説明

成膜装置及び成膜装置用ストックチャンバー

【課題】 成膜装置の搬送路に複数の基板ホルダを保管する基板ホルダ保管室を設けることにより、基板ホルダの表面に堆積した膜の除去の工程および基板ホルダの交換工程、または膜の除去の工程若しくは基板ホルダの交換工程に影響を受けることなしに基板の生産を効率的に行うことができる成膜装置及び成膜装置用ストックチャンバーを提供すること。
【解決手段】真空状態に連結した複数の真空チャンバー、前記複数の真空チャンバー内に設けられた搬送路、前記搬送路に沿って移動可能に設けた複数の基板ホルダ、前記基板ホルダを移動させる駆動手段、前記搬送路からの基板ホルダの回収、及び/又は前記搬送路への基板ホルダの供給が可能であり、かつ前記複数の真空チャンバーの一つと連結したストックチャンバー、を備え、前記ストックチャンバーは、基板ホルダを回転機構の中心軸の周りに垂直の状態で配置可能な構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置及び成膜装置用ストックチャンバーに関し、特に、基板ホルダの交換および基板ホルダに堆積した膜の除去の工程に影響を受けることなしに被処理基板としての基板の成膜処理が可能な成膜装置及び成膜装置用ストックチャンバーに関する。
【背景技術】
【0002】
基板を保持させた基板ホルダを移動させて成膜する生産用成膜装置においては、所定の成膜処理を行った基板を取り出した後、基板ホルダに新たな基板を保持させて、繰り返し前記成膜処理を行う。基板に対する成膜処理時には、基板だけではなく基板ホルダの基板保持爪およびその周辺にも膜が堆積されるので、前記基板ホルダを繰り返し使用すると、基板ホルダ、特に基板保持爪及びその周辺部に厚く膜が堆積し、その膜の剥がれに起因する基板の成膜品質低下という問題を生じていた。
【0003】
この問題を防止あるいは低減するために、複数の真空チャンバーを縦設した成膜装置の搬送路に対して分岐させて設けた膜除去チャンバーで、基板ホルダ上に堆積した膜の除去を行なう成膜装置が特許文献1に開示されている。特許文献1によれば、図19に示すように膜除去チャンバー41において一枚の基板ホルダ表面の堆積膜を除去する構成となっている。
【0004】
また、成膜装置のロードロックチャンバーとアンロードロックチャンバーの間に設けられた移動機構のリターン移動路上に膜除去機構を設けて、基板ホルダ上の堆積膜を除去する成膜装置が特許文献2に開示されている。
【0005】
しかしながら、基板ホルダ表面に堆積した膜が厚くなると、前記の膜除去方法では一連の成膜工程に影響を与えずに基板ホルダ表面の堆積膜を効率的に除去することが困難となってきている。特に、近年の高密度記録媒体の要求により垂直磁気記録方式が採用されると、形成膜厚が厚いためにその問題が顕在化し、基板ホルダの交換を頻繁に行う必要が生じてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−273615
【特許文献2】特開2001−156158
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上述べたように、垂直磁気記録用成膜装置において、現状では、基板ホルダの基板保持爪やその周辺部に堆積した膜の剥離に起因するパーティクルの発生を防ぐ為に1日から2日で基板ホルダを交換している。
【0008】
従来の成膜装置では、装置外部に設けた真空加熱脱ガス炉で、堆積膜を除去した洗浄済みの基板ホルダあるいは新規基板ホルダ(以下、両者を新規基板ホルダという。)を脱ガス保管しておく。交換が必要な基板ホルダを回収後あるいは回収時に、前記脱ガス済み新規基板ホルダを脱ガス炉から一旦大気に取り出し、一枚ずつ成膜装置に供給している。新規基板ホルダを供給したこの成膜装置では、成膜に必要な所定圧力に達するまでの排気に時間が掛かること、及び、一般に加熱室で再脱ガスする必要があり、実際の生産に入るまでに非常に時間を要する問題があった。特に複数の基板ホルダの交換時には顕著である。
【0009】
また、特許文献1に示す成膜装置では、基板ホルダ上の薄い膜に関しては成膜工程に影響を与えずに除去を行うことができるものの、前述のように厚い膜になると、新規基板ホルダを成膜装置の搬送路に戻すタイミングの問題が生じて成膜工程を拘束するために、効果的に生産を行うことができない。
【0010】
また、特許文献2の成膜装置では、膜除去機構が成膜装置の搬送路に設けられているため、基板ホルダ上の堆積膜が厚くなると、この膜除去機構での処理時間に全体の成膜処理時間が拘束され、生産性が低下する。また、成膜処理工程に影響を与えずに膜除去処理を行う場合には、十分に膜除去を行うことができない。
【0011】
そこで本発明は、成膜装置の搬送路に複数の基板ホルダを保管する基板ホルダ保管室を設けることにより、基板ホルダの表面に堆積した膜の除去の工程および基板ホルダの交換工程、または膜の除去の工程若しくは基板ホルダの交換工程に影響を受けることなしに基板の生産を効率的に行うことができる成膜装置及び成膜装置用ストックチャンバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による成膜装置は、方形型の閉ループ状に連結された複数の真空チャンバーと、複数の真空チャンバー内に設けられている方形型の閉ループ状の搬送路と、基板ホルダを搬送路に供給できるストックチャンバーと、を備え、方形型の閉ループ状に連結された複数の真空チャンバーのうち、角の場所に配置されている真空チャンバーは、基板ホルダの搬送方向を転換する方向転換機構が設けられた方向転換チャンバーであり、ストックチャンバーは、方向転換チャンバーに連結されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による成膜装置のストックチャンバーは、ストックチャンバー内に設けられ、複数の前記基板ホルダを重力方向と交わる第1の方向に向けて垂直の状態で並列して配置できる基板ホルダ保持具を有し、ストックチャンバーが連結されている方向転換チャンバーに設けられている方向転換機構は、第1の方向から第1の方向と直交する水平方向へ基板ホルダの搬送方向を転換するものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による成膜装置のストックチャンバーは、垂直の状態で前記第1の方向に並べられ、基板ホルダ保持具に配置されている基板ホルダを第1の方向と直交する水平方向へ搬送できる磁石機構をさらに有し、磁石機構による基板ホルダの搬送方向の延長線上で方向転換チャンバー内の搬送路と連結されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による成膜装置のストックチャンバーは、前記基板ホルダを回転機構の中心軸の周りに垂直の状態で配置可能な構成とされていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による成膜装置のストックチャンバーは、脱ガス機構を有することを特徴とするものであることを特徴とする。或いは、本発明による成膜装置のストックチャンバーは、基板ホルダ表面に堆積した膜を除去する膜除去機構を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による成膜装置は、複数の基板ホルダの番号を管理し、交換すべき基板ホルダの番号を記憶し、記憶された番号に基づいて、基板ホルダを供給する制御装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、成膜装置の搬送路に複数の基板ホルダを保管する基板ホルダ保管室を設けて、真空を保持したまま搬送路からの基板ホルダの回収および搬送路への基板ホルダの供給を行うことにより、基板ホルダの交換工程および基板ホルダ表面の膜除去工程、または基板ホルダの交換工程若しくは基板ホルダ表面の膜除去工程に影響を受けることなしに生産を行うことができるため、新旧の基板ホルダの交換時間が短縮されて、効率的に生産を行うことができる。
【0019】
また、本発明による成膜装置の基板ホルダ保管室は、脱ガス機構が設けられており、基板ホルダを大気中に取り出すことなく、脱ガス化が可能となる。
【0020】
また、本発明による成膜装置の基板ホルダ保管室は、別経路で基板ホルダの堆積膜除去を行なうことができるので、成膜工程に影響を与えることなしにパーティクル発生を抑制できる。
【0021】
また、本発明による成膜装置の基板ホルダ保管室は、堆積膜除去機構が備えられており、基板ホルダを大気に晒すことなくその表面の堆積膜を除去することができるので、大気圧からの再度排気が不要となり、生産が向上する。
【0022】
また、本発明による成膜装置の基板ホルダ保管室は、搬送路上の方向転換チャンバーとの接続だけでなく、真空チャンバー、ロードロックチャンバー、アンロードロックチャンバーとも接続することができる。特に、2つの近接する方向転換チャンバーに、供給用基板ホルダ保存室と回収用基板ホルダ保存室をそれぞれ接続して基板ホルダの回収と供給を別々に行う構成であると、さらに効率よく生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下図面を参照して本発明による成膜装置について説明する。なお、本発明による成膜装置は、複数枚の基板ホルダの格納、供給を行う基板ホルダ保管室(以下、ストックチャンバーという。)を備えることにより、基板ホルダに付着した堆積物の除去工程および基板ホルダの交換、または基板ホルダに付着した堆積物の除去工程若しくは基板ホルダの交換による装置の稼働低下を防止して、高い稼働率を維持するようにしたものである。
【0024】
図1は、本発明による成膜装置の一例としての情報記録ディスク用基板処理装置の概略構成を示す図、図2は、ストックチャンバーを方向転換チャンバーに接続した概略図、図3は、ストックチャンバーの側面図である。
【0025】
図1に示すように、成膜装置としての情報記録ディスク用基板処理装置1は、未成膜の基板8(前処理済みの基板も含む。)を基板ホルダ9に搭載するロードロックチャンバー2と、成膜済みの基板8を基板ホルダ9から回収するアンロードロックチャンバー3と、各種処理を行う真空チャンバー4と、基板8の搬送方向を90度転換する方向転換機構を備えた方向転換チャンバー5a、5b、5c、5dと、新たな基板ホルダ9を搬送路6に供給する回転式供給用ストックチャンバー11と、使用済みの基板ホルダ9を回収収納する回転式回収用ストックチャンバー12と、基板8を保持した基板ホルダ9が移動する各真空チャンバー4内に設けられた搬送路6とから構成される。また、各真空チャンバー4の間にはゲートバルブ7が設けられている。各真空チャンバー4の内部は、排気装置(図
示せず)により真空排気され、各真空チャンバー4はゲートバルブ7によって互いに隔離され、閉ざされた真空処理室を形成する。ゲートバルブ7が開放されると各真空チャンバー4は連通した状態となり、基板ホルダ9の搬入出ができるようになっている。したがって、搬送路6は、図1に示すように、閉ループでなり、搬送路6内が真空状態で保持される。
【0026】
また、図1に示すように、成膜装置としての情報記録ディスク用基板処理装置1の搬送路6は、前述したように、閉ループでなり、基板ホルダ部17(図4(a)に示す)を搭載した基板ホルダ9が情報記録ディスク用基板処理装置1内を巡回するようになっている。
【0027】
