説明

携帯端末および安全運転支援システム

【課題】車道を横断しようとしている歩行者を予測して車両に事前に通知する手段を提供する。
【解決手段】歩行者が所持する携帯端末2に、車両に搭載された車々間通信装置1への送信を行う送信部23と、所持者による目的地の入力を受付ける入力部26と、歩行時の加速度を検出する加速度センサ29と、位置測定のための位置情報を受信するGPS受信部28とを設け、GPS受信部28により受信した位置情報を基に、所持者の現在位置を認識し、認識した所持者の現在位置から目的地までの間に設定した移動経路によって、所持者の歩行行動を制限し、加速度センサ29からの歩行時の加速度のピッチ間隔の変化によって横断前の準備行動を検出し、準備行動を検出したときに、所持者の現在位置から進行方向前方の移動経路の形状に基づいて、所持者が車道を横断するか否かを予測し、所持者による横断を予測したときに、送信部23によって車々間通信装置1へ、横断可能性を有する歩行者の存在を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能を用いて歩行者の横断を予測する携帯端末およびその携帯端末を備えた安全運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯端末によるナビゲーションサービスは、住所や施設の名称を入力して目的地を設定し、GPS(Global Positioning System)機能を用いて現在位置を特定し、現在位置から目的地までの移動経路を、その携帯端末の所持者に提供している。
【0003】
一方、車々間通信装置は、GPS機能により取得した位置情報を車両間の直接通信によってリアルタイムに交換することで、車両間の衝突防止等の安全運転支援を行い、車両間の事故低減への貢献が期待されている。
【0004】
この車々間通信装置と通信可能な機能を、歩行者が所持する携帯端末に搭載し、歩行者と車両との直接通信を可能にすれば、車両対車両のみならず、歩行者対車両の事故低滅にも貢献することが期待される。
【0005】
この場合に、車両は、走行時に車道に設定された車線上を走行しなければならないという制限があり、かつ方向指示器やブレーキ装置等を装備しているので、特別なセンサを設けなくてもその動きを予測することは比較的容易であり、例えば、ウインカを点滅させている車両が後続の車両から見えないとしても、車々間通信装置間の通信により当該車両の現在位置と左右いずれかの進路変更通知とを送信し、後続の運転者の注意を喚起して接触事故や衝突事故等の車両同士の事故の低減を図ることができる。
【0006】
一方、携帯端末は、歩行者が所持しているものであり、GPS機能を用いれば歩行者の存在を現在位置により通知することは可能であるが、方向指示器やブレーキ装置等を備えていないので、その歩行行動、例えば、車道を横断するか否かを判定することは困難であり、横断意思のない歩行者は歩道上に多く存在するため、車道上の運転者に注意を促す必要のある歩行者、すなわち、車道を横断しようとしている歩行者を予測して、選択的に注意を喚起することが必要になる。
【0007】
このような、人の行動を判定する技術を用いた従来の携帯型の端末装置は、X軸、Y軸、Z軸からなる互いに直交する3軸の加速度を検出する加速度センサとGPS機能とを備え、その加速度センサからの出力をデータメモリに時系列で記憶しておき、データメモリに記憶された加速度データを解析して、人の歩行状態、走行状態、立って静止している状態、転倒状態を区別し、転倒状態が所定の時間以上続くとき、および交通事故等に遭遇して所定値以上の加速度を検出したときに、GPS機能で取得した人の現在位置と異常信号とを無線を介してその人の家庭に設置された受信装置へ送信している(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
また、X軸、Y軸、Z軸からなる互いに直交する3軸の加速度を検出する加速度センサを人体に装着し、所定の経過時間における加速度の変化量を基に静的状態か、動的状態かを判定し、動的状態と判定されたときに、各加速度のパワースペクトルを高速フーリエ変換法によって演算し、Y軸、Z軸のパワースペクトルの存在する周波数によって被測定者の歩行、階段の昇り、降りの各動作状態を判定し、各軸の加速度の変化量が所定の値を超えたことによって被測定者の転倒を判定しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−295649号公報(段落0013−0022、第1図)
【特許文献2】特開2005−245709号公報(段落0019−0023、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2の技術は、いずれも加速度センサの出力から歩行者の行動を推定し、異常な結果が生じたときにその異常の発生を事後に通知または判定する技術であって、車道を横断しようとしている歩行者を予測するような近未来に起こりうる歩行者の行動を予測するための技術として用いることができないという問題がある。
【0011】
