説明

情報検索端末装置、情報検索方法、情報検索プログラム及び記憶媒体

【課題】端末装置上で実行された検索処理に基づいて、不特定多数のユーザから、多くの人々に有益な情報を収集する。
【解決手段】情報検索端末装置において、記憶部には地理上の施設情報が記憶されている。ユーザが検索条件を指定すると、検索条件を具備する施設情報が記憶部から検索される。検索条件としては、検索地点及び施設のジャンルなどが含まれる。検索地点とは検索の基準となる地点であり、例えばナビゲーション装置における現在位置、ユーザが指定した特定の場所などが該当する。検索条件及び検索結果は、検索情報としてサーバ装置へ送られる。サーバ装置は、検索情報を蓄積し、様々な用途に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが行った検索の結果を収集して利用する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置、インターネットを利用した地図提供アプリケーションなどは、周辺検索又は施設検索と呼ばれる機能を有している。これは、現在位置近傍に存在する施設を検索する機能である。一般的には、カーナビゲーション装置を搭載した車両の現在位置やユーザが指定した位置を基準とし、その周辺の所定距離以内に目的とするジャンルの施設があるか否かが検索される。
【0003】
このような検索機能を有するナビゲーション装置の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1では、ユーザが自分のナビゲーション装置において実行した検索結果の履歴情報などに基づいてそのユーザの関心事項や運転傾向などを検出し、情報配信センタへ送信している。情報配信センタは、収集したユーザの関心事項や運転傾向などに基づいて、各ユーザに対して広告や周辺情報などを提供することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−201149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の手法は、個々のユーザの固有の関心や嗜好を収集するものであり、収集された情報はそのユーザに限って有益な情報である。そのため、収集した情報に基づいて、例えば土地開発や店舗開店など、不特定多数の人々に有益となるような利用はできない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、端末装置上で実行された検索処理に基づいて、不特定多数のユーザから、多くの人々に有益な情報を収集することができる手法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、サーバ装置と通信可能な情報検索端末装置であって、地理上の施設情報を記憶する記憶部と、検索地点及び施設種別特定情報を含む検索条件の指定を受け取る条件指定手段と、前記検索条件を具備する施設情報を前記記憶部から検索する検索手段と、前記検索条件及び前記検索手段による検索結果を検索情報として前記サーバ装置へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の好適な実施形態では、サーバ装置と通信可能な情報検索端末装置は、地理上の施設情報を記憶する記憶部と、検索地点及び施設種別特定情報を含む検索条件の指定を受け取る条件指定手段と、前記検索条件を具備する施設情報を前記記憶部から検索する検索手段と、前記検索条件及び前記検索手段による検索結果を検索情報として前記サーバ装置へ送信する送信手段と、を備える。
【0009】
上記の情報検索端末装置は、例えば施設に関する検索を行うナビゲーション装置、PCなどの端末装置、携帯電話、PDA、ゲーム機などのポータブル端末装置などである。記憶部には地理上の施設情報が記憶される。ユーザが検索条件を指定すると、検索条件を具備する施設情報が記憶部から検索される。検索条件としては、検索地点及び施設種別特定情報が含まれる。検索地点とは検索の基準となる地点であり、例えばナビゲーション装置における現在位置、ユーザが指定した特定の場所などが該当する。施設種別特定情報は、施設の種別を特定する情報である。検索条件及び検索結果は、検索情報としてサーバ装置へ送られる。サーバ装置は、検索情報を蓄積し、様々な用途に使用する。
【0010】
上記の情報検索端末装置の一態様では、前記検索結果は、前記検索により抽出された施設情報の数を含む。検索により得られた施設情報の数を記憶することにより、その施設の地域毎の集中度などを知ることができる。
【0011】
上記の情報検索端末装置の他の一態様では、前記検索情報は、検索を実行した情報検索装置の識別情報を含む。情報検索装置の識別情報を記憶することにより、サーバ装置では、どのユーザの検索情報であるかを特定することが可能になるとともに、検索結果を利用する上で情報の提供元の偏りを防止することもできる。
【0012】
好適な例では、施設種別特定情報は、施設の種別を特定する情報であり、具体的には施設のジャンルや、ジャンルと対応付けられた施設の具体的な名称などが含まれる。また、検索手段は、前記施設種別特定情報として前記施設の名称が指定された場合には、当該施設が属するジャンルを特定し、当該ジャンルを前記検索情報に含めることができる。
【0013】
