説明

携帯端末装置およびデータアクセス方法

【課題】 携帯端末を利用しての通信において、外部メモリに格納するデータを効率的に利用することができる携帯端末装置およびデータアクセス方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも着脱可能で、かつ書き換え可能な外部記憶媒体を備える携帯端末装置において、携帯端末装置100の外部メモリ109を通常の保存用領域と一時的に使用する物理アクセス領域に分割して管理する。大量のメモリを使用するアプリケーションを実行する場合には、外部メモリ109の物理アクセス領域112を利用できるようにし、状況に応じて物理アクセス領域112を増やすことで外部メモリ109の効率のよい利用が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯可能な携帯端末装置に係り、特に、マルチメディア機能の実行など大容量のテンポラリメモリが必要な携帯端末装置およびデータアクセス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯端末装置においては、内蔵されるメモリ容量には限界があり、メモリ容量不足のためにアプリケーションが実行できなくなる可能性がある。これらの問題の解決法としては、携帯端末装置に外部記録媒体のインターフェースを設け、データを外部記憶媒体、または、内部メモリのどちらかに格納することでメモリ不足を解消する方法が公知である(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−324255号公報、第9ページ、図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、携帯端末装置用の外部記憶媒体と内部メモリとを両方具備し、どちらにデータを格納するかの指示する方法などについて記載されているが、保存領域に保存されるデータについてのアクセス、管理方式の詳細について記載されていない。
【0004】
データには、静止画や動画などのようにファイルシステムを利用して保存するデータと、テンポラリデータのような連続した領域が必要なデータとがある。従来技術では、このようなデータを考慮したメモリの使用法について記載されていない。
【0005】
そこで本発明は、携帯端末を利用しての通信において、外部メモリに格納するデータを効率的に利用することができる携帯端末装置およびデータアクセス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明による携帯端末装置は、少なくとも着脱可能で、かつ書き換え可能な外部記憶媒体を備える携帯端末装置において、前記外部記憶媒体にファイルシステムでアクセスする第1の領域とファイルシステム以外でアクセスする第2の領域とを作成し、前記第1の領域および前記第2の領域のそれぞれのサイズを設定する設定手段を具備することを特徴とする。
【0007】
また、好ましい態様として、例えば請求項2記載のように、請求項1記載の携帯端末装置において、前記外部記憶媒体は、他の外部記憶媒体と識別するための識別IDを予め記憶するようにしてもよい。
【0008】
また、好ましい態様として、例えば請求項3記載のように、請求項1記載の携帯端末装置において、前記外部記憶媒体毎に該外部記憶媒体を識別するための識別IDを生成する識別ID生成手段を具備し、前記外部記憶媒体は、前記識別IDを格納する第3の領域を有するようにしてもよい。
【0009】
また、好ましい態様として、例えば請求項4記載のように、請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯端末装置において、前記識別IDと、前記第1の領域の開始アドレスおよびサイズと、前記第2の領域の開始アドレスおよびサイズとを関連付けて管理する管理手段を具備するようにしてもよい。
【0010】
また、好ましい態様として、例えば請求項5記載のように、請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯端末装置において、前記第1の領域に空き領域がある場合に、前記空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用する制御手段を具備するようにしてもよい。
【0011】
また、好ましい態様として、例えば請求項6記載のように、請求項1ないし5のいずれかに記載の携帯端末装置において、前記制御手段は、前記第1の領域の空き領域がファイルの削除により既存データ間に生じた隙間領域である場合に、前記隙間領域を連続した空き領域となるように既存データの移動を行い、前記連続した空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用するようにしてもよい。
【0012】
