説明

接触圧力設定方法及び画像形成装置

【課題】接触部材間にフィルム部材を挿入して、該フィルム部材を引き抜く力が所定の範囲内になるように前記接触部材間の接触圧力を設定することによって、該接触圧力を正確に、かつ、容易に把握することができ、前記接触圧力を均一になるように設定することができるようにする。
【解決手段】画像形成装置の接触部材間の接触圧力を設定する接触圧力設定方法であって、フィルム部材を前記接触部材間に挿入し、前記フィルム部材を引き抜く引き抜き力が所定の範囲内になるように前記接触圧力を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触圧力設定方法及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用するLED(Light Emitting Diode)プリンタ等の画像形成装置においては、帯電ローラ等の帯電装置によって静電潜像担持体としての感光体の表面を帯電し、該感光体の表面をLEDヘッド等の露光手段によって露光して静電潜像を形成し、該静電潜像に現像剤担持体としての現像ローラ上に薄層形成された現像剤としてのトナーを静電的に付着させて現像し、前記トナーを印刷用紙等の媒体上に転写装置によって転写することにより画像を形成するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。また、このような画像形成装置においては、転写後の感光体上に転写しきれないトナーが残存する場合があるので、転写残トナーをクリーニング装置によって除去するようになっている。
【0003】
なお、画像形成装置内には感光体と現像ローラとの接触部があるが、該接触部の接触状態を感光体と現像ローラとの軸間距離や接触圧力によって規定している。
【特許文献1】特開2001−166589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の画像形成装置において、感光体と現像ローラとの接触部の接触状態を規定する場合、感光体と現像ローラとの軸間距離を測定することはできても、感光体と現像ローラとの接触圧力を直接に測定することができなかった。そのため、感光体と現像ローラとの接触圧力が、感光体及び現像ローラの軸方向に関して均一であるのか不均一であるのかを知ることができないので、前記接触圧力を適切に設定することができなかった。特に、感光体及び現像ローラの軸方向に関して中央部付近における接触圧力と端部付近における接触圧力とでは差が生じることが多いので、感光体及び現像ローラの軸端部付近を基準にして接触圧力を設定しても、感光体及び現像ローラの軸方向に関して中央部付近における接触圧力が不確かな値になってしまう。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、接触部材間にフィルム部材を挿入して、該フィルム部材を引き抜く力が所定の範囲内になるように前記接触部材間の接触圧力を設定することによって、該接触圧力を正確に、かつ、容易に把握することができ、前記接触圧力を均一になるように設定することができる接触圧力設定方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の接触圧力設定方法は、画像形成装置の接触部材間の接触圧力を設定する接触圧力設定方法であって、フィルム部材を前記接触部材間に挿入し、前記フィルム部材を引き抜く引き抜き力が所定の範囲内になるように前記接触圧力を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接触圧力設定方法は、画像形成装置の接触部材間の接触圧力を設定する接触圧力設定方法であって、フィルム部材を前記接触部材間に挿入し、前記フィルム部材を引き抜く引き抜き力が所定の範囲内になるように前記接触圧力を設定する。
【0008】
この場合、該接触圧力を正確に、かつ、容易に把握することができ、前記接触圧力を均一になるように設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の第1の実施の形態における現像装置の断面図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるカラーLEDタンデム方式の画像形成装置の概略図である。
【0011】
図4において、10は本実施の形態における画像形成装置である。ここで、該画像形成装置10は、例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写機等であり、電子写真方式によって、印刷用紙、封筒、OHP(Over Head Projector)シート等の媒体上に白黒やカラーの画像を形成するようになっている。なお、前記画像形成装置10は、白黒画像を形成するものであってもよく、カラー画像を形成するものであってもよいが、前記画像形成装置10がカラーLEDタンデム方式によってカラー画像を形成するものである場合について説明する。この場合、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(BK)の各色に対応するそれぞれの現像装置11Y、現像装置11M、現像装置11C及び現像装置11BKが媒体の搬送経路に沿って順次並ぶように配設される。そして、前記現像装置11Y、現像装置11M、現像装置11C及び現像装置11BKは、それぞれ、露光装置12Y、露光装置12M、露光装置12C及び露光装置12BKを備える。なお、前記現像装置11Y、現像装置11M、現像装置11C及び現像装置11BKを統合的に説明する場合は、現像装置11として説明し、前記露光装置12Y、露光装置12M、露光装置12C及び露光装置12BKを統合的に説明する場合には、露光装置12として説明する。
【0012】
また、前記画像形成装置10は、媒体を多数枚収容する給紙トレイ15、給紙ローラ、搬送ローラ、転写装置としての転写ベルト14等を備えて、前記媒体を搬送する媒体搬送装置、前記現像装置11、定着装置13及び記録媒体搬送装置の各種ローラ等の可動部材を駆動するための図示されないモータ、ギヤ、ベルト等を備える駆動装置、図示されない操作パネル、通信インターフェイス等を備え、前記画像形成装置10の動作を制御する制御装置等を有する。
【0013】
そして、図1に示されるように、現像装置11は、アルミニウム等から成る導電性基層と有機感光体から成る表層とによって構成された静電潜像担持体としての感光体21、導電性の金属シャフトにエピクロルヒドリンゴム等の半導電性のゴムをロール状に形成した帯電装置としての帯電ローラ22、導電性の金属シャフトにシリコーン等の半導電性ゴムを形成した現像剤担持体としての現像ローラ23、導電性の金属シャフトにトナーの搬送性を向上させるためにゴム混練時に発泡剤を添加して形成したトナー供給ローラ25、前記現像ローラ23上にトナー薄層を均一規制するための現像ブレード24、及び、クリーニング装置26を有する。
