説明

感光性組成物、これを含む隔壁形成用感光性ペースト組成物、及びこれを利用したプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法

【課題】 無機物と有機物に対する接着力に優れた感光性組成物を提供し、前記感光性組成物を含む隔壁形成用感光性ペースト組成物を提供する。また、前記感光性組成物を利用したプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は感光性組成物、これを含む隔壁形成用感光性ペースト組成物、及びこれを利用したプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法に関し、より詳しくは2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋性単量体と、光重合開始剤と、有機溶媒を含む感光性組成物、これを含む隔壁形成用感光性ペースト組成物、及びこれを利用したプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性組成物、これを含む隔壁形成用感光性ペースト組成物、及びこれを利用したプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法に関し、より詳しくは有機物と無機物に対する接着力が優れていて、微細なパターンの隔壁形成を可能にする感光性組成物、これを含む隔壁形成用感光性ペースト組成物及びこれを利用したプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネルはプラズマ現象を利用した表示装置であって、非真空状態の気体雰囲気で空間的に分離された二つの電極間にある程度以上の電位差が印加されれば放電が発生するが、これを気体放電現象と称する。
【0003】
プラズマ表示素子はこのような気体放電現象を画像表示に応用した平板表示素子である。現在一般的に使用されているプラズマディスプレイパネルは反射型交流駆動プラズマディスプレイパネルであって、後面基板構造の場合、隔壁で区画された放電セル内に蛍光体層が形成されている。
【0004】
このようなプラズマディスプレイパネルは蛍光表示管(VFD)や電界放出ディスプレイ(FED)のような他の平板ディスプレイ装置と同様に任意の距離をおいて後面基板と前面基板(便宜上、各々第1基板と第2基板と言う)を実質的に平行に配置してその外形を形成しているが、この時、前記基板はその間の周囲に沿って配置される接合材により接合されることによって真空状態の放電セルを形成する。
【0005】
近来ディスプレイ産業の発展により高解像度のプラズマディスプレイパネルを製造するための努力が進められており、このような努力の一環として微細なパターンの隔壁を形成しようとする努力が行われている。
【0006】
一般にプラズマディスプレイパネルの隔壁は無機物層上に一定のパターンが形成された保護膜を覆い、前記無機物層をエッチングする方法で形成される。しかし、従来の無機物層は保護膜に対し接着力が良くないためエッチング工程中に無機物と保護膜の接合部で不均一なエッチングが進められ、保護膜が脱落する場合が頻繁で微細な隔壁パターン形成に限界を持っていた。
【0007】
これを解決するためにシランカップリング添加剤のような接着力向上制をエッチング保護膜に直接導入したこともあるが、接着力向上剤をエッチング保護膜に組成物に導入することは接着力向上剤自体が不安定であるためエッチング保護膜組成物の保管安定性を阻害する問題が発生した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、無機物と有機物に対する接着力に優れた感光性組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記感光性組成物を含む隔壁形成用感光性ペースト組成物を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記感光性組成物を利用したプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記目的を達成するために、2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋性単量体と、光重合開始剤と、有機溶媒を含む感光性組成物とを提供する。
【0012】
本発明はまた、前記感光性組成物及び隔壁用母ガラス粉末を含む隔壁形成用感光性ペースト組成物を提供する。
【0013】
本発明はまた、前記隔壁形成用感光性ペースト組成物を利用してアドレス電極と誘電体層が形成された基板に感光性隔壁層を形成する段階と、前記感光性隔壁層上に感光性エッチング保護膜をコーティングし、露光及び現像してパターニングする段階と、前記エッチング保護膜が残っていない部分の隔壁層をエッチングして一定の形状の隔壁を形成する段階と、前記隔壁の上部に残っているエッチング保護膜を除去する段階と、前記隔壁を焼成する段階を含むプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の感光性組成物は光によって硬化されて無機物である隔壁層と有機物である感光性エッチング保護膜の接着力を向上させる効果があるので、微細な隔壁パターン形成に適していて、エッチング後にはエッチング保護膜の剥離特性と無機物の分散安定性に優れた長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