また、好ましい態様として、例えば請求項7記載のように、請求項5または6に記載の携帯端末装置において、前記管理手段は、前記第2の領域として一時利用された空き領域を、一時利用終了後、再び前記第1の領域に設定するようにしてもよい。
【0013】
また、上記目的達成のため、請求項8記載の発明によるデータアクセス方法は、少なくとも着脱可能で、かつ書き換え可能な外部記憶媒体に対するデータアクセス方法において、前記外部記憶媒体にファイルシステムでアクセスする第1の領域とファイルシステム以外でアクセスする第2の領域とを作成し、前記第1の領域および前記第2の領域のそれぞれのサイズを設定することを特徴とする。
【0014】
また、好ましい態様として、例えば請求項9記載のように、請求項8記載のデータアクセス方法において、前記外部記憶媒体は、他の外部記憶媒体と識別するための識別IDを記憶しており、前記識別IDと、前記第1の領域の開始アドレスおよびサイズと、前記第2の領域の開始アドレスおよびサイズとを関連付けて管理するようにしてもよい。
【0015】
また、好ましい態様として、例えば請求項10記載のように、請求項8または9に記載のデータアクセス方法において、前記第1の領域に空き領域がある場合に、前記空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用するようにしてもよい。
【0016】
また、好ましい態様として、例えば請求項11記載のように、請求項8ないし10のいずれかに記載のデータアクセス方法において、前記第1の領域の空き領域がファイルの削除により既存データ間に生じた隙間領域である場合に、前記隙間領域を連続した空き領域となるように既存データの移動を行い、前記連続した空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用するようにしてもよい。
【0017】
また、好ましい態様として、例えば請求項12記載のように、請求項10または11に記載のデータアクセス方法において、前記第2の領域として一時利用された空き領域を、一時利用終了後、再び前記第1の領域に設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、設定手段によって、前記外部記憶媒体にファイルシステムでアクセスする第1の領域とファイルシステム以外でアクセスする第2の領域とを作成し、前記第1の領域および前記第2の領域のそれぞれのサイズを設定するようにしたので、ファイルシステムでアクセスする第1の領域と物理アドレスで直接アクセスする第2の領域とが作成でき、これにより、テンポラリデータのような連続した領域が必要なデータを外部記憶媒体の第2の領域に保存することができる、また、ユーザの利用状況に応じて第1の領域と第2の領域との設定を変えることができ効率的な使用ができるという利点が得られる。
【0019】
また、請求項2記載の発明によれば、外部記憶媒体に、他の外部記憶媒体と識別するための識別IDを予め記憶するようにしたので、外部記憶媒体が差し替えられても識別することができるという利点が得られる。
【0020】
また、請求項3記載の発明によれば、識別ID生成手段により、前記外部記憶媒体毎に該外部記憶媒体を識別するための識別IDを生成し、前記外部記憶媒体の第3の領域に、前記識別IDを格納するようにしたので、外部メモリが識別IDを持たない場合でも、外部記憶媒体が差し替えられても識別することができるという利点が得られる。
【0021】
また、請求項4記載の発明によれば、管理手段により、前記識別IDと、前記第1の領域の開始アドレスおよびサイズと、前記第2の領域の開始アドレスおよびサイズとを関連付けて管理するようにしたので、識別IDと第1の領域と第2の領域との設定情報を外部記憶媒体毎に管理することが可能となり、外部記憶媒体の差し替えを行っても挿入されている外部記憶媒体に設定されている第1の領域、第2の領域を正しく認識することができるという利点が得られる。
【0022】
また、請求項5記載によれば、制御手段によって、前記第1の領域に空き領域がある場合に、前記空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用するようにしたので、第1の領域に空きがある場合、その空き領域を第2の領域としてアクセスすることで外部記憶媒体を効率的に利用することができるという利点が得られる。
【0023】
また、請求項6記載の発明によれば、前記制御手段によって、前記第1の領域の空き領域がファイルの削除により既存データ間に生じた隙間領域である場合に、前記隙間領域を連続した空き領域となるように既存データの移動を行い、前記連続した空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用するようにしたので、第1の領域のファイルの削除により発生した空き領域を詰めることで第2の領域として利用できる領域を増やすことが可能となり、外部記憶媒体を効率的に利用することができるという利点が得られる。
【0024】
