説明

射出成形機、及び射出成形機における逆回転工程の逆回転量調整方法

【課題】スクリューの逆回転により樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁を用いた射出成形機において、スクリュー逆回転工程のスクリュー逆回転量を最適に調整する。
【解決手段】逆流防止弁の樹脂通路が開いていると、スクリュー前進時に樹脂の逆流が生じる。この樹脂の逆流によりスクリューには逆回転力がかかる。一方、樹脂通路が閉鎖されていると、樹脂の逆流はなくスクリューにかかる逆回転力は大きく低下する。そこで、計量完了後で射出前にスクリューを所定量逆回転させた後、スクリューを前進させる(103、104)。このときスクリューにかかる逆回転力の最大値を検出する(105〜108)。この検出最大逆回転力が基準値以下になるまで、逆回転量を順次増加させ(109、115)、各成形サイクルを実行する。検出最大逆回転力が基準値以下(通路閉鎖)になると、この時の逆回転量を逆回転工程の逆回転量とする。最適な逆回転量に自動的に調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューの逆回転によって閉鎖する逆流防止弁をスクリュー先端に有する射出成形機における逆回転工程の逆回転量調整に関する。
【背景技術】
【0002】
インラインスクリュー式の射出成形機のように、射出時の樹脂の逆流を防止するためにスクリュー先端に逆流防止弁機構を備えた射出機構を有する射出成形機は、従来から使用されている。この逆流防止弁機構は、逆流防止弁の前後の樹脂圧力差によって、樹脂通路を閉鎖したり、開放するものが一般的に使用されている。
スクリューの後方からシリンダ内に供給される樹脂ペレットはスクリューが回転することで発生するせん断熱とスクリューが挿入されているシリンダの外側に設けられたヒータからの熱により溶融される。溶融された樹脂は逆流防止弁の後方の樹脂圧力を上昇させ、逆流防止弁を前方に押す力を発生させる。逆流防止弁が前方に押されると後方の樹脂が逆流防止弁と縮径された部分の間隙を通り逆流防止弁の前方に流れ込みスクリューヘッド前方のシリンダ内の圧力を上昇させる。
【0003】
逆流防止弁の前方の圧力が所定の圧力(背圧)を超えるとスクリューが後方に押されて逆流防止弁の前方の圧力が減圧される。更にスクリューが回転することで逆流防止弁の後方の圧力が逆流防止弁の前方の圧力よりも高くなるので継続して溶融された樹脂が逆流防止弁の前方に送り込まれ、所定の量までスクリューが後退するとスクリュー回転を停止させる。
次に射出工程に入り、樹脂を充填するためにスクリューが前進すると、スクリューヘッドの前方にたまった樹脂圧力が上昇するので、逆流防止弁が後退しチェックシートと密着して樹脂通路を閉鎖し、計量した樹脂を金型内に射出し充填する。射出を開始してから逆流防止弁が後退し樹脂通路が閉鎖されるまでの間は、樹脂通路は開かれており樹脂の逆流が生じる。そのため、樹脂通路の閉鎖のタイミングが変動すると充填される樹脂の量も変動し、成形が不安定になる。
【0004】
そこで、この射出時の樹脂の逆流を防止して射出を行う方法として、スクリューを逆回転させることによって樹脂通路を閉鎖させる逆流防止弁を用い、計量完了後で射出を開始する前にスクリューを逆回転させて、逆流防止弁の樹脂通路を閉鎖し、その後、スクリューを前進させて射出を行うようにした方法が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、スクリューに固定された押金とスクリューに非固定状態で取り付けられた逆流防止リングとを設け、押金には軸方向に設けた溝による第1の樹脂通路が形成され、逆流防止リングには軸方向に設けた溝による第2の樹脂通路が形成され、かつ、スクリューヘッドに設けられたピンと逆流防止リングに設けられた一定長さの周方向の溝が係合し、スクリューを正回転(計量時のスクリュー回転方向を正回転とする)すると押金も正回転し、逆流防止リングを係合するピンと溝により溝の長さ分で相対移動させることで第1の樹脂流路と第2の樹脂流路を連通させ、その後は前記ピンと溝の端部の係合で、この樹脂流路を連通した状態を保持して逆流防止リングをスクリューと共に回転させ、スクリューを逆回転させると係合するピンと溝により溝の長さ分逆流防止リングと押金を相対移動させ第1の樹脂流路と第2の樹脂流路を非連通にしてシールする逆流防止弁が記載されている。
【0006】
又、特許文献2にも、同様なスクリューを逆回転させることによって、樹脂通路を閉鎖される発明が記載されている。この特許文献2に記載された発明は、スクリュー先端の小径部に逆止リングが遊嵌され、逆止リングには、溶融樹脂通路の穴が軸方向に設けられ、又、スクリュー本体端部及びスクリューヘッド後端部は刻設された凹部を備え、逆止リングに設けられた突起とスクリューヘッドを組み付ける軸に設けられた一定長さの周方向の溝が係合して取り付けられ、スクリューが正回転することによって、逆止リングを前記突起と溝の係合により、該溝の長さ分逆止リングとスクリューを相対移動させてその後は一体的に回転させる。この相対移動によって逆止リングの溶融樹脂通路と刻設された凹部を一致させて逆止リングの前後を導通させる樹脂通路形成する。スクリューを逆回転させることによって、逆止リングを前記突起と溝の係合によりスクリューに対して溝の長さ分相対移動させて逆止リングの樹脂通路とスクリュー本体端部及びスクリューヘッド後端部の刻設された部分以外の部分に対応させて樹脂通路を閉鎖するようにした発明が記載されている。
