説明

搬送システム

【課題】フロア間における搬送効率を向上させると共に、レイアウトの自由度を高める。
【解決手段】1階及び2階の2つのフロア間で昇降可能な搬送ケージ34、44をそれぞれ有する第1及び第2リフタ装置30、40を備えている。第1及び第2リフタ装置30、40は、第1収容領域34a、44a及び第2収容領域34b、44bをそれぞれ有している。第1及び第2収容領域34a、44a、34b、44bは、いずれも1つのキャリア2を収容可能な領域である。また、各フロアには、該フロアに設置された第1ストッカ3又は第2ストッカ4の搬入ポート3a又は4a、搬出ポート3b又は4bと、搬送ケージ34、44の第1収容領域34a、44a及び第2収容領域34b、44bとの間でキャリア2の移載を行うローダ20がそれぞれ設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロア間において被搬送物を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製造工場等に設置されており、フロア間における被搬送物の搬送を行うリフタ装置が開示されている。かかるリフタ装置は、鉛直方向に延びていると共に互いに異なる2つのフロア間に跨って形成されたリフト空間内において昇降可能なリフト昇降体を備えている。また、リフト昇降体には移載装置が備えられている。そして、一方のフロアに設置された製造装置等の払出位置にある被搬送物を移載装置によりリフト空間内に取り込み、リフト昇降体により他方のフロアの高さ位置まで搬送した後、移載装置により該フロアに設置された製造装置等の受取位置に被搬送物を載置する。
【特許文献1】特開2007−62984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特許文献1のリフタ装置においては、フロア間での搬送要求が立て続けに発生した場合には、処理が滞ってしまう。すなわち、特許文献1のリフタ装置では、被搬送物を1度に1つずつ搬送するので、2番目以降に搬送される被搬送物は、リフト昇降体が往復して戻って来るまで製造装置等の払出位置で待機しなければならない。製造工場内における搬送システムは、フロア間での搬送がボトルネックとなる場合が多く、フロア間での搬送効率の向上が望まれている。加えて、上述のようにリフタ装置に移載装置が備えられている場合には、製造装置等の排出位置及び受取位置がリフタ装置の正面に位置している必要がある。したがって、製造装置等のレイアウトの自由度が損なわれる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、フロア間における搬送効率を向上させると共に、レイアウトの自由度を高めることができる搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0005】
本発明の搬送システムは、互いに異なる高さに位置する第1フロア及び第2フロアにそれぞれ設けられており、被搬送物が載置されるポートと、前記第1及び第2フロアの間で昇降可能であると共に1つの被搬送物を収容可能な収容領域が2つ設けられた昇降体を有するリフタ装置と、前記第1及び第2フロアにそれぞれ設けられており、前記ポートと前記昇降体の前記収容領域との間で被搬送物の積み替えを行うローダとを備えている。
【0006】
この構成によると、昇降体が収容領域を2つ有しているので、被搬送物を2つずつ搬送することが可能である。また、ローダが第1及び第2フロアにそれぞれ設置されているので、昇降体がこれから搬送する被搬送物があるフロアに到着する前に、該フロアにあるローダは、被搬送物を支持した状態で待機することができる。すなわち、ローダは、昇降体が到着すると、あらかじめ支持していた被搬送物を該昇降体の一方の収容領域に収容し、その後、該昇降体の他方の収容領域に他方のフロアから搬送された被搬送物が収容されている場合には、該被搬送物を取り出す。このように、ローダが被搬送物を支持した状態で待機することができるので、次に搬送する被搬送物をポートに載置しておくことができる。したがって、ポートと昇降体の収容領域との間の積み替え作業を滞りなく行うことが可能となる。以上により、フロア間における搬送効率を向上させることができる。さらに、ローダが第1及び第2フロアにそれぞれ設置されているので、ポートの位置はリフタ装置の正面に限定される必要はなく、レイアウトの自由度を高めることができる。