また、図1に示すように、ロードロックチャンバー2内には、基板8を基板ホルダ9に搭載する搭載用ロボット(図示せず)が設けられている。搭載用ロボットは、アームによって搭載用補助チャンバー25から基板8を1枚あるいは複数枚ずつ保持して基板ホルダ9に搭載するように構成されている。また、アンロードロックチャンバー3には、搭載用ロボットと同様の構成の回収用ロボット(図示せず)が設けられている。回収用ロボットは、そのアームによって基板ホルダ9から基板8を1枚あるいは複数枚ずつ保持して回収用補助チャンバー26内に搬入するように構成されている。
【0028】
各種処理を行う真空チャンバー4は、薄膜の作成の前に基板8を予め加熱する基板加熱チャンバー、予備加熱された基板8に下地膜を作成する下地膜作成チャンバー、下地膜の作成された基板8に磁性膜を作成する磁性膜作成チャンバー、磁性膜の上に保護膜を作成する保護膜作成チャンバー等のプロセスに応じたチャンバーで構成されている。
【0029】
方向転換チャンバー5は、方形型搬送路6の角の場所の4カ所(5a、5b、5c、5d)に設置されており、基板ホルダ9の搬送方向を90度転換する方向転換機構を備えている。
【0030】
また、回転式供給用ストックチャンバー11は、収納している新たな基板ホルダ9を搬送路6に供給するものである。図2および図3を参照して、回転式供給用ストックチャンバー11について詳述する。
【0031】
図2に示すように、回転式供給用ストックチャンバー11は、ゲートバルブ7を介して連結用搬送装置30と接続されており、連結用搬送装置30からゲートバルブ7を介して方向転換チャンバー5と連結するように構成されている。また、回転式供給用ストックチャンバー11は、内部に基板ホルダ9を収納しており、基板ホルダ9は、垂直の状態で円の中心に向かって所定の角度で放射状に配置されている。
【0032】
図2に示すように、連結用搬送装置30は、回転式供給用ストックチャンバー11から搬送された基板ホルダ9を一時的にストックして方向転換チャンバー5に供給するものであり、回転式供給用ストックチャンバー11と方向転換チャンバー5とのバッファーとなるようになっている。なお、図1、図2、図7、図8、図10、図11、図13乃至図18に示す実施例では、ストックチャンバーと連結用搬送装置30とをゲートバルブ7を介して別のチャンバーとして構成したが、成膜装置側にゲートバルブを有し、ストックチャンバー内に搬送路を設けて連通した構成のストックチャンバーでもよい。
【0033】
図2および図3に示すように、回転式供給用ストックチャンバー11は、回転可能な回転テーブル11a上に同心円状に配置した基板ホルダ9を搭載している。回転テーブル11aの中心は回転軸に固定されており、回転軸はギアーボックス11bに連結している。
ギアーボックス11bの他端は、モータ11cの軸と直結している。モータ11cが回転することにより、回転テーブル11aが回転するようになっている。モータ11cには、ロータリエンコーダを内蔵しており、ロータリエンコーダからのパルス数およびギアーボックス11bのギア比により回転テーブル11aの回転角度が検出できるようになっている。また、回転式供給用ストックチャンバー11の供給ガイド11dから連結用搬送装置30へ基板ホルダ9を搬送するための回転磁石20および回転機構21が配設されている。
【0034】
また、図3に示すように、基板ホルダ9は、回転可能なガイドローラ11fに搭載されている。基板ホルダ9は、搬送路6、連結搬送装置30に設けられたガイドローラ、プーリにガイドされて移動するようになっている。
【0035】
また、図3に示すように、回転式供給用ストックチャンバー11には、真空排気機構(図示せず)と脱ガス機構(図示せず)が設けられており、基板ホルダを大気中に取り出すことなく、脱ガス化が可能となっている。更に、堆積膜除去機構(図示せず)を備えることにより、基板ホルダ部17の堆積膜の除去が行えるようになっている。真空排気機構は、クライオポンプまたはターボ分子ポンプから構成されており、回転式供給用ストックチャンバー11内を所定の真空圧以下となるように排気するものである。脱ガス機構は、真空雰囲気中あるいは不活性ガスを導入したガス雰囲気中で加熱ヒータにより所定の温度まで加熱し、基板ホルダ9の表面から発生するガスを排気または除去するものである。なお、真空条件化でグロー放電を発生させて脱ガスを行うようにしてもよい。堆積膜除去機構
は、チャンバー内に不図示のガス導入管からガスを導入し、不図示の電極あるいは基板ホルダ部17に高周波電圧あるいは直流電圧を印加して発生させたプラズマ放電や、あるいは、電極による高周波放電と基板ホルダ部17に印加した負のバイアス電極によりスパッタエッチングで基板ホルダ部17の堆積膜を除去するものである。
【0036】
また、図1に示すように、使用済みの基板ホルダ9を回収、収納する回転式回収用ストックチャンバー12は、回転式供給用ストックチャンバー11と同一構成であり、連結用搬送装置30からの基板ホルダ9を順次収納するようになっている。
【0037】
また、回転式供給用ストックチャンバー11および回転式回収用ストックチャンバー12は、情報記録ディスク用基板処理装置1の搬送路6に存在する基板ホルダ9の個数以上を格納するようになっている。
【0038】
次に、図4を参照して基板ホルダの構成の一例について述べる。図4(a)は、基板ホルダ部の構成を示す正面図、図4(b)は基板ホルダの構造を示す正面図、図4(c)は、図4(b)に示すA−A’線の矢視図である。
【0039】
図4(a)に示すように、基板ホルダ部17は、下部が2段階に幅狭となる形状を有し、基板ホルダ部17の上部には基板8が挿入される円形の開口17aが形成されている。
開口17aの周辺に取り付けられた複数のバネ部材17bにより基板8の外周面を脱着可能に把持する構成となっている。
【0040】
