説明

情報処理装置および情報処理方法、記録媒体、並びにプログラム

【課題】編集点が決まる前に、編集素材の再符号化を開始する。
【解決手段】編集処理制御部は、アセンブル編集の編集点において、下地の符号化ストリームのデコードを制御するとともに、IN点が決定されるまで、各GOPのエンコードを制御する。編集後ストリーム選択部は、そのGOP内にIN点が無かった場合、エンコードされてメモリ43に保存された、そのGOPの符号化データを廃棄し、そのGOP内にIN点があった場合、エンコードされてメモリ43に保存された、そのGOPの符号化データを編集後の符号化ストリームとして採用する。本発明は、編集装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、編集処理を行う場合に用いて好適な、情報処理装置および情報処理方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの符号化ストリームを接続する編集処理を行うために、編集対象圧縮映像データ1および編集対象圧縮映像データ2のそれぞれにおいて、編集点近傍の部分的なデコードを行い、部分的な非圧縮の映像信号1および映像信号2を得て、所定の編集点で接続した後、その部分の再エンコードが行われ、再エンコードされた圧縮映像データが、デコードおよび再エンコードされていない(部分的なデコードが行われた編集点近傍以外の)圧縮映像データと結合されるようになされている技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−67095号公報
【0004】
上述した特許文献1においては、2つの符号化ストリームの編集点付近を、一旦デコードして接続した後、再びエンコード処理が実行されるようになされているが、例えば、符号化ストリームではなく、ベースバンド入力信号を用いた編集処理が実行される場合が考えられる。
【0005】
図1を参照して、例えば、所定の記録媒体に記録されている編集素材となる第1のストリームをデコードした出力と、ベースバンド入力信号であるSDI入力とを編集点にて接続するアセンブル編集を行い、エンコードして、編集済み状態の符号化ストリームを得る処理について説明する。
【0006】
第1の符号化ストリームは、デコーダに入力されてデコードされる。そして、そのデコーダ出力は、編集点を含むGOPの先頭位置からエンコーダに供給されて、元の符号化ストリームの同一の部分とVBVoccupancy(VBVバッファの占有率)が連続になるようにエンコードが開始される。そして、編集点において、エンコーダへの入力は、SDI入力に切り替えられて、SDI信号が続けてエンコードされる。
【0007】
すなわち、編集点よりも、エンコード開始点が時間的に前となる。
【0008】
次に、図2を参照して、例えば、所定のストリームに記録されている編集素材となる第1のストリームにおいて、IN点およびOUT点で定められる所定の領域に、SDI入力が上書きされるインサート編集が実行されて、編集済み状態の符号化ストリームを得る処理について説明する。
【0009】
IN点における接続は、アセンブル編集と同様に行われる。そして、OUT点に関しては、OUT点を含むGOPの先頭において、第1の符号化ストリームのデコードが開始され、エンコーダへの入力が、編集点において、SDI信号から第1の符号化ストリームのデコーダ出力に切換えられる。そして、上述した特開2006−67095号公報に記載の編集処理における再エンコード処理と同様に、編集点を含むGOPと、必要に応じてそれに続く所定フレーム後のVBVoccupancy目標点までの再エンコード処理は、元の符号化ストリームのVBVoccupancy目標点とVBVoccupancyが連続するように定められたVBVoccupancy目標値に合致するような符号化が実行されるように、発生符号量が合わせ込まれる。
【0010】
インサート編集においても、アセンブル編集と同様にIN点においては、編集点よりも、エンコード開始点が時間的に前であり、また、OUT点においては、編集点よりも、VBVoccupancy合わせ込みエンコード処理の開始点が、時間的に前にある。そして、再エンコードされない第1の符号化ストリームとの接続点は、編集点であるOUT点よりも時間的に後ろである。
【0011】
すなわち、インサート編集において、元の符号化ストリームにデータが上書きされる領域は、IN点およびOUT点により定められる範囲よりも広い領域である。
【0012】
アセンブル編集であっても、インサート編集であっても、編集点を含むGOPのエンコードは、編集点前のGOP切れ目からパラメータが設定されている必要があるため、編集点が予め決まっていない場合、デコードおよびエンコードを開始することはできない。
【0013】
そこで、ベースバンド入力を独立にエンコードして第2の符号化ストリームを生成し、上述した特開2006−67095号公報に記載の編集処理と同様の、ストリーム同士の編集に帰着させる場合について、図3を用いて説明する。
【0014】
編集点を決めるためのモニタリングは、第1の符号化ストリームのデコード出力、及びベースバンド信号であるSDI入力を用いるが、これらのベースバンド信号は、編集点を決めるためだけに独立して用いられる。これらの映像をモニタリングしたオペレータから指令された編集点に基づいて、表示から遅れて、上述した特開2006−67095号公報に記載の編集処理と同様のストリーム同士の編集処理、すなわち、第1の符号化ストリームおよび第2の符号化ストリームのデコードおよび再エンコードが実行される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように、上述した特許文献1に記載の従来の編集処理と再符号化を実行する場合、編集点が予め決まっていなければ、編集素材となる符号化ストリームの再エンコード範囲をできるだけ少なくするように、編集に用いる符号化ストリームのデコードおよび再エンコードが必要な最小の範囲を決めることができなかった。
【0016】
したがって、ベースバンド信号をそのまま編集符号化の素材として利用しようとした場合、任意の編集点に対し、圧縮は時間軸を前に遡って開始する必要があるので、図3を用いて説明した編集処理では、オペレータのモニタリングに対して編集結果がエンコードされるのに時間がかかってしまう。
【0017】
また、上述した特許文献1に記載の従来の編集符号化を実行するためには、ベースバンド信号に対して、圧縮を2度かけることになってしまい、画質的にも、時間的にも不利である。また、ベースバンド入力信号を編集前に圧縮する必要があるので、その圧縮信号を一時保持するための大きな記録領域を有するメモリなどが必要となる。
【0018】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、例えば、MPEG LongGOPで符号化されて記録されているストリームデータに対して、ベースバンド入力された動画信号を接続または上書きする編集処理を行う場合に、編集素材の映像をオペレータがモニタしながら編集点を決定し、従来よりも早く編集結果を構成するストリームデータを得ることができるとともに、編集結果の画像劣化を少なくすることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の側面の情報処理装置は、編集処理を実行する情報処理装置であって、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化する符号化手段と、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とでスイッチングするスイッチング手段と、前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、前記符号化手段により符号化された前記第1の映像信号のうち、前記第1の映像信号から前記第2の映像信号に切換えられる前記編集点を含まない、前記編集点よりも前の前記符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームの生成を制御する編集データ制御手段とを備える。
【0020】
前記第1の映像信号は、符号化ストリームが復号されて得られるベースバンドの映像信号であり、前記第2の映像信号は、ベースバンドの映像信号として入力された信号であるものとすることができる。
【0021】
前記符号化手段による符号化処理を制御する符号化制御手段を更に備えさせるようにすることができ、前記符号化制御手段には、前記第1の映像信号に対応する符号化ストリームの再符号化の開始箇所と終了箇所において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記第1の映像信号の符号化を制御させるようにすることができる。
【0022】
前記符号化制御手段には、前記第1の映像信号のうち、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲の次の前記符号化範囲以降において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記第1の映像信号の符号化を制御させるようにすることができる。
【0023】
前記符号化手段による符号化処理の範囲を決定する符号化範囲決定手段を更に備えさせるようにすることができ、前記符号化範囲決定手段には、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲の次の前記符号化範囲以降において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記符号化手段による前記第1の映像信号の符号化を実行可能であるように、前記符号化手段による前記第1の映像信号の再符号化の終了位置を決定させるようにすることができる。
【0024】
前記第1の映像信号に対応する符号化ストリームには、フレームごとのゼロスタッフに関する情報が付随されているものとすることができる。
【0025】
前記符号化制御手段には、前記第1の映像信号に対応する符号化ストリームに付随されている前記ゼロスタッフに関する情報に基づいて、前記第1の映像信号のうち、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲の次の前記符号化範囲以降において、仮想バッファ占有量におけるゼロスタッフ分の調整により、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記第1の映像信号の符号化を制御させるようにすることができる。
【0026】
本発明の第1の側面の情報処理方法は、編集処理を実行する情報処理装置の情報処理方法であって、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化し、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とでスイッチングし、前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化された前記第1の映像信号のうち、前記第1の映像信号から前記第2の映像信号に切換えられる前記編集点を含まない、前記編集点よりも前の前記符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームの生成を制御するステップを含む。
【0027】
本発明の第1の側面のプログラムは、編集処理の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化する処理を制御し、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とでスイッチングする処理を制御し、前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化された前記第1の映像信号のうち、前記第1の映像信号から前記第2の映像信号に切換えられる前記編集点を含まない、前記編集点よりも前の前記符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームの生成を制御するステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0028】
本発明の第1の側面においては、ベースバンド画像データが所定の符号化範囲ごとに符号化され、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力を受け、符号化されるベースバンド画像データが、第1の映像信号と第2の映像信号とでスイッチングされ、ユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化された第1の映像信号のうち、編集点を含まない、編集点よりも前の符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームが生成される。
【0029】
本発明の第2の側面の情報処理装置は、編集処理を実行する情報処理装置であって、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化する符号化手段と、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングするスイッチング手段と、前記スイッチング手段によりスイッチングされて前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを所定時間遅延させる遅延手段とを備える。
【0030】
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とすることができ、前記遅延手段には、1コマンド遅延分とパラメータ演算のために必要な時間に対応するフレーム数をαとしたとき、前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データをN+αフレームの処理時間だけ遅延させるようにすることができる。
【0031】
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とすることができ、前記遅延手段には、1コマンド遅延分とパラメータ演算のために必要な時間に対応するフレーム数をβとしたとき、前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを(N−1)+βフレームの処理時間だけ遅延させるようにすることができる。
【0032】
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とすることができ、前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の下限値をN´(N´は、正の整数)とすることができ、前記遅延手段には、1コマンド遅延分とパラメータ演算のために必要な時間に対応するフレーム数をβとしたとき、前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを(N+N´−1)+βフレームの処理時間だけ遅延させるようにすることができる。
【0033】
前記符号化手段には、前記第1の映像信号に対応する符号化ストリームの再符号化の開始箇所と終了箇所において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するまで、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲およびそれに続く所定フレーム数の前記第1の映像信号の符号化をくりかえさせるようにすることができ、前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とすることができ、前記所定の符号化範囲に続いて前記符号化手段により符号化される前記所定フレームの数をM(Mは、正の整数)とすることができ、前記遅延手段には、前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを(N+M+1)フレームの処理時間だけ遅延させるようにすることができる。
【0034】
前記第1の符号化手段に供給される前記第1の映像信号に対応するベースバンド画像データを符号化する第2の符号化手段を更に備えさせるようにすることができる。
【0035】
前記第1の符号化手段による符号化処理を制御する制御手段を更に備えさせるようにすることができ、前記第1の符号化手段には、前記制御手段による制御に基づいて、前記編集点を含む所定の区間の符号化処理を行わせるようにすることができ、前記第2の符号化手段には、前記第1の符号化手段により符号化される前記所定の区間の符号化終了予定点に対応する終了予定点対応フレームの符号化の結果得られる仮想バッファ占有量、および、符号化のGOP位相を前記制御手段に通知させるようにすることができ、前記制御手段には、前記第2の符号化手段による通知に基づいて、前記第2の符号化手段による符号化のGOP位相に合致するように、かつ、前記所定の区間の符号化終了予定点の仮想バッファ占有量の目標値が、前記第2の符号化手段による前記終了予定点対応フレームの符号化の結果得られる仮想バッファ占有量となるように、前記第1の符号化手段による符号化処理を制御させるようにすることができる。
【0036】
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とさせるようにすることができ、前記制御手段が、前記第2の符号化手段による通知に基づいて、前記第1の符号化手段による符号化処理のパラメータを演算するために必要な時間と1コマンド遅延分との和に対応するフレーム数をa(aは、正の整数)とさせるようにすることができ、前記第2の符号化手段に前記終了予定点対応フレームが入力されてから、前記制御手段が前記第2の符号化手段による前記通知を取得するまでにかかる時間に対応するフレーム数をb(bは、正の整数)とさせるようにすることができ、前記遅延手段には、前記第1の符号化手段に供給されるベースバンド画像データを(2N+2+a+b)フレームの処理時間だけ遅延させるようにすることができる。
【0037】
本発明の第2の側面の情報処理方法は、編集処理を実行する情報処理装置の情報処理方法であって、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングし、スイッチングされた前記ベースバンド画像データを符号化の前に所定時間遅延したのち、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化するステップを含む。
【0038】
本発明の第2の側面のプログラムは、編集処理の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングするように符号化部へのデータの供給を制御し、スイッチングされた前記ベースバンド画像データを符号化の前に所定時間遅延したのち、ベースバンド画像データが所定の符号化範囲ごとに符号化されるように、符号化処理を制御するステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0039】
本発明の第2の側面においては、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力を受け、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングさせ、スイッチングされた前記ベースバンド画像データを符号化の前に所定時間遅延させ、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化させる。
【0040】
編集装置は、独立した装置であっても良いし、記録装置、記録再生装置、または、情報処理装置の編集処理を行うブロックであっても良い。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、本発明の第1の側面によれば、編集処理を行うことができ、特に、ベースバンド入力された動画信号を接続または上書きする編集処理を行う場合に、編集素材の映像をオペレータがモニタしながら編集点を決定した後、従来よりも早く編集結果を構成するストリームデータを得ることができるとともに、画像劣化を少なくすることができる。
【0042】
また、本発明の第2の側面によれば、編集処理を行うことができ、特に、ベースバンド入力された動画信号を接続または上書きする編集処理を行う場合に、編集素材の映像をオペレータがモニタしながら編集点を決定した後、従来よりも早く編集結果を構成するストリームデータを得ることができるとともに、画像劣化を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書または図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書または図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書または図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0044】
