説明

携帯電話機

【課題】 間違い電話や迷惑電話のような利用者にとって不要な電話の着信を受けた場合、その着信によって利用者が放送内容を聴くこと若しくは見ること又はその両方が妨げられるのを防止することである。
【解決手段】 本携帯電話機は、電話手段、放送受信手段、放送内容出力手段、判断手段及び制御手段を有する。判断手段は、放送受信手段で電波放送を受信している期間中に電話手段で受けた着信が所定の放送継続条件を満たすか否かを判断するものである。制御手段は、この期間中に電話手段で着信を受けたとき、判断手段が所定の放送継続条件を満たすと判断した場合には放送内容出力手段による放送内容の出力を継続させ、判断手段が所定の放送継続条件を満たしていないと判断した場合には放送内容出力手段による放送内容の出力の少なくとも一部を停止させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送やラジオ放送等のように電波により放送される電波放送を受信し、その放送内容を出力することが可能な携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の携帯電話機としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載された携帯電話機は、電話機能の他に、電波放送を選局受信するチューナ機能を備えている。この特許文献1には、ラジオ放送を受信してスピーカから出力される放送音声を聞くことができる携帯電話機や、テレビ放送を受信して表示手段に表示される放送画像及びスピーカから出力される放送音声を視聴できる携帯電話機が記載されている。このような携帯電話機においては、そのチューナ機能が動作中に、電話機能が呼び出し信号を受信したことを検出すると、電波放送に含まれる放送音声を全く出力しない状態で着信音を出力部から出力させ、着信を報知する。よって、ラジオ放送を聴いているときやテレビ放送を視聴しているときでも、確実に電話機への着信を利用者に知らせることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平8−125723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記携帯電話機においては、電話の着信を受けた場合、一律に、利用者が聴いている放送音声の出力を停止させる。そのため、利用者が放送を聴いているとき又は視聴しているときに受けた電話の着信が間違い電話であった場合でも、その放送音声出力が停止してしまう。また、利用者が放送を聴いているとき又は視聴しているときに受けた電話の着信がいわゆるワン切りと呼ばれる迷惑電話であった場合でも、同様に、その放送音声出力が停止してしまう。その結果、上記携帯電話機においては、間違い電話や迷惑電話のような利用者にとって不要な電話の着信によって、利用者が放送を聴くこと又は視聴することが妨げられるという問題があった。
なお、上記問題は、放送に含まれる音声の出力を停止させる場合に限らず、その放送に含まれる画像の出力を停止させる場合でも同様に生じるものである。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、間違い電話や迷惑電話のような利用者にとって不要な電話の着信を受けた場合、その着信によって利用者が放送内容を聴くこと若しくは見ること又はその両方が妨げられるのを防止することが可能な携帯電話機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、電話回線を通じて他の電話機と電話するための電話手段と、電波放送を受信する放送受信手段と、該放送受信手段で受信した放送内容を出力する放送内容出力手段とを備えた携帯電話機において、上記放送受信手段で電波放送を受信している期間中に上記電話手段で受けた着信が所定の放送継続条件を満たすか否かを判断する判断手段と、該期間中に該電話手段で着信を受けたとき、該判断手段が該所定の放送継続条件を満たすと判断した場合には上記放送内容出力手段による放送内容の出力を継続させ、該判断手段が該所定の放送継続条件を満たしていないと判断した場合には該放送内容出力手段による放送内容の出力の少なくとも一部を停止させる制御を行う制御手段とを有することを特徴とするものである。
