説明

平行移動機構、干渉計および分光器

【課題】小型の構成でありながら、移動鏡15を構成する反射膜15aの大きな移動量および並進性を確保しつつ、反射膜15aの面精度を向上させて反射光の波面の乱れを抑制する。
【解決手段】駆動機構18の板ばね部31・32は、互いに対向して配置されている。支持体33・34は、板ばね部31・32の間で互いに離間して配置され、それぞれが板ばね部31・32と連結されている。駆動部35は、板ばね部31・32の対向方向に、支持体34に対して支持体33を平行移動させる。支持体34の移動方向において、支持体33・34の厚さは、板ばね部31・32よりも厚く、支持体33における移動方向に垂直な一端面に、反射膜15aが形成されている。支持体33は、反射膜15aが露出するように板ばね部31・32と連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体を介して2つの板ばねを平行に配置した平行移動機構と、その平行移動機構を備えた干渉計と、その干渉計を備えた分光器とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、試料に光を照射して、そこを透過または反射した光を集めて分光し、スペクトルを得る装置が分光器として知られている。分光器は、分光プリズムや回折格子を用いた分散型の分光器と、マイケルソン干渉計を用いた時間的フーリエ変換分光器(以下、FT分光器とも称する)とに大別される。
【0003】
FT分光器では、マイケルソン干渉計の移動鏡を移動させながら、移動鏡での反射光と固定鏡での反射光とを干渉させ、干渉光すなわち時間的インターフェログラム(干渉パターン)を形成する。その時間的インターフェログラムをフーリエ変換することにより、入射光のスペクトル分布を求めることができる。FT分光器の分光精度(分解能)は、移動鏡の移動量に応じたものとなり、移動量が大きいほど高分解能となる。ただし、移動鏡の並進性が確保されていないと(移動鏡が移動時に傾くと)、干渉光のコントラストが低下して分解能が低下するため、移動鏡の並進性を確保しつつ移動鏡を大きく移動させることが必要となる。
【0004】
この点に関して、例えば非特許文献1の分光器では、2つの板ばねをこれらよりも厚みのある支持体を介して平行に配置するとともに、上記支持体の側面に、移動鏡(コーナーキューブ)を保持した基板を固定し、ボイスコイルモータ(VCM)によって移動鏡を平行移動させている。2つの板ばねの間隔を支持体によって広げることにより、VCMによる駆動時の2つの板ばねの変形によって、支持体および移動鏡を大きく移動させることができる。また、移動鏡が基板を介して保持された支持体は、平行に配置された2つの板ばねによって支持されているので、傾きを抑えながら移動鏡を平行移動させることができるものと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】南光智昭、外2名、「近赤外分光分析計 InfraSpec NR800」、横河技報、横河電機株式会社、2001年7月31日、Vol.45、No.3、p.179-182
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、非特許文献1のように、2つの板ばねの間に配置される支持体の側面に、基板を介して移動鏡が固定される構成では、移動鏡を保持するための上記基板が必要であり、部品点数が増大するため、駆動機構全体が大型化する。
【0007】
そこで、例えば、移動鏡を2つの板ばねの一方の表面に形成すれば、上記基板を削減している点で駆動機構を小型化することができると思われる。しかし、板ばねに移動鏡を設ける構成では、移動鏡を構成する反射膜の面精度に起因して、反射光の波面が乱れやすくなる。
【0008】
つまり、反射膜の面精度は、反射膜の下地層の面精度にほとんど等しくなるが、例えば、板ばねとそれよりも厚みのある支持体とで面精度を比較した場合、支持体よりも板ばねのほうが、厚みが薄い分、表面研磨時の応力によって表面に凹凸が生じやすく、面精度が低い。反射膜の表面に凹凸が生じると、反射膜で反射される光の光束径内で位相差が付き、反射光の波面が乱れることになる。このような波面の乱れは、干渉光のコントラストの低下ひいては分光器の分解能の低下につながる。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、小型の構成でありながら、移動鏡を構成する反射膜の大きな移動量および並進性を確保しつつ、反射膜の面精度を向上させて反射光の波面の乱れを抑制することができる平行移動機構と、その平行移動機構を備えた干渉計と、その干渉計を備えた分光器とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の平行移動機構は、互いに対向して配置される第1および第2の板ばね部と、前記第1および第2の板ばね部の間で互いに離間して配置され、それぞれが前記第1および第2の板ばね部と連結される第1および第2の支持体と、前記第1および第2の板ばね部の前記対向方向に、前記第1の支持体に対して前記第2の支持体を平行移動させる駆動部とを備えた平行移動機構であって、前記第2の支持体の前記移動方向において、前記第1および第2の支持体の厚さは、前記第1および第2の板ばね部よりも厚く、前記第2の支持体における前記移動方向に垂直な一端面に、反射膜が形成されており、前記第2の支持体は、前記反射膜が露出するように前記第1および第2の板ばね部と連結されていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、第1および第2の板ばね部は互いに対向して配置され、その間で第1および第2の支持体が互いに離間して配置されている。そして、駆動部により、第1の支持体に対して第2の支持体が反射膜と一体的に上記対向方向に平行移動する、いわゆる平行板ばねが構成されている。第1および第2の支持体によって第1および第2の板ばね部の間隔が広げられることにより、駆動部による駆動時に、第2の支持体と一体的に反射膜を大きく移動させることができる。また、第2の支持体は、平行に配置される第1および第2の板ばね部によって支持されているので、第2の支持体および反射膜をそれらの傾きを抑えながら平行移動させることができ、これらの並進性を確保することができる。
【0012】
また、第2の支持体における移動方向に垂直な一端面に、反射膜が形成されており、第2の支持体は、上記の反射膜が露出するように、第1および第2の板ばね部と連結されている。例えば、第1の板ばね部に予め貫通孔を形成しておき、反射膜が上記貫通孔を介して露出するように、第2の支持体と第1および第2の板ばね部とを連結してもよいし、反射膜が第1または第2の板ばね部の外側で露出するように、第2の支持体と第1および第2の板ばね部とを連結してもよい。
【0013】
このように反射膜を露出させることにより、反射膜に光を入射させる構成および反射膜での反射光を外部に取り出す構成を実現することができるとともに、反射膜で反射される光の光路長を、第2の支持体の移動に伴って変化させることができる。これにより、本発明の平行移動機構を、例えば干渉計や分光器に適用することが可能となる。
【0014】
また、第2の支持体の移動方向の厚さは、第1および第2の板ばね部よりも厚いので、表面の研磨時の応力の影響が、第1および第2の板ばね部よりも第2の支持体のほうが小さくなり、面精度(表面の凹凸の度合い)は、第1および第2の板ばね部よりも第2の支持体のほうが小さくなる。したがって、面精度のより小さい第2の支持体に反射膜を設けることにより、その反射膜の面精度を向上させることができる。その結果、反射膜で反射される光の光束径内で位相差が付き、反射光の波面が乱れるのを抑制することができる。
【0015】
また、本発明では、例えば他の部材(基板)に反射膜を形成してその部材を第2の支持体に固定するのではなく、第2の支持体の端面に反射膜を直接形成しているので、必要最小限の部品点数で平行移動機構を構成することができ、平行移動機構を小型化することができる。
【0016】
