説明

携帯電話機用制御装置

【課題】音楽をよりダイナミックに楽しみたいユーザーには携帯電話機のイヤホン出力では満足できず、特に、自動車の車内のように周囲への音漏れをそれほど気にする必要がない場合にはなお更であるが、一方で、音楽再生中に着信・発信ができなくなるのでは、これまた電話機としての利便性が悪い。
【解決手段】電源は自動車のバッテリーを利用し、音楽再生は自動車のFM受信部を利用した制御装置1であって、携帯電話機に記憶されたアナログ音楽信号を受け取るアナログ音信号受信部とFM送信部との間の伝送経路11,13を接続又は遮断するスイッチ15と、ハンズフリー通話手段19,21等と、音楽再生中に着信の連絡を受けるかまたは発信要求を受けるとスイッチ15を動作させて上記経路を遮断し、通話が終了したと判断すると再び接続するCPU3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機に記憶された音楽を車載のFM受信機により再生すると共に、ハンズフリー通話も可能とする携帯電話機用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機は高性能化されており、単なる電話機としてだけでなく、音楽再生用プレーヤーとしての機能も備えている。
携帯電話機に備えられた通信機能を利用すれば所望の音楽を容易にダウンロードできることから、若者を中心にこの種の携帯電話機の利用が爆発的に普及しつつある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−185580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、音楽をよりダイナミックに楽しみたいユーザーには携帯電話機のイヤホン出力では満足できない。特に、自動車の車内のように周囲への音漏れをそれほど気にする必要がない場合にはなお更である。
その一方で、携帯電話機を音楽再生プレーヤーとして使用しているときに、着信・発信ができなくなるのでは、これまた電話機としての利便性が悪い。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、市販の携帯電話機に接続するだけで、携帯電話機にダウンロードされた音楽を車載のFM受信機により再生できると共に、音楽再生中にもハンズフリー通話も可能とするコンパクトな携帯電話機用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、携帯電話機に接続され、前記携帯電話機から送信されたアナログ音信号をFM電波で送信する機能と、前記携帯電話機のハンズフリー通話を制御する機能とを併せ持つ携帯電話機用制御装置において、前記携帯電話機に記憶されたアナログ音信号を受け取るアナログ音信号受信部と、FM電波で送信するFM送信部と、前記アナログ音信号受信部とFM送信部との間の伝送経路を接続又は遮断する切替えスイッチと、受話部と送話部を有するハンズフリー通話手段と、前記アナログ音信号受信部からのアナログ音信号の前記FM送信部を介したFM送信中に、前記携帯電話機から着信の連絡を受けるかまたは発信要求を受けると前記切替えスイッチを動作させて前記アナログ音信号受信部とFM送信部とを遮断し、通話が終了したと判断すると接続するスイッチ切替え制御手段と、を備えることを特徴とする携帯電話機用制御装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した携帯電話機用制御装置において、ハンズフリー通話手段の受話部はイヤホンまたはFM送信部であり、これらは択一的に選択できることを特徴とする携帯電話機用制御装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した携帯電話機用制御装置において、ハンズフリー通話手段は、ユーザーにより操作される応答スイッチと音声アナウンス手段を有し、携帯電話機から着信の連絡を受けると、さらに発信者の電話番号を受け取り、前記音声アナウンス手段がその電話番号に該当する発信者の名称を音声アナウンスし、前記応答スイッチの操作によるユーザーからの応答要求を検出すると、ハンズフリー通話モードを確立することを特徴とする携帯電話機用制御装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