説明

所在管理システム

【課題】複数の各空間に所在管理リーダが配置され、使用者が所持する無線アクティブタグが前記リーダに一定の時間間隔でユニークな自IDを発報することで、前記各空間における該タグの移動の推移や現在位置を前記リーダ側に管理させる所在管理システムにおいて、消費電力を削減し、タグの内蔵電池の長寿命化を図る。
【解決手段】前記複数の空間に区分されたオフィスから成る第1の空間領域と、廊下から成る第2の空間領域との往来部(ドア)に、前記タグへ質問信号を送信し、応答信号が受信されることでタグの通過を検出する入退室管理リーダを設置するとともに、前記所在管理リーダは、前記自IDが受信されるとそれに対するACK信号を送信するようにし、前記タグは、前記応答信号を送信してから、前記自IDの発報に対するACK信号が受信される間は前記自IDの発報を継続し、前記ACK信号が受信されないと発報を休止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋内などの所定の空間を複数のエリアに分割し、誰がどのエリアに存在するか、またどのような経路で移動推移したかなどを検知することができる所在管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような所在管理システムの典型的な従来技術は、特許文献1で示されている。その従来技術は、端末器が定期的に自機のIDデータを発報しており、各部屋に設けられた受信機がそれを受信し、その受信結果を上位装置で取り纏めることで、前記のように誰がどのエリアに存在するか、またどのような経路で移動推移したかなどを前記上位装置で管理できるようになっている。この従来技術は、部屋毎の管理であるが、たとえば営業職のオフィスにおいて、各人の机を予め決めておかず、空いている机で作業するような用途では、部屋内でも、誰がどのエリアに存在するのかを検知したいという要望がある。
【特許文献1】特開平5−54284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の従来技術では、端末器は定期的に自機のIDデータを発報しているので、使用者が帰宅したり、オフィスから退出したりして、特に位置を検知(更新)しなくてもよいようなケースでも発報してしまう。このため、その発報の内、有効な位置検知(更新)に使用されるのは極僅かである。一方で、IDタグなどで実現される端末器は、釦電池を電源としており、低消費電力化による電池の長寿命化が要望される。しかしながら、上述の従来技術のように常時発報していると、現状では、持って1年程度であり、これを、たとえば端末器寿命、すなわち電池交換無しの5年程度に延長することが要望される。
【0004】
本発明の目的は、消費電力を削減し、端末器に内蔵する電源(電池)の長寿命化を図ることができる所在管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の所在管理システムは、複数に分割されたエリア内にそれぞれ第1の読取り装置が配置され、移動体に付設された端末器からの個別の識別情報を含む発信信号を前記第1の読取り装置が受信することで、前記端末器の所在を管理するようにした所在管理システムにおいて、前記複数のエリアを少なくとも一方に有する2つの空間領域の往来部付近に設置され、前記端末器へ質問信号を送信し、それに対する応答信号が受信されることで前記往来部における前記端末器の通過を検出する第2の読取り装置をさらに備え、前記第1の読取り装置は、前記発信信号が受信されるとそれに対するACK信号を送信し、前記端末器は、前記第2の読取り装置へ応答信号を送信してから、前記第1の読取り装置に対して発信信号を送信し、それによる前記ACK信号が受信される間は前記発信信号の送信を継続し、前記ACK信号が受信されないと前記発信信号の送信を休止する通信制御部を有することを特徴とする。
【0006】
