説明

振動片、振動子、発振器、電子機器

【課題】二次モードを抑制した振動片を実現する。
【解決手段】振動片10は、基部11と、基部11の基端部11aから延在された振動腕12,13と、振動腕12,13の第1主面12a,13aに形成された溝部21a,22a、および第2主面に形成された溝部21b、22bと、各溝部の内壁面に設けられた励振電極30,31,40,41と、を有し、振動腕12,13の基端部11aからの長さLaに対する、各励振電極の基端部11aからの長さLbの比Lb/Laが、0.38≦Lb/La≦0.42の範囲に設定されている。このようにすれば、二次モードの等価直列容量C2を一次モードの等価直列容量C1に対して1%以下にすることができ、二次モードのインピーダンスを高めること、電気機械結合係数K2を低く抑えること、によって、二次モードの励振をほぼ除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動片と、この振動片を有する振動子、発振器、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
音叉形振動子において、基本振動モードとして、屈曲一次モードを利用するもの、屈曲
二次モードを利用するもの、さらに高次モードを利用するものがある。特に屈曲二次モー
ドにおいて十分な励振を行えるようするために、2本の振動腕寄りの主面上で隣接する逆
極性の励振電極の境界を振動腕長手方向に対して斜めに形成し、かつ振動腕基部の主面上
の各励振電極間に補助電極を設け、有効な励振電極長を長くした振動子が知られている(
例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−218024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1では、有効な励振電極長を長くしてCI値を低減することによっ
て、屈曲二次モードの励振効率を高めることが可能となる。しかし、屈曲一次モードを基
本モードとする場合においては、例えば、屈曲二次モードのインピーダンスが低いと、同
じ二次モードでスプリアス発振を起こすことがあり、スプリアスとしての屈曲二次モード
は抑制されなければならない。屈曲二次モードの抑制には、振動腕の長さに対する励振電
極の長さを適切な関係にコントロールしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る振動片は、基部と、前記基部の基端部から第1方向に延在
され、屈曲振動する振動腕と、前記振動腕の主面に設けられた励振電極と、を有し、前記
振動腕の屈曲振動の二次モードの等価直列容量を、一次モードの等価直列容量の10%以
下にするように、前記振動腕の前記基端部から先端までの長さLaに対する前記基端部か
ら前記励振電極の先端側の端部までの長さLbの比Lb/Laが設定されたこと、を特徴
とする。
【0007】
本適用例によれば、振動腕の基端部からの長さLa(以降、単に振動腕長さLaと表す
ことがある)に対する励振電極の基端部から先端部までの長さLbの比Lb/Laを、二
次モードの等価直列容量が、一次モードの等価直列容量の10%以下になるように設定す
ることで、二次モードのインピーダンスを高めることと、二次モードの電気機械結合係数
2も小さくすること、とによって二次モードの励振を抑制することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係る振動片において、前記振動腕の前記主面には、前記第1
方向に溝部が設けられ、前記励振電極の少なくとも一部に、前記溝部内に設けられている
こと、が好ましい。
【0009】
振動片の共振周波数は、振動腕の形状(長さ、幅、厚さ)に依存するが、振動腕に溝部
を設けることにより、同じ共振周波数であれば、振動片を小型化することができる。そし
て、Lb/Laを上記条件に設定することで、二次モードの励振を抑制することができる

【0010】
[適用例3]上記適用例に係る振動片において、前記Lb/Laが、0.28≦Lb/
La≦0.52の範囲にあること、が好ましい。
【0011】
振動腕長さLaと励振電極長さLbの比を、0.28≦Lb/La≦0.52とするこ
とで、二次モードの等価直列容量を一次モードの等価直列容量に対して10%以下に抑え
ることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係る振動片において、前記Lb/Laが、0.34≦Lb/
La≦0.46の範囲にあることが、さらに好ましい。
【0013】
振動腕長さLaと励振電極長さLbの比を、0.34≦Lb/La≦0.46とするこ
とで、二次モードの等価直列容量を一次モードの等価直列容量に対して5%以下にするこ
とができ、一次モードに対して、二次モードの励振をさらに抑制することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係る振動片において、前記Lb/Laが、0.38≦Lb/
La≦0.42の範囲にあることが、より一層好ましい。
