説明

撮像装置、視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置

【課題】 昼夜によらずノイズや暗電流を抑制して鮮明な画像を得ることができる撮像装置、視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置を提供する。
【解決手段】 多重量子井戸構造の受光層3と、受光層のInP基板1と反対側に位置する拡散濃度分布調整層4とを備え、受光層のバンドギャップ波長が1.65μm〜3μmであり、拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギがInPよりも小さく、不純物元素の選択拡散によって受光素子ごとにpn接合を形成し、選択拡散された受光層における不純物濃度が、5×1016/cm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外の波長域に受光感度を有する撮像装置、視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(I)宇宙光:地表には宇宙から各種の電磁波(光)が到達しており、たとえば宇宙からのX線を観測して宇宙の姿を研究する電波天文学等がよく知られている。宇宙から地表に届く電磁波のうち、SWIR(SWIR:Short
Wavelength Infrared)帯は検出に大掛かりな装置を要しないため、近年、注目を集めており、多くの紹介がなされている。たとえば宇宙からのSWIRスペクトルの観測結果について説明し、そのスペクトルが1.4〜1.9μmにピークを有することが紹介されている(非特許文献1)。またInPに格子整合するInGaAs受光素子(In原子:Ga原子=0.53:0.47)を用いた暗視カメラの紹介(非特許文献2)などが、なされている。この場合、格子定数をInP基板に合わせるためにIn/Gaの原子数比を0.53/0.47にしており、そのため受光素子の長波長側限界(感度限界)は1.7μm程度となる。以後の説明では、上記宇宙から地表に到達するSWIR帯の光を、宇宙光もしくはSWIR宇宙光、または単にSWIR帯光と呼ぶ。
【0003】
(II)化合物半導体受光素子:III族中の、Gaの比率を下げてInの比率を上げてバンドギャップをより狭くした(格子定数をより大きくした)In0.82Ga0.18Asを受光層に用いることで受光感度域の長波長化をはかった受光素子の試作結果が発表された(非特許文献3)。In比率を上記のように高くするとInGaAsの格子定数は大きくなり、InP基板との格子不整合が拡大するという問題を、上記の受光素子では、InP基板と、高In比率InGaAs受光層との間に、(As/P)比率を受光層に向けて段階的に増やしたInAsPグレーディッド層を12〜20層設けることで、解決しようとした。格子不整合の拡大は、格子欠陥密度の増大を伴い、必然的に暗電流の増大を招くが、上記のグレーディッドバッファ層を介在させることによって、暗電流は20μA〜35μAにもなる。このような大きな暗電流は、InGaAs受光層を備える光通信用のフォトダイオードの暗電流より3桁も高い値である。また、多数のグレーディッド層をエピタキシャル成長させることは容易ではなく、かつ製造コストも増大する。
【0004】
また、InGaAsにおいて、V族元素にさらに窒素(N)を加えてGaInNAsとして、Nによるバンドギャップ狭小化作用を用いた4元系III−V族半導体の提案がなされている(特許文献1)。しかし、Nを含むGaInNAsの結晶成長は技術的に大変難しい。とくに波長3μmまで受光感度を持ち、InP基板と格子整合するためには窒素を10%(V族元素内の原子%)程度まで増やす必要があるが、窒素を10%程度にして良好な結晶性を得ることは非常に困難である。しかも受光素子として高感度を実現するためには、上記窒素を高濃度に含むGaInNAs層の厚みを2μm以上にする必要があるが、このような厚みの上記N含有結晶層を結晶性よく成長することはさらに困難である。
【0005】
また、InGaAs/GaAsSbのタイプII型量子井戸構造を用い、p型またはn型のエピタキシャル層によるpn接合の形成によってカットオフ波長2.39μmのフォトダイオードの作製結果の報告がなされた(非特許文献4)。同文献において、上記カットオフ波長よりさらに長波長化するには、歪み補償が必要であるとして、Ga(In)AsSb/GaInAs(Sb)の歪み補償量子井戸構造による、カットオフ波長2μm〜5μmのフォトディテクタの提案がなされている。
【0006】
ところで、撮像装置は、受光素子が、複数個、二次元または一次元に配列されるアレイ構造をとるが、個々の受光素子間の分離を確実にしないと、暗電流、クロストーク等を生じて鮮明な画像を得ることができない。フォトダイオードはpn接合を必ず備えるが、上記のフォトダイオードでは、p型半導体層またはn型半導体層上への相手方の極性の半導体層をエピタキシャル成長することで、このpn接合が形成される。この場合、面状に広く形成されたpn接合を個々の受光素子のpn接合に分けるために、個々の受光素子に区分けする溝を設ける。このような溝は、素子分離溝と呼ばれ、面状のpn接合を形成した後、メサエッチングにより形成される。InP基板を用いた近赤外域用フォトダイオードの素子分離溝の形成には、InPおよびInGaAsについて選択性のあるエッチング液を用いることで、各層の境界でウェットエッチングを停止させることができる(特許文献2)。
【0007】
上記のウェットエッチング法では、しかしながら、区分けされる各受光素子の形状を高精度に制御することが困難である。たとえば、各受光素子において縦断面に台形状にテーパがついたり、積層体の側面に半導体層に応じて出入り(凹凸)が生じたり、隣り合う受光素子の間にエッチング液が順次入り込まず、完全な溝が形成されず、途中で止まるものなどができる。このような素子分離溝の不完全性を根絶することは、非常に困難である。また、ドライエッチング法を用いた場合には、エッチング時のダメージ発生が起こり、安定して暗電流の低いフォトダイオードを製造することが困難である。このため、歩留りが低下し、製造コストを上昇させる。
【0008】
上記の受光素子の複数個の配列構造の形成、すなわちアレイ化についていえば、上記各引用文献に提案された構造は、非特許文献3を除いてそのpn接合は、p型層およびn型層のエピタキシャル層間に形成されており、受光素子の一次元または二次元配列は、素子分離溝によって行うことになる。したがって、上記した素子分離溝の形成に伴う問題(高い暗電流)が伴うことになる。
【0009】
(III)暗視装置:近年、近赤外の長波長域の光を用いる暗視装置の紹介がなされている。たとえば赤外線を、人を含む対象物に照射し、その反射光を赤外線カメラで撮像することにより、自動車後方の視界の支援をする装置(特許文献3)、同様な近赤外LED(発光ダイオード)と撮像装置との組み合わせによる自動車用暗視装置(特許文献4)、赤外域と近赤外域との2つの波長域の組み合わせによる視覚装置(特許文献5)、1.5μm帯の光をInGaAs受光素子で受光する車載用撮像装置(特許文献6)等が紹介されている。