本発明の第1の側面の情報処理装置は、編集処理を実行する情報処理装置であって、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲(例えば、GOP)ごとに符号化する符号化手段(例えば、図19のエンコーダ60)と、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とでスイッチングするスイッチング手段(例えば、図19のスイッチ/エフェクト58)と、前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、前記符号化手段により符号化された前記第1の映像信号のうち、前記第1の映像信号から前記第2の映像信号に切換えられる前記編集点を含まない、前記編集点よりも前の前記符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームの生成を制御する編集データ制御手段(例えば、図20の編集後ストリーム選択部144)とを備える。
【0045】
前記符号化手段による符号化処理を制御する符号化制御手段(例えば、図20のエンコード制御部93)を更に備えることができ、前記符号化制御手段は、前記第1の映像信号に対応する符号化ストリームの再符号化の開始箇所と終了箇所において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量(例えば、VBV占有量)と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記第1の映像信号の符号化を制御することができる。
【0046】
前記符号化制御手段は、前記第1の映像信号のうち、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲の次の前記符号化範囲以降において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量(例えば、VBV占有量)と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記第1の映像信号の符号化を制御することができる。
【0047】
前記符号化手段による符号化処理の範囲を決定する符号化範囲決定手段(例えば、図20の再エンコード範囲決定部142)を更に備えることができ、前記符号化範囲決定手段は、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲の次の前記符号化範囲以降において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量(例えば、VBV占有量)と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記符号化手段による前記第1の映像信号の符号化を実行可能であるように、前記符号化手段による前記第1の映像信号の再符号化の終了位置を決定することができる。
【0048】
本発明の第1の側面の情報処理方法は、編集処理を実行する情報処理装置の情報処理方法であって、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲(例えば、GOP)ごとに符号化し(例えば、図30のステップS65の処理)、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とでスイッチングし(例えば、図31のステップS69の処理)、前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化された前記第1の映像信号のうち、前記第1の映像信号から前記第2の映像信号に切換えられる前記編集点を含まない、前記編集点よりも前の前記符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームの生成を制御する(例えば、図30のステップS67の処理)ステップを含む。
【0049】
本発明の第1の側面のプログラムは、編集処理の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲(例えば、GOP)ごとに符号化する処理を制御し(例えば、図30のステップS65の処理)、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とでスイッチングする処理を制御し(例えば、図31のステップS69の処理)、前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化された前記第1の映像信号のうち、前記第1の映像信号から前記第2の映像信号に切換えられる前記編集点を含まない、前記編集点よりも前の前記符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームの生成を制御する(例えば、図30のステップS67の処理)ステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0050】
本発明の第2の側面の情報処理装置は、編集処理を実行する情報処理装置(例えば、図4の編集装置31または図32の編集装置171)であって、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲(例えば、GOP)ごとに符号化する符号化手段(例えば、図4または図32のエンコーダ60)と、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングするスイッチング手段(例えば、図4または図32のスイッチ/エフェクト58)と、前記スイッチング手段によりスイッチングされて前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを所定時間遅延させる遅延手段(例えば、図4または図32のフレームバッファ59)とを備える。
【0051】
前記第1の符号化手段に供給される前記第1の映像信号に対応するベースバンド画像データを符号化する第2の符号化手段(例えば、図32のエンコーダ183)を更に備えさせるようにすることができる。
【0052】
前記第1の符号化手段による符号化処理を制御する制御手段(例えば、図32のCPU182)を更に備えさせるようにすることができ、前記第1の符号化手段には、前記制御手段による制御に基づいて、前記編集点を含む所定の区間(例えば、ブリッジクリップ)の符号化処理を行わせるようにすることができ、前記第2の符号化手段には、前記第1の符号化手段により符号化される前記所定の区間の符号化終了予定点に対応する終了予定点対応フレームの符号化の結果得られる仮想バッファ占有量、および、符号化のGOP位相を前記制御手段に通知させるようにすることができ、前記制御手段には、前記第2の符号化手段による通知に基づいて、前記第2の符号化手段による符号化のGOP位相に合致するように、かつ、前記所定の区間の符号化終了予定点の仮想バッファ占有量の目標値が、前記第2の符号化手段による前記終了予定点対応フレームの符号化の結果得られる仮想バッファ占有量となるように、前記第1の符号化手段による符号化処理を制御させるようにすることができる。
【0053】
本発明の第2の側面の情報処理方法は、編集処理を実行する情報処理装置の情報処理方法であって、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングし(例えば、図17のステップS16の処理)、スイッチングされた前記ベースバンド画像データを符号化の前に所定時間遅延したのち、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲(例えば、GOP)ごとに符号化する(例えば、図17のステップS18の処理)ステップを含む。
【0054】
本発明の第2の側面のプログラムは、編集処理の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングするように符号化部へのデータの供給を制御し(例えば、図17のステップS16の処理)、スイッチングされた前記ベースバンド画像データを符号化の前に所定時間遅延したのち、ベースバンド画像データが所定の符号化範囲(例えば、GOP)ごとに符号化されるように、符号化処理を制御する(例えば、図17のステップS18の処理)ステップを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0055】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0056】
図4を参照して、本発明の第1の実施の形態である編集装置31の構成について説明する。
【0057】
CPU(Central Processing Unit)41は、ノースブリッジ42に接続され、例えば、HDD(Hard disk Drive)46または記録メディア48に記録されているデータの読み出しなどの処理を制御したり、CPU52が実行する編集処理を制御するための制御信号やコマンドを生成して出力したりする。ノースブリッジ42は、PCIバス(Peripheral Component Interconnect/Interface)44に接続され、例えば、CPU41の制御に基づいて、サウスブリッジ45を介して、HDD46または記録メディア48に記録されているデータの供給を受けて、PCIバス44、PCIブリッジ49を介して、メモリ50、デコーダ54、またはデコーダ55に供給する。また、ノースブリッジ42は、メモリ43とも接続されており、CPU41の処理に必要なデータを授受する。
【0058】
メモリ43は、CPU41が実行する処理に必要なデータを保存する。サウスブリッジ45は、HDD46のデータの書き込みおよび読み出しを制御する。HDD46には、記録メディア48に記録されている圧縮符号化されたインサート編集の対象となる圧縮映像データ(以下、適宜、下地データも称する)の所定の位置に挿入される圧縮映像データ(以下、適宜、上書きデータとも称する)が記録される。
【0059】
また、サウスブリッジ45には、ドライブ47が接続されており、ドライブ47は、記録メディア48から下地データを読み出したり、サウスブリッジ45から供給された下地データや上書きデータを記録メディア48に記録したりする。記録メディア48は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどからなり、インサート編集の対象となる下地データを記録している。
【0060】
PCIブリッジ49は、デコーダ54、デコーダ55への圧縮映像データの供給や、エンコーダ60から供給される編集後の圧縮映像データの取得を制御するとともに、メモリ50のデータの書き込みおよび読み出しを制御したり、PCIバス44およびコントロールバス51のデータの授受を制御する。メモリ50は、PCIブリッジ49の制御に基づいて、HDD46または記録メディア48より読み出された編集素材の符号化ストリームや、エンコーダ60から供給される編集後の圧縮映像データを記憶する。
【0061】
CPU52は、ノースブリッジ42、PCIバス44、PCIブリッジ49、およびコントロールバス51を介して、CPU41から供給された制御信号やコマンドにしたがって、PCIブリッジ49、デコーダ54乃至デコーダ56、スイッチ57、スイッチ/エフェクト58、エンコーダ60、およびスイッチ62が実行する処理を制御する。メモリ53は、CPU52の処理に必要なデータを記憶する。
【0062】
デコーダ54乃至デコーダ56は、CPU52の制御に基づいて、供給された圧縮映像データをデコードし、非圧縮の映像信号(ベースバンドの画像データ)を出力する。また、デコーダ54乃至デコーダ56は、編集装置31に含まれない独立した装置として設けられていても良い。例えば、デコーダ56が、独立した装置として設けられている場合、デコーダ56は、後述する処理により編集されて生成された圧縮映像データの供給を受け、復号し、出力することができるようになされる。デコーダ54の出力は、図示しない第1のモニタに出力されて表示される。
【0063】
スイッチ57は、CPU52の制御に基づいて、デコーダ55から供給されたベースバンドの画像データと、入力端子61を介して入力されるベースバンドの画像データとのいずれかをスイッチ/エフェクトに供給する。スイッチ57の図示しない第2のモニタに出力されて表示される。
【0064】
スイッチ/エフェクト58は、CPU52の制御に基づいて、デコーダ54、または、スイッチ57を介して、デコーダ55もしくは入力端子61から非圧縮の映像信号の供給を受け、CPU52の制御に基づいて、供給される非圧縮の映像信号の出力を切り替える。すなわち、スイッチ/エフェクト58は、供給された非圧縮の映像信号を所定のフレームで結合するとともに、必要に応じて所定の範囲にエフェクトを施して、フレームバッファ(frame buffer)59に供給する。
【0065】
フレームバッファ59は、供給されたベースバンド画像データを所定の一定期間だけ保持し、エンコーダ60に供給する。フレームバッファ59によるバッファリングの期間については後述する。
【0066】
エンコーダ60は、CPU52の制御に基づいて、供給された非圧縮の映像信号をエンコードする。すなわちエンコーダ60は、非圧縮の映像信号をエンコードすることにより、編集後の符号化ストリームを生成する。
【0067】
スイッチ62は、CPU52の制御に基づいて、スイッチ/エフェクト58から出力されるベースバンド画像信号、または、デコーダ56によってデコードされたベースバンド画像信号のいずれかを、外部の図示しない第3のモニタに出力して表示させる。
【0068】
また、入力端子61からは、ベースバンドの画像データであるSDI信号が入力され、スイッチ57を介してスイッチ/エフェクト58に供給される。
【0069】
このように、編集装置31においては、エンコーダ60の入力の前段にフレームバッファ59が挿入されている。これに対して、第1のモニタに出力されるデコーダ54の出力、および、第2のモニタに出力されるスイッチ57の入力は、フレームバッファ59による遅延前のデータである。すなわち、オペレータが第1のモニタおよび第2のモニタにより確認する編集素材の映像に対して、エンコーダ60への入力は、一定時間遅延したものとなる。
【0070】
図5乃至図15を参照して、編集装置31において編集が実行される場合に、フレームバッファ59によるバッファリングによって発生するエンコーダ60への入力信号の遅延時間、および、編集装置31の各部の動作について説明する。
【0071】
図5に示されるように、編集素材である符号化ストリームは、デコーダ54に入力されてデコードされ、そのデコーダ出力は、エンコーダ60に供給される。IN点が指令されたとき、IN点を含むGOPの先頭位置において、元の符号化ストリームの同一の部分とVBVoccupancyが連続になるようにエンコードが実行される。エンコーダ60への入力は、SDI入力に切り替えられて、SDI信号が続けてエンコードされる。
【0072】
そして、OUT点が指令されたとき、OUT点を含むGOPの先頭において、第1の符号化ストリームのデコードが開始され、エンコーダへの入力が、編集点において、SDI信号から第1の符号化ストリームのデコーダ出力に切換えられる。そして、上述した特開2006−67095号公報に記載の編集処理における再エンコード処理と同様に、編集点を含むGOPと、必要に応じてそれに続く所定フレーム後のVBVoccupancy目標点までのエンコード処理は、元の符号化ストリームのVBVoccupancy目標点とVBVoccupancyが連続するように定められたVBVoccupancy目標値に合致するような符号化が実行されるように、発生符号量が合わせ込まれる。
【0073】
オペレータがモニタを確認しながら編集点を決定し、その手前のGOPの切れ目から、VBVoccupancy目標値をはじめとする、正しいパラメータでエンコードを実行するためには、フレームバッファ59によるバッファリングによって発生するエンコーダ60への入力信号の遅延時間が、編集点決定後、設定パラメータを決めたのち、そのGOPの最初のフレームからエンコード開始するために十分な時間であればよい。
【0074】
図6を参照して、アセンブル編集における編集点、および、インサート編集におけるIN点において必要なフレームバッファ59のバッファ容量について説明する。
【0075】
最大GOP長がNの場合、IN点(または編集点、以下同様)がGOPの先頭であったとき、そのGOPの先頭フレームがエンコード開始点であることから、IN点がGOP内のいずれの位置に設定されても、IN点を含むGOPの先頭からIN点までの最大のフレーム数は、(N−1)[フレーム]となる。openGOPの場合、実際のエンコードはIN点を含むGOPの先頭からであるが、参照画入力のために、エンコーダへの信号入力開始は参照画からとなるので、エンコードに参照画入力の1フレーム分の時間が必要となる。また、1コマンド遅延分とパラメータ演算のために時間を必要とするので、この時間に対応するフレーム数をα[フレーム]とすると、フレームバッファ59のバッファ容量を(N−1)+1+α=N+α[フレーム]以上とすれば、編集点決定後、設定パラメータを決め、GOP切れ目からエンコード開始するために十分な時間だけ遅延した接続後のベースバンド画像データが、エンコーダ60に供給される。エンコーダ60におけるエンコードの制約条件は、エンコード開始点におけるVBVoccupancyを、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続させることである。
【0076】
次に、図7を参照して、インサート編集におけるOUT点において必要なフレームバッファ59のバッファ容量について説明する。
【0077】
最大GOP長がNの場合、OUT点がGOP内のいずれの位置に設定されても、OUT点を含むGOPの先頭からIN点までの最大のフレーム数は、最大で(N−1)[フレーム]となる。また、1コマンド遅延分とパラメータ演算のために時間を必要とするので、この時間に対応するフレーム数をβ[フレーム]とすると、フレームバッファ59のバッファ容量を(N−1)+β[フレーム] 以上とすれば、編集点決定後、設定パラメータを決め、GOP切れ目からエンコード開始するために十分な時間だけ遅延した接続後のベースバンド画像データが、エンコーダ60に供給される。
【0078】
そして、エンコーダ60におけるエンコードの制約条件は、OUT点を含むGOPの最後のフレームか、または、その次のGOPのIピクチャまでを、符号化ストリームの再エンコード範囲の終了点とすることと、終了点におけるVBVoccupancyを、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続させることができるように、VBVoccupancy目標値を設定してエンコードを行うことである。
【0079】
OUT点が、インサート処理における下地となっている符号化ストリームにおけるGOP切れ目と重なっていた場合、OUT点のVBVoccupancyをVBVoccupancy目標値としてエンコードが行われる。OUT点が、インサート処理における挿入部分に対応するベースバンド入力データを符号化したときのGOP切れ目と重なっていた場合、OUT点から次のGOPの切れ目までの間を1GOPとして、そのGOPの終端でVBVoccupancyが連続するように、エンコードが実行される。
【0080】
また、アセンブル編集における編集点や、IN点では、上書きデータまたは接続されるデータであるベースバンド入力データのエンコード処理において、任意に最大GOP長(N)以下となるようにGOPを設定してエンコードしていけばよいが、OUT点を含むGOP(OUT点がGOPの切れ目のときは、その次のGOP)では、再エンコードされない場合の元の符号化ストリームにおけるGOP切れ目に合わせてGOPを設定してエンコードを行う必要がある。
【0081】
OUT点を含むGOPを構成するフレームの数は、GOPの最大フレーム数の設定枚数を超えてはならないし、符号化効率が落ち、画質に影響を及ぼす可能性があるため、極端に短いGOPが発生することも避けたい。
【0082】
そこで、インサートされた部分の符号化結果におけるOUT点を含むGOPと、下地となっている符号化ストリームにおけるOUT点後のGOPが、最大GOP数Nを超えている場合、図9に示されるように、その部分は、2つのGOPに分割されるように、エンコーダ60においてエンコードされる。
【0083】
このような処理により、OUT点を含むGOPに含まれているフレーム数が必ずN以下になるようにすれば、フレームバッファ59のバッファ容量として、上述した値を用いることにより、オペレータがモニタに表示される編集素材を確認しながら所望の位置で編集点(IN点またはOUT点)を指令するような場合に、従来と比較して、画質を劣化させずに、迅速に編集処理を行うことが可能となる。
【0084】
また、符号化効率を落とさないために必要な、1GOPに含まれるフレーム数の最小値をN´としたとき、OUT点を含むGOPのフレーム数が、N'に満たない場合は、その前後どちらかのGOPと結合し、結合されたGOPに含まれるフレーム数がN以上となった場合には、GOPに含まれるフレーム数がN´を下回らないように再度GOPを分割することにより、それぞれのGOPに含まれるフレーム数がN´乃至Nの範囲内になるようにする。
【0085】
