説明

弁装置

【課題】低温環境下においても円滑に弁体を変位させることができる弁装置を提供する。
【解決手段】流体が導入される一次室110aが設けられた一次室ボディ110と、流体が導出される二次室120aが設けられた二次室ボディ120と、一次室110aと二次室120aとの間を連通または遮断し、駆動機構により駆動される弁体130と、を有し、一次室110aに流体を導入する導入路111と、導入路111に設けたオリフィス113と、を備えた弁装置であって、導入路111は、一次室110aを形成する一次室ボディ110の底壁112に接続されており、底壁112よりも下側にオリフィス113が位置していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、水素(燃料ガス、反応ガス)がアノードに、酸素を含む空気(酸化剤ガス、反応ガス)がカソードに、それぞれ供給されることで発電する固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)等の燃料電池の開発が盛んである。このような燃料電池を用いたシステムでは、水素や酸素を含む空気等の流体の流れを許容または遮断制御するための弁装置が用いられている。
【0003】
ところで、前記したような燃料電池が発電すると、そのカソードで水蒸気(水)を生成し、生成した水の一部は、電解質膜(固体高分子膜)を介して、アノード側に透過する。また、電解質膜の湿潤状態を維持するため、燃料電池に向かう水素、空気は、中空糸膜を備える加湿器等によって加湿される。したがって、燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガス、カソードから排出されるカソードオフガスは多湿となる。
しかし、アノード側に水が溜まると燃料ガスの供給が阻害され、発電が不安定になる場合がある。また、カソードに供給された空気中の窒素は微量ながら電解質膜をアノード側に透過して燃料ガスに混入するので、燃料ガスのリサイクル利用により窒素の濃度が上昇すると発電が不安定になる場合がある。
【0004】
そこで、燃料ガス循環流路にパージ弁を設け、アノードに溜まった水や、燃料ガスに混入した窒素を排出して、発電状態を回復することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、パージ弁の導入路にオリフィスを設けて、導入路を絞るようにしたパージ弁も考えられている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−162878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記したパージ弁のような弁装置では、流体が導入される一次室、つまり、弁体の周辺に水分が残留することがあった。特に、導入路に前記したようなオリフィスを設けた場合には、オリフィスによって導入路が絞られることにより導入路に段差が形成され、その段差を境に一次室側に水分が残留することがあった。このような水分の残留現象を生じると、低温環境下(例えば0℃未満)に燃料電池システムを停止させたときに、弁体が凍結して固着状態となる等、パージ弁の作動に支障を来たすおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、低温環境下においても円滑に弁体を変位させることができる弁装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の弁装置は、流体が導入される一次室が設けられた一次室ボディと、流体が導出される二次室が設けられた二次室ボディと、前記一次室と前記二次室との間を連通または遮断し、駆動機構により駆動される弁体と、を有し、前記一次室に流体を導入する導入路と、前記導入路に設けたオリフィスと、を備えた弁装置であって、前記導入路は、前記一次室を形成する前記一次室ボディの底壁に接続されており、前記底壁よりも下側に前記オリフィスが位置していることを特徴とする。
【0010】
この弁装置によれば、導入路は、一次室を形成する一次室ボディの底壁に接続されているので、一次室内に流入してきた流体に、仮に、水蒸気や結露水等の水分が含まれていて、これが一次室内で凝結して水滴となっても、一次室内に残留し難いという利点が得られる。つまり、閉弁後には、一次室内に残留する水滴が一次室ボディの底壁から導入路に戻されるようになり、一次室内に水分が残留し難くなる。
しかも、オリフィスは、底壁よりも下側に位置しているので、オリフィスを配置することにより形成される段差が一次室ボディの底壁に形成されることがなくなる。したがって、一次室内に残留する水滴等の水分は、一次室ボディの底壁から導入路にスムーズに戻されるようになる。これによって、一次室に水分が残留し難くなる。
【0011】
したがって、このような弁装置を、例えば、燃料電池システムにおける、パージ弁として用いることによって、次のような利点が得られる。
すなわち、水蒸気や結露水等の水分が含まれるアノードオフガスを排出した後に、一次室に水滴等の形態で水分が残ったとしても、残った水分は、一次室ボディの底壁から導入路に戻されるようになる。これにより、一次室に水分が残留し難くなり、低温環境下(例えば0℃未満)に曝されて燃料電池内が凍結する状況においても、弁体が凍結固着し難くなり、弁体を円滑に変位させることができる。これによって、信頼性の高い燃料電池システムの作動に寄与する弁装置が得られる。
【0012】
