説明

振動片、振動子、センサーおよび電子機器

【課題】振動片の小型化に伴う、電極や配線を形成する際の負担を軽減すること。
【解決手段】振動片100は、基部10と、基部10から、第1方向(X軸方向)に延出し、平面視において第1方向に垂直な第2方向(Y軸方向)に幅wを有し、且つ、第1方向および第2方向に垂直な第3方向(Z軸方向)に厚みtを有する振動腕20と、振動腕20の第3方向に垂直な第1面Aおよび第1面Aに対向する第2面Bに設けられ、第1方向に電極指を配列してなる第1櫛歯電極(第1電極41a、第2電極41b)、第2櫛歯電極(第1電極41c、第2電極41d)と、を含み、両櫛歯電極によって生じる第1方向の電界(Ex1,Ex2)により、振動腕20に第1方向の伸縮を生じさせて、振動腕20を第3方向に振動させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動片、振動子、センサーおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
振動片は、振動子やセンサー素子等の構成要素となる振動部材であり、例えば、基部と、その基部に連接(連結)される振動腕(振動ビーム)と、を有する。
【0003】
例えば、圧電体(圧電材料)である水晶に電圧(電界)を印加すると、水晶に変形が生じる。水晶は、その固有振動数に近い、ある特定の周波数帯でのみコイルのような誘導性リアクタンス特性を発現する。
この原理を応用した電子部品が水晶振動子である。水晶振動子は、水晶振動片をパッケージに収容し、例えばパッケージ内を真空封止することによって製造される。水晶振動子は、例えば、発振回路の構成部品として使用される。
【0004】
また、振動腕の両端が基部により支持される両持ち構造の振動片(例えば、双音叉型振動片)は、物理量(加速度、圧力等)を検出するためのセンサー素子(例えば力検知素子)としても利用することができる。
水晶は、優れた温度安定性と高いQ値を有することから、水晶振動子を用いることによって、高精度且つ高安定性を備えた信頼性の高いセンサーが実現される。
【0005】
振動子の一例は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載される振動子では、振動片は、振動片の幅の方向(振動片が第1方向に延在するとした場合、同一面内で第1方向に垂直な第2方向)に振動する。
また、振動片において櫛歯電極を使用する例は、例えば、特許文献2および特許文献3に記載されている。特許文献2および特許文献3に記載されている櫛歯電極は、ジャイロセンサー用の駆動電極と検出電極とを兼ねる特殊な形状の電極であり、且つ、圧電単結晶の所定部分の分極方向を、圧電単結晶全体の分極方向とは逆にする(反転させる)ことを容易化できる形状となっている。
【0006】
また、近年、MEMS技術等を用いて、振動片のサイズを大幅に縮小することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−144581号公報
【特許文献2】特開2004−151031号公報
【特許文献3】特開2003−114127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
振動子の構成要素である振動片の振動腕が、その振動腕の幅(横幅)の方向に振動する場合(特許文献1に記載される例)における共振周波数は、下記(1)式で表される。
【0009】
【数1】

【0010】
共振周波数fnを一定に保つという条件の下で、振動腕の腕長lを短くして振動片の小型化を行う場合、上記の式(1)より、振動腕の幅(腕幅)wを小さくする必要がある。腕幅wを小さくする場合、各電極の幅や電極間の間隔が狭くなる。
したがって、電極の形成が困難となる場合があり、また、歩留まりが低下する場合もある。この点は、上記特許文献1〜特許文献3の各々に記載される振動片に共通する課題である。
【0011】
また、特許文献2および特許文献3に記載される特殊な形状の櫛歯電極の場合、振動腕の腕幅wをより小さくしていくと、振動腕の延在方向の電界よりも、振動腕の幅方向の電界が支配的となり、電界効率が低下して、CI値(クリスタルインピーダンス値)の上昇を招くという不都合も生じる。
【0012】
本発明の少なくとも一つの態様によれば、振動片の小型化に伴う、電極や配線を形成する際の負担を軽減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の振動片の一態様は、基部と、前記基部から、第1方向に延出し、平面視において前記第1方向に垂直な第2方向に幅を有し、且つ、前記第1方向および前記第2方向に垂直な第3方向に厚みを有する振動腕と、前記振動腕の前記第3方向に垂直な第1面および前記第1面に対向する第2面の少なくとも一方に設けられ、前記第1方向に電極指が配列された櫛歯電極と、を含み、前記櫛歯電極によって生じる前記第1方向の電界により、前記振動腕に前記第1方向の伸縮を生じさせて、前記振動腕を前記第3方向に振動させることを特徴とする。
【0014】
本態様では、振動片の振動腕は、所定面に垂直な第3方向(面外方向:振動腕の厚み方向)に振動する。つまり、振動腕に、ウォークモードの振動を励振する。この場合の振動片の共振周波数は、下記(2)式で表される。
【0015】
【数2】

【0016】
上記(2)式から明らかなように、共振周波数を一定に保つことを条件として振動腕の腕長lを縮小した場合には、振動腕の厚みtを小さくすればよい。これによって、無理のない振動腕のダウンサイジングが実現される。
振動腕の厚みtは、例えば、振動片を構成する圧電材料板の厚みを調整することによって、振動腕の腕幅wよりも高精度に制御することができる。
また、櫛歯電極(IDT(interdigital transducer)電極)によって、振動腕を面外方向に励振するための、振動腕の延出方向(第1方向)に沿った電界を生じさせることができる。
【0017】
(2)本発明の振動片の他の態様では、前記振動腕の前記幅をwとし、前記厚みをtとしたとき、w>tであることを特徴とする。
【0018】
(1)の態様により、振動腕の腕幅wは、腕長lのスケールダウンに対応して縮小する必要はなくなる。このことから、振動腕の腕幅wは、例えば、電極や配線を信頼性高く形成することができる程度のサイズに維持することができる。よって、振動腕の幅(腕幅)w>振動腕の厚みtを成立させることができる。
これにより、振動腕の厚みtを薄くしつつ、振動腕の腕幅wを適切な大きさに設定することができることから、配線や電極の形成不良(断線、接触等)の心配がなくなる。よって、振動片の小型化に伴う、電極や配線を形成する際の負担を軽減することができる。
【0019】
また、振動腕の厚みtは高精度に制御可能であることから、振動片の共振周波数を高精度に調整することもできる。例えば、圧電単結晶(水晶等)から振動片の基材となる圧電材料板を切り出すときに、圧電材料板の厚みtを調整することができ、また、圧電材料板を切り出した後の研磨等によっても厚みtを調整することができる。
いずれの場合でも、圧電材料板の表面(第1面)と裏面(第2面)との平行度は高く、また、厚みt自体も高精度に制御することができる。
【0020】
(3)本発明の振動片の他の態様では、前記振動片には水晶が用いられ、前記第1方向は水晶結晶軸のX軸方向であり、前記第2方向は水晶結晶軸のY軸方向であり、前記第3方向は水晶結晶軸のZ軸方向であることを特徴とする。
【0021】
