説明

戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システムおよび方法

【課題】消防運転等の非常時運転において乗りかごドアが開いた状態で乗りかごが走行する場合に、エレベータ係合部材の衝突を回避するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】乗りかごドア開状態特定装置は乗りかごドアの開状態を特定する。この乗りかごドア開状態特定装置によって特定された乗りかごドアの開状態に基づいて、係合部材衝突可能性判断装置が、乗りかごが走行したときに乗りかご側係合部材が乗り場に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突するか否かを判断する。ドア位置制御装置は、乗りかごが走行したときに乗りかご係合部材が乗り場に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突すると判断されたときに、乗りかごドアモータを制御し、乗りかごドアを乗りかご係合部材が衝突しない予め知られている位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごのドアを開けたまま走行するときのエレベータ係合部材衝突回避システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのドアは乗り場側と乗りかご側にそれぞれ設けられており、通常、乗りかごが各着床階に到着し、停止すると、乗りかご側ドアに設けられた係合部材が乗り場側ドアに設けられたインターロックローラ等の係合部材と係合し、乗りかご側ドアに設けられた動力によって同時に開く。また、乗りかごドアが閉じると、乗り場側ドアも同時に閉じ、ドアスイッチ等により戸閉状態を確認した後、再び乗りかごが昇降する。
【0003】
しかし、エレベータの仕様により、火災時のような非常時に乗りかごドアが開いた状態で乗りかごが昇降する、いわゆる消防運転等の非常時運転を行う場合がある。この場合、消防士等の乗員がエレベータを非常時運転モードに切り替え、乗りかごドアを開けた状態で所望の着床階に移動する。
【0004】
しかし、上記のように乗りかごドアが開いた状態で非常時運転をした場合、乗りかごドアの戸開位置によっては、乗りかごドア側の係合部材と乗り場ドア側の係合部材が衝突し、少なくとも一方の係合部材を破損してしまう虞がある。また、近年では乗り場側と乗りかご側の敷居間の間隙を短縮するために乗り場側敷居の先端に敷居延長ブロックを取り付ける場合も多く、乗りかご側の係合部材が乗り場側敷居の先端に取り付けられた敷居延長ブロックに衝突し、乗りかご側の係合部材および乗り場側敷居延長ブロックの少なくとも一方が破損する虞もある。
【0005】
したがって、乗りかごドアが開いた状態で乗りかごが走行するときに、上記のような部材の破損を回避するエレベータ係合部材衝突回避システムまたは方法が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のニーズに鑑みてなされたもので、消防運転等の非常時運転において乗りかごドアが開いた状態で乗りかごが走行する場合に、乗りかごドアの係合部材が乗り場ドアの係合部材または乗り場側敷居延長ブロック等の構造物に衝突せずに走行できる戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システムは、乗りかごドアの開状態を特定する乗りかごドア開状態特定手段と、この乗りかごドア開状態特定手段によって特定された乗りかごドアの開状態に基づいて、乗りかごが走行したときに乗りかご側係合部材が、乗り場に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突するか否かを判断する係合部材衝突可能性判断手段とを備える。本システムは、また、係合部材衝突可能性判断手段によって乗りかごが走行したときに乗りかご係合部材が乗り場に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突すると判断されたときに、乗りかごドアモータを制御し、乗りかごドアを乗りかご係合部材が衝突しない予め知られている位置に移動させるドア位置制御手段とを備える。
【0008】
ここで、乗り場に設けられ昇降路側に突出している部材は、例えば、乗り場側のドアに設けられ乗りかご係合部材に係合する乗り場側係合部材、またはこの乗り場側係合部材および乗り場側の敷居の先端に設けられた乗り場側敷居延長ブロックである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、消防運転等の非常時運転において乗りかごドアが開いた状態で乗りかごが走行する場合に、乗りかごドアの係合部材が乗り場ドアの係合部材または乗り場側敷居延長ブロック等の構造物に衝突せずに走行できる戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システムおよび方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が適用されるエレベータシステム全体を模式的に示した図である。
【図2】本発明が適用される乗りかご出入り口の実施形態を示す図である。
【図3】本発明が適用される乗り場側出入り口の実施形態を示す図である。
【図4】本発明による実施形態における乗りかご側係合部材と乗り場側係合部材の位置関係を示す図である。
【図5】本発明による実施形態における乗りかご側係合部材と乗り場側敷居延長ブロックの位置関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態にしたがった戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システムの機能ブロック構成の一例を表す図である。