また、前記導入路は、上り傾斜状とされており、その上端が前記底壁に接続されている構成とするのがよい。このような弁装置によれば、一次室から導入路内に流れ込んだ水分が、導入路内で滞留し難くなり、低温環境下(例えば0℃未満)に曝される状況においても、導入路内が凍結するのを阻止することができる。
【0013】
また、前記弁体は、前記一次室内に配置され、前記一次室を形成する前記一次室ボディの上壁に向けて変位することで開弁するように構成されており、前記弁体の頂部を形成する面は、前記上壁に向かって徐々に縮径するテーパ状を成す構成とするのがよい。
【0014】
このような弁装置によれば、弁体の上部に、水滴等となって水分が付着した場合でも、該水分が弁体の上部に滞留し難くなり、重力の作用によって、一次室を形成する一次室ボディの底壁へと流れ落ちる。したがって、閉弁後には、一次室内に存在する水分が一次室ボディの底壁から導入路に好適に戻されるようになり、一次室に水分がより一層残留し難くなる。また、このような弁装置を燃料電池システムに用いた場合には、長期間に亘って安定した作動を実現することができ、耐久性、信頼性に優れた燃料電池システムの実現に寄与する。
【0015】
前記弁体が着座する弁座は、前記底壁から前記上壁へ向けて突出している構成とするのがよい。
【0016】
このような弁装置によれば、仮に、流体に同伴する水分が一次室内で凝結し水滴となって底壁に溜まっても、溜まった水分が弁体と弁座との間に付着することを抑制できる。これによって、弁体が弁座に凍結固着するのを好適に防止することができ、弁体の変位を好適に維持することができる。
また、このような弁装置を燃料電池システムに用いた場合には、長期間に亘って安定した作動を実現することができ、耐久性、信頼性に優れた燃料電池システムの実現に寄与する。
【0017】
前記弁座は、前記弁座周りの前記底壁を形成しており、その前記底壁を形成している部分は、前記導入路に近い側よりも前記導入路から離れる側が、前記上壁へ向けて高く形成されている構成とするのがよい。
【0018】
このような弁装置によれば、仮に、流体に同伴する水分が一次室内で凝結して水滴となって弁座周りの底壁に溜まっても、重力の作用によって、導入路より離れる側から導入路に近い側へ向けて好適に流れ、その後、導入路に戻される。したがって、一次室内に水分が残留し難いという利点が得られる。
また、このような弁装置を燃料電池システムに用いた場合には、長期間に亘って安定した作動を実現することができ、耐久性、信頼性に優れた燃料電池システムの実現に寄与する。
【0019】
また、前記駆動機構は、鉛直方向に駆動する構成とするのがよい。
このような構成とすることによって、駆動方向が鉛直方向となって傾斜方向や水平方向に駆動する場合と比べて、摺動時の片減り等が生じ難くなり、耐久性が向上するとともに、長期間にわたって安定した動作を実現することのできる弁装置が得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、低温環境下においても円滑に弁体を変位させることができる弁装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を適宜図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、燃料電池システムに適用される弁装置について説明するが、弁装置が適用される装置等を限定する趣旨ではない。なお、以下では、弁装置を、燃料電池システムのアノード系のパージ弁に用いた場合を例として説明する。
【0022】
はじめに、本実施形態の弁装置が適用される燃料電池システムの構成について説明し、後記する説明の中で弁装置について説明する。
≪燃料電池システムの構成≫
図1に示す本実施形態に係る燃料電池システム1は、図示しない燃料電池自動車(移動体)に搭載されている。燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス、反応ガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス、反応ガス)を給排するカソード系と、掃気時にカソード系からアノード系に掃気ガスを導く掃気ガス系と、を備えている。
<燃料電池スタック>
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400枚)の固体高分子型の単セルが積層されることで構成されたスタックであり、複数の単セルは電気的に直列で接続されている。単セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、これを挟み2枚の導電性を有するアノードセパレータおよびカソードセパレータと、を備えている。
【0023】
MEAは、1価の陽イオン交換膜(例えばパーフルオロスルホン酸型)からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノードおよびカソードとを備えている。アノードおよびカソードは、カーボンペーパ等の導電性を有する多孔質体から主に構成されると共に、アノードおよびカソードにおける電極反応を生じさせるための触媒(Pt、Ru等)を含んでいる。
【0024】
アノードセパレータには、各MEAのアノードに対して水素を給排するため単セルの積層方向に延びる貫通孔(内部マニホールドと称される)や、単セルの面方向に延びる溝が形成されており、これら貫通孔および溝がアノード流路11(燃料ガス流路)として機能している。