【0007】
また、本発明の搬送システムでは、前記リフタ装置が2つ備えられている。リフタ装置が1つである場合には、被搬送物を収容した昇降体が、一方のフロアから他方のフロアに向けて移動を開始した後、該昇降体が往復して再度一方のフロアに戻って来るまで、次の被搬送物は一方のフロアで待機する必要がある。しかしながら、この構成によると、一方の昇降体が往復して戻って来るのを待つ必要がない。したがって、フロア間における搬送効率をさらに向上させることができる。
【0008】
さらに、本発明の搬送システムでは、前記ローダが、該ローダが設けられたフロアと同一のフロアに位置する前記昇降体が有する全ての前記収容領域及び前記ポートに対して被搬送物の載置及び取り出しを行うことができる。この構成によると、ポートとリフタ装置の収容領域との間における被搬送物の積み替えのために、各フロアにローダを複数設ける必要がないので、システムの設備構成を簡略にすることができる。
【0009】
加えて、本発明の搬送システムでは、前記ローダが、被搬送物を支持するハンド、前記ハンドを昇降させる昇降機構、前記ハンドを水平面内における一方向に沿って移動させる移動機構、及び前記ハンドを前記移動機構による移動方向と交わる水平方向に進退させる進退機構を備えており、前記ポート及び該ポートが設けられたフロアと同一のフロアに位置する前記昇降体が、前記移動機構による前記ハンドの移動経路沿いにある。この構成によると、同一のフロアに位置する昇降体が有する全ての収容領域及びポートの高さ位置が揃っていない場合でも、一台のローダで全ての収容領域及びポートへの被搬送物の移載及び取り出しを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態にかかる搬送システムの設備構成を示す側面図である。図2は、図1に示す搬送システムの平面図である。図3は、図1に示す搬送システムのネットワーク構成を示す図である。
【0011】
本実施の形態の搬送システム1は、1階及び2階の2つのフロアに跨る半導体製造工場等に設置されるものであり、メインコントローラ60(図3参照)の指示により、該2つフロア間において基板が収納されたFOUP(Front Opening Unified Pod)であるキャリア2を搬送する。
【0012】
図1及び図2に示すように、各フロアには、製造工程途中の基板が収納されたFOUPが一時的に格納される第1ストッカ3及び第2ストッカ4がそれぞれ設置されている。本実施の形態においては、2階に設置されている第2ストッカ4は、1階に設置されている第1ストッカ3の直上に位置している。第1及び第2ストッカ3、4は、該第1及び第2ストッカ3、4内に搬入するキャリア2が載置される搬入ポート3a、4a、及び該ストッカ3、4から搬出するキャリア2が載置される搬出ポート3b、4bを備えている。本実施の形態においては、搬入ポート3a、4a及び搬出ポート3b、4bは、いずれも1つのキャリア2を載置可能であり、第1及び第2ストッカ3、4の幅方向(図2中上下方向)に互いに隣接するように設けられている。
【0013】
また、搬送システム1は、第1リフタ装置30及び第2リフタ装置40を備えている。第1リフタ装置30は、鉛直方向に延びていると共に2つのフロア間に跨って形成されたシャフト32と、シャフト32内に形成されたリフト空間に配置される搬送ケージ34とを有している。さらに、リフト空間には、鉛直方向に延在するポール36が設置されている。そして、搬送ケージ34は、ポール36に沿って移動する移動体38に取り付けられており、リフト空間において昇降可能となっている。搬送ケージ34には、キャリア2を収容する第1収容領域34a及び第2収容領域34bが上下に設けられている。なお、第1及び第2収容領域34a、34bには、キャリア2をそれぞれ1つずつ収容することができる。
【0014】
