説明

携帯端末、アプリケーションサーバ、通信システム及び監視処理確認方法

【課題】 携帯端末のユーザの現在位置を把握する監視ナビ実行時に生じる被監視者の不利益を抑制することのできる携帯端末、アプリケーションサーバ、通信システム及び監視処理確認方法を提供する。
【解決手段】 監視端末200に監視メールを送信したときから、確認待機期間をカウントする(S8)。待機期間が経過したら(S9/Yes)、監視メールから確認メールを作成し、この確認メールを自端末宛に送信する(S10)。確認メールには、監視メールを送信した送信先と、監視メールを送信した日時と、監視対象となった位置情報と、が含まれているので、これを確認することで、なされていた監視処理の内容を知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、アプリケーションサーバ、通信システム及び監視処理確認方法に関し、特に、GPSなどの測位装置により端末の位置を測位する携帯端末、アプリケーションサーバ、通信システム及び監視処理確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPHS(Personal Handy-phone System)などの携帯端末には、該携帯端末のある位置を測位・検出するための機能を有するものがある。
【0003】
携帯端末の位置の測位方法としては、電界強度を基に測位する方法や、GPS(Global Positioning Systems)を利用して測位する方法がある。
【0004】
電界強度を基に測位する方法は、通信基地局の識別情報と携帯端末が受信した基地局からの電波の強さ(電界強度)を基に該基地局から半径何メートルの範囲に該携帯端末があるのかを検出し、これを複数の異なる基地局からの電波について行うことで位置の測位を行う方法である。また、GPSを利用して測位する方法は、GPS衛星から該端末の位置情報(緯度・経度 etc.)を取得することで位置の測位を行う方法である。
【0005】
測位された位置情報は通信網上の情報基地局(マップデータを保持するサーバ)に送られ、地図(マップ)上の一地点に換算される。
【0006】
この位置情報が反映された地図情報を測位された携帯端末で取得すると、該携帯端末のユーザが現在どこにいるのかをユーザ自身で把握・確認するためのセルフナビゲーション(セルフナビ)となる。また、該地図情報を測位された携帯端末でない他の携帯端末で取得すると、測位された携帯端末が現在どこにあるのかを把握・監視するための監視ナビゲーション(監視ナビ)となる。
【0007】
監視ナビは、携帯端末がユーザの手元からなくなった際に、該携帯端末がどこにあるのかを把握するために用いられる。これにより、携帯端末の紛失や盗難などにより携帯端末がなくなってしまっても早急に探し出すことが可能となる。
【0008】
また、監視ナビは、該携帯端末のユーザがどこにいるのかを監視することにも用いられる。これにより、例えば、子供や老人に携帯端末を持たせておけば彼らの位置情報を把握することができるので、迷子や行方不明のときに早急に探し出すことが可能となる。また、会社の社員に持たせておけば、彼らの現在位置を逐一把握することが可能となる。
【0009】
この監視ナビに関する技術としては、次のものが知られている。
【0010】
特許文献1では、GPS受信器と温度センサを備え、測定温度が設定温度より低下すると、音響による報知、GPS測位機能により測位された自端末位置情報の所定の外部機器への送信を実行する携帯電話機が提案されている。これにより、携帯端末を紛失しても容易に探し出すことが可能となる。
【0011】
また、特許文献2では、監視者などの監視下にある被監視者が所定の場所から移動したことが携帯端末の測位機能により検知されると、被監視者の有する携帯端末がその現在位置を監視者の携帯端末に通報する位置移動警報システムが提案されている。
【0012】
また、特許文献3では、被監視者の移動通信端末においてGPSセンサで検出された現在位置と設定された監視エリアとを比較し現在位置が監視エリアと判断された場合には、その旨を監視者の携帯端末に送ることで監視者に被監視者の現在位置を把握させ、被監視者がその位置にいることを監視者が容認する場合には、容認メールを被監視者端末に送信し監視エリアの変更を行うことのできる移動体通信端末装置及び管理システムが提案されている。これにより、監視エリアの変更を簡易に行うことが可能となり、移動する被監視者及び変遷する監視エリアに柔軟に対応することが可能となっている。
【特許文献1】特開2004−32490号公報
【特許文献2】特開2004−362030号公報
【特許文献3】特開2004−355243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した特許文献2や特許文献3のような、携帯端末ユーザの現在位置把握のための監視ナビシステムには問題点がある。その問題点とは、被監視者側の携帯端末において、監視者に監視されていることが検知できないこと、すなわち、監視者による監視動作が被監視者に隠蔽されていることである。
【0014】
監視者による監視動作が被監視者に隠蔽されていると、監視者としては被監視者に気付かれることなく被監視者の現在位置を把握することができる。これが行き過ぎた場合、被監視者のプライバシーの侵害となることがあり得る。また、この状況を利用した犯罪が行われる余地もあるので、被監視者にとって著しく不利益で不利な状況となっている。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、携帯端末のユーザの現在位置を把握する監視ナビ実行時に生じる被監視者の不利益を抑制することのできる携帯端末、アプリケーションサーバ、通信システム及び監視処理確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1記載の発明は、監視端末によって現在位置の監視処理がなされる携帯端末であって、自端末の現在位置を測位する測位手段と、前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する設定手段と、前記測位された自端末の現在位置と前記監視エリアとの位置関係を比較判定する比較判定手段と、前記比較判定手段により前記自端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記自端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを、前記監視メールから作成する確認メール作成手段と、前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、自端末宛に前記確認メールを送信する確認メール送信手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、監視端末によって現在位置の監視処理がなされる携帯端末であって、自端末の現在位置を測位する測位手段と、前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する設定手段と、前記測位された自端末の現在位置と前記監視エリアとの位置関係を比較判定する比較判定手段と、前記比較判定手段により前記自端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記自端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認画面を、前記監視メールから作成する確認画面作成手段と、前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記確認画面を表示する確認画面表示手段と、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の携帯端末において、前記確認メールが開封されたことを検知する検知手段と、前記確認メールが開封されたことが検知されない場合に、所定の動作を実行する実行手段と、をさらに有することを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の携帯端末において、前記確認画面が確認されたことを検知する検知手段と、前記確認画面が確認されたことが検知されない場合に、所定の動作を実行する実行手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項3または4に記載の携帯端末において、前記携帯端末が実行する前記所定の動作は、音による報知、画面による表示、前記携帯端末の機能の使用制限、の少なくとも1つを含む動作であることを特徴とする。
