説明

差動装置

【課題】メンテナンス性を向上可能で、装置全体を小型・軽量化可能な差動装置を提供する。
【解決手段】差動装置Dは、原動機からの駆動力によって回転駆動されるディファレンシャルケース10と、ディファレンシャルピニオン3、4が回転自在に支持され、ディファレンシャルケース10と一体に回転するピニオンシャフト2とを備える。キャリヤ5はディファレンシャルピニオン3に噛み合い、ピニオンギヤ11はサンギヤ8およびリングギヤ9に噛み合う。ディファレンシャルピニオン4はディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rに噛み合う。係合要素CL、CRによりディファレンシャルケース10とリングギヤ9とが締結すると、ディファレンシャルケース10の回転が対応するディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rに伝達され、そのディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rの回転数を増速させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力配分機構を備える車両用の差動装置に関し、特に、駆動力配分機構がその内部に設けられた差動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベベルギヤ式の差動機構を備えた車両用の差動制限機構付き差動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような差動制限機構付き差動装置は、左右の駆動輪の差回転に制限トルクを負荷し、左右両輪の車輪速差を制限するものである。
【0003】
特許文献1に開示される差動制限機構付き差動装置は、ディファレンシャルケースの内部のピニオンシャフトに、ディファレンシャルピニオンと差動制限用ピニオンとを同軸かつ一体に設け、左右両輪用のいずれか一方のディファレンシャルサイドギヤと同軸かつ相対回転自在に設けられた差動制限用サイドギヤに差動制限用ピニオンを噛み合わせ、ディファレンシャルピニオンおよびディファレンシャルサイドギヤ間のギヤ比と差動制限用ピニオンおよび差動制限用サイドギヤ間のギヤ比とを異ならせ、制限機構によりディファレンシャルサイドギヤと差動制限用サイドギヤとの相対回転を制限している。
【0004】
ところで、特許文献1の差動制限機構付き差動装置は上述のように差動制限を行うことができるものの、左右輪のいずれかを増速させることによる駆動力(トルク)配分を行うことはできなかった。そのため、トルク配分を行うためには、差動装置とは別にトルク配分機構を設ける必要があった。
【0005】
ここで、従来、ディファレンシャル機構と左右トルク配分機構とを備える差動装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献1に開示される差動装置(ディファレンシャル機構)にトルク配分機構をさらに付加させるために、特許文献2に開示されるトルク配分機構を適用することが考えられる。
【特許文献1】特開2003−240101号公報
【特許文献2】特許第2738225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示される差動装置では、ディファレンシャル機構のキャリヤの外に、増速ギヤや減速ギヤを備える増減速ギヤ機構と、左右輪用の二組のクラッチを備えるクラッチ機構とが配置されるため、差動装置全体で左右方向への大きさ(サイズ)が増加してしまうという問題があった。
【0007】
また、ディファレンシャル機構、増減速ギヤ機構およびクラッチ機構には、通常、それぞれ異なる潤滑油が用いられるため、差動装置全体の整備におけるメンテナンス性が悪いという問題もある。
【0008】
さらに、ディファレンシャル機構から左右の車軸を介して左右輪までの長さが異なるため、すなわち、左右の車軸がディファレンシャル機構に対して左右対称になっていないため、例えば、アクセル開度が大きくなったときにステアリングがぶれるトルクステアが発生する可能性があるという問題もあった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、非接触式のアクチュエータ素子を適用したクラッチ(係合要素)を用いることにより、差動装置の構造を簡単化し、装置全体を小型化するとともに、差動装置に連結される車軸および車輪を左右対称にすることができる差動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の差動装置(D)は、原動機(E)からの駆動力によって回転駆動されるディファレンシャルケース(10)と、サンギヤ(8)と、サンギヤ(8)と同心上に配置されたリングギヤ(9)と、サンギヤ(8)とリングギヤ(9)の間に設けられ、サンギヤ(8)およびリングギヤ(9)に噛み合うピニオンギヤ(11)と、ディファレンシャルケース(10)に固定されたピニオンシャフト(2)と、ピニオンシャフト(2)に回転自在に支持される二対のディファレンシャルピニオン(3、4)と、サンギヤ(8)と同軸上でかつ相対回転不能に設けられ、ディファレンシャルピニオンの一方(4)に噛み合う一対のディファレンシャルサイドギヤ(6L、6R)と、ディファレンシャルケース(10)の左右端部に設けられ、ディファレンシャルケース(10)とリングギヤ(9)とを締結するための一対の係合要素(CL、CR)と、ピニオンギヤ(11)を自転および公転自在に支持するとともに、ディファレンシャルピニオンの他方(3)に噛み合い、係合要素(CL、CR)の締結により、リングギヤ(9)の回転を他方のディファレンシャルピニオン(3)に伝達するキャリヤとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の差動装置によれば、一対の係合要素のいずれか一方を締結させることにより、リングギヤ、ピニオンギヤ11およびサンギヤを介してディファレンシャルケースの回転をその係合要素に対応するディファレンシャルサイドギヤに伝達することができ、これにより、そのディファレンシャルサイドギヤの回転数を増速させることができる。このように、差動装置内に設けた係合要素によりディファレンシャルサイドギヤに連結された車軸を増速させるトルク配分機構を構成することにより、増減速ギヤ機構や二組のクラッチを差動装置とは別に設ける必要がないため、差動装置の構造を簡単化して差動装置のメンテナンス性を向上させることができるとともに、差動装置全体を小型化することができる。また、差動装置の製造コストを低減することができる。
【0012】
また、この差動装置を駆動輪の左右の車軸に対して中央に設置することにより、差動装置に連結される車軸および車輪を左右対称に配置することができるので、従来のような左右非対称の差動装置で発生する可能性のあったトルクステアの発生を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の差動装置では、ディファレンシャルケース(10)の外部に設けられた電磁コイル(20L、20R)をさらに備え、係合要素(CL、CR)は、リングギヤ(9)と一体に回転するクラッチディスク(32)と、該クラッチディスク(32)をその間に挟むように設けられ、ディファレンシャルケース(10)と一体に回転する磁性材料からなる一対のクラッチプレート(31、31)とを含み、電磁コイル(20L、20R)から発生する磁界によって一対のクラッチプレート(31、31)を電磁コイル(20L、20R)側に誘引することにより、リングギヤ(9)とディファレンシャルケース(10)とを締結させるように構成されてもよい。このように電磁性のクラッチ(電磁クラッチ)を用いることにより、差動装置全体を小型・軽量化することができる。また、電磁コイルをディファレンシャルケースの外部に設けているので、ディファレンシャルケースと近接するトランスミッションのミッションケースとのエアギャップを容易に管理することができる。
【0014】
本発明の差動装置では、ディファレンシャルケース(10)の外部に設けられた電磁コイル(20L、20R)をさらに備え、係合要素(CL、CR)は、リングギヤ(9)と一体に回転するクラッチディスク(32)と、該クラッチディスク(32)をその間に挟むように設けられ、ディファレンシャルケース(10)と一体に回転する一対のクラッチプレート(31、31)と、ディファレンシャルケース(10)内で一対のクラッチプレート(31、31)と電磁コイル(20L、20R)との間に設けられ、電磁コイル(20L、20R)の電磁力により変形する強磁性合金からなるアクチュエータ(40)とを含み、電磁コイル(20L、20R)から発生する磁界によってアクチュエータ(40)を変形させることにより、クラッチプレート(31、31)とクラッチディスク(32)を押圧して、リングギヤ(9)とディファレンシャルケース(10)とを締結させるように構成されてもよい。このように、電磁式のクラッチ(電磁クラッチ)およびアクチュエータを用いることにより、上述のような効果を奏することができる。
【0015】
なお、上記で括弧内に記した図面参照符号は、後述する実施形態における対応する構成要素を参考のために例示するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、差動装置の構造を簡単化して差動装置のメンテナンス性を向上させることができるとともに、差動装置全体を小型化することができる。また、係合要素として電磁式のクラッチを用いた場合には、差動装置全体を小型・軽量化することができるとともに、ディファレンシャルケースと近接するトランスミッションのミッションケースとのエアギャップを容易に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明のディファレンシャル機構およびトルク配分機構を備える差動装置の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、フロントエンジン・フロントドライブ車両の全体構成を示す図である。図1に示すように、フロントエンジン・フロントドライブ車両は、駆動輪の左右前輪WFL、WFRと、従動輪の左右の後輪WRL、WRRと、エンジンEと、トランスミッションT/Mと、動力伝達装置である本発明の差動装置Dとを備える。車両前部に搭載されたエンジンEにトランスミッションT/Mが接続されるとともに、トランスミッションT/M内の差動装置Dに車軸7L、7Rを介して駆動輪である前輪WFL、WFRがそれぞれ接続される。
