説明

急結剤供給装置

【課題】製造コストを軽減させると共に、急結剤の供給効率を向上させ、連続して供給可能な急結剤供給装置を提供する。
【解決手段】急結剤を収容する収容タンク1と、この収容タンク1に収納された急結剤を排出する添加装置3と、収容タンク1から添加装置3へ急結剤を供給するエア供給源としてのブロア2とを備え、添加装置3は、急結剤が供給される上部チャンバ3Aと、中部チャンバ3Bと、下部チャンバ3Cと、ロータリフィーダ35とを備え、それぞれのチャンバ間の開口を開閉するリフトダンパ31、32が設けられ、下部チャンバ3Cとロータリフィーダ35の排出側に連結される配管とが連通管により連通されると共に、下部、中部、上部チャンバがバルブ91、92を介して連通管により連通された急結剤供給装置であって、上部チャンバ3Aに、収容タンク1から急結剤を供給する際のエアを、フィルターを介して排気するエア排気部34を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急結剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
NATM工法など、トンネル掘削等において地山の崩落を防ぐ目的でモルタル又はコンクリートの吹付けを行う場合、粉体の急結剤がモルタル又はコンクリートに添加されている。この急結剤の添加量は、吹付けたモルタル又はコンクリートのリバウンド量等の現場状況から好適に選択され、急結剤は、通常、吹付けるモルタル又はコンクリートの供給設備に接続された急結剤供給装置によって供給されるようになっている。
【0003】
従来より、急結剤を急結剤収容タンク内に収容し、このタンクから加圧エア(圧縮エア)により輸送管を介して急結剤添加タンクに供給し、この急結剤添加タンクからモルタル又はコンクリートに急結剤を添加する構成の急結剤供給装置(例えば、特許文献1参照)がある。
【特許文献1】特開2003−221119号公報(8頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンプレッサーによる高圧エアにより急結剤を輸送するため、急結剤の乾燥状態を維持しがたく、急結剤が湿気を帯びることによりセメントの凝固時間の短縮、早期強度の発現という急結剤本来の働きに影響が出る虞があり、また目詰まりの原因ともなっている。それと共に、コンプレッサーをエアの供給源とすると、急結剤収容タンクのタンク自体の構造を圧力タンクにせざるを得ず、装置自体の製造コストを押し上げることとなる。さらに、急結剤添加タンクの小型化も望まれるところである。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、製造コストを軽減させると共に、急結剤の供給効率を向上させ、連続して供給可能な急結剤供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、急結剤を収容する収容タンクと、この収容タンクに収納された急結剤を排出する添加装置と、前記収容タンクから前記添加装置へ急結剤を供給するエア供給源としてのブロアと、を備え、前記添加装置は、急結剤が供給される上部チャンバと、この上部チャンバの下方に連結された中部チャンバと、この中部チャンバの下方に連結された下部チャンバと、この下部チャンバの下方に設けられたロータリフィーダと、を備え、中部チャンバの内部には、上部チャンバと中部チャンバとの間の開口を開閉する中部リフトダンパが設けられると共に、下部チャンバの内部には、中部チャンバと下部チャンバとの間の開口を開閉する下部リフトダンパが設けられ、下部チャンバとロータリフィーダの排出側に連結される配管とが連通管により連通されると共に、下部チャンバと中部チャンバとが第1のバルブを介して連通管により連通され、中部チャンバと上部チャンバとが第2のバルブを介して連通管により連通された構成とされた急結剤供給装置であって、 上部チャンバに、収容タンクから急結剤を供給する際のエアを、フィルターを介して排気するエア排気部を備えた、ことを特徴とする急結剤供給装置である。
【0007】
(作用効果)
