説明

携帯電話機検知装置

【課題】ICカードを搭載した携帯電話機の盗難および紛失の防止を、ICカードを搭載した携帯電話機に他の機器を搭載することなく手軽に実現する。
【解決手段】非接触式のICカードを搭載した携帯電話機10と無線通信する携帯電話機検知装置20であって、本発明に係る携帯電話機検知装置20は、ICカードから送信される応答信号を受信する応答受信部204と、ICカードの個体を識別できる情報である対象情報202aを記憶している対象記憶部202と、対象記憶部202が記憶している対象情報202aを含む応答信号が応答受信部204により受信されたか否かを判定する判定部212とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機の置き忘れや盗難を検知する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触式のIC(Integrated Circuit)カードを搭載した携帯電話機により、ユーザはICカードの非接触インターフェース機能を利用した様々サービスを受けることができる。これは、ユーザの利便性を向上させる一方で、盗難され、または紛失した携帯電話機を不正に利用されることによる、ユーザの経済的損害を大きくする危険や個人情報が漏洩する危険を増大させている。ユーザが大きな経済的損害を受ける一例として、携帯電話機を窃取した者によりICカード機能を利用した決済サービスを悪用される場合がある。
【0003】
従来、携帯電話機の置き忘れや盗難を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の方法は、携帯電話機が発信器から送信される暗証番号を受信し、携帯電話機に予め設定されている暗証番号と受信した暗証番号とを比較することにより、正当な利用者が一定の範囲内にいるか否かを判断する。
【特許文献1】特開平7−87559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触式のICカード機能を利用したサービスが多様になるに従って、ICカードを搭載した携帯電話機の不正利用によるユーザの被害が拡大する危険が大きいため、ユーザが手軽に盗難または紛失を防止できる技術の提供は喫緊の課題である。
【0005】
しかしながら、従来の盗難防止方法は、発信器から送信される暗証番号を受信する機器を新たに携帯電話機に搭載しなければならないという問題がある。一般のユーザがそのような受信器を携帯電話機に搭載させることは困難であり、従来の盗難防止方法を手軽に実現することができない。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、ICカードを搭載した携帯電話機について、それに新たな機器を搭載させることなく盗難および紛失の防止を手軽に実現することが可能な携帯電話機検知装置の提供を目的とする。
【0007】
ここで、「ICカードを搭載した携帯電話機」とは、ICカードそのものを搭載した携帯電話だけでなく、ICチップおよびアンテナを内蔵することにより非接触式のICカード機能を搭載した携帯電話機をも含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る携帯電話機検知装置は、非接触式のICカードを搭載した携帯電話機と無線通信する携帯電話機検知装置であって、前記ICカードから送信される応答信号を受信する応答受信手段と、前記ICカードの個体を識別できる情報であるID情報を記憶している記憶手段と、前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じた情報をユーザに通知する通知手段とを備える。
【0009】
このように本発明に係る携帯電話検知装置は、携帯電話機に搭載されているICカードから送信される、当該ICカードに固有の情報を含む電波を受信したか否かを判定し、電波を受信できない場合にそれをユーザに通知する。これにより、ユーザが携帯電話機の置忘れや盗難に気付くことができ、携帯電話機の置き忘れ等による紛失防止および盗難防止を実現することが可能となる。
【0010】
また、携帯電話機に新たな機器を搭載する必要がないため、ユーザは携帯電話機の紛失防止および盗難防止を手軽に実現することが可能となる。
【0011】
好ましくは、前記通知手段は、前記ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知するものであり、前記携帯電話機検知装置は、さらに、前記判定手段が、前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されていないと判定した場合に、前記通知手段により、前記ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知させる通知制御手段を備える。
【0012】
また、前記通知手段は、音、光、振動および画面表示のいずれか1つまたは複数の組み合わせにより、前記通知制御手段の制御に従って、前記ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知する。
【0013】
このような通知をすることにより、携帯電話機検知装置のユーザは携帯電話機の置き忘れや盗難に気付くことができる。そのため、携帯電話機を置き忘れまたは盗難された場合であっても、ユーザは直ちに適切な措置を講じることができ、不正利用による被害を抑えることが可能となる。
【0014】
さらに好ましくは、前記記憶手段は、複数の前記ICカードに関連するID情報を記憶し、前記判定手段は、前記記憶手段が記憶している前記各ID情報について、前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されたか否かを判定し、前記通知制御手段は、前記判定手段が、前記記憶手段が記憶している前記各ID情報について、前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されていないと判定した場合に、前記通知手段により前記各ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知させる。
【0015】
これにより、複数の携帯電話機を携帯するユーザであっても、1台の携帯電話機検知装置を携帯するだけで、各携帯電話機の置き忘れや盗難の防止を図ることが可能となる。
【0016】
