説明

情報端末、接続切り替え方法、および接続切り替えプログラム

【課題】電波の受信状況を予め考慮して接続先を選択すると共に、受信状況に応じて適切な接続先に切り替える。
【解決手段】コンテンツの受信が可能である第1の受信部(受信部4)、第1の受信部とは異なる通信網によって同一コンテンツの受信が可能である第2の受信部(受信部4)、目的地等を入力させる入力部3、現在位置を検出する現在位置特定部(制御部2)、現在位置から目的地等までの経路を探索し、誘導するナビゲーション部(制御部2)、現在位置から目的地等までの経路で、第1の受信部または第2の受信部でコンテンツの受信が可能であるか否かを判定する受信可能エリア判定部(制御部2)、現在位置から目的地または経由地までの経路上でコンテンツを受信する受信部4を事前に決定する通信制御部(制御部2)と、を備える情報端末(ラジオ放送受信端末1)とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末、接続切り替え方法、および接続切り替えプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルテレビ放送やアナログテレビ放送を受信できる携帯型のテレビ放送受信機や、これらの放送を視聴することができる多機能型のカーナビゲーション装置などが知られている。これらの装置においてデジタルテレビ放送やアナログテレビ放送を移動しながら視聴すると、電波の受信状況が悪化して画面表示や音声出力に乱れが生じる、またはコンテンツを視聴することができなくなることがある。
【0003】
このような課題に対して、受信電界強度を検出し、現在接続している通信手段から他の安定してコンテンツを受信できる別の通信手段に接続を切り替える技術が提案されている(たとえば特許文献1参照)。また、それぞれの通信手段の受信可能なエリア情報を予め装置内に保持しておき、これらのエリア情報および実際の電波の受信状況を考慮して、どの通信網に接続するかを決定する技術が提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−158492号公報
【特許文献2】特開2007−124211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術には、次のような課題がある。すなわち、特許文献1に開示される技術では、リアルタイムに受信電界強度を測定する移動型の受信機であるため、受信電界強度が急激に低下した場合には、接続切り替え処理時に発生するコンテンツの整合性を保つための遅延処理などが間に合わず、画面が表示されない、または音声出力が停止する可能性がある。また、受信状況によっては、接続先が頻繁に切り替わる可能性がある。また、接続先が頻繁に変更されると上述の遅延処理等が増加し、装置の電池消耗が激しくなる。
【0006】
また、特許文献2に開示される技術では、受信可能なエリア情報を考慮してはいるが、やはり実際の電波の受信状況により最終的な接続切り替えを行っているため、受信電界強度が急激に低下した場合には、接続切り替え処理時に発生するコンテンツの整合性を保つための遅延処理などが間に合わず、画面が表示されない、または音声出力が停止する可能性がある。また、受信状況によっては、接続先が頻繁に切り替わる可能性がある。また、接続先が頻繁に変更されると上述の遅延処理等が増加し、装置の電池消耗が激しくなる。また、特許文献2に開示される技術は、デジタルテレビ放送またはアナログテレビ放送の受信状況の一方が悪いときは、他方に切り替えることになる。ここで、仮にアナログテレビ放送の受信状況が悪いときにデジタルテレビ放送に切り替えたとしても、デジタル信号のエラー訂正能力の限界を超えるほど受信環境が悪い場合には、受信品質レベルがアナログテレビ放送を受信しているときよりも更に低下する場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑み、電波の受信状況を予め考慮して接続先を選択すると共に、受信状況に応じて適切な接続先に切り替える情報端末、接続切り替え方法、および接続切り替えプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面である情報端末は、コンテンツの受信が可能である第1の受信部と、第1の受信部とは異なる通信網によって同様のコンテンツの受信が可能である第2の受信部と、目的地または目的地に加えて経由地が入力される入力部と、現在位置を検出する現在位置特定部と、現在位置から目的地または経由地までの経路を探索し、探索された経路に基づいて誘導するナビゲーション部と、現在位置から目的地または経由地までの経路間において、第1の受信部または第2の受信部でコンテンツの受信が可能であるか否かを示すエリア情報を取得し、第1の受信部または第2の受信部でコンテンツの受信が可能であるか否かを判定する受信可能エリア判定部と、受信可能エリア判定部の判定に基づいて、コンテンツを受信する受信部を事前に決定する通信制御部と、を備えるものである。
【0009】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成に加えて、エリア情報が少なくとも記憶されている記憶部を備えていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、入力部は、コンテンツを第1の受信部または第2の受信部のいずれかで優先的に受信させる設定が可能であり、通信制御部は、受信可能エリア判定部により第1の受信部および第2の受信部のいずれでもコンテンツの受信が可能であるエリアであると判定された区間は、入力部からの入力された設定に基づいて第1の受信部または第2の受信部のいずれかの受信部を優先して選択することが好ましい。
【0011】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、通信制御部は、現在位置から目的地または経由地間におけるコンテンツの受信状況を考慮して最も接続切り替え回数が少なくなる受信部を第1の受信部または第2の受信部から選択することが好ましい。
【0012】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、通信制御部は、受信可能エリア判定部の判定により特定された接続可能エリア情報に基づいて、第1の受信部または第2の受信部でコンテンツの受信を開始するタイミングを決定する処理を行うことが好ましい。
【0013】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、通信制御部は、受信可能エリア判定部の判定により特定された接続可能エリア情報および所定の接続切り替えパターンに基づいて第1の受信部または第2の受信部の一方から他方の受信部へと切り替えるタイミングを決定することが好ましい。
【0014】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、所定の接続切り替えパターンは、情報端末の現在位置が、第1の受信部または第2の受信部のいずれでもコンテンツの受信が可能であると判定された第1のエリアから、第1の受信部または第2の受信部のいずれかでのみコンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアへ移動する場合に、第1のエリア内において第2のエリアでコンテンツの受信が可能である受信部を選択して接続を切り替えるパターンを少なくとも有することが好ましい。
【0015】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、所定の接続切り替えパターンは、情報端末の現在位置が、第1の受信部または第2の受信部のいずれかでのみコンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアから、第1の受信部または第2の受信部のいずれでもコンテンツの受信が可能であると判定された第1のエリアへ移動する場合に、第2のエリアへ移動後に第2のエリアでコンテンツの受信が可能である受信部を第1の受信部または第2の受信部から選択して接続を切り替えるパターンを少なくとも有することが好ましい。
【0016】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、所定の接続切り替えパターンは、情報端末の現在位置が、第1の受信部または第2の受信部のいずれかでのみコンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアから、第2のエリアでコンテンツの受信が可能である受信部とは異なる受信部でのみコンテンツの受信が可能であると判定された第3のエリアへ移動する場合に、第2のエリアから第3のエリアへ移動する直前に第3のエリア内でコンテンツの受信が可能である受信部を選択して接続を切り替えるパターンを少なくとも有することが好ましい。
【0017】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、通信制御部は、情報端末の現在位置が、第1の受信部または第2の受信部のいずれでもコンテンツの受信が不可能であると判定された第4のエリアから、第1の受信部および/または第2の受信部でコンテンツの受信が可能であると判定された第5のエリアへ移動する場合に、第5のエリア内に突入する前の所定範囲において、第5のエリアにおいてコンテンツの受信が可能となる受信部を選択し、コンテンツの受信を試みることが好ましい。