【0007】
又、特許文献3にも、同様なスクリューを正回転させることによって、リングを回転させて樹脂通路を導通させ、逆回転させることによって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁に係る発明が記載されている。
【0008】
さらに、特許文献4には、スクリュー先端のスクリューヘッドとスクリュー軸先端の間に環体が嵌装されて、スクリューヘッドの後端面には、傾斜面が形成され、環体には該傾斜面と接する傾斜面が形成され、計量時にはスクリューを正回転させることによって、環体とスクリュー軸間の樹脂通路を開き、環体の前後を連通させ、スクリューを逆回転させることによって、スクリューヘッドと環体の傾斜面によって、環体を軸方向に移動させ、環体の後端部の弁当たり面とスクリュー軸の端部の当たり面を接合させて、樹脂通路を閉鎖するようにした逆流防止弁が記載されている。
【0009】
又、特許文献5、6にも、スクリューヘッドの後端面に逆流防止弁の凸部が係合する傾斜面が設けられ、スクリューを逆回転させることによってスクリューヘッドの傾斜面で逆流防止弁を押圧し、逆流防止弁を後退させて樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁に係る発明が記載されている。
【0010】
また、逆流防止弁が閉鎖せず、樹脂通路が開いている状態でスクリューを前進させて射出等を行うと、樹脂の逆流が発生し、この樹脂の逆流により、スクリューに逆回転トルクの負荷がかかるが、スクリュー前進中に逆流防止弁が閉じるとスクリューに逆回転トルクが働かなくなることが知れている。例えば、特許文献7には、スクリュー回転を自在にして射出を開始し、射出開始当初は樹脂の逆流によってスクリューが逆回転するが、逆流防止弁が閉じるとスクリューに逆回転トルクは働かなくなり、スクリューの逆回転が停止することから、このスクリュー逆回転の停止を検知して、逆流防止弁の閉鎖を検出するようにした発明が記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開平3−45325号公報
【特許文献2】特開平4−71817号公報
【特許文献3】特開平9−174629号公報
【特許文献4】特公昭47−8380号公報
【特許文献5】特開昭60−201921号公報
【特許文献6】特開昭62−19423号公報
【特許文献7】特開2004−216808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
スクリューを計量時の回転方向とは逆に回転させることによって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁は、スクリュー前進時の逆流防止弁前後の樹脂圧力差によって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁と比較すると、樹脂通路を確実に閉鎖でき、射出時に発生する樹脂の逆流を防止するため、金型に充填される樹脂の量を均一化し、安定した成形ができる。
【0013】
そのため、スクリューを逆回転させることによって樹脂通路を閉鎖させる逆流防止弁を用いたとき、樹脂通路を閉鎖させる最適なスクリューの逆回転量が得られることが望ましい。
スクリューを逆回転した際に、スクリューヘッドはスクリューと同じ速度で逆回転するが、このとき樹脂の粘性の影響で逆流防止弁もスクリューヘッドと共にある速度で逆回転する。これにより、スクリューを所定量逆回転したとき、逆流防止弁がスクリューヘッドに対して回転した量はスクリューの逆回転量よりも小さくなる。このため、スクリューを逆回転して流路を閉鎖する際には、逆流防止弁の閉鎖機構の設計値から求まる逆回転量よりも大きなスクリュー逆回転量が必要となる。
【0014】
しかも、逆流防止弁がスクリューヘッドに対して回転する相対速度は樹脂の粘度などによって変動するため、閉鎖に必要な逆回転量は樹脂の粘度などによって変動する。そのため、樹脂や成形条件が変わるたびに、樹脂通路が閉鎖に必要な逆回転量も変わることになる。
【0015】
上述した特許文献1〜3に記載された逆流防止弁では、スクリューの逆回転のみによって樹脂通路を閉鎖させるものであることから、射出開始前にスクリューを逆回転させ、その後射出工程を実行したとき、逆回転量が不足した場合は樹脂通路が導通したままであることから、射出中に樹脂の逆流が生じることになり、好ましくない。一方、樹脂流路は閉鎖したが逆回転量が過大となった場合、逆回転中に必要以上に樹脂をスクリュー後方に逆流させてしまい、計量時間の増大や樹脂の滞留といった不都合が生じる。
【0016】
一方、特許文献4〜6に記載された逆流防止弁では、スクリューの逆回転によって樹脂通路を閉鎖でき、このスクリューの逆回転量が足りなくて樹脂通路が閉鎖していない場合でも、射出時の樹脂圧力によっても逆流防止弁を後退させて樹脂通路を閉鎖することができる。しかし、射出工程が開始される前にスクリューを逆回転させて樹脂通路を閉鎖させる工程を成形工程の1工程とする以上、スクリューの逆回転によって確実に樹脂通路が閉鎖されることが好ましい。しかも、上述したように、樹脂の粘度等によって逆流防止弁の樹脂通路を閉鎖するスクリュー逆回転量は変動することから、樹脂の粘度などが変動しても確実に流路を閉鎖し、なおかつサイクル時間の増大や樹脂の滞留を最小限に抑えるためには、閉鎖に必要な逆回転量を求めることが望ましい。
