説明

情報処理装置

【課題】
BD規格とHD-DVD規格の両方に対応しかつDVD媒体およびCD媒体にも対応可能なマルチ型光ディスク装置を提供する。
【解決手段】
第1の対物レンズ101は第1の対物レンズACT201に取付けられてBD/DVD媒体を、第2の対物レンズ102は第2の対物レンズACT205に取付けられてHD-DVD/CD媒体を記録再生するために用いられる。上記201全体を上下方向(Z方向)に平行移動させる昇降機構202、上記201と上記205の全体を情報記録媒体の接線方向(X方向)に平行移動させる移動機構115を光ヘッドのキャリッジケース113に設ける。スピンドルモータ121をX方向に平行移動可能な移動機構125をメカシャーシ120に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク媒体を用いた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ波長405nm帯域の青紫色レーザを用いた高密度光ディスクの規格として、以下の(1)、(2)に示す2つの規格が提案されている。
(1)開口数(NA)0.85の高NA対物レンズとディスク基板厚さ0.1mmのディスク媒体を用いたBD(Blu-ray Disc)規格。
(2)開口数0.65の対物レンズとディスク基板厚さ0.6mmのディスク媒体を用いたHD-DVD規格。
【0003】
上記(1)のBD規格は記録容量が大きくとれる、上記(2)のHD-DVD規格はディスク媒体の製造コストが安く、ROM媒体として適していると言われている。現在のところ、上記(1)のBD規格を採用し、DVD/CD用光ヘッドを別に設けることによりDVD、CD媒体にも対応可能な光ディスク装置がAV用レコーダとして製品化されている。
【0004】
上記BD規格、HD-DVD規格を用いたディスク媒体がそれぞれ将来的に普及した場合、上記BD規格と上記HD-DVD規格の両方に対応し、かつDVD媒体およびCD媒体にも対応可能なマルチ型光ディスク装置に対する要求が高まることが予想される。このような型の装置を想定すると、搭載される光ヘッドとしては共通の対物レンズを用いてBDとHD-DVDの両方の媒体、さらにDVD、CD媒体の記録再生に対応できるのが最も望ましい。しかし、これを可能とする対物レンズは今のところ存在せず、BD用、HD-DVD用にそれぞれ最適化された対物レンズを別々に設けるとともにDVD、CD媒体に対する互換機能を持たせることが必要となる。
【0005】
現在開示されている技術として、例えば、以下(a)、(b)に示す技術がある。(a) BD/DVD/CD媒体の各媒体に対し共通の対物レンズを用いて対応するため、対物レンズ入射面に格子溝を刻んだBD、DVD互換対物レンズと3波長選択性の開口制限素子を用い、BD、DVD光学系の場合には平行光を、CD光学系の場合には発散光を上記互換対物レンズに入射させる構成の光ヘッド。(例えば、非特許文献1を参照)
(b) DVD媒体用、CD媒体用の2個の対物レンズを共通のレンズホルダに搭載し、このレンズホルダを4本のサスペンションワイヤで支持してフォーカス制御、トラッキング制御を行う対物レンズ駆動装置。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)
【非特許文献1】Ryuichi Katayama: Technical Digest of ISOM2003, paper Th-G-01(2003)
【特許文献1】特開2000−20987号公報(第1−5頁、図1、図2、図3)
【特許文献2】特開2003−281758号公報(第1−10頁、図2、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景技術では以下の1、2に示す事項が問題点として挙げられる。
1.光ヘッドを組込み光ディスクドライブの組立てを行う場合、機構系の寸法ばらつき等により、光ディスクの接線方向について光ヘッドの走行軸と対物レンズの中心の間にオフセットが発生することは避けられない。3ビームによるDPP法(現在、一般的に使われている)を用いてトラッキング制御を行う光ヘッドを想定すると、例えば、光ディスクの中周位置においてトラックに対する主ビーム、2つの副ビームの位置関係を適正に調整したとしても、光ディスクの最内周位置と最外周位置でトラックに対する主ビームと2つの副ビームの位置関係が適正状態からずれることになる。そのため、上記オフセット量が大きいと、トラッキング制御用のDPP信号に急激な振幅劣化等が生じてトラッキング追従精度が急激に劣化するという問題がある。そのため、特にトラックピッチがDVDよりも狭いBD、HD-DVDではトラッキング追従精度を安定させるためには上記オフセット量を吸収し極力0にする手段が必要となるが、上記開示例では考慮されていない。
【0007】
2.現在のところ、BD用対物レンズ(開口数約0.85)では作動距離(レンズ最終面から光ディスク下面までの間隔)WD1が約0.5mm、HD-DVD用対物レンズ(開口数約0.65)では作動距離WD2が約1.5mmとなっている。上記WD1は現行のDVD/CDドライブに使われている値約1.5mmに比べてかなり小さい。なお、上記WD2は現行のDVD/CDドライブにおける値と同等である。そのため、上記特許文献1記載の光ヘッドでは、以下に示す事項(A)、(B)が問題となる。
【0008】
(A)現行のDVD/CDドライブに使われているローディング機構を共通に用いることを想定した場合、光ディスクをスピンドルモータに装着する過程で光ディスクが上下方向に振れ回ることによってBD用対物レンズと光ディスクが接触・衝突しBD用対物レンズあるいは光ディスクに傷が生じる。あるいは、BD用対物レンズを支持するサスペンションワイヤが変形し対物レンズに傾きが発生するといった懸念が生じる。これを回避するためにはローディング機構、あるいは光ディスクを搭載し回転させるスピンドルモータの取付精度を現行のDVD/CDドライブより高精度にしなければならず、光ディスクドライブのコストUPにつながる。
【0009】