図4(b)に示すように基板ホルダ9は、2枚の基板ホルダ部17と、基板ホルダ部17を保持するキャリア19とからなり、キャリア19が搬送路6上を移動して基板ホルダ部17を搬送する。キャリア19の断面は、図4(c)に示すように、くぼみ部19aが形成されたコの字形状をなし、上部の肉厚部19bには基板ホルダ部17を嵌合するスリット状の溝がくぼみ部19aへ貫通して形成されている。基板ホルダ部17の中間部17cがキャリア19と嵌合し、先端部はくぼみ部19aに突出して、堆積膜除去の際のバイアス印加部と接触できる構造となっている。なお、堆積膜除去のためのバイアス印加部の接触箇所は、基板ホルダ部17のいずれの箇所でも良い。
【0041】
また、図4(b)に示すように、キャリア19の下縁には、キャリア磁石19cが設けられている。このキャリア磁石19cは小さな直方体状の磁石であり、搬送方向に沿ってキャリア19の下面に所定間隔で多数設けられている。図4(b)に示すように、キャリア磁石19cは、N極、S極と交互に磁極が変わるように配置されている。
【0042】
一方、図5に示すように搬送路6側には回転磁石機構20が設けられていて、前記キャリア磁石19cと回転磁石20aとの磁気的な相互作用により搬送が行われる。なお、この搬送機構および基板ホルダ搬送方法の詳細については特開平8−274142に開示されているので説明を省略する。
【0043】
次に、ストックチャンバーの動作の一例について図6乃至図8を参照して説明する。図6は、ストックチャンバーの使用済み基板ホルダの全数の回収動作および新規の基板ホルダの供給動作を示すフローチャート、図7は、回転式回収用ストックチャンバー12の基板ホルダ収納開始時の搬送路6上の基板ホルダ9の位置を示す図、図8は、回転式供給用ストックチャンバー11の基板ホルダ供給開始時の搬送路6上の基板ホルダ9の位置を示す図である。なお、図6乃至図8に示す成膜装置は、搬送路6から基板ホルダ9の回収を行う回転式回収用ストックチャンバー12と搬送路6に新規の基板ホルダを供給する回転式供給用ストックチャンバー11とを備えたものであり、基板8の供給および回収用ストックチャンバーと搬送路6の一部を示した図である。また、図7および図8に示す基板ホ
ルダ91oから916oは、交換が必要な基板ホルダ9を示し、基板ホルダ91nは、新規の基板ホルダ9を示すものである。なお、ストックチャンバーの動作は、成膜装置の構成や成膜行程により変更できる。
【0044】
なお、ストックチャンバーは、使用済みの基板ホルダの全数を搬送路から回収し、新規の基板ホルダを搬送路へ供給、および成膜処理中に生じた不具合を有する基板ホルダ、若しくは新規の基板ホルダを供給後の基板脱着で不備のあった基板ホルダのみを回収して、新規の基板ホルダを搬送路へ供給をおこなうものである。
【0045】
また、ストックチャンバーによる基板ホルダの搬送路からの回収および基板ホルダの搬送路への供給は、基板が基板ホルダに装着されていない状態、または基板ホルダに基板が装着されている状態で行われる。基板が基板ホルダに装着されていない場合は、成膜済みの基板をアンロードチャンバーで回収後、基板ホルダだけをストックチャンバーで回収して、新規の基板ホルダに交換したり、回収済み基板ホルダを真空中で堆積膜除去を行う。
【0046】
基板が基板ホルダに装着されている場合は、成膜済みの基板を装着したままストックチャンバーに回収して、新規の基板ホルダと交換し、大気中で成膜済み基板を回収する。また、基板の成膜に不良がある場合には、基板を基板ホルダに装着したままストックチャンバーに回収して、新規の基板ホルダに交換したり、回収済み基板ホルダを真空中で堆積膜
除去を行うようになっている。
【0047】
以下に示すストックチャンバーの動作の制御は、情報記録ディスク用基板処理装置1の制御装置に内蔵されたコンピュータにより実行されるものである。
【0048】
最初に、供給用ストックチャンバー11には、前もって洗浄済みの新規の基板ホルダ部17を搭載した基板ホルダ9を格納しておき、また回転式回収用ストックチャンバー12には、基板ホルダ9を格納できるように収納済み基板ホルダ9を取り除いておく。
【0049】
情報記録ディスク用基板処理装置1の制御装置は、基板ホルダ9の交換が必要かをチェックする(ステップS1)。基板ホルダ9の交換のチェックは、製品の品質チェック、基板ホルダの使用時間、基板の生産量、オペレータの交換指示等で判断する。基板ホルダの交換が必要ないときには、基板8の通常の成膜処理を継続する。基板ホルダの交換が必要なときには、ロードロックチャンバー2に到達した基板ホルダ9に未処理の基板8の装着を行わないようにする(ステップS2)。以後、基板8を装着していない基板ホルダ9が、第1の方向転換チャンバー5aに送り出される。以後、ロードロックチャンバー2は、新規の基板ホルダ9が到着するまで未処理の基板8の装着を行わない。また、各真空チャンバー4は、基板8を装着していない基板ホルダ9が到着したときには、処理を行わずに
基板ホルダ9を通過するようにする。次に、基板なしの基板ホルダ9が第2の方向転換チャンバー5bに到着したかをチェックする(ステップS3)。基板ホルダ9に基板8が搭載されている場合には、方向転換チャンバー5内に設けられた方向転換機構により基板ホルダ9を90度回転して、ステップS6へ移行する。図7に示すように、基板なしの基板ホルダキャリア(図7に示す91o)が第2の方向転換チャンバー5bに到着したときには、基板なしの基板ホルダ9を第2の方向転換チャンバー5bから連結用搬送装置30へ搬送して(ステップS4)、連結用搬送装置30から回転式回収用ストックチャンバー12へ基板ホルダ9を搬送する(ステップS5)。回転式回収用ストックチャンバー12は、基板ホルダ9を収納後に、回転テーブル11aを所定の角度回転させて次の基板ホルダ
9の収納に備えるようにする。
【0050】
