説明

情報表示装置、情報表示方法、及び情報表示プログラム

【課題】複数の情報に関する優先度及びユーザの嗜好性に基づいて、取得された情報の中から優先的に表示する情報を適切に決定することが可能な情報表示装置を提供する。
【解決手段】優先度記憶手段は、複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する。嗜好性記憶手段は、表示画面に対するユーザの操作に基づいて、複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定して記憶する。表示制御手段は、表示すべき2以上の情報が取得された場合に、優先度及び嗜好性の両方に基づいて、取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う。これにより、複数の情報に関する優先度及びユーザの嗜好性に基づいて、取得された情報の中から優先的に表示する情報を適切に決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信された各種の情報に対応する画面を表示するための処理を行う情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術が、例えば特許文献1及び2に提案されている。特許文献1には、運転者ごとの嗜好性情報に適合するように、運転者に提供する情報の種類や、運転者に情報を提供する頻度若しくは割合を変化させる技術が提案されている。特許文献2には、即時情報(安全運転支援情報または緊急メッセージ情報)を受信すると、即時情報を取得したことを示す緊急情報受信ダイアログを表示することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−86880号公報
【特許文献2】特開2009−69062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、DSRC(Dedicated Short Range Communication)やDSSS(Driving Safety Support Systems)やビーコンを用いて、路側器と車両に搭載された車載器との間で無線通信を行う通信システムが普及しつつある。この種の車載器においては、DSRC情報、DSSS情報、及びビーコン情報に対して画面を表示する際の優先度を予め設定して、表示すべき2以上の情報が同時に受信された場合に、当該優先度に基づいて優先的に表示する情報を決定するといった表示方法が用いられている。
【0005】
例えば、当該表示方法では、ある情報に対応する画面の表示中に、当該情報よりも優先度が低い情報が割り込んだ場合には、現在の表示画面が継続され、割り込んだ情報は表示されない。これに対して、表示中の情報よりも優先度が高い情報が割り込んだ場合には、現在の表示画面から割り込んだ情報に対応する画面に切り替えられる。また、当該表示方法では、表示中の情報と優先度が同一である情報が割り込んだ場合には、現在の表示画面から割り込んだ情報に対応する画面に切り替えられる。
【0006】
このような表示方法では、表示すべき情報に対するユーザの嗜好性が考慮されていないと言える。そのため、例えば、ユーザの嗜好に合う情報が表示された画面が強制的に消されて、ユーザの嗜好に合わない情報が表示されてしまう場合がある。なお、特許文献1及び2には、このような不具合を解決する手法については記載されていない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、複数の情報に関する優先度及びユーザの嗜好性に基づいて、取得された複数の情報の中から優先的に表示する情報を適切に決定することが可能な情報表示装置、情報表示方法、及び情報表示プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明では、複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行う情報表示装置は、前記複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する優先度記憶手段と、表示画面に対するユーザの操作に基づいて、前記複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定し、前記嗜好性を記憶する嗜好性記憶手段と、表示すべき2以上の情報が取得された場合に、前記優先度及び前記嗜好性に基づいて、前記取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、前記決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う表示制御手段と、を備える。
【0009】
請求項9に記載の発明では、複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行う装置によって実行される情報表示方法は、前記複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する優先度記憶工程と、表示画面に対するユーザの操作に基づいて、前記複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定し、前記嗜好性を記憶する嗜好性記憶工程と、表示すべき2以上の情報が取得された場合に、前記優先度及び前記嗜好性に基づいて、前記取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、前記決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う表示制御工程と、を備える。
【0010】