本態様では、振動片には、圧電材料板である水晶が用いられ、Z面(水晶結晶軸のX軸とY軸とで特定される面)を含む面内に垂直な方向(第3方向、水晶結晶軸のZ軸方向)に面外振動する。この面外振動は、水晶に備わる第1方向(X軸方向、振動腕の延出方向)の歪みを生じさせる圧電定数(X軸方向の電界に対しX軸方向の歪みSxを生じさせる圧電定数d11)を利用して励振することができる。
【0022】
(4)本発明の振動片の他の態様では、前記櫛歯電極は、前記電極指の一方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL1とし、前記電極指の他方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL2としたときに、前記L2は前記L1よりも大きいことを特徴とする。
【0023】
本態様では、櫛歯電極が、例えば、互いに所定距離だけ離れて対向して配置される一対の電極指からなる第1対向部分と、この第1対向部分に隣接し、且つ、互いに所定距離だけ離れて対向して配置される一対の電極指からなる第2対向部分と、を有した場合を想定する。
第1対向部分および第2対向部分の各々において、対向する一対の電極指間に電界(有効電界)が生じ、この電界(有効電界)が振動腕に加えられる。一方、第1対向部分の第2対向部分側の電極指と、第2対向部分の第1対向部分側の電極指との間にも電界(無効電界)が生じる。
このとき、第1対向部分および第2対向部分の各々において生じる有効電界の方向と、第1対向部分と第2対向部分との間に生じる無効電界の方向とが逆である場合、有効電界の一部が無効電界によって打ち消されるという不都合が生じる。
【0024】
このため、本態様では、第1対向部分および第2対向部分の各々における電極指間の距離、換言すれば、1つの電極指の一方の側に隣接する他の電極指との間の距離L1よりも、第1対向部分と第2対向部分との間の距離、換言すれば、1つの電極指の他方の側に隣接する他の電極指との間の距離L2を大きく設定する。
これによって、第1対向部分と第2対向部分との間に生じる無効電界による有効電界の打ち消し現象を軽減することができる。
【0025】
(5)本発明の振動片の他の態様では、前記振動腕の基部端付近の前記電極指の一方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL1とし、前記電極指の他方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL2とし、前記L2は前記L1よりも大きく、前記振動腕の先端部付近の前記電極指の一方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL3とし、前記電極指の他方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL4としたときに、前記L4は前記L3よりも大きく、且つ、前記L4は前記L2よりも大きいことを特徴とする。
【0026】
振動腕に面外振動を生じさせるためには、振動腕の第1面(表面)および第2面(裏面)の少なくとも一方において、収縮(圧縮)や伸張(引っ張り)の応力(歪み)を生じさせる必要がある。
振動腕は、固定端である基部を基準として第3方向に振動することから、振動腕の屈曲に最も有効な歪みは、基部に近い箇所における歪みである。
これにより、基部から遠い箇所(先端部付近)の歪みは振動腕の屈曲に与える影響が小さい。
【0027】
この考察に基づいて、本態様では、櫛歯電極に含まれる電極指間の間隔を、基部からの距離に応じて変化させる。つまり、基部端付近の電極指間の間隔L2よりも、先端部付近の電極指間の間隔L4を大きく設定する。
このようにすれば、振動腕の延出方向に沿って配置される前述の対向部分の数を、各対向部分を等間隔で配置する場合に比べて減少させることができる。このことは、振動腕に発生する電界の総量が減ることを意味し、よって、消費電力の削減の効果が得られる。
一方、基部から遠い箇所における電界が減少したとしても、その電界が振動腕の屈曲に寄与する程度は小さいことから、振動腕には、必要な振幅の面外振動を生じさせることができる。
【0028】
(6)本発明の振動片の他の態様では、前記櫛歯電極は、前記第1面および前記第2面に設けられ、前記第1面に設けられた第1櫛歯電極と、前記第2面に設けられた第2櫛歯電極とは、前記電界の方向が互いに逆であることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、第1面に設けられた第1櫛歯電極と、第2面に設けられた第2櫛歯電極とは、発生する電界の方向が互いに逆であることから、発生する歪みの方向も互いに逆となる。
これにより、本態様では、振動片の面外振動(第3方向、Z軸方向のウォークモードの振動)を効率的に励振することができる。
【0030】
(7)本発明の振動片の他の態様では、前記第1櫛歯電極および前記第2櫛歯電極は、前記第3方向からの平面視において、極性の異なる前記電極指が互いに重ならないことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、第1櫛歯電極および第2櫛歯電極は、第3方向からの平面視において、極性の異なる電極指が互いに重ならないことから、第3方向に沿った不要電界の発生を抑制することができる。
【0032】
(8)本発明の振動片の他の態様では、前記振動腕の前記第1面および前記第2面の少なくとも一方には凸部が設けられ、前記凸部の前記第1方向と直交する両側面の各々には、前記櫛歯電極を構成する前記電極指が設けられたことを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、凸部の第1方向と直交する両側面の各々に電極指が設けられたことから、第1方向以外の電界が減少し、より効率的に面外振動を励振することができる。
また、空間を挟んで隣接する各凸部間に生じる無効電界は、空気の誘電率が、振動腕の材料(水晶や石英)等の誘電率よりも小さいことから弱められる。
よって、無効電界による有効電界の打ち消し現象を効果的に低減することができる。この点も効率的な面外振動の励振に寄与する。
【0034】
(9)本発明の振動片の他の態様では、前記振動腕が、複数本設けられたことを特徴とする
【0035】
この構成によれば、複数本の振動腕を設けて、各振動腕を、例えば力学的なバランスがとれるように振動させることによって、振動腕の面外振動をより安定化させることができる。
【0036】
(10)本発明の振動片の他の態様では、前記基部は、第1基部と第2基部とを含み、前記振動腕の一端と前記第1基部とを連結し、前記振動腕の他端と前記第2基部とを連結したことを特徴とする。
【0037】
この構成によれば、振動片は、振動腕の両端が各基部に支持される両持ち構造の振動片となる。この両持ち構造の振動片は、例えば、加速度センサーや圧力センサーの構成要素として好適に用いることができる。
【0038】
(11)本発明の振動子の一態様は、上記態様のいずれかに記載の振動片と、前記振動片を収容した収容体と、を含むことを特徴とする。
【0039】
この構成によれば、本態様は、上記態様のいずれかに記載の振動片を含むことから、小型で、高精度の発振が可能な振動子を実現することができる。
【0040】
(12)本発明のセンサーの一態様は、上記態様のいずれかに記載の振動片を含むことを特徴とする。
【0041】
この構成によれば、本態様は、上記態様のいずれかに記載の振動片を含むことから、小型で、高精度の発振が可能な振動片を使用した、小型で且つ高精度なセンサー(圧力センサーや加速度センサー等)を実現することができる。
例えば、弾性部であるダイヤフラムに両持ち構造の振動片の両端を固定することによって、圧力センサーを形成することができる。