上記の構成によれば、複数に分割された各空間にそれぞれ所在管理リーダとなる第1の読取り装置が配置され、移動体(使用者)に付設され、無線アクティブタグとなる端末器が前記第1の読取り装置に対して一定の時間間隔で個別の識別情報(ユニークな自ID)を含む発信信号を発報することで、複数に分割された各空間における該端末器の移動の推移や現在位置を第1の読取り装置側に管理させる所在管理システムにおいて、前記複数に分割された空間を少なくとも一方に有する2つの空間領域の往来部付近に、前記第1の読取り装置とは異なる通信手順であって、前記端末器へ質問信号を送信し、それに対する応答信号が受信されることで前記往来部における前記端末器の通過を検出し、入退室管理リーダとなる第2の読取り装置を設置し、入退室の管理を行う。その際、前記第1の読取り装置は、前記発信信号が受信されるとそれに対するACK信号を送信するようにし、前記端末器に、前記第2の読取り装置へ応答信号を送信してから、前記第1の読取り装置に対して発信信号を送信し、それによる前記ACK信号が受信される間は前記発信信号の送信を継続し、前記ACK信号が受信されないと前記発信信号の送信を休止する通信制御部を設ける。
【0007】
したがって、使用者が入室して第1の読取り装置からのACK信号が受信される間、すなわち第1の読取り装置(所在管理リーダ)の存在を確認しつつ、前記発信信号の送信を継続し、退室して前記ACK信号が受信されない、すなわち第1の読取り装置(所在管理リーダ)の存在が確認されないと、前記発信信号を1回だけ発報して送信を休止する。これによって、消費電力を削減し、端末器に内蔵する電源(電池)の長寿命化を図ることができる。また、前記第2の読取り装置(入退室管理リーダ)で、入室したのかまたは退室したのかまでを検知できなくても、端末器は、2つの空間領域に適切に対応して発信信号の送信および停止を行うことができる。
【0008】
また、本発明の所在管理システムでは、前記通信制御部は、予め定める回数だけ前記発信信号を送信し、それに対する前記ACK信号の受信割合が予め定めるレベル以上である場合に、前記発信信号の送信を継続することを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、前記第1の読取り装置(所在管理リーダ)との間の通信が1回失敗したら、次に第2の読取り装置(入退室管理リーダ)を通過するまで発信信号の送信が休止されてしまうのではなく、前記第1の読取り装置(所在管理リーダ)との間の通信の成功確率が予め定めるレベル以上である場合に、前記発信信号の送信を継続する。
【0010】
したがって、遮蔽物の通過などの一時的な通信状況の悪化に対する安定性を高めることができる。
【0011】
さらにまた、本発明の所在管理システムでは、前記発信信号は、少ビットのパイロット信号と、前記識別情報を含む本体信号から成り、前記通信制御部は、前記パイロット信号を送信し、それによる第1の読取り装置からのパイロット応答信号が受信されると、前記本体信号を送信することを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、前記第2の読取り装置(入退室管理リーダ)と通信を行えても、第1の読取り装置(所在管理リーダ)と通信できそうにないときには前記識別情報を含む長い本体信号を送信しないので、通信の失敗による消費電力の無駄を無くすことができる。
【0013】
また、本発明の所在管理システムでは、前記第1の読取り装置は、予め定める周期でタイミングパルスを発生しており、前記通信制御部は、前記タイミングパルスに応答して前記発信信号を送信することを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、前記第2の読取り装置(入退室管理リーダ)と通信を行えても、第1の読取り装置(所在管理リーダ)からのタイミングパルスが受信できずに該第1の読取り装置と通信できそうにないときには、前記識別情報を含む発信信号を送信しないので、通信の失敗による消費電力の無駄を無くすことができる。
【0015】
さらにまた、本発明の所在管理システムでは、前記端末器は、内蔵電池と、前記第2の読取り装置からの質問信号を受信するLFアンテナおよびLF受信回路と、前記内蔵電池を電源として、前記第2の読取り装置へ応答信号を送信するとともに、前記第1の読取り装置へ発信信号を送信し、前記第1の読取り装置からのACK信号を受信するRF送受信回路およびRFアンテナと、前記LFアンテナおよびLF受信回路で受信された前記質問信号および前記RFアンテナおよびRF送受信回路で受信された前記ACK信号に応答し、予め設定されている固有の前記識別情報を含む応答信号および発信信号を生成して前記RF送受信回路およびRFアンテナに与える制御部とを含み、前記第1の読取り装置は、前記発信信号を