(B)上記BD用対物レンズを用い、光ディスクでは最も面振れ量の大きい(約±0.5mm)CD媒体に対応させる場合、作動距離は上記WD1より小さくなる。そのため、フォーカス制御が外れた瞬間に上記BD用対物レンズがCD媒体と接触・衝突する危険性が高い。一方、上記HD−DVD用対物レンズを用いてCD媒体に対応させる場合、使用していない上記BD用対物レンズがCD媒体と接触、衝突する危険性がある。いずれにしてもCD媒体と対物レンズが接触、衝突する危険性は回避されない。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、上記問題点を解消することにより、複数種類の媒体に対応した情報処理装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、特許請求の範囲記載の発明により達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数種類の記録媒体に対応する情報処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例1ないし3に述べる。
【0014】
本発明は、主に、ディスク状情報媒体にレーザ光を照射することにより情報の再生または記録を行う光ヘッドおよび光情報再生装置または光情報記録再生装置に関係するものである。特に、光学性能が異なる複数の対物レンズを搭載することによってBD(Blu-ray Disc)、HD-DVD、DVD、CDといったディスク基板厚さ、レーザ波長が異なる各種ディスク状情報記録媒体の記録再生に対応する光ヘッドおよびこの光ヘッドを用いた光情報再生装置または光情報記録再生装置に関係するものである。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1について図1から図8を用いて説明する。本実施例はBD(Blu-ray DISC)、HD-DVD、DVD、CDの媒体全てに対応可能な光ヘッドおよび光情報再生装置または光情報記録再生装置を示している。図1から図3は第1の対物レンズ101を用いてBD(Blu-ray DISC)またはDVDの記録再生を行う場合を示す。図1は上面から見た図、図2は側面から見た図、図3は第1の対物レンズ101について説明する図である。
【0016】
まず、本実施例の機構部分について説明する。図1、図2において、第1の対物レンズ101は第1のレンズホルダ103に取り付けられ、第1の支持バネ105によって図のY方向、Z 方向に微動可能に懸架されている。この第1の支持バネ105は第1のバネホルダ106に取り付けられ、この第1のバネホルダ106はサブACTベース107に固定されている。第1のレンズホルダ103には(図示しない)第1のコイルアセンブリが取り付けられており、この第1のコイルアセンブリに所定の空隙を設けて(図示しない)第1の磁気回路が配置されている。この第1の磁気回路はサブACTベース107に固定されている。以上のように、第1の対物レンズ101、第1のレンズホルダ103、第1の支持バネ105、第1のバネホルダ106、サブACTベース107、(図示しない)コイルアセンブリ、(図示しない)磁気回路により第1の対物レンズACT201が構成されている。さらに、サブACTベース107の下部には昇降機構202が設けられており、この昇降機構202はメインACTベース108と接続されている。この昇降機構202により第1の対物レンズACT201は矢印203、矢印204で示すように全体としてZ方向、すなわち、情報記録媒体206の面振れ方向へ平行移動可能となっている。
【0017】
第2の対物レンズ102は第2のレンズホルダ109に取り付けられ、第2の支持バネ110によって図のY方向、Z 方向に微動可能に懸架されている。この第2の支持バネ110は第2のバネホルダ111に取り付けられ、この第2のバネホルダ111はメインACTベース108に固定されている。第2のレンズホルダ109には(図示しない)コイルアセンブリが取り付けられ、このコイルアセンブリに所定の空隙を設けて(図示しない)磁気回路が配置されている。この第2の磁気回路はメインACTベース108に固定されている。以上のように、第2の対物レンズ102、第2のレンズホルダ109、第2の支持バネ110、第2のバネホルダ111、メインACTベース108、(図示しない)第2のコイルアセンブリ、(図示しない)第2の磁気回路により第2の対物レンズACT205が構成されている。メインACTベース108には図のX方向にわたって左右に長穴部112が設けられ、この長穴部112には、キャリッジケース113に設けたガイドピン114が挿入されている。メインACTベース108はその外側に設けられた移動機構115と接続され、キャリッジケース113のベース面116上で矢印117、矢印118に示す方向に平行移動可能となっている。すなわち、上記第1の対物レンズACT201、第2の対物レンズACT205が全体として図のX方向、すなわち情報記録媒体206の接線方向に平行移動可能となっている。
【0018】
キャリッジケース113は左右両端をガイドバー119で支持され、ガイドバー119はメカシャーシ120に固定されている。さらに、キャリッジケース113は(図示しない)送り機構と接続されており、情報記録媒体206の半径方向(図のY方向)にアクセスする。121は情報記録媒体206を搭載し回転させるスピンドルモータを示しており、モータベース122に取り付けられている。
【0019】
モータベース122は図のX方向にわたって左右に長穴部123が設けられ、この長穴部123には、メカシャーシ120に設けられたガイドピン124が挿入されている。モータベース122はその外側に設けられた移動機構125と接続され、メカシャーシ120上で矢印126、矢印127に示すX方向に平行移動可能となっている。すなわち、スピンドルモータ121は図のX方向、すなわち、情報記録媒体206の接線方向に位置調整が可能となっている。
【0020】