【0019】
本発明の差動装置Dは、車両の走行状態(エンジン回転数、操舵角、車輪速度、横G等)に応じて左右の駆動輪に供給する伝達トルクを電子制御により配分する、いわゆる電子制御デフ(アクティブデフ)である。
【0020】
なお、差動装置Dに加えて、エンジンEおよびトランスミッションT/Mも、後述する電子制御ユニット(ECU)100によりそれぞれ制御されるが(図5参照)、本発明の差動装置Dの特徴的な動作以外の各動作は周知の制御プログラム等によりなされればよく、ここではその詳細な説明を省略する。
【0021】
次に、本発明の差動装置Dの構成を説明する。図2は、本発明の一実施形態における差動装置Dの模式図(スケルトン図)である。図2に示すように、本実施形態における差動装置Dは、エンジン(原動機)Eからの駆動力によって回転駆動されるドリブンギヤ1に連結されるディファレンシャルケース10と、このディファレンシャルケース10に固定して設けられ、ディファレンシャルケース10と一体に回転駆動されるピニオンシャフト2とを備える。
【0022】
ピニオンシャフト2には、一体に形成されたベベルギヤ式の二対のディファレンシャルピニオン3、4が回転自在に支持される。図2に示すように、ピニオンシャフト2の軸方向の中心から見て、ディファレンシャルピニオン4は軸方向内側に位置し、ディファレンシャルピニオン3は軸方向外側に位置している。
【0023】
また、本実施形態の差動装置Dは、サンギヤ8と、サンギヤ8と同心上に配置されたリングギヤ9と、サンギヤ8とリングギヤ9の間に設けられ、サンギヤ8およびリングギヤ9に噛み合うピニオンギヤ11と、ピニオンギヤ11を自転および公転自在に支持するとともに、一方のディファレンシャルピニオン3に噛み合うキャリヤ5とを備える。さらに、本実施形態の差動装置Dは、サンギヤ8と同軸上でかつ相対回転不能に設けられ、他方のディファレンシャルピニオン4に噛み合う一対のディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rとを備える。
【0024】
ディファレンシャルケース10の左右端部には、ディファレンシャルケース10とリングギヤ9とを締結させるための一対の係合要素CL、CRが設けられる。いずれかの係合要素CL、CRを締結(係合)させることにより、ディファレンシャルケース10とリングギヤ9とが一体的に回転し、プラネタリギヤを構成するピニオンギヤ11およびサンギヤ8を介してディファレンシャルケース10の回転をその係合要素CL、CRに対応するディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rに伝達することができる。これにより、そのディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rの回転数を増速させることができる。
【0025】
本実施例におけるディファレンシャルピニオン3、4、キャリヤ5、ピニオンギヤ11、ディファレンシャルサイドギヤ6L、6R、およびサンギヤ8の歯数は、一例として、以下のとおりである。
ディファレンシャルピニオン3の歯数 Z3=10
ディファレンシャルピニオン4の歯数 Z4=10
キャリヤ5の歯数 Z5=24
ピニオンギヤ11の歯数 ZP=29
ディファレンシャルサイドギヤ6L(6R)の歯数 Z6=16
サンギヤ8の歯数 Z8=49
このように、ディファレンシャルピニオン3、4の歯数が同じ(Z3=Z4)であるのに対し、キャリヤ5の歯数よりディファレンシャルサイドギヤ6L(6R)の歯数が少ない(Z5>Z6)ので、キャリヤ5およびディファレンシャルピニオン3、4を介してディファレンシャルサイドギヤ6L(6R)に伝達される回転を増速させることができる。なお、このようなディファレンシャルサイドギヤ6L(6R)へ伝達される回転を増速させることができる限り、すなわち、例えば、ディファレンシャルピニオン3、4の歯数が同じ(Z3=Z4)であるならばキャリヤ5の歯数よりディファレンシャルサイドギヤ6L(6R)の歯数が少ない(Z5>Z6)限り、各ギヤの歯数は差動装置Dの形状、サイズ等に応じて適宜設定されればよい。
【0026】
本発明の差動装置Dでは、差動装置D内に設けた係合要素CL、CRによりディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rに連結された車軸7L、7Rを増速させることができるトルク配分機構を構成することにより、従来のように増減速ギヤ機構や二組のクラッチを差動装置Dとは別に設ける必要がない。このため、差動装置Dの構造を簡単化して差動装置Dのメンテナンス性(特に、潤滑油に対するメンテナンス性)を向上させることができるとともに、差動装置D全体を小型化することができる。
