説明

感光性ポリイミド、感光性ポリイミドインク組成物及び絶縁膜

【課題】耐熱性、電気特性、及び柔軟性等に優れたフレキシブル配線板用オーバーコート材、及び層間絶縁材料等として好適に用いることができるとともに、有機溶媒に可溶性である感光性ポリイミド、前記感光性ポリイミドを含有する感光性ポリイミドインク組成物、及び前記感光性ポリイミドインク組成物を硬化させてなる絶縁膜の提供。
【解決手段】 特定の脂環式テトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分とカルボキシル基を分子中に2個有する特定の芳香族ジアミンを主成分とするジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を、前記ポリイミド中に存在するカルボキシル基の一部に付加反応させ、又は、縮合反応させてなる有機溶媒可溶性であることを特徴とする感光性ポリイミド、これを利用する感光性ポリイミドインク及び絶縁膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感光性ポリイミド、感光性ポリイミドインク組成物及び絶縁膜に関し、詳しくは、耐熱性、電気特性、及び柔軟性等に優れたフレキシブル配線板用オーバーコート材、及び層間絶縁材料等として好適に用いることができるとともに、有機溶媒に可溶性である感光性ポリイミド、前記感光性ポリイミドを含有する感光性ポリイミドインク組成物、及び前記感光性ポリイミドインク組成物を硬化させてなる絶縁膜に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル配線板のオーバーコート材、及び多層基板の層間絶縁膜等は、耐熱性及び絶縁性に富むことが要求され、しかも、高密度化、及び高集積化等の要求から感光性のある耐熱材料で形成されることが求められる。
【0003】
半導体工業における電子回路の保護膜、及び半導体素子の保護膜等には、感光性ポリイミドが使用されているという言われ方をするが、正確にはポリイミド先駆体が使用される。このポリイミド先駆体は、前記電子回路及び保護膜等の表面に塗布された後に、露光され、現像されてから高温でポストベークされることによりイミド化されている。フレキシブル配線板等を製造する場合、フレキシブル配線板に使用される基材がフイルムであることと前記ポリイミド先駆体が塗布される基材の塗布面積が広いこととにより、ポリイミドインクの乾燥又はイミド化のための高温熱処理の際に基材であるフイルムが著しくカールしてしまう。故に、前記フレキシブル配線板等の製造に、前記ポリイミド先駆体は使用できない。このような理由から、感光性ドライフイルムが開発されている。しかしながらフレキシブル配線板を連続製造することを想定した場合、感光性ドライフイルムの製造には真空ラミネート工程が含まれているので、そのような工程を有する製造方法により製造される感光性ドライフイルムは、フレキシブル配線板等の連続製造には不向きである。
【0004】
このような理由から、フレキシブル配線板の連続製造には、感光性ポリイミドインクの使用が好ましい。しかし、感光性ドライフイルム又は液状レジストを用いて基板製造を行っている現場において、現像時に超音波を使用すること(特許文献1)は、既存の製造設備を流用することができず、超音波照射設備といった新規設備によるプロセス上の問題があり、また有機溶剤を用いること(特許文献2)は、溶剤回収に関わる環境面の問題、防爆等の設備増設による経済的な問題があることから受け入れ難く好ましくない。特許文献1によると、特許文献1に記載された「有機溶媒可溶性の感光性ポリイミドシロキサン」はインキ化工程に供されて「感光性ポリイミドシロキサン溶液組成物」が製造される。この感光性ポリイミドシロキサン溶液組成物は、例えば銅回路パターン上に塗布され、塗布後に有機溶媒が除去され、露光され、「テトラエチルアンモニウムハイドロキサイドの2%水溶液、又はホウ酸ナトリウムとジエチレングリコールモノブチルエーテルとを含有する水溶液で現像がされている。このように特許文献1に記載の感光性ポリイミドシロキサン溶液組成物は、その現像に、水溶液と称されているが有機化合物を含む現像液が使用されている。したがって、特許文献1に記載された感光性ポリイミドシロキサンは、それを用いてフレキシブル配線板を製造する場合には有機物質含有の廃液の処理が必要になる。
【0005】
一般に芳香族ポリイミドは黄褐色に着色していて400nm以下の波長を有する光の透過率が低い。現在のところ、市販されている紫外線照射装置に装備されている紫外線ランプは364nmの波長を主とする紫外線を発する。そうすると、芳香族ポリイミドを含有する感光性ポリイミドインク組成物で形成した塗膜に紫外線を照射しても、芳香族ポリイミドの低光透過性により感光性ポリイミドインク組成物は十分に光硬化しないという問題がある。芳香族ポリイミドを採用する限り芳香族ポリイミドにおける低光透過性という問題点を解消する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−265571号公報
【特許文献2】特開平9−100350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の課題は、有機溶媒に対して溶解性が優れるとともに、スクリーン印刷ができ、光硬化に際し高感度で、有機物質無含有の弱アルカリ水溶液、特に炭酸ソーダ水溶液を用いてパターン現像が可能な感光性ポリイミドインク組成物の原料になる感光性ポリイミドを提供することである。
【0008】
この発明の他の課題は、折り曲げ性、反り性、はんだ耐熱性、密着性、光沢性、金めっき耐性に優れて実用性のある硬化膜を形成することができ、しかも有機物質無含有の弱アルカリ水溶液、特に炭酸ソーダ水溶液で現像することのできる感光性ポリイミドインク組成物を提供することである。
【0009】
さらに、この発明の他の課題は、現像後にイミド化するための高温処理(200〜400℃)を不要とし、低温でイミド化が達成することができる故にカールすることのない絶縁膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段は、
(1) (a) 下記一般式(1)で示される脂環式テトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分と
【0011】
【化1】

(一般式(1)中、Rは脂環式テトラカルボン酸二無水物のカルボン酸二無水物残基(但し、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物のカルボン酸二無水物残基を除く。)である。)
下記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミンを全ジアミン成分に対して70モル%以上の割合で主成分とするジアミン成分、若しくは下記一般式(2)で示される芳香族ジアミンとの反応により合成されるポリイミドに、
(b) 酸二無水物成分が前記一般式(1)で示される脂環式テトラカルボン酸二無水物であるときにはその脂環式テトラカルボン酸二無水物と下記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミンを主成分とするジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、
(c) シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分と、ジアミン成分が下記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミンであるときにはそのジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、又は、
