説明

成りすまし電話防止システム、認証装置および認証装置用プログラム

【課題】電話の利便性を損ねることなく成りすまし電話を防止すること。
【解決手段】認証装置の認証要求受付部が認証要求を受けた場合に、送話側電話装置に入力された送話者の認証情報を取得し、認証処理部が送話側電話装置から受け取った認証情報を認証DBを用いて認証し、認証結果を認証結果送信部が受話側電話装置に対して送信するよう構成する。また、送話側電話装置の認証情報入力部が送話者の認証情報を受け付け認証情報送信部が認証情報を認証装置に対して送信するよう構成するとともに、受話側電話装置の認証結果受信部が受け取った認証結果を認証結果報知部が報知するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、成りすまし電話防止システム、認証装置および認証装置用プログラムに関し、特に、電話の利便性を損ねることなく成りすまし電話を効果的に防止することができる成りすまし電話防止システム、認証装置および認証装置用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有名企業や公共機関と偽って一般市民に電話をかけ、相手を信用させることによって金銭や個人情報をだまし取る、いわゆる、成りすまし電話が問題になっている。電話通信においては、受話者側で送話者が正当な人物であるか否かを判別することが難しいので、このような成りすまし行為が横行してしまう。
【0003】
この成りすまし電話を防止するため、固定電話や携帯電話の「電話帳機能」を用いることも考えられる(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。この電話帳機能は、受話者側が送話者側の電話番号および氏名(企業名でもよい)を登録することで、電話を受けた場合に送話者が誰であるかを受話者に報知する機能である。
【0004】
しかし、近年のように携帯電話が普及してくると、企業に設置された固定電話のみならず社員が保有する携帯電話などを用いて顧客へ電話をかける場合も多くなるので、受話者側における電話帳機能の更新負荷が増加してしまう。また、社員が公衆電話などを用いて顧客へ電話した場合には、電話帳機能が意味をなさないことになってしまう。このように、電話帳機能が十分に機能しないと、上記した成りすまし電話を許容してしまう結果となる。
【0005】
このため、電話通信を中継するネットワーク上に設けられた装置や施設で、送話者の認証をおこなう技術が提案されている。たとえば、特許文献3には、電話通信を中継する交換局と接続された認証用データベース上のバイオメトリクス情報を用いて送話者を認証し、認証に成功した送話者に対して通話サービスを提供する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−184076号公報
【特許文献2】特開2002−374347号公報
【特許文献3】特開2002−354120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示されている技術は、送話者に対する通話サービス提供の適否を送話者個人の認証をおこなうことで判定しようとする技術であって、受話者に対する成りすまし電話を防止しようとする技術ではない。たしかに、認証に成功した送話者のみに電話をかけることを許可すれば、成りすまし電話自体が発生しないことになる。しかし、送話者すべての認証をおこなうこと自体が困難であるとともに、認証にパスしなければ電話をかけることができないこととすると、電話の利便性を損ねてしまうことになる。
【0008】
これらのことから、電話の利便性を損ねることなく成りすまし電話を効果的に防止することができる成りすまし電話防止システムや成りすまし電話防止システムに用いられる認証装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、電話の利便性を損ねることなく成りすまし電話を効果的に防止することができる成りすまし電話防止システム、認証装置および認証装置用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため本発明は、送話側電話装置と受話側電話装置との間に設けられた認証装置を用いて前記送話側電話装置による成りすまし電話を防止する成りすまし電話防止システムであって、前記認証装置は、前記送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶する送話者情報記憶手段と、前記送話者が前記送話側電話装置に入力した入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証する送話者認証手段と、前記送話者認証手段が前記送話者の認証に成功したことを条件として当該送話者についての前記属性情報を前記受話側電話装置に対して通知する送話者情報通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記送話者認証手段は、前記送話側電話装置から前記入力認証情報を含んだ認