【0014】
なお、本実施の形態においては、感光体21と現像ローラ23とが接触部材として機能する場合について説明する。図1において、27は第1のサイドフレームであり、支軸部材29及び溝部27aを備える。そして、該溝部27aに後述される第2のサイドフレーム28から作用点になる凸部28aが入り込み、スプリング30によって矢印Aで示される方向に押圧するようになっている。また、31はフィルム部材としての短冊状のフィルムであり、一方は感光体21と現像ローラ23との接触部に挿入され、他方は引っ張りばね測りとしてのテンションゲージ33の端子が挿入可能な穴が形成された板32に固定されている。なお、前記短冊状のフィルム31、板32及びテンションゲージ33は、後述されるように、接触部材間の接触圧力を設定する際に使用されるものであり、前記画像形成装置10が画像形成プロセスを行う際には除去される。
【0015】
そして、前記帯電ローラ22、現像ローラ23、及び、クリーニング装置26は感光体21に接触して配置される。また、前記現像ローラ23には現像ブレード24とトナー供給ローラ25とが接触して配置される。さらに、前記現像装置11は、帯電した前記感光体21の表面に静電潜像を形成するための露光装置12を備える。本実施の形態において、該露光装置12は、LEDアレイとセルフォックレンズアレイ (R)とを組み合わせたLEDヘッドであり、該LEDヘッドから照射される光のエネルギーによって露光して、帯電した前記感光体21の表面に静電潜像を形成する。なお、図示されない現像ローラ電源、トナー供給ローラ電源、現像ブレード電源を、それぞれ、現像ローラ23、トナー供給ローラ25、現像ブレード24に接続し、バイアス電圧を印加することができるようになっている。
【0016】
また、前記定着装置13は、定着ローラとしての発熱ローラを備え、前記現像装置11から排出された媒体を両面から挟み込んで加熱しながら圧接することによって、トナー像を媒体に定着させる。
【0017】
前記画像形成装置10の画像形成プロセスにおいては、図示されない駆動装置によって駆動され、感光体21が図1における時計回り方向に一定周速度で回転する。また、帯電ローラ22、現像ローラ23及びトナー供給ローラ25も、前記駆動装置によって駆動され、それぞれ、図1における反時計回り方向に回転する。ここで、前記帯電ローラ22は、感光体21の表面に接触若しくは圧接するように配設され、高圧電源から直流電圧が印加されているので、前記感光体21の表面が一様、かつ、均一に帯電する。そして、前記感光体21が回転することによって帯電した表面が露光装置12に対向する位置に到達すると、該露光装置12によって画像信号に対応した光が照射され、前記帯電した感光体21の表面に静電潜像が形成される。
【0018】
続いて、前記感光体21が回転することによって静電潜像が形成された表面が現像ローラ23に対向する位置に到達すると、該現像ローラ23からトナーが供給され、感光体21の表面にトナーが付着して、トナー像が形成される。ここで、現像装置11に収容されたトナーは、摩擦によって帯電しており、バイアス電圧が印加されたトナー供給ローラ25が回転することによって現像ローラ23に供給される。そして、該現像ローラ23の表面に圧接するように配設された現像ブレード24によって、前記現像ローラ23の表面に吸着されたトナーから成る均一な厚さのトナー層が形成される。
【0019】
例えば、反転現像が行われる場合、感光体21の導電性基層と現像ローラ23との間にバイアス電圧が印加される。そのため、現像ローラ23と感光体21との間に、該感光体21の表面に形成された静電潜像による電気力線が発生する。そして、現像ローラ23上の帯電したトナーは、静電気力によって、感光体21の表面に移動して付着し、現像されたトナー像が形成される。
【0020】
次に、給紙トレイ15に収容された媒体は、供給ローラによって、給紙トレイ15から取り出され、転写ベルト14によって搬送される。そして、前記媒体が現像装置11の下部としての転写部を通過する際、該転写部にバイアス電圧が印加されているので、感光体21の表面のトナー像は前記媒体の表面に転写される。
【0021】
続いて、前記媒体は定着装置13に送り込まれ、図示されない駆動装置によって駆動されて回転する発熱ローラによって、両面から挟み込まれて、加熱されながら加圧される。これにより、発熱ローラの熱によってトナー像を構成するトナーが溶融し、溶融した該トナーが加圧の作用によって媒体の繊維間に浸透して、トナー像の定着が行われる。なお、トナー像が定着した媒体は画像形成装置10の上部へ排出される。
【0022】
次に、前記現像装置11について詳細に説明する。
【0023】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるサイドフレームの斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるフィルムの詳細図である。
【0024】
本実施の形態において、感光体21及び帯電ローラ22は、感光体21の軸方向における左右に配置した第1のサイドフレーム27に支持されている。そして、前記現像ローラ23、トナー供給ローラ25及び現像ブレード24は、軸方向における左右両側部に配設された第2のサイドフレーム28に支持され、現像ユニットを構成する。さらに、該現像ユニットは、軸方向における左右両側部に配置された第1のサイドフレーム27の内側で前記第1のサイドフレーム27に配設された支軸部材29によって支持されている。
【0025】
また、感光体21と現像ローラ23とを接触させて押圧するために、第1のサイドフレーム27に溝部27aが形成され、図2に示されるように、該溝部27aに第2のサイドフレーム28から作用点になる凸部28aが入り込み、該凸部28aがスプリング30によって押圧されるようになっている。この場合、該スプリング30が凸部28aを図1における矢印Aで示される方向に押圧することによって、前記支軸部材29を支点として現像ユニットが回転させられ、現像ローラ23が感光体21に接触して押圧する。
【0026】
そして、短冊状のフィルム31は、図3に示されるように、厚さt、幅bの寸法を有し、穴が形成された板32に固定されている。本実施の形態において、感光体21と現像ローラ23との接触圧力を設定する際には、図1に示されるように、テンションゲージ33の端子が板32の穴に挿入され、前記短冊状のフィルム31はその一方が感光体21と現像ローラ23との接触部に挿入される。この際、現像ローラ23にはトナー層が形成されている。
【0027】
次に、本実施の形態における接触圧力設定方法について説明する。
【0028】
まず、短冊状のフィルム31の一方を静止している現像装置11の感光体21と現像ローラ23との接触部に挿入する。その際、接触部から10〜30〔mm〕程度フィルム31の先端が潜り込むように挿入する。
【0029】