例えば、OUT点を含むGOPの範囲を、時間的に先の部分、すなわち、インサート編集における下地である符号化ストリーム側に広げる場合、フレームバッファ59のバッファ容量を、上述したように、(N−1)+β[フレーム]とすれば、編集点決定後、設定パラメータを決め、GOP切れ目からエンコード開始するために十分な時間だけ遅延した接続後のベースバンド画像データが、エンコーダ60に供給される。
【0086】
これに対して、OUT点を含むGOPの範囲を、時間的に前の部分、すなわち、インサート編集における上書きデータであるベースバンドデータ側に広げる場合、フレームバッファ59のバッファ容量を、上述したように、(N−1)+β[フレーム]としてしまっては、遅延の時間が足らなくなってしまう恐れがある。
【0087】
ベースバンドデータは編集処理において初めてのエンコードが施されるだけであるのに対し、下地となる符号化ストリームは、少なくとも2回目のエンコードが施されるため、画質劣化を防ぐには、OUT点を含むGOPの範囲を、時間的に前の部分、すなわち、インサート編集における上書きデータであるベースバンドデータ側に広げる方が好適である。
【0088】
OUT点を含むGOPの範囲を、時間的に前の部分、すなわち、インサート編集における上書きデータであるベースバンドデータ側に広げることを考えるならば、フレームバッファ59のバッファ容量を(N+N´−1)+β[フレーム]以上とすれば、図11の上部に示されるように、編集点決定後、設定パラメータを決め、GOP切れ目からエンコード開始するために十分な時間だけ遅延した接続後のベースバンド画像データが、エンコーダ60に供給される。
【0089】
フレームバッファ59のバッファ容量を(N+N´−1)+β[フレーム]以上とすれば、図11の下部に示されるように、OUT点とGOPの切れ目とが重なってしまった場合においても、十分な時間だけ遅延した接続後のベースバンド画像データが、エンコーダ60に供給され、終了点におけるVBVoccupancyを、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続させることができるように符号化処理を行うフレーム数を充分確保することが可能となる。
【0090】
また、例えば、図12に示されるように、インサート編集における下地である符号化ストリームの1GOP中にIN点およびOUT点がいずれも存在した場合、フレームバッファ59のバッファ容量が(N+N´−1)+β[フレーム]以上であれば、OUT点が決定された時点ではまだそのGOPのエンコードは開始されていないので、編集処理を問題なく行うことが可能となる。
【0091】
また、例えば、図13に示されるように、インサート編集における下地である符号化ストリームにおけるOUT点を含むGOPに含まれるフレーム数が最小値のN´であったとしても、編集処理を問題なく行うことが可能となる。
【0092】
すなわち、処理されるストリームの最大GOP長をN[フレーム]、最小GOP長をN'[フレーム]として、(コマンド遅延分+パラメータ演算分)にかかる時間に対応するフレーム処理時間が、IN点におけるα[フレーム]分とOUT点におけるβ[フレーム]分とで等しい値であるとしたとき、フレームバッファ59のバッファ容量を(N+N'−1+β)[フレーム]とすれば、編集点決定後、設定パラメータを決め、GOP切れ目からエンコード開始するために十分な時間だけ遅延した接続後のベースバンド画像データが、エンコーダ60に供給される。
【0093】
なお、(コマンド遅延分+パラメータ演算分)にかかる時間に対応するフレーム処理時間が、IN点におけるα[フレーム]分とOUT点におけるβ[フレーム]分とが等しい値ではなかった場合、フレームバッファ59のバッファ容量は、(N+N'−1+β)[フレーム]と(N−1+α)[フレーム]とのうちの、いずれか大きいほうの値とすればよい。
【0094】
なお、再エンコード区間の終了点におけるVBVoccupancyを、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続させるために、例えば、編集点(OUT点)を含むGOP(または、そのGOPと次のIピクチャまで)のエンコード終了時に、目標VBV占有量よりも占有量が小さくなってしまった場合は、zero stuffによってVBV占有量を連続にすることはできないため、次GOPもエンコード対象として、任意の発生符号調整方法により再エンコードが継続されるようしてもよい。
【0095】
また、再エンコード区間の終了点におけるVBVoccupancyを、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続させるために、再エンコード区間の終了点におけるVBVoccupancyが、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続するまで、エンコードを繰り返す2-path法を用いることにより、VBVoccupancyの連続性を保障するようにしてもよい。2-path法は、エンコードの結果、VBVoccupancyが合わなかった場合、ずれ分を符号配分量から引いて新たに符号配分を設定し、VBVoccupancyが連続するまでエンコードを繰り返し行う方法である。
【0096】
2-path法を行う場合、OUT点以降のデータ、すなわち、インサート処理における下地となっている符号化ストリームは、その都度、HDD46から読み出すようにしても良いが、フレームバッファ59に必要なフレーム分がバッファリングされていれば、データの読み出しを繰り返す必要がなくなり、好適である。
【0097】
具体的には、図15に示されるように、VBV占有量の合わせ込みのために行うエンコードの最小フレーム数は、1GOP分のフレーム数と、次GOPのIピクチャまでのフレーム数との合計値である。従って、GOP先頭からIピクチャまでの最大数をMとすると、1GOPの最大数はNであり、エンコード時に必要となる前方参照画の1フレームを考慮すると、フレームバッファ59のバッファ容量を(N+M+1)[フレーム]とすれば、フレームバッファ59に蓄積されているベースバンド画像信号を用いて、2-path法を実行することができる。
【0098】
したがって、2-path法を行う場合、フレームバッファ59のバッファ容量は、(N+N'−1+β)[フレーム]と(N+M+1)[フレーム]とのうちのいずれか大きい方とすると好適である。
【0099】
図16に、編集装置31のCPU41およびCPU52が有する機能を説明するための機能ブロック図を示す。
【0100】
CPU41は、パラメータ取得部81、ユーザ入力取得部82、IN点/OUT点決定部83、再エンコード範囲決定部84、および、編集処理制御部85の機能を有しており、CPU52は、デコード処理部91、#1スイッチ制御部92、エンコード処理部93、および、#2スイッチ制御部94の機能を有している。
【0101】
パラメータ取得部81は、フレームバッファ59のバッファ容量などの編集装置31において予め決まっているパラメータや、編集される符号化ストリームまたはベースバンド画像データに関するGOP位相やVBV占有量など、処理に必要な各種パラメータを取得する。
【0102】
ユーザ入力取得部82は、図示しない操作入力部から供給される、IN点(編集点を含む)およびOUT点の指令を取得する。
【0103】
IN点/OUT点決定部83は、ユーザ入力取得部82から供給されたユーザの操作入力と、パラメータ取得部により取得された各種パラメータを基に、編集におけるIN点(編集点を含む)およびOUT点を決定し、編集処理制御部85に供給する。ここでは、第1のモニタおよび第2のモニタにより編集素材の映像を確認するオペレータが入力したIN点およびOUT点の指令のタイミングで、略リアルタイムに、スイッチ/エフェクト58のスイッチが切換えられて、フレームバッファ59に出力されるデータが切換えられるものとする。
【0104】
再エンコード範囲決定部84は、ユーザ入力取得部82から供給されたユーザの操作入力と、パラメータ取得部により取得された各種パラメータ、並びに、IN点/OUT点決定部83により決定されたIN点およびOUT点を基に、インサート処理における下地となっている符号化ストリームの再エンコード範囲を決定し、編集処理制御部85に供給する。
【0105】
編集処理制御部85は、IN点/OUT点決定部83により決定されたIN点およびOUT点、並びに、再エンコード範囲決定部84より決定された下地となっている符号化ストリームの再エンコード範囲を基に、デコーダ54乃至デコーダ56、スイッチ57、スイッチ/エフェクト58、エンコーダ60、および、スイッチ62の動作を制御するためのコマンドなどを生成し、ノースブリッジ42、PCIバス44、PCIブリッジ49、および、コントロールバス51を介して、生成したコマンドをCPU52に供給する。
【0106】
デコード処理部91は、編集処理制御部85から供給されたコマンドに基づいて、デコーダ54乃至デコーダ56の動作を制御する。
【0107】
#1スイッチ制御部92は、スイッチ/エフェクト58の動作を制御して、編集点において、ストリームバッファ59に出力するデータを切換えて、データを接続させる。
【0108】
エンコード処理部93は、編集処理制御部85から供給されたコマンドに基づいて、エンコーダ60の動作を制御する。
【0109】
#2スイッチ制御部94は、スイッチ57を制御して、スイッチ/エフェクト58に供給される、例えば、上書き用のデータの切り替えを制御する。
【0110】
次に、図17および図18のフローチャートを参照して、編集装置31が実行する編集処理1について説明する。
【0111】
ステップS11において、CPU41は、HDD(Hard disk Drive)46または記録メディア48に記録されている下地の符号化ストリームを読み出し、ノースブリッジ42およびPCIバス44を介して、PCIブリッジ49に供給する。CPU52は、供給された下地の符号化ストリームを、必要に応じて、一旦メモリ50に蓄積した後、デコーダ54に供給する。デコーダ54は、デコード制御部91の制御に基づいて、供給された下地の符号化ストリームのデコードを開始し、デコードされて生成されたベースバンド信号を、スイッチ/エフェクト58に供給する。
【0112】
ステップS12において、モニタ1およびモニタ2は、遅延前の編集素材の表示を開始し、モニタ3は、スイッチ/エフェクト58の出力、すなわち、遅延前の編集結果の表示を開始する。オペレータは、モニタ1およびモニタ2に表示される映像を観測し、信号を切替えたいタイミングを図示しない操作入力部により指令する。
【0113】
ステップS13において、CPU41のパラメータ取得部81は、下地の符号化ストリームに関するGOP位相情報を取得し、IN点/OUT点決定部83および再エンコード範囲決定部84に供給する。これにより、CPU41は、下地の符号化ストリームのGOPの切れ目を検出することができる。また、CPU41は、フレームバッファ59のバッファ容量も認識しているので、エンコーダ60による再エンコードの開始タイミングを制御することが可能となる。
【0114】
ステップS14において、パラメータ取得部81は、下地の符号化ストリームに関する、GOP切れ目でのVBV占有量を取得し、IN点/OUT点決定部83および再エンコード範囲決定部84に供給する。これにより、例えば、上述した特開2006−67095号公報に記載の技術やその他の公知の技術を用いて、VBVoccupancyを、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続させることが可能となる。
【0115】
ステップS15において、ユーザ入力取得部82は、フレームバッファ59およびエンコーダ60への入力信号を下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号から入力端子61より供給されるベースバンド信号に切替える様に操作入力を受けたか否かを判断する。
【0116】
ステップS15において、フレームバッファ59およびエンコーダ60への入力信号を切換える操作入力を受けていないと判断された場合、操作入力を受けたと判断されるまで、ステップS15の処理が繰り返される。
【0117】
ステップS15において、フレームバッファ59およびエンコーダ60への入力信号を切換える操作入力を受けたと判断された場合、ステップS16において、IN点/OUT点決定部83は、編集におけるIN点を決定し、編集処理制御部85に供給する。編集処理制御部85は、CPU52の#1スイッチ制御部92を制御するための制御信号を生成し、CPU52に供給する。CPU52の#1スイッチ制御部92は、スイッチ/エフェクト58の動作を制御して、編集点において出力するデータを切換えて、フレームバッファ59およびエンコーダ60への入力信号を下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号から入力端子61より供給されるベースバンド信号に切替える、すなわち、下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号と入力端子61より供給されるベースバンド信号を接続させる。フレームバッファ59では、供給されたベースバンド信号がバッファリングされるので、エンコーダ60への入力は、フレームバッファ59のバッファ容量分だけ遅延する。
【0118】
ステップS17において、再エンコード範囲決定部84は、IN点/OUT点決定部83により決定されたIN点の設定位置を検出し、IN点を含むGOPに関してエンコーダ60によるエンコードを開始するためのタイミングを設定する。
【0119】
ステップS18において、編集処理制御部85は、フレームバッファ59によりバッファリングされた、下地の符号化ストリームのIN点を含むGOPの最初のフレームからの、エンコーダ60によるエンコードを制御する制御信号を、CPU52のエンコード制御部93に供給する。エンコード制御部93は、編集処理制御部85から供給された制御信号に基づいて、フレームバッファ59によりバッファリングされた、下地の符号化ストリームのIN点を含むGOPの最初のフレームからの、エンコーダ60によるエンコードを制御する。エンコード制御部93は、基本的に、OUT点を含むGOPまでの間においては、エンコーダ60に対して、任意のGOP長でのエンコードを実行させることが可能である。エンコード制御部93は、例えば、符号化効率ができるだけ高くなるように、1GOPを最大GOP長Nとしてエンコードが実行されるようにしても良い。
【0120】
ステップS19において、CPU41は、PCIブリッジ49、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して供給されるエンコード結果の取得を開始して、メモリ43に供給して保存させる。
【0121】
ステップS20において、ユーザ入力取得部82は、フレームバッファ59およびエンコーダ60への入力信号を、入力端子61より供給されるベースバンド信号から、デコーダ54から出力される下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号に切替える様に操作入力を受けたか否かを判断する。
【0122】
ステップS20において、フレームバッファ59およびエンコーダ60への入力信号を切換える操作入力を受けていないと判断された場合、入力信号を切換える操作入力を受けたと判断されるまで、ステップS20の処理が繰り返される。
【0123】
ステップS20において、フレームバッファ59およびエンコーダ60への入力信号を切換える操作入力を受けたと判断された場合、ステップS21において、IN点/OUT点決定部83は、編集におけるOUT点を決定し、編集処理制御部85に供給する。編集処理制御部85は、CPU52の#1スイッチ制御部92を制御するための制御信号を生成し、CPU52に供給する。CPU52の#1スイッチ制御部92は、スイッチ/エフェクト58の動作を制御して、編集点において出力するデータを切換えて、フレームバッファ59およびエンコーダ60への入力信号を入力端子61より供給されるベースバンド信号から下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号に切替える。すなわち、編集処理制御部85は、入力端子61より供給されるベースバンド信号と下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号を接続させる。フレームバッファ59では、接続されたベースバンド信号と下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号がバッファリングされる。
【0124】
ステップS22において、再エンコード範囲決定部84は、エンコード終了点のストリーム接続位置におけるVBV占有量が一致するように、エンコード処理を制御して、再エンコード終了位置を決定し、決定した再エンコード範囲を、編集処理制御部85に供給する。編集処理制御部85は、エンコーダ60によるエンコードを制御する制御信号を、CPU52のエンコード制御部93に供給する。エンコード制御部93は、編集処理制御部85から供給された制御信号に基づいて、フレームバッファ59によりバッファリングされていた、下地の符号化ストリームのOUT点を含むGOPの最初のフレームからの、エンコーダ60によるエンコードを制御する。
【0125】
ステップS23において、再エンコード範囲決定部84は、エンコーダ60によるエンコードが正しく終了したか否かを判断する。ステップS23において、エンコーダ60によるエンコードが正しく終了していない、すなわち、エンコード終了点のストリーム接続位置におけるVBV占有量が一致していないと判断された場合、処理は、ステップS22に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0126】
ステップS23において、エンコーダ60によるエンコードが正しく終了したと判断された場合、ステップS24において、CPU41は、PCIブリッジ49、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して供給され、メモリ43に保存されている編集された部分のエンコード結果のストリームを、サウスブリッジ45を介してドライブ47に供給し、装着されている記録メディア48の所定の記録領域に記録することにより、編集されていない部分の符号化ストリームとを接続して、処理が終了される。
【0127】
なお、ドライブ47による記録メディア48の記録速度、再生速度が、現在記録再生を実行している符号の速度に比べて十分に大きければ、下地となる符号化ストリームに対応するベースバンド画像データを再生しながら、新規に作成した編集後の符号データを記録メディア48に記録することは可能である。
【0128】
このような処理により、編集素材の映像をオペレータがモニタしながら編集点を決定し、従来よりも早く編集結果を得ることができるとともに、画像劣化を少なくすることができる。
【0129】
なお、終了点におけるVBVoccupancyを、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続させるために、例えば、編集点(OUT点)を含むGOP(または、そのGOPと次のIピクチャまで)のエンコード終了時に、目標VBV占有量よりも占有量が小さくなってしまった場合は、zero stuffによってVBV占有量を連続にすることはできないため、次GOPもエンコード対象として、任意の発生符号調整方法により再エンコードが継続されるようしてもよい。
【0130】
また、終了点におけるVBVoccupancyが、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続するまで、同一の範囲でエンコードを繰り返す2-path法を用いることにより、VBVoccupancyの連続性を保障するようにしてもよい。
【0131】
次に、図19を参照して、本発明の第2の実施の形態である編集装置101の構成について説明する。
【0132】
なお、図4の編集装置31における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0133】
すなわち、図19の編集装置101は、CPU41に代わってCPU121が備えられ、CPU52に代わってCPU122が備えられ、フレームバッファ59が省略されている以外は、基本的に、図4の編集装置31と同様の構成を有している。
【0134】
編集装置101においては、編集点(IN点/OUT点)を指定する操作入力が取得される前に、下地となる符号化ストリームのデコードおよびエンコードを、それぞれのGOP単位で開始しておくようになされている。そして、エンコードされたGOP中に編集点(IN点/OUT点)が無ければ、エンコード結果を破棄するものとする。
【0135】
図20に、編集装置101のCPU121およびCPU122が有する機能を説明するための機能ブロック図を示す。
【0136】
なお、図16の編集装置31における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0137】
すなわち、編集装置101のCPU121は、IN点/OUT点決定部83、再エンコード範囲決定部84、および、編集処理制御部85に代わって、IN点/OUT点決定部141、再エンコード範囲決定部142、編集処理制御部143、および、編集後ストリーム選択部144の機能を有している。また、編集装置101のCPU122は、編集装置31のCPU52と基本的に同様の機能を有している。