カソードセパレータには、各MEAのカソードに対して空気を給排するため単セルの積層方向に延びる貫通孔(内部マニホールドと称される)や、単セルの面方向に延びる溝が形成されており、これら貫通孔および溝がカソード流路12(酸化剤ガス流路)として機能している。
【0025】
このようなアノード流路11を介して各アノードに水素が供給されると、後記式(1)の電極反応が起こり、また、カソード流路12を介して各カソードに空気が供給されると、後記式(2)の電極反応が起こり、各単セルで電位差(OCV(Open Circuit Voltage)、開回路電圧)が発生するようになっている。そして、燃料電池スタック10と走行モータ等の外部回路とが電気的に接続されて電流が取り出されると、燃料電池スタック10が発電するようになっている。
2H→4H+4e …(1)
+4H+4e→2HO …(2)
【0026】
このようにして燃料電池スタック10が発電すると、カソードで生成した水(水蒸気)の一部は、電解質膜を透過し、アノードに移動する。したがって、カソードから排出されるカソードオフガス、およびアノードから排出されるアノードオフガスは、いずれも多湿となる。
【0027】
<アノード系>
アノード系は、燃料電池スタック10よりも上流側に備えられる、水素タンク21(燃料ガス供給手段)、常閉型の遮断弁22、エゼクタ23、および燃料電池スタック10よりも下流側に備えられる、気液分離器24、常閉型のパージ弁100、常閉型の掃気ガス排出弁27、を備えている。以下では、この燃料電池スタック10よりも下流側に備えられるパージ弁100に対して、本実施形態の弁装置を用いた例を説明する。なお、パージ弁100の詳細は後記する。
【0028】
水素タンク21は、配管21a、遮断弁22、配管22a、エゼクタ23、および配管23aを介して、アノード流路11の入口側に接続されている。配管22aには、水素を所定圧力に減圧する減圧弁(不図示)が設けられており、この減圧弁には、カソード流路12に向かう空気の圧力が信号圧(パイロット圧)として入力されており、減圧弁は、前記空気の圧力とアノード流路11における水素の圧力とが対応して変動するように制御するようになっている。
そして、燃料電池自動車のイグニッションがオンされ、燃料電池スタック10の起動が要求されて図示しないECU(Electronic Control Unit、電子制御装置)により遮断弁22が開かれると、水素タンク21の水素が配管21a等を介してアノード流路11に供給されるようになっている。
【0029】
アノード流路11の出口は、配管24a、気液分離器24、配管24bを介して、エゼクタ23の吸込口に接続されている。そして、アノード流路11(アノード)から排出された未反応の水素を含むアノードオフガスは、気液分離器24において、これに同伴する液状の水分が分離された後、燃料電池スタック10の上流側のエゼクタ23に戻されるようになっている。
そして、エゼクタ23に戻されたアノードオフガスは、水素タンク21からの水素と混合された後、アノード流路11に再供給されるようになっている。つまり、本実施形態では、配管24aおよび配管24bによって、水素を循環させて再利用する水素循環ラインが構成されている。
なお、配管24bの気液分離器24側に近い部分は、鉛直方向で配置されており、水素に同伴する水分が含まれているときに、これが自重により気液分離器24に戻されるようになっている。
【0030】
一方、気液分離器24で分離された水分は、一時的に気液分離器24内に貯溜された後、配管25a、ECUにより適宜に開かれる常閉型のドレン弁25、配管25bを通じて、後記する希釈器33の上部側に排出されるようになっている。
【0031】
[パージ弁]
パージ弁100は、常閉型の電磁弁であり、燃料電池スタック10の発電時において、配管24aおよび配管24bを循環するアノードオフガス(水素)に含まれる不純物(水蒸気、窒素等)を排出(パージ)する場合に、ECUによって開かれる弁である。パージ弁100の上流側は、配管26aを介して配管24bに接続され、下流側は、配管26bを介して、後記する希釈器33の上部側に接続されている。本実施形態では、パージ弁100の後記する導入路111に接続される配管26aが、導入路111に向けて上り傾斜状に設けられている。なお、後記する導出路121に接続される配管26bも希釈器33に向けて下り傾斜状となるように設けてもよい。
ここで、ECUは、例えば、燃料電池スタック10を構成する単セルの電圧(セル電圧)が所定セル電圧以下となった場合、不純物を排出する必要があると判定し、パージ弁100を開くように設定されている。セル電圧は、例えば、単セルの電圧を検出する電圧センサ(セル電圧モニタ)を介して検出され、ECUに入力される。
【0032】
パージ弁100は、図2に示すように、アノードオフガスが導入される一次室110aが設けられ一次室ボディ110と、この一次室ボディ110の下部に隣接して設けられ、前記アノードオフガスが導出される二次室120aが設けられた二次室ボディ120とを備えており、二次室ボディ120(二次室120a)の下部側に配置された駆動機構としてのソレノイド150によって弁体130が駆動されることで、一次室110aと二次室120aとの連通状態を切り替えるように構成されている。つまり、パージ弁100は、パージ時に開弁して、図1に示すように、燃料電池スタック10のアノード流路11から送られてくるアノードオフガスを後段の希釈器33に排出するための弁として機能するようになっている。本実施形態では、アノードオフガスが導入される側となる一次室110aが上部側に配置され、また、アノードオフガスを導出する側となる二次室120aが下部側に配置され、さらに、弁体130を駆動するためのソレノイド150が、二次室120aの下側に配置される構造となっている。