証要求を受けたならば、当該入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって前記送話者を認証することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記送話者認証手段は、前記受話側電話装置から認証要求を受けたならば前記入力認証情報を前記送話側電話装置から取得し、当該入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって前記送話者を認証することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、送話側電話装置による成りすまし電話を防止する成りすまし電話防止システムに用いられるとともに前記送話側電話装置と受話側電話装置との間に設けられる認証装置であって、前記送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶する送話者情報記憶手段と、前記送話者が前記送話側電話装置に入力した入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証する送話者認証手段と、前記送話者認証手段が前記送話者の認証に成功したことを条件として当該送話者についての前記属性情報を前記受話側電話装置に対して通知する送話者情報通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、送話側電話装置による成りすまし電話を防止する成りすまし電話防止システムに用いられるとともに前記送話側電話装置と受話側電話装置との間に設けられる認証装置に搭載される認証装置用プログラムであって、前記送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶部に記憶させる送話者情報記憶手順と、前記送話者が前記送話側電話装置に入力した入力認証情報を前記送話者情報記憶手順によって前記記憶部に記憶された前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証する送話者認証手順と、前記送話者認証手順が前記送話者の認証に成功したことを条件として当該送話者についての前記属性情報を前記受話側電話装置に対して通知する送話者情報通知手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶し、送話者が送話側電話装置に入力した入力認証情報をあらかじめ記憶した個人認証情報と対比することによって送話者を認証し、送話者の認証に成功したことを条件として送話者についての属性情報を受話側電話装置に対して通知するよう構成したので、送話者個人をバイオメトリクス情報などの個人認証情報を用いて認証することによって送話者の正当性を証明することができるので成りすまし電話を効果的に防止することができる。また、送話者の認証タイミングは発呼時に限定されないので、電話の利便性を損ねることがないという効果を奏する。
【0016】
また、本発明によれば、送話側電話装置から入力認証情報を含んだ認証要求を受けたならば、この入力認証情報をあらかじめ記憶した個人認証情報と対比することによって送話者を認証するよう構成したので、送話者側からの要求によって認証をおこなうことによって、受話者に負担をかけることなく成りすまし電話を防止することができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明によれば、受話側電話装置から認証要求を受けたならば入力認証情報を送話側電話装置から取得し、取得した入力認証情報をあらかじめ記憶した個人認証情報と対比することによって送話者を認証するよう構成したので、受話者の判断で送話者の認証をおこなうことで送話者認証を柔軟におこなうことができる。すなわち、認証処理を電話のたびごとにおこなう必要がないので電話の利便性を損なうことなく成りすまし電話を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る成りすまし電話防止システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、ネットワーク上に設けられた認証装置と、送話者が利用する送話側電話装置と、受話者が利用する受話側電話装置とからなる成りすまし電話防止システムについて説明する。しかしながら、送話側電話装置および受話側電話装置は市販の電話装置(たとえば、携帯電話)で構成することができるので、認証装置のみからなる成りすまし電話防止システムを構成することとしてもよい。
【実施例】
【0019】
まず、本実施例に係る成りすまし電話防止システムの概要について図1を用いて説明する。図1は、本実施例に係る成りすまし電話防止システムの概要を示す図である。同図に示すように、本実施例に係る成りすまし電話防止システムは、ネットワーク上に設けられた認証装置10と、送話側電話装置20と、受話側電話装置30とから構成される。
【0020】