【非特許文献1】Vatsia,Mirshri,L."Atmospheric Optical Environment", Researchand Development Technical Report ECOM-7023, September (1972)
【非特許文献2】Marshall J.Cohen, "Near-IR imaging cameras operate at roomtemperature", LASER FOCUS WORLD June 1993 p.109(Sensors Unlimited)
【非特許文献3】T.Murakami, H.Takahashi, M.Nakayama, Y.Miura, K.Takemoto, D.Hara,"InxGa1-xAs/InAsyP1-y detector for near infrared(1-2.6μm)", Conference Proceedings of Indium Phosphide and Related Materials 1995, May, Sapporo, pp.528-531
【非特許文献4】R.Sidhu,"A Long-Wavelength Photodiode on InP Using Lattice-Matched GaInAs-GaAsSb Type-II Quantum Wells, IEEE Photonics Technology Letters, Vol.17, No.12(2005), pp.2715-2717
【特許文献1】特開平9−219563号公報
【特許文献2】特開2001−144278号公報
【特許文献3】特開2004−350228号公報
【特許文献4】特開2002−274258号公報
【特許文献5】特開平9−37147号公報
【特許文献6】特開平7−302928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したこれまでの技術における問題点は、次のように要約される。
(A1)化合物半導体受光素子アレイ:ノイズや暗電流が大きく、また暗点(画像抜け)が多く、鮮明な画像が得られない。温度上昇により、画像の鮮明度はとくに大きく劣化する。
(A2)暗視装置:赤外線、近赤外線等の光源が必要である。また、装置が複雑であり、高コストとなる。画像鮮明度も不足する。
本発明は、より長波長域まで受光可能な受光層を、良好な結晶性の化合物半導体により形成することによって、上記の問題を克服することができる撮像装置等を提供することを目的とする。すなわちノイズや暗電流を抑制して、昼夜によらず、鮮明な画像を確実に得ることができる受光層を備えた撮像装置、それを用いた視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置を提供することを目的とする。
ここで、視界支援装置は、車両(自動車など)に搭載されて安全性向上のために運転者の視界を支援する装置を、暗視装置は人が携行可能な装置を、航海支援装置は、船舶に搭載されて何らかの形で物標の認識を支援する装置を、そして監視装置は、定点に設置されて監視対象物を監視する装置を、それぞれさすものと大まかに区分けされるが、この区分けは厳密なものではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮像装置は、InP基板に形成された半導体受光素子を画素として、その画素の二次元アレイを備え、物体で反射された近赤外域の光を受けて、物体を撮像する。この撮像装置では、半導体受光素子は、InP基板上に設けたIII−V族半導体の多重量子井戸構造の受光層と、受光層のInP基板側と反対側に位置する拡散濃度分布調整層とを備える。受光層のバンドギャップ波長が1.65μm〜3μmであり、拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギがInPよりも小さい。そして、不純物元素の選択拡散によって、画素ごとにpn接合が形成され、その不純物の受光層における濃度が、5×1016/cm以下であることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によって、不純物濃度を5E16cm−3以下に低くすることにより、近赤外域に対応したバンドギャップエネルギを有する多重量子井戸構造を、結晶性を損なわずに、形成することができる。そして、受光素子のpn接合形成のための不純物が選択拡散され、すなわち周縁部から内側に平面的に周囲限定されて、個々の受光素子に分離されるように導入される。このため、各受光素子を高精度で形成しやすく、素子分離溝を設ける必要がないので、暗電流が低く、クロストークも抑制された受光素子アレイを形成することができる。
【0013】
また、上記構成によれば、波長1.4μm〜1.9μmにピークを持つ宇宙光が物体で反射された光を受光して、物体を撮像するのが可能なので、昼夜を問わず鮮明な画像を得ることができる。また、3.0μm以下に感度を有する半導体受光素子は、霧、煙または粉塵といった環境下でも、水の吸収スペクトルのうちMWIR(中赤外:Medium
Wavelength InfraRed)領域の吸収ピーク(3.0μm超の波長域にブロードな吸収を有する)の影響を小さくできるので鮮明な画像を得ることができる。
【0014】
さらに、補助的な光照射を行うことなく撮像できるので、照射光が人体の眼に入射して損傷する可能性を完全に除くことができる。ここでバンドギャップ波長は、バンドギャップエネルギを光の波長に換算したもので、バンドギャップ波長(μm)=1.2398/バンドギャップエネルギ(eV)、の関係がある。また、多重量子井戸構造のバンドギャップ波長1.65μm〜3.0μmは、サブバンドを含めてのことである。
【0015】
なお、上記のpn接合は、次のように、広く解釈されるべきである。受光層内において、不純物元素が選択拡散で導入される側と反対の面側の領域の不純物濃度が、真性半導体とみなせるほど低い不純物領域(i領域と呼ばれる)であって、上記拡散導入された不純物領域と当該i領域との間に形成される接合をも含むものである。すなわち上記のpn接合は、pi接合またはni接合などであってもよい。さらに、これらpi接合またはni接合におけるp濃度またはn濃度が非常に低い場合も含むものである。
【0016】
また、上記の拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギを、InP基板のバンドギャップエネルギより小さくすることによって、拡散濃度分布調整層の受光層側の厚み範囲の不純物濃度を低くしても、バンドギャップエネルギが小さいために電気抵抗がInPのバンドギャップエネルギをもつ材料を用いた場合よりも大きくならないようにできる。
【0017】