【0138】
IN点/OUT点決定部141は、ユーザ入力取得部82から供給されたユーザの操作入力と、パラメータ取得部により取得された各種パラメータを基に、編集におけるIN点(編集点を含む)およびOUT点を決定し、編集処理制御部143、および、編集後ストリーム選択部144に供給する。ここでも、第1のモニタおよび第2のモニタにより編集素材の映像を確認するオペレータが入力したIN点およびOUT点の指令のタイミングで、略リアルタイムに、スイッチ/エフェクト58のスイッチが切換えられて、エンコーダ60に出力されるデータが切換えられるものとする。
【0139】
再エンコード範囲決定部142は、ユーザ入力取得部82から供給されたユーザの操作入力と、パラメータ取得部81により取得された各種パラメータ、並びに、IN点/OUT点決定部141により決定されたIN点およびOUT点を基に、インサート処理における下地となっている符号化ストリームのエンコード結果のうち、再エンコード結果を編集結果として選択する範囲としての再エンコード範囲を決定し、編集処理制御部143、および、編集後ストリーム選択部144に供給する。
【0140】
編集処理制御部143は、IN点/OUT点決定部141により決定されたIN点およびOUT点、並びに、再エンコード範囲決定部142より決定された、下地となっている符号化ストリームのエンコード結果のうちの再エンコード結果を編集結果として選択する範囲としての再エンコード範囲を基に、デコーダ54乃至デコーダ56、スイッチ57、スイッチ/エフェクト58、エンコーダ60、および、スイッチ62の動作を制御するためのコマンドなどを生成し、ノースブリッジ42、PCIバス44、PCIブリッジ49、および、コントロールバス51を介して、生成したコマンドをCPU52に供給する。
【0141】
編集後ストリーム選択部144は、IN点/OUT点決定部141により決定されたIN点およびOUT点、並びに、再エンコード範囲決定部142より決定された下地となっている符号化ストリームのエンコード結果のうちの再エンコード結果を編集結果として選択する範囲に基づいて、PCIブリッジ49、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して供給されるエンコード結果の取得を開始して、メモリ43に保存される再符号化ストリームのうち、破棄される部分と、破棄されずに残されて、ドライブ47に装着されている記録メディア48の所定の記録領域に記録される部分とを選択する。
【0142】
具体的には、編集処理制御部143は、アセンブル編集の編集点において、図21に示されるように、下地の符号化ストリームのデコードを制御するとともに、IN点が決定されるまで、各GOPのエンコードを制御する。編集後ストリーム選択部144は、そのGOP内にIN点が無かった場合、エンコードされてメモリ43に保存された、そのGOPの符号化データを廃棄する。
【0143】
下地の符号化ストリームをデコードしたベースバンド信号を再エンコードした結果は、必ずしもオリジナルと同じデータとはならない。したがって、IN点が定まるまでは、GOPの切れ目のVBVoccupancyの推移は、図22に示されるように、GOPの切れ目において連続性を有するように制御されなければならない。
【0144】
例えば、エンコーダ60によるエンコードをTM5による符号量配分で行っている場合、次GOPに与えられる符号総量は、G=ビットレート×そのGOPのフレーム数N/ピクチャレートとし、Rを、GOP切れ目において、VBVbufferの最大値から下回った値(負数)であるとしたとき、R+Gで表される。その詳細は、例えば、ISO/IEC JTC1/SC29/WG11/ N0400 Test Model 5 の10 RATE CONTROL AND QUANTIZATION CONTROLなどに開示されている。
【0145】
すなわち、TM5による符号量配分において、図22に示されるように、GOPの切れ目においてVBVoccupancyの連続性を有することは、エンコード対象GOPの総符号量計算をする際、オリジナルストリームによるR値を使って符号配分を計算することに対応する。
【0146】
また、インサート編集のIN点に関しては、上述したアセンブル編集と同様の処理が実行される。
【0147】
そして、インサート編集のOUT点に関して、編集処理制御部85は、図23に示されるように、OUT点直後のGOP切れ目、すなわち、OUT点を含むGOPの次のGOPの先頭から、そのGOPの終了点に設定されるVBVoccupancy目標値に対するVBVoccupancy合わせ込みエンコードを実行する。
【0148】
この場合においても、編集装置31における場合と同様に、OUT点を含むGOPのフレーム数(図23中、kで示される範囲のフレーム数)は、最大GOP長Nを超えてはならない。
【0149】
そして、編集装置101においては、編集装置31における場合とは異なり、インサートされるSDI入力(ベースバンド画像データ)をエンコードする場合のGOP位相を、図24に示されるように、下地の符号化ストリームと同じものとする。
【0150】
編集処理制御部143は、パラメータ取得部81により取得された下地の符号化ストリームのGOP位相とGOP長に基づいて、SDI入力をエンコードする場合のGOP位相を、下地の符号化ストリームと同じものとなるように、エンコード制御部93に制御信号を供給する。これにより、任意のOUT点に対して、OUT点を含むGOPの長さは、下地の符号化ストリームにおいて規定されている最大GOP長Nを超えることは無い。
【0151】
そして、ユーザ入力取得部82が、図示しない操作入力部から供給されるOUT点の指令を取得したとき、編集処理制御部85は、パラメータ取得部81により取得された下地の符号化ストリームのGOPの切れ目におけるVBVoccupancyに基づいて、VBVoccupancy目標点に向かってVBVoccupancyを合わせ込むように、エンコード制御部93に制御信号を供給する。
【0152】
図25を用いて、OUT点によって決まる再エンコード範囲の終了点と、VBVoccupancyの合わせ込みについて説明する。
【0153】
編集処理制御部143は、OUT点が決定され、その次のGOP切れ目αからのVBVoccupancy目標値設定が間に合うならば、次のGOP切れ目βのVBVoccupancyを目標値としたレート制御を行って、エンコードを行い、βにおいて、VBVoccupancyが連続性を有するように制御できれば(zero stuffを利用して連続性を有してもよい)そこでエンコードを終了するように、エンコード制御部93に制御信号を供給する。
【0154】
それに対して、βにおいてVBVoccupancyを合わせられない場合、または、αの時点でオリジナルのVBVoccupancyとは値がかけ離れていて、βで合わせる様なレート制御を行った場合に、あまりにも画質が落ちることが明らかと判断された場合、編集処理制御部143は、次のγ以降のGOP切れ目におけるVBVoccupancyを目標値としたエンコードを行うように、エンコード制御部93に制御信号を供給する。
【0155】
このとき、編集処理制御部143は、βでのVBVoccupancyの合わせ込みの結果を待たずに、次のγにおけるVBVoccupancy目標値設定、および、その設定に基づいたエンコード処理の開始を行うようにしても良い。このとき、βにおいてVBVoccupancyが連続性を有するように制御できなかった場合に、次のγにおけるVBVoccupancy目標値設定に基づいたエンコード処理の処理結果を用いるものとし、βにおいてVBVoccupancyが連続性を有するように制御できた場合、βからγのエンコードの結果を破棄するようにすればよい。
【0156】
また、VBVoccupancyの目標値の設定や、その目標値に合致するようにエンコードを実行するための制御については、例えば、上述した特開2006−67095号公報に開示されている技術などを用いても良いし、他の方法を用いるようにしても良い。そして、VBVoccupancyの目標値の設定や、その目標値に合致するようにエンコードを実行するための制御によっては、VBVoccupancyの目標値の設定箇所、すなわち、再エンコードされる範囲の終了点を変更してもかまわない。
【0157】
次に、OUT点決定後の処理について説明する。
【0158】
例えば、図25に示されるように、αを切れ目とするGOP内でOUT点が決定され、OUT点がαとは異なる位置である場合、図26に示されるようにして、エンコード中のストリームのVBVoccupancyが、オリジナルのストリームのα直後のIピクチャにおけるVBVoccupancyよりも小さい場合には、α手前のGOPの最終Bピクチャへのzero stuffによって、VBVoccupancyを合わせ込むことができるので、そこでエンコードを終了することも可能である。
【0159】
図26の下部に示されるように、OUT点がGOPの切れ目αである場合は、その直前のPピクチャ(図26ではP14)は、直後のBピクチャ(図26ではBおよび,B1)とは無関係な画であるため、このPピクチャは、直後のBピクチャの前方参照画とはならない。従って、この先も、再エンコードを続ける必要がある。
【0160】
OUT点がGOPの切れ目αではなく、図中αで示されるよりも時間的に前のGOPの途中のいずれかのポイントである場合、図27Aに示されるように、B0,B1の前方参照画P14が再エンコードされ、B0,B1が再エンコードされないで接続されるよりも、P14,B0,B1が再エンコードされ、後方参照画I2が再エンコードされないで接続される方がSNR的に有利であるので、B0,B1までを再エンコード対象とすると好適である(例えば、特開2006−67095号公報参照)。
【0161】
これに対して、図26の下部に示されるように、OUT点がGOPの切れ目αである場合は、α直後のB0,B1に1回余分にエンコードを行うことによるSNR劣化のことを考慮すると、図27Bに示されるように、GOP切れ目でエンコードを終了ようにしたほうが、画質劣化の防止につながる可能性が高くなる。
【0162】
また、上述したように、OUT点を含むGOPの切れ目αにおいて、GOP切れ目直前のBピクチャでのVBVoccupancyが次GOPのIピクチャのVBVoccupancyよりも、1picture_rate後のVBVoccupancy増加分を加算した状態において大きければ、Bピクチャに関するzero stuffでVBVoccupancyを連続とすることが可能であるので、OUT点を含むGOPの切れ目αにおいてエンコードを終了することが可能である。そのときのVBVoccupancyの推移を図28のAに示す。
【0163】
そして、これに対して、図28のBに示されるように、IピクチャのVBVoccupancyの方が大きかったとしても、図28のCに示されるように、α以降のGOPに含まれるzero stuffを削ることによって、それ以前のVBVoccupancy推移が図中γに示される範囲においてVBV Buffer underflowを起こさないのであれば、OUT点を含むGOPの切れ目αにおいてエンコードを終了させることができる。
【0164】
この場合、VBV_delay値が変更されるので、新たなVBV_delay値を計算し、picture_header内容を書き直す必要がある。
【0165】
また、α以降のGOPに含まれるzero stuffを削ることによりVBV Buffer underflowを起こさないようにするためには、予めGOP毎のzero stuff量を知る必要がある。したがって、このような処理を実行するためには、管理データとして、GOP毎のzero stuffを別途記録しておく必要がある。
【0166】
LongGOPで符号化されたストリームデータの場合、フレーム毎のデータ量が一定ではないため、フレームを指定して再生を開始させたい場合などのために、必ず、フレーム番号と、そのESデータ記録位置とを対応させるテーブルが管理データとして用意されているはずなので、そうしたテーブルに、zero stuff量に関する情報を付加して管理すると好適である。
【0167】
例えば、記録メディア48としてProfessional Disc(商標)が用いられる場合、管理データとして、Picture Pointerという情報が記録メディア48上に記録管理されているので、図29に示されるように、Picture Pointerに従来含まれている情報(図中Xで示される部分)に、そのフレームのzero stuff量を追加して(図中Yで示される部分)、管理データとして利用することが可能である。
【0168】
なお、zero stuff量の情報は、エンコード時にのみエンコーダから出力されるものであるので、編集装置101が、既に符号化されてしまっているデータが記録された記録メディア48に対して編集処理を実行する場合、CPU121は、記録メディア48に記録された符号化ストリームデータを解析し、各フレームのzero stuff量に関する情報を取得するものとする。
【0169】
また、上述したように、編集装置101においては、インサートされるベースバンド信号を符号化する場合、下地の符号化ストリームとGOP位相を合わるようになされている。これにより、VBVoccupancyを合わせ込むためのエンコードを行う範囲の符号が、下地の符号化ストリームと全く同じピクチャタイプとなることから、SNR的にも有効である。
【0170】
次に、図30および図31のフローチャートを参照して、編集装置101が実行する編集処理2について説明する。
【0171】
ステップS61において、CPU121は、HDD(Hard disk Drive)46または記録メディア48に記録されている下地の符号化ストリームを読み出し、ノースブリッジ42およびPCIバス44を介して、PCIブリッジ49に供給する。CPU122は、供給された下地の符号化ストリームを、必要に応じて、一旦メモリ50に蓄積した後、デコーダ54に供給する。デコーダ54は、デコード制御部91の制御に基づいて、供給された下地の符号化ストリームのデコードを開始し、デコードされて生成されたベースバンド信号を、スイッチ/エフェクト58に供給する。
【0172】
ステップS62において、モニタ1およびモニタ2は、編集素材の表示を開始し、モニタ3は、スイッチ/エフェクト58の出力、すなわち、編集結果の表示を開始する。オペレータは、モニタ1およびモニタ2に表示される映像を観測し、信号を切替えたいタイミングを図示しない操作入力部により指令する。
【0173】
ステップS63において、CPU121のパラメータ取得部81は、下地の符号化ストリームに関するGOP位相情報を取得し、IN点/OUT点決定部141および再エンコード範囲決定部142に供給する。これにより、CPU121は、下地の符号化ストリームのGOPの切れ目を検出することができる。
【0174】
ステップS64において、パラメータ取得部81は、下地の符号化ストリームに関する、GOP切れ目でのVBV占有量を取得し、IN点/OUT点決定部141および再エンコード範囲決定部142に供給する。これにより、例えば、上述した特開2006−67095号公報に記載の技術やその他の公知の技術を用いて、VBVoccupancyを、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続させることが可能となる。
【0175】
ステップS65において、編集処理制御部143は、GOP切れ目からの下地の符号化ストリームを制御する制御信号を、CPU122のエンコード制御部93に供給する。エンコード制御部93は、編集処理制御部85から供給された制御信号に基づいて、下地の符号化ストリームのあるGOPの最初フレームからの、エンコーダ60によるエンコードを制御する。CPU121は、PCIブリッジ49、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して供給されるエンコード結果の取得を開始して、メモリ43に供給して一時保存させる。
【0176】
ステップS66において、ユーザ入力取得部82は、エンコーダ60への入力信号を下地の符号化ストリームからベースバンド信号に切替える様に操作入力を受けたか否かを判断する。
【0177】
ステップS66において、エンコーダ60への入力信号を下地の符号化ストリームからベースバンド信号に切替える様に操作入力を受けていないと判断された場合、ステップS67において、編集後ストリーム選択部144は、メモリ43に一時保持されているエンコード結果を破棄し、処理は、ステップS65に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0178】
ステップS66において、エンコーダ60への入力信号を下地の符号化ストリームからベースバンド信号に切替える様に操作入力を受けたと判断された場合、ステップS68において、編集後ストリーム選択部144は、メモリ43に一時保持されているエンコード結果のうちの、IN点を含むGOPの先頭からの蓄積を開始する。
【0179】
ステップS69において、IN点/OUT点決定部141は、編集におけるIN点を決定し、編集処理制御部143に供給する。編集処理制御部143は、CPU122の#1スイッチ制御部92を制御するための制御信号を生成し、CPU122に供給する。CPU122の#1スイッチ制御部92は、スイッチ/エフェクト58の動作を制御して、編集点において出力するデータを切換えて、エンコーダ60への入力信号を下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号から入力端子61より供給されるベースバンド信号に切替える、すなわち、下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号と入力端子61より供給されるベースバンド信号を接続させる。
【0180】
ステップS70において、ユーザ入力取得部82は、エンコーダ60への入力信号をベースバンド信号から下地の符号化ストリームに切替える様に操作入力を受けたか否かを判断する。ステップS70において、エンコーダ60への入力信号をベースバンド信号から下地の符号化ストリームに切替える様に操作入力を受けていないと判断された場合、操作入力を受けたと判断されるまで、ステップS70の処理が繰り返される。
【0181】
ステップS70において、エンコーダ60への入力信号をベースバンド信号から下地の符号化ストリームに切替える様に操作入力を受けたと判断された場合、ステップS71において、IN点/OUT点決定部141は、編集におけるOUT点を検出する。
【0182】
ステップS72において、IN点/OUT点決定部141は、検出されたOUT点を示す情報を、編集処理制御部143に供給する。編集処理制御部143は、CPU122の#1スイッチ制御部92を制御するための制御信号を生成し、CPU122に供給する。CPU122の#1スイッチ制御部92は、スイッチ/エフェクト58の動作を制御して、編集点において出力するデータを切換えて、エンコーダ60への入力信号を入力端子61より供給されるベースバンド信号から下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号に切替える。すなわち、編集処理制御部85は、入力端子61より供給されるベースバンド信号と下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号を接続させる。
【0183】
ステップS73において、再エンコード範囲決定部142は、図24を用いて説明したように、OUT点直後のGOP切れ目、すなわち、OUT点を含むGOPの次のGOPの先頭から、そのGOPの終了点に設定されるVBVoccupancy目標値に対するVBVoccupancy合わせ込みエンコードが実行され、エンコード終了点のストリーム接続位置におけるVBV占有量が一致するように、エンコード処理を制御して、再エンコード終了位置を決定し、決定した再エンコード範囲を、編集処理制御部143に供給する。編集処理制御部143は、エンコーダ60によるエンコードを制御する制御信号を、CPU122のエンコード制御部93に供給する。エンコード制御部93は、編集処理制御部143から供給された制御信号に基づいて、下地の符号化ストリームのIN点を含むGOPの最初のフレームからの、エンコーダ60によるエンコードを制御する。
【0184】
ステップS74において、再エンコード範囲決定部142は、エンコーダ60によるエンコードが正しく終了したか否かを判断する。ステップS74において、エンコーダ60によるエンコードが正しく終了していない、すなわち、エンコード終了点のストリーム接続位置におけるVBV占有量が一致していないと判断された場合、処理は、ステップS73に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0185】
ステップS74において、エンコーダ60によるエンコードが正しく終了したと判断された場合、ステップS75において、CPU41は、PCIブリッジ49、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して供給され、メモリ43に保存されている編集された部分のエンコード結果のストリームを、サウスブリッジ45を介してドライブ47に供給し、装着されている記録メディア48の所定の記録領域に記録することにより、編集されていない部分の符号化ストリームとを接続して、処理が終了される。
