説明

射出成形機の制御装置

【課題】逆流防止装置を備えていないスクリュや、逆流防止装置があるものの逆流防止弁等の摩耗などによってその機能が低下した状態にある射出成形機においても、さらにいかなる粘度の成形材料においても、射出保圧時の樹脂充填を安定させることができる射出成形機の制御装置を得ることや、バックフローや過剰射出させる事無く計量された樹脂を安定して射出することができる制御装置を得ること。
【解決手段】射出開始か否か判断し、射出開始まで待ち、射出開始の場合には、ステップSA2に移行する(SA1)。負荷トルク指令値DCMDを読み出し、負荷トルク帰還値DFBを検出し、スクリュの回転速度指令値Vを計算する(SA2〜SA4)。回転速度指令値Vに従ってスクリュを回転制御し、保圧完了か否か判断し保圧完了でなければステップSA2に戻り処理を継続し、保圧完了であれば、計量と成形品の取り出し処理を行い1サイクルを終了する(SA5〜SA7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形機に関し、特に、樹脂の射出をより正確に行うことが可能な射出成形機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インラインスクリュ式射出成形機では、加熱シリンダ内のスクリュを回転させ樹脂材料を溶融混練し、加熱シリンダの先端部に溶融樹脂を圧送し、これに伴って圧力制御を行いながらスクリュを後退させて、スクリュが設定計量点に到達すると、スクリュの回転を止め、かつスクリュの後退も停止させて樹脂の計量を行っている。又、プリプラ式射出成形機も同様で、可塑化スクリュを回転させてシリンダの先端部に溶融樹脂を供給し、シリンダの先端部に供給された樹脂の圧力でプランジャを後退させて、プランジャが設定位置に達することによって、溶融樹脂の計量を行っている。そして、この計量後にスクリュ又はプランジャを前進させて金型内に溶融樹脂を射出し充填させている。
【0003】
インライン式射出成形機の射出スクリュには、逆流防止装置の無いスミアヘッドスクリュがある。また、計量工程時にはスクリュの回転に伴って溶融樹脂をシリンダ先端部に供給し、射出保圧工程時にはスクリュ先端部の溶融樹脂が後方に逆流せず金型内に射出されるようにするために、スクリュの先端には、逆流防止弁等の逆流防止装置が設けられる場合がある。
【0004】
しかし、この溶融樹脂の逆流を防止する弁などの逆流防止手段の動作遅れに伴って溶融樹脂が逆流し、計量された分の樹脂を正確に射出できない場合があるという問題がある。成形品の品質を上げるには、金型内に充填される溶融樹脂の充填量のバラツキを少なくする必要がある。
【0005】
特許文献1には、スクリュが計量点まで後退するとスクリュ回転を停止し、スクリュ後退を停止した後、その停止した位置でスクリュを逆回転させてシリンダの後端部の樹脂圧力を低下させて逆止弁を後退させて樹脂通路を閉鎖し、その後、サックバックし、次に射出を開始することにより計量される樹脂量のバラツキをなくす技術が開示されている。特許文献2には、計量完了後のサックバック工程でスクリュ位置を保持したまま逆回転させて、その後射出を開始する技術が開示されている。上述した従来の技術では、計量後にスクリュを逆回転させることなどで、逆流防止装置を安定動作させ、計量樹脂量が変動することを防止するものである。また、特許文献3〜5には、射出保圧中にスクリュを順回転させる技術が開示され、特許文献6には、射出ノズル内の圧力に基づくフィードバック制御によってスクリュを順回転させながら射出工程と保圧工程を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−240052号公報
【特許文献2】特許第3118188号公報
【特許文献3】特開平9−109200号公報
【特許文献4】特開昭63−262219号公報
【特許文献5】特開昭61−199919号公報
【特許文献6】特許第3848137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献献1、2に記載されているような、計量終了後にスクリュ逆回転などを行うことによって、正確な計量(射出量)を得るようにした従来技術は、逆流防止装置を安定動作させるには有効である。しかし、スミアヘッドスクリュのように逆流防止装置を備えていない機構の場合や、逆流防止装置はあるものの長期間の使用によって逆流防止弁等が摩耗し樹脂のバックフロー量が多い状況にある射出成形機の場合は、スクリュ内圧が低下して射出中の樹脂のバックフロー量が増加し、むしろ射出が不安定になってしまう。
【0008】
特許文献3のように単に射出中にスクリュを順回転させるだけでは、可塑化能力向上には有効であるが、射出の安定化には寄与しない。また、特許文献4ではフィードバック制御していないため高精度な制御ができない。また、特許文献5のスクリュ回転のみによる圧力制御では、急峻な圧力変化をつけることができないため使用できる成形が制限される。
【0009】