(d) シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分と、前記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミン、並びに、ジアミノポリシロキサン(DAPS)、ビス4−アミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、及び3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)のうち少なくとも一つの芳香族ジアミンを含有するジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、
(メタ)アクリロイル基を有する化合物を、前記ポリイミド中に存在するカルボキシル基の一部に付加反応させ、又は、縮合反応させてなる有機溶媒可溶性であることを特徴とする感光性ポリイミドであり、
【0012】
【化2】

(但し、一般式(2)中、XはO、CH、C(CF、O−C−C(CH−C−O、又は直接結合を示す)。
(2) 前記酸二無水物成分が前記一般式(1)で示される脂環式テトラカルボン酸二無水物を前記主成分として含有する場合に、前記酸二無水物成分が芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする前記(1)に記載の感光性ポリイミドであり、
(3) 前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、その含有量が前記酸二無水物成分に対して35モル%未満である前記(2)に記載の感光性ポリイミドであり、
(4) 前記ジアミン成分が、前記一般式(2)で示される芳香族ジアミン以外の芳香族ジアミンを含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の感光性ポリイミドであり、
(5) 前記ジアミン成分が、ジアミノポリシロキサンを含むことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の感光性ポリイミドであり、
(6) 前記ジアミノポリシロキサンは、その含有量が前記ジアミン成分に対して40モル%以下であることを特徴とする前記(5)に記載の感光性ポリイミドであり、
また、前記課題を解決するための他の手段は、
(7) 前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の感光性ポリイミドとこの感光性ポリイミドを溶解することのできる有機溶媒とを含有することを特徴とする感光性ポリイミドインク組成物であり、
(8) 光重合開始剤、増感剤、耐熱性エポキシ樹脂及び無機充填剤を含有することを特徴とする前記(7)に記載の感光性ポリイミドインク組成物であり、
(9) 感光性ポリイミド100重量部に対して前記(メタ)アクリレート化合物5〜70重量部、光重合開始剤及び増感剤1〜50重量部、耐熱性エポキシ樹脂10〜70重量部、並びに無機充填剤10〜80重量部を含有することを特徴とする前記(8)に記載の感光性ポリイミドインク組成物であり、
また、前記課題を解決するためのその他の手段は、
(10) 前記(7)〜(9)のいずれか一つに記載の感光性ポリイミドインク組成物を基材に塗布し、プリベークし、露光し、かつ現像した後、ポストベークして成ることを特徴とする絶縁膜である。
【発明の効果】
【0013】
この発明の感光性ポリイミドは有機溶媒に対する優れた溶解性を有している。したがって、この感光性ポリイミドは有機溶媒に溶解することにより、容易に感光性ポリイミドインク組成物を調製することができる。
【0014】
この発明の感光性ポリイミドインク組成物は、この感光性ポリイミドインク組成物で形成した塗膜に400nm未満の波長を有する紫外線を照射することにより紫外線露光部が容易に硬化するとともに、紫外線未露光部は有機化合物無含有の弱アルカリ水溶液で容易に除去することができる。したがって、この発明の感光性ポリイミドインク組成物は紫外線照射後に有機化合物無含有の弱アルカリ水溶液で容易に現像することができる。よって、この感光性ポリイミドインク組成物を用いて表面に所定のパターンが形成される絶縁膜を製造する場合に、有機化合物含有の水溶液で洗浄除去することにより生じる有機化合物含有廃液を処理する特別な廃液処理装置を特に設置することなく、既存の排水処理装置をそのまま使用するとともに既存のレジスト現像機を使用することにより容易に製造可能な絶縁膜を提供することができる。
【0015】
また、この発明の絶縁膜は、はんだ耐熱性が実用上充分に満足でき、基材に対する密着性があり、また、絶縁膜それ自体を折り曲げてもクラックが発生せず、可撓性に優れている。
【0016】
特に、脂環式テトラカルボン酸二無水物を含有し、又はこれを主成分として含有する酸二無水物成分を用いて製造された感光性ポリイミドを含有する感光性ポリイミドインク組成物を用いて形成された絶縁膜は、未露光部分を有機化合物無含有の弱アルカリ性水溶液で除去することにより露出させた基板には残渣がなく、しかも露光により硬化した硬化部分の表面はその光沢性が優れている。
【0017】
さらに、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を用いて形成された感光性ポリイミドを含有するところの、この発明の感光性ポリイミドインク組成物は、光透過性がよく、従来の露光システムで容易に感光させることができる。
【0018】
脂環式テトラカルボン酸二無水物を用いて形成された感光性ポリイミドを含有するところの、この発明の感光性ポリイミドインク組成物は、従来の感光性ポリアミック酸のように画像形成後のイミド化のための高温処理(200〜400℃)を必要とせず、150〜180℃程度の加熱処理で充分なことから高信頼性、低コストをもたらすのみならず基板に熱的ダメージを与えることがない等多くの優れた効果を奏するので、ネガパターン及びポジパターンを有する絶縁膜の製造に好適に使用することができる。
【0019】
さらに、この発明の感光性ポリイミドインク組成物を用いて形成されたところの、硬化膜からなるパターンを有する絶縁膜は、はんだ耐熱性、金めっき耐性、柔軟性に優れている。また、この発明の感光性ポリイミドインク組成物はその厚さが10〜30μmである塗膜にしていても光照射により20〜50μm程度の線幅の硬化部分を形成することができるので、この発明の感光性ポリイミドインク組成物は高い解像力を有すると評価することができる。故に、この発明の感光性ポリイミドインク組成物は、高密度フレキシブル基板、BGA、CSP等における絶縁膜として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の感光性ポリイミドは、
(a) 下記一般式(1)で示される脂環式テトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分と
【0021】
【化3】

(一般式(1)中、Rは脂環式テトラカルボン酸二無水物のカルボン酸二無水物残基(但し、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物のカルボン酸二無水物残基を除く。)である。)
下記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミンを全ジアミン成分に対して70モル%以上の割合で主成分とするジアミン成分、若しくは下記一般式(2)で示される芳香族ジアミンとの反応により合成されるポリイミドに、
(b) 酸二無水物成分が前記一般式(1)で示される脂環式テトラカルボン酸二無水物であるときにはその脂環式テトラカルボン酸二無水物と下記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミンを主成分とするジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、