また、特許文献2においては、動的状態と判定されたときに、各加速度のパワースペクトルを高速フーリエ変換法によって演算して被測定者の動作状態を判定しているため、予測処理のための負荷や回路規模が増大すると共に、パワースペクトル解析のためのサンプリング時間を必要とし、リアルタイム性が損なわれる結果、横断を予測できたとしても、間に合わなくなるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、車道を横断しようとしている歩行者を予測して車両に事前に通知する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、歩行者が所持し、車両に搭載された車々間通信装置への送信を行う送信部と、所持者による目的地の入力を受付ける入力部と、歩行時の加速度を検出する加速度検出部と、位置測定のための位置情報を受信する位置情報受信部とを備えた携帯端末であって、前記位置情報受信部により受信した位置情報を基に、所持者の現在位置を認識し、前記認識した所持者の現在位置から前記入力部により入力された目的地までの間に設定した移動経路によって、所持者の歩行行動を制限し、前記加速度検出部からの歩行時の加速度のピッチ間隔の変化によって横断前の準備行動を検出し、前記準備行動を検出したときに、前記所持者の現在位置から進行方向前方の前記移動経路の形状に基づいて、所持者が車道を横断するか否かを予測し、所持者による横断を予測したときに、前記送信部によって前記車々間通信装置へ、横断可能性を有する歩行者の存在を通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
これにより、本発明は、車々間通信装置へ車道の横断可能性を有する歩行者の存在を事前に通知することができ、運転者の注意を喚起して歩行者対車両の事故の低減を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例の安全支援システムの構成を示す説明図
【図2】実施例の車々間通信装置の構成を示すブロック図
【図3】実施例の携帯端末の構成を示すブロック図
【図4】実施例の横断可能性判定処理を示すフローチャート
【図5】実施例の道路環境を示す説明図
【図6】実施例の区画と仮目的地の設定を示す説明図
【図7】実施例の経路パターン別行動予測テーブルを示す説明図
【図8】実施例の横断予測に用いる代表的な経路パターンを示す説明図
【図9】実施例の移動経路の一例を示す全体説明図
【図10】実施例の移動経路の一例を示す部分説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明による携帯端末および安全運転支援システムの実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
本実施例の安全運転支援システムは、図1に示すように、車道を走行する乗用車やトラック、バス等の車両に搭載された車々間通信装置1と、歩道を通行する歩行者が所持する携帯端末2とを備え、車々間通信装置1同士および車々間通信装置1と携帯端末2との間を無線通信によりインフラを介さず直接接続して構成される。
【0018】
なお、本実施例の携帯端末2は、上記安全運転支援システムに用いる専用端末である。
【0019】
図2において、5は車々間通信装置1の制御部であり、車々間通信装置1内の各部を制御して、後述する安全運転支援処理等を実行する機能等を有している。
【0020】
6は車々間通信装置1の記憶部であり、制御部5が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部5による処理結果等が格納される。
【0021】
7は車々間通信装置1の通信部であり、先行車や後続車等の他車両に搭載された車々間通信装置1へパケットを無線により直接送信する機能、他車両の車々間通信装置1が無線により送信したパケットを直接受信する機能等を有している。
【0022】
本実施例の通信部7は、搭載車両を中心とした直径100〜200mの範囲に存在する車両との間でパケットの送受信が行えるよう構成されている。
【0023】
8は車々間通信装置1の表示部であり、LCD等の表示画面を備えており、車両の現在位置を地図上に表示してその走行経路を誘導する経路誘導画面や目的地の入力画面等を表示する機能を有している。
【0024】
9は車々間通信装置1の入力部であり、表示部8の表示画面に備えられたタッチパネル等であって、表示部8の表示画面に表示されたボタンの押下をその指触位置により検出して運転者からの入力を受付ける機能を有している。
【0025】
10は車々間通信装置1の音声部であり、スピーカ等を備えており、制御部5が生成した音声データを音声に変換して運転者に伝達する機能を有している。
【0026】
11は車々間通信装置1の位置情報受信部としてのGPS受信部であり、位置測定のための複数の衛星からの位置情報を受信して、これを制御部5へ出力する機能を有している。
【0027】
12は車々間通信装置1の現在位置認識手段であり、GPS受信部11から出力された位置情報を基に、自車両の存在する緯度、経度および必要に応じて高度を算出して車両の現在位置を認識する機能を有するソフトウェアと制御部5により形成される機能手段である。
【0028】
13は車々間通信装置1の走行経路設定手段であり、運転者により入力部9から入力された目的地と、現在位置認識手段12で算出した現在位置と、記憶部6に格納されている地図情報とを基に、車両の現在位置から目的地までの最短時間となる走行経路を設定する機能を有するソフトウェアと制御部5により形成される機能手段である。
【0029】
なお、当該車両にカーナビゲーション装置が装着されている場合は、車両の現在位置と地図情報をカーナビゲーション装置から取得するようにしてもよい。
【0030】
図3において、21は携帯端末2の制御部であり、携帯端末2の各部を制御して、携帯端末2の所持者を移動経路に沿って目的地まで誘導する通常の経路誘導処理や、後述する横断可能性判定処理等を実行する機能等を有している。
【0031】
22は携帯端末2の記憶部であり、制御部21が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部21による処理結果等が格納される。
【0032】