【0021】
請求項6記載の発明は、被監視端末の現在位置を検出し、前記被監視端末の現在位置を監視端末に送信するアプリケーションサーバであって、前記被監視端末が備える測位手段から、前記被監視端末の現在位置を取得する位置情報取得手段と、前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを記憶する監視エリア記憶手段と、前記位置情報取得手段により取得した前記被監視端末の現在位置と、前記監視エリア記憶手段に記憶された前記監視エリアと、の位置関係を比較判定する比較判定手段と、前記比較判定手段により前記被監視端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記被監視端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを、前記監視メールから作成する確認メール作成手段と、前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記被監視端末宛に前記確認メールを送信する確認メール送信手段と、を有することを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明は、被監視端末と監視端末とが通信網により接続され、前記監視端末によって前記被監視端末の現在位置の監視処理がなされる通信システムであって、前記被監視端末は、自端末の現在位置を測位する測位手段と、前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する設定手段と、前記測位された自端末の現在位置と前記監視エリアとの位置関係を比較判定する比較判定手段と、前記比較判定手段により前記自端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記自端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、を有し、前記監視端末は、前記被監視端末から送信された前記監視メールを受信し、これを展開・表示する表示手段を有し、前記監視端末は、前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを前記監視メールから作成し、自端末宛に前記確認メールを送信することを特徴とする。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の通信システムにおいて、前記被監視端末は、前記確認メールが開封されたことを検知する検知手段と、前記確認メールが開封されたことが検知されない場合に、所定の動作を実行する実行手段と、をさらに有することを特徴とする。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の通信システムにおいて、前記被監視端末が実行する前記所定の動作は、音による報知、画面による表示、前記被監視端末の機能の使用制限、の少なくとも1つを含む動作であることを特徴とする。
【0025】
請求項10記載の発明は、被監視端末と監視端末とアプリケーションサーバとが通信網により接続され、前記監視端末によって前記被監視端末の現在位置の監視処理がなされる通信システムであって、前記被監視端末は、自端末の現在位置を測位する測位手段と、前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する設定手段と、を有し、前記監視端末は、前記アプリケーションサーバから送信された前記監視メールを受信し、これを展開・表示する表示手段を有し、前記アプリケーションサーバは、前記測位手段から、前記被監視端末の現在位置を取得する位置情報取得手段と、前記設定手段により設定された前記監視エリアを記憶する監視エリア記憶手段と、前記位置情報取得手段により取得した前記被監視端末の現在位置と、前記監視エリア記憶手段に記憶された前記監視エリアと、の位置関係を比較判定する比較判定手段と、前記比較判定手段により前記被監視端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記被監視端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを、前記監視メールから作成する確認メール作成手段と、前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記被監視端末宛に前記確認メールを送信する確認メール送信手段と、を有することを特徴とする。
【0026】
請求項11記載の発明は、被監視端末と監視端末とが通信網により接続され、前記監視端末によって前記被監視端末の現在位置の監視処理がなされる通信システムにおける監視処理確認方法であって、前記被監視端末において、前記被監視端末の現在位置を測位する第1の工程と、前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する第2の工程と、第1の工程で測位された前記被監視端末の現在位置と前記監視エリアとの位置関係を比較判定する第3の工程と、前記第3の工程において前記被監視端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記自端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する第4の工程と、前記監視端末において、前記被監視端末から送信された前記監視メールを受信し、これを展開・表示する第5の工程と、前記被監視端末において、前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを前記監視メールから作成し、自端末宛に前記確認メールを送信する第6の工程と、を有することを特徴とする。
【0027】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の監視処理確認方法において、前記被監視端末において、前記確認メールが開封されたことを検知する第7の工程と、第7の工程において、前記確認メールが開封されたことが検知されない場合に、所定の動作を実行する第8の工程と、をさらに有することを特徴とする。
【0028】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の監視処理確認方法において、第8の工程において、前記被監視端末が実行する前記所定の動作は、音による報知、画面による表示、前記被監視端末の機能の使用制限、の少なくとも1つを含む動作であることを特徴とする。