【0017】
従来は、このスクリューの逆回転によって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁を用いたとき、樹脂通路を閉鎖するのに必要なスクリューの逆回転量が成形条件によって変動することは無視されており、成形条件に合った最適な逆回転量を求める方法はなかった。
【0018】
そこで、本発明の目的は、スクリューを逆回転させることによって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁を用いた射出成形機において、最適なスクリュー逆転量を求めることができる射出成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願請求項1〜4にかかる発明は、計量時のスクリュー回転方向とは逆のスクリューの逆回転によって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁を備えるスクリューと、該スクリューを回転駆動する回転駆動手段と、前記スクリューをスクリュー軸方向に駆動する軸方向駆動手段と、前記スクリューに作用する回転力を検出する回転力検出手段とを備え、計量工程完了後、射出工程開始までの間に前記スクリューを計量時とは逆方向に回転させる逆回転工程を有する射出成形機において、逆回転工程の逆回転量を自動的に求めることができるようにした射出成形機に関するものであり、請求項1にかかる発明は、計量工程完了後、射出工程開始までの間に、成形サイクル毎に前記スクリューの逆回転の回転量を順次増加させて、前記回転駆動手段でスクリューを逆回転させた後、前記軸方向駆動手段によりスクリューを前進させる駆動制御手段と、前記スクリュー前進中に前記回転力検出手段で検出されるスクリューにかかる逆回転力に基づいて前記逆流防止弁による樹脂通路の閉鎖を判別する判別手段と、該判別手段で樹脂通路の閉鎖が判別されたときのスクリュー逆回転量を前記逆回転工程の逆回転量とする逆回転量決定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0020】
又、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明の駆動制御手段の代わりに、計量工程完了後、射出工程開始までの間に、前記回転駆動手段でスクリューを逆回転させた後、前記軸方向駆動手段によりスクリューを前進させる動作を、前記スクリューの逆回転の回転量を順次増加させて行う駆動制御手段を設けたものである。
又、請求項3にかかる発明は、前記判別手段を、スクリュー前進中に検出されるスクリューにかかる逆回転力の最大値が基準値以下になることによって、樹脂通路が閉鎖されたと判別するものとし、請求項4に係る発明は、前記判別手段を、スクリュー前進中に検出されるスクリューにかかる逆回転力の時間に対する積分値又はスクリュー位置に対する積分値を求め、該積分値が基準値以下になることによって樹脂通路が閉鎖されたと判別するものとした。
【0021】
請求項5〜8に係る発明は、計量時のスクリュー回転方向とは逆のスクリューの逆回転によって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁を備えるスクリューと、該スクリューを回転駆動する回転駆動手段と、前記スクリューをスクリュー軸方向に駆動する軸方向駆動手段と、前記スクリューに作用する回転力を検出する回転力検出手段とを備え、計量工程完了後、射出工程開始までの間に前記スクリューを計量時とは逆方向に回転させる逆回転工程を有する射出成形機において、前記逆回転工程の逆回転量を調整方法に関するものであり、請求項5に係る発明は、計量工程完了後、射出工程開始までの間に、成形サイクル毎に前記スクリューの逆回転の回転量を順次増加させて、前記回転駆動手段でスクリューを逆回転させた後、前記軸方向駆動手段によりスクリューを前進させ、前記スクリュー前進中に前記回転力検出手段でスクリューにかかる逆回転力を検出し、検出された逆回転力に基づいて前記逆流防止弁による樹脂通路の閉鎖を判別し、該樹脂通路の閉鎖が判別されたときのスクリュー逆回転量を前記逆回転工程の逆回転量とする逆回転工程の逆回転量調整方法である。
【0022】
また、請求項6に係る発明は、計量工程完了後、射出工程開始までの間に、前記回転駆動手段でスクリューを逆回転させた後、前記軸方向駆動手段によりスクリューを前進させる動作を、前記スクリューの逆回転の回転量を順次増加させて行い、前記スクリュー前進中に前記回転力検出手段でスクリューにかかる逆回転力を検出し、検出された逆回転力に基づいて前記逆流防止弁による樹脂通路の閉鎖を判別し、該樹脂通路の閉鎖が判別されたときのスクリュー逆回転量を前記逆回転工程の逆回転量とする逆回転工程の逆回転量調整方法である。
【0023】