さらに好ましくは、前記判定手段は、前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されていないと判断し、その後に、前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されたと判断した場合には、前記応答受信手段により受信された前記応答信号の強度を判定し、前記通知制御手段は、前記判定手段により判定される前記応答受信手段により受信された前記応答信号の強度に応じて、前記通知手段によるユーザへの通知方法を変化させることで、前記通知手段により前記ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知させる。
【0017】
このような通知手段を備えることにより、ユーザの発見を助けることが可能になる。
さらに好ましくは、前記通知制御手段は、前記判定手段が、前記応答受信手段により受信される前記応答信号の強度が予め定めた強さ以上であると判断した場合に、前記通知手段によるユーザへの通知を停止させる。
【0018】
これにより、携帯電話機検知装置を発見したユーザは、通知を停止させるために煩わしい操作をする必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
【0019】
さらに好ましくは、ICカードを搭載した携帯電話機であって、携帯電話機検知装置からの要求信号を受信する要求受信手段と、決済サービスを提供する決済手段と、前記要求受信手段が前記要求信号を受信していないと判断した場合に、前記決済手段が提供する前記決済サービスを停止させるカード制御手段とを備える。
【0020】
このように、携帯電話機は、携帯電話機検知装置からの信号の受信状態によって置き忘れや盗難を検知し、ICカードが有する機能を停止させるため、置き忘れまたは盗難された場合であっても不正に利用されることによる被害を抑えることが可能となる。
【0021】
さらに好ましくは、前記カード制御手段は、前記決済手段が提供する前記決済サービスの停止中に前記要求受信手段が予め定められた強さより強い前記要求信号を受信したと判断した場合に、前記決済サービスの停止を解除させる。
【0022】
このように、ユーザが発見すると、携帯電話機が停止していたICカードが有する機能の停止を自動的に解除するため、携帯電話機検知装置を発見したユーザは煩わしい操作をする必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0023】
なお、本発明は、このような特徴的な手段を備える携帯電話機検知装置として実現することができるだけでなく、携帯電話機検知装置に含まれる特徴的な手段をステップとする携帯電話機検知方法として実現できる。
【0024】
また、本発明は、携帯電話機検知装置に含まれる特徴的な手段をステップとするプログラムをコンピュータに実行させることにより実現することもできる。そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができる。
【0025】
さらに、本発明は、このような特徴的な手段を備える携帯電話機検知装置と携帯電話機とにより構成される携帯電話機検知システムとして実現することもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、ICカードを搭載した携帯電話機の置き忘れ等による紛失防止および盗難防止を手軽に実現することが可能となる。また、ユーザは携帯電話機の紛失や盗難に早く気付くことができる等、万一紛失しまたは盗難された場合であっても不正に利用されることによる被害を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る携帯電話機検知装置(以下、「検知装置」という。)の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態に係る携帯電話機検知システムの外観を示す図である。本実施の形態にかかる携帯電話機検知システムは、携帯電話機10と検知装置20とにより構成され、ユーザは携帯電話機10とともに検知装置20を携帯する。
【0029】
携帯電話機10は、非接触式のICカードを搭載した携帯電話機である。ユーザは、携帯電話機10を利用して、他の携帯電話機との音声および文字による通信サービスの他、ICカードにより提供される各種サービスを受けることができる。
【0030】
検知装置20は、ユーザが携帯電話機10を置き忘れることや、ユーザの携帯電話機10が盗まれたことを検知し、それをユーザに通知する装置である。
【0031】
検知装置20は、電源のONとOFFとを切り替える電源ボタン22と、検知装置20の設定をリセットするリセットボタン24と、携帯電話機10との通信状態や携帯電話機10の置き忘れや盗難をユーザに通知するための部位26、28、30および32とを備える。
【0032】
本実施の形態において、携帯電話機10との通信状態や携帯電話機10の置き忘れや盗難をユーザに通知するための部位は、LED(Light Emitting Diode)26と、LCD(Liquid Crystal Display)28と、スピーカ30と、振動子32とである。
【0033】
図2は、本実施の形態に係る携帯電話機10および検知装置20の機能的構成を示す図である。ユーザが電源ボタン22を押下することにより検知装置20の電源がONにされると、検知装置20は、携帯電話機10との間で電波を送受信することによって、携帯電話機10の置忘れや盗難を検知する。
【0034】
まず、携帯電話機10は、決済サービスを提供する機能を有するICチップ102と、ICチップに接続されたアンテナ103と、他の携帯電話機との間で音声情報や文字情報等を通信する機能を有する電話機通信部104と、ICチップ102および電話機通信部104を制御する電話機制御部106とを備える。
【0035】
ICチップ102は、ID(Identification)記憶部108と、要求受信部110と、応答送信部112と、決済部114と、チップ制御部116とを備える。ICチップ102と、ICチップ102に接続されたアンテナ103とにより、ICカード機能が実現される。以下、ICチップ102およびアンテナ103を総称して、「ICカード」という。
【0036】
ID記憶部108は、ICチップ102の個体を識別できる情報であるID情報を記憶している記憶部である。
【0037】
図3は、ID記憶部108が記憶しているID情報108aの例を示す図である。本実施の形態に係るICチップ102のID情報108aは、「aa001」であるとする。
【0038】
要求受信部110は、アンテナ103を介して検知装置20から送信された要求信号を受信する部位である。
【0039】
「要求信号」とは、検知装置20が送信する電波であり、携帯電話機10に返信を要求する信号である。
【0040】
応答送信部112は、アンテナ103を介して応答信号を送信する部位である。
「応答信号」とは、携帯電話機に搭載されたICカードから送信される電波であり、携帯電話機を特定できる情報、例えば、携帯電話機に搭載されたICチップのID情報、を含む。