また、請求項7記載の発明によれば、前記管理手段によって、前記第2の領域として一時利用された空き領域を、一時利用終了後、再び前記第1の領域に設定するようにしたので、外部記憶媒体を効率的に利用することができるという利点が得られる。
【0025】
また、請求項8記載の発明によれば、前記外部記憶媒体にファイルシステムでアクセスする第1の領域とファイルシステム以外でアクセスする第2の領域とを作成し、前記第1の領域および前記第2の領域のそれぞれのサイズを設定するようにしたので、テンポラリデータのような連続した領域が必要なデータを外部記憶媒体の第2の領域に保存することができる、また、ユーザの利用状況に応じて第1の領域と第2の領域との設定を変えることができ効率的な使用ができるという利点が得られる。
【0026】
また、請求項9記載の発明によれば、他の外部記憶媒体と識別するための識別IDと、前記第1の領域の開始アドレスおよびサイズと、前記第2の領域の開始アドレスおよびサイズとを関連付けて管理するようにしたので、外部記憶媒体が差し替えられても識別することができ、識別IDと第1の領域と第2の領域との設定情報を外部記憶媒体毎に管理することが可能となり、外部記憶媒体の差し替えを行っても挿入されている外部記憶媒体に設定されている第1の領域、第2の領域を正しく認識することができるという利点が得られる。
【0027】
また、請求項10記載の発明によれば、前記第1の領域に空き領域がある場合に、前記空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用するようにしたので、第1の領域に空きがある場合、その空き領域を第2の領域としてアクセスすることで外部記憶媒体を効率的に利用することができるという利点が得られる。
【0028】
また、請求項11記載の発明によれば、前記第1の領域の空き領域がファイルの削除により既存データ間に生じた隙間領域である場合に、前記隙間領域を連続した空き領域となるように既存データの移動を行い、前記連続した空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用するようにしたので、第1の領域のファイルの削除により発生した空き領域を詰めることで第2の領域として利用できる領域を増やすことが可能となり、外部記憶媒体を効率的に利用することができるという利点が得られる。
【0029】
また、請求項12記載の発明によれば、前記第2の領域として一時利用された空き領域を、一時利用終了後、再び前記第1の領域に設定するようにしたので、外部記憶媒体を効率的に利用することができるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
A.第1実施形態
A−1.第1実施形態の構成
図1は、本発明の第1実施形態による携帯端末装置および外部メモリの構成を示すブロック図である。図において、携帯端末装置100は、通信部101、表示部102、データ管理部103、データ領域設定部104、内部メモリ105、外部メモリ管理部106、ファイルシステム107、物理アクセス部108を備えている。通信部101は、音声通話、データ通信などを行う。表示部102は、各種データを表示する。データ管理部103は、データの格納先、アクセス手段の選択などを管理する。
【0031】
データ領域設定部104は、後述する外部メモリ109内に、ファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112との占有割合、または、それぞれのサイズを設定する。内部メモリ105は、プログラムや各種データを記憶する。外部メモリ管理部106は、後述する外部メモリ109内のファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112との開始アドレス、サイズ、識別IDなどを管理する。ファイルシステム107は、外部メモリ109のファイルシステムアクセス領域111に対するデータの書き換えを行う。物理アクセス部108は、外部メモリ109の物理アクセス領域112に対するデータの書き換えを行う。
【0032】
また、外部メモリ109は、携帯端末装置100に着脱可能な記憶媒体である。外部メモリ109は、他の外部メモリとの識別を可能にする、重複することのない識別用IDが予め格納されている識別用ID格納領域110、ファイルシステムアクセス領域111および物理アクセス領域112を有する。
【0033】
A−2.第1実施形態の動作
次に、上述した第1実施形態の動作について説明する。図2は、本第2実施形態における、外部メモリのファイルシステム領域と物理アクセス領域の設定動作を説明するためのフローチャートである。なお、本第1実施形態では、外部メモリ109は初めて使用されるもので、内部にはデータが格納されていないものとする。また、外部メモリ109は、携帯端末装置100に装着されて使用可能になっているものとする。
【0034】