本発明の感光性組成物は無機物である隔壁用母ガラス粉末と混合して使用ができるもので、2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋性単量体と、光重合開始剤と、有機溶媒とを含む。
【0017】
前記感光性組成物は光によって硬化されて無機物である隔壁層と有機物である感光性エッチング保護膜の接着力を向上させる効果がある。
【0018】
前記感光性組成物に含まれる光重合開始剤は光によって前記架橋性単量体の重合を開始する役割を果たし、前記架橋性単量体100重量部に対して10乃至50重量部含まれることが好ましく、25乃至40重量部含まれることがさらに好ましい。前記光重合開始剤の含量が架橋性単量体100重量部に対して10重量部未満であれば、重合開始速度が遅くて十分な接着力を示すことができず、50重量部を超えれば、前記感光性組成物の安定性が低下する。
【0019】
前記光重合開始剤はトリアジン系、ベンゾイン、アセトフェノン系、アミドケトン系、イミダゾル系またはキサントン系化合物の中で選択される1種以上であるのが好ましく、2,4-ビストリクロロメチル-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2-p-メトキシスチリル-4,6-ビストリクロロメチル-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-4-メチルナフチル-6-トリアジン、ベンゾフェノン、p-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、2-メチルチオキサントン、2-イソブチルチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[-4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、及び2,2’-ビス-2-クロロフェニル-4,5、4’、5’-テトラフェニル-2’-1,2’-ビイミダゾールからなる群より選択される1種以上であるのがさらに好ましい。但し、本発明の感光性組成物に含まれる光重合開始剤が前記例にのみ限られるわけではない。
【0020】
前記架橋性単量体はアクリレート系化合物又はメタクリレート系化合物の中で選択される1種以上であるのが好ましく、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート誘導体、トリメチルプロパントリアクリレート、エチレンオキシド付加型トリメチルプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート誘導体、トリメチルプロパントリメタクリレート、及びジペンタエリスリトールポリメタクリレートからなる群より選択される1種以上であるのがさらに好ましい。但し、本発明の感光性組成物に含まれる架橋性単量体が前記例に限られるわけではない。
【0021】
また、前記感光性組成物に含まれる有機溶媒は前記光重合開始剤と架橋性単量体を分散させることができるものであればいずれも使用でき、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ブチルセロソルブ(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、テルピネオール(TP)、及びテキサノールからなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。前記有機溶媒の含量は必要に応じて適切に調節できる。
【0022】
前記感光性組成物は無機物である隔壁層と有機物である感光性エッチング保護膜の接着力を向上させる効果があるので、プラズマディスプレイパネル用隔壁を製造する時、隔壁ペーストに添加される隔壁形成用添加剤として使用することができる。
【0023】
本発明の隔壁形成用感光性ペースト組成物は前記感光性組成物及び隔壁用母ガラス粉末を含む。この時、前記感光性組成物は前記隔壁用母ガラス粉末100重量部に対して5乃至15重量部含まれるのが好ましく、7乃至10重量部含まれるのがさらに好ましい。前記感光性組成物の含量が5重量部未満であれば、エッチング保護膜に対する接着力が落ち、15重量部を超えれば、隔壁の物性が低下したりエッチング保護膜の剥離性が低下することがある。
【0024】
この時、前記母ガラス粉末は特に制限されず、プラズマディスプレイパネルに通常使用される隔壁用母ガラス粉末を含むことができる。
【0025】
また、前記隔壁形成用感光性ペースト組成物はバインダー及び有機溶媒をさらに含んでもよい。この時、前記隔壁形成用感光性ペースト組成物に含まれる固形分の濃度は65乃至85重量%であるのが好ましい。固形分の濃度が65重量%未満であれば、成膜後に微細構造が緻密でなくなり、85重量%を超えれば安定な分散特性を得ることが難しい。
【0026】
前記隔壁形成用感光性ペースト組成物にさらに含まれるバインダーは一般的なプラズマディスプレイパネル用隔壁製造に使用される通常のバインダーであり、好ましくはアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂又はエチルセルロース系樹脂の中で選択される1種以上の高分子樹脂を含むバインダーである。
【0027】