【0041】
決済部114は、決済サービスを提供するための処理部である。決済サービスには、例えば、クレジット決済サービスや電子マネーによる決済サービス等がある。
【0042】
チップ制御部116は、ICチップ102が有する各部を制御する部位であり、本実施の形態では、ID記憶部108と、要求受信部110と、応答送信部112と、決済部114とを制御する。
【0043】
チップ制御部116は、要求受信部110が要求信号を受信したことを受けて、ID記憶部108が記憶しているID情報108aを読み出し、そのID情報108aを含む応答信号を応答送信部112に送信させる。
【0044】
また、チップ制御部116は、携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知すると、決済部の機能を停止させる。これにより、携帯電話機10を拾得し、または盗んだ者により決済サービスが不当に利用されることを防止できる。
【0045】
次に、検知装置20は、対象記憶部202と、応答受信部204と、要求送信部206と、通知制御部208と、通知部210と、判定部212とを備える。
【0046】
対象記憶部202は、置き忘れや盗難の検知の対象となる携帯電話機10に搭載されたICチップ102のID情報108aを記憶している部位であり、例えば、不揮発メモリ等により実現される。
【0047】
ユーザがリセットボタン24を押下することにより、対象記憶部202の保持内容は消去される。これによって、携帯電話機10の故障や買い替えなどにより、ICチップ102のID情報108aに変更が生じた場合に、検知対象となる携帯電話機10を変更することが可能となる。
【0048】
図4は、対象記憶部202が記憶している対象情報202aの例を示す図である。本実施の形態における対象情報202aは、携帯電話機10に搭載されたICカードのID情報と同一である「aa001」を内容とする。
【0049】
応答受信部204は、ICカードからの応答信号を受信する部位であり、例えば、アンテナにより実現される。
【0050】
要求送信部206は、後述する判定部212からの出力に従って、要求信号を送信する部位である。
【0051】
通知制御部208は、後述する判定部212からの出力に従って、通知部210を制御する部位である。
【0052】
通知部210は、通知制御部210の制御に従って、ユーザに通知する部位であり、例えば、LED26、LCD28、スピーカ30および振動子32等により実現される。なお、通知部212は、これらのいずれか1つまたは任意の組み合わせでも、またこれらの全てでも構わない。
【0053】
判定部212は、自身が判断した結果に従って、対象記憶部202に対象情報202aを格納し、要求送信部206に指示を出力し、または通知制御部208に指示を出力することを決定する処理部である。
【0054】
判定部212が判断する内容には、(1)対象記憶部208に対象情報202aが格納されているか否か、(2)応答受信部204が応答信号を受信したか否か、(3)応答信号に含まれるID情報と対象情報202aとが一致するか否か、および(4)応答信号の強さがある。
【0055】
図5は、本実施の形態に係る携帯電話機10および検知装置20が実行する処理のフローチャートである。
【0056】
検知装置20は、ユーザにより電源がONにされると、対象記憶部202に対象情報202aが格納されているか否かを判断する(S1)。
【0057】
対象記憶部202に対象情報202aが格納されていないと判断した場合(S1でNo)、検知装置20は初期設定を実行する(S2)。また、対象記憶部202に対象情報202aが格納されていると判断した場合(S1でYes)、検知装置20は要求信号および応答信号の送受信を実行する(S3)。
【0058】
図6は、本実施の携帯に係る携帯電話機10および検知装置20が実行する初期設定処理(S2)のタイムチャートである。
【0059】
まず、検知装置20は携帯電話機10に設定要求601を送信する。設定要求601は、要求信号の1つである。
【0060】
次に、設定要求を受信した携帯電話機10は、ID記憶部108が記憶しているID情報108aを含む応答信号602を送信する。続けて、検知装置20は、受信したID情報108aを対象記憶部202に格納する。
【0061】
検知装置20と携帯電話機10とのそれぞれにおける初期設定処理(S2)の詳細を、図7と図8とを参照して、以下に説明する。
【0062】
図7は、本実施の形態に係る検知装置20が初期設定(S2)において実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【0063】
要求送信部206は、対象記憶部202に対象情報202aが格納されていないと判定した判定部212から、設定要求601の送信指示受けて、設定要求601を送信する(S11)。
【0064】
判定部206は、ID情報を含む応答信号602を要求受信部204が受信したか否かを判定する(S12)。ID情報を含む応答信号602を受信していないと判定した場合(S12でNo)、判定部212は設定要求601の送信指示の出力(S11)に戻る。
【0065】
ID情報を含む応答信号602を受信したと判定した場合(S12でYes)、判定部212はそのID情報を対照記憶部202に対象情報202aとして格納し(S13)、処理を終了する。
【0066】
このとき、検知装置20の近くにある他の携帯電話機からの信号に含まれるID情報を誤って設定することを防止するため、ユーザが携帯電話機10を検知装置20に接触させた際に得られる強さ、ないし数センチの距離、例えば、5センチや10センチにユーザが携帯電話機10を検知装置20に近づけた際に得られる強さ、ないし数センチの距離を受信したときに、格納処理(S13)を行うことにしてもよい。
【0067】
この場合、判定部212は、携帯電話機10と検知装置20とが接触した状態ないし数センチの距離にある状態において受信する応答信号602の強さを「設定閾値」として保持する。そして、判定部212は、受信した応答信号602の強さが設定閾値以上である場合に当該応答信号602に含まれるID情報を格納する(S13)。
【0068】
図8は、本実施の形態に係る携帯電話機10が初期設定(S2)において実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【0069】
チップ制御部116は、要求受信部110が設定要求601を受信したか否かを判断する(S21)。設定要求601を受信していないと判断した場合(S21でNo)、チップ制御部116は、要求受信部119が設定要求601を受信したか否かの判断(S21)を継続する。
【0070】