【図7】図6に機能ブロック構成を示したシステムの基本的な動作の一例を表すフローチャートである。
【図8】本発明が適用される乗りかご出入り口の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の実施形態によるシステムを構成する乗りかごドア開状態特定装置の構成例を説明するための図である。
【図10】図9に構成例を示した乗りかごドア開状態特定装置の出力と乗りかごドアの閉状態からの移動距離との関係を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜、図面を参照しながら本発明の一例としての実施の形態の説明を行う。尚、同一部分については、異なる図であっても、同一の参照符号を付する。図1に本発明が適用されるエレベータシステム全体を模式的に示す。乗りかご102は図示しない乗りかご枠に収容され、メイン・ロープの一端に取り付けられた乗りかご枠は、エレベータを走行させる動力源のモータとメイン・ロープを掛けるつな車を有する巻き上げ機104によって昇降路内を走行する。メイン・ロープの他端にはつり合い重りが吊り下げられる。主制御装置106は、巻き上げ機104のモータ、および巻き上げ機104の回転を制動するブレーキを制御し、乗りかご102を走行させ、着床階で停止させる。ブレーキはエレベータ運行の安全性の観点から、通常、複数設けられる。
【0012】
乗りかご102には、乗りかごドアを含む乗りかご側出入り口108が昇降路の乗り場側に設けられている。乗りかごドアは、非常時を除き、着床階の所定の位置に停止したときにのみ開き、その他の状態では閉じている。また、乗りかごドアは、乗りかご102に搭載されたドアモータの駆動力によって開閉するが、乗りかごドアには乗り場側係合部材と係合する乗りかご側係合部材が昇降路の乗り場側に突出して設けられている。着床階の所定の位置に停止したときには、乗りかご側係合部材が乗り場側係合部材と係合することによって、乗り場側ドアが乗りかごドアと連動して開閉する。乗り場側係合部材は、乗りかご102が走行する昇降路側に突出して、乗り場側ドアに設けられている。
【0013】
また、乗りかご102には、エレベータの搭乗者の行き先階指定を受け取る行き先階指定ボタン、乗りかごドア閉ボタン、乗りかごドア開時間延長ボタン、照明装置、警告用照明装置、乗りかごの搭乗者にアナウンスを通知する音声アナウンス装置、非常連絡用通信装置等が備えられている。乗りかご102には、さらに、非常時に保安要員から乗りかごドアの位置を変更する指示を受け取る入力装置が備えられている。
【0014】
乗りかごドアを開閉するドアモータをはじめ、照明装置、および音声アナウンス装置等は、乗りかご制御装置110によって制御され、行き先階指定ボタンからの情報は、乗りかご制御装置110から伝送路116を介して、主制御装置106に伝達される。主制御装置106からは、制御データ等の情報が乗りかご制御装置110に伝達される。
【0015】
それぞれの乗り場側には、乗り場側出入り口112aないし112eが昇降路側に設けられている。それぞれの乗り場側出入り口112aないし112eには、乗り場側ドア、乗り場呼びボタン、乗りかごの走行位置を表示する表示装置等が設けられている。各着床階の乗り場呼びボタンからの情報は、対応する乗り場機器制御装置114aないし114eから伝送路116を介して、主制御装置106に伝達される。乗りかごの走行位置は、主制御装置106から乗り場機器制御装置114aないし114eに伝達される。主制御装置106、乗りかご制御装置110、および乗り場機器制御装置114aないし114eは、通常、マイクロコンピュータ、ROM、RAMまたは磁気記憶装置等のハードウェア資源と、エレベータ制御に必要なソフトウェアを含む、いわゆる組み込みシステムによって実装される。主制御装置106、乗りかご制御装置110、および乗り場機器制御装置114aないし114eは、また、ハードウェアによって実装することもできる。
【0016】
前述したように、一実施形態において、乗り場側出入り口112aないし112e、および乗りかご102のそれぞれの敷居の先端には、乗り場側と乗りかご側の敷居間の間隙を短縮するための間隙短縮用ブロック(図示せず)が設けられている。
【0017】
図2に、本発明が適用される乗りかご出入り口108の実施形態を示す。図2(a)は、乗りかご出入り口108の実施形態を昇降路の外の乗り場側から見た正面図である。図2では、いわゆる横開きの2枚戸両開き方式の乗りかごドアパネル202および204を示している。しかし、本発明は両開き方式か片開き方式かに依存するものではなく、また、ドアを構成する枚数に依存するものでもない。エレベータの乗りかごの出入り口108の上方には、ドアベース206が取り付けられており、ドアベース206には、乗りかごドアの開閉方向に平行にガイドレール208が固定されている。乗りかごドアパネル202の上方には乗りかごドアハンガー210が固定されており、この乗りかごドアハンガー210の上方には、ハンガーローラ212a、212bが設けられている。ハンガーローラ212a、212bはガイドレール208上を転動する。すなわち、乗りかごドアパネル202は、ハンガーローラ212a、212bおよび乗りかごドアハンガー210を介して、ガイドレール208に吊り下げられた状態で、開閉方向に移動する。同様に、乗りかごドアパネル204の上方には乗りかごドアハンガー214が固定されており、この乗りかごドアハンガー214の上方には、ハンガーローラ216a、216bが設けられている。ハンガーローラ216a、216bはガイドレール208上を転動する。すなわち、乗りかごドアパネル204は、ハンガーローラ216a、216bおよび乗りかごドアハンガー214を介して、ガイドレール208に吊り下げられた状態で、開閉方向に移動する。