載した携帯電話機用制御装置において、ハンズフリー通話モードでは、応答要求としてアンサリングモードが選択要求された場合には、受話部をミュート状態にした上で、音声アナウンス手段からの音声で発信者と代理会話されることを特徴とする携帯電話機用制御装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4に記載した携帯電話機用制御装置において、FM送信部で送信されたFM電波は車載用のFM受信機で受信し再生されるものであることを特徴とする携帯電話機用制御装置である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載した携帯電話機用制御装置において、さらに、車用電源からの給電を利用して携帯電話機を充電する充電手段を備えることを特徴とする携帯電話機用制御装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の制御装置を携帯電話機と自動車用電源に接続すれば、自動車に搭載されたFM受信機・スピーカを利用して携帯電話機にダウンロードした音楽をFM出力で再生でき、しかも、音楽再生中でもハンズフリー通話が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、発明の実施の形態に係る携帯電話機用制御装置1のブロック図である。この制御装置1は自動車に予め搭載されているFM受信機を利用して音楽や音声をFMで受信することが想定されている。
符号3はこの制御装置1の心臓部であるCPU(制御部)を示し、この制御装置1の全ての動作を制御している。
符号5、7は携帯電話機とのコネクタ(接続部)である携帯イヤホンジャックと、携帯制御コネクタをそれぞれ示す。これらのコネクタは市販の携帯電話機に適合するよう設定されている。
【0014】
携帯イヤホンジャック5は、携帯電話機からのアナログ音信号(ステレオアナログ音信号および受話音声信号)を受信するアナログ音信号受信部としての機能と、アナログ音信号(送話音声信号)を送信するアナログ音信号送信部としての機能を担っている。
携帯制御コネクタ7は、携帯電話機を制御しているCPUとの間を繋ぐシリアル送受信部としての機能を担っている。
【0015】
符号9はFM電波で送信するFM送信部を示し、このFM送信部9にはアンテナ10が備えられている。
携帯イヤホンジャック5とFM送信部9とはFM送信用伝送経路11,13で接続されており、携帯電話機の記憶部にダウンロードされた音楽のステレオアナログ音楽信号は携帯イヤホンジャック5からそれらの伝送経路11,13を介してFM送信部9に伝送され、そこでFM電波に変換されてアンテナ10からFM送信される。
FM送信用伝送経路11,13はアナログの切替えスイッチ15を介して接続されており、CPU3の制御による切替えスイッチ15の切替え動作によりFM送信用伝送経路11,13が接続状態または遮断状態に設定される。なお、以下で、FM送信用伝送経路11は、FM送信用伝送経路13と区別したいときには、特に音楽再生用伝送経路と記載する。
【0016】
音楽再生用伝送経路11の途中には、オーディオエンハンス回路17(エンハンスド効果調整ボリウム付き)が設けられており、携帯イヤホンジャック5から送信されたステレオアナログ音楽信号の音源が空間的に広げられ、臨場感あるサウンドに変換される。
FM送信部9からFM送信された音楽信号は、自動車に搭載されたFM受信機で受信され再生されて最終的には自動車用スピーカから出力される。
【0017】
符号19はハンズフリー通話手段の受話部としてのイヤホンを、符号21は同手段の送話部としてのマイクを、それぞれ示す。
符号23は受話用伝送経路を示す。携帯イヤホンジャック5と接続された一本の伝送経路が切替えスイッチ24を介してこの受話用伝送経路23と音楽再生用伝送経路11とに分岐されている。切替えスイッチ24はCPU3により制御されており、切替えスイッチ15の動作と連動している。即ち、通常は携帯イヤホンジャック5側と音楽再生用伝送経路11とを接続させている。