【0027】
また、このような差動装置Dでは、駆動輪WFL、WFRの車軸7L、7Rに対して差動装置Dを中央に設置することにより、差動装置Dに連結される車軸7L、7Rおよび駆動輪WFL、WFRを左右対称に配置することができるので、従来のような左右非対称の差動装置で発生する可能性のあったトルクステアの発生を効果的に抑制することができる。
【0028】
本実施形態の差動装置Dは、ディファレンシャルケース10の外部に設けられた電磁コイル(ソレノイドコイル)20L、20Rをさらに備えている。この電磁コイル20L、20Rは、後述するように、車両の走行状態を制御する電子制御ユニット(ECU)100によりそのON/OFFを制御される。電磁コイル20L、20RがONすると、すなわち、電磁コイル20L、20Rのいずれかに電流(駆動電流)が供給されると、対応する係合要素CL、CRが係合(締結)するように構成されている。
【0029】
ここで、係合要素CL、CR近傍の構造(構成)を詳細に説明する。図3は、図2の係合要素CL、CRを概略的に示す部分断面図である。図3(a)は、クラッチディスクおよびクラッチプレートに磁性材料を用いた場合の一例であり、図3(b)は、クラッチディスクおよびクラッチプレートとは別に、電磁コイル20L、20Rにより作動するアクチュエータを用いた場合の別の例である。なお、係合要素CL、CRは左右対称の構造であるため、ここでは、左側の係合要素CLの近傍の部分断面図を用いて説明する。
【0030】
係合要素CL、CRの一例では、図3(a)に示すように、係合要素CLは、ディファレンシャルケース10の内面に配置され、リングギヤ9と一体に回転するクラッチディスク32と、このクラッチディスク32をその間に挟むように設けられ、ディファレンシャルケース10と一体に回転する一対のクラッチプレート31、31とを含む。本例では、クラッチプレート31、31は磁性材料から構成される。
【0031】
ディファレンシャルケース10には、クラッチプレート31、31が配置される部分に対応して、このクラッチプレート31、31が挿入され、ディファレンシャルケース10に固定されるように、溝部10aが設けられる。また、リングギヤ9のディファレンシャルケース10に対向するプレート部には、クラッチディスク32が配置される部分に対応して、このクラッチディスク32が挿入され、リングギヤ9に固定されるように、溝部9aが設けられる。また、ディファレンシャルケース10には、クラッチプレート31、31と、クラッチディスク32とを所定の遊びを介して予め定められた位置に保持するためのストッパ33、34が設けられる。
【0032】
本例では、電磁コイル20Lは、トランスミッションT/Mのミッションケース21に固定して設けられる。電磁コイル20Lに当接するディファレンシャルケース10の当接部35は、電磁コイル20Lが発生する磁界を透過させることができる透磁性材料から構成される。なお、当接部35とクラッチプレート31との間に設けられたストッパ34も同様に透磁性材料から構成される。
【0033】
後述するように、電子制御ユニット100の制御に基づいて電磁コイル20Lに駆動電流が流れると、その駆動電流の大きさに応じて、電磁コイル20Lからディファレンシャルケース10の当接部35に向かう方向に磁界が発生する。本例では、発生した磁界は、当接部35およびストッパ34を介してクラッチプレート31、31およびクラッチディスク32に加えられ(適用され)、クラッチプレート31、31およびクラッチディスク32は、電磁コイル20L側に誘引され(引き寄せられ)、これにより、係合要素CLがクラッチ力を発生させることができる。
【0034】
このとき、係合要素CLのクラッチ力により、リングギヤ9とディファレンシャルケース10とが締結される。これにより、リングギヤ9は、ディファレンシャルケース10とともに回転し、この回転は、ピニオンギヤ11を介して、キャリヤ5およびサンギヤ8に伝達される。キャリヤ5は、上述のように、ディファレンシャルピニオン3に噛み合い、キャリヤ5の回転は、ディファレンシャルピニオン3、4の歯数の比に応じてピニオン回転を増速させる方向にトルクを伝達する。これにより、左前輪WFLおよび左車軸7L側にトルクが加わり、右前輪WFRに対して左前輪WFLを増速させることができる。本例では、このように係合要素CL、CRとして電磁性のクラッチ(電磁クラッチ)を用いることにより、差動装置D全体を小型・軽量化することができる。また、電磁コイル20L、20Rをディファレンシャルケース10の外部(本例では、トランスミッションT/Mのミッションケース21)に設けているので、ディファレンシャルケース10と近接するトランスミッションT/Mのミッションケース21とのエアギャップgを容易に管理することができる。なお、このエアギャップは小さい方が好ましい。
【0035】