請求項10に記載の発明では、コンピュータを備えると共に、複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行う装置によって実行される情報表示プログラムは、前記コンピュータを、前記複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する優先度記憶手段、表示画面に対するユーザの操作に基づいて、前記複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定し、前記嗜好性を記憶する嗜好性記憶手段、表示すべき2以上の情報が取得された場合に、前記優先度及び前記嗜好性に基づいて、前記取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、前記決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う表示制御手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例に係るナビゲーション装置の概略構成を示す。
【図2】実施例に係る通信システムの概略構成を示す。
【図3】DSRC情報、DSSS情報、及びビーコン情報の具体例を示す。
【図4】比較例に係る表示制御方法を行った場合の不具合を説明するための図を示す。
【図5】既存情報よりも優先度が低い情報が割り込んだ場合に、本実施例に係る表示制御方法によって表示される画面例を示す。
【図6】既存情報と優先度が同一の情報が割り込んだ場合に、本実施例に係る表示制御方法によって表示される画面例を示す。
【図7】本実施例における表示制御フローを示す。
【図8】本実施例における切り替えポイントの設定フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1つの観点では、複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行う情報表示装置は、前記複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する優先度記憶手段と、表示画面に対するユーザの操作に基づいて、前記複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定し、前記嗜好性を記憶する嗜好性記憶手段と、表示すべき2以上の情報が取得された場合に、前記優先度及び前記嗜好性に基づいて、前記取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、前記決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う表示制御手段と、を備える。
【0013】
上記の情報表示装置は、複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行うために好適に利用される。優先度記憶手段は、複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する。優先度は、例えば、情報の配信側で設定される、若しくは、情報表示装置側で設定される。嗜好性記憶手段は、表示画面に対するユーザの操作に基づいて、複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定して記憶する。表示制御手段は、表示すべき2以上の情報が取得された場合に、優先度及び嗜好性の両方に基づいて、取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う。これにより、複数の情報に関する優先度及びユーザの嗜好性に基づいて、取得された情報の中から優先的に表示する情報を適切に決定することができる。
【0014】
上記の情報表示装置の一態様では、前記表示制御手段は、前記2以上の情報における前記優先度が異なる場合には、前記優先度が高い情報を優先的に表示すると決定し、前記2以上の情報における前記優先度が同一である場合には、前記嗜好性が高い情報を優先的に表示すると決定する。
【0015】
この態様によれば、取得された情報の優先度が同一である場合に、ユーザの嗜好に合う情報やユーザにとって必要な情報を適切に表示させることができる。
【0016】
上記の情報表示装置の他の一態様では、前記表示制御手段は、優先的に表示すると決定した情報については、当該情報の内容を示す画面を表示し、優先的に表示すると決定しなかった情報については、当該情報の内容を示す画面を表示せずに、当該情報に対応するアイコンを表示する。
【0017】
この態様では、表示制御手段は、優先的に表示すると決定した情報については、当該情報の内容を示す画面を表示する。ここで、情報の内容を示す画面を表示するとは、当該情報が有する画像データを表示することを意味する。一方、表示制御手段は、優先的に表示すると決定しなかった情報については、当該情報に対応するアイコンを表示する。ここで、情報に対応するアイコンを表示するとは、当該情報の種類などを示す名称が表示された、ユーザが操作可能なボタンを表示することを意味する。
【0018】
このように、表示制御手段は、取得された情報のうち、その内容が表示されない情報については、当該情報に対応するアイコンを表示する。そのため、取得された全ての情報について、ユーザに表示させる機会を与えることができる。
【0019】
上記の情報表示装置において好適には、前記表示制御手段は、前記アイコンがユーザによって操作された場合、前記アイコンに対応する情報の内容を示す画面を表示することができる。つまり、表示画面を切り替えることができる。これにより、ユーザは、アイコンの押下といった簡便な操作で、表示画面を切り替えることができる。ここで、表示画面の切り替えとは、ある情報の内容が示された画面を、別の情報の内容が示された画面に切り替えることを意味する。
【0020】
また、好適には、前記表示制御手段は、前記アイコンがユーザによって操作された場合、前記アイコンが操作される前に表示されていた画面を最小化してアイコンで表示することができる。この場合、表示制御手段は、アイコンがユーザによって操作された場合に、既に表示されている情報の内容が示された画面を閉じて、当該情報に対応するアイコンを表示する。
【0021】
上記の情報表示装置の他の一態様では、前記嗜好性記憶手段は、ユーザによって表示画面を切り替えるための操作が行われた場合、切り替え後の画面に対応する情報についての前記嗜好性を高く設定する。この態様によれば、各情報ごとにユーザの嗜好性を適切に設定することができる。
【0022】
好適な例では、上記の情報表示装置は、前記複数の情報として、DSRC路側器が送信したDSRC情報、DSSS路側器が送信したDSSS情報、及びビーコン路側器が送信したビーコン情報のうちの少なくともいずれかの情報を取得する。
【0023】
