説明

封止膜材料、封止膜及び用途

【課題】CVD装置に適した化合物を原料として、ガスバリア及び半導体用のバリア膜、エッチストップ膜、ハードマスク膜等として使用できる有機窒化ケイ素含有膜を形成し、それらの膜を用いたガスバリア膜及び半導体デバイスを提供する。
【解決手段】少なくとも一つの水素原子がケイ素原子に直結し、且つ少なくとも一つの水素原子が窒素原子に直結した構造を有する有機窒化ケイ素化合物(例えば、一般式(1)等で表される化合物)を原料として用い、化学気相成長法により封止膜を形成してガスバリア部材、FPDデバイス、半導体デバイス等に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機窒化ケイ素化合物から形成された封止膜及びその用途に関するものである。殊にプラズマ励起化学気相成長法(PECVD法:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition法)により成膜して得られた封止膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイ(以下、FPD)では、その表示パネルの基材としてガラス基板が用いられるが、薄膜化、軽量化、耐衝撃性向上、フレキシブル化、更には、ロールツーロールプロセスへの適応の観点から、透明プラスチック基板への代替要求が高まっている。また、プラスチック基板に有機半導体を用いて有機トランジスタを形成したり、LSI、Si薄膜太陽電池、有機色素増感太陽電池、有機半導体太陽電池を形成する試みがなされている。
【0003】
通常市販されているプラスチック基板に上記素子を形成した場合、液晶素子、有機EL素子、TFT素子、半導体素子、太陽電池等、形成された素子、デバイスが水、酸素に弱い為、ディスプレイの表示にダークスポットやドット抜けが発生したり、半導体素子、太陽電池が機能しなくなり、実用に耐えない。従って、プラスチック基板に水蒸気、酸素ガスに対するガスバリア性能を付与したガスバリアプラスチック基板が必要となる。一方、ガスバリア性能を付与した透明プラスチックフィルムは、食料品、医薬品、電子材料、電子部品の包装材料用途として、今後、不透明なアルミ箔ラミネートフィルムに変わって益々使用が拡大する方向にある。
【0004】
透明プラスチック基板や透明プラスチックフィルムに透明ガスバリア性能を付与する方法としては、物理的成膜法と化学気相成長法(以下、CVD法)がある。
【0005】
窒化炭素膜を利用した提案として特許文献1があり、メタンガスと窒素ガスを用いて窒化炭素膜をPECVD成膜し、ガラス基板と樹脂フィルムの密着層としている。また、トリメチルアミン等のアミン化合物を用いた窒化炭素膜のPECVD成膜については、特許文献2で開示されている。半導体分野においては、特許文献3でエチレンやアセチレン等の不飽和炭素化合物と窒素又はアンモニアを用いて窒化炭素薄膜を薄膜トランジスタの層間絶縁膜やゲート絶縁膜として用いることを提案している。更に特許文献4では、電界効果トランジスタのゲート絶縁膜としてCVD法で形成した窒化炭素膜を用いることを提案している。
【0006】
しかしながら、これらの窒化炭素膜の成膜方法は、原料が二成分系であり、できた膜の組成が一定にならない。特に窒素含有量が安定しなかったり、窒素含有量が少ないという問題点を有してした。更には、ガスバリア膜として使用するには、膜が十分に緻密でない為に水蒸気や酸素に対するガスバリア性能が不十分であったり、半導体用絶縁膜として使用する為には、絶縁特性が不十分である等の課題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−66664号公報
【特許文献2】特開平9−255314号公報
【特許文献3】特開2004−277882号公報
【特許文献4】特開2002−270834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、CVD装置に適した化合物を原料として、ガスバリア及び半導体用のバリア膜、エッチストップ膜、ハードマスク膜等として使用できる有機窒化ケイ素含有膜を形成し、それらの膜を用いたガスバリア膜及び半導体デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定の有機窒化ケイ素化合物を原料として用い、CVD法により封止膜を形成する方法が、ガスバリア用及び半導体デバイス用の緻密な膜を成膜するに好適な方法であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下のものである。
[1]少なくとも一つの水素原子がケイ素原子に直結し、且つ少なくとも一つの水素原子が窒素原子に直結した構造を有する有機窒化ケイ素化合物を原料として用い、化学気相成長法により得られる膜から成ることを特徴とする封止膜。
[2]上記有機窒化ケイ素化合物が、下記一般式(1)
【0011】
【化1】

(式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。nは1乃至10の整数を表す。)
で示される鎖状または環状構造を有する化合物である、上述の[1]に記載の封止膜。
[3]上記有機窒化ケイ素化合物が、下記一般式(2)
【0012】
【化2】

(式中、RとRは炭素数1〜20の炭化水素基を表し、RとRは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。xは1乃至10の整数を表す。)
で示される鎖状化合物である、上述の[1]または[2]に記載の封止膜。
[4]上記有機窒化ケイ素化合物が、下記一般式(3)
【0013】
【化3】

(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、yは2乃至10の整数を表す。)
で示される環状化合物である、上述の[1]または[2]に記載の封止膜。
[5]化学気相成長法が、プラズマ励起化学気相成長法である、上述の[1]乃至[4]のいずれかに記載の封止膜。
[6]化学気相成長法が、触媒化学気相成長法である、上述の[1]乃至[4]のいずれかに記載の封止膜。
[7]上述の[1]〜[6]のいずれかに記載の封止膜を、さらに熱処理、紫外線照射処理または電子線処理して得られることを特徴とする封止膜。
[8]上述の[1]〜[7]のいずれかに記載の封止膜をガスバリア層として用いることを特徴とするガスバリア部材。
[9]上述の[1]〜[7]のいずれかに記載の封止膜を含んでなることを特徴とするフラットパネルディスプレイデバイス。
[10]上述の[1]〜[7]のいずれかに記載の封止膜を含んでなることを特徴とする半導体デバイス。
[11]一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物を含有することを特徴とする化学気相成長法用の封止膜材料。
[12]一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物が、一般式(2)で示される鎖状化合物である上述の[11]に記載の封止膜材料。
[13]一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物が、一般式(3)で示される環状化合物である上述の[11]に記載の封止膜材料。
[14]ケイ素、炭素および窒素を含有し、表面の組成が原子比でケイ素1.0に対し、窒素含有量が0.2以上1.33以下、炭素含有量が0以上1.0以下であり、かつ赤外吸収スペクトルの1200〜1300cm−1及び2800〜3200cm−1の吸収が実質的に検出限界以下である、上述の[1]〜[7]いずれかに記載の封止膜。
[15]水透過性が5.0×10−3g/m・day以下である、上述の[1]〜[7]、[14]いずれかに記載の封止膜。
【0014】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0015】
本発明において、CVD法の原料として使用できる少なくとも一つの水素原子がケイ素に直結し、且つ少なくとも一つの水素原子が窒素原子に直結した構造を有する有機窒化ケイ素化合物は特に限定されるものではないが、前述の一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物が好ましい。
【0016】
上記一般式(1)おいて、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、このうち炭化水素基は飽和または不飽和のいずれでもよく、また直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの構造を有してよい。また、Rどうしが互いに結合したものも本発明の範囲に含まれる。炭素数が20を超える場合は、対応する有機ハライド等原料の調達が困難となったり、調達できたとしても純度が低い場合がある。
【0017】
としては、CVD法装置での安定的使用を考慮した場合、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、好ましくは水素または炭素数1〜10の飽和または不飽和炭化水素基であり、例えば、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルケニル基、アリールアルケニル基、アルケニルアリール基、アルキニル基、アリールアルキニル基、アルキニルアリール基を挙げることができる。Rどうしは同一であっても異なっても良い。
【0018】
の具体的な例としては、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、tert.−アミル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、1−アダマンチル等のアルキル基、
フェニル、ジフェニル、ナフチル等のアリール基、ベンジル、メチルベンジル等のアリールアルキル基、
o−トルイル、m−トルイル、p−トルイル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、o−エチルフェニル、m−エチルフェニル、p−エチルフェニル等のアルキルアリール基、
ビニル、アリル、1−プロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、シクロブテニル、1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、1−ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、2,4−シクロヘキサジエニル、2,5−シクロヘキサジエニル、2,4,6−シクロヘプタトリエニル、5−ノルボルネン−2−イル等のアルケニル基、
2−フェニル−1−エテニル等のアリールアルケニル基、
o−スチリル,m−スチリル,p−スチリル等のアルケニルアリール基、
エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル,2−ブチニル,3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のアルキニル基、
2−フェニル−1−エチニル等のアリールアルキニル基、
2−エチニル−2フェニル等のアルキニルアリール基
からなる群から選ばれた少なくとも一種を挙げることができる。
【0019】
特に好ましくは、水素原子または炭素数1〜4の飽和炭化水素基であり、具体的には水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチルである。中でも、メチル、エチル、i−プロピルがとりわけ好ましい。
【0020】
上記一般式(1)おいてnは、nは1乃至10の整数を表す。好ましくは、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、nが1〜6の整数である。特に好ましくは、nが1〜4の整数である。とりわけn=1,2が好ましい。
