憶する。さらに、判定部11によって特定された最大値が記憶部12に格納される。
【0051】
制御部9,演算部10および判定部11は、物理的には複数の中央処理装置によって実現され得る。あるいは、これらの各部は、単一の中央処理装置が実行するコンピュータプログラムによって機能的に実現される。
【0052】
図5に示すフローチャートを参照して、寸法測定装置1の使用法および動作について詳細に説明する。記憶部12は、寸法測定装置1を制御するためのコンピュータプログラムを固定的に記憶する。マイクロコンピュータ8は、このコンピュータプログラムに従って動作する。フローチャートにおける動作のなかでマイクロコンピュータ8によって実行されるステップは、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムの要素に対応する。本形態においては、コンピュータプログラムやコンピュータプログラムの要素を記憶するための記憶媒体として記憶部12を使用するが、このような記憶媒体としては別のメモリや記憶装置を使用することができる。半導体メモリやハードディスク、コンパクトディスク、デジタルバーサタイルディスク、フレキシブルディスク、またはその他の適切な記憶媒体を、この目的のために使用することができる。
【0053】
操作部5の電源スイッチを操作して電源を投入した後、操作者は、ステップS1において、フレーム14が被測定物15を覆うように寸法測定装置1をベッド16上に設置する。以下の動作は、マイクロコンピュータ8がプログラムに従って実行するステップである。
【0054】
ステップS2において、マイクロコンピュータ8は、操作部5の測定開始スイッチが押下されたか否かを判定する。押下された場合、処理はステップS3に進み、マイクロコンピュータ8は、システムの全体を初期化する。例えば、マイクロコンピュータ8は、センサ6aおよび6bの位置や記憶部12内のデータを初期化する。
【0055】
システムの初期化の後、ステップS4において、マイクロコンピュータ8は、制御部9として機能し、移動機構部7aおよび7bを制御してセンサ6aおよび6bを同時に移動させ、センサ6aおよび6bを作動させて第1間隔距離DAおよび第2間隔距離DBの一組を測定つまりサンプリングする。
【0056】
フローチャートから理解されるように、処理がステップS4に戻るたびに、センサ6aおよび6bは同時に移動して次の第1間隔距離および第2間隔距離の対を測定するように作動するから、被測定物15は、規則的なサンプリング時間間隔でスキャンされる。移動機構部7aおよび7bの各々は、制御部9による制御のもとにセンサ6aおよび6bを同じ速度で移動させるから、そのような移動および測定の間、センサ6aと6bとは同じ高さに維持される。サンプリング時間間隔とセンサ6aおよび6bの移動速度との乗算値は、サンプリング距離間隔(水平方向の測定線の距離間隔)である。例えば、サンプリング距離間隔が1ミリメートルでサンプリング時間間隔が50ミリ秒である場合、速度は0.02メートル毎秒とされる。
【0057】
ステップS5において、マイクロコンピュータ8は、演算部10として機能し、前述の水平距離間隔INTとセンサ6aおよび6bが直前に測定した第1および第2の間隔距離DAおよびDBの組とに基づいて最新の候補物体長Lを算定する。
【0058】
ステップS6において、マイクロコンピュータ8は、判定部11として機能し、最新の候補物体長Lが測定断面における最大物体長Lmaxであるか否かを判定する。本形態において、最大物体長の値は記憶部12に記憶され、判定部11は、最新の候補物体長が、記憶部12に記憶されている現段階の最大物体長を上回るか否かを判定する。記憶部12内の最大物体長の初期値はゼロである。
【0059】
最新の候補物体長の方が大きい場合、処理はステップS7に進み、判定部11は、以前に記憶部12に格納された最大物体長を消去し、最新の候補物体長を新たな最大物体長として記憶部12に格納する。すなわち、判定部11は、記憶部12内の最大物体長を更新する。そして、処理はステップS8に進む。これに対し、最新の候補物体長が大きくない場合、記憶部12内の最大物体長を更新することなく、処理は直接にステップS8に進む。
【0060】
ステップS8において、マイクロコンピュータ8は、判定部11として機能し、第1および第2のセンサ6aおよび6bが各々の移動の限界6L(図3参照)に到達したか否かを判定する。例えば、センサ6aおよび6bが移動の限界6Lに到達するのに必要な時間長が、センサ6aおよび6bの移動速度と移動の始点から限界6Lまでの距離とに応じて算定される。所要時間は記憶部12に記憶され、マイクロコンピュータ8は、センサ6aおよび6bの移動開始からの経過時間を計数するタイマを備える。経過時間が所要時間に達すると、判定部11は、センサが限界6Lに到達したと判定する。
【0061】
センサが限界6Lに到達していない場合、処理はステップS4に戻り、次の第1間隔距離と次の第2間隔距離とが測定される。センサが限界6Lに到達した場合、処理はステップS9に進み、マイクロコンピュータ8は、表示制御部として機能して、記憶部12に記憶された最大物体長Lmaxの値を表示部4に表示させる。マイクロコンピュータ8は、表示された最大物体長を表示部が或る時間長にわたって保持するように表示部4を制御する。表示された最大物体長を表示部が少なくとも一時的に保持するから、測定の完了後に、操作者は、表示された数値を容易に確認することができ、測定の完了後にセンサが偶発的に移動した場合であっても、表示画像の変化を避けることが可能となる。
【0062】
記憶部12に最終的に記憶されて表示部4に保持された最大物体長Lmaxは、センサ6aおよび6bの経路間に位置する被測定物15の最大長である。ステップS9の後に処理は終了する。すなわち、制御部9は、センサ6aおよび6bによる間隔距離の測定を終止させる測定終止部として機能する。
【0063】
以上の第1実施形態において、移動機構部7aおよび7bは、センサ6aおよび6bを同時に移動させるように同期して駆動され、最新の候補物体長は、現段階の最大物体長Lmaxと比較される。しかし、本発明をこの形態に限定することは意図されていない。別の形態において、制御部9は、移動機構部7aおよび7bを別々に駆動してセンサ6aおよび6bを別の時刻にて移動させてもよい。ただし、センサ6aのサンプリング距離間隔やサンプリング開始高はセンサ6bと同一とされるから、水平で相互に平行なセンサ6aの複数の第1測定線は、水平で相互に平行なセンサ6bの複数の第2測定線と合致する。マイクロコンピュータ8は、測定された総ての第1間隔距離DAと第2間隔距離DBとを連続的に記憶部12に格納する。この別形態において、演算部10は、記憶部12に記憶された第1および第2間隔距離DAおよびDBに基づいて総ての候補物体長Lを連続的に演算し(各候補物体長は、前述した水平距離間隔INTと、同じ高さにおける第1および第2間隔距離DAおよびDBとに基づいて算定される)、判定部11は、算定された総ての候補のなかから最大物体長Lmaxを選択する。
【0064】
以上の第1実施形態において、センサ6aおよび6bは、制御部9が制御する移動機構部7aおよび7bによって自動的に作動する。別の形態(図示略)において、センサ6aおよび6bは、規則的なサンプリング距離間隔で各センサが間隔距離を測定する間に、操作者によって手動で移動させられてもよい。そのような等間隔での測定を容易とするために、センサ6aおよび6bの速度を制限する手段または機構を設けることが望ましい。例えば、センサ6aおよび6bの少なくともひとつの速度を測定して当該速度を示す信号をマイクロコンピュータ8に供給する少なくともひとつの速度計(図示略)を利用することができる。速度が閾値を上回る場合、マイクロコンピュータ8は、操作者に警告を報知する。例えば、エラーメッセージを表示部4に表示させて、信頼性の低い測定を回避する。
【0065】
