説明

帯電ローラ、その製造用金型、電子写真装置用カートリッジ及び電子写真装置

【課題】 高速回転によるチューブずれを抑制、抵抗ムラを抑制した帯電ローラ、その製造方法、この帯電用ローラを搭載した電子写真装置用カートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
【解決手段】 芯金と該芯金外周上の弾性体と、シームレスな帯電ローラ用被覆チューブを該弾性体に被覆してなる帯電ローラにおいて、該チューブ内面の10点平均粗さ(Rzjis)が4〜15μmであることを特徴とする帯電ローラ、その製造方法、この帯電用ローラを搭載した電子写真装置用カートリッジ及び電子写真装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被帯電体に接触し、電圧を印加することにより該被帯電体を帯電する帯電ローラ及びその製造用金型に関する。更に、該帯電ローラを有する電子写真用カートリッジ及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置に用いられる帯電手段として、接触帯電方式の帯電手段の採用が進められている。接触帯電は、被帯電体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することによって被帯電体を所定の極性及び電位に帯電させるものであり、電源の電圧を低くすることができる、オゾン等のコロナ生成物の発生を少なくすることができる、及び構造が簡単で低コスト化を図ることができる等の利点がある。
【0003】
帯電部材に印加する電圧は直流のみを印加する方式(DC印加方式)の他に、直流電圧を接触帯電部材に印加したときの被帯電体の帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する振動電界(時間と共に電圧値が周期的に変化する電界)を接触帯電部材と被帯電体との間に形成して被帯電体面を帯電処理する手法(AC印加方式)があり、この方がより均一な帯電をすることが可能である。
【0004】
なお、非帯電体に接触される部材として、帯電ローラは回転自由に軸受支持されて被帯電体に所定の圧力で圧接され、被帯電体の移動に伴い回転するので多用されている。
【0005】
この帯電ローラは、通常、中心に設けた芯金と、該芯金の外周にローラ状に設けた導電性の弾性層と、更にその外周に設けた表面層等を有する多層構造体である。
【0006】
上記各層のうち、芯金(金属層)はローラの形状を維持するための剛体であると共に、給電電極としての役割を有している。
【0007】
また、上記弾性層は通常、10〜10Ω・cmの体積固有抵抗を有すること、及び弾性変形することにより被帯電体との均一な接触を確保する機能が要求されるため、通常、導電性が付与されたゴム硬度(JIS A)70度以下の柔軟性を有する加硫ゴムが使用される。そして、従来の帯電ローラには、弾性層としてゴム発泡体(又はスポンジ状ゴム)を使用した発泡タイプとゴム発泡体を使用しないソリッドタイプがあった。また、上記表面層は被帯電体の帯電均一性を向上させ、被帯電体表面のピンホール等に起因するリークの発生を防止すると共に、トナー粒子や紙粉等の固着を防止する機能、更には弾性層の硬度を低下させるために用いられるオイルや可塑剤等の軟化剤のブリードを防止する機能等も求められている。上記表面層の体積固有抵抗は通常10〜1013Ω・cmであり、従来、導電性塗料を塗布すること、あるいはシームレスチューブを被覆すること(例えば、特許文献1)等により形成されていた。
【0008】
しかしながら、シームレスチューブを被覆する場合において、チューブに含有されている導電剤の分散ムラやチューブの偏肉等が原因となり、ローラの周方向に抵抗ムラを生じ、直接画像不良になる場合があった。
【0009】
また、帯電ローラを高速回転させた時、チューブが弾性層からずれることを防ぐためチューブと弾性層の締め代を大きめにすると、チューブが伸ばされることにより上述したようなチューブの成形欠陥がよりはっきり現れ、抵抗ムラが悪化し、結果として画像ムラとして認知されるという場合があった。
【特許文献1】特開平11−125952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、高速回転によるチューブずれを抑制、抵抗ムラを抑制した帯電ローラを提供し、また、その製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、上記帯電ローラを備えた電子写真装置用カートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に従って、芯金と該芯金外周上の弾性体と、シームレスな帯電ローラ用被覆チューブを該弾性体に被覆してなる帯電ローラにおいて、該チューブ内面の10点平均粗さ(Rzjis)が4〜15μmであることを特徴とする帯電ローラが提供される。
【0013】
また、本発明に従って、シームレスな帯電ローラ用被覆チューブの押し出し金型において、該金型の出口部分(ニップル)の帯電ローラ用被覆チューブの内面となる側の被覆チューブと当接する面の10点平均粗さ(Rzjis)が、5〜20μmであることを特徴とする帯電ローラ用被覆チューブの押し出し金型が提供される。
【0014】