【0018】
また、ドアベース206には、乗りかごドアパネル202および204を駆動する乗りかごドアモータ218が取り付けられている。乗りかごドアモータ218の回転は、ドアベース206に取り付けられた一方のプーリー220に伝達され、プーリー220と、ドアベース206に取り付けられた他方のプーリー222との間に取り付けられた乗りかごドアベルト224を移動させる。図に示したように、乗りかごドアベルト224の、例えば、下側の部分には、乗りかごドアベルト224と乗りかごドアパネル202とを連結する連結部材226が結合されている。また、乗りかごドアベルト224の、例えば、上側の部分には、乗りかごドアベルト224と乗りかごドアパネル204とを連結する連結部材228が結合されている。乗りかごドアモータ218が回転し、乗りかごドアベルト224の下側の部分が図において左側に移動すると、連結部材226は左側に移動するため、乗りかごドアパネル202も左側に移動、すなわち戸開方向に移動する。このとき、乗りかごドアベルト224の上側の部分は図において右側に移動し、連結部材228は右側に移動するため、乗りかごドアパネル204も右側に移動、すなわち戸開方向に移動する。このようにして乗りかごドアパネル202および204は、移動方向は逆であるが、同じ速さで連動して開閉する。したがって、戸閉状態からの乗りかごドアパネル202および204の移動距離は等しい。尚、乗りかごドアモータ218が回動し、乗りかごドアパネル202および204を開閉するのは、平常時においては、乗りかご102が着床階に到着し、停止したことが確認された場合に限られる。また、図に示した実施形態において連結部材226は、乗りかごドアパネル202の運動を、着床階に設けられた乗り場側ドアに伝え、開閉させるための係合機能も備えており、本明細書において乗りかご側係合部材226と言うこともある。
【0019】
また、乗りかごドアパネル202の下部には複数のガイドシュー230が設けられており、乗りかごドアパネル204の下部には複数のガイドシュー232が設けられている。乗りかごドアパネル202および204が開閉するときには、ガイドシュー230および232が乗りかご敷居234の溝を摺動する。
【0020】
図2(a)には、ドアベース206に設けられた近接センサ236と、乗りかごドアパネル204に設けられた検出用プレート238も示してあるが、これらのコンポーネントについては後ほど説明を行う。
【0021】
図2(b)に、図2(a)においてA−A’で示した部分の断面図を示す。断面がコの字形の部分を含む乗りかご側係合部材226は、乗りかごドアパネル202から乗り場側出入り口112側に突出している。
【0022】
図3に、本発明が適用される乗り場側出入り口112の実施形態を示す。図3(a)は、乗り場側出入り口112の実施形態を昇降路側から見た正面図である。図3(a)と図2(a)では、見ている方向が反対であるため、図3(a)に示す乗り場側出入り口112と、図2(a)に示した乗りかご出入り口108の対応する部材は左右逆に示されている。乗り場側出入り口112のドアに関連する構成は、乗りかご側出入り口108のドアに関連する構成に類似しているが、乗り場側出入り口112側にはドアを駆動する機構が無く、保守点検時等の特別な場合および乗りかご102が到着し停止した後に乗りかごドアパネル202が開く場合を除き、乗り場側出入り口112のドアは閉じられている。また、乗り場側出入り口112のドアにも係合部材があるが、乗りかご側出入り口108のドアに取り付けられた係合部材226とは形状が異なる。
【0023】
乗り場側ドアパネル302および304からなる横開きの2枚戸両開き方式のドアパネルは、乗りかごドアパネル202および204に対応している。エレベータの乗り場側出入り口112の上方には、ドアベース306が取り付けられており、ドアベース306には、乗り場側ドアの開閉方向に平行にガイドレール308が固定されている。乗り場側ドアパネル302の上方には乗り場側ドアハンガー310が固定されており、この乗り場側ドアハンガー310の上方には、ハンガーローラ312a、312bが設けられている。ハンガーローラ312a、312bはガイドレール308上を転動する。すなわち、乗り場側ドアパネル302は、ハンガーローラ312a、312bおよび乗り場側ドアハンガー310を介して、ガイドレール308に吊り下げられた状態で、開閉方向に移動する。同様に、乗り場側ドアパネル304の上方には乗り場側ドアハンガー314が固定されており、この乗り場側ドアハンガー314の上方には、ハンガーローラ316a、316bが設けられている。ハンガーローラ316a、316bはガイドレール308上を転動する。すなわち、乗り場側ドアパネル304は、ハンガーローラ316a、316bおよび乗り場側ドアハンガー314を介して、ガイドレール308に吊り下げられた状態で、開閉方向に移動する。
【0024】
乗り場側ドアパネル302には、乗り場側係合部材340が取り付けられている。乗り場側係合部材340が、乗りかご102が着床階に到着し停止した状態において、乗りかごドアパネル202に取り付けられた乗りかご側係合部材226に係合するため、乗りかごドアパネル202の開閉に連動して乗り場側ドアパネル302が開閉する。
【0025】