請求項7に係る発明は、前記各逆回転工程の逆回転量調整方法において、前記樹脂通路の閉鎖の判別を、スクリュー前進中に検出されるスクリューにかかる逆回転力の最大値が基準値以下になることによって、樹脂通路が閉鎖されたと判別するものとし、請求項8に係る発明は、前記樹脂通路の閉鎖の判別を、スクリュー前進中に検出されるスクリューにかかる逆回転力の時間に対する積分値又はスクリュー位置に対する積分値を求め、該積分値が基準値以下になることによって樹脂通路が閉鎖されたと判別するものとした。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、スクリュー逆回転工程のスクリュー逆回転量を自動的かつ正確に求めることができるので、樹脂、金型が変わっても、また、成形条件が変わっても、そのとき使用する樹脂、金型、成形条件に応じて最適なスクリュー逆回転工程の逆回転量を得ることができる。樹脂通路が閉鎖するスクリュー逆回転量を正確に求めることができるので、樹脂通路を閉鎖した後に射出を開始でき、樹脂が逆流せず、金型に充填される樹脂量は均一となり、安定した成形が得られる。又、成形サイクル時間の増大や樹脂の滞留を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の要部ブロック図である。
スクリュー1が挿入されたシリンダ2の先端には、ノズル3が装着され、シリンダ2の後端部には樹脂ペレットをシリンダ2内に供給するホッパ5が取り付けられている。スクリュー1は、その先端にスクリュー1を逆回転(計量時のスクリュー回転とは逆方向の回転を逆回転という)させることによって樹脂通路を閉鎖し、計量時のスクリューの正回転により、さらには正回転と樹脂圧力により樹脂通路を開く逆流防止弁4を備え、スクリュー回転用サーボモータ6により伝動機構8を介して回転駆動されるようになっている。さらに該スクリュー1は、射出用サーボモータ7により伝動機構9及びボールネジ/ナット等の回転運動を直線運動に変換する変換機構10によって軸方向に駆動され射出及び背圧制御がなされるように構成されている。スクリュー回転用サーボモータ6、射出用サーボモータ7にはそれぞれ回転位置・速度を検出する位置・速度検出器11,12が取り付けられており、この位置・速度検出器11,12によって、スクリュー1の回転速度、回転量、スクリュー1の位置(スクリュー軸方向の位置)、移動速度(射出速度)を検出できるようにしている。又、スクリュー1に加わる溶融樹脂からのスクリュー軸方向の圧力を検出するロードセル等の圧力センサ13が設けられている。
【0026】
この射出成形機を制御する制御装置20は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNCCPU22、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMCCPU21、サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU25とがバス36で接続されている。
【0027】
PMCCPU21には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM26および演算データの一時記憶等に用いられるRAM27が接続され、CNCCPU22には、射出成形機を全体的に制御する自動運転プログラム等を記憶したROM28および演算データの一時記憶等に用いられるRAM29が接続されている。
【0028】
また、サーボCPU25には、位置ループ、速度ループ、電流ループの処理を行うサーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM31やデータの一時記憶に用いられるRAM32が接続されている。更に、サーボCPU25には、該CPU25からの指令に基づいて、スクリュー回転用サーボモータ6を駆動するサーボアンプ34や、スクリュー1を軸方向に駆動し射出等を行う射出用サーボモータ7を駆動するサーボアンプ35が接続され、各々のサーボモータ6,7には設けられた位置・速度検出器11,12からの出力がサーボCPU25に帰還されるようになっている。サーボCPU25は、CNCCPU22から指令される各軸(スクリュー回転用サーボモータ6又は射出用サーボモータ7)への移動指令と位置・速度検出器11,12からフィードバックされる検出位置、速度に基づいて位置、速度のフィードバック制御を行うと共に、電流のフィードバック制御をも実行して、各サーボアンプ34,35を介して、各サーボモータ6,7を駆動制御する。
【0029】
又、サーボCPU25には、圧力センサ13での検出信号をA/D変換器(アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器)33でデジタル信号に変換した樹脂圧力(スクリューにかかる樹脂圧力)が入力されている。また、樹脂の逆流によって生じるスクリュー1を回転させる回転力を検出するためにスクリュー回転用サーボモータ6の駆動制御処理には、周知の外乱推定オブザーバが組み込まれ、該外乱推定オブザーバによってスクリュー1に加わる回転方向の力(回転力)を検出するようにしている。
【0030】
なお、型締機構やエジェクタ機構を駆動するサーボモータやサーボアンプ等も設けられているものであるが、これらのものは本願発明と直接関係していないことから、図1では省略している。
【0031】