携帯イヤホンジャック5からのハンズフリー通話用の受話音声信号を伝送する受話用伝送経路23は途中で2つに分岐されている。一つ目は切替えスイッチ15を介してFM送信用伝送経路13と接続されており、スピーカ出力経路になっている。この場合には、FM送信部9が受話部としての機能を担っている。このスピーカ出力経路が利用された場合には、携帯イヤホンジャック5を介して送られてきた受話音声信号はFM送信部9に伝送され、そこでFM電波に変換されてアンテナ10からFM送信される。従って、携帯イヤホンジャック5からの受話音声信号は上記したステレオアナログ音楽信号と同様に再生されて自動車用スピーカから出力される。
【0018】
2つ目はイヤホン19と接続されており、イヤホン出力経路になっている。このイヤホン出力経路が利用された場合には携帯イヤホンジャック5を介して送られてきた受話音声信号は増幅器20を経由してイヤホン19から出力される。
符号25は受話音声のアナログの切替えスイッチを示し、この切替えスイッチ25の動作により、スピーカ出力経路とイヤホン出力経路とが切替えられる。
【0019】
マイク21から送られてきた送話音声信号は、送話用伝送経路27により増幅器22を経由して携帯イヤホンジャック5に伝送される。
上記した受話用伝送経路23と送話用伝送経路27の途中には、エコーキャンセリング回路29が設けられており、自動車用スピーカからマイク21に回り込むエコーがキャンセルされる。
この実施の形態では、上記内容により基本的なハンズフリー通話手段が構成されている。
また、マイク21に接続される増幅器22はCPU3からのミュート信号を受けとると、マイク21への出力をミュートする。
【0020】
符号31は音声合成ICを示し、この音声合成IC31も上記した受話用伝送経路23に接続されている。
音声合成IC31の記憶部にはカタカナ−音変換ファイルや所定の音声メッセージデータ格納されており、カタカナテキスト信号等が送られてくると、所定の音声合成プログラムに従って発声者やユーザーへの音声アナウンス用の音声信号を作成する。音声合成IC31で合成された音声は自動車のスピーカやイヤホン19を介して出力される。
なお、この制御装置1の記憶部(図示省略)には、予め携帯電話機に登録されているデータ中の発着信先の音声インデックスデータ(カタカナテキストデータ)とメモダイヤルと電話番号のデータが転送されて登録されており、携帯電話機から発信者の電話番号のデータを受け取ると、電話番号に該当する発信者の名称(カタカナテキストデータ)を音声合成IC31に与えて発信者の名称の音声信号を作成させることができる。
この実施の形態では、上記した内容により音声アナウンス手段が構成されている。
【0021】
符号33は応答スイッチ用受信部を示し、この応答スイッチ用受信部33は別体の赤外線を利用した応答スイッチ41(図2)からの応答信号(赤外線)を受信する機能を担っている。
応答スイッチ用受信部33が受け取った応答内容はCPU3に報告される。
【0022】
符号35は自動車バッテリーの接続端子を示し、この接続端子35が自動車のバッテリーに接続されると内部の電源回路37に給電される。
電源回路37は携帯電話機の充電回路としての機能も担っており、CPU3によるリレースイッチ39の制御下のもとで携帯制御コネクタ7にも接続されている。
この実施の形態では、上記内容により携帯電話機の充電手段が構成されている。
【0023】
以下に、制御装置1の動作シーケンスを説明する。
先ず、制御装置1を自動車のバッテリーに接続すると共に、携帯電話機(電源ON)に接続して使用可能な状態に設置しておく。
<音楽再生>(図3)
制御装置1の電源をONにし(ステップS1)、携帯電話機の音楽再生スイッチをONにすれば(ステップS2)、携帯電話機からのアナログ音楽信号が携帯イヤホンジャック5、音楽再生用伝送経路11とFM送信用伝送経路13を経てFM送信部9からFM電波として送信され、車載のFM受信部で受信され、自動車のスピーカから出力される。
従って、自動車のFMラジオの周波数を調整することで携帯電話機にダウンロードされた音楽を再生して自動車のスピーカから聴くことができる(ステップS3)。
【0024】
<音楽再生中の携帯着信>(図4、図5、図6、図7)
音楽再生中に携帯電話機から着信の連絡を受けると(ステップS1)、CPU3は切替えスイッチ15、24を動作させて、音楽再生用伝送経路11を遮断すると共に、受話用伝送経路23を携帯イヤホンジャック5及びFM送信用伝送経路13に接続する、即ち音楽再生モードから通話モードに切替える(ステップS2)。