【0029】
請求項14記載の発明は、被監視端末と監視端末とアプリケーションサーバとが通信網により接続され、前記監視端末によって前記被監視端末の現在位置の監視処理がなされる通信システムにおける監視処理確認方法であって、前記被監視端末において、自端末の現在位置を測位する第1の工程と、前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する第2の工程と、を有し、前記アプリケーションサーバにおいて、第1の工程で測位された現在位置から前記被監視端末の現在位置を取得する第3の工程と、第2の工程で設定された前記監視エリアを記憶する第4の工程と、第3の工程で取得した前記被監視端末の現在位置と、前記監視エリア記憶手段に記憶された前記監視エリアと、の位置関係を比較判定する第5の工程と、第5の工程において前記被監視端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記被監視端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する第6の工程と、前記監視端末において、前記アプリケーションサーバから送信された前記監視メールを受信し、これを展開・表示する第7の工程と、前記アプリケーションサーバにおいて、前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを前記監視メールから作成し、前記被監視端末宛に前記確認メールを送信する第8の工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、監視端末による監視処理がなされた後で、監視が行われていた旨を監視されていた端末のユーザに通知するので、プライバシー侵害の発生などの被監視者の不利益を抑制することができ、監視者、被監視者間の調整を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る第1の実施形態について詳細に説明する。
【0032】
<通信システム>
まず、本実施形態の通信システムの構成について、図1を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態の通信システムは、被監視者が所有する携帯端末100(以下、「被監視端末」とする)と、被監視者を監視する監視者が所有する携帯端末(以下、「監視端末」とする)200と、情報基地局300と、通信網400と、から構成される。
【0033】
<被監視端末100>
被監視端末100は、監視の対象となるユーザが携帯する携帯端末である。被監視端末100は、CPU101と、通信アンテナ102と、無線送受信部103と、GPS測位部104と、クロック105と、監視エリアメモリ106と、アドレスメモリ107と、確認処理用メモリ108と、表示部109と、操作部110と、から構成される。
【0034】
CPU(Central Processing Unit)101は、被監視端末100の制御を行う中央演算処理部である。通信アンテナ102は、通信網400を介して他の携帯端末と無線通信を行うためのアンテナである。無線送受信部103は、無線の送受信を行う。GPS測位部104は、GPS衛星を利用して被監視端末100の現在位置(緯度・経度)を測位する。クロック105は、被監視端末100内部に設けられた時計であり、現在時刻・日付を計時する。
【0035】
監視エリアメモリ106は、被監視端末100について設定された監視エリア(該当エリアに入ると監視端末にメールによりその旨の通達を行うエリア)のエリア範囲を記憶するメモリである。監視エリアの定義方法には、監視エリアを決定し監視エリアに入ったら監視端末にその旨を通信する、すなわち、監視エリアを限定することで監視エリアを決定する積極的定義方法と、非監視エリア(監視エリアでないエリア)を決定し非監視エリアから出たら監視端末にその旨を通知する、すなわち、監視エリアを限定せずに監視エリアを決定する消極的定義方法とがあるが、監視メモリ106は、いずれかの定義方法を用いて、あるいは、両定義方法を併用して、規定された監視エリアのエリア範囲を記憶する。
【0036】
監視エリアの範囲は、緯度・経度の数値データで規定される。なお、ユーザがエリア範囲を指定する際には、緯度・経度の数値データで範囲指定させるのは非常に困難であり不便である。そこで、ユーザは情報基地局300からマップデータを取得しマップ上で範囲を指定する。端末内部では該範囲指定を緯度・経度の数値データに置き換えて、監視エリアメモリ106に保持することになる。
【0037】
また、本実施形態では、時間帯・曜日・祝日などの時系条件別に監視エリアの範囲データが変更されるようになっている。具体的には、監視エリアメモリ106に複数の監視エリア範囲データを記憶しておき、クロック105が示す時間・日付に応じて、CPU101が監視エリアメモリ106内に記憶される複数の監視エリア範囲データから1つを選択して適用するように制御する。これにより、監視エリアの設定に時間的な融通性を付与することを可能としている。また、複数の監視エリア範囲データのうち1つを選択して使用するので、複数の監視エリア毎に独立して経路学習機能を実行することが可能となる。なお、経路学習機能とは、最初に設定した管理エリアをケースバイケースで修正変更する機能のことである。
【0038】
アドレスメモリ107は、監視エリアに入った際にその旨を通達する携帯端末、すなわち、監視端末200のメールアドレスを保持するためのメモリである。確認処理用メモリ108は、以下に説明する処理フローを実現するためのメモリであり、被監視端末100が送信したメールの内容・履歴などを保持する。
【0039】
表示部109は、液晶ディスプレイなどから構成され、ユーザに対し文字や画像を表示する。操作部110は、入力キーなどから構成され、ユーザからの入力動作を受け付ける。
【0040】
<監視端末200>
監視端末200は、被監視端末100の位置監視を行う端末である。よって、その構成としては、被監視端末100の監視を行うことのできるものであればよい。すなわち、最低限の構成として、無線送受信の実行部と、GPS位置情報処理部と、マップ表示を行うディスプレイがあればよい。なお、図1では、各構成部については表記していない。
【0041】
<情報基地局300>
情報基地局300は、マップデータ(地図データ)を保持するサーバであり、緯度・経度の数値データに基づいてその地点をマップに反映させる。監視端末100のGPS測位部104により測位されているのは緯度・経度についての数値データであり、この数値データのみではマップ上の一地点として表示されない。そこで、本実施形態の通信システムにおいては情報基地局300で該数値データをマップ上の一地点に反映させるのである。
【0042】
情報基地局300の処理について詳述すると、情報基地局300は、緯度・経度についての数値データが付与されたメールが送信されてくると、該数値データを基に数値データが示す一地点をマップ上に反映させ、現在位置を示すマップを作成し、このマップデータを送信先に送る処理を行う。
【0043】
<通信網400>
通信網400は、監視端末100、被監視端末200、情報基地局300を結ぶネットワーク回線である。
【0044】
<処理フロー>
次に、本実施形態の通信システムにおける処理フローについて、図2、図3を参照して説明する。
【0045】
<監視処理>
まず、被監視端末100の監視処理について、図2を参照して説明する。
【0046】