特許文献6のように射出ノズルに圧力検出用センサを配設すると、従来の射出装置と比較し、センサ部品の増設、センサ用ケーブルの這いまわしなど、部品の増加、組立工数増加によるコストアップが避けられない。さらに、高粘度樹脂で高速射出の場合バックフローしながらでもノズル圧力が大きく上昇するため、圧力によるフィードバック制御で射出保圧中にスクリュ回転させても、樹脂の逆流防止が困難な課題があった。また、逆流防止のため過剰にスクリュ回転させても圧力フィードバックでは樹脂の過剰供給(過剰射出)を検出することができないため、計量された樹脂を安定して射出させることが困難な課題があった。
【0010】
そこで本発明の目的は、逆流防止装置を備えていないスクリュや、逆流防止装置があるものの逆流防止弁等の摩耗などによってその機能が低下した状態にある射出成形機において上記課題を解決し、射出および保圧時の樹脂充填を安定させることができる射出成形機の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の請求項1に係る発明は、スクリュを前後進させるためのスクリュ前後進用モータと、スクリュを回転させるためのスクリュ回転用モータとを備え、計量中にはスクリュ回転用モータを回転させながら、スクリュ前後進用モータを駆動しスクリュをあらかじめ設定された計量完了位置まで後退させ、スクリュ前後進用モータを射出工程、保圧工程中に速度制御、あるいは圧力制御によって駆動する射出成形機の制御装置において、前記スクリュに作用する負荷トルクを検出する負荷トルク検出手段と、負荷トルク指令値および前記負荷トルク検出手段により検出された負荷トルク検出値を元にスクリュ回転速度指令値を算出する第1スクリュ回転速度指令値算出手段とを備え、前記射出工程中および前記保圧工程中に、前記第1スクリュ回転速度指令値算出手段により算出されたスクリュ回転速度指令値に基づいて前記スクリュ回転用モータを駆動制御することにより前記スクリュの回転速度を調整し、スクリュが受ける回転方向の負荷トルクを前記負荷トルク指令値である所定の値と同じになるようにすることを特徴とする射出成形機の制御装置である。
【0012】
請求項2に係る発明は、射出工程中および保圧工程中の経過時間あるいはスクリュ位置に対するスクリュ回転方向の負荷トルクである負荷トルク変化プロファイルを記憶する記憶手段を備え、毎回の射出成形サイクルにおける負荷トルク変化プロファイルが、射出工程および保圧工程中で同じとなるように、前記記憶手段に記憶された負荷トルク変化プロファイルを用い、前記スクリュの回転速度を調整することを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の制御装置である。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記記憶手段に記憶された負荷トルク変化プロファイルを、射出工程中および保圧工程中の負荷トルク指令値として用いることを特徴とする請求項1または2のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置である。
【0014】
請求項4に係る発明は、射出工程中および保圧工程中の前記負荷トルク変化プロファイルが、前記記憶手段に記憶された負荷トルク変化プロファイルに対し予め設定した偏差範囲内に収まるように前記スクリュの回転速度を調整することを特徴とする請求項3に記載の射出成形機の制御装置である。
【0015】
請求項5に係る発明は、さらに、速度プロファイルを記憶する手段を備え、前記スクリュの前後進速度を検出する速度検出手段を備え、前記圧力制御において、スクリュ前進速度指令値および前記速度検出手段により検出されたスクリュ前進速度を元にスクリュ回転速度指令値を算出する第2スクリュ回転速度指令値算出手段を備え、保圧工程中は、前記第2スクリュ回転速度指令値算出手段により算出されたスクリュ回転速度指令値に基づいて前記スクリュ回転用モータを駆動制御することにより前記スクリュの回転速度を前記スクリュ前進速度指令値である所定の速度または前記記憶された速度プロファイルと同じになるように制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置である。
【0016】
請求項6に係る発明は、射出工程中および保圧工程中に射出圧の反作用でホッパ側に逆流しようとする樹脂に対し、スクリュを回転させノズル側に樹脂を押す方向の力を加え、樹脂がスクリュに対して相対的にホッパ側方向に逆流することを防止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置である。
【0017】
請求項7に係る発明は、スクリュを回転させた際に発生するノズル内圧あるいはスクリュ締結部の圧力検出手段により検出された圧力とスクリュが受ける回転方向の負荷トルクまたはスクリュの回転速度を検出する回転速度検出手段により検出されたスクリュ回転速度との関係式を予め求め、該関係式に基づいて前記トルク指令値または前記スクリュ回転速度指令値を求めることを特徴とする請求項5または6のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置である。
【0018】
請求項8に係る発明は、前記射出成形機はプリプラ式射出成形機であり、前記スクリュは該プリプラ式射出成形機が備える可塑化スクリュであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置である。