ブロアからのエアによって収容タンクから添加装置(詳しくは上部チャンバ)へ急結剤を供給する(エア搬送)構成となっていることにより、従来型のコンプレッサーによる圧縮エアによってエア搬送する供給装置とは異なり、急結剤が湿気を帯びる虞が少ない。また、上部チャンバに、収容タンクから急結剤を供給する際のエアを、フィルターを介して排気するエア排気部を備えた構成とすることにより、急結剤の供給が容易化されると共に、急結剤を供給する際の粉塵が外部に漏れることが防止される。
さらに、ブロアをエアの供給源とすることにより、収容タンク自体を圧力タンクの構造にすることなく、装置自体のコストを安価に抑えることができる。そして添加装置を上部チャンバ、中部チャンバ及び下部チャンバと3層(部屋)構造にすることにより、個々のチャンバの容積の小型化ができ、製造コストを抑えた圧力容器とすることができる。
【0008】
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、前記エア排気部は、その出口側で前記ブロアの吸引口に連結され、前記上部チャンバへの急結剤の供給は、前記ブロアによりエアを排気しながら行われる構成とされた、請求項2記載の急結剤供給装置である。
【0009】
(作用効果)
エア供給源(ブロア)と、収容タンクからのエアの排気源(ブロア)とが同一物であるので、それぞれ別々に設ける必要がなく製造コストの軽減を可能としている。
【0010】
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、前記上部チャンバ、中部チャンバ、下部チャンバには、急結剤の量を検知するセンサーがそれぞれ取付けられ、これらセンサーが検知するデータに基づき、前記中部リフトダンパ、前記下部リフトダンパ、第1のバルブ及び第2のバルブの開閉が制御される構成とされた、請求項1又は2記載の急結剤供給装置である。
【0011】
(作用効果)
上部チャンバ、中部チャンバ、下部チャンバには、急結剤の量を検知するセンサーがそれぞれ取付けられ、これらセンサーが検知するデータに基づき、中部リフトダンパ、下部リフトダンパ、第1のバルブ及び第2のバルブの開閉が制御される構成とすることにより、ロータリフィーダから急結剤が連続して急結剤を排出することができる。また、センサーが検知するデータと収容タンクからの急結剤の供給開始及び停止をリンクさせることにより、添加装置により効率的な急結剤の供給を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造コストを軽減させると共に、急結剤の供給効率を向上させ、連続して供給することができる等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る急結剤供給装置を、図1乃至図7に基づき説明する。なお、図1は本発明に係る急結剤供給装置の概略図であり、図2乃至図7は急結剤供給装置の作業工程を説明するための概略図である。
【0014】
本発明に係る急結剤供給装置は、急結剤をコンクリート又はモルタル吹付設備(吹付ノズル又は配管等)に供給する装置である。
この急結剤供給装置は、急結剤を収容する収容タンク1と、この収容タンク1に収納された急結剤を排出する添加装置3と、収容タンク1から添加装置2へ急結剤を供給するエア供給源としてのブロア2と、を備えている。以下に、これらについて詳述する
【0015】
<収納タンク>
収容タンク1は、急結剤を充填するために上部に設けられた充填口11と、内部に急結剤入口12Aが配設された、急結剤を供給する急結剤供給管12と、を備えている。
【0016】
収容タンク1は、下方に行くに従って先細くなる略円錐形状をしており、上部にはフレキシブルコンテナ60内に収容された急結剤を取り入れるために、前述した充填口11が配設されている。なお、収容タンク1の容量としては、約1〜2トン貯められればよい。充填口11には、急結材が湿気を帯びるのを防いだり、粉塵の漏れを防ぐために蓋11Aが取付けられている。収容タンク1の内部には、急結剤供給管12が内装されており、その急結剤入口12Aは収容タンク1の略円錐形状の軸中心で、かつ後述するエア出口13の上方に位置している。収容タンク1の下端は、収容された急結剤を上方に移送させるためのエアを噴出させるノズル等からなるエア出口13が配設されており、エア出口13に連設された主エア供給管4Aからのエアにより急結剤は急結剤入口12Aから急結剤供給管12内に入っていくようになっている。