23は携帯端末2の送信部であり、車々間通信装置1へ無線によりパケットを直接送信する機能や、インターネット等の公衆網へ地図情報取得要求等を無線により送信する機能等を有している。
【0033】
24は携帯端末2の受信部であり、公衆網から地図情報取得要求に応じた地図情報を無線により受信する機能等を有している。
【0034】
25は携帯端末2の表示部であり、LCD等の表示画面を備えており、所持者の現在位置を地図上に表示してその移動経路を誘導する経路誘導画面や目的地の入力画面等を表示する機能を有している。
【0035】
26は携帯端末2の入力部であり、テンキーや、十字操作キー等の各種の入力キーを備えており、所持者からの目的地の文字入力や選択入力等を受付ける機能を有している。
【0036】
27は携帯端末2の時計部であり、水晶発振器等を有する周波数発生器等を備えており、発生した周波数を基に時間を計数し、所定の経過時間や現在時刻等を制御部21へ出力する機能を有している。
【0037】
28は携帯端末2の位置情報受信部としてのGPS受信部であり、位置測定のための複数の衛星からの位置情報を受信して、これを制御部21へ出力する機能を有している。
【0038】
29は携帯端末2の加速度検出部としての加速度センサであり、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸からなる3軸の変位量をピエゾ素子等の抵抗変化を利用して測定し、これを基に各軸の加速度成分からなる加速度情報を制御部21へ出力する機能を有している。
【0039】
30は携帯端末2の方位検出部としての磁気センサであり、地磁気の磁力線の方向から携帯端末2が向いている方向、つまり携帯端末2の表示部25の表示画面の裏側の面が向いている方向を検出し、これを方位情報として制御部21へ出力する機能を有している。
【0040】
31は携帯端末2の現在位置認識手段であり、GPS受信部28から出力された位置情報を基に、携帯端末2の存在する緯度、経度および必要に応じて高度を算出して所持者の現在位置を認識する機能を有するソフトウェアと制御部21により形成される機能手段である。
【0041】
なお、本実施例の所持者の現在位置は、所持者が車道の左右に存在する歩道のいずれの側を通行しているかを判定することができる精度で算出される。
【0042】
32は携帯端末2の移動経路設定手段であり、所持者により入力部26から入力された目的地と、現在位置認識手段31で認識した現在位置と、受信部24で所得した地図情報とを基に、所持者の現在位置から目的地までの最短経路となる移動経路を設定する機能を有するソフトウェアと制御部21により形成される機能手段である。
【0043】
33は携帯端末2の移動状態判定手段であり、加速度センサ29から出力される加速度情報を基に、歩行時に発生する加速度のピーク間の間隔(ピッチ間隔という。)によって所持者の移動状態を常時監視し、ピッチ間隔が定常的な場合は、移動状態を「通常歩行」と判定し、横断を窺わせる横断前の準備行動を検出した場合、つまりピッチ間隔が変化した場合は、移動状態を「横断前」と判定する機能を有するソフトウェアと制御部21により形成される機能手段である。
【0044】
上記の歩行時の加速度のピッチ間隔が変化する場合としては、横断前に車道を走行する車両の状態を確認するために歩行速度を緩めたり、車道を急いで横断しようとして歩行速度を速めたりした場合や、横断前に車道を走行する車両の通過を待つために立ち止まった場合、つまり加速度センサ29からのZ軸の加速度が重力加速度と等しい1Gとなって所定の時間(本実施例では、1秒間)変動しない場合が該当する。
【0045】
34は横断判定手段であり、移動状態判定手段33から「横断前」の判定結果が出力された場合に、現在位置認識手段31で認識した現在位置と、移動経路設定手段32が設定した移動経路を基に、車道を横断しようとしている歩行者の存否を予測し、携帯端末2の所持者による移動経路上での車道の横断の可能性を予測し、所持者が車道を横断しようとしていると判定した場合は横断フラグを「1」に設定し、所持者が車道を横断しないと判定した場合は横断フラグを「0」に設定する機能を有するソフトウェアと制御部21により形成される機能手段である。
【0046】
35はタイマカウンタであり、時計部27から出力される所定の経過時間(本実施例では、1ミリ秒)の回数をカウントダウンによりカウントする機能を有するソフトウェアと制御部21により形成される機能手段である。
【0047】
本実施例のタイマカウンタ35の初期値は「100」に設定され、カウントダウンによりカウント数が「0」になったときに、制御部21は、100ミリ秒、つまり0.1秒の経過を認識する。
【0048】
本実施例の車々間通信装置1の記憶部6には、車両に装備された方向指示器やブレーキ装置等からの機能信号および速度計からの速度信号等を基に、他車両に搭載された車々間通信装置1へ自車両の動作通知を送信し、他車両からの動作通知および携帯端末2からの横断可能性を有する歩行者の存在通知を基に、運転者に注意を促す警報を報知する機能を有する安全運転支援処理プログラム等が予め格納されており、制御部5が実行する安全運転支援処理プログラムのステップにより本実施例の車々間通信装置1の各機能手段が形成される。
【0049】
本実施例の携帯端末2の記憶部22には、表示部25の表示画面に移動経路設定手段32で設定した移動経路上に現在位置認識手段31で認識した現在位置を表示しながら、所持者を移動経路に沿って目的地まで誘導する通常の経路誘導処理プログラムと、図4を用いて説明する、携帯端末2の所持者の車道の横断可能性を判定する機能を有する横断可能性判定処理プログラム等からなる端末業務実行プログラムが予め格納されており、制御部21が実行する端末業務実行プログラムのステップにより本実施例の携帯端末2の各機能手段が形成される。