液晶やCRTで構成される表示装置付き入力装置30は表示回路24を介してバス36に接続されている。さらに、不揮発性メモリで構成されるデータ保存用RAM23もバス36に接続され、このデータ保存用RAM23には射出成形作業に関する成形条件と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する。
【0032】
以上の構成により、PMCCPU21が射出成形機全体のシーケンス動作を制御し、CNCCPU22がROM28の運転プログラムやデータ保存用RAM23に格納された成形条件等に基づいて各軸のサーボモータに対して移動指令の分配を行い、サーボCPU25は各軸(スクリュー回転用サーボモータ6や射出用サーボモータ7等の各駆動軸のサーボモータ)に対して分配された移動指令と位置・速度検出器で検出された位置および速度のフィードバック信号等に基づいて、従来と同様に位置ループ制御、速度ループ制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行する。
【0033】
上述した構成は従来の電動式射出成形機の制御装置と変わりはなく、従来の制御装置と異なる点は、スクリュー逆回転工程のスクリュー逆回転量を調整する機能が付加されている点で相違するものである。
【0034】
逆流防止弁4が樹脂通路を閉鎖していない状態でスクリュー1を前進させると、溶融樹脂は、逆流防止弁4の前方(ノズル3側)から後方(ホッパ5側)に樹脂が逆流する。この逆流する樹脂による樹脂圧力がスクリュー1のフライトに加わり、スクリュー1を回転させる回転力が負荷としてスクリュー1に加わる。この回転力はスクリュー1を駆動するスクリュー回転用サーボモータ6に負荷として加わる。この回転力を、本実施形態では、スクリュー回転用サーボモータ6の駆動制御処理に組み込まれた、周知の外乱推定オブザーバによって検出するようにしている。なお、外乱推定オブザーバの代わりに、スクリュー回転用サーボモータ6の駆動電流によって、又は、歪みセンサ等をスクリュー1や該スクリュー1に回転力を伝動する伝動機構8の一部に設けて該回転力を検出するようにしてもよい。
【0035】
図2は、本発明の第1の形態における制御装置20のPMCCPU21が実施するスクリュー逆回転量を調整する処理を含む成形処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
この第1の形態は、計量完了後、射出を開始する前に、スクリューを逆回転させ、その後、スクリューを前進させて、スクリュー1にかかる逆回転力を測定し、その逆回転力が低下することによって逆流防止弁4による樹脂通路の閉鎖を検出し、この閉鎖を検出したときの逆回転量を逆流防止弁4が樹脂通路を閉鎖するに必要な逆回転量として検出するものである。そのために、スクリューの逆回転量を順次増大させる1刻み分の回転量Δθ及び逆回転力の低下を検出するための基準値を予め設定しておく。
【0036】
そこで、スクリュー逆回転量の自動調整指令が入力されると、PMCCPU21は、図2の処理を開始する。
まず、表示装置付き入力装置30の表示画面に設けられた逆流防止弁閉鎖のインジケータを消灯し(ステップ100)、測定したスクリュー逆回転力Trqを記憶するレジスタR(Trq)を「0」にリセットし、スクリュー1の逆回転量を記憶するレジスタR(θ)に設定されている1刻み分の回転量Δθをセットする(ステップ101)。そして、型閉工程を実行し(ステップ102)、その後、スクリュー回転用サーボモータ6を駆動しスクリュー1をレジスタR(θ)に設定されている角度だけ逆回転させる(ステップ103)。なお、予め計量工程が実施され、樹脂は溶融混練りされている状態で、この処理が開始されている。
【0037】
次に、射出用サーボモータ7を駆動して、決められている前進距離だけ前進(射出方向)させるスクリュー前進動作を開始させる(ステップ104)。このスクリュー1の前進動作中、スクリュー回転用サーボモータ6の駆動制御処理に組み込まれた外乱推定オブザーバによって測定されたスクリュー1の逆回転力Trqを求め(ステップ105)、該求めた逆回転力TrqがレジスタR(Trq)に記憶する逆回転力(最初はステップ101で0にセットされている)と比較し(ステップ106)、求めた逆回転力TrqがレジスタR(Trq)に記憶する逆回転力より大きいときだけ、レジスタR(Trq)に求めた逆回転力Trqに格納する(ステップ107)。そして、スクリュー1が決められている前進距離移動しスクリュー前進位置に達したか判断し(ステップ108)、達していなければ、ステップ105に戻り、ステップ105〜108の処理をサンプリング周期毎に実行する。その結果、スクリュー1の前進が完了した時点では、レジスタR(Trq)には、スクリュー1の前進動作中の最大逆回転力が記憶されることになる。
【0038】
スクリュー1の前進が完了すると、レジスタR(Trq)に記憶する最大の逆回転力が設定されている基準値以下か判断する(ステップ109)。
逆流防止弁4はスクリュー1の逆回転によって樹脂通路を閉鎖するものであり、その逆回転量が少ないと樹脂通路は開いた状態にある。樹脂通路が閉鎖されないと、前述したように、スクリュー1を前進させたとき、樹脂の逆流が生じ、この樹脂の逆流によりスクリュー1に逆回転力の負荷がかかることになり、この負荷が外乱推定オブザーバによって求められるから、スクリュー1の逆回転量が足りなく樹脂通路が閉鎖していない状態では、レジスタR(Trq)に記憶された最大逆回転力は基準値以下とはならない。この場合は、ステップ109からステップ115に移行し、レジスタR(Trq)を「0」にクリアすると共にレジスタR(θ)に記憶する逆回転量を1刻み分Δθだけ増加させる。