そして、一次室110aにアノードオフガスを導入する導入路111が、一次室ボディ110の底壁112に接続(開口)されている。導入路111には、オリフィス113が設けられており、このオリフィス113は、底壁112よりも下側に位置するようになっている。
【0033】
以下、各部について詳細に説明する。
一次室ボディ110には、底壁112に、前記したように、アノードオフガスを導入する導入路111が接続されている。この例では、導入路111が、上り傾斜状とされており、その上端が底壁112に接続されて連通可能に開口している。つまり導入路111は、底壁112よりも下側となる低い位置に設けられており、これによって、アノードオフガスに同伴する水分が含まれているときに、この水分が一次室110a内に溜まったとしても、この水分は、導入路111の開口111aを通じて導入路111内に流れ込み、その自重によって上流側の気液分離器24(図1参照)に排出されることとなる。
【0034】
導入路111には、前記したようにオリフィス113が設けられており、このオリフィス113によって、導入路111から一次室110aに向かって流通するアノードオフガスの流量を制限する役割をなす。つまり、オリフィス113は、一次室110aに導入されるアノードオフガスの圧力を減圧する作用をなし、二次室120aに配置される後記のダイヤフラム160に付与される荷重を減圧する。これにより、ダイヤフラム160の許容範囲以上の変形を阻止することができ、ダイヤフラム160の耐久性を向上させることができる。
【0035】
また、アノードオフガスに同伴する水分は、オリフィス113を通過する際に凝結して、オリフィス113の周りに水滴となって付着することとなる。これによって、一次室110aに余分な水分が導入されることが抑制される。
【0036】
一次室110a内には、弁体130が上下方向(弁の開閉方向)に変位可能に配置されており、この弁体130の底面側には、弁座116が設けられている。
弁体130は、一次室110aを形成する一次室ボディ110の上壁114に向けて変位することで開弁するように構成されており、その頂部を形成する面は、上壁114に対して傾斜している。つまり、弁体130の頂部は、平坦面のない尖状とされており、本実施形態では、弁体130が、上壁114側に向かって徐々に縮径する断面山形状のテーパ状部130aを含んで形成されている。
なお、テーパ状部130aの表面に、フッ素コーティングを施してもよい。フッ素コーティングには、水分をはじく撥水効果があるため、弁体130の頂部や上部に水分が滞留し難くなり、排水性を向上させることができる。
【0037】
弁座116は、一次室110aと二次室120aとを仕切る仕切り壁115に一体的に設けられており、仕切り壁115(一次室ボディ110の底部)から上壁114へ向けて突出している。弁座116は、円筒状を呈しており、上端部へ向けてテーパ状に縮径するように形成されている。弁座116の先端部には、弁体130が着座する円環状の弁座部117が設けられている。弁座部117は、弁体130に形成された平らな底面132に密着するように、平らに形成されている。また、弁座部117は、密着性を向上させるために、例えばアール形状に形成されていてもよい。
【0038】
一次室110aの上壁114には、凹部114aが設けられており、この凹部114aには、弁体130を弁座部117へ向けて付勢する戻しばね135の上端が保持される。戻しばね135は、弁体130と凹部114aとの間に縮設されており、後記するように弁体130が閉弁された状態で、弁体130のフランジ部134の底面132が弁座部117に気密性よく着座するように付勢する。このような戻しばね135の付勢によって、一次室110aと二次室120aとの間は、連通不能に遮断される。
なお、凹部114aと弁体130との間には、弁体130が駆動されて上方に変位した際に、所定のクリアランスが形成されるようになっている。
また、一次室110aの左側部は、閉塞部材118で塞がれている。
【0039】
二次室120aは、一次室110aの下部に仕切り壁115を介して連続して設けられており、後記する希釈器33(図1参照、以下同じ)へ通じる配管26b(図1参照、以下同じ)に接続可能な導出路121を有している。つまり、後記するように、弁体130が駆動されて開弁し、弁体130を介して一次室110aから二次室120aにアノードオフガスが流入すると、二次室120aに流入したアノードオフガスは、導出路121から配管26bを通じて希釈器33に送られるようになっている。本実施形態では、導出路121が、前記した導入路111とは反対の側、つまり、希釈器33へ通じる配管26bが接続可能となる側に設けられている。
【0040】
なお、導入路111と配管26aとの接続部位、および導出路121と配管26bとの接続部位には、図示しないシール部材が装着されており、通流するアノードオフガスの気密が保持されている。
また、一次室110aおよび二次室120aの内部にフッ素コーティングを施してもよい。フッ素コーティングには、水分をはじく撥水効果があるため、一次室110aおよび二次室120aの内部に水分が滞留し難くなり、排水性を向上させることができる。