ここで、拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギを、InP基板のバンドギャップエネルギより小さくした理由は、次のとおりである。
(1)III−V族化合物半導体により近赤外域用の受光層を形成したとき、その受光層のバンドギャップエネルギより大きいバンドギャップエネルギの材料を窓層に用いる場合がある。その場合、格子整合性等も考慮して、半導体基板と同じ材料が用いられることが多い。近赤外域のカットオフ波長に対応するバンドギャップエネルギは、0.7〜0.8eVである。拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギは、窓層のバンドギャップエネルギより小さく、受光層のバンドギャップエネルギより明確に大きいことを前提としている。その理由は、仮に拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギが、受光層のバンドギャップエネルギと重なり、または近接しすぎる場合には、エピタキシャル層表面を入射面とする構造を採用したとき、受光層の受光対象とする光を吸収し、受光層の受光感度を低下させるからである。
(2)窓層に通常用いられる大きなバンドギャップエネルギの材料よりも小さいバンドギャップエネルギの材料を用いることにより、不純物濃度を低くしても電気抵抗増大の程度、または電気伝導度の低下の程度を小さくすることができる。この結果、上記のように電圧印加状態において応答速度の低下を抑制できる。
【0018】
上記の拡散濃度分布調整層内において、不純物元素の濃度が、受光層と反対側の面における1×1018/cm〜9.9×1018/cmから受光層側の面における5×1016/cm以下に低下するようにできる。これによって、表面トップ側に位置する電極の界面抵抗を抑えながら、またはオーミック接触を可能にしながら、かつ多重量子井戸構造の良好な結晶性を確保することができる。拡散濃度分布調整層内の部分における低い不純物濃度に起因する電気抵抗の増大または電気伝導度の低下の問題は、上記のように、InP相当のバンドギャップエネルギより小さいバンドギャップエネルギにより軽減することができる。
【0019】
上記の多重量子井戸構造が、タイプIIのGaAsSb/InGaAs多重量子井戸構造、またはタイプIIのGaAsSb/InGaAsN(P,Sb)多重量子井戸構造とすることができる。これにより、これまで蓄積した材料および技術を用いて、容易に、結晶性に優れ、暗電流の低い、SWIR長波長側に感度を持つ受光素子を得ることができる。
【0020】
上記の不純物元素を亜鉛(Zn)とし、拡散濃度分布調整層をInGaAsによって形成することができる。これにより、電気抵抗の不純物濃度依存性が小さく、不純物濃度が低くても電気抵抗はそれほど高くならない材料で、拡散濃度分布調整層を形成することができる。不純物の亜鉛については、その選択拡散は、これまで多くの製造実績があり、濃度分布を高精度で形成することができる。このため、拡散濃度分布調整層内で、拡散導入側の上側で高い濃度の不純物を、受光層側の下側で低い濃度としながら、その下側での電気抵抗を高めないようにできる。この結果、量子井戸構造を有する受光層内に、高い不純物濃度の領域を形成しないようにできる。そして、応答性を低下させずに、結晶性の良好な量子井戸構造の受光素子アレイを得ることができる。なお、InGaAsのバンドギャップエネルギは0.75eVである。
【0021】
上記のInP基板に、(100)から[111]方向または[11−1]方向に、5°〜20°傾斜したオフアングル基板を用いるのがよい。これによって、
欠陥密度が小さく結晶性に優れた多重量子井戸構造の受光層を含む積層体を得ることができる。この結果、暗電流が抑制され、暗点が少ない受光層を得ることができる。
【0022】
上記のInP基板、受光層の量子井戸構造を構成する各層、および拡散濃度分布調整層、の任意の相互間において、格子整合度(|Δa/a|:ただし、aは格子定数、Δaは相互間の格子定数差)を0.002以下とすることができる。この構成により、普通に入手ができるInP基板を用いて、結晶性に優れた受光層を得ることができる。
【0023】
また、上記の撮像装置は、波長域1.0μm〜3.0μmの光を受光する構成としてもよい。これにより、1.0μm以上、3.0μm以下に感度を有する受光素子は、上述のように、霧、煙または粉塵といった環境下でも、水の吸収スペクトルのうちMWIR(中赤外:Medium
Wavelength InfraRed)領域の吸収ピーク(3.0μm超の波長域にブロードな吸収を有する)の影響を小さくできるので鮮明な画像を得ることができる。さらに、補助的な光照射を行うことなく撮像できるので、照射光が人体の眼に入射して損傷する可能性を完全に除くことができる。なお、「波長域1.0μm〜3.0μmの光を受光する」とは、上述のように、波長域1.0μm〜3.0μm以外の波長域に感度を有しないことを意味する。これは、その受光層を形成する化合物半導体の特性の上から、波長域1.0μm〜3.0μmの範囲内に感度が制約される場合であってもよい。この場合、長波長側の感度の限界が2.0μmや、2.5μmであってもよい。また、とくに長波長側(短波長側)の限界3.0μm(1.0μm)の実現については、波長3.0μmを超える光(波長1.0μm未満の光)をカットするフィルタを備えていてもよい。
【0024】
さらに、上記の受光素子は、波長域1.0μm〜2.0μmの光を受光してもよい。この構成によれば、波長1.4μm〜1.9μmにピークを持つ宇宙光の反射光を、限定的に受光できるので、水の吸収スペクトル等による画像の乱れをさらに確実になくすことができる。すなわち、水の吸収スペクトルは、上述のように、波長3.0μmの短波長側でも長波長側(長波長側はとくにブロードな吸収)でも吸収を持つので、上記のように波長域1.0μm〜2.0μmの光を受光することにより、水の吸収スペクトルの最大の3.0μm付近ピークの影響をなくし、水の吸収スペクトル起因の画像の乱れを抑えることができる。また、上記の場合と同様に、「波長域1.0μm〜2.0μmの光を受光する」とは、波長域1.0μm〜2.0μm以外の波長域に感度を有しないことを意味する。これは、その受光層を形成する化合物半導体の特性の上から、波長域1.0μm〜2.0μmの範囲内に感度が制約される場合であってもよい。この場合、長波長側の感度の限界が1.5μmや、1.75μmであってもよい。また、とくに長波長側(短波長側)の限界2.0μm(1.0μm)の実現については、波長2.0μmを超える光(波長1.0μm未満の光)をカットするフィルタを備えていてもよい。
【0025】