なお、認証装置10は、通話者を認証することを目的とした施設(たとえば、認証局)に設けられる装置であり、この認証局は、送話側電話装置10/受話側電話装置20間の通話を中継する中継局とは別に設けられる施設であるものとする。また、以下では、成りすまし電話防止システムを利用する企業が自社の従業員に関する情報を認証局に登録申請し、認証局が、登録申請された情報を認証装置10に登録する場合について説明する。
【0021】
図1に示すように、認証装置10は、企業から申請された情報を管理する認証DB(データベース)を備えている。この認証DBは、従業員個人を認証するための個人認証情報(たとえば、指紋、声紋、顔画像といったバイオメトリクス情報)および従業員の属性情報を関連付けた情報を管理するデータベースである。なお、従業員の属性情報としては、たとえば、氏名、企業名、所属部署などがあげられる。
【0022】
ここで、この認証DBに登録された「○○さん」が、送話側電話装置20を用いて顧客へ電話をかける場面を想定する。この場合「○○さん」は、送話側電話装置20に対して指紋などの認証情報を入力する(図1の(1)参照)。そして、受話側電話装置30を利用している顧客に対して電話をかけると、送話側電話装置20に入力された認証情報が送話側番号(たとえば、送話側電話装置20の電話番号)および受話側番号(たとえば、受話側電話装置30の電話番号)とともに認証装置10に対して送信される(図1の(2)参照)。
【0023】
なお、認証装置10への認証情報の送信タイミングについては、送話側電話装置20が受話側電話装置30に発呼したタイミングでもよいし、送話側電話装置20/受話側電話装置30間の通話が確立したあとであってもよい。さらに、受話側電話装置30から認証情報の送信要求を受けたタイミングであってもよい。
【0024】
つづいて、送話側電話装置20から認証情報を受け取った認証装置10は、受け取った認証情報をキーとして認証DBを検索するなどして「○○さん」の認証処理を実行する(図1の(3)参照)。そして、送話側電話装置20から受け取った認証情報が認証DB上の個人認証情報に一致したならば(図1の個人認証情報「A」参照)、認証に成功したものとして「○○さん」についての属性情報(氏名、企業名および所属部署)を受話側電話装置30に対して送信する(図1の(4)参照)。つづいて、受話側電話装置30は、認証装置10から受け取った属性情報をディスプレイなどに表示する(図1の(5)参照)。
【0025】
このように、本実施例に係る成りすまし電話防止システムでは、企業ごとに登録された従業員についての個人認証情報および属性情報を認証DB上で管理するとともに、認証装置10が認証要求を受けた場合に、送話側電話装置20から受信した認証情報を認証DBを用いて検査するとともに、認証結果を受話側電話装置30へ送信することとした。すなわち、送話者個人をバイオメトリクス情報などの個人認証情報を用いて認証することによって送話者の正当性を証明することができるので成りすまし電話を効果的に防止することができる。また、送話者の認証タイミングは発呼時に限定されないので、電話の利便性を損ねることがない。
【0026】
次に、本実施例に係る成りすまし電話防止システム100の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る成りすまし電話防止システム100の構成を示すブロック図である。同図に示すように、成りすまし電話防止システム100は、認証装置10と、送話側電話装置20と、受話側電話装置30とからなる。
【0027】
認証装置10は、ネットワークに接続されたサーバ装置などのコンピュータであり、たとえば、通話者を認証する目的とした施設である認証局に設けられる。そして、この認証装置10は、認証要求受付部11と、認証処理部12と、認証結果送信部13と認証DB14とを備えている。
【0028】
認証要求受付部11は、送話側電話装置20あるいは受話側電話装置30からの認証要求を受け付けるとともに、受け付けた認証要求に基づいて送話側電話装置20から取得した認証情報を認証処理部12へ渡す処理をおこなう処理部である。なお、本実施例においては、この認証要求受付部11が認証要求を受け付けたことをトリガとして送話者の認証処理を開始する場合について説明するが、これに限らず、送話側電話装置20/受話側電話装置30間の通話が成立した時点、あるいは、通話成立後における所定のタイミングで認証装置10が送話者の認証処理を開始することとしてもよい。
【0029】
認証処理部12は、認証要求受付部11を介して受け取った認証情報(送話側電話装置20において入力された認証情報)と、認証DB14上の個人認証情報(図1参照)とを対比することによって送話者の認証をおこなう処理部である。また、この認証処理部12は、受話側電話装置30に対する認証結果の送信を認証結果送信部13へ指示する処理をおこなう処理部でもある。たとえば、認証処理部12は、送話者の認証に成功した場合には、送話者の氏名、企業名、所属部署といった属性情報の送信を指示する。また、送話者の認証に失敗した場合には、送話者の認証に失敗した旨をあらわす情報の送信を指示する。
【0030】