まず、データ領域設定部104によって、ファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112との占有割合、または、それぞれのサイズを指定する(ステップS10)。次に、外部メモリ109から識別用IDを取得する(ステップS12)。次に、取得した識別用IDと設定されたファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112との情報(占有割合またはサイズ)とを関連付けて外部メモリ管理部106に格納する(ステップS14)。
【0035】
このように、本第1実施形態では、外部メモリ109毎にファイルシステム領域111と物理アクセス領域112とを設定して管理することができる。また、外部メモリ109毎に識別用IDとファイルシステム領域111と物理アクセス領域112とを関連付けて管理することより、外部メモリ109が識別可能となり、外部メモリ109を差し替えてもその外部メモリ109に割り当てられているファイルシステムアクセス領域111、物理アクセス領域112を正しく識別できるため、それぞれの領域を超えて書き込むことが発生しない。
【0036】
次に、図3のフローチャートを用いて、本第1実施形態におけるデータの書き込みの流れを説明する。ここで、図3は、本第1実施形態におけるデータの書き込みの流れを説明するフローチャートである。まず、携帯端末装置100のデータ書き込みが発生する(ステップS20)。例えば、メニューによる静止画や動画などのデータ保存、あるいはWeb表示のためのテンポラリデータの作成などがある。
【0037】
次に、データ管理制御部103は、書き込まれるデータがデータ保存のためのものか、アプリケーション動作用の一時的なものかを判別する(ステップS22)。そして、データ保存であると判断された場合には、ファイルシステム107を介して外部メモリ109のファイルシステムアクセス領域111にデータを保存する(ステップS24)。
【0038】
一方、データ保存でないと判断された場合には、外部メモリ管理部106を検索し、現在、挿入されている外部メモリ109に、格納しようとするテンポラリデータを格納可能な物理アクセス領域112があるか否かを判断する(ステップS26)。そして、外部メモリ109に格納可能な物理アクセス領域112がある場合には、物理アクセス部108を介して外部メモリ109の物理アクセス領域112にテンポラリデータを格納する(ステップS28)。一方、外部メモリ109に格納できない場合には、今までの携帯端末装置と同様にアプリケーションソフトがメッセージを出したり、ソフトウェアの動作を中止したりする。
【0039】
上述した第1実施形態によれば、外部メモリ109内に設けられた物理アクセス領域112を使用することによって、外部メモリ109に保存用のデータとは別に連続したテンポラリデータを保存することが可能となり、メモリの不足によるアプリケーションプログラムの動作不良が軽減される。本第1実施形態では、ファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の2つの領域を外部メモリ109に作成したが、例えば、外部メモリ109をすべて物理アクセス領域112にすれば、より多くの物理アクセス領域が使用可能となり、物理アクセス領域を多く使うアプリケーションでも動作が可能となる。
【0040】
また、外部メモリ管理部106は、外部メモリ109に設定されたファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112との情報(占有割合またはサイズ)と、識別用ID110とを関連付けて格納しておき、外部メモリ109が他の外部メモリと差し替えられた場合には、差し替えられた外部メモリ109の識別用IDと外部メモリ管理部106に保持された情報(占有割合またはサイズ)とから、差し替え後の外部メモリと差し替え前の外部メモリ109とを判別可能である。
【0041】
B.第2実施形態
次に本発明の第2実施形態について説明する。
B−1.第2実施形態の構成
図4は、本第2実施形態による携帯端末装置および外部メモリの構成を示すブロック図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。識別用ID生成部400は、外部メモリ109を識別するための識別用IDを生成する。本第2実施形態は、外部メモリ109が他の外部メモリとの識別が可能な識別用IDを持っていない場合を想定している。
【0042】
ここで、図5は、本第2実施形態による外部メモリ109のマッピング例を示す概念図である。外部メモリ109には、記録可能先頭アドレスに識別用ID格納領域110が配置され、その後にファイルシステムアクセス領域111、物理アクセス領域112が順次配置される。但し、この配置は一例であって、この配置以外でも本第2実施形態は有効である。なお、識別用ID格納領域110は、データ領域設定部104で設定される領域には含まれない領域としてユーザからは認識できないようにする。