つまり、本発明によれば、小型の構成で、第2の支持体および反射膜の大きな移動量および並進性を確保できるとともに、反射膜の面精度を向上させて反射光の波面が乱れるのを抑制することができる。
【0017】
本発明の平行移動機構において、前記第1の板ばね部は、貫通孔を有しており、前記反射膜は、前記貫通孔を介して露出していてもよい。
【0018】
この構成では、第1の板ばね部の貫通孔を介して反射膜に光を入射させる構成、および上記反射膜からの反射光を上記貫通孔を介して外部に取り出す構成を実現することができ、本発明の平行移動機構を例えば干渉計や分光器に適用することが容易となる。
【0019】
本発明の平行移動機構において、前記第2の支持体は、前記反射膜が前記第1または第2の板ばね部の外側で露出するように、前記第1および第2の板ばね部によって挟持されていてもよい。
【0020】
この構成でも、反射膜に光を入射させる構成、および上記反射膜からの反射光を外部に取り出す構成を実現することができ、本発明の平行移動機構を例えば干渉計や分光器に適用することが容易となる。また、この構成では、第2の支持体の端面において、例えば第1の板ばね部の幅方向全体に反射膜を形成することが可能となり、反射膜に入射させる光束の大径化を容易に実現することが可能となる。
【0021】
本発明の平行移動機構において、前記第2の支持体は、ガラスで構成されていてもよい。
【0022】
この構成では、第2の支持体と第1および第2の板ばね部との連結に、例えば陽極接合、拡散接合、オプティカルコンタクトなどの、接着剤を用いない連結方法を採用することができ、接着剤の収縮による製造誤差を排除することができる。
【0023】
本発明の平行移動機構において、前記第1および第2の板ばね部は、シリコンからなる支持層と、絶縁酸化膜層と、シリコンからなる活性層とを積層したSOI基板でそれぞれ構成されていてもよい。
【0024】
この構成では、第2の支持体と第1および第2の板ばね部との連結は、ガラスとシリコンとの連結となり、これらの連結に、陽極接合などの接着剤を用いない方法を確実に使用することができる。
【0025】
本発明の平行移動機構において、前記第1および第2の板ばね部は、平板状のシリコン基板でそれぞれ構成されていてもよい。
【0026】
この構成では、第2の支持体と第1および第2の板ばね部との連結は、ガラスとシリコンとの連結となり、これらの連結に、陽極接合などの接着剤を用いない方法を確実に使用することができる。また、平板状の2枚のシリコン基板で第1および第2の支持体を挟むという簡単な構成で平行移動機構を容易に実現することができる。
【0027】
本発明の平行移動機構において、前記第1および第2の板ばね部は、平板状のガラス基板でそれぞれ構成されていてもよい。
【0028】
この構成では、第2の支持体と第1および第2の板ばね部との連結は、ガラスとガラスとの連結となり、これらの連結に、拡散接合やオプティカルコンタクトなどの接着剤を用いない方法を確実に使用することができる。また、平板状の2枚のガラス基板で第1および第2の支持体を挟むという簡単な構成で平行移動機構を容易に実現することができる。
【0029】
本発明の平行移動機構において、前記駆動部は、前記第1および第2の板ばね部の一方を曲げ変形させることにより、前記第1の支持体に対して前記第2の支持体を平行移動させる圧電素子で構成されていてもよい。
【0030】
圧電素子は、例えば磁石とコイルとを用いた電磁式駆動源に比べて格段に小型、薄型である。また、電磁式駆動源を用いる場合は、その設置位置(広い空間)も確保しなければならず、平行移動機構自体が大型化するが、圧電素子を駆動源として用いる場合は、本発明のように曲げ変形させたい部位(例えば第1の板ばね部)に直接設ければよく、広い設置空間を確保する必要もない。したがって、駆動部を圧電素子で構成することにより、電磁式駆動源を用いる構成に比べて、小型の平行移動機構を実現することができる。
【0031】
本発明の干渉計は、上述した本発明の平行移動機構と、測定用光源からの測定光をビームスプリッタで分離して移動鏡および固定鏡に導き、前記移動鏡および前記固定鏡にて反射された各光を前記ビームスプリッタで合成し、干渉光として光検出器に導く測定光学系とを備え、前記移動鏡は、前記平行移動機構の前記第2の支持体の端面に形成される反射膜で構成されていてもよい。
【0032】
本発明の平行移動機構を干渉計に適用したときには、移動鏡での反射光の光束径内で位相差が出て、上記反射光の波面が乱れるのを回避できるので、測定光学系の光検出器で検出される、移動鏡での反射光と固定鏡での反射光との干渉光(インターフェログラム)のコントラストが低下するのを回避することができる。
【0033】
本発明の分光器は、上述した本発明の干渉計と、前記干渉計の前記光検出器で得られるインターフェログラムをフーリエ変換する演算部とを備えていてもよい。
【0034】
本発明の干渉計によれば、インターフェログラムのコントラストの低下を回避できるので、分光器では、干渉計の光検出器で得られるインターフェログラムを演算部でフーリエ変換して得られるスペクトルに基づく分光分析を精度よく行うことができ、分解能を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、小型の構成で、第2の支持体および反射膜の大きな移動量および並進性を確保できるとともに、反射膜の面精度を向上させて反射光の波面が乱れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の一形態の分光器としてのフーリエ変換分光分析装置の概略の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】上記フーリエ変換分光分析装置に適用される干渉計の第2の光検出器の概略の構成を示す平面図である。
【図3】上記第2の光検出器での検出結果に基づいて出力される位相信号を示す説明図である。
【図4】上記フーリエ変換分光分析装置の干渉計が備える駆動機構の概略の構成を示す斜視図である。
【図5】上記駆動機構の断面図である。
【図6】上記駆動機構における、移動鏡としての反射膜が形成された支持体の斜視図である。
【図7】上記駆動機構の駆動部の概略の構成と、支持体および移動鏡の変位の仕方を示す説明図である。
【図8】上記駆動機構の製造時の大まかな流れを示すフローチャートである。
【図9】(a)〜(d)は、上記駆動機構の製造工程を示す断面図である。
【図10】複数の板ばね部をシート状に綴った基板の斜視図である。
【図11】2枚の上記基板で挟まれる支持ブロックの斜視図である。
【図12】移動鏡を支持片から切り離す前の、上記基板および上記支持ブロックからなる接合体の斜視図である。
【図13】上記移動鏡を支持片から切り離した後の、上記接合体の斜視図である。
【図14】(a)〜(f)は、図10のA−A’線矢視断面で見た駆動機構の板ばね部の作製工程をそれぞれ示す断面図である。
【図15】上記駆動機構の他の構成を示す断面図である。
【図16】上記駆動機構のさらに他の構成を示す断面図である。
【図17】上記駆動機構のさらに他の構成を示す断面図である。
【図18】上記駆動機構のさらに他の構成を示す斜視図である。
【図19】上記駆動機構のさらに他の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0038】
〔1.分光器の構成〕
図1は、本実施形態の分光器としてのフーリエ変換分光分析装置の概略の構成を模式的に示す説明図である。この装置は、干渉計1と、演算部2と、出力部3とを有して構成されている。干渉計1は、2光路分岐型のマイケルソン干渉計で構成されているが、その詳細については後述する。演算部2は、干渉計1から出力される信号のサンプリング、A/D変換およびフーリエ変換を行い、測定光に含まれる波長のスペクトル、すなわち、波数(1/波長)ごとの光の強度を示すスペクトルを生成する。出力部3は、演算部2にて生成されたスペクトルを出力(例えば表示)する。以下、干渉計1の詳細について説明する。
【0039】