【0050】
以下に、図4に示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って本実施例の携帯端末2の所持者の横断可能性を判定する横断可能性判定処理について説明する。
【0051】
携帯端末2に電源が投入(ON)されると、記憶部22に格納されている端末業務実行プログラムが起動し、制御部21は、表示部25の表示画面に目的地入力画面を表示し、携帯端末2の所持者は、入力部26を用いて目的地を入力する。
【0052】
目的地の入力を受付けた制御部21は、送信部23によって、現在位置認識手段31で認識した現在位置と入力された目的地とを添付した地図情報取得要求を無線により公衆網へ送信し、受信部24によって、地図情報取得要求に添付した現在位置と目的地を含む地図情報を受信し、移動経路設定手段32によって、受信した地図情報と現在位置と目的地とを基に、所持者の現在位置から目的地までの最短経路となる移動経路を設定し、表示部25の表示画面に表示した地図上に、設定した移動経路と現在位置と目的地を表示しながら、所持者を移動経路に沿って目的地まで誘導する経路誘導処理を開始し、所持者は表示部25の表示画面を視認しながら目的地へ向けての歩行を開始する。
【0053】
S1、この経路誘導処理と並行して端末業務実行プログラムの起動後に、制御部21は、横断可能性判定処理プログラムにより、移動状態判定手段33による所持者の移動状態の監視を開始し、横断フラグを「0」に設定してステップS2へ移行する。
【0054】
S2、横断フラグを初期化した制御部21は、タイマカウンタ35を初期値(本実施例では100)に設定してステップS3へ移行する。
【0055】
S3、制御部21は携帯端末2の電源が遮断(OFF)されるのを待って待機しており、電源が遮断されたときに、端末業務実行プログラムによる処理を終了させる。電源が遮断されていない場合はステップS4へ移行する。
【0056】
S4、制御部21は、時計部27から出力される所定の経過時間(本実施例では、1ミリ秒)の回数をタイマカウンタ35でカウントダウンしながらそのカウント数が「0」になるのを待って待機しており、カウント数が「0」になったときにステップ5へ移行する。カウント数が「0」に達しない場合は、ステップS3、S4による待機を継続する。
【0057】
S5、タイマカウンタ35のカウント数が「0」になったことを認識した制御部21は、移動状態判定手段33が監視している所持者の移動状態を確認し、歩行時の加速度のピッチ間隔が変化したことによって移動状態が「横断前」である場合はステップS6へ移行する。ピッチ間隔が定常的であることによって移動状態が「通常歩行」である場合はステップS13へ移行する。
【0058】
S6、所持者の移動状態を「横断前」と判定した制御部21は、道路環境を判定する。
【0059】
すなわち、制御部21は、図5に示すように、「横断前」と判定された所持者の現在位置から、移動経路の進行方向の前方の所定の範囲内(本実施例では、現在位置から前方20mの範囲内で、車道の中央までの範囲)に横道(3叉路、十字路、5叉路等の交叉路をいう。)が存在するか否かを確認し、図5(a)に示すように、所定の範囲内に横道が存在しない場合は道路環境を「単路」と判定し、図5(b)に示すように、所定の範囲内に横道が存在する場合、つまり携帯端末2の所持者が現在通行している歩道側(通行側という。)に横道が存在する場合は道路環境を「交差点」と判定する。
【0060】
なお、携帯端末2の所持者の進行方向は、移動経路に沿って移動してきた所持者の移動方向と、磁気センサ30で検出した携帯端末2の向いている方向とを基に推定される。
【0061】
また、図5および以下に示す図6、図8、図9、図10においては、所持者の現在位置は黒塗りの丸印で、移動経路は細かい点を付して、所定の範囲は破線で囲まれた範囲で、区画は2点鎖線で囲まれた領域で、区画内の移動経路は網掛けを付して、目的地は白抜きの四角で、仮目的地は白抜きの星印で示す。
【0062】
S7、道路環境を判定した制御部21は、その判定結果が「交差点」の場合はステップS14へ移行する。判定結果が「単路」の場合はステップS8へ移行する。
【0063】
S8、道路環境を「単路」と判定した制御部21は、所定の区画内の移動経路を抽出する。
【0064】
すなわち、制御部21は、「横断前」と判定された所持者の現在位置から、進行方向の前方の移動経路に曲り角が存在する場合は、図6(a)〜(e)に示すように、所定の区画を直近の曲り角のみを含む区画として、その区画内の移動経路を抽出する(図6に網掛けを付して示した移動経路参照)。
【0065】
また、所持者の現在位置から、進行方向の前方の移動経路に曲り角が存在しない場合、つまり移動経路が直線的である場合は、図6(f)に示すように、所定の区画を目的地までの区画として、その区画内の移動経路を抽出する。
【0066】
S9、区画内の移動経路を抽出した制御部21は、抽出した移動経路に目的地が存在する場合はステップS11へ移行する。抽出した移動経路に目的地が存在しない場合はステップS10へ移行する。
【0067】
S10、抽出した移動経路に目的地が存在しないことを判定した制御部21は、抽出した移動経路の終端部(移動経路の進行方向の前方で所定の区画の区画線と交わる位置をいう。)の、直線距離で目的地に近い側の終端部に仮目的地(図6(a)〜(e)に示す白抜きの星印参照)を設定してステップS11へ移行する。
【0068】