【0021】
上記一般式(1)の例としては、前述の一般式(2)で示される鎖状化合物を挙げることができる。
【0022】
上記一般式(2)おいて、RとRは、上記のRと同様の炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状構造を有する飽和または不飽和炭化水素基を用いることができる。RとRは、上記のRと同様の水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状構造を有する飽和または不飽和炭化水素基を用いることができる。また、RとR、RとRどうしが互いに結合したものも本発明の範囲に含まれる。炭素数が20を超える場合は、対応する有機ハライド等原料の調達が困難となったり、調達できたとしても純度が低い場合がある。化学気相成長法装置での安定的使用を考慮した場合、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、R〜Rは炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の飽和炭化水素基が更に好ましく、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチルである。特にR〜Rはメチル、エチル、i−プロピルが好ましい。
【0023】
とR、RとRどうしは同一であっても異なっても良い。
【0024】
上記一般式(2)おいてxは、1乃至10の整数を表す。好ましくは、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、xが1〜6の整数である。特に好ましくは、xが1〜4の整数である。とりわけx=1,2が好ましい。
【0025】
一般式(2)で示される化合物の具体例としては、
1−メチルジシラザン、1,1−ジメチルジシラザン、1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3−トリメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン
1−メチルトリシラザン、3−メチルトリシラザン、1,3−ジメチルトリシラザン、1,5−ジメチルトリシラザン、1,1,3−トリメチルトリシラザン、1,3,5−トリメチルトリシラザン、1,1,3,5−テトラメチルトリシラザン、1,1,5,5−テトラメチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシラザン、
1−メチルテトラシラザン、3−メチルテトラシラザン、1,1−ジメチルテトラシラザン、1,3−ジメチルテトラシラザン、1,5−ジメチルテトラシラザン、1,7−ジメチルテトラシラザン、1,1,3−トリメチルテトラシラザン、1,1,5−トリメチルテトラシラザン、1,1,7−トリメチルテトラシラザン、1,3,5−トリメチルテトラシラザン、1,3,7−トリメチルテトラシラザン、1,1,3,5−テトラメチルテトラシラザン、1,1,3,7−テトラメチルテトラシラザン、1,1,7,7−テトラメチルテトラシラザン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシラザン、1,1,3,5,7−ペンタメチルテトラシラザン、1,1,3,7,7−ペンタメチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサメチルテトラシラザンがあげられる。
【0026】
また1−メチルペンタシラザン、3−メチルペンタシラザン、5−メチルペンタシラザン、1,1−ジメチルペンタシラザン、1,3−ジメチルペンタシラザン、1,5−ジメチルペンタシラザン、1,7−ジメチルペンタシラザン、1,9−ジメチルペンタシラザン、1,1,3−トリメチルペンタシラザン、1,1,5−トリメチルペンタシラザン、1,1,7−トリメチルペンタシラザン、1,1,9−トリメチルペンタシラザン、1,3,5−トリメチルペンタシラザン、1,3,7−トリメチルペンタシラザン、1,3,9−トリメチルペンタシラザン、3,5,9−トリメチルペンタシラザン、1,1,3,5−テトラメチルペンタシラザン、1,1,3,7−テトラメチルペンタシラザン、1,1,3,9−テトラメチルペンタシラザン、1,1,5,7−テトラメチルペンタシラザン、1,1,5,9−テトラメチルペンタシラザン、1,1,7,9−テトラメチルペンタシラザン、1,3,5,7−テトラメチルペンタシラザン、1,3,5,9−テトラメチルペンタシラザン、1,5,7,9−テトラメチルペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタメチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9−ヘキサメチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタメチルペンタシラザンがあげられる。
【0027】
また1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタメチルヘキサシラザン、
1,3,5,7,9,11,13−ヘプタメチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナメチルヘプタシラザン、
1,3,5,7,9,11,13,15−オクタメチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカメチルオクタシラザン、
1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナメチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカメチルノナシラザン、
1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカメチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカメチルデカシラザン、1,3−ジエチルジシラザン、1,3−ジエチル−1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラエチルジシラザン、1,3,5−トリエチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタエチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラエチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサエチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタエチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタエチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサエチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタエチルヘキサシラザンがあげられる。
【0028】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタエチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナエチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタエチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカエチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナエチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカエチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカエチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカエチルデカシラザン、
1,3−ジn−プロピルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−プロピルジシラザン、1,3,5−トリn−プロピルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−プロピルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−プロピルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−プロピルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−プロピルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−プロピルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−プロピルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタn−プロピルヘキサシラザンがあげられる。
【0029】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタn−プロピルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナn−プロピルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタn−プロピルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカn−プロピルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナn−プロピルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカn−プロピルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカn−プロピルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカn−プロピルデカシラザン、
1,3−ジイソプロピルジシラザン、1,3−ジイソプロピル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジイソプロピル−1,3−ジエチルジシラザン、1,1,3,3−テトライソプロピルジシラザン、1,3,5−トリイソプロピルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタイソプロピルトリシラザン、1,3,5,7−テトライソプロピルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサイソプロピルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタイソプロピルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタイソプロピルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサイソプロピルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタイソプロピルヘキサシラザンがあげられる。