まず、被監視端末100において、初期設定を行う(ステップS1)。なお、ここでいう初期設定とは、監視端末200による被監視端末100の監視に必要不可欠な設定のことであり、具体的には、監視エリアの設定や監視端末200のメールアドレスの登録、確認待機期間の設定などを行う。
【0047】
監視エリアの設定についてはすでに簡単に説明してあるので、ここではその詳述を省略する。
【0048】
監視端末200のメールアドレスの登録について説明する。被監視端末100が監視エリアに入った際には監視端末200にその旨をメールで知らせるが、このメール送信先を予め登録する必要があるので本処理を行う。メールアドレスの登録は、操作部110を操作してメールアドレスを入力し、これをアドレスメモリ107に保持させることでなされる。
【0049】
なお、メールアドレスの登録については、直接入力するのではなく、被監視端末100のアドレス帳から選択する方法、通信履歴に残されているアドレスから選択する方法などを利用することも可能である。また、このメールアドレスの登録件数は特に限定されるものではなく、1件であっても複数件数であってもかまわない。確認待機期間の設定については、後述する。
【0050】
初期設定の完了以降、被監視端末100のCPU101は、GPS測位部104、GPS衛星により、被監視端末100の現在位置を緯度・経度の数値データで測位する(ステップS2)。この被監視端末100の現在位置の測位は、予め定められた時間毎、例えば5分毎に行われ、この時間の計測は、クロック105の計時を参照することでなされる。
【0051】
また、CPU101は、ステップS2で現在位置の測位結果を得る度に、測位された現在位置とステップS1で登録された監視エリアの範囲データとを比較し、現在位置が監視エリア内に含まれるか否かの判定を行う(ステップS3)。もちろん、ここで比較対照となる監視エリアは複数ある監視エリアのうち、比較時(比較処理を行った時間帯)に選択されている監視エリアである。
【0052】
ステップS3において、被監視端末100の現在位置が監視エリアには含まれないと判定された場合には(ステップS3/No)、ステップS2に戻り、CPU101は所定時間毎の測位処理を続行する。
【0053】
他方、ステップS3において、被監視端末100の現在位置が監視エリアに含まれると判定された場合には(ステップS3/Yes)、CPU20は、測位された現在位置の数値データと、例えば、「被監視者(被監視端末)が監視エリアに入りました」等のテキストデータからなるメールを作成し、該メールをアドレスメモリ107に記憶されているアドレスに対して、すなわち、監視端末200宛てに送信する(ステップS4)。以下、該メールのことを「監視メール」と表記する。なお、監視メールのテンプレートは、確認処理用メモリ108に保持されている。
【0054】
なお、このステップS4の監視メール送信処理は、内部制御として被監視端末100ユーザの意思・意向とは無関係に行われる。よって、表示部にはメール送信を実行したことを表示せず、また、このメール送信処理に関してはユーザの操作を受け付けない。
【0055】
また、通常携帯端末においては、送信したメールは送信メールフォルダなどに保存されるが、監視メールについては送信メールフォルダには保存されず、確認処理用メモリ108に保存・保持される(ステップS5)。この確認処理用メモリ108に保存・保持された監視メールデータは表示部109に表示することはできず、また、このメール内容についてユーザによる変更、消去などを行うことはできない。
【0056】
なお、ステップS4において、被監視端末100が通信圏外にあるケースなどでは監視メールの送信処理を実行することができない。そこで、監視メールの送信を行うことができなかった場合には、CPU101は監視メールの送信がなされるまで短期サイクルで断続的に監視メールの再送信処理を行う。
【0057】
なお、ここでいう送信処理とは、被監視端末100から通信網400上に監視メールを送信・送出することをいう。なので、被監視端末100は通信圏内だが監視端末200は通信圏外という場合には、再送信処理は行わない。このような場合、メールはメールサーバで保持されるので監視メールの送信処理自体は完了しており、ここでさらに再送信すると同一のメールを送信してしまうことになるからである。
【0058】
監視メールは、まず、情報基地局300において受信される。情報基地局300は、該監視メールに付与されている緯度・経度の数値データを基に、該数値データが示す一地点をマップ上に反映させ、被監視端末100の現在位置を示すマップを形成する。そして、該マップを監視メールに添付し、メール送信先である監視端末200に送信する(ステップS6)。
【0059】
監視端末200において該監視メールが受信され、これが開封されるとすると、「被監視者(被監視端末)が監視エリアに入りました」というテキストデータと、ステップS6で形成された現在位置を示すマップデータと、が監視端末200のディスプレイ上に表示されることになる(ステップS7)。これにより、被監視端末100が監視エリアに入った場合には、その現在位置が監視端末200側で監視されることになる。
【0060】
なお、図2のフローは被監視端末100の電源がONされている限りはループ実行されるので、被監視端末100は監視エリアにいる限り、位置・移動状況が監視され続けることになる。
【0061】
<確認処理>
次に、上記の監視処理が実行されていたことを被監視端末100において確認する確認処理について、図3を参照して説明する。なお、以下の処理フローは、監視端末200による監視処理、すなわち、図2のステップS4〜S7の処理がなされたことを前提に行われる処理であり、監視処理が行われたことをトリガとして実行される。
【0062】
まず、被監視端末100のCPU101は、ステップS4の監視メールの送信処理を行ったときから所定の期間(以下、「確認待機期間」)が経過したか否かを判定する(S8)。
【0063】
「確認待機期間」は、上述の監視処理が行われたことを被監視端末100のユーザに、所定の期間経過後に報告するために定められた期間であり、監視処理の報告として遅すぎず且つ頻繁過ぎない程度の期間、例えば1週間が設定される。なお、この確認待機期間については、ステップS1の被監視端末100の初期設定により設定変更可能となっている。
【0064】
なお、上記判定処理において、確認メールを送った時刻については、ステップS5で確認処理用メモリ108に保存・保持された確認メールのデータを参照する。また、所定期間の計時はクロック105を参照してなされる。
【0065】
確認待機期間が経過していなければ(ステップS9/No)、ステップS8に戻り確認待機期間が経過したか否かの判定処理をループ実行する。
【0066】
確認待機期間が経過したら(ステップS9/Yes)、CPU101は、自端末つまり被監視端末100宛てで確認メールを送信する(ステップS10)。
【0067】
確認メールは、監視メールを送信した送信先と、監視メールを送信した日時と、監視対象となった位置情報と、を含んだ内容であり、ステップS5で確認処理用メモリ108に保存・保持された確認メールのデータを参照して作成される。
【0068】
なお、このステップS10の確認メール送信処理は、ステップS4の監視メールの送信処理と同様に、内部制御として被監視端末100ユーザの意思・意向とは無関係に行われる。よって、表示部にはメール送信を実行したことを表示せず、また、このメール送信処理に関してはユーザの操作を受け付けない。
【0069】
この確認メールの送信処理は、被監視端末100が通信圏外にあるケースなどでは実行することができない。その場合には、CPU101は監視メールの送信がなされるまで短期サイクルで断続的に確認メールの再送信処理を行う。
【0070】