更に、本発明に従って、上記帯電用ローラを備えた電子写真装置用カートリッジ及び電子写真装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高速回転によるチューブずれを抑制、抵抗ムラを抑制した帯電ローラが得られ、また、その製造の金型により帯電ローラの被覆チューブが適正に形成できる。更に、該帯電ローラを搭載した電子写真装置用カートリッジ、及び電子写真装置とすることにより、良質の画像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、芯金と該芯金外周上の弾性体と、シームレスな帯電ローラ用被覆チューブを該弾性体に被覆してなる帯電ローラにおいて、該チューブ内面の10点平均粗さ(Rzjis)が4〜15μmであることを特徴とする帯電ローラである。
【0017】
以下、本発明につき図面を利用し、更に詳しく説明する。
【0018】
図1は本発明の帯電ローラ1’の一例を示すもので、電子写真装置の帯電器として使用するものである。この帯電ローラは、ステンレススチール、めっき処理した鉄、黄銅及び導電性プラスチック等の良導電性材料からなる芯金1の外周に導電性の弾性材料からなる発泡弾性体層2を設け、更にこの発泡弾性体層2の外周に複数層のシームレスな小径薄肉の帯電ローラ用被覆チューブ3(以後、被覆チューブ)を被覆したものである。図1の場合、被覆チューブは内部層3(i)と外部層3(o)からなる。
【0019】
本発明における芯金(金属層)としては、例えばアルミニウム、銅、鉄、又はこれらを含む合金等の良導体が好適に用いられる。本発明に用いられる芯金は、0.1〜1.5mm程度の厚さを有する金属管であっても、また棒状であってもよい。
【0020】
上記発泡弾性体層2を構成する導電性を有する弾性材料としては、導電材を配合した発泡導電性ゴム組成物あるいは導電性ポリウレタンフォームを用いることができる。
【0021】
この場合、発泡導電性ゴム組成物を構成するゴム成分としては、特に制限されるものではないが、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレンに導電材を配合したものの発泡体、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合ゴムの発泡体又はエピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合ゴムに導電材を配合したものの発泡体を好適に使用することができる。
【0022】
これらゴム組成物に配合する導電材としては、カーボンブラック、黒鉛、金属及び導電性の各種金属酸化物(酸化錫及び酸化チタン等)等の導電性粉体や、カーボンファイバー及び金属酸化物の短繊維等の各種導電性繊維を用いることができる。その配合量は、全ゴム成分100質量部に対して好ましくは3〜100質量部(3〜50質量%)、特に好ましくは5〜50質量部(5〜33質量%)であり、これにより発泡弾性体層2の体積抵抗を10〜10Ω・cm程度に調整することが好ましい。なお、この発泡弾性体層2の形成は、公知の加硫成形法により行うことができ、その厚さは帯電ローラの用途等に応じて適宜設定されるが、通常1〜20mmが好ましい。
【0023】
本発明においては、この発泡弾性体層2上に複数層のシームレスな小径薄肉の帯電ローラ用被覆チューブ3を被覆する。この場合、この被覆チューブ3を構成する熱可塑性樹脂、エラストマーとしては、押し出し成形可能な熱可塑性樹脂、エラストマーであればいずれのものでもよく、具体的には、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、エチレン酢酸ビニル、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸メチル、スチレンブタジエンゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12及びその他の共重合ナイロン等のポリアミド、スチレンエチレンブチル、エチレンブチル、ニトリルブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、イソプレンゴム及びポリノルボルネンゴム等の通常のゴム、又はスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)やスチレン−ブタジエン−スチレンの水添加物(SEBS)等の熱可塑性ゴムを使用することができ、特に制限されるものではない。
【0024】
あるいは、上記の各樹脂や共重合体よりなるエラストマー及び変性体等のエラストマーと、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等の飽和ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ポリウレタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−エチレン/プロピレンゴム−スチレン樹脂(AES)及びアクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS)等のスチレン系樹脂やアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、等の各樹脂及び共重合体からなる材料の組み合わせが好ましい。