また、好適な例では、上記の情報表示装置は、前記複数の情報として、ナビゲーション用の情報を取得する。
【0024】
本発明の他の観点では、複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行う装置によって実行される情報表示方法は、前記複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する優先度記憶工程と、表示画面に対するユーザの操作に基づいて、前記複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定し、前記嗜好性を記憶する嗜好性記憶工程と、表示すべき2以上の情報が取得された場合に、前記優先度及び前記嗜好性に基づいて、前記取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、前記決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う表示制御工程と、を備える。
【0025】
本発明の更に他の観点では、コンピュータを備えると共に、複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行う装置によって実行される情報表示プログラムは、前記コンピュータを、前記複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する優先度記憶手段、表示画面に対するユーザの操作に基づいて、前記複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定し、前記嗜好性を記憶する嗜好性記憶手段、表示すべき2以上の情報が取得された場合に、前記優先度及び前記嗜好性に基づいて、前記取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、前記決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う表示制御手段、として機能させる。
【0026】
上記の情報表示方法及び情報表示プログラムによっても、複数の情報に関する優先度及びユーザの嗜好性に基づいて、取得された情報の中から優先的に表示する情報を適切に決定することができる。
【実施例】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の説明は、本発明を車両用のナビゲーション装置に適用した例を示す。
【0028】
[ナビゲーション装置]
図1に、ナビゲーション装置1の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、及び入力装置60を備える。
【0029】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備え、自立測位センサとして機能する。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0030】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0031】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0032】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0033】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0034】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0035】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。
【0036】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタなどから配信される情報を取得する。
【0037】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データなどを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0038】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、又はBD−ROM、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0039】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0040】
[通信システム]
次に、図2を参照して、上記したナビゲーション装置1を適用した通信システム100について説明する。図2は、通信システム100の概略構成を示す。
【0041】
通信システム100は、主に、DSRC路側器91aと、DSSS路側器91bと、ビーコン路側器91cと、DSRC車載器92aと、DSSS車載器92bと、ビーコン車載器92cと、ナビゲーション装置1とを備える。なお、図2では、ナビゲーション装置1について、路車間通信を行う場合の最小限の構成要素のみを図示している。
【0042】
通信システム100は、路側器91a〜91cと車載器92a〜92cとの間で所定の通信を行う路車間通信システムである。DSRC路側器91a、DSSS路側器91b、及びビーコン路側器91cは、それぞれ、道路などに設置され、外部から取得された情報をDSRC車載器92a、DSSS車載器92b、及びビーコン車載器92cに送信する。
【0043】
なお、「DSRC」は専用狭域通信(Dedicated Short Range Communication)を意味し、「DSSS」は安全運転支援システム(Driving Safety Support Systems)を意味する。以下では、DSRCで用いる情報、DSSSで用いる情報、及びビーコンで用いる情報を、それぞれ、「DSRC情報」、「DSSS情報」、及び「ビーコン情報」と呼ぶ。なお、DSRC情報、DSSS情報、及びビーコン情報は、特定の1つの情報を指すわけではなく、それぞれに複数の種類の情報が含まれる。例えば、DSRC情報には、電子標識や注意警戒情報などが含まれる。
【0044】