次に、本実施例の光学系部分について説明する。BD光学系は以下のようになっている。128は波長λ1=405nm帯の青紫色レーザを示しており、この青紫色レーザ128から直線偏光の発散光が出射され、回折格子129により主ビームと2つの副ビームに分岐されて合成プリズム130を透過する。上記直線偏光のS偏光成分は波長選択性偏光ビームスプリッタ131により反射され、90度光路を曲げられる。一方、上記直線偏光のP偏光成分は波長選択性偏光ビームスプリッタ131を透過し、集光レンズ132により前方モニタ133に集光され、青紫色レーザ128の光量が検出される。上記S偏光成分は、その後、コリメートレンズ134によって平行光に変換され、凹レンズ135と凸レンズ136のペアからなるビームエキスパンダー素子を透過し、立上げミラー137により90度光路を曲げられる。広帯域1/4波長板138を透過して円偏光に変換され、第1の対物レンズ101によって情報記録媒体206(この場合、基板厚さ0.1mmのBD媒体)の記録面上に集光されて光スポットが形成される。情報記録媒体206からの反射戻り光は、第1の対物レンズ101を通過し、広帯域1/4波長板138によりP偏光に変換され、立上げミラー137で反射して90度光路を曲げられる。凸レンズ136、凹レンズ135、コリメートレンズ134、波長選択性偏光ビームスプリッタ131、波長選択性ハーフミラー139を透過した後、検出レンズ140によって受光素子(OEIC)141の光検出面上に集光される。上記受光素子141ではRF信号、サーボ信号(FES信号、DPP信号等)が検出される。また、上記RF信号、上記サーボ信号をもとに球面収差誤差信号が生成され、検出される。ここで、上記ビームエキスパンダー素子はBD媒体の基板厚さ誤差、あるいはBD媒体の2層記録媒体における層間ジャンプ時に1層目と2層目の基板厚さの差に伴って光スポットに発生する球面収差を打消す機能を持つ。上記情報記録媒体206がBD媒体であると判別された場合、上記球面収差誤差信号が0となるように、例えば(図示しない)駆動機構によって凹レンズ135あるいは凸レンズ136を光軸に沿って平行移動させる。
【0021】
DVD光学系は以下のようになっている。142は波長λ2=660nm帯の赤色レーザを示しており、この赤色レーザ142から直線偏光の発散光が出射され、回折格子143により主ビームと2つの副ビームに分岐されて合成プリズム130で反射する。上記直線偏光のS偏光は波長選択性偏光ビームスプリッタ131によって反射し、90度光路を曲げられる。一方、上記直線偏光のP偏光は波長選択性偏光ビームスプリッタ131を透過し、集光レンズ132によって前方モニタ133に集光され、赤色レーザ142の光量が検出される。上記S偏光成分は、その後、コリメートレンズ134によって平行光に変換され、凹レンズ135と凸レンズ136のペアからなるビームエキスパンダー素子を透過し、立上げミラー137により90度光路を曲げられる。広帯域1/4波長板138を透過して円偏光に変換され、第1の対物レンズ101によって情報記録媒体206(この場合、基板厚さ0.6mmのDVD媒体)の情報記録面上に集光されて光スポットが形成される。情報記録媒体206からの反射戻り光は、第1の対物レンズ101を通過し、広帯域1/4波長板138によりP偏光に変換され、立上げミラー137で反射して90度光路を曲げられる。凸レンズ136、凹レンズ135、コリメートレンズ134、波長選択性偏光ビームスプリッタ131、波長選択性ハーフミラー139を透過した後、検出レンズ140によって受光素子(OEIC)141の光検出面上に集光される。上記受光素子141ではRF信号、サーボ信号(FES信号、DPP信号等)が検出される。なお、上記ビームエキスパンダー素子を、DVD媒体、特に2層式DVD媒体を記録再生する際に機能させることも可能である。
【0022】
ここで、第1の対物レンズ101について図3を用いて説明する。第1の対物レンズ101は波長λ1=405nm帯の青紫色光に対して開口数が0.85となるように設計され、レンズ屈折面301に同心円状に(図示しない)格子溝が形成されている。この格子溝は波長λ1の光に対しては回折作用が無いように設計され、同図(A)に示すように、波長λ1の平行光302が第1の対物レンズ101に入射すると、基板厚さがt1(=約0.1mm)のBD基板303を通過後、収差が最良の状態で光スポット304が形成される。上記格子溝は波長λ2=660nm帯の赤色光に対して回折作用を持ち、波長λ2において第1の対物レンズ101の開口数が実質的に約0.65となる光束径の範囲に形成されている。同図(B)に示すように波長λ2の平行光305が第1の対物レンズ101に入射すると、基板厚さがt2(=約0.6mm)のDVD基板306を通過後、収差が最良の状態で光スポット307が形成される。
【0023】
図4から図6は第2の対物レンズ102を用いてCDまたはHD-DVDの記録再生を行う場合を示している。図4は上面から見た図、図5は側面から見た図、図6は第2の対物レンズ102について説明する図である。図4に示すように、移動機構115により図1の状態からメインACTベース108が矢印118の方向に平行移動し、第2の対物レンズ102が立上げミラー137の真上、すなわち光学系の光軸上に来た状態となっている。また、図5に示すように、昇降機構202によって第1の対物レンズACT201全体が矢印203の方向に移動し、第1の対物レンズ101が第2の対物レンズ102よりも下方に退避している。
【0024】
CD光学系は以下のようになっている。401は波長λ3=780nm帯の赤外レーザを示しており、この赤外レーザ401から直線偏光の発散光が出射され、回折格子402により主ビームと2つの副ビームに分岐され、例えば、直線偏光のS偏光のX%が上記波長選択性ハーフミラー139で反射して90度光路を曲げられる。一方、上記S偏光のY%が波長選択性ハーフミラー139を透過し、集光レンズ403により前方モニタ404に集光され、赤外レーザ401の光量がモニタされる。ここで、上記X、Yの間にはXとYの和が100%、ただし、X≧Yの関係を持たせている。上記S偏光はその後、波長選択性偏光ビームスプリッタ131を透過し、コリメートレンズ134によって平行光に変換され、凹レンズ135と凸レンズ136のペアからなるビームエキスパンダー素子を透過し、立上げミラー137により90度光路を曲げられる。その後、波長λ3において開口制限機能を持つ波長選択性アパーチャ素子405によって光束径が制限され、波長λ3において1次回折機能を持つ波長選択性回折素子406により発散光に変換される。上記S偏光は、波長λ3において1/2波長板機能を持つ波長選択性位相差素子407によってP偏光に変換され、第2の対物レンズ102によって情報記録媒体206(この場合、基板厚さ1.2mmのCD媒体)の情報記録面に集光され光スポットが形成される。上記情報記録媒体206からの反射戻り光は、第2の対物レンズ102を通過し、波長λ3において1/2波長板機能を持つ波長選択性位相差素子407によってS偏光に変換され、波長λ3において1次回折機能を持つ波長選択性回折素子406により平行光に変換される。その後、波長選択性アパーチャ素子405を透過し、立上げミラー137で反射して90度光路を曲げられる。波長選択性偏光ビームスプリッタ131を透過し、S偏光のY%が波長選択性ハーフミラー139を透過した後、検出レンズ140によって受光素子(OEIC)141の光検出面に集光される。上記受光素子141ではRF信号、サーボ信号(FES信号、DPP信号等)が検出される。