また、前記隔壁形成用感光性ペースト組成物にさらに含まれる有機溶媒は一般的なプラズマディスプレイパネル用隔壁製造に使用される有機溶媒であり、好ましくはエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ブチルセロソルブ(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、テルピネオール(TP)、及びテキサノールからなる群より選択される1種以上の有機溶媒である。
【0028】
本発明の隔壁形成用感光性ペースト組成物は有機物である感光性エッチング保護膜を利用するプラズマディスプレイパネルの隔壁製造方法に適している。
【0029】
本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法は前記隔壁形成用感光性ペースト組成物を利用してアドレス電極と誘電体層が形成された基板に感光性隔壁層を形成する段階と、前記感光性隔壁層上に感光性エッチング保護膜をコーティングし、露光及び現像してパターニングする段階と、前記エッチング保護膜が残っていない部分の隔壁層をエッチングして一定の形状の隔壁を形成する段階と、前記隔壁の上部に残っているエッチング保護膜を除去する段階と、前記隔壁を焼成する段階を含む。
【0030】
前記感光性隔壁層の形成段階は前記感光性隔壁層のみを単独で形成することができ、この時、前記感光性隔壁層の厚さは100乃至160μmであるのが好ましい。
【0031】
また、前記感光性隔壁層の形成段階はアドレス電極と誘電体層が形成された基板に非感光性隔壁層を先に形成し、前記非感光性隔壁層上に感光性隔壁層を形成することもできる。この時、前記非感光性隔壁層は90乃至140μmの厚さを有するのが好ましく、前記感光性隔壁層は10乃至30μmの厚さを有するのが好ましい。感光性隔壁層の厚さが10μm未満であれば、有機物である感光性エッチング保護膜との十分な接着力確保が難しくなり、30μmを超えれば、感光性隔壁層の耐エッチング性が増加して作業収率低下及び隔壁崩壊現象が発生することがある。但し、前記非感光性隔壁層と感光性隔壁層の厚さを合せた全隔壁層の厚さは100乃至160μmであるのが好ましい。
【0032】
前記非感光性隔壁層は母ガラス粉末、バインダー及び溶媒を含む組成物をコーティングして形成してもよく、前記母ガラス粉末、バインダー及び溶媒は上述したものと同一な成分を使用してもよい。
【0033】
前記感光性隔壁層上には感光性エッチング保護膜を形成する。前記感光性エッチング保護膜は感光性有機物であるのが好ましく、通常のプラズマディスプレイパネルの隔壁製造に使用されるドライフィルムフォトレジスト又は液状フォトレジストを使用して形成することが好ましい。
【0034】
前記感光性エッチング保護膜は光を受ける部分が硬化される特性を有し、露光及び現像するパターニング過程を経て一定のパターンで感光性隔壁層上に残る。この時、前記光を受ける部分の感光性隔壁層でも感光性組成物の硬化が起こる。
【0035】
前記方法でパターニングされた隔壁層に対してエッチングを実施する。前記エッチング法としては乾式で行われるサンドブラスト法と湿式で行われる化学的エッチング法があり、本発明ではサンドブラスト法を使用することがさらに好ましい。
【0036】
前記パターニングされた隔壁層に対してエッチングを実施すれば、前記エッチング保護膜が残っていない部分の隔壁層が除去されながら、エッチング保護膜が残っていた形態に一定の形状の隔壁が形成される。
【0037】
前記隔壁が形成された後、前記隔壁の上部に残っているエッチング保護膜を除去し、焼成して隔壁を製造することができる。前記エッチング保護膜の除去及び焼成段階は広く知られているために本発明では詳細に説明しない。
【0038】
前記隔壁の製造方法は多様な線幅の隔壁を形成するのに適している。特に、微細な線幅の隔壁を形成するのに適しており、好ましくは30乃至50μmの線幅を持つプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造に適している。
【0039】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。但し、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限られるわけではない。
【0040】
[実施例]
実施例1
母ガラス粉末(パウダーセラミック:DGC-562S(株)大州電子材料パウダー)70重量部、エチルセルロース(EC)1重量部及びテキサノール22重量部を混合して母ガラスを十分に分散させた後、エチレンオキシド付加型トリメチルプロパントリアクリレート(TMP(EO)TA)5重量部、光重合開始剤である2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[-4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製造)1重量部、ブチルカルビトールアセテート(BCA)1重量部を混合して隔壁形成用感光性ペースト組成物を製造した。
【0041】
実施例2
母ガラス粉末(パウダーセラミック:DGC-562S(株)大州電子材料パウダー)70重量部、エチルセルロース(EC)1重量部及びテキサノール21重量部を混合して母ガラスを十分に分散させた後、トリメチルプロパントリアクリレート(TMP(EO)TA)5重量部、光重合開始剤である2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[-4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製造)2重量部、ブチルカルビトールアセテート(BCA)1重量部を混合して隔壁形成用感光性ペースト組成物を製造した。