そして、CPU3は、携帯電話機から電話番号のデータを受け取ると、その電話番号に該当する発信者のカタカナテキストデータを音声合成IC31に送り、そこで発信者の名称の音声信号を合成し、受話用伝送経路23を利用してFM送信部9に送る。従って、自動車のスピーカから発信者の名称が音声アナウンスされる(ステップS3)。
【0025】
着信に対する応答処理は、上記音声アナウンスに対するユーザーの応答スイッチ41の押下操作により、以下のように振りけられる。
(着信拒否の場合)(図5)
応答スイッチ41が長押し(2秒程度)されると(ステップS1)、CPU3は「着信拒否」と判断して、携帯制御コネクタ7を介して携帯電話機に「着信拒否コマンド」を送る(ステップS2)。携帯電話機はこのコマンドを受け取ると、網から発信先へ着信拒否用音声メッセージを送る。
そして、切替えスイッチ15、24を動作させて、受話用伝送回路23を遮断すると共に、音楽再生用伝送経路11を携帯イヤホンジャック5とFM送信部9と再び接続する、即ち通話モードから音楽再生モードに切替えて(ステップS3)、音声再生中に戻る。
なお、音楽停止中も、音楽は再生されないが上記と同様に動作する。
【0026】
(通常モード応答の場合)(図6)
応答スイッチ41がシングルクリックされると(ステップS1)、CPU3は「通常モード応答」と判断して、携帯制御コネクタ7を介して携帯電話機に「OFFHOOKコマンド」を送る(ステップS2)。携帯電話機はこのコマンドを受け取ると、通話回線を確立すると共にハンズフリー通話をONにして(ステップS3)、通話中になる。ユーザーは自動車のスピーカから発信者の音声を聞き、マイク21に向かって発声することで発信者とハンズフリー通話する。
CPU3は通話の終了を監視しており、携帯電話機から終話信号を受け取ったときには、CPU3は通話が終了したと判断して(ステップS4)、携帯電話機へ「ONHOOKコマンド」を送る(ステップS5)。携帯電話機はこのコマンドを受け取ると、通話回線を遮断すると共にハンズフリー通話をOFFにする。
さらに、切替えスイッチ15、24を動作させて、受話用伝送回路23を遮断すると共に、音楽再生用伝送経路11を携帯イヤホンジャック5及びFM送信部9と再び接続する、即ち通話モードから音楽再生モードに切替える(ステップS6)。
【0027】
通話中に、応答スイッチ41がシングルクリックされると(ステップS7)、CPU3は切替えスイッチ25を動作させて受話音声用伝送経路23をイヤホン19に接続させる(ステップS8)。従って、発信者の音声はイヤホン出力される。車内に同乗者がいるような場合には、イヤホン19から発信者の音声を聞くことで同乗者に聞かれずに済む。
通話中に、再度応答スイッチ41がシングルクリックされると、受話音声の伝送経路が再び切替えられ、今度はFM送信部9に接続されるのでスピーカ出力に戻る。
【0028】
(アンサリングモード応答の場合)(図7)
応答スイッチ41がダブルクリックされると(ステップS1)、CPU3は「アンサリングモード応答」と判断して、先ずマイク21のミュートをONにし(ステップS2)、さらに携帯制御コネクタ7を介して携帯電話機に「OFFHOOKコマンド」を送る(ステップS3)。携帯電話機はこのコマンドを受け取ると、通話回線を確立すると共にハンズフリー通話をONにする。
【0029】
このモードでは、応答スイッチ41の押下操作により音声合成IC31で音声合成されて音声メッセージが作成され、この音声メッセージが送話用伝送回路27から携帯イヤホンジャック5を介して携帯電話機に伝送される。即ち、合成音声が発信者と代理会話する(ステップS4)。
先ず、発信者に予め登録されたアンサリング開始用の音声メッセージ(例:「はいXXです。ただいまお話できません。聞いておりますのでそのままお話ください。」)が発信者に伝えられる。なお、この音声メッセージは受話音声用伝送経路23からFM送信用伝送経路13を経てFM送信部9にも伝送され、スピーカ出力されるのでユーザーにもこのメッセージが伝えられる。
【0030】
通話を許可した後は、CPU3は通話が終了したか否かを監視しており、このアンサリングモード応答の場合には、携帯電話機から終話信号を受け取るかユーザーの応答スイッチ33の長押しを検出したときには、通話が終了したと判断して(ステップS5)、携帯電話機へ「ONHOOKコマンド」を送る(ステップS6)。携帯電話機はこのコマンドを受け取ると、通話回線を遮断すると共にハンズフリー通話をOFFにする。また、マイク21のミュートを解除すると共に(ステップS7)、切替えスイッチ15、24を動作させて、受話用伝送回路23を遮断すると共に、音楽再生用伝送経路11を携帯イヤホンジャック5及びFM送信部9と再び接続する、即ち通話モードから音楽再生モードに切替えて(ステップS8)、音楽再生中に戻る。