(c) シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分と、ジアミン成分が下記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミンであるときにはそのジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、又は、
(d) シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分と、前記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミン、並びに、ジアミノポリシロキサン(DAPS)、ビス4−アミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、及び3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)のうち少なくとも一つの芳香族ジアミンを含有するジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、
(メタ)アクリロイル基を有する化合物を、前記ポリイミド中に存在するカルボキシル基の一部に付加反応させ、又は、縮合反応させることにより得ることができる。
【0022】
【化4】

(但し、一般式(2)中、XはO、CH2、C(CF3)2、O−C6H4−C(CH3)2−C6H4−O、又は直接結合を示す。)
【0023】
この発明における前記一般式(1)で示される脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物(2,3,5−Tricarboxycyclopentylacetic Dianhydride、TCDA)、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシクロヘキシルオキシ)フェニルプロパン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物(HBPDA)、及びシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(ヘキサヒドロ無水ピロメリット酸、HPMDA)等よりなる群から選択される少なくとも一種又は二種を好適に使用することができる。これらの中でも、酸二無水物成分として、例えば3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)を使用して得られる感光性ポリイミドは、感光性ポリイミドインク組成物とした場合に、現像後における基材表面に付着する未露光残渣の残量が極めて少なくなり、しかも光沢性に優れた硬化膜が形成される。
【0024】
この発明における酸二無水物成分は、脂環式テトラカルボン酸二無水物そのものであってもよく、また、脂環式テトラカルボン酸二無水物を主成分として含む。脂環式テトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分における残余の成分としては、感光性ポリイミドの有機溶媒に対する溶解性を損なわない限りにおいて、芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むことができる。併用可能な芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸二無水物、及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。併用する芳香族テトラカルボン酸二無水物の使用量は、酸無水物成分に対して35モル%未満であり、特に25モル%未満であることが、好ましい。芳香族テトラカルボン酸二無水物の使用量が上記値以上であると、得られる感光性ポリイミドの有機溶媒に対する溶解性が低下し、及び/又は感光性ポリイミドインク組成物を露光して得られる絶縁膜の透明性が阻害される等の不都合を生じることがある。
【0025】
また、この発明における前記一般式(2)で示される芳香族ジアミンとしては、5,5’−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)、5,5’−オキシビス[2−アミノ安息香酸]、2,2−ビス[4−(2−アミノヒドロフェニルカルボン酸)フェニル]プロパン、及び1、3−トリフロロ−2,2−ビス[4−(2−アミノヒドロフェニルカルボン酸)フェニル]プロパン等を使用することが好ましい。
【0026】
この発明におけるジアミン成分は前記一般式(2)で示される芳香族ジアミンそのものであってもよく、また、分子内にアミノ基を有する二つのベンゼン環にCOOH基が1個ずつ結合した前記芳香族ジアミンとともに、分子内にアミノ基を有する二つのベンゼン環にCOOH基を結合していない芳香族ジアミンを併用することもできる。ベンゼン環にCOOH基を結合していない芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニル(HAB)、3,3’−ジヒドロキシ4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,1’−ビス[4−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,3’−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、及び2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAFA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、及びo−トリジン等のベンゼン環を2個有する芳香族ジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、及び1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等のベンゼン環を3個有する芳香族ジアミン、並びに、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等のベンゼン環を4個有する芳香族ジアミン等を挙げることができる。これらの、ベンゼン環にCOOH基を結合していない芳香族ジアミンのジアミン成分に対する使用割合は、ジアミン成分に対して20モル%未満、特に10モル%未満が好ましい。ベンゼン環にCOOH基を結合していない芳香族ジアミンの使用量が20モル%以上であると、有機化合物無含有の弱アルカリ性水溶液による現像を行うことができなくなることがある。
【0027】
ジアミン成分は一種単独で使用することもできるし、また二種以上を併用することもできる。
【0028】
この発明の感光性ポリイミドは、前記脂環式テトラカルボン酸二無水物と、この酸二無水物成分に対して等モル量の1〜数種の前記ジアミン成分とを、例えば80℃以下の温度、好ましくは10〜70℃で例えば1〜24時間程度の時間をかけたランダム重合反応又はブロック重合反応によってポリアミック酸溶液を生成し、さらに引き続いて昇温して従来よりも低温例えば140〜200℃で1〜3時間程度の時間をかけたイミド化反応を行ってポリイミドを含有する溶液を生成した後に、前記ポリイミド中に結合するカルボン酸に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を、付加反応させることによって好適に得ることができる。
【0029】
前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、COOH基に対して付加反応性又は縮合反応性を有するグリシジル基と(メタ)アクリロイル基とを有する有機化合物、例えばグリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルポリシロキシメタアクリレート、及びエポキシ基を1個有する(メタ)アクリロイル化合物(例えば、商品名:昭和高分子製ビニルエステル樹脂リポキシ630X−501)等を挙げることができる。