【0018】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、通信制御部は、情報端末の現在位置が、第1の受信部および/または第2の受信部でコンテンツの受信が可能であると判定された第5のエリアから、第1の受信部または第2の受信部のいずれもコンテンツの受信が不可能であると判定された第4のエリアへ移動する場合に、実際にコンテンツの受信ができなくなるまで、第5のエリア内で接続している受信部でコンテンツの受信を試みることが好ましい。
【0019】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、通信制御部は、第1の受信部または第2の受信部のいずれもコンテンツの受信が不可能であると判定された第4のエリアにおいて、第4のエリア内でのコンテンツを受信するためのスキャン処理回数を減らすために所定の回数に制限することが好ましい。
【0020】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、情報端末の移動速度もしくは情報端末を搭載している移動体の速度検出手段を備え、通信制御部は、速度検出手段により検出した速度に基づいて第1の受信部または第2の受信部を他の受信部に切り替えるタイミングを決定することが好ましい。
【0021】
また、本発明の一側面である情報端末は、上述した情報端末の構成のいずれかに加えて、通信制御部は、情報端末の現在位置が、第1の受信部および第2の受信部のいずれでもコンテンツの受信が可能であると判定された第1のエリアと、第1の受信部または第2の受信部のいずれかでのみコンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアとを通過する場合に、第1のエリアおよび第2のエリアに進入する前に、上記第1のエリアおよび上記第2のエリアの両方でコンテンツの受信が可能な受信部を第1の受信部または第2の受信部から予め選択することが好ましい。
【0022】
また、本発明の一側面である接続切り替え方法は、入力部と、現在位置特定部と、ナビゲーション部と、第1の受信部と、第1の受信部とは異なる通信網によって同様のコンテンツの受信が可能である第2の受信部と、受信可能エリア判定部と、通信制御部と、を少なくとも備えた情報端末に用いられる接続切り替え方法であって、入力部からの出力により目的地または経由地情報を取得するステップと、現在位置特定部からの出力により現在位置情報を取得するステップと、ナビゲーション部が現在位置情報および目的地または経由地情報に基づいて経路を探索し、誘導するステップと、受信可能エリア判定部が目的地または経由地までの経路間において、第1の受信部または第2の受信部でコンテンツの受信が可能であるか否かを示すエリア情報を取得し、第1の受信部または第2の受信部でコンテンツの受信が可能であるか否かを判定するステップと、通信制御部が受信可能エリア判定部の判定に基づいてコンテンツを受信する受信部を第1の受信部または第2の受信部から選択し、コンテンツを受信する受信部を事前に決定するステップと、を有する。
【0023】
また、本発明の一側面である接続切り替えプログラムは、コンピュータを、コンテンツの受信が可能である第1の受信手段、第1の受信手段とは異なる通信網によって同様のコンテンツの受信が可能である第2の受信手段、目的地または目的地に加えて経由地の両方を入力させる入力手段、現在位置を検出する現在位置特定手段、現在位置から目的地または経由地までの経路を探索し、誘導するナビゲーション手段、目的地または経由地までの経路間において、第1の受信手段または第2の受信手段でコンテンツの受信が可能であるか否かを示すエリア情報を取得し、第1の受信手段および第2の受信手段毎にコンテンツの受信が可能であるか否かを判定する受信可能エリア判定手段、受信可能エリア判定手段の判定に基づいてコンテンツを受信する受信手段を第1の受信手段または第2の受信手段から選択し、コンテンツを受信する受信手段を事前に決定する通信制御手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電波の受信状況を予め考慮して接続先を選択すると共に、受信状況に応じて適切な接続先に切り替える情報端末、接続切り替え方法、および接続切り替えプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る情報端末の一実施例としてのラジオ放送受信端末と、このラジオ放送受信端末にアナログラジオ放送によってコンテンツを提供する放送局と、このラジオ放送受信端末に上述したアナログラジオ放送で提供されるコンテンツと同様のコンテンツをIPパケットに変換して提供する、いわゆるIP再送信技術を使用したラジオ放送を行うサービス事業者装置とを含むネットワーク構成例を示す図である。
【図2】図1に示すラジオ放送受信端末の動作を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS5で生成される受信可能エリア情報の一例を示す図である。
【図4】図3に示す受信可能エリア情報において優先接続情報によるタイムラインの一例を示す図である。
【図5】図2のステップS6において行われる接続設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】図1に示すラジオ放送受信端末の接続切り替え動作を示すフローチャートである。
【図7】図6に示すフローチャートのステップS20で行われる接続切り替えパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る情報端末、接続切り替え方法、および接続切り替えプログラムの一実施例について、ラジオ放送受信端末1を例示して説明する。なお、本発明に係る情報端末は、ラジオ放送受信端末1に限らず、2種類の通信手段、またはそれ以上の通信手段により同様のコンテンツを受信可能な携帯型のテレビ放送受信端末や、多機能型のカーナビゲーション装置、携帯電話などであってもよい。なお、以下の実施例でいう「コンテンツ」とは、狭義にはデジタル信号であるかアナログ信号で供給されるかを問わず、音声データ、音楽データ、動画データ、画像データが含まれるものであり、広義には放送局10やサービス事業者装置20が提供する上述した各種データを一体として提供する放送チャンネル自体を指すものである。
【0027】
図1は、本発明に係る情報端末の一実施例としてのラジオ放送受信端末1と、このラジオ放送受信端末1にアナログラジオ放送によってコンテンツを提供する放送局10と、このラジオ放送受信端末1に上述したアナログラジオ放送で提供されるコンテンツと同様のコンテンツをIPパケットに変換して提供する、いわゆるIP再送信技術を利用したラジオ放送(以下、このような形式によるラジオ放送のことを便宜的に「IPラジオ放送」という)を行うサービス事業者装置20とを含むネットワーク構成例を示す図である。本実施例のラジオ放送受信端末1では、アナログラジオ放送およびIPラジオ放送にそれぞれ接続可能であるエリアを考慮したマップを予め保持している。IPラジオ放送は、著作権法上の問題から原則としてアナログラジオ放送接続可能エリアのみ接続可能であるが、本実施例では、アナログラジオ放送で接続不可能であってもIPラジオ放送で接続可能であるエリアを含めている。なお、本実施例では、同様のコンテンツをラジオ放送受信端末1に供給する手段は、放送局10およびサービス事業者装置20の2種類として構成されるが、2種類以上の複数の通信網によって同様のコンテンツをラジオ放送受信端末1に提供するように構成されてもよい。
【0028】
また、本実施例でいう「同様のコンテンツ」とは、内容的に完全な同一性を必須要件とするものではない。たとえば、アナログラジオ放送で提供する音声データや音楽データと共に、画像データや動画データが新たに付加されたコンテンツ群をIPラジオ放送として提供している場合であっても、これらを「同様のコンテンツ」として取り扱う。また、アナログラジオ放送で提供するコンテンツの一部のみをIPラジオ放送によって提供する場合であっても、これらを「同様のコンテンツ」として取り扱う。なお、「同様のコンテンツ」は、同一であるコンテンツを排除するものではなく、本実施例においてアナログラジオ放送で提供するコンテンツと同一であるコンテンツがIPラジオ放送で提供されてももちろんよい。
【0029】
ラジオ放送受信端末1は、図1に示すように制御部2、入力部3、受信部4、映像音声出力部5、記憶部6などを主要な構成要素としている。ここで、現在位置特定部、受信可能エリア判定部、通信制御部としての制御部2は、たとえばCPU(Central Processing Unit)などで構成され、記憶部6に格納されているOSや各種プログラムに応じて、各種演算処理を実行するとともに、ラジオ放送受信端末1の各部からの出力信号などによりラジオ放送受信端末全体を制御する中央処理装置である。
【0030】
