説明

患者異常通知システム

【課題】 患者が転倒したり、ベッドから転落したことを検出し、看護師等に異常を通知することができる患者異常通知システムを提供する。
【解決手段】 患者異常通知システム1は、各患者に装着される携帯型発信機2と、病棟内の複数箇所に設置される受信機3と、各階のナースセンターに設置される集中監視装置4とを備えている。携帯型発信機2は、患者に作用する加速度、患者の脈波、脈拍、心拍、心電、血圧、及び血中酸素飽和度を検出し、これらに基づいて患者の異常を検出し、異常検出信号2aを無線で送信する。信号を受信した受信機3は、カメラ31で部屋を撮像し、異常通知信号3aを集中監視装置4へと送信する。信号を受信した集中監視装置4は、異常通知画面を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に異常が生じたときに、その異常の発生を通知する患者異常通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院においては、患者の状態が急変したときにナースセンターへ通知するナースコールシステムが普及している。かかるナースコールシステムは、患者がベッドの付近に設けられたスイッチを押すことによってナースセンターへ呼出がかかるようになっているが、このように患者による操作を必要とするものでは、患者が操作できない程度に状態が悪化した場合に、ナースセンターへ通知できないという問題がある。
【0003】
そこで、自動的に患者に緊急事態が生じているか否かを判定し、緊急事態が生じていると判定された場合にナース等へ通知するシステムが開発されている。例えば、特許文献1には、患者が携帯するセンサーユニットとナースが携帯する受信ユニットとを備え、自動的に緊急事態の発生をナースに通知する装置が開示されている。この装置では、センサーユニットにより患者の脈拍、血圧、体温等の生体情報を検出し、検出した生体情報をセンサーユニットから定期的に無線送信し、受信ユニットによってセンサーユニットからの送信信号を受信して、受信ユニットで生体情報に異常があるかを判定し、異常がある場合には、受信ユニットに設けられた液晶表示部に警告表示をすると共にブザー音を発して異常の発生をナースへ通知する。
【0004】
また、特許文献2には、ベッドに取り付けた振動センサ、カメラ、磁気センサ、熱感知センサなどにより患者の動きを感知し、身動きをすることができない重病の患者が動いたときにナースセンターへ通知するシステムが開示されている。
【0005】
その一方で、患者が転倒したり、ベッドから転落するような場合がある。転倒やベッドからの転落は、特に高齢の患者にとっては身体に危険な状態を招く場合があるため、転倒やベッドからの転落が生じた場合には、看護師や医師に通知して迅速な対応を可能とすることが重要である。
【0006】
【特許文献1】特開2001−126175号公報
【特許文献2】特開平11−4811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような特許文献1には、患者に異常が生じたことをどのようにして判定するのかが明確に記載されていない。また、患者が転倒したり、ベッドから転落したことを判定する構成については一切記載されていない。さらに、患者の脈拍、血圧、体温等の複数の生体情報を得るには多くのセンサを必要とし、センサユニットが大型化するため患者が携帯するのに不便である。
【0008】
また、特許文献2に開示されたシステムは、ベッドに寝た重病者が動いたことを検知してナースセンターに通知するものであり、ベッド以外の場所での患者の動きを検出するものではない。
【0009】
また、上述した特許文献1に開示されたシステムは、患者の状態を撮像するように構成されていない。したがって、緊急事態が生じたと通知されたときにナースが即座に患者の状態を確認することはできず、誤動作などにより誤った通知があった場合であっても、ナースが自分で確認しない限り誤通知であることがわからない。また、特許文献2には、カメラを設ける構成が記載されているが、このカメラは患者の動きを感知するためのものであり、遠隔地にいるドクターやナースが撮像画像を確認するものではない。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、例えば転倒したりベッドから転落するなど、患者の動静や姿勢に異常が生じたときに、看護師等に通知することができる患者異常通知システムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は、患者に異常が生じたときに、患者の状態を撮像し、この撮像画像を遠隔地にいる看護師等が確認することができる患者異常通知システムを提供することにある。
【0012】
また、本発明のさらに他の目的は、患者の生体情報を検出するためのセンサを小型化し、患者がセンサを携帯する際の利便性を向上させることができる患者異常通知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の局面に係る患者異常通知システムは、加速度センサと、当該加速度センサの検出結果に基づいて、患者の動静及び/又は姿勢に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、前記携帯型発信機から発せられた異常検出信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が異常検出信号を受信した場合に、異常通知信号を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、前記受信機から送信された異常通知信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が異常通知信号を受信した場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、を備えることを特徴とする。
【0014】
上記発明においては、 前記携帯型発信機は、患者の胴体に装着可能とすることが好ましい。また、前記判定部を、前記加速度センサの検出結果に基づいて、患者が転倒したか否か、及び/又は患者がベッドから転落したか否かを判定するように構成することが好ましい。
【0015】
また、上記発明においては、前記携帯型発信機が、患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部をさらに備え、前記判定部が、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されていることが好ましい。
【0016】
また、上記発明においては、患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部と、検出された生体的状態に基づいて患者の身体に異常が発生したか否か判定する第2判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第3送信部と、を備え、患者の腕部に装着可能な第2携帯型発信機をさらに備え、前記第1受信部は、前記携帯型発信機に加え、前記第2携帯型発信機から発せられた異常検出信号を受信するように構成されていることが好ましい。
【0017】
上記発明においては、前記生体的状態検出部は、脈波センサを備えることが好ましい。また、この場合においては、前記脈波センサが指部に装着可能であることが好ましい。
【0018】
また、上記発明においては、前記生体的状態検出部は、患者の体温、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の少なくとも1つを検出するように構成されていることが好ましい。
【0019】
また、上記発明においては、 前記受信機は、少なくとも病室内を撮像する撮像部をさらに備え、前記第2送信部は、前記第1受信部が異常検出信号を受信したときに、前記撮像部の撮像画像を送信するように構成されており、前記第2受信部は、前記信号受信機から送信された撮像画像を受信するように構成されており、前記表示部は、前記撮像画像を表示するように構成されていることが好ましい。また、この場合においては、前記受信機が、前記異常検出信号を受信するまでは、前記撮像部を休止状態とし、前記異常検出信号を受信したときに、前記撮像部の撮像動作を開始するように構成されていることが好ましい。
【0020】
また、上記発明においては、前記第1送信部が、携帯型発信機を特定する第1特定情報を含んだ異常検出信号を送信するように構成されており、前記第2送信部が、前記第1特定情報及び受信機を特定する第2特定情報を含んだ異常通知信号を送信するように構成されており、前記集中監視装置が、前記異常通知信号を受信したときに、当該異常通知信号に含まれる第1及び第2特定情報によって携帯型発信機及び受信機を特定するように構成されていることが好ましい。また、この場合においては、前記表示部が、前記異常通知信号を受信したときに、対応する携帯型発信機が装着されている患者名、及び送信元の受信機が設置されている位置を表示することが好ましい。
【0021】
本発明の第2の局面に係る患者異常通知システムは、加速度センサと、当該加速度センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する第1受信部と、受信した前記情報に基づいて、患者の動静及び/又は姿勢に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常通知信号を送信する第2送信部と、を備え、病棟内の複数の箇所に設置される受信機と、前記受信機から送信された異常通知信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が異常通知信号を受信した場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、を備えることを特徴とする。
【0022】
上記発明においては、前記携帯型発信機が、患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部をさらに備え、前記第1送信部が、前記加速度センサの検出結果に加えて、前記生体的状態検出部の検出結果に基づく情報をさらに送信するように構成されており、前記判定部が、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されていることが好ましい。
【0023】
上記発明においては、患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部と、前記生体的状態検出部による検出結果に基づく情報を送信する第3送信部と、を備え、患者の腕部に装着可能な第2携帯型発信機をさらに備え、前記第1受信部が、前記第2携帯型発信機から発せられた情報をさらに受信するように構成されており、前記判定部が、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されていることが好ましい。
【0024】
本発明の第3の局面に係る患者異常通知システムは、患者の状態を検出する検出部と、検出した状態を示す状態情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、撮像部と、前記携帯型発信機から発せられた異常検出信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が異常検出信号を受信した場合に、前記撮像部による撮像画像を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、前記受信機から送信された撮像画像を受信する第2受信部と、前記第2部により受信された撮像画像を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、を備えることを特徴とする。この場合においては、前記受信機が、前記異常検出信号を受信するまでは、前記撮像部を休止状態とし、前記異常検出信号を受信したときに、前記撮像部の撮像動作を開始するように構成されていることが好ましい。
【0025】