第1リフタ装置30は、第1及び第2ストッカ3、4の搬入ポート3a、4a及び搬出ポート3b、4bが設けられている側面と対向する位置に設置されている。そして、シャフト32の第1ストッカ3と対向する壁面には開口32aが、第2ストッカ4と対向する壁面には開口32bがそれぞれ形成されている。これにより、搬送ケージ34が1階に位置している際には、開口32aを介して外部から第1及び第2収容領域34a、34bへのアクセスが可能となる。他方、搬送ケージ34が2階に位置している際には、開口32bを介して外部から第1及び第2収容領域34a、34bへのアクセスが可能となる。
【0015】
第2リフタ装置40についても、第1リフタ装置30と同様に第1及び第2ストッカ3、4の搬入ポート3a、4a及び搬出ポート3b、4bが設けられている側面と対向する位置に設置されている。より詳細には、本実施の形態では、第1及び第2リフタ装置30、40は、第1及び第2ストッカ3、4の幅方向(図2中上下方向)に互いに隣接するように設けられている。なお、第2リフタ装置40の構成は第1リフタ装置30の構成と同様であるので、ここでは説明を省略する。第2リフタ装置40の各部の符号は、30番台である第1リフタ装置30の各部の符号を40番台に変更したものとする。
【0016】
1階に設置されている第1ストッカ3と第1及び第2リフタ装置30、40との間、及び2階に設置されている第2ストッカ4と第1及び第2リフタ装置30、40との間には、ローダ20がそれぞれ配置されている。ローダ20は、移載機21、走行レール25、走行台車26、昇降機構27、昇降台28、及び昇降コラム29を主に備えている。走行レール25は、第1ストッカ3と第1及び第2リフタ装置30、40との間、及び第2ストッカ4と第1及び第2リフタ装置30、40との間にそれぞれ敷設されていると共に、第1及び第2ストッカ3、4の幅方向(図2中上下方向)に延びており、走行台車26がその上を走行する。また、走行台車26上には、昇降機構27の駆動によって昇降する昇降台28を支持する昇降コラム29が立設されている。そして、移載機21は、この昇降台28上に設けられている。これにより、移載機21は、第1及び第2ストッカ3、4の幅方向及び鉛直方向に移動可能となっている。
【0017】
移載機21は、昇降台28上に設置されたリンク機構22と、キャリア2を持ち上げて運搬するハンド23とを有している。リンク機構22は、図2に示すように、昇降台28の上面において、その一端を中心に水平面内で回転可能となるように取り付けられた第1アーム22aと、第1アーム22aの他端において、その一端を中心に水平面内において回転可能となるように取り付けられた第2アーム22bとを含んでいる。これにより、リンク機構22は、水平面内において伸縮可能となっている。そして、第2アーム22bの他端にハンド23が取り付けられている。かかるリンク機構22によって、ハンド23は、水平方向に進退可能となっている。
【0018】
なお、第1アーム22aは、昇降台28の上面に取り付けられている一端を中心に走行レール25の両側に回転可能となっている。したがって、移載機21は、走行レール25の一方側(図1、2中左側)に位置する第1ストッカ3の搬入ポート3a、搬出ポート3b、又は第2ストッカ4の搬入ポート4a、搬出ポート4bと、走行レール25の他方側(図1、2中右側)に位置する第1及び第2リフタ装置30、40の搬送ケージ34、44に設けられた第1収容領域34a、44a、及び第2収容領域34b、44bとの間でキャリア2の移載を行うことができる。
【0019】
ここで、図3を参照しつつ、搬送システム1のネットワーク構成について説明する。図3に示すように、搬送システム1全体を制御するメインコントローラ60には、例えばイーサネット(登録商標)等で構築されたネットワークを介して、第1ストッカコントローラ61、第2ストッカコントローラ62、及びリフタコントローラ63が接続されている。
【0020】
第1及び第2ストッカコントローラ61、62は、第1及び第2ストッカ3、4におけるキャリア2の搬入及び搬出の制御をそれぞれ行う。具体的には、第1及び第2ストッカ3、4内には、搬入ポート3a、4aに載置されたキャリア2を第1及び第2ストッカ3、4内に格納すると共に、第1及び第2ストッカ3、4内に格納されているキャリア2を搬出ポート3b、4bに載置するスタッカロボット(図示せず)がそれぞれ備えられており、第1及び第2ストッカコントローラ61、62はこのスタッカロボットの動きを制御する。