S11、抽出した移動経路に目的地が存在することを認識した、または仮目的地を設定した制御部21は、区画内の移動経路からその経路角度θ(「単路」と判定された区画内の移動経路の曲り角の挟み角の角度をいう。)、目的地(仮目的地を含む。以下同じ。)の位置、および目的地と現在位置との移動経路上の位置関係から当該区画の経路パターンを認識し、その経路パターンと、記憶部22に予め格納されている図7に示す経路パターン別行動予測テーブルの経路パターンとを比較対照して該当する経路パターンに設定された行動予測を抽出し、ステップS12へ移行する。
【0069】
本実施例の経路パターン別行動予測テーブルは、「単路」と判定された区画内の移動経路の曲り角の経路角度θ、目的地の位置、および目的地と現在位置との移動経路上の位置関係からなる7つ経路パターンに対応させて、その経路パターン別に横断前と判定された所持者が起す行動の予測を格納したものであり、以下のように設定されている。なお、図8は参考のために示した各経路パターンの代表的な例である。
【0070】
経路パターンNo.1は、直線的な移動経路であるので、経路角度θは平角(2直角)、目的地の位置は特定せず、現在位置と目的地との位置関係(それぞれが目的地に向かって移動経路の左右の歩道のどちら側に位置するかをいう。)は同じ側であり、この場合の所持者の行動は、所持者が通行している歩道側に目的地が存在するので、「横断前」と判定された現在位置で、移動経路を横断する可能性は極めて低く「並走(所持者が現在通行している側の歩道を移動経路に沿って歩行することをいう。)」と予測される(図8No.1参照)。
【0071】
経路パターンNo.2は、直線的な移動経路であるので、経路角度θは平角、目的地の位置は特定せず、現在位置と目的地との位置関係は反対側であり、この場合の所持者の行動は、所持者が通行している歩道の反対側に目的地が存在するので、「横断前」と判定された現在位置で、移動経路を横断する可能性は極めて高く「横断」と予測される(図8No.2参照)。
【0072】
経路パターンNo.3は、曲り角を含む移動経路であるので、その曲り角の経路角度θは鋭角/直角/鈍角(0度<θ<180度)、目的地の位置は経路角側(挟み角側)、現在位置と目的地との位置関係は同じ側であり、この場合の所持者の行動は、所持者が通行している歩道側に目的地が存在するので、「横断前」と判定された現在位置で、移動経路を横断する可能性は低く「並走」と予測される(図8No.3参照)。
【0073】
経路パターンNo.4は、曲り角の経路角度θは鋭角/直角/鈍角、目的地の位置は経路角側、現在位置と目的地との位置関係は反対側であり、この場合の所持者の行動は、所持者が通行している歩道の反対側に目的地が存在するので、「横断前」と判定された現在位置で、移動経路を横断する可能性は高く「横断」と予測される(図8No.4参照)。
【0074】
経路パターンNo.5は、曲り角の経路角度θは鋭角/直角(0度<θ≦90度)、目的地の位置は経路角の補角側、現在位置と目的地との位置関係は同じ側であり、この場合の所持者の行動は、所持者が通行している歩道側に目的地が存在するが、所持者が近道を通ろうとして、「横断前」と判定された現在位置で移動経路を横断する可能性があるので「横断」と予測される(図8No.5参照)。
【0075】
経路パターンNo.6は、曲り角の経路角度θは鋭角/直角、目的地の位置は補角側、現在位置と目的地との位置関係は反対側であり、この場合の所持者の行動は、所持者が通行している歩道の反対側に目的地が存在するが、所持者が近道を通ろうとして、「横断前」と判定された現在位置で通行中の歩道をそのまま通行する可能性が高く「並走」と予測される(図8No.6参照)。
【0076】
経路パターンNo.7は、曲り角の経路角度θは鈍角(90度<θ<180度)、目的地の位置は補角側、現在位置と目的地との位置関係は特定しない。
【0077】
この経路パターンにおいて、現在位置と目的地との位置関係が反対側の場合は、所持者の行動は、所持者が目的地側の歩道に移ろうとして「横断前」と判定された現在位置で、移動経路を横断する可能性があるので「横断」と予測される(図8No.7の左側の図参照)。
【0078】
また、現在位置と目的地との位置関係が同じ側の場合は、所持者の行動予測は、所持者が近道を通ろうとして、「横断前」と判定された現在位置で、移動経路を横断する可能性があるので「横断」と予測される(図8No.7の右側の図参照)。
【0079】
このように、本実施例の行動予測は、過剰警告となる恐れはあるが、警告不足とならないように安全側で予測される。
【0080】
S12、行動予測を抽出した制御部21は、その行動予測が「横断」である場合は、所持者が移動経路(車道)を横断すると判定してステップS14へ移行する。行動予測が「並走」である場合は、所持者が移動経路(車道)を横断しないと判定してステップS13へ移行する。
【0081】
S13、経路パターンによる行動予測が「並走」であること、または移動状態判定手段33による移動状態の判定が「通常歩行」であることを認識した制御部21は、携帯端末2の所持者を、車道の横断可能性がない歩行者と認識して横断判定部34によって横断フラグを「0」に設定し、ステップS2へ戻って横断可能性判定処理を継続する。
【0082】
S14、経路パターンによる行動予測が「横断」であること、または道路環境が「交差点」であることを認識した制御部21は、「横断前」と判定された所持者を、車道の横断可能性を有する歩行者と認識して横断判定部34によって横断フラグを「1」に設定し、ステップS2へ戻って横断可能性判定処理を継続する。
【0083】
このようにして、本実施例の横断可能性判定処理が実行され、携帯端末2の制御部21は、横断判定部34が設定した横断フラグが「0」の場合、つまり携帯端末2の所持者(歩行者)を車道の横断可能性がない歩行者と認識した場合は、送信部23によって、現在位置認識手段31が認識した現在位置と、横断可能性を有する歩行者の不存在通知である「0」からなる横断フラグとを含む通常のパケットを1秒毎に車々間通信装置1へ送信する。