【0030】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタイソプロピルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナイソプロピルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタイソプロピルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカイソプロピルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナイソプロピルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカイソプロピルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカイソプロピルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカイソプロピルデカシラザン、
1,3−ジn−ブチルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−ブチルジシラザン、1,3,5−トリn−ブチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−ブチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ブチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−ブチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ブチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−ブチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ブチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタn−ブチルヘキサシラザンがあげられる。
【0031】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタn−ブチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナn−ブチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタn−ブチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカn−ブチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナn−ブチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカn−ブチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカn−ブチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカn−ブチルデカシラザン、
1,3−ジイソブチルジシラザン、1,1,3,3−テトライソブチルジシラザン、1,3,5−トリイソブチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタイソブチルトリシラザン、1,3,5,7−テトライソブチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサイソブチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ブチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタイソブチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサイソブチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタイソブチルヘキサシラザンがあげられる。
【0032】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタイソブチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナイソブチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタイソブチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカイソブチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナイソブチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカイソブチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカイソブチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカイソブチルデカシラザン、
1,3−ジsec.−ブチルジシラザン、1,3−ジsec.−ブチル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジsec.−ブチル−1,3−ジエチルジシラザン、1,1,3,3−テトラsec.−ブチルジシラザン、1,3,5−トリsec.−ブチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタsec.−ブチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラsec.−ブチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサsec.−ブチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタsec.−ブチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタsec.−ブチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサsec.−ブチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタsec.−ブチルヘキサシラザンがあげられる。
【0033】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタsec.−ブチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナsec.−ブチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタsec.−ブチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカsec.−ブチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナsec.−ブチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカsec.−ブチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカsec.−ブチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカsec.−ブチルデカシラザンがあげられる。
【0034】
また、1,3−ジtert.−ブチルジシラザン、1,3−ジtert.−ブチル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジtert.−ブチル−1,3−ジエチルジシラザン、1,1,3,3−テトラtert.−ブチルジシラザン、1,3,5−トリtert.−ブチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタtert.−ブチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−ブチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサtert.−ブチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタtert.−ブチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタtert.−ブチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサtert.−ブチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタtert.−ブチルヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタtert.−ブチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナtert.−ブチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタtert.−ブチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカtert.−ブチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナtert.−ブチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカtert.−ブチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカtert.−ブチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカtert.−ブチルデカシラザンがあげられる。
【0035】
また1,3−ジn−ペンチルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−ペンチルジシラザン、1,3,5−トリn−ペンチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−ペンチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ペンチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−ペンチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ペンチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−ペンチルペンタシラザン、
1,3−ジtert.−アミルジシラザン、1,1,3,3−テトラtert.−アミルジシラザン、1,3,5−トリtert.−アミルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタtert.−アミルトリシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−アミルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサtert.−アミルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタtert.−アミルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタtert.−アミルペンタシラザン、