干渉計1は、第1の光学系10(測定光学系)と、第2の光学系20(参照光学系)と、傾き補正部100とを有している。以下、順に説明する。
【0040】
第1の光学系10は、測定用光源11と、反射コリメータ12と、BS(ビームスプリッタ)13と、固定鏡14と、移動鏡15と、反射コリメータ16と、第1の光検出器17と、駆動機構18とを備えている。なお、BS13に対する固定鏡14と移動鏡15との位置関係は、逆であってもよい。また、BS13の厚み分の光路長を補正するための補正板を光路中に設けるようにしてもよい。
【0041】
測定用光源11は、例えば複数波長を含む近赤外光を測定光として出射する。反射コリメータ12は、測定用光源11からの光を反射させるとともに平行光に変換してBS13に導く反射面(コリメート光学系)で構成されている。BS13は、入射光、すなわち、測定用光源11から出射された光を2つの光に分離して、それぞれを固定鏡14および移動鏡15に導くとともに、固定鏡14および移動鏡15にて反射された各光を合成し、第1の干渉光として出射するものであり、例えばハーフミラーで構成されている。
【0042】
反射コリメータ16は、BS13にて合成されて出射された光を反射させるとともに集光して第1の光検出器17に導く反射面(集光光学系)で構成されている。第1の光検出器17は、BS13から反射コリメータ16を介して入射する第1の干渉光を受光してインターフェログラム(干渉パターン)を検出する。なお、上記した反射コリメータ12・16は、コリメータレンズであってもよい。
【0043】
駆動機構18は、固定鏡14にて反射される光の光路と、移動鏡15にて反射される光の光路との差(光路長の差)が変化するように、移動鏡15を入射光の光軸方向に平行移動(並進)させる平行移動機構である。本実施形態では、駆動機構18は、平行板ばね式の駆動機構で構成されているが、その詳細については後述する。
【0044】
上記の構成において、測定用光源11から出射された光(測定光)は、反射コリメータ12によって平行光に変換された後、BS13での透過および反射によって2光束に分離される。分離された一方の光束は移動鏡15で反射され、他方の光束は固定鏡14で反射され、それぞれ元の光路を逆戻りしてBS13で重ね合わせられ、第1の干渉光として試料(図示せず)に照射される。このとき、駆動機構18によって移動鏡15を連続的に移動させながら試料に光が照射されるが、BS13−移動鏡15間の光路と、BS13−固定鏡14間の光路とで、2つの光路長の差が波長の整数倍のときは、重ね合わされた光の強度は最大となる。一方、移動鏡15の移動によって2つの光路長に差が生じている場合には、重ね合わされた光の強度に変化が生じる。試料を透過した光は、反射コリメータ16で集光されて第1の光検出器17に入射し、そこでインターフェログラムとして検出される。
【0045】
演算部2では、第1の光検出器17からの検出信号(インターフェログラム)をサンプリングし、A/D変換およびフーリエ変換することにより、波数ごとの光の強度を示すスペクトルが生成される。上記のスペクトルは、出力部3にて出力(例えば表示)され、このスペクトルに基づき、試料の特性(材料、構造、成分量など)を分析することが可能となる。
【0046】
次に、第2の光学系20および傾き補正部100について説明する。第2の光学系20は、上記した第1の光学系10と構成を一部共有しており、上述した反射コリメータ12と、BS13と、固定鏡14と、移動鏡15と、反射コリメータ16とに加えて、参照光源21と、光路合成ミラー22と、光路分離ミラー23と、第2の光検出器24とを有している。
【0047】
参照光源21は、移動鏡15の位置を検出したり、演算部2でのサンプリングのタイミング信号を生成にするための光源であり、例えば波長660nmあたりの赤色光を参照光として発光する半導体レーザで構成されている。すなわち、参照光源21を構成する半導体レーザは、測定用光源11から出射される光(近赤外光)の最短波長よりも短波長のレーザ光を出射する。参照光源21として半導体レーザを用いることにより、大型であるHe−Neレーザを用いる構成に比べて干渉計1を小型化できる。
【0048】
光路合成ミラー22は、測定用光源11からの光を透過させ、参照光源21からの光を反射させることにより、これらの光の光路を同一光路に合成する光軸合成ビームコンバイナである。光路分離ミラー23は、測定用光源11から出射されてBS13を介して入射する光を透過させ、参照光源21から出射されてBS13を介して入射する光を反射させることにより、これらの光の光路を分離するビームスプリッタである。
【0049】
第2の光検出器24は、参照光源21から出射されてBS13を介して光路分離ミラー23に入射し、そこで反射された光(第2の干渉光、参照干渉光)を検出するものであり、例えば4分割センサ(SPD;Silicon Photo Diode )で構成されている。
【0050】
傾き補正部100は、駆動機構18による駆動時の移動鏡15の傾きによって生じる、移動鏡15での反射光と固定鏡14での反射光との相対的な傾きを補正するための駆動を、固定鏡14に対して行う傾き補正部である。以下、移動鏡15の移動時の傾きに起因して発生する、移動鏡15での反射光と固定鏡14での反射光との相対的な傾きのことを、2光路間での光の傾き(またはチルトエラー)とも称する。
【0051】
ところで、本実施形態では、2つの光路、すなわち、BS13で分離された一方の光が移動鏡15で反射されて再びBS13に入射するときの光路と、BS13で分離された他方の光が固定鏡14で反射されて再びBS13に入射するときの光路とが、第1の光学系10と第2の光学系20とで共通(同軸)になっている。この構成では、(1)測定用光源11、BS13、移動鏡15、BS13、第1の光検出器17の順に進行する光と、測定用光源11、BS13、固定鏡14、BS13、第1の光検出器17の順に進行する光との間の相対的な傾き(以下、第1の傾きとも称する)と、(2)参照光源21、BS13、移動鏡15、BS13、第2の光検出器24の順に進行する光と、参照光源21、BS13、固定鏡14、BS13、第2の光検出器24の順に進行する光との間の相対的な傾き(以下、第2の傾きとも称する)とが同じになる。したがって、傾き補正部100は、第2の光検出器24からの第2の干渉光の受光信号に基づいて、第2の傾きを検出することにより、第1の傾きを検出したのと等価になり、その検出結果に基づいて第1の傾きを補正することができる。
【0052】
このような傾き補正部100は、具体的には、信号処理部101と、光路補正装置102とで構成されている。信号処理部101は、第2の光検出器24にて検出された第2の干渉光の強度に基づいて、2光路間での光の傾きを検出する。例えば、図2に示すように、第2の光検出器24の4つの受光領域を反時計回りにE1〜E4とし、全体の受光領域の中心に第2の干渉光の光スポットDが位置しているものとする。受光領域E1・E2で検出された光の強度の和をA1とし、受光領域E3・E4で検出された光の強度の和をA2としたときに、時間経過に対する強度A1・A2の変化を示す位相信号として、図3に示す信号が得られたとすると、これらの信号に基づいて2光路間での光の傾き(相対的な傾き方向および傾き量)を検出することができる。この例では、受光領域E1・E2と受光領域E3・E4とが並ぶ方向(図2では上下方向)に位相差Δに対応する角度だけ、2光路間で光の傾きが生じていることになる。なお、図3の縦軸の強度は相対値で示している。なお、位相信号の周波数が遅い(低い)場合、位相比較ではなく強度比から2光路間での光の傾きを検知することもできる。
【0053】
また、全体の受光領域の中心に第2の干渉光の光スポットDが位置していなくても(光スポットDが受光面の中心からずれていても)、受光面の場所によって受光した光の強度が異なるため、各受光領域の強度比から、2光路間での光の傾きを検出することができる。例えば、受光領域E1・E2で検出された光の強度の和と、受光領域E3・E4で検出された光の強度の和との比(第1の比)と、受光領域E1・E4で検出された光の強度の和と、受光領域E2・E3で検出された光の強度の和との比(第2の比)とを求め、第1の比と第2の比とを比較することにより、2光路間での光の傾きを検出することができる。