【0030】
前記の重合反応、イミド化反応、及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物の付加反応における有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が用いられる。
【0031】
この発明の感光性ポリイミドは、反応終了後に得られるところの、感光性ポリイミドを含有する感光性ポリイミド溶液をそのまま使用してもよいが、用途によっては、前記感光性ポリイミド溶液から単離した感光性ポリイミドを有機溶媒に溶解した感光性ポリイミド含有溶液を使用してもよい。
【0032】
この発明の感光性ポリイミドインク組成物は、感光性ポリイミドをその固形分濃度が20〜50重量%に調製されてなる組成物であることが好ましい。好適な感光性ポリイミドインク組成物は、前記感光性ポリイミドの外に、光重合開始剤、増感剤、チキソトロピー付与剤、消泡剤、硬化剤、及び耐熱補助剤等を含有することができる。また、この感光性ポリイミドインク組成物は、光硬化後の絶縁膜の特性を損なわない範囲で、(メタ)アクリロイル基含有の光架橋剤を含有していても良い。
【0033】
前記光重合開始剤及び増感剤としては、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、2−t−ブチルアントラキノン、1,2−ベンゾ−9,10−アントラキノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1,5−アセナフテン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−1,2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン等を挙げることができる。感光性ポリイミドインク組成物における前記光重合開始剤及び増感剤の含有量は、前記光重合開始剤及び増感剤の合計で、感光性ポリイミド100重量部に対して1〜30重量部、特に2〜15重量部が好ましい。
【0034】
前記架橋剤としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート等を挙げることができる。その添加量は感光性ポリイミド100重量部に対して、30重量部以下、特に15重量部以下添加することが好ましい。
【0035】
前記硬化剤として、耐熱性エポキシ樹脂等を好適例として挙げることができる。耐熱性エポキシ樹脂としては、O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂が好適である。感光性ポリイミドインク組成物における耐熱性エポキシ樹脂の含有量は、感光性ポリイミドの酸価、有機溶媒に対する相溶性を考慮して感光性ポリイミド100重量部に対して3〜20重量部、特に5〜10重量部が好ましい。
【0036】
また、この発明の感光性ポリイミドインク組成物には、アエロジル、マイカ、タルク、硫酸バリウム、及びワラストナイト等の微細なチキソトロピー付与剤及び耐熱補助剤を感光性ポリイミド100重量部に対し1〜10重量部の割合で含有することが好ましい。この感光性ポリイミドインク組成物は、その他に染料及び/又は顔料を含有させてもよい。これらの染料及び/又は顔料を含有することにより、感光性ポリイミドインク組成物は無色、黄色、青色及び緑色に着色させることができる。
【0037】
この発明の感光性ポリイミド溶液に前記架橋剤、硬化補助剤、光開始剤等の種々の化合物を添加してなるスラリー混合物を例えば3本ロール等の混練装置で混練してインク化すると、感光性ポリイミドインク組成物が調製される。この感光性ポリイミドインク組成物は、必要に応じて粘度の調整をしてスクリーン印刷により、又はロールコータにより基板に塗工し、次いでプリベークしてタックフリーの状態にする。前記塗工により形成される塗膜の厚みは、通常5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。タックフリー状態にされた塗膜をプリベークする際の加熱温度は90℃以下、好ましくは40〜80℃である。プリベークされて乾燥状態になっている塗膜の表面にネガ型のフォトマスクを密着させ、フォトマスク側から塗膜に向けて紫外線を照射する。次いで未露光部をシャワーを用いて現像液で洗い流すことにより、好適には更にポストベークすることにより、感光性ポリイミドインク組成物の硬化体で形成されたパターンを得ることができる。現像液は、有機化合物無含有の弱アルカリ性水溶液である。この有機化合物無含有の弱アルカリ性水溶液としては、苛性ソーダ、苛性カリ、及び炭酸ソーダ等を溶解して成る水溶液を挙げることができる。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
(感光性ポリイミドの合成)
ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)14.89gとオキシジフタル酸二無水物(ODPA)9.31gとをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50.0gに溶解し、室温で5,5’−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)25.77gを添加し、次いで180℃で2時間反応させた。その2時間が経過した後に、温度100℃にてグリシジルメタクリレート11.37gを加え、0.5時間反応させて感光性ポリイミド溶液を得た。
【0039】
(感光性ポリイミドインク組成物の調製)
前記感光性ポリイミド溶液55gに、光重合開始剤としての2,4−ジエチルチオキサントン0.6g、ジメチルアミノ安息香酸エチル1.1g、トリメチロールプロパントリアクリレート4.5g、アエロジル1.0g、硫酸バリウム1.5g、及びビフェノール型エポキシ樹脂1.7gを、添加し、得られる混合物を3本ロールにて混練して感光性ポリイミドインク組成物を得た。この感光性ポリイミド中のモノマー組成とそのモル比を表1に、その感光性ポリイミドインク組成物を用いて形成された塗膜の特性評価を以下のようにして行い、その評価結果を表2に示す。
【0040】
(塗膜の特性評価)
1.塗膜の溶解性
感光性ポリイミドインク組成物を銅張積層板に200メッシュのスクリーン版で印刷し、80℃に加熱しつつ30分間のプリベークをした後にネガ型パターンを真空密着させ、ORC HMW 680C メタルハライドランプ内蔵の露光機で波長365nmの紫外線を400mJ/cmの強度で照射した。次いで30℃に加温された1%炭酸ソーダ水溶液で15cmの距離から1kgf/cmのスプレーを1分間行い、その結果として未露光部にポリイミド塗膜が全く残らず、しかも露光部における硬化パターンの縦断面における角部分が丸みを帯びることなく切れが良いものを◎、硬化パターンの角部分が丸みを帯びていて切れが劣るものを○、未硬化の感光性ポリイミドが一部残っているものを△、未硬化のポリイミド塗膜の全部が残っているものを×として評価した。
【0041】
2.折り曲げ性
15μmの銅箔に感光性ポリイミドインク組成物を塗布し、80℃に加熱しつつ30分間のプリベークをした後に、メタルハライドランプ内蔵の露光機で波長365nmの紫外線を400mJ/cmの強度で照射した。次いで150℃に加熱しつつ60分間のポストベークをして塗膜を外側にして内側に180度折り曲げた。折り曲げた線上の塗膜に変化がないものを○、一部に僅かに細かい傷を生じたけれど実用上問題なしと判定されたものを○、全体的に亀裂を生じたものを×と評価した。
【0042】
3.反り性
膜厚12.5μmの50mm平方のポリイミドフィルムの表面に感光性ポリイミドインク組成物を塗布し、80℃に加熱しつつ30分間のプリベークをした後に、メタルハライドランプ内蔵の露光機で波長365nmの紫外線を400mJ/cmの紫外線を照射し、その後にさらに150℃に加熱しつつ60分間のポストベークをした結果としてフィルム全体の反りが5mm以下のものを○、反りが6〜10mmのものを○、反りが10mmを越えるものを×と評価した。