また、収容タンク1内の下方に複数のエア出口14,14,…(図1では2箇所のみ記載)が設けられており、エア出口14,14…に連設された補助エア供給管4B,4B,…(図1では2箇所のみ記載)からのエアにより、収容タンク1内の粉体である急結剤をエアレーション作用により流動化させ、急結剤入口12Aとエア出口13との間に生じやすいラットホールの形成を防いでいる。なお、エア出口13及びエア出口14,14…へエアを供給する主エア供給管4A、補助エア供給管4B,4B,…はエアの入り側でエア供給本管4から分岐したものであり、このエア供給本管4は三方ボールバルブ50を介してエア供給源であるブロア2の吹出し口2Aに連結されている。
【0017】
エアの供給源がブロアであることにより、エアに加える圧力は少ないためコンプレッサーに比して急結材が湿気を帯びる虞が少ない。ブロアはコンプレッサーに比べて、エアに加える圧力は少ないが、風量が多いため、急結剤を効率よく供給することが可能となっている。また、収容タンクも圧力タンクとする必要がないため、小型化することができ、さらに製造コストも格段に安価となる。さらに、収容タンク内は高圧ではないので、破裂する虞がなく、万が一トラック等の荷台から転倒しても、破裂等による災害の発生の虞が少ない。
【0018】
収容タンク1の内部には、バグフィルター等のフィルター15が取付けられており、このフィルター15を介してエア排気口より収容タンク1内のエアが排気されるようになっている。エア排気口を有するエア排気管6Aは二方ボールバルブ51により開閉される構成となっていると共に、エア排気管6Bを介してエア排気本管8に連結され、エア排気本管8はブロア2の吸引口2Bに連結されている。フレキシブルコンテナ60内に収容された急結剤を収容タンク1への供給の際に、二方ボールバルブ51を開き、エアを排気すれば、収容タンク1内に蔓延する急結剤の粉塵をフィルター15に付着させることができ、粉塵が収容タンク1の外部に漏れることはない。なお、収容タンク1への供給の際には、フレキシブルコンテナ60の下部に形成された供給口(図示せず)と収容タンク1の充填口11とを密着させ、ここ周囲に粉塵が漏れないようすることはいうまでもない。
【0019】
収容タンク1の内部には、下限センサー16と上限センサー17とが設置されている。収容タンク1の内部にストックされている急結剤が下限センサー16の位置を下回ると、この下限センサー16が検知し、コンピュータ(図示せず)を介して表示手段(図示せず)に急結剤のストック不足が表示される。そして、収容タンク1内に急結剤を供給する際に、上限センサー17の位置を上回ると、この上限センサー17が検知し、コンピュータ(図示せず)を介して表示手段(図示せず)に急結剤の供給停止すべき旨(例えば、警告)の表示がなされる。
【0020】
急結剤供給管12は、その出口において急結剤供給管5に連結している。そして、この急結剤供給管5は添加装置3の急結剤入口部3aに連結されている。
【0021】
<添加装置>
添加装置3は、急結剤供給管5に連結された上部チャンバ3Aと、この上部チャンバ3Aの下方に連結された中部チャンバ3Bと、この中部チャンバ3Bの下方に連結された下部チャンバ3Cと、この下部チャンバ3Cの下方に設けられたロータリフィーダ35と、を備えており、各チャンバ3A,3B,3Cの下部は下方に行くに従って先細くなる略円錐形状をしている。そして、中部チャンバ3Bの内部には、エアシリンダー31Aの伸縮により、上部チャンバ3Aの下部開口(中部チャンバ3Bの上部開口)を開閉する昇降自在な中部リフトダンパ31が設けられている。同様に、下部チャンバ3Cの内部には、エアシリンダー32Aの伸縮により、中部チャンバ3Bの下部開口(下部チャンバ3Cの上部開口)を開閉する昇降自在な下部リフトダンパ32が設けられている。
【0022】