【0054】
このように、第2の光検出器24が4分割センサで構成されていることにより、傾き補正部100(信号処理部101)は、4分割センサの各領域からの信号に基づいて2光路間での光の傾きを確実に検出することができる。
【0055】
また、信号処理部101は、第2の光検出器24にて検出された第2の干渉光の強度に基づいて、移動鏡15の位置を検出するとともに、サンプリングのタイミングを示すパルス信号を生成する。上記した演算部2は、このパルス信号の発生タイミングに同期して、第1の光検出器17からの検出信号(インターフェログラム)をサンプリングし、デジタルデータに変換することになる。第2の光検出器24では、移動鏡の位置(光路差)に応じて第2の干渉光の強度が全体的に明と暗との間で変化するので、その強度を検知することにより、移動鏡15の位置を検出することができる。
【0056】
光路補正装置102は、信号処理部101にて検出された2光路間での光の傾きに基づいて、固定鏡14で反射される光の光路を補正し、2光路間での光の傾きを補正するものである。このような光路補正装置102は、例えば光軸方向に伸縮する複数の圧電素子と、信号処理部101からの信号に基づいて各圧電素子に電圧を印加する電圧印加部とを有して構成されている。各圧電素子の一端面を固定鏡14の裏面に当接させるとともに、各圧電素子を光軸回りに配置し、各圧電素子への電圧印加を制御することにより、固定鏡14を光軸に対して任意の方向に傾けることができる。これにより、固定鏡14で反射される光の光路を補正することができ、2光路間での光の傾きを補正することができる。
【0057】
上記の構成において、参照光源21から出射された光(参照光)は、光路合成ミラー22で反射され、反射コリメータ12で平行光に変換された後、BS13に入射し、そこで2光束に分離される。BS13にて分離された一方の光束は移動鏡15で反射され、他方の光束は固定鏡14で反射され、それぞれ元の光路を逆戻りしてBS13で重ね合わせられ、第2の干渉光として試料(図示せず)に照射される。試料を透過した光は、反射コリメータ16で反射、集光され、光路分離ミラー23で反射されて第2の光検出器24に入射する。
【0058】
傾き補正部100の信号処理部101は、上述のように、第2の光検出器24にて検出された第2の干渉光の強度に基づいて、2光路間での光の傾きを検出し、光路補正装置102が、信号処理部101での検出結果に基づいて、固定鏡14の姿勢(BS13に対する角度)を調整し、固定鏡14での反射光の光路を補正することになる。反射光の光路の補正、2光路間での光の傾きの検出、を繰り返すフィードバック制御を行うことにより、最終的には、2光路間での光の傾きを限りなくゼロに近づけることができる。これにより、第1の光検出器17にて検出される第1の干渉光のコントラストが低下するのを回避することができる。
【0059】
〔2.駆動機構の詳細について〕
(2−1.全体構成)
次に、上述した駆動機構18の詳細について説明する。図4は、駆動機構18の概略の構成を示す斜視図であり、図5は、駆動機構18の断面図である。この駆動機構18は、上記の移動鏡15に加えて、2つの板ばね部31・32と、2つの支持体33・34と、駆動部35と、電圧印加部36と、保持部37とを有した平行板ばねで構成されている。なお、図5およびそれ以降に登場する断面図では、便宜上、後述する引き出し電極53および固定電極54の図示を省略している。
【0060】
なお、図4に示すように、駆動機構18は、支持体33側と支持体34側とでX方向の幅が異なっているが、これは引き出し電極53と固定電極54の形成領域、および保持部37の形成領域を確保するためであり、このことが移動鏡15の平行移動に何ら影響を与えるものではない。
【0061】
板ばね部31・32は、支持体33・34を介して互いに対向して(平行に)配置される板ばねであり、それぞれ第1および第2の板ばね部に相当する。これらの板ばね部31・32は、例えばSOI(Silicon on Insulator)基板を用いて形成されている。板ばね部31を形成するためのSOI基板は、シリコンからなる支持層31aと、酸化シリコンからなる絶縁酸化膜層(BOX層)31bと、シリコンからなる活性層31cとを積層して構成されている。同様に、板ばね部32を形成するためのSOI基板も、シリコンからなる支持層32aと、絶縁酸化膜層(BOX層)32bと、シリコンからなる活性層32cとを積層して構成されている。そして、支持層31a・32aが内側で活性層31c・32cが外側となるように、つまり、活性層31c・32cよりも支持層31a・32aが支持体33・34により近い位置となるように、板ばね部31・32が対向配置されている。なお、板ばね部31・32が対向している方向を、以下ではZ方向とも称する。このZ方向は、移動鏡15の移動方向と同じである。
【0062】
支持層31aおよび絶縁酸化膜層31b、支持層32aおよび絶縁酸化膜層32bは、それぞれ部分的に除去されている。より詳しくは、支持層31aおよび絶縁酸化膜層31bは、支持体33との対向領域および支持体34との対向領域が残存し、これら以外の部分が除去されている。なお、支持層31aにおける支持体33との対向領域および支持体34との対向領域とは、支持層31aにおいて支持体33と直接対向する支持層31a、および支持体34と直接対向する支持層31aをそれぞれ指す。また、絶縁酸化膜層31bにおける支持体33との対向領域および支持体34との対向領域とは、絶縁酸化膜層31bにおいて、支持層31aを介して支持体33と対向する絶縁酸化膜層31b、および支持層31aを介して支持体34と対向する絶縁酸化膜層31bをそれぞれ指す。
【0063】
同様に、支持層32aおよび絶縁酸化膜層32bは、支持体33との対向領域および支持体34との対向領域が残存し、これら以外の部分が除去されている。なお、支持層32aにおける支持体33との対向領域および支持体34との対向領域とは、支持層32aにおいて支持体33と直接対向する支持層32a、および支持体34と直接対向する支持層32aをそれぞれ指す。また、絶縁酸化膜層32bにおける支持体33との対向領域および支持体34との対向領域とは、絶縁酸化膜層32bにおいて、支持層32aを介して支持体33と対向する絶縁酸化膜層32b、および支持層32aを介して支持体34と対向する絶縁酸化膜層32bをそれぞれ指す。
【0064】
このように支持層31a・32aおよび絶縁酸化膜層31b・32bが部分的に除去されている結果、活性層31cのうち、支持体33との対向領域および支持体34との対向領域を除く部位と、活性層32cのうち、支持体33との対向領域および支持体34との対向領域を除く部位とが、支持体33と支持体34との間の空間を介して直接対向している。なお、活性層31cにおける支持体33との対向領域および支持体34との対向領域とは、活性層31cにおいて、支持層31aおよび絶縁酸化膜層31bを介して支持体33と対向する活性層31cと、支持層31aおよび絶縁酸化膜層31bを介して支持体34と対向する活性層31cとをそれぞれ指す。また、活性層32cにおける支持体33との対向領域および支持体34との対向領域とは、活性層32cにおいて、支持層32aおよび絶縁酸化膜層32bを介して支持体33と対向する活性層32cと、支持層32aおよび絶縁酸化膜層32bを介して支持体34と対向する活性層32cとをそれぞれ指す。
【0065】
また、板ばね部31・32は、平板部31p・32pをそれぞれ有している。平板部31p・32pは、板ばね部31・32のうち、支持体33と支持体34との間の空気層を介して対向する平板部分である。ここでは、各平板部31p・32pは、各SOI基板から、支持体33との対向領域(支持層31a・32a、絶縁酸化膜層31b・32b)および支持体34との対向領域(支持層31a・32a、絶縁酸化膜層31b・32b)を除いて支持層31a・32aおよび絶縁酸化膜層31b・32bを除去したときに、支持体33と支持体34との間の空間を介して対向する活性層31c・32cでそれぞれ構成されている。