【0031】
通話中の代理会話は以下のように行われる。
即ち、応答スイッチ41がクリックされると(ステップS9)、CPU3はクリック回数に応じて所定の音声メッセージを音声合成IC31により音声合成する。この音声メッセージは上記したアンサリング開始用の音声メッセージと同様にして発信者とユーザーに伝えられる。
この実施の形態では、音声メッセージは、1回(シングル)クリックの場合には「はい」、2回(ダブル)クリックの場合には「いいえ」、3回クリックの場合には「もういちど」である。
発信者が「はい」または「いいえ」の回答を求めているような場合にはそのような音声メッセージを発信者に伝えることで、ユーザーが発声しなくともリアルタイム応答でき、後から電話を掛け直したりする手間がない。
このように応答スイッチ41の押下操作により周囲の人に気づかれずに会話をすることができる。即ち秘話を可能とする。
【0032】
なお、応答スイッチ41が4回クリックされると、CPU3はマイク21のミュートを解除すると共にその旨の音声メッセージ(例:「通話に切替えます。」)を発信者とユーザーの両方に伝えて、図6の通常モード応答に移行する。
【0033】
<音楽再生中の携帯発信>(図8)
ユーザーは携帯電話機を発信したい場合には、先ず応答スイッチ41をクリックする。応答スイッチ41がクリックされると(ステップS1)、CPU3は「携帯発信」と判断し、切替えスイッチ15を動作させて音楽再生用伝送経路11とFM送信部9とを遮断すると共に、受話用伝送回路23とFM送信部9とを接続する、即ち音楽再生モードから通話モードに切替える(ステップS2)。
そして、音声合成IC31からの音声アナウンス(例:「インデックス選択」)をスピーカ出力して、ユーザーにインデックスダイヤルモードかダイヤルモードの選択を要求して(ステップS3)、発信先特定処理に入る。
【0034】
発信先特定処理は、インデックスダイヤルモード(図9)と、メモダイヤルモード(図10)に分けて説明する。
CPU3は、応答スイッチ41がダブルクリックされるとインデックスダイヤルモードと判断し、長押しされるとメモダイヤルモードと判断する(ステップS1,S2)。
インデックスダイヤルモードの場合には、図9に従って処理する。
即ち、「インデックス」と音声アナウンスしてインデックスダイヤルモードに入り(ステップS3)、音声合成IC31に備えられた音付きカタカナテキストテーブルに従ってカタカナを1音ずつ順じ発声させていき、ユーザーによる応答スイッチ41の押下を検出すると発信先を特定していく。
具体的には、ユーザーは「ア行」、「カ行」、「サ行」、‥‥「ヤ行」、「ワ行」の各行の先頭音「ア」、「カ」、「サ」、‥‥「ヤ」、「ワ」を順じ発声させていく。ユーザーが「山本明子(ヤマモトアキコ)さん」に発信する場合には、「ヤ」が聞こえた時点で応答スイッチ41を押して「ヤ行」を選択する。選択されない場合には、何回も発声が繰り返される。なお、「行」のカタカナを間違えて選択した場合には、ユーザーが2回応答スイッチ41を押せば、行の発声ステップ(ステップS4)まで戻る(ステップS6)。
【0035】
行が選択されると、今度は選択された行の段の音、この場合には「ヤ」行が選択されたので、「ヤ」、「ユ」、「ヨ」を順じ発声させていく(ステップS7)。ユーザーは「ヤ」が聞こえた時点で応答スイッチ41を押して「ヤ」を選択する(ステップS8)。選択されない場合には、何回も発声が繰り返される。なお、「段」のカタカナを間違えて選択した場合には、ユーザーが2回応答スイッチ41を押せば、行の発声ステップ(ステップS4)まで戻る(ステップS9)。
ユーザーが「ヤ」を選択すると、この「ヤ」を発信先を特定するインデックスの最初のカタカナとして特定する。
【0036】
次に、音声インデックスデータから、今度は「ヤ」の頭文字を有するインデックスを読み出し、順に「ヤマダレイコ」、「ヤマモトアキコ」‥‥と発声させていく(ステップS10)。ユーザーは「ヤマモトアキコ」が聞こえた時点で応答スイッチ41を押して「ヤマモトアキコ」を選択する(ステップ11)。選択されない場合には、何回も発声が繰り返される。なお、違う音声インデックスの発声中に間違えて選択した場合には、ユーザーが2回応答スイッチ41を押せば、音声インデックスの発声ステップ(ステップS10)まで戻る(ステップS12)。