設定要求601を受信したと判断した場合(S21でYes)、応答送信部112はチップ制御部116の指示を受けて、ID記憶部108からID情報108aを読み出し、そのID情報108aを含む応答信号602を送信し(S22)、処理を終了する。
【0071】
以上により、初期設定が行われる。本実施の形態に係る検知装置20を利用するユーザは、初期設定において、ID情報108aを手入力する等の面倒な操作をする必要がない。
【0072】
図9は、本実施の形態に係る検知装置20が送受信S3において実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【0073】
要求送信部206は、応答要求を送信する(S31)。
判定部212は、応答受信部204により応答信号が受信されたか否かを判断する(S32)。応答信号が受信されたと判断した場合(S32でYes)、判定部212は、さらに、その応答信号に含まれるID情報と対象情報202aとが一致するか否かを判断する(S33)。ID情報と対象情報202aとが一致すると判断した場合(S33でYes)、要求送信部206は、判定部212の判断を受けて、応答要求を送信する(S31)。
【0074】
以上が、携帯電話機10の置き忘れや盗難がない場合の処理である。
応答信号が受信されないと判断した場合(S32でNo)およびID情報と対象情報202aとが一致しないと判断した場合(S33でNo)、判定部212は通知制御部208を介して通知部210によるユーザへ通知を開始させる(S34)。
【0075】
以上が、検知装置20による置き忘れや盗難の検知に係る処理である。検知装置20は、置き忘れや盗難があると、ユーザが携帯する検知装置20と携帯電話機10との距離が離れ、検知装置20は携帯電話機10からの応答信号を受信できなくなることを利用して、置き忘れや盗難を検知する。
【0076】
ここで、図10を参照して通知時の検知装置20の動作およびLCD28上の表示の例について説明する。
【0077】
図10は、携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知した場合の、検知装置20の動作およびLCD28上の表示の例を示す図である。LCD28には、「携帯電話(aa001)を検知できません。」と表示される。また、LCD26が発光し、スピーカ30が鳴動し、振動子32が振動する。
【0078】
このように、携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知した検知装置20が、それをユーザに通知することにより、ユーザは置き忘れや盗難に早く気づくことができる。置き忘れや盗難に早く気づくことは携帯電話機10の発見を容易にする。
【0079】
また、発見できない場合には速やかに、ICカードによる提供される各種サービスをユーザが停止するなどの手立てを講じることができるため、ユーザは被害を小さく抑えられる。
【0080】
ここから、図9の説明に戻る。
通知部210が置き忘れや盗難を検知したことをユーザに通知する上記の処理(S34)を実行した後、要求送信部206は応答要求を送信する(S35)。続けて、判定部212は応答受信部204が応答信号を受信したか否かを判断する(S36)。
【0081】
応答信号を受信したと判断した場合(S36でYes)、判定部212は、さらに、受信した応答信号に含まれるID情報と対象情報202aとが一致するか否かを判断する(S37)。
【0082】
ID情報と対象情報202aとが一致すると判断した場合(S37でYes)、判定部212は応答受信部204が受信した信号の強さ判定する(S38)。
【0083】
続けて、判定部212は、判定した受信信号の強さが第1の閾値以上であるか否かを判断する(S39)。
【0084】
ここで、「第1の閾値」とは、携帯電話機がユーザにより発見されたか否かを判断する基準である。
【0085】
「第1の閾値」は、例えば、初期設定と同様に、接触した状態ないし数センチ程度の距離、例えば、5センチや10センチで受信する信号の強さである。ユーザが携帯電話機10を発見すると、携帯電話機10を検知装置20に近づけることが可能なため、このような第1の閾値を設定することで、判定部212はユーザが発見したが否かを確実に判断することができる。
【0086】
受信した信号の強さが第1の閾値以上であると判断した場合(S39でYes)、通知制御部208は判定部212から通知の停止指示を受けて、通知部210によるユーザへの通知を停止させる(S40)。
【0087】
受信した信号の強さが第1の閾値より弱いと判断した場合(S39でNo)、通知制御部208は、判定部212により判定された受信信号の強さを受け、その強さに応じて通知部210によるユーザへの通知を変化させる(S41)。
【0088】
以上が、置き忘れや盗難等がされた携帯電話機10をユーザが発見するまでの処理である。受信した信号の強さにより通知部210によるユーザへの通知を変更しまたは停止させることは、携帯電話機10と検知装置20との距離が近いほど、応答受信部204が受信する信号の強さが強くなることを利用している。
【0089】
ここで、置忘れや盗難後の携帯電話機10および検知装置20の場所的関係と通知方法の変更の具体例について、図11から図15までを参照して説明する。
【0090】
信号の強さは、例えば、上記の第1の閾値の他、第2の閾値を予め判定部212が保持することにより、「最も強い」場合と、「強い」場合と、「弱い」場合とに分類できる。
【0091】
まず、「最も強い」場合とは、携帯電話機10から受信した信号の強さが第1の閾値以上である場合である。このとき、判定部212は、ユーザが携帯電話機10を発見したと判断し、上記のように、通知制御部208に通知部210の通知を停止させる(S40)。
【0092】
図11は、携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知した後に、発見を検知した場合の、携帯電話機10と検知装置20との距離の関係を表す図である。
【0093】
本図の点線は、検知対象である携帯電話機装置10に近い順に、第1の閾値に対応する強さの応答信号を受信できる限界点を結ぶ円である「第1閾値境界」701の全部と、第2の閾値に対応する強さの応答信号を受信できる限界点を結ぶ円である「第2閾値境界」702の一部と、応答信号が受信可能な限界点を結ぶ円である「受信可能境界」703の一部とを表す。
【0094】
これらの各境界線は、障害物等が存在しない理想的な環境では、携帯電話機10を中心とする同心円である。しかしながら、各境界線が、障害物や他の電波との干渉など使用環境によって、様々な形状となることはもちろんである。
【0095】
本図に示す検知装置20の応答受信部202は、第1閾値境界701の内部にあるため、「最も強い」信号を受信する。
【0096】