【0043】
4.はんだ耐熱性
感光性ポリイミドインク組成物を銅張積層板にスクリーン印刷し、プリベークした後に、紫外線を400mJ/cm照射し、150℃に加熱しつつ60分間のポストベークをした後、フラックスを表面に塗り、その面を260℃のはんだ溶融面に10秒間浮かせて接触させた。その結果として、塗膜の膨れ、剥離、変色等が認められないものを○、多少認められるものを△、塗膜が流れたり、ふくれたり、変色したりしたものを×として評価した。
【0044】
5.密着性
ポストベークした後の塗膜と、前記「はんだ耐熱性」を評価したときの、はんだ溶融面に接触させた後の塗膜とのそれぞれについてクロスカットし、クロスカット面に接着したセロテープ(登録商標)を剥離することにより評価した。クロスカットにより形成された碁盤目の一つも剥離しなかったものを○、碁盤目の一つでも剥離したものを×と評価した。
【0045】
(実施例2)
(感光性ポリイミドの合成)
オキシジフタル酸二無水物(ODPA)6.2gとジアミノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製 KF-8010)(アミノ当量410)(DAPS)8.2gをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)36.4gに溶解し、180℃に加熱して2時間反応させた。引き続き、室温で5,5’−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)14.31gとビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)9.93gとを順次に添加し、次いで180℃で2時間反応させた。その2時間が経過した後に、温度100℃にてグリシジルメタクリレート1.6gを加え、0.5時間反応させて感光性ポリイミド溶液を得た。
【0046】
(感光性ポリイミドインク組成物の調製)
前記感光性ポリイミド溶液から実施例1と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製し、評価を行った。この感光性ポリイミド中のモノマー組成を表1に、また感光性ポリイミドインク組成物を用いて形成された塗膜に関する評価を、前記実施例と同様にして行い、その評価結果を表2に示す。
【0047】
(実施例3)
(感光性ポリイミドの合成)
ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)12.41gにN−メチル7−2−ピロリドン(NMP)35.3gを加えてこれに溶解し、5,5'−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)8.59gと3,3‘−ジヒドロキシ4,4’−ジアミノジフェニル(HAB)4.32gとを添加して180℃に加熱しつつ2時間反応させた。次いでグリシジルメタクリレート8.20gを加えて100℃に加熱しつつ0.5時間反応させることにより感光性ポリイミド溶液を得た。
【0048】
(感光性ポリイミドインク組成物の調製)
前記感光性ポリイミド溶液から実施例1と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製し、評価を行った。この感光性ポリイミド中のモノマー組成を表1に、また感光性ポリイミドインク組成物を用いて形成された塗膜に関する評価を、前記実施例と同様にして行い、その評価結果を表2に示す。
【0049】
(実施例4)
(感光性ポリイミドの合成)
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチルアセチル二無水物(TCDA)11.21gにN−メチル7−2−ピロリドン(NMP)34.5gを加えて溶解し、5,5’−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)8.59gと3,3’−ヒドロキシ4,4’−ジアミノジフェニル(HAB)4.32gを添加し180℃で2時間反応した。次いで温度100℃にてグリシジルメタクリレート8.5gを加え0.5時間反応させて感光性ポリイミド溶液を得た。
【0050】
(感光性ポリイミドインク組成物の調製)
前記感光性ポリイミド溶液から実施例1と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製し、実施例1におけるのと同様の評価を行った。この感光性ポリイミド中のモノマー組成を表1に、また感光性ポリイミドインク組成物に関する評価結果を表2に示す。
【0051】
(比較例1)
オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を使用しなかった以外は実施例1と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製した。しかしながら、紫外線照射部分も炭酸ソーダ水溶液に溶解してしまい、光硬化特性を見出すことができなかった。したがって、表2には評価の記号を記載することができなかった。
【0052】
(比較例2)
5,5'−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)の代わりに2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAFA)を使用し、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を使用しなかった以外は、前記実施例1と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製した。しかしながら、未露光部分は炭酸ソーダ水溶液に不溶であり、光硬化特性は測定できなかった。したがって、表2には評価の記号を記載することができなかった。
【0053】
(比較例3)
実施例1において5,5'−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)に代えて3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)を使用した以外は実施例1と同様に行って、感光性ポリイミドインク組成物を調製した。しかしながら、未露光部分は炭酸ソーダ水溶液に不溶であり、光硬化特性は測定できなかった。したがって、表2には評価の記号を記載することができなかった。
【0054】
(比較例4)
実施例1において5,5'−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)の3分の1をジアミノジフェニルエーテル(DADE)に置き換えた以外は同様にして、感光性ポリイミドインク組成物を調製した。しかしながら、未露光部分は炭酸ソーダ水溶液に不溶であり、光硬化特性は測定できなかった。したがって、表2には評価の記号を記載することができなかった。
【0055】
【表1】

【0056】
BTA:ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
TCDA:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物
MBA:5,5’−メチレンビス[2−アミノ安息香酸]
BAFA:2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
DABA:3,5−ジアミノ安息香酸
DAPS:ジアミノポリシロキサン
HAB:3,3’−ヒドロキシ4,4’−ジアミノジフェニル
DADE:ジアミノジフェニルエーテル
【0057】
【表2】

【0058】
(実施例5)
実施例1において硫酸バリウムに代えてタルクを使用した他は同様に行って、感光性ポリイミドインク組成物を調製した。結果は同じく良好であった。