別の形態において、判定部11は、第1および第2の非接触式距離測定センサ6aおよび6bの少なくともひとつが被測定物15の端部15aに到達したか否かを判定する端部検出部(すなわち端部検出手段)として機能してもよい。好適には、閾値を上回る第1または第2間隔距離DAまたはDBをセンサ6aまたは6bが測定した場合に、端部検出部は、対応するセンサ6aまたは6bが被測定物15の端部15a(図3参照)に到達したと判定する。さらに好適には、センサ6aおよび6bの間の前述の水平距離間隔INTの半分を上回る第1および第2間隔距離DAおよびDBをセンサ6aおよび6bの双方が測定した場合に、端部検出部は、センサ6aおよび6bの双方が被測定物15の端部15aに到達したと判定する。この場合、被測定物15の端部15aが容易に検出され得る。制御部9は、対応するセンサ6aまたは6bが被測定物15の端部15aに到達したことを端部検出部が検出した場合に、センサ6aおよび6bの少なくとも一方による間隔距離DAまたはDBの測定を終止させる測定終止部(すなわち測定終止手段)として機能する。この形態においては、センサ6aまたは6bが被測定物15の端部15aに到達したときに、間隔距離DAまたはDBの測定を終止させることができる。
【0066】
図6および7に示す寸法測定装置21の別の形態において、一対の非接触式距離測定センサ6aおよび6bの対は、第1のセンサ6aが第1間隔距離DAを測定する第1測定線が、第2のセンサ6bが第2間隔距離DBを測定する第2測定線と一致するように、フレーム14の脚部23aおよび23bに固定的に設置される。この形態においては、センサ6aおよび6bがフレーム14に固定されるから、装置21を容易に製造することができる。センサ6aおよび6bはフレーム14に固定されるが、それらは、図7に示すように、被測定物15に対してフレーム14とともに一体的に移動し得るから、各センサは、複数の間隔距離DAおよびDBを測定することができる。操作者は、フレーム14の一部を握り、ほぼ鉛直な方向に寸法測定装置21をベッド16から徐々に上昇させる。寸法測定装置21の上昇中に、センサ6aおよび6bは間隔距離DAおよびDBをサンプリングする。
【0067】
図6および7に示す寸法測定装置21の別形態において、判定部11は、第1および第2の非接触式距離測定センサ6aおよび6bの少なくともひとつが被測定物15の端部15aに到達したか否かを判定する前述の端部検出部として機能することが望ましい。制御部9は、センサ6aおよび6bが被測定物15の端部15aに到達したことを端部検出部が検出した場合に、センサ6aおよび6bの少なくとも一方による間隔距離DAまたはDBの測定を終止させる前述の測定終止部として機能する。この形態においては、センサ6aまたは6bが被測定物15の端部15aに到達したときに、間隔距離DAまたはDBの測定を終止させることができる。
【0068】
図6および7に示す形態の使用法および動作は、図5に図示されたフローチャートを参照して前述した第1実施形態の使用法および動作と同様である。ただし、ステップS4においては、移動機構部7aおよび7bによるセンサ6aおよび6bの自動的な移動が、フレーム14をセンサ6aおよび6bとともに手動で移動させることに置き換えられる。さらに、移動の限界を検出するステップS8の判定は、センサ6aおよび6bの双方が被測定物15の端部15aに到達したことを判定する端部検出部による判定に置き換えられる。
【0069】
図8および9は、図6および7に示した形態の変形例を示す。この変形された形態において、寸法測定装置31は、フレーム14の上昇を容易にするために、被測定物15に対するフレーム14の鉛直方向の移動を案内する一対の脚部ガイド部33aおよび33bを具備する。脚部23aおよび23bは、脚部ガイド部33aおよび33b内にそれぞれ摺動可能に挿入される。脚部ガイド部33aおよび33bは、当該ガイド部が第1および第2測定線を妨害しないように形成され、センサ6aおよび6bは、被測定物15までの間隔距離を測定することができる。
【0070】
図6および7と図8および9とに示した前述の別形態においても、等間隔での測定を容易にするために、センサ6aおよび6bの速度を制限する前述の手段を設けることが望ましい。図6および7と図8および9とに示した前述の別形態において、操作者によって把持または保持されるハンドルまたはグリップの少なくともひとつを設けることも望ましい。ハンドルは、装置を安定的に上昇させるのに便利である。
【0071】
第2実施形態
図10に示すように、本発明の第2実施形態に係る寸法測定装置41は、支持部材、すなわち第1実施形態と実質的に同一の可搬型のフレーム14を有する。寸法測定装置41はまた、図10に示す最大物体長Lmaxを測定するための測定部を有する。本形態の測定部は、複数対(n対)の非接触式距離測定センサを有する。各対は、フレーム14の脚部43aおよび43bに固定的に設置された第1および第2の非接触式距離測定センサ6aおよび6bを有する。採用されるセンサの型式は第1実施形態と同様である。
【0072】
これらの複数対は互いに等しい間隔をあけて配置される。第1のセンサ6a1ないし6anの各々は、当該第1のセンサと、水平な第1測定線(第1のセンサ6aからの光線の経路)が交差する被測定物15上の第1物体位置との間の第1間隔距離を測定する。第2のセンサ6b1ないし6bnの各々は、当該第2のセンサと、水平な第2測定線(第2のセンサ6bからの光線の経路)が交差する被測定物15上の第2物体位置との間の第2間隔距離を測定する。複数の第2測定線は、複数の第1測定線と平行または同一である。
【0073】
本形態において、センサ6a1ないし6anおよび6b1ないし6bnはフレーム14に固定され、前述の移動機構部7aおよび7bは除外されるから、容易に装置41を製造することができる。さらに、自動または手動によるセンサ6aおよび6bの移動(フレームとともにまたはフレームとは別に)が不要であるから、装置の使用は簡素化される。最大物体長Lmaxの測定の精度は、センサの対の数を増加させた場合に改善される。
【0074】
図11のブロック図を参照して、寸法測定装置の電気的な構成を説明する。図11のブロック図は、第1実施形態における図5と類似するが、図11においては、移動機構部7aおよび7bが除外され、より多数のセンサ6a1ないし6anおよび6b1ないし6bnがマイクロコンピュータ8に接続される。
【0075】
移動機構部7aおよび7bの制御に代えて、制御部9は、複数のセンサを順次に交替で作動および停止させる。移動限界の検出に代えて、判定部11は、第1および第2のセンサ6a1ないし6anおよび6b1ないし6bnの全部が間隔距離のサンプリングを終了したか否かを判定する完了検出部(完了検出手段)として機能する。
【0076】
図12に示すフローチャートを参照して、寸法測定装置41の使用法および動作について詳細に説明する。フローチャートにおける動作のなかでマイクロコンピュータ8によって実行されるステップは、記憶部12や他のメモリまたは記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムやコンピュータプログラムの要素に対応する。
【0077】
電源の投入後のステップS41,S42およびS43は、第1実施形態における図5のステップS1,S2およびS3と同じであるから、これらについては詳細には説明しない。ただし、ステップS43において、センサ6aおよび6bの位置の初期化は不要である。さらに、次に使用されるべき第1および第2のセンサのひとつの対を指定する序数nを計数するカウンタが機能的または物理的にマイクロコンピュータ8に設けられる。カウント値nは、ステップS43のシステム初期化でゼロ(初期値)にリセットされる。
【0078】
ステップS44において、マイクロコンピュータ8は、カウント値nを1だけ増加させる。したがって、システム初期化の直後にカウント値nは1となる。そして、マイクロコンピュータ8は、制御部9として機能し、カウント値nに対応する第1のセンサ6aおよび第2のセンサ6bのひとつの対を作動する。したがって、その第1のセンサ6aおよび第2のセンサ6bは、センサに対応する第1間隔距離DAと第2間隔距離DBとをそれぞれ測定つまりサンプリングする。他の複数対のセンサは停止させられる。すなわち、マイクロコンピュータ8は、次のセンサの対を選択するとともに当該次のセンサの対を作動させる。システム初期化の直後に作動するのはカウント値「1」に対応する第1のセンサ6a1および第2のセンサ6b1であり、したがって、第1のセンサ6a1および第2のセンサ6b1が第1間隔距離DA1と第2間隔距離DB1とを測定つまりサンプリングする。
【0079】
ステップS45において、マイクロコンピュータ8は、前述の水平距離間隔INTと、センサ6aおよび6bによって直前に測定された第1および第2の間隔距離DAおよびDBの組とに基づいて最新の候補物体長Lを算定する演算部10として機能する。演算部10は、最新の候補物体長Lを第n番目の計算結果として記憶部12に格納する。
【0080】