本発明の視界支援装置は、上記のいずれかの撮像装置を用いることを特徴とする。この構成により、暗電流が抑制され、暗点の少ない画像を得ることができ、視界支援のレベルを向上させることができる。たとえば従来の車両における視界支援装置では、赤外光や近赤外光を物体に向かって照射して、その反射光を受光して物体を撮像するが、上記構成によれば、SWIR帯の宇宙光を利用するので、照射手段が不要であり、視界支援装置を簡単化して製造費用を低減することができる。これは車載スペースおよび費用の節約になり、これら装置の普及を促進させる上で、重要な要因となる。また、赤外光と近赤外光の検出を組み合わせる方式における車載スペースおよび製造コストの問題も避けることができる。
【0026】
また、光を照射しないので、人の眼への照射による損傷を避けることができ、光を避けるための機構やシステムも不要である。本発明の視界支援装置におけるこのような特性は、対人事故を防止するために人を検知することが主目的である車両用の視界支援装置の場合、とくに大きな価値を有する。
【0027】
また、(i)赤外光を受光する場合の、霧など水分による吸収により画像が極端に不鮮明になる問題、また(ii)物体または生物の放射熱線を受光する場合の、生物以外の周囲温度との差が小さいものや防寒具を付けた人などが検出し難いという問題を、本発明のSWIR宇宙光を受光する装置では、問題なく避けることができる。このような特性も、走行環境によらず車両の安全走行を確保することが重視される車両用の視界支援装置の場合、価値を有する。
【0028】
車両における視界支援のために用いられる装置であって、車両の前方または後方を撮像する撮像手段と、その撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段とを備え、撮像手段に上記のいずれか1つの撮像装置を用いることができる。
この構成によれば、上記視界支援装置は車両に搭載され、夜間に運転者が前方または後方の視界やさらには障害物を、より鮮明に認識しながら走行することができる。
【0029】
上記の撮像手段および/または表示手段を駆動制御する制御手段を備えることができる。これによって、運転者がより見やすい撮像を行うことができる。
【0030】
本発明の暗視装置は、夜間に物体を可視化する光学装置であって、上記のいずれかの撮像装置を用いたことを特徴とする。これにより、照射装置を用いることなく、夜光などの物体から反射される近赤外〜赤外域の光を感度良く受光して、鮮明な暗視画像を、簡単な構成の装置により得ることができる。このため携行しやすく、また赤外光照射に起因するアイセーフ問題を避けることができる。
【0031】
本発明の航海支援装置は、船舶に搭載され、他船舶等の物標を認識するための光学装置を含む装置であって、光学装置に、上記のいずれかの撮像装置を用いたことを特徴とする。この構成により、どのような気象条件下でも、昼夜を問わず、周囲との温度差が小さくい場合に赤外カメラでは明瞭に撮像しにくい物標を、確実に認識することができる。
【0032】
本発明の監視装置は、定点に設置され、監視対象物を監視する光学装置を含む装置であって、その光学装置に、上記のいずれかの撮像装置を用いたことを特徴とする。これにより、監視装置内に監視対象物に照射する光源を設けることなく、監視対象物を確実に捕捉することができる。ここで、監視装置には、列車事故を回避するためにプラットフォームとそこの列車軌道を監視する監視装置、ドアホン等に取り付けられて訪問者の画像を撮像する監視装置、侵入者か否かを判断するために監視する監視装置、介護等を目的に室内を監視して介護センタ等に映像を送るための室内用の監視装置、都市防止用に火災の発生やその位置を検知するための監視装置、ダム堰などの大型装置の異変を知らせる各部位の位置変化等を遠方から監視する遠隔用の監視装置等が該当する。
【0033】
上記の視界支援装置、暗視装置、航海支援装置または監視装置では、赤外光、近赤外光および可視光の光照射手段を備えない構成をとることができる。これにより、車載スペース、装置内スペース、設置箇所スペース等を節約してコストを抑えることができる。
【0034】
また、上記の視界支援装置、暗視装置、航海支援装置または監視装置では、波長1.4μm以下の光を発する光照射手段を備えない構成とすることができる。これにより、とくに人の眼に好ましくない影響を与える1.4μm以下の光照射がなくなり、これら光の人の眼への照射を防止するシステムが不要となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、昼夜や天候の状態を問わず、鮮明な画像を得ることができる撮像装置、視界支援装置、暗視装置、航海支援装置または監視装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(実施の形態1−半導体受光素子アレイの構造−)
図1は、本発明の実施の形態における受光素子10を示す断面図である。図1によれば、受光素子10は、次の構成のIII−V族半導体積層構造(エピタキシャルウエハ)を有する。
(InP基板1/InPバッファ層2/InGaAsまたはGaInNAsとGaAsSbとの多重量子井戸構造の受光層3/InGaAs拡散濃度分布調整層4/InP窓層5)
InP窓層5から多重量子井戸構造の受光層3にまで届くように位置するp型領域6は、SiN膜の選択拡散マスクパターン36の開口部から、p型不純物のZnが選択拡散されることで形成される。受光素子10の周縁部の内側に、平面的に周囲限定されて拡散導入されるということは、上記SiN膜の選択拡散マスクパターン36を用いて拡散することによって達せられる。
【0037】
p型領域6にはAuZnによるp側電極11が、またInP基板1の裏面にはAuGeNiのn側電極12が、それぞれオーミック接触するように設けられている。この場合、InP基板1にはn型不純物がドープされ、所定レベルの導電性を確保されている。InP基板1の裏面には、またSiONの反射防止膜35を設け、エピタキシャル層表面側を入射面とする場合の裏面からの反射を防止し、クロストーク等を防止している。
【0038】
多重量子井戸構造の受光層3には、上記のp型領域6の境界フロントに対応する位置にpn接合が形成され、上記のp側電極11およびn側電極12間に逆バイアス電圧を印加することにより、n型不純物濃度が低い側(n型不純物バックグラウンド)により広く空乏層を生じる。多重量子井戸構造の受光層3におけるバックグラウンドは、n型不純物濃度(キャリア濃度)で5E15cm−3程度またはそれ以下である。そして、pn接合の位置15は、多重量子井戸の受光層3のバックグラウンド(n型キャリア濃度)と、p型不純物のZnの濃度プロファイルとの交点で決まる。すなわち図2に示す位置となる。
【0039】
拡散濃度分布調整層4内では、InP窓層5の表面5aから選択拡散されたp型不純物の濃度が、InP窓層側における高濃度領域から受光層側にかけて急峻に低下している。このため、受光層3内では、Zn濃度は5E16cm−3以下の不純物濃度を容易に実現することができる。図2では、受光層3内のZn濃度は、より低い1E16cm−3程度以下が実現されている。
【0040】