また、係合要素CL、CRの別の例では、図3(b)に示すように、係合要素CLは、上述の図3(a)に示す係合要素CLの各構成要素に加えて、ディファレンシャルケース10内で一対のクラッチプレート31、31と電磁コイル20Lとの間に設けられるアクチュエータ40とをさらに含む。このアクチュエータ40は、電磁コイル20Lの電磁力により変形する強磁性合金から構成される。なお、本例では、クラッチプレート31、31とクラッチディスク32の材料は、図3(a)の場合と異なり、磁性材料ではなく、電磁コイル20Lから発生する磁界の影響を直接的に受けない材料から構成される。
【0036】
後述するように、電子制御ユニット100の制御に基づいて電磁コイル20Lに駆動電流が流れると、その駆動電流の大きさに応じて、電磁コイル20Lからディファレンシャルケース10の当接部35に向かう方向に磁界が発生する。本例では、発生した磁界は、当接部35およびストッパ34を介してアクチュエータ40に加えられ、磁界の強さに応じてアクチュエータ40を図の矢印方向に変形(屈曲)させる。これにより、係合要素CLが締結するようにクラッチ拘束力を発生させることができる。
【0037】
このとき、上述の図3(a)の例と同様に、係合要素CLのクラッチ拘束力により、リングギヤ9とディファレンシャルケース10とが締結される。これにより、リングギヤ9は、ディファレンシャルケース10とともに回転し、この回転は、ピニオンギヤ11を介して、キャリヤ5およびサンギヤ8に伝達される。キャリヤ5は、上述のように、ディファレンシャルピニオン3に噛み合い、キャリヤ5の回転は、ディファレンシャルピニオン3、4の歯数の比に応じてピニオン回転を増速させる方向にトルクを伝達する。したがって、本例においても上記例と同様の効果を奏することができる。
【0038】
なお、アクチュエータ40としては、図4(a)、(b)に示すような大型のワッシャソリッドタイプのアクチュエータ40Aであってもよく、図4(c)〜(e)に示すように、大型のワッシャの円周部に内周円43に当接させるように多数の小型円盤42を配置し、2枚の大型ワッシャプレート41で固定した小型円盤配列タイプのアクチュエータ40Bであってもよい。アクチュエータ40Aでは、ワッシャそのものが強磁性形状記憶合金から構成されるのに対し、アクチュエータ40Bでは、小型円盤42あるいは大型ワッシャプレート41が強磁性形状記憶合金から構成される。なお、図4(a)はアクチュエータ40Aの正面図であり、図4(b)は図4(a)のB−B線断面図である。また、図4(c)はアクチュエータ40Bの正面図であり、図4(d)は図4(c)のD−D線断面図であり、図4(e)は図4(d)のE−E線断面図である。
【0039】
ここで、アクチュエータ40(40A、40B)に用いられる強磁性形状記憶合金としては、外部から印加される磁場(磁界)により歪む、例えば、Fe−Ni−Ga合金やNiMnGa合金などを用いればよく、今後開発される合金等であっても本発明のアクチュエータ40として利用可能なものであれば本発明の技術的思想の範囲内である。後者のような合金は、温度変化や磁場のON/OFFによってマルテンサイト変態を生じ、形状記憶特性を示すものである。磁場の変化により形状を変形させる合金は、温度変化のみで駆動する例えばTi−Ni合金の応答速度に比べて非常に高速駆動が可能である。
【0040】
次に、本発明の一実施形態における差動装置Dの動作、特に係合要素CL、CRのクラッチON/OFF動作について説明する。図5は、本発明の一実施形態における差動装置Dのトルク配分機構の制御ブロック図である。係合要素CL、CRを作動させる電磁コイル20L、20Rは、車両の走行状態を全体的に制御する電子制御ユニット100により制御される。
【0041】
電磁コイル20L、20RのON/OFFのタイミングを決定するために、電子制御ユニット100には各種センサからの検出データ(入力情報)が入力される。入力情報としては、舵角センサ201により検出される前輪(駆動輪)WFL、WFRの操舵角、横Gセンサ202により検出される車両に作用する横G(実横加速度)、回転センサ203により検出されるエンジンEの回転数Neや図示しないトルクコンバータの出力回転数No、シフトレバーポジションセンサ204により検出される車両の現在のシフトポジションやトランスミッションT/Mの設定ギヤ、車輪速センサ205により検出される各車輪WFL、WFR、WRL、WRRの車輪速度等がある。
【0042】
これらのセンサ201〜205により検出された検出データが電子制御ユニット100のセンサ入力部101に入力される。駆動トルク算出部102は、推定駆動トルクを算出するために、エンジン回転数Ne、トルクコンバータの出力回転数No、シフトポジション等がセンサ入力部101から入力されると、エンジンEによる推定駆動トルクを算出し、算出した推定駆動トルクを操安制御部103に出力する。
【0043】
操安制御部103には、駆動トルク算出部102から入力されるエンジンEの推定駆動トルクの他、横G、操舵角および車輪速度がセンサ入力部101から入力される。操安制御部103は、入力されたこれらのデータに基づいて操安制御トルクを算出し、算出された操安制御トルクをクラッチトルク補正部104に出力する。
