説明

携帯電話装置

【課題】 使用者が特に操作を行うことなく通話内容の録音を自動的に行うことができ、また、録音した通話内容の確認及び再生を容易に行うことが可能な携帯電話装置を提供する。
【解決手段】 制御回路部7は、予め設定された通話録音条件に基づいて記録対象の通話であることを判断すると、音声信号変換部6から出力される通話音声の音声データをハードディスク装置等からなる記録媒体8に記録する。また、この音声データを通話開始から通話終了まで記録するとともに、通話日時や通話相手等に関する付加情報を音声データと対応付けて記録媒体8に記録する。制御回路部7は、入力操作部10によって通話履歴の表示操作がなされると、記録媒体8から通話日時や通話相手に関する付加情報を読み出して表示部9に表示させ、表示された付加情報中から特定情報が選択指定されると、対応する音声データを記録媒体8から読み出して再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話内容を記録する機能を有する携帯電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話装置等の電話機において、装置に設けたメモ用スイッチを通話中に操作することによって、通話内容を内部の半導体メモリやメモリカード等の外部メモリなどの記録媒体に記録する機能を持つものが知られている。また、この電話機において、装置に設けた再生用スイッチを操作することによって、記録媒体に記録された通話内容が再生され、後で通話内容を聞くことができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−236075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来の電話機では、メモ用スイッチを操作することによって通話録音が開始されるため、例えば通話終了後に重要な内容であったと認識された場合など、録音操作を行わずに事後に通話内容を保存しておきたかったと思ったときなどには対処できない。また、複数件の通話録音を行った場合、各通話録音の内容を確認したり個別に再生したりするのが容易ではない。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、使用者が特に操作を行うことなく通話内容の録音を自動的に行うことができ、また、録音した通話内容の確認及び再生を容易に行うことが可能な携帯電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の携帯電話装置は、音声通話を行う携帯電話装置であって、通話相手と送受信される通話音声の音声データと、当該通話に関する付加情報とを関連付けて記録媒体に記録する通話録音手段と、前記音声データの記録を行うための通話録音条件を設定保持する録音条件設定手段とを備え、前記通話録音手段は、前記通話録音条件に基づいて音声データの記録を行うかどうかを判断し、前記通話録音条件に適合する場合に音声データの記録動作を実行するものである。
【0006】
これにより、通話音声の音声データとこの通話に関する付加情報とを自動的に記録することができ、使用者が特に操作を行うことなく通話内容の録音を自動的に行うことが可能となる。また、通話に関する付加情報と音声データとが関連付けて記憶されるため、録音した通話内容の確認及び再生を容易に行うことが可能となる。また、通話録音条件の設定により、全通話を録音したり、発信または着信のみを録音したり、特定の通話相手との通話のみを録音したりなど、任意の通話内容を録音することが可能となる。
【0007】
また、本発明の携帯電話装置は、上記の携帯電話装置であって、前記通話録音手段は、前記通話録音条件に適合する通話の通話開始から通話終了までの音声データを前記記録媒体に記録するものである。これにより、所望の通話音声を通話開始から通話終了まで自動的に録音することができる。
【0008】
また、本発明の携帯電話装置は、上記の携帯電話装置であって、前記記録媒体に記録する付加情報は、通話日時、通話相手の少なくとも一方を含み、この付加情報を表示する付加情報表示手段を備えるものである。これにより、通話日時や通話相手に関する付加情報に基づき、記録した通話内容の確認及び再生を容易に行うことができる。また、所望の付加情報を指定することで、対応する通話音声を容易に選択して再生等を行うことができる。
【0009】
また、本発明の携帯電話装置は、上記の携帯電話装置であって、前記付加情報の選択指定を入力し、指定された付加情報に関連付けて記憶された音声データを再生する記録音声再生手段を備えるものである。これにより、付加情報に対応する音声データを容易に抽出して再生することができる。
【0010】
また、本発明の携帯電話装置は、上記の携帯電話装置であって、前記記録媒体としてディスク記録装置を備えるものである。これにより、大容量の音声データの記録が可能となり、長時間の記録、多数の件数の記録が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用者が特に操作を行うことなく通話内容の録音を自動的に行うことができ、また、録音した通話内容の確認及び再生を容易に行うことが可能な携帯電話装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る携帯電話装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の携帯電話装置1は、アンテナ2、通信部3、マイクロホン4、レシーバ5、音声信号変換部6、制御回路部7、記録媒体8、表示部9及び入力操作部10を有して構成される。記録媒体8は、ハードディスク装置等の記憶容量の大きいディスク記録装置など、大容量の記録媒体を用いて構成している。