入力部3は、ユーザからの操作指示を入力できる。入力部3は、ユーザが操作することにより、IPラジオ放送またはアナログラジオ放送のいずれかへの接続指示やこれらの接続切り替え指示などを行うための電気信号を制御部2へ出力することができる。また、入力部3は、ユーザの操作により、IPラジオ放送またはアナログラジオ放送のいずれかを優先して接続するモードを選択する指示や、おまかせモードを選択する指示などを行うための電気信号を制御部2へ出力することができる。
【0031】
第1の受信部および第2の受信部としての受信部4は、放送局10から提供されるアナログラジオ放送信号、サービス事業者装置20から提供されるデジタル信号、GPS(Global Positioning System)衛星から供給されるGPS信号をそれぞれ専用のアンテナやチューナを介して受信するとともに、受信した信号を増幅し復調する。本実施例では、受信部4が第1の受信部として機能するときは、アナログラジオ放送を放送局10から受信し、第2の受信部として機能するときはサービス事業者装置20からIPラジオ放送を受信する。なお、受信部4は、GPS衛星からの信号を受信する機能、放送局10からのアナログラジオ放送を受信する機能、サービス事業者装置からIPラジオ放送を受信する機能のそれぞれを別々の装置で構成する、またはいずれか一つの機能のみを別の装置として構成してもよい。
【0032】
映像音声出力部5は、たとえば液晶ディスプレイなどを有していて、受信部4で受信した信号に基づいてIPラジオ放送の画像データを表示する、または動画データを再生することができる。また、映像音声出力部5は、たとえばスピーカなどを有していて、受信部4により受信した信号に基づいて音声データを再生する。
【0033】
記憶部6は、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ、制御部2がワークエリアとして使用するRAM(Randam Access Memory)などの記憶媒体で構成される。記憶部6には、ラジオ放送受信端末1を制御するOS(Operating System)や、ナビゲーションプログラムおよびナビゲーションデータの他に、受信可否判定プログラム、IPラジオ放送接続可能エリアMAP、アナログラジオ放送接続可能エリアMAPなどが記憶されている。
【0034】
ここで、IPラジオ放送接続可能エリアMAPまたはアナログラジオ放送接続可能エリアMAPとは、IPラジオ放送またはアナログラジオ放送を受信できるエリア情報の集合体により構成される。なお、これらのエリア情報は、所定の区画単位毎に当該区画内でのIPラジオ放送またはアナログラジオ放送の受信可否を示す情報である。これらのIPラジオ放送接続可能エリアMAPとアナログラジオ放送接続可能エリアMAPを構成するエリア情報は、ラジオ放送受信端末1の製造出荷時に予め記憶されている、または受信部4を介してIPネットワーク網と接続するとともに、エリア情報をダウンロードして記憶部6に記憶するようにしてもどちらでもよい。また、受信部4を介してIPネットワーク網と接続し、IPラジオ放送接続可能エリアMAPとアナログラジオ放送接続可能エリアMAPの更新情報を取得するようにしてもよい。なお、本発明の記憶部6の構成は、EEPROMやフラッシュメモリに限らず、必要に応じて、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などを含んでもよい。
【0035】
続いて、ラジオ放送受信端末1の動作について説明する。図2は、図1に示すラジオ放送受信端末1の動作を示すフローチャートである。
【0036】
START:ラジオ放送受信端末1の制御部2は、電源が投入またはナビゲーション機能およびラジオの視聴機能が有効にされると処理を開始する。
【0037】
ステップS1:現在位置特定部としての制御部2は、GPSアンテナにより現在位置に関する情報を取得する。
【0038】
ステップS2:ナビゲーション部としての制御部2は、ユーザが入力部3を操作することで入力された目的地情報を取得する。なお、このステップ2において目的地情報に加えて経由地情報も入力された場合には当該経由地情報も取得するようにしてもよいが、以下の例では目的地情報のみを取得した場合を説明する。
【0039】
ステップS3:通信制御部としての制御部2は、ユーザが入力部3を操作して入力された優先接続情報を取得する。この優先接続情報には「アナログラジオ優先」、「IP接続優先」、「おまかせ」の3種類の接続設定モードがある。この接続設定モードは、事前にユーザが入力部3を操作して設定し、常に同じ動作をするようにしてもよいし、ラジオ放送の視聴開始時に当該接続設定モードを選択できる画面(不図示)を映像音声出力部5に表示してもよい。
【0040】
ここで「アナログラジオ優先」とは、アナログラジオ放送を優先的に接続する設定である。「アナログラジオ優先」が選択されると、アナログラジオ放送の受信が可能なエリアである場合には、必ずアナログラジオ放送によりコンテンツを受信する。また、「IP接続優先」とは、IPラジオ放送を優先的に接続する設定である。「IP接続優先」が選択されると、IPラジオ放送の受信が可能なエリアである場合には、必ずIPラジオ放送を優先して接続して受信する。また「おまかせ」とは、接続切り替え回数が最も少なくなるように接続先を選択する設定である。「おまかせ」が選択されると、現在位置から目的地または経由値までのエリアでの受信状況をすべて考慮して接続切り替え回数が最も少なくなるようにエリア毎の接続先をアナログラジオ放送またはIPラジオ放送に設定する。なお、各設定時の詳細な処理については後述する。
【0041】
ステップS4:ナビゲーション部としての制御部2は、ステップS2において取得した目的地情報に基づいてルート探索を行う。なお、このルート探索処理は、制御部2が上述したナビゲーションプログラムおよびナビゲーションデータを読み出して実行することにより実現される。
【0042】
ステップS5:受信可能エリア判定部としての制御部2は、ステップ1において取得した現在位置とステップ2において取得した目的地情報と、記憶部6に記憶されているIPラジオ放送接続可能エリアMAPおよび/またはアナログラジオ放送接続可能エリアMAPとを利用し、現在位置から目的地までのIP接続可能エリアおよびアナログラジオ受信可能エリアを特定する処理を行う。なお、ステップS5で特定した結果の接続可能エリア情報については後述する。
【0043】
ステップS6:通信制御部としての制御部2は、ステップS3において選択されたモードに従って、目的地に到着するまでの接続先の設定を行う。なお、ステップS6の詳細な処理については後述する。
【0044】
ステップS7:通信制御部としての制御部2は、ステップS6の処理を目的地に到着するまでのすべてのエリアにおいて接続先が決定されると処理を終了する(END)。なお、ステップS2において目的地情報に加えて経由地情報を取得した場合には、現在地から経由地まで、経由地から目的地までの各エリアにおいて接続先を決定する処理を行うようにしてもよい。
【0045】
図3は、図2のステップS5で生成される受信可能エリア情報の一例を示す図である。ユーザは、スタート地点Aにおいてラジオ放送受信端末1を携帯しながら、bポイント〜iポイントまでを経由してゴール地点Bに移動する。なお、このスタート地点Aからゴール地点Bまでの経路案内は、上述したナビゲーションプログラムがナビゲーションデータを用いて経路探索を行って提供される。
【0046】
図3に示すように、スタート地点AからbポイントまではIPラジオ放送およびアナログラジオ放送共に受信が可能なエリアである。また、bポイントからcポイントまではIPラジオ放送は受信が不可能であるが、アナログラジオ放送の受信が可能であるエリアである。また、cポイントからdポイントまではいずれのラジオ放送も受信できないエリアである。そして、dポイントからeポイントまではアナログラジオ放送は受信が不可能であるが、IPラジオ放送の受信が可能なエリアである。eポイントからfポイントまではアナログラジオ放送の受信が可能であるが、IPラジオ放送の受信が不可能なエリアである。そして、fポイントからgポイントまではいずれの放送も受信できないエリアである。そして、gポイントからhポイントまでは、IPラジオ放送の受信は不可能であるが、アナログラジオ放送の受信は可能であるエリアである。そして、hポイントからiポイントまではIPラジオ放送およびアナログラジオ放送共に受信が可能なエリアである。最後に、iポイントからゴール地点BまではIPラジオ放送は受信が可能であるが、アナログラジオ放送の受信が不可能であるエリアである。
【0047】
このように、ラジオ放送受信端末1は、現在位置から移動する地点(図3の場合はゴール地点B)までの各受信部4での受信可否判定を行う。なお、これらの判定は、制御部2が、記憶部6から上述した受信可能エリア判定プログラムを読み出して実行することにより判定する。
【0048】
図4は、図3に示す受信可能エリア情報において優先接続情報によるタイムラインの一例を示す図である。接続エリアのタイムラインは、IP接続可能エリアMAPとアナログラジオ受信可能エリアMAPにより、現在位置であるスタート地点Aから目的地または経由地であるゴール地点Bまでの受信・接続状況を時系列にし、接続可能エリアをまとめたものである。
【0049】
図4の「接続可能エリア」に示すように、スタート地点Aからゴール地点Bまでの各エリアでの受信状況が示されている。なお、図4のスタート地点A、b〜iの各ポイント、ゴール地点Bは、図3に示す同一の符号の地点またはポイントにそれぞれ対応している。
【0050】
この接続可能エリアの情報に基づいて、たとえば「ラジオ優先」が選択された場合の接続設定は、スタート地点A〜bポイント,bポイント〜cポイント,eポイント〜fポイント,hポイント〜iポイント間の各エリアについてはアナログラジオ放送が優先的に選択され、dポイント〜eポイント、gポイント〜hポイント,iポイント〜ゴール地点B間の各エリアではアナログ放送が受信できないため、IPラジオ放送が選択される。また、「IP接続優先」が選択された場合の接続設定は、スタート地点A〜bポイント,dポイント〜eポイント,gポイント〜ゴール地点B間の各エリアでは、IPラジオ放送が優先的に選択され、bポイント〜cポイント,eポイント〜fポイント間の各エリアでは、IPラジオ放送が受信できないため、アナログラジオ放送が選択される。また、「おまかせ」が選択された場合の接続設定は、接続可能エリアの受信状況を考慮し、最も接続切り替え回数が少なくなるように設定される。具体的には、スタート地点A〜cポイント間のエリアではアナログラジオ放送を受信することで当該エリア内での接続切り替え処理が発生しなくなる。また、gポイント〜ゴール地点B間のエリアではIPラジオ放送を受信することで、当該エリア内での接続切り替え処理が発生しなくなる。このように「おまかせ」設定では、隣接するエリアでの受信状況を考慮して接続先を決定している。これにより、図4に示す接続可能エリアの状況において各設定をした場合での接続切り替え回数は、「ラジオ優先」では5回、「IP接続優先」では4回となるが、「おまかせ」では3回となり、最も接続切り替え回数が少ない設定がなされることになる。
【0051】
図5は、図2のステップS6において行われる接続設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0052】
START:通信制御部としての制御部2は、図2に示すステップS5の処理が完了すると以下の処理を行う。
【0053】
ステップ10:制御部2は、入力部3から入力された優先接続設定情報およびステップ5で特定された接続可能エリア情報を取得する。制御部2は、入力部3から取得した情報により、以下のステップ11〜ステップS14のいずれかの処理へと移行する。
【0054】
ステップS11:制御部2は、両方とも受信可能であるエリアの場合には、優先接続設定にしたがって接続先を設定する。
【0055】
ステップS12:制御部2は、アナログラジオ放送のみ受信可能であるエリアの場合には、アナログラジオ放送に接続するように設定する。
【0056】
ステップS13:制御部2は、IPラジオ放送のみ受信可能であるエリアの場合には、IPラジオ放送に接続するように設定する。
【0057】
ステップS14:制御部2は、いずれのラジオ放送も受信不可能であるエリアの場合には、当該エリア内での接続するためのスキャン処理回数を受信不可能であるエリア内におけるスキャン回数をより少なくするために、スキャン処理回数を制限する。たとえば、受信不可能であるエリア内におけるスキャン処理回数が予め5回と設定されていた場合には、3回までに制限するなどである。なお、制御部2は、接続先は優先接続設定に従って処理する。
【0058】
ステップS15:制御部2は、目的地または経由地に到達するまでのエリア全てについて接続設定が完了するまでステップS11〜S14までの処理を繰り返す。目的地または経由地に到達するまでのエリア全てについて接続設定が完了すると、処理を終了する(END)。
【0059】
続いて、ラジオ放送受信端末1の接続切り替え動作について説明する。図6は、図1に示すラジオ放送受信端末1の接続切り替え動作を示すフローチャートである。この図6に示すフローチャートは、図2に示す動作に基づいて決定された接続切り替え処理の際の切り替えを行うタイミングを決定する処理である。
【0060】
START:制御部2は、図2に示した処理が完了すると以下の処理を開始する。
【0061】
ステップS20:通信制御部としての制御部2は、エリアの受信状況が変化すると所定の接続切り替えパターンに従って接続切り替え処理を行う。具体的には、アナログラジオ放送の受信が可能である状態であり、かつIPラジオ放送の受信が可能である状態である状況(以下、「アナログラジオ:可、IP:可」の状態というような記載にする)からアナログラジオ:不可、IP:可の状態、またはアナログラジオ:可、IP:不可の状態になる場合の接続切り替えパターンに該当するか否かを判定し、このパターンに該当する場合(ステップS20でYES)には、ステップS21の処理へ移行し、それ以外の場合(ステップS20でNO)の場合には以下に説明する接続切り替えパターンに従って処理を行う。
【0062】
図7は、図6に示すフローチャートのステップS20で行われる接続切り替えパターンを示す図である。図7(A)に示す接続切り替えパターンは、ステップS20の判定でYESとなる場合である。つまり、アナログラジオ放送およびIPラジオ放送の両方で受信可能なエリアからどちらか一方のラジオ放送のみが受信可能となる場合に他のラジオ放送に接続を切り替えるパターンである。
【0063】
図7(B)に示す接続切り替えパターンは、アナログラジオ:可、IP:不可の状態またはアナログラジオ:不可、IP:可の状態から、アナログラジオ:可、IP:可の状態になる場合の接続切り替えパターンである。つまり、アナログラジオ放送およびIPラジオ放送のいずれかでのみ受信が可能であるエリアから、両方のラジオ放送で受信が可能となるエリアに移動する場合に他のラジオ放送に接続を切り替えるパターンである。
【0064】
図7(C)に示す接続切り替えパターンは、アナログラジオ:可、IP:不可の状態からアナログラジオ:不可、IP:可になる状態の場合の接続切り替えパターン、またはアナログラジオ:不可、IP:可の状態からアナログラジオ:可、IP:不可の状態になる場合の接続切り替えパターンである。つまり、一方のラジオ放送でのみ受信が可能であるエリアから、他方のラジオ放送でのみ受信が可能であるエリアへ移動する場合に一方のラジオ放送から他方のラジオ放送に接続を切り替えるパターンである。
【0065】
図7(D)に示すパターンは、接続可能エリア外から接続可能エリア内に移動する場合の接続切り替えパターンである。図7(E)に示すパターンは、接続可能エリア内から接続可能エリア外に移動する場合の接続切り替えるパターンである。
【0066】
以下、図7で説明した各接続切り替えパターンの際にどのようなタイミングで切り替えを行うかについて説明する。制御部2は、受信状況がこれらのどのパターンに該当するかをステップS20で判定し、それぞれ該当したパターンごとの処理を行う。具体的には、制御部2は、図7(A)のパターンに該当する場合にはステップS21の処理へ移行し、図7(B)のパターンに該当する場合にはステップS26の処理へ移行し、図7(C)のパターンに該当する場合にはステップS27の処理へ移行し、図7(D)のパターンに該当する場合にはステップS28の処理へ移行し、図7(E)のパターンに該当する場合にはステップS29の処理へ移行する。
【0067】
ステップS21:通信制御部としての制御部2は、速度検出手段としての加速度センサ(不図示)により移動速度を検出する。制御部2は、加速度センサにより移動速度の検出が完了するとステップS22へ進む。なお、速度検出手段は、加速度センサに限られず、車速パルスを検出して速度を検出するようにしてもよい。
【0068】
ステップS22:通信制御部としての制御部2は、移動速度判定を行う。所定の速度より速い場合には、ステップS23へ処理を移行し、遅い場合にはステップS24の処理へ移行する。ここで所定の速度とは、たとえば60km/hなどであり、この所定の速度は、予め設定されていてもよいし、ユーザが操作部(不図示)によって直接入力できるようにしてもよい。なお、所定の速度とは、60km/hに限られるものではなく、たとえば4km/h〜80km/h等の中の任意の速度となるようにしてもよい。
【0069】
ステップS23:通信制御部としての制御部2は、接続切り替えが余裕をもって行うことができるように接続切断ポイントより前の地点に設定する。具体的には、制御部2は、図3および図4に示した接続切断ポイントとしてbポイント〜hポイントそれぞれのポイントより前の地点(たとえば、スタート地点Aから各ポイントを経由してゴール地点Bの方向へ移動する状況でbポイントを通過する場合にはbポイントを通過する手前の200m地点など)に切り替えポイントを設定し、接続切断ポイントとなる上記の各ポイントより余裕をもって接続切り替えを行う。なお、ラジオ放送受信端末1の移動速度を考慮して、切り替えポイントの地点を算出するようにする。
【0070】