【0044】
クラッチトルク補正部104は、操安制御部103から入力された操安制御トルクの他、車輪速度や図示しない作動油の油温等に基づいて、差動装置Dで生じさせるクラッチトルクを算出し、算出したクラッチトルクを電流出力部105に出力する。
【0045】
電流出力部105は、係合要素CL、CRがクラッチトルク補正部104で算出されたクラッチトルクを得るために、左電磁コイル20Lあるいは右電磁コイル20Rに供給する駆動電流を算出し、算出した電流値を駆動回路部106に出力する。そして、駆動回路部106は、電流出力部105で算出された電流値が得られるようにいずれかの電磁コイル20L、20Rに駆動電流を出力する。このようにして、電磁コイル20L、20Rに駆動電流が出力され、駆動輪である前輪WFL、WFRへの駆動力(トルク)配分が行われる。
【0046】
次に、車両の左右旋回時における差動装置Dの作用を説明する。図6は、車両の左旋回時における図2に示す差動装置Dの作用説明図であり、図7は、車両の右旋回時における図2に示す差動装置Dの作用説明図である。なお、係合要素CL、CRの動作(作用)を説明するために図3(a)を併せて用いる。
【0047】
車両の左旋回時には、旋回外輪である右前輪WFRおよび右車軸7Rを増速させるために、電子制御ユニット100は、上述のように、電磁コイル20Rに供給すべき駆動電流を算出し、この駆動電流により電磁コイル20RをONさせる。電磁コイル20Rにより発生した磁界により係合要素CRのクラッチ力が発生し、リングギヤ9とディファレンシャルケース10とが締結される。
【0048】
そして、図6に示すように、ディファレンシャルケース10、リングギヤ9、ピニオンギヤ11およびサンギヤ8を介して、ディファレンシャルサイドギヤ6Rが増速され、右車軸7Rを介して旋回外輪である右前輪WFRにトルクが伝達される。ここでは、エンジンEからドリブンギヤ1を介して差動装置Dに入力される入力トルクTEは、係合要素CRの締結により発生する伝達トルクΔTと、ピニオンシャフト2に伝達される入力トルクTEとの差分トルク(TE−ΔT)とに分配される。
【0049】
係合要素CRを介してリングギヤ9に入力された伝達トルクΔTは、リングギヤ9からピニオンギヤ11への伝達トルク(増加トルク)ΔTsと、ピニオンギヤ11からキャリヤ5およびディファレンシャルピニオン3を介してピニオンシャフト2に戻される戻りトルク(ΔT−ΔTs)とに配分される。そして、差分トルク(TE−ΔT)と戻りトルク(ΔT−ΔTs)との和トルク(TE−ΔTs)が左右のディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rに等しく分配され、最終的に、右車軸7R側には、和トルクの半分と増加トルクとの和である伝達トルク(TE+ΔTs)/2が入力され、左車軸7L側には伝達トルク(TE−ΔTs)/2が入力される。
【0050】
車両の右旋回時には、旋回外輪である左前輪WFLおよび左車軸7Lを増速させるために、電子制御ユニット100は、上述のように、電磁コイル20Lに供給すべき駆動電流を算出し、この駆動電流により電磁コイル20LをONさせる。電磁コイル20Lにより発生した磁界により係合要素CLのクラッチ力が発生し、リングギヤ9とディファレンシャルケース10とが締結される。
【0051】
そして、図7に示すように、ディファレンシャルケース10、リングギヤ9、ピニオンギヤ11およびサンギヤ8を介して、ディファレンシャルサイドギヤ6Lが増速され、左車軸7Lを介して旋回外輪である左前輪WFLにトルクが伝達される。ここでは、エンジンEからドリブンギヤ1を介して差動装置Dに入力される入力トルクTEは、係合要素CLの締結により発生する伝達トルクΔTと、ピニオンシャフト2に伝達される入力トルクTEとの差分トルク(TE−ΔT)とに分配される。
【0052】
係合要素CLを介してリングギヤ9に入力された伝達トルクΔTは、リングギヤ9からピニオンギヤ11への伝達トルク(増加トルク)ΔTsと、ピニオンギヤ11からキャリヤ5およびディファレンシャルピニオン3を介してピニオンシャフト2に戻される戻りトルク(ΔT−ΔTs)とに配分される。そして、差分トルク(TE−ΔT)と戻りトルク(ΔT−ΔTs)との和トルク(TE−ΔTs)が左右のディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rに等しく分配され、最終的に、左車軸7L側には、和トルクの半分と増加トルクとの和である伝達トルク(TE+ΔTs)/2が入力され、右車軸7R側には伝達トルク(TE−ΔTs)/2が入力される。
【0053】
なお、図示していないが、本発明の差動装置Dにおいて差動制限を行う場合には、電子制御ユニット100は、左右の係合要素CL、CRのクラッチ力が等しくなるように、左右の電磁コイル20L、20Rに駆動電流を供給して、両電磁コイル20L、20RをONすればよい。このように、本発明の差動装置Dは、差動制限機構とトルク(駆動力)配分機構とを同じ機構(構成)により達成することができるので、車両の駆動性能を向上させることができるとともに、幅広い操安性能および旋回性能を達成することができる。