【0019】
請求項9に係る発明は、前記負荷トルク検出手段は、スクリュ回転用電動モータあるいはスクリュ回転用油圧モータへの負荷を検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、射出工程・保圧工程中に樹脂から受けるスクリュ回転方向の負荷トルクの変化を各成形サイクルにおいて同じにすることで、射出工程・保圧工程における樹脂充填挙動を安定化させることが可能となる。また、逆流防止装置を備えていないスクリュや、逆流防止装置があるものの摩耗などによってその機能が低下した状態にある射出成形機においても、また、樹脂材料の粘度によらず、射出工程および保圧工程における樹脂充填を安定させることができる。更に、圧力と負荷トルクあるいはスクリュ回転数の関係式を用いることで、スクリュに対して相対的に樹脂が逆流しないように調整して、バックフローや過剰射出させる事無く計量された樹脂を安定して射出することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】射出成形機の制御装置の概略構成図である。
【図2】射出工程中および保圧工程中におけるスクリュ回転制御をした場合としない場合の時間に対する樹脂圧力とスクリュ回転トルクの関係を説明するグラフである。
【図3】スクリュ回転の負荷トルクに基づいてスクリュ回転速度を調整する場合の制御ループを説明する図である。
【図4】圧力制御中のスクリュ前進速度に基づいてスクリュ回転速度を調整する場合の制御ループを説明する図である。
【図5】スクリュ回転の負荷トルクが所定値になるようにスクリュ回転速度を調整する場合の処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図6】スクリュ回転の負荷トルクが予め記憶した基準波形に追従するようにスクリュ回転速度を調整する場合の処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図7】速度制御中は負荷トルクに基づいて回転速度を調整し、圧力制御中はスクリュ前進速度に基づいて回転速度を調整する場合の処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図8】圧力とスクリュ回転の負荷トルクの関係式と、逐次検出した圧力と負荷トルクとに基づいてスクリュ回転速度を制御する処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図9】圧力とスクリュ回転の負荷トルクの関係式と、逐次検出した樹脂圧力と負荷トルクとに基づいてスクリュ回転速度を制御する場合の制御ループを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の射出成形機の要部ブロック図である。
射出シリンダ1の先端にはノズル部2が取り付けられ、該射出シリンダ1内には、スクリュ3が挿通されている。スクリュ3には該スクリュ3にかかる圧力により樹脂圧力を検出するロードセル等の圧力センサ5が設けられ、該スクリュ3は、スクリュ回転用サーボモータM2により、プーリ、ベルト等で構成された伝動手段6を介して回転させられる。又、スクリュ3は、スクリュ前後進用サーボモータM1によって、プーリ、ベルト、ボールねじ/ナット機構等の回転運動を直線運動に変換する機構を含む伝動手段7を介して駆動され、該スクリュ3の軸方向に移動させられる。なお、符号P1は、スクリュ前後進用サーボモータM1の位置、速度を検出することによって、スクリュ3の軸方向の位置、速度を検出する位置・速度検出器であり、符号P2は、サーボモータM2の位置、速度を検出することによって、スクリュ3の回転位置、速度を検出する位置・速度検出器である。又、符号4は、射出シリンダ1に樹脂を供給するホッパである。
【0023】
射出成形機の制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNCCPU20、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMCCPU17、及びサーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU15を有し、バス26を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0024】
サーボCPU15には、位置ループ、速度ループ、電流ループの処理を行うサーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM13やデータの一時記憶に用いられるRAM14が接続されている。また、サーボCPU15は、A/D(アナログ/デジタル)変換器16を介して射出成形機本体側に設けられた射出圧等の各種圧力を検出する圧力センサ5からの圧力信号を検出できるように接続されている。更に、サーボCPU15には、該サーボCPU15からの指令に基づいて、射出軸に接続されたスクリュ前後進用サーボモータM1、スクリュ回転軸に接続されたスクリュ回転用サーボモータM1,M2を駆動するサーボアンプ12,11が接続され、各サーボモータM1,M2に取り付けられた位置・速度検出器P1,P2からの出力がサーボCPU15に帰還されるようになっている。各サーボモータM1,M2の回転位置は位置・速度検出器P1,P2からの位置のフィードバック信号に基づいてサーボCPU15により算出され、各現在位置記憶レジスタに更新記憶される。図1においては射出軸、スクリュ回転軸を駆動するサーボモータM1,M2、該サーボモータM1,M2の回転位置、速度を検出する位置・速度検出器P1,P2及びサーボアンプ12,11についてのみ示しているが、金型の型締めを行う型締め軸や成形品を金型から取り出すエジェクタ軸等の各軸の構成は皆これと同様であり、図1では省略している。