上記の情報検索端末装置の他の一態様では、前記送信手段は、所定の頻度以下で前記検索情報を送信する。これにより、特定の端末装置からの情報ばかりがサーバ装置に蓄積されることを防止し、不特定多数のユーザから、個人の嗜好による偏りの少ない情報収集が可能となる。
【0014】
好適な例では、前記情報検索端末装置は移動体に搭載されており、前記検索地点は前記移動体の位置である。他の好適な例では、前記検索地点は、指定された所定の地点である。
【0015】
また、他の好適な例では、検索情報に当該検索において使用された施設情報のバージョンを示す情報を含めることができる。
【実施例】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0017】
[情報収集システム]
図1は、本発明の実施例に係る情報収集システムの概略構成を示す。図示のように、情報収集システムは、情報収集サーバ100と、ナビゲーション装置200と、端末装置250とを備える。なお、図1の例では、便宜上2つのナビゲーション装置200と、1つの端末装置250を図示しているが、実際には多数のナビゲーション装置200と多数の端末装置250とが使用される。
【0018】
ナビゲーション装置200は、一般的には車両に搭載されるものが多く、無線通信により情報収集サーバ100との間で情報の送受信を行う。なお、ナビゲーション装置200としては、車両に搭載されるものに限らず、人が持ち歩くポータブルタイプのもの、携帯電話やゲーム機などを利用してナビゲーション機能を実現するものなど、多種のものを利用することができる。
【0019】
情報端末200は、例えばパーソナルコンピュータなどであり、ネットワーク201を利用して情報収集サーバ100に接続する。ネットワーク201の好適な例はインターネットである。情報端末200では、例えば地図提供アプリケーションなどを利用して情報を収集する。
【0020】
[ナビゲーション装置]
図2に、ナビゲーション装置200の構成を示す。図2に示すように、ナビゲーション装置200は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0021】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0022】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0023】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU22、ROM23及びRAM24を含んでおり、ナビゲーション装置200全体の制御を行う。
【0024】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0025】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0026】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0027】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。
【0028】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。また、本実施例では、ナビゲーション装置200は、通信装置38を使用して検索結果などの情報を情報収集サーバ100へ送信する。
【0029】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0030】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0031】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0032】
なお、CPU22は、予めROM23などに記憶された情報検索プログラムを実行することにより、本発明の検索手段として機能する。また、入力装置60は本発明の条件指定手段として機能し、データ記憶ユニット36は本発明における記憶部として機能する。
【0033】
[機能構成]
図3(a)は情報収集サーバ100の機能構成を示す。情報収集サーバ100は、複数のナビゲーション装置200及び端末装置250から、それら装置において実行された検索における検索情報を収集する。ここで、検索情報とは、検索条件及び検索結果を含む。そして、情報収集サーバ100は、収集した検索情報を様々な用途に使用する。なお、本実施例では、情報収集サーバ100は、収集した検索情報を利用して、後述のように施設の分布図を作成する。
【0034】
具体的には、情報収集サーバ100は、入力部11と、分布図作成部12と、送受信部13と、検索情報データベース(DB)14とを備える。入力部11は、情報収集サーバ100を操作するオペレータにより使用されるキーボード、マウスその他の入力装置である。分布図作成部12は、検索情報DB14に蓄積された検索情報に基づいて、特定のエリアにおける特定の施設の分布図を作成するものである。なお、分布図の作成例については後述する。送受信部13は、無線通信又はネットワーク通信などを利用して、複数のナビゲーション装置200及び端末装置250と通信する。
【0035】
図3(b)はナビゲーション装置200のうち本実施例に関連する要素の機能構成を示す。本実施例では、ナビゲーション装置200は、ユーザの操作に応じて周辺検索などの検索を実行し、その検索により得られた検索情報を情報収集サーバ100へ送信する。