この携帯電話機においては、上記期間中に電話手段で着信を受けたとき、その着信が所定の放送継続条件を満たすと判断された場合には放送内容の出力が継続され、満たしていないと判断された場合には放送内容の出力の少なくとも一部が停止される。よって、この放送継続条件を、受けた着信が間違い電話や迷惑電話のような利用者にとって不要な電話の着信であることを判断できるような条件となるように適宜設定すれば、利用者が放送を聴いているとき若しくは見ているとき又は視聴しているとき(以下、「放送視聴中」という。)に不要な電話の着信を受けても放送内容の出力を継続し、不要でない電話の着信を受けた場合には放送内容の出力の少なくとも一部を停止することができる。
なお、「放送」とは、音又は画像の少なくとも一方の情報を電波で配信するものであり、テレビ放送やラジオ放送が含まれる。
また、「出力の少なくとも一部を停止する」とは、放送内容の出力が、例えばテレビ放送のように、利用者の視覚を通じて認識される出力と、利用者の聴覚を通じて認識される出力の両方からなる場合は、これらのうちの少なくとも一方を停止することを意味し、放送内容の出力が利用者の視覚を通じて認識される出力及び利用者の聴覚を通じて認識される出力のいずれか一方からなる場合は、その出力を停止することを意味する。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の携帯電話機において、他の電話機の電話番号を記憶する記憶手段と、上記電話手段で着信を受けたときにその着信の発信元である電話機の電話番号を取得する電話番号取得手段とを備えており、上記所定の放送継続条件は、上記期間中に該電話手段で受けた着信について該電話番号取得手段により取得した電話番号が、該記憶手段に記憶されていないことであることを特徴とするものである。
この携帯電話機においては、上記期間中に電話手段で着信を受けたとき、その着信の発信元である電話機の電話番号が記憶手段に記憶されていない場合には放送内容の出力は継続され、記憶されている場合には放送内容の出力は停止される。よって、放送視聴中でも着信を受けたい知人の電話番号を記憶手段に記憶しておけば、放送視聴中は、知人以外の者からの電話の着信があっても放送内容の出力が継続される。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1の携帯電話機において、上記所定の放送継続条件は、上記期間中に上記電話手段で受けた着信の呼出時間が規定時間以下であることであることを特徴とするものである。
この携帯電話機においては、上記期間中に電話手段で着信を受けたとき、その着信の呼出時間が規定時間以下である場合には放送内容の出力は継続され、規定時間よりも長い場合には放送内容の出力は停止される。よって、この規定時間を、ワン切りのような呼出時間が非常に短い迷惑電話を排除できるような時間に適宜設定すれば、そのような迷惑電話の着信が放送視聴中にあっても放送内容の出力を継続することができる。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の携帯電話機において、上記制御手段による放送内容の出力を停止させる制御は、上記放送受信手段による電波放送の受信を継続したまま、上記放送内容出力手段による放送内容の出力を停止させる制御であることを特徴とするものである。
この携帯電話機においては、放送内容の出力を停止させる場合、放送受信手段による電波放送の受信は継続したままにする。この場合、放送内容の出力停止後に放送の視聴を再開する際、放送受信手段の受信動作を再開させるための処理動作が不要になる。一般に、放送受信手段による電波放送の受信動作を再開させるための処理動作よりも、放送内容出力手段による放送内容の出力動作を再開させるための処理動作の方が迅速に行うことができる。よって、本携帯電話機においては、放送内容の出力停止時に放送受信手段の受信動作も停止させる場合に比べて、放送視聴再開時の処理動作を高速化することが可能となる。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項4の携帯電話機において、上記放送内容出力手段は、上記放送受信手段で受信した放送内容に含まれる音を出力するものであって、出力する音量を調節するための音量調節手段を有しており、上記制御手段による放送内容の出力を停止させる制御は、該放送内容出力手段から出力される音が出ないように該音量調節手段に対して行う制御であることを特徴とするものである。
この携帯電話機においては、放送内容の出力を停止させる場合、音量調節手段を制御して放送内容出力手段からの音が出力されないようにする。音量の調節は高速な制御が可能であり、放送内容の出力を停止させた後に放送の視聴を再開するときの処理動作を高速に行うことができる。