【0015】
振動腕長さLaと励振長さLbの比を、0.38≦Lb/La≦0.42とすることで
、二次モードの等価直列容量を一次モードの等価直列容量に対して1%以下にすることが
でき、一次モードに対して、二次モードの励振をほぼ除去することができる。
【0016】
[適用例6]本適用例に係る振動子は、上記適用例のいずれかに記載の振動片と、前記
振動片が格納されたパッケージと、を有することを特徴とする。
【0017】
振動片は、例えば、セラミック等で形成されたパッケージ内に実装される。パッケージ
内は真空状態にあることが好ましく、真空環境で振動片が振動することで、より一層安定
した振動を長期間にわたって維持することができる。
また、振動片がパッケージに収納されることで、扱いやすいうえ、湿度など外部環境か
ら振動片を保護することができる。
【0018】
[適用例7]本適用例に係る発振器は、上記適用例のいずれかに記載の振動片と、前記
振動片と接続された発振回路と、を有することを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、スプリアスである二次モードの励振を抑制しつつ発振器の小型化を
実現できる。
【0020】
[適用例8]本適用例に係る電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の振動片を有す
る、ことを特徴とする。
【0021】
上記の振動片を用いることにより、二次モードの励振を抑制できることから、基本モー
ドである一次モードの安定化を実現できる。従って、タイミングデバイス等として、デジ
タル携帯電話、パーソナルコンピューター、電子時計、ビデオレコーダー、テレビなどの
電子機器に広く用いることができる。そして、振動片をパッケージ化した振動子や、発振
器も安定した正確な振動が可能であり、搭載される電子機器の品質向上に貢献することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】振動片を模式的に表し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A切断面を示す断面図、(c)は電極構成および結線を示す説明図。
【図2】振動片の等価回路。
【図3】周波数‐インピーダンス特性。
【図4】Lb/Laと等価直列容量の関係を示すグラフであり、(a)は溝部の深さt1=5μm、(b)はt1=35μm、(c)はt1=45μmの場合。
【図5】Lb/Laと電気機械結合係数K2の関係を示すグラフ。
【図6】振動子の概略構成を示す断面図。
【図7】発振器の構成例を示す説明図。
【図8】電子機器の一例として示す携帯電話機の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(振動片)
【0024】
図1は、振動片を模式的に表し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A切断面を示
す断面図、(c)は電極構成および結線を示す説明図である。なお、振動片10は、X軸
と、X軸に対して垂直なY軸で構成される平面に展開されており、Z軸は厚さを表す。ま
た、振動片10の材質は特に限定されないが、水晶や、水晶以外の圧電材料、または、そ
れ以外の材料であってもよく、本実施例では、水晶振動片を例示しており、X軸が電気軸
、Y軸が機械軸、Z軸が光軸となるように、水晶の単結晶から切り出されたZ板であって
、音叉形水晶振動片である。
【0025】
振動片10は、基部11と、基部11の基端部11aから第1方向としてのY軸方向に
互いに平行に延在された2本の振動腕12,13と、基部11のX軸方向両側に突設され
た支持腕部14,15とから構成されている。なお、基端部11aからの振動腕12,1
3の長さをLaとする。
【0026】
振動腕12,13それぞれの第1主面12a,13aと、第1主面12a,13aに向
かい合う第2主面12b,13bと、には、基端部11aから振動腕先端方向に向かって
溝部21a,22a,21b,22bが形成されている。また、第1主面12a,13a
からの溝部21a,22aの深さと、第2主面12b,13bからの溝部21b,22b
の深さを共にt1とする。
【0027】
図1(a),(c)に示すように、溝部21a,21b,22a,22bそれぞれの内
壁面には、励振電極30,31,40,41が設けられており、基端部11aからの各励
振電極の長さをLbとする。本実施形態では、溝部21a,22a,21b,22bの基
端部11aからの長さと励振電極の長さLbを同じにしている。なお、溝部長さと励振電
極長さとが一致しなくてもよい。
【0028】
続いて、振動片10の電極構成を図1(a),(c)を参照して説明する。励振電極3
0は、溝部21aの内壁面に形成されており、リード電極34を経由して支持腕部15の
上面端部に設けられる接続電極35に接続されている。リード電極34は基部11上で分
岐されて振動腕13の側面に形成された側面電極33,32を介して、振動腕12の第2