【0039】
そして、従来と同様に、射出工程(ステップ111)、計量工程(ステップ112)、型開工程(ステップ113)、成形品取り出し工程(ステップ114)を実施し、ステップ102に戻る。以下、レジスタR(Trq)に記憶された最大逆回転力は基準値以下となったことが判別されない限り、ステップ102〜ステップ109、ステップ115、ステップ111〜ステップ114の処理を実行する。この場合、ステップ104で実行されるスクリュー1の逆回転の逆回転量は、ステップ115で1刻み回転量Δθだけ順次増大されている。
【0040】
スクリュー1が逆流防止弁4により樹脂通路を閉鎖するだけ逆回転されると、樹脂通路が閉鎖されるので、樹脂の逆流がなくなり、樹脂逆流によって発生するスクリュー1を逆回転させる負荷がなくなることから、ステップ109でレジスタR(Trq)に記憶された最大逆回転力は基準値以下となったことが検出される。このときは、逆流防止弁閉鎖のインジケータを点灯し、レジスタR(θ)に記憶する逆回転量を当該成形条件における逆流防止弁による樹脂通路閉鎖のためのスクリュー逆回転量としてセットする。又、表示装置付き入力装置30の表示画面にこのスクリュー逆回転量をスクリュー逆回転工程の逆回転量として表示する。
【0041】
こうして、逆流防止弁による樹脂通路閉鎖のためのスクリュー逆回転量がセットされ、逆流防止弁閉鎖のインジケータが点灯された後は、従来から行われている通常の成形動作を行う。すなわち、図2においてステップ100,101,104〜110,115の処理がない、型閉工程−設定逆回転量によるスクリュー逆回転−射出工程−計量工程−型開工程−成形品取り出し工程が繰り返し実行されることになる。
【0042】
上述した第1の形態では、逆流防止弁による樹脂通路閉鎖をスクリュー前進時に発生するスクリュー逆回転力の最大値によって判断したが、このスクリュー逆回転力の最大値に代えて、時間又はスクリュー位置に対する逆回転力の積分値を求めてこの積分値により、樹脂通路閉鎖を判別してもよい。
【0043】
時間又はスクリュー位置に対する積分値で判別する場合には、測定トルクTrqの最大値を記憶するレジスタR(Trq)に代わりに、測定トルクTrqを時間又はスクリュー位置に対して積算するレジスタA(t)、A(x)を設けて、ステップ101、115でレジスタR(Trq)に代わりにレジスタA(t)、A(x)を「0」にリセットし、ステップ106,107の処理に代えて、時間積分値の場合はレジスタA(t)に記憶する値に測定トルクTrqにサンプリング周期δtを乗じた値を加算することによって、測定トルクTrqの積算値を求める処理に代える。又、スクリュー位置に対する積分値の場合には、サンプリング周期毎の移動量δxを求めて、測定トルクTrqにサンプリング周期の移動量δxを乗じた値をレジスタA(x)に加算し、測定トルクTrqのスクリュー位置に対する積算値を求める処理に代える。
【0044】
又、上述した第1の形態では、スクリュー前進動作を所定移動距離だけ前進されるものとしたが、所定移動距離に代えて、所定時間だけ前進させる動作に代えてもよいものである。
【0045】
図3は、本発明の第2の形態における制御装置20のPMCCPU21が実施するスクリュー逆回転量を調整する処理を含む成形処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
この第2の形態は、1成形サイクル動作において、逆回転量を所定量順次増大させながら、逆流防止弁による樹脂通路の閉鎖を検出して射出を行うようにしたものである。まず、第1の形態と同様に、スクリューの逆回転を順次増大させる1刻み分の回転量Δθ及び逆回転力の低下を検出するための基準値を予め設定しておく。
【0046】
そこで、スクリュー逆回転量の自動調整指令が入力されると、PMCCPU21は、図3の処理を開始する。
まず、表示装置付き入力装置30の表示画面に設けられた逆流防止弁閉鎖のインジケータを消灯し(ステップ200)、測定したスクリュー逆回転力Trqを記憶するレジスタR(Trq)及びクリュー1の逆回転量を記憶するレジスタR(θ)を「0」にリセットする(ステップ201)。そして、型閉工程を実行し(ステップ202)、次に、スクリュー回転用サーボモータ6を駆動し、設定されている1回の回転量Δθだけスクリューを逆回転させると共に、レジスタR(θ)にこの逆回転量Δθを加算する(ステップ203)。なお、第1の形態と同様に、予め計量工程が実施され、樹脂は溶融混練されている状態で、この処理が開始されている。
【0047】
次に、射出用サーボモータ7を駆動して、決められている前進距離だけ前進(射出方向)させるスクリュー前進動作を開始させる(ステップ204)。このスクリュー1の前進動作中、スクリュー回転用サーボモータ6の駆動制御処理に組み込まれた外乱推定オブザーバによって測定されたスクリュー1の逆回転力Trqを求め(ステップ205)、該求めた逆回転力TrqがレジスタR(Trq)に記憶する逆回転力(最初はステップ201で0にセットされている)と比較し(ステップ206)、求めた逆回転力TrqがレジスタR(Trq)に記憶する逆回転力より大きいときだけ、レジスタR(Trq)に求めた逆回転力Trqを格納する(ステップ207)。そして、スクリュー1が決められている前進距離移動しスクリュー前進位置に達したか判断し(ステップ208)、達していなければ、ステップ205に戻り、ステップ205〜208の処理をサンプリング周期毎に実行する。その結果、スクリュー1の前進が完了した時点では、レジスタR(Trq)には、スクリュー1の前進動作中の最大逆回転力が記憶されることになる。