【0011】
なお、上記「携帯電話機」としては、PDC(Personal Digital Cellular)方式、GSM(Global System for Mobile Communication)方式、TIA(Telecommunications Industry Association)方式等の携帯電話機、IMT(International Mobile Telecommunications)−2000で標準化された携帯電話機、TD−SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)方式の一つであるTD−SCDMA(MC:Multi Carrier)方式の携帯電話機、PHS(Personal Handyphone Service)などが挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
以上、請求項1乃至5の発明によれば、利用者の放送視聴中に間違い電話や迷惑電話のような利用者にとって不要な電話の着信を受けた場合でも、その着信によって放送の視聴が妨げられるのを防止することが可能となるという優れた効果が奏される。
特に、請求項2の発明によれば、記憶手段に電話番号が記憶されていない相手からの電話の着信を受けても放送の視聴が継続されるので、知らない相手からの間違い電話によって放送の視聴が妨げられる事態を防止することができるという優れた効果が奏される。
また、請求項3の発明によれば、ワン切りのような呼出時間が非常に短い迷惑電話の着信を受け手も放送の視聴が継続されるので、このような迷惑電話によって放送の視聴が妨げられる事態を防止することができるという優れた効果が奏される。
また、請求項4及び5の発明によれば、放送の視聴を停止した後の放送視聴再開時における処理を高速化することが可能となるという優れた効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態に係る携帯電話機が利用可能な移動体通信システムの全体構成を説明するための説明図である。
この移動体通信システムにおいて、利用者であるユーザーが使用する携帯電話機20は、電話回線としての携帯電話通信網10に接続可能である。この携帯電話機20は、携帯電話通信網10を介して、他のユーザーの携帯電話機11と電話することができる。
【0014】
図3(a)は上記携帯電話機20の外観を示す正面図であり、図3(b)はその背面図である。また、図4は、その携帯電話機20のハードウェア構成を示す概略構成図である。
この携帯電話機20は、クラムシェル(折り畳み)タイプの携帯電話機である。この携帯電話機20は、システムバス200、CPU201、RAM202やROM203等からなる内部制御装置、入力装置204、出力装置205、携帯電話通信網用通信装置206及びチューナー装置207を備えている。
CPU201やRAM202等の構成要素は、システムバス200を介して、互いに各種データや後述のプログラムの命令等のやり取りを行っている。上記入力装置204は、データ入力キー(テンキー、*キー、#キー)21、通話開始キー22、終話キー23、スクロールキー24、多機能キー25、マイク26などから構成されている。上記出力装置205は、液晶ディスプレイ(LCD)27、通話用スピーカ28、外部出力用スピーカ29等から構成されている。上記携帯電話通信網用通信装置206は、携帯電話通信網10を介して他の携帯電話機11と電話をしたり、携帯電話通信網10を介してメールやショートメッセージ等の通信を行ったりするためのものである。上記チューナー装置207は、ラジオ放送局から送信される電波放送を選局して受信するためのものである。
【0015】
図5は、上記携帯電話機20の主要部を抽出して示したブロック図である。
この携帯電話機20は、電話手段としての電話通信部211、情報受信手段としてのデータ通信部212、操作手段としての操作部213、判断手段、制御手段及び電話番号取得手段としての主制御部215、放送内容出力手段としての出力部216、放送受信手段としてのチューナー部217、記憶手段としての記憶部218等を備えている。
【0016】
上記電話通信部211は、他の携帯電話機11や固定電話機と電話通信を行うために、携帯電話通信網10の基地局と無線通信を行うものであり、上述のハードウェア構成上の携帯電話通信網用通信装置206等に対応する。この電話通信部211で電話の着信信号を受信すると、電話の着信が出力部216によりユーザーに特定の音、表示、振動等で報知される。この電話の着信が報知された場合は、ユーザーは操作部213の通話開始キー22を押すことで通話を行うことができる。