【0021】
また、第1及び第2ストッカコントローラ61、62は、第1及び第2ストッカ3、4の正面にそれぞれ設けられたローダ20の動きの制御をも行う。具体的には、第1及び第2ストッカコントローラ61、62は、走行レール25上を走行する走行台車26や昇降機構27の駆動により昇降する昇降台28の動き等を制御する。
【0022】
リフタコントローラ63は、第1及び第2リフタ装置30、40の動きの制御を行う。具体的には、ポール36、46に沿って移動する移動体38、48の動きを制御する。すなわち、リフタコントローラ63は、メインコントローラ60からの搬送指示に基づいて、効率良くキャリア2を搬送することができるように、いずれの収容領域34a、34b、44a、44bに収容してキャリア2を搬送するかを割り当て、移動体38、48に動作指示を送る。
【0023】
ここで、リフタコントローラ63がメインコントローラ60から搬送指示を受けた際における第1及び第2リフタ装置30、40の搬送ケージ34、44の位置と、該搬送指示により搬送されるキャリア2を収容する収容領域34a、34b、44a、44bとの関係の一例を図4に示す。なお、図4は、各収容領域34a、34b、44a、44bの役割を以下の条件に限定した場合における収容領域34a、34b、44a、44bの割り当ての一例である。すなわち、図4に示す例では、第1リフタ装置30の第1収容領域34a及び第2リフタ装置40の第1収容領域44aは、第1ストッカ3から第2ストッカ4への搬送、つまり1階から2階への搬送を行う際に用いるものに限定している。また、第1リフタ装置30の第2収容領域34b及び第2リフタ装置40の第2収容領域44bは、第2ストッカ4から第1ストッカ3への搬送、すなわち2階から1階への搬送を行う際に用いるものと限定している。このように役割を限定した場合においては、図4に示すように割り当てることによって、効率良くキャリア2の搬送を行うことができる。
【0024】
なお、例えば、図4のケース7は、第1リフタ装置30の搬送ケージ34が2階から1階への移動中であり、第2リフタ装置40の搬送ケージ44が2階に位置している場合は、1階から2階に搬送するキャリア2の収容領域として第1リフタ装置30の第1収容領域34aが割り当てられ、2階から1階に搬送するキャリア2の収容領域としては第2リフタ装置40の第2収容領域44bが割り当てられることを意味している。
【0025】
図5は、第1ストッカ3に格納されているキャリアA、Cをこの順で第2ストッカ4へ搬送する搬送指示、及び第2ストッカ4に格納されているキャリアB、Dをこの順で第1ストッカ3へ搬送する搬送指示が続けて行われた場合における、メインコントローラ60、第1ストッカコントローラ61、第2ストッカコントローラ62、及びリフタコントローラ63で行われる処理、並びに第1リフタ装置30及び第2リフタ装置40の状態を時系列で示す図である。図5を参照しつつ、搬送システム1で行われる処理手順の一例について説明する。なお、以下の説明においては、収容領域34a、34b、44a、44bの割り当ては、図4の表に基づいて行われることとする。
【0026】
まず、第1ストッカコントローラ61において、第1ストッカ3に格納されているキャリアAを搬出ポート3bに載置する制御が行われ、その後、キャリアAを出庫した旨の通知がメインコントローラ60に対してなされる。また、搬出ポート3bに載置されたキャリアAは、第1ストッカコントローラ61の制御により、ローダ20のハンド23に持ち上げられる。これにより、搬出ポート3bが空いた状態となるので、第1ストッカコントローラ61は、次に搬送すべきキャリアCを搬出ポート3bに載置する制御を行うことが可能となる。
【0027】
第1ストッカコントローラ61からのキャリアAの出庫通知を受信したメインコントローラ60は、リフタコントローラ63に対して、キャリアAを1階から2階へ搬送する旨の搬送指示を送る。そして、メインコントローラ60からの搬送指示を受信したリフタコントローラ63は、キャリアAを搬送するための収容領域の割り当てを行う。このとき、図5に示す例では、第1リフタ装置30の搬送ケージ34は2階から1階への移動中であり、第2リフタ装置40の搬送ケージ44は1階から2階への移動中である。すなわち、この状況は、図4におけるケース15に相当する。よって、キャリアAの1階から2階への搬送には、第1リフタ装置30の第1収容領域34aが割り当てられる。