【0186】
なお、ドライブ47による記録メディア48の記録速度、再生速度が、現在記録再生を実行している符号の速度に比べて十分に大きければ、下地となる符号化ストリームに対応するベースバンド画像データを再生しながら、新規に作成した編集後の符号データを記録メディア48に記録することは可能である。
【0187】
このような処理により、例えば、第1の実施の形態の編集装置31のようにフレームバッファを設けなくても、編集素材の映像をオペレータがモニタしながら編集点を決定し、従来よりも早く編集結果を得ることができるとともに、画像劣化を少なくすることができる。
【0188】
なお、ここでは、上書きされる符号化ストリームのGOP位相は、下地の符号化ストリームのGOP位相と同一の構成となるように制御される。
【0189】
このように、第1の実施の形態の編集装置31、および、第2の実施の形態の編集装置101のいずれにおいても、ベースバンド信号を、そのまま編集処理に用いるようになされているので、ベースバンド信号を編集前に圧縮する必要がないので、画質の劣化を防止することができるとともに、処理時間も短縮され、その圧縮信号を一時保持するための大きな記録領域を有するメモリなども不必要である。
【0190】
また、上述した説明においては、第2の実施の形態において、上書きされる符号化ストリームのGOP位相は、下地の符号化ストリームのGOP位相と同一の構成となるように制御されるものとして説明したが、第1の実施の形態においても、上書きされる符号化ストリームのGOP位相は、下地の符号化ストリームのGOP位相と同一の構成となるように制御してもよい。
【0191】
ところで、第1の実施の形態および第2の実施の形態を用いて説明した処理により編集が実行された後、編集点の変更を行いたいとしても、ベースバンド信号のIN点前およびOUT点後の部分は素材ストリームとして残されていないため、編集点を容易に変更することができない。
【0192】
例えば、HDD46に予め記憶されていた符号化ストリームを下地データとして、入力端子61から入力されたベースバンド信号を用いて、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態を用いて説明した処理により上書き編集を行った場合、最終的に生成された編集後の符号化ストリームがHDD46に保存される。その後、ベースバンド信号の上書き開始位置を早くしたい、上書き終了位置を遅くしたい、または、異なるタイミングのベースバンド信号に上書きされるデータを変更したいような場合、編集素材として、IN点よりも前、OUT点よりも後のベースバンド信号は記録していないため、ベースバンド信号を再取得し、再度編集処理を行わなければならない。
【0193】
このように編集を繰り返すことにより、編集位置によっては、複数世代の世代落ちが発生してしまう恐れがある。
【0194】
そこで、編集素材としてのベースバンド信号を編集に用いるとともに、ベースバンド信号の符号化処理を実行して、再度編集処理が行われたときに利用可能なストリームデータを生成しておくものとすると好適である。
【0195】
そこで、本発明の第3の実施の形態として、図32を参照して、編集素材としてのベースバンド信号を編集に用いるとともに、ベースバンド信号の符号化処理を実行する編集装置171について説明する。
【0196】
なお、図4の編集装置31における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0197】
すなわち、図32の編集装置171は、CPU41に代わってCPU181が備えられ、CPU52に代わってCPU182が備えられ、フレームバッファ59に代わってフレームバッファ184が備えられ、入力端子61から入力されるベースバンド信号をエンコードして、PCIブリッジ49に供給するエンコーダ183が新たに備えられている以外は、基本的に、図4の編集装置31と同様の構成を有している。
【0198】
CPU181は、CPU41が有する機能に加えて、入力端子61から入力されるベースバンド信号のエンコーダ183によるエンコード処理の制御、エンコーダ60によるエンコードの範囲の設定、および、編集処理が行われた部分のストリームと、編集処理が行われていない編集下地のストリームと、ベースバンド信号がエンコーダ183によってエンコードされたストリームとの接続の制御の機能を有するものである。
【0199】
CPU182は、CPU52が有する機能に加えて、入力端子61から入力されるベースバンド信号のエンコーダ183によるエンコードを制御するとともに、エンコーダ183によるエンコードの結果得られる符号化ストリームのGOP位相およびVBVoccupancyの値を取得し、これを基に、エンコーダ60の処理を制御するものである。
【0200】
エンコーダ183は、入力端子61から供給されたベースバンド信号をエンコードするものである。エンコーダ183では、最良と考えられる任意GOP位相でエンコードが実行される。エンコーダ183によりエンコードされた編集素材のベースバンド信号に対応する符号化ストリーム、および、各フレームのVBVoccupancy等の管理データは、PCIバス44、ノースブリッジ42、および、サウスブリッジ45を介して、HDD46に供給され、格納される。更に、エンコーダ183は、エンコードの結果得られる符号化ストリームのGOP位相およびVBVoccupancyの値を少なくとも含む情報を、コントロールバス51を介して、CPU182に供給する。
【0201】
フレームバッファ184は、供給されたベースバンド画像データを所定の一定期間だけ保持し、エンコーダ60に供給する。フレームバッファ184によるバッファリングの期間は、バッファリング前のデータを表示させるモニタ1乃至モニタ3を参照したユーザなどによりIN点やOUT点の指定を受けた後、編集処理を行うためにエンコーダ60によりエンコードされるデータの範囲を決定することが可能である期間であり、かつ、エンコーダ183によるエンコード結果をエンコーダ60によるエンコード処理のパラメータの決定に利用することが可能である期間である。その詳細については後述する。
【0202】
次に、図32の編集装置171の動作について説明する。
【0203】
ユーザにより、編集処理の開始が指令され、HDD46に格納されているストリームデータの中から、編集下地として用いるストリームデータの選択を受けたとき、CPU181は、各部を制御して、選択されたストリームをHDD46から読み出して、サウスブリッジ45、ノースブリッジ42、PCIバス44、および、PCIブリッジ49を介して、デコーダ54、またはデコーダ55に供給する。
【0204】
デコーダ54、またはデコーダ55に供給されたデータは、デコードされて、スイッチ/エフェクト58に供給される。ここでは、編集下地として用いられるストリームデータは、デコーダ54に供給されてデコードされた後、モニタ1により表示されるとともに、スイッチ/エフェクト58に供給されるものとする。
【0205】
そして、入力端子61から入力されたベースバンド信号(SDI入力)は、スイッチ57を介して、モニタ2により表示されるとともに、スイッチ/エフェクト58に供給され、更に、エンコーダ183に供給されてエンコードされる。エンコーダ183によりエンコードされて生成されたベースバンド信号に対応するストリームは、PCIブリッジ49に供給されて、メモリ50に一旦格納された後、更に、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して、メモリ43に供給されて、編集処理に用いられるとともに、更に、サウスブリッジ45を介して、HDD46に供給され、編集点の変更などの再編集に用いることができるように、格納される。
【0206】
スイッチ/エフェクト58に供給されるデータ、および、スイッチ/エフェクト58からの出力データは、モニタ1乃至モニタ3に表示される。表示されているのは、いずれも、フレームバッファ184によるバッファリング前のデータである。
【0207】
スイッチ/エフェクト58から出力される信号は、予め決められたタイミングで切り替わるか、または、モニタ1乃至3を監視しているユーザによって任意のタイミングで切替えられる。この切り替わりタイミングが編集点である。
【0208】
図33を参照して、編集処理の例について説明する。図33においては、IN点で、メインストレージとして用いているHDD46に記憶されているストリーム1から、SDI入力、すなわち、入力端子61から入力されたベースバンド信号につなげ、OUT点で、ベースバンド信号からHDD46に記憶されているストリーム2につなげる、すなわち、上述したアセンブル編集を2回繰り返す編集処理が実行されている。ここで、ストリーム1とストリーム2とが同一のストリームであるとき、図33に示される編集処理は、上述したインサート編集となる。
【0209】
上述したように、編集装置171は、編集点においてベースバンド信号を接続してエンコード処理を行うことにより生成されたブリッジクリップと、そのブリッジクリップの前後に接続されるストリームとを接続するためのスプライシング処理を実行することが可能であり、ブリッジクリップの生成に用いるためのエンコーダ60と、編集素材として用いたベースバンド入力であるSDI入力をエンコードしてHDD46に保持させるために用いるエンコーダ183の2つのエンコーダを有している。
【0210】
エンコーダ183は、HDD46に記憶されているストリーム1やストリーム2とは無関係に、任意位相、このシステムで利用可能な最大のGOP長、または、所定のGOP長でベースバンド信号をエンコードする。
【0211】
図33に示されるようにして編集処理を行いつつ、再編集を行うために供給されたベースバンド信号をエンコードして保持しておきたい場合、単純に考えると、ベースバンド信号を一旦エンコードしてストリーム化してから、編集のために必要な部分だけ、デコードおよびエンコードを行えばよいのであるが、その場合、例えば、IN点から図中βまたはγで示される部分や、図中εまたはδからOUT点で示される部分など、再度エンコードされる範囲のベースバンド信号は、1世代、世代落ちしてしまう。そこで、編集装置171においては、編集処理を行う部分については、ベースバンド信号をエンコードすることなくそのまま用いるとともに、編集処理とは独立して、ベースバンド信号のエンコード処理を実行するものとする。
【0212】
したがって、SDI入力は、上述した編集装置31における場合と同様にして、スイッチ57を介して、スイッチ/エフェクト58に供給されて、ストリーム1またはストリーム2をデコードした出力と接続されるとともに、その編集処理とは独立して、エンコーダ183により、任意の初期位相で、任意のフレーム周期でエンコードされてPCIブリッジ49に供給され、素材ストリームとして、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して、メモリ43に供給されるとともに、サウスブリッジ45を介して、HDD46に供給され、記録される。
【0213】
上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、IN点とOUT点の間のベースバンド信号は、連続してエンコーダ60に供給されてエンコードされ、編集後のストリームが生成されるようになされているが、編集装置171においては、エンコーダ183において編集処理とは独立してベースバンド信号のエンコード処理が実行されているので、エンコード処理が重複しないように、IN点とOUT点の間に対応する編集後のストリームのうちの一部に、エンコーダ183により生成されたストリームを用いることができる。
【0214】
このとき、編集後のストリームにおいて、IN点およびOUT点付近でエンコーダ60によりエンコードされる部分をブリッジクリップ(BridgeClip)と称するものとする。
【0215】
また、エンコーダ60でエンコードされたブリッジクリップの部分と、エンコーダ183によりエンコードされた部分とを、編集後の符号化ストリームとして連続して再生可能にするためには、ブリッジクリップとエンコーダ183によりエンコードされた部分との接続部分において、VBVoccupancyを連続させ、GOP位相を合わせる必要がある。
【0216】
なお、エンコーダ60でエンコードされたブリッジクリップの部分と、ストリーム1およびストリーム2との接続部分の処理は、上述した第1の実施の形態における場合と同様にして実行される。
【0217】
ユーザが、モニタ1に表示されるストリーム1と、モニタ2に出力されるベースバンド入力とを参照して、IN点を指令するようになされている場合、IN点を含むブリッジクリップ開始点は、エンコーダ60によるエンコードの開始前に求めなくてはならない。ブリッジクリップ開始点は、基本的には、上述した再エンコード範囲の開始点と同一となり、例えば、図33においては、図中αで示されるように、IN点を含むGOPの先頭となる。
【0218】
すなわち、フレームバッファ184は、少なくとも、IN点とブリッジクリップ開始点(α)との間のフレームを保持して、エンコーダ60への信号の供給を遅延させる必要がある。また、このとき、フレームバッファ184には、コマンド遅延分とパラメータ演算のために必要な時間を稼ぐための容量も更に必要である。
【0219】
更に、フレームバッファ184は、スイッチ/エフェクト58において接続されたデータをエンコーダ60でエンコードした部分とその前後の部分とを接続するスプライシング動作を実行するために、ブリッジクリップの範囲におけるVBV目標値、即ち、ブリッジクリップの終了予定点であるブリッジクリップ終了予定点のVBVoccupancyの値が、エンコーダ183によるエンコードの結果得られるまでの時間を稼ぐ必要がある。IN点を含むブリッジクリップ終了予定点は、入力端子61から入力されたベースバンド信号がエンコーダ183によりエンコードされて生成されるストリームのGOP位相において、IN点に対応する部分を含むGOPの切れ目、または、その次のB1ピクチャであり、図33においては、例えば、図中βで示される点となる。そして、ブリッジクリップ終了予定点のVBVoccupancyの値は、エンコーダ183における対応する部分のVBVoccupancyの値である。また、ブリッジクリップの範囲は、エンコーダ60によるエンコードの結果、延長される場合がある。その場合、ブリッジクリップ終了予定点は、例えば、エンコーダ183によるエンコードにおけるGOP位相における次のGOPの切れ目、または、その次のB1ピクチャとなり、図33においては、例えば、図中γで示される点となる。
【0220】
そこで、編集装置171においては、スイッチ/エフェクト58から出力される接続後のデータをフレームバッファ184によって所定期間遅延させることにより、エンコーダ183によるエンコード結果をエンコーダ60によるエンコード処理に反映させ、BridgeClip前後の接続部分においてストリームを連続して再生可能なものとする。
【0221】
エンコーダ183は、入力端子61から入力されるベースバンド信号の符号化処理に関する情報を、コントロールバス51を介して、CPU182に供給する。ベースバンド信号の符号化処理に関する情報には、少なくとも、GOP位相と、VBVoccupancyに関する情報が含まれているが、それ以外にも、例えば、Qマトリクスなどの他の符号化パラメータをCPU182に供給するようにしてもよい。また、エンコーダ183は、符号化されたストリームとともに、符号化処理に関する情報を、PCIブリッジ49に供給して、メモリ50に格納させるとともに、PCIバス44、ノースブリッジ42、および、サウスブリッジ45を介して、HDD46に供給して記憶させる。ベースバンド信号の符号化処理に関する情報をHDD46に記憶させることにより、編集点の変更などによる再編集処理で、入力端子61から入力されるベースバンド信号に対応する符号化ストリームが利用されるとき、その符号化に関する情報を、編集処理に利用することができる。
【0222】
そして、CPU182は、エンコーダ183から供給されたベースバンド信号の符号化処理に関する情報に基づいて、エンコーダ60によるエンコードを制御する。
【0223】
すなわち、ユーザがモニタの表示をみながら編集点を指令するマニュアル編集であれ、予め編集点が決まっている場合であれ、IN点が定まった時点では、ブリッジクリップの開始点や、ブリッジクリップ生成のためのブリッジクリップ終了予定点における目標VBVoccupancyを定めることはできない。また、エンコーダ60においてエンコードされたブリッジクリップとエンコーダ183によりエンコードされたストリームと接続したときに、接続点を含むGOPが極端に長くなったり、短くなってしまうことを避けたい。このため、CPU182は、エンコーダ183によりエンコードされたストリームのGOP位相が分かり、接続点における目標VBVoccupancyが定まった後に、ブリッジクリップのエンコード処理の開始点まで遡って、エンコーダ60によるエンコードを開始させる必要がある。
【0224】
これらの条件に基づくと、フレームバッファ184は、エンコーダ183によるエンコードの最大GOP長をNとして、(2N+X)フレーム程度の容量を持てば、ブリッジクリップとエンコーダ183によりエンコードされた部分とを、ブリッジクリップとの接続部分において、VBVoccupancyが連続し、GOP位相が合致するようにエンコードすることができる。ここで、Nは、1GOPが有するフレーム数であり、Xの値については、後述する。
【0225】
エンコーダ60は、CPU182の制御に基づいて、フレームバッファ184により所定フレーム数遅延されたデータをエンコードし、PCIブリッジ49に供給する。エンコードの開始点におけるVBVoccupancyの制御は、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に、下地ストリームにあわせて行われるものである。また、エンコーダ60は、CPU182の制御に基づいて、目標VBVoccupancyに合致するように、上述した場合と同様にして、必要に応じてブリッジクリップの範囲を延長することや、ブリッジクリップ内のエンコードを再度実行する2パスエンコードを実行することが可能である。
【0226】
ここで、IN点を含むブリッジクリップ終了予定点(β)は、基本的には、エンコーダ183によるエンコードにおいて、IN点に対応するフレームを含むGOPの最後のフレーム、または、その次のB1ピクチャである。エンコーダ60は、CPU182から、コントロールバス51を介して、ブリッジクリップ終了予定点(β)に対応するフレームの、エンコーダ183によるエンコード結果におけるVBVoccupancyの値を取得し、これを目標値として、エンコードを行うことができる。なお、エンコード範囲が延長することなどにより、ブリッジクリップ終了予定点が(γ)となった場合であっても、エンコーダ60は、CPU182から、コントロールバス51を介して、ブリッジクリップ終了予定点(γ)に対応するフレームの、エンコーダ183によるエンコード結果におけるVBVoccupancyの値を取得し、これを目標値として、延長された部分のエンコードを行うことができる。
【0227】
また、例えば、IN点を含むブリッジクリップの範囲の延長が続き、ブリッジクリップがOUT点を含むブリッジクリップまで伸びる場合も考えられる。OUT点を含むブリッジクリップの終了予定点におけるVBVoccupancyの目標値は、ストリーム2が予めHDD46に保存されているストリームであることから、エンコーダ183によるエンコード処理を待つことなく、既知である。したがって、このような場合であっても、フレームバッファ184が、エンコーダ183によるエンコードの最大GOP長をNとして、(2N+X)フレーム程度の容量を有するのであれば、エンコーダ60は、OUT点が定まった段階で、OUT点後のブリッジクリップ終了予定点である図中ζで示される点のVBVoccupancyの値を、VBVoccupancyの目標値として、CPU182からコントロールバス51を介して取得することができるので、処理は破綻しない。
【0228】
もちろん、IN点を含むブリッジクリップ終了点がOUT点を含むブリッジクリップにかからない場合、すなわち、図中βやγで示される点などにおいてIN点を含むブリッジクリップが終了する場合、ブリッジクリップのエンコードが終了した後、エンコーダ60へのベースバンド信号の供給およびエンコード処理が終了される。そして、OUT点を含むブリッジクリップの開始点は、エンコーダ183によるエンコード処理の位相にあわせて設定され、フレームバッファ184へのバッファリングおよびエンコーダ60によるエンコード処理が開始されて、OUT点において、フレームバッファ184への入力が、ストリーム2へ切換えられ、ストリーム2の対応する部分のエンコードが実行される。
【0229】
そして、PCIブリッジ49は、IN点およびOUT点を含むブリッジクリップの部分がエンコーダ60によりエンコードされたストリームとの供給を受け、一旦メモリ50に格納したのち、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して、メモリ43に供給する。
【0230】
