説明

携帯型防犯カメラ

【課題】 警備員、店舗の店員、一般人などの各個人が身体に装着して、身体周辺を常時監視して防犯することができる携帯型防犯カメラを提供する。
【解決手段】 携帯型防犯カメラは、画像信号を入力する信号入力器1と、入力した画像信号を一時保存する信号一時保存器3と、身体又は身体の周辺に異常が発生したことを検知する非常事態検出手段7と、非常事態検出手段7が検知した異常信号に基づき信号一時保存器3から画像信号を取り込んで保存する信号蓄積器8とを備えている。非常事態検出手段7が検知した大振動などの異常信号により信号一時保存器3あるいは信号蓄積器8に画像信号を消去することなく保存することができる。アラーム音声、フラッシュライトなどにより暴漢を威嚇して犯罪の未然防止を図ることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備員、コンビニ店の店員、一般人などの各個人が身体に装着することのできる携帯型防犯カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防犯カメラは、店舗の入り口、商品陳列コーナー、銀行の現金自動支払い装置付近などの特定位置に固定されて、そこに立ち入った人物の動画像又は静止画像を記録する固定型のものがほとんどであって、カメラの向きによっては人物の人相、背格好、服装などの必要な情報を十分に収集することができないという問題があった。また、防犯カメラからの画像や防犯ベルの警報によって警備員が駆けつけたとしても、不審者を取り逃がすことが多く、情報が不確実であるために不審者の特定にまで至らないことはよくあることである。また、今日の社会の治安状態は悪化の一途を辿っており、一般の民間人が通り魔に襲われて暴行を受けたり、小さい子供や女性が拉致されたりする事件も頻発している。このような場合には、被害者の記憶によって人相や服装などの情報から似顔絵を作成して加害者の割り出しを行うことが通常行われているが、パニックになったときの人の記憶はあいまいであって、十分に犯人検挙に結びつかないことも多い。
【0003】
このような問題点を解決するために特許文献1には、フラッシュライト(ストロボ)を備えた防犯機能付き携帯電話が開示されている。すなわち、非常ボタンを押すと、携帯電話機の警報音出力部から大音量の警報が鳴るとともに、フラッシュライトが発光する。さらにフラッシュライトの発光時にカメラが証拠写真を撮影し、その写真を予め設定された警察や警備会社等のメールアドレスへ送信する。
しかしながら、この携帯電話は人が非常ボタンを操作することによって初めて機能するものであるので、携帯電話をポケットやバッグなどから取り出したうえ操作しなければならず、犯罪発生の場面においてそのような時間的、精神的余裕がない場合は多い。すなわち、身体周辺を常時監視することができるというものではないので、防犯機能として限界のあるものであった。
【特許文献1】特開2003−219062号公報 (図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のような実情に鑑み、本発明は、警備員、店舗の店員、一般人などの各個人が身体に装着して、身体周辺を常時監視して防犯することができる携帯型防犯カメラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためになされた本発明の携帯型防犯カメラは、身体に装着されて使用される携帯型防犯カメラであって、画像信号を入力する信号入力器と、入力した画像信号を監視基地に送信するための信号送信器とを備えていることを特徴とするものである。この携帯型防犯カメラにおいて、信号入力器に入力された画像信号を一時保存する信号一時保存器と、身体又は身体の周辺に異常が発生したことを検知する非常事態検出手段とを備えたものとすることができる。
【0006】
また、本発明の携帯型防犯カメラは、身体に装着されて使用される携帯型防犯カメラであって、画像信号を入力する信号入力器と、入力した画像信号を一時保存する信号一時保存器と、身体又は身体の周辺に異常が発生したことを検知する非常事態検出手段とを備えていることを特徴とするものであり、この携帯型防犯カメラに、非常事態検出手段が検知した異常信号に基づき、信号一時保存器から画像信号を取り込んで保存する信号蓄積器を備えることができ、また、信号入力器が入力した画像信号および非常事態検出手段が検知した異常信号のうちの少なくとも一つを、監視基地に送信するための信号送信器を備えることができる。
【0007】