【0059】
(実施例6)
(感光性ポリイミドの合成)
ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)24.82gをN−メチル−2−ピロロドン(NMP)105gに溶解させ、得られた溶液にジアミノポリシロキサン(アミノ当量410)(DAPS)31.16gを注入し、注入後に180℃に加熱しながら2時間の反応を行った。次いで室温に戻し、5,5’−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)17.75gを添加し、180℃で2時間反応させた。次いで、温度100℃にてグリシジルメタクリレート7.1gを注入し、0.5時間反応させて感光性ポリイミド溶液を得た。
【0060】
(感光性ポリイミドインク組成物の調製)
上記の感光性ポリイミド溶液100質量部に、光重合開始剤2,4−ジエチルチオキサントン2重量部、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル4重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート15重量部、ビフェノール型エポキシ樹脂YX4000HK6重量部、硫酸バリウム5重量部、泡消剤1重量部を添加し、3本ロールにて混練して感光性ポリイミドインク組成物を調製した。
【0061】
上記のようにして得られた感光性ポリイミドインク組成物を用いて以下の評価を行った。
【0062】
(感度と解像性)
感光性ポリイミドインク組成物を銅張積層板に200メッシュのスクリーン版で印刷し、得られた印刷物を80℃に保った熱風循環式定温乾燥器に30分間放置して乾燥した後に、乾燥後の印刷物における膜厚13μmの塗膜に種々のパターン径を持つネガ型テストパターンフイルムを真空密着させ、ネガ型テストパターンフィルム側からORC HMW 680C メタルハライドランプ内蔵の露光機で波長365nmで、且つ400mJ/cm2の紫外線を照射した。紫外線の照射後に、ネガ型テストパターンフィルムを取り除き、露出した塗膜に30℃に保持された1%炭酸ソーダ水溶液を塗膜表面から15cmの距離から1分間1kgf/cm2の噴射圧でスプレーし、さらに30℃の温水を噴霧してリンスを行った。リンス後に、乾燥して観察したところ、紫外線照射部分が硬化しており、紫外線未露光部は洗い流されていて切れの良い150μmの円形開口となっていることが認められた。
【0063】
(折り曲げ性)
前記塗膜の特性評価欄に記載された手法と同様にして折り曲げ性を評価した。その評価結果は○であり、折り曲げた線上に塗膜の亀裂や剥離は生じなかった。
【0064】
(反り性)
前記塗膜の特性評価欄に記載された手法と同様にして反り性を評価した。その評価結果は○であり、フィルムの反りは4〜5mmであった。
【0065】
(はんだ耐熱性)
前記塗膜の特性評価欄に記載された手法と同様にしてはんだ耐熱性を評価した。その評価結果は○であり、塗膜のふくれ、剥離、変色等が認められなかった。
【0066】
(密着性)
前記塗膜の特性評価欄に記載された手法と同様にして密着性を評価した。その評価結果は○であり、塗膜の剥離は認められなかった。
【0067】
(金めっき耐性)
感光性ポリイミドインク組成物を銅張積層板に200メッシュのスクリーン版で印刷し、80℃、30分プリベークした後、膜厚13μmの塗膜にネガ型テストパターンフイルムを真空密着させ、ORC HMW 680C メタルハライドランプ内蔵の露光機で波長365nmの紫外線を400mJ/cm照射後、30℃、1%炭酸ソーダ水溶液でスプレー現像を行い、パターンが得られたものを150℃、60分間ベークしたものを用いて、めっき試験を行った。
【0068】
ICPニコロンGM(奥野製薬株式会社製 無電解ニッケルめっき液)の使用法に従って作業したところ塗膜が侵されることなく切れの良いニッケルめっきがなされていた。
【0069】
通常の場合、金めっきは、基材又は素材の表面に形成されたNiめっきの表面に、形成される。Niめっきを行うに使用される前処理液及びめっき液は、金メッキを行う際の処理液及びめっき液よりも酸性が強い。したがって、Niめっきを問題なく行うことができるならば金めっきも問題なく行うことができる。上述のように良好なNiめっきを行うことができることにより、感光性ポリイミドインク組成物を用いて形成された塗膜に紫外線を露光することにより形成された硬化物部分の表面にNiめっきを形成することができたことは、金めっきも良好に行うことができると、結論することができる。
【0070】
(実施例7)
(感光性ポリイミドの合成)
シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)13.45gと4,4'-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)4.65gとをN−メチル-2-ピロリドン33gに溶解し、室温で5,5'-メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)21.47gを添加し、次いで2時間室温に維持した。その後に、180℃で2時間反応させた。反応終了後に、100℃にてグリシジルメタクリレート10.67gを加え、0.5時間反応させて感光性ポリイミド溶液を得た。
【0071】
(感光性ポリイミドインク組成物の調製)
実施例1に記載された感光性ポリイミド溶液の代わりに上記感光性ポリイミド溶液を使用したほかは、前記実施例1と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を得た。この感光性ポリイミドインク組成物に含まれる感光性ポリイミドのモノマー組成とそのモル比とを表3に、その感光性ポリイミドインク組成物に関する評価結果を表4に示す。
【0072】
なお、この感光性ポリイミドインク組成物に関する評価は、以下のようにして行った。
【0073】
(塗膜の特性評価)
1.塗膜の溶解性
400mJ/cmの紫外線を照射する代わりに600mJ/cmの紫外線を照射した外は前記実施例1におけるのと同様にして塗膜の溶解性の評価を行った。
【0074】
2.折り曲げ性
実施例1におけるのと同様にして折り曲げ性を評価した。
【0075】
3.反り性
実施例1におけるのと同様にして反り性を評価した。
【0076】
4.はんだ耐熱性
紫外線を400mJ/cmの強度で照射する代わりに紫外線を600mJ/cmの紫外線を照射した外は前記実施例1におけるのと同様にして塗膜のはんだ耐熱性の評価を行った。
【0077】
5.密着性
実施例1におけるのと同様にして密着性を評価した。
【0078】
6.光沢性
ポストベーク後の塗膜について、その表面に光沢が有るものを○、光沢が無いものを×と評価した。
【0079】
(実施例8)
(感光性ポリイミドの合成)
シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)17.93gと4,4'-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)6.20gとをN−メチル-2-ピロリドン48gに溶解させ、5,5'-メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)17.18gとジアミノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製 KF−8010)(DAPS)33.20gを添加し、室温で1時間、その後に180℃で2時間反応させた。次いで温度を100℃に下げてグリシジルメタクリレート8.53gを加え、0.5時間反応させて感光性ポリイミド溶液を得た。
【0080】
(感光性ポリイミドインク組成物の調製)
上記の感光性ポリイミド溶液から実施例7と同様にして感光性ポリイミドインクを調製し、実施例7におけるのと同様の評価を行った。この感光性ポリイミドインク組成物に含まれる感光性ポリイミドのモノマー組成とそのモル比とを表3に、その感光性ポリイミドインク組成物に関する評価結果を表4に示す。