【0066】
板ばね部31の支持層31aにおける支持体33・34との対向領域(支持層31a・31a)は、支持体33・34とそれぞれ連結されている。同様に、板ばね部32の支持層32aにおける支持体33・34との対向領域(支持層32a・32a)は、支持体33・34とそれぞれ連結されている。
【0067】
また、板ばね部31には、該板ばね部31を厚さ方向に貫通する貫通孔31sが設けられている。この貫通孔31sは、本実施形態では、平面視で円形であるが、楕円形であってもよいし、四角形などの他の形状であってもよい。この貫通孔31sの内側には、後述する反射膜15aが位置している。
【0068】
支持体33・34は、板ばね部31・32の間でそれらが対向する方向(Z方向)とは垂直方向に離間して配置される剛体である。なお、支持体33・34が離間して配置される方向、つまり、支持体33・34が空気層を介して並んで配置される方向を、以下ではY方向とも称する。ここで、上記したXYZの各方向は、互いに直交している。また、支持体34は第1の支持体に相当し、支持体33は第2の支持体に相当する。
【0069】
支持体33は、板ばね部31(特に支持層31a)と連結されているとともに、板ばね部32(特に支持層32a)と連結されている。同様に、支持体34は、板ばね部31(特に支持層31a)と連結されているとともに、板ばね部32(特に支持層32a)と連結されている。
【0070】
また、支持体33・34は両方とも、板ばね部31・32よりもZ方向の厚さが厚いガラスで構成されている。本実施形態では、板ばね部31・32(SOI基板)の厚さは、例えば0.2mmであり、支持体33・34の厚さは、例えば数mm〜10mm程度となっている。また、支持体33・34を構成するガラスとしては、例えば酸化ナトリウム(NaO)や酸化カリウム(KO)を含むアルカリガラスを用いている。
【0071】
本実施形態では、支持体33・34がガラスで構成され、板ばね部31の支持層31a・31aおよび板ばね部32の支持層32a・32aがともにシリコンで構成されているため、支持体33・34と板ばね部31・32とは、例えば陽極接合により連結されている。なお、陽極接合とは、シリコンおよびガラスに数百℃の温度下で数百Vの直流電圧を印加し、Si−Oの共有結合を生じさせることによって両者を直接、接合する手法である。
【0072】
また、図6は、支持体33の斜視図である。支持体33における移動方向(Z方向)に垂直な一端面には、移動鏡15として機能する反射膜15aが形成されている。支持体33は、図5に示すように、反射膜15aが板ばね部31の貫通孔31sを介して露出するように、板ばね部31・32と連結されている。したがって、反射膜15aの露出した部分の面積は、貫通孔31sの断面積よりも小さい。
【0073】
保持部37は、駆動機構18を干渉計1に固定する際に固定部材等で保持される部分であり、駆動機構18を上下で挟持して保持できるように、支持体34の上方および下方に位置する板ばね部31・32の外表面(支持体33・34側とは反対側の面)の縁にそれぞれ設けられている。
【0074】
駆動部35は、板ばね部31・32の一方を曲げ変形させることにより、支持体34に対して支持体33および移動鏡15を(Z方向に)平行移動させるものである。本実施形態では、駆動部35は、板ばね部31の表面に設けられている。
【0075】
ここで、駆動部35は、後述する電圧印加部36からの印加電圧に応じて伸縮する圧電素子(PZT素子)35aで構成されている。この圧電素子35aは、図7に示すように、圧電材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)41を電極42・43で挟持した構造となっている。電極42・43に正または負の電圧を印加し、PZT41を水平方向に伸縮させることにより、板ばね部31を曲げ変形させることができ、支持体33とともに移動鏡15を変位させることができる。例えば、電極42・43への電圧印加によってPZT41が水平方向に伸びたときには、板ばね部31が上に凸となるように変形するため、支持体33とともに移動鏡15は下方に変位する。一方、電極42・43への上記とは逆極性の電圧印加によってPZT41が水平方向に縮んだときには、板ばね部31が下に凸となるように変形するため、支持体33とともに移動鏡15は上方に変位する。
【0076】
このように、電極42・43に正または負の電圧を印加し、PZT41を水平方向に伸縮させることにより、板ばね部31を曲げ変形させることができ、これによって支持体34に対して支持体33および移動鏡15を変位させることができる。
【0077】
図4で示した電圧印加部36は、圧電素子35aに電圧を印加するものである。このような圧電素子35aへの電圧の印加は、以下の構成によって実現できる。板ばね部31において圧電素子35aが設けられている面と同一面に、引き出し電極53と、固定電極54とを形成しておく。圧電素子35aの形成前に、引き出し電極53としての金属膜を板ばね部31上に蒸着しておき、この金属膜に圧電素子35aの下面の電極43を接触させることにより、下面の電極43を引き出すことができる。この引き出し電極53は、電圧印加部36とワイヤーボンディングされる。
【0078】
また、固定電極54は、圧電素子35aの上面の電極42とワイヤーボンディングされ、電圧印加部36ともワイヤーボンディングされる。この構成により、電圧印加部36は、引き出し電極53および固定電極54を介して圧電素子35aに電圧を印加することが可能となる。なお、引き出し電極53および固定電極54は、板ばね部31の表面において、支持体34の上方でワイヤーボンディングがしやすい位置であれば、どこに形成されてもよい。
【0079】
以上のように、本実施形態の駆動機構18では、支持体33・34のZ方向の厚さは、板ばね部31・32よりも厚く、それらの支持部33・34を挟むことによって板ばね部31・32の間隔が広げられるので、駆動部35による駆動時に、支持体33および反射膜15a(移動鏡15)の移動量を大きく確保することができる。加えて、平行に配置される板ばね部31・32の変形によって支持体33が移動するので、支持体33および反射膜15aを傾かせることなく平行移動させることが容易となり、これらの並進性を確保することができる。
【0080】
このとき、例えば、電圧印加部36が、板ばね部31・32および支持体33が一体となって共振する際の共振周波数と同じ周波数で圧電素子35aに電圧を印加すれば、支持体33および移動鏡15が傾いて移動するのを確実に抑えることができ、また、他の周波数で圧電素子35aに電圧を印加して支持体33および移動鏡15を変位させる場合に比べて、これらの変位量を確実に増大させることができる。なお、このような駆動機構18の構成によっても移動量の増大等によって2光路間で光の傾きが生じた場合には、上述した傾き補正部100によって上記傾きが補正されることになる。
【0081】
また、支持体33は、その一端面に形成した反射膜15aが露出するように、板ばね部31・32と連結されている。より具体的には、支持体33は、板ばね部31に形成した貫通孔31sを介して反射膜15aが露出するように、板ばね部31・32と連結されている。これにより、反射膜15aに光を入射させる構成および反射膜15aでの反射光を外部に取り出す構成を実現することができるとともに、反射膜15aで反射される光の光路長を、支持体33の移動に伴って変化させることができる。したがって、本実施形態のように、駆動機構18を干渉計1や分光器に適用することができる。
【0082】
また、反射膜15aが設けられている支持体33の移動方向の厚さは、板ばね部31・32よりも厚いので、例えば薄い板ばね部31に反射膜15aを設ける構成に比べて、反射膜15aの面精度を向上させることができる。つまり、反射膜15aが形成される面(下地層の表面)の面精度がほとんど反射膜15aの面精度となるが、厚さの薄い部材よりも厚さの厚い部材のほうが、表面の研磨の際にかかる応力によって撓み等が生じにくく、表面に凹凸が生じにくい。したがって、このような厚さの厚い部材の端面に反射膜15aを形成することにより、その反射膜15aの面精度を向上させることができる。その結果、反射膜15aで反射される光の光束径内で位相差が付き、反射光の波面が乱れるのを抑制することができる。