【0025】
PMCCPU17には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM18および演算データの一時記憶等に用いられるRAM19が接続され、CNCCPU20には、射出成形機を全体的に制御する自動運転プログラム、本発明に関係した、計量後の減圧制御プログラム等を記憶したROM21および演算データの一時記憶等に用いられるRAM22が接続されている。
【0026】
不揮発性メモリで構成されるデータ保存用RAM23は射出成形作業に関する成形条件と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。 LCD(液晶ディスプレイ)/MDI(手動データ入力装置)25はインタフェース(I/F)24を介してバス26に接続され、グラフ表示画面や機能メニューの選択および各種データの入力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けられている。なお、表示装置としてはCRTを用いたものでもよい。
【0027】
以上の構成により、PMCCPU17が射出成形機全体のシーケンス動作を制御し、CNCCPU20がROM21の運転プログラムや成形データ保存用RAM23に格納された成形条件等に基づいて各軸のサーボモータに対して移動指令の分配を行い、サーボCPU15は各軸に対して分配された移動指令と位置・速度検出器P1,P2で検出された位置および速度のフィードバック信号等に基づいて、従来と同様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行し、サーボモータM1,M2を駆動制御する。
【0028】
上述した構成は従来の電動式射出成形機の制御装置と変わりはなく、従来と異なる点は、ROM21に射出保圧中のスクリュ回転動作のプログラムが格納されている点である。
本実施形態の射出保圧工程の動作は、スクリュ前進動作は従来同様に速度制御あるいは圧力制御を行い、同時にスクリュ3をトルク制御によって回転させる点に特徴を有するものであり、RAM23に記憶された負荷トルクプロファイルと一致するように、あるいは負荷トルクプロファイルに対し予め設定した偏差範囲になるように、スクリュ回転方向の負荷トルクを、スクリュ回転速度を調整することで制御することに特徴を有するものである。
【0029】
図2は、射出工程中および保圧工程中におけるスクリュ回転制御をした場合としない場合の時間に対する樹脂圧力とスクリュ回転トルクの関係を説明するグラフである。図2によれば、射出工程中および保圧工程中にスクリュ回転制御を行うことで、樹脂がスクリュ3に対してバックフローしなくなり、そのときスクリュ3に作用する負荷トルクが増加することを示す説明図である。
【0030】
射出工程および保圧工程中にスクリュ回転させることで、バックフローしようとする樹脂をスクリュ前方に押し返す力が発生し、樹脂はスクリュ3に対してバックフローしなくなる。このとき、樹脂を前方に押し返すときの反作用の力がスクリュに作用するため、負荷トルクは大きくなる。一方、スクリュ回転制御を行わない場合は、樹脂を前方に押し返すときの反作用の力が作用しないため、負荷トルクは相対的に小さくなる。
【0031】
また、スクリュ回転時は樹脂のバックフローが防止されるため、負荷トルクが増加するとともに樹脂圧力も増加する。また、スクリュ回転停止時は樹脂がバックフローしてノズル内部の圧縮樹脂の一部がスクリュ後方に抜けてゆくため、樹脂圧力は相対的に小さくなる。時間またはスクリュ3の射出シリンダ1の射出方向の位置に対するスクリュ3にかかる負荷トルクを負荷トルク変化プロファイルという。
【0032】
図3は、スクリュ3に作用する負荷トルクに基づいて、スクリュ回転速度を調整する場合の実施形態である。スクリュに作用する負荷トルクを検出し、該検出した負荷トルクの負荷トルク帰還値DFBと負荷トルク指令値DCMDとの偏差にもとづいてPID制御器31によりPID制御を行い、スクリュ回転速度指令値Vを作成する。負荷トルクが小さすぎる場合は樹脂のバックフローが多いことを意味するため、スクリュ回転速度を大きくしてバックフローを防止する制御を行う。また、負荷トルクが大きすぎる場合は樹脂の過剰供給を意味するため、過剰供給にならないようにスクリュ回転速度を小さくする、あるいは逆回転させる。
【0033】
PID制御器31からスクリュ回転速度指令値Vを速度・電流制御器30に出力する。速度・電流制御器30は、サーボモータM2に取り付けられた位置・速度検出器P2により検出される回転速度のフィードバック情報、サーボアンプ11から電流のフィードバック情報(図示せず)およびスクリュ回転速度指令値Vに基づき速度ループ、電流ループ処理を行い、サーボアンプ11にスクリュ回転電圧指令値S1を出力する。