【0043】
B−2.第2実施形態の動作
次に、上述した第2実施形態の動作について説明する。図6は、本第2実施形態における、外部メモリのファイルシステム領域と物理アクセス領域の設定動作を説明するためのフローチャートである。なお、本第2実施形態においても、外部メモリ109は初めて使用されるもので、内部にはデータが格納されていないものとする。また、外部メモリ109は、携帯端末装置100に装着されて使用可能になっているものとする。
【0044】
まず、データ領域設定部104によって、ファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112との占有割合、または、それぞれのサイズを指定する(ステップS30)。次に、識別用ID生成部400によって、外部メモリ109の識別用IDを生成する(ステップS32)。次に、生成された識別用IDを外部メモリ109内の識別用ID格納領域110に格納する(ステップS34)。そして、識別用IDと設定されたファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112との情報(占有割合またはサイズ)とを関連付けて外部メモリ管理部106に格納する(ステップS36)。
【0045】
このように、本第1実施形態では、識別用ID生成部400によって生成された識別用IDを外部モリ109内の識別用ID格納領域110に格納し、この識別用IDを外部メモリ109のファイルシステムアクセス領域111および物理アクセス領域112の情報(占有割合またはサイズ)と関連付けて外部メモリ管理部106にて管理するため、外部メモリ109を識別用IDを持たない外部メモリ109に差し替えても各外部メモリのファイルシステムアクセス領域111、物理アクセス領域112の管理が可能となる。
【0046】
次に、図7のフローチャートを用いて、本第2実施形態におけるデータの書き込みの流れを説明する。ここで、図7は、本第2実施形態におけるデータの書き込みの流れを説明するフローチャートである。まず、携帯端末装置100において、データ書き込みが発生する(ステップS40)。例えば、メニューによる静止画や動画などのデータ保存、あるいはWeb表示のためのテンポラリデータの作成などがある。
【0047】
次に、データ管理制御部103は、書き込まれるデータがデータ保存のためのものか、アプリケーション動作用の一時的なものかを判別する(ステップS22)。そして、データ保存であると判断された場合には、ファイルシステム107を介して外部メモリ109のファイルシステムアクセス領域111にデータを保存する(ステップS24)。
【0048】
一方、データ保存でないと判断された場合には、外部メモリ管理部106を検索し、現在、挿入されている外部メモリ109に、格納しようとするテンポラリデータを格納可能な物理アクセス領域112があるか否かを判断する(ステップS26)。そして、外部メモリ109に格納可能な物理アクセス領域112がある場合には、物理アクセス部108を介して外部メモリ109の物理アクセス領域112にテンポラリデータを格納する(ステップS28)。一方、外部メモリ109に格納できない場合には、今までの携帯端末装置と同様にアプリケーションソフトがメッセージを出したり、ソフトウェアの動作を中止したりする。
【0049】
上述した第2実施形態によれば、外部メモリ109内に設けられた物理アクセス領域112を使用することによって、携帯端末装置100側の物理アクセス領域の不足によるアプリケーションプログラムの動作不良が軽減される。本第2実施形態では、ファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の2つの領域を外部メモリ109に作成したが、例えば、外部メモリ109をすべて物理アクセス領域112にすればより多くの物理アクセス領域が使用可能となり、物理アクセス領域を多く使うアプリケーションでも動作が可能となる。
【0050】
また、本第2実施形態によれば、外部メモリ109がユニークな識別用IDを持たない場合でも携帯端末装置100で作成した識別用IDを外部メモリ109に持たせることで外部メモリ109の識別が可能となり、作成した物理アクセス領域111やファイルシステムアクセス領域112の情報をそれぞれの外部メモリ109と関連付けて管理することが可能となる。
【0051】
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態による携帯端末装置は、図1または図4に示す構成と同様であるので説明を省略する。以下では、図1と同様の構成として説明する。
【0052】
本第3実施形態において外部メモリ109は、物理アクセス領域112を作成する前に既にファイルシステムによるデータ保存が発生している。また、このファイルシステムアクセス領域111は、データ管理制御部103によって管理されていない状態である。したがって、物理アクセス領域111を作成するためにはファイルシステムアクセス領域112を除いた領域内に作成する必要がある。