【0025】
HD-DVD光学系では青紫色レーザ128から出射した波長λ1=405nm帯の光が第2の対物レンズ102により情報記録媒体206(この場合、基板厚さ0.6mmのHD-DVD媒体)の記録面上に集光されて光スポットが形成される。波長λ1においては波長選択性アパーチャ素子405は開口制限機能を持たず、波長選択性回折素子406は回折作用を持たないように設計されている。その他についてはすでに説明したBD光学系と共通であり、ここでは説明を省略する。
【0026】
ここで、第2の対物レンズ102について図6を用いて説明する。第2の対物レンズ102は波長λ1=405nm帯の青紫色光に対して開口数が0.65となるように設計され、波長選択性アパーチャ素子405は開口制限機能を持たず、波長選択性回折素子406は回折作用を持たないように設計されている。(C)に示すように、波長λ1の平行光501が第2の対物レンズ102に入射すると、基板厚さがt2(=約0.6mm)のHD-DVD基板502を通過後、収差が最良の状態で光スポット503が形成される。(D)に示すように、波長λ3の平行光504は波長選択性アパーチャ素子405により開口数が約0.5となるように光束径が制限され、波長選択性回折素子406により発散光に変換される。その後、第2の対物レンズ102に入射すると基板厚さがt3(=約1.2mm)のCD基板505を通過後、収差が最良の状態で光スポット506が形成される。
【0027】
メカシャーシ120の下にはスピンドルモータ121、スピンドルモータ121の移動機構125、キャリッジケース113の(図示しない)送り機構、第1の対物レンズACT201、第2の対物レンズACT205、サブACTベース107の昇降機構202、メインACTベース108の外側に設けられた移動機構115、ビームエキスパンダ素子の(図示しない)駆動機構をそれぞれ制御するための(図示しない)回路基板が設けられている。また、キャリッジケース113には青紫色レーザ128、赤色レーザ142、赤外レーザ401の制御回路基板、前方モニタ133、前方モニタ404、受光素子(OEIC)141の検出回路基板が搭載され、これらは(図示しない)FPCを介して上記回路基板と電気的に接続されている。
【0028】
図7は第1の対物レンズ101、第2の対物レンズ102と情報記録媒体206の高さ方向の位置関係を示したものである。第1の対物レンズ101は開口数が約0.85であり、これを用いてBD媒体またはDVD媒体を記録再生する。BD媒体の場合、情報記録媒体206の下面701とレンズ最終面703との間隔はWD1(約0.5mm)に設定されている。また、第2の対物レンズ102は開口数が約0.65であり、これを用いてHD-DVD媒体またはCD媒体を記録再生する。HD-DVD媒体の場合、情報記録媒体206の下面701とレンズ最終面703との間隔はWD2(約1.5mm)に設定されている。同図(A)は本実施例を実施しない場合を示している。この場合、上記WD1は現行のDVD/CDドライブでの値約1.5mmに比べてかなり小さい。なお、上記WD2は現行のDVD/CDドライブで使用されている値と同等レベルである。このため、現行のDVD/CDドライブに使われているローディング機構の精度では情報記録媒体206をスピンドルモータ121に装着する過程で情報記録媒体206が図の点線のようにZ(上下)方向に振れると、情報記録媒体206の下面702が第1の対物レンズ101のレンズ最終面703と接触、衝突し、レンズ最終面703あるいは情報記録媒体206が傷つく、第1の対物レンズ101を支持する支持バネが変形して第1の対物レンズ101に傾きが発生するといった懸念が生じる。これを回避するためにはローディング機構の精度を現行のDVD/CDドライブよりも高精度にしなければならず、ドライブのコストUPにつながる。また、情報記録媒体206として最も面振れ量の大きい(約±0.5mm)CD媒体を記録再生する場合、使用ていない第1の対物レンズ101のレンズ最終面703が情報記録媒体206の下面702と接触、衝突する懸念がある。
【0029】
これに対し、同図(B)、(C)は本実施例を実施する場合を示している。同図(B)に示すように、サブACTベース107に設けた昇降機構202により第1の対物レンズACT201全体が矢印203のZ方向に平行移動しており、ひいては第1の対物レンズ101を第2の対物レンズ102より下方に位置させている。その結果、現行のDVD/CDドライブと同等の精度のローディング機構を使用し、情報記録媒体206をスピンドルモータ121に装着する過程で情報記録媒体206が同図(A)の点線で示すようにZ方向に振れたとしても、情報記録媒体206の下面702が第1の対物レンズ101のレンズ最終面703と接触、衝突する事態は回避される。また、情報記録媒体206として最も面振れ量の大きい(約±0.5mm)CD媒体を記録再生する場合、使用しない第1の対物レンズ101のレンズ最終面703と情報記録媒体206の下面701との間隔がWD2+α(α>0)に設定されているため、レンズ最終面703とCD媒体が接触、衝突する懸念が回避されるという効果が生じる。情報記録媒体206としてBD媒体あるいはDVD媒体を記録再生する場合には、同図(C)に示すように昇降機構202により第1の対物レンズACT201全体を矢印204のZ方向に平行移動させ、レンズ最終面703と情報記録媒体206の下面701との間隔をWD1に設定する。あるいは昇降機構202によりWD1付近までもっていき、第1の対物レンズACT201の(図示しない)コイルアセンブリに通電して第1のレンズホルダ103を微小変位させることにより最終的に間隔がWD1となるように設定することもできる。
【0030】
また、同じ波長λ1=405nmで開口数が0.85(基板厚さ0.1mmのBD媒体対応)、0.65(基板厚さ0.6mmのHD-DVD媒体対応)の両方に対応する単レンズは現状存在しない。そのため、本実施例では、開口数が0.85である第1の対物レンズ101と開口数が0.65である第2の対物レンズ102を設けるともに、第1の対物レンズ101に比べて作動距離が約2倍以上大きい第2の対物レンズ102を用い、CD媒体の記録再生に対応させるようにした。その結果、BD媒体とHD-DVD媒体の両方に対応しながら、面振れ量が最も大きいCD媒体における作動距離を確保することができる。
【0031】