【0034】
サーボアンプ11はサーボモータM2に駆動電流S2を出力する。サーボアンプ11からPID制御器31に負荷トルク帰還値DFBを出力する。負荷トルク帰還値DFBは、サーボモータM2の駆動電流や図示省略した従来周知の外乱オブザーバにより求めることができる。
【0035】
なお、電動モータであるサーボモータM2に替えて油圧モータによってスクリュ3を回転させる形式の射出成形機であってもよい。
スクリュ回転速度指令値Vに対しては、通常のサーボ制御を行ってスクリュ回転の駆動制御を行う。また、PID制御器31に入力する負荷トルク指令値DCMDには、所定のトルク値を用いてもよいし、あらかじめ記憶したバックフローしない状態における負荷トルクプロファイルを読み出して用いるようにしても良い。
【0036】
図4は、保圧工程中のスクリュ前進速度にもとづいて、スクリュ回転速度を調整する場合の実施形態である。スクリュ前後進用サーボモータM1に取り付けられた位置・速度検出器P1によりスクリュ前進速度を検出し、該検出したスクリュ前進速度であるスクリュ前進速度値帰還値IFBと前進速度指令値ICMDとの偏差にもとづいてPID制御器34にてPID制御を行い、スクリュ回転速度指令値Vを作成する。
【0037】
作成したスクリュ回転速度指令値Vに対しては、速度・電流制御器30、スクリュ回転用サーボアンプ11により通常のサーボ制御を行ってスクリュ回転用サーボモータM2の駆動制御を行う。また、PID制御器34に入力する前進速度指令値ICMDには、所定のスクリュ前進速度を用いてもよいし、あらかじめ記憶したバックフローしない状態におけるスクリュ前進速度プロファイルを読み出して用いるようにしても良い。
【0038】
保圧工程中において、所定の圧力を保持する圧力制御中にスクリュ3が過度に前進する場合は、樹脂がバックフローしてスクリュ後方に抜けた樹脂を補うためにスクリュが前進していることを意味するため、スクリュ回転速度を大きくしてバックフローを防止する制御を行う。また、スクリュ3が停止あるいは後退する場合は、樹脂がバックフローしていないか樹脂の過剰供給になっていることを意味するため、スクリュ回転速度を小さくする、あるいは逆回転させる。
【0039】
図5は、射出保圧中にスクリュ回転の負荷トルクが所定値になるように、スクリュ回転速度を制御する場合のフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA1]射出開始か否か判断し、射出開始まで待ち、射出開始の場合には、ステップSA2に移行する。
●[ステップSA2]負荷トルク指令値DCMDを読み出しステップSA3へ移行する。
●[ステップSA3]負荷トルク帰還値DFBを取得しステップSA4へ移行する。
●[ステップSA4]スクリュの回転速度指令値Vを計算しステップSA5へ移行する。
●[ステップSA5]ステップSA4で計算した回転速度指令値Vに従ってスクリュを回転制御しステップSA6へ移行する。
●[ステップSA6]保圧完了か否か判断し保圧完了でなければステップSA2に戻り処理を継続し、保圧完了であればステップSA7へ移行する。
●[ステップSA7]計量と成形品の取り出し処理を行い1サイクルを終了する。
【0040】
図6は、射出保圧中にスクリュ回転の負荷トルクが負荷トルク変化プロファイルとして記憶した基準波形に追従するように、スクリュ回転速度を制御する場合のフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSB1]射出開始か否か判断し、射出開始まで待ち、射出開始の場合には、ステップSB2に移行する。
●[ステップSB2]基準波形があるか否か判断し、ある場合にはステップSB3へ移行し、ない場合にはステップSB8へ移行する。
●[ステップSB3]負荷トルク指令値DCMDを基準波形から読み出しステップSB4へ移行する。
●[ステップSB4]負荷トルク帰還値DFBを取得しステップSB5へ移行する。
●[ステップSB5]スクリュの回転速度指令値Vを計算しステップSB6へ移行する。
●[ステップSB6]ステップSB5で計算した回転速度指令値Vに従ってスクリュを回転制御しステップSB7へ移行する。
●[ステップSB7]保圧完了か否か判断し保圧完了でなければステップSB3に戻り処理を継続し、保圧完了であればステップSB11へ移行する。
●[ステップSB8]所定速度でスクリュ回転を制御し、ステップSB9へ移行する。
●[ステップSB9]スクリュ回転時の負荷トルクを検出し、追従制御用の負荷トルク指令値として基準波形に記憶し、ステップSB10へ移行する。
●[ステップSB10]保圧完了か否か判断し、保圧完了でなければステップSB8へ戻り処理を継続し、保圧完了であればステップSB11へ移行する。
●[ステップSB11]計量と成形品の取り出し処理を行い1サイクルを終了する。
【0041】
図7は、射出保圧中において、速度制御中はスクリュ回転の負荷トルクが所定値あるいは所定のトルクプロファイルになるように、スクリュ回転速度を制御し、圧力制御中はスクリュ前進速度が所定値あるいは所定の速度プロファイルになるように、スクリュ回転速度を制御する場合のフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSC1]射出開始か否か判断し、射出開始まで待ち、射出開始の場合には、ステップSC2に移行する。