ステップS46において、マイクロコンピュータ8は、第1および第2のセンサ6a1ないし6anおよび6b1ないし6bnの全部の対が間隔距離のサンプリングを完了したか否かを判定する判定部11(完了検出手段)として動作する。この判定は、カウント値nを最大値(センサの対の実際の個数)と比較することで実現される。
【0081】
ステップS46の判定が否定的である場合、処理はステップS44に戻り、次の第1間隔距離および次の第2間隔距離が測定される。全部のセンサが測定を完了している場合、処理はステップS47に進み、マイクロコンピュータ8は、総ての候補物体長Lを比較することで、記憶部12に格納された複数の候補物体長Lのなかから最大物体長Lmaxを決定する判定部11として動作する。
【0082】
そして、ステップS48において、マイクロコンピュータ8は、得られた最大物体長Lmaxの値を表示部4に表示させる表示制御部として機能する。マイクロコンピュータ8は、表示された最大物体長を表示部が或る時間長にわたって保持するように表示部4を制御する。表示された最大物体長を表示部が少なくとも一時的に保持するから、測定の完了後に、操作者は、表示された数値を容易に確認することができ、測定の完了後にセンサが偶発的に移動した場合であっても、表示画像の変化を避けることが可能となる。
【0083】
表示部4に保持された最大物体長Lmaxは、第1のセンサ6aの列と第2のセンサ6bの列との間に位置する被測定物15の最大長である。ステップS48の後に処理は終了する。
【0084】
前述の第2実施形態において、マイクロコンピュータ8は、測定された第1間隔距離DAと第2間隔距離DBの総てを連続して記憶部12に格納し、判定部11は、算定された総ての候補のなかから最大物体長Lmaxを選択する。しかし、本発明をこの形態に限定することは意図されていない。別の形態において、判定部11は、最新の候補物体長を現段階の最大物体長Lmaxと比較し、最新の候補物体長が大きい場合には最大物体長を更新してもよい。
【0085】
図13は変形された形態を示す。図13では第1実施形態と同じ符号が使用されているが、この変形された形態における修正が第1および第2実施形態と前述の別の形態との総てに適用できることは留意されるべきである。前述の総ての形態において、候補物体長Lは、候補物体長Lの算定のために第1のセンサ6aが第1間隔距離DAを測定する第1測定線、および候補物体長Lの算定のために第2のセンサ6bが第2間隔距離DBを測定する第2測定線と同じ水平線上における被測定物15の長さである。
【0086】
しかし、この変形された形態においては、相互に平行であって同一でない第1および第2測定線の第1間隔距離DAと第2間隔距離DBとに基づいて傾斜候補物体長Xが特定される。図13に示すように、第2のセンサ6bが上方に位置し、第1のセンサ6aが下方に位置する場合を想定する。図示されたセンサ6aおよび6bは、傾斜候補物体長Xを特定するために、第1および第2間隔距離DAおよびDBのサンプリングに使用される。
【0087】
この変形された形態において、演算部10(距離演算部)は、第1および第2測定線に平行な方向における第1および第2物体位置間の平行物体長Lを、LがINT−DA−DBに等しいことから、第1および第2間隔距離DAおよびDBに基づいて算定する。センサ6aおよび6bの高さの差は、第1および第2測定線に垂直な方向における第1および第2物体位置間の垂直物体長Hである。高さの差が固定である場合、垂直物体長Hは既知であって記憶部12に記憶されてもよい。他方、高さの差が可変である場合、垂直物体長Hはセンサ6aの移動距離とセンサ6bの移動距離との差異であることから、演算部10(距離演算部)は、垂直物体長Hを容易に算定することができる。
【0088】
演算部10(距離演算部)は、平行物体長Lと垂直物体長Hとに基づいて三角法によって候補物体長Xを演算する。例えば、Xは、LおよびHの2乗の和の平方根に等しい。あるいは、Xは、L/cosθ1(ただし、tanθ1=H/L)に等しい。
【0089】
この変形された形態において、第1測定線は、第2測定線と同じ直線上に配置されないが、距離演算部は、平行物体長Lおよび垂直物体長Hに基づいて候補物体長Xを演算することができる。
【0090】
この変形された形態は、ひとつの対の第1および第2のセンサのうちの一方が移動させられる(移動するセンサが取り付けられる脚部とともにまたは脚部とは別に)のに対して当該対の他方が固定されるように利用でき、固定の物体位置と可変の物体位置との間の複数の傾斜候補物体長が演算される。そして、最大物体長が総ての候補物体長のなかから選択される。
【0091】
また、この変形された形態は、ひとつの第1物体位置と複数の第2物体位置との間の複数の傾斜候補物体長がひとつの第1間隔距離と複数の第2間隔距離とに基づいて算定されるように利用できる。そして、さらに別の第1物体位置と複数の第2物体位置との間の複数の傾斜候補物体長が別の第1間隔距離と複数の第2間隔距離とに基づいて算定され、この演算が他の第1間隔距離についても繰り返される。最終的には、総ての傾斜候補物体長のなかから最大物体長が選択される。
【0092】
図14は別の変形された形態を示す。図14では第1実施形態と同じ符号が使用されているが、この変形された形態における変形が、第1および第2実施形態と前述の別の形態(図13の変形された形態を除く)との総てに適用できることは留意されるべきである。
【0093】
図14に示す変形された形態においては、第1および第2のセンサの角度が調節され、第1および第2のセンサが、第1および第2傾斜間隔距離DαおよびDβをそれぞれ測定する。傾斜候補物体長Yは、各々の第1および第2傾斜測定線が相互に一致する第1傾斜間隔距離Dαと第2傾斜間隔距離Dβとに基づいて測定される。図14に示すように、第2のセンサ6bが上方に位置し、第1のセンサ6aが下方に位置する場合を想定する。図示されたセンサ6aおよび6bは、傾斜候補物体長Yを特定するために、第1および第2傾斜間隔距離DαおよびDβのサンプリングに使用される。センサ6aおよび6b間の前述の水平距離間隔INTは既知である。センサ6aおよび6b間の高さの差Hは、既知であるか、または図13に示す形態に関連して説明したように容易に算定することができる。
【0094】
マイクロコンピュータ8において、演算部10は、フレーム14の連結部2に対する第1および第2のセンサ6aおよび6b間の直線の角度θ2を水平距離間隔INTと高さの差Hとに基づいて演算する角度演算部(すなわち角度演算手段)として機能する。θ2は、H/INTの逆正接(arctan)である。
【0095】
この変形された形態は、各々がセンサ6aおよび6bに取り付けられた少なくとも一対のセンサ角度調節部18aおよび18bを有する。各センサ角度調節部は、対応するセンサの測定線の角度を調節するためのモータやソレノイドや他の適切な型式のアクチュエータを有する。マイクロコンピュータ8において、制御部9は、演算された角度θ2に基づいてセンサ角度調節部18aおよび18bを制御または作動し、これによって、第1のセンサ6aが第1傾斜間隔距離Dαを測定する第1測定線は、第2のセンサ6bが第2傾斜間隔距離Dβを測定する第2測定線と同一となる。
【0096】
本形態において、センサ角度調節部18aおよび18bは、第1および第2間隔距離DαおよびDβの方向を揃えるために第1および第2のセンサ6aおよび6bの各々の角度を調節する。したがって、演算部10(距離演算部)は、第1および第2のセンサ6aおよび6bの間の同じ傾斜線上における第1および第2物体位置間の傾斜候補物体長Yを、傾斜間隔距離DαおよびDβと、計算された角度θ2と、固定の水平距離間隔INTとに基づいて正確に算定できる。すなわち、Yは、OINT−Dα−Dβ(ただし、OINT=INT/cosθ2)に等しい。
【0097】
この変形された形態は、ひとつの対の第1および第2のセンサのうちの一方が移動させられる(移動するセンサが取り付けられる脚部とともにまたは脚部とは別に)のに対して当該対の他方が固定されるように利用でき、固定のセンサ位置と可変のセンサ位置との間の傾斜直線に沿った複数の傾斜候補物体長が演算される。そして、総ての傾斜候補物体長のなかから最大物体長が選択される。
【0098】
この変形された形態はまた、ひとつの第1センサ位置と複数の第2センサ位置との間の傾斜直線に沿った複数の傾斜候補物体長が可変の第1傾斜間隔距離と複数の第2傾斜間隔距離とに基づいて算定されるように利用できる。そして、さらに別の第1センサ位置と複数の第2センサ位置との間の傾斜直線に沿った複数の候補物体長が別の可変の第1傾斜間隔距離と複数の第2傾斜間隔距離とに基づいて算定され、この演算が他の第1センサ位置についても繰り返される。最終的には、総ての傾斜候補物体長のなかから最大物体長が選択される。
