投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置
【課題】縮小側テレセントリックで、高変倍可能な構成でありながら、小型化、軽量化および低廉化を図ることができ、変倍時において、諸収差がバランスよく補正された投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置を提供する。
【解決手段】変倍時に、1群のみを移動させる投写型可変焦点レンズであって、拡大側から順に、負の第1レンズ群G1、正の第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および正の第4レンズ群G4からなり、焦点距離の可変時には、前記第2レンズ群G2のみを光軸X方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、第3レンズ群G3を光軸X方向に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されてなる。
【解決手段】変倍時に、1群のみを移動させる投写型可変焦点レンズであって、拡大側から順に、負の第1レンズ群G1、正の第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および正の第4レンズ群G4からなり、焦点距離の可変時には、前記第2レンズ群G2のみを光軸X方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、第3レンズ群G3を光軸X方向に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型表示装置等に搭載される4群構成の可変焦点レンズおよびその可変焦点レンズを搭載した投写型表示装置に関し、特に、透過型あるいは反射型の液晶表示装置やDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)表示装置等のライトバルブからの映像情報を担持した光束をスクリーン上に拡大投写する投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置やDMD表示装置等のライトバルブを用いた投写型表示装置が広く普及しており、特に、このライトバルブを3枚用い、RGB3原色の照明光に各々対応させるようにすることでこれら各照明光を変調し、個々のライトバルブで変調された光をプリズム等で合成し、投写レンズを介してスクリーンに画像を表示する構成をとるものが広く利用されている。
【0003】
このようなライトバルブにおいては小型化・高精細化が急激に進み、また、パソコンの普及と相俟って、このような投写型表示装置を用いてプレゼンテーションを行うことの需要も増加しており、利便性や設置性のよい態様のものが望まれているため、投写型表示装置に対して、より高性能かつ高変倍可能で、より小型・軽量なものへの要求が高まってきている。また、これに伴い投写レンズに関しても、より高性能かつ高変倍可能で、より小型、軽量なものであることが強く望まれている。また、その一方で、投写レンズに対する低廉化への要求も強いものがある。
【0004】
さらに、光学系内に、複数のライトバルブからの変調光を合成するための色合成プリズムや、照明光と投写光の分離に用いられるTIRプリズムを配設した場合、前者では色むら発生を防止するため、後者では分離効率の低下を防止するため、投写レンズの縮小側を略テレセントリックとすることが要求される。
【0005】
以上のような、種々の要求に応えることを目的とした投写レンズとして、種々の投写型ズームレンズが知られているが、このようなズームレンズでは、変倍時に連携して移動する2群以上の変倍群の他、一般には、それ以外の1群よりなるフォーカス群を有しており、カム機構等によるレンズ駆動部が複雑となるとともに、小型化、軽量化および低廉化を進める上で障害となっていた。
【0006】
そこで、1群でズーミングを行なうとともに、他の1群でフォーカシングを行うことを可能にした、下記特許文献1に記載された投写型ズームレンズが知られている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−300619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1記載の投写型ズームレンズにおいても、ズーム機能を有しているが故に、レンズ群の変倍時における移動に制約があり、変倍時における収差変動がどうしても大きくなってしまう。
【0009】
また、特許文献1記載の投写型ズームレンズにおいては、上記変倍を行なうためのレンズ群の縮小側に配されたレンズ枚数が少なく、縮小側が略テレセントリックな系においては、大きな変倍比とすることが難しい、という課題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、縮小側テレセントリックで、高変倍可能な構成でありながら、ズームレンズが本質的に有する問題に影響されることなく、小型化、軽量化および低廉化を図ることができ、諸収差、特に変倍時において、収差がバランスよく良好に補正された投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の投写型可変焦点レンズは、
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群、からなり、
可変焦点調整時には、前記第2レンズ群を光軸方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、前記第2レンズ群を光軸方向に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「可変焦点レンズ」とは、バリフォーカルレンズとも称される。ズームレンズとは異なり、変倍により共役長が変化するので、これに伴うピントのずれをフォーカシングにより調整するものである。
【0013】
また、前記第2レンズ群が以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
【0014】
また、前記第2レンズ群が以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
D2:第2レンズ群中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長
【0015】
また、前記第2レンズ群は2枚の正レンズのみで構成することが好ましい。
【0016】
また、前記第3レンズ群は、拡大側から順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズのみで構成することが好ましい。
【0017】
また、前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズのみで構成されていることが好ましい。
【0018】
また、前記第3レンズ群が下記条件式(3)を満足することが好ましい。
f3/fw < −3.0 ・・・・(3)
ここで、
f3 :第3レンズ群の焦点距離
【0019】
また、前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた負レンズを含む2枚のレンズにより構成したり、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズのみにより構成することが好ましい。
【0020】
また、前記第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面を備えることが好ましい。
【0021】
また、前記第1レンズ群が、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズを含む2枚のレンズからなり、前記第2レンズ群が、正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群が、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群が、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体で8枚のレンズにより構成することが好ましい。
【0022】
また、前記第1レンズ群が、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズからなり、前記第2レンズ群が正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群が、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群が、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体で7枚のレンズにより構成することが好ましい。
【0023】
また、本発明の投写型表示装置は、光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、上記いずれかの投写型可変焦点レンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写型可変焦点レンズによりスクリーンに投写することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の投写型可変焦点レンズによれば、拡大側から順に、負、正の2つのレンズ群が配設されるとともに、最も縮小側には正のレンズ群が配設された4群レンズ構成とされ、焦点距離の可変時には、第2レンズ群を光軸方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、第3レンズ群を光軸方向に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されている。
【0025】
このように構成したことにより、縮小側テレセントリックで、高変倍可能な構成でありながら、ズームレンズが本質的に有する問題に影響されることなく、小型化、軽量化および低廉化を図ることができる。また、特に変倍時において、収差をバランスよく良好に補正することができる。
【0026】
ところで、前述した従来技術においては、投写レンズに変倍機能を持たせるためにズームレンズが使用されていたため、変倍時には2つ以上のレンズ群を連携して移動させる必要があり、さらに一般には、その他のレンズ群をフォーカシング時に移動させる必要があった。このため、移動するレンズ群が多く、投写レンズの小型化、軽量化および低廉化を図ることができなかった。
【0027】