図8は情報記録媒体206の最内周半径R1、最外周半径R2において、光ヘッドの走行軸802(スピンドルモータ121の回転中心801を通り、同図のY方向に平行な直線)と対物レンズ101(第2の対物レンズ102)の位置関係を示している。光ヘッドをメカシャーシ120に組込み光ディスクドライブの組立てを行う場合、スピンドルモータ121の取付誤差、ガイドバー119の取付誤差に伴い、同図(A)に示すように光ヘッドの走行軸802と対物レンズ101(第2の対物レンズ102)の中心803の間に情報記録媒体206の接線方向(同図のX方向)についてオフセットΔXが発生する。スピンドルモータ121の回転中心801と対物レンズ101(第2の対物レンズ102)の中心803を結ぶ直線と、光ヘッドの走行軸802のなす角度が最内周半径R1位置(角度θ1)と最外周半径R2位置(角度θ2)で異なる状態になっている。この状態では例えば、R1とR2の中間位置で回折格子129の回転調整を行うことによって、情報記録媒体206のトラックに対する主ビームと2つの副ビームの位置関係を適正(主ビームと2つの副ビームのトラック方向間隔が情報記録媒体206のトラックピッチの半分)に調整したとしても、対物レンズ101(第2の対物レンズ102)に対するトラックの接線方向の角度が最内周半径R1位置と最外周半径R2位置においてR1とR2の中間位置とは異なるように見える。すなわち、主ビームと2つの副ビームのトラック方向の間隔が回折格子129の回転調整時からずれることになり、トラッキング制御用のDPP信号に振幅劣化等が生じてトラッキング追従精度が不安定になる。
【0032】
そこで、同図(B)に示すように本実施例では、モータベース122に接続された移動機構125によってスピンドルモータ121を情報記録媒体206の接線方向(同図のX方向)に位置調整可能とした。スピンドルモータ121を(A)の状態に相当する点線部804の位置から実線805の位置まで移動させ、回転中心を801から806まで(A)で発生していたオフセットΔXの分だけ位置調整することができる。その結果、スピンドルモータ121の回転中心806と対物レンズ101(第2の対物レンズ102)の中心803を結ぶ直線と、光ヘッドの走行軸802が同軸上に来ることになり、第1の対物レンズ101(第2の対物レンズ102)に対するトラックの接線方向の角度は最内周半径R1位置と最外周半径R2位置で同じになる。すなわち、最内周半径R1位置と最外周半径R2位置で主ビームと2つの副ビームのトラック方向の間隔が同じになる。その結果、トラッキング制御用のDPP信号の品質が安定し、第1の対物レンズ101(第2の対物レンズ102)のトラッキング追従精度を安定させることができる。
【0033】
また、本実施例では、メインACTベース108の外側に設けた移動機構115によって第1の対物レンズACT201および第2の対物レンズACT205が情報記録媒体206の接線方向に平行移動可能で、第1の対物レンズ101と第2の対物レンズ102の切り替えができる。この移動機構115を併用して微小変位させることにより、さらに精度の高い調整を行うことができる。
【実施例2】
【0034】
実施例2について図9から図13を用いて説明する。図9、図10は第1の対物レンズ101を用いてBD(Blu-ray DISC)またはDVDの記録再生を行う場合を示している。図9は上面図を示し、図10は側面図を示す。本実施例では実施例1で設けていたメインACTベース108の移動機構115はなく、第1の対物レンズACT201および第2の対物レンズACT205はX方向に移動しない。スピンドルモータ121が移動機構125によって矢印126あるいは矢印127のX方向に平行移動可能なこと、第1の対物レンズACT201が昇降機構202によって全体として矢印203、矢印204のZ方向へ平行移動可能なことは実施例1と共通である。
【0035】
本実施例の光学系部分について説明する。BD光学系は以下のようになっている。128は波長λ1=405nm帯の青紫色レーザを示しており、この青紫色レーザ128から直線偏光の発散光が出射され、回折格子129により主ビームと2つの副ビームに分岐されて合成プリズム130を透過する。上記直線偏光のS偏光成分は波長選択性偏光ビームスプリッタ131により反射され、90度光路を曲げられる。一方、上記直線偏光のP偏光成分は波長選択性偏光ビームスプリッタ131を透過し、集光レンズ132により前方モニタ133に集光され、青紫色レーザ128の光量が検出される。上記S偏光成分は、その後、コリメートレンズ134によって平行光に変換され、凹レンズ135と凸レンズ136のペアからなるビームエキスパンダー素子を透過し、立上げミラー901により90度光路を曲げられる。広帯域1/4波長板138を透過して円偏光に変換され、第1の対物レンズ101によって情報記録媒体206(この場合、基板厚さ0.1mmのBD媒体)の記録面上に集光されて光スポットが形成される。情報記録媒体206からの反射戻り光は、第1の対物レンズ101を通過し、広帯域1/4波長板138によりP偏光に変換され、立上げミラー901で反射して90度光路を曲げられる。凸レンズ136、凹レンズ135、コリメートレンズ134、波長選択性偏光ビームスプリッタ131を透過した後、検出レンズ902によって受光素子(OEIC)141の光検出面上に集光される。
【0036】
DVD光学系は以下のようになっている。142は波長λ2=660nm帯の赤色レーザを示しており、この赤色レーザ142から直線偏光の発散光が出射され、回折格子143により主ビームと2つの副ビームに分岐されて合成プリズム130で反射する。上記直線偏光のS偏光は波長選択性偏光ビームスプリッタ131によって反射し、90度光路を曲げられる。一方、上記直線偏光のP偏光は波長選択性偏光ビームスプリッタ131を透過し、集光レンズ132によって前方モニタ133に集光され、赤色レーザ142の光量が検出される。上記S偏光成分は、その後、コリメートレンズ134によって平行光に変換され、凹レンズ135と凸レンズ136のペアからなるビームエキスパンダー素子を透過し、立上げミラー901により90度光路を曲げられる。広帯域1/4波長板138を透過して円偏光に変換され、第1の対物レンズ101によって情報記録媒体206(この場合、基板厚さ0.6mmのDVD媒体)の情報記録面上に集光されて光スポットが形成される。情報記録媒体206からの反射戻り光は、第1の対物レンズ101を通過し、広帯域1/4波長板138によりP偏光に変換され、立上げミラー901で反射して90度光路を曲げられる。凸レンズ136、凹レンズ135、コリメートレンズ134、波長選択性偏光ビームスプリッタ131を透過した後、検出レンズ902によって受光素子(OEIC)141の光検出面上に集光される。上記受光素子141ではRF信号、サーボ信号(FES信号、DPP信号等)が検出される。なお、上記ビームエキスパンダー素子を、DVD媒体、特に2層式DVD媒体を記録再生する際に機能させることも可能である。