1,3−ジシクロペンチルジシラザン、1,1,3,3−テトラシクロペンチルジシラザン、1,3,5−トリシクロペンチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタシクロペンチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラシクロペンチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサシクロペンチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタシクロペンチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタシクロペンチルペンタシラザンがあげられる。
【0036】
また1,3−ジn−ヘキシルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−ヘキシルジシラザン、1,3,5−トリn−ヘキシルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−ヘキシルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ヘキシルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−ヘキシルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ヘキシルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−ヘキシルペンタシラザン、
1,3−ジシクロヘキシルジシラザン、1,3−ジシクロヘキシル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジシクロヘキシル−1,3−ジエチルジシラザン、1,1,3,3−テトラシクロヘキシルジシラザン、1,3,5−トリシクロヘキシルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタシクロヘキシルトリシラザン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサシクロヘキシルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタシクロヘキシルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタシクロヘキシルペンタシラザン、
1,3−ジn−ヘプチルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−へプチルジシラザン、1,3,5−トリn−へプチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−へプチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−へプチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−へプチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−へプチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−へプチルペンタシラザンがあげられる。
【0037】
また1,3−ジアダマンチルジシラザン、1,1,3,3−テトラアダマンチルジシラザン、1,3,5−トリアダマンチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタアダマンチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラアダマンチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサアダマンチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタアダマンチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタアダマンチルペンタシラザン、
1,3−ジビニルジシラザン、1,3−ジビニル−1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラビニルジシラザン、1,3,5−トリビニルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタビニルトリシラザン、1,3,5,7−テトラビニルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサビニルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタビニルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタビニルペンタシラザンがあげられる。
【0038】
また1,3−ジフェニルジシラザン、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラフェニルジシラザン、1,3,5−トリフェニルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシラザン、1,3,5,7−テトラフェニルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサフェニルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタフェニルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタフェニルペンタシラザン、
1,3,5−トリトルイルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタトルイルトリシラザン、1,3,5,7−テトラトルイルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサトルイルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタトルイルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタトルイルペンタシラザン、
を挙げることができる。
【0039】
一般式(2)で表される化合物としては、高蒸気圧及び生成薄膜の炭素含有量の低減の観点から、好ましくは上記のジシラザン類及びトリシラザン類であり、更に好ましくは、1,1−ジメチルジシラザン、1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3−トリメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザンである。
【0040】
更に上記一般式(1)の例としては、前述の一般式(3)で示される環状化合物を挙げることができる。
【0041】
上記一般式(3)おいて、Rは、上記のRと同様の水素原子または炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状構造を有する飽和または不飽和炭化水素基を用いることができる。また、Rどうしが互いに結合したものも本発明の範囲に含まれる。炭素数が20を超える場合は、対応する有機ハライド等原料の調達が困難となったり、調達できたとしても純度が低い場合がある。CVD装置での安定的使用を考慮した場合、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、Rは炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の飽和炭化水素基がさらに好ましく、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチルである。特にRはメチル、エチル、またはi−プロピルが好ましい。
【0042】
どうしは同一であっても異なっても良い。
【0043】
上記一般式(3)おいてyは、2乃至10の整数を表す。好ましくは、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、yが2〜6の整数である。特に好ましくは、yが3,4である。
【0044】
一般式(3)で示される化合物の具体例としては、
1−メチルシクロジシラザン、1,3−ジメチルシクロジシラザン、1−メチルシクロトリシラザン、1,3−ジメチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリメチルシクロトリシラザン、1−メチルシクロテトラシラザン、1,3−ジメチルシクロテトラシラザン、1,5−ジメチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリメチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザン、1,3−ジメチルシクロペンタシラザン、1,5−ジメチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリメチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリメチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラメチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシラザン、
1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタメチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタメチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナメチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカメチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0045】
また1−エチルシクロジシラザン、1,3−ジエチルシクロジシラザン、1−エチルシクロトリシラザン、1,3−ジエチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリエチルシクロトリシラザン、1−エチルシクロテトラシラザン、1,3−ジエチルシクロテトラシラザン、1,5−ジエチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリエチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラエチルシクロテトラシラザン、1,3−ジエチルシクロペンタシラザン、1,5−ジエチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリエチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリエチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラエチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタエチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサエチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタエチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタエチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナエチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカエチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0046】