例えば、図33において、IN点を含むブリッジクリップが図中αからγで示される部分であり、OUT点を含むブリッジクリップが図中εからζで示される部分である場合、編集後のストリームは、HDD46に記録されていたストリーム1の図中αで示される点より前の部分と、図中αからγで示されるブリッジクリップがエンコーダ60によりエンコードされたストリームと、図中γからεで示されるベースバンド信号がエンコーダ183によりエンコードされたストリームと、図中εからζで示されるブリッジクリップがエンコーダ60によりエンコードされたストリームと、HDD46に記録されていたストリーム2の図中ζで示される点より後ろの部分とから構成される。
【0231】
すなわち、エンコーダ60は、ブリッジクリップに対応する部分のみエンコード処理を実行する。
【0232】
このようにして、素材としてのベースバンド信号を最大符号化効率で符号化して格納しつつ、上述した第1の実施の形態と同様にして編集処理を行い、IN点とOUT点に挟まれた部分のエンコード処理が重複しないようにすることができる。このようにすることにより、編集処理を、世代落ちをできるだけ防止しつつ実行することができるとともに、後々の編集点変更にも対応可能となる。
【0233】
次に、図34乃至図45を参照して、エンコーダ183によるSDI入力信号のエンコードと、エンコーダ60によるブリッジクリップのエンコードのタイミングの差として必要な最小の値、すなわち、フレームバッファ184に求められるバッファ容量の最小値の詳細について、編集点の設定の各種のパターンにおける場合を例として説明する。
【0234】
まず、図34を参照して、IN点が、SDI入力をエンコーダ183においてエンコードした時のGOP位相におけるGOP切れ目と一致した場合について説明する。
【0235】
IN点を含むブリッジクリップのエンコード開始点は、IN点である図中βで示される点とストリーム1のGOP切れ目が一致しない場合、IN点より前に存在するストリーム1のGOP切れ目αからとなる。αからのエンコード開始にあたって、前方参照画の入力が必要であるので、エンコーダ60への入力はαの1フレーム前から開始される。そして、IN点を含むブリッジクリップのエンコード範囲は、IN点がSDI入力のGOP切れ目の場合、その直後のB0ピクチャおよびB1ピクチャの前方参照画はSDI入力のGOP切れ目の直前の画となることから、SDI入力のGOP切れ目βの先のB1ピクチャまでとなる。すなわち、IN点を含むブリッジクリップのエンコード終了点における目標VBVoccupancy値は、GOP切れ目βの後のコーディック順で最初のPピクチャの開始位置、即ち、B1ピクチャまでエンコードが終了した後に決まる。したがって、最長ではGOP切れ目βから3フレーム分の余裕が必要となる。
【0236】
なお、エンコードの範囲をGOP切れ目までではなく次のB1ピクチャまでとする技術についての詳細は、例えば、特開2006-67095号公報に記載されている。
【0237】
図34においては、Nは、エンコーダ183におけるエンコードの最大GOP長であり、aは、コマンド実行マージン時間(1コマンド遅延に対応する時間)とCPU182から供給された目標VBVoccupancy値に基づいてエンコードパラメータを計算する時間をフレーム数で表した値であり、bは、エンコード結果を知りたいフレームがエンコードされるのに必要なフレーム入力が終了してからエンコード結果を知りたいフレームのエンコードが終了し、目標VBVoccupancyを知るまでの時間をフレーム数で表した値である。
【0238】
αからβまでが最も長いとき、αからβは、N−1フレームとなる。したがって、フレームバッファ184には、1+(N−1)+3+a+b=N+3+a+bフレーム分の容量が必要である。
【0239】
次に、図35を参照して、IN点がストリーム1のGOP切れ目となる場合について説明する。
【0240】
この場合、IN点を含むブリッジクリップのエンコード開始は、SDI入力のIN点からとなる。そして、IN点を含むブリッジクリップのエンコード範囲は、そのGOPの次のGOPのB1ピクチャまでであるとしても良いし、GOP切れ目までとしても良い。IN点を含むブリッジクリップのエンコード範囲を次のGOPのB1ピクチャまでであるとした場合、IN点を含むブリッジクリップのエンコード終了点における目標VBVoccupancy値は、図34における場合と同様にして、GOP切れ目βの後のコーディック順で最初のPピクチャの開始位置となるので、最長ではGOP切れ目βから3フレーム分の余裕が必要となる。
【0241】
図35における場合、IN点からブリッジクリップの終了点βまでが最も長いとき、N−1フレームとなる。したがって、ここでも、図34と同様にして、N,a,bを用いた場合、フレームバッファ184には、1+(N−1)+3+a+b=N+3+a+bフレームの容量が必要である。
【0242】
次に、図36を参照して、フレームバッファ184において必要な最大容量、すなわち、フレームバッファ184により遅延できるフレーム数の最大値について説明する。
【0243】
図34を用いて説明したように、フレームバッファの容量が最も必要となるブリッジクリップ開始位置であるαの条件は、ブリッジクリップ開始点であるαの位置がIN点から(N-1)フレーム手前の場合である。また、図35を用いて説明したように、フレームバッファの容量が最も必要となるブリッジクリップ終了予定点であるβの位置の条件は、ブリッジクリップ終了予定点βの位置がIN点から(N-1)後の場合である。
【0244】
ブリッジクリップ終了予定点βでのVBVoccupancyが確定するのは、終了予定点β後のIピクチャがエンコーダ183に入力され、最初のPピクチャにおけるVBVoccupancyが決まる、即ち、最長では、B1ピクチャのエンコードが終了して符号量が判った時点である。
【0245】
これらより、フレームバッファ184において必要な最大容量は、1+(N−1)+(N−1)+3+a+b=2N+2+a+bフレームとなる。すなわち、フレームバッファ184が2N+2+a+bフレーム保持することが可能であるとき、編集点と、その前後を構成するブリッジクリップ部分のGOP位相との関係がどのような場合であっても、エンコーダ183のエンコード結果をエンコーダ60によるブリッジクリップのエンコードに反映させることができ、エンコード処理は破綻しない。
【0246】
なお、OUT点に関するスプライシングは、OUT点手前のSDI入力GOP切れ目の1フレーム手前(前方参照画)から開始されればよく、また、OUT点を含むブリッジクリップの後ろに接続されるのは、HDD46に予め記憶されている下地ストリームであり、その接続点のVBVoccupancyは既知であるので、VBVoccupancy目標値は、OUT点においては、OUT点が決まってから、1+(N−1)+a=N+aフレームあれば、エンコード処理は破綻しない。
【0247】
次に、図37乃至図39を参照して、IN点のスプライシングが長引いた場合のOUT点の処理について説明する。
【0248】
上述した様に、任意のIN点決定に対して、フレームバッファ184において必要な最大容量は、2N+2+a+bフレームである。
【0249】
図37には、フレームバッファ184に供給されるタイミングでモニタ2に表示されるSDI入力、および、モニタ1に表示されるストリーム1をデコードしたベースバンド信号、並びに、エンコーダ60へ供給されるタイミングに基づいて記述されたエンコーダ60への入力ベースバンド信号、および、エンコーダ60により生成されるブリッジクリップが図示されている。
【0250】
入力端子61から供給されるベースバンド信号(SDI入力)は、フレームバッファ184に供給されるタイミングと略同時に、エンコーダ183においてエンコードされる。エンコーダ183は、エンコードに関するGOP位相やVBVoccupancyを、コントロールバス51を介して、CPU182に供給する。
【0251】
しがたって、IN点が決定された後、ブリッジクリップ終了予定点βの先のB1ピクチャである図中θの時点で、SDI入力のエンコーダ183によるエンコード結果として、ブリッジクリップ終了予定点βにおけるVBVoccupancy目標量が判明する。エンコーダ60によるエンコードの開始は、少なくともVBVoccupancy目標量が判明するθ時点以降でなければならない。
【0252】
例えば、エンコーダ60において、2N+2+a+bフレームだけ遅延した図中α'において、ブリッジクリップ開始点からのエンコードが開始された場合、このエンコード結果は、ブリッジクリップ終了予定点に対応するβ’の先のB1ピクチャであるθ’までのエンコードが終了したときに判る。そして、その後(1+a)フレーム先のιが、OUT点のためのスプライシングを開始するための最も近いGOP切れ目位置となる。すなわち、SDI入力のIN点が決定された際に決まるSDI入力のIN点に関するスプライシングの終了点直前のGOP切れ目β’から、(4+a+b)フレーム先のι’が、OUT点に関するスプライシング開始GOP切れ目の限界点となる。
【0253】
すなわち、OUT点がブリッジクリップ終了予定点βから開始されるGOP内で決定されるか、または、ブリッジクリップ終了予定点βから(4+a+b)フレーム以内にGOP切れ目が存在し、そのGOP内でOUT点が決定された場合は、IN点に関するスプライシングは終了せずに、そのままOUT点によって定まるVBVoccupancy目標値に向かってエンコードが続けられる。また、そのとき、OUT点に関するブリッジクリップの目標VBVoccupancyは、上述したように、エンコーダ183の処理とは関係なく予め知ることができる。
【0254】
また、最初のブリッジクリップ終了予定点βまででVBVoccupancyを合わせられず、ブリッジクリップの範囲が延長される場合も同様のことが発生する。例えば、図38に示される最初のブリッジクリップ終了予定点βまででVBVoccupancyを合わせられず、スプライシングが終了しなかった場合、次のブリッジクリップ終了予定点を、次のGOPの切れ目である図中γで示される点とすることができる。その場合、次のブリッジクリップ終了予定点γでうまくスプライシングを終了できたかどうかがわかるのは、図38に示されるように、ブリッジクリップ終了予定点γがエンコーダ60にてエンコードされる、図中γ’で示される点よりbフレーム後のκ時点ということになる。
【0255】
従って、最初のブリッジクリップ終了予定点βまででVBVoccupancyを合わせられず、スプライシングが終了しなかった場合、次のブリッジクリップ終了予定点γの前にOUT点が決定されるか、最初のブリッジクリップ終了予定点βの(1+a+b)フレーム先にGOP切れ目が存在し、そのGOP切れ目から開始されるGOP内でOUT点が決定された場合に、IN点に関するスプライシングは終了せずに、そのままOUT点によって定まるVBVoccupancy目標値に向かってエンコードが続けられる。また、そのとき、OUT点を含むブリッジクリップの目標VBVoccupancyは、上述したように、エンコーダ183の処理とは関係なく予め知ることができる。
【0256】
IN点を含むブリッジクリップの範囲が延長されている状態で、モニタ1乃至3を監視しているユーザから、OUT点の位置の指令を受ける場合がある。また、OUT点は、予め指定されている場合もある。いずれの場合においても、CPU182は、その範囲がOUT点を含むブリッジクリップと連続するか否かを、OUT点を含むブリッジクリップのエンコーダ60によるエンコードが開始される前に判断する必要がある。
【0257】
CPU182は、フレームバッファ184による遅延時間分を利用して、OUT点が検出されてから、IN点を含むブリッジクリップのスプライシング処理が正しく終了されたか否かを確認した後、IN点を含むブリッジクリップがOUT点を含むブリッジクリップを含んで連続するか否かを判断することができると好適であるが、OUT点近傍のGOP位相によっては、IN点を含むブリッジクリップのスプライシング処理の終了を待たずに、IN点を含むブリッジクリップがOUT点を含むブリッジクリップを含んで連続するものとしてしまわなければならない場合がある。
【0258】
そのような場合について、図39を用いて説明する。なお、図39においても、aは、コマンド実行マージン時間とCPU182から供給された目標VBVoccupancy値に基づいてエンコードパラメータを計算する時間をフレーム数で表した値であり、bは、エンコード結果を知りたいフレームがエンコードされるのに必要なフレーム入力が終了してからエンコード結果を知りたいフレームのエンコードが終了し、目標VBVoccupancyを知るまでの時間をフレーム数で表した値であるものとする。
【0259】
CPU182は、エンコーダ182によるSDI入力のエンコードにおいて、エンコード中のブリッジクリップの終了予定点のエンコード結果におけるVBVoccupancyの値に基づいて、ブリッジクリップの範囲を延長するか否かを決定する。CPU182は、ブリッジクリップの終了予定点のエンコード結果におけるVBVoccupancyの値を、そのフレームの入力後、bフレーム後に知ることができる。
【0260】
図39に示されるように、エンコード中のブリッジクリップの終了予定点をδとし、決定したOUT点を含むGOPの先頭をεとして、δ乃至ε間のフレーム数をkフレームとする。OUT点を含むブリッジクリップのためのストリーム2のエンコードは、OUT点の(N+a)フレーム前から開始可能なようにしなければならない。OUT点を含むGOPの先頭εからOUT点までをN−1フレームとしたとき、δからOUT点まではk+(N−1)フレームとなる。したがって、CPU182がIN点を含むブリッジクリップのスプライシング処理が正しく終了されたか否かを確認した後、OUT点を含むブリッジクリップを含んで連続するか否かを判断することができる余裕フレーム数は、k+(N−1)−b―(N+a)=k−(1+a+b)フレームとなる。
【0261】
この場合、例えば、a=1、b=3ならば、kが6フレーム以上であれば、CPU182は、IN点を含むブリッジクリップのスプライシング処理が正しく終了されたか否かを確認した後、OUT点を含むブリッジクリップを含んで連続するか否かを判断することができる。しかしながら、エンコーダ183によるエンコード処理が、最小のGOP長が5フレーム以下であることを許すとき、IN点を含むブリッジクリップのスプライシング処理の終了を待たずに、CPU182は、IN点を含むブリッジクリップがOUT点を含むブリッジクリップを含んで連続するものと決定する必要がある。
【0262】
すなわち、エンコーダ183によるエンコード処理において許可される最長GOP長をkとし、上述したように、aは、コマンド実行マージン時間とCPU182から供給された目標VBVoccupancy値に基づいてエンコードパラメータを計算する時間をフレーム数で表した値であり、bは、エンコード結果を知りたいフレームがエンコードされるのに必要なフレーム入力が終了してからエンコード結果を知りたいフレームのエンコードが終了し、目標VBVoccupancyを知るまでの時間をフレーム数で表した値であるものとしたとき、k−(1+a+b)が正の値である場合は、CPU182は、IN点を含むブリッジクリップのスプライシング処理が正しく終了されたか否かを確認した後、OUT点を含むブリッジクリップを含んで連続するか否かを判断することができる。
【0263】
これに対して、k−(1+a+b)が負の値であるとき、換言すれば、k≦(1+a+b)であるとき、モニタ1乃至3を監視しているユーザからOUT点の位置の指令を受けた時点でIN点のスプライシング処理が終了していないか、または、エンコーダ60において予め指定されたOUT点を含むGOPより1GOP前のエンコードが開始されたとき、IN点を含むブリッジクリップのスプライシング処理の終了を待たずに、CPU182は、IN点を含むブリッジクリップがOUT点を含むブリッジクリップを含んで連続するものと決定する必要がある。
【0264】
次に、図40乃至図45を参照して、フレームバッファ184のバッファ容量が2N+2+a+bであるときの、モニタ出力とエンコーダ60への入力について説明する。
【0265】
図40乃至図45においては、モニタ出力およびエンコーダ入力とも、Aは、HDD46に予め記憶されている下地ストリーム(例えば、図33におけるストリーム1およびストリーム2に対応する)に対応するものであり、Bは、入力端子61から入力されるベースバンド信号(SDI入力)に対応するものである。
【0266】
フレームバッファ184のバッファ容量が2N+2+a+bであるとき、例えば、図40に示されるように、下地ストリームにおいてIN点を含むGOPの先頭からIN点までがk1フレームであり、ベースバンド信号において、IN点からデコーダ183によるデコードでのGOP位相におけるIN点を含むGOPの終了点までがk2フレームであるとき、モニタ出力と並行して実行されているデコーダ183によるデコード処理におけるブリッジクリップ終了予定点でのエンコード結果は、モニタ出力におけるIN点に対して、(k2+3+b)フレーム後に、CPU182に供給される。また、このブリッジクリップの範囲のエンコーダ60への入力は、フレームバッファ184によって、2N+2+a+bフレームだけ遅延される。そのため、エンコーダ60によるエンコード開始のための前方参照画の入力の前にエンコード開始コマンドが発行されることを考慮しても、CPU182が、ブリッジクリップ終了予定点でのエンコード結果を取得してから、エンコーダ60におけるブリッジクリップのエンコードの制御を開始するまでには、(2N+2+a+b)−k1−k2−(3+b)−(a+b)で、2N−2−k1−k2の余裕がある。
【0267】
従って、フレームバッファ184のバッファ容量が2N+2+a+bであれば、例えば、図41に示されるように、k1およびk2が最も大きなフレーム数であるとき、すなわち、k1がN−1フレームであり、k2がN−1フレームであっても、CPU182が、ブリッジクリップ終了予定点でのエンコード結果を取得してから、エンコーダ60におけるブリッジクリップのエンコードの制御を開始することができる。
【0268】
次に、IN点前後のGOP切れ目の位置によって定まる、スプライシングのためのブリッジクリップに含まれるフレーム数が、画質維持のために考慮される最小GOP長に満たない場合について説明する。例えば、図42に示されるように、下地ストリームにおいてIN点を含むGOPの先頭からIN点までがk1フレームであり、ベースバンド信号において、IN点からデコーダ183によるデコードでのGOP位相におけるIN点を含むGOPの終了点までがk2フレームであって、k1+k2フレームのフレーム数が極端に少ない場合、この範囲のみをブリッジクリップとしてしまっては、符号化処理における符号配分が困難であり、画質を維持することができない場合がある。そこで、さらに次のGOPまでをブリッジクリップとするものとする。
【0269】
このとき、モニタ出力と並行して実行されているデコーダ183によるデコード処理におけるブリッジクリップ終了予定点でのエンコード結果は、モニタ出力におけるIN点に対して、(k2+N+3+b)フレーム後に、CPU182に供給される。すなわち、CPU182が、ブリッジクリップ終了予定点でのエンコード結果を取得してから、エンコーダ60におけるブリッジクリップのエンコードの制御を開始するまでには、(2N+2+a+b)−k1−k2−N−(3+b)−(a+b)で、N−2−k1−k2の余裕がある。
【0270】
すなわち、k1+k2がN−2フレーム以下のとき、次のGOPまでブリッジクリップを延長しても、CPU182が、ブリッジクリップ終了予定点でのエンコード結果を取得してから、エンコーダ60におけるブリッジクリップのエンコードの制御を開始することができる。
【0271】
次に、OUT点を含むスプライシング処理のためのブリッジクリップのエンコードにおいて、例えば、図43に示されるように、ベースバンド信号において、デコーダ183によるデコードでのGOP位相におけるOUT点を含むGOPの開始点からOUT点までがk3フレームであり、下地ストリームにおいてOUT点からOUT点を含むGOPの最後までがk4フレームであるものとする。ここで、OUT点が指定されて、OUT点を含むブリッジクリップの終了予定点におけるVBVoccupancy目標量は、HDD46に予め記憶されたている下地ストリームの対応する位置のVBVoccupancyであるので、CPU182は、デコーダ183によるブリッジクリップ範囲のデコードの終了を待つことなくVBVoccupancy目標量を認識することが可能である。したがって、フレームバッファ184のバッファ容量が2N+2+a+bであることより、CPU182は、問題なく、OUT点を含むブリッジクリップのエンコードの制御を行うことができる。
【0272】
次に、OUT点前後のGOP切れ目の位置によって定まる、スプライシングのためのブリッジクリップに含まれるフレーム数が、画質維持のために考慮される最小GOP長に満たない場合について説明する。例えば、図44に示されるように、デコーダ183によるデコードでのGOP位相におけるOUT点を含むGOPの開始点からOUT点までがk3フレームであり、下地ストリームにおいてOUT点からOUT点を含むGOPの最後までがk4フレームであって、k3+k4フレームのフレーム数が極端に少ない場合、この範囲のみをブリッジクリップとしてしまっては、符号化処理における符号配分が困難であり、画質を維持することができない場合がある。そこで、CPU182は、ブリッジクリップの開始点を、一つ前のGOPの開始点として、ブリッジクリップに含まれるフレーム数を増やして、その最小ブリッジクリップのエンコード結果で2GOPを構成するように、エンコーダ60によるエンコード処理を制御する。このような場合であっても、フレームバッファ184のバッファ容量が2N+2+a+bであることより、CPU182は、問題なく、OUT点を含むブリッジクリップのエンコードの制御を行うことができる。