次に、「強い」場合とは、携帯電話機10から受信した信号の強さが第2の閾値以上の強さであるが第1の閾値より弱い場合である。このとき、判定部212は、ユーザの近くに携帯電話機10があると判断し、通知部210は、通信状態が「強い」信号を受信している状態であること、または携帯電話機10との距離が「近い」ことをユーザに通知する。
【0097】
図12は、携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知してから発見を検知するまでに、強い応答信号を受信する場合の、携帯電話機10と検知装置20との距離の関係を表す図である。本図に示す検知装置20の応答受信部202は、第2閾値境界702の内部、かつ、第1閾値境界701の外部にあるため、「強い」信号を受信する。
【0098】
このときのユーザへの通知方法の一例について、図13を参照して説明する。
図13は、携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知してから発見を検知するまでに、強い応答信号を受信した場合の、検知装置20の動作およびLCD28上の表示の例を示す図である。
【0099】
受信した応答信号の強さが「強い」という判定部212の判断結果を受けた通知制御部208は、LCD28に「携帯電話(aa001)を近くに検知しました。」と表示させる。また、通知制御部208は、LCD26の発光、スピーカ30の鳴動、および振動子32の振動を継続させる。
【0100】
さらに、「弱い」場合とは、携帯電話機10からの信号を受信したがその強さが第2の閾値より弱い場合である。このとき、判定部212は、携帯電話機10は未だユーザから「遠い」と判断し、通知部210は、通信状態が「弱い」信号を受信している状態であること、または携帯電話機10との距離が「遠い」ことをユーザに通知する。
【0101】
図14は、携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知してから発見を検知するまでに、弱い応答信号を受信した場合の、携帯電話機10と検知装置20との距離の関係を表す図である。本図に示す検知装置20の応答受信部202は、受信可能境界703の内部、かつ、第2閾値境界702の外部にあるため、「弱い」信号を受信する。
【0102】
このときのユーザへの通知方法の一例について、図15を参照して説明する。
図15は、携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知してから発見を検知するまでに、弱い応答信号を受信した場合の、検知装置10の動作およびLCD28上の表示の例を示す図である。
【0103】
受信した応答信号の強さが「弱い」との判定部212の判断結果を受けた通知制御部208は、LCD28に「携帯電話(aa001)を遠くに検知しました。」と表示させる。また、通知制御部208は、LCD26の発光、スピーカ30の鳴動、および振動子32の振動を継続させる。
【0104】
なお、LCD26の発光パターン、スピーカ30の鳴動パターン、および振動子32の振動パターンについて、携帯電話機10から受信した信号の強さが、最も強い場合、強い場合、および弱い場合と、置き忘れや盗難を検知した直後とで、動作パターンを変化させてもよい。
【0105】
このように、検知装置20が、携帯電話機10とのおよそ距離をユーザに通知することは、ユーザの発見を容易にする。また、検知装置20のこのような通知は、置き忘れや盗難後に、携帯電話機を探す、携帯電話機が提供するサービスを停止するなど、より適切なユーザの判断を支援することができる。
【0106】
ここから、図9の説明に戻る。
応答信号を受信していないと判断した場合(S36でNo)およびID情報と対象情報202aとが一致しないと判断した場合(S37でNo)、すなわち、判定部212が携帯電話機10の発見を検知しない場合、判定部212はユーザにより電源がOFFにされたか否かを判断する(S40)。電源がOFFにされている場合(S40でYes)、検知装置20はすべての処理を終了する。
【0107】
電源がOFFにされていない場合(S40でNo)、判定部212は通知処理(S34)に戻り、通知制御部208を介して通知部210によるユーザへ通知を継続させる。
【0108】
以上が、送受信処理(S3)において、本実施の形態に係る検知装置20が実行する処理の詳細である。次に、図16を参照して、送受信処理(S3)において、本実施の形態に係る携帯電話機10が実行する処理の詳細を説明する。
【0109】
図16は、本実施の形態に係る携帯電話機10が送受信S3において実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【0110】
チップ制御部116は、要求受信部110が応答要求を受信したか否かを判断する(S51)。応答要求を受信したと判断すると(S51でYes)、応答送信部112は、チップ制御部116からの応答送信指示を受けて、ID情報108aを含む応答信号を送信し(S52)、処理を終了する。
【0111】
要求受信部110が応答要求を受信する場合、携帯電話機10は、携帯電話機10が検知装置20とともにユーザの手元にあり、置き忘れや盗難がないと判断して、以上の処理を継続する。
【0112】
また、要求受信部110が応答要求を受信していないと判断した場合(S51でNo)、チップ制御部116は決済部114の機能を停止させる(S53)。
【0113】
これまで説明したように、携帯電話機10と検知装置20とは電波信号の送受信という連係動作により、携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知する。検知装置20が置忘れや盗難を検知する場合には、携帯電話機10と検知装置20との間の信号の送受信に関して、2つの状態がある。各状態について図17および図18を参照して説明する。
【0114】
図17は、検知装置20が携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知する場合の、携帯電話機10と検知装置20との間の送受信の第1の状態を示す図である。
【0115】
本図は、検知装置20からの要求信号が携帯電話機10に到達しておらず、そのため、携帯電話機10のチップ制御部116が、応答要求を受信していないと判断し(S51でNo)、応答送信指示の出力を実行しない状態を表す。
【0116】
図18は、検知装置20が携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知する場合の、携帯電話機10と検知装置20との間の送受信の第2の状態を示す図である。
【0117】