本発明の第4の局面に係る患者異常通知システムは、患者の状態を検出する検出部と、検出した状態を示す状態情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、撮像部と、前記携帯型発信機から送信された状態情報を受信する第1受信部と、前記第1受信部が受信した状態情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定部と、患者に異常が発生したと判定された場合に、前記撮像部による撮像画像を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、前記受信機から送信された撮像画像を受信する第2受信部と、前記第2受信部により受信された撮像画像を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、を備えることを特徴とする。この場合においては、前記受信機が、前記判定部が患者に異常が発生したと判定するまでは、前記撮像部を休止状態とし、患者に異常が発生したと判定したときに、前記撮像部の撮像動作を開始するように構成されていることが好ましい。
【0026】
上記発明においては、前記撮像部が、実質的に病室内の全体を撮像するように構成されていることが好ましい。
【0027】
本発明の第5の局面に係る患者異常通知システムは、患者の指部に装着される脈波センサと、当該脈波センサの検出結果に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、前記携帯型発信機から発せられた異常検出信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が異常検出信号を受信した場合に、異常通知信号を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、前記受信機から送信された異常通知信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が異常通知信号を受信した場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、を備えることを特徴とする。
【0028】
本発明の第6の局面に係る患者異常通知システムは、患者の指部に装着される脈波センサと、当該脈波センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する1受信部と、受信した前記情報に基づいて、患者の生体的状態に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常通知信号を送信する第2送信部と、を備え、病棟内の複数の箇所に設置される受信機と、前記受信機から送信された異常通知信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が異常通知信号を受信した場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、を備えることを特徴とする。
【0029】
本発明の第7の局面に係る患者異常通知システムは、 加速度センサと、当該加速度センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する第1受信部と、受信した情報を送信する第2送信部と、を備え、病棟内の複数の箇所に設置される受信機と、前記受信機から送信された情報を受信する第2受信部と、受信した情報に基づいて、患者の動静及び/又は姿勢に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明の第8の局面に係る患者異常通知システムは、患者の状態を検出する検出部と、検出した状態を示す状態情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、撮像部と、前記携帯型発信機から送信された状態情報を受信する第1受信部と、前記第1受信部が受信した状態情報を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、前記受信機から送信された状態情報を受信する第2受信部と、前記第2受信部が受信した状態情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定部と、患者に異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第3送信部と、を備える集中監視装置と、を備え、前記受信機は、前記集中監視装置から送信された異常検出信号を受信する第3受信部と、前記第3受信部が異常検出信号を受信した場合に、前記撮像部による撮像画像を送信する第4送信部と、をさらに備え、前記集中監視装置は、前記受信機から送信された撮像画像を受信する第4受信部と、前記第4受信部により受信された撮像画像を表示する表示部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0031】
本発明の第9の局面に係る患者異常通知システムは、患者の指部に装着される脈波センサと、当該脈波センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する第1受信部と、受信した情報を送信する第2送信部と、を備え、病棟内の複数の箇所に設置される受信機と、前記受信機から送信された情報を受信する第2受信部と、受信した情報に基づいて、患者の生体的状態に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、を備えることを特徴とする。
【0032】
本発明の第10の局面に係る患者異常通知システムは、加速度センサと、当該加速度センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、被監視者に装着可能な携帯型発信機と、前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する第1受信部と、受信した情報を送信する第2送信部と、を備える受信機と、前記受信機から送信された情報を受信する第2受信部と、受信した情報に基づいて、被監視者の動静及び/又は姿勢に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る患者異常通知システムによれば、例えば転倒したりベッドから転落するなど、患者の動静や姿勢に異常が生じたときに、看護師等に通知することができる。また、患者に異常が生じたときに、患者の状態を撮像し、この撮像画像を遠隔地にいる看護師等が確認することができる。また、脈波センサによって心拍、血圧、血中酸素飽和度など多様な生体情報を得ることができ、これらの生体情報により患者に異常が生じているか否かをきめ細かく判定することができると共に、患者に装着するセンサを小型化することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態に係る患者異常通知システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る患者異常通知システムの概略構成を示す模式図である。本実施の形態1に係る患者異常通知システム1は、病院内で使用される。図1に示すように、患者異常通知システム1は、各患者に装着される携帯型発信機2と、病棟内の複数箇所に設置される受信機3と、各階のナースセンターに設置される集中監視装置4とを備えている。携帯型発信機2は、患者の物理的状態、すなわち患者の動静及び姿勢を検出することが可能であると共に、患者の生体的状態、すなわち脈波、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度(SpO2)を検出することが可能である。換言すれば、携帯型発信機2は、患者の循環器の状態(脈波、心拍、及び血圧)と、呼吸器の状態(血中酸素飽和度)と、姿勢の状態(加速度)とを検出することができる。携帯型発信機2は、このような患者の状態情報に基づいて、患者に異常が生じているか否かを判定し、異常が生じている場合には異常検出信号2aを無線で送信する。受信機3は、病棟内の各部屋(病室、トイレ等)や廊下等の天井や壁に取り付けられており、携帯型発信機2から送信された異常検出信号2aを受信する。また、この受信機3にはカメラ31が設けられており、集中監視装置4とデータ通信可能に接続されている。かかる受信機3は、異常検出信号2aを受信したことをトリガーとしてカメラ31を駆動して部屋の内部の撮像を開始し、この撮像画像データを含む異常通知信号3aを集中監視装置4へと送信する。集中監視装置4は、画像表示部42を有しており、看護師や医師に異常を通知するための異常通知画面を表示する。この画面中にはカメラ31の撮像画像が表示され、これにより看護師や医師が患者がどのような状態(倒れている、ベッドから転落している、発作が起こっている等)を即座に確認することができる。
【0036】
以下に、患者異常通知システム1の構成について詳細に説明する。
[携帯型発信機2]
図2は、図1に示す携帯型発信機2が患者に装着されたときの様子を示す模式図であり、図3は、携帯型発信機2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯型発信機2は、概ね500円玉程度の大きさの円盤状をなしており、患者の胴体であって動脈付近の体表面(胸部等)にテープ等で貼り付けるようになっている。図3に示すように、かかる携帯型発信機2は、加速度センサ21と、脈波センサ22と、CPU、メモリ等からなる制御部23と、無線通信部24とを備えている。また、この携帯型発信機2は、電池を内蔵しており(図示せず)、これによって上述した各部へ電力を供給するようになっている。
【0037】
加速度センサ21は、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向)の加速度を検出し、加速度を示す電気信号を出力するようになっている。この加速度センサ21としては、例えば、日立金属株式会社製のピエゾ抵抗型3軸加速度センサーH34C、H48C等を使用することができる。
【0038】
脈波センサ22は、体表面の近くを走行する血管の脈波を検出し、電気信号として出力する。この脈波センサ22は、発光素子と受光素子とを備えた光学式のセンサであり、発光素子が血管へと光を照射し、受光素子が血管からの光を受光することにより、非侵襲的に脈波を検出する。
【0039】
制御部23は、CPU、ROM、RAM、信号処理回路等を備えており、ROMに格納されている制御プログラムを実行することにより、加速度センサ21、脈波センサ22、及び無線通信部24を駆動し、また加速度センサ21及び脈波センサ22の出力データを処理する。より詳しくは、制御部23は、脈波センサ22の出力データに対して微分処理、2次微分処理、周波数変換等の所定の処理を行い、公知の手法によって分析、演算することにより、患者の心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を求める。
【0040】
また、詳しくは後述するが、制御部23は、上記のようにして得た患者の状態情報(加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度)に基づいて演算処理を実行し、患者に異常が生じたか否かを判定する。
【0041】
また、各携帯型発信機2には、固有の第1ID情報が割り当てられており、情報制御部23のメモリに当該第1ID情報が格納されている。この第1ID情報を使用することにより、携帯型発信機2(またはこの携帯型発信機2を装着している患者)を特定することが可能である。
【0042】
無線通信部24は、所定の通信方式に従って無線信号を出力する。この無線通信部23は、制御部23によって駆動制御され、制御部23が患者の異常を検出したときに、所定の異常検出信号を出力する。この異常検出信号には、前述のID情報が含まれている。この無線通信部24の通信可能距離は数メートル〜数十メートル(例えば、約10m)であり、このため、実質的には、患者のいる部屋に設置された受信機3にのみ良好に通信することが可能である。
【0043】
[受信機3]
図4は、受信機3の外観を示す斜視図であり、図5は、受信機3の構成を示すブロック図である。図4に示すように、受信機2は、病室、トイレ、廊下等の天井に取り付けられ、その下端部にカメラ31が設けられている。図5に示すように、受信機3は、カメラ31、無線通信部32、有線通信部33、及び制御部34を備えている。また、この受信機3は、外部の商用電源に接続されており(図示せず)、これによって上述した各部へ電力を供給するようになっている。なお、このような構成だけでなく、集中監視装置4から通信ケーブル(イーサネット(登録商標)ケーブル)を通じて受信機3に電力を供給する構成とすることもできる。