しかしながら、本発明においては、投写レンズの変倍に可変焦点レンズを用いており、1つのレンズ群を移動させるだけで変倍が可能となるように構成されており、カム機構等の複雑なレンズ駆動機構が不要となるため、従来のものに比べて各段に、小型化、軽量化および低廉化を図ることが可能である。また、ズームレンズの場合には、変倍時におけるレンズ群相互の移動に制約があるため、変倍時における収差変動がどうしても大きくなってしまうが、本発明の投写型可変焦点レンズにおいては、変倍時におけるレンズ群の移動における制約を排除することが可能であるから、変倍時における収差変動を大幅に改善することができる。
【0028】
また、このような可変焦点レンズは、従来より、撮影レンズ等に用いられており、変倍時に、共役長が変化することから、ピント合わせのためにフォーカス調整が必要となり、撮影毎のフォーカス調整が煩わしいという点が指摘されていた。
【0029】
しかしながら、投写レンズにおいては、一般に、投写型表示装置とスクリーンが一旦設定されてしまえば、投写操作毎に倍率を変更するものではないので、フォーカス調整も最初の一回だけ行なえば良いことから、撮影レンズ等において指摘されている上述したような点は、ほとんど問題とならない。
【0030】
さらに、本発明の投写型可変焦点レンズにおいては、前述したような公報に記載の投写型ズームレンズとは異なり、変倍を行なうためのレンズ群を、4群構成の拡大側から2番目のレンズ群としているので、縮小側が略テレセントリックな系においても、大きな変倍比を得ることが可能である。
【0031】
また、本発明の投写型表示装置は、本発明の投写型可変焦点レンズを用いていることにより、高変倍可能な構成でありながら、小型化、軽量化および低廉化を図ることができ、また、高い光学性能を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示す実施形態(実施例1のものを代表させて示している)の投写型可変焦点レンズは、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および正の屈折力を有する第4レンズ群G4を備え、縮小側が略テレセントリックに構成されており、その後段には、色合成プリズムを主とするガラスブロック(フィルタ部を含む)2および液晶表示パネル等ライトバルブの画像表示面1が配設される。なお、図中Xは光軸を表している。
【0033】
また、変倍時(焦点距離の可変時)において、第2レンズ群G2(一体的にマスク(開口絞りとすることも可)3)が光軸Xに沿って移動するように構成され、フォーカシング時には、前記第3レンズ群G3を光軸Xに沿って移動させるように構成されている。
【0034】
ここで第1レンズ群G1は、縮小側に凹面を向けた、少なくとも1面が非球面からなる非球面レンズ(プラスチック製が好ましい)よりなる第1レンズL1、および縮小側に凹面を向けた平凹レンズまたは両凹レンズよりなる第2レンズL2からなる(実施例3においては、両凹レンズよりなる第1レンズL1、および縮小側に凹面を向けた、少なくとも1面が非球面からなる非球面レンズよりなる第2レンズL2からなり、実施例4においては、縮小側に凹面を向けた、少なくとも1面が非球面からなる非球面レンズよりなる第1レンズL1からなり、実施例5においては、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズ(ガラス製が好ましい)の縮小側の面に、非球面形状に成型された樹脂を付設した複合非球面レンズよりなる第1レンズL1からなる。)。
【0035】
上記第1レンズ群G1を、縮小側に凹面を向けた負レンズを含む2枚のレンズ、または縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズのみにより構成することにより、レンズ系のコンパクト化および低廉化を図ることができる。特に、第1レンズ群G1には、非球面が形成されるので、外径を小さくできれば、大幅にコストダウンを図ることができる。
【0036】
また、第2レンズ群G2は、2枚の正レンズによって構成されており、これによりレンズ系のコンパクト化および低コスト化を達成することができる。より好ましくは、両凸レンズよりなる第3レンズL3、マスク(開口絞りとすることも可:以下同じ)3および両凸レンズよりなる第4レンズL4によって構成する。マスク3を、上記2枚の正レンズの間の位置に配設することにより、縮小側のテレセントリック性を、より良好なものとすることができる。
【0037】
なお、上記第2レンズ群G2において、上記2枚の正レンズは、ともに屈折率が1.65以上とすることが収差補正上好ましい。
【0038】
また、第3レンズ群G3は、拡大側から順に、負レンズ、縮小側に凸面を向けた正(または負)レンズ、および縮小側に凸面を向けた正レンズによって構成されており、これによりフォーカシング時の収差変動を少なくすることができる。より好ましくは、両凹レンズよりなる第5レンズL5、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第6レンズL6および両凸レンズよりなる第7レンズL7によって構成する(実施例4においては、最も縮小側に配された第6レンズL6が、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとされている。)。
【0039】
なお、上記第3レンズ群G3において、拡大側から2番目のレンズと3番目のレンズは、ともに屈折率が1.65未満とすることが低廉化を図る上で好ましい。
【0040】
また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8のみからなる(なお、実施例4においては、両凸レンズよりなる第7レンズL7のみからなる。)。
【0041】
なお、上記第4レンズ群G4において、上記正レンズは屈折率が1.65未満とすることが低廉化を図る上で好ましい。
【0042】
また、本実施形態の投写型可変焦点レンズにおいては、第2レンズ群G2のみを移動させるだけで変倍が可能となるように構成されており、カム機構等の複雑なレンズ駆動機構が不要となるため、従来のものに比べて各段に、小型化、軽量化および低廉化を図ることが可能である。上述したように構成された各レンズ群のレンズ枚数を合計すると、上述した好ましい態様においては、7枚または8枚のレンズ枚数となる。このような少ないレンズ枚数は、ズームレンズではなく、可変焦点レンズを用いたことにより達成されたものである。
【0043】
また、変倍時におけるレンズ群の連携移動における制約を排除することが可能であるから、変倍時における収差変動を大幅に改善することができる。
【0044】
ここで、「可変焦点レンズ」とは、変倍時において共役長が変化し、ピントがずれるので、その際のフォーカシングが必要となるが、変倍時の移動群を1群とすることが可能であり、他の1群よりなるフォーカス群を考慮しても、移動群としては最低2群あればすむことになる。
【0045】
なお、「可変焦点レンズ」に比して、「ズームレンズ」とは、変倍時において共役長が一定となるように調整し、その共役長の若干のズレ量をフォーカシングレンズにより調整することになるが、変倍時には2つ以上の移動群がズームカム機構などを用いて、相互に所定の規則にしたがって移動するものであり、他の1群よりなるフォーカス群を考慮した場合には、移動群としては3群以上となるものであり、小型化、軽量化および低廉化の点で不利である。
【0046】
また、本実施形態の投写型可変焦点レンズにおいては、上述したように、ネガティヴリード型のズームレンズとされているため、広角化を図り易く、また適正な長さのバックフォーカスを確保することが可能である。
【0047】
また、本実施形態の投写型可変焦点レンズにおいては、熱的に弱い接合レンズを使用せず、全て単独のレンズにより構成することが好ましい。これにより、系内(特に光束が細くなる位置)が極めて高温となる投写レンズにおいても、熱的問題の発生を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る投写型可変焦点レンズにおいては、第2レンズ群G2は、下記条件式(1)、(2)の少なくとも一方を満足することが好ましい。
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
D2:第2レンズ群G2中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長
【0049】
さらに、本実施形態に係る投写型可変焦点レンズにおいては、下記条件式(3)を満足することが好ましい。
【0050】
また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズのみで構成され、かつ第3レンズ群G3が下記条件式(3)を満足することが好ましい。
f3/fw < −3.0 ・・・・(3)
ここで、
f3 :第3レンズ群G3の焦点距離
【0051】
ここで、上述した条件式(1)〜(3)の技術的意義について説明する。
【0052】
まず、条件式(1)は、変倍のための移動群である第2レンズ群G2の焦点距離f2と、ワイド端の全系焦点距離fwとの比の値の範囲を規定したものであり、第2レンズ群G2のパワーの範囲を規定したものであり、各収差補正を良好にしつつ、レンズ系のコンパクト化を達成し得る範囲を規定したものである。すなわち、条件式(1)の下限値以下となった場合は収差補正が困難となる。一方、上限値以上となるとレンズの移動量が大きくなりレンズ全長が大型化してしまう。なお、条件式(1)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(1´)を満足することが好ましく、下記条件式(1´´)を満足することがより好ましい。
1.3 < f2/fw < 3.0 ・・・・(1´)
1.5 < f2/fw < 2.5 ・・・・(1´´)
【0053】
また、条件式(2)は、レンズ全長Lに対する、第2レンズ群G2中で最も長いレンズ面間隔D2の割合の範囲を規定したものであり、各収差補正、特に像面補正やディストーション補正を良好にしつつ、レンズ系のコンパクト化を達成し得る範囲を規定したものである。すなわち、条件式(2)の下限値以下となった場合は収差補正、特に像面補正やディストーション補正が困難となる。一方、上限値以上となるとレンズの移動量が大きくなりレンズ全長が大型化してしまう。なお、条件式(2)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(2´)を満足することが好ましく、下記条件式(2´´)を満足することがより好ましい。
0.2 < D2/L < 0.5 ・・・・(2´)
0.25 < D2/L < 0.4 ・・・・(2´´)
【0054】
また、条件式(3)は、第3レンズ群G3の焦点距離f3と、ワイド端の全系焦点距離fwとの比の値の範囲を規定したものであり、収差補正を良好とし得る範囲を規定するものである。すなわち、条件式(3)の上限値以上となると良好な収差補正が困難となる。なお、条件式(3)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(3´)を満足することが好ましい。
f3/fw < −5.0 ・・・・(3´)