DSRC車載器92a、DSSS車載器92b、及びビーコン車載器92cは、それぞれ、車両に搭載され、DSRC路側器91a、DSSS路側器91b、及びビーコン路側器91cから送信された情報を受信し、受信した情報をナビゲーション装置1へ送信する。
【0045】
ナビゲーション装置1は、主に、システムコントローラ20と、通信装置38と、表示ユニット40と、を備える。通信装置38は、DSRC車載器92a、DSSS車載器92b、及びビーコン車載器92cから送信された情報を受信し、受信した情報をシステムコントローラ20に出力する。
【0046】
システムコントローラ20は、データ管理部20aと、表示制御部20bと、ナビ用UI(User Interface)20cとを備える。データ管理部20aは、表示すべき複数の情報(DSRC情報、DSSS情報、ビーコン情報など)に対して予め設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する。また、データ管理部20aは、表示画面に対するユーザの操作に基づいて、このような複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定して、当該嗜好性を記憶する。
【0047】
表示制御部20bは、データ管理部20aで管理されている優先度及び嗜好性に基づいて、ナビ用UI20cに対して画面を表示するための制御を行う。具体的には、表示制御部20bは、取得された複数の情報のうち優先的に表示する情報を決定し、決定された情報に対応する画面を優先的に表示するための制御を行う。ナビ用UI20cは、表示制御部20bの制御に基づき、表示ユニット40に対して画面を表示するための処理を行う。
【0048】
このように、システムコントローラ20は、情報表示装置に相当し、優先度記憶手段、嗜好性記憶手段、及び表示制御手段として機能する。
【0049】
表示ユニット40は、ナビ用UI20cによる処理後の情報に対応する画面を表示する。また、表示ユニット40は、ディスプレイ44がタッチパネル方式で構成されており、ユーザがディスプレイ44を操作することで入力した情報を取得する。
【0050】
ここで、図3を参照して、DSRC情報、DSSS情報、及びビーコン情報の具体例について説明する。ビーコン情報には、例えばビーコン緊急情報やビーコン即時情報がある。ビーコン緊急情報は、緊急情報であり、優先度は「高」である。ビーコン即時情報は、一般情報であり、優先度は「低」である。DSRC情報には、例えばDSRC電子標識やDSRC安全運転支援情報やDSRC注意警戒情報がある。DSRC電子標識は、一般情報であり、優先度は「低」である。DSRC安全運転支援情報は、最優先情報であり、優先度は「高」である。DSRC注意警戒情報は、優先情報であり、優先度は「中」である。DSSS情報は、優先情報であり、優先度は「中」である。
【0051】
なお、上記したビーコン緊急情報、ビーコン即時情報、DSRC電子標識、DSRC安全運転支援情報、及びDSRC注意警戒情報は、特定の1つの情報を指すわけではなく、それぞれに複数の種類の情報が含まれる。
【0052】
なお、図3では優先度を「高」、「中」、「低」で表す例を示したが、このような優先度を用いることに限定はされない。他の例では、数値で表された優先度を用いることができる。例えば、優先度として「100」、「70」、「0」を用いることができる。また、3段階に規定された優先度を用いることに限定はされず、4以上の段階で規定された優先度を用いても良い。
【0053】
[表示制御方法]
次に、本実施例においてシステムコントローラ20が実行する表示制御方法について説明する。
【0054】
本実施例では、システムコントローラ20は、表示すべき2以上の情報(DSRC情報、DSSS情報、ビーコン情報など)が取得された場合に、上記したような優先度及び嗜好性に基づいて、取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う。具体的には、システムコントローラ20は、2以上の情報における優先度が異なる場合には、優先度が高い情報を優先的に表示し、これに対して、2以上の情報における優先度が同一である場合には、嗜好性が高い情報を優先的に表示する。
【0055】
図4を参照して、このような表示制御方法を行う理由を説明する。図4は、比較例に係る表示制御方法を行った場合の不具合を説明するための図を示す。
【0056】
比較例に係る表示制御方法では、DSRC情報、DSSS情報、及びビーコン情報に対して設定された優先度のみに基づいて優先的に表示する情報を決定して、決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う。具体的には、比較例に係る表示制御方法では、ある情報に対応する画面の表示中に、当該情報よりも優先度が低い情報が割り込んだ場合には、現在の表示画面を継続し、割り込んだ情報は表示しない。これに対して、表示中の情報よりも優先度が高い情報が割り込んだ場合には、現在の表示画面から割り込んだ情報に対応する画面に切り替える。また、比較例に係る表示制御方法では、表示中の情報と優先度が同一である情報が割り込んだ場合には、現在の表示画面から割り込んだ情報に対応する画面に切り替える。
【0057】
図4(a)〜(d)は、ある情報に対応する画面の表示中に当該情報とは異なる情報が割り込んだ場合に、比較例に係る表示制御方法によって表示される画面を示している。具体的には、図4(a)及び(b)は、表示中の情報と優先度が異なる情報が割り込んだ場合の例を示しており、図4(c)及び(d)は、表示中の情報と優先度が同一である情報が割り込んだ場合の例を示している。なお、図4(a)〜(d)は、それぞれ横方向に時間を示している。
【0058】
図4(a)は、ビーコン緊急情報を表示している際にDSRC電子標識が割り込んだ場合の例を示している。割り込んだDSRC電子標識は、表示されているビーコン緊急情報よりも優先度が低い。そのため、比較例に係る表示制御方法によれば、DSRC電子標識が割り込んでも、ビーコン緊急情報がそのまま表示され、DSRC電子標識は表示されない。この場合、基本的には、DSRC電子標識を表示させることはできない。なお、ビーコン緊急情報の表示が継続されること自体は、優先度の高い情報を優先的に表示することとした結果であるため、特に問題はない。
【0059】