【0044】
カメラ31は、概ね室内全体を撮像することができる程度の画角(例えば180度)を備えており、広範囲をひずみなく撮像するために、立体写影レンズ付きカメラ(いわゆる、ひずみ無し魚眼レンズ)が使用され、画像補正を行う構成となっている。このカメラ31として、例えば、ソニー株式会社製の超広視野角小型カメラモジュールRPU−C1833を使用することができる。このカメラ31は、CCDやCMOS等の撮像素子を備えており、撮像画像データを出力するようになっている。カメラ31は、通常では休止状態とされており、異常検出信号2aを受信した場合に、撮像動作を開始する。
【0045】
無線通信部32は、所定の通信方式に従って無線信号を受信する。この無線通信部32によって、携帯型発信機2から送信された無線信号(異常検出信号)が受信される。
【0046】
有線通信部33は、Ethernet(登録商標)通信インタフェースであり、所定の通信プロトコルに従って集中監視装置4との間でデータ通信を行う。
【0047】
制御部34は、CPU、ROM、RAM等を備えており、ROMに格納されている制御プログラムを実行することにより、カメラ31、無線通信部32、及び有線通信部33を駆動し、またこれらの出力データを処理する。より詳しくは、制御部34は、無線通信部32によって異常検出信号2aが受信されたか否かを監視し、異常検出信号2aが受信された場合には、休止状態のカメラ31を駆動して撮像を開始すると共に、有線通信部32から異常通知信号3aを出力する。各受信機3には、固有の第2ID情報が割り当てられており、制御部34のメモリに当該第2ID情報が格納されている。この第2ID情報を使用することにより、受信機3(またはこの受信機3が設置されている位置)を特定することが可能である。制御部34は、無線通信部32によって受信された異常検出信号2a内に含まれている第1ID情報、前述の第2ID情報、及びカメラ31の撮像画像データを含んだ異常通知信号3aを生成し、これを有線通信部33に送信させる。
【0048】
[集中監視装置4]
図6は、集中監視装置4の構成を示すブロック図である。この集中監視装置4は、コンピュータ4aによって構成されている。コンピュータ4aは、本体41と、画像表示部42と、入力部43とから主として構成されている。本体41は、CPU41aと、ROM41bと、RAM41cと、ハードディスク41dと、読出装置41eと、入出力インタフェース41fと、通信インタフェース41gと、画像出力インタフェース41hとから主として構成されている。
【0049】
CPU41aは、ROM41bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM41cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなコンピュータプログラムを当該CPU41aが実行することにより、コンピュータ4aが集中監視装置4として機能する。
【0050】
ROM41bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU41aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0051】
RAM41cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM41cは、ROM41b及びハードディスク41dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU41aの作業領域として利用される。
【0052】
ハードディスク41dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU41aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、ハードディスク41dには、2つのテーブルT1、T2が記憶されている。テーブルT1には、それぞれの携帯型発信機2に割り当てられている第1ID情報と、患者の氏名(又は他の患者を特定する情報。例えば患者番号)とが対応付けられて格納されている。また、テーブルT2には、それぞれの受信機3に割り当てられている第2ID情報と、受信機が設置されている位置(病室、トイレ、廊下の位置を特定する情報。例えば、病室番号等)が対応付けられて格納されている。
【0053】
読出装置41eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブのいずれかによって構成されており、可搬型記録媒体44に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体44には、コンピュータを集中監視装置として機能させるためのコンピュータプログラム44aが格納されており、コンピュータ4が当該可搬型記録媒体44からこのコンピュータプログラム44aを読み出し、当該コンピュータプログラム44aをハードディスク41dにインストールすることが可能である。
【0054】
なお、コンピュータプログラム44aは、可搬型記録媒体44によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ4と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、コンピュータプログラム44aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ4がアクセスして、当該コンピュータプログラム44aをダウンロードし、これをハードディスク41dにインストールすることも可能である。
【0055】
入出力インタフェース41fは、例えばUSB,IEEE1394,RS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース41fには、キーボード及びマウスからなる入力部43が接続されており、ユーザ(看護師又は医師)が当該入力部43を使用することにより、コンピュータ2にデータを入力することが可能である。
【0056】
通信インタフェース41gは、Ethernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ4は、当該通信インタフェース41gにより、所定の通信プロトコルを使用して通信ネットワークNWに接続された受信機3との間でデータの送受信が可能である。
【0057】
画像出力インタフェース41hは、LCD又はCRT等で構成された画像表示部42に接続されており、CPU41aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部42に出力するようになっている。画像表示部42は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0058】
次に、実施の形態1に係る患者異常通知システム1の動作について説明する。図7は、患者異常通知システム1の動作の流れを示すフローチャートである。患者に取り付けられた携帯型発信機2により、患者に作用する加速度が検出されるとともに(ステップS1)、患者の脈波が検出される(ステップS2)。制御部23は、患者の脈波から心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を算出する(ステップS3)。
【0059】
次に、制御部23は、加速度が所定の閾値以下であるか否かを判定し(ステップS4)、加速度が所定の閾値以下である場合には(ステップS4でYes)、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度がそれぞれに対応して予め定められた正常範囲内であるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5において、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度のいずれも正常範囲内である場合には、ステップS1へ処理を戻す。
【0060】
ステップS4において加速度が所定の閾値を超える場合(ステップS4でNo)、又は、ステップS5において心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の少なくともいずれか1つが正常範囲を外れる場合(ステップS5でNo)には、制御部23は、患者の状態に異常が生じたとして、異常検出信号2aを無線通信部24に送信させる(ステップS6)。すなわち、加速度が所定の閾値を超える場合には、患者が転倒したり、ベッドから転落する等、患者の身体が急激に移動したり、患者の身体に過度の衝撃が加わったと考えられる。従って、このような場合には携帯型発信機2から異常検出信号2aが送信される。また、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の少なくともいずれか1つが正常範囲を外れる場合には、その生体的状態(循環器の状態及び呼吸器の状態)が異常な高値又は低値となり、患者の身体に異常が発生したと考えられる。従って、このような場合にも、携帯型発信機2から異常検出信号2aが送信される。そして、ステップS6で異常検出信号2aの送信が行われた後、ステップS1以下の処理を繰り返す。
【0061】
携帯型発信機2から送信された異常検出信号2aは、付近に設置されている受信機3によって受信される(ステップS7)。異常検出信号2aを受信した場合、受信機3の制御部34は、休止状態のカメラを駆動して撮像動作を開始させ(ステップS8)、所定時間(例えば1秒)毎に画像データを取得する(ステップS9)。そして、制御部34は、第1ID情報、前述の第2ID情報、及びカメラ31の撮像画像データを含んだ異常通知信号3aを有線通信部33に送信させる(ステップS10)。制御部34は、異常検出信号2aの受信から所定時間(例えば10分間)経過したか否かを判定し(ステップS11)、所定時間経過していない場合(ステップS11でNo)には、ステップS9以下の処理を繰り返し、この所定時間が経過するまで異常通知信号3aを送信し続ける。異常検出信号2aの受信から所定時間を経過した場合(ステップS11でYes)には、ステップS7へと処理を戻す。
【0062】
受信機3から送信された異常通知信号3aは、ナースステーションに設置されている集中監視装置4によって受信される(ステップS12)。集中監視装置4のCPU41aは、異常通知信号3aを受信した場合には、これに含まれる第1ID情報、第2ID情報を抽出し(ステップS13)、テーブルT1、T2を参照して、第1ID情報に対応する患者氏名、第2ID情報に対応する位置情報を取得する(ステップS14)。次に、CPU41aは、異常通知画面を表示し、また既に異常通知画面を表示している場合には画面を更新する(ステップS15)。図8は、異常通知画面の一例を示す模式図である。図8に示すように、異常通知画面5には、看護師や医師等に異常が生じたことを知らせるメッセージ51と、患者氏名52、異常通知信号3aを送信した受信機3が設置されている位置53、及びカメラ31による撮像画像54が含まれている。看護師や医師は、メッセージ51を確認することにより即座に異常が発生していることを把握することができ、また、患者氏名52及び位置53を確認することにより、どの患者にどの場所で異常が生じたのかを把握することができる。また、撮像画像54を確認することにより、患者の状態を視覚的に把握することができ、これにより、異常の緊急度合い、誤報であるか否かを素早く把握することができる。また、異常通知画面5には、看護師や医師から入力を受け付けることが可能な確認ボタン55が表示される。看護師や医師等は、異常が生じたことを確認し、異常通知画面の表示を終了させる場合には、入力部43を操作してこの確認ボタン55を選択する操作(例えばクリック)を行う。CPU41aは、確認ボタン55を選択する入力を受け付けたか否かを判定し(ステップS16)、入力を受け付けていない場合(ステップS16でNo)には、処理をステップS12へ戻し、最新の異常通知画面に表示を更新する。確認ボタン55が選択された場合(ステップS16でYes)には、処理を終了する。