次に、フィルム31の他方に固定された板32の穴にテンションゲージ33の端子を挿入する。この状態で、図1に示されるように、感光体21と現像ローラ23との接触点において、感光体21と現像ローラ23との軸中心を結ぶ線に対して垂直な方向にフィルム31を引っ張るように、テンションゲージ33を構える。そのまま、感光体21と現像ローラ23との接触点において、感光体21と現像ローラ23との軸中心を結ぶ線に対してほぼ垂直な方向にフィルム31を引き抜くようにテンションゲージ33を移動させ、このときのテンションゲージ33の指針を読み取る。該指針はフィルム31を引き抜く力、すなわち、フィルム31の引き抜き力を示しているので、テンションゲージ33の指針を読み取ることによって、前記フィルム31の引き抜き力を測定することができる。この際、現像ローラ23と感光体21は回転しないように固定させておく。
【0030】
そして、指針を読み取る場合は、テンションゲージ33を移動させていったときに指針が動き始めた値ではなく、そのままゆっくりテンションゲージ33を移動させると指針が安定した値を指すようになるので、そのときの値を読み取る。すなわち、前記フィルム31の引き抜き力として、静摩擦力ではなく、動摩擦力を測定するということである。
【0031】
続いて、フィルム31の挿入代がなくなると、フィルム31の張りが解かれるので、当然テンションゲージ33の指針は元に戻る。なお、フィルム31の挿入代が大きいほどテンションゲージ33の安定した指針を読み取ることができる時間が長くなるが、この場合、フィルム31に負荷となるような皺(しわ)ができないようにする。
【0032】
そして、測定したフィルム31の引き抜き力の数値が所定の数値となるように、スプリング30の押圧力を調整して設定する。フィルム31の引き抜き力は、感光体21と現像ローラ23との接触圧力に比例して変化するものであるから、フィルム31の引き抜き力の数値が所定の数値となるようにスプリング30の押圧力を調整して設定することによって、感光体21と現像ローラ23との接触圧力を所定の数値に設定することができる。すなわち、感光体21と現像ローラ23との接触圧力と、フィルム31の引き抜き力として測定された動摩擦力とは比例関係にあるので、良好な接触圧力の数値範囲における動摩擦力の数値範囲を求めておき、該数値範囲にフィルム31の引き抜き力の数値が入るようにスプリング30の押圧力を調整して設定することによって、前記接触圧力を良好な数値範囲に設定することができる。なお、良好な接触圧力の数値範囲は、実際に画像形成を行い、形成される画像品質を基準にして決定することができる。
【0033】
このように、本実施の形態においては、画像形成装置10における感光体21と現像ローラ23との接触圧力を、フィルム31の引き抜き力が所定の数値範囲に入るように設定するようになっている。そのため、接触圧力を直接に把握することができ、正確に、かつ、容易に設定することができる。したがって、感光体21と現像ローラ23との接触圧力を均一になるように設定することができる。また、樹脂から成る弾性体である現像ローラ23に対しても、フィルム31の厚さが薄ければ弾性変形することがないので、接触状態に変化をもたらさない。
【0034】
さらに、感光体21の軸方向において、端部付近や中央付近等場所を問わずに細かく設定することができる。すなわち、現像ローラ23に接触するシャフトの撓(たわ)みを考慮し、クラウン量を持たせた形状(ローラ端部の外径を傾斜が付くように端部方向に小さくした形状)のものであっても設定することができる。
【0035】
なお、本実施の形態においては、接触部材を感光体21及び現像ローラ23として、前記感光体21と現像ローラ23との接触圧力を設定する場合について説明したが、接触部材は、現像ローラ23及び現像ブレード24であってもよいし、感光体21及び帯電ローラ22であってもよい。そして、現像ローラ23と現像ブレード24との接触圧力や、感光体21と帯電ローラ22との接触圧力を設定することもできる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0037】
本実施の形態の画像形成装置10において、現像ローラ23は、金属シャフトにシリコーン樹脂を形成し、更に、表面にはシリコーン系帯電付与表面層を施したものである。また、前記現像ローラ23の外径はクラウン量を持たないストレートである。そして、フィルム31は、ポリエチレン樹脂(表面粗さRzが50〔μm〕以下のものがよい。)から成り、厚さが0.03〔mm〕で、幅が5〔mm〕の短冊状のものである。
【0038】
そして、前記第1の実施の形態において説明した接触圧力設定方法を行い、フィルム31の引き抜き力が30〜250〔gf〕の範囲となるような接触圧力で感光体21と現像ローラ23とが接触するように、スプリング30の押圧力を設定する。
【0039】
次に、本実施の形態における画像形成装置10の動作について説明する。
【0040】
図5は本発明の第2の実施の形態におけるスプリングの押圧力とフィルムの引き抜き力との関係を示す図である。なお、図5において、横軸にスプリング30の押圧力を、縦軸にフィルム31の引き抜き力、及び、印刷結果を目視した際の横筋発生レベルを採ってある。
【0041】
ここでは、スプリング30の押圧力を変化させて印刷を行い、前記スプリング30の押圧力に対応するフィルム31の引き抜き力を測定し、かつ、印刷された媒体の表面、すなわち、印刷結果を目視して横筋発生レベルを測定した。そして、測定の結果は、図5に示されるようになった。なお、前記横筋発生レベル(横筋状に発生した濃度の濃さを基準に目視判断でレベルを設定した。)は、基準サンプルに基づいて判断したものであり、数字が大きい方が横筋発生レベルが良い、すなわち、印刷結果が良好であることを意味し、レベル7以上を印刷良好範囲としている。
【0042】
図5に示されるように、スプリング30の押圧力が大きくなると、フィルム31の引き抜き力も大きくなる。また、R1は印刷結果を目視で判断したときの白抜けが発生する白抜け印刷領域である。これは、2by2という画像パターンの印刷を行い、ドットが印刷されずに白くか掠(かす)れた部分を白抜けとする。この場合、印刷ドットの解像度=1ドットとして4×4のマス目の角に2×2のドットを形成する画像パターンの印刷を行う。該画像パターンの繰り返しパターンが2by2と言われる画像パターンである。
【0043】
そして、図5から、フィルム31の引き抜き力が30〔gf〕のラインを境界にして白抜けが発生することが分かる。すなわち、印刷結果で白抜けが発生しないようにするには、感光体21と現像ローラ23との接触圧力をフィルム31の引き抜き力で30〔gf〕以上にすればよいことになる。したがって、軸方向全域に亘(わた)って引き抜き力を30〔gf〕以上にすることによって、白抜けが発生しない接触圧力状態を設定することができ、良好な画像形成装置10を提供することができる。
【0044】