【0055】
また、下記条件式(4)を満足し、広角端の全系焦点距離fWの1.2倍より長いバックフォーカスBfを確保して、良好なテレセントリック性を確保することで、色合成や光束分離のためにプリズム等の光学系を縮小側に配設した場合にも、ダイクロイック膜特性の劣化に伴う色むらの発生や、照明光と投影光の分離効率低下、といった問題を解決することができる。
Bf/fw > 1.2 ・・・・(4)
【0056】
なお、条件式(4)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(4´)を満足することが好ましい。
Bf/fw > 1.45 ・・・・(4´)
【0057】
ここで、下記各実施例の投写型可変焦点レンズは、いずれも、第1レンズ群G1中に、少なくとも1面の非球面を含むものであり、これによって、ディストーション補正を有利なものとすることができる。なお、その非球面形状は下記非球面式により表わされる。
【0058】
【数1】
【0059】
次に、上述した投写型可変焦点レンズを搭載した投写型表示装置の一例を図11により説明する。図11に示す投写型表示装置は、ライトバルブとして透過型液晶パネル11a〜cを備え、投写型可変焦点レンズ10として上述した実施形態に係る投写型可変焦点レンズを用いている。また、光源とダイクロイックミラー12の間には、フライアイ等のインテグレータ(図示を省略)が配されており、光源からの白色光は照明光学部を介して、3つの色光光束(G光、B光、R光)にそれぞれ対応する液晶パネル11a〜cに入射されて光変調され、クロスダイクロイックプリズム14により、色合成され投写型可変焦点レンズ10により図示されないスクリーン上に投写される。この装置は、色分解のためのダイクロイックミラー12、13、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14、コンデンサレンズ16a〜c、全反射ミラー18a〜cを備えている。本実施形態の投写型表示装置は、本実施形態に係る投写型可変焦点レンズを用いているので、高変倍可能な構成でありながら、小型化、軽量化および低廉化を図ることができ、また、高い光学性能を維持することができる。
【0060】
なお、本発明の投写型可変焦点レンズは透過型の液晶表示パネルを用いた投写型表示装置の投写型可変焦点レンズとしての使用態様に限値られるものではなく、反射型の液晶表示パネルあるいはDMD等の他の光変調手段を用いた装置の投写型可変焦点レンズ等として用いることも可能である。
【実施例】
【0061】
以下、具体的な実施例を用いて、本発明の投写型可変焦点レンズをさらに説明する。
<実施例1>
この実施例1にかかる投写型可変焦点レンズは、前述したように図1に示す如き構成とされている。すなわちこの投写型可変焦点レンズは、拡大側から順に、第1レンズ群G1が、両面非球面の両凹レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた、平凹レンズよりなる第2レンズL2とからなる。また、第2レンズ群G2は、両凸レンズよりなる第3レンズL3、マスク3および両凸レンズよりなる第4レンズL4からなる。また、第3レンズ群G3は、両凹レンズよりなる第5レンズL5、縮小側に凸面を向けたメニスカスレンズよりなる正の第6レンズL6、および両凸レンズよりなる第7レンズL7からなる。また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8のみからなる。
【0062】
また、変倍時には、広角端から望遠端への移行に伴い、第2レンズ群G2のみが、光軸Xに沿って拡大側に移動する。
【0063】
また、フォーカシングは、第3レンズ群G3を光軸X方向に移動させることにより行われる。
【0064】
この実施例1における各レンズ面の曲率半径R(レンズ全系の焦点距離を1.0として規格化されている;以下の各表において同じ)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D(上記曲率半径Rと同様に規格化されている;以下の各表において同じ)、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表1の上段に示す。なお、この表1および後述する表2〜5において、各記号R、D、Nd、νdに対応させた数字は拡大側から順次増加するようになっている。
【0065】
また、表1の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表1の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.50および543.27の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0066】
【表1】
【0067】
また、表6に実施例1における上記各条件式に対応する数値を示す。
【0068】
図6は実施例1の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.50)および望遠端(テレ:投写距離125.50)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。なお、図6および以下の図7〜10において、各球面収差図にはd線、F線、C線の光に対する収差が示されており、各非点収差図にはサジタル像面およびタンジェンシャル像面についての収差が示されており、各倍率色収差図にはd線の光に対するF線およびC線の光についての収差が示されている。
【0069】
この図6から明らかなように、実施例1の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが53.8度と広角で、F値が2.04と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0070】
また、表6に示すように実施例1の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0071】
<実施例2>
実施例2に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図2に示す。この実施例2にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものと略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が両凹レンズよりなる点において相違している。
【0072】
この実施例2における各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表2の上段に示す。
【0073】
また、表2の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表2の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.50および543.31の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0074】
【表2】
【0075】
また、表6に実施例2における上記各条件式に対応する数値を示す。
図7は実施例2の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.50)および望遠端(テレ:投写距離125.50)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。
【0076】
この図7から明らかなように、実施例2の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが53.6度と広角で、F値が2.05と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0077】
また、表6に示すように実施例2の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0078】
<実施例3>
実施例3に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図3に示す。この実施例3にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものと略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1が、両凹レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた、両面非球面のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2とからなる点において相違している。
【0079】
この実施例3における各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表3の上段に示す。
【0080】
また、表3の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表3の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.77および544.48の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0081】
【表3】
【0082】
また、表6に実施例3における上記各条件式に対応する数値を示す。
図8は実施例3の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.77)および望遠端(テレ:投写距離125.77)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。
【0083】
この図8から明らかなように、実施例3の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが54.0度と広角で、F値が2.05と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0084】
また、表6に示すように実施例3の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0085】
<実施例4>
実施例4に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図4に示す。この実施例4にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものとは略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1が、両面非球面の両凹レンズよりなる第1レンズL1のみからなる点において、また、第3レンズ群G3の最も縮小側のレンズ(第6レンズL6)が縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとされている点において、さらに、第4レンズ群G4を構成する正レンズ(第7レンズL7)が両凸レンズとされている点において、各々相違している。なお、第1レンズ群G1が1枚のレンズにより構成されていることから、その他のレンズは、実施例1のものにおいて対応するレンズと比べて、レンズ番号が1つずつ繰り上がって付されている。
