説明

導電性ローラのパターン形成方法

【課題】 簡素な方法により、導電性ローラの塗膜層表面粗さを適切にして、トナーの搬送量や帯電量を適正にできる導電性ローラの表面処理方法を提供することを目的とする。【解決手段】 凹凸形成用ローラ11の表面に微細な凹凸からなるパターン11bを形成するとともに、前記導電性ローラ1と凹凸形成用ローラ11との相対回転により、前記パターン11bを導電性ローラ1の塗膜層4の表面に押し付けて形成することにより、樹脂から構成される塗料が塗布されて比較的平滑に形成された導電性ローラ1に、微細な凹凸からなるパターン1bが容易に刻設され、適度な表面粗さが付与されて、表面形状の最適化により、トナーの搬送量および帯電量が最適となり、最終的に出力される画質の向上が期待される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真装置、静電記録装置等の画像形成装置に用いられる導電性ローラを製造する技術に係り、特に、これらの導電性ローラの表面の高品質化のために採用されるもので、基体部の表面に塗料が塗布されて塗膜層が形成された導電性ローラのパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、潜像を保持した感光ドラム等にトナーを供給し、感光ドラムの潜像に該トナーを付着させて潜像を可視化する現像方法として、加圧現像法が知られている。該加圧現像法においては、例えば、感光ドラムを一定電位に帯電させた後、露光機により感光ドラム上に静電潜像を形成し、さらに、トナーを担持した現像ローラを、静電潜像を保持した感光ドラムに接触させて、トナーを感光ドラムの潜像に付着させる現像を行う。また、感光ドラムと現像ローラに一定の間隙を設け、その間隙にトナーを電気的に飛翔させて現像を行う非接触現像法も提案されている。
【0003】
また、上記感光ドラムの帯電には、従来コロナ放電方式が採用されていたが、コロナ放電方式では、6〜10kVの高電圧を印加する必要があるため、装置の安全確認の観点から好ましくはなく、さらに、コロナ放電中にオゾン等の有害物質が発生するため、環境面からも好ましくなかった。これに対し、感光ドラムを帯電させる接触帯電方式が提案されている。
【0004】
上記加圧現像法における現像ローラ、ならびに上記接触帯電方式における帯電ローラは、感光ドラムに密着した状態を確実に保持しながら回転しなければならないため、また、非接触現像法における現像ローラにおいても、トナーに対するストレスを軽減するために、金属等の良導電性材料からなるシャフトの外周に、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリウレタン等のエラストマーにカーボンブラックや金属粉を分散させた半導電性の弾性体やこれらを発泡させた発泡体からなる半導電性弾性層を形成した構造となっている。また、トナーに対する帯電性や付着性の制御、弾性層による感光ドラムの汚染防止等を目的として、上記弾性層の表面に、さらに、樹脂被覆層を形成する場合がある。
【0005】
さらに、上記現像ローラおよび帯電ローラに加えて、現像ローラにトナーを供給するためのトナー供給ローラ、感光ドラムの潜像に付着したトナーを記録媒体に転写するための転写ローラ、転写後に感光ドラム上に残留するトナーを除去するためのクリーニングローラ等にも、上記のようなシャフトの外周に半導電性弾性層を形成し、該弾性層の表面にさらに樹脂被覆層を形成した構造の導電性ローラが用いられている。
【0006】
従来、電子写真装置に組み込まれる導電性ローラは、その帯電性能やトナー搬送性能を向上させるため、表面に微小な凹凸を設けることがなされている。前記導電性ローラの表面に凹凸を付与するためには、樹脂被覆層に微粒子を添加したり、樹脂被覆層表面を研磨する等して表面粗さを形成していた(例えば下記特許文献1および2参照)。
【特許文献1】特開2004−191561号公報
【特許文献2】特開2000−206783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献開示されたように、微粒子を樹脂被覆層に添加することにより、導電性ローラ表面に凹凸を形成する場合、樹脂被覆層の樹脂に微粒子を均一に分散させることが困難であった。そのために、微粒子を添加しないで表面粗さを形成する手段として、表面に研磨手段を講じることになるが、これは別工程で行われることになるので、工程が増加して煩雑になりがちであった。
【0008】