また1−n−プロピルシクロジシラザン、1,3−ジn−プロピルシクロジシラザン、1−n−プロピルシクロトリシラザン、1,3−ジn−プロピルシクロトリシラザン、1,3,5−トリn−プロピルシクロトリシラザン、1−n−プロピルシクロテトラシラザン、1,3−ジn−プロピルシクロテトラシラザン、1,5−ジn−プロピルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリn−プロピルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラn−プロピルシクロテトラシラザン、1,3−ジn−プロピルシクロペンタシラザン、1,5−ジn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−プロピルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタn−プロピルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタn−プロピルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナn−プロピルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカn−プロピルシクロデカシラザンがあげられる。
【0047】
また1−イソプロピルシクロジシラザン、1,3−ジイソプロピルシクロジシラザン、1−イソプロピルシクロトリシラザン、1,3−ジイソプロピルシクロトリシラザン、1,3,5−トリイソプロピルシクロトリシラザン、1−イソプロピルシクロテトラシラザン、1,3−ジイソプロピルシクロテトラシラザン、1,5−ジイソプロピルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリイソプロピルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトライソプロピルシクロテトラシラザン、1,3−ジイソプロピルシクロペンタシラザン、1,5−ジイソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリイソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリイソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトライソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタイソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサイソプロピルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタイソプロピルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタイソプロピルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナイソプロピルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカイソプロピルシクロデカシラザンがあげられる。
【0048】
また1−n−ブチルシクロジシラザン、1,3−ジn−ブチルシクロジシラザン、1−n−ブチルシクロトリシラザン、1,3−ジn−ブチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリn−ブチルシクロトリシラザン、1−n−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジn−ブチルシクロテトラシラザン、1,5−ジn−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリn−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラn−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジn−ブチルシクロペンタシラザン、1,5−ジn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ブチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタn−ブチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタn−ブチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナn−ブチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカn−ブチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0049】
また1−イソブチルシクロジシラザン、1,3−ジイソブチルシクロジシラザン、1−イソブチルシクロトリシラザン、1,3−ジイソブチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリイソブチルシクロトリシラザン、1−イソブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジイソブチルシクロテトラシラザン、1,5−ジイソブチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリイソブチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトライソブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジイソブチルシクロペンタシラザン、1,5−ジイソブチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリイソブチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリイソブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトライソブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタイソブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサイソブチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタイソブチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタイソブチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナイソブチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカイソブチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0050】
また1−sec.−ブチルシクロジシラザン、1,3−ジsec.−ブチルシクロジシラザン、1−sec.−ブチルシクロトリシラザン、1,3−ジsec.−ブチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリsec.−ブチルシクロトリシラザン、1−sec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジsec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,5−ジsec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリsec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラsec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,5−ジsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサsec.−ブチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタsec.−ブチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタsec.−ブチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナsec.−ブチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカsec.−ブチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0051】
また1−tert.−ブチルシクロジシラザン、1,3−ジtert.−ブチルシクロジシラザン、1−tert.−ブチルシクロトリシラザン、1,3−ジtert.−ブチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリtert.−ブチルシクロトリシラザン、1−tert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジtert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,5−ジtert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリtert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,5−ジtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサtert.−ブチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタtert.−ブチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタtert.−ブチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナtert.−ブチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカtert.−ブチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0052】