【0081】
(実施例9)
(感光性ポリイミドの合成)
シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)8.96gとビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物(HBPDA)12.41gとをN−メチル-2-ピロリドン30gに溶解させ、5,5'-メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)20.04gとビス4−アミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)4.10gとを添加して室温で1時間、180℃で2時間反応させた。次いで温度を100℃に下げてグリシジルメタクリレート8.53gを加え、30分反応させて感光性ポリイミド溶液を得た。
【0082】
(感光性ポリイミドインク組成物の調製)
上記の感光性ポリイミド溶液から実施例7と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製し、実施例7におけるのと同様の評価を行った。この感光性ポリイミドインク組成物に含まれる感光性ポリイミドのモノマー組成とそのモル比とを表3に、その感光性ポリイミドインク組成物に関する評価結果を表4に示す。
【0083】
(実施例10)
(感光性ポリイミドの合成)
シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)17.93gとビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)5.88gとをN−メチル-2-ピロリドン48gに溶解させ、5,5'-メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)18.60gと3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)5.32gとを添加して室温で1時間、180℃で2時間反応させた。次いで温度を100℃に下げてグリシジルメタクリレート8.53gを加え30分反応させて感光性ポリイミド溶液を得た。
【0084】
(感光性ポリイミドインク組成物の調製)
上記の感光性ポリイミド溶液から実施例7と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製し、実施例7におけるのと同様の評価を行った。この感光性ポリイミドインク組成物に含まれる感光性ポリイミドのモノマー組成とそのモル比とを表3に、その感光性ポリイミドインク組成物に関する評価結果を表4に示す。
【0085】
(実施例11)
実施例7においてシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)の代わりにビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)を使用した外は前記実施例7におけるのと同様にして得られた感光性ポリイミド溶液を用いて調製された感光性ポリイミドインク組成物を実施例7におけるのと同様にし塗膜を形成してその塗膜の評価を行った。この感光性ポリイミドインク組成物に含まれる感光性ポリイミドのモノマー組成とそのモル比とを表3に、その感光性ポリイミドインク組成物に関する評価結果を表4に示す。特に、現像後におけるパターンの切れが劣り、塗膜の光沢がなかった。
【0086】
(実施例12)
実施例8におけるシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)の代わりにビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)を使用し、5,5’−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)の組成比を上げた外は前記実施例8と同様に実施して炭酸ソーダ水に溶解性が向上すると思われる感光性ポリイミドを含有する感光性ポリイミド溶液を調製し、この感光性ポリイミド溶液を用いて前記実施例8と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製した。この感光性ポリイミドインク組成物に含まれる感光性ポリイミドのモノマー組成とそのモル比とを表3に、その感光性ポリイミドインク組成物に関する評価結果を表4に示す。特に、未露光部分は炭酸ソーダ水溶液による現像の切れはやや悪く、光硬化後の塗膜の光沢も劣っていた。
【0087】
(比較例5)
実施例7において5,5'−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)に代えて3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)を使用した以外は実施例7と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製した。この感光性ポリイミドインク組成物に含まれる感光性ポリイミドのモノマー組成とそのモル比とを表3に、その感光性ポリイミドインク組成物に関する評価結果を表4に示す。特に、未露光部分は炭酸ソーダ水溶液に不溶であり、光硬化特性は測定できなかった。
【0088】
(比較例6)
実施例7において5,5'−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)の3分の1をジアミノジフェニルエーテルに置き換えた以外は実施例7と同様にして感光性ポリイミドインク組成物を調製した。この感光性ポリイミドインク組成物に含まれる感光性ポリイミドのモノマー組成とそのモル比とを表3に、その感光性ポリイミドインク組成物に関する評価結果を表4に示す。特に、未露光部分は炭酸ソーダ水溶液に不溶であり、光硬化特性は測定できなかった。
【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
(実施例13)
実施例7において合成した感光性ポリイミドを用いて感光性ポリイミドインク組成物を調製するにあたり、硫酸バリウムに代えてタルクを使用した以外は実施例7と同様に行って感光性ポリイミドインク組成物を調製した。この硬化性ポリイミドインク組成物を用いて前記実施例7と同様にして塗膜を形成したところ、硬化塗膜の特性結果は実施例7におけるのと同様に良好であった。
【0092】
(実施例14)
(感光性ポリイミドの合成)
シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)17.93gとビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)6.20gとをN−メチル−2−ピロリロドン(NMP)45gに溶解させ、ジアミノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製 KF−8010)(アミノ当量415)(DAPS)24.90gを滴下し、180℃で2時間反応させた。次いで5,5’−メチレンビス[2−アミノ安息香酸](MBA)20.04gを添加し、180℃で2時間反応した。次いで100℃に下げ、グリシジルメタクリレート8.10gを滴下し、0.5時間反応させて感光性ポリイミド溶液を得た。
【0093】
(感光性ポリイミドインクの調製)
上記の感光性ポリイミド溶液中の固形分100部に対し光重合開始剤2,4−ジエチルチオキサントン2重量部、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル4重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート15重量部、ビフェノール型エポキシ樹脂YX4000HK6重量部、硫酸バリウム5重量部、泡消剤3重量部を添加し、3本ロールで混練して感光性ポリイミドインク組成物を調製した。