そこで本発明は、このような従来の導電性ローラの塗装方法における課題を解決して、簡素な方法により、導電性ローラの塗膜層表面粗さを適切にして、トナーの搬送量や帯電量を適正にできる導電性ローラのパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明は、基体部の表面に塗料が塗布されて未硬化の塗膜層が形成された導電性ローラの表面に微細な凹凸からなるパターンを有するローラを塗膜層の表面に押し付けてパターンを形成することを特徴とする。また本発明は、前記パターンを有するローラと導電性ローラとの回転軸が交差して配置され、これらが導電性ローラの軸方向に相対移動することにより、前記パターンが形成されることを特徴とする。また本発明は、前記パターン形成後の導電性ローラの塗膜層の表面を紫外線あるいは電子線照射することを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基体部の表面に塗料が塗布されて未硬化の塗膜層が形成された導電性ローラの表面に微細な凹凸からなるパターンを有するローラを塗膜層の表面に押し付けてパターンを形成することにより、樹脂から構成される塗料が塗布されて比較的平滑に形成された導電性ローラに、微細な凹凸からなるパターンが容易に刻設され、適度な表面粗さが付与されて、表面形状の最適化により、トナーの搬送量および帯電量が最適となり、最終的に出力される画質の向上が期待される。
【0011】
また、前記パターンを有するローラと導電性ローラとの回転軸が交差して配置され、これらが導電性ローラの軸方向に相対移動することにより、前記パターンが形成される場合は、小さな面積のパターンを有するローラにても導電性ローラの塗膜層の全域の大きな面積部分にパターンを刻設することができるので、凹凸パターンを有するローラのサイズが小さくて済む。さらに、前記パターン形成後の導電性ローラの塗膜層の表面を紫外線あるいは電子線照射する場合は、凹凸パターンを有するローラにより適正に刻設されたパターンを塗膜層の表面に長期的に定着・硬化させて、長期にトナーの搬送量および帯電量を最適な状態に維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の導電性ローラのパターン形成方法を図面に基づいて説明する。図1は本発明の導電性ローラのパターン形成方法の第1実施例を示すもので、図1(A)は凹凸形成用ローラによる導電性ローラへのプレス状態平面図、図1(B)は図1(A)のA−A断面図、図2は本発明の導電性ローラのパターン形成方法の第2実施例を示す斜視図、図3は凹凸形成用ローラのパターンの各例を示す拡大図、図4は導電性ローラの各例の斜視図である。本発明の導電性ローラのパターン形成方法の基本的な構成は、図1に示すように、基体部の表面に塗料が塗布されて塗膜層4が形成された導電性ローラ1のパターン形成方法において、凹凸形成用ローラ11の表面に微細な凹凸からなるパターン11bを形成するとともに、前記導電性ローラ1と凹凸形成用ローラ11との相対回転により、前記パターン11bを導電性ローラ1の塗膜層4の表面に押し付けて形成することを特徴とする。導電性ローラ1にプレスされたパターンは1bで示される。
【実施例1】
【0013】
以下、第1実施例について説明する。図4は導電性ローラとして使用される各例を示す。これらの導電性ローラ1、2はある程度の適正な表面粗さを必要とするものである。図4(A)は弾性ローラ1の例で、金属や合成樹脂製の硬質の中実棒状体からなる軸6の周囲に弾性体の基体部5が被覆される。該基体部5の周囲にさらに塗装膜4が塗装される。図4(B)はパイプ型ローラ2の例で、金属や合成樹脂製の硬質の管状体からなるパイプ軸7の周囲に厚さの薄い弾性体の基体部5が被覆される。該基体部5の周囲にさらに塗装膜4が塗装される。
【0014】
導電性ローラ中の弾性ローラ1を例として説明する。図示は省略するが、被塗装体である導電性の弾性ローラ1は、ローラ駆動モータにより回転しつつ、軸方向にトラバース移動し、ロールコーターの塗装ロールにより基体部の表面が塗装されて塗膜層が形成される。被塗装体と塗装ロールとが被塗装体の軸方向に相対移動して塗装が行われるトラバース塗装法であれば、ロールコータ法の他、リングコーター法、ダイコーター法、スプレーコーター法等により導電性ローラが塗装され得る。その後、塗布層が未硬化の状態で凹凸形成用ローラ11をプレスする工程を連続して行う。
【0015】
凹凸形成用ローラ11の軸と弾性ローラ1の軸とは所定角度θ(θは変更可能)にて交差配置されており、両ローラーの面接触により、凹凸形成用ローラ11の表面に刻設された微細な凹凸状のパターン11bが弾性ローラ1の塗膜層4の表面に押し付けられて、該塗膜層4の表面に微細な凹凸状のパターン1bが形成される。前記角度θを小さくすればパターンの幅を大きくすることができる。設計上許容されるなら、弾性ローラ1側を回転のみとしてトラバース移動を不可とし、凹凸形成用ローラ11側をトラバース移動可能に構成してもよい。図1(A)のA−A断面である図1(B)に示すように、プレス装置10は、凹凸形成用ローラ11が枠体12内に軸支されて配設され、該凹凸形成用ローラ11を回転駆動するロール駆動モータ14を有する。
【0016】
回転軸が交差して配置された導電性ローラ1と凹凸形成用ローラ11との相対回転により、パターン11bは導電性ローラ1の塗膜層4の周面にプレスして形成される。その際、前述の塗装のときとは異なり、パターン11bの刻設が有効に行えるように凹凸形成用ローラ11は弾性を有しており、導電性ローラ1の塗膜層4と凹凸形成用ローラ11とは面接触が可能に構成される。
【0017】