本発明が対象とする受光素子10は、近赤外域からその長波長側に受光感度を有することを追求するので、窓層には、受光層3のバンドギャップエネルギより大きいバンドギャップエネルギの材料を用いるのが好ましい。このため、窓層には、通常、受光層よりもバンドギャップエネルギが大きく、格子整合の良い材料であるInPが用いられる。InPとほぼ同じバンドギャップエネルギを有するInAlAsを用いてもよい。
【0041】
図3は、上記の受光素子10を、共通のInP基板を含むエピタキシャルウエハに複数個配列した受光素子アレイ50を示す断面図である。受光素子10が複数個、素子分離溝なしに配列されている点に特徴を持つ。上述のように、各受光素子の内側にp型領域6が限定され、隣接する受光素子とは、確実に区分けされている。受光層3が多重量子井戸構造で形成されており、受光層3の上に拡散濃度分布調整層4が配置されて、受光層3内のp型不純物濃度が5E16cm−3以下そされている点などは、図1の受光素子10と同じである。
【0042】
(上記の半導体受光素子アレイのポイント)
本実施の形態における特徴は、次の要素で構成される点にある。
1.多重量子井戸構造は、選択拡散で不純物を高濃度に導入した場合、その構造が破壊されるため、選択拡散による不純物導入を低く抑える必要がある。通常、上記の拡散導入するp型不純物の濃度を5×1016/cm以下とする必要がある。
【0043】
2.上記の低いp型不純物の濃度を、実生産上、再現性よく安定して得るために、InGaAsによる拡散濃度分布調整層4を、受光層3の上に設ける。この拡散濃度分布調整層4において、受光層側の厚み範囲が、上記のような低い不純物濃度になると、その低い不純物濃度の範囲の電気伝導性は低下し、または電気抵抗は増大する。拡散濃度分布調整層4における低不純物濃度範囲の電気伝導性が低下すると、応答性が低下して、たとえば良好な動画を得ることができない。しかしながら、InP相当のバンドギャップエネルギより小さいバンドギャップエネルギの材料、具体的には1.34eV未満のバンドギャップエネルギを持つIII−V族半導体材料によって拡散濃度分布調整層を形成した場合には、不純物濃度が低くても、絶対零度で使用するわけではないので、電気伝導性は非常に大幅には低下しない。上記拡散濃度分布調整層の要件を満たすIII−V族半導体材料として、たとえばInGaAs、GaAsなどを挙げることができる。
【0044】
拡散濃度分布調整層にバンドギャップエネルギの狭い材料を用いると、不純物濃度が低くても電気抵抗の増加を抑制することができる。逆バイアス電圧印加等に対する応答速度は、容量および電気抵抗によるCR時定数で決まると考えられるので、電気抵抗Rの増大を、上記のように抑制することにより応答速度を短くすることができる。
【0045】
3.本実施の形態では、多重量子井戸構造をタイプIIとする。タイプIの量子井戸構造では、バンドギャップエネルギの小さい半導体層を、バンドギャップエネルギの大きい半導体層で挟みながら、近赤外域に受光感度を持たせる受光素子の場合、小さいバンドギャップエネルギの半導体層のバンドギャップにより受光感度の波長上限(カットオフ波長)が定まる。すなわち、光による電子または正孔の遷移は、小さいバンドギャップエネルギの半導体層内で行われる(直接遷移)。この場合、カットオフ波長をより長波長域まで拡大する材料は、III−V族化合物半導体内で、非常に限定される。これに対して、タイプIIの量子井戸構造では、フェルミエネルギを共通にして異なる2種の半導体層が交互に積層されたとき、第1の半導体の伝導帯と、第2の半導体の価電子帯とのエネルギ差が、受光感度の波長上限(カットオフ波長)を決める。すなわち、光による電子または正孔の遷移は、第2の半導体の価電子帯と、第1の半導体の伝導帯との間で行われる(間接遷移)。このため、第2の半導体の価電子帯のエネルギを、第1の半導体の価電子帯より高くし、かつ第1の半導体の伝導帯のエネルギを、第2の半導体の伝導帯のエネルギより低くすることにより、1つの半導体内の直接遷移による場合よりも、受光感度の長波長化を実現しやすい。
【0046】
4.上述のように、選択拡散マスクパターンを用いて選択拡散により、受光素子の周縁部より内側に、平面的に周囲限定してp型不純物を拡散導入するので、上記のpn接合は受光素子の端面に露出しない。この結果、光電流のリークは抑制される。また、図3の受光素子アレイの構造から分かるように、クロストークも抑制される。
【0047】
次に、図1に示す受光素子10の製造方法について説明する。n型InP基板1上に、2μm厚みのInPバッファ層2またはInGaAsバッファ層2を成膜する。次いで、(InGaAs/GaAsSb)または(GaInNAs/GaAsSb)の多重量子井戸構造の受光層3を形成する。単位量子井戸構造を形成するGaInNAs層またはGaAsSb層の厚みは5nmであり、ペア数(単位量子井戸の繰り返し数)は300である。次いで、受光層3の上に、Zn拡散導入の際の拡散濃度分布調整層4として、厚み1μmのInGaAs層をエピタキシャル成長し、次いで、最後に厚み1μmのInP窓層5をエピタキシャル成長する。上記の受光層3および拡散濃度分布調整層4は、ともにMBE(Molecular Beam Epitaxy)法によってエピタキシャル成長するのがよい。また、InP窓層5は、MBE法でエピタキシャル成長してもよいし、拡散濃度分布調整層4を成長させた後、MBE装置から取り出して、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法によってエピタキシャル成長してもよい。
【0048】
InPバッファ層2またはInGaAsバッファ層2は、ノンドープでもよいし、Siなどn型ドーパントを1E17cm−3程度ドーピングしてもよい。(InGaAs/GaAsSb)または(GaInNAs/GaAsSb)の多重量子井戸構造の受光層3、InGaAsの拡散濃度分布調整層4、およびInP窓層5は、ノンドープが望ましいが、Siなどn型ドーパントを極微量(たとえば2E15cm−3程度)ドーピングしてもよい。また、InP基板1とバッファ層2との間に、n型ドーパントを1E18cm−3程度ドープしたn側電極を形成するための高濃度のn側電極形成層を挿入してもよい。また、InP基板1は、Feドープの半絶縁性InP基板であってもよい。この場合は、その半絶縁性InP基板1とバッファ層2との間に、n型ドーパントを1E18cm−3程度ドープしたn側電極形成層を挿入する。
【0049】
上述のInP基板1を含む積層構造(エピタキシャルウエハ)を用いて、光デバイスを製造する。InP窓層5の表面5aに形成したSiNマスクパターン36を用いて、その開口部からZnを選択拡散して、(InGaAs/GaAsSb)または(GaInNAs/GaAsSb)の多重量子井戸構造の受光層3内に届くようにp型領域6を形成する。p型領域6のフロント先端部がpn接合15を形成する。このとき、Zn濃度が1E18cm−3程度以上の高濃度領域は、InGaAs拡散濃度分布調整層4内に限定される。すなわち、上記高濃度不純物分布は、InP窓層5の表面5aから深さ方向に、InGaAs拡散濃度分布調整層4内にまで連続し、さらに拡散濃度分布調整層4内のより深い位置で5E16cm−3以下に低下する。そして、pn接合15の近傍におけるZn濃度分布は、傾斜型接合を示すような分布になっている。