特に、一次室110aにおいては、一次室110a内に残留する水滴等の水分が一次室ボディ110の底壁112から導入路111に戻されるようになり、一次室110a内に水分が残留し難くなる。
【0041】
二次室120aには、ソレノイド150により駆動されて、先端が弁体130の取付穴133に固定されるシャフト140が貫通しており、二次室120aとこのシャフト140との間には、シャフト140に係止されてシャフト140の変位動作に追従して撓む弾性部材(例えば、ゴム等の材料)からなるダイヤフラム160が設けられている。
【0042】
ダイヤフラム160は、シャフト140の周囲を取り囲む円環状の部材であり、シャフト140のフランジ部141に装着される内周縁部161と、前記内周縁部161から半径外方向へと延在する薄肉状のスカート部162(湾曲凸部)と、このスカート部162の外周部に形成される外周縁部163とからなる。
【0043】
内周縁部161は、前記フランジ部141と、シャフト140に装着される有底円筒状の押え部材142と、の間に挟持されることでシャフト140に係止される。
スカート部162は、シャフト140の変位動作に追従して撓曲自在である。
また、外周縁部163は、二次室120aの底壁122と、後記するソレノイド150の固定コア151との間に挟持されている。
【0044】
このようなダイヤフラム160を設けることによって、二次室120aとシャフト140との間がシールされるようになり、二次室120aの内部の気密が好適に保持されるようになる。
【0045】
ソレノイド150は、ケーシング154の内部に配設され、コイル155aが巻回されたボビン155と、ケーシング154の上端部を閉塞するように配設される固定コア151と、前記コイル155aの励磁作用によってシャフト140の軸線方向に変位する円筒状の可動コア156と、ケーシング154の下端部に設けられた開口を覆うキャップ部157と備えて構成される。
【0046】
可動コア156は、磁性金属製材料からなる円筒状の部材であり、ボビン155の内壁面に沿って挿通自在に配置され、コイル155aの励磁作用によってシャフト140の軸線方向に移動可能となっている。すなわち、可動コア156は、コイル155aを励磁したときに、固定コア151に引き寄せられ、戻しばね135の付勢力に抗して上方向に移動する。これにより、前記弁体130が上方向に押動される。
可動コア156の略中央部には、軸線方向に沿って貫通孔156aが形成されており、この貫通孔156aにシャフト140の下端140aが挿通されて固定されている。
【0047】
シャフト140は、その下端140a側が可動コア156の中空部に嵌め込まれて固定され、上端140b側が弁体130の下部に開口する取付穴133に挿入されて固定されている。シャフト140の軸線方向の略中央部には、ダイヤフラム160の内周縁部161を押え部材142との間に固定するためのフランジ部141が形成されている。
【0048】
なお、シャフト140の外周面に、フッ素コーティング等を施して、シャフト140が変位する際の摺動抵抗が低減するように構成してもよい。このようにすることで、シャフト140の摩耗が低減し、耐久性を向上させることができる。また同時に、シャフト140が変位動作する際に摩耗粉が発生するのを抑制することができる。フッ素コーティングには、水分をはじく撥水効果があるため、シャフト140の外周面に水分が付着することがなくシャフト140の錆びを防止し、前記シャフト140の耐久性を向上させることができる。
【0049】
キャップ部157には、可動コア156に通じる透孔158を覆うように取り付けられており、内部には、空気の出入りを許容しつつ水の出入りを阻止する透湿防水素材157aが装着されている。なお、透湿防水素材157aは、例えば周知であるゴアテックス(登録商標)などからなる。このような透湿防水素材157aを配置すれば、ソレノイド150内への水や埃等の浸入を防ぐことが可能となる。
【0050】
[掃気ガス排出弁]
図1に戻って、掃気ガス排出弁27は、常閉型の電磁弁であり、燃料電池スタック10の掃気時に開かれる弁である。詳細に、掃気ガス排出弁27は、燃料電池スタック10のアノード流路11の掃気時にコンプレッサ31が作動された状態で、ECUからの指令により開かれるようになっている。なお、掃気ガス排出弁27は、後記する掃気ガス導入弁41とともに開かれる設定となっている。
【0051】
さらに説明すると、燃料電池スタック10を掃気時とは、例えばシステム停止時において、温度センサ(図示しない)によって検出されるシステム温度が所定温度未満であり、この後、燃料電池スタック10内が凍結する虞のある時である。
そして、燃料電池スタック10内が凍結する虞がある判定される場合、ECUは、コンプレッサ31を作動すると共に、掃気ガス導入弁41及び掃気ガス排出弁27を開き、コンプレッサ31からの掃気ガス(空気)を、アノード流路11及びカソード流路12に押し込む。これによって、アノード流路11等の水分(水蒸気、結露水等)が押し出され、燃料電池スタック10が掃気される。
【0052】
この場合において、アノード流路11から押し出された水分は、掃気ガスと共に、配管24a、気液分離器24、配管24b、配管27a、掃気ガス排出弁27、配管27bを介して、カソード流路12から排出された掃気ガス(カソードオフガス)が流れる配管32cに排出され、次いで、配管33b、配管33dを介して車外に排出されるようになっている。一方、カソード流路12から押し出された水分は、掃気ガスと共に、後記する配管32b、配管32c、配管33b、配管33dを介して車外に排出される。