そして、前記凹凸形成用ローラ11と導電性ローラ1とが導電性ローラ1の軸方向に相対移動(図示の例では、矢印Aのように導電性ローラ1が軸方向にトラバース移動する)することにより、導電性ローラ1の塗膜層4の全域にパターン11bが刻設される。本実施例では、凹凸形成用ローラ11に刻設された小さな面積のパターン11bにても導電性ローラ1の塗膜層4の全域の大きな面積部分にパターン11bを形成することができ凹凸形成用ローラ11のサイズが小さくて済む。なお、凹凸形成用ローラ11の幅が大きい場合は、凹凸形成用ローラ11と導電性ロール1とをトラバース相対移動させる必要がなくなる。
【0018】
本発明では、さらに、前記パターン1bがプレスされた導電性ローラ1の塗膜層4の表面を、は紫外線(UV)照射手段あるいは電子線(EB)照射手段18によりUV照射あるいはEB照射を行うものである。凹凸形成用ローラ11により適正に刻設されたパターン1bを塗膜層4の表面に長期的に定着・硬化させ、長期にトナーの搬送量および帯電量を最適な状態に維持できる。前記凹凸形成用ローラ11が設置されたプレス装置10を退避させて、UV照射等を行ってもよいが、図示の例のように、プレス装置10に併設してUV照射手段あるいはEB照射手段18を設置し、プレスに引き続いてこれらの照射を同時進行的に行ってもよい。このようなUV照射あるいEB照射はにより、プレスされたパターンの定着に格別の溶剤等を用いなくても、塗料とともにプレス1bが均一かつ効果的に硬化・定着されて適度の表面粗さを保持して品質が向上する。
【0019】
以上のような構成により、プレスという簡便な方法によって、導電性ローラ1の塗膜層4の表面に適度の表面粗さを付与でき、トナー搬送量および帯電量が適正化されて、出力される画質の向上が図れる。しかも、凹凸形成用ローラに形成されるパターンの交換等により表面形状の最適化が可能で、さらにトナー搬送量および帯電量の微細な制御が可能となる。
【実施例2】
【0020】
図2は本発明の導電性ローラのパターン形成方法の第2実施例を示す斜視図である。本実施例のものは、導電性ローラ1とほぼ同形の凹凸形成用ローラ11によりパターン11bのプレスを行うものである。前述したロールコーター法あるいはダイコーター法、スプレーコーター法、リングコーター法等の適宜の塗装法により塗膜層4が形成された導電性ローラ1と、該導電性ローラ1と軸方向長さおよび径がほぼ同一に形成された凹凸形成用ローラ11とを平行に配置する。凹凸形成用ローラ11の表面にはパターン11bが付与されている。本実施例では、パターン11bを形成した凹凸形成用ローラ11の1回転で、凹凸形成用ローラ11に接触する導電性ローラ1の塗膜層4の表面にパターン1bがプレスされる。本実施例のものも、プレス後にUV照射等がが行われる。
【0021】
図3は凹凸形成用ローラのパターンの各例を示す拡大図である。凹凸形成用ローラ11の表面に形成されるパターン11bとしては、各種の例が挙げられる。実施例の基本的なハッチング状のものの他、(a)の格子型、(b)のピラミッド型、(c)の斜線型、(d)の亀甲型、(e)のTF型等が採用され得る。
【0022】
本発明の導電性ローラの弾性層は、エラストマーと導電剤とを含み、必要に応じて充填剤等の他の成分を含む。該弾性層に用いるエラストマーとしては、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタンおよびこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも、シリコーンゴム、EPDM、ECOおよびポリウレタンが好ましい。上記弾性層には、上記エラストマーを発泡剤を用いて化学的に発泡させたり、ポリウレタンフォームのように空気を機械的に巻き込んで発泡させる等して、上記エラストマーを発泡体として用いてもよい。
【0023】
上記シャフトと弾性層とは、反応射出成形法(RIM成形法)を用いて一体化してもよい。すなわち、弾性層の原料成分を構成する2種類の液を筒状型内に混合射出し、反応硬化させて、シャフトと弾性層とを一体化することができる。これにより、原料の注入から脱型までの所要時間を短縮し、生産コストを大幅に削減することができる。
【0024】
また、上記弾性層にシリコーンゴムを用いる場合、該シリコーンゴムは、一般的なミラブル型シリコーンゴム(HCR)でも液状シリコーンゴム(LSR)でもよい。なお、液状シリコーンゴムを用いる場合、液状射出成形(LIM:Liquid injection Molding)で弾性層を形成するのが好ましい。上記液状シリコーンゴムは、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンに対して、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、シリカ等の補強性充填剤、導電剤、白金系触媒、反応抑制剤、シリコーンオイル、その他の各種添加剤を配合してなり、所定の形状のモールドに注入された後、加熱硬化によって成形される。
【0025】
上記ビニル基含有ポリオルガノシロキサンは、分子中に2個以上の反応基を有し、該反応基としてはアルケニル基および水酸基が挙げられる。該ビニル基含有ポリオルガノシロキサンとしては、下記式1