また1,3−ジn−ペンチルシクロジシラザン、1,3,5−トリn−ペンチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ペンチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ペンチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ペンチルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジシクロペンチルシクロジシラザン、1,3,5−トリシクロペンチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラシクロペンチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタシクロペンチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサシクロペンチルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジtert.−アミルシクロジシラザン、1,3,5−トリtert.−アミルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−アミルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタtert.−アミルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサtert.−アミルシクロヘキサシラザンがあげられる。
【0053】
また1,3−ジn−ヘキシルシクロジシラザン、1,3,5−トリn−ヘキシルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ヘキシルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ヘキシルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ヘキシルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジシクロヘキシルシクロジシラザン、1,3,5−トリシクロヘキシルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタシクロヘキシルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサシクロヘキシルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジn−ヘプチルシクロジシラザン、1,3,5−トリn−ヘプチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ヘプチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ヘプチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ヘプチルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジアダマンチルシクロジシラザン、1,3,5−トリアダマンチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラアダマンチチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタアダマンチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサアダマンチルシクロヘキサシラザンがあげられる。
【0054】
また1,3−ジビニルシクロジシラザン、1,3,5−トリビニルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタビニルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジフェニルシクロジシラザン、1,3,5−トリフェニルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサフェニルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジトルイルシクロジシラザン、1,3,5−トリトルイルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラトルイニルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタトルイルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサトルイルシクロヘキサシラザン
を挙げることができる。
【0055】
一般式(3)で表される化合物としては、高蒸気圧及び生成薄膜の炭素含有量の低減の観点から、好ましくは上記のシクロトリサラザン類、シクロテトラシラザン類であり、更に好ましくは1,3,5−トリメチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラメチルシクロペンタシラザンである。
【0056】
上記一般式(1)〜(3)の有機窒化ケイ素化合物の製造法は、特に限定されるものではないが、例えば、水素原子、炭化水素基置換ハロゲン化シラン化合物とアンモニアガスとを反応させ製造する方法、ハロゲン化シラン化合物と金属アミドとを反応させ製造する方法等を用いることができる。
【0057】
この際、ハロゲン化シラン化合物それ自身を反応媒体としてもよいが、不活性溶媒を反応媒体として用いることもできる。使用できる反応溶媒は、当該技術分野で使用されるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン、デセン−1等の不飽和炭化水素類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、tert.−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類を使用することができる。
【0058】
製造の際の反応の温度については、通常、工業的に使用されている温度である−100〜200℃の範囲、好ましくは、−85〜150℃の範囲で行うことが好ましい。反応の圧力条件は、加圧下、常圧下、減圧下いずれであっても可能である。
【0059】
合成した有機窒化ケイ素化合物の精製法については、ガラスフィルター、焼結多孔体等を用いた濾過、常圧もしくは減圧蒸留又はシリカ、アルミナ、高分子ゲルを用いたカラム分離等の精製手段を用いることができる。この際、必要に応じてこれらの手段を組合わせて使用してもよい。
【0060】
製造に際しては、当該有機金属化合物合成分野での方法に従う。すなわち、脱水及び脱酸素された窒素又はアルゴン雰囲気下で行い、使用する溶媒及び精製用のカラム充填剤等は、予め脱水操作を施しておくことが好ましい。また、金属残渣及びパーティクル等の不純物も除去しておくことが好ましい。
【0061】
本発明において、一般式(1)〜(3)で示される鎖状または環状構造を有する化合物は、CVD法用の封止膜材料として用いることができる。
【0062】
本発明では、有機窒化ケイ素化合物はCVD法により成膜され、封止膜として用いることができる。封止膜としては、ケイ素、炭素および窒素を含有し、表面の組成が原子比でケイ素1.0に対し、窒素含有量が0.2以上1.33以下、炭素含有量が0以上1.0以下であり、かつ赤外吸収スペクトルの1200〜1300cm−1及び2800〜3200cm−1の吸収が実質的に検出限界以下である膜を得ることができる。このとき、膜の表面の組成は、XPS等で測定することができる。
【0063】
または赤外吸収スペクトルにおいて、1200〜1300cm−1の吸収は、Si−メチルの結合に由来するものであり、また2800〜3200cm−1の吸収は、結合末端の炭化水素基の存在を示すものであるから、それらがいずれも実質的に検出限界以下であるということは、膜中の炭化水素基はすべて架橋に関与していて、結合末端として検出されるほど存在していないことを意味するものである。
【0064】
なお本発明において、赤外吸収スペクトルの特定領域の吸収が実質的に検出限界以下であるとは、赤外吸収スペクトルのチャートを目視したときに、その吸収が観察されないことを示すものである。
【0065】
さらに本発明によれば、水透過性が5.0×10−3g/m・day以下という、水透過性の極めて低い封止膜を得ることができる。
【0066】
本発明で成膜に用いられるCVD法としては、例えばPECVD法または触媒化学気相成長法(Cat.CVD法)が挙げられる。PECVD法の種類及び用いる装置は特に限定されるものではないが、このPECVD法は半導体製造分野、液晶ディスプレイ製造分野、ロールツーロール方式高分子フィルムの表面処理分野等の当該技術分野で一般的に用いられるものが使用される。
【0067】
本発明では、PECVD装置において、有機窒化ケイ素化合物を気化器により気化させて成膜チャンバー内に導入し、高周波電源により成膜チャンバー内の電極に印加しプラズマを発生させ、成膜チャンバー内のシリコン基板等にPECVD薄膜を形成させることができる。この際、プラズマを発生させる目的で、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオン、キセノン等の不活性ガス、窒化炭素の窒素含有量を向上させる目的でアンモニア、ヒドラジン、窒素等の窒素系ガスを有機窒化ケイ素化合物と共に導入することも本発明の範囲に入る。
【0068】
PECVD装置のプラズマ発生方法については特に限定されず、当該技術で使用されている誘導結合型プラズマ、容量結合型プラズマ、ECRプラズマ等を用いることができる。またプラズマ発生源としては平行平板型、アンテナ型等の種々のものが使用でき、大気圧PECVD、減圧PECVD、加圧PECVD等いずれの圧力条件下のPECVDでも用いることができる。
【0069】
この際のPECVD条件としては特に限定はないが、1.0W〜10000Wが好ましく、1.0W〜2000Wの範囲で行うことが更に好ましい。
【0070】
具体的にPECVD装置として、図1の1に平行平板容量結合型PECVD装置を示す。図1に示す平行平板容量結合型PECVD装置は、PECVD装置チャンバー内にシャワーヘッド上部電極と基板の温度制御が可能な下部電極、原料化合物をチャンバーに気化供給する気化器装置と高周波電源とマッチング回路から成るプラズマ発生装置、真空ポンプから成る排気系から成る。
【0071】
PECVD装置1は、PECVDチャンバー2、原料化合物をチャンバー内に均一に供給する為のシャワーヘッドを有する上部電極3、Si基板等の薄膜形成用基板5を設置する為の温度制御装置8を有する下部電極4、原料化合物を気化させるための気化装置9〜15、プラズマ発生源であるマッチング回路6とRF電源7、チャンバー内の未反応物及び副生物を排気する為の排気装置16から成る。17,18は、アースである。
【0072】
プラズマ発生源であるマッチング回路6とRF電源7は上部電極3に接続され、放電によりプラズマを発生させる。RF電源7の規格については特に限定されないが、当該技術分野で使用される電力が1W〜2000W、好ましくは10W〜1000W、周波数が50kHz〜2.5GHz、好ましくは100kHz〜100MHz、特に好ましくは200kHz〜50MHzのRF電源を用いることができる。
【0073】
基板温度の制御は特に限定されるものでは無いが、−90〜1000℃、好ましくは0℃〜500℃の範囲である。
【0074】
気化装置は、常温常圧で液体である原料化合物13を充填し、ディップ配管と上記不活性ガスにより加圧する配管15を備えている容器12、液体である原料化合物13の流量を制御する液体流量制御装置10、液体である原料化合物13を気化させる気化器9、上記不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管14とその流量を制御する気体流量制御装置11からなる。本気化装置は、気化器9からシャワーヘッドを備えた上部電極3に配管接続されている。
【0075】