認証結果送信部13は、認証処理部12から受け取った認証結果を受話側電話装置30に対して送信する処理をおこなう処理部である。たとえば、この認証結果送信部13は、図1の(2)に示した「受話側番号」に基づいて認証結果を送信すべき受話側電話装置30を決定し、決定した受話側電話装置30に対して認証結果を送信する。
【0031】
認証DB(データベース)14は、従業員個人を認証するための個人認証情報(たとえば、指紋、声紋、顔画像といったバイオメトリクス情報)および従業員の属性情報を関連付けた情報を管理するデータベースである。ここで、この認証DB14の例について図3および図4を用いて説明する。図3は認証DBの一例を示す図であり、図4は認証DBの変形例を示す図である。
【0032】
図3に示すように、認証DB14は、たとえば、企業の各従業員についての個人認証情報および各従業員の属性情報を管理するデータベースである。また、属性情報には、氏名、企業名、所属部署といった項目が含まれる。
【0033】
個人認証情報は、個人を特定するための認証情報であり、指紋などのバイオメトリクス情報のほかパスワード等を用いることが可能である。図3の14aに示すように、この個人認証情報としては、指紋を数値化した情報を用いることができる。また、指紋を数値化する場合に、個人を一意に識別する識別子を含めた形で個人認証情報を生成することとしてもよい。なお、同図の14bに示すように、個人を一意に識別する識別子である個人IDおよび各個人に割り当てられたパスワードを個人認証情報として用いることとしてもよい。
【0034】
次に、認証DB14の変形例について図4を用いて説明する。図4に示したのは、従業員が使用可能な送信側電話装置20の電話番号を含んだ認証DBである。このように、送信側電話装置20の電話番号を個人認証情報とあわせて用いることで、未登録の電話装置を用いた通話を禁止するといった運用が可能となる。また、各個人に送信側電話装置20を割り当てた場合に、電話番号と個人認証情報との組合せで本人認証をおこなうことができるので本人認証の精度を高めることができる。
【0035】
図2の説明に戻り、送話側電話装置20について説明する。送話側電話装置20は、携帯電話などの電話装置から構成され、認証情報入力部21および認証情報送信部22を備えている。認証情報入力部21は、指紋センサやカメラといった個人識別用情報入力用のデバイスである。
【0036】
また、認証情報送信部22は、送話者が認証情報入力部21を介して入力した認証情報を認証装置10に対して送信する処理をおこなう処理部である。また、この認証情報送信部22は、認証装置10からの認証情報要求を受け付けた場合に、その応答として認証情報を返す処理をおこなう処理部でもある。なお、認証情報送信部22は、送話側電話装置20自体の装置識別子や電話番号を、認証情報入力部21から受け取った認証情報に付加して送信することも可能である。
【0037】
ここで、送話側電話装置20における入力例について図5を用いて説明する。図5は、送話側電話装置20における入力例を示す図である。なお、同図においては、バイオメトリクス情報として指紋を入力する例を示している。同図に示すように、送話者が電話をかける際、あるいは、認証装置10から認証情報要求を受け付けた際に、送話側電話装置20のディスプレイなどには、「指紋を入力してください」といったガイドメッセージが表示される(図5の(1)参照)。このガイドメッセージを確認した送話者は、同図に示す指紋センサに指をかざすことで指紋を入力することになる(図5の(2)参照)。
【0038】
次に、受話側電話装置30について説明する。受話側電話装置30は、携帯電話などの電話装置から構成され、認証結果受信部31および認証結果報知部32を備えている。認証結果受信部31は、認証装置10から送信された認証結果を受信するとともに、受信した認証結果を認証結果報知部32に対して通知する処理をおこなう処理部である。
【0039】
また、認証結果報知部32は、ディスプレイなどの表示デバイスやスピーカなどの音声出力デバイスなどから構成され、認証結果受信部31から通知された認証結果を受話者に対して報知する処理をおこなう処理部である。
【0040】
なお、受話側電話装置30が送話者認証を要求する場合には、所定のダイヤルボタンなどが押下されると認証装置10に対して認証要求メッセージを送信する処理部を設けることとすればよい。また、受話側電話装置30に認証結果を記録する処理部を設けることとしてもよい。このようにすることで、認証失敗の履歴がある送話者からの着信を拒否することが可能となる。
【0041】
ここで、受信側電話装置30における受信者に対する報知例について図6を用いて説明する。図6は、受話側電話装置40における報知例を示す図である。なお、同図では、ディスプレイなどの表示デバイスを用いて受信者に対する報知をおこなう場合について示しているが、音声デバイスや振動デバイスを用いて報知することとしてもよい。
【0042】