【0099】
第3実施形態
図15および16に示すように、本発明の第3実施形態に係る寸法測定装置51は、支持部材、すなわち第1実施形態と実質的に同一の可搬型のフレーム14を有する。寸法測定装置51はまた、図15に示す物体長Lobjを測定するための測定部を有する。本形態の測定部は、フレーム14において水平方向に延在する連結部52に移動可能に支持されたひとつの非接触式距離測定センサ6cを有する。採用されるセンサの型式は第1実施形態と同様である。すなわち、センサ6cは、鉛直方向の下方に向けて光線(例えば赤外線であるがこれに限定されない)を出射する発光部と、当該センサの正面にある物(被測定物15やベッド16など)からの反射光を受光し、センサから当該センサの正面にある物までの距離に応じた信号を生成する受光部とを有する。このように、センサ6cは、センサ6cと鉛直方向に延びる測定線上の被測定位置との間の間隔距離を測定する。図15および16において、矢印LCは、センサ6cから下方に出射する光線を表す。
【0100】
移動機構部7cは、センサ6cをフレーム14に対して或る範囲内で水平方向に移動させるために連結部52に配置される。採用される移動機構部の型式は第1実施形態と同様である。移動機構部7cによって、センサ6cは、図15および16に想像線で図示するように、連結部52に沿って水平方向に移動させられる。
【0101】
センサ6cが水平方向に移動している間、このひとつのセンサ6cは、同じ鉛直面内にて相互に平行な複数の鉛直な測定線上の複数の被測定位置までの複数の間隔距離DCを測定する。各間隔距離は、センサ6cのセンサ位置とベッド16または被測定物15上の被測定位置との距離である。
【0102】
図15に示す状態において、センサ6cは、当該センサ6cと、鉛直な測定線(センサ6cからの光線の経路)が交差するベッド16との間の間隔距離DCを測定する。この状態における間隔距離DCは、センサ6cと脚部3aおよび3bの底面との鉛直方向の距離であるセンサ6cの基準高ELEに略等しい。他方、図16の状態において、センサ6cは、当該センサ6cと、別の鉛直な測定線(センサ6cからの光線の経路)が交差する被測定物15の物体位置との間の間隔距離DCを測定する。
【0103】
図15から理解されるように、測定される間隔距離DCは、センサ6cが被測定物15の上方に位置しない場合に非常に大きい。これとは対照的に、図16に示すように、測定される間隔距離DCは、センサ6cが被測定物15の上方に位置する場合に小さい。したがって、間隔距離DCと少なくともひとつの閾値との比較に基づいて被測定物15の両端SEおよびTEを検知することができ、被測定物15の両端SEおよびTE間の長さLobjを推定することができる。これが、装置51によって実現される最大長測定の概略的な原理である。物体長Lobjの推定の精度は、複数の鉛直な測定線の水平方向における距離間隔を減少させて測定される間隔距離の数を増加させた場合に改善される。
【0104】
図17のブロック図を参照して、寸法測定装置51の電気的な構成を説明する。図17のブロック図は、第1実施形態における図5と同様であるが、図17においては、センサ6aおよび6bと移動機構部7aとに代えて、センサ6cおよび移動機構部7cがマイクロコンピュータ8に接続される。
【0105】
距離測定のためのセンサ6aおよび6bやセンサ6aおよび6bの移動のための移動機構部7aおよび7bの制御に代えて、制御部9は、距離DCを測定するためにセンサ6cを制御し、センサ6cを移動するために移動機構部7cを制御する。
【0106】
演算部10は、被測定物15の両端すなわち第1端と第2端との間の物体長Lobjを演算する長さ演算部(すなわち長さ演算手段)として機能する。
【0107】
判定部11は、複数の間隔距離DCの各々に基づいて被測定物15の第1端および第2端を検出する被測定物端部検出部(すなわち被測定物端部検出手段)として機能する。
【0108】
記憶部12は、初期値やシステム設定値や演算式などの様々なデータを予め記憶する。さらに、記憶部12は、被測定物15の第1端SEおよび第2端TEを特定するための複数の閾値を予め記憶する。
【0109】
図18Aおよび18Bに示すフローチャートを参照して、寸法測定装置51の使用法および動作について詳細に説明する。フローチャートにおける動作のなかでマイクロコンピュータ8によって実行されるステップは、記憶部12や他のメモリまたは記憶装置に格納されたコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムの要素に対応する。電源の投入後のステップS51,S52およびS53は、第1実施形態における図5のステップS1,S2およびS3と同じであるから、これらについては詳細には説明しない。ただし、ステップS53において、マイクロコンピュータ8は、センサ6aおよび6bの位置に代えて、センサ6cの位置を初期化する。さらに、センサ6cが被測定物15の上方に位置するときに間隔距離DCのサンプリングの回数を計数するためのカウンタがマイクロコンピュータ8内に機能的または物理的に設置される。カウント値iは、ステップS53のシステム初期化でゼロ(初期値)にリセットされる。
【0110】
ステップS54において、マイクロコンピュータ8は、センサ6cを作動させる制御部9として機能し、これによってセンサ6cはセンサ6cとベッド16との間の鉛直方向の初期的な間隔距離を測定する。マイクロコンピュータ8は、このようにして鉛直方向の初期的な間隔距離を取得し、これをセンサ6cの基準初期高ELEとして記憶部12に格納する。
【0111】
ステップS55において、マイクロコンピュータ8は、移動機構部7cを制御してセンサ6cを定速で移動させる制御部9として機能する。この結果、センサ6cは、複数の間隔距離DCのなかのひとつを測定つまりサンプリングする。フローチャートから理解されるように、処理がステップS55に戻るたびに、センサ6cは移動して次の間隔距離DCを測定するように作動するから、被測定物15は、規則的な規則的なサンプリング時間間隔でスキャンされる。
【0112】
ステップS56において、演算部10は、最後に測定された間隔距離と基準初期高ELEとの間の差異を演算する。ステップS57において、マイクロコンピュータ8は、判定部11として機能し、センサ6cの鉛直な測定線が被測定物15の上方に位置するか否かを判定する。この判定は、前述のカウント値iが1以上であるか否かを判定することで実現される。
【0113】
iが1未満である場合(センサ6cが被測定物15の上方にない場合)、処理はステップS58に進み、判定部11は、被測定物端部検出部として機能して、センサ6cの測定線が被測定物15の第1端(始点)SEに到達したか否かを判定する。この判定は、ステップS56にて算定された差異を記憶部12に格納された閾値Pと比較することで実現される。この差異がPを上回る場合、センサ6cの測定線は始点SEに到達している。この判定は、他の閾値を下回る間隔距離DCをセンサ6cが測定した場合にセンサ6cが被測定物15の始点SEに到達したと判定部11が判定するのと同等である。
【0114】
ステップS58の判定が否定的である場合(差異がPを上回らない場合)、処理はステップS55に戻り、次の間隔距離DCがサンプリングされる。ステップS58の判定が肯定的である場合(差異がPを上回る場合)、処理はステップS59に進み、マイクロコンピュータ8は、カウント値iを1だけ増加させる。
【0115】
カウント値iが1以上である場合、センサ6cが被測定物15の上方を移動していることをシステムが既に認識しているから、ステップS57における判定が肯定的となり、処理は直接的に(ステップS58を介さずに)ステップS59に進む。
【0116】
ステップS60において、判定部11は、被測定物端部検出部として機能し、センサ6cの測定線が被測定物15の第2端(終点)TEに到達したか否かを判定する。この判定は、ステップS56にて算定された差異を記憶部12に格納された閾値Qと比較することで実現される。閾値Qは、前述の閾値Pと同じであっても異なっていてもよい。差異がQ以下である場合、センサ6cの測定線は終点TEに到達している。この判定は、他の閾値を上回る間隔距離DCをセンサ6cが測定した場合にセンサ6cが被測定物15の終点TEに到達したと判定部11が判定するのと同等である。