【0083】
ここで、上記の面精度とは、面の凹部と凸部との高低差を意味し、その高低差が小さいほど面精度がよくなる。本実施形態では、上記構成により、使用波長λとして660nmあたりの光を用いた場合でも、λ/20〜λ/40の面精度を容易に実現することができる。
【0084】
また、本実施形態では、支持体33の移動方向の一端面に反射膜15aを直接形成している。すなわち、支持体33に基板等を介さずに反射膜15aを形成している。これにより、基板を介して反射膜(移動鏡)を支持体の側面に固定する従来のように、基板が支持体33から突出することがない。しかも、上記基板を用いる必要もないので、少ない部品点数で駆動機構18を構成することができる。これにより、駆動機構18を小型化することができる。
【0085】
このように、本実施形態の駆動機構18の構成によれば、小型でありながら、支持体33および反射膜15aの大きな移動量および並進性を確保できるとともに、反射膜15aの面精度を向上させて反射光の波面が乱れるのを抑制することができる。したがって、干渉計1においては、第1の光学系10の第1の光検出器17(図1参照)で検出される、移動鏡15での反射光と固定鏡14での反射光との干渉光(インターフェログラム)のコントラストが低下するのを回避することができる。そして、上記インターフェログラムをフーリエ変換して得られるスペクトルに基づく分光分析を精度よく行うことができ、分光器の分解能を向上させることができる。
【0086】
また、駆動機構18において、支持部33は、ガラスで構成されているので、接着剤を用いずに支持部33と板ばね部31・32とを連結することが可能となる。特に、本実施形態のように、板ばね部31・32がSOI基板でそれぞれ構成されていれば、支持部33と板ばね部31・32とを接着剤を用いない陽極接合によって連結することができる。したがって、接着剤を用いて連結する場合のような製造誤差(製造時の接着剤の収縮の影響)を排除することができる。
【0087】
また、駆動部35は、小型で薄型の圧電素子35aで構成されており、この圧電素子35aが板ばね部31の表面に設置されて駆動機構18が構成されるので、駆動部35の設置空間として広い空間を確保する必要もなく、小型の駆動機構18を実現することができる。
【0088】
なお、以上では、反射膜15aを支持体33の板ばね部31側の端面に設ける構成について説明したが、反射膜15aは、支持体33の板ばね部32側の端面に設けられてもよい。この場合は、板ばね部32に貫通孔を設け、支持体33の板ばね部32側の端面に設けた反射膜15aが上記貫通孔を介して露出するようにすればよい。
【0089】
(2−2.駆動機構の製造方法について)
次に、駆動機構18の製造方法について説明する。
【0090】
図8は、図4の駆動機構18の製造時の大まかな流れを示すフローチャートである。また、図9(a)〜図9(d)は、上記駆動機構18の製造工程を示す断面図である。まず、図9(a)に示すように、2つの板ばね部31・32を作製する(S1)。なお、板ばね部31・32の作製方法の詳細については後述する。このとき、第1の板ばね部31には、貫通孔31sをパターニング形成しておく。
【0091】
続いて、図9(b)に示すように、支持体33の移動方向に垂直な一端面に、移動鏡15としての反射膜15aを形成する(S2)。なお、移動鏡15の形成は、例えば支持体33の上記端面に対してAuをスパッタすることによって行われてもよいし、AlやPtなどの金属材料を蒸着法や接着によって支持体33の上記端面上に形成することによって行われてもよい。
【0092】
そして、支持体33・34を互いに離間して配置するとともに、各平板部31p・32pが支持体33と支持体34との間の空間を介して対向するように、支持体33・34を介して板ばね部31・32を配置する(S3)。このとき、貫通孔31sと反射膜15aとの位置合わせも行っておく。
【0093】
次に、図9(c)に示すように、板ばね部31の所定の位置に駆動部35を形成する(S4)。なお、駆動部35の形成は、例えば接着剤を用いて上記した圧電素子35aを板ばね部31に接着することによって行われる。また、このとき、引き出し電極53および固定電極54(図4参照)を金属材料のスパッタ等によって同時に板ばね部31に形成しておく。なお、上記したS2〜S4の各工程の順序は、適宜変更してもよい。
【0094】
その後、図9(d)に示すように、支持体33・34と板ばね部31・32とを連結する(S5)。ただし、このときの連結は、高温高電界下での陽極接合により行われる。そして、圧電素子35aの上面の電極42と固定電極54、固定電極54と電圧印加部36、引き出し電極53と電圧印加部36とをワイヤーボンディングによって結線する(S6)。これにより、駆動機構18が完成する。
【0095】
以上では、1個の駆動機構18を製造する場合について説明したが、複数(例えば4つ)の駆動機構18を同時に製造することも可能である。その場合は、以下のようにすればよい。
【0096】
図10は、4枚の板ばね部31(または4枚の板ばね部32)をシート状に綴った基板51の斜視図であって、後述する支持ブロック52との対向側から見た斜視図である。4つの駆動機構18を同時に製造する場合は、このような基板51を2枚用意する(S1に対応)。このとき、一方の基板51には、4つの駆動機構18のそれぞれに対応して貫通孔31sを形成しておく。
【0097】
そして、図11に示すアルカリガラス製の支持ブロック52における所定位置に、移動鏡15としての反射膜15aを形成し(S2に対応)、2つの基板51・51を支持ブロック52を介して対向配置する(S3に対応)。上記の支持ブロック52は、1個の駆動機構18を構成する支持体33と支持体34との間に空間を設けた状態で、支持体33・34を4つずつ設けるとともに、これらを一続きに形成したものである。
【0098】
続いて、図12に示すように、基板51の所定部位に駆動部35を形成する(S4に対応)。このとき、隣り合う駆動部35の圧電素子35aの下面の電極42に共通して引き出し電極53を形成するとともに、個々の圧電素子35aに対応して固定電極54を形成する。そして、3本の位置決めピン55によって位置決めを行いながら、各基板51・51と支持ブロック52とを陽極接合によって接合する(S5に対応)。その後、接合体(各基板51・51、支持ブロック52)を太線D・Dに沿ってダイサーカットし、支持片56から移動鏡15を切り離す。
【0099】
さらに、図13に示すように、上記接合体を太線D・Dに沿ってダイサーカットし、4台の駆動機構18に分割する。最後に、不要な部分をさらにダイサーカットした後、個々の圧電素子35aの上面の電極42と固定電極54、固定電極54と電圧印加部36、引き出し電極53と電圧印加部36とをワイヤーボンディングによって結線する(S6に対応)。これにより、4つの駆動機構18が完成する。
【0100】
(2−3.板ばね部の作製方法について)
次に、上述した板ばね部31・32の作製方法の詳細について説明する。なお、ここでは、説明の理解をしやすくするために、図10の基板51を用いて行う板ばね部31の作製方法の詳細について説明する。なお、板ばね部32の作製方法については、貫通孔31sを形成する工程を除いて同様の手法を採用できる。
【0101】
図14(a)〜図14(f)は、板ばね部31の作製工程を、図10のA−A’線矢視断面で見た場合の断面図である。なお、説明の便宜上、図10のA−A’線上において基板51を上下に貫通し、板ばね部31の周囲の空間に対応する部分を貫通部71・72とする。また、基板51において板ばね部31の平板部31pに対応する部分を領域73とする。
【0102】