【0273】
また、上述したように、OUT点を含むブリッジクリップは、IN点を含むブリッジクリップと連続する場合がある。図45に示されるように、k3+k4フレームのフレーム数が充分である場合であっても、極端に少ないため、OUT点を含むブリッジクリップの開始点が1GOP前となる場合であっても、CPU182は、OUT点を含むブリッジクリップの直前までは、IN点を含むブリッジクリップであるものとしてエンコーダ60のエンコード処理を制御する。そして、CPU182は、OUT点を含むブリッジクリップのエンコードの開始前に、OUT点を含むブリッジクリップ終了予定点のVBVoccupancy目標量を認識することができるので、そのまま継続して、エンコーダ60によるOUT点を含むブリッジクリップのエンコード処理を制御することができる。
【0274】
なお、以上説明した処理においては、下地としてHDD46に予め記憶されている符号化ストリームを利用し、入力端子61から入力されるベースバンド信号を上書き用の編集素材として用いるものとして説明したが、例えば、下地として入力端子61から入力されるベースバンド信号を利用し、HDD46に予め記憶されている符号化ストリームを上書き用の編集素材として用いる場合であっても、上述した処理において、IN点とOUT点の処理が逆になるだけであり、フレームバッファ184のバッファ容量が2N+2+a+bであれば、CPU182は、問題なく、ブリッジクリップのエンコードの制御を行うことができる。
【0275】
図46に、図33乃至図45を用いて説明したブリッジクリップのエンコード処理を実行する編集装置171のCPU181およびCPU182が有する機能を説明するための機能ブロック図を示す。
【0276】
なお、図16における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0277】
すなわち、CPU181の機能は、再エンコード範囲決定部84に代わって、ブリッジクリップ範囲決定部191が設けられ、編集処理制御部85に代わって、編集処理制御部192が設けられている以外は、図16を用いて説明したCPU41が有する機能と基本的に同様であり、また、CPU182の機能は、新たに、ベースバンド信号のエンコード制御部201が設けられ、エンコード制御部93に代わって、エンコード制御部202が設けられている以外は、図16を用いて説明したCPU52が有する機能と基本的に同様である。
【0278】
ブリッジクリップ範囲決定部191は、ユーザ入力取得部82から供給されたユーザの操作入力と、パラメータ取得部により取得された各種パラメータ、並びに、IN点/OUT点決定部83により決定されたIN点およびOUT点を基に、上述したブリッジクリップの範囲を決定し、編集処理制御部192に供給する。
【0279】
編集処理制御部192は、IN点/OUT点決定部83により決定されたIN点およびOUT点、並びに、ブリッジクリップ範囲決定部191により決定されたブリッジクリップの範囲を基に、PCIブリッジ49、デコーダ54乃至デコーダ56、スイッチ57、スイッチ/エフェクト58、エンコーダ60、スイッチ62、および、デコーダ183の動作を制御するためのコマンドなどを生成し、ノースブリッジ42、PCIバス44、PCIブリッジ49、および、コントロールバス51を介して、生成したコマンドをCPU182に供給する。
【0280】
すなわち、編集処理制御部192は、ブリッジクリップのみがエンコーダ60に供給されてエンコードされるように、PCIブリッジ49やスイッチ57を制御することにより、IN点を含むブリッジクリップとOUT点を含むブリッジクリップとの間の部分のエンコード処理が、エンコーダ60とエンコーダ183とで重複してしまうことを防ぐことができる。
【0281】
ベースバンド信号のエンコード制御部201は、エンコーダ183を制御し、入力端子61から入力されたベースバンド信号のエンコード処理と、そのエンコード処理の結果のCPU182への供給を制御する。
【0282】
エンコード処理部202は、編集処理制御部192から供給されたコマンド、および、エンコーダ183から供給される、ベースバンド信号のエンコード結果に基づいて、エンコーダ60の動作を制御する。
【0283】
次に、図47乃至図50のフローチャートを参照して、編集装置171が実行する編集処理3について説明する。
【0284】
ステップS111において、CPU181は、HDD46に記録されている下地の符号化ストリームを読み出し、ノースブリッジ42およびPCIバス44を介して、PCIブリッジ49に供給する。CPU182は、供給された下地の符号化ストリームを、必要に応じて、一旦メモリ50に蓄積した後、デコーダ54に供給する。デコーダ54は、デコード制御部91の制御に基づいて、供給された下地の符号化ストリームのデコードを開始し、デコードされて生成されたベースバンド信号を、スイッチ/エフェクト58に供給する。
【0285】
ステップS112において、CPU181は、入力端子61からのベースバンド信号の入力と、エンコーダ183によるベースバンド信号のエンコードの制御を開始する。エンコーダ183は、ベースバンド信号のエンコード制御部201の制御に基づいて、供給されたベースバンド信号をエンコードする。
【0286】
ステップS113において、エンコーダ183は、ベースバンド信号のエンコード制御部201の制御に基づいて、エンコードに関するGOP位相およびVBVoccupancyの値をCPU182に供給する。CPU182は、エンコードに関するGOP位相およびVBVoccupancyの値を取得する。これにより、CPU182は、フレームバッファ184により遅延されて実行されるエンコーダ60によるブリッジクリップ部分のエンコード処理の制御に先立って、エンコードに関するGOP位相およびVBVoccupancyの値を知ることができる。
【0287】
ステップS114において、モニタ1およびモニタ2は、遅延前の編集素材の表示を開始し、モニタ3は、スイッチ/エフェクト58の出力、すなわち、遅延前の編集結果の表示を開始する。オペレータは、モニタ1およびモニタ2に表示される映像を観測し、信号を切替えたいタイミングを図示しない操作入力部により指令する。
【0288】
ステップS115において、CPU181のパラメータ取得部81は、下地の符号化ストリームに関するGOP位相情報を取得し、IN点/OUT点決定部83およびブリッジクリップ範囲決定部191に供給する。これにより、CPU181は、下地の符号化ストリームのGOPの切れ目を検出することができる。また、CPU181は、フレームバッファ184のバッファ容量も認識しているので、エンコーダ60によるブリッジクリップのエンコードの開始タイミングを制御することが可能となる。
【0289】
ステップS116において、パラメータ取得部81は、下地の符号化ストリームに関する、GOP切れ目でのVBV占有量を取得し、IN点/OUT点決定部83およびブリッジクリップ範囲決定部191に供給する。これにより、例えば、上述した特開2006−67095号公報に記載の技術やその他の公知の技術を用いて、VBVoccupancyを、ブリッジクリップと再エンコードが実行されていない下地の符号化ストリームとで連続させることが可能となる。
【0290】
ステップS117において、ユーザ入力取得部82は、フレームバッファ184およびエンコーダ60への入力信号を下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号から入力端子61より供給されるベースバンド信号に切替える様に操作入力を受けたか否かを判断する。
【0291】
ステップS117において、フレームバッファ184およびエンコーダ60への入力信号を切換える操作入力を受けていないと判断された場合、操作入力を受けたと判断されるまで、ステップS117の処理が繰り返される。
【0292】
ステップS117において、フレームバッファ184およびエンコーダ60への入力信号を切換える操作入力を受けたと判断された場合、ステップS118において、IN点/OUT点決定部83は、編集におけるIN点を決定し、編集処理制御部192に供給する。編集処理制御部192は、CPU182の#1スイッチ制御部92を制御するための制御信号を生成し、CPU182に供給する。CPU182の#1スイッチ制御部92は、スイッチ/エフェクト58の動作を制御して、編集点において出力するデータを切換えて、フレームバッファ184およびエンコーダ60への入力信号を下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号から入力端子61より供給されるベースバンド信号に切替える、すなわち、下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号と入力端子61より供給されるベースバンド信号を接続させる。フレームバッファ184では、供給されたベースバンド信号がバッファリングされるので、エンコーダ60への入力は、フレームバッファ184のバッファ容量分だけ遅延する。
【0293】
ステップS119において、ブリッジクリップ範囲決定部191は、ユーザ入力取得部82から供給されたユーザの操作入力と、パラメータ取得部により取得された各種パラメータ、エンコーダ183によるエンコードの結果得られるベースバンド信号をエンコードしたストリームのGOP位相、並びに、IN点/OUT点決定部83により決定されたIN点を基に、上述したブリッジクリップの範囲を決定し、編集処理制御部192に供給する。
【0294】
ステップS120において、ブリッジクリップ範囲決定部191は、決定されたブリッジクリップの範囲に基づいて、IN点を含むGOPに関してエンコーダ60によるエンコードを開始するためのタイミングを設定する。
【0295】
ステップS121において、CPU182のエンコード制御部202は、エンコーダ183から供給された、エンコードに関するVBVoccupancyの値から、ブリッジクリップ終了予定点に対応するVBVoccupancyの値を抽出する。
【0296】
ステップS122において、エンコード制御部202は、抽出されたVBVoccupancyの値を、ブリッジクリップ終了予定点のVBVoccupancy目標値としてエンコーダ60によるブリッジクリップのエンコードのパラメータを設定する。
【0297】
ステップS123において、編集処理制御部192は、フレームバッファ184によりバッファリングされた、下地の符号化ストリームのIN点を含むGOPの最初のフレームからの、エンコーダ60によるエンコードを制御する制御信号を、CPU182のエンコード制御部202に供給する。エンコード制御部202は、編集処理制御部192から供給された制御信号に基づいて、フレームバッファ184によりバッファリングされた、下地の符号化ストリームのIN点を含むGOPの最初のフレームからの、エンコーダ60によるエンコードを制御する。エンコード制御部202は、基本的に、OUT点を含むGOPまでの間においては、エンコーダ60に対して、ブリッジクリップの範囲を延長させてエンコードを実行させることが可能である。
【0298】
ステップS124において、CPU181は、PCIブリッジ49、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して供給されるエンコード結果の取得を開始して、メモリ43に供給して保存させる。
【0299】
ステップS125において、エンコード制御部202は、エンコード60によるブリッジクリップのエンコードが、VBVoccupancyが連続するように、正しく終了したか否かを判断する。ステップS125において、エンコードが正しく終了されたと判断された場合、処理は、後述するステップS129に戻る。
【0300】
ステップS125において、エンコードが正しく終了しなかったと判断された場合、ステップS126において、ブリッジクリップ範囲決定部191は、ブリッジクリップの範囲を延長して、再度、ブリッジクリップ終了予定点を設定し、再設定された内容を、編集処理制御部192に供給する。
【0301】
ステップS127において、CPU182のエンコード制御部202は、エンコーダ183から供給された、エンコードに関するVBVoccupancyの値から、再設定されたブリッジクリップ終了予定点に対応するVBVoccupancyの値を抽出する。
【0302】
ステップS128において、編集処理制御部192は、抽出されたVBVoccupancyの値を、ブリッジクリップ終了予定点のVBVoccupancy目標値としてエンコーダ60によるブリッジクリップのエンコードのパラメータを設定して、延長されたブリッジクリップのエンコーダ60によるエンコードを制御する制御信号を、CPU182のエンコード制御部202に供給する。エンコーダ60は、エンコード処理を継続する。ステップS128の処理の終了後、処理は、ステップS125に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0303】
ステップS125において、エンコードが正しく終了されたと判断された場合、CPU182のエンコード制御部202は、CPU181にエンコードが正しく終了したことを通知するので、ステップS129において、編集処理制御部192は、フレームバッファ184からエンコーダ60へのデータの供給をストップさせるためのコマンドを生成し、CPU182に供給する。CPU182は、例えば、スイッチ/エフェクト58を制御して、フレームバッファ184へのデータの供給をストップさせることなどにより、フレームバッファ184からエンコーダ60へのデータの供給をストップさせる。
【0304】
ステップS130において、ユーザ入力取得部82は、フレームバッファ184およびエンコーダ60への入力信号を、入力端子61より供給されるベースバンド信号から、デコーダ54から出力される下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号に切替える様に操作入力を受けたか否かを判断する。
【0305】
ステップS130において、フレームバッファ184およびエンコーダ60への入力信号を切換える操作入力を受けていないと判断された場合、入力信号を切換える操作入力を受けたと判断されるまで、ステップS130の処理が繰り返される。
【0306】
ステップS130において、フレームバッファ184およびエンコーダ60への入力信号を切換える操作入力を受けたと判断された場合、ステップS131において、IN点/OUT点決定部83は、編集におけるOUT点を決定し、編集処理制御部192に供給する。編集処理制御部192は、CPU182の#1スイッチ制御部92を制御するための制御信号を生成し、CPU182に供給する。CPU182の#1スイッチ制御部92は、スイッチ/エフェクト58の動作を制御して、編集点において出力するデータを切換えて、フレームバッファ184およびエンコーダ60への入力信号を入力端子61より供給されるベースバンド信号から下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号に切替える。すなわち、編集処理制御部192は、入力端子61より供給されるベースバンド信号と下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号を接続させる。フレームバッファ184では、接続されたベースバンド信号と下地の符号化ストリームに対応するベースバンド信号がバッファリングされる。
【0307】
ステップS132において、ブリッジクリップ範囲決定部191は、ユーザ入力取得部82から供給されたユーザの操作入力と、パラメータ取得部により取得された各種パラメータ、エンコーダ183によるエンコードの結果得られるベースバンド信号をエンコードしたストリームのGOP位相、並びに、IN点/OUT点決定部83により決定されたOUT点を基に、OUT点を含むブリッジクリップの範囲を決定し、編集処理制御部192に供給する。また、ブリッジクリップ範囲決定部191は、決定されたブリッジクリップの範囲に基づいて、OUT点を含むブリッジクリップに関してエンコーダ60によるエンコードを開始するためのタイミングを設定する。
【0308】
ステップS133において、編集処理制御部192は、フレームバッファ184によりバッファリングされたOUT点を含むブリッジクリップの、エンコーダ60によるエンコードを制御する制御信号を、CPU182のエンコード制御部202に供給する。エンコード制御部202は、編集処理制御部192から供給された制御信号に基づいて、フレームバッファ184によりバッファリングされたOUT点を含むブリッジクリップの、エンコーダ60によるエンコードを制御する。エンコード制御部202は、基本的に、エンコーダ60に対して、ブリッジクリップの範囲を延長させてエンコードを実行させることが可能である。
【0309】
ステップS134において、CPU181は、PCIブリッジ49、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して供給されるエンコード結果の取得を開始して、メモリ43に供給して保存させる。
【0310】
ステップS135において、エンコード制御部202は、エンコード60によるブリッジクリップのエンコードが、VBVoccupancyが連続するように、正しく終了したか否かを判断する。ステップS135において、エンコードが正しく終了しなかったと判断された場合、処理は、ステップS132に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0311】
ステップS135において、エンコードが正しく終了したと判断された場合、ステップS136において、CPU182のエンコード制御部202は、CPU181にエンコードが正しく終了したことを通知するので、ステップS129において、編集処理制御部192は、フレームバッファ184からエンコーダ60へのデータの供給をストップさせるためのコマンドを生成し、CPU182に供給する。CPU182は、スイッチ/エフェクト58を制御して、フレームバッファ184へのデータの供給をストップさせることにより、フレームバッファ184からエンコーダ60へのデータの供給をストップさせる。
【0312】
ステップS137において、CPU181は、PCIブリッジ49、PCIバス44、および、ノースブリッジ42を介して供給され、メモリ43に保存されている編集された部分のエンコード結果、および、ブリッジクリップとブリッジクリップとの間のベースバンド信号に対応するエンコーダ183によりエンコードされたストリーム、並びに、HDD46に保存されているIN点を含むブリッジクリップより前の下地ストリーム、および、OUT点を含むブリッジクリップより後ろの下地ストリームを接続して、編集後のストリームを生成し、処理が終了される。
【0313】
このような処理により、編集素材の映像をオペレータがモニタしながら編集点を決定し、従来よりも早く編集結果を得ることができるとともに、編集素材として供給されるベースバンド信号を並行してエンコードし、記憶することができるので、編集終了後に編集点を変更する処理を、記憶された、ベースバンド信号に対応する符号化ストリームを用いて実行することができる。また、このとき、エンコーダ60とエンコーダ183とで、IN点とOUT点との間の同一のベースバンド信号のエンコード処理を重複して行うことなく、また、編集後にそれぞれの符号化ストリームを接続したときに、VBVoccupancyの連続性を保障することが可能となる。
【0314】
なお、図47乃至図50のフローチャートを用いて説明した、編集装置171が実行する編集処理3では、ステップS125の処理により、IN点を含むブリッジクリップのエンコード処理が正しく終了されたと判断される前にOUT点が指令された場合の処理についての説明を省略しているが、そのような場合は、図45を用いて説明したようにして、エンコーダ60によるエンコード処理の制御が実行される。
【0315】
また、ブリッジクリップ終了点におけるVBVoccupancyが、再エンコードを実行しない部分と再エンコードを実行する部分とで連続するまで、同一の範囲でエンコードを繰り返す2-path法を用いることにより、VBVoccupancyの連続性を保障するようにしてもよい。
【0316】
なお、編集装置171においては、エンコード処理が重複しないように、IN点とOUT点の間の編集後のストリームのうちの一部に、エンコーダ183により生成されたストリームを用いることができるようになされているため、フレームバッファ184のバッファ容量を、2N+2+a+bフレーム以上とする必要がある。これに対して、例えば、エンコーダ183において編集処理とは独立してベースバンド信号のエンコード処理を実行すれば、IN点とOUT点の間の上書き部分のエンコード処理をどちらのエンコーダが行おうとも、編集終了後に編集点を変更する処理を、記憶された、ベースバンド信号に対応する符号化ストリームを用いて実行することができるという効果を奏することができる。例えば、IN点とOUT点の間の上書き部分のエンコード処理を、第1の実施の形態と同様に、エンコーダ60も行うようにする場合、フレームバッファ184のバッファ容量は、第1の実施の形態と同様であっても良い。