【0086】
この実施例4における各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表4の上段に示す。
【0087】
また、表4の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表4の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.54および597.79の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0088】
【表4】
【0089】
また、表6に実施例4における上記各条件式に対応する数値を示す。
図9は実施例4の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.54)および望遠端(テレ:投写距離125.54)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。
【0090】
この図9から明らかなように、実施例4の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが58.4度と広角で、F値が2.42と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0091】
また、表6に示すように実施例4の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0092】
<実施例5>
実施例5に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図5に示す。この実施例5にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものとは略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1を構成するレンズが、複合非球面レンズL1のみから構成されている点において相違している。この複合非球面レンズL1は、縮小側に凹面を向けた負のメニスカス形状の球面ガラスレンズl1aの縮小側の面に、樹脂膜l1bを付設し、この樹脂膜l1bの縮小側の面を非球面形状に構成したものである。なお、第1レンズ群G1が1枚のレンズにより構成されていることから、その他のレンズは、実施例1のものと比べて、レンズ番号が1つずつ繰り上がって付されている。
【0093】
この実施例5における各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表5の上段に示す。
【0094】
また、表5の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表5の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.54および543.45の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0095】
【表5】
【0096】
また、表6に実施例5における上記各条件式に対応する数値を示す。
図10は実施例5の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.54)および望遠端(テレ:投写距離125.54)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。
【0097】
この図10から明らかなように、実施例5の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが54.0度と広角で、F値が2.06と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0098】
また、表6に示すように実施例5の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0099】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施例1に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図2】本発明の実施例2に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図3】本発明の実施例3に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図4】本発明の実施例4に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図5】本発明の実施例5に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図6】実施例1の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図7】実施例2の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図8】実施例3の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図9】実施例4の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図10】実施例5の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図11】本発明の一実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図
【符号の説明】
【0101】
G1〜G4 レンズ群
L1〜L8 レンズ
R1〜R19 レンズ面等の曲率半径
D1〜D18 レンズ面間隔(レンズ厚)
X 光軸
1 画像表示面
2 ガラスブロック(フィルタ部を含む)
3 マスク(開口絞り)
10 投写型可変焦点レンズ
11a〜c 透過型液晶パネル
12、13 ダイクロイックミラー
14 クロスダイクロイックプリズム
16a〜c コンデンサレンズ
18a〜c 全反射ミラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型表示装置等に搭載される4群構成の可変焦点レンズおよびその可変焦点レンズを搭載した投写型表示装置に関し、特に、透過型あるいは反射型の液晶表示装置やDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)表示装置等のライトバルブからの映像情報を担持した光束をスクリーン上に拡大投写する投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置やDMD表示装置等のライトバルブを用いた投写型表示装置が広く普及しており、特に、このライトバルブを3枚用い、RGB3原色の照明光に各々対応させるようにすることでこれら各照明光を変調し、個々のライトバルブで変調された光をプリズム等で合成し、投写レンズを介してスクリーンに画像を表示する構成をとるものが広く利用されている。
【0003】
このようなライトバルブにおいては小型化・高精細化が急激に進み、また、パソコンの普及と相俟って、このような投写型表示装置を用いてプレゼンテーションを行うことの需要も増加しており、利便性や設置性のよい態様のものが望まれているため、投写型表示装置に対して、より高性能かつ高変倍可能で、より小型・軽量なものへの要求が高まってきている。また、これに伴い投写レンズに関しても、より高性能かつ高変倍可能で、より小型、軽量なものであることが強く望まれている。また、その一方で、投写レンズに対する低廉化への要求も強いものがある。
【0004】
さらに、光学系内に、複数のライトバルブからの変調光を合成するための色合成プリズムや、照明光と投写光の分離に用いられるTIRプリズムを配設した場合、前者では色むら発生を防止するため、後者では分離効率の低下を防止するため、投写レンズの縮小側を略テレセントリックとすることが要求される。
【0005】
以上のような、種々の要求に応えることを目的とした投写レンズとして、種々の投写型ズームレンズが知られているが、このようなズームレンズでは、変倍時に連携して移動する2群以上の変倍群の他、一般には、それ以外の1群よりなるフォーカス群を有しており、カム機構等によるレンズ駆動部が複雑となるとともに、小型化、軽量化および低廉化を進める上で障害となっていた。
【0006】
そこで、1群でズーミングを行なうとともに、他の1群でフォーカシングを行うことを可能にした、下記特許文献1に記載された投写型ズームレンズが知られている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−300619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1記載の投写型ズームレンズにおいても、ズーム機能を有しているが故に、レンズ群の変倍時における移動に制約があり、変倍時における収差変動がどうしても大きくなってしまう。
【0009】
また、特許文献1記載の投写型ズームレンズにおいては、上記変倍を行なうためのレンズ群の縮小側に配されたレンズ枚数が少なく、縮小側が略テレセントリックな系においては、大きな変倍比とすることが難しい、という課題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、縮小側テレセントリックで、高変倍可能な構成でありながら、ズームレンズが本質的に有する問題に影響されることなく、小型化、軽量化および低廉化を図ることができ、諸収差、特に変倍時において、収差がバランスよく良好に補正された投写型可変焦点レンズおよび投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の投写型可変焦点レンズは、
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群、からなり、
可変焦点調整時には、前記第2レンズ群を光軸方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、前記第2レンズ群を光軸方向に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「可変焦点レンズ」とは、バリフォーカルレンズとも称される。ズームレンズとは異なり、変倍により共役長が変化するので、これに伴うピントのずれをフォーカシングにより調整するものである。