【0036】
具体的に、入力部151は、図2に示す入力装置60により構成され、ユーザによる検索実行の指示の入力、検索条件の入力などに使用される。検索部152は、システムコントローラ20内のCPU22が予め用意されたプログラムを実行することにより実現され、ユーザにより指示された検索を実行する。送受信部153は、通信装置38により構成され、検索により得られた検索情報を情報収集サーバ100へ送信する際に使用される。
【0037】
施設情報DB154はデータ記憶ユニット36により構成され、地理上の施設情報を記憶している。具体的には、多数の施設について、施設情報と位置情報とを対応付けて記憶している。なお、施設情報には、施設の具体的な名称に加えて、その施設のジャンル名などが記憶されている。例えば、あるコンビニエンスストア(以下、「コンビニ」とも表記する。)については、その名称「ABCストア」に加えて、ジャンル名「コンビニ」が登録されている。この施設情報は一般的なナビゲーション装置などにおいて、地図データの一部として含まれているものである。
【0038】
なお、一般的に、ナビゲーション装置において使用される地図データは定期的にバージョンアップされるため、ナビゲーション装置によっては施設情報DBに記憶された施設情報が古いバージョンとなっている場合がある。このため、検索情報には、その検索において使用した施設情報のバージョン情報を含めることとしてもよい。施設情報のバージョン情報は、例えばその施設情報が作成された年月日や時刻などを示す日時、「第○版」又は「VerX」などのバージョン番号などとすることができる。施設情報DBに施設情報のバージョン情報を記憶し、検索情報に施設情報のバージョン情報を含めることとすれば、検索情報を利用する際に、新しい施設情報を優先して利用することができる。具体的に本実施例では、施設情報のバージョン情報に基づいて新しい施設情報を優先して施設の分布図を作成することとすれば、より信頼性の高い分布図の作成が可能となる。
【0039】
検索情報DB155は、RAM24又はデータ記憶ユニット36により構成され、ユーザが行った検索に関する検索情報を記憶する。具体的には、ユーザが検索地点及びジャンルを指定して周辺検索を行った場合には、その検索地点及びジャンルを検索条件として記憶する。また、その検索により得られた施設の情報を検索結果として記憶する。これら検索条件及び検索結果は、上記の検索情報として情報収集サーバ100へ送信される。
【0040】
制御部156は、検索終了後のユーザの操作などを入力部151を通じて取得し、検索情報DB155に記憶する。検索終了後のユーザの操作とは、例えば検索により得られた複数の候補施設のうちの1つをユーザが目的地に指定する操作などである。
【0041】
なお、図3(b)はナビゲーション装置200の機能構成を示しているが、本実施例においては、端末装置250も基本的に同様の構成を有する。即ち、パーソナルコンピュータや情報端末装置において、キーボードやマウスなどの入力装置が入力部151を構成し、CPUがプログラムを実行することにより検索部152及び制御部156を構成し、通信ユニットが送受信部153を構成し、メモリやRAMなどが施設情報DB154及び検索結果DB156を構成する。
【0042】
[情報収集処理]
次に、本実施例による情報収集処理について説明する。図4に情報収集処理のフローチャートを示す。まず、ナビゲーション装置200において、ユーザが入力部151を通じて検索条件を入力し、ナビゲーション装置200はこれを受け取る(ステップS101)。検索条件としては、少なくとも検索基準地点の位置情報、及び、ジャンルが入力される。ナビゲーション装置200では、一般的には車両などの現在位置が検索基準地点とされることが多いが、ユーザが現在位置以外の検索地点を指定することもできる。
【0043】
検索部152は、検索条件を検索情報DB155に一時的に記憶し(ステップS102)、検索条件に従って施設情報DB154を参照して検索を実行し、その結果を検索情報DB155に記憶する(ステップS103)。
【0044】
次に、制御部156は、その後のユーザの操作を検索情報DB155に記憶する(ステップS104)。そして、ナビゲーション装置200は、送受信部153を通じて検索情報を情報収集サーバ100へ送信する(ステップS105)。
【0045】
情報収集サーバ100は、ナビゲーション装置200から検索情報を受信し(ステップS106)、検索情報DB14に保存する(ステップS107)。こうして、情報収集サーバは、複数のナビゲーション装置200から検索情報を収集する。なお、ここではナビゲーション装置200を利用した情報収集処理について説明したが、端末装置250を利用した情報収集処理も基本的に同様のステップで実行される。
【0046】
図5は、こうして収集された検索情報の例を示す。なお、この検索情報は、情報収集サーバ100の検索情報DB14に記憶されている状態を示している。
【0047】
図5の例では、検索情報は、端末ID、検索種別、検索基準地点の緯度及び経度、ジャンル、検索日時及びヒット数を含む。「端末ID」は検索が行われたナビゲーション装置200又は端末装置250を識別するIDであり、「検索種別」は検索の種類を示す。なお、周辺検索以外には、例えば施設名を直接指定する名称検索、キーワードを入力するキーワード検索などが挙げられる。また、施設を名称で指定する代わりに、住所、電話番号などで特定して検索する場合も含まれる。
【0048】