次に、図8に示すように、最後の成膜処理中の基板8の基板ホルダ916oが第3の方向転換チャンバー5cに到着したかをチェックする(ステップS6)。最後の成膜処理中の基板8の基板ホルダ916oが第3の方向転換チャンバー5cに到着していない場合は、回収すべき最後の基板ホルダの成膜処理が完了するまで成膜処理を行い、成膜処理された基板8はアンロードロックチャンバーで回収するようにする(ステップS7)。基板ホルダ9を搬送後にステップS3に移行する。図8に示すように、最後の処理中の基板8の基板ホルダ916oが第3の方向転換チャンバー5cに到着した場合には、回転式供給用ストックチャンバー11から新規の基板ホルダ91nを連結搬送装置30へ搬送する(ステップS8)。また、回転式供給用ストックチャンバー11は、基板ホルダ9を連結搬送装置30へ搬送後に、回転テーブル11aを所定の角度回転させて次の基板ホルダ9の供給に備えるようにする。第3の方向転換チャンバー5cに基板ホルダ9が無いかをチェックして(ステップS9)、第3の方向転換チャンバー5cに基板ホルダ9が無い時には、連結搬送装置30から第3の方向転換チャンバー5cに新規の基板ホルダ91nを供給する(ステップS10)。
【0051】
次に、回転式回収用ストックチャンバー12が使用済み基板ホルダ9を総て回収済みであるかをチェックする(ステップS11)。情報記録ディスク用基板処理装置1内に使用済み基板ホルダ9がある場合にはステップS3に移行する。回転式供給用ストックチャンバー11が新規の基板ホルダ9を総て情報記録ディスク用基板処理装置1内に供給済みかチェックして(ステップS12)、未供給の基板ホルダ9がある場合には、ステップS8に移行する。
【0052】
以上の処理により、情報記録ディスク用基板処理装置1内の総ての使用済み基板ホルダ9が、新規の基板ホルダ9に短時間で交換することができる。なお、すべての新規基板ホルダの供給完了後に、ロードロックチャンバーにおいて行う基板脱着の確認により、脱着不具合を生じた新規基板ホルダを検出した場合には、後述の特定の基板ホルダの回収動作および回収後の新規の基板ホルダの供給動作のフローチャートと同様に、さらに予備の新規基板ホルダと交換する。
【0053】
また、ストックチャンバーには、堆積膜除去機構が備えられており、基板ホルダを大気に晒すことなくその表面の堆積膜を除去することができるので、大気圧からの再度排気が不要となり、生産が向上する。
【0054】
図9は、ストックチャンバーの特定の基板ホルダの回収動作および回収後の新規の基板ホルダの供給動作を示すフローチャートである。なお、特定の基板ホルダとは、成膜に係る総てのプロセス処理中に発生した不具合のある基板ホルダまたは脱着確認により不具合を検出した基板ホルダであり、搬送路より回収が必要な基板ホルダをいう。
【0055】
最初に、供給用ストックチャンバーには、前もって洗浄済みの新規の基板ホルダ9を格納しておき、また、回収用ストックチャンバーには、基板ホルダ9を格納できるように予め必要な基板ホルダ数よりも多い収納スペースを設けておく。また、それ以上のスペースが必要な場合には、収納済み基板ホルダ9を取り除いておく。
【0056】
情報記録ディスク用基板処理装置1の制御装置は、常に基板ホルダの番号と搬送路上の位置を管理し、特定の基板ホルダが搬送路上に存在しているかをチェックする(ステップS20)。特定の基板ホルダが搬送路上に存在していない場合、即ち基板ホルダの交換が必要ないときには、基板8の通常の成膜処理を継続する。特定の基板ホルダが搬送路上に存在している場合には、搬送路上での特定の基板ホルダの番号と位置を確認して、その番号と位置を記憶する。以後、搬送路上における特定の基板ホルダの番号と位置は、制御装置により管理される。次に、回転式供給用ストックチャンバー11から新規の基板ホルダ9が連結搬送装置30に搬送される(ステップS22)。また、回転式供給用ストックチャンバー11は、基板ホルダ9を連結搬送装置30へ搬送後に、回転テーブル11aを所定の角度回転させて次の基板ホルダ9の供給に備えるようにする。各真空チャンバー4は、特定の基板ホルダ9が到着したときには、処理を行わずに基板ホルダ9を通過するようにする。
【0057】
次に、特定の基板ホルダ9が第2の方向転換チャンバー5bに到着したかをチェックする(ステップS23)。特定の基板ホルダ9が第2の方向転換チャンバー5bに到着していない場合には、方向転換チャンバー5内に設けられた方向回転機構により基板ホルダ9を90度回転して、通常の成膜処理を継続して(ステップS26)、ステップS27へ移行する。特定の基板ホルダが第2の方向転換チャンバー5bに到着したときには、特定の基板ホルダ9を第2の方向転換チャンバー5bから連結用搬送装置30へ搬送して(ステップS24)、連結用搬送装置30から特定の基板ホルダ9を回転式回収用ストックチャンバー12に搬送して収納する(ステップS25)。回転式回収用ストックチャンバー12は、基板ホルダ9を収納後に、回転テーブル11aを所定の角度回転させて次の特定の基板ホルダ9の収納に備えるようにする。
【0058】
次に、回収された特定の基板ホルダの番号が第3の方向転換チャンバー5cに到着したかをチェックする(ステップS27)。回収された特定の基板ホルダの番号が第3の方向転換チャンバー5cに到着していない場合は、通常の成膜処理を継続して(ステップS29)、ステップS30に移行する。回収された特定の基板ホルダの番号が第3の方向転換チャンバー5cに到着した場合には、連結搬送装置30から第3の方向転換チャンバー5cに新規の基板ホルダ9を供給する(ステップS28)。
【0059】
次に、回転式回収用ストックチャンバー12が特定の基板ホルダ9を回収済みであるかをチェックする(ステップS30)。情報記録ディスク用基板処理装置1内に特定の基板ホルダ9がある場合にはステップS22に移行する。回転式供給用ストックチャンバー11が新規の基板ホルダ9を情報記録ディスク用基板処理装置1内に供給済みかチェックして(ステップS31)、未供給の基板ホルダ9がある場合には、ステップS27に移行する。