●[ステップSC2]圧力制御中であるか否か判断し、圧力制御中である場合にはステップSC8へ移行し、圧力制御中ではない場合にはステップSC3へ移行する。
●[ステップSC3]負荷トルク指令値DCMDを基準波形から読み出しステップSC4へ移行する。
●[ステップSC4]負荷トルク帰還値DFBを取得しステップSC5へ移行する。
●[ステップSC5]スクリュの回転速度指令値Vを計算しステップSC6へ移行する。
●[ステップSC6]ステップSC5で計算した回転速度指令値Vに従ってスクリュを回転制御しステップSC7へ移行する。
●[ステップSC7]保圧完了か否か判断し、保圧完了でなければステップSC2に戻り処理を継続し、保圧完了であればステップSC11へ移行する。
●[ステップSC8]前進速度指令値ICMDを制御し、ステップSC9へ移行する。
●[ステップSC9]前進速度帰還値IFBを検出し、ステップSC10へ移行する。
●[ステップSC10]回転速度指令値Vを計算し、ステップSC6へ移行する。
●[ステップSC11]計量と成形品の取り出し処理を行い1サイクルを終了する。
【0042】
上述の各フローチャートを補足して説明すると、回転速度指令値Vの計算(ステップSA4、ステップSB5、およびステップSC5)は図3に示されているPID制御を行うPID制御器31における処理、回転速度指令値Vの計算(ステップSC10)は、図4のPID制御を行うPID制御器34における処理である。また、スクリュ回転制御(ステップSA5、ステップSB6、ステップSC6)は、速度ループ・電流ループ制御を行う速度・電流制御器30における処理である。
【0043】
なお、本発明は、可塑化スクリュを有するプリプラ式射出成形機においても実施可能である。
また、他の実施形態では、予めスクリュ回転させた際のノズル内圧あるいはスクリュ締結部に装着されたロードセルなどの圧力センサ5で検知した圧力とスクリュ回転トルクあるいはスクリュ回転速度との関係式を算出する。この際、ノズル先端を封止してスクリュ3をその場回転させると、より高圧発生時の負荷トルクを計測することが可能である。
【0044】
2条件以上のデータに基づく圧力−トルク近似式などを算出し、規定した圧力プロファイル、あるいは負荷トルク変化プロファイルになるようにスクリュ回転速度を調整する。近似式は1、2次関数近似あるいは対数近似が好ましいが、より正確な制御を行うためには形式を限定しない。また、負荷トルク−スクリュ回転速度の関係式あるいは圧力−スクリュ回転速度の関係式が求められる場合は、圧力−スクリュ回転速度近似式に基づくスクリュ回転速度の調整でも良い。
【0045】
例えば、ホッパ4から投入される樹脂であるポリエチレンにて圧力と前記負荷トルクとの関係を調査したところ表1が得られ、表1に基づいて近似式である数式1を求めることができる。この数1式に基づいて求めた値に従って負荷トルクを制御する。
【0046】
【表1】

【0047】
【数1】

【0048】
上記によって求められた数1式は、射出工程および保圧工程において、樹脂がスクリュ3に対してバックフローしないために必要なトルクとみなすことができる。この数1式に基づくスクリュ回転速度の調整を行うことで、スクリュ3に対して相対的にホッパ4方向への樹脂の逆流を防止し、かつ過剰射出させない安定射出が可能となる。これによって、逆流防止装置を備えていないスミアヘッドスクリュなどの場合でも、計量された樹脂を正確に射出することが可能となる。
【0049】
図8は、樹脂圧力とスクリュ回転の負荷トルクの関係式と、逐次検出した樹脂圧力と負荷トルクとに基づいてスクリュ回転速度を制御する処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
図8に示される処理では、樹脂圧力とスクリュ3が受ける回転方向の負荷トルクとの関係式をあらかじめ算出し、前記算出した関係式と、射出工程および保圧工程において逐次検出した樹脂圧力と負荷トルクとに基づいて、射出工程および保圧工程におけるスクリュ回転速度を逐次調節し、射出工程および保圧工程においてスクリュ3を回転させて、計量された樹脂がスクリュに対して相対的にホッパ4側方向に逆流することを防止している。
【0050】
まず、あらかじめ予備試験を実施し、樹脂の逆流がない状態における圧力と負荷トルクとの関係を求める。その結果、近似式としてP=f(D)が得られたとする。ここで、樹脂圧力Pは圧力センサ5によって検出される圧力、Dはスクリュ3の回転方向の負荷トルクである。
【0051】
そして、実際の成形動作を行い、射出工程および保圧工程における樹脂圧力Pactおよぶ負荷トルクDactを逐次検出し、該検出した負荷トルクを負荷トルク値Dactとして前記近似式に代入する。ここで、前記近似式は、樹脂の逆流が無い状態における樹脂圧力と負荷トルクとの関係であるので、代入して得られた計算圧力Pc(=f(Dact))は、樹脂の逆流が無い場合に発生する樹脂圧力の計算値を意味する。
【0052】