【0025】
更に、上記ゴム、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂から選ばれた2種以上の重合体からなるポリマーアロイ又はポリマーブレンドも使用できる。
【0026】
該被覆チューブに使用される樹脂、エラストマー及び共重合体等は前記したものであり、導電材等を適宜配合することにより、所望の特性を有するチューブ構成が得られる。
【0027】
上記導電材としては、公知の素材が使用でき、例えば、カーボンブラック及びグラファイト等の炭素微粒子;ニッケル、銀、アルミニウム及び銅等の金属微粒子;酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム及びシリカ等を主成分とし、これに原子価の異なる不純物イオンをドーピングした導電性金属酸化物微粒子;炭素繊維等の導電性繊維;ステンレス繊維等の金属繊維;炭素ウイスカーやチタン酸カリウムウイスカーの表面を金属酸化物や炭素等により導電化処理した導電性チタン酸カリウムウイスカー等の導電性ウイスカー;及びポリアニリンやポリピロール等の導電性重合体微粒子等が挙げられる。
【0028】
本発明にかかる被覆チューブは、上記各種重合体と、上記導電材及び必要ならばその他の添加剤からなる導電性重合体組成物を押し出し成形法で形成する。
【0029】
更に、形成するチューブの各薄膜層の膜厚均一性、また導電材等の分散性がより均一であるものを得るために、本発明では縦型のチューブ押し出し機(図2)を使用する。
【0030】
本発明に用いられる被覆チューブは単に成形するならば、押し出し成形法、射出成形法及びブロー成形法等によりチューブ状に成膜することにより得ることができる。また、例えばより優れた耐久性や耐環境性等を得ることを目的として、上記各種成形法により得られたシームレスチューブを更に架橋させて導電性架橋重合体とすることもできる。チューブ状に成膜された導電性重合体を架橋させる方法としては、重合体の種類に応じて硫黄、有機過酸化物及びアミン類等の架橋剤を予め添加しておき、高温下に架橋結合を生成させる化学的架橋法や、電子線やγ線等の放射線を照射することにより架橋させる放射線架橋法等が有効である。上記各種架橋法のうちでは電子線架橋法が架橋剤又はその分解生成物の移行による被帯電体の汚染の恐れがなく、更に、高温処理の必要がない点及び安全性の点で好ましい。
【0031】
本発明に用いられる被覆チューブ径は、5〜25mm程度が好ましい。被覆チューブ径5mm未満では、チューブ内径を粗らすとチューブ表面に凹凸が現れ易くなり、また、被覆も技術的に困難である。被覆チューブ径25mm超に関しては、需要があれば技術的には可能である。
【0032】
本発明に用いられる被覆チューブの体積抵抗値は、10〜1010Ω・cmであることが好ましく、特には10〜10Ω・cmであることが好ましい。
【0033】
また、本発明においては、適切に機能分離した極薄層のチューブが一体的に同時に形成されているので、各層を必要以上に厚い膜とすることもなく、全体構成の中で、発泡弾性体層の柔軟性を効果的に引き出すことが可能となっている。
【0034】
本発明に用いられる被覆チューブは種々の方法で成膜することができるが、前記のように押し出し法が好適である。即ち、予め重合体と導電材及び必要に応じて、架橋剤、安定剤及びその他の添加剤を混合したコンパウンドを製造し、該コンパウンドを押し出し機によりリング状スリットを有するダイスより押し出し、冷却することによって連続的にシームレスチューブを製造することができる(図2)。
【0035】
本発明における面を粗された金型出口付近の拡大図を図3に示す。本発明に用いる金型の出口部分は、帯電ローラ用被覆チューブの外表面を決めるダイス4と、該チューブの内表面を決めるニップル22からなる。被覆チューブと当接する面のニップル22表面の10点平均粗さ(Rzjis)は、5μm以上20μm以下の範囲とすることが適当である。該面を粗する手段としては、ニップル22の表面を、サンドペーパーやヤスリ等の粗面化工具によってもよいし、砥粒によるブラスト加工等によってもよい。また、高硬度の粗面をニップル22の表面に強く当てて粗面化することも可能である。所定の粗さは、例えばブラスト加工を例にするならば、砥粒の粒径・形状・材質(硬度)等や、圧力、時間によって容易に粗さ調節ができる。
【0036】
また、金型の粗さは、被覆チューブの所望の粗さより若干大きくても、高温半流動体の成形物の粗さは残存温度でならされて金型の粗さよりも小さくなる傾向がある。よって、ニップルの表面の粗さRzjisが5μmより小さ過ぎるとチューブ表面は均されほとんど粗されない。逆に、粗さRzjisが20μmより大き過ぎるとチューブ表面が所望の粗さより大きくなり過ぎ、チューブ表面にスジとして現れたり薄肉チューブの場合肉厚ムラとして現れたりしてしまう。
【0037】
図4はチューブを切り開いたときの内面を示しており、チューブの周方向のRzjisをRzjis、縦方向のRzjisをRzjisと定義する。本発明における表面粗さは、JIS B0601(2001)に基づき、サーフコーダSE3500(小阪研究所製)にて、測定長さを2.5mmとして測定を行ったものである。