【0063】
以上に詳述したように、本実施の形態1に係る患者異常通知システム1においては、加速度センサにより患者の動静及び姿勢の状態を示す加速度を検出し、この加速度により患者の物理的状態に異常が生じたか否かを判定するので、例えば患者が転倒したり、ベッドから転落するといった動静又は姿勢の異常を検出することができ、この異常を看護師や医師等に迅速に通知することができる。
【0064】
また、異常が発生した場所をカメラ31により撮像するので、看護師や医師がカメラ31の撮像画像を確認することによって、患者が倒れていること、ベッドから転落していること等を視覚的に把握することができる。また、看護師や医師が異常通知の真偽を判断し易く、そのときどきの状況に応じて適切な対応をとることが可能となる。
【0065】
また、脈波センサ22により、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を算出し、これらに基づいて患者に生体的な異常が生じたか否かを判定するため、きめ細かい異常判定が可能であると共に、携帯型発信機2を小型にすることができ、従って患者が長時間携帯型発信機を装着し続けることができる。
【0066】
また、患者見守りシステム1は、加速度を検出することにより患者の姿勢の状態を取得し、心拍及び血圧を検出することにより患者の循環器の状態を取得し、血中酸素飽和度を検出することにより患者の呼吸器の状態を取得しており、これらの姿勢の状態、循環器の状態、及び呼吸器の状態に異常が生じているか否かを判定する構成としたため、患者の身体を多面的に分析して患者の異常発生を適切に検出することができる。
【0067】
なお、実施の形態1においては、加速度の大きさにより患者の動静又は姿勢に異常が生じたか否かを判定する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、加速度に基づいて患者の移動方向、移動量、及び姿勢を算出し、移動量や姿勢が所定の正常範囲から逸脱する場合に異常であると判定する構成としてもよい。
【0068】
また、実施の形態1においては、受信機3が異常検出信号2aを受信してから所定時間が経過するまでの間、カメラ31を駆動して画像を撮像し、異常通知信号3aを送信する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、看護師や医師が確認ボタン55を選択する操作を行ったときに、集中監視装置4から解除信号を受信機3へ送信し、受信機3がこの解除信号を受信した場合に、カメラ31を休止状態へ移行させ、異常通知信号3aの送信を終了する構成としてもよい。
【0069】
また、実施の形態1においては、脈波センサ22により検出された脈波に基づいて、患者の心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を算出する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、心拍センサ、血圧センサ、及び血中酸素飽和度センサをそれぞれ別個に携帯型発信機2に設けてもよい。また、例えば体温センサや心電センサを携帯型発信機に設け、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度に加えて、検出された体温や心電を所定の正常範囲と比較することにより患者の生体的状態に異常が生じているか否かを判定する構成としてもよい。
【0070】
また、実施の形態1においては、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を用いて患者の生体的状態に異常が生じているか否かを判定する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、平常時の脈波と検出された脈波とを比較するなど、脈波を分析して患者の生体状態に異常が生じているか否かを判定する構成としてもよい。
【0071】
また、検出した生体的状態情報(心拍、血圧、及び血中酸素飽和度)をそれぞれ正常範囲と比較して異常を判定する(絶対値を使用した異常判定)構成について述べたが、これに限定されるものではなく、相対的な異常判定、すなわち、状態情報の変化を捉えて異常を判定する構成としてもよい。例えば、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の測定値を所定時間(例えば10秒前)の測定値と比較し、その変化量が所定の閾値以上である場合には、患者の状態に異常が生じたと判定することにより、相対的な異常判定が可能となる。これにより、絶対値が正常範囲を逸脱してなくても、患者の状態が徐々に変化するような場合(例えば、血圧の絶対値は大きくないが、血圧が徐々に上昇している場合)に、絶対値が正常範囲を超えるよりも前に異常を検出することができ、より早期の対応が可能となる。
【0072】
また、受信機3にカメラ31を設け、異常が生じたと判定された場合には、室内をカメラ31で撮像する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、受信機にカメラを設けず、受信機は集中監視装置へ異常の通知のみを行う構成としてもよい。
【0073】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る患者異常通知システムの概略構成を示す模式図である。本実施の形態2に係る患者異常通知システム101は、各患者に装着される携帯型発信機102と、病棟内の複数箇所に設置される受信機103と、各階のナースセンターに設置される集中監視装置4とを備えている。携帯型発信機2は、患者の物理的状態、すなわち患者の動静及び姿勢を検出することが可能であると共に、患者の生体的状態、すなわち脈波、心拍、血圧(循環器の状態)、及び血中酸素飽和度(呼吸器の状態)を検出することが可能であり、このような患者の状態情報102aを定期的に無線で送信する。受信機103は、病棟内の各部屋(病室、トイレ等)や廊下等の天井や壁に取り付けられており、携帯型発信機2から送信された状態情報102aを受信し、受信した状態情報102aに基づいて、患者に異常が生じているか否かを判定し、異常と判定された場合には、内蔵するカメラ31を駆動して部屋の内部の撮像を開始し、この撮像画像データを含む異常通知信号3aを集中監視装置4へと送信する。なお、その他の構成については、実施の形態1に係る患者異常通知システム1と同様であるので、同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
次に、実施の形態2に係る患者異常通知システム101の動作について説明する。図10は、患者異常通知システム101の動作の流れを示すフローチャートである。ステップS101〜S103は、実施の形態1に示したステップS1〜S3と同様であるので説明を省略する。制御部23は、検出した加速度、心拍、血圧、血中酸素飽和度、及び第1ID情報を含む状態情報102aを無線通信部24に送信させる(ステップS104)。その後、制御部23はステップS1に処理を戻し、定期的に状態情報102aを取得して無線により送信する。
【0075】
携帯型発信機2から送信された状態情報102aは、付近に設置されている受信機3によって受信される(ステップS105)。受信機3の制御部34は、加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度に基づいて、異常が生じたか否かを判定する(ステップS106〜S107)。ステップS106、S107の処理は、処理を実行するのが受信機3の制御部34である他は、実施の形態1で説明したステップS4、S5の処理と同様であるので、その説明を省略する。また、ステップS107において、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度のいずれも正常範囲内である場合には、ステップS105へ処理を戻す。
【0076】
ステップS106において加速度が所定の閾値を超える場合(ステップS106でNo)、又は、ステップS107において心拍、血圧、及び血中酸素飽和度のいずれか1つが正常範囲を外れる場合(ステップS107でNo)には、制御部34は、患者の状態に異常が生じたとして、休止状態のカメラ31を駆動して所定時間撮像し、異常通知信号3aを有線通信部33に送信させる(ステップS108〜S110)。なお、ステップS108〜S110の処理は、実施の形態1において説明したステップS8〜S10の処理と同様であるので、その説明を省略する。すなわち、加速度の所定の閾値を超える場合、又は、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度のいずれか1つが正常範囲を外れる場合には、受信機3が部屋の内部を撮像し、異常通知信号3aを送信する。制御部34は、状態情報102aの受信から所定時間(例えば10分間)経過したか否かを判定し(ステップS111)、所定時間経過していない場合(ステップS111でNo)には、ステップS108以下の処理を繰り返し、この所定時間が経過するまで異常通知信号3aを送信し続ける。状態情報102aの受信から所定時間を経過した場合(ステップS111でYes)には、ステップS105へと処理を戻す。
【0077】
なお、ステップS112〜S116の処理は、実施の形態1で説明したステップ12〜16の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0078】
また、実施の形態2においては、携帯型発信機102で脈波を測定し、この脈波から心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を算出し、加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を含む状態情報102aを送信する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、携帯型発信機2が、測定した加速度と脈波とを含む情報を送信し、この情報を受信機103が受信して、受信機103の制御部34が脈波から心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を算出する構成としてもよい。
【0079】
以上に詳述したように、実施の形態2に係る患者異常通知システム101では、携帯型発信機102が異常の判定を行わず、定期的に加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を含む状態情報102aを送信するだけであるので、制御部23の処理が軽減され、制御部23に用いるCPUやメモリ等を安価なものとすることができる。従って、数多く用意する必要のある携帯型発信機102のコストを抑制することができ、システム全体のコストを低減することができる。
【0080】
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3に係る患者異常通知システムの概略構成を示す模式図である。本実施の形態3に係る患者異常通知システム201は、各患者に装着される第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機202bと、病棟内の複数箇所に設置される受信機3と、各階のナースセンターに設置される集中監視装置4とを備えている。第1携帯型発信機202aは、患者の物理的状態、すなわち患者の動静及び姿勢を検出することが可能であり、このような患者の物理的状態に基づいて、患者に異常が生じているか否かを判定し、異常が生じている場合には異常検出信号2aを無線で送信する。第2携帯型発信機202bは、患者の生体的状態、すなわち脈波、心拍、血圧(循環器の状態)、及び血中酸素飽和度(呼吸器の状態)を検出することが可能であり、このような患者の生体的状態に基づいて、患者に異常が生じているか否かを判定し、異常が生じている場合には異常検出信号2aを無線で送信する。受信機3は、第1及び第2携帯型発信機202a、202bが送信した異常検出信号2aを受信する。なお、その他の構成については、実施の形態1に係る患者異常通知システム1と同様であるので、同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