【0013】
また、前記第2レンズ群が以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
【0014】
また、前記第2レンズ群が以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
D2:第2レンズ群中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長
【0015】
また、前記第2レンズ群は2枚の正レンズのみで構成することが好ましい。
【0016】
また、前記第3レンズ群は、拡大側から順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズのみで構成することが好ましい。
【0017】
また、前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズのみで構成されていることが好ましい。
【0018】
また、前記第3レンズ群が下記条件式(3)を満足することが好ましい。
f3/fw < −3.0 ・・・・(3)
ここで、
f3 :第3レンズ群の焦点距離
【0019】
また、前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた負レンズを含む2枚のレンズにより構成したり、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズのみにより構成することが好ましい。
【0020】
また、前記第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面を備えることが好ましい。
【0021】
また、前記第1レンズ群が、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズを含む2枚のレンズからなり、前記第2レンズ群が、正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群が、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群が、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体で8枚のレンズにより構成することが好ましい。
【0022】
また、前記第1レンズ群が、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズからなり、前記第2レンズ群が正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群が、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群が、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体で7枚のレンズにより構成することが好ましい。
【0023】
また、本発明の投写型表示装置は、光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、上記いずれかの投写型可変焦点レンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写型可変焦点レンズによりスクリーンに投写することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の投写型可変焦点レンズによれば、拡大側から順に、負、正の2つのレンズ群が配設されるとともに、最も縮小側には正のレンズ群が配設された4群レンズ構成とされ、焦点距離の可変時には、第2レンズ群を光軸方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、第3レンズ群を光軸方向に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されている。
【0025】
このように構成したことにより、縮小側テレセントリックで、高変倍可能な構成でありながら、ズームレンズが本質的に有する問題に影響されることなく、小型化、軽量化および低廉化を図ることができる。また、特に変倍時において、収差をバランスよく良好に補正することができる。
【0026】
ところで、前述した従来技術においては、投写レンズに変倍機能を持たせるためにズームレンズが使用されていたため、変倍時には2つ以上のレンズ群を連携して移動させる必要があり、さらに一般には、その他のレンズ群をフォーカシング時に移動させる必要があった。このため、移動するレンズ群が多く、投写レンズの小型化、軽量化および低廉化を図ることができなかった。
【0027】
しかしながら、本発明においては、投写レンズの変倍に可変焦点レンズを用いており、1つのレンズ群を移動させるだけで変倍が可能となるように構成されており、カム機構等の複雑なレンズ駆動機構が不要となるため、従来のものに比べて各段に、小型化、軽量化および低廉化を図ることが可能である。また、ズームレンズの場合には、変倍時におけるレンズ群相互の移動に制約があるため、変倍時における収差変動がどうしても大きくなってしまうが、本発明の投写型可変焦点レンズにおいては、変倍時におけるレンズ群の移動における制約を排除することが可能であるから、変倍時における収差変動を大幅に改善することができる。
【0028】
また、このような可変焦点レンズは、従来より、撮影レンズ等に用いられており、変倍時に、共役長が変化することから、ピント合わせのためにフォーカス調整が必要となり、撮影毎のフォーカス調整が煩わしいという点が指摘されていた。
【0029】
しかしながら、投写レンズにおいては、一般に、投写型表示装置とスクリーンが一旦設定されてしまえば、投写操作毎に倍率を変更するものではないので、フォーカス調整も最初の一回だけ行なえば良いことから、撮影レンズ等において指摘されている上述したような点は、ほとんど問題とならない。
【0030】
さらに、本発明の投写型可変焦点レンズにおいては、前述したような公報に記載の投写型ズームレンズとは異なり、変倍を行なうためのレンズ群を、4群構成の拡大側から2番目のレンズ群としているので、縮小側が略テレセントリックな系においても、大きな変倍比を得ることが可能である。
【0031】
また、本発明の投写型表示装置は、本発明の投写型可変焦点レンズを用いていることにより、高変倍可能な構成でありながら、小型化、軽量化および低廉化を図ることができ、また、高い光学性能を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示す実施形態(実施例1のものを代表させて示している)の投写型可変焦点レンズは、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および正の屈折力を有する第4レンズ群G4を備え、縮小側が略テレセントリックに構成されており、その後段には、色合成プリズムを主とするガラスブロック(フィルタ部を含む)2および液晶表示パネル等ライトバルブの画像表示面1が配設される。なお、図中Xは光軸を表している。
【0033】
また、変倍時(焦点距離の可変時)において、第2レンズ群G2(一体的にマスク(開口絞りとすることも可)3)が光軸Xに沿って移動するように構成され、フォーカシング時には、前記第3レンズ群G3を光軸Xに沿って移動させるように構成されている。
【0034】
ここで第1レンズ群G1は、縮小側に凹面を向けた、少なくとも1面が非球面からなる非球面レンズ(プラスチック製が好ましい)よりなる第1レンズL1、および縮小側に凹面を向けた平凹レンズまたは両凹レンズよりなる第2レンズL2からなる(実施例3においては、両凹レンズよりなる第1レンズL1、および縮小側に凹面を向けた、少なくとも1面が非球面からなる非球面レンズよりなる第2レンズL2からなり、実施例4においては、縮小側に凹面を向けた、少なくとも1面が非球面からなる非球面レンズよりなる第1レンズL1からなり、実施例5においては、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズ(ガラス製が好ましい)の縮小側の面に、非球面形状に成型された樹脂を付設した複合非球面レンズよりなる第1レンズL1からなる。)。
【0035】
上記第1レンズ群G1を、縮小側に凹面を向けた負レンズを含む2枚のレンズ、または縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズのみにより構成することにより、レンズ系のコンパクト化および低廉化を図ることができる。特に、第1レンズ群G1には、非球面が形成されるので、外径を小さくできれば、大幅にコストダウンを図ることができる。
【0036】
また、第2レンズ群G2は、2枚の正レンズによって構成されており、これによりレンズ系のコンパクト化および低コスト化を達成することができる。より好ましくは、両凸レンズよりなる第3レンズL3、マスク(開口絞りとすることも可:以下同じ)3および両凸レンズよりなる第4レンズL4によって構成する。マスク3を、上記2枚の正レンズの間の位置に配設することにより、縮小側のテレセントリック性を、より良好なものとすることができる。
【0037】
なお、上記第2レンズ群G2において、上記2枚の正レンズは、ともに屈折率が1.65以上とすることが収差補正上好ましい。
【0038】
また、第3レンズ群G3は、拡大側から順に、負レンズ、縮小側に凸面を向けた正(または負)レンズ、および縮小側に凸面を向けた正レンズによって構成されており、これによりフォーカシング時の収差変動を少なくすることができる。より好ましくは、両凹レンズよりなる第5レンズL5、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第6レンズL6および両凸レンズよりなる第7レンズL7によって構成する(実施例4においては、最も縮小側に配された第6レンズL6が、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとされている。)。
【0039】
なお、上記第3レンズ群G3において、拡大側から2番目のレンズと3番目のレンズは、ともに屈折率が1.65未満とすることが低廉化を図る上で好ましい。
【0040】
また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8のみからなる(なお、実施例4においては、両凸レンズよりなる第7レンズL7のみからなる。)。
【0041】
なお、上記第4レンズ群G4において、上記正レンズは屈折率が1.65未満とすることが低廉化を図る上で好ましい。
【0042】