【0060】
以上の動作により、搬送路上の特定の基板ホルダが回収用ストックチャンバーで回収され、また、特定の基板ホルダの番号の位置に新規の基板ホルダが供給用ストックチャンバーにより搬送路に供給される。
【0061】
次に、図10乃至図12を参照してスライド式供給用ストックチャンバー32およびスライド式回収用ストックチャンバー33について述べる。図10に示すように、スライド式供給用ストックチャンバー32は、収納している新たな基板ホルダ9を搬送路6に供給するものである。また、スライド式回収用ストックチャンバー33は、使用済みの基板ホルダ9を搬送路6から回収収納するものである。なお、図10に示す未成膜の基板8を基板ホルダ9に搭載するロードロックチャンバー2、成膜済みの基板8を基板ホルダ9から回収するアンロードロックチャンバー3、各種処理を行う真空チャンバー4、基板8の搬送方向を90度転換する方向転換機構を備えた方向転換チャンバー5、基板8を保持した基板ホルダ9が各真空チャンバー4に沿って移動する搬送路6は、図1に示す情報記録ディスク用基板処理装置1と同一構成、同一機能であるため説明を省略する。
【0062】
図11に示すように、スライド式供給用ストックチャンバー32は、ゲートバルブ7を介して連結用搬送装置30と接続されており、連結用搬送装置30からゲートバルブ7を介して方向転換チャンバー5(5d)と連結するように構成されている。ストックチャンバーと連結用搬送装置30とをゲートバルブ7を介して別のチャンバーとして構成したが、成膜装置側にゲートバルブを有し、ストックチャンバー内に搬送路を設けて連通した構成のストックチャンバーでもよい。あるいは、ストックチャンバー側にゲートバルブを有し、成膜装置の搬送路の外側に搬送路を設けて連通した構成のストックチャンバーでもよい。
【0063】
スライド式供給用ストックチャンバー32は、内部に基板ホルダ9を収納しており、基板ホルダ9は、垂直の状態で基板ホルダ9の各面を平行になるように所定のピッチで配置されている。
【0064】
図12に示すように、スライド式供給用ストックチャンバー32は、枠状の基板ホルダ保持具32aに設けた保持金具32dにより基板ホルダ9を平行に搭載している。また、基板ホルダ保持具32a上の基板ホルダ9を下部から持ち上げる突き上げ部32bが備えられている。突き上げ部32bは、図12に示すように、基板ホルダ保持具32a内に設けられた空間を上下に移動可能であり、基板ホルダ9の両端をU字型の金具で保持するようになっている。突き上げ部32bは、スライド搬送部32cに搭載されている。スライド搬送部32cは、基板ホルダ保持具32aに沿って直線移動が可能であり、所定の位置に移動するように制御されている。また、スライド式供給用ストックチャンバー32の供給ガイド11dから連結用搬送装置30へ基板ホルダ9を搬送するための回転磁石20および回転機構21が配設されている。
【0065】
上記の突き上げ部32bとスライド搬送部32cにより、基板ホルダ9を連結用搬送装置30の第2の搬送路に移動する。基板ホルダ9は、第2の搬送路に設けられた回転磁石機構20と基板ホルダ下部のキャリア磁石19cとの磁気的相互作用により、方向転換チャンバー5に移動する。
【0066】
図10に示すように、スライド式回収用ストックチャンバー33は、スライド式供給用ストックチャンバー32と同一構成であり、連結用搬送装置30からの基板ホルダ9を順次収納するようになっている。
【0067】
また、スライド式供給用ストックチャンバー32およびスライド式回収用ストックチャンバー33には、堆積膜除去機構が備えられており、基板ホルダを大気に晒すことなくその表面の堆積膜を除去することができるので、大気圧からの再度排気が不要となり、生産が向上する。
【0068】
なお、スライド式供給用ストックチャンバー32およびスライド式回収用ストックチャンバー33の動作は、図6乃至図8に示すストックチャンバーの動作を適用できるため、詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0069】
以上述べたストックチャンバーは、供給用ストックチャンバーおよび回収用ストックチャンバーをそれぞれ方向転換チャンバーに連結用搬送装置を介して方向転換チャンバーに接続した実施形態について述べたが、本発明の成膜装置では以下に述べる実施例についても可能なようになっている。
【0070】
図13は、基板ホルダを搭載した基板ホルダ9の回収および供給を同時に行うことが可能な回転式回収供給用ストックチャンバー13を搬送路6に接続した実施例である。
【0071】
図13に示すように、基板ホルダ9の回収および供給を行う回転式回収供給用ストックチャンバー13は、方向転換チャンバー5bに接続されており、最初に使用済みの基板ホルダ9を搬送路6より回収して、回転式回収供給用ストックチャンバー13に格納する。次に、格納している洗浄済み基板ホルダ9を供給位置に回転させて、連結用搬送装置30に供給するようにする。そして、洗浄済み基板ホルダ9で空となっている場所に搬送路6からの使用済みの基板ホルダ9を格納するようにする。以上のように、搬送路6からの基板ホルダ9の回収、搬送路6への基板ホルダ9の供給を1つのストックチャンバーで行うことができる。
【0072】
また、図14に示すように、アンロードロックチャンバー3とロードロックチャンバー2との間に方向転換チャンバー5を設けて、アンロードロックチャンバー3とロードロックチャンバー2との間の方向転換チャンバー5に回転式回収供給用ストックチャンバー13を接続するようにする。アンロードロックチャンバー3とロードロックチャンバー2との間に回転式回収供給用ストックチャンバー13を設けることにより、アンロードロックチャンバー3で基板8を取り外した基板ホルダ9が次の方向転換チャンバー5に搬送されて、その位置で使用済み基板ホルダ9が回転式回収供給用ストックチャンバー13に回収されるため、基板ホルダ9が真空チャンバー4内を移動する必要がなくなる。また、回転式回収供給用ストックチャンバー13から供給された洗浄済みの新規の基板ホルダ9が、方向転換チャンバーからロードロックチャンバー2に供給されるため、真空チャンバー4内を移動する必要がなくなり、基板ホルダ9の搬送時間が短縮されて、基板ホルダ9の交換時間を短くすることができる。