主面12bに延長されて溝部21bの内壁面に設けられる励振電極31に接続されている
。励振電極31は、第1主面12aに対して励振電極30と面対称である。なお、励振電
極31に接続されるリード電極(図示せず)および接続電極36もそれぞれ、リード電極
34と接続電極35に対して面対称である。
【0029】
励振電極40は、溝部22aの内壁面に形成されており、リード電極44を経由して支
持腕部14の上面端部に設けられる接続電極45に接続されている。リード電極44は基
部11上から振動腕12の側面に形成された側面電極42,43を介して、振動腕12の
第2主面12bに延長されて溝部22bの内壁面に設けられる励振電極41に接続されて
いる。励振電極41は、第1主面13aに対して励振電極40と面対称である。なお、励
振電極41に接続されるリード電極(図示せず)および接続電極46もそれぞれ、リード
電極44と接続電極45に対して面対称である。
【0030】
図1(c)に示すように、振動腕12に設けられる励振電極30,31は、側面電極3
2,33を介して接続電極35,36に接続されている。一方、振動腕13の励振電極4
0,41は、側面電極42,43を介して接続電極45,46に接続されている。ここで
、励振電極30,31と、励振電極40,41と、に逆極性となる交流電圧を印加すると
、振動腕12,13は、基端部11a付近を振動の節としてX軸方向に屈曲振動する。
【0031】
振動片10の基本振動モードは一次モードの屈曲振動であるが、二次モードの屈曲振動
が含まれ、発振回路を構成したときに二次モードでスプリアス発振を起こす場合がある。
従って、基本モード(一次モード)の励振を安定的に行わせるためには、二次モードの屈
曲振動の励振を抑制することが求められる。
そのことについて振動片10の等価回路を参照して説明する。
【0032】
図2は、本実施例に係る振動片の等価回路を示している。ここで、Cdは並列容量、L
1は等価直列インダクタンス、C1は等価直列容量、R1は等価直列抵抗であって、等価
直列インダクタンスL1と、等価直列容量C1と、等価直列抵抗R1は、一次モードの等
価直列成分51である。同様に、L2は等価直列インダクタンス、C2は等価直列容量、
R2は等価直列抵抗であって、等価直列インダクタンスL2と、等価直列容量C2と、等
価直列抵抗R2は、二次モードの等価直列成分52である。なお、図示しないが、三次以
上の高次モードにおける等価直列成分も同様に表すことが可能である。
【0033】
二次モードにおけるインピーダンスが低いと、発振回路を構成したときに二次モードで
スプリアス発振を起こす場合がある。そこで、周波数とインピーダンスの関係について説
明する。
図3は、屈曲振動を行わせる場合の周波数‐インピーダンス特性を模式的に示している
。図3に示すように周波数(f)が高くなるに従いインピーダンスは低下する傾向を示す
。一次モードの周波数帯において、一次モードのインピーダンスの極値、二次モードの周
波数帯において二次モードのインピーダンスの極値が存在する。それぞれのモードにおい
て、インピーダンスが低いと励振しやすくなることから二次モードのインピーダンスを高
めておくことで、二次モードの励振を抑制できる。なお、インピーダンス特性は、等価直
列容量C1,C2に依存する。よって、強く励振させたい一次モードの等価直列容量C1
に対して、励振を抑制したい二次モードの等価直列容量C2を小さくすればよい。
そして、等価直列容量C1,C2は、振動腕長さLaに対する励振電極長さLbの比(
Lb/La)に依存する。このことについてシミュレーション結果を参照して説明する。
【0034】
図4は、Lb/Laと等価直列容量の関係を示すグラフである。(a)は溝部の深さt
1=5μm、(b)はt1=35μm、(c)はt1=45μmの場合を表している。縦
軸に等価直列容量(F)、横軸にLb/Laを表し、一次モードの等価直列容量C1と、
二次モードの等価直列容量C2とを比較している。なお、振動腕12,13の長さLaを
1600μm、振動腕の幅Wを115μ、振動腕の厚さtを100μmとしてシミュレー
ションした。
図4(a),(b),(c)を俯瞰すると、一次モードの等価直列容量C1は、Lb/
Laが大きくなっても若干の上昇傾向を示すが、ほぼフラットである。また、Lb/La
が0.4の付近で二次モードの等価直列容量C2には最小値があることを示している。
【0035】
そこで、二次モードの等価直列容量C2を、一次モードの等価直列容量C1の10%以
下にすれば、二次モードのインピーダンスを一次モードのインピーダンスよりも高くする
ことができることが推察できる。
これをLb/Laを変化させることで検証する。
(1)振動腕長さLaと励振電極長さLbの比を、0.28≦Lb/La≦0.52と
することで、二次モードの等価直列容量C2を一次モードの等価直列容量に対して10%
以下に抑えることができる。
(2)振動腕長さLaと励振電極長さLbの比を、0.34≦Lb/La≦0.46と
することで、二次モードの等価直列容量C2を一次モードの等価直列容量C1に対して5
%以下にすることができ、一次モードに対して、二次モードの励振をさらに抑制すること