また、本実施形態の投写型可変焦点レンズにおいては、第2レンズ群G2のみを移動させるだけで変倍が可能となるように構成されており、カム機構等の複雑なレンズ駆動機構が不要となるため、従来のものに比べて各段に、小型化、軽量化および低廉化を図ることが可能である。上述したように構成された各レンズ群のレンズ枚数を合計すると、上述した好ましい態様においては、7枚または8枚のレンズ枚数となる。このような少ないレンズ枚数は、ズームレンズではなく、可変焦点レンズを用いたことにより達成されたものである。
【0043】
また、変倍時におけるレンズ群の連携移動における制約を排除することが可能であるから、変倍時における収差変動を大幅に改善することができる。
【0044】
ここで、「可変焦点レンズ」とは、変倍時において共役長が変化し、ピントがずれるので、その際のフォーカシングが必要となるが、変倍時の移動群を1群とすることが可能であり、他の1群よりなるフォーカス群を考慮しても、移動群としては最低2群あればすむことになる。
【0045】
なお、「可変焦点レンズ」に比して、「ズームレンズ」とは、変倍時において共役長が一定となるように調整し、その共役長の若干のズレ量をフォーカシングレンズにより調整することになるが、変倍時には2つ以上の移動群がズームカム機構などを用いて、相互に所定の規則にしたがって移動するものであり、他の1群よりなるフォーカス群を考慮した場合には、移動群としては3群以上となるものであり、小型化、軽量化および低廉化の点で不利である。
【0046】
また、本実施形態の投写型可変焦点レンズにおいては、上述したように、ネガティヴリード型のズームレンズとされているため、広角化を図り易く、また適正な長さのバックフォーカスを確保することが可能である。
【0047】
また、本実施形態の投写型可変焦点レンズにおいては、熱的に弱い接合レンズを使用せず、全て単独のレンズにより構成することが好ましい。これにより、系内(特に光束が細くなる位置)が極めて高温となる投写レンズにおいても、熱的問題の発生を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る投写型可変焦点レンズにおいては、第2レンズ群G2は、下記条件式(1)、(2)の少なくとも一方を満足することが好ましい。
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
D2:第2レンズ群G2中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長
【0049】
さらに、本実施形態に係る投写型可変焦点レンズにおいては、下記条件式(3)を満足することが好ましい。
【0050】
また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズのみで構成され、かつ第3レンズ群G3が下記条件式(3)を満足することが好ましい。
f3/fw < −3.0 ・・・・(3)
ここで、
f3 :第3レンズ群G3の焦点距離
【0051】
ここで、上述した条件式(1)〜(3)の技術的意義について説明する。
【0052】
まず、条件式(1)は、変倍のための移動群である第2レンズ群G2の焦点距離f2と、ワイド端の全系焦点距離fwとの比の値の範囲を規定したものであり、第2レンズ群G2のパワーの範囲を規定したものであり、各収差補正を良好にしつつ、レンズ系のコンパクト化を達成し得る範囲を規定したものである。すなわち、条件式(1)の下限値以下となった場合は収差補正が困難となる。一方、上限値以上となるとレンズの移動量が大きくなりレンズ全長が大型化してしまう。なお、条件式(1)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(1´)を満足することが好ましく、下記条件式(1´´)を満足することがより好ましい。
1.3 < f2/fw < 3.0 ・・・・(1´)
1.5 < f2/fw < 2.5 ・・・・(1´´)
【0053】
また、条件式(2)は、レンズ全長Lに対する、第2レンズ群G2中で最も長いレンズ面間隔D2の割合の範囲を規定したものであり、各収差補正、特に像面補正やディストーション補正を良好にしつつ、レンズ系のコンパクト化を達成し得る範囲を規定したものである。すなわち、条件式(2)の下限値以下となった場合は収差補正、特に像面補正やディストーション補正が困難となる。一方、上限値以上となるとレンズの移動量が大きくなりレンズ全長が大型化してしまう。なお、条件式(2)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(2´)を満足することが好ましく、下記条件式(2´´)を満足することがより好ましい。
0.2 < D2/L < 0.5 ・・・・(2´)
0.25 < D2/L < 0.4 ・・・・(2´´)
【0054】
また、条件式(3)は、第3レンズ群G3の焦点距離f3と、ワイド端の全系焦点距離fwとの比の値の範囲を規定したものであり、収差補正を良好とし得る範囲を規定するものである。すなわち、条件式(3)の上限値以上となると良好な収差補正が困難となる。なお、条件式(3)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(3´)を満足することが好ましい。
f3/fw < −5.0 ・・・・(3´)
【0055】
また、下記条件式(4)を満足し、広角端の全系焦点距離fWの1.2倍より長いバックフォーカスBfを確保して、良好なテレセントリック性を確保することで、色合成や光束分離のためにプリズム等の光学系を縮小側に配設した場合にも、ダイクロイック膜特性の劣化に伴う色むらの発生や、照明光と投影光の分離効率低下、といった問題を解決することができる。
Bf/fw > 1.2 ・・・・(4)
【0056】
なお、条件式(4)の作用をさらに効果的に得るためには、下記条件式(4´)を満足することが好ましい。
Bf/fw > 1.45 ・・・・(4´)
【0057】
ここで、下記各実施例の投写型可変焦点レンズは、いずれも、第1レンズ群G1中に、少なくとも1面の非球面を含むものであり、これによって、ディストーション補正を有利なものとすることができる。なお、その非球面形状は下記非球面式により表わされる。
【0058】
【数1】
【0059】
次に、上述した投写型可変焦点レンズを搭載した投写型表示装置の一例を図11により説明する。図11に示す投写型表示装置は、ライトバルブとして透過型液晶パネル11a〜cを備え、投写型可変焦点レンズ10として上述した実施形態に係る投写型可変焦点レンズを用いている。また、光源とダイクロイックミラー12の間には、フライアイ等のインテグレータ(図示を省略)が配されており、光源からの白色光は照明光学部を介して、3つの色光光束(G光、B光、R光)にそれぞれ対応する液晶パネル11a〜cに入射されて光変調され、クロスダイクロイックプリズム14により、色合成され投写型可変焦点レンズ10により図示されないスクリーン上に投写される。この装置は、色分解のためのダイクロイックミラー12、13、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14、コンデンサレンズ16a〜c、全反射ミラー18a〜cを備えている。本実施形態の投写型表示装置は、本実施形態に係る投写型可変焦点レンズを用いているので、高変倍可能な構成でありながら、小型化、軽量化および低廉化を図ることができ、また、高い光学性能を維持することができる。
【0060】
なお、本発明の投写型可変焦点レンズは透過型の液晶表示パネルを用いた投写型表示装置の投写型可変焦点レンズとしての使用態様に限値られるものではなく、反射型の液晶表示パネルあるいはDMD等の他の光変調手段を用いた装置の投写型可変焦点レンズ等として用いることも可能である。
【実施例】
【0061】
以下、具体的な実施例を用いて、本発明の投写型可変焦点レンズをさらに説明する。
<実施例1>
この実施例1にかかる投写型可変焦点レンズは、前述したように図1に示す如き構成とされている。すなわちこの投写型可変焦点レンズは、拡大側から順に、第1レンズ群G1が、両面非球面の両凹レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた、平凹レンズよりなる第2レンズL2とからなる。また、第2レンズ群G2は、両凸レンズよりなる第3レンズL3、マスク3および両凸レンズよりなる第4レンズL4からなる。また、第3レンズ群G3は、両凹レンズよりなる第5レンズL5、縮小側に凸面を向けたメニスカスレンズよりなる正の第6レンズL6、および両凸レンズよりなる第7レンズL7からなる。また、第4レンズ群G4は、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8のみからなる。
【0062】
また、変倍時には、広角端から望遠端への移行に伴い、第2レンズ群G2のみが、光軸Xに沿って拡大側に移動する。
【0063】
また、フォーカシングは、第3レンズ群G3を光軸X方向に移動させることにより行われる。
【0064】
この実施例1における各レンズ面の曲率半径R(レンズ全系の焦点距離を1.0として規格化されている;以下の各表において同じ)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D(上記曲率半径Rと同様に規格化されている;以下の各表において同じ)、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表1の上段に示す。なお、この表1および後述する表2〜5において、各記号R、D、Nd、νdに対応させた数字は拡大側から順次増加するようになっている。
【0065】
また、表1の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表1の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.50および543.27の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0066】
【表1】
【0067】
また、表6に実施例1における上記各条件式に対応する数値を示す。
【0068】
図6は実施例1の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.50)および望遠端(テレ:投写距離125.50)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。なお、図6および以下の図7〜10において、各球面収差図にはd線、F線、C線の光に対する収差が示されており、各非点収差図にはサジタル像面およびタンジェンシャル像面についての収差が示されており、各倍率色収差図にはd線の光に対するF線およびC線の光についての収差が示されている。
【0069】
この図6から明らかなように、実施例1の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが53.8度と広角で、F値が2.04と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0070】