【0050】
受光素子10の一次元または二次元配列、すなわち図3に示す受光素子アレイは、素子分離用のメサエッチングをすることなくZnの選択拡散(受光素子の周縁部の内側になるように平面的に周囲限定した拡散)によって、隣り合う受光素子どうし分離する。すなわち、Zn選択拡散領域6が1つの受光素子10の主要部となり、1つの画素を形成するが、Znが拡散していない領域が、各画素を分離する。このため、メサエッチングに付随する結晶の損傷などを受けることがなく、暗電流を抑制することができる。
【0051】
不純物の選択拡散によってpn接合を形成する場合、拡散が深さ方向だけでなく横方向(深さ直交方向)にも進行するので、素子間隔を一定以上、狭くすることができない懸念が、上記特許文献2に表明されている。しかしながら、実際にZnの選択拡散を行ってみると、最表面にInP窓層5があり、その下にInGaAs拡散濃度分布調整層4が配置された構造では、横方向の拡散は、深さ方向と同程度またはそれ以下に収まることが確認された。すなわち、Znの選択拡散において、Znはマスクパターンの開口径よりも横方向に広がるが、その程度は小さく、図1、図3などに模式的に示すように、マスクパターン開口部よりも少し広がるだけである。
【0052】
図4は、本発明とは異なる参考例1における受光素子110を示す断面図である。参考例1の受光素子110では、次の積層構造を有する。
(InP基板101/InPまたはInGaAsバッファ層102/(GaInNAs/GaAsSb)多重量子井戸構造の受光層103/InP窓層105)
本発明の実施の形態における積層構造と比較して、拡散濃度分布調整層がないことが相違点である。すなわち、InP窓層105の直下に、多重量子井戸構造の受光層103が配置されている。
【0053】
拡散濃度分布調整層がないと、図5に示すように、たとえばZn濃度分布は多重量子井戸構造の受光層103まで高い濃度となる。すなわち、多重量子井戸構造内において、5E16cm−3を超えて1E18cm−3の高い不純物濃度領域が形成される。多重量子井戸構造に高濃度不純物が導入されると、その構造が破壊され、暗電流が大きく増大する。逆に、このような高濃度不純物領域が、多重量子井戸構造内に形成されないようにするために、拡散濃度分布調整層を設けて選択拡散を行うのである。
【0054】
しかしながら、Znの選択拡散において、次のような考え方が成立する余地がある。
(1)拡散導入時間を短時間に限定して、高濃度領域が多重量子井戸構造103内にかからないようにする。
(2)InP窓層105の厚みを厚くして、拡散濃度分布調整層の役割をInP窓層105に分担させる。
図6は、上記の(1)および(2)の場合を検討するための参考例2における受光素子110を示す断面図である。参考例2の受光素子110では、参考例1の受光素子とほぼ同じ積層構造を有するが、InP窓層105の厚みは、参考例1よりも厚くしており、上記(2)の場合に対応するが、(1)の場合も検討することは可能である。図6の積層構造において、多重量子井戸構造103内にZnの高濃度領域を形成しないように選択拡散を行った結果、得られたのが図7に示すZn濃度分布である。図7に示すZn濃度分布の場合、InP窓層105内において、Zn濃度は、高濃度から低濃度へと急峻に低下し、受光層側のInP窓層105内において、1E16cm−3程度の低濃度不純物領域が形成される。
【0055】
InP窓層105内において、1E16cm−3程度の低濃度不純物領域が形成されると、その領域では、繰り返し説明してきたように電気抵抗が高くなり、応答速度が低下する。このため、窓層を形成するほどバンドギャップエネルギが大きい材料に、具体的にはその典型材料であるInP窓層105に、拡散濃度分布調整層の役割を果たさせることはできない。このことは、上記(1)および(2)の場合について同じである。よって、拡散濃度分布調整層には、バンドギャップエネルギがInP相当以下、具体的には1.34eV未満を満たす材料を用いるのがよい。すなわち、低濃度不純物領域でも、電気伝導度の低下が比較的小さく、電気抵抗の増加が比較的小さいInGaAsのような材料を用いる必要がある。
【0056】
(実施の形態2−撮像装置−)
図8は本発明の実施の形態2における撮像装置の概要を示す図である。レンズなどの光学部品は省略してある。図9は、上記の撮像装置の受光素子アレイを説明するための図である。図10は、図9の受光素子アレイ50のうちの1つの受光素子を示す図である。図8において、この撮像装置70は、共通のInP基板51の上に形成された受光素子10がエピタキシャル層側を、実装基板の機能を有するマルチプレクサ(CMOS)71に向けて、実装されている。各受光素子10のエピタキシャル層のp型領域6と電気的に接続されるp側電極11と、共通のn型InP基板51(1)に設けられるn側電極12とは、マルチプレクサ71に接続され、電気信号をマルチプレクサに送り、マルチプレクサ71では各受光素子における電気信号を受けて、対象物の全体像を形成する処理を行う。n側電極12およびp側電極11は、それぞれはんだバンプ12b,11bを介在させてマルチプレクサ71と電気的に接続される。入射光は、InP基板51の裏面に形成したAR(Anti-Reflection)膜35を通して導入され、p型領域6と受光層3との界面であるpn接合15で受光される。p型領域6は、保護膜を兼ねるSiNのZn拡散マスク36の開口部から導入される。Zn拡散マスクパターン36は、その上に形成された保護膜のポリイミド膜パターン43とともにそのまま残される。受光素子アレイおよび各受光素子の構造については、図9および図10を用いて、次に詳しく説明する。
【0057】
図9において、受光素子アレイ50の受光素子10は、共通のInP基板51(1)に設けられている。各受光素子でSWIR帯の宇宙光を受光することにより生じた電流信号は、上述のように実装基板を兼ねたマルチプレクサ71に送られ、画像形成の処理がなされる。各受光素子のサイズやピッチ、アレイの大きさを変えながら、画素数を変化させる。図9に示す受光素子アレイ50は9万画素のものである。図10に示す受光素子10は、InP基板1の上に形成された複数のエピタキシャル膜を有し、また、p型領域6を形成する際に用いた、p型不純物導入用の拡散マスク36を残している。p型領域6にはp部電極11が接続され、はんだバンプなどによりマルチプレクサ71など実装基板の配線などへと接続される。
【0058】