【0042】
実施例3
母ガラス粉末(パウダーセラミック:DGC-562S(株)大州電子材料パウダー)70重量部、エチルセルロース(EC)1重量部及びテキサノール19重量部を混合して母ガラスを十分に分散させた後、トリメチルプロパントリアクリレート(TMP(EO)TA)7重量部、光重合開始剤である2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[-4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製造)2重量部、ブチルカルビトールアセテート(BCA)1重量部を混合して隔壁形成用感光性ペースト組成物を製造した。
【0043】
比較例1
母ガラス粉末(パウダーセラミック:DGC-562S(株)大州電子材料パウダー)70重量部エチルセルロース(EC)2重量部及びテキサノール28重量部を混合して隔壁形成用組成物を製造した。
【0044】
前記実施例1乃至3及び比較例1によって製造された隔壁形成用組成物の組成を下記表1に整理した。
【0045】
【表1】

【0046】
実験例1(隔壁層とエッチング保護膜の接着力評価)
前記実施例1乃至3及び比較例1によって製造された隔壁形成用組成物をガラス基板に140μmの厚さで塗布して隔壁層を形成した。前記隔壁層上に厚さ40μmであるドライフィルムレジスト(DF-40R、東進セミケム)を塗布し、105℃のホットロールでプレスした後、300mJ/mの光で全面露光してエッチング保護膜を形成させた。
【0047】
前記エッチング保護膜を幅1.5cmの帯形態に切断した後、剥離荷重測定機(1616F、(株)アイコーエンジニアリング)を利用して前記帯形態のエッチング保護膜を剥離する剥離実験を行い、隔壁層とエッチング保護膜の接着力を比較評価した。前記実験結果は下記表2に整理した。下記表2に記載された接着力データは比較例1によって製造された隔壁形成用組成物の接着力を100として示した相対値である。
【0048】
【表2】

【0049】
前記表2に示したように、実施例1乃至3によって製造された隔壁形成用感光性ペースト組成物は有機物である感光性エッチング保護膜との接着力に優れたことが分かる。
【0050】
実験例2(エッチング保護膜の耐エッチング性評価)
前記実施例1乃至3及び比較例1によって製造された隔壁形成用組成物をガラス基板に140μmの厚さで塗布して隔壁層を形成した。前記隔壁層上に厚さ40μmであるドライフィルムレジスト(DF-40R、東進セミケム)を塗布し、105℃のホットロールでプレスした後、300mJ/mの光で帯状形態のパターン露光及び現像を行ってパターニングされたエッチング保護膜を形成した。
【0051】
前記隔壁層に対してサンドブラスト法でエッチングし帯状形態の隔壁を形成しており、この時に形成された隔壁上部基準の最小線幅とエッチング率を測定した。最小線幅とは隔壁上部のエッチング後に形成された隔壁の幅を意味し、エッチング時間はプラズマディスプレイパネルの隔壁が完全に形成されるまでの時間を意味する。前記測定結果を下記表3に整理した。
【0052】
【表3】

【0053】
前記表3に示したように、比較例1によって製造されたプラズマディスプレイパネルの隔壁は最小線幅が大きい反面、実施例1乃至3によって製造されたプラズマディスプレイパネルの隔壁は最小線幅は小さくて比較例1の場合と類似なエッチング時間を示すことが分かる。
【0054】
実験例3(エッチング保護膜の剥離特性評価)
前記実験例2によって製造された隔壁を40℃のモノエタノールアミン5.0重量%水溶液に浸漬し、エッチング保護膜が剥離される時間と隔壁上に残っているエッチング保護膜の大きさを測定しており、その結果を下記表4に整理した。
【0055】
下記表4において、剥離性の評価は次のような基準で評価した。
◎:無機物表面に感光性樹脂組成物残らない。
○:無機物表面に残っている感光性樹脂組成物が1.0μm以下の大きさで存在する。
△:無機物表面に残っている感光性樹脂組成物が1.0μm以上の大きさで存在する。
【0056】
【表4】

【0057】
前記表4に示したように、本発明の実施例1乃至3によって製造された隔壁形成用組成物はエッチング後にエッチング保護膜の剥離特性に優れたことが分かる。
【0058】
実験例4(隔壁形成用組成物の分散安定性評価)
前記実施例1乃至3及び比較例1によって製造された隔壁形成用感光性ペースト組成物を常温(25℃±2。0℃)で一ヶ月間保管して分散状態の安定性を評価しており、その結果を表5に整理した。
【0059】
下記表5において、分散安定性の評価は次のような基準で評価した。
◎:初期分散状態と同一。
△:母ガラス粉末の沈降発生。
×:隔壁形成用組成物のゲル化発生。
【0060】
【表5】

【0061】
前記表5に示したように、本発明の実施例1乃至3によって製造された隔壁形成用組成物は保管安定性に優れたことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のエチレン性二重結合を有する架橋性単量体と;
光重合開始剤と;
有機溶媒とを含む感光性組成物。
【請求項2】