原料化合物のチャンバー内への気化供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。また上記不活性ガスの供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。
【0076】
具体的にPECVD装置として、図2の19に誘導結合型リモートPECVD装置を示す。図2に示す誘導結合型リモートPECVD装置は、PECVD装置チャンバー上部の石英の周りにコイル状に巻かれたプラズマ発生部、温度制御が可能な基板設置部、原料化合物をチャンバーに気化供給する気化器装置と高周波電源とマッチング回路から成るプラズマ発生装置、真空ポンプから成る排気系から成る。
【0077】
PECVD装置19は、PECVDチャンバー20、プラズマ発生部であるコイル21と石英管22、Si基板等の薄膜形成用基板24を設置する為のヒーター部23と温度制御装置27、原料化合物を気化させるための気化装置28〜35、プラズマ発生源であるマッチング回路25とRF電源26、チャンバー内の未反応物及び副生物を排気する為の排気装置36から成る。37はアースである。
【0078】
プラズマ発生部である石英周りのコイルはマッチング回路25に接続され、石英管中にRF電流によるアンテナ電流磁界で放電させ、プラズマを発生させる。RF電源26の規格については特に限定されないが、当該技術分野で使用される電力が1W〜2000W、好ましくは10W〜1000W、周波数が50kHz〜2.5GHz、好ましくは100kHz〜100MHz、特に好ましくは200kHz〜50MHzのRF電源を用いることができる。
【0079】
基板温度の制御は特に限定されるものでは無いが、−90〜1000℃、好ましくは0℃〜500℃の範囲である。
【0080】
気化装置は、常温常圧で液体である原料化合物33を充填し、ディップ配管と上記不活性ガスにより加圧する配管35を備えている容器32、液体である原料化合物33の流量を制御する液体流量制御装置29、液体である原料化合物33を気化させる気化器28、上記不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管34とその流量を制御する気体流量制御装置30と不活性ガスとガス化した原料化合物33をチャンバー内に均一に供給する為のシャワーヘッド31から成る。
【0081】
原料化合物のチャンバー内への気化供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。また、上記不活性ガスの供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。
【0082】
原料化合物は、上記で例示したPECVD装置を用いて、不活性ガスとガス化した原料化合物、またはガス化した原料化合物をチャンバー内に供給し、RF電源による放電によりプラズマを発生させ、温度制御された基板上に成膜される。この際のチャンバー内の圧力は特に限定されるものではないが、0.1Pa〜10000Pa、好ましくは1Pa〜5000Paである。
【0083】
具体的にPECVD装置として、図3の38にマイクロ波PECVD装置を示す。石英製チャンバー39、Si基板等の薄膜形成用基板40を設置する為のヒーター部41と温度制御装置42、原料化合物を気化させるための気化装置43〜50、マイクロ波発生源であるマッチング回路51とマイクロ波発信器52、及びマイクロ波反射板53、チャンバー内の未反応物及び副生物を排気する為の排気装置54から成る。
【0084】
マイクロ波発生源であるマッチング回路51とマイクロ波発信器52は、石英チャンバーに接続され、マイクロ波を石英チャンバー内に照射することでプラズマを発生させる。マイクロ波の周波数については特に限定されないが、当該技術分野で使用される周波数1MHz〜50GHz、好ましくは0.5GHz〜10GHz、特に好ましくは1GHz〜5MHzのマイクロ波を用いることができる。また、そのマイクロ波出力については、0.1W〜20000W、好ましくは1W〜10000Wを用いることができる。
【0085】
基板温度の制御は特に限定されるものでは無いが、−90〜1000℃、好ましくは0℃〜500℃の範囲である。
【0086】
気化装置は、常温常圧で液体である原料化合物48を充填し、ディップ配管と上記不活性ガスにより加圧する配管50を備えている容器47、液体である原料化合物48の流量を制御する液体流量制御装置44、液体である原料化合物48を気化させる気化器43、上記不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管49とその流量を制御する気体流量制御装置45と不活性ガスとガス化した原料化合物48をチャンバー内に均一に供給する為のシャワーヘッド46から成る。
【0087】
原料化合物のチャンバー内への気化供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。また上記不活性ガスの供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。
【0088】
原料化合物は、上記で例示したPECVD装置を用いて、不活性ガスとガス化した原料化合物、またはガス化した原料化合物をチャンバー内に供給し、マイクロ波の照射によりプラズマを発生させ、温度制御された基板上に成膜される。この際のチャンバー内の圧力は特に限定されるものではないが、0.1Pa〜10000Pa、好ましくは1Pa〜5000Paである。
【0089】
本発明では、上述の有機窒化ケイ素化合物から得られる封止膜を、熱処理、紫外線照射処理、電子線処理することすることにより、緻密化もしくは機械的強度が向上した封止膜を得ることができる場合があり、本処理で得られた膜はガスバリア膜として好適なものとなる場合がある。
【0090】
本発明の封止膜は、ガスバリア層として用いることができ、ガスバリア部材として有用である。また、本発明の封止膜を含んでなるFPDデバイスまたは半導体デバイスも好適に使用できる。
【発明の効果】
【0091】
本発明によれば、少なくとも一つの水素原子がケイ素原子に直結し、且つ少なくとも一つの水素原子が窒素原子に直結した構造を有する有機窒化ケイ素化合物を原料としてCVD法により得られる膜は封止膜として用いることができ、ガスバリアフィルム、ガスバリア基板用のガスバリア層として緻密かつ高機械的強度の材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】平行平板容量結合型PECVD装置を示した図である。
【図2】誘導結合型リモートPECVD装置を示した図である。
【図3】マイクロ波PECVD装置を示した図である。
【実施例】
【0093】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0094】
膜厚測定は、株式会社アルバック製の触針式表面形状測定器デックタック(Dektak)6Mを用いた。酸素透過性は、JIS K 7126−1法により、水透過性は、JIS K 7129A法、又はJIS K 7129 C法により測定した。全光線透過率は、JIS K 7361−1法により測定した。線膨張係数は、オーブン中で無荷重状態のフィルムサンプルを室温から240℃まで5deg./min.で昇温し、この間のフィルム長さの変化をCCDカメラにより測定することで算出した。表面粗さは、Veecoo社製走査型プローブ顕微鏡 NanoScopeIIIaを用い、タッピングモードAFMにて測定した。また、イエローインデックスは、日本電色社製ZE2000を用い、JIS Z−8722に準拠し、測定した。
【0095】
実施例1(容量結合型PECVD装置による1,1,3,3−テトラメチルジシラザンを用いた封止膜の成膜)
図1に示した容量結合型PECVD装置を用いてポリエチレンナフタレートフィルム基板上に成膜した。成膜条件は、気化させた1,1,3,3−テトラメチルジシラザンの流量50sccm、ヘリウムガスの流量50sccm、チャンバー内圧133Pa、基板温度室温、RF電源電力200W、RF電源周波数13.56MHzの条件で5分間成膜した。
【0096】
結果は、膜厚3190nmであった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性0.70cc/m・day、水透過性0.12g/m・dayであった。また全光線透過率は91.7%、線膨張係数は12ppm/deg.、表面粗さは0.5nmであった。また、イエローインデクスは、1.0であった。
【0097】
実施例2(容量結合型PECVD装置による1,1,3,3−テトラメチルジシラザンを用いた封止膜の成膜)
実施例1においてヘリウムガスの流量50sccmに変えてヘリウムガスの流量50sccm、酸素50sccmとしたこと以外は、実施例1と同様にして封止膜を成膜した。
【0098】
結果は、膜厚4360nmであった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性0.35cc/m・day、水透過性0.01g/m・dayであった。また全光線透過率は91.8%、線膨張係数は11ppm/deg.、表面粗さは0.6nmであった。また、イエローインデクスは、0.4であった。
【0099】
実施例3(容量結合型PECVD装置による1,1,3,3−テトラメチルジシラザンを用いた封止膜の成膜)
実施例1においてヘリウムガスの流量50sccmに変えて酸素100sccmとし、0.5分間成膜たこと以外は、実施例1と同様にして封止膜を成膜した。
【0100】
結果は、膜厚385nmであった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性0.01cc/m・day、水透過性0.0060g/m・dayであった。また全光線透過率は92.0%、線膨張係数は11ppm/deg.、表面粗さは0.4nmであった。また、イエローインデクスは、0.4であった。
【0101】
また、形成された封止膜の組成をXPSにより測定したところ、Si=24atom%、O=53atom%、C=18atom%、N=5atom%であった。また、赤外吸収スペクトル分析で1200〜1300cm−1および2800〜3200cm−1の吸収が実質的に検出限界以下であることを確認した。
【0102】
比較例1(容量結合型PECVD装置によるヘキサメチルジシラザンを用いた炭素含有酸化ケイ素封止膜の成膜)
図1に示した容量結合型PECVD装置を用いてポリエチレンナフタレートフィルム基板上に成膜した。成膜条件は、気化させたヘキサメチルジシラザンの流量50sccm、ヘリウムガスの流量50sccm、チャンバー内圧133Pa、基板温度室温、RF電源電力200W、RF電源周波数13.56MHzの条件で10分間成膜した。結果は、膜厚1370nmであった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性2.73cc/m・day、水透過性1.77g/m・dayであった。また全光線透過率は83.5%、線膨張係数は30ppm/deg.、表面粗さは10nmであった。また、イエローインデクスは、11.5であった。
【0103】
また、形成された封止膜の組成をXPSにより測定したところ、Si=32atom%、C=64atom%、N=4atom%であった。また、赤外吸収スペクトル分析で1200〜1300cm−1および2800〜3200cm−1の吸収が存在することを確認した。
【0104】
比較例2(容量結合型PECVD装置によるテトラメトキシシランを用いた炭素含有酸化ケイ素封止膜の成膜)
図1に示した容量結合型PECVD装置を用いてポリエチレンナフタレートフィルム基板上に成膜した。成膜条件は、気化させたテトラメトキシシランの流量50sccm、ヘリウムガスの流量50sccm、チャンバー内圧133Pa、基板温度室温、RF電源電力200W、RF電源周波数13.56MHzの条件で10分間成膜した。