【0053】
以下、上記外部メモリ109に対する物理アクセス領域の設定の流れを説明する。なお、外部メモリ109は、携帯端末装置100に装着されて使用可能になっているものとする。ここで、図8は、本第3実施形態による携帯端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。図1のデータ領域設定部104は、現在設定されているファイルシステムアクセス領域111のサイズをユーザに通知する(ステップS50)。次に、ユーザは、図1のデータ領域設定部104が通知したファイルシステムアクセス領域111のサイズを元に物理アクセス領域112のサイズを指定する(ステップS52)。ここで、現状設定されているファイルシステムアクセス領域より大きいファイルシステムアクセス領域を設定する場合には、ファイルシステムアクセス領域111も再度指定する。
【0054】
次に、外部メモリ109の識別用IDを取得する(ステップS54)。そして、取得した識別用IDと設定されたファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の情報(占有割合またはサイズ)とを関連付けて、図1の外部メモリ管理部106に格納する(ステップS56)。
【0055】
上述した第3実施形態によれば、ファイルシステムアクセス領域111だけが既に作成されている外部メモリ109に対して物理アクセス領域112を付加することが可能となる。また、ファイルシステムアクセス領域111に空き領域がある状態で物理アクセス領域112への書き込みが発生した場合には、一時的にファイルシステムアクセス領域111の空き領域を物理アクセス領域112の一部として管理することで外部メモリ109の効率的な利用が可能となる。
【0056】
D.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態による携帯端末装置における外部メモリのマッピング状態について説明する。図9(a)は、外部メモリ109に設定されたファイルシステム領域111と物理アクセス領域112のマッピング例を示す概念図である。図9(a)のように分割されている状態では、ファイルシステムアクセス領域111にファイル1からファイル5までが格納され、それ以降に空き領域(未記録領域)がある状態である。この状態で物理アクセス領域112を大量に使用するようなアプリケーションが実施された場合、ファイルシステムアクセス領域111の空き領域を一時的に物理アクセス領域112の一部として利用する。
【0057】
前述した第1実施形態による構成(図1)を元にすれば、上記状態で大量の物理アクセス領域112を必要とするような場合、例えば、ストリーミング動画再生などでのバッファとして使用する場合には、図1のデータ管理制御部103が外部メモリ管理部106で管理しているファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の開始アドレス、サイズ等を一時的に変更するように指示する。
【0058】
外部メモリ管理部106は、現在の外部メモリ109のファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の開始アドレス、サイズを退避し、図9(b)のマッピングのような構成になるようにファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の開始アドレス、サイズを変更する。したがって、アプリケーションがデータ書き込みを行う外部メモリ109の物理アクセス領域112は図9(b)に示すようになる。
【0059】
上記アプリケーションが終了し、物理アクセス領域112の使用が必要なくなった時点で、外部メモリ管理部106は、退避しておいたファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の開始アドレス、サイズに戻す。
【0060】
上述した第4実施形態では、大量の物理アクセス領域112が必要な場合に一時的にファイルシステムアクセス領域111の空き領域を物理アクセス領域112として利用することで外部メモリ109を効率的に使用することができる。
【0061】
なお、上記説明においては、図1の構成での説明を行ったが、図4に示す構成(第2実施形態)でも同様の効果が得られる。また、図9(a)、(b)、および上記説明においては、識別用IDおよび識別用ID格納領域110については説明を簡略化するため省いてある。
【0062】
E.第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態における外部メモリのマッピング状態について説明する。図10(a)〜(d)は、本第5実施形態による外部メモリに設定されたファイルシステム領域と物理アクセス領域のマッピング例を示す概念図である。図10(a)のように分割されている状態でファイルシステムアクセス領域111には、ファイル1からファイル7までが格納され、それ以降に空き領域がない状態である。この状態からファイル2、ファイル7が削除された状態の外部メモリのマッピングを図10(b)に示す。この状態では、上述した第4実施形態を行ってもファイル7の分しか物理アクセス領域112として使用できず、効率が悪い。