[第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機202b]
図12は、図11に示す第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機202bが患者に装着されたときの様子を示す模式図であり、図13は、第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機202bの構成を示すブロック図である。図12に示すように、第1携帯型発信機202aは、概ね500円玉程度の大きさの円盤状をなしており、患者の胴体であって動脈付近の体表面(胸部等)にテープ等で貼り付けるようになっている。また、第2携帯型発信機202bは、腕時計状をなしており、患者の腕部に装着される本体部202cと、患者の指に装着されるセンサ部202dとを備えており、本体部202cとセンサ部202dとが信号ケーブルにより接続されている。
【0082】
図13に示すように、第1携帯型発信機202aは、加速度センサ21と、CPU、メモリ等からなる制御部23と、無線通信部24とを備えている。また、この第1携帯型発信機2は、電池を内蔵しており(図示せず)、これによって上述した各部へ電力を供給するようになっている。
【0083】
図13に示すように、第2携帯型発信機202bは、本体部202cに、CPU、メモリ等からなる制御部221と、無線通信部222とを備えており、センサ部202dに、脈波センサ223と、血中酸素飽和度センサ224とを備えている。脈波センサ223は、反射型の光学式センサであり、発光素子と受光素子とが隣接して設けられている。これにより、発光素子から発せられた光が体表付近の動脈で反射・散乱し、その反射・散乱光が受光素子に受光される。また、血中酸素飽和度センサ224は、異なる波長の光を発する2つの発光素子と、これらの発光素子の反対側に設けられた受光素子とを備えている。つまり、2つの発光素子と1つの受光素子とによって患者の指が挟まれた状態となる。これにより、それぞれの発光素子によって発せられた光の透過光が受光素子によって受光される。このような構成によって、公知の手法により脈波及び血中酸素飽和度が取得される。また、第2携帯型発信機202bは、制御部221により、脈波に基づいて心拍、及び血圧が算出される。
【0084】
第1携帯型発信機202aは、制御部23が加速度に基づいて患者に物理的状態の異常が生じたか否かを判定し、異常が判定された場合には、無線通信部24により異常検出信号2aが送信される。また、第2携帯型発信機202bは、制御部221が、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度に基づいて患者に生体的状態(循環器の状態及び呼吸器の状態)の異常が生じたか否かを判定し、異常が判定された場合には、無線通信部222により異常検出信号2aが送信される。このように、実施の形態3においては、実施の形態1における携帯型発信機2の機能が第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機202bに別々に搭載されており、第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機202bがそれぞれ動作することにより、実施の形態1の携帯型発信機2と同様の動作が実現されるようになっている。
【0085】
なお、実施の形態3に係る患者異常通知システム201のその他の動作は、実施の形態1に係る患者異常通知システムの動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0086】
また、実施の形態3においては、第1携帯型発信機202aが患者に物理的状態の異常が発生したか否かを判定し、第2携帯型発信機202bが患者に生体的状態(循環器の状態及び呼吸器の状態)の異常が発生したか否かを判定する構成としたが、これに限定されるものではなく、第1携帯型発信機が加速度センサの検出結果を定期的に送信するとともに、第2携帯型発信機が脈波センサの検出結果を定期的に送信し、受信機がこれらの受信データに基づいて、患者に物理的状態の異常及び生体的状態の異常が発生したか否かを判定する構成としてもよい。
【0087】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る患者異常通知システムは、患者の腕部に装着される単体の第2携帯型発信機302bを備えている。図14は、本発明の実施の形態4に係る第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機302bが患者に装着されたときの様子を示す模式図であり、図15は、第2携帯型発信機302bの構成を示すブロック図である。図14に示すように、第2携帯型発信機302bは、腕時計状をなしており、患者の腕部に装着される。
【0088】
図15に示すように、第2携帯型発信機302bは、CPU、メモリ等からなる制御部321と、無線通信部322と、脈波センサ323と、血中酸素飽和度センサ324とを備えている。脈波・血中酸素飽和度センサは、反射型の光学式センサであり、発光素子と受光素子とが隣接して設けられている。これにより、発光素子から発せられた光が体表付近の動脈で反射・散乱し、その反射・散乱光が受光素子に受光される。このような構成によって、公知の手法により脈波及び血中酸素飽和度が取得される。また、第2携帯型発信機302bは、制御部321により、脈波に基づいて心拍、及び血圧が算出される。
【0089】
なお、実施の形態4に係る患者異常通知システムのその他の構成及び動作については、実施の形態3に係る患者異常通知システム201の構成及び動作と同様であるので、同一の構成要素については同符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
このように構成することにより、第2携帯型発信機302bを腕部だけに装着すればよいので、患者は違和感なく第2携帯型発信機302bを装着することができ、長時間の装着が容易となる。
【0091】
(実施の形態5)
図16は、本発明の実施の形態5に係る患者異常通知システムの概略構成を示す模式図である。本実施の形態5に係る患者異常通知システム401は、各患者に装着される第1携帯型発信機402a及び第2携帯型発信機402bと、病棟内の複数箇所に設置される受信機403と、各階のナースセンターに設置される集中監視装置404とを備えている。第1携帯型発信機402aは、患者の物理的状態、すなわち患者の動静及び姿勢を検出することが可能であり、このような患者の物理的状態を示す物理的状態情報402cを定期的に無線で送信する。第2携帯型発信機402bは、患者の生体的状態、すなわち脈波、心拍、血圧(循環器の状態)、及び血中酸素飽和度(呼吸器の状態)を検出することが可能であり、このような患者の生体的状態を示す生体的状態情報402dを定期的に無線で送信する。受信機403は、病棟内の各部屋(病室、トイレ等)や廊下等の天井や壁に取り付けられており、集中監視装置4とデータ通信可能に接続されている。このような受信機403は、第1携帯型発信機402aから送信された物理的状態情報402c及び第2携帯型発信機402bから送信された生体的状態情報402dを受信し、受信した物理的状態情報402c及び生体的状態情報402dを含む状態情報403aを集中監視装置404へと送信する。集中監視装置404は、受信した状態情報403aに基づいて、患者に異常が生じているか否かを判定し、異常が生じている場合には異常検出信号404aを、異常が検出された状態情報の送信元の受信機403へ送信する。また、受信機403にはカメラ31が設けられており、異常検出信号404aを受信したことをトリガーとしてカメラ31を駆動して部屋の内部の撮像を開始し、この撮像画像データ31aを集中監視装置404へと送信する。集中監視装置404は、表示部441を有しており、看護師や医師に異常を通知するための異常通知画面を表示する。この画面中にはカメラ31の撮像画像が表示され、これにより看護師や医師が患者がどのような状態(倒れている、ベッドから転落している、発作が起こっている等)を即座に確認することができる。また、本実施の形態5に係る患者異常通知システム401においては、集中監視装置404が受信した所定期間の最新の物理的状態情報及び生体的状態情報(例えば、5分前から現在までのデータ)を記憶しておき、表示部442に表示することができる。これによって看護師や医師等が患者の状態をいつでも確認することができ、患者を見守ることができる。
【0092】
[集中監視装置404]
図17は、集中監視装置404の構成を示すブロック図である。図16に示すように、この集中監視装置404はいわゆるキオスク端末として構成されている。つまり、集中監視装置404は、ディスプレイ(表示部)一体型の装置であり、表示部442の画面には入力装置としてタッチパネル443が設けられている(図17参照)。また、図17に示すように、集中監視装置404は、CPU441aと、ROM441bと、RAM441cと、ハードディスク441dと、入出力インタフェース441fと、通信インタフェース441gと、画像出力インタフェース441hとから主として構成されている。CPU441a、ROM441b、RAM441c、ハードディスク441d、入出力インタフェース441f、通信インタフェース441g、及び画像出力インタフェース441hの構成は、実施の形態1で説明したものと同様であり、その説明を省略する。
【0093】
タッチパネル443は、画像表示部442の表面に配置されており、ユーザが画面上を指で触れて位置を指示することが可能である。かかるタッチパネル443は、ユーザから画面上の位置が指示されたときに、この位置を検出して位置情報を入出力インタフェース441fを介してCPUへと送信する。なお、タッチパネル443には、感圧式及び静電容量式のいずれを用いてもよい。このように構成することによって、看護師や医師等が画面に表示されている指示に従って画面を触れるだけで所望の入力を達成することができる。
【0094】
なお、第1携帯型発信機402a及び第2携帯型発信機402b、並びに受信機403の構成は、実施の形態4の第1携帯型発信機302a及び第2携帯型発信機302b、並びに実施の形態1の受信機403の構成と同様であるので、同一構成要素については同符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
次に、実施の形態5に係る患者異常通知システム401の動作について説明する。図18及び図19は、患者異常通知システム401の動作の流れを示すフローチャートである。まず、患者の胴部に取り付けられた第1携帯型発信機402aにより、患者に作用する加速度が検出される(ステップS401)。制御部23は、この第1携帯型発信機402aを特定する第1ID情報をメモリに記憶しており、検出した加速度及び第1ID情報を含む物理的状態情報402cを無線通信部24に送信させる(ステップS402)。その後、制御部23はステップS1に処理を戻し、定期的に物理的状態情報402cを取得して無線により送信する。また、患者の腕部に取り付けられた第2携帯型発信機402bにより、患者の脈波及び血中酸素飽和度が検出される(ステップS403)。制御部321は、前記第1携帯型発信機402bと同一の第1ID情報をメモリに記憶しており、患者の脈波から心拍及び血圧を算出し(ステップS404)、検出した心拍、血圧、血中酸素飽和度、及び第1ID情報を含む生体的状態情報402dを無線通信部322に送信させる(ステップS405)。その後、制御部321はステップS403に処理を戻し、定期的に生体的状態情報402dを取得して無線により送信する。
【0096】
第1携帯型発信機402aから送信された物理的状態情報402c及び第2携帯型発信機402bから送信された生体的状態情報402dは、付近に設置されている受信機403によって受信される(ステップS406)。受信機403の制御部34は、この受信機403を特定する第2ID情報を内蔵するメモリに記憶しており、受信した加速度、心拍、血圧、血中酸素飽和度、第1ID情報、及び第2ID情報を含む状態情報403aを有線通信部33に送信させる(ステップS407)。
【0097】