【0028】
また、第2ストッカコントローラ62においては、第2ストッカ4に格納されているキャリアBを搬出ポート4bに載置する制御が行われ、その後、キャリアBを出庫した旨の通知がメインコントローラ60に対してなされる。また、搬出ポート4bに載置されたキャリアBは、第2ストッカコントローラ62の制御により、ローダ20のハンド23に持ち上げられる。これにより、搬出ポート4bが空いた状態となるので、第2ストッカコントローラ62は、次に搬送すべきキャリアDを搬出ポート4bに載置する制御を行うことが可能となる。
【0029】
第2ストッカコントローラ62からの出庫通知を受信したメインコントローラ60は、リフタコントローラ63に対して、キャリアBを2階から1階へ搬送する旨の搬送指示を送る。そして、メインコントローラ60からの搬送指示を受信したリフタコントローラ63は、キャリアBを搬送するための収容領域の割り当てを行う。このとき、図5に示す例では、未だ図4におけるケース15に相当する状況となっているので、キャリアBの2階から1階への搬送には、第2リフタ装置40の第2収容領域44bが割り当てられる。
【0030】
そして、第1リフタ装置30の搬送ケージ34が1階に到着すると、第1ストッカコントローラ61の制御により、キャリアAが第1リフタ装置30の第1収容領域34aに収容される。その後、リフタコントローラ63の制御により、キャリアAを収容した第1リフタ装置30の搬送ケージ34が1階から2階へ移動する。図5に示すように、本例では、第1リフタ装置30の搬送ケージ34が1階から2階への移動を開始する少し前に、第2リフタ装置40が2階に到着する。
【0031】
さらに、第1ストッカコントローラ61では、キャリアCが搬出ポート3bに載置された後、キャリアCを出庫した旨の通知がメインコントローラ60に対してなされる。そして、搬出ポート3bに載置されたキャリアCは、第1ストッカコントローラ61の制御により、ローダ20のハンド23に持ち上げられる。
【0032】
第1ストッカコントローラ61からの出庫通知を受信したメインコントローラ60は、リフタコントローラ63に対して、キャリアCを1階から2階へ搬送する旨の搬送指示を送る。そして、メインコントローラ60からの搬送指示を受信したリフタコントローラ63は、キャリアCを搬送するための収容領域の割り当てを行う。このとき、図5に示す例では、第1リフタ装置30の搬送ケージ34は1階から2階への移動中であり、第2リフタ装置40の搬送ケージ44は2階に位置している。すなわち、この状況は、図4におけるケース5に相当する。よって、キャリアCの1階から2階への搬送には、第2リフタ装置40の第1収容領域44aが割り当てられる。
【0033】
また、第2ストッカコントローラ62では、2階に到着した第2リフタ装置40の第2収容領域44bにキャリアBを収容する制御が行われる。その後、リフタコントローラ63の制御により、キャリアBの収容した第2リフタ装置40の搬送ケージ44が2階から1階へ移動する。
【0034】
さらに、第2ストッカコントローラ62では、キャリアDが搬出ポート4bに載置された後、キャリアDを出庫した旨の通知がメインコントローラ60に対してなされる。そして、搬出ポート4bに載置されたキャリアDは、第2ストッカコントローラ62の制御により、ローダ20のハンド23に持ち上げられる。第2ストッカコントローラ62からの出庫通知を受信したメインコントローラ60は、リフタコントローラ63に対して、キャリアDを2階から1階へ搬送する旨の搬送指示を送る。そして、メインコントローラ60からの搬送指示を受信したリフタコントローラ63は、キャリアDを搬送するための収容領域の割り当てを行う。
【0035】