確認メールの送信後、送信した確認メールは、ステップS5の監視メールの保存処理と同様に確認処理用メモリ108に保存・保持される(ステップS11)。
【0071】
確認メールは、まず、情報基地局300において受信される。情報基地局300は、該確認メールに付与されている緯度・経度の数値データを基に、該数値データが示す一地点をマップ上に反映させ、被監視端末100の現在位置を示すマップを形成する。そして、該マップを監視メールに添付し、これを被監視端末100に送り返す(ステップS12)。
【0072】
被監視端末100のCPU101は、確認メールの送信処理後、受信するメールの内容と該確認メールの内容との照合処理を行う。なお、この確認メールの内容はステップS11で確認処理用メモリ108に保存されているので、これを参照する。そして、受信したメールの内容と該確認メールの内容とが一致した場合、CPU101は、この受信メールにCPU101が検知・把握することのできる内部的な印(マーク)を付け加える(ステップS13)。
【0073】
なお、メール受信については、通常のメール受信処理と同じ受信処理をする。すなわち、メールを受信したことが画面や音、振動などの形でユーザに表示され、通常のメールと同様の受信フォルダに格納される。
【0074】
そして、CPU101は、このマークの付与された受信メールすなわちマップデータの付与された確認メールが被監視端末100のユーザにより開封されたのを検知すると、ユーザが監視処理の実行を確認したとして、確認処理用メモリ108内の本確認処理に関連するデータである監視メール・確認メールを消去し、確認処理を抜ける(ステップS14)。
【0075】
上記のような確認処理を行うことにより、被監視端末100のユーザは、後日、監視端末200による監視処理がなされていたことを知ることができるので、監視者の監視の程度を把握することが可能となり、被監視者にとって不利益な行為がなされているか否かを自ら確認することが可能となる。また、自らの行動管理を把握するのに有効となる。
【0076】
なお、上記の実施形態においては、確認処理として自端末への確認メールの送信という処理を行っているが、メールによらずとも、被監視端末100の表示部110に監視されていた旨の表示を行うことで確認処理としてもよい。例えば、確認待機期間後に「○月×日、x時y分に監視者Aにより監視処理がなされました。詳細を表示しますか?」のようなアナウンスメントを表示し、詳細の表示の命令があった場合には、マップデータを情報基地局300から取得し、位置情報を表示する。また、この画面の消去操作を通常の画面の消去操作とは異なるものにしておき(例えば、一定のキー入力を要求)、該消去操作がなされたことをもって、ユーザによる確認がなされたとして、確認処理用メモリ108の監視メールを消去するようにしてもよい。
【0077】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、ユーザによる確認処理の実行を担保するために、第1の実施形態の確認処理フローに処理を追加している。
【0078】
<通信システム・監視処理>
通信システムの構成、監視処理については、第1の実施形態のものと同じであるので説明を省略する。
【0079】
<確認処理>
本実施形態の確認処理のフローについて、図4を参照して説明する。なお、図4の処理フローは、第1の実施形態の処理フローと同様、監視端末200による監視処理、すなわち、図2のステップS4〜S7の処理がなされたことを前提に行われる処理であり、監視処理が行われたことをトリガとして実行される。
【0080】
まず、被監視端末100のCPU101は、ステップS4の監視メールの送信処理を行ったときから所定の期間(確認待機期間)が経過したか否かを判定する(S15)。
【0081】
なお、この判定処理は、第1の実施形態の確認処理のステップS8と同様に、確認メールを送った時刻についてはステップS5で確認処理用メモリ108に保存・保持された確認メールのデータを参照する。また、所定期間の計時はクロック105を参照してなされる。
【0082】
確認待機期間が経過していなければ(ステップS16/No)、ステップS15に戻り確認待機期間が経過したか否かの判定処理をループ実行する。
【0083】
確認待機期間が経過したら(ステップS16/Yes)、CPU101は、自端末つまり被監視端末100宛てで確認メールを送信する(ステップS17)。
【0084】
確認メールは、第1の実施形態の確認処理と同様に、監視メールを送信した送信先と、監視メールを送信した日時と、監視対象となった位置情報と、を含んだ内容であり、ステップS5で確認処理用メモリ108に保存・保持された確認メールのデータを参照して作成される。
【0085】
被監視端末100が通信圏外にあるために確認メールの送信できない場合には、CPU101は監視メールの送信がなされるまで短期サイクルで断続的に確認メールの再送信処理を行う。
【0086】
確認メールの送信後、送信した確認メールは、ステップS5の監視メールの保存処理と同様に確認処理用メモリ108に保存・保持される(ステップS18)。
【0087】
確認メールは、まず、情報基地局300において受信される。情報基地局300は、該確認メールに付与されている緯度・経度の数値データを基に、該数値データが示す一地点をマップ上に反映させ、被監視端末100の現在位置を示すマップを形成する。そして、該マップを監視メールに添付し、これを被監視端末100に送り返す(ステップS19)。
【0088】
被監視端末100のCPU101は、確認メールの送信処理後、受信するメールの内容と該確認メールの内容との照合処理を行う。なお、この確認メールの内容はステップS18で確認処理用メモリ108に保存されているので、これを参照する。そして、受信したメールの内容と該確認メールの内容とが一致した場合、CPU101は、この受信メールにCPU101が検知・把握することのできる内部的な印(マーク)を付け加える(ステップS20)。
【0089】
なお、メール受信については、通常のメール受信処理と同じ受信処理をする。すなわち、メールを受信したことが画面や音、振動などの形でユーザに表示され、通常のメールと同様の受信フォルダに格納される。
【0090】
CPU101は、確認メールを受信フォルダに格納すると、受信した(格納した)時刻から所定の期間(確認猶予期間)をカウントする(ステップS21)。この確認猶予期間は、受信した確認メールをユーザが確認するための猶予期間であり、例えば10分程度の時間幅である。なお、この確認猶予期間については、ユーザにより設定可能となっている。
【0091】
この確認猶予期間内に、マークの付与された受信メールすなわちマップデータの付与された確認メールが被監視端末100のユーザにより開封された場合は(ステップS22/Yes)、CPU101は、確認処理用メモリ108内の本確認処理に関連するデータである監視メール・確認メールを消去し、確認処理を抜ける(ステップS23)。
【0092】
他方、この確認猶予期間内に、マークの付与された受信メールすなわちマップデータの付与された確認メールが被監視端末100のユーザにより開封・確認されない場合には(ステップS22/No)、CPU101は、その確認処理を担保するため、確認担保処理を実行する(ステップS24)。この確認担保処理としては、例えば、確認メールの再送信、表示部109に確認を促すテキストデータを表示、音による報知、携帯端末としての各機能のロックなどが挙げられる。なお、この確認担保処理でなされた動作については、確認メールが開封されたことをCPU101が検知したことをトリガとして解除される。また、これに伴って、確認処理用メモリ108内の本確認処理に関連するデータである監視メール・確認メールを消去し、確認処理を抜ける(ステップS23)