受信機403から送信された状態情報403aは、ナースステーションに設置されている集中監視装置404によって受信される(ステップS408)。集中監視装置404のCPU441aは、状態情報403aに含まれる第1ID情報、第2ID情報を抽出し(ステップS409)、テーブルT1、T2を参照して、第1ID情報に対応する患者氏名、第2ID情報に対応する位置情報を取得する(ステップS410)。次に、集中監視装置404のCPU441aは、受信した状態情報に含まれる加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度をそれぞれRAM441cに記憶する(ステップS411)。これらの加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度は、RAM441cに所定期間分(例えば5分間)だけ履歴として記憶されるようになっている。
【0098】
次に、CPU441aは、後述する加速度異常判定処理を実行し(ステップS412)、生体状態異常判定処理を実行する(ステップS413)。
【0099】
ここで、加速度異常判定処理について詳しく説明する。図20は、加速度異常判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU441aは、最新の加速度(直前にRAM441cに格納した加速度)が所定の閾値以下であるか否かを判定し(ステップS4121)、加速度が所定の閾値以下である場合には(ステップS4121でYes)、加速度異常判定処理を終了し、処理をステップS413へリターンする。ステップS4121において加速度が所定の閾値を超える場合(ステップS4121でNo)には、CPU441aは、患者の物理的状態(姿勢、動静)に異常が生じたとして、所定の物理的状態異常フラグをセットし(ステップS4122)、加速度異常判定処理を終了し、処理をステップS413へリターンする。
【0100】
次に、生体状態異常判定処理について詳しく説明する。図21は、生体状態異常判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU441aは、最新の心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の所定期間の時系列データ(例えば、10秒前から現在までの時系列データ)を微分して、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の変化度合いを求める(ステップS4131)。次に、CPU441aは、前記所定期間中で最大の心拍の微分値が、予め設定された第1正常範囲内であるか否かを判定し(ステップS4132)、微分値が第1正常範囲を外れる場合には(ステップS4132でNo)、心拍に異常が生じたとして、所定の心拍異常フラグをセットする(ステップS4133)。
【0101】
ステップS4132において心拍の微分値が第1正常範囲内である場合(ステップS4132でYes)、又はステップS4133の処理を終えた場合には、CPU441aは、前記所定期間中で最大の血圧の微分値が、予め設定された第2正常範囲内であるか否かを判定し(ステップS4134)、微分値が第2正常範囲を外れる場合には(ステップS4134でNo)、心拍に異常が生じたとして、所定の血圧異常フラグをセットする(ステップS4135)。
【0102】
ステップS4134において血圧の微分値が第2正常範囲内である場合(ステップ7S4134でYes)、又はステップS4135の処理を終えた場合には、CPU441aは、前記所定期間中で最大の血中酸素飽和度の微分値が、予め設定された第3正常範囲内であるか否かを判定し(ステップS4136)、微分値が第3正常範囲を外れる場合には(ステップS4136でNo)、血中酸素飽和度に異常が生じたとして、所定の血中酸素飽和度異常フラグをセットする(ステップS4137)。ステップS4136において血中酸素飽和度の微分値が第3正常範囲内である場合(ステップS4136でYes)、又はステップS4137の処理を終えた場合には、CPU441aは、生体状態異常判定処理を終了し、処理をステップS414へリターンする。
【0103】
このように、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の微分値(変化度合い)を求め、その微分値が所定の正常範囲を逸脱する場合に異常が生じたと判定することにより、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度に異常が生じて上昇又は低下するときに、その変化を初期の段階で検出することができる。つまり、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の生体状態に異常が生じる際には、それらの生体状態の値は徐々に変化して異常な高値又は低値に至る。従って、異常な高値又は低値になる前に、生体状態の変化を検出することにより、異常の発生をいち早く検出することができる。また、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度等の生体状態の値(絶対値)は、個々の患者によって正常な範囲が異なるため、個々の患者に合わせた正常範囲を設定しなければ正確な異常判定を行うことができない。そこで、上述のように生体状態の変化度合いを求め、その変化度合いを監視して異常を判定することによって、患者個々の特徴によって異常判定が左右されることを防止することができる。例えば、正常な血圧値が比較的高い患者の場合には、血圧値自体はある程度高くても正常であり、正常な血圧値が比較的低い患者の場合には、血圧値自体はある程度低くても正常であるが、両者とも血圧値が変動して上昇する場合には異常であると考えることができる。このように、患者固有の特徴によって異常判定の結果が左右されず、正確な異常判定を行うことができる。
【0104】
次に、CPU441aは、物理的状態異常フラグ、心拍異常フラグ、血圧異常フラグ、及び血中酸素飽和度異常フラグのいずれかがセットされているか否かを判定し(ステップS414)、異常フラグがセットされている場合には(ステップS414でYes)、異常検出信号404aを状態情報403aの送信元の受信機403に送信する(ステップS415)。
【0105】
集中監視装置404から送信された異常検出信号404aは、受信機403によって受信される(ステップS416)。異常検出信号404aを受信した場合(ステップS414でYes)、受信機403の制御部34は、休止状態のカメラを駆動して撮像動作を開始させ(ステップS417)、所定時間(例えば1秒)毎に画像データを取得する(ステップS418)。そして、制御部34は、カメラ31の撮像画像データを有線通信部33に送信させる(ステップS419)。制御部34は、異常検出信号404aの受信から所定時間(例えば10分間)経過したか否かを判定し(ステップS420)、所定時間経過していない場合(ステップS420でNo)には、ステップS418以下の処理を繰り返し、この所定時間が経過するまで撮像画像データを送信し続ける。異常検出信号404aの受信から所定時間を経過した場合には(ステップS420でYes)、ステップS406へと処理を戻す。
【0106】
受信機403から送信された撮像画像データは、集中監視装置404によって受信される(ステップS421)。集中監視装置404のCPU441aは、異常通知画面(図8参照)を表示し、また既に異常通知画面を表示している場合には画面を更新する(ステップS422)。この際、物理的状態異常フラグがセットされている場合には、「姿勢・動静が異常です」というメッセージ51が表示され、心拍異常フラグがセットされている場合には、「心拍が異常です」というメッセージ51が表示され、血圧異常フラグがセットされている場合には、「血圧が異常です」というメッセージ51が表示され、血中酸素飽和度異常フラグがセットされている場合には、「血中酸素飽和度が異常です」というメッセージ51が表示される。これにより、看護師や医師等がどのような異常が生じているのかを即座に把握することができる。また、図示しないが、RAM441cに記憶されている加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の時系列データをグラフ表示等で表示するようにしてもよい。これにより、看護師や医師等は、異常が生じる過程を把握することができ、また異常発生の直前の患者の状態を把握することができる。
【0107】
看護師や医師等は、異常が生じたことを確認し、異常通知画面の表示を終了させる場合には、タッチパネル443を操作して確認ボタン55(図8参照)を選択する操作(確認ボタン55を指で触れる操作)を行う。CPU441aは、確認ボタン55を選択する入力を受け付けたか否かを判定し(ステップS423)、入力を受け付けていない場合(ステップS423でNo)には、処理をステップS421へ戻し、最新の異常通知画面に表示を更新する。確認ボタン55が選択された場合(ステップS423でYes)には、処理をステップS408へ戻す。
【0108】
また、CPU441aは、ステップS414において、物理的状態異常フラグ、心拍異常フラグ、血圧異常フラグ、及び血中酸素飽和度異常フラグのいずれもセットされていない場合には(ステップS414でNo)、集中監視装置404の画面に患者の状態を表示させることができる。この場合には、その時点において、第1携帯型発信機402a及び第2携帯型発信機402bを装着し、加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を測定している患者の氏名のリストが集中監視装置404の画面に表示されている(図示せず)。看護師や医師等は、状態を確認したい患者の氏名を指で触れることにより患者を指定する。CPU441aは、このようにして患者が指定されたか否かを判定し(ステップS424)、患者が指定された場合には(ステップS424でYes)、その患者の加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の時系列データをRAM441cから読み出し、これらの時系列データを画面上(図示せず)に表示(例えばグラフ表示)する(ステップS425)。これにより、そのときの患者の状態を看護師や医師等が把握することができ、患者が見守られる。この画面の表示を終了する場合には、ユーザは、画面上に表示されている終了ボタン(図示せず)を指で触れることで終了を指示する。そして、CPU441aは、表示の終了が指示されたか否かを判定し(ステップS426)、ユーザから表示の終了の指示がされた場合には(ステップS426でYes)、処理をステップS408へ戻す。また、ステップS424において患者が指定されなかった場合にも(ステップS424でNo)、処理をステップS408へ戻す。ステップS426において表示の終了の指示がされていない場合には(ステップS426でNo)、CPU441aは、処理をステップS425へと戻し、加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の時系列データの表示を更新する。
【0109】
また、上述した第1正常範囲、第2正常範囲、第3正常範囲は、患者毎に設定される。患者毎に設定された第1〜第3正常範囲は、患者に対応付けて(つまり、第1ID情報に対応付けて)、テーブルT1に格納される。上述したように、状態情報の微分値を用いて異常判定を行うことにより、個々の患者の特徴に左右されずに異常判定を行うことが可能となるが、このように第1〜第3正常範囲を患者に対応させて設定することにより、状態情報の微分値においても多少は含まれる患者の個々の特徴が考慮され、より正確な異常判定が可能となる。
【0110】
上述したように、集中監視装置404において患者の状態の異常を判定する構成とすることにより、複雑な処理である異常判定が処理能力の高い集中監視装置404にて実行されるので、第1携帯型発信機202a、第2携帯型発信機202b、及び受信機403は簡易な処理のみを行うだけでよく、第1携帯型発信機202a、第2携帯型発信機202b、及び受信機403には処理能力の高い高価なCPU等を用いる必要がない。したがって、数多く必要な第1携帯型発信機202a、第2携帯型発信機202b、及び受信機403のコストが低減され、システム全体のコストを低減することが可能となる。
【0111】