【0038】
該金型をチューブ内面を粗する一手段として用いた際、粗さのプロファイルの特徴として、押し出し成形であるが故、チューブの周方向のRzjisが縦長方向のRzjisより若干大きくなり、縦長方向に概略平行なスジ模様を有す。
【0039】
また、任意方向に測定したチューブ内面の10点平均粗さRzjisは4μm〜15μmの範囲が適当である。チューブ内面の粗さは、4μm未満ではチューブずれ防止効果はほとんど見られず、締め代が小さいとチューブがずれてしまう。15μmを超えると薄肉チューブの場合チューブの肉厚ムラとなりチューブがまともに成形できなくなってしまう。
【0040】
該チューブ押し出し後、冷却の途中又は冷却後再加熱して空気加圧等の手段を用いてチューブ径を拡大すれば熱収縮チューブが得られ、拡大処理をしなければ非熱収縮チューブが得られる。
【0041】
本発明に用いられる被覆チューブは後記する実施例では非熱収縮性のものを採用している。非熱収縮チューブである場合、発泡弾性体層と被覆チューブの密着性を確保するためにはチューブ内径は発泡弾性体層外径以下であることが必要である。圧縮空気を吹き込むことにより、形状復帰可能なように一時的にチューブ径を少し拡大させた状態で芯金を有する発泡弾性体層を挿入し、空気圧を解除すれば外嵌処理が完了する。
【0042】
図5に本発明の帯電ローラを有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0043】
図5において、13は電子写真感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体13は、回転過程において、本発明の帯電ローラ1’によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)からの画像露光光14を受ける。こうして感光体13の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0044】
形成された静電潜像は、次いで現像手段15によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体13と転写手段16との間に感光体13の回転と同期して給紙された転写材17に、転写手段16により順次転写されていく。
【0045】
像転写を受けた転写材17は、感光体面から分離されて像定着手段18へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0046】
像転写後の感光体13の表面は、クリーニング手段19によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、繰り返し像形成に使用される。
【0047】
本発明においては、上述の電子写真感光体13、帯電部材1’、現像手段15及びクリーニング手段19等の構成要素のうち複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、現像手段15とクリーニング手段19を感光体13及び帯電部材1’と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール20等の案内手段を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ21とすることができる。
【0048】
また、画像露光光14は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0049】
本発明では、このように帯電ローラが組み込まれたプロセスカートリッジを用いた電子写真装置により画像評価及びチューブずれの評価を行っている。その方法は、任意の枚数(カートリッジの品質保証枚数等)通紙後の画像濃度ムラ、及び帯電ローラのチューブのずれ量を比較する。
【実施例】
【0050】
より具体的には、実施例・比較例をもって以下に説明する。
【0051】
<帯電ローラ用被覆チューブの形成>
被覆チューブの外部層の材料として、スチレン系の樹脂(スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合樹脂、商品名:ダイナロン、JSR社製、融点100℃)100質量部(61.3質量%)、ポリエチレン20質量部(12.3質量%)、カーボンブラックとして商品名:ケッチェンブラックEC(ライオンアクゾ社製)12質量部(7.4質量%)及び、商品名:Special Black 250(デグザ社製)20質量部(12.3質量%)、酸化マグネシウム10質量部(6.1質量%)、ステアリン酸カルシウム1質量部(0.6質量%)をV型ブレンダーで数分間混合した。これを更に加圧式ニーダーを用いて190℃で10分間溶融混練した。更に、冷却後、粉砕機で粉砕し、単軸押し出し機でペレット化した。
【0052】
内部層の材料として、ポリウレタンエラストマー(融点120℃)100質量部(76.3質量%)、カーボンブラックとして商品名:ケッチェンブラックEC20質量部(15.3質量%)、酸化マグネシウム10質量部(7.6質量%)及びステアリン酸カルシウム1質量部(0.8質量%)を、外部層の材料と同様の工程でペレット化した。
【0053】
(実施例1)