【0093】
このように制御することにより、ユーザによる確認メールの確認処理の実行を担保することができるので、監視がなされていたことがユーザに隠蔽されにくくなる。
【0094】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、上記の実施形態とは異なり、監視処理、確認処理を、通信網400上のアプリケーションサーバ500で行う。
【0095】
<通信システム>
まず、本実施形態の通信システムの構成について、図5を参照して説明する。図5に示すように、本実施形態の通信システムは、被監視端末100と、監視端末200と、アプリケーションサーバ500と、通信網400と、から構成される。
【0096】
<被監視端末100>
被監視端末100は、監視の対象となるユーザが携帯する携帯端末である。被監視端末100は、CPU101と、通信アンテナ102と、無線送受信部103と、GPS測位部104と、表示部109と、操作部110と、から構成される。なお、各部位については、第1の実施形態のものと同一なのでその説明は省略する。
【0097】
<監視端末200>
監視端末200は、被監視端末100の位置監視を行う端末である。よって、その構成としては、被監視端末100の監視を行うことのできるものであればよい。すなわち、最低限の構成として、無線送受信の実行部と、GPS位置情報処理部と、マップ表示を行うディスプレイがあればよい。
【0098】
<アプリケーションサーバ500>
アプリケーションサーバ500は、被監視端末100の監視処理、監視処理の確認処理を行うことに特化されたサーバである。また、マップデータを保持しており、緯度・経度の数値データに基づいてその地点をマップに反映させる。
【0099】
アプリケーションサーバ500は、マップ情報メモリ501と、監視情報メモリ502と、を有する。マップ情報メモリ501は、マップ情報を保持するメモリである。監視情報メモリ502は、被監視端末100について設定された監視エリアや監視端末200のアドレス、監視処理・確認処理において実行した動作を保持するメモリである。
【0100】
<通信網400>
通信網400は、監視端末100、被監視端末200、アプリケーションサーバ500を結ぶネットワーク回線である。
<処理フロー>
次に、本実施形態の通信システムにおける処理フローについて、図6、図7を参照して説明する。
【0101】
<監視処理>
まず、被監視端末100の監視処理について図6を参照して説明する。
【0102】
まず、被監視端末100において、初期設定を行う(ステップS31)。なお、ここでいう初期設定とは、監視端末200による被監視端末100の監視に必要不可欠な設定のことであり、具体的には、監視エリアの設定や被監視端末100・監視端末200のメールアドレスの登録、確認待機期間の設定などを行う。
【0103】
次に、上記設定した初期設定の内容をアプリケーションサーバ500に送る(ステップS32)。この設定内容は、アプリケーションサーバ500の監視情報メモリ502に保持される。
【0104】
初期設定の完了以降、アプリケーションサーバ500は、被監視端末100から所定期間毎、例えば5分毎に被監視端末100の現在位置を緯度・経度の数値データで取得する(ステップS33)。この緯度・経度による数値データは、被監視端末100のGPS測位部104が算出する。
【0105】
また、アプリケーションサーバ500は、ステップS33で被監視端末100の現在位置の測位結果を得る度に、測位された現在位置とステップS31で登録された監視エリアの範囲データとを比較し、現在位置が監視エリア内に含まれるか否かの判定を行う(ステップS34)。
【0106】
ステップS34において、被監視端末100の現在位置が監視エリアには含まれないと判定された場合には(ステップS34/No)、ステップS33に戻り、所定時間毎の測位処理を続行する。
【0107】
他方、ステップS34において、被監視端末100の現在位置が監視エリアに含まれると判定された場合には(ステップS34/Yes)、アプリケーションサーバ500は、監視メールを作成し、これを初期設定で登録されたアドレスに送信する(ステップS35)。この監視メールには、測位された現在位置の数値データをマップ上に反映させた現在位置を示すマップと、例えば、「被監視者(被監視端末)が監視エリアに入りました」等のテキストデータからなる。なお、マップデータについては、マップ情報メモリ501に保持されており、監視メールのテンプレートは、確認処理用メモリ108に保持されている。
【0108】
なお、ステップS35で送信した監視メールの内容は、監視情報メモリ502に保存・保持される(ステップS36)。
【0109】
監視端末200において該監視メールが受信され、これが開封されるとすると、「被監視者(被監視端末)が監視エリアに入りました」というテキストデータと、現在位置を示すマップデータと、が監視端末200のディスプレイ上に表示されることになる(ステップS37)。これにより、被監視端末100が監視エリアに入った場合には、その現在位置が監視端末200側で監視されることになる。
【0110】
なお、図6のフローは被監視端末100の電源がONされている限りはループ実行されるので、被監視端末100は監視エリアにいる限り、位置・移動状況が監視され続けることになる。
【0111】
<確認処理>
次に、上記の監視処理が実行されていたことを被監視端末100において確認する確認処理について、図7を参照して説明する。なお、以下の処理フローは、監視端末200による監視処理、すなわち、図6のステップS35〜S37の処理がなされたことを前提に行われる処理であり、監視処理が行われたことをトリガとして実行される。
【0112】
まず、アプリケーションサーバ500は、ステップS35の監視メールの送信処理を行ったときから所定の期間(確認待機期間)が経過したか否かを判定する(S38)。
【0113】
「確認待機期間」は、所定の期間経過後に上述の監視処理が行われたことを被監視端末100のユーザに報告・確認させるために定められた期間であり、監視処理の報告として遅すぎず且つ頻繁過ぎない程度の期間、例えば1週間が設定される。なお、この確認待機期間については、ステップS31の初期設定により設定変更可能となっている。
【0114】
なお、上記判定処理において、確認メールを送った時刻については、ステップS36で監視情報メモリ501に保存・保持された確認メールのデータを参照する。
【0115】
確認待機期間が経過していなければ(ステップS39/No)、ステップS38に戻り確認待機期間が経過したか否かの判定処理をループ実行する。
【0116】
確認待機期間が経過したら(ステップS39/Yes)、アプリケーションサーバ500は、被監視端末100宛てで確認メールを送信する(ステップS40)。
【0117】
確認メールは、監視メールを送信した送信先と、監視メールを送信した日時と、その位置を示すマップと、を含んだ内容である。なお、これらのデータは、ステップS36で監視情報メモリ502に保存・保持された確認メールのデータを参照する。また、この確認メールには、返信を促すテキストデータが付される。
【0118】
確認メールの送信後、送信した確認メールは、ステップS36の監視メールの保存処理と同様に、監視情報メモリ502に保存・保持される(ステップS41)。
【0119】
被監視端末100において確認メールを受け取り開封すると、監視メールを送信した送信先と、監視メールを送信した日時と、その位置を示すマップと、「このメールを確認後、このメールを返信してください」のような返信を指示するテキストと、が表示される。ユーザはこのメールを確認後、メールを空返信することでアプリケーションサーバ500に対し、確認処理を完了したことを通達する(ステップS43)。