【0017】
上記データ通信部212は、上記電話通信部211と同様に、上述のハードウェア構成上の携帯電話通信網用通信装置206等に対応する。このデータ通信部212は、携帯電話通信網10を介して他の携帯電話機11とメールのやり取りを行ったり、携帯電話通信網10からゲートウェイサーバを介してインターネット等の外部通信ネットワークに接続し、インターネット上での電子メールのやり取り等を行ったりするためのものである。また、このデータ通信部212は、図示しない情報提供サーバから所定のタイミングで携帯電話通信網10を介して一方向的に送信されてくる情報を受信する情報受信部としても機能する。情報提供サーバから送られてくる情報としては、ニュース情報、気象情報、地震・津波情報、地図情報、店舗情報、商品情報、ユーザーが位置する地域に限定された地域情報などが挙げられる。これらの情報は、前述のように所定のタイミング、例えば予め設定した時間間隔ごとのタイミングや、予め設定した特定の時刻のタイミングで自動的に受信される。このデータ通信部212で情報を受信すると、その情報の着信が出力部216によりユーザーに特定の音、表示、振動等で報知される。この情報の着信が報知された場合は、ユーザーは任意のタイミングで受信した情報を閲覧することができる。
【0018】
上記操作部213は、ユーザーが操作可能な上述のテンキー21、通話開始キー22、終話キー23等で構成されている。この操作部213を操作することにより、ユーザーは、電話着信の際に通話の開始及び終了を行ったり、携帯電話機20の各種設定や動作モードを選択したりすることができる。
【0019】
上記主制御部215は、上記電話通信部211、データ通信部212、操作部213、出力部216、チューナー部217及び記憶部218を制御するものであり、上述のシステムバス200、CPU201やRAM202等で構成されている。この主制御部215は、上記電話通信部211や上記データ通信部212等を制御するための通信制御用プログラムやユーザインターフェースを実行する。また、主制御部215は、上記チューナー部217を制御するためのラジオプレイヤー用のアプリケーションプログラムを実行することで、ラジオ放送局から送信されるラジオ放送を聴くことを可能にする。また、本実施形態では、主制御部215は、ユーザーによる操作部213の操作内容に従い、知人の携帯電話機や固定電話機の電話番号を、記憶部218のアドレス帳メモリ領域に記憶する処理も行う。ここに知人の携帯電話機や固定電話機の電話番号を記憶しておくことにより、その知人に電話をかける際には、その電話番号を呼び出して電話をかけることができる。よって、ユーザーは、知人に電話をかけるたびに、いちいちテンキー21を操作して知人の電話番号を入力しなくても済むようになる。また、記憶部218のアドレス帳メモリ領域には、知人の電話番号だけでなく、その電話番号に関連づけてその知人の名前等も記憶する。本実施形態において、主制御部215は、上記電話通信部211で受信した電話の着信信号を受け取ったとき、その着信信号に含まれる発信元の電話番号を取得する電話番号取得手段として機能する。そして、主制御部215は、取得した電話番号が記憶部218のアドレス帳メモリ領域に記憶されている場合、その電話番号に関連づけられた知人の名前等を呼び出し、これを出力部216のLCD27に表示させる処理を行う。
【0020】
上記出力部216は、上述のLCD27や外部出力用スピーカ29及び外部出力用スピーカ29から出力される音量を調節するための音量調節手段である音量調節部等からなる出力装置205等で構成されている。この出力部216は、上記データ通信部212で受信したショートメッセージやメールの内容を上記主制御部215の制御の下、LCD27に表示する。また、出力部216のLCD27は、上記電話通信部211で電話を着信した旨をユーザーに報知するときに用いられる。また、上記データ通信部212でショートメッセージを着信した旨や情報提供サーバからの情報を着信した旨をユーザーに報知するときにも用いられる。具体的には、これらの着信を受けると、主制御部215により、出力部216のLCD27に着信報知画像を表示したり、外部出力用スピーカ29から着信音を出力させたりする。また、出力部216は、電話着信時に主制御部215が取得した電話番号が記憶部218のアドレス帳メモリ領域に記憶されている場合、主制御部215の制御の下、その電話番号に係る知人の名前等をLCD27に表示する。また、出力部216は、チューナー部217から送られてくる音信号用の音量調節部(ラジオ放送用音量調節部)と、それ以外の音信号用の音量調節部(一般音量調節部)とをそれぞれ個別に備えており、各音量調節部は主制御部215によって独立に制御される。