図6に示すように、認証装置10が送話者の認証に成功して送話者の属性情報を送信すると(図1参照)、受話側電話装置30の認証結果報知部32は、送話者の氏名、企業名、所属部署などをディスプレイに表示する。また、認証装置10が送話者の認証に失敗した旨をあらわす情報を送信すると、認証結果報知部32は、たとえば、未認証であるため注意が必要であるといった注意喚起のメッセージをディスプレイに表示する。
【0043】
次に、本実施例に係る成りすまし電話防止システム100の処理手順について図7を用いて説明する。図7は、成りすまし電話防止システム100の処理手順を示すシーケンス図である。同図に示すように、送話者が送話側電話装置20の認証情報入力部21を介して指紋を入力すると(ステップS101)、認証情報送信部22は、指紋情報を含んだ認証情報(認証情報、送話側番号および受話側番号)を認証装置10に対して送信する(ステップS102)。なお、認証情報の送信にあたっては認証情報を暗号化して送信することとすれば、認証情報の漏えいを防止することができる。また、認証情報に送話者の個人IDを含めることとしてもよい。
【0044】
送話側電話装置20から認証情報を受け取った認証装置10の認証処理部12は、受け取った認証情報に基づいて認証DB14を検索し(ステップS103)、該当する個人認証情報が認証DB14に登録されているか否かを検査する。そして、送話者の認証に成功した場合には(ステップS104,Yes)、認証結果送信部13が認証DB14から抽出した属性情報(図3など参照)を受話側電話装置30に対して送信する(ステップS105)。
【0045】
一方、送話者の認証に失敗した場合には(ステップS104,No)、受話側電話装置30に対して認証に失敗した旨を通知する(ステップS106)。つづいて、受話側電話装置30の認証結果受信部31が認証結果を受信すると、認証結果報知部32が認証結果を受話者に対して報知する(ステップS107)。
【0046】
次に、送話者の認証要求を受話側電話装置30がおこなう場合の処理手順について図8を用いて説明する。図8は、認証要求を受話側電話装置30がおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図である。なお、同図におけるステップS101〜ステップS107の処理手順は、図7のステップS101〜ステップS107と同様であるので、説明を省略する。
【0047】
図8に示すように、受話者が受話側電話装置30に対して所定の操作(たとえば、特定のボタンの押下)をおこなうと、受話側電話装置30は、認証装置10に対して送話者の認証要求を送信する(ステップS201)。そして、受話側電話装置30から認証要求を受けた認証装置10は、送話側電話装置20に対して認証情報の送信を依頼する(ステップS202)。
【0048】
なお、図8に示した認証要求のタイミングについては、通話中の所定のタイミングとすることができる。また、通話が終了した後に認証要求をおこなうこととしてもよい。また、図8では、受話側電話装置30が送話者の認証要求をおこなう場合について示したが、認証装置10が送話側電話装置10から受話側電話装置20への発呼情報を取得したタイミングで、送話側電話装置10に対して認証情報の送信を指示するよう構成してもよい。
【0049】
上述してきたように、本実施例によれば、認証装置の認証要求受付部が認証要求を受けた場合に、送話側電話装置に入力された送話者の認証情報を取得し、認証処理部が送話側電話装置から受け取った認証情報を認証DBを用いて認証し、認証結果を認証結果送信部が受話側電話装置に対して送信するよう構成した。また、送話側電話装置の認証情報入力部が送話者の認証情報を受け付け認証情報送信部が認証情報を認証装置に対して送信するよう構成するとともに、受話側電話装置の認証結果受信部が受け取った認証結果を認証結果報知部が報知するよう構成した。
【0050】
したがって、送話者個人をバイオメトリクス情報などの個人認証情報を用いて認証することによって送話者の正当性を証明することができるので成りすまし電話を効果的に防止することができる。また、送話者の認証タイミングは発呼時に限定されないので、電話の利便性を損ねることがない。
【0051】
また、上記した実施例では、本発明を実現する各装置を機能面から説明したが、各装置の各機能はパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータにプログラムを実行させることによって実現することもできる。
【0052】
すなわち、上述した各種の処理手順は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータ上で実行することによって実現することができる。そして、これらのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。さらに、これらのプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0053】