【0120】
アプリケーションサーバ500は、確認メールの空返信メールを受信すると、それが監視情報メモリ502に保持されている確認メールと同一であるか照合する。そして、照合の結果、同一であると判断された場合には、ユーザが確認メールを確認したとして監視情報メモリ502内の監視メール・確認メールのデータを消去し、処理を抜ける(ステップS43)
【0121】
このように処理することにより、被監視端末100のユーザは、後日、監視端末200による監視処理がなされていたことを知ることができるので、監視者の監視の程度を把握することが可能となり、被監視者にとって不利益な行為がなされているか否かを自ら確認することが可能となる。また、自らの行動管理を把握するのに有効となる。
【0122】
なお、上記の確認処理について、第2の実施形態のように、アプリケーションサーバ500において、ユーザによる確認メールの確認処理の実行を担保する処理を追加してもよい。
【0123】
<付記事項>
なお、上記の第1〜第3の実施形態においては、通信網400上の装置(情報基地局300、アプリケーションサーバ500)にマップデータを保持させているが、マップデータを被監視端末100、監視端末200に持たせる構成であってもよい。このような構成の場合には、携帯端末の構成は複雑なものとなり、通信網400上の装置(情報基地局300、アプリケーションサーバ500)の構成を簡易なものとなる。
【0124】
また、上記の第1〜第3の実施形態において、端末の位置確認をGPSによって行っているが、GPSによらずに電界強度を利用した測位方法を用いて行ってもよい。
【0125】
また、上記の第1〜第3の実施形態において、被監視端末100には、携帯電話機、PHS、PDA装置(Personal Digital Assistant)、ノート型パソコンのような携帯可能な通信機能を有する装置が該当する。
【0126】
また、監視端末200には、携帯電話機、PHS、PDA装置、ノート型パソコン、デスクトップ型パソコンなどのような通信機能を有する装置が該当する。この監視端末については、携帯性の有無を問わない。
【0127】
上述の実施形態は本発明の好適な実施形態の一例を示すものにすぎず、本発明の実施の形態を限定する趣旨のものではない。よって、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】第1、第2の実施形態の通信システムの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態の監視処理を示すフロー図である。
【図3】第1の実施形態の確認処理を示すフロー図である。
【図4】第2の実施形態の確認処理を示すフロー図である。
【図5】第3の実施形態の通信システムの構成を示す図である。
【図6】第3の実施形態の監視処理を示すフロー図である。
【図7】第3の実施形態の確認処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0129】
100 被監視端末
106 監視エリアメモリ
108 確認処理用メモリ
200 監視端末
300 情報基地局
500 アプリケーションサーバ
502 監視情報メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視端末によって現在位置の監視処理がなされる携帯端末であって、
自端末の現在位置を測位する測位手段と、
前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する設定手段と、
前記測位された自端末の現在位置と前記監視エリアとの位置関係を比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段により前記自端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記自端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、
前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを、前記監視メールから作成する確認メール作成手段と、
前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、自端末宛に前記確認メールを送信する確認メール送信手段と、を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
監視端末によって現在位置の監視処理がなされる携帯端末であって、
自端末の現在位置を測位する測位手段と、
前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する設定手段と、
前記測位された自端末の現在位置と前記監視エリアとの位置関係を比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段により前記自端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記自端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、
前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認画面を、前記監視メールから作成する確認画面作成手段と、
前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記確認画面を表示する確認画面表示手段と、を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
前記確認メールが開封されたことを検知する検知手段と、
前記確認メールが開封されたことが検知されない場合に、所定の動作を実行する実行手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
前記確認画面が確認されたことを検知する検知手段と、
前記確認画面が確認されたことが検知されない場合に、所定の動作を実行する実行手段と、を有することを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項5】
前記携帯端末が実行する前記所定の動作は、音による報知、画面による表示、前記携帯端末の機能の使用制限、の少なくとも1つを含む動作であることを特徴とする請求項3または4に記載の携帯端末。
【請求項6】
被監視端末の現在位置を検出し、前記被監視端末の現在位置を監視端末に送信するアプリケーションサーバであって、
前記被監視端末が備える測位手段から、前記被監視端末の現在位置を取得する位置情報取得手段と、
前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを記憶する監視エリア記憶手段と、
前記位置情報取得手段により取得した前記被監視端末の現在位置と、前記監視エリア記憶手段に記憶された前記監視エリアと、の位置関係を比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段により前記被監視端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記被監視端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、