上部チャンバ3Aは、その上部にバグフィルター等の円筒状のフィルター33を有するエア排気部34を備えており、この上部チャンバ3Aへの急結剤の供給は、前述した急結剤入口部3aより行なわれる。この上部チャンバ3Aは、エア排気部34に連結されるエア排気管7等を介してブロア2に連結するものであり、通常時は、大気圧に保たれている。上部チャンバ3A内は密閉されており、上部チャンバ3Aへの急結剤の供給の際には、エア排気部34に連結されたエア排気管7からエアが排気されることにより、急結剤の供給がスムーズに行われると共に、粉塵がフィルター33に吸着され、外部への漏れが防止されるようになっている。なお、このエア排気管7は、エア排気本管8に連結されており、このエア排気本管8はブロア2の吸引口2Bに連結され、ブロアからのエアが循環するようになっている。そのため、エア供給源(ブロア)と、収容タンクからのエアの排気源(ブロア)とが同一物であるので、それぞれ別々に設ける必要がなく製造コストの軽減を可能としている。また、非常用投入口42は、緊急に急結剤を供することが必要になった場合に、ここから供給したり、点検用として使用されるものであり、特に発明として必須とされるものではない。
【0023】
ロータリフィーダ35の排出側(下方)には、圧縮エア供給管55が設けられており、この圧縮エア供給管55はその先端をコンクリート又はモルタルを吹付ける吹付ノズル(図示せず)に連結し、基端をコンプレッサー(図示せず)に連結している。そして、ロータリフィーダ35の各羽根の間に収容された急結剤は、安定的かつ連続的にこの圧縮エア供給管55に供給されるようになっている。この圧縮エア供給管55からは、連通本管9が分岐されており、さらにこの連通本管9には連通管9A,9B,9Cが分岐している。連通管9Aは、圧縮エア供給管55内の圧力と下部チャンバ3C内の圧力とを同圧にして急結剤の落下等を容易にするためのものである。同様に、連通管9Bは、第1バルブ91又は第2バルブ92の開閉により中部チャンバ3Bとこれに隣接する上部チャンバ3A又は下部チャンバ3Cと同圧にして、急結剤の落下を容易にするものである。連通管9Cは、上部チャンバ3Aが通常時は大気圧に保たれていることから、第2バルブ92を開放することにより、中部チャンバ3Bを大気圧まで減圧する機能を有し、急結剤供給管5から供給される急結剤を中部チャンバ3Bに落下しやすくしている。
【0024】
また、添加装置3には急結剤のストック量の過不足、すなわち上限と下限を検知するするセンサーが取付けられている。具体的には、下部チャンバ3Cには第1(下限)センサー36及び第2(上限)センサー37が取付けられており、中部チャンバ3Bには第3(下限)センサー38及び第4(上限)センサー39が取付けられており、上部チャンバ3Aには第5(下限)センサー40が取付けられている。
【0025】
<エア排気管等>
コンプレッサー52の噴出し口には,圧縮エア供給管53が連結されており、この圧縮エア供給管53は二方電磁バルブ54に連結されている。コンプレッサー52が、運転状態であるときは、圧縮エアの供給の有無は二方電磁バルブ54により制御されており、エア排気管6Aを介してフィルター15への間欠的なエアパルスの伝達、及びエア排気管6Aとエア排気管6B、そしてエア排気管7を介してのフィルター33への間欠的なエアパルスの伝達を可能としている。この間欠的に供給される圧縮エアによりフィルター15,33に付着した急結剤を払い落とすことができる。そのため、フィルター15,33の目詰まりを防止するために、装置内部を開けて頻繁に清掃する必要性はない。この圧縮エアの間欠的な供給は、エア排気管6A,6B,7でのエア排気が行われているときにも、行われるものである。なお、圧縮エアの間欠的な供給は、約30秒から1分間間隔で、約0.2秒間行うことが好適である。
【0026】
前述したように、フレキシブルコンテナ60内に収容された急結剤を収容タンク1への供給の際に、二方ボールバルブ51を開き、エアを排気すれば、収容タンク1内に蔓延する急結剤の粉塵をフィルター15に付着させることができ、粉塵が収容タンク1の外部に漏れることはない。また、急結剤を添加装置3に供給の際には、二方ボールバルブ51を閉じ、エア排気部34からのみエアの排気がなされるようにすればよい。
【0027】
三方ボールバルブ50の切替により、ブロア2の吹出し口2Aからのエアをエア供給本管4に供給すれば、前述した主エア供給管4A、補助エア供給管4B,4Bにエアを送ることもできるし、また、エア排気口4Cに送り、そのままエアを排気することもできる。すなわち、これらの2つの態様を切替により選択できるようになっている。なお、エア排気口4Cに送り、そのままエアを排気する場合も選択できるようになっているのは、フレキシブルコンテナ60内に収容された急結剤を収容タンク1への供給の際に、フィルター15のエア排気口から入ったエアをエア排気管6A,6B、エア排気本管8及びブロア2の吸引口2Bを介してエア排気口4Cからエアを排気するためである。