上記タイミングの押下を検出すると、「ヤマモトアキコ」を発信先のインデックスとして特定する(ステップS13)。
【0037】
メモダイヤルモードの場合には、図10に従って処理する。
即ち、「メモダイヤル」と音声アナウンスしてメモダイヤルモードに入り(ステップS3)、「ツー」という連続音を2回出力させる(ステップS4)。その連続音が聞こえている間(2秒間)に、ユーザーは応答スイッチ41をメモ番号の発声に合わせて軽く押してメモ番号を選択する(ステップS5)。例えば、ユーザーが「山本明子(ヤマモトアキコ)」に発信する場合に、「山本明子」の登録されたメモ番号が「2」だとすると、応答スイッチ41を2回押す。連続音出力中に、応答スイッチ41が押されなかった場合には、「OK」と音声アナウンスさせた後にこのメモダイヤルモードを解除して、インデックスダイヤルモードかメモダイヤルモードかの選択を待つ。
一方、応答スイッチ41の押下を検出すると、この押下数の回数(この場合には2回)に対応したメモ番号2を発信先のメモ番号として特定する(ステップS6)。
なお、押下数を間違えた場合には、ユーザーが応答スイッチ41を押せば、CPU3は「OK」と音声アナウンスさせた後にこのダイヤルモードを解除して、インデックスダイヤルモードかメモダイヤルモードかの選択を待つ。
【0038】
インデックスダイヤルモードでもメモダイヤルモードでも、特定後は、図8に示すように、「ヤマモトアキコ へデンワ」と音声アナウンスすると共に、自動ダイヤル処理を開始する。具体的には、メモダイヤルデータから「ヤマモトアキコ」の電話番号を読み出し、携帯電話機に「OFFHOOKコマンド」を送ると共に(ステップS4)、選択信号(電話番号信号)を送出する(ステップS5)。
【0039】
携帯電話機はそれらの受信により「山本明子さん」の電話番号を着信先として発信する。呼び出し中は、ユーザーはスピーカからその呼び出し音が聞こえる。
上記ダイヤル処理を途中で中止する場合には、ユーザーが応答スイッチ41を軽く押すかまたは長押し(2秒間)する。
「山本明子さん」が着信に応答すると、携帯電話機が通話回線を確立すると共にハンズフリー通話をONにして通話中になる(ステップS6)。ユーザーは自動車のスピーカから着信者の音声を聞き、マイク21に向かって発声することで着信者とハンズフリー通話できる。
【0040】
通話を許可した後は、CPU3は通話の終了を監視しており、携帯電話機から終話信号を受け取ったときには、CPU3は通話が終了したと判断して(ステップS7)、携帯電話機へ「ONHOOKコマンド」を送る(ステップS8)。携帯電話機はこのコマンドを受け取ると、通話回線を遮断すると共にハンズフリー通話をOFFにする。
さらに、切替えスイッチ15を動作させて、受話用伝送回路23とFM送信部9とを遮断すると共に、音楽再生用伝送経路11とFM送信部9と再び接続する、即ち通話モードから音楽再生モードに切替えて(ステップS9)、音声再生中に戻す。
【0041】
通話中に、応答スイッチ41がシングルクリックされると(ステップS10)、CPUは切替えスイッチ25を動作させて受話音声用伝送経路23をイヤホン19に接続させる(ステップS11)。従って、発信者の音声はイヤホン19から出力される。車内に同乗者がいるような場合には、イヤホン19から発信者の音声を聞くことで同乗者に聞かれずに済む。
通話中に、再度応答スイッチ41がシングルクリックされると、受話音声の伝送経路が再び切替えられ、今度はFM送信部9に接続されるので、自動車のスピーカからの出力に戻る。
【0042】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の具体的構成が上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の制御装置を使用すれば、既存の携帯電話機を音楽再生プレーヤーとして積極的に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る制御装置の本体のブロック図である。
【図2】図1の応答スイッチのブロック図である。
【図3】音楽再生の動作シーケンスである。