前記光重合開始剤は前記架橋性単量体100重量部に対して10乃至50重量部含まれる、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記光重合開始剤は前記架橋性単量体100重量部に対して25乃至40重量部含まれる、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記光重合開始剤はトリアジン系、ベンゾイン、アセトフェノン系、イミダゾル系、アミノケトン系及びキサントン系化合物からなる群より選択される1種以上の化合物である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記光重合開始剤は2,4-ビストリクロロメチル-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2-p-メトキシスチリル-4,6-ビストリクロロメチル-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-4-メチルナフチル-6-トリアジン、ベンゾフェノン、p-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、2-メチルチオキサントン、2-イソブチルチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[-4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン及び2,2’-ビス-2-クロロフェニル-4,5、4’、5’-テトラフェニル-2’-1,2’-ビイミダゾールからなる群より選択される1種以上である、請求項4に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記架橋性単量体は1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート誘導体、トリメチルプロパントリアクリレート、エチレンオキシド付加型トリメチルプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート誘導体、トリメチルプロパントリメタクリレート、及びジペンタエリスリトールポリメタクリレートからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記溶媒はエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオール、及びテキサノールからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項8】
前記感光性組成物は隔壁形成用添加剤である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の感光性組成物と;
隔壁用母ガラス粉末とを含む隔壁形成用感光性ペースト組成物。
【請求項10】
前記感光性ペースト組成物はバインダー及び有機溶媒をさらに含む、請求項9に記載の隔壁形成用感光性ペースト組成物。
【請求項11】
前記感光性組成物は前記隔壁用母ガラス粉末100重量部に対して5乃至15重量部含まれる、請求項9に記載の隔壁形成用感光性ペースト組成物。
【請求項12】
前記感光性組成物は前記隔壁用母ガラス粉末100重量部に対して7乃至10重量部含まれる、請求項11に記載の隔壁形成用感光性ペースト組成物。
【請求項13】
請求項9に記載の隔壁形成用感光性ペースト組成物を利用してアドレス電極と誘電体層が形成された基板に感光性隔壁層を形成する段階と;
前記感光性隔壁層上に感光性エッチング保護膜をコーティングし、露光及び現像してパターニングする段階と;
前記エッチング保護膜が残っていない部分の隔壁層をエッチングして一定の形状の隔壁を形成する段階と;
前記隔壁の上部に残っているエッチング保護膜を除去する段階と;
前記隔壁を焼成する段階とを含むプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。
【請求項14】
前記感光性隔壁層の形成段階はアドレス電極と誘電体層が形成された基板に非感光性隔壁層を先に形成し、前記非感光性隔壁層上に感光性隔壁層を形成する、請求項13に記載のプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。
【請求項15】
前記非感光性隔壁層は90乃至140μmの厚さを有する、請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。
【請求項16】
前記感光性隔壁層は10乃至30μmの厚さを有する、請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。
【請求項17】
前記感光性エッチング保護膜は感光性有機物である、請求項13に記載のプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。
【請求項18】
前記エッチング段階はサンドブラスト法によって実施する、請求項13に記載のプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。
【請求項19】
前記エッチング段階から製造される隔壁は30乃至50μmの線幅を有する、請求項13に記載のプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。

【公開番号】特開2006−154824(P2006−154824A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341970(P2005−341970)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【Fターム(参考)】