また、表6に示すように実施例1の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0071】
<実施例2>
実施例2に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図2に示す。この実施例2にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものと略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1を構成する第2レンズL2が両凹レンズよりなる点において相違している。
【0072】
この実施例2における各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表2の上段に示す。
【0073】
また、表2の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表2の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.50および543.31の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0074】
【表2】
【0075】
また、表6に実施例2における上記各条件式に対応する数値を示す。
図7は実施例2の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.50)および望遠端(テレ:投写距離125.50)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。
【0076】
この図7から明らかなように、実施例2の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが53.6度と広角で、F値が2.05と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0077】
また、表6に示すように実施例2の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0078】
<実施例3>
実施例3に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図3に示す。この実施例3にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものと略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1が、両凹レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた、両面非球面のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2とからなる点において相違している。
【0079】
この実施例3における各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表3の上段に示す。
【0080】
また、表3の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表3の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.77および544.48の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0081】
【表3】
【0082】
また、表6に実施例3における上記各条件式に対応する数値を示す。
図8は実施例3の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.77)および望遠端(テレ:投写距離125.77)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。
【0083】
この図8から明らかなように、実施例3の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが54.0度と広角で、F値が2.05と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0084】
また、表6に示すように実施例3の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0085】
<実施例4>
実施例4に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図4に示す。この実施例4にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものとは略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1が、両面非球面の両凹レンズよりなる第1レンズL1のみからなる点において、また、第3レンズ群G3の最も縮小側のレンズ(第6レンズL6)が縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズとされている点において、さらに、第4レンズ群G4を構成する正レンズ(第7レンズL7)が両凸レンズとされている点において、各々相違している。なお、第1レンズ群G1が1枚のレンズにより構成されていることから、その他のレンズは、実施例1のものにおいて対応するレンズと比べて、レンズ番号が1つずつ繰り上がって付されている。
【0086】
この実施例4における各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表4の上段に示す。
【0087】
また、表4の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表4の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.54および597.79の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0088】
【表4】
【0089】
また、表6に実施例4における上記各条件式に対応する数値を示す。
図9は実施例4の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.54)および望遠端(テレ:投写距離125.54)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。
【0090】
この図9から明らかなように、実施例4の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが58.4度と広角で、F値が2.42と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0091】
また、表6に示すように実施例4の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0092】
<実施例5>
実施例5に係る投写型可変焦点レンズの概略構成を図5に示す。この実施例5にかかる投写型可変焦点レンズは、実施例1のものとは略同様の構成とされているが、主として、第1レンズ群G1を構成するレンズが、複合非球面レンズL1のみから構成されている点において相違している。この複合非球面レンズL1は、縮小側に凹面を向けた負のメニスカス形状の球面ガラスレンズl1aの縮小側の面に、樹脂膜l1bを付設し、この樹脂膜l1bの縮小側の面を非球面形状に構成したものである。なお、第1レンズ群G1が1枚のレンズにより構成されていることから、その他のレンズは、実施例1のものと比べて、レンズ番号が1つずつ繰り上がって付されている。
【0093】
この実施例5における各レンズ面の曲率半径R、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを表5の上段に示す。
【0094】
また、表5の中段には各非球面に対応する各定数K、A3〜A12の値が示されており、表5の下段には、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各々における、投写距離125.54および543.45の各場合について、可変間隔1(第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔)、可変間隔2(第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔)および可変間隔3(第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔)が示されている。
【0095】
【表5】
【0096】
また、表6に実施例5における上記各条件式に対応する数値を示す。
図10は実施例5の投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド:投写距離125.54)および望遠端(テレ:投写距離125.54)における諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。
【0097】
この図10から明らかなように、実施例5の投写型可変焦点レンズによれば、広角端での画角2ωが54.0度と広角で、F値が2.06と明るく、各収差が良好に補正されている。
【0098】
また、表6に示すように実施例5の投写型可変焦点レンズによれば、条件式(1)〜(4)、条件式(1´)〜(4´)、さらには(1´´)、(2´´)が全て満足されている。
【0099】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施例1に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図2】本発明の実施例2に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図3】本発明の実施例3に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図4】本発明の実施例4に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図5】本発明の実施例5に係る投写型可変焦点レンズの広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における構成を示す概略図