まず、図14(a)に示すように、図示しないフォトリソ工程によって、SOI基板61上にマスクとなる熱酸化膜62・63を順にパターン形成する。なお、SOI基板61は、シリコンからなる支持層31aと、酸化シリコンからなる絶縁酸化膜層31bと、シリコンからなる活性層31cとを積層して構成されているものとする。上記の熱酸化膜62・63は、SOI基板61における支持層31a側に形成されている。
【0103】
続いて、図14(b)に示すように、ドライエッチングにより、熱酸化膜62をマスクとして、SOI基板61における貫通部71・72に位置する支持層31aの除去を開始するとともに、熱酸化膜63をマスクとして、領域73に位置する熱酸化膜62の除去を開始する。そして、領域73の熱酸化膜62を完全に除去した後は、図14(c)に示すように、残った熱酸化膜62をマスクとして、ドライエッチングにより、貫通部71・72に位置する支持層31aおよび領域73に位置する支持層31aを同時に除去する。このような支持層31aの段階的な除去により、貫通部71・72に位置する支持層31aを完全に除去したときには、領域73の支持層31aが若干残る。
【0104】
次に、図14(d)に示すように、ドライエッチングにより、支持層31aをマスクとして、貫通部71・72に位置する絶縁酸化膜層31bを除去する。その後、図14(e)に示すように、ドライエッチングにより、熱酸化膜62をマスクとして、貫通部71・72に位置する活性層31cおよび領域73に位置する支持層31aを同時に除去する。最後に、図14(f)に示すように、ドライエッチングにより、支持層31aをマスクとして、領域73の絶縁酸化膜層31bを除去する。残った熱酸化膜62を除去することにより、図10の基板51における板ばね部31が完成する。
【0105】
以上のように、駆動機構18の2つの板ばね部31・32を、SOI基板61を用いて形成することにより、上述したように、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術、すなわち、フォトリソグラフィーおよびエッチング等の半導体製造技術と、陽極接合などの接合技術とを複合した技術を用いて、駆動機構18を製造することができる。また、MEMS技術を用いることにより、リソグラフィーのマスク精度さえ高精度に確保しておけば、1個の駆動機構18においては2つの平板部31p・32pの長さがばらつくのを回避することができる。その結果、駆動機構18の組立時や平行移動時の可動部(支持体33および移動鏡15)の傾きを抑えることができ、かなりの精度(±0.3分程度)で可動部を平行移動させることができる。また、個体差をなくす、すなわち、複数の駆動機構18の個体ごとに平板部31p・32pの長さがばらつくことも回避できるので、複数の駆動機構18を安定して作製することができる。
【0106】
(2−4.駆動機構の他の構成について)
図15は、駆動機構18の他の構成を示す断面図である。同図に示すように、駆動機構18の板ばね部31の平板部31pは、絶縁酸化膜層31bと活性層31cとの2層で構成されていてもよく、板ばね部32の平板部32pは、絶縁酸化膜層32bと活性層32cとの2層で構成されていてもよい。
【0107】
また、図16は、駆動機構18のさらに他の構成を示す断面図である。同図に示すように、駆動機構18の板ばね部31・32は、支持体33・34よりも薄い平板状のシリコン基板81・81でそれぞれ構成されていてもよい。この構成では、平板状のシリコン基板81・81で支持体33・34を挟むという簡単な構成で駆動機構18を容易に実現することができる。また、板ばね部31・32(シリコン基板81・81)と、ガラスからなる支持体33・34との連結に、陽極接合を用いることができる。
【0108】
また、板ばね部31・32としてシリコン基板81・81を用いる場合は、一方のシリコン基板81に、上述した貫通孔31sとしての貫通孔81sを形成し、支持体33に設けられた反射膜15aを貫通孔81sを介して露出させることにより、駆動機構18を構成することができる。この場合でも、反射膜15aがシリコン基板81よりも厚い支持体33の端面に設けられていることにより、反射膜15aがシリコン基板81に設けられる構成に比べて、反射膜15aの面精度を向上させることができる。
【0109】
また、図17は、駆動機構18のさらに他の構成を示す断面図である。同図に示すように、駆動機構18の板ばね部31・32は、支持体33・34よりも薄い平板状のガラス基板91・91でそれぞれ構成されていてもよい。この場合、例えば厚さ100μm以下のガラス(例えばアルカリガラス)に対してレーザー加工またはダイシング加工を施すことにより、ガラス基板91・91を得ることができる。
【0110】
この構成では、板ばね部31・32(ガラス基板91・91)と、ガラスからなる支持体33・34との連結に、オプティカルコンタクトまたは拡散接合を用いることができる。なお、オプティカルコンタクトとは、平滑な面同士を密着させ、分子の引力によって2部材を連結する方法である。また、拡散接合とは、母材を溶融させることなく加熱、加圧保持し、接合面を横切って接合界面の原子を拡散させて接合部を得る方法である。このように接着剤なしで連結する方法を用いることができるので、接着剤を用いたときのような製造誤差(製造時の接着剤の収縮の影響)を排除することができる。
【0111】
また、平板状のガラス基板91・91で支持体33・34を挟むという簡単な構成で駆動機構18を容易に実現することができる。さらに、支持体33・34および板ばね部31・32の構成材料がともにガラスとなるので、温度変化による駆動機構18の変形を確実に防止することができ、温度変化に起因して可動部(支持体33および移動鏡15)が傾くのを確実に防止することができる。
【0112】
また、板ばね部31・32としてガラス基板91・91を用いる場合は、一方のガラス基板91に、上述した貫通孔31sとしての貫通孔91sを形成し、支持体33に設けられた反射膜15aを貫通孔91sを介して露出させることにより、駆動機構18を構成することができる。この場合でも、反射膜15aがガラス基板91よりも厚い支持体33の端面に設けられていることにより、反射膜15aがガラス基板91に設けられる構成に比べて、反射膜15aの面精度を向上させることができる。つまり、板ばね部31と支持体33とが同じガラスで構成されている場合でも、より厚さのある支持体33に反射膜15aを設けることによって、反射膜15aの面精度を向上させることができる。
【0113】
なお、板ばね部31・32は、上記のシリコン基板81やガラス基板91の代わりに、金属(鉄、アルミニウム、合金など)からなる平板で構成されていてもよい。また、支持体33・34は、ガラスではなく、シリコンで構成されていてもよい。このとき、板ばね部31・32と支持体33・34との連結部が、シリコンとガラスとの連結となる場合には、接合方法として陽極接合を用いることができ、上記連結部がシリコンとシリコンとの連結となる場合には、接合方法としてオプティカルコンタクトまたは拡散接合を用いることができる。これらの構成であっても、板ばね部31・32よりも支持体33・34の厚さを厚くするとともに、板ばね部31に貫通孔31sを設けて、支持体33に設けられる反射膜15aを貫通孔31sを介して露出させることにより、反射膜15aの面精度を向上させることができる。
【0114】
また、図18は、駆動機構18のさらに他の構成を示す斜視図である。同図に示すように、支持体33は、支持体33に設けられた反射膜15aが板ばね部31の外側で露出するように、板ばね部31・32によって挟持されていてもよい。つまり、板ばね部31・32が支持体33における移動方向に垂直な端面の一部(支持体34側)を挟持し、支持体33の板ばね部31側の端面の残りの領域(板ばね部31が存在しない領域)に反射膜15aを形成して駆動機構18を構成してもよい。なお、図18では、例として、板ばね部31・32を平板状のシリコン基板81・81で構成している。
【0115】
このような構成であっても、反射膜15aに光を入射させる構成、および反射膜15aからの反射光を外部に取り出す構成を実現することができ、駆動機構18を干渉計1や分光器に適用することが容易となる。
【0116】