【0013】
マイクロホン4から出力された送話音声信号は、通信部3及び音声信号変換部6へ供給される。通信部3は、マイクロホン4から出力された送話音声信号に符号化等の処理を施してアンテナ2を介して送信し、また、アンテナ2を介して受信した通話相手からの音声信号に復号化等の処理を施して受話音声信号を出力する。受話音声信号は、レシーバ5及び音声信号変換部6へ供給される。また、通信部3は、図示しない基地局との間で発着信・通話等に関する各種制御情報等の送受を行うとともに、制御回路部7との間で発着信・通話等に関する各種情報のやりとりを行う。これにより、制御回路部7は着信時に通話相手の電話番号を得ることができる。
【0014】
音声信号変換部6は、通話録音状態において、送話音声信号と受話音声信号とをミキシングして録音用の通話音声信号を生成し、生成した通話音声信号をA/D変換して音声データを生成する。なお、音声データは符号化処理等を行ってデータ圧縮がなされたものであってもよい。この音声データは、制御回路部7へ供給される。また、音声信号変換部6は、音声再生状態において、制御回路部7を介して記録媒体8から読み出された音声データをD/A変換して通話音声信号を生成し、生成した通話音声信号をレシーバ5へ供給して、レシーバ5によって通話音声を再生させる。
【0015】
制御回路部7は、入力操作部10によって録音条件設定の操作がなされると、録音条件設定のためのメニュー画面を表示部9に表示させる。このメニュー画面を用いて、携帯電話装置1の使用者は、通話録音を行う通話録音条件を設定することができる。通話録音条件として、次のものを選択して設定できる。(1)全ての通話を録音する。(2)着信の全てを録音する。(3)発信のすべてを録音する。(4)特定の通話相手のみ録音する(○○さんとの通話だけを録音するなど)。(4)の場合は、録音対象となる通話相手の電話番号または名前を指定する。ここで、録音対象となる通話相手は複数登録できる。また、制御回路部7は、上記のように携帯電話装置1の使用者によって設定された通話録音条件を、制御回路部7内の図示しない半導体メモリ等の記憶部、または、記録媒体8に記録しておく。
【0016】
制御回路部7は、この携帯電話装置1によって発信または着信が行われた際に、通話相手の電話番号や名前、発着信日時等の付加情報を制御回路部7内の図示しない記憶部に記録する。そして、制御回路部7は、使用者によって設定された通話録音条件に基づいてその通話が通話録音の対象であるか否かを判断する。通話録音の対象である場合、制御回路部7は、音声データの記録動作を開始し、音声信号変換部5を通話録音状態に制御する。制御回路部7は、通話が開始されると、音声信号変換部5から出力される音声データを記録媒体8に記録する。また、制御回路部7は、その通話が終了した時点で記録媒体8への音声データの記録動作を停止し、音声信号変換部5を録音停止状態に制御する。
【0017】
また、制御回路部7は、通話が終了した際、発信・着信の区別、通話開始日時、通話相手の電話番号や名前、通話録音の有無、及び録音時間等の付加情報を記録媒体8に記録する。ここで、制御回路部7は、音声データとその音声データの付加情報とを対応付けて記録する。なお、音声データを記録媒体8に記録し、付加情報は制御回路部7内の記憶部に記録するようにしてもよい。この場合、付加情報に音声データを対応付ける情報をつけておく。
【0018】
制御回路部7は、入力操作部10によって通話履歴の表示操作がなされると、記録媒体8から付加情報を読み出し、発信・着信の区別、通話開始日時、通話相手の電話番号や名前、通話録音の有無、及び録音時間等の通話履歴として表示部9に表示させる。通話履歴が多数ある場合には、一部の通話履歴を表示し、他をスクロールして表示可能なようにスクロール表示する。使用者が、所望の通話履歴を選択指定すると、制御回路部7は、音声信号変換部6を音声再生状態に制御し、選択指定された通話に対応する音声データを記録媒体8から読み出し、音声信号変換部6に供給する。これにより、指定された通話音声の録音内容がレシーバ5より再生出力される。
【0019】
上記構成において、音声信号変換部6及び制御回路部7により、通話音声の音声データと通話日時や通話相手等の通話に関する付加情報とを関連付けて記録媒体8に記録する通話録音手段、及び、指定された付加情報に対応する音声データを再生する記録音声再生手段が構成される。また、制御回路部7、表示部9及び入力操作部10により、通話内容の録音を行う通話録音条件を設定保持する録音条件設定手段が構成される。また、制御回路部7及び表示部9によって記録された付加情報を表示する付加情報表示手段が構成される。
【0020】