図4(b)は、DSRC電子標識を表示している際にビーコン緊急情報が割り込んだ場合の例を示している。割り込んだビーコン緊急情報は、表示されているDSRC電子標識よりも優先度が高い。そのため、比較例に係る表示制御方法によれば、ビーコン緊急情報が割り込んだ際に、DSRC電子標識からビーコン緊急情報へ表示画面が切り替えられる。この場合、基本的には、表示画面の切り替え後は、DSRC電子標識を表示させることはできない。なお、表示画面の切り替え自体は、優先度の高い情報を優先的に表示することとした結果であるため、特に問題はない。
【0060】
図4(c)は、ビーコン即時情報を表示している際にDSRC電子標識が割り込んだ場合の例を示している。割り込んだDSRC電子標識は、表示されているビーコン即時情報と優先度が同一である。そのため、比較例に係る表示制御方法によれば、DSRC電子標識が割り込んだ際に、ビーコン即時情報からDSRC電子標識へ表示画面が切り替えられる。この場合、基本的には、表示画面の切り替え後は、ビーコン即時情報を表示させることはできない。
【0061】
図4(d)は、DSRC電子標識を表示している際にビーコン即時情報が割り込んだ場合の例を示している。割り込んだビーコン即時情報は、表示されているDSRC電子標識と優先度が同一である。そのため、比較例に係る表示制御方法によれば、ビーコン即時情報が割り込んだ際に、DSRC電子標識からビーコン即時情報へ表示画面が切り替えられる。この場合、基本的には、表示画面の切り替え後は、DSRC電子標識を表示させることはできない。
【0062】
ここで、表示中の情報と優先度が同一である情報が割り込んだ場合には、いずれの情報を表示させるのかを決定する際に優先度には縛られないため、ユーザの好みや必要性に応じて自由に情報を見る機会を与えるべきであるものと考えられる。しかしながら、比較例に係る表示制御方法では、図4(c)及び図4(d)に示すように、後に取得された情報(割り込んだ情報)に対応する画面に強制的に切り替わる。そのため、例えば、ユーザの嗜好に合う情報やユーザにとって必要な情報が表示された画面が強制的に消されて、ユーザの嗜好に合わない情報やユーザにとって必要でない情報が表示されてしまう可能性があると言える。
【0063】
なお、表示中の情報と優先度が同一である情報が割り込んだ場合に、現在の表示画面を継続し、割り込んだ情報は表示しないといった表示制御方法もあるが、この方法でも、比較例に係る表示制御方法と同様の不具合が生じる傾向にある。例えば、当該方法では、ユーザの嗜好に合わない情報やユーザにとって必要でない情報が表示され続け、ユーザの嗜好に合う情報やユーザにとって必要な情報が表示されない可能性がある。
【0064】
以上のことから、本実施例では、同時に表示すべき2以上の情報が取得された場合に、優先度だけでなくユーザの嗜好性も考慮して、取得された情報の中から優先的に表示する情報を決定する。具体的には、システムコントローラ20は、取得された2以上の情報における優先度が異なる場合には、優先度が高い情報を優先的に表示し、これに対して、当該2以上の情報における優先度が同一である場合には、ユーザの嗜好性が高い情報を優先的に表示する。この場合、システムコントローラ20は、優先的に表示すると決定した情報については、当該情報の内容を示す画面を表示する。これに対して、システムコントローラ20は、優先的に表示すると決定しなかった情報については、当該情報の内容を示す画面を表示せずに、当該情報に対応するアイコンを表示する。
【0065】
具体的には、システムコントローラ20は、ある情報に対応する画面の表示中に、当該情報とは異なる情報が割り込んだ場合に、下記のような表示制御を行う。なお、以下では、既に表示している画面を「既存画面」と呼び、既存画面に用いている情報を「既存情報」と呼ぶ。また、既存画面の表示中に割り込んだ情報(つまり受信された情報)を「割り込み情報」と呼び、割り込み情報の内容に対応する画面を「割り込み画面」と呼ぶ。
【0066】
システムコントローラ20は、既存画面を表示中に、既存情報よりも優先度が低い割り込み情報が割り込んだ場合、既存画面を継続して表示し、割り込み画面を表示しない。この場合、システムコントローラ20は、割り込み情報に対応するアイコンを表示する。つまり、システムコントローラ20は、別の情報が割り込んだことをアイコンでユーザに通知する。これに対して、システムコントローラ20は、既存画面を表示中に、既存情報よりも優先度が高い割り込み情報が割り込んだ場合、既存画面から割り込み画面へ表示画面を切り替える。この場合、システムコントローラ20は、既存画面を最小化して、既存情報に対応するアイコンを表示する。
【0067】
一方、システムコントローラ20は、既存画面を表示中に、既存情報と優先度が同一である割り込み情報が割り込んだ場合、既存情報及び割り込み情報のうちユーザの嗜好性が高い情報を表示する。具体的には、システムコントローラ20は、既存情報のほうが割り込み情報よりも嗜好性が高い場合には、既存画面を継続して表示すると共に、割り込み情報に対応するアイコンを表示する。これに対して、システムコントローラ20は、割り込み情報のほうが既存情報よりも嗜好性が高い場合には、既存画面から割り込み画面へ表示画面を切り替えると共に、既存画面を最小化して、既存情報に対応するアイコンを表示する。
【0068】
また、本実施例では、システムコントローラ20は、上記したようなアイコンがユーザによって操作された場合、当該アイコンに対応する情報の内容を示す画面を表示する。つまり、表示画面の切り替えを行う。この場合、システムコントローラ20は、既存画面を最小化して、既存情報に対応するアイコンを表示する。
【0069】
更に、本実施例では、システムコントローラ20は、ユーザがアイコンを操作して表示画面を切り替えた場合に、切り替え後の画面に対応する情報(即ち、当該アイコンに対応する情報)についての嗜好性を高く設定する。こうするのは、ユーザが表示画面を切り替える操作を行った場合には、切り替え後の画面に対応する情報は、ユーザの嗜好に合う情報若しくはユーザが必要であると感じた情報であると言えるからである。具体的には、システムコントローラ20は、ユーザの嗜好性として、数値化されたポイント(以下、「切り替えポイント」と呼ぶ。)を用いる。この場合、システムコントローラ20は、ユーザが表示画面を切り替える操作を行う毎に、切り替えポイントを加算していく。そのため、1つの情報に対して設定された切り替えポイントは、ユーザが当該情報に対応する表示画面に切り替えた回数を示すものとなる。