また、質量部(錘部)に両持ち構造の振動片の一端を固定することによって、加速度センサーを形成することができる。
【0042】
(13)本発明の電子機器の一態様は、上記態様のいずれかに記載の振動片を含むことを特徴とする。
【0043】
この構成によれば、本態様は、上記態様のいずれかに記載の振動片を含むことから、例えば、小型で且つ高精度なセンサーを備えた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(A)〜(D)は、振動片の構成と動作の一例の説明図。
【図2】(A)〜(C)は、櫛歯電極の構成例を示す図。
【図3】振動腕における面外振動の励振についての説明図。
【図4】櫛歯電極の他の構成例を示す図。
【図5】櫛歯電極の別の構成例を示す図。
【図6】(A)、(B)は、複数の振動腕を設けた例を示す図。
【図7】振動片を用いた振動子の製造工程の一例を示す図。
【図8】(A)、(B)は、両持ち構造の振動片における面外振動、電極配置例についての説明図。
【図9】(A)〜(C)は、両持ち構造の振動片の構成例を示す図。
【図10】(A)、(B)は、3本の振動腕を有する双音叉型振動片における電極および配線の配置例を示す図。
【図11】(A)、(B)は、双音叉型振動片を用いた加速度センサー素子および加速度センサーの構造の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(第1実施形態)
(面外振動を利用した振動片の構造例および動作例)
図1(A)〜図1(D)は、第1実施形態にかかる振動片の構成と動作の一例の説明図である。
図1(A)に示すように、振動片100は、基部10と、基部10から、所定面内(X軸とY軸とで特定されるXY面内)で、第1方向(X軸方向)に延出する振動腕20と、を有する。
【0046】
振動片100は、例えば、圧電材料板により形成される。本実施形態では、水晶結晶のZ板(略Z板を含む)を使用して形成される。上記の所定面(XY面)は、例えば、水晶のZ面を含む面である。以下、水晶のZ板を用いる場合を例にとって説明する。
【0047】
振動腕20は、平面視において第1方向(水晶結晶軸のX軸方向)に垂直な第2方向(水晶結晶軸のY軸方向)に所定の幅wを有し、且つ、第1方向および第2方向の各々に垂直な方向の第3方向(水晶結晶軸のZ軸方向)に所定の厚みtを有する。
そして、振動腕20における第2方向の幅(腕幅)wと第3方向の厚みtに関して、w>tなる関係が成立する。
【0048】
本実施形態では、振動腕20は、第3方向に振動する。つまり、振動腕20は、所定面に垂直な方向に面外振動する。
この面外振動は、圧電材料としての水晶が有する、第1方向(X軸方向)の電界に対し第1方向の歪みSxを生じさせる圧電定数d11を利用して励振される。
【0049】
図1(B)は、水晶板の圧電定数と電界と歪みとの関係を示す図である。
図1(B)に示すように、水晶板(Z板)は、第1方向(X軸方向)の電界Exに関して、第1方向の歪みSxを生じさせる圧電定数d11(+2.30850823)と、第2方向(Y軸方向)の歪みSyを生じさせる圧電定数d12(−2.30850823)とを有している。
歪みSxに対応する圧電定数d11の符号は+であることから、正の第1方向(+X軸方向)に電界+Exが生じたときに、伸張応力(引っ張り応力)が生じる。歪みSxに対応する圧電定数d11の値は十分に大きいことから、この圧電定数d11を利用して振動腕20に、所望の面外振動を励振させることができる。
【0050】
詳述すると、図1(A)に示すように、振動腕20は、+X軸方向の電界+Exが生じたときに、歪みSxにより伸張応力が生じ、破線矢印Gxで示すように先端が−Z軸方向に変位するように屈曲する。
一方、振動腕20は、−X軸方向の電界−Exが生じたときに、歪みSxにより収縮応力(圧縮応力)が生じ、矢印−Gxで示すように先端が+Z軸方向に変位するように屈曲する。
上記の動作から、X軸方向の電界Exの印加方向(−X軸方向、+X軸方向)を交互に変えることにより、振動腕20にZ軸方向の面外振動VAを生じさせることができる。
【0051】
図1(C)は、正の第3方向からの平面視における振動片の形状を示している。また、図1(D)は、図1(C)のA−A線に沿う振動片の断面図である。
【0052】
振動腕20に面外振動を励振するためには、第1方向(X軸方向)の電界Exを振動腕20の、第3方向に垂直な(直交する)、第1面A(表面)、第2面B(裏面)のうちの少なくとも一方において生じさせ、振動腕20に伸張応力および収縮応力を、交互に生じさせる必要がある。
本実施形態では、第1方向の電界Exを生じさせるために、振動腕20の互いに対向する第1面A、第2面B(一対の主面)のうちの少なくとも一方に、櫛歯電極(IDT電極)を設ける。
【0053】
図1(C)および図1(D)の例では、振動腕20の第1面Aおよび第2面Bの各々に櫛歯電極が設けられている。図1(C)に示すように、振動腕20の第1面Aに設けられている第1櫛歯電極は、第1電極41aと第2電極41bとを有する。
第1電極41aと第2電極41bとは、所定間隔で電極指が互いに対向する対向電極部分(交差指電極部分)を有している。
【0054】
また、図1(D)に示すように、振動腕20の第2面Bに設けられている第2櫛歯電極は、第1電極41cと第2電極41dとを有する。
図1(D)では図示されないが、第1面Aと同様に、第1電極41cと第2電極41dとは、所定間隔で電極指が互いに対向する対向電極部分を有している。
【0055】
なお、第1面Aの第1櫛歯電極における第1電極41aと、第2面Bの第2櫛歯電極における第1電極41cとは、例えば、基部10に設けられるスルーホール(不図示)を経由して接続され、その共通接続点に、基部10に設けられるボンディングパッド等の第1外部接続端子(不図示)から引き出された配線が接続される。
同様に、第1面Aの第1櫛歯電極における第2電極41bと、第2面Bの第2櫛歯電極における第2電極41dとは、例えば、基部10に設けられるスルーホールを経由して接続され、その共通接続点に、基部10に設けられるボンディングパッド等の第2外部接続端子から引き出された配線が接続される。
第1外部接続端子および第2外部接続端子の各々には、所定の電圧が供給される。これによって、第1電極41a,41cと第2電極41b,41dとの間に、振動腕20の面外振動を生じさせるための電界Ex1,Ex2が生じる。
【0056】
また、図1(D)に示すように、振動腕20の第1面Aに設けられている第1櫛歯電極(第1電極41a、第2電極41b)によって生じる電界Ex1の方向と、振動腕20の第2面Bに設けられている第2櫛歯電極(第1電極41c、第2電極41d)によって生じる電界Ex2の方向とは互いに逆向きである。
よって、図1(D)の例では、第1面Aにおいて伸張応力が生じ、第2面Bにおいて収縮応力が生じる。電界Ex1および電界Ex2の各々の向きが逆転すれば、第1面Aにおいて収縮応力が生じ、第2面Bにおいて伸張応力が生じる。
これによって、振動腕20を、第3方向(Z軸方向)に効率的に振動させることができる。
【0057】
このように、本実施形態では、振動腕20は、第1面Aおよび第2面Bに垂直な第3方向(面外方向、振動腕の厚み方向)に振動する。
つまり、振動腕20に、ウォークモードの振動が励振される。この場合の振動片100の共振周波数は、下記(2)式で表される。
【0058】
【数3】

【0059】
上記(2)式から明らかなように、共振周波数fnを一定に保つことを条件として振動腕20の腕長lを縮小した場合には、振動腕20の厚みtを小さく(薄く)すればよい。これによって、無理のない振動腕20のダウンサイジングが実現される。