以上のような携帯型防犯カメラにおいて、非常事態検出手段として、身体からの脱着を検知するフォトセンサー、又は閾値を超える振動を検知する振動センサー、又は閾値を超える音声を検知する音声センサーを用いることができ、また、信号一時保存器を、保存された画像信号の容量が記憶容量を超えた場合に、古い画像信号を抹消し新しい画像信号に更新して保存するものとすることができ、また、信号蓄積器を、非常事態が発生した時に非常事態検出手段の指令により信号一時保存器に保存されている画像信号を全部取り込むとともに、引き続いて信号一時保存器が取り込む新画像信号を、当該信号蓄積器の記憶容量が一杯になるまで取り込んで保存するものとすることができる。さらに、携帯型防犯カメラには、投光器を具備することもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の携帯型防犯カメラは、人の身体に装着されて使用されるものであるので、信号入力器により暴漢などの画像信号を至近距離から鮮明に入力することができる。そして、この入力した画像信号を信号送信器により警備室や家庭などの監視基地に送信するようにしたので、監視基地において送信された情報を確実に保存するとともに、暴漢に対する対応を素早く取ることができる。
【0009】
また、携帯型防犯カメラを、信号入力器と、信号一時保存器と、非常事態検出手段とを備えたものとしたので、非常事態検出手段が検知した大振動などの異常信号により信号一時保存機構の作動を停止するなどして、画像信号を消去することなく保存することができる。したがって、犯罪現場の状況を正確に証拠として残すことができ、アラーム音声などにより暴漢を威嚇することもできる。このカメラの場合には特に監視基地を必要としないので、使い勝手がよい、維持費が低いという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態である携帯型防犯カメラ(移動局)、及び監視基地(固定局)の概略構成を示す図である。この携帯型防犯カメラは、胸ポケット、ベルト、ヘルメット、ハンドバッグなどに装着されて(以下、「身体に装着」という。)使用されるものであって、基本的にはこの移動局から警備室などの固定局に情報が送信されて、監視用、保存用に供される。
携帯型防犯カメラは、信号入力器1、モニター2、信号一時保存器3、信号送信器4、非常事態検出手段7を備えている。
【0011】
信号入力器1は、マイコン6制御により、一定の時間間隔、例えば2秒置きなどの静止画像、或いは連続して変化する動画像を画像信号として取り込む。信号入力器1としてCCDカメラを用いることができるし、ビデオカメラ、光ディスク装置などを用いることもできる。なお、動画像を取り込んだ場合には画像信号に付随して音声信号も記録されるのが普通であるので、本明細書においては画像信号には音声信号を含んでもよいものとする。
【0012】
モニター2は、液晶表示などによって画像信号を確認的に表示する。この画像信号は、信号一時保存器3に伝達されて、一定枚数、或いは一定時間の画像信号を、古いものを消去しつつ新しい画像信号に置き換えて取り込む。信号一時保存器3としては、電源を切った後もデータが保持できるフラッシュメモリ、マスクROM、EPROMなどを用いるのが望ましい。そして、信号送信器4は、信号一時保存器3から取り込んだ画像信号、或いは信号入力器1から直接取り込んだ画像信号をアンテナ5から固定局に向けて送信する。
【0013】
この携帯型防犯カメラは、非常事態検出手段7を装備している。非常事態検出手段7として、フォトセンサー、振動センサー、音声センサーなどを適宜用いることができる。フォトセンサーを用いた場合には、携帯型防犯カメラを胸ポケットなどに挟持させて脱落した時に当該センサーが機能するようにしておけばよい。振動センサー、音声センサーを用いた場合には、一定の閾値を超えた時に作動するようにしておき、暴漢などに襲われたときの振動、音声を検知することによって異常信号を発するようにしておけばよい。なお、信号入力器1が、画像信号と音声信号とを両方入力できるものである場合には、音声信号の大きさに閾値を設定しておくことにより、非常事態を検出することができる。従って、この場合には信号入力器1は、非常事態検出手段7を備えているものである。
【0014】