このとき、図5に示す例では、第1リフタ装置30の搬送ケージ34は1階から2階への移動中であり、第2リフタ装置40の搬送ケージ44は2階から1階への移動中である。すなわち、この状況は、図4におけるケース14に相当する。よって、キャリアDの2階から1階への搬送には、第1リフタ装置30の第2収容領域34bが割り当てられる。
【0036】
その後、キャリアAを収容した第1リフタ装置30が2階に到着すると、第2ストッカコントローラ62の制御によって、キャリアDが第1リフタ装置30の第2収容領域34bに収容され、続いてキャリアAが第1収容領域34aから取り出される。このとき、リフタコントローラ63は、メインコントローラ60に対して、キャリアAの搬送が完了した旨の通知を行い、さらに、キャリアDを収容した搬送ケージ34を2階から1階へ移動させる制御を行う。また、第2ストッカコントローラ62は、キャリアAを第2ストッカ4の搬入ポート4aに載置した後、第2ストッカ4内にキャリアAを格納する制御を行う。
【0037】
また、キャリアBを収容した第2リフタ装置40が1階に到着すると、第1ストッカコントローラ61の制御によって、キャリアCが第2リフタ装置30の第1収容領域44aに収容され、続いてキャリアBが第2収容領域44bから取り出される。このとき、リフタコントローラ63は、メインコントローラ60に対して、キャリアBの搬送が完了した旨の通知を行い、さらに、キャリアCを収容した搬送ケージ44を1階から2階へ移動させる制御を行う。また、第1ストッカコントローラ61は、キャリアBを第1ストッカ3の搬入ポート3aに載置した後、第1ストッカ3内にキャリアBを格納する制御を行う。
【0038】
以上のように、本実施の形態の搬送システム1では、1階及び2階の2つのフロア間で昇降可能な搬送ケージ34、(44)が、第1収容領域34a、(44a)及び第2収容領域34b、(44b)を有している。第1及び第2収容領域34a、(44a)、34b、(44b)は、いずれも1つのキャリア2を収容可能な領域である。また、第1及び第2ストッカ3、4の搬入ポート3a、4a及び搬出ポート3b、4bと、搬送ケージ34、(44)の第1収容領域34a、(44a)及び第2収容領域34b、(44b)との間でキャリア2の移載を行うローダ20が1階及び2階にそれぞれ設置されている。
したがって、搬送ケージ34、(44)がこれから搬送するキャリア2があるフロアに到着する前に、該フロアにあるローダ20は、キャリア2を支持した状態で待機することができる。すなわち、ローダ20は、搬送ケージ34、(44)が到着すると、あらかじめ支持していたキャリア2を搬送ケージ34、(44)の一方の収容領域に収容し、その後、該搬送ケージ34、(44)の他方の収容領域に他方のフロアから搬送されたキャリア2が収容されている場合には、該キャリア2を取り出す。このように、ローダ20がキャリア2を支持した状態で待機することができるので、次に搬送するキャリア2を搬出ポート3b、4bに載置しておくことができる。よって、搬出ポート3b、4bと搬送ケージ34、(44)の第1収容領域34a、(44a)及び第2収容領域34b、(44b)との間の積み替え作業を滞りなく行うことが可能となるので、フロア間における搬送効率を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、搬送ケージ34、(44)の第1収容領域34a、(44a)は、1階から2階への搬送に用い、第2収容領域34b、(44b)は、2階から1階への搬送に用いるものと、各収容領域の役割を限定している。すなわち、階間において搬送している間は、常に第1及び第2収容領域34a、(44a)、34b、(44b)のいずれか一方は空いた状態となっている。したがって、キャリア2を支持した状態で待機しているローダ20は、搬送ケージ34、(44)が到着し次第、キャリア2を搬送ケージ34、(44)に収容することができる。
【0039】
また、本実施の形態の搬送システム1は、第1及び第2リフタ装置30、40を備えている。リフタ装置が1つである場合には、キャリア2を収容した搬送ケージが、一方のフロアから他方のフロアに向けて移動を開始した後、該搬送ケージが往復して再度一方のフロアに戻って来るまで、次のキャリア2は一方のフロアで待機する必要がある。しかしながら、本実施の形態では、一方の搬送ケージ34又は44が往復して戻って来るのを待つ必要がない。したがって、フロア間における搬送効率をさらに向上させることができる。