また、図5から、横筋発生レベルはスプリング30の押圧力が大きくなるのに従ってレベルが悪くなっていることが分かる。この場合、フィルム31の引き抜き力が250〔gf〕のラインを境界にして横筋レベルが印刷良好範囲を下回っている。これは、スプリング30の押圧力を大きくしていくとフィルム31の引き抜き力が大きくなるが、該引き抜き力が動作時に逆に負荷となる方向に働くからである。すなわち、印刷結果で白抜けの発生がなく、横筋の発生がない印刷良好範囲になるようにするには、感光体21と現像ローラ23との接触圧力をフィルム31の引き抜き力で30〜250〔gf〕の範囲に設定すればよいことが分かる。
【0045】
このように、本実施の形態においては、画像形成装置10における感光体21と現像ローラ23の接触圧力をフィルム31の引き抜き力として直接、正確に、かつ、容易に設定することによって、感光体21と現像ローラ23の接触圧力をフィルム31の引き抜き力で30〜250〔gf〕の範囲とするようになっている。これにより、印刷結果に白抜けが発生することがなく、横筋の印刷良好範囲になるようにすることができる。
【0046】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1又は第2の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1又は第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0047】
図6は本発明の第3の実施の形態における感光体と現像ローラの接触圧力を測定する位置を示す図である。
【0048】
本実施の形態においては、感光体21と現像ローラ23との接触圧力を設定する場合、感光体21の軸方向に対して右端部のフィルム31R及び左端部のフィルム31Lの引き抜き力が中央部のフィルム31Cの引き抜き力に対して2倍以下になるように、スプリング30を設定する。なお、図6において、27Rは右側の第1のサイドフレーム、28Rは右側の第2のサイドフレーム、27Lは左側の第1のサイドフレーム、及び、28Lは左側の第2のサイドフレームである。
【0049】
次に、本実施の形態における画像形成装置10の動作について説明する。
【0050】
図7は本発明の第3の実施の形態における感光体の軸方向の位置と引き抜き力及び現像ローラのシャフトの撓み量との関係を示す図である。なお、図7において、横軸に感光体21の軸方向の位置を、縦軸にフィルム31の引き抜き力、及び、現像ローラ23のシャフトの撓み量を採ってある。
【0051】
ここで、横軸におけるRは右端部のフィルム31Rの位置、Lは左端部のフィルム31Lの位置、及び、Cは中央部のフィルム31Cの位置にそれぞれ対応する。また、フィルム31の引き抜き力は、感光体21と現像ローラ23との接触圧力をフィルム31の引き抜き力とした場合である。さらに、前記現像ローラ23のシャフトの撓み量は、構造解析によってシミュレーションした結果である。
【0052】
図7に示されるように、感光体21の軸方向における右端部のフィルム31R及び左端部のフィルム31Lの引き抜き力は、中央部のフィルム31Cの引き抜き力に比べて大きくなっている(下に凸)。これは、現像ローラ23のシャフトの撓み量に反比例している(上に凸)。すなわち、スプリング30によって押圧力が加えられる現像ローラ23のシャフトの端部は撓まないのに対して、中央部では現像ローラ23のシャフトが撓むことによって、感光体21と現像ローラ23とのニップ量が小さくなってしまうので、フィルム31による引き抜き力が小さくなってしまうことが分かる。
【0053】
次に、スプリング30の押圧力を変化させた場合について説明する。
【0054】
図8は本発明の第3の実施の形態におけるスプリングの押圧力と引き抜き力との割合、及び、現像ローラのシャフトの撓み量との関係を示す図である。なお、図8において、横軸にスプリング30の押圧力を、縦軸に感光体21の軸方向における右端部のフィルム31R及び左端部のフィルム31Lによる引き抜き力と中央部のフィルム31Cによる引き抜き力フィルム31の引き抜き力との割合(端部引き抜き力/中央部引き抜き力)、及び現像ローラ23のシャフトの撓み量を採ってある。
【0055】
ここで、前記現像ローラ23のシャフトの撓み量は、構造解析によってシミュレーションした結果の撓み量の最大値である。さらに、R2は濃度むら(2by2の印刷で部分的に濃度が濃くなったもの)、横筋(横筋状に濃度が濃くなったもの)等の印刷不良(ドットの潰(つぶ)れやドットピッチのずれが発生して濃く見える)範囲である。
【0056】
図8に示されるように、スプリング30の押圧力が大きくなると、現像ローラ23のシャフトの撓みが増加していくことによって、感光体21の軸方向の中央部における感光体21と現像ローラ23とのニップ量が減少していくので、図7に示されるように、下に凸の形状が更に縦長になってしまうことから、感光体21の軸方向における右端部のフィルム31R及び左端部のフィルム31Lによる引き抜き力と中央部のフィルム31Cによる引き抜き力フィルム31の引き抜き力との割合が大きくなっている。
【0057】
そして、印刷不良範囲R2は、感光体21の軸方向における右端部のフィルム31R及び左端部のフィルム31Lによる引き抜き力と中央部のフィルム31Cによる引き抜き力フィルム31の引き抜き力との割合が2のラインを境界に、それ以上の範囲を示している。したがって、クラウン量を持たない現像ローラ23において、感光体21の軸方向における右端部のフィルム31R及び左端部のフィルム31Lによる引き抜き力と中央部のフィルム31Cによる引き抜き力フィルム31の引き抜き力との割合が2以下になるように、スプリング30を設定することによって、印刷不良の発生を防止することができる。
【0058】
このように、本実施の形態においては、クラウン量を持たせていない現像ローラ23においても、感光体21の軸方向における右端部のフィルム31R及び左端部のフィルム31Lによる引き抜き力と中央部のフィルム31Cによる引き抜き力フィルム31の引き抜き力との割合を2以下にすることによって、印刷不良範囲R2にならないようにすることができる。すなわち、画像形成装置10における感光体21と現像ローラ23との接触圧力は、感光体21の軸方向においてどこの部位でも均一になることが求められるが、現像ローラ23にクラウン量を持たせなくても、印刷不良範囲R2にならないようにすることができる。
【0059】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0060】
図9は本発明の第4の実施の形態におけるスプリングの押圧力とフィルムの引き抜き力との関係を示す図である。なお、図9において、横軸にスプリング30の押圧力を、縦軸にフィルム31の引き抜き力を採ってある。
【0061】