非常事態検出手段7が異常を検出したときには、直ちに信号一時保存器3への新しい画像信号の取り込みを停止することができる。このようにすることによって、現場の状況を証拠写真として残すことができる。或いは、異常を検出した時より一定時間経過後に信号一時保存器3への新しい画像信号の取り込みを停止させることもできる。このようにすることによって、逃走中の犯人像、犯行に使用された自動車などの写真の重要な情報を取り込んで、現場の状況を証拠写真として残すことができる。非常事態検出手段7により、アラーム音声を発して、犯人を威嚇することもできる。なお、携帯型防犯カメラを送信専用とする場合には、モニター2、信号一時保存器3、非常事態検出手段7の搭載を省略して装置を簡素化、軽量化することができる。
【0015】
固定局は、移動局から送信された画像信号をアンテナ11を介して信号受信器12に取り込む。取り込まれた画像信号は画像復調器13を介してモニター14に表示され、監視に供される。画像蓄積器15は、常時或いは非常事態発生時など必要なときにモニター画像を保存する。
さらに、画像信号は、共用器16、音声復調器17を介して音声に変換されてスピーカー18から音響を発生して、警備員などに非常事態が発生したことなどを報知する。これによって、警備員は素早い対応を取ることができる。このタイプの携帯型防犯カメラは、犯人によって携帯型防犯カメラが持ち去られた場合、或いは完全に破壊されたような場合にも、固定局に画像信号を保存することができるので、証拠写真が消滅することがないという大きな利点を有する。
【0016】
図2に、第2の実施形態の携帯型防犯カメラを示す。このカメラは、主として画像信号を自己保存する用途に用いるものである。すなわち、信号一時保存器3の後には、信号一時保存器3より記憶容量の大きい信号蓄積器8が接続されている。したがって、図示された信号送信機4、アンテナ5は省略することができる。
【0017】
当該携帯型防犯カメラの機能を、図3に示すフローチャートにより説明する。
先ず、信号入力器1がマイコン6制御により画像信号を入力する。入力後一定の時間経過後に次の画像信号を入力する。それらの画像信号を、信号一時保存器3に古い信号と入れ替えつつ順次新しい画像信号を保存する。例えば直近一時間の画像信号を保存する。通常の状態ではこの繰り返しである。しかし、一旦非常事態が発生した時には、非常事態検出手段7の指令により信号一時保存器3に保存されている直近の画像信号をそっくりそのまま信号蓄積器8が取り込む。さらに、時々刻々信号一時保存器3に取り込まれる新画像信号を、信号蓄積器8の記憶容量が一杯になるまで取り込む。そして、容量オーバーしたときには信号の取込みを停止するとともに、メモリ消去の禁止処理を行うことによって、現場の証拠写真を確実に保存しておくことができる。
【0018】
なお、画像信号の取り込みに当たっては、静止画像と動画像をともに取り込むのが望ましい。動画像は行動を逐次撮影するため犯行のシーンが写っていれば証拠となる点では有効であるが、容量の点で画質を落とさざるを得ず、よって、犯人の特定のためにも静止画像と動画像の両方を保存しておくのが望ましいからである。
また、画像情報の一時保存と更新を繰り返す時間を短くすれば、画質を高画質とすることも可能で、従来の画質が鮮明でないという問題を解決することができる。異常状態時のみの画像信号を保存すればよいからである。
【0019】
また、コンビニなどの店内は明るいので、画像の取り込みに当たって別途光源を必要とする場合は少ない。しかし、夜道などの暗い場所で使用する場合には、赤外線、フラッシュライトなどを発する投光器9を具備するのが望ましい。これら投光器9を具備することによって、暗い場所においても鮮明な画像を取り込むことができ、また、フラッシュライトを適宜の間隔で点滅させることにより犯罪を未然に防止することができる。
【0020】
本発明の携帯型防犯カメラは、上記実施形態にとらわれることなく、デジカメなどを用いた信号入力器1をヘッド分離式として、信号一時保存器3などを内蔵する本体をベルトなどに装着できるようにすることもできる。一つの本体から二つの信号入力器1を分離させて、これらの信号入力器1をヘルメットの前後などに装着することによって、死角を少なくすることができる。そして、信号入力器1が所定の装備位置から外れた場合或いは人為的に外した場合に、異常状態を検出するように接点スイッチを設けることもできる。
【0021】
また、本発明の携帯型防犯カメラは、折り畳み式として、図4に示すように胸ポケットに挟み込むように装着することによっても、接点スイッチ、フォトセンサーなどにより、当該カメラが脱落したときに非常事態を検出することができる。この接点スイッチ、フォトセンサーなどは、所定の手順で外した場合、例えば別のスイッチを設けてそれを押しながら外す等を行うことで非常事態を検出しないようにすることもできる。当該カメラは、当然身体に複数台装着することができる。また、当該カメラは、カメラ全体を作動させるためのON−OFFスイッチを備え、かつ、ニッケル水素電池などの電池を搭載していることはいうまでもない。