【0040】
さらに、本実施の形態の搬送システム1では、ローダ20は、該ローダ20が設置されたフロアに位置する搬送ケージ34、44が有する全ての収容領域と、搬入ポート3a、4a及び搬出ポート3b、4bのうち該ローダ20が設置されたフロアに位置するものとに対して、キャリア2の載置及び取り出しを行うことができる。したがって、搬入ポート3a又は4a、及び搬出ポート3b又は4bと第1及び第2リフタ装置30、40の収容領域との間におけるキャリア2の積み替えのために、各フロアにローダを複数設ける必要がないので、システムの設備構成を簡略にすることができる。
【0041】
加えて、本実施の形態の搬送システム1では、ローダ20が、キャリア2を持ち上げて運搬するハンド23と、ハンド23を昇降させる昇降機構27と、ハンド23を水平面内における一方向に沿って移動させる走行台車26と、ハンド23を走行台車26による移動方向と交わる水平方向に進退させるリンク機構22とを備えている。そして、同一のフロアに位置する搬送ケージ34、44が有する収容領域、及び搬入ポート3a又は4a、搬出ポート3b又は4bは、走行台車26が走行する走行レール25に隣接する位置にある。したがって、同一のフロアに位置する搬送ケージ34、44が有する収容領域、及び搬入ポート3a又は4a、搬出ポート3b又は4bの高さ位置が揃っていない場合でも、一台のローダ20で第1及び第2リフタ装置30、40の収容領域、及び搬入ポート3a又は4a、搬出ポート3b又は4bへのキャリア2の移載及び取り出しを行うことができる。
【0042】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
【0043】
ここで、図6に、本実施の形態の一変形例を示す。図6は、図2に相当する図であり、対応する要素の符号に100を加えた符号を用いている。上述の実施の形態では、ローダ20の走行レール25の一方側に第1及び第2リフタ装置30、40が、他方側に第1又は第2ストッカ3、4がそれぞれ位置している場合について説明したが、例えば、図6に示すように、第1及び第2リフタ装置130、140、並びに第2ストッカ104が、走行レール125の一方側のみに位置していてもよい。
このように、上述の実施の形態及び本変形例においては、ローダ20、120が第1リフタ装置30、130、及び第2リフタ装置40、140に備えられているのではなく、各フロアにそれぞれ設けられている。したがって、搬入ポート3a、103a又は4a、104a及び搬出ポート3b、103b、又は4b、104bの位置は、上述の実施形態のように第1及び第2リフタ装置30、40の正面に限定する必要はなく、レイアウトの自由度を高めることができる。
【0044】
また、上述の実施の形態では、第1及び第2リフタ装置30、40が備えられている場合について説明したが、リフタ装置は1つでもよい。
【0045】
さらに、上述の実施の形態では、1台のローダ20で、1つのフロアに設けられた搬入ポート3a又は4a、搬出ポート3b又は4bと、第1収容領域34a、34b、第2収容領域44a、44bのうち、該フロアに位置する搬送ケージ34、44が有するものとの間におけるキャリア2の載置及び取り出しを行う場合について説明したが、これには限定されない。例えば、搬送ケージ34の第1及び第2収容領域34a、34bと搬入ポート3a又は4a、搬出ポート3b又は4bとの間の積み替えと、搬送ケージ44の第1及び第2収容領域44a、44bと搬入ポート3a又は4a、搬出ポート3b又は4bとの間の積み替えとが、別々のローダによって行われてもよい。
【0046】
加えて、上述の実施の形態では、ローダ20が、ハンド23と、ハンド23を昇降させる昇降機構27と、ハンド23を水平面内における一方向に沿って移動させる走行台車26と、ハンド23を走行台車26による移動方向と交わる水平方向に進退させるリンク機構22とを備えている場合について説明したが、ローダ20の構成はこれには限定されない。
【0047】