【0117】
ステップS60の判定が否定的である場合(差異がQを上回る場合)、センサ6cは未だ被測定物15の上方を移動しているから、処理はステップS55に戻り、次の間隔距離DCがサンプリングされる。
【0118】
ステップS60の判定が肯定的である場合(差異がQを上回らない場合)、処理はステップS61に進み、制御部9は、測定終止部(すなわち測定終止手段)として機能して、センサ6cによる間隔距離の測定と移動機構部7cによるセンサ6cの移動とを終了させる。さらに、マイクロコンピュータ8はサンプリングカウンタの現在の数値iを保持し、この数値に基づいて、演算部10は、長さ演算部として機能して、第1端SEが検知されたセンサ位置と第2端TEが検知されたセンサ位置との間の間隔長Lint(図16)を演算する。間隔長Lintは、第1端SEと第2端TEとの間の物体長Lobjと等しい。間隔長Lintの演算は、サンプリング距離間隔にカウント値iを乗算することで実現される。サンプリング距離間隔は、サンプリング時間間隔とセンサ6cの移動距離との乗算値である。演算部10は、記憶部12に間隔長Lintを格納する。
【0119】
ステップS62において、マイクロコンピュータ8は、表示制御部として機能して、記憶部12に記憶された間隔長Lint(物体長Lobj)の値を表示部4に表示させる。マイクロコンピュータ8は、表示された長さを表示部が或る時間長にわたって保持するように表示部4を制御する。表示された物体長を表示部が少なくとも一時的に保持するから、測定の完了後に、操作者は、表示された数値を容易に確認することができ、測定の完了後にセンサ6cが偶発的に移動した場合であっても、表示画像の変化を避けることが可能となる。
【0120】
記憶部12に最終的に記憶されて表示部4に保持された間隔長Lintが被測定物15の物体長Lobjである。ステップS62の後に処理は終了する。
【0121】
前述の第3実施形態において、間隔長Lintは、サンプリングカウント値iに基づいて算定される。しかし、本発明をこの形態に限定することは意図されていない。別の形態において、距離エンコーダ(不図示)が間隔長Lintの測定のために移動機構部7cに組み込まれてもよい。センサ6cが第1端SEに到達したことを判定部11が距離エンコーダに通知すると、距離エンコーダは長さの測定を開始する。センサ6cが第2端TEに到達したことを判定部11が距離エンコーダに通知すると、距離エンコーダは長さLintの測定を終了する。
【0122】
基準初期高ELEはセンサ6cと脚部3aおよび3bの底面との間の鉛直方向の距離であるから、前述した鉛直方向の初期的な間隔距離が実際に測定される必要は必ずしもない。すなわち、初期的な基準初期高ELEは、記憶部12に予め記憶されてもよい。
【0123】
前述の第3実施形態において、第1および第2端は、測定された間隔距離DCに基づいて特定される。しかし、別の形態において、判定部11(被測定物端部検出部)は、センサ6cがエラー信号を出力したときにセンサ6cが第1端SEに到達したと判定し、センサ6cが再びエラー信号を出力したときにセンサ6cが第2端TEに到達したと判定してもよい。この別形態は、センサからの初期的な鉛直方向の間隔距離を測定できる適切な基準水平面がセンサ6cの可動範囲内における被測定物15の両側に存在しない状況において有利である。本形態によれば、基準初期高ELEおよび閾値を使わなくてよい。
【0124】
前述の寸法測定装置51は、センサを支持するための支持部材としてフレーム14を有する。しかし、本発明をこの形態に限定することは意図されていない。例えば、図19に示す別の形態においては、脚部3aおよび3bが省略され、連結部52のみに対応した直線状の棒材54が、センサを支持するための支持部材として使用され得る。好適には、レベルメータ55(例えば水平器)、角度センサ、または、操作者が棒材を水平に維持することを容易にするための他の適切な器具が、棒材54に設置される。
【0125】
他の形態(不図示)において、センサ6cは、規則的なサンプリング距離間隔でセンサが距離間隔DCを測定する間に、操作者によって手動でフレーム14に対して移動させられてもよい。
【0126】
図20に示す別の形態において、センサ6cは直線状の棒材54に固定されるが、被測定物15に対して直線状の棒材54とともに一体的に移動できるから、ひとつのセンサ6cが複数の間隔距離DCを測定することができる。センサ6cが設置された直線状の棒材54は、操作者によって手動で移動されてもよい。被測定物15に対する棒材54の水平移動を案内する水平ガイド部56が、棒材54の摺動を容易にするために設置される。
【0127】
前述の第3実施形態においては、被測定物15における第1端SEと第2端TEとの間の物体長Lobjを、第1端SEが検出されたセンサ位置と第2端TEが検出されたセンサ位置との間の間隔長Lintとみなした。しかし、連結部52が傾斜する場合、間隔長Lintは物体長Lobjと等しくない。この場合、物体長Lobjは、間隔長Lintと、第1端SEが検出されたセンサ位置および第2端TEが検出されたセンサ位置の高さの差異とに基づいて、三角法によって算定される。
【0128】
図21に示す別の形態において、測定部は、フレーム14の連結部52に固定的に支持された複数の非接触式距離測定センサ6cを有する。複数のセンサ6cは、互いに等しい間隔をあけて配置され、鉛直で相互に平行な複数の測定線上の複数の被測定位置までの複数の間隔距離DCをそれぞれ測定する。この形態においては、センサ6cがフレーム14に固定され、前述の移動機構部7cが除外されるから、装置を容易に製造することができる。さらに、自動または手動によるセンサ6cの移動(支持部材とともにまたは支持部材とは別に)が不要であるから、装置の使用が簡素化される。物体長Lobjの測定の精度は、センサの数を増加させた場合に改善される。
【0129】
変形例
図22は、図1から4に示した第1実施形態と図15から17に示した第3実施形態とを組み合わせた変形例を示す。本変形例は、フレーム14の脚部3aおよび3bに支持されて第1および第2間隔距離DAおよびDBを測定する一対の移動可能なセンサ(すなわち第1および第2のセンサ6aおよび6b)を有する測定部と、フレーム14の連結部2に移動可能に支持されて第3間隔距離DCを測定する第3のセンサ6cを有する追加的測定部とを有する。
【0130】
図23は、図10に示す第2実施形態と図21に示した別形態とを組み合わせた別の変形例を示す。この変形例は、フレーム14の脚部3aおよび3bに支持されて第1および第2の間隔距離DAおよびDBを測定する複数対の固定のセンサ(すなわち第1および第2のセンサ6aおよび6b)を有する測定部と、フレーム14の連結部2に固定的に支持されて第3間隔距離DCを測定する複数の第3のセンサ6cを有する追加的測定部とを有する。
【0131】
図22および23の変形例におけるマイクロコンピュータ8の演算部10は、第1および第2実施形態と同様の方法で複数の候補物体長Lを演算する距離演算部として機能する。判定部11は、第3実施形態と同様の方法で複数の第3間隔距離DCに基づいて被測定物15の第1端SEおよび第2端TEを検出する被測定物端部検出部として機能する。演算部10は、第3実施形態と同様の方法で物体長Lobjを演算する長さ演算部としても機能する。判定部11は、複数の候補物体長Lのなかから最大値を選択することに代えて、またはこれに加えて、物体長Lobjおよび複数の候補物体長Lのなかから最大物体長Lmaxを選択する最大値選択部としても機能する。あるいは、最大値選択部は、複数の候補物体長Lのなかから最大物体長Lmaxを選択してもよいし、最大物体長Lmaxと物体長Lobjとを平均することで最終的な測定の結果を取得してもよい。何れの場合においても、より信頼できる結果を得ることができる。
【0132】
図24および25は、前述の総ての形態および変形例に適用できる別の変形例を示す。本変形例は、フレーム14の変形を含むため、図24および25においては他の要素の図示が省略されている。
【0133】
さらに詳細には、フレーム14は、フレーム(支持部材)のサイズの調整を可能にするフレームサイズ調節機構(支持部材サイズ調整機構)を有する。フレーム14は、ベッド16上に鉛直に起立する一対の伸長可能な脚部63aおよび63bと、両端部が脚部63aおよび63bに連結された伸長可能な連結部62とを有する。水平な連結部62は、中央軸64と、連結部62が伸長できるように中央軸64に摺動可能に取り付けられた一対の鞘部とを有する。脚部63aおよび63bの各々は、中央軸65aまたは65bと、当該脚部が伸長できるように中央軸に摺動可能に取り付けられた一対の鞘部とを有する。