ここで、フィルム31の引き抜き力は、感光体21と現像ローラ23との接触圧力をフィルム31の引き抜き力とした場合である。さらに、実線は感光体21の軸方向における右側の引き抜き力を、破線は感光体21の軸方向における左側の引き抜き力を示す。なお、本実施の形態においては、感光体21と現像ローラ23との接触圧力設定方法で感光体21の軸方向に対して右端部のフィルム31R及び左端部のフィルム31Lの引き抜き力が同じ値になるように感光体21と現像ローラ23とが接触するように押圧するスプリング30を設定する。
【0062】
ここでは、該スプリング30の押圧力を変化させた場合について説明する。
【0063】
図9に示されるように、スプリング30の押圧力が大きくなると、フィルム31の引き抜き力も大きくなる傾向は左右同じであるが、同じ力のスプリング30では左右の引き抜き力に差が生じている。これは、各部品の寸法精度や現像ユニットを保持する部材のねじれや撓みによって、左右の引き抜き力に差が生じてしまうためである。したがって、右端部のフィルム31R及び左端部のフィルム31Lの引き抜き力が同じ値になるように、左右どちらか一方のスプリング30を変更することによって、左右の引き抜き力が一定になることになる。図9に示される例の場合、右側のスプリング30の押圧力を大きくすると、左右の引き抜き力が一致することが分かる。
【0064】
このように、本実施の形態においては、画像形成装置10における感光体21と現像ローラ23の接触圧力をフィルム31の引き抜き力として直接、正確に、かつ、容易に設定することができるので、感光体21の軸方向におけるフィルム30の引き抜き力を一定にすることによって、感光体21と現像ローラ23とを適切に当接させて、感光体21上の静電潜像を現像する際にトナーのむらがなくなり、印刷品質を向上させることができる。
【0065】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1〜第4の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第4の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0066】
図10は本発明の第5の実施の形態における現像装置の斜視図、図11は本発明の第5の実施の形態における現像装置の要部斜視図、図12は本発明の第5の実施の形態におけるサイドフレームの斜視図、図13は本発明の第5の実施の形態におけるサイドフレームの側面図、図14は本発明の第5の実施の形態における画像形成装置の引き抜き力を測定する場合の斜視図、図15は本発明の第5の実施の形態における画像形成装置の引き抜き力を測定する場合の概念図、図16は本発明の第5の実施の形態におけるサイドフレームへのピンの取り付けを示す図、図17は本発明の第5の実施の形態における調整完了後の現像装置の斜視図である。
【0067】
現像装置11では、図10に示されるように、帯電ローラ22、現像ブレード支持部材24a、ロアカバー49a等の各種部材が左右のサイドフレームとしてのサイドプレート41に取り付けられているが、本実施の形態においては、説明の都合上、図11に示されるように、帯電ローラ22、現像ブレード支持部材24a、ロアカバー49a等を取り除いた状態で説明する。
【0068】
この場合、左右のサイドフレームとしてのサイドプレート41に内側に突出する支点部42が形成されている。そして、図12及び13に示されるように、感光体21は、前記支点部42に配設された図示されない第1の回転支持部材によって、サイドプレート41に対して回転可能に支持される。また、該サイドプレート41には、支点部42から所定の距離だけ離れた位置に支点孔(こう)43が形成され、該支点孔43内には、位置調整部材及び偏心軸受け部材としての偏心カム44が回転可能に取り付けられている。そして、現像ローラ23は、偏心カム44に配設された第2の回転支持部材としてのベアリング45によって、サイドプレート41に対して回転可能に支持される。
【0069】
ここで、偏心カム44は、内周面の中心としての第2の軸を中心としてほぼ円形の形状を備える受け部46を形成する。そして、該受け部46にベアリング45が配設されているので、現像ローラ23は第2の軸を中心として回転する。また、前記偏心カム44は、外周面の中心としての第1の軸を中心としてほぼ円形の形状を備える受け部47を形成する。そして、該受け部47に位置調整用ギヤ48が形成されているので、第1の軸は、偏心カム44を回転させるための回転軸、すなわち、感光体21と現像ローラ23との軸間距離を調整する距離調整用軸として機能する。
【0070】
そして、サイドプレート41には、感光体21と現像ローラ23との軸間距離を調整するための調整治具51の支点部53が形成されている。前記調整治具51の先端にはギヤ54が形成されており、該ギヤ54が偏心カム44の位置調整用ギヤ48と噛(か)み合うようになっている。これにより、感光体21と現像ローラ23とのニップ量を、良好な画像を形成することができる所定の値となるように調整することができる。
【0071】
なお、感光体21と現像ローラ23とのニップ量は、図14及び15に示されるように、感光体21と現像ローラ23との間に挟み込まれた薄いシート、すなわち、フィルム31の引き抜き力としての引張力を測定することによって調整される。なお、前記フィルム31は、前記第1の実施の形態において説明したフィルム31と同等のものである。この場合、感光体21及び現像ローラ23の長手方向両端近傍の2箇所に挟み込まれたフィルム31の端部に形成された穴にテンションゲージ33の端子を挿入する。そして、モータ61に接続された駆動用ギヤ62を感光体21のギヤ部と噛み合わせ、モータ61を駆動する。すると、感光体21及び現像ローラ23が回転し、フィルム31が図15における矢印Aの方向に引っ張られるので、引張力をテンションゲージ33によって測定する。この際、偏心カム44を調整治具51によって回転させ、感光体21と現像ローラ23とのニップ量を調整する。なお、調整後は、前記モータ61を停止させ、フィルム31を除去する。
【0072】
ところで、前記ニップ量は、引張力が前記第1の実施の形態において説明した引き抜き力と同様の値、すなわち、30〜250〔gf〕の範囲となるように調整される。望ましくは、約200〔gf〕となるように調整される。なお、本実施の形態においては、感光体21及び現像ローラ23が回転した状態で引張力を測定するようになっているが、この場合にフィルム31に加えられる引張力は、前記第1の実施の形態のように感光体21及び現像ローラ23が停止した状態で加えられる引き抜き力と作用的に同等のものである。すなわち、感光体21及び現像ローラ23が回転した状態でフィルム31に加えられる力は、感光体21及び現像ローラ23の周面全体の連続した摩擦力に基づくものであるのに対し、感光体21及び現像ローラ23が停止した状態でフィルム31に加えられる力は、感光体21及び現像ローラ23の周面におけるフィルム31に接した部分のみの摩擦力に基づくものであるという点においてのみ相違するに過ぎない。