受信し、前記ACK信号を送信するRFアンテナおよびRF送受信回路と、前記RFアンテナおよびRF送受信回路で受信された発信信号に基づき、前記端末器の所在管理を行うとともに、前記ACK信号を作成して前記RF送受信回路およびRFアンテナに与える所在管理回路とを含み、前記第2の読取り装置は、前記応答信号を受信するRFアンテナおよびRF受信回路と、前記質問信号を生成するとともに、前記応答信号を処理する制御部と、前記質問信号を誘導磁界の信号成分に重畳して前記端末器へ送信するLF送信回路およびLFアンテナとを含むことを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、前述の所在管理システムを実現する端末器、第1の読取り装置および第2の読取り装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の所在管理システムは、以上のように、複数に分割された各空間にそれぞれ所在管理リーダとなる第1の読取り装置が配置され、移動体(使用者)に付設され、無線アクティブタグとなる端末器が前記第1の読取り装置に対して一定の時間間隔で個別の識別情報(ユニークな自ID)を含む発信信号を発報することで、複数に分割された各空間における該端末器の移動の推移や現在位置を第1の読取り装置側に管理させる所在管理システムにおいて、前記複数に分割された空間を少なくとも一方に有する2つの空間領域の往来部付近に、前記端末器へ質問信号を送信し、それに対する応答信号が受信されることで前記往来部における前記端末器の通過を検出し、入退室管理リーダとなる第2の読取り装置を設置し、前記第1の読取り装置を、前記発信信号が受信されるとそれに対するACK信号を送信するようにし、前記端末器に、前記第2の読取り装置へ応答信号を送信してから、前記第1の読取り装置に対して発信信号を送信し、それによる前記ACK信号が受信される間は前記発信信号の送信を継続し、前記ACK信号が受信されないと前記発信信号の送信を休止する通信制御部を設ける。
【0018】
それゆえ、使用者が入室して第1の読取り装置からのACK信号が受信される間は前記発信信号の送信を継続し、退室して前記ACK信号が受信されないと、前記発信信号を1回だけ発報して送信を休止するので、消費電力を削減し、端末器に内蔵する電源(電池)の長寿命化を図ることができる。
【0019】
また、本発明の所在管理システムは、以上のように、前記第1の読取り装置(所在管理リーダ)との間の通信が1回失敗したら、次に第2の読取り装置(入退室管理リーダ)を通過するまで発信信号の送信が休止されてしまうのではなく、前記第1の読取り装置(所在管理リーダ)との間の通信の成功確率が予め定めるレベル以上である場合に、前記発信信号の送信を継続する。
【0020】
それゆえ、遮蔽物の通過などの一時的な通信状況の悪化に対する安定性を高めることができる。
【0021】
さらにまた、本発明の所在管理システムは、以上のように、前記発信信号を、少ビットのパイロット信号と、前記識別情報を含む本体信号とから構成し、端末器は、前記パイロット信号を送信し、それによる第1の読取り装置からのパイロット応答信号が受信されると、前記本体信号を送信する。
【0022】
それゆえ、前記第2の読取り装置(入退室管理リーダ)と通信を行えても、第1の読取り装置(所在管理リーダ)と通信できそうにないときには前記識別情報を含む長い本体信号を送信しないので、通信の失敗による消費電力の無駄を無くすことができる。
【0023】
また、本発明の所在管理システムは、以上のように、前記第1の読取り装置は、予め定める周期でタイミングパルスを発生しており、端末器は、前記タイミングパルスに応答して前記発信信号を送信する。
【0024】
それゆえ、前記第2の読取り装置(入退室管理リーダ)と通信を行えても、第1の読取り装置(所在管理リーダ)からのタイミングパルスが受信できずに該第1の読取り装置と通信できそうにないときには、前記識別情報を含む発信信号を送信しないので、通信の失敗による消費電力の無駄を無くすことができる。
【0025】