【0028】
<急結剤供給装置の作業工程>
急結剤供給装置の作業工程について、図2乃至7に基づき、主に添加装置の作業工程を中心に説明する。
【0029】
図2に示すように、下部リフトダンパ32により中部チャンバ3Bの下部開口(下部チャンバ3Cの上部開口)を閉じると共に、第1バルブ91を閉じておくことにより、連通本管9及び連通管9Aを介して、圧縮エア供給管55と下部チャンバ3Cの圧力を同圧にしておく。この状態でロータリフィーダ35を作動させることにより、急結剤はスムーズに圧縮エア供給管55内へ供給され、先端側でコンクリート又はモルタルに添加されるようになる。
【0030】
上記の状態で急結剤を供給し続けると、図3に示すように、下部チャンバ3C内の急結剤のストック量が減少し、第1(下限)センサー36の位置を下回るようになる。急結剤が、第1(下限)センサー36の位置を下回ると、この第1(下限)センサー36が検知し、コンピュータ(図示せず)を介して表示手段(図示せず)に急結剤のストック不足が表示される。それと共に、図4に示すように、中部リフトダンパ31により上部チャンバ3Aの下部開口(中部チャンバ3Bの上部開口)が閉じられ、その後、第1バルブ91が開放され(第2バルブ92は閉)、連通管9A,9Bにより中部チャンバ3Bと下部チャンバ3Cとが同圧とされる。その状態で下部リフトダンパ32が下降し、中部チャンバ3Bの下部開口(下部チャンバ3Cの上部開口)が開放されて、中部チャンバ3B内の急結剤が下部チャンバ3C内に流下し、下部チャンバ3C内に急結剤が供給される。
【0031】
図5に示すように、下部チャンバ3C内に急結剤が供給されることにより、中部チャンバ3B内の第3(下限)センサー38による急結剤のストック不足の検知、又は下部チャンバ3C内の第2(上限)センサー37による急結剤ストック満杯の検知のどちらかにより、下部リフトダンパ32が上昇し、中部チャンバ3Bの下部開口(下部チャンバ3Cの上部開口)が閉じられ、第1バルブ91が閉じられる。
【0032】
そして、図6に示すように、第2バルブ92を開放し(第1バルブ91は閉)、連通管9B,9Cにより上部チャンバ3Aと中部チャンバ3Bとが同圧(大気圧)とされる。その状態で中部リフトダンパ31が下降し、上部チャンバ3Aの下部開口(中部チャンバ3Bの上部開口)が開放される。それと共に、収容タンク1内の急結剤が急結剤供給管5を介し、急結剤入口部3aより上部チャンバ3A内に供給され、この急結剤が中部チャンバ3B内に流下し、中部チャンバ3B内に急結剤が供給される。
【0033】
図7に示すように、中部チャンバ3B内に急結剤が供給されることにより、上部チャンバ3A内の第5(下限)センサー40による急結剤のストック不足の検知、又は中部チャンバ3B内の第4(上限)センサー39による急結剤ストック満杯の検知のどちらかにより、収容タンク1内からの急結剤の供給が自動的に停止される。その後は、図2の状態に戻り、上記作業を繰り返すものである。
【0034】
なお、上記作業工程における中部チャンバ3B内の第3(下限)センサー38による急結剤のストック不足の検知及び下部チャンバ3C内の第2(上限)センサー37による急結剤ストック満杯の検知については、どちらか一方の検知で足りるため、第3(下限)センサー38又は第2(上限)センサー37のいずれかを省略してもよい。同様に、上部チャンバ3A内の第5(下限)センサー40による急結剤のストック不足の検知、又は中部チャンバ3B内の第4(上限)センサー39による急結剤ストック満杯の検知についても、どちらか一方の検知で足りるため、第5(下限)センサー40又は第4(上限)センサー39のいずれかを省略してもよい。
【0035】
さらに、上記作業工程において、検知結果(急結剤の過不足)をコンピュータを介して表示手段に表示させ、それを作業員に認知させ、作業員による手作業で第1バルブ91及び第2バルブ92の開閉や、中部リフトダンパ31及び下部リフトダンパ32の開閉、収容タンク1内からの急結剤の供給等をさせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る急結剤供給装置の概略図である。