ができる。
(3)振動腕長さLaと励振電極長さLbの比を、0.38≦Lb/La≦0.42と
することで、二次モードの等価直列容量C2を一次モードの等価直列容量C1に対して1
%以下にすることができ、一次モードに対して、二次モードの励振をほぼ除去することが
できる。溝部の深さt1が0.45μmの場合には、二次モードの等価直列容量C2を0
.1%以下と極めて小さくできる。
【0036】
続いて、振動片10の励振しやすさの目安である電気機械結合係数K2について説明す
る。
図5は、Lb/Laと電気機械結合係数K2の関係を示すグラフである。(a)は溝部
深さt1=5μm、(b)はt1=35μm、(c)はt1=45μmの場合を表してい
る。縦軸に電気機械結合係数K2(%)、横軸にLb/Laを表し、一次モードの電気機
械結合係数K12と、二次モードの電気機械結合係数K22とを比較している。図5(a),
(b),(c)を俯瞰すると、一次モードにおける電気機械結合係数K12は、Lb/La
の変化に対してほぼフラットであって、二次モードにおける電気機械結合係数K22は、図
4で示した等価直列容量の変化と同様に、Lb/Laが0.4の付近で最小の極値がある
ことを示している。つまり、励振しにくい領域があることを示している。
【0037】
そこで、電気機械結合係数K2を、Lb/Laの変化させることで検証する。
(1)振動腕長さLaと励振電極長さLbの比を、0.28≦Lb/La≦0.52と
することで、二次モードの電気機械結合係数K22を一次モードの電気機械結合係数K12
対して1%以下に抑えることができる。
(2)振動腕長さLaと励振電極長さLbの比を、0.34≦Lb/La≦0.46と
することで、二次モードの電気機械結合係数K22を一次モードの電気機械結合係数K12
対して0.5%以下にすることができ、一次モードに対して、二次モードの励振をさらに
抑制することができる。
(3)振動腕長さLaと励振電極長さLbの比を、0.38≦Lb/La≦0.42と
することで、二次モードの電気機械結合係数K22を一次モードの電気機械結合係数K12
対して0.1%以下にすることができ、一次モードに対して、二次モードの励振をほぼ除
去することができる。溝部の深さt1が0.45μmの場合には、ほとんど無視できるほ
どに二次モードの電気機械結合係数K22を小さくできることが分かる。
【0038】
以上説明した実施例によれば、基端部11aからの振動腕12,13の長さLaに対す
る基端部11aからの励振電極30,31,40,41の長さLbの比Lb/La=0.
4±0.02の範囲に設定すれば、二次モードの等価直列容量C2を一次モードの等価直
列容量C1よりも0.1%以下に小さくできる。このことによって、二次モードのインピ
ーダンスを高くでき、また、電気機械結合係数K22も小さくすることが可能で、二次モー
ドの励振を抑制することができ、基本モードである一次モードを安定して屈曲振動させる
ことを可能にする。
【0039】
なお、本実施形態では、振動片10に溝部21a,21b,22a,22bを形成した
場合を説明したが、溝部がない場合でも、励振電極長さLbと振動腕長さLaの比を、上
述した条件に設定すればよい。
また、溝部長さと励振電極長さとは同じ長さでなくてもよい。
(振動子)
【0040】
続いて、前述した振動片10を用いた振動子の1例について図面を参照して説明する。
図6は、振動子の概略構成を示す断面図である。振動子100は、前述した振動片10
と、この振動片10を収容するパッケージベース101、及びパッケージベース101の
開口部を封止するリッド102とを主な構成要素としている。
【0041】
パッケージベース101は、セラミックグリーンシート等を積層して焼成した箱体であ
り、凹状に形成されたキャビティ内部には、振動片10を実装するための台座103と内
部実装電極106,107が形成されている。内部実装電極106は、振動片10の接続
電極36と電気的に接続され、内部実装電極107は、振動片10の接続電極46と電気
的に接続されている。パッケージベース101の外部底面には、外部実装端子104,1
05が形成されている。外部実装端子104,105は、図示しないスルーホール等を介
して内部実装電極106、または内部実装電極107と電気的に接続されている。
【0042】
リッド102は、本実施形態の場合には平板状であって、金属またはガラスが採用され
ることが多い。いずれの材質を採用する場合であっても、線膨張係数がパッケージベース
101と近似したものを採用することが望ましい。
【0043】
振動片10を収容するパッケージとしてのパッケージベース101の開口部を封止する
際、リッド102は接合材(図示せず)を介して接合される。接合材は、リッド102を
構成する材質により異なる。例えばリッド102が金属であった場合、接合材には低融点
金属で構成されたシールリングを用いる。一方、リッド102がガラスであった場合、接
合部材には低融点ガラスを採用することが好ましい。
【0044】
パッケージベース101とリッド102で構成される空間は、減圧状態または真空状態