【0070】
以上説明した本実施例に係る表示制御方法によれば、複数の情報に関する優先度及びユーザの嗜好性に基づいて、取得された情報の中から優先的に表示する情報を適切に決定することができる。特に、取得された情報の優先度が同一である場合に、ユーザの嗜好に合う情報やユーザにとって必要な情報を適切に表示させることができる。
【0071】
また、本実施例に係る表示制御方法では、取得された情報のうち、その内容が表示されない情報については、当該情報に対応するアイコンが表示される。そのため、取得された全ての情報について、ユーザに表示させる機会を与えることができる。この場合、ユーザは、アイコンの押下といった簡便な操作で、表示画面を切り替えることができる。
【0072】
(表示画面例)
次に、図5及び図6を参照して、本実施例に係る表示制御方法による表示画面例を説明する。
【0073】
図5は、既存情報よりも優先度が低い情報が割り込んだ場合に、本実施例に係る表示制御方法によって表示される表示画面例を示している。図5では、既存情報としてビーコン緊急情報を例示し、割り込み情報としてDSRC電子標識を例示している。なお、図5では、ハッチングの違いにより表示画面の違いを表現している。
【0074】
図5(a)は、ビーコン緊急情報に対応する画面A1aが表示された表示画面A1を示している。図5(b)は、図5(a)に示した表示画面A1の表示中にDSRC電子標識が割り込んだ場合に表示される表示画面A2を示している。図5(b)に示すように、割り込んだDSRC電子標識は表示中のビーコン緊急情報よりも優先度が低いため、ビーコン緊急情報に対応する画面A2aが継続して表示され、DSRC電子標識に対応する画面は表示されない。この場合、割り込んだDSRC電子標識に対応するアイコンA2bが表示される。このようなアイコンA2bによって、DSRC電子標識が受信されたことがユーザに通知される。
【0075】
図5(c)は、図5(b)中のアイコンA2bがユーザによって操作された場合に表示される表示画面A3を示している。図5(c)に示すように、ユーザがアイコンA2bを押下することで、アイコンA2bに対応するDSRC電子標識を示す画面A3aが表示される。つまり、ビーコン緊急情報に対応する画面A2aからDSRC電子標識に対応する画面A3aへ表示画面が切り替えられる。この場合、ビーコン緊急情報に対応する画面A2aは最小化され、ビーコン緊急情報に対応するアイコンA3bが表示される。このように表示画面が切り替えられた場合、DSRC電子標識の切り替えポイントが加算される。
【0076】
図6は、既存情報と優先度が同一の情報が割り込んだ場合に、本実施例に係る表示制御方法によって表示される表示画面例を示している。図6では、既存情報としてDSRC電子標識を例示し、割り込み情報としてビーコン即時情報を例示している。また、ここでは、DSRC電子標識のほうがビーコン即時情報よりも切り替えポイントが高い場合を考える。これは、DSRC電子標識に表示画面を切り替えた回数が、ビーコン即時情報に表示画面を切り替えた回数よりも多いことを意味している。なお、図6では、ハッチングの違いにより表示画面の違いを表現している。
【0077】
図6(a)は、DSRC電子標識に対応する画面B1aが表示された表示画面B1を示している。図6(b)は、図6(a)に示した表示画面B1の表示中にビーコン即時情報が割り込んだ場合に表示される表示画面B2を示している。図6(b)に示すように、割り込んだビーコン即時情報は表示中のDSRC電子標識よりも切り替えポイントが低いため、DSRC電子標識に対応する画面B2aが継続して表示され、ビーコン即時情報に対応する画面は表示されない。この場合、割り込んだビーコン即時情報に対応するアイコンB2bが表示される。このようなアイコンB2bによって、ビーコン即時情報が受信されたことがユーザに通知される。
【0078】
図6(c)は、図6(b)中のアイコンB2bがユーザによって操作された場合に表示される表示画面B3を示している。図6(c)に示すように、ユーザがアイコンB2bを押下することで、アイコンB2bに対応するビーコン即時情報を示す画面B3aが表示される。つまり、DSRC電子標識に対応する画面B2aからビーコン即時情報に対応する画面B3aへ表示画面が切り替えられる。この場合、DSRC電子標識に対応する画面B2aは最小化され、DSRC電子標識に対応するアイコンB3bが表示される。このように表示画面が切り替えられた場合、ビーコン即時情報の切り替えポイントが加算される。
【0079】
(表示制御フロー)
次に、図7を参照して、本実施例における表示制御フローについて説明する。このフローでは、主に、ある情報に対応する画面の表示中に当該情報とは異なる情報が割り込んだ場合に、いずれの情報を優先的に表示するかを決定して、決定された情報に対応する画面を優先的に表示させる処理が行われる。なお、当該フローは、システムコントローラ20によって繰り返し実行される。
【0080】
まず、ステップS101では、システムコントローラ20は、表示すべき情報が割り込んだか否かを判定する。具体的には、システムコントローラ20は、DSRC情報、DSSS情報、及びビーコン情報の少なくともいずれかが受信されたか否かを判定する。情報が割り込んだ場合(ステップS101;Yes)、処理はステップS102に進み、情報が割り込まなかった場合(ステップS101;No)、処理はステップS101に戻る。
【0081】
ステップS102では、システムコントローラ20は、情報に対応する画面を現在表示しているか否かを判定する。つまり、既存表示が有るか否かを判定する。既存表示が有る場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS104に進む。これに対して、既存表示が無い場合(ステップS102;No)、処理はステップS103に進む。この場合、システムコントローラ20は、ステップS101で割り込んだ情報に対応する画面を表示する、つまり割り込み画面を表示する(ステップS103)。そして、処理は終了する。
【0082】