【数1】

(式1中、R1 は、それぞれ独立して一価の炭化水素基であり、nは100〜10000の整数である)で表される化合物が好ましい。ここで、R1 における一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびペンチル基等のアルキル基、ビニル基およびアリル基等のアルケニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル等のアラルキル基等が挙げられる。
【0026】
また、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記式2
【数2】

(式2中、R2 は、それぞれ独立して水素または一価の炭化水素基であり、mは10〜1000の整数である)で表され、分子中に2個以上の珪素−水素結合を有する化合物が好ましい。ここで、R2 おける一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびペンチル基等のアルキル基、ビニル基およびアリル基等のアルケニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル等のアラルキル基等が挙げられる。
【0027】
また、液状シリコーンゴムに含まれる導電剤としては、後述する弾性層に一般に用いられる導電剤を使用することができる。白金系触媒としては、塩化第二白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金等が挙げられ、反応抑制剤としては、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0028】
上記弾性層に用いる導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤等が挙げられる。電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属化合物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、ポリビニール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。上記電子導電剤の配合量は、上記エラストマー100質量部に対して1〜50質量部の範囲が好ましく、5〜40質量部の範囲がさらに好ましい。
【0029】
また、上記イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。上記イオン導電剤の配合量は、上記エラストマー100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましく、0.05〜5質量部の範囲がさらに好ましい。上記導電剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、電子導電剤とイオン導電剤とを組み合わせてもよい。
【0030】
上記弾性層は、上記導電剤の配合により、その抵抗値を103 〜1010Ωcmとすることが好ましく、104 〜108 Ωcmとすることが好ましい。弾性層の抵抗値が103 Ωcm未満では、電荷が感光ドラム等にリークしたり、電圧により導電性ローラ自体が破壊する場合があり、1010Ωcmを超えると、地かぶりが発生し易くなる。
【0031】
上記弾性層は、必要に応じて上記エラストマーをゴム状物質とするために、有機過酸化物等の架橋剤、硫黄等の加硫剤を含有してもよく、さらに加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等を含有してもよい。また、上記弾性層は、さらに充填剤、しゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等のゴム用配合剤を含有してもよい。
【0032】
また、ポリウレタンまたはEPDMを基材として上記弾性層を形成する場合、表面上のトナー帯電量をコントロールするために、ニグロシン、トリアミノフェニルメタン、カチオン染料等の各種荷電制御剤、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ナイロン等の微粉体を添加してもよい。ここで、上記荷電制御剤の添加量は、上記ポリウレタンまたはEPDM100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましく、上記微粉体の添加量は、上記ポリウレタンまたはEPDM100質量部に対して1〜10質量部の範囲が好ましい。
【0033】