つまり、振動腕20を面外振動させることによって、振動片100の共振周波数を一定に保ちつつ、振動片100をダウンサイジングする場合の主要設計パラメーターが、腕幅wではなく腕の厚みtになる。
ここで、振動腕20の厚みtは、例えば、振動片100を構成する水晶板の厚みを調整することによって高精度に制御することができる。
【0060】
一方、振動腕20の腕幅wは、腕長lのスケールダウンに対応して縮小する必要はなくなり、よって、振動腕20の腕幅wは、例えば、電極や配線を信頼性高く形成することができる程度のサイズに維持することができる。よって、本実施形態では、振動腕20の幅(腕幅)w>振動腕の厚みtが成立する。
【0061】
本実施形態では、振動腕20の腕幅wを適切な大きさに設定することができることから、配線や電極の形成不良(断線、接触等)の心配がなくなり、振動片100の小型化に伴う、電極や配線を形成する際の負担を軽減することができる。
【0062】
また、振動腕20の厚みtは、腕幅wよりも高精度に制御可能であることから、振動片100の共振周波数を高精度に調整することもできる。例えば、水晶の原石等から水晶板を切り出すときに、水晶板の厚みtを調整することができ、また、水晶板を切り出した後の研磨等によっても厚みtを調整することができる。
いずれの場合でも、水晶板の第1面Aと第2面Bとの平行度は高く、また、厚みt自体も高精度に制御することができる。このことは、高精度且つ超小型の振動片100を実現することに寄与する。
【0063】
(櫛歯電極の構成例)
図2(A)〜図2(C)は、櫛歯電極の構成の例を示す図である。図2(A)は平面図であり、図2(B)は、図2(A)のA−A線に沿う断面図である。
図2A、図2(B)に示すように、振動腕20の第1面Aには第1櫛歯電極(第1電極41a、第2電極41b)が設けられ、振動腕20の第2面Bには第2櫛歯電極(第1電極41c、第2電極41d)が設けられる。各櫛歯電極の形状は、特殊な形状ではないため、形成が容易である。また、サイズを縮小した場合でも、無効電界が支配的になるような不都合が生じないという利点がある。
【0064】
ここで、図2(B)を参照する。第1面Aに設けられる第1櫛歯電極は、所定距離L1だけ離れて互いに対向して配置される一対の電極指(便宜的に41a,41bとする)からなる第1対向部分42(1)と、第1対向部分42(1)に隣接して設けられ、且つ、所定距離L1だけ離れて互いに対向して配置される一対の電極指(41a,41b)からなる第2対向部分42(2)と、第2対向部分42(2)に隣接して設けられ、且つ、所定距離L1だけ離れて互いに対向して配置される一対の電極指(41a,41b)からなる第3対向部分42(3)と、を有している。
【0065】
第1対向部分42(1)、第2対向部分42(2)、第3対向部分42(3)の各々は、振動腕20の延出方向である第1方向(X軸方向)に沿って配置されている。
また、第1対向部分42(1)と第2対向部分42(2)との間の距離(第2対向部分42(2)と第3対向部分42(3)との間の距離)をL2としたとき、L1<L2が成立する。
換言すれば、1つの電極指(例えば、第1対向部分42(1)の41b)の一方の側に隣接する他の電極指(第1対向部分42(1)の41a)との間の距離L1よりも、他方の側に隣接する他の電極指(例えば、第2対向部分42(2)の41a)との間の距離L2の方が大きい。
【0066】
第2面Bに設けられる第2櫛歯電極も、同様に、第1対向部分42(1)’と、第2対向部分42(2)’と、第3対向部分42(3)’と、を有する。第2面Bに設けられる第2櫛歯電極についても、L1<L2が成立する。
【0067】
L1<L2とするのは、以下の理由による。
以下の説明では、第1対向部分42(1)および第2対向部分42(2)に着目する。第1対向部分42(1)および第2対向部分42(2)の各々において、対向する一対の電極指(41a,41b)間に電界(有効電界)Ex(1)が生じ、この電界Ex(1)が振動腕20に加えられ、振動腕20に収縮または伸張の各応力が生じる。
【0068】
一方、第1対向部分42(1)における第2対向部分側の電極指41bと、第2対向部分42(2)の第1対向部分側の電極指41aとの間にも電界(無効電界)Ex(2)が生じる。
第1対向部分42(1)および第2対向部分42(2)の各々において生じる電界Ex(1)の方向と、第1対向部分42(1)と第2対向部分42(2)との間に生じる電界Ex(2)の方向とが、逆である場合、有効電界Ex(1)の一部が無効電界Ex(2)によって打ち消されるという不都合が生じる。
【0069】
このため、図2(B)に示す例では、第1対向部分42(1)および第2対向部分42(2)の各々における電極指間の距離L1よりも、第1対向部分42(1)と第2対向部分42(2)との電極指間の距離L2を大きく設定する。
これによって、第1対向部分42(1)の電極指41bと第2対向部分42(2)の電極指41aとの間に生じる無効電界Ex(2)が弱くなり、有効電界Ex(1)の一部が無効電界Ex(2)によって打ち消される現象を抑制することができる。
なお、図2(B)に示す櫛歯電極の配置は一例であり、これに限定されるものではない。
【0070】
ここで、図2(C)を参照する。
図2(C)は、櫛歯電極の配置の他の例を示している。
図2(C)の例では、振動腕20の第1面Aに設けられる第1櫛歯電極のうちの一方の電極指41b(黒塗り)と、振動腕20の第2面Bに設けられる第2櫛歯電極のうちの一方の電極指41d(黒塗り、電極指41bと同電位)とが、対向して設けられている。
【0071】
例えば、電極指41bおよび電極指41dの電位極性を+とし、電極指41aおよび電極指41c(斜線)の電位極性を−とする。第1面Aに設けられる第1櫛歯電極の極性の並びは、電極指41bを起点として、基部10から遠ざかる方向に沿って、+,−,+,−,+となる。
また、第2面Bに設けられる第2櫛歯電極の極性の並びは、電極指41bに対向する電極指41dを起点として、基部10から遠ざかる方向に沿って、+,−,+,−,+,−となる。
このように、互いに対向する電極指を起点として考えると、第1面Aの第1櫛歯電極の極性の並びと、第2面Bの第2櫛歯電極の極性の並びとが一致していることになる。
換言すれば、第1面Aの第1櫛歯電極および第2面Bの第2櫛歯電極は、第3方向からの平面視において、極性の異なる電極指(ここでは、41aと41d,41bと41c)が互いに重ならないように設けられている。
【0072】
このような各電極指の配置によって、第1面Aと第2面Bとの間で、縦方向(第1面Aと第2面Bとを結ぶ方向、厚み方向)の不要電界を抑制することができる。
よって、振動腕20に不要な歪みが生じることが抑制される。また、不要電界が減少することから、消費電力を抑制することもできる。
【0073】
図3は、振動腕における面外振動の励振についての説明図である。
図3の上側には振動腕20の平面図を示し、中央には振動腕のA−A線に沿う断面図を示し、下側には面外方向に振動している振動腕の様子を示している。
図示するように、各櫛歯電極による第1方向(X軸方向)の電界Exによって、振動腕20の第1面Aおよび第2面Bに歪み(応力)が発生する。
ここで、第1面Aに収縮応力が発生し、第2面Bに伸張応力が発生する場合には、振動腕20は、正の第3方向(+Z軸方向)に屈曲する(図3下側に破線で示した状態)。
一方、第1面Aに伸張応力が発生し、第2面Bに収縮応力が発生する場合には、振動腕20は、負の第3方向(−Z軸方向)に屈曲する(図3下側に実線で示した状態)。