【0094】
この感光性ポリイミドインク組成物を銅張積層板に200メッシュのスクリーン版で印刷し、80℃に保った熱風循環式定温乾燥器に30分間放置した後、膜厚15μmの塗膜に種々のパターン径を持つネガ型テストパターンフイルムを真空密着させ、ORC HMW 680C メタルハライドランプ内蔵の露光機で波長365nmの紫外線を600mJ/cm2照射した。その後、30℃に加温した1%炭酸ソーダ水溶液で15cmの距離から1分間、1kgf/cm2のスプレーを行い、さらに30℃の温水でスプレーリンスし、その後に乾燥して露光部及び未露光部を観察したところ、切れの良い50μmの円形開口と30μmのライン&スペースのパターンが認められた。この露光により硬化した膜は実施例8と同様の良好な特性を有していた。
【0095】
この感光性ポリイミドインク組成物を銅張積層板に200メッシュのスクリーン版で印刷し、80℃、30分プリベークした後、さらに150℃、60分間ベークしたものを用いて、めっき試験を行った。
【0096】
ICPニコロン(奥野製薬株式会社製、無電解ニッケルめっきプロセス)の使用法に従って作業したところ塗膜が侵されることなく切れの良いニッケルめっきがなされた。さらにOPCムデンゴールド(奥野製薬株式会社製、無電解金めっきプロセス)による作業でも良好な金めっきがなされた。
【0097】
また、この感光性ポリイミドインクをFPCパターン上に印刷し、80℃、30分プリベークした後、さらに150℃、60分間ベークしたものを用いて、JIS C 5016の8.6項に記載の方法に従って屈曲半径R2.5で180度の折り曲げ試験を行った。屈曲を10回繰り返しても断線は認められなかった。
【0098】
さらに、この感光性ポリイミドインクを銅張積層板に200メッシュのスクリーン版で印刷し、80℃、30分プリベークした後、さらに150℃、60分間ベークしたものを用いて、めっき密着性試験を行った。塗膜表面に1mm角にカッターナイフで碁盤目の筋を入れ、セロハンテープを密着させ、垂直にすばやく引き剥がし塗膜の剥がれをみたところ、剥がれは全く見られなかった。
【0099】
また、この感光性ポリイミドインクを銅張積層板上に印刷し、80℃、30分プリベークした後、さらに150℃、60分間ベークし、塗膜面を260℃に維持されたはんだ溶融面に接触させて30秒間浮かべることを6回繰り返したが塗膜の外観に変化はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 下記一般式(1)で示される脂環式テトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分と
【化1】

(一般式(1)中、Rは脂環式テトラカルボン酸二無水物のカルボン酸二無水物残基(但し、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物のカルボン酸二無水物残基を除く。)である。)
下記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミンを全ジアミン成分に対して70モル%以上の割合で主成分とするジアミン成分、若しくは下記一般式(2)で示される芳香族ジアミンとの反応により合成されるポリイミドに、
(b) 酸二無水物成分が前記一般式(1)で示される脂環式テトラカルボン酸二無水物であるときにはその脂環式テトラカルボン酸二無水物と下記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミンを主成分とするジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、
(c) シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分と、ジアミン成分が下記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミンであるときにはそのジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、又は、
(d) シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸二無水物成分と、前記一般式(2)で示されるカルボキシル基を分子中に2個有する芳香族ジアミン、並びに、ジアミノポリシロキサン(DAPS)、ビス4−アミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、及び3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)のうち少なくとも一つの芳香族ジアミンを含有するジアミン成分との反応により合成されるポリイミドに、
(メタ)アクリロイル基を有する化合物を、前記ポリイミド中に存在するカルボキシル基の一部に付加反応させ、又は、縮合反応させてなり、かつ有機溶媒可溶性であることを特徴とする感光性ポリイミド。
【化2】

(但し、一般式(2)中、XはO、CH2、C(CF3)2、O−C6H4−C(CH3)2−C6H4−O、又は直接結合を示す。)
【請求項2】
前記酸二無水物成分が前記一般式(1)で示される脂環式テトラカルボン酸二無水物を前記主成分として含有する場合に、前記酸二無水物成分が芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする前記請求項1に記載の感光性ポリイミド。
【請求項3】
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、その含有量が前記酸二無水物成分に対して35モル%未満であることを特徴とする前記請求項2に記載の感光性ポリイミド。
【請求項4】
前記ジアミン成分が、前記一般式(2)で示される芳香族ジアミン以外の芳香族ジアミンを含むことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性ポリイミド。
【請求項5】
前記ジアミン成分が、ジアミノポリシロキサンを含むことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性ポリイミド。
【請求項6】
前記ジアミノポリシロキサンは、その含有量が前記ジアミン成分に対して40モル%以下であることを特徴とする前記請求項5に記載の感光性ポリイミド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性ポリイミドとこの感光性ポリイミドを溶解することのできる有機溶媒とを含有することを特徴とする感光性ポリイミドインク組成物。
【請求項8】
光重合開始剤、増感剤、耐熱性エポキシ樹脂及び無機充填剤を含有することを特徴とする前記請求項7に記載の感光性ポリイミドインク組成物。
【請求項9】
感光性ポリイミド100重量部に対して前記(メタ)アクリレート化合物5〜70重量部、光重合開始剤及び増感剤1〜50重量部、耐熱性エポキシ樹脂10〜70重量部、並びに無機充填剤10〜80重量部を含有することを特徴とする前記請求項8に記載の感光性ポリイミドインク組成物。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の感光性ポリイミドインク組成物を基材に塗布し、プリベークし、露光し、かつ現像した後、ポストベークして成ることを特徴とする絶縁膜。

【公開番号】特開2010−209309(P2010−209309A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149209(P2009−149209)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(507285968)サンワ化学工業株式会社 (4)
【出願人】(508221888)有限会社エン・プラド (2)
【Fターム(参考)】