したがって、圧力センサ5により検出した樹脂圧力Pactと近似式に代入して求めた計算圧力Pcが一致すれば、樹脂の逆流が無い状態で射出工程および保圧工程が行われたことを意味する。また、近似式に代入して求めた計算圧力Pcに対して検出した圧力Pactが小さい場合(Pact<Pc)、スクリュ回転速度が不足しているため、樹脂の逆流が発生し、樹脂圧力Pactが低下していることを意味する。また、近似的に代入して求めた計算圧力Pcに対して検出した樹脂圧力Pactが大きい場合(Pact>Pc)、スクリュ回転速度が過大であるため、スクリュ後方から前方への樹脂の流れ(順流)が発生し、樹脂圧力Pactが上昇していることを意味する。
【0053】
よって、樹脂の逆流を防止した状態で射出工程および保圧工程を行うためには、前記検出した樹脂圧力Pactと計算圧力Pcとを逐次比較し、Pact<Pcの場合には、スクリュ回転速度をΔVだけ大きくする。また、Pact>Pcの場合は、スクリュ回転速度が過大であるため、スクリュ回転制御を行う。射出開始から保圧完了までの間は、上記の処理を毎制御周期毎に逐次実行する。
【0054】
上記のように、スクリュ回転速度を調整しながら射出工程および保圧工程におけるスクリュ回転制御を行うと、樹脂圧力Pactを計算圧力Pcに一致させることができ、樹脂がスクリュに対して相対的にホッパ4方向に逆流しない状態で射出工程および保圧工程を行うことができる。
【0055】
なお、スクリュ回転速度を大きく/小さくする場合の変化量はΔVは、あらかじめ所定値として決めておいてもよいし、樹脂圧力Pactと計算圧力Pcとの偏差に基づいてPID制御により変化量ΔVを逐次変化させながら制御するようにしてもよい。
【0056】
以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSD1]射出開始か否か判断し、射出開始まで待ち、射出開始の場合には、ステップSD2に移行する。
●[ステップSD2]樹脂圧力値Pactと負荷トルク帰還値DFBを取得する。樹脂圧力値は圧力センサ5により検出された検出値である。
●[ステップSD3]ステップSD2で取得した負荷トルク帰還値DFBと予め求められた近似式を用いて、計算圧力値Pcを算出する。
●[ステップSD4]計算圧力値Pcは検出した樹脂圧力値Pact以上であるか否か判断し、以上であればステップSD5へ移行し、以上でなければステップSD6へ移行する。
●[ステップSD5]スクリュ回転速度指令値VをΔVだけ大きくし、ステップSD7へ移行する。
●[ステップSD6]スクリュ回転速度指令VをΔVだけ小さくし、ステップSD7へ移行する。
●[ステップSD7]スクリュ回転制御を実行し、ステップSD8へ移行する。
●[ステップSD8]保圧完了であるか否か判断し、保圧完了でない場合にはステップSD2へ戻り処理を継続し、保圧完了である場合にはステップSD9へ移行する。
●[ステップSD9]計量および成形品の取り出しを行い、1成形サイクルを終了する。
【0057】
図9は、樹脂圧力とスクリュ回転力(負荷トルク)との関係式と、逐次検出した樹脂圧力とスクリュ回転力とに基づいてスクリュ回転速度を調整する場合の実施形態である。圧力センサ5により樹脂圧力を検出し、検出して得られた樹脂圧力は圧力帰還値である樹脂圧力値PactとしてPID制御器37に入力する。
【0058】
また、PID制御器37には、予め求められROM21あるいはRAMに記憶された近似式P=f(D)とトルク帰還値DFBから上位の制御装置(CNCCPU20)で計算された計算圧力値Pc(PCMD)も入力する。PID制御器37は、計算圧力値Pcと圧力帰還値である樹脂圧力値Pactとの偏差に基づいて、スクリュ3の回転速度指令値Vを逐次計算する。
【0059】
スクリュ前後進用サーボモータM1に取り付けられた位置・速度検出器P1によりスクリュ前進速度を検出し、該検出したスクリュ前進速度であるスクリュ前進速度値帰還値IFBと前進速度指令値ICMDとの偏差にもとづいてPID制御器34にてPID制御を行い、スクリュ回転速度指令値Vを作成する。
【0060】
作成したスクリュ回転速度指令値Vに対しては、速度・電流制御器30、スクリュ回転用サーボアンプ11により通常のサーボ制御を行ってスクリュ回転用サーボモータM2の駆動制御を行う。
【0061】
また、樹脂圧力とスクリュ回転速度との関係式を求めておき、この関係式に基づいてスクリュ回転速度を制御してもよい。この場合にも、まず、あらかじめ予備試験を実施し、樹脂の逆流がない状態における樹脂圧力とスクリュ回転速度との関係を求める。その結果、近似式としてP=fθ(Vθ)が得られたとする。ここで、樹脂圧力Pは圧力センサ5によって検出される圧力、Vθはスクリュ3の回転速度である。図8において、計算圧力Pcをスクリュ3の回転速度に基づいて算出し、スクリュ回転制御を行うようにしてもよい。
なお、本発明は樹脂に限定されず、全ての射出成形材料について使用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 射出シリンダ
2 ノズル部
3 スクリュ
4 ホッパ
5 圧力センサ
6,7 伝動手段
M1 スクリュ前後進用サーボモータ
M2 スクリュ回転用サーボモータ
P1 位置・速度検出器
P2 位置・速度検出器
10 制御装置
11,12 サーボアンプ