図11は、エピアップ実装の受光素子を説明する断面図である。本発明においては、撮像装置内の受光素子はエピダウン実装でもエピアップ実装でも、どちらでもよい。この受光素子10は、n型InP基板1上に、下から順に、n型InPバッファ層2/受光層3/拡散濃度分布調整層4/InP窓層5/拡散マスク36/反射防止膜(AR膜:Anti-Reflection)35が位置している。p型領域6は、InP窓層5から拡散濃度分布調整層4を経て受光層3内のpn接合15まで形成されている。また、n側電極12がn型InP基板の裏面に位置し、p側電極11は、p型領域6のInP窓層5の表面に位置し、配線電極27に電気的に接続されている。本実施の形態においては、受光層3は、波長1.0μm〜3.0μmの範囲の光を受光する。具体的には、受光層3は、上述のタイプIIの多重量子井戸構造によって形成される。
【0059】
図11に示す受光素子は、上記したようにエピアップ実装され、エピタキシャル層すなわちInP窓層5の側から光を入射される。本実施の形態における受光素子は、上述のように、図12に示すように、エピダウン実装され、InP基板1の裏面側から光を入射されるタイプでもよい。図12のエピダウン実装の受光素子10の場合、InP基板1の裏面にAR膜35が施される。拡散濃度分布調整層4、InP窓層5、p側電極11および保護膜を兼ねるSiNの拡散マスク36は、エピアップ実装の場合と同様に設けられる。図12に示すエピダウン実装の場合、InP基板などInPはSWIR帯光に透明なので、SWIR帯光は吸収されることなく、受光層3のpn接合15に到達する。図12の構造においても、受光層は、上述のタイプIIの多重量子井戸構造によって形成される。以後の本発明例においても、とくに断らない限り、同様である。
【0060】
p側電極11と、n側電極12とは、図11に示すようにInP基板1を間に挟んで対向する位置に配置してもよいし、図12に示すようにInP基板1の同じ側の位置に配置してもよい。図12に示す構造の場合、図9に示す受光素子アレイ50の各受光素子10と集積回路とはフリップチップ実装により電気的に接続される。図11および図12の構造の受光素子において、pn接合15に到達した光は吸収され、電流信号を生じ、上述のように、集積回路を通して各々一画素の像に変換される。
【0061】
InP基板1は、(100)から[111]方向または[11−1]方向に5度〜20度傾斜したオフアングル基板とするのがよい。より望ましくは、(100)から[111]方向または[11−1]方向に10度〜15度傾斜させる。このような大きなオフ角基板を用いることにより、欠陥密度が小さく結晶性に優れたn型InPバッファ層2、タイプIIの量子井戸構造の受光層3、InGaAs拡散濃度分布調整層4およびInP窓層5を得ることができる。この結果、暗電流が抑制され、暗点が少ない受光層を得ることができる。このため、微弱なSWIR帯の宇宙光を受光して撮像する装置の性能を大きく向上させる受光層を得ることができる。すなわち上記オフアングル基板を用いて形成された受光素子の有する作用は、宇宙光を受光して撮像する撮像装置の品質向上にとくに有用である。
【0062】
上記のような大きなオフ角は、InP基板について提唱されたことはなく、本発明者らによってはじめて確認されたものであり、InP基板上に良好な結晶性のエピタキシャル膜を成長させる場合の重要な要素である。たとえば、非常に長波長域の発光及び受光が可能であるとする、上記の量子井戸構造の受光層3中に、Nを含む化合物半導体、たとえばGaInNAsが含まれる場合、上記のような大きなオフ角のInP基板を用いない限り、実際には、実用に耐える、良好なエピアキシャル層として形成されることは不可能である。すなわち、上記のような大きなオフ角のInP基板を用いない限り、Nを含む化合物半導体、たとえばGaInNAsは暗電流を抑制し、暗点を減らした受光層になることはない。この結果、微弱なSWIR帯の宇宙光を用いて鮮明な画像を得ることができない。上記例としてあげたGaInNAsだけでなく、GaInNAsPおよびGaInNAsSbにおいてもInP基板のオフ角は、上記のような大きい角度範囲が、良好な結晶性を得るのに必要であるという点で同じである。
【0063】
図11および図12に示す受光素子10では、受光層3を覆うように位置するInGaAs拡散濃度分布調整層4およびInP窓層5を備える。受光層3の格子定数がInP基板1の格子定数と同じであるため、受光層3の上に、暗電流を小さくすることで定評があるInGaAs拡散濃度分布調整層4およびInP窓層5を形成することができる。このため、暗電流を抑制し、素子信頼性を向上させることができる。すなわち、従来の受光素子では、ステップバッファ層またはグレーディッド層を設けることにより格子定数をInP基板から受光層のInGaAsへと大きくする。このような構造の場合、窓層は受光層の格子定数に合わせた組成のInAsP窓層とする必要がある。このような大きな格子定数をもたらす組成のInAsP窓層は、一般に、MWIR付近から短波長側にかけての吸収があるために受光感度が悪くなり、とくに水分の多い環境では不鮮明な画像となってしまう(図27参照)。図11および図12に示す受光素子10では、受光層3はInP基板1とほとんど同じ格子定数に揃っているので、拡散濃度分布調整層4にInGaAsを、また窓層にInP層を用いることができ、暗電流を低く抑えることができる。
【0064】
(実施の形態3−視界支援装置−)
図13は、本発明の実施の形態3における視界支援装置を示す図である。本視界支援装置は、自動車の夜間運転における運転者の前方の視界を支援するために、車両に搭載される。車両には、実施の形態1および2において説明した受光素子アレイと、図示しないレンズなど光学素子等とを含む撮像装置70と、撮像された画像を表示する表示モニター65と、これらを駆動制御する制御装置60とが搭載される。また、図14は、自動車の夜間運転における運転者の後方の視界を支援するために、車両に搭載される。自動車の後部に後ろ向きに取り付けられた、実施の形態2の受光素子アレイ、レンズなど光学素子等を含む撮像装置70で撮像した画像は、運転者の上部前方の表示装置65に表示される。撮像装置70および表示装置65は、制御装置60によって駆動制御される。
【0065】
従来の車両用視界支援装置では、物体からの赤外域の反射光または放出光を受光して画像とするため、次のような問題があった。反射光を利用する場合、光源が必要であり、搭載スペースを要し、またコスト増となる。また、物体の放射熱を利用する場合、人以外の非発熱体や防寒具を着た歩行者等は認識が難しいため、赤外カメラ以外の認識手段と併用する必要がある。また、光源を使う場合、使用する波長域によっては人体への影響、すなわちアイセーフ対策を講じる必要がある。
【0066】
本実施の形態における視界支援装置では、上記のような余分の光源やアイセーフ対策は不要である。また、撮像対象の発熱、非発熱を問わない。さらに霧中など水分を含む環境中でも、対象物の鮮明な画像を得ることができる。このため夜間における優れた車両用の視界支援装置を提供することができる。これは、物体からのSWIR帯の宇宙光の反射光を利用して、かつ暗電流が十分少なく、優れたダイナミックレンジ(S/N)を持つ受光素子を用いているからである。