【0021】
上記チューナー部217は、上述のハードウェア構成上のチューナー装置207や放送受信用アンテナ等に対応する。このチューナー部217は、ラジオ放送局から送信されるラジオ放送電波のうち、主制御部215から指示された周波数の電波を選択的に受波し、その電波放送を受信する一般的なラジオチューナーとしての機能を有する。このチューナー部217で受信したラジオ放送の内容は、出力部216へ直接伝送され、出力部216のラジオ放送用音量調節部を介して外部出力用スピーカ29から出力される。
【0022】
上記記憶部218は、上述のRAM202の一部やROM203などによって構成されている。この記憶部218のRAM202には、知人の電話番号を記憶するアドレス帳メモリ領域を有する。このアドレス帳メモリ領域には、知人の電話番号のほか、その知人の名前等も電話番号に関連づけられて記憶されている。また、携帯電話機20を所定の手順に従って動作させる各種プログラム等も、上記記憶部218のRAM202やROM203に記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてCPU201やRAM202中の作業エリアに呼び出されて実行される。
【0023】
〔動作例1〕
次に、出力部216の外部出力用スピーカ29からチューナー部217で受信したラジオ放送の内容を音で出力している期間中に、他の携帯電話機等からの電話の着信を受けたときの動作例(本動作例を「動作例1」という。)について説明する。本動作例1では、ラジオ放送の受信期間中に電話の着信があったとき、その着信の発信元である電話機の電話番号が記憶部218のRAM202におけるアドレス帳メモリ領域に記憶されているか否かによって、ラジオ放送の出力を停止するか否かの制御を行う。
図1は、本動作例1における処理動作の流れを示すフローチャートである。
ユーザーは、携帯電話機20でラジオ放送を聴く場合、まず、操作部213に対して所定の操作を行い、ラジオプレイヤー用のアプリケーションプログラムを起動させる。これにより、LCD27には、ラジオ放送局を選局したり、音量を調節したりするためのプレイヤー画面が表示される。このプレイヤー画面を見ながら、ユーザーが操作部213に対して所定の操作を行うことで、ラジオ放送局を選局したり、音量を調節したりすることができる。ユーザーが操作部213に対して所定の操作を行ってラジオ放送局を選局すると、その操作内容が操作部213から主制御部215に送られる。主制御部215は、その操作内容に応じた周波数の電波を受波するための選局命令をチューナー部217へ送信する。これを受信したチューナー部217は、選局命令に係る周波数の電波を受波し、その電波を復調して得た音信号を出力部216を出力する。これにより、出力部216の外部出力用スピーカ29からは、選局したラジオ放送局から送信された放送電波の放送内容が音で出力される。この出力音量を調節する場合、ユーザーが操作部213に対して所定の操作を行うと、その操作内容が操作部213から主制御部215に送られる。主制御部215は、その操作内容に応じた音量に調節するための音量調節命令を出力部216へ送信する。これが出力部216に受信されると、その出力部216のラジオ放送用音量調節部がその音量調節命令に係る音量となるように制御される。
【0024】
このようにして、チューナー部217でラジオ放送を受信している期間中に、他の携帯電話機11からの電話の着信があったとする(S1)。具体的には、携帯電話通信網10を介して電話通信部211で電話の着信信号が受信し、これが主制御部215に受信される。すると、主制御部215は、受信した着信信号から電話番号を抽出し、その着信の発信元である携帯電話機11の電話番号を取得する(S2)。そして、主制御部215は、判断手段として機能し、記憶部218のRAM202のアドレス帳メモリ領域を参照し、読み出した電話番号が記憶されているか否かを判断する(S3)。その電話番号がアドレス帳メモリ領域に記憶されていない場合、LCD27上のプレイヤー画面外におけるピクト表示領域に、電話の着信を受けた旨のピクト表示を行う(S4)。具体的には、ラジオ放送の受信期間中、すなわち、主制御部215がラジオプレイヤー用のアプリケーションプログラムの起動中に、主制御部215がアドレス帳メモリ領域に記憶されていない電話番号に係る着信信号を受信すると、主制御部215は、制御手段として機能し、報知手段としての出力部216へピクト表示命令を出力する。これにより、出力部216は、そのピクト表示命令に従って、LCD27のピクト表示領域に、電話の着信を受けた旨のピクト表示画像を表示させる表示処理を行う。