「検索基準地点の緯度/経度」及び「ジャンル」は、ユーザにより検索条件として入力、指定される情報である。「検索日時」は検索が実際に行われた日時を指し、「ヒット数」はその検索条件に合致するとして得られた結果(施設)の数を示す。
【0049】
本実施例では、検索が行われた端末装置を特定する端末IDが検索情報に含まれている。よって、情報収集サーバ100は、各検索情報がどの端末装置により実行されたかを知ることができる。なお、端末IDについて「情報なし」とは、その端末装置のユーザが端末IDの提供に同意していない場合に相当する。通常、端末装置上の設定により、ユーザは端末IDを送信するか否かを任意に選択することができる。
【0050】
このように、本実施例では、端末IDを検索情報として収集することにより、不特定多数のユーザによる偏りの少ないデータの生成が可能となる。具体的には、情報収集サーバ100では、検索情報の利用時に、検索情報が送信される頻度に応じて重み付けを行うことができる。即ち、あるユーザの個人の嗜好に偏った情報ではなく、不特定多数のユーザによる偏りの少ない情報が求められている場合には、頻繁に情報を送信するユーザの情報の重要度を下げてその情報を利用すればよい。
【0051】
また、その代わりに、ナビゲーション装置200や端末装置250側で、検索情報の送信頻度を管理し、一定頻度以上では検索情報の送信を行わないようにしてもよい。例えば、頻繁に検索が行われた場合でも、前回の検索情報送信から所定時間以内の検索については検索情報の送信を行わない、1日の情報送信回数を制限するなどの方法により、同一の端末装置から必要以上に頻繁に検索情報の送信を行わないようにすることもできる。これにより、不要な通信による通信コストの削減も可能となる。
【0052】
なお、図5には示していないが、前述のように検索結果として挙げられた施設のうちの1つをユーザが目的地に指定した場合など、検索完了後にユーザが行った操作に関連する情報も検索情報に含めて記憶することができる。
【0053】
なお、検索種別としては、周辺検索以外に、施設名を直接指定する検索やキーワード検索などがあると述べたが、そのような場合には、検索部152は、施設情報DB154を参照してその施設が属するジャンルを特定し、検索情報に含めることが好ましい。これにより、ユーザがジャンルを指定しない検索を実行した場合でも、情報収集サーバ100に送信される検索情報にジャンルを含めることが可能となり、収集した情報の利用価値を高めることができる。
【0054】
次に、情報収集サーバ100に収集した検索情報の利用例について説明する。本実施例では、収集した検索情報を、店舗開店地域の検討に使用する。例えば、ある地域において、ジャンル「コンビニ」の周辺検索数が多いということは、その地域にはコンビニが少なく、ユーザはその地域にコンビニがあれば便利だと考えていると推測できる。よって、地域及びジャンルを指定して分布図を作成することにより、どの地域にどのようなジャンルの店舗を展開するのが良いかを検討することができる。以下、分布図の作成処理について説明する。
【0055】
図6は分布図作成処理のフローチャートである。この処理は、図3(a)に示すように、情報収集サーバ100の分布図作成部12により実行される。
【0056】
まず、ユーザが作成条件を入力し、情報収集サーバ100は入力された作成条件を取得する(ステップS201)。ここで、作成条件は、少なくとも地域とジャンルの指定を含む。次に、分布図作成部12は、検索情報DB14内の全てのレコードに対する処理が完了したか否かを判定する(ステップS202)。
【0057】
全てのレコードに対する処理が完了していない場合(ステップS202;No)、分布図作成部12は検索情報DB14内の1つのレコードについて検索基準地点を取得し(ステップS203)、その検索基準地点が、作成条件により指定された地域内であるか否かを判定する(ステップS204)。指定地域内である場合(ステップS204;Yes)、分布図作成部12は、そのレコードのジャンルを取得し、作成条件により指定されたジャンルと一致するか否かを判定する(ステップS206)。指定されたジャンルと一致する場合(ステップS206;Yes)、分布図作成部12はそのレコードを分布図に乗せるべきレコードであると判断し、そのデータを地図上にプロットするとともに検索件数を1つカウントアップする。なお、検索件数とは、分布図作成処理において作成条件に合致するレコードの数であり、即ち指定領域において指定ジャンルの検索が行われた回数を示している。
【0058】
こうして1つのレコードについて処理が終了すると、処理はステップS202へ戻り、全てのレコードについての処理が終了するまでステップS202乃至S207を繰り返す。こうして、全てのレコードについて処理が完了すると(ステップS202;Yes)、分布図作成処理は終了し、分布図が完成する。
【0059】
作成された分布図の例を図7に示す。図7の例は、作成条件として、地域「○○町」及びジャンル「コンビニ」が指定された場合の例であり、指定地域である○○町周辺の地図上に、検索情報に含まれるレコードに対応するマークPが表示される。なお、破線の円で示す領域はマークPが集中している領域である。また、図7の表示画像の右下には、合計の検索件数が表示される。即ち、この地域においてコンビニの検索が22件あったことを示している。
【0060】
分布図において、マークPはその場所でコンビニを探す検索が行われたことを示しているので、マークPが集中する場所ほどコンビニのニーズが高いと推定することができる。