さらにまた、本発明の所在管理システムは、以上のように、前記端末器は、内蔵電池と、前記第2の読取り装置からの質問信号を受信するLFアンテナおよびLF受信回路と、前記内蔵電池を電源として、前記第2の読取り装置へ応答信号を送信するとともに、前記第1の読取り装置へ発信信号を送信し、前記第1の読取り装置からのACK信号を受信するRF送受信回路およびRFアンテナと、前記LFアンテナおよびLF受信回路で受信された前記質問信号および前記RFアンテナおよびRF送受信回路で受信された前記ACK信号に応答し、予め設定されている固有の前記識別情報を含む応答信号および発信信号を生成して前記RF送受信回路およびRFアンテナに与える制御部とを含み、前記第1の読取り装置は、前記発信信号を受信し、前記ACK信号を送信するRFアンテナおよびRF送受信回路と、前記RFアンテナおよびRF送受信回路で受信された発信信号に基づき、前記端末器の所在管理を行うとともに、前記ACK信号を作成して前記RF送受信回路およびRFアンテナに与える所在管理回路とを含み、前記第2の読取り装置は、前記応答信号を受信するRFアンテナおよびRF受信回路と、前記質問信号を生成するとともに、前記応答信号を処理する制御部と、前記質問信号を誘導磁界の信号成分に重畳して前記端末器へ送信するLF送信回路およびLFアンテナとを含む。
【0026】
それゆえ、前述の所在管理システムを実現する端末器、第1の読取り装置および第2の読取り装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の第1の形態に係る所在管理システムの概略構成を説明するための図である。本所在管理システムは、建屋内を、オフィスなどの所在管理エリアである第1の空間領域Aと、廊下などの非管理エリアである第2の空間領域Bとに区画し、それらの間を往来部C(ドア)で接続した例を示しているが、第2の空間領域Bも所在管理エリアであってもよい。前記第1の空間領域Aは所在管理単位である複数のエリアA1〜A12(総称するときは、以下参照符号Aで示す)に分割され、各エリアAにはそれぞれ第1の読取り装置である所在管理リーダ1が設置され、移動体に付設され、端末器である無線アクティブタグ2からの個別の識別情報(ID)を含む発信信号を該所在管理リーダ1が受信し、その受信結果を図示しない上位装置が収集することで、前記上位装置で前記無線アクティブタグ2の所在を管理するようになっている。注目すべきは、本発明では、このような所在管理システムにおいて、前記往来部C付近に、第2の読取り装置である入退室管理リーダ3が設置され、この入退室管理リーダ3の検知エリア3a内で無線アクティブタグ2が該入退室管理リーダ3と通信し、その後、前記所在管理リーダ1との通信結果に応じて、前記発信信号の送信を制御することである。
【0028】
図2は、前記所在管理システムの一構成例を示すブロック図である。入退室管理リーダ3において、制御部31は、自身に予め設定されている固有の識別情報(ID)を含む質問信号を生成し、LF送信回路32において、誘導磁界の信号成分に重畳させ、増幅させてLFアンテナ33から第1の無線通信方式(LF)にて無線アクティブタグ2に向けて送信させる。これによって、入退室管理リーダ3の周囲には前記検知エリア3aが形成され、その検知エリア3a内に入った使用者が所持する前記無線アクティブタグ2では、内蔵電池24の電力によって動作して、前記質問信号を、X,Y,Zの3軸のLFアンテナ21で受信した後に、LF受信回路22が制御部23を起動し、該制御部23は、前記入退室管理リーダ3の識別情報に、自身に予め設定されている固有の識別情報(ID)を含む応答信号を生成し、RF送受信回路25からRFアンテナ26を介して、第2の無線通信方式であるUHF帯(極超短波帯:300MHz〜3GHz)にて、入退室管理リーダ3に対して返信させる。
【0029】
前記応答信号は、入退室管理リーダ3のRFアンテナ34からRF送受信回路35で受信され、前記制御部31に入力されて、応答した無線アクティブタグ2を識別する。識別した無線アクティブタグ2が予め登録された識別情報を有するものであれば、制御部31は、前記RF送受信回路35からRFアンテナ34を介して、前記第2の無線通信方式(UHF)にて、認証完了した無線アクティブタグ2の識別情報をACK信号として送信する。そのACK信号をRFアンテナ26からRF送受信回路25で受信すると、制御部23は応答信号の送信を終了する。
【0030】
また、認証を完了した際には、制御部31は、表示部36とブザー37とで認証完了を示すと同時に、ドアの解錠を行う。また、この入退室管理リーダ3が接続される前記上位装置は、制御部31の認証結果から、どの使用者が何時に出入りしたかを管理することができる。