上記弾性層の硬度は、特に限定されるものではないが、アスカーC硬度で80度以下であるのが好ましく、20〜70度であるのがさらに好ましい。弾性層のアスカーC硬度が80ど超えると、導電性ローラと感光ドラム等との接触面積が小さくなり、良好な現像が行えなく虞れがあり、また、導電性ローラを現像ローラとして用いた場合、トナーに損傷を与え、感光ドラムや成層ブレードへのトナー固着等が発生して画像不良が起こり易い。一方、弾性層が低硬度過ぎると、導電性ローラを現像ローラとして用いた場合、感光ドラムや成層ブレードとの摩擦力が大きくなり、ジッター等の画像不足が発生する虞れがある。なお、上記弾性層は、感光ドラムや成層ブレード等に当接して使用されるため、硬度を低硬度に設定する場合でも、圧縮永久歪みをなるべく小さくすることが好ましく、具体的には20%以下とすることが好ましい。
【0034】
前述したように、塗装およびプレス後に導電性ローラ1等の表面に紫外線(EV)照射あるいは電子線(EB)照射を施すことによって、塗膜層4およびパターン11bを適正にかつ速やかに乾燥硬化および定着させるには、塗料を紫外線硬化型樹脂あるいは電子線硬化型樹脂から構成する必要がある。
【0035】
本発明の樹脂被覆層は、紫外線または電子線硬化型樹脂および/または化合物が好適に用いられるが、非紫外線または非電子線硬化型樹脂を含んでもよい。上記塗工液は、反応性希釈剤、導電剤、光重合開始剤、光重合促進剤を含むのが好ましく、その他、必要に応じて公知の添加剤を含んでもよく、また、溶剤を含まないのが好ましい。
【0036】
上記樹脂被覆層に用いる紫外線または電子線硬化型樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ビニルエステル系樹脂およびこれら樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂等が挙げられ、これら樹脂は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記樹脂被覆層には、力学的強度、耐循環特性を改善するために架橋構造を導入することが好ましい。
【0037】
上記紫外線または電子線硬化型樹脂は、紫外線または電子線により重合可能な樹脂および/または化合物、好ましくは、紫外線または電子線により重合可能な炭素原子間二重結合を有する樹脂および/または化合物を紫外線または電子線照射により硬化させてなる。上記紫外線または電子線により重合可能な樹脂および/または化合物は、(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーが好ましい。ここで、(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーとしては、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート、シリコーン系(メタ)アクリレート等のモノマーおよびオリゴマーが挙げられる。
【0038】
上記樹脂被覆層の形成に用いる塗工液には、さらに必要に応じて重合性二重結合を有する反応性希釈剤、導電剤等の各種添加剤を配合してもよい。塗工液に重合性二重結合を有する反応性希釈剤を配合することで、塗工液の粘度を調整することができる。該反応性希釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に、(メタ)アクリル酸がエステル化反応およびアミド化反応で結合した構造の単官能、2官能または多官能の重合性化合物を使用することができる。上記反応性希釈剤の配分量は、上記紫外線により重合可能な樹脂および化合物の合計100質量部に対して10〜200質量部の範囲が好ましい。
【0039】
また、上記塗工液に用いる導電剤としては、上記弾性層用導電剤として例示したものと同様のものを例示することができる。それらの中でも、カーボン系電子導電剤、イオン導電剤および透明導電剤が好ましい。
【0040】
上記樹脂被覆層の形成に用いる塗工液には、光重合開始剤を配合するのが好ましい。該光重合開始剤としては、公知のものを使用することができる。例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよび3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4、4−ジメトキシベンゾフェノン、4、4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾオイル)−2,4.4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,66−トリメチリルベンゾオイル)フェニルホスソフィンオキシド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタン−1等が挙げられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記樹脂被覆層の形成に用いる塗工液に光重合開始剤を配合する場合、光重合開始剤による重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン系光重合促進剤、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系光重合促進剤。チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤等をさらに添加してもよい。これら光重合促進剤の添加量は、紫外線により重合可能な樹脂および化合物の合計100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましい。