【0061】
また、分布図の作成に加えて、例えば検索情報中の日時の情報を利用することにより、店舗をオープンさせるのに適した曜日や時間を検討することができる。また、検索情報中のヒット数を利用することにより、競合施設がどの程度存在するかを判断することもできる。
【0062】
[変形例]
上記の実施例では、情報収集サーバ100が収集した検索情報を店舗展開場所の分析のための分布図作成に利用する例を示したが、検索情報の用途はこれに限定されるものではない。
【0063】
また、上記の実施例では、検索情報として情報収集サーバへ送信される情報は固定となっているが、その一部をユーザが任意に選択できるようにしてもよい。
【0064】
また、ある地点から特定のジャンルの施設を検索する場合に限定して情報収集サーバへ検索情報を送信する形態に限らず、あらゆる検索においてユーザが検索を行った条件及び検索結果を検索情報として送信することができる。これにより、情報収集サーバ側では、「ある地点の周辺の施設を検索した場合」なのか「その他の検索の場合」なのかを振り分けて情報を整理するという形態も考えられる。
【0065】
また、キーワード検索などの場合には、ある都道府県で特定のキーワードが複数検索されたといった情報を収集することができる。この場合、例えばその際に使用された端末装置がカーナビゲーション装置であれば、車でその地に向かう人がどれぐらいいるかといった情報がわかり、近くに駐車場や飲食店を建設することの有効性を判断する情報に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例による情報収集システムの概略構成を示す。
【図2】ナビゲーション装置の構成を示す。
【図3】情報収集サーバ及びナビゲーション装置の機能構成を示す。
【図4】情報収集処理のフローチャートである。
【図5】情報収集サーバに蓄積される検索情報の例である。
【図6】分布図作成処理のフローチャートである。
【図7】分布図の例を示す。
【符号の説明】
【0067】
10 自立測位装置
18 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
36 データ記憶ユニット
40 表示ユニット
60 入力装置
100 情報収集サーバ
200 ナビゲーション装置
250 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と通信可能な情報検索端末装置であって、
地理上の施設情報を記憶する記憶部と、
検索地点及び施設種別特定情報を含む検索条件の指定を受け取る条件指定手段と、
前記検索条件を具備する施設情報を前記記憶部から検索する検索手段と、
前記検索条件及び前記検索手段による検索結果を検索情報として前記サーバ装置へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする情報検索端末装置。
【請求項2】
前記検索結果は、前記検索により抽出された施設情報の数を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報検索端末装置。
【請求項3】
前記検索情報は、検索を実行した情報検索装置の識別情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報検索端末装置。
【請求項4】
前記施設種別特定情報は、施設のジャンルを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報検索端末装置。
【請求項5】
前記施設種別特定情報は、施設のジャンルと対応付けられた施設の名称を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報検索端末装置。
【請求項6】
前記検索手段は、前記施設種別特定情報として前記施設の名称が指定された場合には、当該施設が属するジャンルを特定し、当該ジャンルを前記検索情報に含めることを特徴とする請求項5に記載の情報検索端末装置。
【請求項7】
前記送信手段は、所定の頻度以下で前記検索情報を送信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報検索端末装置。
【請求項8】
前記情報検索端末装置は移動体に搭載されており、前記検索地点は前記移動体の位置であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の情報検索端末装置。
【請求項9】
前記検索地点は、指定された所定の地点であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の情報検索端末装置。
【請求項10】
前記検索情報は、当該検索において使用された施設情報のバージョンを示す情報を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報検索端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−309720(P2008−309720A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159227(P2007−159227)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】