図に示すように、乗り場側ドアパネル302に固定された乗り場側ドアハンガー310は、ドアベース306の両端に取り付けられたプーリー320および322との間に取り付けられた乗り場側ドアベルト324の、例えば、下側の部分と、連結部材326によって結合されている。一方、乗り場側ドアベルト324の上側の部分は、連結部材328によって、乗り場側ドアパネル304に固定された乗り場側ドアハンガー314に結合されている。したがって、乗り場側係合部材340が乗りかご側係合部材226に係合しており、乗りかごドアパネル202が開方向に移動すると、乗り場側ドアパネル302も開方向に移動し、乗り場側ドアハンガー310に結合された乗り場側ドアベルト324の下側の部分は図の右方向に移動する。このとき、乗り場側ドアベルト324の上側の部分は図の左方向に移動するから、乗り場側ドアベルト324の上側の部分に結合された乗り場側ドアハンガー314も左方向に移動し、この結果、乗り場側ドアパネル304も図の左方向に移動、すなわち、開方向に移動する。換言すると、乗り場側係合部材340が乗りかご側係合部材226に係合して状態においては、乗りかごドアパネル202が開方向に移動すると、乗り場側ドアパネル302は連動して開方向に移動し、乗り場側ドアパネル304も連動して開方向に移動する。このようにして乗り場側ドアパネル302および304は、移動方向は逆であるが、同じ速さで連動して開閉する。尚、前述したように、乗り場側ドアパネル302および304が開閉するのは、平常時においては、乗りかご102が着床階に到着し、停止したことが確認された場合に限られ、通常は閉じられている。以下においては、乗り場側ドアパネル302および304は閉じているものとして説明を行う。
【0026】
また、乗り場側ドアパネル302の下部には複数のガイドシュー330が設けられており、乗り場側ドアパネル304の下部には複数のガイドシュー332が設けられている。乗り場側ドアパネル302および304が開閉するときには、ガイドシュー330および332が乗り場側敷居334の溝を摺動する。
【0027】
図3(b)に、図3(a)においてB−B’で示した部分の断面図を示す。乗り場側係合部材340は、乗り場側ドアパネル302から乗りかご側出入り口108側に突出している。また、図3には示していないが、前述した、乗り場側と乗りかご側の敷居間の間隙を短縮するために乗り場側敷居334の先端に取り付けられることがあるブロックも乗りかご側出入り口108側に突出する。
【0028】
次に、火災時のような非常時に乗りかごドアを開けて乗りかご102を走行させる場合に、乗りかご側係合部材226と衝突もしくは接触する虞のある乗り場側出入り口から突出している部材との位置関係が、乗りかごドアパネルの開き加減によって変化する状態を説明する。図4に、乗りかご側係合部材226と衝突もしくは接触する虞のある乗り場側出入り口から突出している部材が乗り場側係合部材340である場合の、乗りかご側係合部材226と乗り場側係合部材340の位置関係を説明するための図を示す。尚、図4に示す各図は、乗りかご側および乗り場側のドア、係合部材等を上から見た状態を表している。また、前述したように、本図においても、乗り場側ドアパネル302および304は閉じている。図4(a)は、乗りかごドアパネル202と204が閉じた状態を示している。この状態においては、乗りかごドアパネル202に取り付けられている乗りかご側係合部材226のコの字形の部分の中央に乗り場側ドアパネル302に取り付けられている乗り場側係合部材340が位置している。したがって、乗りかご102が乗り場側係合部材340が設けられた着床階を通過するときに、乗りかご側係合部材226と乗り場側係合部材340とが接触することはない。
【0029】
図4(b)ないし図4(d)では、乗りかご側係合部材226と乗り場側係合部材340との位置関係を見やすくするために、乗りかご側部材と乗り場側部材との間隔を広げて表してある。
【0030】
図4(b)は、図4(a)と同一の状態を示すものであり、この状態においては乗りかご側係合部材226と乗り場側係合部材340とが接触することはない。
【0031】
図4(c)は、乗りかごドアパネル202と204が僅かに開いた状態を示している。この状態においては、乗りかごドアパネル202に取り付けられている乗りかご側係合部材226と、乗り場側ドアパネル302に取り付けられている乗り場側係合部材340のドア開閉方向(図においては水平方向)の位置が一部重なっている。したがって、乗りかご102が乗り場側係合部材340が設けられた着床階を通過するときに、乗りかご側係合部材226の左側の部分が乗り場側係合部材340に衝突することになる。
【0032】
図4(d)は、乗りかごドアパネル202と204が、図4(c)に示した状態に比べて、さらに開いた状態を示している。この状態においては、乗りかごドアパネル202に取り付けられている乗りかご側係合部材226と、乗り場側ドアパネル302に取り付けられている乗り場側係合部材340のドア開閉方向の位置に関して重なっている部分はない。このときの乗りかごドアパネル202と204との間隔はSであり、乗りかごドアパネル202と204との間隔をS以上にすれば、乗りかご側係合部材226と乗り場側係合部材340とが接触することがないようにすることができる。すなわち、乗りかごドアパネル202をS/2以上開くことによって、乗りかご側係合部材226と乗り場側係合部材340とが接触することがないようにすることができる。
【0033】
図において、乗りかご敷居234に、ドア開閉方向の長さがSである標章(マーク)402を示している。この標章402によって、乗りかご102に搭乗する消防士、保安要員等の乗員に、非常時に戸開運転をする際の乗りかごドアパネル移動基準を知らせることができる。また、標章402を設ける代わりに、参照符号402で示した位置を除いた部分に標章を設けても同一の目的を達成することができる。さらに、標章402は乗りかご敷居234に設ける必要は必ずしもなく、乗りかご側出入り口108の上方の見やすい場所に設けてもよい。
【0034】
また、図4(c)に示したように、乗りかごドアパネル202に取り付けられている乗りかご側係合部材226と、乗り場側ドアパネル302に取り付けられている乗り場側係合部材340のドア開閉方向の位置に重なりがあると検知されたときには、乗りかごに設けられた音声アナウンス装置によって、例えば、「乗り場側ドアと干渉するため乗りかごドアを開いて下さい」という趣旨の音声アナウンスを流すことにより乗員に注意喚起することができる。さらに、他の実施形態においては、乗りかごに設けられた警告用照明装置を点灯または点滅させることにより乗員に注意喚起することができる。乗りかごに設けられた音声アナウンス装置および警告用照明装置は、乗りかご制御装置110によって制御される。