【0031】
このようにLF帯の起動信号で無線アクティブタグ2を起動させて、制御部23がRF送受信回路25にUHF帯の応答信号を返信させるRFID(RADIO FREQUENCY IDENTIFICATION)システムの構成を用いることで、安くて使い勝手(向きを選ばない)が良く、また前記検知エリア3aを、1.5〜2mの比較的狭い範囲に正確に規定することができるようになっている。また、UHF帯のRF送受信回路25の消費電力が10〜20mAと大きいのに対して、LF帯のLF受信回路22が数μAの微弱な電力で起動するので、待機状態でそのRF送受信回路25を使用しないことで、前記内蔵電池24の電力消費を抑え、無線アクティブタグ2の長寿命化が図られている。
【0032】
一方、前記無線アクティブタグ2の制御部23は、内蔵電池24の電力によって、一定の時間間隔で動作して、自身の識別情報(ID)を含む発信信号を生成し、前記RF送受信回路25からRFアンテナ26を介して、前記所在管理リーダ1へ送信するようになっている。前記所在管理リーダ1は、前記発信信号をRFアンテナ11からRF送受信回路12で受信し、制御部13に与える。所在管理回路である制御部13の検出結果は前記上位装置に与えられ、こうして該上位装置では、前記各エリアAにおける使用者の移動の推移や現在位置の管理が可能となっている。
【0033】
そして、また注目すべきは、本実施の形態では、前記所在管理リーダ1の制御部13は、前記発信信号が受信されると、RF送受信回路12からRFアンテナ11を介して、図3で示すように、それに対するACK信号を送信する。すなわち、前記所在管理リーダ1と、無線アクティブタグ2とは、双方向通信が可能であることである。これを利用して、前記無線アクティブタグ2の制御部23は、前記発信信号を送信するとタイマ27のカウント動作を開始し、前記RFアンテナ26からRF送受信回路25を介して、前記ACK信号が受信される間は、前記制御部23は該無線アクティブタグ2が所在管理エリアである第1の空間領域Aに存在するものと判定して、前記タイマ27でカウントしている予め定める時間T毎に前記発信信号の送信を継続し、前記ACK信号が受信されないと、前記制御部23は該無線アクティブタグ2が非管理エリアである第2の空間領域Bに存在するものと判定して、前記発信信号の送信を休止することである。図3は、本発明の実施の第1の形態に係る所在管理システムにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0034】
したがって、無線アクティブタグ2は、使用者が所在管理エリアである第1の空間領域Aに入室してから、前記所在管理リーダ1からのACK信号が受信される間、すなわち該所在管理リーダ1の存在を確認しつつ、前記発信信号の送信を継続し、退室して前記ACK信号が受信されない、すなわち該所在管理リーダ1の存在が確認されないと、前記発信信号を1回だけ発報して送信を休止する。これによって、消費電力を削減し、無線アクティブタグ2に内蔵する電池24の長寿命化を図ることができる。また、前記入退室管理リーダ3で、入室したのかまたは退室したのかまでを検知できなくても、無線アクティブタグ2は、2つの空間領域A,Bに適切に対応して発信信号の送信および停止を行うことができる。
【0035】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の第2の形態に係る所在管理システムにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。本実施の形態の所在管理システムには、前述の図1および図2で示す構成を用いることができ、前記無線アクティブタグ2の制御部23の動作が、前述の図3とこの図4とで異なるだけである。注目すべきは、本実施の形態では、前記制御部23は、予め定める回数だけ前記発信信号を送信し、それに対する前記ACK信号の受信割合が予め定めるレベル以上である場合に、前記発信信号の送信を継続することである。図4では、前記発信信号は予め定める期間T0に亘って複数(図4の例では3つ)送信され、その内、1つまたは2つに対してACK信号が受信されると、発信信号の送信を継続する。前記受信割合は、所在管理の精度と、電力消費とを勘案して、適宜定められればよい。
【0036】