【0134】
フレームサイズ調節機構によって、様々なサイズの物体を測定できる。特に、伸長可能な連結部62が前述の第1または第2実施形態に適用されることで、第1および第2測定線に平行な方向における第1および第2のセンサ6aおよび6bの間の距離間隔が調節され得る。伸長可能な脚部63aおよび63bが第1または第2実施形態に適用されることで、センサ6aおよび6bの移動する範囲が調節され得る。他方、伸長可能な連結部62が前述の第3実施形態に適用されることで、センサ6cの移動する範囲が調節され得る。
【0135】
図示された形態においては脚部63aおよび63bと連結部62とが伸長可能であるが、脚部または連結部のみを伸長可能とすることも考えられる。図20に示す形態において直線状の棒材54(支持部材)を伸長可能に変形することも考えられる。
【0136】
図26および27は、前述の総ての形態および変形例に適用できる別の変形例を示す。図26および27においてはセンサの図示が省略されている。本変形例においては、被測定物15の基準位置15bに対する寸法測定装置の配置(すなわち位置決め)を容易にするために参照光を被測定物15上に照射する参照光出射部70が、フレームまたは支持部材の連結部72(例えば直線状の棒材54)に配置される。参照光出射部は、例えば細い光線を出射するレーザポインタであるがこれに限定されない。被測定物15において基準位置15bが位置する特定の断面内における長さを測定することが望ましい場合、信頼できる測定のために本変形例は有利である。
【0137】
さらに、参照光出射部70が連結部72の中央位置に位置する場合、被測定物15が脚部3aおよび3bの中央に位置するように装置を配置することができる。これは、被測定物15が非常に小さい場合に、第1および第2のセンサ6aおよび6bが被測定物15を挟んで反対側に配置される第1および第2の実施形態で有利である。被測定物15が非常に小さくてセンサから大きく離れている場合、被測定物15にて反射した少量の光しかセンサに到達しないためにセンサが間隔距離を測定できない可能性がある。しかし、本変形例によれば、脚部3aおよび3bの中央に被測定物15を位置させることでそのような悪影響を低減することができる。参照光出射部70は、連結部72の長手方向に沿って摺動できるように連結部72に摺動可能に取り付けられてもよい。
【0138】
図28は、前述の総ての形態および変形例に適用できる別の変形例の側面図である。本変形例は、被測定物15に対するフレーム14(支持部材)の傾斜の調整を可能にするフレーム傾斜調節機構(支持部材傾斜調節機構)を有する。さらに詳細には、フレーム14の各脚部3aおよび3bの下部は、同軸に配列されたシャフト82を軸としてフレーム14が所定の角度の範囲内で回転できるように、各回転基部80に回転可能に取り付けられる。脚部3aおよび3bを選択された角度(例えばθ3)で回転基部80に固定するために止めネジ84が締め付けられる。本変形例においては、傾斜した様々な平面に沿って測定を実行することができる。
【0139】
ひとつまたは複数の自動または手動で移動(支持部材とともにまたは支持部材とは別に)可能なセンサを有する前述の形態は、以下のように変形されてもよい。操作部5は、センサ6cまたは一対のセンサ6aおよび6bの始動および停止を操作者が指示するための手段(例えば、測定開始スイッチおよび測定停止スイッチ)を有する。制御部9は、測定開始部および測定終止部として機能する。測定開始部は、操作者が開始を指示すると、センサ6cまたはセンサ6aおよび6bによる間隔距離の測定を開始し、測定終止部は、操作者が停止を指示すると、センサ6cまたはセンサ6aおよび6bによる間隔距離の測定を停止する。自動的に移動できるセンサに関して、測定開始部は、さらに、操作者が開始を指示すると、移動機構部7cまたは移動機構部7aおよび7bによるセンサ6cまたはセンサ6aおよび6bの移動を開始し、測定終止部は、さらに、操作者が停止を指示すると、移動機構部7cまたは移動機構部7aおよび7bによるセンサ6cまたはセンサ6aおよび6bの移動を停止する。このような構成によれば、操作者は、ひとつまたは複数のセンサの移動中の任意の位置においてひとつまたは複数のセンサによる測定の開始および停止を指示することができるから、操作者は、測定の範囲を自由に決定することができる。複数のセンサを有する形態において、各センサは独立にまたは同時に始動または停止する。
【0140】
図29および30は、実施形態の表示部4に表示される2次元の画像を示す。図29は、第1および第2実施形態ならびにそれらの変形例に対応し、図30は、第3実施形態およびその変形例に対応する。表示部4は、例えば液晶表示装置やドットマトリクス表示装置であるがこれらに限定されない。長さの測定結果を表示した後、マイクロコンピュータ8(表示制御部)は、図29や30に示すような二次元の画像として被測定位置を表示部4に表示させる。したがって、被測定物15の断面(すなわち外形)が複雑であったとしても、操作者は、断面を一目で容易かつ迅速に認識することができる。
【0141】
被測定位置を表示するために、第1および第2実施形態ならびにそれらの変形例において、マイクロコンピュータ8は、第1物体位置および第2物体位置の各々の座標を取得する。第1物体位置の各々のX座標は、対応する第1間隔距離と第1のセンサ6aの既知のX座標との合計である。第2物体位置の各々のX座標は、第2のセンサ6bの既知のX座標から対応する第2間隔距離を減算した値である。各物体位置のY座標は、物体位置をサンプリングしたセンサのY座標である。物体位置のXY座標の決定に基づいて、マイクロコンピュータ8は、第1物体位置と第2物体位置とで画定される被測定物の断面が2次元の画像として表示されるように表示部4を制御する。
【0142】
被測定位置を表示するために、第3実施形態およびその変形例において、マイクロコンピュータ8は、被測定物15の第1端SEから第2端TEまでの被測定位置の各々の座標を取得する。各被測定位置のX座標は、被測定位置をサンプリングしたセンサの座標である。各被測定位置のY座標は、センサ6cの既知のY座標から対応する間隔距離を減算した値である。被測定位置のXY座標の決定に基づいて、マイクロコンピュータ8は、被測定位置が2次元の画像として表示されるように表示部4を制御する。
【0143】
前述の形態においては、測定の結果が出力される出力装置として表示部4を使用したが、寸法測定装置は測定の結果を他の適切な方法で出力し得る。例えば、寸法測定装置は、マイクロコンピュータ8からの出力信号に応答して測定の結果を印刷する印刷装置を有してもよい。寸法測定装置は、測定の結果を外部の装置に指示する測定結果信号を送信および/または格納してもよい。
【0144】
本発明の好適な形態を参照しながら本発明を詳細に説明してきたが、特許請求の範囲によって規定される発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形状や詳細に関する様々な変形が加えられることは当該分野の当業者に理解されるであろう。そのような変形や代替や改良は本発明の範囲内にあると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の第1実施形態に係る寸法測定装置の斜視図である。
【図2】被測定物に対して設置された図1の寸法測定装置の正面図である。
【図3】距離を測定している図1の寸法測定装置の正面図である。
【図4】図1の寸法測定装置の要素を示すブロック図である。
【図5】図1の寸法測定装置の使用法および動作を示すフローチャートである。
【図6】被測定物に対して設置された別の形態に係る寸法測定装置の正面図である。
【図7】上昇しながら距離を測定している図6の寸法測定装置の正面図である。
【図8】被測定物に対して設置された変形例に係る寸法測定装置の正面図である。
【図9】距離を測定している図8の寸法測定装置の正面図である。
【図10】被測定物に対して設置された第2実施形態に係る寸法測定装置の正面図である。
【図11】図10の寸法測定装置の要素を示すブロック図である。
【図12】図10の寸法測定装置の使用法および動作を示すフローチャートである。