なお、上記の実施形態においては、病棟内で使用する患者異常通知システムについて述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、独居老人の在宅介護に使用する異常通知システムとしてもよい。例えば、介護者である独居老人に携帯型発信機を装着し、独居老人の家屋内に受信機を配置する。受信機は遠隔地にある介護センターや等の施設内や介護者の家屋内に配置された集中監視装置とインターネット等を介して接続される。これにより、携帯型発信機によって検出された各種情報(加速度、血圧、心拍、血中酸素飽和度等)により異常が検出された場合には、介護者に即座に通知されることとなる。介護センターの施設内に集中監視装置が配置されている場合には、介護センターの集中監視装置のオペレータ等が異常通知画面を確認し、担当の介護者に電話等で連絡することで、迅速な対応をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明に係る患者異常通知システムは、例えば転倒したりベッドから転落するなど、患者の動静や姿勢に異常が生じたときに、看護師等に通知することができ、また患者に異常が生じたときに、患者の状態を撮像し、この撮像画像を遠隔地にいる看護師等が確認することができ、さらには、脈波センサによって血圧、心拍、血中酸素飽和度など多様な生体情報を得ることができ、これらの生体情報により患者に異常が生じているか否かをきめ細かく判定することができると共に、患者に装着するセンサを小型化することができるという効果を奏し、患者異常通知システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態1に係る患者異常通知システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す携帯型発信機が患者に装着されたときの様子を示す模式図である。
【図3】図1に示す携帯型発信機の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す受信機の外観を示す斜視図である。
【図5】図1に示す受信機の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示す集中監視装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態1に係る患者異常通知システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】異常通知画面の一例を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る患者異常通知システムの概略構成を示す模式図である。
【図10】実施の形態2に係る患者異常通知システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3に係る患者異常通知システムの概略構成を示す模式図である。
【図12】図11に示す第1携帯型発信機及び第2携帯型発信機が患者に装着されたときの様子を示す模式図である。
【図13】第1携帯型発信機及び第2携帯型発信機の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る第1携帯型発信機及び第2携帯型発信機が患者に装着されたときの様子を示す模式図である。
【図15】第2携帯型発信機の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態5に係る患者異常通知システムの概略構成を示す模式図である。
【図17】実施の形態5に係る集中監視装置の構成を示すブロック図である。
【図18】実施の形態5に係る患者異常通知システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図19】実施の形態5に係る患者異常通知システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図20】加速度異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】生体状態異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
1、101、401 患者異常通知システム
2、102 携帯型発信機
21 加速度センサ
22、223、323 脈波センサ
23、221、321 制御部
24、222、322 無線通信部
3、103 受信機
31 カメラ
32 無線通信部
33 有線通信部
34 制御部
4、404 集中監視装置
4a コンピュータ
41 本体
41a、441a CPU
41b、441b ROM
41c、441c RAM
41d、441d ハードディスク
41e 読出装置
41f、441f 入出力インタフェース
41g、441g 通信インタフェース
41h、441h 画像出力インタフェース
42、442 画像表示部
43 入力部
44 可搬型記録媒体
44a コンピュータプログラム
T1、T2 テーブル
5 異常通知画面
51 メッセージ
52 患者氏名
53 位置情報
54 撮像画像
202a、402a 第1携帯型発信機
202b、402b 第2携帯型発信機
202c 本体部
202d センサ部
224、324 血中酸素飽和度センサ
443 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサと、当該加速度センサの検出結果に基づいて、患者の動静及び/又は姿勢に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、
前記携帯型発信機から発せられた異常検出信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が異常検出信号を受信した場合に、異常通知信号を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、
前記受信機から送信された異常通知信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が異常通知信号を受信した場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、
を備える患者異常通知システム。
【請求項2】
前記携帯型発信機は、患者の胴体に装着可能である請求項1又は2に記載の患者異常通知システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記加速度センサの検出結果に基づいて、患者が転倒したか否か、及び/又は患者がベッドから転落したか否かを判定するように構成されている請求項2に記載の患者異常通知システム。
【請求項4】
前記携帯型発信機は、患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項5】
患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部と、検出された生体的状態に基づいて患者の身体に異常が発生したか否か判定する第2判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第3送信部と、を備え、患者の腕部に装着可能な第2携帯型発信機をさらに備え、
前記第1受信部は、前記携帯型発信機に加え、前記第2携帯型発信機から発せられた異常検出信号を受信するように構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項6】
前記生体的状態検出部は、脈波センサを備える請求項4又は5に記載の患者異常通知システム。
【請求項7】
前記脈波センサは、患者の指部に装着可能である請求項6に記載の患者異常通知システム。
【請求項8】
前記生体的状態検出部は、患者の体温、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の少なくとも1つを検出するように構成されている請求項5乃至7のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項9】
前記受信機は、少なくとも病室内を撮像する撮像部をさらに備え、
前記第2送信部は、前記第1受信部が異常検出信号を受信したときに、前記撮像部の撮像画像を送信するように構成されており、
前記第2受信部は、前記信号受信機から送信された撮像画像を受信するように構成されており、
前記表示部は、前記撮像画像を表示するように構成されている請求項1乃至8のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項10】
前記受信機は、前記異常検出信号を受信するまでは、前記撮像部を休止状態とし、前記異常検出信号を受信したときに、前記撮像部の撮像動作を開始するように構成されている請求項9に記載の患者異常通知システム。
【請求項11】
前記第1送信部は、携帯型発信機を特定する第1特定情報を含んだ異常検出信号を送信するように構成されており、
前記第2送信部は、前記第1特定情報及び受信機を特定する第2特定情報を含んだ異常通知信号を送信するように構成されており、
前記集中監視装置は、前記異常通知信号を受信したときに、当該異常通知信号に含まれる第1及び第2特定情報によって携帯型発信機及び受信機を特定するように構成されている請求項1乃至10のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項12】
前記表示部は、前記異常通知信号を受信したときに、対応する携帯型発信機が装着されている患者名、及び送信元の受信機が設置されている位置を表示する請求項11に記載の患者異常通知システム。
【請求項13】
加速度センサと、当該加速度センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、
前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する第1受信部と、受信した前記情報に基づいて、患者の動静及び/又は姿勢に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常通知信号を送信する第2送信部と、を備え、病棟内の複数の箇所に設置される受信機と、
前記受信機から送信された異常通知信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が異常通知信号を受信した場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、
を備える患者異常通知システム。
【請求項14】
前記携帯型発信機は、患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部をさらに備え、
前記第1送信部は、前記加速度センサの検出結果に加えて、前記生体的状態検出部の検出結果に基づく情報をさらに送信するように構成されており、
前記判定部は、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されている請求項13に記載の患者異常通知システム。
【請求項15】
患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部と、前記生体的状態検出部による検出結果に基づく情報を送信する第3送信部と、を備え、患者の腕部に装着可能な第2携帯型発信機をさらに備え、
前記第1受信部は、前記第2携帯型発信機から発せられた情報をさらに受信するように構成されており、
前記判定部は、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されている請求項13に記載の患者異常通知システム。
【請求項16】
患者の状態を検出する検出部と、検出した状態を示す状態情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、
撮像部と、前記携帯型発信機から発せられた異常検出信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が異常検出信号を受信した場合に、前記撮像部による撮像画像を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、
前記受信機から送信された撮像画像を受信する第2受信部と、前記第2受信部により受信された撮像画像を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、