正の第3方向(+Z軸方向)への屈曲と、負の第3方向(−Z軸方向)への屈曲とは交互に生じる。よって、矢印VAで示した第3方向(第1面Aおよび第2面Bに垂直なZ軸方向)の面外振動(ウォークモードの振動)が定常的に生じる。
【0074】
図4は、櫛歯電極の他の構成例を示す図である。先に説明した図2(B)の例では、櫛歯電極における、各対向部分間の距離は等間隔であったが、図4の例では、各対向部分間の距離を、基部10からの距離に応じて異ならせる。
【0075】
図4において、第1面Aの第1櫛歯電極の第1対向部分42(1)、第2対向部分42(2)、第3対向部分42(3)の各々は、記載の順に、基部10からの距離が遠くなる。そして、第1対向部分42(1)と第2対向部分42(2)との間隔をL2とし、第2対向部分42(2)と第3対向部分42(3)との間の距離をL4としたとき、L2<L4が成立する。この理由は以下のとおりである。
なお、第3対向部分42(3)の第1電極41aの電極指41a(3)と第2電極41bの電極指41a(3)との間隔をL3としたときに、L3<L4の関係にあるものとする。
【0076】
振動腕20に面外振動を生じさせるためには、振動腕20の主面において、収縮や伸張の歪みを生じさせる必要がある。
この際、振動腕20は、固定端である基部10を基準として面外方向に振動することから、振動腕の屈曲に最も有効な歪みは、基部10に近い箇所(基部端付近)における歪みである。
したがって、基部10から遠い箇所(先端部付近)の歪みは振動腕20の屈曲に与える影響が小さい。
【0077】
この考察に基づいて、本実施形態では、第1櫛歯電極に含まれる3つの対向部分の各々間の間隔を、基部10からの距離に応じて変化させる。
つまり、第1対向部分42(1)と第2対向部分42(2)との間の間隔L2よりも、第2対向部分42(2)と第3対向部分42(3)との間隔L4を大きく設定する。
【0078】
図4の例では、第1地点N1〜第2地点N2までの距離をL5としたとき、第2地点N2から第3地点N3までの距離L6が、2×L5となるように設定されている。
このようにすれば、振動腕20の延出方向に沿って配置される対向部分の数を、各対向部分を等間隔で配置する場合に比べて減少させることができる(特に、振動腕20が長い場合には、対向部分の数の削減効果が顕在化する)。
このことは、振動腕20に発生する電界の総量が減ることを意味し、よって、消費電力の削減の効果が得られる。一方、基部10から遠い箇所における電界が減少したとしても、その電界が振動腕20の屈曲に寄与する程度は小さいことから、振動腕20には、必要な振幅の面外振動を生じさせることができる。
【0079】
なお、上記の構成は、換言すれば、振動腕20の基部10端付近の電極指(例えば、41b(1))の一方の側に隣接する他の電極指(41a(1))との間の距離をL1とし、他方の側に隣接する他の電極指(41a(2))との間の距離をL2としたときに、L2はL1よりも大きく、先端部付近の電極指(例えば、41a(3))の一方の側に隣接する他の電極指(41b(3))との間の距離をL3とし、他方の側に隣接する他の電極指(41b(2))との間の距離をL4としたときに、L4はL3よりも大きく、且つ、L4はL2よりも大きいこととなる。
なお、L3は、L1と同じかL1より大きいことが好ましい。
【0080】
図5は、櫛歯電極の別の構成例を示す図である。図5の上側には、振動腕の平面図を示し、下側には、振動腕のA−A線に沿う断面図を示す。
【0081】
図5の断面図に示すように、振動腕20の第1面Aには、凸部60a〜60cが設けられている。そして第1櫛歯電極を構成する、対向する一対の電極指41a,41bは、凸部60a〜60cの第1方向と直交する両側面に、凸部60a〜60cを挟むようにして設けられている。
同様に、振動腕20の第2面Bには、凸部60a’〜60c’が設けられている。そして、第2櫛歯電極を構成する、対向する一対の電極指41c,41dは、凸部60a’〜60c’の第1方向と直交する両側面に、凸部60a’〜60c’を挟むようにして設けられている。
【0082】
この構造によれば、無駄な電界(不要電界)が減少することから、対向する電極指(41aと41b、41cと41d)間に生じる電界Exの強度を大きくすることができる。よって、より効率的に面外振動を励振することができる。
また、各対向部分間に生じる無効電界(図中の破線矢印)は、空気の誘電率が振動腕20の材料である水晶の誘電率よりも小さいことから、弱められる。なお、振動片100が収容される減圧パッケージ内は真空に近いことから、無効電界は、さらに弱められる。
したがって、無効電界によって有効電界が打ち消される現象が効果的に低減される。この点も効率的な面外振動の励振に寄与すると共に、振動片100の低消費電力化にも寄与する。
【0083】
(第2実施形態)
本実施形態では、基部10から第1方向(X軸方向)に延出する、複数本の振動腕を設ける。複数本の振動腕を設けて、各振動腕を、例えば力学的なバランスがとれるように振動させることによって、振動腕の面外振動をより安定化させることができる。
【0084】
図6(A)、図6(B)は、3本の振動腕を設けた例を示す図である。図6(A)は平面図であり、図6(B)は斜視図である。
【0085】
図6(A)に示すように、基部10から第1方向に延出する3本の振動腕(第1振動腕20a、第2振動腕20b、第3振動腕20c)が設けられている。そして、各振動腕20a〜20cの第1面Aおよび第2面Bの少なくとも一方(好ましくは双方)には、第1方向の電界を形成するための櫛歯電極が形成されている。
【0086】
第1振動腕20aの第1面Aに形成されている第1櫛歯電極は、第1電極41a(1)と、第2電極41b(1)と、を有する。
第2振動腕20bの第1面Aに形成されている第1櫛歯電極は、第1電極41a(2)と、第2電極41b(2)と、を有する。
第3振動腕20cの第1面Aに形成されている第1櫛歯電極は、第1電極41a(3)と、第2電極41b(3)と、を有する。
ここで注目すべきは、第2振動腕20bにおける電極配置が、第1振動腕20aおよび第3振動腕20cの電極配置とは逆になっていることである。
つまり、第2振動腕20bにおける第1櫛歯電極の対向部分に生じる電界の向きは、第1振動腕20aおよび第3振動腕20cにおける第1櫛歯電極の対向部分に生じる電界の向きとは逆になる。
【0087】
したがって、図6(B)に示すように、第1振動腕20aと第3振動腕20cとは、面外振動における変位の向きが同じ(同相振動)であり、第2振動腕20bは、第1振動腕20aおよび第3振動腕20cに対して面外振動における変位の向きが逆(逆相振動)となる。
【0088】
このような構成を採用すると、振動片100の第1振動腕20a〜第3振動腕20cの各々の振動は、平面視で、振動片100の第2方向(振動腕の幅方向)における力学的なバランスがとれ、且つ、振動片100の第3方向(振動腕の厚さ方向)における力学的なバランスもとれる。
よって、各振動腕(20a〜20c)を支持する基部10に過度の負担がかからず、基部10を経由した振動の漏れが抑制される。
【0089】
つまり、本実施形態のように、ウォークモードで振動する振動腕を3本(20a〜20c)設ける例において、ウォークモードの振動を安定して持続させるためには、各振動腕(20a〜20c)のウォークモードの振動が基部10を経由して、基部10を支持する支持体に漏れることを抑制するのが好ましい。
振動片100の基部10は、例えばベース部材(パッケージの一部を構成する部材等)に、例えば接着剤によって固定される。
各振動腕(20a〜20c)が、各振動腕(20a〜20c)の厚さt方向に振動するウォークモードを採用した場合には、その振動が、各振動腕(20a〜20c)から基部10に漏れて振動が乱れ、接着剤の剥離が生じる等の不都合が生じることも有り得る。