【0073】
なお、感光体21の回転速度と現像ローラ23の回転速度とはわずかに相違し、感光体21及び現像ローラ23は、各々の表面が互いに滑りながら回転する。具体的には、現像ローラ23の周速度は、感光体21の周速度の1.2〜1.3倍程度である。この程度の周速度の相違であれば、フィルム31に加えられる引張力は、周速度が等しい場合とほとんど変わるところがない。したがって、本実施の形態における引張力は、前記第1の実施の形態において説明した引き抜き力と同様の値となる。
【0074】
また、調整後は、図16に示されるように、偏心カム44の位置を決めるためのピン52を調整治具51の支点部53に挿入する。前記ピン52の先端部52aは、偏心カム44の位置調整用ギヤ48の1歯より小さく形成され、また、前記ピン52の根本部には回転防止のための突起部57が形成されている。さらに、前記ピン52の周囲には、抜け止め用の突起58が形成され、該突起58が支点部53に形成されているリブ59と係合することによって、ピン52が支点部53から抜け出ることを防止する。そして、図17に示されるように、アッパーカバー49b等の部材を付けて、イメージドラムカートリッジとしての現像装置11が完成する。
【0075】
次に、本実施の形態における画像形成装置10の動作について説明する。ここでは、左右のサイドプレート41の内側に突出する支点部42に配設された図示されない第1の回転支持部材に取り付けられている感光体21と、サイドプレート41の支点孔43内に取り付けられた偏心カム44に配設されたベアリング45によって支持されている現像ローラ23との軸間距離を最適に調整する動作について説明する。
【0076】
まず、感光体21と現像ローラ23との間にフィルム31を挟み、感光体21を図15における矢印の方向に回転させ、フィルム31の端部に形成された穴にテンションゲージ33の端子を挿入する。ここで、感光体21と現像ローラ23とのニップ量が小さければフィルム31が受ける引張力は小さく、感光体21と現像ローラ23とのニップ量が大きければフィルム31が受ける引張力は大きくなる。
【0077】
そして、感光体21と現像ローラ23との軸間距離を調整するための調整治具51を回転させることによって、該調整治具51の先端のギヤ54と噛み合っている偏心カム44の位置調整用ギヤ48が回転する。すると、偏心カム44がベアリング45の中心である第2の軸を中心として回転することによって、受け部47が前記第2の軸から偏心した第1の軸を中心にして回転する。これにより、現像ローラ23の軸が感光体21の軸に対して近付いたり、遠ざかったりする。
【0078】
このように、感光体21と現像ローラ23との軸間距離が変動することによって、フィルム31が受ける引張力も変動する。そして、フィルム31が受ける引張力が適切な値となり、感光体21と現像ローラ23とのニップ量が適切な値となったら、感光体21の回転を停止させ、ピン52を調整治具51の支点部53に挿入して、偏心カム44の位置決めをする。
【0079】
このように、本実施の形態においては、調整治具51を回転させて偏心カム44を回転させることによって現像ローラ23の軸を感光体21の軸に対して移動させ、感光体21と現像ローラ23とに挟まれたフィルム31が受ける引張力が適切な値となるようにして、感光体21と現像ローラ23との軸間距離を調整するようになっている。そのため、個々の部品の寸法にばらつきがあっても、感光体21と現像ローラ23との軸間距離が適切な値となるように調整することができる。また、感光体21を回転させるので、画像形成装置10を実際に使用している状態と同様の状態で調整を行うことができ、感光体21と現像ローラ23との軸間距離をより適切に調整することができる。さらに、偏心カム44の位置を決めるためのピン52は、外から視認することができるので、感光体21と現像ローラ23との軸間距離が調整済みであるか否かを容易に確認することができる。
【0080】
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、第1〜第5の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第5の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0081】
図18は本発明の第6の実施の形態におけるサイドフレームの斜視図、図19は本発明の第6の実施の形態におけるサイドフレームの側面図、図20は本発明の第6の実施の形態における偏心カムとロックピンとの関係を示す図である。
【0082】
図18〜20において、61は現像ローラ23の軸の位置を調整する位置調整部材及び偏心軸受け部材としての偏心カムであり、63は、該偏心カム61の位置を固定するためのロックピンである。該ロックピン63は、装着部63bによってサイドプレート41に取り付けられている。また、調整治具51はサイドプレート41に形成された位置調整用窓64から挿入される。
【0083】
ここで、ロックピン63のロック部63aは、偏心カム61の位置調整用ギヤ62と係合している。なお、ロックピン63の本体とロック部63a及び装着部63bとは、例えば、ポリアセタール等の合成樹脂から成り、一体的に成形されている。前記ロックピン63の本体は、例えば、縦横3〔mm〕の正方形の断面形状を有する。
【0084】
まず、偏心カム61の位置を調整する場合、調整治具51を、図18において矢印Fで示される方向に移動させ、位置調整用窓64から挿入すると、ロックピン63のロック部63aが押し込まれ、該ロック部63aと位置調整用ギヤ62との係合が解除され、さらに、調整治具51のギヤ54が位置調整用ギヤ62と噛み合う。これにより、偏心カム61の位置を調整することができる。なお、位置調整用ギヤ62は、例えば、歯の幅が2〔mm〕の寸法を備える。
【0085】
そして、調整が終了すると、調整治具51を位置調整用窓64から抜き出す。これにより、調整治具51によって押し込まれていたロック部63aが元の位置に戻り、位置調整用ギヤ62と係合するので、偏心カム61の位置が固定される。
【0086】
なお、ロックピン63は弾性を有し、調整治具51によってロック部63aが押し込まれると、ロックピン63の本体が弾性変形して、ロック部63aと位置調整用ギヤ62との係合が解除される。また、調整治具51を位置調整用窓64から抜き出すと、ロックピン63の本体の変形が回復し、位置調整用ギヤ62と係合する。
【0087】
このように、本実施の形態においては、サイドプレート41に取り付けられたロックピン63が偏心カム61の位置を常に固定するようになっている。そして、偏心カム61の位置を調整するときだけ、ロック部63aと位置調整用ギヤ62との係合が解除される。そのため、調整後にロックピン63を装着する必要がなく、作業者による作業ミスを防止することができる。
【0088】