縦型押し出し機(プラ技研社製の特注品、図2参照)を用いて、これらを1つのクロスヘッドで2重層となるように合流し、Rzjisが10μmのニップル22を用い、これらの温度155℃で適温の水冷リング10中に押し出し、更に冷却した後、1対の円形状回転体から成るチューブ引き取り装置11にて引き取った。このようにして、内径11.30mmの被覆チューブを得た。
【0054】
(実施例2)
実施例1と同様の手順でRzjisが5μmのニップル22を用い、内径11.30mmの被覆チューブを得た。
【0055】
(実施例3)
実施例1と同様の手順でRzjisが20μmのニップル22を用い、内径11.30mmの被覆チューブを得た。
【0056】
(比較例1)
実施例1と同様の手順でRzjisが0μmのニップル22を用い、内径11.30mmの被覆チューブを得た。
【0057】
(比較例2)
実施例1と同様の手順でRzjisが10μmのニップル22を用い、内径11.05mmの被覆チューブを得た。
【0058】
(比較例3)
実施例1と同様の手順でRzjisが0μmのニップル22を用い、内径11.05mmの被覆チューブを得た。
【0059】
(比較例4)
実施例1と同様の手順でRzjisが25μmのニップル22を用い、内径11.30mmの被覆チューブを得た。
【0060】
<ローラの作製>
内径4.5mm、外径11.5mmのホース状の発泡弾性体層(エチレン−ジエン系ゴム(EPDM)に加硫剤、カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC)及び発泡剤を配合したものを押出し機によりホース状に押出し、加硫管中で発泡させたもの)を長さ225mmに切り、径5mm×長さ260mmの芯金(鉄製の金属棒に化学メッキにより10μmのメッキ層を形成し、切断したもの)を挿入して、径11.40mmの帯電原料ローラを得た。この原料ローラに実施例・比較例で製造した被覆チューブを230mm長さに切断したものを、チューブ被覆装置(不図示)により発泡弾性体層外周に嵌め込み、圧密着させ、帯電ローラを得た。
【0061】
<評価>
これら帯電ローラをLBP(レーザービームプリンター;ヒューレットパッカード社製レーザージェット2−P)の一次帯電器に用いて帯電均一性の評価を画像濃度ムラより判断した。また、製品として画像が良好なものを限度見本と定め、それより濃度ムラが小さい或いはないものを○、大きいものを×とした。評価結果の概要を表2に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の帯電ローラの一例の縦断正面図である。
【図2】本発明に用いる機能性複数層チューブの縦型押し出し機の一例の縦断正面図である。
【図3】本発明に用いる金型出口部分の縦断正面図である。
【図4】本発明に用いるチューブの周方向のRzjis及び、縦長方向のRzjisの解説図である。
【図5】本発明の帯電ローラを有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0065】
1 芯金(金属層)
1’ 帯電ローラ
2 発泡弾性体層
3 機能性複層チューブ
3(i) 内部層
3(o) 外部層
4 ダイス
5 中央通孔
6 押し出し流路
7 押し出し流路
8 第1押し出機
9 第2押し出機
10 水冷リング
11 タイミングプーリー(チューブ引き取り装置部)
12 電源
13 電子写真感光体
14 画像露光光
15 現像手段
16 転写手段
17 転写材
18 像定着手段
19 クリーニング手段
20 レール
21 プロセスカートリッジ
22 ニップル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金と該芯金外周上の弾性体と、シームレスな帯電ローラ用被覆チューブを該弾性体に被覆してなる帯電ローラにおいて、該チューブ内面の10点平均粗さ(Rzjis)が4〜15μmであることを特徴とする帯電ローラ。
【請求項2】
前記チューブ内面の周方向の10点平均粗さ(Rzjis)と同軸長方向の10点平均粗さ(Rzjis)との関係が、Rzjis>Rzjisであり、該チューブ内面に軸長方向に概略平行な筋模様を有している請求項1に記載の帯電ローラ。
【請求項3】
シームレスな帯電ローラ用被覆チューブの押し出し金型において、該金型の出口部分(ニップル)の帯電ローラ用被覆チューブの内面となる側の被覆チューブと当接する面の10点平均粗さ(Rzjis)が、5〜20μmであることを特徴とする帯電ローラ用被覆チューブの押し出し金型。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の帯電ローラを備えていることを特徴とする電子写真装置用カートリッジ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の帯電ローラを備えていることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−58539(P2006−58539A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239521(P2004−239521)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】