このような事態が生じないようにするためには、3本の振動腕(20a〜20c)を平行に配設して、各振動腕(20a〜20c)のうちの両端の振動腕(20a、20c)を同相で振動させ、中央の振動腕(20b)を逆相で振動させるのが好ましい。
【0090】
以上の説明では振動腕の数が3本の場合について説明したが、振動腕の数は6本、9本・・・と3の倍数にすることができる。
つまり、広義には、「m本(mは3の倍数)の振動腕が設けられ、m本の振動腕の各々を、第1振動腕〜第m振動腕とする。そして、第1振動腕〜第m振動腕は、mの値が小さい順に、第2方向(Y軸方向)に並んで配置され、m本の振動腕は3つの振動腕群に区分され、第1振動腕から第(m/3)振動腕までを第1群の振動腕とし、第{(m/3)+1}振動腕から第{(2m/3)}振動腕までを第2群の振動腕とし、第{(2m/3)+1}振動腕から第m振動腕までを第3群の振動腕とし、第1群の振動腕および第3群の振動腕の各々が、正の第3方向(+Z軸方向)に変位しているとき、第2群の振動腕は、負の第3方向(−Z軸方向)に変位し、第1群の振動腕および第3群の振動腕の各々が、負の第3方向に変位しているとき、第2群の振動腕は、正の第3方向に変位する」と、定義することができる。
【0091】
3の倍数本の振動腕を平行に配設した場合においても、振動腕の機械的なバランスを考慮して、各振動腕のうちの両端の振動腕群を同相で振動させ、中央の振動腕群を逆相で振動させるのが好ましい。
【0092】
詳述すると、第2方向に沿って順に配置された第1群、第2群、第3群の振動腕を設けた場合を想定する。第1群と第3群の振動腕の第2領域が正の第3方向に変位するとき、中央の第2群の振動腕の第2領域は負の第3方向に変位する。この場合、両端の群である第1群と第3群は同相で変位するため、平面視で、第2方向(左右方向)のバランスがとれる。
また、第1群および第3群と、第2群とは互いに逆相で変位するため、各群の第3方向の変位による応力(各群の振動腕を支持する基部にかかる応力)が相殺され、よって、振動方向(上下方向)のバランスもとれる。
なお、振動腕の本数は、3の倍数に限定するものではなく、例えば、2本、4本、5本、7本・・・n本(nは自然数)でもよい。
【0093】
(第3実施形態)
図7は、上述した振動片を用いた振動子の製造工程の一例を示す図である。なお、図7の例において使用されている振動片100は、基部10と、2本の振動腕20a,20bとを有する。
これにより、振動片100は、音叉型振動片として構成されている。また、プラグ30は、内部端子31および外部端子33を有する。
【0094】
マウント工程では、振動片100の基部10に、プラグ30の内部端子31を半田付けする。
次の周波数調整工程では、振動片100の共振周波数の調整を行う。
次の封止工程では、真空チャンバー内で、ケース35にプラグ30を封入する。ケース35とプラグ30とは、収容体としての封止体(気密パッケージ)を構成する。
次の検査工程を経て、振動子1が完成する。
【0095】
本実施形態によれば、振動子1は、振動片100を備えたことから、小型で、高精度の発振が可能な振動子を実現することができる。
【0096】
(第4実施形態)
本実施形態では、振動片として、振動腕を両側で支持する両持ち構造の振動片を用いる。両持ち構造の振動片においても、前掲の実施形態と同じく、ウォークモードの振動を励振することができる。
但し、両持ち構造の振動片の場合、振動腕が両側で支持されていることから、振動腕の片側だけが支持される振動片とは、振動腕の振動姿態が異なる。
また、両持ち構造の振動片において、効率的な面外振動(ウォークモードの振動)を励振するという観点から、適切な電極配置を採用することが望まれる。
以下、図8〜図10を用いて具体的に説明する。
【0097】
図8(A)、図8(B)は、両持ち構造の振動片における面外振動、電極配置例について説明するための図である。
図8(A)は振動腕20の振動姿態を示し、図8(B)における左側の図は、振動片の平面図であり、右側の図は、その振動片の振動姿態を示す図である。
【0098】
図8(B)に示すように、両持ち構造の振動片101は、基部として、第1基部10aと第2基部10bとを有する。振動腕20の一端は第1基部10aに連結され、振動腕20の他端は第2基部10bに連結される。
振動片101は、例えば、加速度センサーや圧力センサーの構成要素として用いることができる。
【0099】
図8(A)に示すように、一本の振動腕20(幅w、厚みt(t<w))は、第1領域ZAと、第2領域ZBと、第3領域ZCと、第1領域ZAと第2領域ZBとの間に設けられる第1節領域Qabと、第2領域ZBと第3領域ZCとの間に設けられる第2節領域Qbcと、に区分される。
そして、振動腕20の第1面Aまたは第2面Bにおける第1領域ZAおよび第3領域ZCに矢印のように収縮応力が生じるときは、振動腕20の第1面Aまたは第2面Bにおける第2領域ZBには矢印のように伸張応力が生じる。
反対に、振動腕20の第1面Aまたは第2面Bにおける第1領域ZAおよび第3領域ZCに伸張応力が生じるときは、振動腕20の第1面Aまたは第2面Bにおける第2領域ZBには収縮応力が生じる。
【0100】
すなわち、振動腕20を厚みt方向(第3方向)に、バランスよく振動させるために、振動腕20は、第1領域ZA、第2領域ZB、第3領域ZCに区分され、第1領域ZAと第2領域ZBとの間には第1節領域Qabが設けられ、第2領域ZBと第3領域ZCとの間には第2節領域Qbcが設けられている。
図8(B)の右側の図に示すように、第1節領域Qabおよび第2節領域Qbcの各々は、振動の節FC1,FC2を含む。振動の節FC1,FC2は、具体的には、振動腕20の変位を2次の微分係数として求めた際に、2次微分係数が0となる点である。
そして、振動腕20の、第1面Aの第1領域ZAと第3領域ZCとで収縮が生じるときは第2領域ZBで伸張が生じ、同様に、第1領域ZAと第3領域ZCとで伸張が生じるときは第2領域ZBで収縮が生じるようにする。これによって、安定した面外振動を実現することができる。
【0101】
図8(B)の左側の図に示すように、振動腕20の第1面Aには第1櫛歯電極が形成されている。第1櫛歯電極は、第1電極41aと第2電極41bとを有する。
第2領域ZBにおける第1電極41aの電極指と第2電極41bの電極指との相対位置関係は、第1領域ZAおよび第3領域ZCにおける第1電極41aの電極指と第2電極41bの電極指との相対位置関係とは逆になっている。
よって、第2領域ZBに生じる電界の向きは、第1領域ZAおよび第3領域ZCに生じる電界の向きとは逆向きである。第1領域ZA、第2領域ZB、第3領域ZCの各々に生じる応力は、図8(B)の左側の図において、実線の矢印ならびに破線の矢印で示す。
【0102】
図8(B)の右側の実線で示す振動腕20の振動姿態は、図8(B)の左側の図において、実線の矢印で示す応力が生じる場合に対応している。同様に、破線で示す振動腕20の振動姿態は、図8(B)の左側の図において、破線の矢印で示す応力が生じる場合に対応している。
【0103】
図9(A)〜図9(C)は、両持ち構造の振動片の構成例を示す図である。図9(A)の振動片101aは、第1基部10aと、第2基部10bと、1本の振動腕20とを有する。
図9(B)の振動片101bは、第1基部10aと、第2基部10bと、2本の振動腕20a,20bとを有する。
図9(C)の振動片101cは、第1基部10aと、第2基部10bと、3本の振動腕20a,20b,20cとを有する。