本図は、検知装置20からの要求信号が携帯電話機10に到達し、それに応じて、携帯電話機10の応答送信部112が応答信号を送信したが(S52)、その応答信号が検知装置20に到達していない状態を表す。
【0118】
図17および図18に示す、検知装置20が応答信号を受信できない状態は、携帯電話機10が検知装置20から離れることや、携帯電話機10と検知装置20との間に電波の伝達を阻害する障害物が介在すること等により生じる。これらは、一般に、携帯電話機10がユーザの管理が及ばなくなったことが原因であり、例えば、置き忘れがあり、または盗まれた可能性が高い。従って、検知装置20は、応答信号を受信できないことにより、置き忘れや盗難を検知できる。
【0119】
このように、要求信号を受信できないときに置き忘れや盗難を検知し、携帯電話機10の決済機能を停止する。これにより、置き忘れた携帯電話を拾得した者や盗んだ者がICカードを利用して提供される決済サービスを受けることができなくなり、ICカードの悪用によるユーザの被害を抑えることが可能となる。
【0120】
ここから、図16の説明に戻る。
決済部114の機能停止(S53)に続けて、要求受信部110は、要求受信部110が応答要求を受信したか否かを判断する(S54)。
【0121】
要求受信部110が応答要求を受信していないと判断した場合(S54でNo)、チップ制御部116は決済部114の機能の停止(S53)以降の処理を継続する。
【0122】
また、要求受信部110が応答要求を受信したと判断した場合(S54でYes)、応答送信部112は、チップ制御部116からの応答送信指示を受けて、ID情報108aを含む応答信号を送信する(S55)。続けて、チップ制御部116は、要求受信部110が受信した要求信号の強さを判定し(S56)、要求信号の強さが第3の閾値以上であるか否かを判断する(S57)。
【0123】
ここで、第3の閾値は、携帯電話機がユーザにより発見されたか否かを判断する基準であり、例えば、検知装置20が接触ないし数センチ程度の距離にある状態で受信する信号の強さである。第3の閾値は、携帯電話機10のチップ制御部116が予め保持する。
【0124】
携帯電話機10が受信する要求信号の強さは要求信号を送信している検知装置20との距離に依存するため、検知装置20が接触ないし数センチ程度の距離にある状態で受信する信号の強さは極めて強い。
【0125】
ユーザが携帯電話機を発見すると検知装置に近づけることが可能なため、このように第3の閾値を設定することで、携帯電話機10はユーザにより発見されたが否かを確実に判断することができる。
【0126】
要求信号の強さが第3の閾値より弱いと判断した場合(S57でNo)、チップ制御部116は決済部114の機能の停止(S53)以降の処理を継続する。
【0127】
要求信号の強さが第3の閾値以上の強さであると判断した場合(S57でYes)、チップ制御部116は決済機能の停止を解除し(S58)、処理を終了する。
【0128】
このように、受信した要求信号の強さが第3の閾値以上の強さである場合、携帯電話機10端末は、正当なユーザの手元に戻ったと判断して、決済機能の停止を解除する。ICカードの提供するサービスをユーザが利用できる状態に復帰させた携帯電話機10は、応答要求の受信判断(S51)以下の処理を継続する。
【0129】
ここで、ICカードが提供するサービスが利用できる状態への復帰は、ユーザが携帯電話機10を確実に発見したときのみになされる必要がある。すなわち、携帯電話機10が検知装置20の近くにあるものの、ユーザが発見していない場合に復帰させることは、好ましくない。
【0130】
そこで、上記のような第3の閾値を設けることにより、ユーザが携帯電話機10を発見した場合にのみ、ICカードの提供するサービスをユーザが利用できる状態に復帰させることを、確実にすることが可能となる。
【0131】
また、このように携帯電話機10を発見したユーザには、携帯電話機10と検知装置20とを接触ないし近接させるという簡単な操作が要求されるだけであり、ユーザはその他の煩わしい操作をすることなくICカードの提供するサービスを利用することができる。そのため、携帯電話機10を発見したときのユーザの利便性は向上する。
【0132】
以上、本発明の実施の形態に係る携帯電話機10および検知装置20について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0133】
1台の検知装置が複数台の携帯電話機の置忘れや盗難を検知してもよい。
図19は、一変形例に係る検知装置30および携帯電話機10、40の機能的構成を示す図である。2台の携帯電話機10、40のうち、いずれか1つでも置き忘れた場合または盗難された場合、検知装置30はそれを検知し、ユーザに通知する。
【0134】
図19に示す携帯電話機10および40は、図2に示す携帯電話機10と同一の機能を備えており、同一の機能を有する部位にはそれぞれ同一の参照符号を付している。図14に示す一方の携帯電話機40と図2に示す携帯電話機10との違いは、ICチップ102、104が備えるID記憶部108、408が保持しているID情報108a、408aである。
【0135】
図20は、ID記憶部408が記憶しているID情報408aの例を示す図である。本図に例示される、携帯電話機40に搭載されたICチップ402のID記憶部408が保持するID情報408aは、「bb002」である。
【0136】
図19に示す検知装置30は、図2に示す検知装置20と同一の機能を備えており、同一の機能を有する部位にはそれぞれ同一の参照符号を付している。図19に示す検知装置30と図2に示す検知装置20との違いは、対象記憶部202、302が記憶している対象情報202a、302aである。
【0137】
図21は、対象記憶部302が記憶している対象情報302aの他の例を示す図である。本図に例示される対象情報302aは、検知の対象として設定された各携帯電話機10、40に付与される「管理番号」と、検知対象として設定された各携帯電話機10、40に搭載されているICチップ102、104の「ID情報」とから構成される。
【0138】
本図は、例えば、携帯電話機10に付与された「管理番号」は「1」であることを表す。また本図は、例えば、「管理番号」の「1」に対応付けて、携帯電話機10に搭載されたICチップ102のID情報102aである「aa001」が格納されていることを表す。
【0139】
初期設定において、検知装置30は図7に示す処理を各携帯電話機10、40について実行し、また、携帯電話機10、40は図8に示す処理を実行する。
【0140】
また、送受信処理において、検知装置30は、図9に示す処理を、検知対象として設定された各携帯電話機10、40について実行し、また各携帯電話機10、40は図16に示す処理を実行する。
【0141】
これらの処理を実行するで、1台の検知装置30が2台の携帯電話機10、40の置き忘れや盗難を検知することができる。