【0105】
結果は、膜厚136nmであった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性1.75cc/m・day、水透過性1.67g/m・dayであった。また全光線透過率は86.4%、線膨張係数は32ppm/deg.、表面粗さは26nmであった。また、イエローインデクスは、2.4であった。
【0106】
比較例3
使用したポリエチレンナフタレートフィルム基板のガス透過性、全光線透過率、線膨張係数を測定したところ、酸素透過性21.0cc/m・day、水透過性6.70g/m・dayであった。また全光線透過率は86.9%、線膨張係数は35ppm/deg.、表面粗さは1.4nmであった。イエローインデクスは、0.4であった。
実施例4(容量結合型PECVD装置による1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザンを用いた封止膜の成膜)
図1に示した容量結合型PECVD装置を用いてポリエチレンナフタレートフィルム基板上に成膜した。成膜条件は、気化させた1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザンの流量50sccm、ヘリウムガスの流量50sccm、チャンバー内圧133Pa、基板温度室温、RF電源電力200W、RF電源周波数13.56MHzの条件で2分間成膜した。
【0107】
結果は、膜厚575nmであった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性0.02cc/m・day、水透過性0.0048g/m・dayであった。また全光線透過率は91.7%、線膨張係数は11ppm/deg.、表面粗さは0.5nmであった。また、イエローインデクスは、1.0であった。
【0108】
実施例5(容量結合型PECVD装置による1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザンを用いた封止膜の成膜)
実施例4においてヘリウムガスの流量50sccmに変えてヘリウムガスの流量50sccm、酸素50sccmとしたこと以外は、実施例4と同様にして封止膜を成膜した。
【0109】
結果は、膜厚428nmであった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性0.01cc/m・day、水透過性0.0035g/m・dayであった。また全光線透過率は91.9%、線膨張係数は10ppm/deg.、表面粗さは0.4nmであった。また、イエローインデクスは、0.3であった。
【0110】
実施例6(容量結合型PECVD装置による1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザンを用いた封止膜の成膜)
実施例4においてヘリウムガスの流量50sccmに変えて酸素100sccmとし、0.5分間成膜したこと以外は、実施例4と同様にして封止膜を成膜した。
【0111】
結果は、膜厚428nmであった。ガス透過性を測定したところ、酸素透過性0.01cc/m・day、水透過性0.0026g/m・dayであった。また全光線透過率は92.0%、線膨張係数は10ppm/deg.、表面粗さは0.4nmであった。また、イエローインデクスは、0.3であった。
【0112】
また、形成された封止膜の組成をXPSにより測定したところ、Si=24atom%、O=49atom%、C=18atom%、N=9atom%であった。また、赤外吸収スペクトル分析で1200〜1300cm−1および2800〜3200cm−1の吸収が実質的に検出限界以下であることを確認した。
【0113】
参考例1(1,1,3,3−テトラメチルジシラザンの合成)
窒素気流下、攪拌装置を備えた5Lの四つ口フラスコに反応器にジエチルエーテル4.3L、ジメチルクロロシラン585g(6.19mol)を仕込み、0℃に冷却した。これに内温を0℃に保ちつつ、アンモニアガスの277L(12.4mol)を9時間かけてバブリング供給し、反応させた。アンモニア供給が終了した後、室温にて15時間攪拌した。
【0114】
得られた反応溶液スラリーから副生する塩化アンモニウムを濾別し、1,1,3,3−テトラメチルジシラザンを含む無色透明のジエチルエーテル溶液を得た。得られたジエチルエーテル溶液を濃縮し、減圧蒸留により精製して目的物である1,1,3,3−テトラメチルジシラザン285.2g(2.18mol)を得た。原料であるジメチルクロロシランの目的物への転換率は、70.3%であった。
【0115】
参考例2(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザンの合成)
窒素気流下、攪拌装置を備えた5Lの四つ口フラスコに反応器にジエチルエーテル3.6L、メチルジクロロシラン360g(3.13mol)を仕込み、0℃に冷却した。これに内温を0℃に保ちつつ、アンモニアガスの270L(12.1mol)を9時間かけてバブリング供給し、反応させた。アンモニア供給が終了した後、室温にて15時間攪拌した。
【0116】
得られた反応溶液スラリーから副生する塩化アンモニウムを濾別し、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザンを含む無色透明のジエチルエーテル溶液を得た。得られたジエチルエーテル溶液を濃縮し、減圧蒸留により精製して目的物である1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザン115.6g(0.490mol)を得た。原料であるメチルジクロロシランの目的物への転換率は、62.6%であった。
【符号の説明】
【0117】
1 平行平板容量結合型PECVD装置
2 PECVDチャンバー
3 シャワーヘッドを有する上部電極
4 下部電極
5 薄膜形成用基板
6 マッチング回路
7 RF電源
8 温度制御装置
9 気化器
10 液体流量制御装置
11 気体流量制御装置
12 容器
13 原料化合物
14 不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管
15 不活性ガスにより加圧する配管
16 排気装置
17 アース
18 アース
19 誘導結合型リモートPECVD装置
20 PECVDチャンバー
21 コイル
22 石英管
23 ヒーター部
24 薄膜形成用基板
25 マッチング回路
26 RF電源
27 温度制御装置
28 気化器
29 液体流量制御装置
30 気体流量制御装置
31 シャワーヘッド
32 容器
33 原料化合物
34 不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管
35 不活性ガスにより加圧する配管
36 排気装置
37 アース
38 マイクロ波PECVD装置
39 石英製チャンバー
40 薄膜形成用基板
41 ヒーター部
42 温度制御装置
43 気化器
44 液体流量制御装置
45 気体流量制御装置
46 シャワーヘッド
47 容器
48 原料化合物
49 不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管
50 不活性ガスにより加圧する配管
51 マッチング回路
52 マイクロ波発信器
53 マイクロ波反射板
54 排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの水素原子がケイ素原子に直結し、且つ少なくとも一つの水素原子が窒素原子に直結した構造を有する有機窒化ケイ素化合物を原料として用い、化学気相成長法により得られる膜から成ることを特徴とする封止膜。
【請求項2】
上記有機窒化ケイ素化合物が、下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。nは1乃至10の整数を表す。)
で示される鎖状または環状構造を有する化合物である、請求項1に記載の封止膜。
【請求項3】
上記有機窒化ケイ素化合物が、下記一般式(2)
【化2】

(式中、RとRは炭素数1〜20の炭化水素基を表し、RとRは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。xは1乃至10の整数を表す。)
で示される鎖状化合物である、請求項1または2に記載の封止膜。
【請求項4】
上記有機窒化ケイ素化合物が、下記一般式(3)
【化3】

(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、yは2乃至10の整数を表す。)
で示される環状化合物である、請求項1または2に記載の封止膜。
【請求項5】
化学気相成長法が、プラズマ励起化学気相成長法である、請求項1乃至4のいずれかに記載の封止膜。
【請求項6】
化学気相成長法が、触媒化学気相成長法である、請求項1乃至4のいずれかに記載の封止膜。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の封止膜を、さらに熱処理、紫外線照射処理または電子線処理して得られることを特徴とする封止膜。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の封止膜をガスバリア層として用いることを特徴とするガスバリア部材。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の封止膜を含んでなることを特徴とするフラットパネルディスプレイデバイス。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の封止膜を含んでなることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項11】
下記一般式(1)
【化4】

(式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。nは1乃至10の整数を表す。)
で示される鎖状または環状構造を有する化合物を含有することを特徴とする化学気相成長法用の封止膜材料。
【請求項12】
一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物が、下記一般式(2)
【化5】

(式中、RとRは炭素数1〜20の炭化水素基を表し、RとRは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。xは1乃至10の整数を表す。)
で示される鎖状化合物である請求項11に記載の封止膜材料。
【請求項13】
一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物が、下記一般式(3)
【化6】

(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、yは2乃至10の整数を表す。)
で示される環状化合物である請求項11に記載の封止膜材料。
【請求項14】
ケイ素、炭素および窒素を含有し、表面の組成が原子比でケイ素1.0に対し、窒素含有量が0.2以上1.33以下、炭素含有量が0以上1.0以下であり、かつ赤外吸収スペクトルの1200〜1300cm−1及び2800〜3200cm−1の吸収が実質的に検出限界以下である、請求項1〜7いずれかに記載の封止膜。
【請求項15】
水透過性が5.0×10−3g/m・day以下である、請求項1〜7、14いずれかに記載の封止膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−67383(P2012−67383A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164235(P2011−164235)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】