【0037】
図11から図13は第2の対物レンズ102を用いてCDまたはHD-DVDの記録再生を行う場合を示している。図11、図12は上面図を示し、図13は側面図を示す。図11に示すように、モータベース122の外側に設けられた移動機構125によって、スピンドルモータ121は図9で示したBDまたはDVDの記録再生を行う場合から矢印126に示すX方向、すなわち情報記録媒体206の接線方向に平行移動し、スピンドルモータ121の回転中心と第2の対物レンズ102の中心を結ぶ直線がキャリッジケース113の送り方向(図のY方向)と平行な状態となっている。また、図13に示すように、昇降機構202によって第1の対物レンズACT201全体が矢印203の方向に移動し、第1の対物レンズ101が第2の対物レンズ102よりも下方に退避した状態になっている。
【0038】
CD光学系は以下のようになっている。401は波長λ3=780nm帯の赤外レーザを示しており、この赤外レーザ401から直線偏光の発散光が出射され、回折格子402により主ビームと2つの副ビームに分岐され、合成プリズム1101で反射し、直線偏光のS偏光が偏光ビームスプリッタ1102で反射し90度光路を曲げられる。一方、上記直線偏光のP偏光が偏光ビームスプリッタ1102を透過し、集光レンズ1103により前方モニタ1104に集光され、赤外レーザ401の光量がモニタされる。上記S偏光はその後、立上げミラー1105で反射し90度光路を曲げられた後、コリメートレンズ1106によって平行光に変換される。その後、波長選択性アパーチャ素子405によって光束径が制限され、波長選択性回折素子406により発散光に変換される。上記S偏光は、波長λ3において1/4波長板機能を持つ広帯域1/4波長板1107によって円偏光に変換され、第2の対物レンズ102によって情報記録媒体206(この場合、基板厚さ1.2mmのCD媒体)の情報記録面に集光され光スポットが形成される。上記情報記録媒体206からの反射戻り光は、第2の対物レンズ102を通過し、広帯域1/4波長板1107によってP偏光に変換され、波長選択性回折素子406により平行光に変換される。その後、波長選択性アパーチャ素子405、コリメートレンズ1106を透過し、立上げミラー1105で反射して90度光路を曲げられる。偏光ビームスプリッタ1102を透過後、検出レンズ1108によって受光素子(OEIC)1109の光検出面に集光される。上記受光素子1109ではRF信号、サーボ信号(FES信号、DPP信号等)が検出される。
【0039】
HD-DVD光学系は以下のようになっている。発振波長λ1=405nm帯の青紫色レーザ1110から出射された直線偏光の発散光は、回折格子1111によってメインビームと2つのサブビームに分岐され、合成プリズム1101を透過し、上記直線偏光のS偏光が偏光ビームスプリッタ1102によって反射し、90度光路を曲げられる。一方、上記直線偏光のP偏光が偏光ビームスプリッタ1102を透過し、集光レンズ1103によって前方モニタ1104に集光され、青紫色レーザ1110の光量が検出される。上記S偏光は、その後、立上げミラー1105で反射し90度光路を曲げられた後、コリメートレンズ1106によって平行光に変換される。波長選択性アパーチャ素子405、波長選択性回折素子406をそのまま作用を受けずに透過する。広帯域1/4波長板1107の1/4波長板機能によって円偏光に変換され、第2の対物レンズ102によって情報記録媒体206(この場合、基板厚さ0.6mmのHD-DVD媒体)の情報記録面に集光されて光スポットが形成される。情報記録媒体206からの反射戻り光は、第2の対物レンズ102を通過し、広帯域1/4波長板1107の1/4波長板機能によってP偏光に変換され、波長選択性回折素子406、波長選択性アパーチャ素子405、コリメートレンズ1106を透過し、立上げミラー1105で反射して90度光路を曲げられる。偏光ビームスプリッタ1102を透過後、検出レンズ1108によって受光素子(OEIC)1109の光検出面に集光される。上記受光素子1109ではRF信号、サーボ信号(FES信号、DPP信号等)が検出される。
【0040】
メカシャーシ120の下にはスピンドルモータ121、スピンドルモータ121の移動機構125、キャリッジケース1112の(図示しない)送り機構、第1の対物レンズACT201、第2の対物レンズACT205、サブACTベース107の昇降機構202、ビームエキスパンダー素子の(図示しない)駆動機構をそれぞれ制御するための(図示しない)回路基板が設けられている。また、キャリッジケース1112には青紫色レーザ128、赤色レーザ142、青紫色レーザ1110、赤外レーザ401の制御回路基板、前方モニタ133、前方モニタ1104、受光素子(OEIC)141、受光素子(OEIC)1109の検出回路基板が搭載され、これらは(図示しない)FPCを介して上記回路基板と電気的に接続されている。
【実施例3】
【0041】
上記実施例1、2では光ヘッドおよび光情報再生装置または光情報記録再生装置についてハードの観点から実施例を説明してきたが、ここではシステム構成の実施例について図14を用いて説明する。図14は情報の記録および再生を行う情報記録再生装置1401の概略ブロック図を示している。1402は実施例1、実施例2で説明した光ヘッドを示しており、この光ヘッド1402から検出された信号は信号処理回路内のサーボ信号生成回路1403および情報信号再生回路1404に送られる。サーボ信号生成回路1403では、光ヘッド1402より検出された信号から光ディスク媒体1405に適したフォーカス制御信号、トラッキング制御信号、球面収差検出信号が生成され、これらをもとにACT駆動回路1406を経て光ヘッド1402内の(図示しない)ACTを駆動し、対物レンズ1407の位置制御を行う。また、上記サーボ信号生成回路1403では上記光ヘッド1402より球面収差検出信号が生成され、この信号をもとに球面収差補正駆動回路1408を経て光ヘッド1402内の(図示しない)ビームエキスパンダ素子の補正レンズを駆動する。