13 ROM
14 RAM
15 サーボCPU
16 A/D変換器
17 PMCCPU
18 ROM
19 RAM
20 CNCCPU
21 ROM
22 RAM
23 成形データ保存用RAM
24 インタフェース(I/F)
25 LCD(液晶ディスプレイ)/MDI(手動データ入力装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュを前後進させるためのスクリュ前後進用モータと、スクリュを回転させるためのスクリュ回転用モータとを備え、計量中にはスクリュ回転用モータを回転させながら、スクリュ前後進用モータを駆動しスクリュをあらかじめ設定された計量完了位置まで後退させ、スクリュ前後進用モータを射出工程、保圧工程中に速度制御、あるいは圧力制御によって駆動する射出成形機の制御装置において、
前記スクリュに作用する負荷トルクを検出する負荷トルク検出手段と、
負荷トルク指令値および前記負荷トルク検出手段により検出された負荷トルク検出値を元にスクリュ回転速度指令値を算出する第1スクリュ回転速度指令値算出手段とを備え、
前記射出工程中および前記保圧工程中に、前記第1スクリュ回転速度指令値算出手段により算出されたスクリュ回転速度指令値に基づいて前記スクリュ回転用モータを駆動制御することにより前記スクリュの回転速度を調整し、スクリュが受ける回転方向の負荷トルクを前記負荷トルク指令値である所定の値と同じになるようにすることを特徴とする射出成形機の制御装置。
【請求項2】
射出工程中および保圧工程中の経過時間あるいはスクリュ位置に対するスクリュ回転方向の負荷トルクである負荷トルク変化プロファイルを記憶する記憶手段を備え、
毎回の射出成形サイクルにおける負荷トルク変化プロファイルが、射出工程および保圧工程中で同じとなるように、前記記憶手段に記憶された負荷トルク変化プロファイルを用い、前記スクリュの回転速度を調整することを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶された負荷トルク変化プロファイルを、射出工程中および保圧工程中の負荷トルク指令値として用いることを特徴とする請求項1または2のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置。
【請求項4】
射出工程中および保圧工程中の前記負荷トルク変化プロファイルが、前記記憶手段に記憶された負荷トルク変化プロファイルに対し予め設定した偏差範囲内に収まるように前記スクリュの回転速度を調整することを特徴とする請求項3に記載の射出成形機の制御装置。
【請求項5】
さらに、速度プロファイルを記憶する手段を備え、
前記スクリュの前後進速度を検出する速度検出手段を備え、
前記圧力制御において、スクリュ前進速度指令値および前記速度検出手段により検出されたスクリュ前進速度を元にスクリュ回転速度指令値を算出する第2スクリュ回転速度指令値算出手段を備え、
保圧工程中は、前記第2スクリュ回転速度指令値算出手段により算出されたスクリュ回転速度指令値に基づいて前記スクリュ回転用モータを駆動制御することにより前記スクリュの回転速度を前記スクリュ前進速度指令値である所定の速度または前記記憶された速度プロファイルと同じになるように制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置。
【請求項6】
射出工程中および保圧工程中に射出圧の反作用でホッパ側に逆流しようとする樹脂に対し、スクリュを回転させノズル側に樹脂を押す方向の力を加え、樹脂がスクリュに対して相対的にホッパ側方向に逆流することを防止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置。
【請求項7】
スクリュを回転させた際に発生するノズル内圧あるいはスクリュ締結部の圧力検出手段により検出された圧力とスクリュが受ける回転方向の負荷トルクまたはスクリュの回転速度を検出する回転速度検出手段により検出されたスクリュ回転速度との関係式を予め求め、
該関係式に基づいて前記トルク指令値または前記スクリュ回転速度指令値を求めることを特徴とする請求項5または6のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置。
【請求項8】
前記射出成形機はプリプラ式射出成形機であり、前記スクリュは該プリプラ式射出成形機が備える可塑化スクリュであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置。
【請求項9】
前記負荷トルク検出手段は、スクリュ回転用電動モータあるいはスクリュ回転用油圧モータへの負荷を検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の射出成形機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−173183(P2010−173183A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18589(P2009−18589)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】