【0053】
<カソード系>
図1に戻って説明を続ける。
カソード系は、コンプレッサ31(酸化剤ガス供給手段、掃気手段)と、加湿器32と、希釈器33(ガス処理装置)とを備えている。
【0054】
コンプレッサ31は、配管31a、加湿器32、配管32aを介して、カソード流路12の入口に接続されている。そして、ECUの指令にしたがって作動すると、コンプレッサ31は、酸素を含む空気を取り込み、空気をカソード流路12に供給するようになっている。また、コンプレッサ31は、燃料電池スタック10の掃気時には、これを掃気する掃気手段として機能するようになっている。
なお、コンプレッサ31は、燃料電池スタック10および/又は燃料電池スタック10の発電電力を充放電する高圧バッテリ(図示しない)を電源として作動する。
【0055】
カソード流路12の出口は、配管32b、加湿器32、配管32cを介して、希釈器33に接続されている。そして、カソード流路12(カソード)から排出された多湿のカソードオフガスは、配管32b等を介して、希釈器33に供給されるようになっている。なお、配管32cには、カソード流路12における空気の圧力を制御する図示しない背圧弁(バタフライ弁等)が設けられている。
【0056】
<加湿器>
加湿器32は、コンプレッサ31からカソード流路12に向かう空気を加湿するため、カソード流路12に向かう空気と、多湿のカソードオフガスとを水分交換させる中空糸膜32dを備えている。
【0057】
<希釈器>
希釈器33は、パージ弁100から導入されるアノードオフガスと、配管32cから導入されるカソードオフガス(希釈用ガス)とを混合し、アノードオフガス中の水素を、カソードオフガスで希釈する容器であり、その内部に希釈空間33aを備えている。具体的には、希釈器33は、希釈空間33aの鉛直下方に、カソードオフガスが流れる配管33bを有しており、配管33bには、その内部と希釈空間33aとを連通させる連通孔33cが形成されている。
【0058】
カソードオフガスの一部は、連通孔33cを通って、希釈空間33aに流出し、アノードオフガスと混合することで混合ガスを生成するとともに、アノードオフガス中の水素を希釈し、水素濃度を低減するようになっている。そして、生成した混合ガスは、配管33bを流れるカソードオフガスにより、連通孔33cを介して、配管33b内に吸引され、さらに希釈されながら、配管33dを介して車外に排出されるようになっている。
【0059】
すなわち、本実施形態において、燃料電池スタック10のカソード流路12(カソード)から排出されるカソードオフガスが流れるカソードオフガス配管は、配管32bと、配管32cと、配管33bと、配管33dとによって構成されている。そして、希釈器33は、配管32b等から構成されるカソードオフガス配管に設けられている。
【0060】
<掃気系>
掃気系は、燃料電池スタック10の掃気時に、コンプレッサ31からの掃気ガス(非加湿の空気)をアノード系に導く系であり、常閉型の掃気ガス導入弁41を備えている。掃気ガス導入弁41の上流は、配管41aを介して配管31aに接続されており、掃気ガス導入弁41の下流は、配管41bを介して配管23aに接続されている。
掃気ガス導入弁41は、前記した掃気ガス排出弁27とともに開かれる設定となっている。
【0061】
次に、本実施形態の弁装置が適用されるパージ弁100の作用を説明する。
燃料電池スタック10を構成する単セルの電圧(セル電圧)が所定セル電圧以下となった場合、ECUが不純物を排出する必要があると判定し、ECUの指令によってパージ弁100が開かれる。
【0062】
パージ弁100が開弁すると、アノード流路11から導出されて不純物を含むアノードオフガスが、配管24a、気液分離器24、配管24b、配管26a、および導入路111を通じてパージ弁100の一次室110aに導入される。この際、導入路111に導入されたアノードオフガスは、オリフィス113によって所定の流量に絞られて減圧された後、一次室110aから弁体130と弁座部117との間を通じて二次室120aに流入し、二次室120aから導出路121へ導出される。導出路121から導出されたアノードオフガスは、配管26bを通じて希釈器33へ送られる。
【0063】
また、パージ終了時に、ECUによってソレノイド150のコイル155aへの通電がオフ状態にされると、コイル155aが非励磁状態となり、可動コア156が軸線方向に沿って下方へと変位する。また略同時に、弁体130が戻しばね135の弾発力によって下方へと押圧され、戻しばね135の弾発力によって弁体130が弁座部117へと着座する。これにより、一次室110aと二次室120aとの連通が遮断され、導入路111と導出路121との連通が遮断される。
【0064】
このような過程において、アノードオフガスに同伴する水分Wが、一次室110a内で凝結して水滴となり、図3(a)に示すように、底壁112上に溜まった状態となることがある。この場合に、溜まった水分Wは、図3(b)に示すように、底壁112から開口111aを通じて導入路111に流れ込む。つまり、一次室110a内に残留する水分Wが、導入路111に戻されることとなる。
【0065】