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。なお、第1〜第6の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第6の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0089】
図21は本発明の第7の実施の形態におけるサイドフレームの正面図である。
【0090】
本実施の形態において、偏心カム44は、位置調整用ギヤ48と反対側に形成された位置決め用溝65を有する。該位置決め用溝65の溝の数は、位置調整用ギヤ48の歯の数と同一である。そして、位置決め用溝65は、サイドプレート41に取り付けられたデテントばね66と係合する。
【0091】
次に、左右のサイドプレート41の支点部42に配設された図示されない第1の回転支持部材に取り付けられている感光体21と、サイドプレート41の支点孔43内に取り付けられた偏心カム44に配設されたベアリング45によって支持されている現像ローラ23との軸間距離を最適に調整する動作について説明する。
【0092】
まず、感光体21と現像ローラ23との軸間距離を調整するための調整治具51を回転させることによって、該調整治具51の先端のギヤ54と噛み合っている偏心カム44の位置調整用ギヤ48が回転する。ここで、位置調整用ギヤ48と反対側に形成された位置決め用溝65と、サイドプレート41に取り付けられたデテントばね66とが係合している。そして、偏心カム44がベアリング45の中心である第2の軸を中心として回転することによって、受け部47が前記第2の軸から偏心した第1の軸を中心にして回転する。これにより、現像ローラ23の軸が感光体21の軸に対して近付いたり、遠ざかったりする。なお、デテントばね66は、その弾性力によって位置決め用溝65の溝を乗り越える。そして、軸間距離の調整が終了すると、デテントばね66の押し付け力によって、偏心カム44が位置決めされる。
【0093】
このように、本実施の形態においては、サイドプレート41に取り付けられたデテントばね66が偏心カム44の位置を常に固定するようになっている。そして、該偏心カム44の位置を調整するときだけ、デテントばね66と位置決め用溝65との係合が解除される。そのため、調整後にロックピン51を装着する必要がなく、作業者による作業ミスを防止することができる。また、調整中にデテントばね66が位置決め用溝65の溝を乗り越える際に発生する音やクリック感によって、作業者は確実に調整が行われていることを認識することができる。
【0094】
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。なお、第1〜第7の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第7の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0095】
図22は本発明の第8の実施の形態における現像装置の要部斜視図、図23は本発明の第8の実施の形態における現像装置の要部側面図である。
【0096】
本実施の形態においては、現像ローラ23の軸71とトナー供給ローラ25の軸72との間にはリンク73が取り付けられている。なお、該リンク73は、現像ローラ23及びトナー供給ローラ25の両側に配設されている。また、現像ローラ23は、トナー供給ローラ25よりも長く形成され、現像ローラ23の端部とトナー供給ローラ25の軸72との間に連結部材としてのプレート74が配設されている。該プレート74は、リンク73と一体的に形成され、現像ローラ23の両端に配設され、現像ローラ23の軸71を中心とする円弧状の断面形状を備える。
【0097】
そして、プレート74と現像ローラ23との間には、封止部材75が現像ローラ23の表面に密着するように配設されている。前記封止部材75は、トナー漏れを防止するための部材であり、フェルト等の弾性体から成り、プレート74に貼(は)り付けられ、圧縮された状態で配設されている。また、現像ローラ23の下側には、トナー漏れを防止するための部材であるシールフィルム76が現像ローラ23の全長に亘り、現像ローラ23の表面に圧接されて配設されている。さらに、現像ローラ23の上側には現像ブレード24が配設されている。
【0098】
ここで、封止部材75は、圧縮された状態で配設されているので、その反発力により、現像ローラ23を感光体21の方向に押圧する。また、トナー供給ローラ25も、現像ローラ23に圧接するように配設されているので、その圧接力により、現像ローラ23を感光体21の方向に押圧する。しかし、封止部材75及びトナー供給ローラ25の現像ローラ23を押圧する力は、現像ローラ23の軸71を介してプレート74が受けるので、感光体21に伝達されることがない。そのため、現像ローラ23と感光体21との接触状態は、封止部材75及びトナー供給ローラ25の現像ローラ23を押圧する力によって影響を受けることがない。
【0099】
また、現像ローラ23の軸71の位置を偏心カム44によって移動させても、封止部材75及びトナー供給ローラ25の圧接状態は、リンク73によって位置が決められている。すなわち、現像ローラ23、トナー供給ローラ25及び封止部材75の位置関係が固定されているので、現像ローラ23に対する位置が決められている。そのため、封止部材75及びトナー供給ローラ25の圧接は、常に安定した状態に保たれている。
【0100】
このように、本実施の形態において、現像装置11は、現像ローラ23の軸71とトナー供給ローラ25の軸72とに取り付けられたリンク73と一体的に形成されたプレート74を有する。そして、該プレート74に封止部材75が貼り付けられている。そのため、現像ローラ23の軸71の位置を偏心カム44によって移動させても、封止部材75及びトナー供給ローラ25の圧接状態はリンク73によって位置が決められる。これにより、封止部材75及びトナー供給ローラ25の圧接は常に安定した状態に保たれる。