【0035】
次に、図5に、乗りかご側係合部材226と衝突もしくは接触する虞のある乗り場側出入り口から突出している部材が、乗り場側敷居334の先端に取り付けられている乗り場側敷居延長ブロック502である場合の、乗りかご側係合部材226と乗り場側敷居延長ブロック502の位置関係を説明するための図を示す。図5においては、説明を簡潔にするために、乗り場側係合部材340は図示していない。本実施形態においては、乗り場側敷居延長ブロック502のドア開閉方向の位置は、図4に示した乗り場側係合部材340と同一であるものとする。また、乗りかご側敷居234の先端には、乗りかご側敷居延長ブロック504および506が、乗り場側係合部材340との接触または衝突しない位置に設けられている。尚、図5に示す各図も、乗りかご側および乗り場側のドア、係合部材等を上から見た状態を表している。また、前述したように、本図においても、乗り場側ドアパネル302および304は閉じている。図5(a)は、乗りかごドアパネル202と204が閉じた状態を示している。この状態においては、乗りかごドアパネル202に取り付けられている乗りかご側係合部材226のコの字形の部分の中央に、乗り場側敷居334の先端に取り付けられている乗り場側敷居延長ブロック502が位置している。したがって、乗りかご102が乗り場側敷居延長ブロック502が設けられた着床階を通過するときに、乗りかご側係合部材226と乗り場側敷居延長ブロック502とが接触することはない。
【0036】
図5(b)ないし図5(d)では、乗りかご側係合部材226と乗り場側敷居延長ブロック502との位置関係を見やすくするために、乗りかご側部材と乗り場側部材との間隔を広げて表してある。
【0037】
図5(b)は、図5(a)と同一の状態を示すものであり、この状態においては乗りかご側係合部材226と乗り場側敷居延長ブロック502とが接触することはない。
【0038】
図5(c)は、乗りかごドアパネル202と204が僅かに開いた状態を示している。この状態においては、乗りかごドアパネル202に取り付けられている乗りかご側係合部材226と、乗り場側敷居334の先端に取り付けられている乗り場側敷居延長ブロック502のドア開閉方向(図においては水平方向)の位置が一部重なっている。したがって、乗りかご102が乗り場側敷居延長ブロック502が設けられた着床階を通過するときに、乗りかご側係合部材226の左側の部分が乗り場側敷居延長ブロック502に衝突することになる。
【0039】
図5(d)は、乗りかごドアパネル202と204が、図5(c)に示した状態に比べて、さらに開いた状態を示している。この状態においては、乗りかごドアパネル202に取り付けられている乗りかご側係合部材226と、乗り場側敷居334の先端に取り付けられている乗り場側敷居延長ブロック502のドア開閉方向の位置に関して重なっている部分はない。このときの乗りかごドアパネル202と204との間隔はTであり、乗りかごドアパネル202と204との間隔をT以上にすれば、乗りかご側係合部材226と乗り場側敷居延長ブロック502とが接触することがないようにすることができる。すなわち、乗りかごドアパネル202をT/2以上開くことによって、乗りかご側係合部材226と乗り場側敷居延長ブロック502とが接触することを回避することができる。
【0040】
図5において、図4の場合と同様に、乗りかご敷居234に、ドア開閉方向の長さがTである標章(マーク)508を示している。この標章508の機能および設け方は、図4を参照しながら行った説明と同一である。
【0041】
また、乗りかご側係合部材226と衝突もしくは接触する虞のある乗り場側出入り口から突出している部材が乗り場側係合部材340である場合と同様に、乗りかごドアパネル202に取り付けられている乗りかご側係合部材226と、乗り場側敷居334に取り付けられている乗り場側敷居延長ブロック502のドア開閉方向の位置に重なりがあると検知されたときには、乗りかごに設けられた音声アナウンス装置によって、例えば、「乗り場側ドアと干渉するため乗りかごドアを開いて下さい」という趣旨の音声アナウンスを流すことにより乗員に注意喚起することができる。さらに、他の実施形態においては、乗りかごに設けられた警告用照明装置を点灯または点滅させることにより乗員に注意喚起することができる。乗りかごに設けられた音声アナウンス装置および警告用照明装置は、乗りかご制御装置110によって制御される。
【0042】
以上、乗り場側敷居延長ブロック502のドア開閉方向の位置は、図4に示した乗り場側係合部材340と同一である実施形態について説明を行ったが、乗り場側敷居延長ブロック502のドア開閉方向の位置が異なる場合であっても、同様に、乗りかご側係合部材226と乗り場側敷居延長ブロックとの接触または衝突を回避することができることは明らかである。また、図5においては、乗り場側係合部材340は図示していないが、実際には乗りかご側係合部材226と乗り場側係合部材340との接触または衝突を回避する必要がある。このためには、乗り場側敷居延長ブロック502のドア開閉方向の位置が図4に示した乗り場側係合部材340と同一である場合には、乗りかごドアパネル202と204との間隔をmax(S,T)以上にすればよい。また、乗り場側敷居延長ブロック502のドア開閉方向の位置が図4に示した乗り場側係合部材340と異なる場合には、同様な考え方にしたがって、乗りかごドアパネル202と204との間隔を適切な範囲に設定することによって目的が達成されることは明らかである。
【0043】