さらに、上述の実施の形態では、1階と2階との2つのフロア間でキャリア2の搬送を行う搬送システム1について説明したが、これには限定されない。互いに異なる高さに位置する2つのフロア間におけるキャリア2の搬送を行うものであればよい。
【0048】
また、上述の実施の形態では、第1及び第2リフタ装置30、40の第1収容領域34a、44aは、1階から2階へキャリア2の搬送を行う際に用い、第2収容領域34b、44bは、2階から1階へキャリア2の搬送を行う際に用いるものと、各収容領域34a、34b、44a、44bの役割を限定する場合について説明したが、これには限られない。例えば、全ての収容領域34a、34b、44a、44bで同一方向へのキャリア2の搬送を行うことが可能としてもよい。これにより、一方のフロアから他方のフロアへの搬送要求が大量に発生した場合に、効率良くキャリア2の搬送を行うことが可能となる。
【0049】
また、上述の実施の形態では、搬送ケージ34、44に、第1収容領域34a、44aと第2収容領域34b、44bとが上下に設けられている場合について説明したが、これには限定されない。たとえば、第1収容領域34a、44aと第2収容領域34b、44bとは、水平方向に隣接するように設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態にかかる搬送システムの設備構成を示す側面図である。
【図2】図1に示す搬送システムの平面図である。
【図3】図1に示す搬送システムのネットワーク構成を示す図である。
【図4】図1に示す搬送システムにおける収容領域の割り当ての一例を示す表である。
【図5】図1に示す搬送システムにおける処理の一例を時系列で示す図である。
【図6】本発明の実施の形態の一変形例にかかる搬送システムの平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 搬送システム
2 キャリア(被搬送物)
3a、4a 搬入ポート(ポート)
3b、4b 搬出ポート(ポート)
20 ローダ
22 リンク機構(進退機構)
23 ハンド
26 走行台車(移動機構)
27 昇降機構
30、40 リフタ装置
34a、44a 第1収容領域(収容領域)
34b、44b 第2収容領域(収容領域)
34、44 搬送ケージ(昇降体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる高さに位置する第1フロア及び第2フロアにそれぞれ設けられており、被搬送物が載置されるポートと、
前記第1及び第2フロアの間で昇降可能であると共に1つの被搬送物を収容可能な収容領域が2つ設けられた昇降体を有するリフタ装置と、
前記第1及び第2フロアにそれぞれ設けられており、前記ポートと前記昇降体の前記収容領域との間で被搬送物の積み替えを行うローダとを備えていることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記リフタ装置が2つ備えられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記ローダが、該ローダが設けられたフロアと同一のフロアに位置する前記昇降体が有する全ての前記収容領域及び前記ポートに対して被搬送物の載置及び取り出しを行うことができることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記ローダが、被搬送物を支持するハンド、前記ハンドを昇降させる昇降機構、前記ハンドを水平面内における一方向に沿って移動させる移動機構、及び前記ハンドを前記移動機構による移動方向と交わる水平方向に進退させる進退機構を備えており、
前記ポート及び該ポートが設けられたフロアと同一のフロアに位置する前記昇降体が、前記移動機構による前記ハンドの移動経路沿いにあることを特徴とする請求項3に記載の搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−67528(P2009−67528A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237782(P2007−237782)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】