(付記1)送話側電話装置と受話側電話装置との間に設けられた認証装置を用いて前記送話側電話装置による成りすまし電話を防止する成りすまし電話防止システムであって、前記認証装置は、前記送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶する送話者情報記憶手段と、前記送話者が前記送話側電話装置に入力した入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証する送話者認証手段と、前記送話者認証手段が前記送話者の認証に成功したことを条件として当該送話者についての前記属性情報を前記受話側電話装置に対して通知する送話者情報通知手段とを備えたことを特徴とする成りすまし電話防止システム。
【0054】
(付記2)前記送話者認証手段は、前記送話側電話装置から前記入力認証情報を含んだ認証要求を受けたならば、当該入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって前記送話者を認証することを特徴とする付記1に記載の成りすまし電話防止システム。
【0055】
(付記3)前記送話者認証手段は、前記受話側電話装置から認証要求を受けたならば前記入力認証情報を前記送話側電話装置から取得し、当該入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって前記送話者を認証することを特徴とする付記1に記載の成りすまし電話防止システム。
【0056】
(付記4)前記送話者情報記憶手段が記憶する属性情報は、前記送話者が所属する法人の識別情報を含んだ情報であることを特徴とする付記1、2または3に記載の成りすまし電話防止システム。
【0057】
(付記5)前記送話者情報記憶手段が記憶する前記個人認証情報は、前記送話者が利用する前記送話側電話装置の識別子および当該送話者を識別するバイオメトリクス情報を関連付けた情報であり、前記送話者認証手段は、前記送話側電話装置から受け取った前記識別子および前記入力認証情報を前記送信者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の成りすまし電話防止システム。
【0058】
(付記6)送話側電話装置による成りすまし電話を防止する成りすまし電話防止システムに用いられるとともに、前記送話側電話装置と受話側電話装置との間に設けられる認証装置であって、前記送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶する送話者情報記憶手段と、前記送話者が前記送話側電話装置に入力した入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証する送話者認証手段と、前記送話者認証手段が前記送話者の認証に成功したことを条件として当該送話者についての前記属性情報を前記受話側電話装置に対して通知する送話者情報通知手段とを備えたことを特徴とする認証装置。
【0059】
(付記7)前記送話者認証手段は、前記送話側電話装置から前記入力認証情報を含んだ認証要求を受けたならば、当該入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって前記送話者を認証することを特徴とする付記6に記載の認証装置。
【0060】
(付記8)前記送話者認証手段は、前記受話側電話装置から認証要求を受けたならば前記入力認証情報を前記送話側電話装置から取得し、当該入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって前記送話者を認証することを特徴とする付記6に記載の認証装置。
【0061】
(付記9)前記送話者情報記憶手段が記憶する属性情報は、前記送話者が所属する法人の識別情報を含んだ情報であることを特徴とする付記6、7または8に記載の認証装置。
【0062】
(付記10)前記送話者情報記憶手段が記憶する前記個人認証情報は、前記送話者が利用する前記送話側電話装置の識別子および当該送話者を識別するバイオメトリクス情報を関連付けた情報であり、前記送話者認証手段は、前記送話側電話装置から受け取った前記識別子および前記入力認証情報を前記送信者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証することを特徴とする付記6〜9のいずれか一つに記載の認証装置。
【0063】
(付記11)送話側電話装置による成りすまし電話を防止する成りすまし電話防止システムに用いられるとともに前記送話側電話装置と受話側電話装置との間に設けられる認証装置に搭載される認証装置用プログラムであって、前記送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶部に記憶させる送話者情報記憶手順と、前記送話者が前記送話側電話装置に入力した入力認証情報を前記送話者情報記憶手順によって前記記憶部に記憶された前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証する送話者認証手順と、前記送話者認証手順が前記送話者の認証に成功したことを条件として当該送話者についての前記属性情報を前記受話側電話装置に対して通知する送話者情報通知手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする認証装置用プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明に係る成りすまし電話防止システム、認証装置および認証装置用プログラムは、成りすまし電話の防止に有用であり、特に、企業や公共機関の職員の正当性を保証したい場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施例に係る成りすまし電話防止システムの概要を示す図である。