次に、本発明の実施形態にしたがった戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システムの機能ブロック構成と、その動作を図6および図7を参照しながら説明する。図6に本発明の実施形態にしたがった戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システムの機能ブロック構成の一例を示す。図7には、このシステムの動作の一例を表すフローチャートを示す。S702で、乗りかごドア開状態特定装置602は、乗りかごドア202の開状態を特定する。乗りかごドア開状態特定装置602の実施形態については後ほど詳細に説明する。乗りかごドア開状態特定装置602によって特定された乗りかごドア202の開状態に基づいて、係合部材衝突可能性判断装置604は、乗りかご102が走行したときに乗りかご係合部材226が、乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突するか否かを、S704で、判断する。S704で乗りかご係合部材226が、乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突すると判断されると、ドア位置制御装置606は乗りかごドアモータ218を制御し、乗りかごドア202を、乗りかご係合部材226が衝突しない予め知られている位置に向けて移動を開始させる(S706)。次いでS702に戻り、乗りかご係合部材226が、乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突しないと判断されるまで、前述した動作を繰り返す。S704で乗りかご係合部材226が、乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突しないと判断されると、動作は終了する。尚、乗りかごドア開状態特定装置602が開状態を特定する乗りかごドアを、乗りかごドア202と述べたが、他の実施形態において、乗りかごドア204を開状態の特定対象とすることもできる。
【0044】
ここで、乗りかごドア開状態特定装置602の機能は、センサと、乗りかご制御装置110に実装され、係合部材衝突可能性判断装置604およびドア位置制御装置606の機能は、乗りかご制御装置110に実装される。
【0045】
次に、乗りかごドア開状態特定装置602の実施形態について説明する。一実施形態において、乗りかごドア開状態特定装置602は、乗りかごドアモータ218の回転量に基づいて、乗りかごドアの開状態を特定する。前述の説明から分かるように、乗りかごドア202、204の閉じた状態から移動する距離は乗りかごドアモータ218の回転量によって定まるからである。乗りかごドアモータ218の回転は、エンコーダまたはレゾルバ等のモータ回転センサによって検出される。エンコーダまたはレゾルバは、通常、モータの筐体に内蔵されている。エンコーダまたはレゾルバ等のモータ回転センサは、乗りかごドアモータ218の回転情報を乗りかごドア制御装置110に出力する。乗りかごドア制御装置110は、受け取った乗りかごドアモータ218の回転情報から、乗りかごドア202、204の閉じた状態からの移動距離を特定し、係合部材衝突可能性判断装置604に特定した移動距離を伝達する。この実施形態において、係合部材衝突可能性判断装置604は、受け取った乗りかごドア202の閉じた状態からの移動距離と、予め知られている乗りかごドア202における乗りかご側係合部材226の相対位置と、乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材の位置に基づいて、乗りかご102が走行したときに乗りかご係合部材226が乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突するか否かを判断する。
【0046】
次いで、乗りかごドア開状態特定装置602の他の実施形態について説明する。図8に「戸開状態」における乗りかご出入り口108の実施形態を昇降路の外の乗り場側から見た正面図を示す。この図においては、検出用プレート238が近接センサ236に対して右側に移動しているのに対し、図2(a)に示した「戸閉状態」における乗りかご出入り口108の実施形態の図においては、検出用プレート238は近接センサ236に対して左側にある。近接センサ236はドアベース206に設けられており乗りかごドアの開閉によっては移動しないのに対し、検出用プレート238は連結部材228を介して乗りかごドア204に取り付けられており、乗りかごドア204とともに移動するためである。本実施形態の乗りかごドア開状態特定装置602は、近接センサ236と検出用プレート238とから構成される。乗りかごドアパネル204に設けた検出用プレート238は、図2(a)に示した戸閉状態から乗りかご戸開動作とともに移動し、例えば、図8に示すような位置に移動する。検出用プレート238と近接センサ236は、乗りかご側係合部材226と乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材が衝突する戸開位置までは、近接センサ236が検出用プレート238を検出するように配置されている。
【0047】