【図13】被測定物に対して設置された別の変形例に係る寸法測定装置の正面図である。
【図14】被測定物に対して設置された別の変形例に係る寸法測定装置の正面図である。
【図15】第3実施形態に係る寸法測定装置の正面図である。
【図16】センサが別の位置にある図15の寸法測定装置の正面図である。
【図17】図16の寸法測定装置の要素を示すブロック図である。
【図18A】図18Bとともに図16の寸法測定装置の使用法および動作を示すフローチャートの一部である。
【図18B】図16の寸法測定装置の使用法および動作を示すフローチャートの一部である。
【図19】別の形態に係る寸法測定装置の正面図である。
【図20】さらに別の形態に係る寸法測定装置の正面図である。
【図21】さらに別の形態に係る寸法測定装置の正面図である。
【図22】図1から4に示す第1実施形態と図15から17に示す第3実施形態とを組み合わせた変形例に係る寸法測定装置の正面図である。
【図23】図10に示す第2実施形態と図21に示す別形態とを組合わせた変形例に係る寸法測定装置の正面図である。
【図24】別の変形例に係る寸法測定装置の正面図である。
【図25】別の状態にある図24の寸法測定装置の正面図である。
【図26】別の変形例に係る寸法測定装置の正面図である。
【図27】図27の寸法測定装置の底面図である。
【図28】別の変形例に係る寸法測定装置の側面図である。
【図29】第1および第2実施形態に係る表示部に表示される2次元の画像を示す図である。
【図30】第3実施形態に係る表示部に表示される2次元の画像を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
1,21,31,41,51……寸法測定装置、4……表示部、5……操作部、14……フレーム、8……マイクロコンピュータ、9……制御部、10……演算部、11……判定部、12……記憶部、6a,6b,6c……センサ、7a,7b,7c……移動機構部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(14)と測定部と距離演算部(10)と最大値選択部(11)とを具備する寸法測定装置(1,21,31,41)であって、
前記フレームは、被測定物(15)の周囲に配置可能であり、
前記測定部は、前記フレームに支持された少なくとも一対の非接触式距離測定センサ(6a,6b)を有し、
前記一対の非接触式距離測定センサは、第1の非接触式距離測定センサ(6a)と第2の非接触式距離測定センサ(6b)とを有し、前記各センサは、光を出射し、前記被測定物からの反射光を受け、当該センサから前記被測定物までの距離に応じた信号を生成し、
前記第1および第2のセンサは、前記フレームの内側にある前記被測定物を挟んで反対側に配置され、
前記第1のセンサは、当該第1のセンサと第1測定線における前記被測定物上の第1物体位置との間の第1間隔距離(DA)を測定し、
前記第2のセンサは、当該第2のセンサと、前記第1測定線と同一または平行な第2測定線における前記被測定物上の第2物体位置との間の第2間隔距離(DB)を測定し、
前記測定部は、複数の平行な第1測定線上における複数の第1物体位置までの複数の第1間隔距離と、前記複数の第1測定線が存在するのと同じ平面内に存在する複数の平行な第2測定線上における複数の第2物体位置までの複数の第2間隔距離とを測定し、
前記距離演算部は、前記複数の第1および第2の間隔距離に基づいて複数の候補物体長(L)を演算し、各候補物体長は、前記第1物体位置のひとつと前記第2物体位置のひとつとの間の距離であり、
前記最大値選択部は、前記複数の候補物体長のなかから最大物体長(Lmax)を選択する
寸法測定装置。
【請求項2】
前記第1および第2の非接触式距離測定センサ(6a,6b)をフレーム(14)に対してそれぞれ移動させる移動機構部(7a,7b)をさらに具備し、
前記第1のセンサ(6a)は、複数の平行な第1測定線上における複数の第1物体位置までの複数の第1間隔距離(DA)を測定し、前記各第1間隔距離は、前記第1のセンサのセンサ位置と前記被測定物(15)上の第1物体位置との間の距離であり、
前記第2のセンサ(6b)は、複数の平行な第2測定線上における複数の第2物体位置までの複数の第2間隔距離(DB)を測定し、前記各第2間隔距離は、前記第2のセンサのセンサ位置と前記被測定物の第2物体位置との間の距離である
請求項1の寸法測定装置(1)。
【請求項3】
前記第1および第2の非接触式距離測定センサ(6a,6b)の少なくとも一方が当該センサの移動の限界(6L)に到達したか否かを判定する限界検出部(11)と、
前記センサが前記限界に到達したことを前記限界検出部が検出すると、当該センサによる前記間隔距離(DA,DB)の測定を停止させる測定終止部(9)と
をさらに具備する請求項2の寸法測定装置(1)。
【請求項4】
前記一対の非接触式距離測定センサ(6a,6b)は、前記第1のセンサ(6a)によって前記第1間隔距離(DA)が測定される前記第1測定線が、前記第2のセンサ(6b)によって前記第2間隔距離(DB)が測定される前記第2測定線と同一となるように、前記フレーム(14)に固定的に支持される
請求項1の寸法測定装置(21,31)。
【請求項5】
前記被測定物(15)に対する前記フレーム(14)の移動を案内する少なくともひとつのガイド部(33a,33b)
をさらに具備する請求項4の寸法測定装置(31)。
【請求項6】
前記第1および第2の非接触式距離測定センサ(6a,6b)の少なくとも一方が前記被測定物(15)の端部(15a)に到達したか否かを判定する端部検出部(11)と、
前記センサ(6a,6b)が前記被測定物の前記端部に到達したことを前記端部検出部が検出すると、当該センサによる前記間隔距離(DA,DB)の測定を停止させる測定終止部(9)と
をさらに具備する請求項1,2,4および5の何れかの寸法測定装置(1,21,31)。
【請求項7】
前記端部検出部(11)は、閾値を上回る第1または第2間隔距離(DA,DB)を対応するセンサ(6a,6b)が測定した場合に、前記対応するセンサが前記被測定物(15)の前記端部(15a)に到達したと判定する
請求項6の寸法測定装置(1,21,31)。
【請求項8】
前記第1および第2のセンサ(6a,6b)の始動および停止を操作者が指示する操作部(5)と、
操作者が前記第1および前記第2のセンサの始動を指示した場合に、前記第1および第2のセンサによる前記第1および第2間隔距離(DA,DB)の測定を開始させる測定開始部(9)と、
操作者が前記第1および第2のセンサの停止を指示した場合に、前記第1および第2のセンサによる前記第1および第2間隔距離の測定を停止させる測定終止部(9)と
をさらに具備する請求項1,2,4および5の何れかの寸法測定装置(1,21,31)。
【請求項9】
前記測定部は、複数対の非接触式距離測定センサ(6a,6b)を具備し、
前記各対は、前記フレーム(14)に固定的に支持された第1および第2の非接触式距離測定センサ(6a,6b)を具備し、
前記第1のセンサ(6a)の各々は、当該第1のセンサと、第1測定線における前記被測定物(15)上の第1物体位置との間の第1間隔距離(DA)を測定し、
前記第2のセンサ(6b)の各々は、当該第2のセンサと、前記第1の測定線に平行または同一の第2測定線における前記被測定物上の第2物体位置との間の第2間隔距離(DB)を測定する
請求項1の寸法測定装置(41)。
【請求項10】
前記フレーム(14)は、1辺が開いた形状であり、
前記フレームは、一対の脚部(3a,3b,23a,23b,33a,33b,43a,43b)と前記一対の脚部を連結する連結部(2)とを有し、
前記第1および第2の非接触式距離測定センサ(6a,6b)は前記脚部にそれぞれ支持される
請求項1から9の何れかの寸法測定装置(1,21,31,41)。
【請求項11】
前記第1のセンサ(6a)によって前記第1間隔距離(DA)が測定される第1測定線は、前記第2のセンサ(6b)によって前記第2間隔距離(DB)が測定される第2測定線と平行であって同一ではなく、
前記距離演算部(10)は、前記第1および第2測定線に平行な方向における前記第1および第2物体位置の間の平行物体長(L)を前記第1および第2間隔距離(DA,DB)に基づいて演算し、前記平行物体長と、前記第1および第2測定線に垂直な方向における前記第1および第2物体位置の間の垂直物体長(H)とに基づいて、前記候補物体長(X)のひとつを演算する
請求項1から10の何れかの寸法測定装置(1,21,31,41)。
【請求項12】