ステップS24:通信制御部としての制御部2は、接続切断ポイントを通過する直前に接続切り替えポイントを設定する。具体的には、制御部2は、たとえば図3および図4に示したそれぞれのbポイント〜hポイントそれぞれ直前の地点(たとえば、スタート地点Aから各ポイントを経由してゴール地点Bの方向へ移動する状況でbポイントを通過する場合にはbポイントを通過する手前の20mの地点など)に切り替えポイントを設定する。なお、ここでいう接続切断ポイントの直前の一例として、接続切断ポイントを通過する手前の20mの地点としたが、これに限られるものではなく、たとえば、移動速度に応じて接続切断ポイントの地点を通過する手前の10m〜100m等の範囲から任意の地点となるようにしてもよい。なお、ステップS24での切り替えポイントを設定するための接続切断ポイントからの距離は、ステップS23での切り替えポイントを設定するための接続切断ポイントからの距離と比べて、接続切断ポイント側へより近くに設定されていることが好ましい。
【0071】
ステップS25:通信制御部としての制御部2は、現在のエリア内に滞在する間に接続切り替え処理を行う。具体的には、制御部2は、たとえば図3および図4に示したスタート〜bポイント間までのエリア内や、hポイント〜iポイント間のエリア内に切り替えポイントを設定する。
【0072】
ステップS26:通信制御部としての制御部2は、次のエリアがアナログラジオ放送およびIPラジオ放送のいずれでも接続・受信可能であるため、優先接続モードに従い、次のエリアに入ってから接続切り替え処理を行う。具体的には、制御部2は、たとえば図3および図4に示したgポイント〜h間に滞在するときは、hポイント〜iポイント間のエリア内に切り替えポイントを設定する。
【0073】
ステップS27:通信制御部としての制御部2は、次のエリアが、現在のエリアとは異なる通信網でなければラジオ放送を受信することができないため、現在のエリアから次のエリアに移動する直前に次のエリアで受信可能な受信部4に接続切り替え処理を行う。具体的には、制御部2は、たとえば図3および図4に示したdポイント〜eポイント間のエリアに滞在するときは、eポイント〜fポイント間のエリアに進入する直前20mの地点に切り替えポイントを設定する。
【0074】
ステップS28:通信制御部としての制御部2は、現在ラジオ放送の受信が不可能なエリアから受信が可能となるエリアに移動することになるので、次のエリア内に移動する直前に接続切り替え処理を行う。具体的には、制御部2は、たとえば図3および図4に示したfポイント〜gポイント間のエリアからgポイント〜hポイント間のエリアへ移動するときは、gポイント〜hポイント間のエリアへ進入する直前20mの地点に切り替えポイントを設定する。
【0075】
ステップS29:通信制御部としての制御部2は、現在ラジオ放送の受信が可能なエリアから受信が不可能となるエリアに移動することになるので、接続が切れるまで現在の接続状態を保つ。具体的には、制御部2は、たとえば図3および図4に示したbポイント〜cポイント間のエリアからcポイント〜dポイント間のエリアへ移動するときであっても、bポイント〜cポイント間のエリアに滞在しているときの受信部4の設定に従ってラジオ放送の受信を継続する。
【0076】
ステップS30:通信制御部としての制御部2は、目的地または経由地に到着したか否かを判定する。到着した場合(ステップS30でYES)には処理を終了し(END)、到着していない場合(ステップS30でNO)にはステップS20に処理を戻す。
【0077】
なお、上述した実施例では、スタート地点Aを現在地と想定して、ゴール地点Bまでの接続切り替え動作について説明したが、スタート地点Aは、現在地ではなく、これから通過する地点を指定してもよい。また、そのような場合であって、スタート地点A〜bポイント間のエリアと、bポイント〜cポイント間のエリアまではアナログラジオ放送およびIPラジオ放送の両方でコンテンツの受信が可能であるため、現在地からスタート地点Aに到着するまでにスタート地点A〜cポイントまでの間で受信するラジオ放送をアナログラジオ放送かIPラジオ放送のどちらかを予め選択しておき、スタート地点A〜cポイントまでの区間では接続切り替えを行わないようにしてもよい。
【0078】
上述したように本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、コンテンツの受信が可能である第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)と、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)とは異なる通信網によって同様のコンテンツの受信が可能である第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)と、目的地または目的地に加えて経由地を入力させる入力部3と、現在位置を検出する現在位置特定部(制御部2)と、現在位置から目的地または経由地までの経路を探索し、探索された経路に基づいて誘導するナビゲーション部(制御部2)と、現在位置から目的地または経由地までの経路において、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)でコンテンツの受信が可能であるか否かを示すエリア情報を取得し、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)でコンテンツの受信が可能であるか否かを判定する受信可能エリア判定部と、受信可能エリア判定部の判定に基づいて、コンテンツを受信する受信部を事前に決定する通信制御部(制御部2)と、を備えるものである。
【0079】
これにより、受信可能エリアの判定に基づいて受信電界強度が急激に低下すると予測されるポイントを推測し、当該ポイントを通過する際に事前に受信部を決定することで、想定される受信状況に応じて適切な接続先を設定することができるという効果を奏する。また、受信電界強度をリアルタイムに測定して接続切り替え処理を逐一行う方法と比較して、頻繁に接続切り替え処理を行う必要がなくなるという効果も奏する。更に、頻繁に接続先を変更しなくなるため、接続先の変更に伴う遅延処理等も低減でき、装置の電池消耗を抑えることができるという効果も奏する。
【0080】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成に加えて、上述したエリア情報が少なくとも記憶されている記憶部6を備えていることが好ましい。
【0081】
これにより、上述した効果に加えて、IP通信網などの外部のネットワークを経由して情報を取得することなく、ラジオ放送受信端末1自身の記憶部6に記憶されているアナログラジオ放送の受信可能なエリア情報やIPラジオ放送の受信可能なエリア情報から現在地(現在位置)から目的地または経由地までの間の受信可能エリアを特定することができるという効果も奏する。なお、当該エリア情報を提供するサーバ(不図示)から取得するように構成してもよく、その場合にはラジオ放送受信端末1自身に当該エリア情報が格納されていなくても、ラジオ放送受信端末1の現在位置に応じてエリア情報を適宜取得できるという効果を奏する。
【0082】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、入力部3は、コンテンツを第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれかで優先的に受信させる設定が可能であり、通信制御部(制御部2)は、受信可能エリア判定部により第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)および第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれでもコンテンツの受信が可能であるエリアであると判定された区間は、入力部3からの入力された設定に基づいて第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれかの受信部を優先して選択することが好ましい。
【0083】
これにより、上述した効果に加えて、受信状況によってはユーザが所望する通信方法を優先的に選択させることができるという効果も奏する。
【0084】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、通信制御部(制御部2)は、現在位置から目的地または経由地間におけるコンテンツの受信状況を考慮して最も接続切り替え回数が少なくなる受信部を第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)から選択することが好ましい。
【0085】
これにより、上述した効果に加えて、最も接続切り替え回数が少なくなる接続設定を採用することで、現在地から目的地または経由地間における、接続先の変更に伴う遅延処理等を確実に低減でき、装置の電池消耗を確実に抑えることができるという効果も奏する。
【0086】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、通信制御部(制御部2)は、受信可能エリア判定部の判定により特定された接続可能エリア情報に基づいて、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)でコンテンツの受信を開始するタイミングを決定する処理を行うことが好ましい。
【0087】