近接センサ236と検出用プレート238とから構成される乗りかごドア開状態特定装置602の動作を、図9および図10を用いて説明する。図9に、近接センサ236と、乗りかごドア204に取り付けられた検出用プレート238との位置関係を示す。図9(a)は、図2(a)に対応し、乗りかごドア202、204が閉じた状態における位置関係を示し、図9(c)は、図8に対応し、乗りかごドア202、204が開いた状態における位置関係を示す。図9(b)には、図9(a)と図9(c)の中間の状態における位置関係を示す。図9(a)の状態においては、検出用プレート238の右側、すなわち乗りかごドア202から遠い側の端部が、近接センサ236の取り付けられた位置にある。ここで、検出用プレート238において乗りかごドアの開状態の特定のために有効な部分は、参照符号238aで示した検出用プレート238の下側の部分である。検出用プレート238の有効部分238aの、ドア開閉方向(図における水平方向)の幅Lは、乗りかご係合部材226が接触または衝突する、乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材が乗り場側係合部材340のみであるときは図4(d)に示したS/2以上に、乗りかご係合部材226が接触または衝突する、乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材が乗り場側係合部材340および乗り場側敷居延長ブロック502の両方であるときは前述したmax(S,T)/2以上とする。尚、Tについては、図5(d)および対応する説明を参照されたい。図9(c)の状態においては、検出用プレート238はLだけ右側、すなわちドア開方向に移動し、その結果、検出用プレート238の有効部分238aの左側、すなわち乗りかごドア202に近い側の端部が、近接センサ236の取り付けられた位置に移動する。図9(b)の状態においては、検出用プレート238の有効部分238aの中央部が、近接センサ236の取り付けられた位置にある。
【0048】
近接センサ236としては、例えば、反射型光電センサを用いることができる。反射型光電センサは、例えばLEDのような発光素子と、発光素子から出力され何らかの物から反射された反射光を受け電気に変換する受光素子を含む複合コンポーネントである。近接センサ236として反射型光電センサを用いる場合、反射型光電センサからの光は検出用プレートの有効部分238aに向けて出力され、検出用プレートの有効部分238aからの反射光を受光するため、検出用プレート238の有効部分238aには光を適切に反射する材料を用いるか、光の反射率を上げる加工を行うことが望ましい。
【0049】
図10に、近接センサ236として反射型光電センサを用いた場合の、閉状態から乗りかごドアが移動した距離と、検出用プレート238から反射される受光量との関係を模式的に示す。受光量が大きく平坦な領域は、検出用プレート238からの反射光がある領域であり、近接センサ236と検出用プレート238とが近接している領域である。この領域においては乗りかご係合部材226が乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突する可能性が大きい。尚、他の領域で受光量がゼロにならないのは、検出用プレート238以外の部材からの反射が受光されるためである。本実施形態において、係合部材衝突可能性判断装置604は、受光量が予め定めた閾値より大きな場合に、乗りかご102が走行したときに乗りかご係合部材226が乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突すると判断する。
【0050】
以上述べた、近接センサ236と検出用プレート238とから構成される乗りかごドア開状態特定装置602によれば、乗りかごドア202、204の閉状態からの具体的な移動距離を特定することはできないが、乗りかごドアが、乗りかご102が走行したときに乗りかご係合部材226が乗り場114に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突する位置にあるか否かを簡便に特定することが可能である。また、上記の説明において、検出用プレート238を乗りかごドア204に取り付けたられたものとしたが、検出用プレート238を乗りかごドア202に取り付けてもよい。
【0051】
尚、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で開示した構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示した全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
102・・・乗りかご、 104・・・巻き上げ機、 106・・・主制御装置、
108・・・乗りかご側出入り口、 110・・・乗りかご制御装置、
112・・・乗り場側出入り口、 114・・・乗り場機器制御装置、
116・・・伝送路、 202、204・・・乗りかごドアパネル、
206、306・・・ドアベース、 208、308・・・ガイドレール、
210、214・・・乗りかごドアハンガー、
212、216、312、316・・・ハンガーローラ、
218・・・乗りかごドアモータ、 220、222、320、322・・・プーリー、
224・・・乗りかごドアベルト、 226・・・連結部材、乗りかご側係合部材、
228、326、328・・・連結部材、
230、232、330、332・・・ガイドシュー、
234・・・乗りかご敷居、 236・・・近接センサ、
238・・・検出用プレート、 302、304・・・乗り場側ドアパネル、
310、314・・・乗り場側ドアハンガー、 324・・・乗り場側ドアベルト、
334・・・乗り場側敷居、 340・・・乗り場側係合部材、
402、508・・・標章、 502・・・乗り場側敷居延長ブロック、
504、506・・・乗りかご側敷居延長ブロック、
602・・・乗りかごドア開状態特定装置、
604・・・係合部材衝突可能性判断装置、 606・・・ドア位置制御装置、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごドアの開状態を特定する乗りかごドア開状態特定手段と、