また、図4等で示した構成、すなわち、板ばね部31に貫通孔31sを設けて、反射膜15aが貫通孔31sを介して露出する構成では、反射膜15aに対する入射光および反射光が貫通孔31sのエッジにあたって迷光となり、ノイズが発生するのを回避するために、反射膜15aに入射させる光の光束径をある程度絞る必要がある。これに対して、図18の構成では、反射膜15aに対する入射光および反射光の光路中に上記の貫通孔が存在しないため、貫通孔に起因するノイズの発生を心配する必要がなくなる。しかも、反射膜15aを貫通孔よりも小さいサイズで形成する必要もなくなり、支持体33の移動方向に垂直な端面において、板ばね部31の幅方向(X方向)全体に反射膜15aを形成するなどして、反射膜15aの形成範囲を広げることができる。これにより、反射膜15aに入射させる光束の大径化を容易に実現することができる。
【0117】
なお、反射膜15aが、支持体33の板ばね部32側の端面に設けられる場合には、反射膜15aが板ばね部32の外側で露出するように、支持体33が板ばね部31・32によって挟持されればよい。
【0118】
また、図19は、駆動機構18のさらに他の構成を示す断面図である。駆動機構18の駆動部35は、電磁式駆動源で構成されてもよい。この駆動部35は、コイル35bと、磁石35cとで構成されている。コイル35bは、1本の銅線を数周巻回させたものであり、その一端および他端が電圧印加部36と接続されている。また、コイル35bは、支持体33の側面と磁石35cを介して対向するように配置(固定)されている。磁石35cは、支持体33の側面に設けられており、支持体33側がN極でコイル35b側がS極となっている。したがって、コイル35bと磁石35cとの間では、コイル35bから磁石35cに向かう方向が、磁界Bの方向となる。
【0119】
上記の構成において、電圧印加部36からコイル35bに対して、例えば図19の紙面に垂直な方向であって、手前から奥に向かって電流を流すと、フレミングの左手の法則により、そのような電流の向きと、磁界Bの方向との関係により、コイル35bには図中下向きの力Fが働く。逆に、図19の紙面奥側から手前に向かってコイル35bに電流を流すと、コイル35bには図中上向きの力Fが働く。実際には、コイル35bは、固定されているため、コイル35bに流す電流の向きを交番させると、磁石35c側の支持体33が上下に移動する。したがって、このように駆動部35を電磁式駆動源で構成しても、平行板ばね方式の駆動機構18を実現することができる。
【0120】
(3.その他)
各図面に示した構成を適宜組み合わせて駆動機構18、干渉計1および分光器を構成することも勿論可能である。
【0121】
なお、本実施形態では、干渉計1が測定用光源11を内蔵し、測定用光源11から出射される測定光を用いて第1の干渉光を得る構成について説明したが、本発明の干渉計1は、必ずしも測定用光源11を内蔵していなくてもよい。つまり、第1の干渉光を得るための測定光は、干渉計が内蔵している光源から出射される光であってもよいし、干渉計の外部から入射してくる光であってもよい。
【0122】
したがって、例えば、(1)干渉計の外部で試料に光を当てて、試料を介して得られる光を干渉計に入射させて分光分析を行う場合、(2)干渉計の外部から導入した光を用いて干渉計にて干渉光を生成し、その干渉光を試料に当てて分光分析を行う場合、(3)干渉計の外部から入射する光そのものを分析の対象とする場合、のいずれについても、本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、マイケルソン型の干渉計、およびそれを用いて分光分析を行うフーリエ変換分光分析装置のような分光器に利用可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 干渉計
2 演算部
10 第1の光学系(測定光学系)
11 測定用光源
13 BS(ビームスプリッタ)
14 固定鏡
15 移動鏡
15a 反射膜
17 第1の光検出器
18 駆動機構(平行移動機構)
31 板ばね部(第1の板ばね部)
31s 貫通孔
32 板ばね部(第2の板ばね部)
33 支持体(第2の支持体)
34 支持体(第1の支持体)
35 駆動部
35a 圧電素子(駆動部)
35b コイル(駆動部)
35c 磁石(駆動部)
61 SOI基板
81 シリコン基板
81s 貫通孔
91 ガラス基板
91s 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置される第1および第2の板ばね部と、
前記第1および第2の板ばね部の間で互いに離間して配置され、それぞれが前記第1および第2の板ばね部と連結される第1および第2の支持体と、
前記第1および第2の板ばね部の前記対向方向に、前記第1の支持体に対して前記第2の支持体を平行移動させる駆動部とを備えた平行移動機構であって、
前記第2の支持体の前記移動方向において、前記第1および第2の支持体の厚さは、前記第1および第2の板ばね部よりも厚く、
前記第2の支持体における前記移動方向に垂直な一端面に、反射膜が形成されており、
前記第2の支持体は、前記反射膜が露出するように前記第1および第2の板ばね部と連結されていることを特徴とする平行移動機構。
【請求項2】
前記第1の板ばね部は、貫通孔を有しており、
前記反射膜は、前記貫通孔を介して露出していることを特徴とする請求項1に記載の平行移動機構。
【請求項3】
前記第2の支持体は、前記反射膜が前記第1または第2の板ばね部の外側で露出するように、前記第1および第2の板ばね部によって挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の平行移動機構。
【請求項4】
前記第2の支持体は、ガラスで構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の平行移動機構。
【請求項5】
前記第1および第2の板ばね部は、シリコンからなる支持層と、絶縁酸化膜層と、シリコンからなる活性層とを積層したSOI基板でそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項4に記載の平行移動機構。
【請求項6】
前記第1および第2の板ばね部は、平板状のシリコン基板でそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項4に記載の平行移動機構。
【請求項7】
前記第1および第2の板ばね部は、平板状のガラス基板でそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項4に記載の平行移動機構。
【請求項8】
前記駆動部は、前記第1および第2の板ばね部の一方を曲げ変形させることにより、前記第1の支持体に対して前記第2の支持体を平行移動させる圧電素子で構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の平行移動機構。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の平行移動機構と、
測定用光源からの測定光をビームスプリッタで分離して移動鏡および固定鏡に導き、前記移動鏡および前記固定鏡にて反射された各光を前記ビームスプリッタで合成し、干渉光として光検出器に導く測定光学系とを備え、
前記移動鏡は、前記平行移動機構の前記第2の支持体の端面に形成される反射膜で構成されていることを特徴とする干渉計。
【請求項10】
請求項9に記載の干渉計と、
前記干渉計の前記光検出器で得られるインターフェログラムをフーリエ変換する演算部とを備えていることを特徴とする分光器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−42257(P2012−42257A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182015(P2010−182015)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】