【0142】
なお、1台の検知装置が3台以上の携帯電話機の置き忘れや盗難を検知することも、検知装置および検知対象となる各携帯電話機が、各携帯電話機に搭載されたICカードのID情報を検知装置が備える対象記憶部に格納する初期設定を実行することと、検知装置が、各携帯電話機について図9に示す処理を実行することと、各携帯電話機が図16に示す処理を実行することとにより、実現できる。
【0143】
なお、携帯電話機10と検知装置20との大きさの関係は、図1、図2、図19等に示す関係に限られない。また、検知装置20の形状は、図1、図2、図19等に示す形状に限られない。
【0144】
検知装置20の大きさは、ユーザの携帯に適した大きさであることが好ましい。例えば、鞄に入れられる程度の大きさの装置であり、財布に収められる程度の大きさのカード状の装置であり、時計のバンドに装着できる程度の大きさのブロック状、円柱状または円盤状の装置である。また、時計など人が通常、身に付けているものの内部に搭載されてもよい。
【0145】
また、検知装置が、携帯電話機の置忘れや盗難を検地した後、携帯電話機からの信号を受信した場合に、実施の形態では、判定部212が第2の閾値を保持し、受信信号が「強い」か「弱い」かを判断したが、第2の閾値を保持することなく、判定部212が受信信号の強さを連続的に判断しても構わない。
【0146】
受信信号の強さの連続的な判断とは、例えば、受信信号を受信できない場合を「0」、第1の閾値に該当する受信信号の強さを「100」として、その間の受信信号の強さを0から100までの数値に換算することなどである。
【0147】
そして、この場合、通知制御部208は判定部212が判定した受信信号の強さに応じて、通知部210による通知方法を、実施の形態のように段階的に変化させるだけでなく、連続的に変化させても構わない。
【0148】
通知方法を連続的に変化させる方法には、例えば、LED26の点滅周期や、LCD28上の受信信号の強さの数値表示や棒グラフなどによる画像表示や、スピーカ30の音量やスピーカ30から発せられるブザーの周期や、振動子32の振動周期などを連続的に変える方法がある。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、ICカードを搭載した携帯電話機を検知する装置に適用でき、特にICカードを搭載した携帯電話機の置き忘れや盗難等を防止する装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本実施の形態に係る携帯電話機検知システムの外観を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る携帯電話機検知装置および携帯電話機の機能的構成を示す図である。
【図3】ID記憶部が記憶しているID情報の例を示す図である。
【図4】対象記憶部が記憶している対象情報の例を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る携帯電話機検知装置および携帯電話機が実行する処理のフローチャートである。
【図6】本実施の携帯に係る携帯電話機および携帯電話機検知装置が実行する初期設定処理S2のタイムチャートである。
【図7】本実施の形態に係る携帯電話機検知装置が初期設定S2において実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態に係る携帯電話機が初期設定S2において実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】本実施の形態に係る携帯電話機検知装置が送受信S3において実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】携帯電話機の置き忘れや盗難を検知した場合の、検知装置の動作およびLCD上の表示の例を示す図である。
【図11】携帯電話機の置き忘れや盗難を検知した後に、発見を検知した場合の、携帯電話機と検知装置との距離の関係を表す図である。
【図12】携帯電話機の置き忘れや盗難を検知してから発見を検知するまでに、強い応答信号を受信した場合の、携帯電話機と検知装置との距離の関係を表す図である。
【図13】携帯電話機の置き忘れや盗難を検知してから発見を検知するまでに、強い応答信号を受信した場合の、検知装置の動作およびLCD上の表示の例を示す図である。
【図14】携帯電話機の置き忘れや盗難を検知してから発見を検知するまでに、弱い応答信号を受信した場合の、携帯電話機と検知装置との距離の関係を表す図である。
【図15】携帯電話機の置き忘れや盗難を検知してから発見を検知するまでに、弱い応答信号を受信した場合の、検知装置の動作およびLCD上の表示の例を示す図である。
【図16】本実施の形態に係る携帯電話機が送受信S3において実行する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図17】検知装置が携帯電話機の置き忘れや盗難を検知する場合の、携帯電話機と検知装置との間の送受信の第1の状態を示す図である。
【図18】検知装置20が携帯電話機10の置き忘れや盗難を検知する場合の、携帯電話機10と検知装置20との間の送受信の第2の状態を示す図である。
【図19】一変形例に係る携帯電話機検知装置および携帯電話機の機能的構成を示す図である。
【図20】ID記憶部が記憶しているID情報の他の例を示す図である。
【図21】対象記憶部が記憶している対象情報の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0151】
10 携帯電話機
20 検知装置
22 電源ボタン
24 リセットボタン
26 LCD
28 LED
30 スピーカ
32 振動子
102、402 ICチップ
103、403 アンテナ
104、404 電話機通信部
106 電話機制御部
108 ID記憶部
110 要求受信部
112 応答送信部
114 決済部
116 チップ制御部
202 対象記憶部
204 応答受信部
206 要求送信部
208 通知制御部
210 通知部
212 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式のICカードを搭載した携帯電話機と無線通信する携帯電話機検知装置であって、
前記ICカードから送信される応答信号を受信する応答受信手段と、
前記ICカードの個体を識別できる情報であるID情報を記憶している記憶手段と、
前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じた情報をユーザに通知する通知手段とを備える
ことを特徴とする携帯電話機検知装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知するものであり、