また、情報信号再生回路1404では光ヘッド1402から検出された信号から光ディスク1405に記録された情報信号が再生され、その情報信号は情報信号出力端子1409へ出力される。なお、サーボ信号生成回路1403および、情報信号再生回路1404で得られた信号の一部はシステム制御回路1410に送られる。システム制御回路1410からはレーザ駆動用記録信号が送られ、レーザ光源点灯回路1411を駆動させて発光量の制御を行い、光ヘッド1402を介して、光ディスク1405に記録信号を記録する。なお、このシステム制御回路1410にはアクセス制御回路1412とスピンドルモータ駆動回路1413が接続されており、それぞれ、光ヘッド1402の半径方向位置制御や光ディスク1405のスピンドルモータ1414の回転制御が行われる。なお、パーソナルコンピュータあるいはAV用レコーダ等によりユーザが制御する場合には、キーボード、タッチパネル、ジョグダイアル等のユーザ入力装置1418からユーザがユーザ入力処理回路1415に指示を与え、上記情報記録再生装置1401の制御を行う。その際、情報記録再生装置1401の処理状態等は表示処理回路1416によって行われ、液晶パネル、CRT等の表示装置1417に表示される。
【0042】
以上の実施例によれば、以下1)〜4)に示す利点があると言える。これらの利点によりBD規格とHD-DVD規格の両方に対応し、かつDVD媒体およびCD媒体にも対応可能なマルチ型光ディスク装置を提供することが可能となる。
【0043】
1)情報記録媒体の接線方向にスピンドルモータが平行移動可能な移動機構を設けたので、ドライブの組立時に初期的な誤差があったとしても情報記録媒体の回転中心と対物レンズの中心を結ぶ直線と、光ヘッドの走行軸とのずれが小さくなるように位置調整することができる。その結果、情報記録媒体のトラックに対する主ビームと2つの副ビームの位置関係が情報記録媒体の半径方向位置によって変動することが少なくなり、トラッキング制御用のDPP信号、ひいてはトラッキング追従精度が安定する。
【0044】
2)BD用、HD-DVD用の対物レンズをそれぞれ情報記録媒体の接線方向に配置するとともに対物レンズACT全体を情報記録媒体の接線方向に平行移動可能な移動機構を設けたので、BD媒体とHD-DVD媒体に対して使用する対物レンズを切替選択する機能を持たせながら、この移動機構を微小変位させることによって上記位置調整の精度をより高くすることができる。
【0045】
3)対物レンズACT全体を上下方向に平行移動可能な昇降機構を設けたので、現行のDVD/CDドライブと同等の精度のローディング機構を使用した場合でも情報記録媒体が対物レンズと接触、衝突する危険性が回避される。その結果、現行のDVD/CDドライブのローディング機構と設計を共通化することができ、光ディスクドライブのコスト上昇を抑えることができる。
【0046】
4)波長405nm帯域において開口数が0.85の第1の対物レンズ、開口数が0.65の第2の対物レンズを設け、第1の対物レンズに比べて作動距離が約2倍以上大きい第2の対物レンズを用いてCD媒体の記録再生に対応させるようにした。その結果、BD媒体とHD-DVD媒体の両方に対応しながら、面振れ量が最も大きいCD媒体における作動距離を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例1において、BDまたはDVDの記録再生を行う場合の光情報再生装置または光情報記録再生装置を示す上面図である。
【図2】実施例1において、図1の側面図である。
【図3】実施例1において、第1の対物レンズ101について説明する図である。
【図4】実施例1において、CDまたはHD-DVDの記録再生を行う場合の光情報再生装置または光情報記録再生装置を示す上面図である。
【図5】実施例1において、図4の側面図である。
【図6】実施例1において、第2の対物レンズ102について説明する図である
【図7】実施例1において、第1の対物レンズ101、第2の対物レンズ102と情報記録媒体206の高さ方向の位置関係を示した図である。
【図8】実施例1において、光ヘッドの走行軸802と第1の対物レンズ101(第2の対物レンズ102)の位置関係を示す図である。
【図9】実施例2において、BDまたはDVDの記録再生を行う場合の光情報再生装置または光情報記録再生装置を示す上面図である。
【図10】実施例2において、図9の側面図である。
【図11】実施例2において、CDまたはHD-DVDの記録再生を行う場合の光情報再生装置または光情報記録再生装置を示す上面図である。
【図12】実施例2において、CDまたはHD-DVDの記録再生を行う場合の光情報再生装置または光情報記録再生装置を示す上面図である。
【図13】実施例2において、図11、図12の側面図である。
【図14】実施例3において、光情報再生装置または光情報記録再生装置のシステム構成を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
101・・・第1の対物レンズ、201・・・第1の対物レンズACT、202・・・サブACTベース107の昇降機構、206・・・情報記録媒体、102・・・第2の対物レンズ、205・・・第2の対物レンズACT、113・・・キャリッジケース、115・・・メインACTベース108の移動機構、121・・・スピンドルモータ、125・・・モータベース122の移動機構、128・・・波長λ1=405nm帯の青紫色レーザ、142・・・波長λ2=660nm帯の赤色レーザ、401・・・波長λ3=780nm帯の赤外レーザ、303・・・BD基板、306・・・DVD基板、502・・・HD-DVD基板、505・・・CD基板、802・・・光ヘッドの走行軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジケースにレーザ光源と、コリメートレンズと、対物レンズと、光検出器と、前記対物レンズを微小駆動させるアクチュエータ等を配置した光学ヘッドと、ディスク媒体を装着し回転させるスピンドルモータと、前記光学ヘッドを支持して前記ディスク媒体の半径方向に移動させる光学ヘッドアクセス機構と、前記光学ヘッドアクセス機構と前記スピンドルモータを取付けるメカシャーシと、前記ディスク媒体を前記スピンドルモータに搬送するローディング機構と、これらを制御するための回路基板を備えた情報処理装置において、