【0042】
上記樹脂被覆層の厚さは、1から100μmの範囲がさらに好ましく、5〜100μmの範囲がより一層好ましい。樹脂被覆層の厚さが1μm未満では、長期使用時の摩擦によりローラ等の表面の電気性能を充分に確保することができない場合があり、100μmを超えると、表面が硬くなり、トナーにダメージを与えて感光ドラムへのトナーの固着が発生して、画像不良を引き起こす場合がある。
【0043】
本発明のプレスに先立つ塗装工程で採用される塗装方法としては、実施例にて説明したロールコーターによる塗装の他、ダイコーター塗装方法、リングコーター塗装方法あるいはスプレーコーター塗装方法等が採用される。ダイコーター塗装方法は、導電性ローラ1に併設して配置された上部および下部ダイヘッド間の隙間から線状に噴射される塗料により、回転する導電性ローラ1の基体部5の表面を塗装するものである。ダイヘッドを導電性ローラ1の軸線に沿ってトラバースさせる。リングコーター塗装方法は、導電性ローラ1の周囲に配置された環状の上部および下部ダイヘッド間の隙間からリング状に噴射される塗料により、回転する導電性ローラ1の基体部5の表面を塗装するものである。静止したダイヘッドに対して導電性ローラ1が上方等に引き抜かれつつ塗装される。スプレーコーター塗装方法は、導電性ローラ1に併設して配置されたスプレーから放射状に噴射される塗料により、トラバース移動しつつ回転する導電性ローラ1の基体部5の表面を塗装するものである。
【0044】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、導電性ローラの種類(帯電ローラ、現像ローラ)、層状形態を含む形状、形式(弾性ローラ、パイプ型ローラ)、塗装形態(好適には被塗装体である導電性ローラ側を軸移動させるが、ロールコーター等の塗装ロール側を軸移動させてもよい)、凹凸形成用ローラの形状、形式(プレス装置への設置の他、平行軸配置による凹凸形成用ローラとの同形凹凸形成用ローラの採用等)、パターンの形状、形式、導電性ローラの回転形態、トラバースおよび回転駆動のためのアクチュエータの形態(電動、流体、磁気等の駆動源の種類およびラックとピニオン、ピストンとシリンダ等)、導電性ローラの基体部の軸あるいはパイプ軸への固着形態、基体部の材質および導電剤の含有量等の添加形態、紫外線硬化型樹脂等あるいは電子線硬化型樹脂の塗料への含有量等の添加形態、トラバース塗装方法の種類(好適には、ロールコーターが採用されるが、ダイコーター、リングコーターあるいはスプレーコーター等も採用され得る)、紫外線あるいは電子線照射手段の形状、形式およびその設置形態等については適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の導電性ローラのパターン形成方法の第1実施例を示すもので、図1(A)は凹凸形成用ローラによる導電性ローラへのプレス状態平面図、図1(B)は図1(A)のA−A断面図である。
【図2】本発明の導電性ローラのパターン形成方法の第2実施例を示す斜視図である。
【図3】本発明の凹凸形成用ローラのパターンの各例を示す拡大図である。
【図4】導電性ローラの各例の斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 導電性ローラ(弾性ローラ)
1b プレスされたパターン
4 塗膜層
10 プレス装置
11 凹凸形成用ローラ
11b パターン
14 ロール駆動モータ
18 UV照射手段(あるいはEB照射手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体部の表面に塗料が塗布されて未硬化の塗膜層が形成された導電性ローラの表面に微細な凹凸からなるパターンを有するローラを塗膜層の表面に押し付けてパターンを形成することを特徴とする導電性ローラのパターン形成方法。
【請求項2】
前記パターンを有するローラと導電性ローラとの回転軸が交差して配置され、これらが導電性ローラの軸方向に相対移動することにより、前記パターンが形成されることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラのパターン形成方法。
【請求項3】
前記パターン形成後の導電性ローラの塗膜層の表面を紫外線あるいは電子線照射することを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ローラのパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−162713(P2006−162713A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350535(P2004−350535)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】