図2は本発明の実施形態に係る携帯電話装置の通話録音動作のフローチャートである。通話が開始されると、制御回路部7は、通話相手の電話番号や名前、発着信日時等の付加情報を読み出し(ステップS21)、予め設定された記録対象であるかどうか判断する(ステップS22)。この通話が記録対象である場合は(ステップS22でYES)、通話音声の音声データを記録媒体8に記録する(ステップS23)。そして通話終了であるかどうか判断し(ステップS24)、音声データの記録は、ステップS24で通話終了と判断されるまで継続される。次に、通話終了であると判断されると(ステップS24でYES)、通話相手の電話番号や名前、発着信日時等の付加情報を音声データとの対応を付けて記録媒体8に記録する(ステップS25)。また、通話が記録対象でないと判断された場合(ステップS22でNO)、記録媒体8への音声データの記録を行わず、ステップS25で通話相手の電話番号や名前、発着信日時等の付加情報のみを記録する。
【0021】
図3は本発明の実施形態に係る携帯電話装置における付加情報(通話履歴)の表示例を示す図である。制御回路部7は、入力操作部10からの通話履歴表示操作を入力し、記録された通話履歴の表示指示がなされると、記録媒体8に記録されている付加情報を読み出し、読み出した付加情報を表示部9に表示させる。これにより、図3に示すように、発信/着信の区別、通話日時、通話相手の電話番号または名前、録音の有無、録音時間が表示される。なお、通話履歴が一画面に表示可能な件数以上に多数ある場合には、スクロールして表示可能なようにスクロール表示される。
【0022】
そして、制御回路部7は、入力操作部10からの選択指定操作を入力し、表示された通話履歴の中から特定の通話の選択指定がなされると、選択指定された通話の音声データを記録媒体8から読み出して、音声信号変換部6、レシーバ5を介して再生させる。
【0023】
上述した本実施形態によれば、携帯電話装置の使用者が特に操作を行うことなく、全てまたは特定の通話音声を自動的に記録することができる。通話音声を記録するかどうかの通話録音条件として、使用者が任意の通話録音条件を予め設定しておくことにより、この通話録音条件に基づいて所望の通話を記録することができる。また、このとき、通話内容の音声データと通話日時や通話相手等に関する付加情報とを対応付けて記憶することで、付加情報に基づいて対応する通話内容の音声データを容易に抽出することが可能であり、通話記録の呼出、再生、確認等を容易に行うことができる。さらに、大容量の記録媒体を用いることによって、長時間の通話や多数件の通話を記録することができる。また、通話日時や通話相手等の付加情報及び通話内容の音声データを使用者が後で参照可能であり、いつ、誰と、どのような内容の通話を行ったかを確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、使用者が特に操作を行うことなく通話内容の録音を自動的に行うことができ、また、録音した通話内容の確認及び再生を容易に行うことが可能となる効果を有し、通話内容を記録する機能を有する携帯電話装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る携帯電話装置の通話録音動作のフローチャート
【図3】本発明の実施形態に係る携帯電話装置における付加情報(通話履歴)の表示例を示す図
【符号の説明】
【0026】
1 携帯電話装置
2 アンテナ
3 通信部
4 マイクロホン
5 レシーバ
6 音声信号変換部
7 制御回路部
8 記録媒体
9 表示部
10 入力操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声通話を行う携帯電話装置であって、
通話相手と送受信される通話音声の音声データと、当該通話に関する付加情報とを関連付けて記録媒体に記録する通話録音手段と、
前記音声データの記録を行うための通話録音条件を設定保持する録音条件設定手段とを備え、
前記通話録音手段は、前記通話録音条件に基づいて音声データの記録を行うかどうかを判断し、前記通話録音条件に適合する場合に音声データの記録動作を実行する携帯電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電話装置であって、
前記通話録音手段は、前記通話録音条件に適合する通話の通話開始から通話終了までの音声データを前記記録媒体に記録する携帯電話装置。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯電話装置であって、
前記記録媒体に記録する付加情報は、通話日時、通話相手の少なくとも一方を含み、この付加情報を表示する付加情報表示手段を備える携帯電話装置。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯電話装置であって、
前記付加情報の選択指定を入力し、指定された付加情報に関連付けて記憶された音声データを再生する記録音声再生手段を備える携帯電話装置。
【請求項5】
請求項1に記載の携帯電話装置であって、
前記記録媒体としてディスク記録装置を備える携帯電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−191436(P2006−191436A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2424(P2005−2424)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】