【図4】音楽再生中の携帯着信時の動作シーケンスである。
【図5】着信拒否する場合の動作シーケンスである。
【図6】通常に応答する場合の動作シーケンスである。
【図7】代理会話させる場合の動作シーケンスである。
【図8】音楽再生中の携帯発信時の動作シーケンスである。
【図9】インデックスダイヤルモードのフローチャートである。
【図10】メモダイヤルモードのフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1‥‥携帯電話機用制御装置
3‥‥CPU 5‥‥携帯イヤホンジャック
7‥‥携帯制御コネクタ 9‥‥FM送信部
11,13‥‥FM送信用伝送経路 15‥‥切替えスイッチ
17‥‥オーディオエンハンス回路 19‥‥イヤホン
21‥‥マイク 23‥‥受話用伝送経路
24,25‥‥切替えスイッチ 27‥‥送話用伝送経路
29‥‥エコーキャンセリング回路 31‥‥音声合成IC
33‥‥応答スイッチ用受信部 35‥‥接続端子(バッテリー)
37‥‥電源回路 39‥‥リレースイッチ
41‥‥応答スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機に接続され、前記携帯電話機から送信されたアナログ音信号をFM電波で送信する機能と、前記携帯電話機のハンズフリー通話を制御する機能とを併せ持つ携帯電話機用制御装置において、
前記携帯電話機に記憶されたアナログ音信号を受け取るアナログ音信号受信部と、
FM電波で送信するFM送信部と、
前記アナログ音信号受信部とFM送信部との間の伝送経路を接続又は遮断する切替えスイッチと、
受話部と送話部を有するハンズフリー通話手段と、
前記アナログ音信号受信部からのアナログ音信号の前記FM送信部を介したFM送信中に、前記携帯電話機から着信の連絡を受けるかまたは発信要求を受けると前記切替えスイッチを動作させて前記アナログ音信号受信部とFM送信部とを遮断し、通話が終了したと判断すると接続するスイッチ切替え制御手段と、
を備えることを特徴とする携帯電話機用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載した携帯電話機用制御装置において、ハンズフリー通話手段の受話部はイヤホンまたはFM送信部であり、これらは択一的に選択できることを特徴とする携帯電話機用制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した携帯電話機用制御装置において、ハンズフリー通話手段は、ユーザーにより操作される応答スイッチと音声アナウンス手段を有し、携帯電話機から着信の連絡を受けると、さらに発信者の電話番号を受け取り、前記音声アナウンス手段がその電話番号に該当する発信者の名称を音声アナウンスし、前記応答スイッチの操作によるユーザーからの応答要求を検出すると、ハンズフリー通話モードを確立することを特徴とする携帯電話機用制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載した携帯電話機用制御装置において、ハンズフリー通話モードでは、応答要求としてアンサリングモードが選択要求された場合には、受話部をミュート状態にした上で、音声アナウンス手段からの音声で発信者と代理会話されることを特徴とする携帯電話機用制御装置。
【請求項5】
請求項1から4に記載した携帯電話機用制御装置において、FM送信部で送信されたFM電波は車載用のFM受信機で受信し再生されるものであることを特徴とする携帯電話機用制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載した携帯電話機用制御装置において、さらに、車用電源からの給電を利用して携帯電話機を充電する充電手段を備えることを特徴とする携帯電話機用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−124629(P2007−124629A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−240140(P2006−240140)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(304050244)株式会社インターファンクス (5)
【出願人】(000132024)株式会社ジャルコ (5)
【Fターム(参考)】