ステップS104では、システムコントローラ20は、既存情報の優先度が割り込み情報の優先度よりも高いか否かを判定する。既存情報の優先度が割り込み情報の優先度よりも高い場合(ステップS104;Yes)、処理はステップS105に進む。この場合、システムコントローラ20は、既存画面を継続して表示すると共に、割り込み情報に対応するアイコンを表示する、つまり別の情報が割り込んだことをアイコンで通知する(ステップS105)。そして、処理は終了する。
【0083】
一方、既存情報の優先度が割り込み情報の優先度よりも高くない場合(ステップS104;No)、つまり既存情報の優先度が割り込み情報の優先度よりも低いか、若しくは既存情報及び割り込み情報の優先度が同一である場合、処理はステップS106に進む。
【0084】
ステップS106では、システムコントローラ20は、既存情報及び割り込み情報の優先度が同一であるか否かを判定する。優先度が同一である場合(ステップS106;Yes)、処理はステップS107に進む。これに対して、優先度が同一でない場合(ステップS106;No)、つまり既存情報の優先度が割り込み情報の優先度よりも低い場合、処理はステップS108に進む。この場合、システムコントローラ20は、既存画面から割り込み画面へ表示画面を切り替えると共に、既存画面を最小化して、既存情報に対応するアイコンを表示する(ステップS108)。そして、処理は終了する。
【0085】
ステップS107では、システムコントローラ20は、割り込み情報の切り替えポイントが既存情報の切り替えポイントよりも高いか否かを判定する。ここでは、優先度が同一であるため、ユーザの嗜好性を示す切り替えポイントを用いて判定を行っている。割り込み情報の切り替えポイントが既存情報の切り替えポイントよりも高い場合(ステップS107;Yes)、処理はステップS108に進む。この場合、システムコントローラ20は、既存画面から割り込み画面へ表示画面を切り替えると共に、既存画面を最小化して、既存情報に対応するアイコンを表示する(ステップS108)。そして、処理は終了する。
【0086】
これに対して、割り込み情報の切り替えポイントが既存情報の切り替えポイントよりも高くない場合(ステップS107;No)、つまり既存情報のほうが割り込み情報よりも切り替えポイントが高い場合、処理はステップS105に進む。この場合、システムコントローラ20は、既存画面を継続して表示すると共に、割り込み情報に対応するアイコンを表示する、つまり別の情報が割り込んだことをアイコンで通知する(ステップS105)。そして、処理は終了する。
【0087】
以上説明した表示制御フローによれば、複数の情報に関する優先度及びユーザの嗜好性に基づいて、取得された情報の中から優先的に表示する情報を適切に決定することができる。特に、取得された情報の優先度が同一である場合に、ユーザの嗜好に合う情報やユーザにとって必要な情報を適切に表示させることができる。
【0088】
次に、図8を参照して、切り替えポイントの設定フローについて説明する。このフローは、上記した表示制御フローの実行中や実行後に、システムコントローラ20によって実行される。
【0089】
まず、ステップS201では、システムコントローラ20は、ユーザによって表示画面を切り替える操作が行われたか否かを判定する。具体的には、システムコントローラ20は、表示画面を切り替えるために、ユーザによってアイコンが押下されたか否かを判定する。表示画面を切り替える操作が行われた場合(ステップS201;Yes)、処理はステップS202に進み、表示画面を切り替える操作が行われなかった場合(ステップS201;No)、処理はステップS201に戻る。
【0090】
ステップS202では、システムコントローラ20は、切り替えポイントを加算する処理を行う。具体的には、システムコントローラ20は、ユーザによって操作されたアイコンに対応する情報の切り替えポイントを加算する処理を行う。そして、処理は終了する。
【0091】
このような切り替えポイントの設定フローによれば、各情報ごとにユーザの嗜好性を適切に設定することができる。
【0092】
[変形例]
上記では、取得された2以上の情報における優先度が異なる場合には、予め設定された優先度が高い情報を優先的に表示していたが、予め設定された優先度にユーザの嗜好性を加えた総合的な評価によって優先的に表示する情報を定めてもよい。この場合、予め設定された優先度を上記のように数値化(ポイント化)しておき、これに表示画面の切り替え操作に応じた切り替えポイントを加算して、合計で優先度を判断することが考えられる。なお、加算する切り替えポイントを直前の所定回数や直前の所定期間に制限するとともに、当該制限における切り替えポイントを全て加算しても到達しない程度の高ポイントを緊急情報等に予め設定しておくことで、緊急情報等のような最優先に表示させなければならない情報(例えば規格で表示が定められている情報)が表示されなくなることを防止できる。
【0093】
上記では、表示中の情報とは異なる1つの情報が割り込んだ場合に行われる表示制御方法を示したが、表示中の情報とは異なる2以上の情報が割り込んだ場合にも、同様の表示制御方法を行うことができる。この場合には、表示中の情報を含めた3以上の情報の中から、優先度及び嗜好性に基づいて優先的に表示する情報を決定して、決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行うことができる。また、優先的に表示すると決定されなかった2以上の情報については、それぞれの情報に対応するアイコンを表示することができる。
【0094】
上記では、DSRC情報、DSSS情報、及びビーコン情報を、表示に用いる複数の情報として示したが、これらの情報を用いることに限定はされない。他の例では、表示に用いる情報として、DSRC情報、DSSS情報、及びビーコン情報を用いると共に、若しくは、これらの情報を用いる代わりに、ナビゲーション用の情報を用いることができる。つまり、ナビゲーション用の情報に関しても、表示すべき2以上の情報が取得された場合に、優先度及び嗜好性に基づいて優先的に表示する情報を決定して、決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行うことができる。例えば、ナビゲーション用の情報としては、案内図に関する情報が用いられる。一例としては、分岐地点で表示される画面の情報が挙げられる。
【0095】
上記では、車側の装置として、車載器及びナビゲーション装置を備えた構成を示したが、本発明の適用はこれに限定はされない。本発明は、車載器とナビゲーション装置とが一体化された構成にも適用することができる。