【0063】
そこで、本第5実施形態では、この状態で物理アクセス領域112を大量に使用するようなアプリケーションが実施された場合、上記ファイルシステムアクセス領域111の隙間を詰め、これにより空いた領域を一時的に物理アクセス領域112の一部として利用する。
【0064】
前述した第1実施形態による構成(図1)を元にすれば、上記状態で大量の物理アクセス領域112を必要とするような場合、例えば、ストリーミング動画再生などでのバッファとして使用する場合には、図1のデータ管理制御部103が外部メモリ109のファイルシステムアクセス領域111にアクセスするためのファイルシステム107により、上記ファイルシステムアクセス領域111の隙間を埋める処理(デフラグ処理)を行う。
【0065】
その後、外部メモリ管理部106で管理しているファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の開始アドレス、サイズ等を一時的に変更するように指示する。外部メモリ管理部106は、現在の外部メモリ109のファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の開始アドレス、サイズを退避し、図10(c)のマッピングのような構成になるようにファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の開始アドレス、サイズを変更する。したがって、アプリケーションが、データ書き込みを行う外部メモリ109の物理アクセス領域112は図10(c)に示す領域となる。
【0066】
上記アプリケーションが終了し、物理アクセス領域112の使用が必要なくなった時点で、外部メモリ管理部106は、退避しておいたファイルシステムアクセス領域111と物理アクセス領域112の開始アドレス、サイズに戻す。但し、このとき、隙間を埋める処理によって詰められたファイルシステムアクセス領域111の各ファイルを元の位置に戻すような移動は行わず、図10(d)のようなマッピングとする。
【0067】
上述した第5実施形態では、大量の物理アクセス領域112が必要な場合に一時的にファイルシステムアクセス領域111の空き領域を物理アクセス領域112として利用することで外部メモリ109を効率的に使用することができる。
【0068】
また、本第5実施形態では、説明を簡略化するための連続したファイル単位での説明としたが、ファイルシステム107でアクセスする場合、実際にはファイルはセクタ単位でのアクセスとなり、ファイルの削除と書き込みを繰り返したことによりファイルが連続せずセクタ単位に細分化されることがある。このような場合でもセクタ単位で隙間を詰めることで本第5実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
なお、上記説明においては図1の構成での説明を行ったが、図4の構成でも同様の効果が得られる。また、図10(a)〜(d)、および上記説明において識別用ID、および、識別用ID格納領域110については説明を簡略化するため省いてある。
【0070】
上述した第1ないし第5実施形態は、マルチメディアなどのメモリ使用量が大きいアプリケーション実行可能な携帯装置において外部メモリを有する場合、外部メモリを利用して足りないメモリ量を補うことでユーザの利便性を向上させる装置にて利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態による携帯端末装置および外部メモリの構成を示すブロック図である。
【図2】本第2実施形態における、外部メモリのファイルシステム領域と物理アクセス領域の設定動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本第1実施形態におけるデータの書き込みの流れを説明するフローチャートである。
【図4】本第2実施形態による携帯端末装置および外部メモリの構成を示すブロック図である。
【図5】本第2実施形態による外部メモリ109のマッピング例を示す概念図である。
【図6】本第2実施形態における、外部メモリのファイルシステム領域と物理アクセス領域の設定動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本第2実施形態におけるデータの書き込みの流れを説明するフローチャートである。
【図8】本第3実施形態による携帯端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第4実施形態による外部メモリのマッピング状態を示す概念図である。