【0084】
また、横断フラグが「1」の場合、つまり携帯端末2の所持者(歩行者)を車道の横断可能性を有する歩行者と認識した場合は、現在位置と、横断可能性を有する歩行者の存在通知である「1」からなる横断フラグとを含むパケット(警告パケットという。)を、0.1秒毎に送信する。
【0085】
なお、本実施例では、車々間通信装置1との通信のプロトコルに「ITS FORUM RC−005」を用いているため、パケットについて、現在位置は位置情報のフィールドに反映され、横断フラグは任意に設定可能なフィールドに反映される。
【0086】
上記した横断可能性判定処理による、携帯端末2の所持者の横断可能性の判定を、図9、図10を用いて具体的に説明する。
【0087】
以下の説明においては、図6に示すように、現在地点で目的地を入力した携帯端末2の所持者が、設定された移動経路に沿って目的地まで移動し、地点A、地点B、地点C、地点D、地点E、地点Fにおいて、歩行時の加速度のピッチ間隔が変化したことによって、移動状態が「横断前」と判定されたものとして説明する。
【0088】
地点Aでは、移動経路の進行方向の前方の所定の範囲内に横道が存在し、所持者が横道側の歩道を通行しているので、道路環境が「交差点」となり(図4のステップS5)、横断フラグが「1」となる(S14)。ゆえに、周囲の車両に0.1秒間隔で横断可能性を有する歩行者の存在を伝える警告パケットを送信する。
【0089】
地点Bでは、移動経路に横道が存在しないため、道路環境が「単路」となり(S6)、抽出した区画内の認識された経路パターンが、経路パターンNo.3に該当し、行動予測が「並走」となり(S12)、横断フラグが「0」となる(S13)。ゆえに、周囲の車両に1秒間隔で横断可能性を有する歩行者の不存在を伝える通常のパケットを送信する。
【0090】
地点Cでは、移動経路に横道が存在するが、現在位置の所定の範囲内に横道が存在しないため、道路環境が「単路」となり(S6)、抽出した区画内の認識された経路パターンが経路パターンNo.7に該当し、行動予測が「横断」となり(S12)、横断フラグが「1」となる(S14)。ゆえに、周囲の車両に0.1秒間隔で警告パケットを送信する。
【0091】
地点Dでは、移動経路に横道が存在しないため、道路環境が「単路」となり(S6)、抽出した区画内の認識された経路パターンが経路パターンNo.5に該当し、行動予測が「横断」となり、横断フラグが「1」となる(S14)。ゆえに、周囲の車両に0.1秒間隔で警告パケットを送信する。
【0092】
地点Eでは、移動経路に横道が存在しないため、道路環境が「単路」となり(S6)、抽出した区画内の認識された経路パターンが経路パターンNo.5に該当し、行動予測が横断となり(S12)、横断フラグが「1」となる(S14)。ゆえに、周囲の車両に0.1秒間隔で警告パケットを送信する。
【0093】
地点Fでは、移動経路に横道が存在しないため、道路環境が単路「単路」となり(S6)、抽出した区画内の認識された経路パターンが経路パターンNo.3に該当し、行動予測が「並走」となり(S12)、横断フラグが「0」となる(S13)。ゆえに、周囲の車両に1秒間隔で通常のパケットを送信する。
【0094】
上記のようにして、携帯端末2から送信された通常のパケットまたは警告パケットを通信部7によって受信した車々間通信装置1の制御部5は、現在位置および横断可能性を有する歩行者の不存在通知(横断フラグ=0)を含む通常のパケットを受信した場合は、次のパケットの着信を待って待機し、現在位置および横断可能性を有する歩行者の存在通知(横断フラグ=1)を含む警告パケットを受信した場合は、車々間通信装置1のGPS受信部11で受信した位置情報を基に現在位置認識手段12で認識した車両の現在位置と、走行経路設定手段13で運転者により入力部9から入力された目的地と車両の現在位置との間に設定された走行経路とを用いて、警告パケットに含まれる携帯端末2の所持者の現在位置が、車両の現在位置から走行経路の進行方向前方の所定の領域内(本実施例では、現在位置から走行経路に沿った前方50mの領域内で、車道の両側の歩道を含む領域)に存在するときは、横断可能性を有する歩行者の存在を音声部10および/もしくは表示部8によって報知する。
【0095】
これによって、運転者は走行方向の前方に、横断可能性を有する歩行者が存在することを事前に知ることができ、歩行者対車両の事故低滅に貢献することができる安全運転支援システムを構築することができる。
【0096】
上記のように、本実施例の携帯端末2による横断可能性判定処理においては、移動経路設定手段32で設定した携帯端末2の所持者の現在位置から目的地までの間の移動経路によって、所持者の歩行行動を一つの移動経路上に制限し、加速度センサ29からの歩行時の加速度のピッチ間隔の変化によって横断前の準備行動を検出し、この準備行動を検出したときに、所持者の現在位置から進行方向前方の移動経路の形状に基づいて、所持者が車道を横断するか否かを予測し、所持者による横断を予測したときに、送信部23によって車々間通信装置1へ、横断可能性を有する歩行者の存在を通知するので、車両の運転者に横断可能性を有する歩行者の存在を、リアルタイム性を損うことなく伝えることができ、運転者の注意を喚起して歩行者対車両の事故低減に貢献することができる。
【0097】
また、歩行者の所持する携帯端末2から送信される通常のパケットの送信間隔を通常は1秒とし、横断可能性を有する歩行者の存在を判定した場合は、所持者の現在位置と横断可能性を有する歩行者の存在を伝える警告パケットを0.1秒間隔で送信するので、車両の運転者に、注意を促す必要のあるタイミングで、横断可能性を有する歩行者の存在を迅速に伝えることできると共に、通信の利用効率を向上させることができる。