【0101】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態における現像装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるサイドフレームの斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるフィルムの詳細図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるカラーLEDタンデム方式の画像形成装置の概略図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるスプリングの押圧力とフィルムの引き抜き力との関係を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態における感光体と現像ローラの接触圧力を測定する位置を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における感光体の軸方向の位置と引き抜き力及び現像ローラのシャフトの撓み量との関係を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態におけるスプリングの押圧力と引き抜き力との割合、及び、現像ローラのシャフトの撓み量との関係を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態におけるスプリングの押圧力とフィルムの引き抜き力との関係を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態における現像装置の斜視図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態における現像装置の要部斜視図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態におけるサイドフレームの斜視図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態におけるサイドフレームの側面図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態における画像形成装置の引き抜き力を測定する場合の斜視図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態における画像形成装置の引き抜き力を測定する場合の概念図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態におけるサイドフレームへのピンの取り付けを示す図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態における調整完了後の現像装置の斜視図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態におけるサイドフレームの斜視図である。
【図19】本発明の第6の実施の形態におけるサイドフレームの側面図である。
【図20】本発明の第6の実施の形態における偏心カムとロックピンとの関係を示す図である。
【図21】本発明の第7の実施の形態におけるサイドフレームの正面図である。
【図22】本発明の第8の実施の形態における現像装置の要部斜視図である。
【図23】本発明の第8の実施の形態における現像装置の要部側面図である。
【符号の説明】
【0103】
10 画像形成装置
21 感光体
23 現像ローラ
25 トナー供給ローラ
31、31C、31L、31R フィルム
44、61 偏心カム
51 調整治具
63 ロックピン
66 デテントばね
74 プレート
75 封止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)画像形成装置の接触部材間の接触圧力を設定する接触圧力設定方法であって、
(b)フィルム部材を前記接触部材間に挿入し、前記フィルム部材を引き抜く引き抜き力が所定の範囲内になるように前記接触圧力を設定することを特徴とする接触圧力設定方法。
【請求項2】
(a)画像形成装置の接触部材間の接触圧力を設定する接触圧力設定方法であって、
(b)フィルム部材を前記接触部材の接触部に挿入し、前記フィルム部材と前記接触部との間の摩擦力が所定の範囲内になるように前記接触圧力を設定することを特徴とする接触圧力設定方法。
【請求項3】
(a)感光体と現像ローラとを当接させて感光体上の静電潜像を現像する画像形成装置であって、
(b)前記感光体と現像ローラとの間の接触圧力は、厚さが0.03〔mm〕であり、幅が5〔mm〕の短冊状のポリエチレンフィルムを、静止している前記感光体と現像ローラとの間に挿入し、前記ポリエチレンフィルムを引き抜く引き抜き力が30〔gf〕以上となるように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体及び現像ローラの軸方向の端部における前記引き抜き力は、前記軸方向の中央部における前記引き抜き力の2倍以下である請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体と現像ローラとを押し付ける軸方向の両端部における押圧力を異ならせることによって、前記軸方向の両端部における前記引き抜き力がほぼ等しく設定されている請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記引き抜き力が30〜250〔gf〕となるように設定されている請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
(a)感光体と現像ローラとを当接させて感光体上の静電潜像を現像する画像形成装置であって、
(b)前記感光体と現像ローラとの軸間距離を調整治具によって調整することにより、前記感光体と現像ローラとのニップ量が所定の値となるように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記調整治具は、現像ローラの軸を支持する偏心軸受け部材を回転させる請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ニップ量は、フィルム部材を前記感光体と現像ローラとの当接部に挿入し、前記フィルム部材と前記当接部との間の摩擦力を測定しながら設定される請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
(a)前記現像ローラに圧接して配設され、該現像ローラにトナーを供給するトナー供給ローラと、
(b)現像ローラの軸とトナー供給ローラの軸とを連結する連結部材とを有する請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ニップ量を調整した後に前記偏心軸受け部材の位置を固定する固定部材を有する請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記偏心軸受け部材を移動させることによって、前記固定部材を解除する移動手段を有する請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記偏心軸受け部材の回転を規制するばね部材を有する請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−48018(P2006−48018A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190087(P2005−190087)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】