を保持できるように気密封止されている。
【0045】
このように構成される振動子100は、外部実装端子104,105を介した外部から
の駆動信号により振動片10が励振され、所定の周波数(例えば、32kHz)で発振す
る。
【0046】
振動片10は、パッケージ内に収納され、パッケージ内において、真空環境で振動され
ることで、より一層安定した振動を長期間にわたって維持することができる。また、パッ
ケージ内に収納されることで、扱いやすいうえ、湿度など外部環境から振動片10を保護
することができる。
(発振器)
【0047】
次に、前述した振動片10を含んで構成される発振器について図面を参照して説明する

図7は、発振器の構成例を示す説明図である。発振器200は、振動片10と、この振
動片10と並列に接続された発振回路201(例えば、インバーター)と、を含む。発振
回路201の一方端が前述した接続電極36と接続され、他方端が前述した接続電極46
と接続される。また、図示するように、振動片10と発振回路201との一方の接続点と
接地端との間に接続された容量素子(コンデンサー)202と、振動片10と発振回路2
01との他方の接続点と接地端との間に接続された容量素子(コンデンサー)203と、
を更に備えてもよい。
【0048】
以上に説明した発振器200は、従来と同等の性能を保ちつつ小型化された発振器を提
供することが可能となる。また、振動片10のLb/Laを前述したような適切な範囲に
設定することで、二次モードのインピーダンスを高くし、二次モードの励振を抑制し、基
本モードである一次モードの励振を安定させることができ、信頼性の高い発振器を実現で
きる。
(電子機器)
【0049】
次に、前述した発振器200を適用した電子機器について説明する。
図8は、電子機器の一例として示す携帯電話機の斜視図である。携帯電話機1000は
表示部1001と、複数の操作ボタン1002と、受話口1003と、送話口1004と
を備え、内部回路構成要素のタイミングデバイスなどとして上述した振動子100または
発振器200を備えて構成されている。従って、前述したような振動子100または発振
器200を備えた信頼性の高い携帯電話機1000を実現できる。
【0050】
なお、本発明を適用した電子機器としては、上述したような携帯電話機1000に限ら
ず、例えば、電子ブック、パーソナルコンピューター、ディジタルスチルカメラ、液晶テ
レビ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓
、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末などを挙げること
ができる。
【符号の説明】
【0051】
10…振動片、11…基部、11a…基部の基端部、12,13…振動腕、21a,2
1b,22a,22b…溝部、30,31,40,41…励振電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部の基端部から第1方向に延在され、屈曲振動する振動腕と、
前記振動腕の主面に設けられた励振電極と、を有し、
前記振動腕の屈曲振動の二次モードの等価直列容量を、一次モードの等価直列容量の1
0%以下にするように、前記振動腕の前記基端部から先端までの長さLaに対する前記基
端部から前記励振電極の先端側の端部までの長さLbの比Lb/Laが設定されたこと、
を特徴とする振動片。
【請求項2】
前記振動腕の前記主面には、前記第1方向に溝部が設けられ、
前記励振電極の少なくとも一部に、前記溝部内に設けられていること、を特徴とする請
求項1に記載の振動片。
【請求項3】
前記Lb/Laが、0.28≦Lb/La≦0.52の範囲にあること、
を特徴とする請求項1または2に記載の振動片。
【請求項4】
前記Lb/Laが、0.34≦Lb/La≦0.46の範囲にあること、
を特徴とする請求項1または2に記載の振動片。
【請求項5】
前記Lb/Laが、0.38≦Lb/La≦0.42の範囲にあること、
を特徴とする請求項1または2に記載の振動片。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片が格納されたパッケージと、
を有することを特徴とする振動子。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片と接続された発振回路と、
を有することを特徴とする発振器。
【請求項8】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の振動片を有する、
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−253500(P2012−253500A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123478(P2011−123478)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】