【0098】
以上説明したように、本実施例では、車両に搭載された車々間通信装置への送信を行う送信部と、所持者による目的地の入力を受付ける入力部と、歩行時の加速度を検出する加速度センサと、位置測定のための位置情報を受信するGPS受信部と備えた携帯端末が、GPS受信部により受信した位置情報を基に現在位置を認識する手段と、入力部により入力された目的地と、認識した現在位置との間の移動経路を設定する手段と、経路角度θ、目的地の位置、および現在位置と目的地との位置関係からなる経路パターン別に、所持者が移動経路を横断するか否かの行動予測を格納するパターン別行動予測テーブルと、加速度センサからの歩行時の加速度のピッチ間隔が変化したときに、横断前と判定する手段と、横断前と判定した場合に、現在位置から移動経路の進行方向前方の所定の範囲内に、所持者の通行側にある横道が存在するときは、所持者による横道の横断を判定する手段と、横道が存在しないときは、現在位置から移動経路の進行方向前方の所定の区画内の移動経路を抽出する手段と、抽出した移動経路に目的地が存在する場合は、抽出した移動経路と目的地の位置と現在位置とにより経路パターンを認識する手段と、認識した経路パターンを基に、パターン別行動予測テーブルから当該経路パターンの行動予測を抽出する手段と、
抽出した行動予測が、横断である場合は、所持者による移動経路の横断を判定する手段とを、所持者による横断を判定したときに、送信部によって車々間通信装置へ、横断可能性を有する歩行者の存在を通知する手段とを備えているので、設定された移動経路によって所持者の歩行行動を一つの移動経路上に制限することができると共に、加速度センサからの歩行時の加速度のピッチ間隔の変化によって検出した横断前の準備行動のときに、所持者の現在位置から進行方向前方の移動経路の形状に基づいて所持者が車道を横断することを予測して、車々間通信装置へ車道の横断可能性を有する歩行者の存在を事前に通知することができ、運転者の注意を喚起して歩行者対車両の事故の低減を図ることができる。
【0099】
なお、上記実施例においては、通常のパケットの送信間隔を通常1秒として説明したが、送信間隔をより長く、例えば3秒としてもよい。このようにすれば携帯端末の電力消費を低減することができる。
【0100】
また、上記実施例においては、携帯端末が、所持者(歩行者)を車道の横断可能性がないと判定したときも通常のパケットを定期的に送信するとして説明したが、所持者(歩行者)を車道の横断可能性があると判定したときのみ警告パケットを送信し、通常のパケットの送信を省略するようにしてもよい。このようにすれば携帯端末の電力消費をより低減することができる。
【0101】
更に、上記実施例においては、通常のパケットの送信は、リアルタイム性の高い車々間通信を用いて行うとして説明したが、通常のパケットの送信はリアルタイム性の低い携帯電話網を利用し、横断可能性を有する歩行者の存在を通知する警告パケットのみ車々間通信を用いるようにしてもよい。このようにすれば携帯端末の電力消費を更に低減することができる。この場合に、携帯端末の利用形態によっては、携帯電話網によらず、公衆無線LAN等を用いてもよい。
【0102】
更に、上記実施例においては、携帯端末は、本安全運転支援システムに用いる専用端末であるとして説明したが、携帯端末は前記に限らず、携帯電話やモバイル機器等であってもよい。この場合には、携帯電話やモバイル機器等に車々間通信機能を設けると共に、装備されていない場合は加速度センサやGPS受信部等を設けるようにするとよい。
【符号の説明】
【0103】
1 車々間通信装置
2 携帯端末
5、21 制御部
6、22 記憶部
7 通信部
8、25 表示部
9、26 入力部
10 音声部
11、28 GPS受信部
12、31 現在位置認識手段
13 走行経路設定手段
23 送信部
24 受信部
27 時計部
29 加速度センサ
30 磁気センサ
32 移動経路設定手段
33 移動状態判定手段
34 横断判定手段
35 タイマカウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者が所持し、車両に搭載された車々間通信装置への送信を行う送信部と、所持者による目的地の入力を受付ける入力部と、歩行時の加速度を検出する加速度検出部と、位置測定のための位置情報を受信する位置情報受信部とを備えた携帯端末であって、
前記位置情報受信部により受信した位置情報を基に、所持者の現在位置を認識し、
前記認識した所持者の現在位置から前記入力部により入力された目的地までの間に設定した移動経路によって、所持者の歩行行動を制限し、
前記加速度検出部からの歩行時の加速度のピッチ間隔の変化によって横断前の準備行動を検出し、
前記準備行動を検出したときに、前記所持者の現在位置から進行方向前方の前記移動経路の形状に基づいて、所持者が車道を横断するか否かを予測し、
所持者による横断を予測したときに、前記送信部によって前記車々間通信装置へ、横断可能性を有する歩行者の存在を通知することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
歩行者が所持する携帯端末において、
車両に搭載された車々間通信装置への定期的な送信間隔での送信を行う送信部と、
所持者による目的地の入力を受付ける入力部と、
歩行時の加速度を検出する加速度検出部と、
位置測定のための位置情報を受信する位置情報受信部と、
前記位置情報受信部により受信した位置情報を基に現在位置を認識する手段と、
前記入力部により入力された目的地と、前記認識した現在位置との間の移動経路を設定する手段と、