【図6】実施例1の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図7】実施例2の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図8】実施例3の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図9】実施例4の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図10】実施例5の投写型可変焦点レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図
【図11】本発明の一実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図
【符号の説明】
【0101】
G1〜G4 レンズ群
L1〜L8 レンズ
R1〜R19 レンズ面等の曲率半径
D1〜D18 レンズ面間隔(レンズ厚)
X 光軸
1 画像表示面
2 ガラスブロック(フィルタ部を含む)
3 マスク(開口絞り)
10 投写型可変焦点レンズ
11a〜c 透過型液晶パネル
12、13 ダイクロイックミラー
14 クロスダイクロイックプリズム
16a〜c コンデンサレンズ
18a〜c 全反射ミラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群、からなり、
焦点距離の可変時には、前記第2レンズ群を光軸方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、前記第3レンズ群を光軸方向に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されていることを特徴とする投写型可変焦点レンズ。
【請求項2】
前記第2レンズ群が以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写型可変焦点レンズ。
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
【請求項3】
前記第2レンズ群が以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写型可変焦点レンズ。
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
D2:第2レンズ群中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長
【請求項4】
前記第2レンズ群は2枚の正レンズのみで構成されたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項5】
前記第3レンズ群は、拡大側から順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズのみで構成されたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項6】
前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズのみで構成されたことを特徴とする請求項5記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項7】
前記第3レンズ群が下記条件式(3)を満足することを特徴とする請求項5または6記載の投写型可変焦点レンズ。
f3/fw < −3.0 ・・・・ (3)
ここで、
f3 :第3レンズ群の焦点距離
【請求項8】
前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた負レンズを含む2枚のレンズにより構成されたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項9】
前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズのみにより構成されたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項10】
前記第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面を備えたことを特徴とする請求項8または9記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項11】
前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズを含む2枚のレンズからなり、前記第2レンズ群は、正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群は、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体が8枚のレンズにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項12】
前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズからなり、前記第2レンズ群は、正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群は、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体が7枚のレンズにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項13】
光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、請求項1〜12のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写型可変焦点レンズによりスクリーンに投写することを特徴とする投写型表示装置。
【請求項1】
拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群、からなり、
焦点距離の可変時には、前記第2レンズ群を光軸方向に移動させるとともに、フォーカシング時には、前記第3レンズ群を光軸方向に移動させるように構成され、さらに縮小側が略テレセントリックに構成されていることを特徴とする投写型可変焦点レンズ。
【請求項2】
前記第2レンズ群が以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写型可変焦点レンズ。
1.0 < f2/fw < 4.0 ・・・・(1)
ここで、
fw:ワイド端の全系焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
【請求項3】
前記第2レンズ群が以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写型可変焦点レンズ。
0.15 < D2/L < 0.55 ・・・・(2)
ここで、
D2:第2レンズ群中で最も長いレンズ面間隔
L :レンズ全長
【請求項4】
前記第2レンズ群は2枚の正レンズのみで構成されたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項5】
前記第3レンズ群は、拡大側から順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズのみで構成されたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項6】
前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズのみで構成されたことを特徴とする請求項5記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項7】
前記第3レンズ群が下記条件式(3)を満足することを特徴とする請求項5または6記載の投写型可変焦点レンズ。
f3/fw < −3.0 ・・・・ (3)
ここで、
f3 :第3レンズ群の焦点距離
【請求項8】
前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた負レンズを含む2枚のレンズにより構成されたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項9】
前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズのみにより構成されたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項10】
前記第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面を備えたことを特徴とする請求項8または9記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項11】
前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズを含む2枚のレンズからなり、前記第2レンズ群は、正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群は、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、および縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体が8枚のレンズにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項12】
前記第1レンズ群は、縮小側に凹面を向けた1枚の負レンズからなり、前記第2レンズ群は、正レンズ2枚からなり、前記第3レンズ群は、拡大側より順に、負の第31レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第32レンズ、縮小側に凸面を向けた正の第33レンズからなり、前記第4レンズ群は、拡大側に凸面を向けた1枚の正レンズからなり、系全体が7枚のレンズにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の投写型可変焦点レンズ。
【請求項13】
光源と、ライトバルブと、該光源からの光束を該ライトバルブへ導く照明光学部と、請求項1〜12のうちいずれか1項記載の投写型可変焦点レンズとを備え、前記光源からの光束を前記ライトバルブで光変調し、前記投写型可変焦点レンズによりスクリーンに投写することを特徴とする投写型表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−32566(P2010−32566A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191525(P2008−191525)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】
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