前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを、前記監視メールから作成する確認メール作成手段と、
前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記被監視端末宛に前記確認メールを送信する確認メール送信手段と、を有することを特徴とするアプリケーションサーバ。
【請求項7】
被監視端末と監視端末とが通信網により接続され、前記監視端末によって前記被監視端末の現在位置の監視処理がなされる通信システムであって、
前記被監視端末は、
自端末の現在位置を測位する測位手段と、
前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する設定手段と、
前記測位された自端末の現在位置と前記監視エリアとの位置関係を比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段により前記自端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記自端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、を有し、
前記監視端末は、前記被監視端末から送信された前記監視メールを受信し、これを展開・表示する表示手段を有し、
前記監視端末は、前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを前記監視メールから作成し、自端末宛に前記確認メールを送信することを特徴とする通信システム。
【請求項8】
前記被監視端末は、
前記確認メールが開封されたことを検知する検知手段と、
前記確認メールが開封されたことが検知されない場合に、所定の動作を実行する実行手段と、をさらに有することを特徴とする請求項7記載の通信システム。
【請求項9】
前記被監視端末が実行する前記所定の動作は、音による報知、画面による表示、前記被監視端末の機能の使用制限、の少なくとも1つを含む動作であることを特徴とする請求項8記載の通信システム。
【請求項10】
被監視端末と監視端末とアプリケーションサーバとが通信網により接続され、前記監視端末によって前記被監視端末の現在位置の監視処理がなされる通信システムであって、
前記被監視端末は、
自端末の現在位置を測位する測位手段と、
前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する設定手段と、を有し、
前記監視端末は、前記アプリケーションサーバから送信された前記監視メールを受信し、これを展開・表示する表示手段を有し、
前記アプリケーションサーバは、
前記測位手段から、前記被監視端末の現在位置を取得する位置情報取得手段と、
前記設定手段により設定された前記監視エリアを記憶する監視エリア記憶手段と、
前記位置情報取得手段により取得した前記被監視端末の現在位置と、前記監視エリア記憶手段に記憶された前記監視エリアと、の位置関係を比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段により前記被監視端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記被監視端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する監視メール送信手段と、
前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを、前記監視メールから作成する確認メール作成手段と、
前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記被監視端末宛に前記確認メールを送信する確認メール送信手段と、を有することを特徴とする通信システム。
【請求項11】
被監視端末と監視端末とが通信網により接続され、前記監視端末によって前記被監視端末の現在位置の監視処理がなされる通信システムにおける監視処理確認方法であって、
前記被監視端末において、
前記被監視端末の現在位置を測位する第1の工程と、
前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する第2の工程と、
第1の工程で測位された前記被監視端末の現在位置と前記監視エリアとの位置関係を比較判定する第3の工程と、
前記第3の工程において前記被監視端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記自端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する第4の工程と、
前記監視端末において、前記被監視端末から送信された前記監視メールを受信し、これを展開・表示する第5の工程と、
前記被監視端末において、前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを前記監視メールから作成し、自端末宛に前記確認メールを送信する第6の工程と、を有することを特徴とする監視処理確認方法。
【請求項12】
前記被監視端末において、
前記確認メールが開封されたことを検知する第7の工程と、
第7の工程において、前記確認メールが開封されたことが検知されない場合に、所定の動作を実行する第8の工程と、をさらに有することを特徴とする請求項11記載の監視処理確認方法。
【請求項13】
第8の工程において、前記被監視端末が実行する前記所定の動作は、音による報知、画面による表示、前記被監視端末の機能の使用制限、の少なくとも1つを含む動作であることを特徴とする請求項12記載の監視処理確認方法。
【請求項14】
被監視端末と監視端末とアプリケーションサーバとが通信網により接続され、前記監視端末によって前記被監視端末の現在位置の監視処理がなされる通信システムにおける監視処理確認方法であって、
前記被監視端末において、
自端末の現在位置を測位する第1の工程と、
前記監視端末による監視の対象となるエリアである監視エリアを設定する第2の工程と、を有し、
前記アプリケーションサーバにおいて、
第1の工程で測位された現在位置から前記被監視端末の現在位置を取得する第3の工程と、
第2の工程で設定された前記監視エリアを記憶する第4の工程と、
第3の工程で取得した前記被監視端末の現在位置と、前記監視エリア記憶手段に記憶された前記監視エリアと、の位置関係を比較判定する第5の工程と、
第5の工程において前記被監視端末の現在位置が前記監視エリア内であると判定された場合に、前記被監視端末の現在位置についての情報を含む監視メールを作成し、前記監視メールを前記監視端末宛に送信する第6の工程と、
前記監視端末において、前記アプリケーションサーバから送信された前記監視メールを受信し、これを展開・表示する第7の工程と、
前記アプリケーションサーバにおいて、
前記監視メールを送信してから所定の期間が経過した後に、前記監視端末により監視処理がなされていたことを示唆する確認メールを前記監視メールから作成し、前記被監視端末宛に前記確認メールを送信する第8の工程と、を有することを特徴とする監視処理確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−352658(P2006−352658A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178013(P2005−178013)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】