この乗りかごドア開状態特定手段によって特定された前記乗りかごドアの開状態に基づいて、乗りかごが走行したときに乗りかご側係合部材が、乗り場に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突するか否かを判断する係合部材衝突可能性判断手段と、
この係合部材衝突可能性判断手段によって前記乗りかごが走行したときに前記乗りかご係合部材が前記乗り場に設けられ前記昇降路側に突出している前記部材と接触または衝突すると判断されたときに、乗りかごドアモータを制御し、前記乗りかごドアを前記乗りかご係合部材が衝突しない予め知られている位置に移動させるドア位置制御手段と
を備えることを特徴とする戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システム。
【請求項2】
前記乗り場に設けられ前記昇降路側に突出している前記部材は、前記乗り場側のドアに設けられ前記乗りかご係合部材に係合する乗り場側係合部材、またはこの乗り場側係合部材および前記乗り場側の敷居の先端に設けられた乗り場側敷居延長ブロックであることを特徴とする請求項1に記載の戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システム。
【請求項3】
前記乗りかごドア開状態特定手段は、前記乗りかごドアモータのエンコーダまたはレゾルバによって検出される前記乗りかごドアモータの回転量に基づいて、前記乗りかごドアの閉じた状態からの移動距離を特定し、
前記係合部材衝突可能性判断手段は、前記乗りかごドアの閉じた状態からの前記移動距離と、予め知られている前記乗りかごドアにおける前記乗りかご側係合部材の相対位置と、前記乗り場に設けられ昇降路側に突出している前記部材の位置とに基づいて、前記乗りかごが走行したときに前記乗りかご係合部材が前記乗り場に設けられ昇降路側に突出している前記部材と接触または衝突するか否かを判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システム。
【請求項4】
前記乗りかごドア開状態特定手段は、
前記乗りかごが走行したときに前記乗りかご係合部材が前記乗り場に設けられ前記昇降路側に突出している前記部材と接触または衝突する、前記乗りかごドアの閉じた状態からの移動距離に対応する幅の有効部分を有し、前記乗りかごドアに取り付けられた検出用プレートと、
前記乗りかごドアが前記移動距離範囲にあるときに前記検出用プレートの前記有効部分を検出する位置であって、前記乗りかごのドアベースに設けられた近接センサとを含み、
前記係合部材衝突可能性判断手段は、前記近接センサの出力に基づいて、前記乗りかごが走行したときに前記乗りかご係合部材が前記乗り場に設けられ昇降路側に突出している前記部材と接触または衝突するか否かを判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システム。
【請求項5】
前記乗りかごは音声アナウンス手段を備え、
前記係合部材衝突可能性判断手段によって、前記乗りかごが走行したときに前記乗りかご係合部材が前記乗り場に設けられ昇降路側に突出している前記部材と接触または衝突すると判断された場合に、前記音声アナウンス手段によって、前記乗りかご内に注意を喚起する音声アナウンスを行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システム。
【請求項6】
前記乗りかごは警告用照明手段を備え、
前記係合部材衝突可能性判断手段によって、前記乗りかごが走行したときに前記乗りかご係合部材が前記乗り場に設けられ昇降路側に突出している前記部材と接触または衝突すると判断された場合に、前記警告用照明手段を点灯または点滅させることにより注意を喚起することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システム。
【請求項7】
前記乗りかごが走行したときに前記乗りかご係合部材が前記乗り場に設けられ昇降路側に突出している前記部材と接触または衝突する前記乗りかごの戸開位置、または前記乗りかご係合部材が前記乗り場に設けられ昇降路側に突出している前記部材と接触も衝突もしない前記乗りかごの戸開位置を表す標章を、前記乗りかごの出入り口に設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避システム。
【請求項8】
乗りかごドアの開状態を特定するステップと、
特定された前記乗りかごドアの開状態に基づいて、乗りかごが走行したときに乗りかご係合部材が乗り場に設けられ昇降路側に突出している部材と接触または衝突するか否かを、判断する判断ステップと、
この判断ステップにおいて、前記乗りかご係合部材が前記乗り場に設けられ昇降路側に突出している前記部材と接触または衝突すると判断されたときに、乗りかごドアモータを制御するステップと、
前記乗りかごドアを、予め知られている前記乗りかご係合部材が衝突しない位置に向けて移動を開始させるステップと
を含むことを特徴とする戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避方法。
【請求項9】
前記乗り場に設けられ前記昇降路側に突出している前記部材は、前記乗り場側のドアに設けられ前記乗りかご係合部材に係合する乗り場側係合部材、またはこの乗り場側係合部材および前記乗り場側の敷居の先端に設けられた乗り場側敷居延長ブロックであることを特徴とする請求項8に記載の戸開走行時のエレベータ係合部材衝突回避方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−162333(P2011−162333A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28991(P2010−28991)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】