【0025】
一方、着信した電話の電話番号がアドレス帳メモリ領域に記憶されている場合、主制御部215は、出力部216へ消音命令を出力し、出力部216にその消音命令に従ってラジオ放送用音量調節部の音量がOFFになるように制御させる(S5)。その後、主制御部215は、記憶部218のRAM202に記憶された報知設定情報に従い、出力部216のLCD27に着信報知画像を表示したり、外部出力用スピーカ29から着信音を出力させたりする(S6)。この着信報知を受けたユーザーは、例えば、電話を受けて他の携帯電話機11の利用者である知人と話したり、電話を受けずに終話キー23を押したりする。また、ユーザーが電話を受ける前に着信が終了する場合もある。このようにしてユーザーが電話を受けたり、電話を受けずに終話キー23を押したり、あるいはユーザーが電話を受ける前に着信が終了したりした後、ユーザーが操作部213に対してラジオ放送を聴くのを再開させるための所定の操作を行うと(S7)、その操作内容が操作部213から主制御部215へ送信される。これにより、主制御部215は、出力部216へ音量復帰命令を出力し、出力部216にラジオ放送用音量調節部の音量がOFFになる前の音量に復帰するように制御させる(S8)。これにより、ユーザーは、ラジオ放送を聞くのを再開することができる。
【0026】
なお、ラジオ放送を聴くのを再開させるための所定の操作をユーザーに対して促すべく、説明画面をLCD27に表示させたり、音声で案内したりするのが好ましい。この場合、例えば、ユーザーが電話を受けて他の携帯電話機11の利用者である知人と話し終わった後、ユーザーが終話キー23を押したら、上記説明画面をLCD27に表示させたり、音声で案内したりする。また、例えば、ユーザーが電話を受けずに終話キー23を押した場合には、終話キー23を押したときに、上記説明画面をLCD27に表示させたり、音声で案内したりする。また、例えば、ユーザーが電話を受ける前に着信が終了した場合には、その着信が終了したときに、上記説明画面をLCD27に表示させたり、音声で案内したりする。
【0027】
以上、本動作例1によれば、ユーザーは、ラジオ放送を聴いているときに電話の着信を受けた場合、その着信に係る発信元の電話番号がアドレス帳メモリ領域に記憶されているときには、ラジオ放送音の出力停止後、電話の着信の報知を行う。したがって、ユーザーは、ラジオ放送を聴いている最中であっても、アドレス帳メモリ領域に記憶されている電話番号からの電話すなわち知人からの電話については、その着信を確実に知ることができる。しかも、その着信の報知時には、ラジオ放送音の出力が停止しているので、その放送音によって報知が妨げられることもない。一方、その着信に係る発信元の電話番号がアドレス帳メモリ領域に記憶されていないときには、ラジオ放送音の出力が停止することはない。よって、ユーザーは、ラジオ放送を聴いている最中に、アドレス帳メモリ領域に記憶されていない電話番号からの電話すなわち知人でない者からの間違い電話の着信を受けても、ラジオ放送を聴くのを妨げられることはない。
また、本動作例1においては、ラジオ放送を聴いている最中に知人でない者からの電話の着信を受けた場合でも、着信の報知を行うが、この報知はピクト表示によって行われるので、この着信の報知によってラジオ放送を聴くのを妨げられることはない。
また、本動作例1においては、アドレス帳メモリ領域に記憶されている電話番号からの着信を受けた場合、チューナー部217ではラジオ放送の受信を継続したまま、そのラジオ放送音がOFFにすることで、放送内容の出力を停止させる。すなわち、ラジオプレイヤー用のアプリケーションプログラムを、一時停止させた状態と同様である。この場合、ラジオプレイヤー用のアプリケーションプログラムを終了してチューナー部217によるラジオ放送の受信を停止させる場合に比べて、ラジオ放送の再開を迅速に行うことができる。