したがって、制御部23aは、所在管理リーダ1との間の通信が1回失敗したら、次に入退室管理リーダ3を通過するまで発信信号の送信を休止するのではなく、所在管理リーダ1との間の通信の成功確率が予め定めるレベル以上である場合は、前記発信信号の送信を継続することになる。これによって、遮蔽物の通過などの一時的な通信状況の悪化や、信号の衝突または誤りによって正常に通信できなかった場合に対する安定性を高め、所在管理エリアである前記第1の空間領域Aにあるかどうかの判断を正確に行うことができ、前記第1の空間領域Aにあるにも拘わらず、所在管理が持続できなくなってしまうことを防止することができる。
【0037】
[実施の形態3]
図5は本発明の実施の第3の形態に係る所在管理システムの一構成例を示すブロック図であり、図6はその動作を説明するためのタイミングチャートである。この所在管理システムは、前述の図1および図2で示す所在管理システムに類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、本実施の形態では、図6で示すように、前記発信信号は、短時間のパルスから成るパイロット信号と、前記識別情報(ID)を含む本体信号から成り、無線アクティブタグ2aの制御部23aは、前記入退室管理リーダ3を通過した後、前記パイロット信号を送信し、それによる所在管理リーダ1aの制御部13aからのパイロット応答信号が受信されると、前記本体信号を送信することである。
【0038】
前記本体信号は、たとえば100msecの長さであり、これに対して、前記パイロット信号は、たとえば1msecの長さである。このように最初に自IDよりはるかに短いパルス信号のやりとりによって所在管理リーダ1aの存在を確認しておくことで、前記入退室管理リーダ3と通信を行えても、所在管理リーダ1aと通信できそうにないときには、長い本体信号を送信しなくなり、通信の失敗による消費電力の無駄を無くすことができる。
【0039】
[実施の形態4]
図7は本発明の実施の第4の形態に係る所在管理システムの一構成例を示すブロック図であり、図8はその動作を説明するためのタイミングチャートである。この所在管理システムは、前述の図5で示す所在管理システムに類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、本実施の形態では、図8で示すように、所在管理リーダ1bの制御部13bは、予め定める周期T10でタイミングパルスを発生しており、無線アクティブタグ2bの制御部23bは、前記入退室管理リーダ3を通過した後、前記タイミングパルスに応答して前記発信信号を送信することである。
【0040】
このように構成することで、前記入退室管理リーダ3と通信を行えても、所在管理リーダ1bからのタイミングパルスが受信できずに該所在管理リーダ1bと通信できそうにないときには、前記発信信号を送信しないので、通信の失敗による消費電力の無駄を無くすことができる。また、図6に比べて、パイロット信号を送出しない分、消費電力を少なくすることができるとともに、通信時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の第1の形態に係る所在管理システムの概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の第1の形態に係る所在管理システムの一構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の第1の形態に係る所在管理システムにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の第2の形態に係る所在管理システムにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施の第3の形態に係る所在管理システムの一構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の第3の形態に係る所在管理システムにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の第4の形態に係る所在管理システムの一構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の第4の形態に係る所在管理システムにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1,1a,1b 所在管理リーダ