【0022】
以上説明したように、本発明の携帯型防犯カメラは、身体に装着されて使用されるものであるので、暴漢などの画像信号を至近距離から鮮明に入力することができる。その画像信号を監視基地に送信するようにしたので、監視基地において送信された情報を確実に保存するとともに、犯罪発生に対する対応を素早く取ることができる。
また、本発明の携帯型防犯カメラは、信号一時保存器、信号蓄積器を内蔵するものとしたので、これらによって犯行現場の画像、音声を正確に証拠として残すことができる。
さらに、本発明に係る携帯型防犯カメラは、これを身体に装着することによって威嚇効果が発揮されて、犯罪を未然に防止して装着者の安全を確保するという極めて大きな効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態である携帯型防犯カメラと監視基地の概略構成図である。
【図2】第2の実施形態である携帯型防犯カメラの概略構成図である。
【図3】画像信号入力におけるフローチャートである。
【図4】携帯型防犯カメラを胸ポケットに装着した状態の説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 信号入力器
2 モニター
3 信号一時保存器
4 信号送信器
5 アンテナ
6 マイコン
7 非常事態検出手段
8 信号蓄積器
9 投光器
11 アンテナ
12 信号受信器
13 画像復調器
14 モニター
15 画像蓄積器
16 共用器
17 音声復調器
18 スピーカー
19 ホストコンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に装着されて使用される携帯型防犯カメラであって、画像信号を入力する信号入力器と、入力した画像信号を監視基地に送信するための信号送信器とを備えていることを特徴とする携帯型防犯カメラ。
【請求項2】
信号入力器に入力された画像信号を一時保存する信号一時保存器と、身体又は身体の周辺に異常が発生したことを検知する非常事態検出手段とを備えている請求項1に記載の携帯型防犯カメラ。
【請求項3】
身体に装着されて使用される携帯型防犯カメラであって、画像信号を入力する信号入力器と、入力した画像信号を一時保存する信号一時保存器と、身体又は身体の周辺に異常が発生したことを検知する非常事態検出手段とを備えていることを特徴とする携帯型防犯カメラ。
【請求項4】
非常事態検出手段が検知した異常信号に基づき、信号一時保存器から画像信号を取り込んで保存する信号蓄積器を備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯型防犯カメラ。
【請求項5】
信号入力器が入力した画像信号および非常事態検出手段が検知した異常信号のうちの少なくとも一つを、監視基地に送信するための信号送信器を備えている請求項3又は4に記載の携帯型防犯カメラ。
【請求項6】
非常事態検出手段は、身体からの脱着を検知するフォトセンサー、又は閾値を超える振動を検知する振動センサー、又は閾値を超える音声を検知する音声センサーである請求項2又は3に記載の携帯型防犯カメラ。
【請求項7】
信号一時保存器は、保存された画像信号の容量が記憶容量を超えた場合に、古い画像信号を抹消し新しい画像信号に更新して保存するものである請求項2〜6の何れかに記載の携帯型防犯カメラ。
【請求項8】
信号蓄積器は、非常事態が発生した時に非常事態検出手段の指令により信号一時保存器に保存されている画像信号を全部取り込むとともに、引き続いて信号一時保存器が取り込む新画像信号を、当該信号蓄積器の記憶容量が一杯になるまで取り込んで保存するものである請求項7に記載の携帯型防犯カメラ。
【請求項9】
投光器を具備する請求項1〜8の何れかに記載の携帯型防犯カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−86582(P2006−86582A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266740(P2004−266740)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000161806)京楽産業株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】