前記フレーム(14)に対する第1および第2の非接触式距離測定センサ(6a,6b)の間の直線の角度(θ2)を、第1方向における前記第1および第2のセンサの間の距離(INT)と、前記第1方向に垂直な第2方向における前記第1および第2のセンサの間の距離(H)とに基づいて演算する角度演算部(10)と、
前記第1のセンサ(6a)によって前記第1間隔距離(Dα)が測定される前記第1測定線が、前記第2のセンサ(6b)によって前記第2間隔距離(Dβ)が測定される前記第2測定線と同一となるように、前記角度(θ2)に基づいて前記第1および第2のセンサ(6a,6b)の測定線の角度を各々が調節する複数のセンサ角度調節部(18a,18b)と
をさらに具備する請求項1から10の何れかの寸法測定装置(1,21,31,41)。
【請求項13】
フレーム(14)のサイズの調節を可能とするフレームサイズ調節機構(62,63a,63b)
をさらに具備する請求項1から12の何れかの寸法測定装置(1,21,31,41)。
【請求項14】
前記被測定物の基準位置(15b)に対する当該寸法測定装置の配置を容易にするために、前記フレーム(14)に配置されて前記被測定物(15)上に参照光を照射する参照光出射部(70)
をさらに具備する請求項1から13の何れかの寸法測定装置(1,21,31,41)。
【請求項15】
前記被測定物(15)に対する前記フレーム(14)の傾斜の調節を可能とするフレーム傾斜調節機構(80,82,84)
をさらに具備する請求項1から14の何れかの寸法測定装置。
【請求項16】
前記最大物体長(Lmax)を表示する表示部(4)と、
前記表示部が或る時間長にわたって前記最大物体長(Lmax)を保持するように前記表示部を制御する表示制御部(8)と
をさらに具備する請求項1から15の何れかの寸法測定装置。
【請求項17】
表示部(4)と、
複数の前記第1物体位置と複数の前記第2物体位置とによって画定される前記被測定物(15)の断面が2次元の画像として表示されるように、前記測定部にて測定された前記第1間隔距離(DA)および前記第2間隔距離(DB)とに基づいて前記表示部を制御する表示制御部(8)と
をさらに具備する請求項1から16の何れかの寸法測定装置。
【請求項18】
追加的測定部と被測定物端部検出部(11)と長さ演算部(10)とをさらに具備し、
前記追加的測定部は、前記フレーム(14)に支持された少なくともひとつの第3の非接触式距離測定センサ(6c)を有し、
前記第3のセンサは、光を出射し、当該第3のセンサの正面にある物(15,16)からの反射光を受け、前記第3のセンサから当該第3のセンサの正面の物までの距離に応じた信号を生成し、
前記第3のセンサは、当該第3のセンサと第3測定線上の被測定位置との間の第3間隔距離(DC)を測定し、
前記追加的測定部は、前記第1および第2の測定線が存在するのと同じ平面内に存在する複数の平行な第3測定線上における複数の被測定位置までの複数の第3間隔距離を測定し、
前記被測定物端部検出部は、前記複数の第3間隔距離に基づいて前記被測定物(15)の第1端(SE)および第2端(TE)を検出し、
前記長さ演算部は、前記被測定物の前記第1および第2端の間の前記被測定物の長さ(Lobj)を演算し、
前記最大値選択部(11)は、前記複数の候補物体長(L)のなかから最大値を選択することに代えてまたはこれに加えて、前記被測定物の長さ(Lobj)と複数の候補物体長(L)とのなかから最大物体長(Lmax)を選択する
請求項1から17の何れかの寸法測定装置(1,21,31,41)。
【請求項19】
支持部材(14,54)と測定部と被測定物端部検出部(11)と長さ演算部(10)とを具備する寸法測定装置(51)であって、
前記支持部材は、被測定物(15)の近傍に配置可能であり、
前記測定部は、前記支持部材に支持された少なくともひとつの非接触式距離測定センサ(6c)を有し、
前記センサは、光を出射し、当該センサの正面にある物(15,16)からの反射光を受け、前記センサから当該センサの正面の物までの距離に応じた信号を生成し、
前記センサは、当該センサと、測定線上の被測定位置との間の間隔距離(DC)を測定し、
前記測定部は、複数の平行な測定線上における複数の被測定位置までの複数の間隔距離(DC)を測定し、
前記被測定物端部検出部は、前記複数の間隔距離の各々に基づいて前記被測定物の第1端(SE)および第2端(TE)を検出し、
前記長さ演算部は、前記被測定物の前記第1および第2端(SE,TE)の間の前記被測定物の長さ(Lobj)を演算する
寸法測定装置。
【請求項20】
前記非接触式距離測定センサ(6c)を前記支持部材(14,54)に対して移動させる移動機構部(7c)をさらに具備し、
前記センサは、複数の平行な測定線上における複数の被測定位置までの複数の間隔距離(DC)を測定する
請求項19の寸法測定装置(51)。
【請求項21】
前記センサ(6c)が前記被測定物(15)の前記第1端(SE)を経過した後に当該センサが前記被測定物の前記第2端(TE)に到達したことを前記被測定物端部検出部(11)が検出すると、前記センサによる前記間隔距離(DC)の測定を停止させる測定終止部(9)
をさらに具備する請求項20の寸法測定装置(51)。
【請求項22】
前記被測定物端部検出部(11)は、前記センサ(6c)が、閾値を下回る間隔距離(DC)を測定するかエラー信号を出力した場合に、前記センサが前記被測定物(15)の前記第1端(SE)に到達したと判定し、
前記被測定物端部検出部(11)は、前記センサが、閾値を上回る間隔距離(DC)を測定するかエラー信号を出力した場合に、前記センサが前記被測定物の前記第2端(TE)に到達したと判定する
請求項20または21の寸法測定装置(51)。
【請求項23】
前記センサ(6c)の始動および停止を操作者が指示する操作部(5)と、
操作者が前記センサの始動を指示した場合に、前記センサによる前記間隔距離(DC)の測定を開始させる測定開始部(9)と、
操作者が前記センサの停止を指示した場合に、前記センサによる前記間隔距離の測定を停止させる測定終止部(9)と
をさらに具備する請求項19または20の寸法測定装置(51)。
【請求項24】
前記支持部材(14,54)のサイズの調節を可能とする支持部材サイズ調節機構(62,63a,63b)
をさらに具備する請求項19から23の何れかの寸法測定装置(51)。
【請求項25】
前記測定部は、前記支持部材(14,54)に固定的に支持され、複数の平行な測定線上における複数の被測定位置までの複数の間隔距離(DC)をそれぞれ測定する複数の前記非接触式距離測定センサ(6c)を具備する
請求項19の寸法測定装置(51)。
【請求項26】
前記支持部材(14)は、1辺が開いた形状であり、
前記支持部材は、一対の脚部(3a,3b)と前記一対の脚部を連結する連結部(2)とを有し、
前記非接触式距離測定センサ(6c)は前記連結部に支持される
請求項19から25の何れかの寸法測定装置(51)。
【請求項27】
前記被測定物の基準位置(15b)に対する当該寸法測定装置の配置を容易にするために、前記支持部材(14,54)に配置されて前記被測定物(15)上に参照光を照射する参照光出射部(70)
をさらに具備する請求項19から26の何れかの寸法測定装置(51)。
【請求項28】
前記被測定物(15)に対する前記支持部材(14)の傾斜の調節を可能とする支持部材傾斜調節機構(80,82,84)
をさらに具備する請求項19から27の何れかの寸法測定装置(51)。
【請求項29】
前記被測定物の長さを表示する表示する表示部(4)と、
前記表示部が或る時間長にわたって前記被測定物(15)の長さ(Lobj)を保持するように前記表示部を制御する表示制御部(8)と
をさらに具備する請求項19から28の何れかの寸法測定装置(51)。
【請求項30】
表示部(4)と、
複数の前記被測定位置が2次元の画像として表示されるように、前記測定部にて測定された複数の間隔距離(DC)に基づいて前記表示部を制御する表示制御部(8)と
をさらに具備する請求項19から29の何れかの寸法測定装置(51)。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−20436(P2008−20436A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−109893(P2007−109893)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】