【0073】
また、図15に示すように、回転式回収供給用ストックチャンバー13をロードロックチャンバー2に接続して、ロードロックチャンバー2に基板ホルダ9を90度回転させる方向転換機能を持たせて、基板ホルダ9の回収、供給を行うようにしてもよい。
【0074】
なお、図15に示す実施例では、回転式回収供給用ストックチャンバー13をロードロックチャンバー2に接続しているが、回転式回収供給用ストックチャンバー13をアンロードロックチャンバー3に接続するようにしてもよい。
【0075】
また、図16に示すように、図12に示す基板ホルダ保持具32a全体を移動可能に構成したスライド式回収供給用ストックチャンバー34により、基板ホルダ9の搬送路6からの回収、搬送路6への供給を行うことも可能となる。図16に示すスライド式回収供給用ストックチャンバー34は、点線で示す位置まで基板ホルダ保持具32aを移動することができる。
【0076】
また、図17に示すように、回転式供給用ストックチャンバー11を方向転換機能を具備したロードロックチャンバー2に接続して、回転式回収用ストックチャンバー12を方向転換機能を具備したアンロードロックチャンバー3に接続して、ロードロックチャンバー2に新規の基板ホルダ9を供給し、アンロードロックチャンバー3より使用済みの基板ホルダ9を回収するようにしてもよい。図17に示す情報記録ディスク用基板処理装置1は、アンロードロックチャンバー3での使用済み基板ホルダ9が、直ちに回転式回収用ストックチャンバー12で回収されて、また、回転式供給用ストックチャンバー11からの新規の基板ホルダ9が、ロードロックチャンバー2に供給されるため、基板ホルダ9の交換時間を短縮することができる。
【0077】
また、図18に示す成膜装置1は、真空チャンバー4を直線的に配置して、回転式回収供給用ストックチャンバー13をロードロックチャンバー2にゲートバルブ7および連結用搬送装置30を介して接続し、搬送路6の終端にアンロードロックチャンバー3を設けたものである。回転式回収供給用ストックチャンバー13より供給された基板ホルダ9は、ロードロックチャンバー2で基板8の装着が行われて、真空チャンバー4で成膜を行い、アンロードロックチャンバー3で基板ホルダ9から基板8の回収を行い、基板8の未装着の基板ホルダ9が図18に示す点線の矢印方向に移動して、回転式回収供給用ストックチャンバー13で回収される。次に、新たな基板ホルダ9が回転式回収供給用ストックチャンバー13より搬送路6に供給される。
【0078】
以上述べたように、同一のストックチャンバーで基板ホルダの回収と供給を行っても良い。好適には別々のストックチャンバーで行うと、さらに効率よく新旧の基板ホルダの交換を行うことができる。
【0079】
また、ストックチャンバーの接続は方向転換チャンバー5だけでなく、真空チャンバー4やロードロックチャンバー2またはアンロードロックチャンバー3で行うことも可能である。なお、成膜装置に於けるストックチャンバーの接続台数、接続箇所は適宜選択するようにすることが可能である。
【0080】
また、本願の成膜装置の基板ホルダ保存室は、基板ホルダを垂直状態で移動させる成膜装置に適用したが、基板ホルダを水平状態で移動させる方式の成膜装置にも適用可能である。
【0081】
また、本願の成膜装置は、垂直磁気記録用成膜における基板ホルダに厚い膜が堆積した場合に生産性を低下させることなく効率的に成膜処理を行うことを目的としたが、当然ながら面内(長手方向)磁気記録用成膜等の薄い膜の場合にも適用できる。
【0082】
なお、実施例として情報記録ディスク用基板処理装置について説明したが、基板を基板ホルダに保持して成膜処理を行う成膜装置に適用でき、情報記録ディスク用基板処理装置に限定されるものではない。また、実施形態および実施例での構成、形状、配置関係等については本発明が理解、実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って、本発明は説明された実施形態や実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明による成膜装置としての情報記録ディスク用基板処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】ストックチャンバーを方向転換チャンバーに接続した概略図である。
【図3】ストックチャンバーの側面図である。
【図4】(a)は基板ホルダの構成を示す正面図、(b)は基板ホルダキャリアの構造を示す正面図、(c)は図4(b)に示すA−A’線の矢視図である。
【図5】基板ホルダキャリアの搬送動作を説明するための図である。
【図6】ストックチャンバーの使用済み基板ホルダの回収動作および新規の基板ホルダの供給動作を示すフローチャートである。
【図7】回収用ストックチャンバーの基板ホルダ収納開始時の搬送路上の基板ホルダキャリアの位置を示す図である。
【図8】供給用ストックチャンバーの基板ホルダ供給開始時の搬送路上の基板ホルダキャリアの位置を示す図である。
【図9】ストックチャンバーの特定の基板ホルダの回収動作および回収後の新規の基板ホルダの供給動作を示すフローチャートである。
【図10】スライド式供給用ストックチャンバーおよびスライド式回収用ストックチャンバーを接続した成膜装置としての情報記録ディスク用基板処理装置の概略構成を示す図である。