前記加速度検出部からの歩行時の加速度のピッチ間隔が変化したときに、横断前と判定する手段と、
前記横断前と判定した場合に、前記現在位置から前記移動経路の進行方向前方の所定の範囲内に、所持者の通行側にある横道が存在するときは、所持者による前記横道の横断を判定する手段と、
所持者による横断を判定したときに、前記送信部によって前記車々間通信装置へ、横断可能性を有する歩行者の存在を通知する手段とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末において、
経路角度および目的地の位置、並びに現在位置と目的地との位置関係からなる経路パターン別に、所持者が前記移動経路を横断するか否かの行動予測を格納するパターン別行動予測格納手段と、
前記横道が存在しないときは、前記現在位置から前記移動経路の進行方向前方の所定の区画内の移動経路を抽出する手段と、
前記抽出した移動経路に目的地が存在する場合は、前記抽出した移動経路と前記目的地の位置と前記現在位置とにより経路パターンを認識する手段と、
前記認識した経路パターンを基に、前記パターン別行動予測格納手段から当該経路パターンの行動予測を抽出する手段と、
前記抽出した行動予測が、横断である場合は、所持者による前記移動経路の横断を判定する手段とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯端末において、
前記抽出した移動経路に目的地が存在しない場合は、前記抽出した移動経路の終端部の、前記目的地に近い側に仮目的地を設定する手段と、
前記抽出した移動経路と、前記設定した仮目的地の位置と前記現在位置とにより経路パターンを認識する手段とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
請求項2に記載の携帯端末において、
前記横断可能性を有する歩行者の存在の通知を、前記定期的な送信間隔より短い送信間隔で送信する手段を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項6】
請求項2に記載の携帯端末において、
前記定期的な送信間隔による送信を、公衆網を介して送信することを特徴とする携帯端末。
【請求項7】
歩行者が所持する携帯端末と、車両に搭載された車々間通信装置とを備えた安全運転支援システムにおいて、
前記携帯端末は、
所持者による目的地の入力を受付ける入力部と、
歩行時の加速度を検出する加速度検出部と、
位置測定のための位置情報を受信する位置情報受信部と、
前記位置情報受信部により受信した位置情報を基に、所持者の現在位置を認識する手段と、
前記入力部により入力された目的地と、前記認識した所持者の現在位置との間の移動経路を設定する手段と、
前記加速度検出部からの歩行時の加速度のピッチ間隔が変化したときに、横断前と判定する手段と、
前記横断前と判定した場合に、前記所持者の現在位置から前記移動経路の進行方向前方の所定の範囲内に、所持者の通行側にある横道が存在するときは、所持者による前記横道の横断を判定する手段と、
所持者による横断を判定したときに、前記車々間通信装置へ、前記所持者の現在位置および横断可能性を有する歩行者の存在通知を送信する手段とを備え、
前記車々間通信装置は、
運転者による目的地の入力を受付ける入力部と、
位置測定のための位置情報を受信する位置情報受信部と、
前記位置情報受信部により受信した位置情報を基に、車両の現在位置を認識する手段と、
前記入力部により入力された目的地と、前記認識した車両の現在位置との間の走行経路を設定する手段と、
前記端末装置からの前記所持者の現在位置および横断可能性を有する歩行者の存在通知を受信する手段と、
前記受信した所持者の現在位置が、前記車両の現在位置から前記走行経路の進行方向前方の所定の領域内に存在するときは、前記横断可能性を有する歩行者の存在を報知する手段とを備えることを特徴とする安全運転支援システム。
【請求項8】
請求項7に記載の安全運転支援システムにおいて、
前記携帯端末は、
経路角度および目的地の位置、並びに現在位置と目的地との位置関係からなる経路パターン別に、所持者が前記移動経路を横断するか否かの行動予測を格納するパターン別行動予測格納手段と、
前記横道が存在しないときは、前記所持者の現在位置から前記移動経路の進行方向前方の所定の区画内の移動経路を抽出する手段と、
前記抽出した移動経路に目的地が存在する場合は、前記抽出した移動経路と前記目的地の位置と前記現在位置とにより経路パターンを認識する手段と、
前記認識した経路パターンを基に、前記パターン別行動予測格納手段から当該経路パターンの行動予測を抽出する手段と、
前記抽出した行動予測が、横断である場合は、所持者による前記移動経路の横断を判定する手段とを備えることを特徴とする安全運転支援システム。
【請求項9】
請求項8に記載の安全運転支援システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記抽出した移動経路に目的地が存在しない場合は、前記抽出した移動経路の終端部の、前記目的地に近い側に仮目的地を設定する手段と、
前記抽出した移動経路と、前記設定した仮目的地の位置と前記現在位置とにより経路パターンを認識する手段とを備えることを特徴とする安全運転支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−138250(P2011−138250A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296742(P2009−296742)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】