前記携帯電話機検知装置は、さらに、前記判定手段が、前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されていないと判定した場合に、前記通知手段により、前記ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知させる通知制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機検知装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、複数の前記ICカードに関連するID情報を記憶し、
前記判定手段は、前記記憶手段が記憶している前記各ID情報について、前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されたか否かを判定し、
前記通知制御手段は、前記判定手段が、前記記憶手段が記憶している前記各ID情報について、前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されていないと判定した場合に、前記通知手段により前記各ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知させる
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話機検知装置。
【請求項4】
前記通知手段は、音、光、振動および画面表示のいずれか1つ、すべて、または複数の組み合わせにより、前記通知制御手段の制御に従って、前記ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の携帯電話機検知装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されていないと判断し、その後に、前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されたと判断した場合には、前記応答受信手段により受信された前記応答信号の強度を判定し、
前記通知制御手段は、前記判定手段により判定される前記応答受信手段により受信された前記応答信号の強度に応じて、前記通知手段によるユーザへの通知方法を変化させることで、前記通知手段により前記ICカードとの通信状態または距離の程度をユーザに通知させる
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の携帯電話機検知装置。
【請求項6】
前記通知制御手段は、前記判定手段が、前記応答受信手段により受信される前記応答信号の強度が予め定められた強さ以上であると判断した場合に、前記通知手段によるユーザへの通知を停止させる
ことを特徴とする請求項5に記載の携帯電話機検知装置。
【請求項7】
ICカードを搭載した携帯電話機であって、
携帯電話機検知装置からの要求信号を受信する要求受信手段と、
決済サービスを提供する決済手段と、
前記要求受信手段が前記要求信号を受信していないと判断した場合に、前記決済手段が提供する前記決済サービスを停止させるカード制御手段とを備える
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項8】
前記カード制御手段は、前記決済手段が提供する前記決済サービスの停止中に前記要求受信手段が予め定められた強さより強い前記要求信号を受信したと判断した場合に、前記決済サービスの停止を解除させる
ことを特徴とする請求項7に記載の携帯電話機。
【請求項9】
携帯電話機に搭載された非接触式のICカードから送信される応答信号を受信する応答受信ステップと、
前記ICカードの個体を識別できる情報であるID情報を含む前記応答信号が前記応答受信ステップにおいて受信されたか否かを判定する判定ステップとを備える
ことを特徴とする携帯電話機検知方法。
【請求項10】
ICカードを搭載した携帯電話機における前記ICカードを利用して提供されるサービスの制御方法であって、
携帯電話機検知装置からの要求信号を受信する要求受信ステップと、
決済サービスを提供する決済ステップと、
前記要求受信ステップにおいて前記要求信号を受信していないと判断した場合に、前記決済ステップが提供する前記決済サービスを停止させるカード制御ステップとを備える
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
携帯電話機に搭載された非接触式のICカードから送信される信号を受信する受信ステップと、
前記ICカードの個体を識別できる情報であるID情報を含む前記信号が前記受信ステップにおいて受信されたか否かを判定する判定ステップとをコンピュータに実行させる
ことを特徴とする携帯電話機検知プログラム。
【請求項12】
ICカードを搭載した携帯電話機における前記ICカードを利用して提供されるサービスの制御プログラムであって、
携帯電話機検知装置からの要求信号を受信する要求受信ステップと、
決済サービスを提供する決済ステップと、
前記要求受信ステップにおいて前記要求信号を受信していないと判断した場合に、前記決済ステップが提供する前記決済サービスを停止させるカード制御ステップとをコンピュータに実行させる
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項13】
非接触式のICカードを搭載した携帯電話機と、前記携帯電話機と無線通信する携帯電話機検知装置とから構成される携帯電話機検知システムであって、
前記携帯電話機は、
前記携帯電話機検知装置からの要求信号を受信する要求受信手段と、
決済サービスを提供する決済手段と、
前記要求受信手段が前記要求信号を受信していないと判断した場合に、前記決済手段が提供する前記決済サービスを停止させるカード制御手段を備え、
前記携帯電話機検知装置は、
前記ICカードから送信される応答信号を受信する応答受信手段と、
前記ICカードの個体を識別できる情報であるID情報を記憶している記憶手段と、
前記記憶手段が記憶している前記ID情報を含む前記応答信号が前記応答受信手段により受信されたか否かを判定する判定手段とを備える
ことを特徴とする携帯電話機検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−214697(P2007−214697A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30215(P2006−30215)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(506043608)
【Fターム(参考)】