以上説明した本実施形態の弁装置によれば、導入路111は、一次室110aを形成する一次室ボディ110の底壁112に接続されているので、一次室110a内に流入してきたアノードオフガスに、水蒸気や結露水等の水分が含まれていて、これが一次室110a内で凝結して水滴となっても、一次室110a内に残留し難いという利点が得られる。つまり、閉弁後には、一次室110a内に残留する水滴が一次室ボディ110の底壁112から導入路111に戻されるようになり、一次室110a内に水分が残留し難くなる。
しかも、オリフィス113は、底壁112よりも下側に位置しているので、オリフィス113を配置することにより形成される段差が底壁112に形成されることがなくなる。したがって、一次室110a内に残留する水滴等の水分は、底壁112から導入路111にスムーズに戻されるようになる。これによって、一次室110aに水分が残留し難くなる。
【0066】
また、燃料電池システム1の運転中に一次室110aの内部に水滴が付着していなくても、燃料電池システム1の停止中に温度低下してアノードオフガス中に含まれていた水分が一次室110aの内部で凝結し、水滴となり付着する場合にも、一次室ボディ110の底壁112から導入路111にこれが戻されるようになり、一次室110a内に水分が残留し難い。
【0067】
したがって、低温環境下(例えば0℃未満)に曝されて燃料電池システム1内が凍結する状況においても、弁体130が凍結固着し難くなり、弁体130を円滑に変位させることができる。これによって、信頼性の高い燃料電池システムの作動に寄与する弁装置が得られる。
【0068】
また、導入路111は、一次室110aに向かって上り傾斜状とされており、その上端が底壁112に接続されている構成とするのがよい。このようなパージ弁100によれば、傾斜した導入路111を利用して一次室110a内に残留した水滴等の水分を上流側の気液分離器24にうまく戻すことができる。したがって、導入路111内に水分が滞留し難くなり、低温環境下(例えば0℃未満)に曝される状況においても、導入路111内が凍結するのを確実に阻止することができる。
【0069】
また、ソレノイド150は、鉛直方向に駆動するので、傾斜方向や水平方向に駆動する場合と比べて、摺動時の片減り等が生じ難くなり、耐久性が向上するとともに、長期間にわたって安定した動作を実現することのできるパージ弁100が得られる。
【0070】
また、弁体130は、一次室110a内に配置され、少なくとも上壁114に対向する側が、上壁114側に向かって徐々に縮径するテーパ状部130aを含んで形成されているので、弁体130の上部に、水滴等となって水分が付着した場合でも、該水分が弁体130の上部に滞留し難くなり、重力の作用によって、一次室110aを形成する底壁112へと流れ落ちる。したがって、閉弁後には、一次室110a内に存在する水分が底壁112から導入路111に好適に戻されるようになり、一次室110aに水分がより一層残留し難くなる。このことは、燃料電池システム1の長期間に亘る安定した作動の実現に寄与し、耐久性、信頼性に優れた燃料電池システム1が得られる。
【0071】
弁座116は、底壁112から上壁114へ向けて突出しているので、アノードオフガスに同伴する水分が一次室110a内で凝結して水滴となって底面(底壁上)に溜まっても、溜まった水分が弁体130と弁座116との間に付着することを抑制できる。これによって、弁体130が弁座116に凍結固着するのを好適に防止することができ、弁体130の変位を好適に維持することができる。
【0072】
前記した実施形態において、一次室110aの底壁112は、平らに形成した例を示したが、本発明はこれに限られることはなく、例えば、導入路111の開口111aに向けて、底壁112が下り傾斜状となるように形成してもよい。また、導入路111の開口111aに向けて一次室110a内の水分が流れるように、排水溝を設けてもよい。この場合、弁座116の周囲を取り囲む円環状に、排水溝を形成してもよい。
これらのように構成することによって、一次室110a内に水分が残留した際には、これを導入路111へ向けて流すことができ、凍結防止をより一層好適に図ることのできるパージ弁100が得られる。
【0073】
図4は本実施形態の弁装置の変形例を示す断面図であり、弁座116が弁座116の周りの底壁の一部を形成しており、その底壁を形成している底壁部116a,116bに高低差が付けられている。この例では、導入路111に近い側となる底壁部116aよりも、導入路111から離れる側となる底壁部116bが、上壁114へ向けて高くなるように形成されている。
【0074】
つまり、この例では、流体に同伴する水分が一次室110a内で凝結して水滴W2となって弁座116の周りの底壁部116bに溜まっても、重力の作用によって、これが低い側となる底壁部116a側へ向けて好適に流れるようになり、その後、導入路111に戻される。したがって、一次室110a内に水分が残留し難いという利点が得られる。
【0075】
また、その他の例として、図示はしないが、二次室120aの底壁122や導出路121を配管26b側へ向けて下り傾斜状に形成してもよい。このように構成することによって、二次室120aに仮に水分が滞留した際には、これを導出路121から配管26bへ向けて流すことができ、凍結防止をより一層好適に図ることのできるパージ弁100が得られる。
【0076】
また、前記した実施形態では、弁装置をパージ弁100に用いた例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、ドレン弁25や掃気ガス排出弁27に用いてもよい。