【図11】スライド式供給用ストックチャンバーを方向転換チャンバーに接続した概略図である。
【図12】スライド式供給用ストックチャンバーの動作を説明するための図である。
【図13】基板ホルダキャリアの回収および供給を同時に行うことが可能な回転式回収供給用ストックチャンバーを搬送路に接続した図を示す。
【図14】アンロードロックチャンバーとロードロックチャンバーとの間の方向転換チャンバーに回転式回収供給用ストックチャンバーを接続した図を示す。
【図15】回転式回収供給用ストックチャンバーをロードロックチャンバーに接続した図を示す。
【図16】図8に示す基板ホルダ保持具全体を移動可能に構成したスライド式回収供給用ストックチャンバーを接続した図を示す。
【図17】回転式供給用ストックチャンバーを方向転換機能を具備したロードロックチャンバーに接続し、回転式回収用ストックチャンバーを方向転換機能を具備したアンロードロックチャンバーに接続した図を示す。
【図18】真空チャンバーを直線的に配置して、回転式回収供給用ストックチャンバー13により基板ホルダの供給および回収を行う成膜装置の構成を示す図である。
【図19】膜除去チャンバーを膜形成経路に対して分岐させて設けた従来の成膜装置の概略構成図を示す。
【符号の説明】
【0084】
1 成膜装置(情報記録ディスク用基板処理装置)
2 ロードロックチャンバー
3 アンロードロックチャンバー
4 真空チャンバー
5 方向転換チャンバー
5a 第1の方向転換チャンバー
5b 第2の方向転換チャンバー
5c 第3の方向転換チャンバー
5d 第4の方向転換チャンバー
6 搬送路
7 ゲートバルブ
8 基板(ディスク)
9 基板ホルダ
11 回転式供給用ストックチャンバー
11a 回転テーブル
11b ギアーボックス
11c モータ
11d 供給ガイド
11f ガイドローラ
12 回転式回収用ストックチャンバー
13 回転式回収供給用ストックチャンバー
17 基板ホルダ部
17a 開口
17b バネ部材
17c 中間部
19 キャリア
19a くぼみ部
19b 肉厚部
19c キャリア磁石
20 回転磁石機構
20a 回転磁石
25 搭載用補助チャンバー
26 回収用補助チャンバー
30 連結用搬送装置
32 スライド式供給用ストックチャンバー
32a 基板ホルダ保持具
32b 突き上げ部
32c スライド搬送部
32d 保持金具
33 スライド式回収用ストックチャンバー
34 スライド式回収供給用ストックチャンバー
40 従来の成膜装置
41 膜除去チャンバー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形型の閉ループ状に連結された複数の真空チャンバーと、
前記複数の真空チャンバー内に設けられている方形型の閉ループ状の搬送路と、
基板ホルダを前記搬送路に供給できるストックチャンバーと、を備え、
方形型の閉ループ状に連結された複数の前記真空チャンバーのうち、角の場所に配置されている前記真空チャンバーは、前記基板ホルダの搬送方向を転換する方向転換機構が設けられた方向転換チャンバーであり、
前記ストックチャンバーは、前記方向転換チャンバーに連結されていることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記ストックチャンバーは、前記ストックチャンバー内に設けられ、複数の前記基板ホルダを重力方向と交わる第1の方向に向けて垂直の状態で並列して配置できる基板ホルダ保持具を有し、
前記ストックチャンバーが連結されている前記方向転換チャンバーに設けられている前記方向転換機構は、前記第1の方向から前記第1の方向と直交する水平方向へ前記基板ホルダの搬送方向を転換するものであることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記ストックチャンバーは、垂直の状態で前記第1の方向に並べられ、前記基板ホルダ保持具に配置されている前記基板ホルダを前記第1の方向と直交する水平方向へ搬送できる磁石機構をさらに有し、
前記磁石機構による前記基板ホルダの搬送方向の延長線上で前記方向転換チャンバー内の前記搬送路と連結されることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記ストックチャンバーは、前記基板ホルダを回転機構の中心軸の周りに垂直の状態で配置可能な構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記ストックチャンバーは、脱ガス機構を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記ストックチャンバーは、前記基板ホルダ表面に堆積した膜を除去する膜除去機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記複数の基板ホルダの番号を管理し、前記交換すべき基板ホルダの番号を記憶し、記憶された番号に基づいて、基板ホルダを供給する制御装置を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の成膜装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−137242(P2011−137242A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72600(P2011−72600)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【分割の表示】特願2008−35565(P2008−35565)の分割
【原出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】