2,2a,2b 無線アクティブタグ
3 入退室管理リーダ
3a 検知エリア
11,26,34 RFアンテナ
12,25,35 RF送受信回路
13,13a,13b;23,23a,23b;31 制御部
21,33 LFアンテナ
22 LF受信回路
24 内蔵電池
32 LF送信回路
36 表示部
37 ブザー
A 第1の空間領域
A1〜A12 エリア
B 第2の空間領域
C 往来部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数に分割されたエリア内にそれぞれ第1の読取り装置が配置され、移動体に付設された端末器からの個別の識別情報を含む発信信号を前記第1の読取り装置が受信することで、前記端末器の所在を管理するようにした所在管理システムにおいて、
前記複数のエリアを少なくとも一方に有する2つの空間領域の往来部付近に設置され、前記端末器へ質問信号を送信し、それに対する応答信号が受信されることで前記往来部における前記端末器の通過を検出する第2の読取り装置をさらに備え、
前記第1の読取り装置は、前記発信信号が受信されるとそれに対するACK信号を送信し、
前記端末器は、前記第2の読取り装置へ応答信号を送信してから、前記第1の読取り装置に対して発信信号を送信し、それによる前記ACK信号が受信される間は前記発信信号の送信を継続し、前記ACK信号が受信されないと前記発信信号の送信を休止する通信制御部を有することを特徴とする所在管理システム。
【請求項2】
前記通信制御部は、予め定める回数だけ前記発信信号を送信し、それに対する前記ACK信号の受信割合が予め定めるレベル以上である場合に、前記発信信号の送信を継続することを特徴とする請求項1記載の所在管理システム。
【請求項3】
前記発信信号は、少ビットのパイロット信号と、前記識別情報を含む本体信号から成り、
前記通信制御部は、前記パイロット信号を送信し、それによる第1の読取り装置からのパイロット応答信号が受信されると、前記本体信号を送信することを特徴とする請求項1または2記載の所在管理システム。
【請求項4】
前記第1の読取り装置は、予め定める周期でタイミングパルスを発生しており、
前記通信制御部は、前記タイミングパルスに応答して前記発信信号を送信することを特徴とする請求項1または2記載の所在管理システム。
【請求項5】
前記端末器は、
内蔵電池と、
前記第2の読取り装置からの質問信号を受信するLFアンテナおよびLF受信回路と、
前記内蔵電池を電源として、前記第2の読取り装置へ応答信号を送信するとともに、前記第1の読取り装置へ発信信号を送信し、前記第1の読取り装置からのACK信号を受信するRF送受信回路およびRFアンテナと、
前記LFアンテナおよびLF受信回路で受信された前記質問信号および前記RFアンテナおよびRF送受信回路で受信された前記ACK信号に応答し、予め設定されている固有の前記識別情報を含む応答信号および発信信号を生成して前記RF送受信回路およびRFアンテナに与える制御部とを含み、
前記第1の読取り装置は、
前記発信信号を受信し、前記ACK信号を送信するRFアンテナおよびRF送受信回路と、
前記RFアンテナおよびRF送受信回路で受信された発信信号に基づき、前記端末器の所在管理を行うとともに、前記ACK信号を作成して前記RF送受信回路およびRFアンテナに与える所在管理回路とを含み、
前記第2の読取り装置は、
前記応答信号を受信するRFアンテナおよびRF受信回路と、
前記質問信号を生成するとともに、前記応答信号を処理する制御部と、
前記質問信号を誘導磁界の信号成分に重畳して前記端末器へ送信するLF送信回路およびLFアンテナとを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の所在管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−77355(P2009−77355A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246880(P2007−246880)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】