なお、GL1およびGL2は、振動腕間の溝部を示す。n本(nは2以上の自然数)の振動腕が設けられる場合には、各振動腕を、力学的なバランスがとれるように振動させることが好ましい。
これによって、両持ち構造の振動片における各振動腕(20a〜20c等)に、より安定した面外振動を励振することができる。
なお、2本以上の振動腕と基部とを含んで音叉を構成する両持ち構造の振動片は、双音叉型振動片(双音叉振動片)とも呼ばれている。
【0104】
3本の振動腕が設けられる場合(図9(C)の例)では、図6の例と同様に、両端の振動腕20a,20cを同相で振動させ、中央の振動腕20bを両端の振動腕20a,20cとは逆相で振動させるのが好ましい。なお、振動腕の数は3本に限定されず、3の倍数本(6本、9本・・・)であってもよい。
【0105】
つまり、広義には、「m本(mは3の倍数)の振動腕が設けられる場合において、m本の振動腕の各々を、第1振動腕〜第m振動腕とし、第1振動腕〜第m振動腕は、mの値が小さい順に、第2方向に並んで配置され、m本の振動腕は3つの振動腕群に区分され、第1振動腕から第(m/3)振動腕までを第1群の振動腕とし、第{(m/3)+1}振動腕から第{(2m/3)}振動腕までを第2群の振動腕とし、第{(2m/3)+1}振動腕から第m振動腕までを第3群の振動腕とし、また、第3方向は、正の第3方向(+Z軸方向)と、正の第3方向とは逆向きの負の第3方向(−Z軸方向)と、を含み、第1群の振動腕および第3群の振動腕の各々における、第1面A(または第2面B)の第1領域ZAおよび第3領域ZCに収縮応力が生じ、且つ第2領域ZBに伸張応力が生じているときには、第2群の振動腕における第1面A(または第2面B)の、第1領域ZAおよび第3領域ZCには伸張応力が生じ、且つ第2領域ZBには収縮応力が生じ、また、第1群の振動腕および第3群の振動腕の各々における、第1面A(または第2面B)の第1領域ZAおよび第3領域ZCに伸張応力が生じ、且つ第2領域ZBに収縮応力が生じているときには、第2群の振動腕における第1面A(または第2面B)の、第1領域ZAおよび第3領域ZCには収縮応力が生じ、且つ第2領域ZBには伸張応力が生じる」と、定義することができる(各符号については図8参照)。
【0106】
このようにすれば、例えば、振動片101cでは、平面視で、第2方向(各振動腕の幅方向)に力学的なバランスがとれ、且つ、第3方向(各振動腕の厚さ方向、振動方向)の力学的なバランスもとれる。
よって、各振動腕(20a〜20c)を支持する基部(第1基部10a,第2基部10b)に過度の負担がかからず、振動の漏れが抑制される。
【0107】
図10(A)、図10(B)は、3本の振動腕を有する双音叉型振動片における電極および配線の配置例を示す図である。
図10(A)は、振動腕の表面における電極および配線の配置を示す図である。図10(B)は、振動腕の裏面における電極および配線の配置を示す図(表面側から見た透視図)である。図10(A)および図10(B)において、各振動腕に生じる応力は、太線の矢印で示されている。
【0108】
図8の例で説明したように、振動片101cの各振動腕20a〜20c(幅w、厚みt(t<w))の各々は、第1領域ZAと、第2領域ZBと、第3領域ZCと、第1領域ZAと第2領域ZBとの間に設けられる第1節領域Qabと、第2領域ZBと第3領域ZCとの間に設けられる第2節領域Qbcと、に区分される。
【0109】
図10(A)に示すように、第1振動腕20aの表面(第1面A)には、第1櫛歯電極を構成する第1電極41a(1)と、第2電極41b(1)とが設けられる。図8の例と同様に、例えば、第1領域ZAと第3領域ZCとに伸張応力が生じるときには、第2領域ZBにおいて収縮応力が生じる。
【0110】
同様に、第2振動腕20bの第1面Aには、第1櫛歯電極を構成する第1電極41a(2)と、第2電極41b(2)とが設けられる。例えば、第1領域ZAと第3領域ZCとに収縮応力が生じるときには、第2領域ZBにおいて伸張応力が生じる。
【0111】
同様に、第3振動腕20cの第1面Aには、第1櫛歯電極を構成する第1電極41a(3)と、第2電極41b(3)とが設けられる。例えば、第1領域ZAと第3領域ZCとに伸張応力が生じるときには、第2領域ZBにおいて収縮応力が生じる。
【0112】
また、図10(A)において、L1〜L6は振動片101cの第1面Aに形成される配線を示す。また、TH1は、第1面Aの第2電極と裏面(第2面B)の第2電極同士を接続するためのスルーホールであり、TH2は、第1面Aの第1電極と第2面Bの第1電極同士を接続するためのスルーホールである。
また、第1基部10aの第1面Aには、外部接続端子としてのボンディングパッドP1,P2が設けられている。
【0113】
また、図10(B)に示すように、第1振動腕20aの第2面Bには、第2櫛歯電極を構成する第1電極41c(1)と、第2電極41d(1)とが設けられる。例えば、第1領域ZAと第3領域ZCとに収縮応力が生じるときには、第2領域ZBにおいて伸張応力が生じる。
【0114】
同様に、第2振動腕20bの第2面Bには、第2櫛歯電極を構成する第1電極41c(2)と、第2電極41d(2)とが設けられる。例えば、第1領域ZAと第3領域ZCとに伸張応力が生じるときには、第2領域ZBにおいて収縮応力が生じる。
【0115】
同様に、第3振動腕20cの第2面Bには、第2櫛歯電極を構成する第1電極41c(3)と、第2電極41d(3)とが設けられる。例えば、第1領域ZAと第3領域ZCとに収縮応力が生じるときには、第2領域ZBにおいて伸張応力が生じる。
なお、図10(B)において、L7〜L12は振動片101cの第2面Bに形成される配線を示す。
【0116】
(第5実施形態)
図11(A)、図11(B)は、双音叉型振動片を用いた加速度センサー素子および加速度センサーの構造の一例を示す図である。
【0117】
図11(A)の加速度センサー素子500(センサー素子の一例)は、3本の振動腕(20a〜20c)を有する振動片101c(図9(C)に示される例)を用いて構成されている。
【0118】
振動片101cの第1基部10aは、基部502の第1面に、例えば接着剤によって固定される。また、振動片101cの第2基部10bは、錘部(質量部)506の第1面に、例えば接着剤によって固定される。
振動片101cの各振動腕20a〜20cは、ウォークモードで所定の周波数でZ軸方向に振動する。
【0119】
錘部506は、基部502に、例えば弾性部(弾性梁やバネ等を含む)504を介して接続(連結)されている。Z軸方向に加速度が加わると、錘部506がZ軸方向に変位する。この結果、各振動腕20a〜20cに歪みが生じて振動の周波数が変化し、この周波数の変化を検出することによって、加速度の大きさを検出(特定)することができる。
【0120】
図11(B)に示す加速度センサー600は、図11(A)に示す加速度センサー素子500と、加速度センサー素子500を収容する気密封止されたパッケージ(収容体)602と、物理量検出回路604と、を有する。パッケージ602内は減圧された状態(例えば真空状態)となっている。
【0121】
本実施形態では、振動片101cの第2基部10bを錘部506に接続しているが、シリコンダイヤフラム等の弾性を有する隔壁(広義の弾性部)に振動片101cの各基部を固定して、圧力センサーを形成することもできる。
つまり、隔壁で隔てられる2つの空間の圧力差に応じて、隔壁がZ軸方向に変形すると、各振動腕20a〜20cに歪みが生じて振動の周波数が変化し、この周波数の変化を検出することによって、圧力の変化を測定することができる。
【0122】