【0054】
以上説明したように、本発明の一実施形態における差動装置Dによれば、エンジンEからの駆動力によって回転駆動されるディファレンシャルケース10と、サンギヤ8と、サンギヤ8と同心上に配置されたリングギヤ9と、サンギヤ8とリングギヤ9の間に設けられ、サンギヤ8およびリングギヤ9に噛み合うピニオンギヤ11と、ディファレンシャルケース10に固定されたピニオンシャフト2と、ピニオンシャフト2に回転自在に支持される二対のディファレンシャルピニオン3、4と、サンギヤ8と同軸上でかつ相対回転不能に設けられ、ディファレンシャルピニオン4に噛み合う一対のディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rと、ディファレンシャルケース(10)の左右端部に設けられ、ディファレンシャルケース10とリングギヤ9とを締結するための一対の係合要素CL、CRと、ピニオンギヤ11を自転および公転自在に支持するとともに、ディファレンシャルピニオン3に噛み合い、係合要素CL、CRの締結により、リングギヤ9の回転をディファレンシャルピニオン3に伝達するキャリヤとを備えることとした。これにより、一対の係合要素CL、CRのいずれか一方を締結させることにより、リングギヤ9、ピニオンギヤ11およびサンギヤ8を介してディファレンシャルケース10の回転をその係合要素CL、CRに対応するディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rに伝達することができ、これにより、そのディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rの回転数を増速させることができる。このように、差動装置D内に設けた係合要素CL、CRによりディファレンシャルサイドギヤ6L、6Rにそれぞれ連結された左右の車軸7L、7Rを増速させるトルク配分機構を構成することにより、従来のような増減速ギヤ機構や二組のクラッチを差動装置Dとは別に設ける必要がないため、差動装置Dの構造を簡単化して差動装置Dのメンテナンス性を向上させることができるとともに、差動装置D全体を小型化することができる。また、差動装置Dの製造コストを低減することができる。
【0055】
さらに、本発明の差動装置Dを駆動輪WFL、WFRの車軸7L、7Rに対して中央に設置することにより、差動装置Dに連結される車軸7L、7Rおよび車輪WFL、WFRを左右対称に配置することができるので、従来のような左右非対称の差動装置で発生する可能性のあったトルクステアの発生を効果的に抑制することができる。
【0056】
上述の実施形態における差動装置Dでは、ディファレンシャルケース10の外部に設けられた電磁コイル20L、20Rをさらに備え、係合要素CL、CRは、リングギヤ9と一体に回転するクラッチディスク32と、このクラッチディスク32をその間に挟むように設けられ、ディファレンシャルケース10と一体に回転する磁性材料からなる一対のクラッチプレート31、31とを含み、電磁コイル20L、20Rから発生する磁界によって一対のクラッチプレート31、31を電磁コイル20L、20R側に誘引することにより、リングギヤ9とディファレンシャルケース10とを締結させるように構成した。このように電磁性のクラッチ(電磁クラッチ)を用いることにより、差動装置D全体を小型・軽量化することができる。また、電磁コイル20L、20Rをディファレンシャルケース10の外部に設けているので、ディファレンシャルケース10と近接するトランスミッションT/Mのミッションケース21とのエアギャップgを容易に管理することができる。
【0057】
なお、上述の実施形態における差動装置Dでは、上記のような係合要素CL、CRの構成に代えて、すなわち、磁性材料からなる一対のクラッチプレート31、31ではなく、電磁コイル20L、20Rから発生する磁界の影響を受けない材料からなるクラッチプレート31、31を用いるとともに、ディファレンシャルケース10内で一対のクラッチプレート31、31と電磁コイル20L、20Rとの間に設けられ、電磁コイル20L、20Rの電磁力により変形する強磁性合金からなるアクチュエータ40とを含むような構成としてもよい。
【0058】
以上、本発明のディファレンシャル機構およびトルク配分機構を備える差動装置の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は、これらの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書および図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書および図面に記載のない形状・構造・機能を有するものであっても、本発明の作用・効果を奏する以上、本発明の技術的思想の範囲内である。すなわち、ディファレンシャル機構(油圧制御回路を含む)を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0059】