【0048】
スクリュー1の前進が完了すると、レジスタR(Trq)に記憶する最大の逆回転力が設定されている基準値以下か判断する(ステップ209)。
前述したように、スクリュー1の逆回転量が足りなく樹脂通路が閉鎖していない状態では、レジスタR(Trq)に記憶された最大逆回転力は基準値以下とはならない。この場合は、ステップ209からステップ215に移行し、レジスタR(Trq)を「0」にクリアし、ステップ203に戻る。以下、ステップ209でレジスタR(Trq)に記憶する最大の逆回転力が設定されている基準値以下と判断されるまでステップ203〜209、ステップ215の処理を繰り返し実行し、スクリュー逆回転量をΔθだけ増加させてスクリュー1を前進させる動作を繰り返し実行する。
【0049】
スクリュー1が逆流防止弁4の樹脂通路を閉鎖するだけ逆回転されると、樹脂通路が閉鎖され、樹脂の逆流によって発生するスクリュー1を逆回転させる負荷がなくなることから、ステップ209でレジスタR(Trq)に記憶された最大逆回転力は基準値以下となったことが検出される。こうして、逆流防止弁4による樹脂通路の閉鎖が検出されると、逆流防止弁閉鎖のインジケータを点灯し、さらには、表示装置付き入力装置30の表示画面にこのレジスタR(θ)に記憶するスクリュー逆回転量をスクリュー逆回転工程の逆回転量として表示する(ステップ210)。その後、射出工程(ステップ211)、計量工程(ステップ212)、型開工程(ステップ213)、成形品取り出し工程(ステップ214)を実行し1成形サイクルを終了し、ステップ201に戻り次の成形サイクルを開始する。
【0050】
上述したように、この第2の形態は、各成形サイクル毎に逆流防止弁4による樹脂通路の閉鎖を確認して射出を行うようにしたものである。又、この第2の形態においても、樹脂通路の閉鎖が確認され、その時のスクリュー逆回転量が求められたときは、この逆回転量をスクリュー逆回転動作工程の逆回転量としてセットし、以後は、従来通りの成形サイクルの各動作工程を実行するようにしてもよい。すなわち、ステップ209で、レジスタR(Trq)に記憶された最大逆回転力は基準値以下となったことが検出されると、ステップ210では、逆流防止弁閉鎖のインジケータを点灯し、レジスタR(θ)に記憶するスクリュー逆回転量をスクリュー逆回転動作工程の逆回転量としてセットし、ステップ211〜214の処理をして1成形サイクルの動作を終了した後は、通常の成形動作に切り換え、以後の成形動作は、型閉工程−設定逆回転量によるスクリュー逆回転工程−射出工程−計量工程−型開工程−成形品取り出し工程で構成される成形サイクルを実行するようにしてもよい。
【0051】
なお、この第2の形態においても、逆流防止弁による樹脂通路閉鎖をスクリュー逆回転力の最大値によって判断する代わりに、前述したように時間又はスクリュー位置に対する逆回転力の積分値を求めてこの積分値により、樹脂通路閉鎖を判別してもよい。又、ステップ204によるスクリュー前進動作を所定移動距離に代えて、所定時間だけ前進させる動作に代えてもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態の射出成形機の要部概要図である。
【図2】同実施形態における第1の形態のスクリュー逆回転量を調整する処理を含む成形処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】同実施形態における第2の形態のスクリュー逆回転量を調整する処理を含む成形処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 スクリュー
2 シリンダ
3 ノズル
4 逆流防止弁
5 ホッパ
6 スクリュー回転用サーボモータ
7 射出用サーボモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量時のスクリュー回転方向とは逆のスクリューの逆回転によって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁を備えるスクリューと、
該スクリューを回転駆動する回転駆動手段と、
前記スクリューをスクリュー軸方向に駆動する軸方向駆動手段と、
前記スクリューに作用する回転力を検出する回転力検出手段とを備え、
計量工程完了後、射出工程開始までの間に前記スクリューを計量時とは逆方向に回転させる逆回転工程を有する射出成形機において、
計量工程完了後、射出工程開始までの間に、成形サイクル毎に前記スクリューの逆回転の回転量を順次増加させて、前記回転駆動手段でスクリューを逆回転させた後、前記軸方向駆動手段によりスクリューを前進させる駆動制御手段と、
前記スクリュー前進中に前記回転力検出手段で検出されるスクリューにかかる逆回転力に基づいて前記逆流防止弁による樹脂通路の閉鎖を判別する判別手段と、
該判別手段で樹脂通路の閉鎖が判別されたときのスクリュー逆回転量を前記逆回転工程の逆回転量とする逆回転量決定手段と、