これにより、上述した効果に加えて、受信エリア判定により特定されたエリア情報に基づいて実際にコンテンツの受信タイミングを決定することができるという効果も奏する。
【0088】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、通信制御部(制御部2)は、受信可能エリア判定部の判定により特定された接続可能エリア情報および所定の接続切り替えパターンに基づいて第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)の一方から他方の受信部へと切り替えるタイミングを決定することが好ましい。
【0089】
これにより、上述した効果に加えて、受信可能エリアの判定に基づいて受信電界強度が急激に低下すると予測されるポイント等を推測し、当該ポイントを通過する前に事前に受信部4を切り替えることで、想定される受信状況に応じて適切な接続先へ切り替えることができるという効果も奏する。
【0090】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、所定の接続切り替えパターンは、ラジオ放送受信端末1の現在位置が、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれでもコンテンツの受信が可能であると判定された第1のエリアから、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれかでのみコンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアへ移動する場合に、第1のエリア内において第2のエリアでコンテンツの受信が可能である受信部を選択して接続を切り替えるパターンを少なくとも有することが好ましい。
【0091】
これにより、上述した効果に加えて、第1のエリアから第2のエリアへ移動するときに、第2のエリアでも受信できる受信部4へ事前に切り替えることで、急激に受信電界強度が低下する可能性を低減させることができるという効果も奏する。
【0092】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、所定の接続切り替えパターンは、ラジオ放送受信端末1の現在位置が、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれかでのみコンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアから、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれでもコンテンツの受信が可能であると判定された第1のエリアへ移動する場合に、第1のエリアへ移動後に第1のエリアでコンテンツの受信が可能である受信部を第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)から選択して接続を切り替えるパターンを少なくとも有することが好ましい。
【0093】
これにより、上述した効果に加えて、第2のエリアから第1のエリアへ移動するときに、第1のエリアに移動後に、第1のエリア内で受信が可能である受信部4へ接続を切り替えることで、急激に受信電界強度が低下する可能性を低減させることができるという効果も奏する。
【0094】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、所定の接続切り替えパターンは、ラジオ放送受信端末1の現在位置が、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれかでのみコンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアから、第2のエリアでコンテンツの受信が可能である受信部とは異なる受信部でのみコンテンツの受信が可能であると判定された第3のエリアへ移動する場合に、第2のエリアから第3のエリアへ移動する直前に第3のエリア内でコンテンツの受信が可能である受信部4を選択して接続を切り替えるパターンを少なくとも有することが好ましい。
【0095】
これにより、上述した効果に加えて、第2のエリアから第3のエリアへ移動する直前に接続を切り替えることで、受信状況の変化に併せて適切な接続切り替えを行うことができるという効果も奏する。
【0096】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、通信制御部(制御部2)は、ラジオ放送受信端末1の現在位置が、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれでもコンテンツの受信が不可能であると判定された第4のエリアから、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)および/または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)でコンテンツの受信が可能であると判定された第5のエリアへ移動する場合に、第5のエリア内に突入する前の所定範囲において、第5のエリアにおいてコンテンツの受信が可能となる受信部4を選択し、コンテンツの受信を試みることが好ましい。
【0097】
これにより、上述した効果に加えて、受信可能エリアと推測された地点より前から接続を試みることで実際の受信状況を考慮してラジオ放送を受信できるという効果も奏する。
【0098】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、通信制御部(制御部2)は、ラジオ放送受信端末1の現在位置が、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)および/または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)でコンテンツの受信が可能であると判定された第5のエリアから、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれもコンテンツの受信が不可能であると判定された第4のエリアへ移動する場合に、実際にコンテンツの受信ができなくなるまで、第5のエリア内で接続している受信部でコンテンツの受信を試みることが好ましい。
【0099】
これにより、上述した効果に加えて、受信可能エリアと推測された地点を通過後であっても実際の受信状況を考慮してラジオ放送を受信できるという効果も奏する。
【0100】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、通信制御部(制御部2)は、第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれもコンテンツの受信が不可能であると判定された第4のエリアにおいて、第4のエリア内でのコンテンツを受信するためのスキャン処理回数を減らすために所定の回数に制限することが好ましい。
【0101】
これにより、上述した効果に加えて、ラジオ放送が受信できないエリアにおいてラジオ放送が受信できるか否かをサーチするスキャン処理回数を不必要に増加させることがない。また、スキャン処理回数の上限が予め設定されている場合には、当該設定値よりも更に小さい値とすることでスキャン処理回数を減らすことができ、装置の消費電力を抑えることができるという効果も奏する。
【0102】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、ラジオ放送受信端末1の移動速度もしくはラジオ放送受信端末1を搭載している移動体の速度検出手段を備え、通信制御部(制御部2)は、速度検出手段により検出した速度に基づいて第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)を他の受信部に切り替えるタイミングを決定することが好ましい。
【0103】
これにより、上述した効果に加えて、実際のラジオ放送受信端末1等の移動速度によって切り替えポイントを決定することで、受信状況に加えて、移動速度を考慮した接続切り替えを行うことができるという効果も奏する。
【0104】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1は、上述したラジオ放送受信端末1の構成のいずれかに加えて、通信制御部(制御部2)は、ラジオ放送受信端末1の現在位置が、第1の受信部(たとえば、アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)および第2の受信部(たとえば、IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)のいずれでもコンテンツの受信が可能であると判定された第1のエリアと、第1の受信部または第2の受信部のいずれかでのみコンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアとを通過する場合に、第1のエリアおよび第2のエリアに進入する前に、第1のエリアおよび第2のエリアの両方でコンテンツの受信が可能な受信部を第1の受信部または第2の受信部から予め選択することが好ましい。