【0077】
また、オリフィス113は、導入路111と別部材で構成したが、導入路111の内壁形状をオリフィス状に加工して、導入路111にオリフィス113を一体に設けてもよい。
【0078】
なお、前記した実施形態では、ソレノイド150によりシャフト140が鉛直方向に摺動する例を示したが、これに限られることはなく、シャフト140が鉛直方向から所定の角度傾いた状態で摺動するように構成してもよい。この場合にも、オリフィス113は、一次室110aを構成する底壁となる部位よりも下側に配置されていればよい。
また、パージ弁100は、天地逆となるように設置してもよい。つまり、天地逆とした場合には、一次室ボディ110の上壁114が、一次室110aの底側に位置して底壁として機能し、この底壁に対して導入路111の上端を接続するように構成するとともに、この底壁よりも下側において、導入路111にオリフィス113を設けるように構成する。このように構成した場合にも、導入路111に水分を好適に戻すことができ、弁体130の凍結を好適に防止することができる。
【0079】
また、前記した実施形態では、弁体130を断面山形状としたが、これに限られることはなく、断面半円形状としてもよい。つまり、弁体130は、その頂部に平坦面が形成されることがなく、水滴が滞留せずに流れ易くされた形状(例えば、頂部を形成する面が、上壁114に対して傾斜している形状等)であれば、種々の形状を採用し得る。
【0080】
また、駆動機構としてソレノイド150を例示したが、これに限られることはなく、他の駆動機構、例えば、離隔して対向位置した永久磁石の磁極面間にコイル部材を配設して通電することにより、電磁力を利用してシャフト140を軸方向に駆動するようにしたボイスコイル型の駆動手段も採用可能である。
【0081】
さらにまた、前記した実施形態では、燃料電池システム1が燃料電池自動車に搭載された場合を例示したが、その他に例えば、自動二輪車、列車、船舶に搭載された燃料電池システムでもよく、また、住居、店舗、オフィス等の用途とした燃料電池システムでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る弁装置としてのパージ弁を用いた燃料電池システムの機能を示す図である。
【図2】パージ弁の断面図である。
【図3】(a)は開弁状態の一次室内の様子を示す断面図、(b)は開弁されたときの一次室内の様子を示す断面図である。
【図4】本実施形態の弁装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 燃料電池システム
10 燃料電池スタック
25 ドレン弁
26 パージ弁
27 掃気ガス排出弁
100 パージ弁
110 一次室ボディ
110a 一次室
111 導入路
111a 開口
112 底壁
113 オリフィス
114 上壁
116 弁座
116a,116b 底壁部
117 弁座部
120 二次室ボディ
120a 二次室
121 導出路
130 弁体
130a テーパ状部
150 ソレノイド(駆動機構)
W 水分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が導入される一次室が設けられた一次室ボディと、
流体が導出される二次室が設けられた二次室ボディと、
前記一次室と前記二次室との間を連通または遮断し、駆動機構により駆動される弁体と、を有し、
前記一次室に流体を導入する導入路と、
前記導入路に設けたオリフィスと、を備えた弁装置であって、
前記導入路は、前記一次室を形成する前記一次室ボディの底壁に接続されており、前記底壁よりも下側に前記オリフィスが位置していることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記導入路は、上り傾斜状とされており、その上端が前記底壁に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記弁体は、前記一次室内に配置され、前記一次室を形成する前記一次室ボディの上壁に向けて変位することで開弁するように構成されており、
前記弁体の頂部を形成する面は、前記上壁に向かって徐々に縮径するテーパ状を成すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記弁体が着座する弁座は、前記底壁から前記上壁へ向けて突出していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の弁装置。
【請求項5】
前記弁座は、前記弁座周りの前記底壁を形成しており、その前記底壁を形成している部分は、前記導入路に近い側よりも前記導入路から離れる側が、前記上壁へ向けて高く形成されていることを特徴とする請求項4に記載の弁装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、鉛直方向に駆動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の弁装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−264442(P2009−264442A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112463(P2008−112463)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】