【図2】急結剤供給装置の作業工程を説明するための概略図(1)である。
【図3】急結剤供給装置の作業工程を説明するための概略図(2)である。
【図4】急結剤供給装置の作業工程を説明するための概略図(3)である。
【図5】急結剤供給装置の作業工程を説明するための概略図(4)である。
【図6】急結剤供給装置の作業工程を説明するための概略図(5)である。
【図7】急結剤供給装置の作業工程を説明するための概略図(6)である。
【符号の説明】
【0037】
1…収容タンク、2…ブロア、2A…吹出し口、2B…吸引口、3…添加装置、3A…上部チャンバ、3B…中部チャンバ、3C…下部チャンバ、3a…急結剤入口部、4…エア供給本管、4A…主エア供給管、4B…補助エア供給管、4C…エア排気口、5…急結剤供給管、6A,6B…エア排気管、7…エア排気管、8…エア排気本管、9…連通本管、9A…連通管、9B…連通管、9C…連通管、11…充填口、11A…蓋、12…急結剤供給管、12A…急結剤入口、13…エア出口、14…エア出口、15…フィルター、16…下限センサー、17…上限センサー、31…中部リフトダンパ、31A…エアシリンダー、32…下部リフトダンパ、32A…エアシリンダー、33…フィルター、34…エア排気部、35…ロータリフィーダ、36…第1(下限)センサー、37…第2(上限)センサー、38…第3(下限)センサー、39…第4(上限)センサー、40…第5(下限)センサー、42…非常用投入口、50…三方ボールバルブ、51…二方ボールバルブ、52…コンプレッサー、53…圧縮エア供給管、54…二方電磁バルブ、55…圧縮エア供給管、60…フレキシブルコンテナ、91…第1バルブ、92…第2バルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急結剤を収容する収容タンクと、この収容タンクに収納された急結剤を排出する添加装置と、前記収容タンクから前記添加装置へ急結剤を供給するエア供給源としてのブロアと、を備え、
前記添加装置は、急結剤が供給される上部チャンバと、この上部チャンバの下方に連結された中部チャンバと、この中部チャンバの下方に連結された下部チャンバと、この下部チャンバの下方に設けられたロータリフィーダと、を備え、
中部チャンバの内部には、上部チャンバと中部チャンバとの間の開口を開閉する中部リフトダンパが設けられると共に、下部チャンバの内部には、中部チャンバと下部チャンバとの間の開口を開閉する下部リフトダンパが設けられ、
下部チャンバとロータリフィーダの排出側に連結される配管とが連通管により連通されると共に、下部チャンバと中部チャンバとが第1のバルブを介して連通管により連通され、中部チャンバと上部チャンバとが第2のバルブを介して連通管により連通された構成とされた急結剤供給装置であって、
上部チャンバに、収容タンクから急結剤を供給する際のエアを、フィルターを介して排気するエア排気部を備えた、
ことを特徴とする急結剤供給装置。
【請求項2】
前記エア排気部は、その出口側で前記ブロアの吸引口に連結され、前記上部チャンバへの急結剤の供給は、前記ブロアによりエアを排気しながら行われる構成とされた、請求項2記載の急結剤供給装置。
【請求項3】
前記上部チャンバ、中部チャンバ、下部チャンバには、急結剤の量を検知するセンサーがそれぞれ取付けられ、
これらセンサーが検知するデータに基づき、前記中部リフトダンパ、前記下部リフトダンパ、前記第1のバルブ及び第2のバルブの開閉が制御される構成とされた、請求項1又は2記載の急結剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−104826(P2006−104826A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294524(P2004−294524)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(501095554)富士テック株式会社 (4)
【出願人】(391061646)株式会社流機エンジニアリング (20)
【Fターム(参考)】