【0096】
上記では、タッチパネル方式で構成された表示ユニット40をユーザが操作することで情報を入力する構成を示したが、本発明の適用はこれに限定はされない。本発明は、キーや、スイッチや、ボタンや、リモコンや、音声などを用いてユーザが情報を入力する構成にも適用することができる。
【0097】
本発明の適用は、ナビゲーション装置に限定されない。加えて、本発明の適用は、車載器に限定されない。本発明は、例えば携帯電話などの端末装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 ナビゲーション装置
20 システムコントローラ
20a データ管理部
20b 表示制御部
20c ナビ用UI
38 通信装置
40 表示ユニット
91a DSRC路側器
91b DSSS路側器
91c ビーコン路側器
92a DSRC車載器
92b DSSS車載器
92c ビーコン車載器
100 通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行う情報表示装置であって、
前記複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する優先度記憶手段と、
表示画面に対するユーザの操作に基づいて、前記複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定し、前記嗜好性を記憶する嗜好性記憶手段と、
表示すべき2以上の情報が取得された場合に、前記優先度及び前記嗜好性に基づいて、前記取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、前記決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う表示制御手段と、を備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記2以上の情報における前記優先度が異なる場合には、前記優先度が高い情報を優先的に表示すると決定し、
前記2以上の情報における前記優先度が同一である場合には、前記嗜好性が高い情報を優先的に表示すると決定することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
優先的に表示すると決定した情報については、当該情報の内容を示す画面を表示し、
優先的に表示すると決定しなかった情報については、当該情報の内容を示す画面を表示せずに、当該情報に対応するアイコンを表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記アイコンがユーザによって操作された場合、前記アイコンに対応する情報の内容を示す画面を表示することを特徴とする請求項3に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記アイコンがユーザによって操作された場合、前記アイコンが操作される前に表示されていた画面を最小化してアイコンで表示することを特徴とする請求項4に記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記嗜好性記憶手段は、ユーザによって表示画面を切り替えるための操作が行われた場合、切り替え後の画面に対応する情報についての前記嗜好性を高く設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報表示装置。
【請求項7】
前記複数の情報として、DSRC路側器が送信したDSRC情報、DSSS路側器が送信したDSSS情報、及びビーコン路側器が送信したビーコン情報のうちの少なくともいずれかの情報を取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報表示装置。
【請求項8】
前記複数の情報として、ナビゲーション用の情報を取得することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の情報表示装置。
【請求項9】
複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行う装置によって実行される情報表示方法であって、
前記複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する優先度記憶工程と、
表示画面に対するユーザの操作に基づいて、前記複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定し、前記嗜好性を記憶する嗜好性記憶工程と、
表示すべき2以上の情報が取得された場合に、前記優先度及び前記嗜好性に基づいて、前記取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、前記決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う表示制御工程と、を備えることを特徴とする情報表示方法。
【請求項10】
コンピュータを備えると共に、複数の情報を取得して、取得された情報に基づいて画面を表示する制御を行う装置によって実行される情報表示プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記複数の情報に対して設定された、優先的に画面を表示する度合いを示す優先度を記憶する優先度記憶手段、
表示画面に対するユーザの操作に基づいて、前記複数の情報に対するユーザの嗜好性を設定し、前記嗜好性を記憶する嗜好性記憶手段、
表示すべき2以上の情報が取得された場合に、前記優先度及び前記嗜好性に基づいて、前記取得された情報のうち優先的に表示する情報を決定し、前記決定された情報に対応する画面を優先的に表示する制御を行う表示制御手段、として機能させることを特徴とする情報表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−95993(P2011−95993A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249062(P2009−249062)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】