を備える患者異常通知システム。
【請求項17】
前記受信機は、前記異常検出信号を受信するまでは、前記撮像部を休止状態とし、前記異常検出信号を受信したときに、前記撮像部の撮像動作を開始するように構成されている請求項16に記載の患者異常通知システム。
【請求項18】
患者の状態を検出する検出部と、検出した状態を示す状態情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、
撮像部と、前記携帯型発信機から送信された状態情報を受信する第1受信部と、前記第1受信部が受信した状態情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定部と、患者に異常が発生したと判定された場合に、前記撮像部による撮像画像を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、
前記受信機から送信された撮像画像を受信する第2受信部と、前記第2受信部により受信された撮像画像を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、
を備える患者異常通知システム。
【請求項19】
前記受信機は、前記判定部が患者に異常が発生したと判定するまでは、前記撮像部を休止状態とし、患者に異常が発生したと判定したときに、前記撮像部の撮像動作を開始するように構成されている請求項18に記載の患者異常通知システム。
【請求項20】
前記撮像部は、実質的に病室内の全体を撮像するように構成されている請求項16乃至19のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項21】
患者の指部に装着される脈波センサと、当該脈波センサの検出結果に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、
前記携帯型発信機から発せられた異常検出信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が異常検出信号を受信した場合に、異常通知信号を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、
前記受信機から送信された異常通知信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が異常通知信号を受信した場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、
を備える患者異常通知システム。
【請求項22】
患者の指部に装着される脈波センサと、当該脈波センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、
前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する第1受信部と、受信した前記情報に基づいて、患者の生体的状態に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常通知信号を送信する第2送信部と、を備え、病棟内の複数の箇所に設置される受信機と、
前記受信機から送信された異常通知信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が異常通知信号を受信した場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、
を備える患者異常通知システム。
【請求項23】
加速度センサと、当該加速度センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、
前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する第1受信部と、受信した情報を送信する第2送信部と、を備え、病棟内の複数の箇所に設置される受信機と、
前記受信機から送信された情報を受信する第2受信部と、受信した情報に基づいて、患者の動静及び/又は姿勢に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、
を備える患者異常通知システム。
【請求項24】
前記携帯型発信機は、患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部をさらに備え、
前記第1送信部は、前記加速度センサの検出結果に加えて、前記生体的状態検出部の検出結果に基づく情報をさらに送信するように構成されており、
前記判定部は、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されている請求項23に記載の患者異常通知システム。
【請求項25】
患者の生体的状態を検出する生体的状態検出部と、前記生体的状態検出部による検出結果に基づく情報を送信する第3送信部と、を備え、患者に装着可能な第2携帯型発信機をさらに備え、
前記第1受信部は、前記第2携帯型発信機から発せられた情報をさらに受信するように構成されており、
前記判定部は、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されている請求項23に記載の患者異常通知システム。
【請求項26】
前記第2携帯型発信機は、患者の腕部に装着可能である請求項25に記載の患者異常通知システム。
【請求項27】
前記生体的状態検出部は、脈波センサを備える請求項24乃至26のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項28】
前記脈波センサは、患者の指部に装着可能である請求項27に記載の患者異常通知システム。
【請求項29】
前記生体的状態検出部は、患者の体温、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の少なくとも1つを検出するように構成されている請求項24乃至28のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項30】
前記集中監視装置は、前記第2受信部が受信した情報に基づいて、患者の状態を示す情報を前記表示部に表示するように構成されている請求項23乃至29のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項31】
前記携帯型発信機は、患者の胴体に装着可能である請求項23乃至30のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項32】
前記判定部は、前記加速度センサの検出結果に基づいて、患者が転倒したか否か、及び/又は患者がベッドから転落したか否かを判定するように構成されている請求項31に記載の患者異常通知システム。
【請求項33】
前記集中監視装置は、前記判定部により異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第4送信部をさらに備え、
前記受信機は、前記集中監視装置から送信された異常検出信号を受信する第4受信部と、少なくとも病室内を撮像する撮像部とをさらに備え、
前記第2送信部は、前記第4受信部が異常検出信号を受信したときに、前記撮像部の撮像画像を送信するように構成されており、
前記第2受信部は、前記信号受信機から送信された撮像画像を受信するように構成されており、
前記表示部は、前記撮像画像を表示するように構成されている請求項23乃至32のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項34】
前記受信機は、前記異常検出信号を受信するまでは、前記撮像部を休止状態とし、前記異常検出信号を受信したときに、前記撮像部の撮像動作を開始するように構成されている請求項33に記載の患者異常通知システム。
【請求項35】
前記第1送信部は、前記加速度センサの検出結果に基づく情報とともに、携帯型発信機を特定する第1特定情報を送信するように構成されており、
前記第2送信部は、受信した情報とともに、受信機を特定する第2特定情報を送信するように構成されており、
前記集中監視装置は、前記受信機から受信した第1及び第2特定情報によって携帯型発信機及び受信機を特定するように構成されている請求項23乃至34のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項36】
前記表示部は、前記判定部により異常が発生したと判定された場合に、異常が発生したと判定された携帯型発信機が装着されている患者名、及び送信元の受信機が設置されている位置を表示する請求項37に記載の患者異常通知システム。
【請求項37】
前記判定部は、所定期間中に前記第2受信部が受信した情報に基づいて、患者の状態の時間的変化を取得し、取得した患者の状態の時間的変化に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定するように構成されている請求項23乃至36のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項38】
前記集中監視装置は、前記表示部の画面に取り付けられたタッチパネルをさらに備える請求項23乃至36のいずれかに記載の患者異常通知システム。
【請求項39】
患者の状態を検出する検出部と、検出した状態を示す状態情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、
撮像部と、前記携帯型発信機から送信された状態情報を受信する第1受信部と、前記第1受信部が受信した状態情報を送信する第2送信部と、を備え、少なくとも病室内に設置される受信機と、
前記受信機から送信された状態情報を受信する第2受信部と、前記第2受信部が受信した状態情報に基づいて、患者に異常が発生したか否かを判定する判定部と、患者に異常が発生したと判定された場合に、異常検出信号を送信する第3送信部と、を備える集中監視装置と、
を備え、
前記受信機は、前記集中監視装置から送信された異常検出信号を受信する第3受信部と、前記第3受信部が異常検出信号を受信した場合に、前記撮像部による撮像画像を送信する第4送信部と、をさらに備え、
前記集中監視装置は、前記受信機から送信された撮像画像を受信する第4受信部と、前記第4受信部により受信された撮像画像を表示する表示部と、をさらに備える患者異常通知システム。
【請求項40】
患者の指部に装着される脈波センサと、当該脈波センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、患者に装着可能な携帯型発信機と、
前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する第1受信部と、受信した情報を送信する第2送信部と、を備え、病棟内の複数の箇所に設置される受信機と、
前記受信機から送信された情報を受信する第2受信部と、受信した情報に基づいて、患者の生体的状態に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、
を備える患者異常通知システム。
【請求項41】
加速度センサと、当該加速度センサの検出結果に基づく情報を送信する第1送信部と、を備え、被監視者に装着可能な携帯型発信機と、
前記携帯型発信機から発せられた前記情報を受信する第1受信部と、受信した情報を送信する第2送信部と、を備える受信機と、
前記受信機から送信された情報を受信する第2受信部と、受信した情報に基づいて、被監視者の動静及び/又は姿勢に異常が発生したか否かを判定する判定部と、異常が発生したと判定された場合に、異常の発生を通知するための異常通知画面を表示する表示部と、を備える集中監視装置と、
を備える患者異常通知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−47097(P2008−47097A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147760(P2007−147760)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【出願人】(502204931)シスメックスRA株式会社 (7)
【Fターム(参考)】