【0105】
これにより、上述した効果に加えて、第1のエリアおよび第2のエリア両方で受信可能な受信部4が選択されるため、当該区間における接続切り替え回数を低減することができるという効果も奏する。
【0106】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1の接続切り替え方法は、入力部3と、現在位置特定部(制御部2)と、ナビゲーション部(制御部2)と、第1の受信部(たとえば、アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)と、第1の受信部とは異なる通信網によって同様のコンテンツの受信が可能である第2の受信部(たとえば、IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)と、受信可能エリア判定部と、通信制御部(制御部2)と、を少なくとも備えたラジオ放送受信端末1に用いられるラジオ放送受信端末1の接続切り替え方法であって、入力部3からの出力により目的地または経由地情報を取得するステップと、現在位置特定部(制御部2)からの出力により現在位置情報を取得するステップと、ナビゲーション部(制御部2)が現在位置情報および目的地または経由地情報に基づいて経路を探索し、探索した経路に基づいて誘導するステップと、受信可能エリア判定部が目的地または経由地までの経路間において第1の受信部(アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)または第2の受信部(IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)でコンテンツの受信が可能であるか否かを示すエリア情報を取得し、第1の受信部または第2の受信部でコンテンツの受信が可能であるか否かを判定するステップと、通信制御部(制御部2)が受信可能エリア判定部の判定に基づいてコンテンツを受信する受信部を第1の受信部または第2の受信部から選択し、コンテンツを受信する受信部を事前に決定するステップと、を有する。
【0107】
これにより、受信可能エリアの判定に基づいて受信電界強度が急激に低下すると予測されるポイントを推測し、当該ポイントを通過する際に事前に受信部を決定することで、想定される受信状況に応じて適切な接続先を設定することができるという効果を奏する。また、受信電界強度をリアルタイムに測定して接続切り替え処理を逐一行う方法と比較して、頻繁に接続切り替え処理を行う必要がなくなるという効果も奏する。更に、頻繁に接続先を変更しなくなるため、接続先の変更に伴う遅延処理等も低減でき、装置の電池消耗を抑えることができるという効果も奏する。
【0108】
また、本発明の一実施例であるラジオ放送受信端末1の接続切り替えプログラムは、ラジオ放送受信端末1(コンピュータ)を、コンテンツの受信が可能である第1の受信手段(たとえば、アナログラジオ放送を受信する場合の受信部4)、第1の受信手段とは異なる通信網によって同様のコンテンツの受信が可能である第2の受信手段(たとえば、IPラジオ放送を受信する場合の受信部4)、目的地または目的地に加えて経由地の両方を入力させる入力手段(入力部3)、現在位置を検出する現在位置特定手段(制御部2)、現在位置から目的地または経由地までの経路を探索し、誘導するナビゲーション手段(制御部2)、目的地または経由地までの経路までの間において第1の受信手段または第2の受信手段でコンテンツの受信が可能であるか否かを示すエリア情報を取得し、第1の受信手段および第2の受信手段毎にコンテンツの受信が可能であるか否かを判定する受信可能エリア判定手段(制御部2)、受信可能エリア判定手段の判定に基づいてコンテンツを受信する受信手段を第1の受信手段または第2の受信手段から選択し、コンテンツを受信する受信手段を事前に決定する通信制御手段(制御部2)、として機能させる。
【0109】
これにより、受信可能エリアの判定に基づいて受信電界強度が急激に低下すると予測されるポイントを推測し、当該ポイントを通過する際に事前に受信部を決定することで、想定される受信状況に応じて適切な接続先を設定することができるという効果を奏する。また、受信電界強度をリアルタイムに測定して接続切り替え処理を逐一行う方法と比較して、頻繁に接続切り替え処理を行う必要がなくなるという効果も奏する。更に、頻繁に接続先を変更しなくなるため、接続先の変更に伴う遅延処理等も低減でき、装置の電池消耗を抑えることができるという効果も奏する。
【0110】
以上、ラジオ放送受信端末1を本発明の一実施例として情報端末、接続切り替え方法および接続切り替えプログラムについて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。たとえば、ラジオ放送受信端末1に実際の受信電界強度を測定できる受信電界強度測定手段を備えさせ、図4に示す受信可能エリアや受信不可能エリアのそれぞれにおいて接続するためのスキャン回数を設定する、または調整するようにしてもよい。具体的には、アナログラジオ放送またはIPラジオ放送の受信不可能エリアにおいてはスキャン回数を2〜3回とし、受信可能エリアにおいては10回をスキャン回数の初期設定とする。そして、この初期設定値以上の接続処理はなされないように制限する。上記の設定に加えて、各エリア内での受信電界強度が予め設定された閾値を上回る状況(受信感度が良好)が所定時間継続した場合には、初期設定のスキャン回数から所定値(たとえば2)を加算する、または、スキャン処理回数に制限を設けないようにしてもよい。また、閾値より下回る状況(受信感度が悪い)が所定時間継続した場合には、初期設定のスキャン回数に所定値(たとえば2)を減算する、またはスキャン処理をしないようにしてもよい。なお、検出した受信電界強度と閾値との比較処理は所定のタイミングで行い、所定回数の比較結果により受信感度の良否を判定し、上述した初期値に所定値を減算または加算するようにしてもよい。これにより、実際の受信感度に伴ってスキャン回数の上限値が変更されるため、接続可能エリア情報と実際の受信感度状況とに相違があっても、予め設定されているスキャン処理回数を適切に調整したり、スキャン処理を中止したりすることで、消費電力を効果的に抑えることができる。
【0111】
また、制御部2は、接続可能エリア情報に基づいて、現在位置から目的地間または経由地間においてコンテンツの受信が可能となる受信部4の組み合わせパターンを全て抽出し、これらの組み合わせパターンの中でアナログラジオ放送またはIPラジオ放送のいずれかの連続視聴時間が最も長くなる区間を含む組み合わせパターンを採用するようにしてもよい。
【0112】
また、IP再送信技術の著作権の問題から、アナログラジオ放送の受信可能エリアである場合にのみ、IPラジオ放送を接続可能としてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1・・・ラジオ放送受信端末(情報端末)、2・・・制御部(ナビゲーション部、受信可能エリア判定部、通信制御部、ナビゲーション手段、受信可能エリア判定手段、通信制御手段)、3・・・入力部、4・・・受信部、5・・・映像音声出力部、6・・・記憶部、10・・・放送局、20・・・サービス事業者装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの受信が可能である第1の受信部と、
上記第1の受信部とは異なる通信網によって同様の上記コンテンツの受信が可能である第2の受信部と、
目的地または上記目的地に加えて経由地が入力される入力部と、
現在位置を検出する現在位置特定部と、
上記現在位置から上記目的地または上記経由地までの経路を探索し、探索された経路に基づいて誘導するナビゲーション部と、
上記現在位置から上記目的地または上記経由地までの経路間において、上記第1の受信部または上記第2の受信部で上記コンテンツの受信が可能であるか否かを示すエリア情報を取得し、上記第1の受信部または上記第2の受信部で上記コンテンツの受信が可能であるか否かを判定する受信可能エリア判定部と、
上記受信可能エリア判定部の判定に基づいて、上記コンテンツを受信する受信部を事前に決定する通信制御部と、
を備えることを特徴とする情報端末。
【請求項2】
請求項1に記載の情報端末であって、
前記エリア情報が少なくとも記憶されている記憶部を備えていることを特徴とする情報端末。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報端末であって、
前記入力部は、前記コンテンツを前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれかで優先的に受信させる設定が可能であり、
前記通信制御部は、前記受信可能エリア判定部により前記第1の受信部および前記第2の受信部のいずれでも前記コンテンツの受信が可能であるエリアであると判定された区間は、前記入力部から入力された設定に基づいて前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれかの受信部を優先して選択することを特徴とする情報端末。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報端末であって、