なお、本動作例1において、ラジオ放送の受信期間中に、アドレス帳メモリ領域に記憶されている電話番号からの着信を受けた場合、その電話を交換機によって自動的に留守番センターに転送するようにしてもよい。また、携帯電話機を通話状態にして通話相手に所定のメッセージを流し、記憶部218に通話相手のメッセージを録音するようにしてもよい。
【0028】
〔動作例2〕
次に、出力部216の外部出力用スピーカ29からチューナー部217で受信したラジオ放送の内容を音で出力している期間中に、他の携帯電話機等からの電話の着信を受けたときの他の動作例(本動作例を「動作例2」という。)について説明する。本動作例2では、ラジオ放送の受信期間中に電話の着信があったとき、その着信の呼出時間が規定時間(例えば2秒間)以上であるかか否かによって、ラジオ放送の出力を停止するか否かの制御を行う。
図6は、本動作例2における処理動作の流れを示すフローチャートである。
本動作例2においても、チューナー部217でラジオ放送を受信している期間中に他の携帯電話機11からの電話の着信があった場合(S11)、携帯電話通信網10を介して電話通信部211で電話の着信信号が受信し、これが主制御部215に受信される。そして、主制御部215は、その着信の呼出時間が規定時間以下であるか否かを判断する。具体的には、主制御部215は、着信信号が受信したら、まず、タイマーを規定時間(例えば2秒間)にセットする(S12)。そして、そのタイマーが終了する前に、その着信の呼び出しが終了するかを判断する(S13,S14)。タイマーが終了する前に着信の呼び出しが終了した場合(S13)、LCD27上のプレイヤー画面外におけるピクト表示領域に、電話の着信を受けた旨のピクト表示を行う(S15)。詳しくは、ラジオ放送の受信期間中に、主制御部215が着信信号を受けてから規定時間内にその着信の呼び出しが終了した場合、主制御部215は、制御手段として機能し、報知手段としての出力部216へピクト表示命令を出力する。これにより、出力部216は、そのピクト表示命令に従って、LCD27のピクト表示領域に、電話の着信を受けた旨のピクト表示画像を表示させる表示処理を行う。なお、タイマーをセットする前に着信の呼び出しが終了した場合にも、上記S15と同様にピクト表示処理を行うようにしてもよい。一方、着信の呼び出しが終了しないままタイマーが終了するした場合(S14)、主制御部215は、出力部216へ消音命令を出力し、出力部216にその消音命令に従ってラジオ放送用音量調節部の音量がOFFになるように制御させる(S16)。その後の処理は、上記動作例1の場合と同様である。
【0029】
以上、本動作例2によれば、ユーザーは、ラジオ放送を聴いているときに電話の着信を受けた場合、その着信の呼び出しが規定時間(例えば2秒間)内に終了しなかったら、ラジオ放送音の出力停止後、電話の着信の報知を行う。したがって、ユーザーは、ラジオ放送を聴いている最中であっても、呼出時間が規定時間を越える着信については、その着信を確実に知ることができる。しかも、その着信の報知時には、ラジオ放送音の出力が停止しているので、その放送音によって報知が妨げられることもない。一方、その着信の呼び出しが規定時間(例えば2秒間)内に終了した場合、、ラジオ放送音の出力が停止することはない。したがって、ユーザーは、ラジオ放送を聴いている最中に、規定時間以下の呼出時間が短い着信を受けても、ラジオ放送を聴くのを妨げられることはない。
このような動作処理によって、次のような効果が得られる。すなわち、電話相手に電話をかける場合、その着信を受けた電話相手が電話に出るまでにはある程度の時間を要するのが通常である。よって、その電話相手と本当に電話したい者であれば、電話相手が電話に出るまで待つため、その着信の呼出時間は比較的長いものとなる。これに対し、電話相手に折り返し電話させることを目的としたワン切りのようなイタズラ電話の場合、その着信の呼出時間は比較的短い。本動作例2では、着信の呼出時間が規定時間(例えば2秒間)以下であるような短い着信については、ラジオ放送音の出力が停止することがない。したがって、ユーザーは、規定時間を適宜設定すれば、ワン切りのようなイタズラ電話の着信によって、ラジオ放送を聴くのを妨げられることがなくなる。
【0030】
なお、本実施形態では、ラジオ放送を受信する場合について説明したが、テレビ放送などの他の放送を受信する場合についても同様である。また、テレビ放送を受信する場合には、上記と同様に音の出力を停止する場合に限らず、LCD27に表示されるテレビ画像の出力を停止する場合又は音及びテレビ画像の両方を停止する場合であっても、同様である。