【図10】本第5実施形態による外部メモリに設定されたファイルシステム領域と物理アクセス領域のマッピング例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0072】
100 携帯端末装置
101 通信部
102 表示部
103 データ管理制御部(制御手段)
104 データ領域設定部(設定手段)
105 内部メモリ
106 外部メモリ管理部(管理手段)
107 ファイルシステム
108 物理アクセス部
109 外部メモリ(外部記憶媒体)
110 識別用ID領域(第3の領域)
111 ファイルシステムアクセス領域(第1の領域)
112 物理アクセス領域(第2の領域)
400 識別用ID生成部(識別用ID生成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着脱可能で、かつ書き換え可能な外部記憶媒体を備える携帯端末装置において、
前記外部記憶媒体にファイルシステムでアクセスする第1の領域とファイルシステム以外でアクセスする第2の領域とを作成し、前記第1の領域および前記第2の領域のそれぞれのサイズを設定する設定手段を具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記外部記憶媒体は、他の外部記憶媒体と識別するための識別IDを予め記憶していることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記外部記憶媒体毎に該外部記憶媒体を識別するための識別IDを生成する識別ID生成手段を具備し、
前記外部記憶媒体は、前記識別IDを格納する第3の領域を有することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記識別IDと、前記第1の領域の開始アドレスおよびサイズと、前記第2の領域の開始アドレスおよびサイズとを関連付けて管理する管理手段を具備することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記第1の領域に空き領域がある場合に、前記空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用する制御手段を具備することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の領域の空き領域がファイルの削除により既存データ間に生じた隙間領域である場合に、前記隙間領域を連続した空き領域となるように既存データの移動を行い、前記連続した空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記管理手段は、前記第2の領域として一時利用された空き領域を、一時利用終了後、再び前記第1の領域に設定することを特徴とする請求項5または6に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
少なくとも着脱可能で、かつ書き換え可能な外部記憶媒体に対するデータアクセス方法において、
前記外部記憶媒体にファイルシステムでアクセスする第1の領域とファイルシステム以外でアクセスする第2の領域とを作成し、前記第1の領域および前記第2の領域のそれぞれのサイズを設定することを特徴とするデータアクセス方法。
【請求項9】
前記外部記憶媒体は、他の外部記憶媒体と識別するための識別IDを記憶しており、
前記識別IDと、前記第1の領域の開始アドレスおよびサイズと、前記第2の領域の開始アドレスおよびサイズとを関連付けて管理することを特徴とする請求項8記載のデータアクセス方法。
【請求項10】
前記第1の領域に空き領域がある場合に、前記空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用することを特徴とする請求項8または9に記載のデータアクセス方法。
【請求項11】
前記第1の領域の空き領域がファイルの削除により既存データ間に生じた隙間領域である場合に、前記隙間領域を連続した空き領域となるように既存データの移動を行い、前記連続した空き領域を前記第2の領域の一部として一時的に使用することを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載のデータアクセス方法。
【請求項12】
前記第2の領域として一時利用された空き領域を、一時利用終了後、再び前記第1の領域に設定することを特徴とする請求項10または11に記載のデータアクセス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−163622(P2006−163622A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351723(P2004−351723)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】