【図2】成りすまし電話防止システムの構成を示すブロック図である。
【図3】認証DBの一例を示す図である。
【図4】認証DBの変形例を示す図である。
【図5】送話側電話装置における入力例を示す図である。
【図6】受話側電話装置における報知例を示す図である。
【図7】成りすまし電話防止システムの処理手順を示すシーケンス図である。
【図8】認証要求を受話側電話装置がおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0066】
10 認証装置
11 認証要求受付部
12 認証処理部
13 認証結果送信部
14 認証DB
20 送話側電話装置
21 認証情報入力部
22 認証情報送信部
30 受話側電話装置
31 認証結果受信部
32 認証結果報知部
100 成りすまし電話防止システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送話側電話装置と受話側電話装置との間に設けられた認証装置を用いて前記送話側電話装置による成りすまし電話を防止する成りすまし電話防止システムであって、
前記認証装置は、
前記送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶する送話者情報記憶手段と、
前記送話者が前記送話側電話装置に入力した入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証する送話者認証手段と、
前記送話者認証手段が前記送話者の認証に成功したことを条件として当該送話者についての前記属性情報を前記受話側電話装置に対して通知する送話者情報通知手段と
を備えたことを特徴とする成りすまし電話防止システム。
【請求項2】
前記送話者認証手段は、
前記送話側電話装置から前記入力認証情報を含んだ認証要求を受けたならば、当該入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって前記送話者を認証することを特徴とする請求項1に記載の成りすまし電話防止システム。
【請求項3】
前記送話者認証手段は、
前記受話側電話装置から認証要求を受けたならば前記入力認証情報を前記送話側電話装置から取得し、当該入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって前記送話者を認証することを特徴とする請求項1に記載の成りすまし電話防止システム。
【請求項4】
送話側電話装置による成りすまし電話を防止する成りすまし電話防止システムに用いられるとともに前記送話側電話装置と受話側電話装置との間に設けられる認証装置であって、
前記送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶する送話者情報記憶手段と、
前記送話者が前記送話側電話装置に入力した入力認証情報を前記送話者情報記憶手段に記憶される前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証する送話者認証手段と、
前記送話者認証手段が前記送話者の認証に成功したことを条件として当該送話者についての前記属性情報を前記受話側電話装置に対して通知する送話者情報通知手段と
を備えたことを特徴とする認証装置。
【請求項5】
送話側電話装置による成りすまし電話を防止する成りすまし電話防止システムに用いられるとともに前記送話側電話装置と受話側電話装置との間に設けられる認証装置に搭載される認証装置用プログラムであって、
前記送話側電話装置を利用する送話者についての個人認証情報および属性情報を記憶部に記憶させる送話者情報記憶手順と、
前記送話者が前記送話側電話装置に入力した入力認証情報を前記送話者情報記憶手順によって前記記憶部に記憶された前記個人認証情報と対比することによって当該送話者を認証する送話者認証手順と、
前記送話者認証手順が前記送話者の認証に成功したことを条件として当該送話者についての前記属性情報を前記受話側電話装置に対して通知する送話者情報通知手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする認証装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−258954(P2007−258954A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79363(P2006−79363)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】