なお、上述の実施形態では、車両の駆動輪が前輪であるフロントエンジン・フロントドライブ車両に本発明の差動装置Dが適用される場合について説明したが、本発明の差動装置Dの構成は、このようなフロントエンジン・フロントドライブ車両への適用に限らず、フロントエンジン・リアドライブ車両や四輪駆動車両にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】フロントエンジン・フロントドライブ車両の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態における差動装置の模式図(スケルトン図)である。
【図3】図2の係合要素を概略的に示す部分断面図である。
【図4】図3(b)のクラッチアクチュエータとして用いられる共時性形状記憶合金からなるワッシャのバリエーションを示す。
【図5】本発明の一実施形態における差動装置のトルク配分機構の制御ブロック図である。
【図6】車両の左旋回時における図2に示す差動装置の作用説明図である。
【図7】車両の右旋回時における図2に示す差動装置の作用説明図である。
【符号の説明】
【0061】
E エンジン
T/M トランスミッション
21 ミッションケース
D 差動装置
1 ドリブンギヤ
2 ピニオンシャフト
3、4 ディファレンシャルピニオン
5 キャリヤ
6L、6R ディファレンシャルサイドギヤ
7L 左車軸
7R 右車軸
8 サンギヤ
9 リングギヤ
10 ディファレンシャルケース
11 プラネタリギヤ
20L、20R 電磁コイル
CL、CR 係合要素
31 クラッチプレート
32 クラッチディスク
33、34 ストッパ
35 当接部
40、40A、40B アクチュエータ
100 電子制御ユニット
101 センサ入力部
102 駆動トルク算出部
103 操安制御部
104 クラッチトルク補正部
105 電流出力部
106 駆動回路部
201 舵角センサ
202 横Gセンサ
203 回転センサ
204 シフトレバーポジションセンサ
205 車輪速センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機からの駆動力によって回転駆動されるディファレンシャルケースと、
サンギヤと、
前記サンギヤと同心上に配置されたリングギヤと、
前記サンギヤと前記リングギヤの間に設けられ、該サンギヤおよび該リングギヤに噛み合うピニオンギヤと、
前記ディファレンシャルケースに固定されたピニオンシャフトと、
前記ピニオンシャフトに回転自在に支持される二対のディファレンシャルピニオンと、
前記サンギヤと同軸上でかつ相対回転不能に設けられ、前記ディファレンシャルピニオンの一方に噛み合う一対のディファレンシャルサイドギヤと、
前記ディファレンシャルケースの左右端部に設けられ、前記ディファレンシャルケースと前記リングギヤとを締結するための一対の係合要素と、
前記ピニオンギヤを自転および公転自在に支持するとともに、前記ディファレンシャルピニオンの他方に噛み合い、前記係合要素の締結により、前記リングギヤの回転を前記ディファレンシャルピニオンの他方に伝達するキャリヤと
を備えることを特徴とする差動装置。
【請求項2】
前記ディファレンシャルケースの外部に設けられた電磁コイルをさらに備え、
前記係合要素は、前記リングギヤと一体に回転するクラッチディスクと、該クラッチディスクをその間に挟むように設けられ、前記ディファレンシャルケースと一体に回転する磁性材料からなる一対のクラッチプレートとを含み、
前記電磁コイルから発生する磁界によって前記一対のクラッチプレートを前記電磁コイル側に誘引することにより、前記リングギヤと前記ディファレンシャルケースとを締結させることを特徴とする請求項1に記載の差動装置。
【請求項3】
前記ディファレンシャルケースの外部に設けられた電磁コイルをさらに備え、
前記係合要素は、前記リングギヤと一体に回転するクラッチディスクと、該クラッチディスクをその間に挟むように設けられ、前記ディファレンシャルケースと一体に回転する一対のクラッチプレートと、前記ディファレンシャルケース内で前記一対のクラッチプレートと前記電磁コイルとの間に設けられ、前記電磁コイルの電磁力により変形する強磁性合金からなるアクチュエータとを含み、
前記電磁コイルから発生する磁界によって前記アクチュエータを変形させることにより、前記クラッチプレートと前記クラッチディスクを押圧して、前記リングギヤと前記ディファレンシャルケースとを締結させることを特徴とする請求項1に記載の差動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−101338(P2010−101338A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270732(P2008−270732)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】