また、本実施形態では、いわゆる電話機プラットフォーム上で直接動作するラジオプレイヤー用のアプリケーションプログラムを例に挙げて説明したが、プラットフォームに依存しないオブジェクト指向プログラミングによって開発されたラジオプレイヤー用アプリケーションプログラムであっても同様である。このようなアプリケーションプログラムとしては、JAVA(登録商標)、C、C++等のプログラム言語で記述されたアプリケーションプログラムなどが挙げられる。また、これらのアプリケーションプログラムの実行環境は、JAVA(登録商標)のVMやBREW(登録商標)等のミドルウェアによって構築される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態の携帯電話機における動作例1の処理動作の流れを示すフローチャート。
【図2】同携帯電話機が利用可能な移動体通信システムの全体構成を説明するための説明図。
【図3】(a)は同携帯電話機の外観を示す正面図。(b)はその背面図。
【図4】同携帯電話機のハードウェア構成を示す概略構成図。
【図5】同携帯電話機の主要部を抽出して示したブロック図。
【図6】動作例2における処理動作の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0032】
10 携帯電話通信網
11 発信元の携帯電話機
20 携帯電話機
29 外部出力用スピーカ
211 電話通信部
212 データ通信部
213 操作部
215 主制御部
216 出力部
217 チューナー部
218 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話回線を通じて他の電話機と電話するための電話手段と、電波放送を受信する放送受信手段と、該放送受信手段で受信した放送内容を出力する放送内容出力手段とを備えた携帯電話機において、
上記放送受信手段で電波放送を受信している期間中に上記電話手段で受けた着信が所定の放送継続条件を満たすか否かを判断する判断手段と、
該期間中に該電話手段で着信を受けたとき、該判断手段が該所定の放送継続条件を満たすと判断した場合には上記放送内容出力手段による放送内容の出力を継続させ、該判断手段が該所定の放送継続条件を満たしていないと判断した場合には該放送内容出力手段による放送内容の出力の少なくとも一部を停止させる制御を行う制御手段とを有することを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
請求項1の携帯電話機において、
他の電話機の電話番号を記憶する記憶手段と、
上記電話手段で着信を受けたときにその着信の発信元である電話機の電話番号を取得する電話番号取得手段とを備えており、
上記所定の放送継続条件は、上記期間中に該電話手段で受けた着信について該電話番号取得手段により取得した電話番号が、該記憶手段に記憶されていないことであることを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】
請求項1の携帯電話機において、
上記所定の放送継続条件は、上記期間中に上記電話手段で受けた着信の呼出時間が規定時間以下であることであることを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】
請求項1、2又は3の携帯電話機において、
上記制御手段による放送内容の出力を停止させる制御は、上記放送受信手段による電波放送の受信を継続したまま、上記放送内容出力手段による放送内容の出力を停止させる制御であることを特徴とする携帯電話機。
【請求項5】
請求項4の携帯電話機において、
上記放送内容出力手段は、上記放送受信手段で受信した放送内容に含まれる音を出力するものであって、出力する音量を調節するための音量調節手段を有しており、
上記制御手段による放送内容の出力を停止させる制御は、該放送内容出力手段から出力される音が出ないように該音量調節手段に対して行う制御であることを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−13837(P2006−13837A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187300(P2004−187300)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(501440684)ボーダフォン株式会社 (654)
【Fターム(参考)】