第1の対物レンズを搭載する第1のアクチュエータと第2の対物レンズを搭載する第2のアクチュエータを前記ディスク媒体の接線方向に配置し、これらのアクチュエータ全体を前記ディスク媒体の接線方向に平行移動可能とするとともに、前記スピンドルモータを前記ディスク媒体の接線方向に平行移動可能としたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズは、少なくとも波長が同じで、開口数とディスク媒体の基板厚さが互いに異なる光学特性を持たせたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1において、前記第1のアクチュエータまたは前記第2のアクチュエータを全体に前記ディスク媒体の上下方向に平行移動可能としたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1において、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータを前記ディスク媒体の接線方向に平行移動させ、使用する対物レンズを前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズのいずれかに切り替えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4において、前記スピンドルモータを前記ディスク媒体の接線方向に平行移動させ、前記スピンドルモータの回転中心を通り前記光学ヘッドアクセス機構の走行方向に平行な軸線上に前記第1の対物レンズあるいは前記第2の対物レンズの中心が来るように調整可能としたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1において、前記スピンドルモータを前記ディスク媒体の接線方向に平行移動させ、対物レンズを前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズのいずれかに切り替えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項6において、前記第1のアクチュエータと第2のアクチュエータ全体を前記ディスク媒体の接線方向に平行移動させ、前記スピンドルモータの回転中心を通り前記光学ヘッドアクセス機構の走行方向に平行な軸線上に前記第1の対物レンズあるいは前記第2の対物レンズの中心が来るように調整可能としたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1において、基板厚さがt1である第1のディスク媒体と基板厚さがt2(>t1)である第2のディスク媒体に対し波長λ1の光を出射する第1のレーザ光源と、基板厚さがt3(=t2)である第3のディスク媒体に対し波長λ2(>λ1)の光を出射する第2のレーザ光源と、基板厚さがt4(>t3)である第4のディスク媒体に対し波長λ3(>λ2)の光を出射する第3のレーザ光源を備え、前記第1の対物レンズを波長λ1と基板厚さt1、波長λ2と基板厚さt3に対応する対物レンズとし、前記第2の対物レンズを波長λ1と基板厚さt2に対応する対物レンズとして、さらにこの第2の対物レンズの下に開口制限素子と回折素子を配置して波長λ3と基板厚さt4に対応させたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1において、基板厚さがt1である第1のディスク媒体と基板厚さがt2(>t1)である第2のディスク媒体に対し波長λ1の光を出射する第1のレーザ光源と、基板厚さがt3(=t2)である第3のディスク媒体に対し波長λ2(>λ1)の光を出射する第2のレーザ光源と、基板厚さがt4(>t3)である第4のディスク媒体に対し波長λ3(>λ2)の光を出射する第3のレーザ光源を備え、前記第1の対物レンズを波長λ1と基板厚さt1に対応する対物レンズとし、前記第2の対物レンズを波長λ1と基板厚さt2、波長λ2と基板厚さt3に対応する対物レンズとして、
さらにこの第2の対物レンズの下に開口制限素子と回折素子を配置して波長λ3と基板厚さt4に対応させたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項3及び8において、前記ディスク媒体が前記スピンドルモータに装着されていない状態、あるいは前記第2と前記第4のディスク媒体のいずれかが前記スピンドルモータに装着された場合には、前記第1のアクチュエータ全体が下方に平行移動して前記第1の対物レンズが前記第2の対物レンズより下方に位置しており、前記第1と前記第3のディスク媒体のいずれかが前記スピンドルモータに装着された場合には、前記第1のアクチュエータ全体が上方に平行移動して前記第1の対物レンズが前記第2の対物レンズより上方に位置していることを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項3及び9において、前記ディスク媒体が前記スピンドルモータに装着されていない状態、あるいは前記第2と前記第3と前記第4のディスク媒体のいずれかが前記スピンドルモータに装着された場合には、前記第1のアクチュエータ全体が下方に平行移動して前記第1の対物レンズが前記第2の対物レンズより下方に位置しており、前記第1のディスク媒体が前記スピンドルモータに装着された場合には、前記第1のアクチュエータ全体が上方に平行移動して前記第1の対物レンズが前記第2の対物レンズより上方に位置していることを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項1において、基板厚さがt1である第1のディスク媒体に対し波長λ1の光を出射する第1のレーザ光源と、基板厚さがt2(>t1)である第2のディスク媒体に対し波長λ2(>λ1)の光を出射する第2のレーザ光源と、基板厚さがt3(>t2)である第3のディスク媒体に対し波長λ3(>λ2)の光を出射する第3のレーザ光源を備え、前記第1の対物レンズは波長λ1と基板厚さt1に対応する対物レンズとし、前記第2の対物レンズは波長λ2と基板厚さt2、波長λ3と基板厚さt3の両方に対応する対物レンズとしたことを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−196053(P2006−196053A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4657(P2005−4657)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】