【0317】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。この場合、上述した処理は、図51に示されるようなパーソナルコンピュータ500により実行される。
【0318】
図51において、CPU(Central Processing Unit)501は、ROM(Read Only Memory)502に記憶されているプログラム、または、記憶部508からRAM(Random Access Memory)503にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM503にはまた、CPU501が各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。
【0319】
CPU501、ROM502、およびRAM503は、内部バス504を介して相互に接続されている。この内部バス504にはまた、入出力インターフェース505も接続されている。
【0320】
入出力インターフェース505には、キーボード、マウスなどよりなる入力部506、CRT,LCDなどよりなるディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部507、ハードディスクなどより構成される記憶部508、並びに、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部509が接続されている。通信部509は、電話回線やCATVを含む各種のネットワークを介しての通信処理を行う。
【0321】
入出力インターフェース505にはまた、必要に応じてドライブ510が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどによりなるリムーバブルメディア521が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部508にインストールされる。
【0322】
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0323】
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0324】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0325】
【図1】アセンブル編集について説明するための図である。
【図2】インサート編集について説明するための図である。
【図3】ベースバンド入力を独立にエンコードして第2の符号化ストリームを生成し、編集する場合の処理について説明するための図である。
【図4】第1の例の編集装置の構成について説明するためのブロック図である。
【図5】フレームバッファによるバッファリングによって発生するエンコーダへの入力信号の遅延時間について説明するための図である。
【図6】フレームバッファによるバッファリングによって発生するエンコーダへの入力信号の遅延時間について説明するための図である。
【図7】フレームバッファによるバッファリングによって発生するエンコーダへの入力信号の遅延時間について説明するための図である。
【図8】フレームバッファによるバッファリングによって発生するエンコーダへの入力信号の遅延時間について説明するための図である。
【図9】フレームバッファによるバッファリングによって発生するエンコーダへの入力信号の遅延時間について説明するための図である。
【図10】OUT点を含むGOPのフレーム数の調整について説明するための図である。
【図11】OUT点を含むGOPのフレーム数の調整について説明するための図である。
【図12】OUT点を含むGOPのフレーム数の調整について説明するための図である。
【図13】OUT点を含むGOPのフレーム数の調整について説明するための図である。
【図14】フレームバッファによるバッファリングによって発生するエンコーダへの入力信号の遅延時間について説明するための図である。
【図15】フレームバッファによるバッファリングによって発生するエンコーダへの入力信号の遅延時間について説明するための図である。
【図16】第1の例の編集装置のCPUが有する機能を示す機能ブロック図である。
【図17】編集処理1について説明するためのフローチャートである。
【図18】編集処理1について説明するためのフローチャートである。
【図19】第2の例の編集装置の構成について説明するためのブロック図である。
【図20】第2の例の編集装置のCPUが有する機能を示す機能ブロック図である。
【図21】エンコード結果の選択について説明するための図である。
【図22】VBVoccupancyの連続性について説明するための図である。
【図23】エンコードの終了位置について説明するための図である。
【図24】ベースバンド画像データをエンコードする場合のGOP位相について説明するための図である。
【図25】OUT点によって決まる再エンコード範囲の終了点と、VBVoccupancyの合わせ込みについて説明するための図である。
【図26】OUT点によって決まる再エンコード範囲の終了点と、VBVoccupancyの合わせ込みについて説明するための図である。
【図27】OUT点によって決まる再エンコード範囲の終了点と、VBVoccupancyの合わせ込みについて説明するための図である。
【図28】VBVoccupancyの推移を示す図である。
【図29】管理データの例について説明するための図である。
【図30】編集処理2について説明するためのフローチャートである。
【図31】編集処理2について説明するためのフローチャートである。
【図32】第3の例の編集装置の構成について説明するためのブロック図である。
【図33】編集処理におけるブリッジクリップの範囲について説明するための図である。
【図34】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図35】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図36】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図37】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図38】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図39】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図40】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図41】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図42】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図43】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図44】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図45】図32のフレームバッファに求められるバッファ容量について説明するための図である。
【図46】図32のCPUが有する機能について説明するための機能ブロック図である。
【図47】編集処理3について説明するためのフローチャートである。
【図48】編集処理3について説明するためのフローチャートである。
【図49】編集処理3について説明するためのフローチャートである。
【図50】編集処理3について説明するためのフローチャートである。
【図51】パーソナルコンピュータの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0326】
31 編集装置, 41 CPU, 43 メモリ, 46 HDD, 47 ドライブ, 48 記録メディア, 52 CPU, 54乃至56 デコーダ, 58 スイッチ/エフェクト, 59 フレームバッファ, 60 エンコーダ, 81 パラメータ取得部, 82 ユーザ入力取得部, 83 IN点/OUT点決定部, 84 再エンコード範囲決定部, 85 編集処理制御部, 91 デコード制御部, 92 #1スイッチ制御部, 93 エンコード制御部, 94 #2スイッチ制御部, 121 CPU, 122 CPU, 141 IN点/OUT点決定部, 142 再エンコード範囲決定部, 143 編集処理制御部, 144 編集後ストリーム選択部,181,182 CPU, 183 エンコーダ, 184 フレームバッファ, 191 ブリッジクリップ範囲決定部, 192 編集処理制御部, 201 ベースバンド信号のエンコード制御部, 202 エンコード制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編集処理を実行する情報処理装置において、
ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化する符号化手段と、
第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、前記符号化手段に供給されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とでスイッチングするスイッチング手段と、
前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、前記符号化手段により符号化された前記第1の映像信号のうち、前記第1の映像信号から前記第2の映像信号に切換えられる前記編集点を含まない、前記編集点よりも前の前記符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームの生成を制御する編集データ制御手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の映像信号は、符号化ストリームが復号されて得られるベースバンドの映像信号であり、前記第2の映像信号は、ベースバンドの映像信号として入力された信号である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記符号化手段による符号化処理を制御する符号化制御手段を更に備え、
前記符号化制御手段は、前記第1の映像信号に対応する符号化ストリームの再符号化の開始箇所と終了箇所において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記第1の映像信号の符号化を制御する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記符号化制御手段は、前記第1の映像信号のうち、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲の次の前記符号化範囲以降において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記第1の映像信号の符号化を制御する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記符号化手段による符号化処理の範囲を決定する符号化範囲決定手段を更に備え、
前記符号化範囲決定手段は、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲の次の前記符号化範囲以降において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記符号化手段による前記第1の映像信号の符号化を実行可能であるように、前記符号化手段による前記第1の映像信号の再符号化の終了位置を決定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の映像信号に対応する符号化ストリームには、フレームごとのゼロスタッフに関する情報が付随されている
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記符号化制御手段は、前記第1の映像信号に対応する符号化ストリームに付随されている前記ゼロスタッフに関する情報に基づいて、前記第1の映像信号のうち、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲の次の前記符号化範囲以降において、仮想バッファ占有量におけるゼロスタッフ分の調整により、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するように、前記第1の映像信号の符号化を制御する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
編集処理を実行する情報処理装置の情報処理方法において、
ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化し、
第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とでスイッチングし、
前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化された前記第1の映像信号のうち、前記第1の映像信号から前記第2の映像信号に切換えられる前記編集点を含まない、前記編集点よりも前の前記符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームの生成を制御する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項9】
編集処理の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化する処理を制御し、
第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号と前記第2の映像信号とでスイッチングする処理を制御し、
前記第1の映像信号および前記第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化された前記第1の映像信号のうち、前記第1の映像信号から前記第2の映像信号に切換えられる前記編集点を含まない、前記編集点よりも前の前記符号化範囲の符号化データを編集後の符号化ストリームとして選択しないように、編集後の符号化ストリームの生成を制御する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムが記録されている記録媒体。
【請求項11】
編集処理を実行する情報処理装置において、
ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化する第1の符号化手段と、
第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、前記第1の符号化手段に供給されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングするスイッチング手段と、
前記スイッチング手段によりスイッチングされて前記第1の符号化手段に供給されるベースバンド画像データを所定時間遅延させる遅延手段と
を備える情報処理装置。
【請求項12】
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とし、
前記遅延手段は、1コマンド遅延分とパラメータ演算のために必要な時間に対応するフレーム数をαとしたとき、前記第1の符号化手段に供給されるベースバンド画像データをN+αフレームの処理時間だけ遅延させる
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とし、
前記遅延手段は、1コマンド遅延分とパラメータ演算のために必要な時間に対応するフレーム数をβとしたとき、前記第1の符号化手段に供給されるベースバンド画像データを(N−1)+βフレームの処理時間だけ遅延させる
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とし、
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の下限値をN´(N´は、正の整数)とし、
前記遅延手段は、1コマンド遅延分とパラメータ演算のために必要な時間に対応するフレーム数をβとしたとき、前記第1の符号化手段に供給されるベースバンド画像データを(N+N´−1)+βフレームの処理時間だけ遅延させる
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第1の符号化手段は、前記第1の映像信号に対応する符号化ストリームの再符号化の開始箇所と終了箇所において、再符号化された部分の仮想バッファ占有量と再符号化されていない部分の仮想バッファ占有量が連続性を有するまで、前記第2の映像信号から前記第1の映像信号に切換えられる前記編集点を含む前記符号化範囲およびそれに続く所定フレーム数の前記第1の映像信号の符号化を繰り返し、
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とし、
前記所定の符号化範囲に続いて前記第1の符号化手段により符号化される前記所定フレームの数をM(Mは、正の整数)とし、
前記遅延手段は、前記第1の符号化手段に供給されるベースバンド画像データを(N+M+1)フレームの処理時間だけ遅延させる
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記第1の符号化手段に供給される前記第1の映像信号に対応するベースバンド画像データを符号化する第2の符号化手段を更に備える
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記第1の符号化手段による符号化処理を制御する制御手段を更に備え、
前記第1の符号化手段は、前記制御手段による制御に基づいて、前記編集点を含む所定の区間の符号化処理を行い、
前記第2の符号化手段は、前記第1の符号化手段により符号化される前記所定の区間の符号化終了予定点に対応する終了予定点対応フレームの符号化の結果得られる仮想バッファ占有量、および、符号化のGOP位相を前記制御手段に通知し、
前記制御手段は、前記第2の符号化手段による通知に基づいて、前記第2の符号化手段による符号化のGOP位相に合致するように、かつ、前記所定の区間の符号化終了予定点の仮想バッファ占有量の目標値が、前記第2の符号化手段による前記終了予定点対応フレームの符号化の結果得られる仮想バッファ占有量となるように、前記第1の符号化手段による符号化処理を制御する
請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記所定の符号化範囲に含まれるフレーム数の上限値をN(Nは、正の整数)とし、
前記制御手段が、前記第2の符号化手段による通知に基づいて、前記第1の符号化手段による符号化処理のパラメータを演算するために必要な時間と1コマンド遅延分との和に対応するフレーム数をa(aは、正の整数)とし、
前記第2の符号化手段に前記終了予定点対応フレームが入力されてから、前記制御手段が前記第2の符号化手段による前記通知を取得するまでにかかる時間に対応するフレーム数をb(bは、正の整数)とし、
前記遅延手段は、前記第1の符号化手段に供給されるベースバンド画像データを(2N+2+a+b)フレームの処理時間だけ遅延させる
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
編集処理を実行する情報処理装置の情報処理方法において、
第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングし、
スイッチングされた前記ベースバンド画像データを符号化の前に所定時間遅延したのち、ベースバンド画像データを所定の符号化範囲ごとに符号化する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項20】
編集処理の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
第1の映像信号および第2の映像信号を参照するユーザによる編集点を指令する操作入力に基づいて、符号化されるベースバンド画像データを、前記第1の映像信号にと前記第2の映像信号とでスイッチングするように符号化部へのデータの供給を制御し、
スイッチングされた前記ベースバンド画像データを符号化の前に所定時間遅延したのち、ベースバンド画像データが所定の符号化範囲ごとに符号化されるように、符号化処理を制御する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のプログラムが記録されている記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【公開番号】特開2008−283663(P2008−283663A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250670(P2007−250670)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】