前記通信制御部は、前記現在位置から前記目的地または前記経由地間における前記コンテンツの受信状況を考慮して最も接続切り替え回数が少なくなる受信部を前記第1の受信部または前記第2の受信部から選択することを特徴とする情報端末。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報端末であって、
前記通信制御部は、前記受信可能エリア判定部の判定により特定された接続可能エリア情報に基づいて、前記第1の受信部または前記第2の受信部で前記コンテンツの受信を開始するタイミングを決定する処理を行うことを特徴とする情報端末。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の情報端末であって、
前記通信制御部は、前記受信可能エリア判定部の判定により特定された接続可能エリア情報および所定の接続切り替えパターンに基づいて前記第1の受信部または前記第2の受信部の一方から他方の受信部へと切り替えるタイミングを決定することを特徴とする情報端末。
【請求項7】
請求項6に記載の情報端末であって、
前記所定の接続切り替えパターンは、前記情報端末の現在位置が、前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれでも前記コンテンツの受信が可能であると判定された第1のエリアから、前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれかでのみ前記コンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアへ移動する場合に、上記第1のエリア内において上記第2のエリアで前記コンテンツの受信が可能である受信部を選択して接続を切り替えるパターンを少なくとも有することを特徴とする情報端末。
【請求項8】
請求項6または7に記載の情報端末であって、
前記所定の接続切り替えパターンは、前記情報端末の現在位置が、前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれかでのみ前記コンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアから、前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれでも前記コンテンツの受信が可能であると判定された第1のエリアへ移動する場合に、上記第2のエリアへ移動後に上記第2のエリアで前記コンテンツの受信が可能である受信部を前記第1の受信部または前記第2の受信部から選択して接続を切り替えるパターンを少なくとも有することを特徴とする情報端末。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の情報端末であって、
前記所定の接続切り替えパターンは、前記情報端末の現在位置が、前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれかでのみ前記コンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアから、上記第2のエリアで前記コンテンツの受信が可能である受信部とは異なる受信部でのみ前記コンテンツの受信が可能であると判定された第3のエリアへ移動する場合に、上記第2のエリアから上記第3のエリアへ移動する直前に上記第3のエリア内で前記コンテンツの受信が可能である受信部を選択して接続を切り替えるパターンを少なくとも有することを特徴とする情報端末。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の情報端末であって、
前記通信制御部は、前記情報端末の現在位置が、前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれでも前記コンテンツの受信が不可能であると判定された第4のエリアから、前記第1の受信部および/または前記第2の受信部で前記コンテンツの受信が可能であると判定された第5のエリアへ移動する場合に、上記第5のエリア内に突入する前の所定範囲において、上記第5のエリアにおいて前記コンテンツの受信が可能となる受信部を選択し、前記コンテンツの受信を試みることを特徴とする情報端末。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の情報端末であって、
前記通信制御部は、前記情報端末の現在位置が、前記第1の受信部および/または前記第2の受信部で前記コンテンツの受信が可能であると判定された第5のエリアから、前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれも前記コンテンツの受信が不可能であると判定された第4のエリアへ移動する場合に、実際に前記コンテンツの受信ができなくなるまで、上記第5のエリア内で接続している受信部で前記コンテンツの受信を試みることを特徴とする情報端末。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の情報端末であって、
前記通信制御部は、前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれも前記コンテンツの受信が不可能であると判定された第4のエリアにおいて、上記第4のエリア内での前記コンテンツを受信するためのスキャン処理回数を減らすために所定の回数に制限することを特徴とする情報端末。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の情報端末であって、
前記情報端末の移動速度もしくは前記情報端末を搭載している移動体の速度検出手段を備え、
前記通信制御部は、上記速度検出手段により検出した速度に基づいて前記第1の受信部または前記第2の受信部を他の受信部に切り替えるタイミングを決定することを特徴とする情報端末。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の情報端末であって、
前記通信制御部は、前記情報端末の現在位置が、前記第1の受信部および前記第2の受信部のいずれでも前記コンテンツの受信が可能であると判定された第1のエリアと、前記第1の受信部または前記第2の受信部のいずれかでのみ前記コンテンツの受信が可能であると判定された第2のエリアとを通過する場合に、上記第1のエリアおよび上記第2のエリアに進入する前に、上記第1のエリアおよび上記第2のエリアの両方で前記コンテンツの受信が可能な受信部を前記第1の受信部または前記第2の受信部から予め選択することを特徴とする情報端末。
【請求項15】
入力部と、現在位置特定部と、ナビゲーション部と、第1の受信部と、上記第1の受信部とは異なる通信網によって同一の上記コンテンツの受信が可能である第2の受信部と、受信可能エリア判定部と、通信制御部と、を少なくとも備えた情報端末に用いられる接続切り替え方法であって、
上記入力部からの出力により目的地または経由地情報を取得するステップと、
上記現在位置特定部からの出力により現在位置情報を取得するステップと、
上記ナビゲーション部が上記現在位置情報および上記目的地または上記経由地情報に基づいて経路を探索し、探索された経路に基づいて誘導するステップと、
上記受信可能エリア判定部が上記目的地または上記経由地までの経路間において、上記第1の受信部または上記第2の受信部で上記コンテンツの受信が可能であるか否かを示すエリア情報を取得し、上記第1の受信部または上記第2の受信部で上記コンテンツの受信が可能であるか否かを判定するステップと、
上記通信制御部が上記受信可能エリア判定部の判定に基づいて、上記コンテンツを受信する受信部を事前に決定するステップと、
を有することを特徴とする接続切り替え方法。
【請求項16】
コンピュータを、
コンテンツの受信が可能である第1の受信手段、
上記第1の受信手段とは異なる通信網によって同一の上記コンテンツの受信が可能である第2の受信手段、
目的地または上記目的地に加えて経由地の両方を入力させる入力手段、
現在位置を検出する現在位置特定手段、
上記現在位置から上記目的地または上記経由地までの経路を探索し、誘導するナビゲーション手段、
上記目的地または上記経由地までの経路間において、上記第1の受信手段または上記第2の受信手段で上記コンテンツの受信が可能であるか否かを示すエリア情報を取得し、上記第1の受信手段および上記第2の受信手段毎に上記コンテンツの受信が可能であるか否かを判定する受信可能エリア判定手段、
上記受信可能エリア判定手段の判定に基づいて、上記コンテンツを受信する受信手段を事前に決定する通信制御手段、
として機能させるための接続切り替えプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−49662(P2011−49662A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194466(P2009−194466)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】