を備えたことを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
計量時のスクリュー回転方向とは逆のスクリューの逆回転によって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁を備えるスクリューと、
該スクリューを回転駆動する回転駆動手段と、
前記スクリューをスクリュー軸方向に駆動する軸方向駆動手段と、
前記スクリューに作用する回転力を検出する回転力検出手段とを備え、
計量工程完了後、射出工程開始までの間に前記スクリューを計量時とは逆方向に回転させる逆回転工程を有する射出成形機において、
計量工程完了後、射出工程開始までの間に、前記回転駆動手段でスクリューを逆回転させた後、前記軸方向駆動手段によりスクリューを前進させる動作を、前記スクリューの逆回転の回転量を順次増加させて行う駆動制御手段と、
前記スクリュー前進中に前記回転力検出手段で検出されるスクリューにかかる逆回転力に基づいて前記逆流防止弁による樹脂通路の閉鎖を判別する判別手段と、
該判別手段で樹脂通路の閉鎖が判別されたときのスクリュー逆回転量を前記逆回転工程の逆回転量とする逆回転量決定手段と、
を備えたことを特徴とする射出成形機。
【請求項3】
前記判別手段は、スクリュー前進中に検出されるスクリューにかかる逆回転力の最大値が基準値以下になることによって、樹脂通路が閉鎖されたと判別する請求項1又は請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記判別手段は、スクリュー前進中に検出されるスクリューにかかる逆回転力の時間に対する積分値又はスクリュー位置に対する積分値を求め、該積分値が基準値以下になることによって樹脂通路が閉鎖されたと判別する請求項1又は請求項2に記載の射出成形機。
【請求項5】
計量時のスクリュー回転方向とは逆のスクリューの逆回転によって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁を備えるスクリューと、
該スクリューを回転駆動する回転駆動手段と、
前記スクリューをスクリュー軸方向に駆動する軸方向駆動手段と、
前記スクリューに作用する回転力を検出する回転力検出手段とを備え、
計量工程完了後、射出工程開始までの間に前記スクリューを計量時とは逆方向に回転させる逆回転工程を有する射出成形機において、
計量工程完了後、射出工程開始までの間に、成形サイクル毎に前記スクリューの逆回転の回転量を順次増加させて、前記回転駆動手段でスクリューを逆回転させた後、前記軸方向駆動手段によりスクリューを前進させ、前記スクリュー前進中に前記回転力検出手段でスクリューにかかる逆回転力を検出し、検出された逆回転力に基づいて前記逆流防止弁による樹脂通路の閉鎖を判別し、該樹脂通路の閉鎖が判別されたときのスクリュー逆回転量を前記逆回転工程の逆回転量とすることを特徴とする射出成形機における逆回転工程の逆回転量調整方法。
【請求項6】
計量時のスクリュー回転方向とは逆のスクリューの逆回転によって樹脂通路を閉鎖する逆流防止弁を備えるスクリューと、
該スクリューを回転駆動する回転駆動手段と、
前記スクリューをスクリュー軸方向に駆動する軸方向駆動手段と、
前記スクリューに作用する回転力を検出する回転力検出手段とを備え、
計量工程完了後、射出工程開始までの間に前記スクリューを計量時とは逆方向に回転させる逆回転工程を有する射出成形機において、
計量工程完了後、射出工程開始までの間に、前記回転駆動手段でスクリューを逆回転させた後、前記軸方向駆動手段によりスクリューを前進させる動作を、前記スクリューの逆回転の回転量を順次増加させて行い、前記スクリュー前進中に前記回転力検出手段でスクリューにかかる逆回転力を検出し、検出された逆回転力に基づいて前記逆流防止弁による樹脂通路の閉鎖を判別し、該樹脂通路の閉鎖が判別されたときのスクリュー逆回転量を前記逆回転工程の逆回転量とすることを特徴とする射出成形機における逆回転工程の逆回転量調整方法。
【請求項7】
前記樹脂通路の閉鎖の判別は、スクリュー前進中に検出されるスクリューにかかる逆回転力の最大値が基準値以下になることによって、樹脂通路が閉鎖されたと判別する請求項5又は請求項6に記載の射出成形機における逆回転工程の逆回転量調整方法。
【請求項8】
前記樹脂通路の閉鎖の判別は、スクリュー前進中に検出されるスクリューにかかる逆回転力の時間に対する積分値又はスクリュー位置に対する積分値を求め、該積分値が基準値以下になることによって樹脂通路が閉鎖されたと判別する請求項5又は請求項6に記載の射出成形機における逆回転工程の逆回転量調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−23303(P2009−23303A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191093(P2007−191093)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【特許番号】特許第4199287号(P4199287)
【特許公報発行日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】