このように、測定対象の物理量の変化に応じて変位が生じる弾性部、あるいは弾性部に連結される質量部と、少なくとも一つの基部とが、弾性部あるいは質量部に接続され、弾性部または質量部の変位によって、少なくとも1本の振動腕に振動腕の延出方向の伸縮が生じる、上記の振動片(双音叉型振動片)と、その振動片を収容する収容体と、によって、物理量を測定するセンサーを実現することができる。
【0123】
これによって、小型で、高精度の発振が可能な振動片を使用した、小型で且つ高精度なセンサー(加速度センサーや圧力センサー等)を実現することができる。
【0124】
このように、本発明の少なくとも一つの実施形態にかかる振動片によれば、面外振動(ウォークモードの振動)を利用することから、従来の面内振動を利用する場合に比べて、振動片のダウンサイジングを無理なく行うことができる。
つまり、振動腕の厚み(t)を小さくすることによってダウンサイジングに対応でき、振動腕の幅(w)はそれほど小さくする必要がないことから、振動片の小型化に伴う、電極や配線を形成する際の負担を軽減することができる。
【0125】
なお、振動片の材料としては、水晶に限定するものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、またはシリコン(Si)などの半導体でもよい。
【0126】
(電子機器)
ここで、上述した振動片を備えた電子機器について説明する。なお、図示は省略する。
上記振動片は、デジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ナビゲーション装置、ポインティングデバイス、ゲームコントローラー、携帯電話、電子ブック、パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオレコーダー、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器に、センシングデバイスまたはタイミングデバイスとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記実施形態で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
一例を挙げれば、上記振動片は、小型で且つ高精度なセンサーを備えた電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0127】
10…基部、20…振動腕、41a…第1櫛歯電極を構成する第1電極、41b…第1櫛歯電極を構成する第2電極、41c…第2櫛歯電極を構成する第1電極、41d…第2櫛歯電極を構成する第2電極、100…振動片、A…第1面(表面)、B…第2面(裏面)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から、第1方向に延出し、平面視において前記第1方向に垂直な第2方向に幅を有し、且つ、前記第1方向および前記第2方向に垂直な第3方向に厚みを有する振動腕と、
前記振動腕の前記第3方向に垂直な第1面および前記第1面に対向する第2面の少なくとも一方に設けられ、前記第1方向に電極指が配列された櫛歯電極と、を含み、
前記櫛歯電極によって生じる前記第1方向の電界により、前記振動腕に前記第1方向の伸縮を生じさせて、前記振動腕を前記第3方向に振動させることを特徴とする振動片。
【請求項2】
請求項1に記載の振動片であって、
前記振動腕の前記幅をwとし、前記厚みをtとしたとき、w>tであることを特徴とする振動片。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振動片であって、
前記振動片には水晶が用いられ、
前記第1方向は水晶結晶軸のX軸方向であり、前記第2方向は水晶結晶軸のY軸方向であり、前記第3方向は水晶結晶軸のZ軸方向であることを特徴とする振動片。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の振動片であって、
前記櫛歯電極は、前記電極指の一方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL1とし、前記電極指の他方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL2としたときに、前記L2は前記L1よりも大きいことを特徴とする振動片。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の振動片であって、
前記振動腕の基部端付近の前記電極指の一方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL1とし、前記電極指の他方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL2とし、前記L2は前記L1よりも大きく、
前記振動腕の先端部付近の前記電極指の一方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL3とし、前記電極指の他方の側に隣接する他の前記電極指との間の距離をL4としたときに、前記L4は前記L3よりも大きく、
且つ、前記L4は前記L2よりも大きいことを特徴とする振動片。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の振動片であって、
前記櫛歯電極は、前記第1面および前記第2面に設けられ、
前記第1面に設けられた第1櫛歯電極と、前記第2面に設けられた第2櫛歯電極とは、前記電界の方向が互いに逆であることを特徴とする振動片。
【請求項7】
請求項6に記載の振動片であって、
前記第1櫛歯電極および前記第2櫛歯電極は、前記第3方向からの平面視において、極性の異なる前記電極指が互いに重ならないことを特徴とする振動片。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の振動片であって、
前記振動腕の前記第1面および前記第2面の少なくとも一方には凸部が設けられ、
前記凸部の前記第1方向と直交する両側面の各々には、前記櫛歯電極を構成する前記電極指が設けられたことを特徴とする振動片。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の振動片であって、
前記振動腕が、複数本設けられたことを特徴とする振動片。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の振動片であって、
前記基部は、第1基部と第2基部とを含み、
前記振動腕の一端と前記第1基部とを連結し、前記振動腕の他端と前記第2基部とを連結したことを特徴とする振動片。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を収容した収容体と、
を含むことを特徴とする振動子。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の振動片を含むことを特徴とするセンサー。
【請求項13】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の振動片を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−122741(P2012−122741A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271220(P2010−271220)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】