【0067】
(実施の形態4−暗視装置−)
図15は、本発明の実施の形態4における暗視装置の構成を示す図である。この暗視装置510は、被写体の結像部に、本発明の実施の形態2における撮像装置70またはその受光素子の2次元配列面を曲面などに変形した撮像装置を用いる点に特徴がある。上記の撮像装置70は、近赤外〜赤外域に高い受光感度を有し、かつ暗電流を抑制することができるので、赤外線発光装置などの光源を暗視装置に内蔵する必要がなく、このあと説明するように、従来の赤外線光源内蔵タイプの暗視装置に比べて、暗視装置の基本的性能に本質的な相違をもたらすことが可能となる。
【0068】
被写体で反射された宇宙光などの近赤外〜赤外光は、対物レンズを通過した後、光電面部70において結像する。光電面部70において光電変換で得られた電流は、現在用いられている任意の手段で増幅し、表示部において画像に変換して表示する。表示面は、増幅の機構に応じて、たとえば光電面で画素ごとに電流を取り出し増幅回路で増幅するタイプであれば液晶画面でもよいし、イメージインテンシファイアで増幅する場合は蛍光面に表示して接眼レンズを通して見てもよい。イメージインテンシファイアは、光電面部で変換された電子像を倍増するマイクロチャンネルプレートMCPと、MCPの後方に配設され、電子像を光学像に再度変換する蛍光面と、蛍光面の後方に配設され光学像に変換された被写体像を画素に分割して伝送するファイバプレートとから構成される。
【0069】
従来の暗視装置は、本体中に赤外発光ダイオードを配置して、その赤外発光ダイオードから発して被写体で反射された赤外光を受光して被写体の暗視像を得ていた。しかし、本実施の形態における暗視装置510では、実施の形態1で説明した受光素子10の2次元アレイまたは撮像装置により光電面部70を形成するので、近赤外域に高感度を有する受光層が用いられる。このため、赤外発光ダイオード等を本体に配置しなくても、被写体で反射された宇宙光(night
glow)などを受光して、実用上問題ないレベルの鮮明な暗視像を得ることができる。この結果、軽量化・小型化されて携行に便利になり、また赤外線照射に起因するアイセーフ問題を回避することができる。さらに、動物観察の場合、ある種の動物(たとえば蛇)は赤外照射に気づくため、本暗視装置は、とくに動物の夜間の動態観察等に、好適に用いることができる。
【0070】
(実施の形態5−航海支援装置(1)−)
図16は、本発明の実施の形態5における夜間航海支援装置520を説明するための斜視図である。図16を参照して、この夜間航海支援装置520は、レーダー空中線などから構成されるレーダ装置を備えている。レーダ空中線は、船舶上の見晴らしの良い位置に設置され、図示しない制御回路等によって水平面内で回転され、周囲に存する他船などの物標を捕捉する。また、船体内に位置するレーダ指示機は、レーダ空中線によって捕捉された物標を表示する指示機であり、自船に対する物標の相対位置を表す信号を出力する。
【0071】
カメラ521は、図16に示すように、船舶上の所定位置(レーダ空中線から所定距離の位置)に設置される。このカメラ521には、実施の形態2で説明した受光層3を含む撮像装置70が組み込まれている点に特徴を有する。カメラ521は、例えば、水平軸および垂直軸のモータを含むカメラマウント上に搭載されており、垂直軸周り、および水平軸周りにその向きを制御可能である。カメラ521は、レーダ指示機により物標が捕捉され、この物標が撮影の目標に選択された場合に起動される。また、カメラマウントに含まれる水平軸および垂直軸のモータは、この目標をカメラ521により捉え続ける表示器に表示し続けることができるように駆動される。このようなカメラ521による追尾撮影のために、物標追尾演算器を備えている。所定の物標が追尾目標に設定されると、物標追尾演算器はカメラ521を起動させるとともに、カメラマウントに含まれるモータの駆動制御を開始させ、カメラ521に物標の追尾撮影を開始させる。
【0072】
従来用いられてきた赤外線カメラは、周囲と物標との温度差や物標から放出される赤外光を検知するため、周囲と温度差がない物標などは検出が困難であった。また、別に赤外線照射手段を設ける場合、広範囲にわたって必要な赤外光の光量を得ることは難しい。カメラ521は、上述のように実施の形態2における撮像装置70を組み込まれているので、近赤外域の感度が優れ、温度差を利用する必要がなく、昼夜を問わず、海面温度に影響されない。また水蒸気による影響を受けにくい波長域に高い感度を有するので、雨・霧などの影響を受けにくく、夜間にも物標を鮮明に捕捉することができる。
【0073】
(実施の形態6−航海支援装置(2)−)
図17は、本発明の実施の形態6における夜間航海支援装置の中核をなすレーザレーダの原理の説明図である。本実施の形態におけるレーザレーダは、実施の形態2に示した撮像装置70を組み込んだカメラが配置されている点に特徴を有する。レーザレーダを旋回するための旋回用架台は、仰角の変更と旋回の機能を有し、制御回路によって制御される。
【0074】
カメラが配置されたレーザレーダには、レーザヘッド、送光光学系、受光用のズームレンズ、カメラヘッドなどが配置される。レーザヘッドは、近赤外域の波長帯の不可視極短パルスレーザ光を発する半導体レーザなどで構成される。また、カメラヘッドは、反射してきた上記のパルスレーザ光を受光するためのカメラ521などで構成される。
【0075】
図17を用いて、本実施の形態における夜間航海支援装置のレーザレーダの原理について説明する。パルスレーザ光は、対象物に向けて出射されるが、その途中には、雨・霧等の浮遊粒子が存在する。まず、レーザ光がレーザから対象物に向けて送光されたとき、カメラ521のシャッターは閉じているので、対象物の前に存在する雨・霧等の浮遊粒子で反射された光はシャッターに遮られ、カメラ521には到達しない。そして、図17に示すように、光が対象物に達して反射され、その反射光がカメラ521に達した瞬間だけシャッターを開くことにより、特定の距離にある対象物からの反射光のみを受光することができる。
【0076】
上記のレーザレーダでは、対象物までの距離は、シャッターを開けるタイミングの調節で設定することができ、また高感度のカメラ521を使うことで、昼夜を問わず、また雨・霧といった悪天候や高波の時でも、これらの影響を大幅に削減して対象物のみを観測することが可能となる。また、非鉄製の対象物、例えば木造やプラスチック製の小型船舶などや海面浮遊物も形状まではっきりと視認することができる。さらに、上記のカメラ521には、実施の形態2で示した撮像装置70が、イメージインテンシファイア機能部品と組み合わせて用いられているので、たとえばレーザレーダのレーザ光の波長域を雨・霧の影響を受けにくい近赤外域に設定することができ、より鮮明な画像を得ることができる。
【0077】
(実施の形態7−監視装置(1)−)
図18は、本発明の実施の形態7における列車事故回避装置を示す図である。本実施の形態における特徴は、TVカメラ531に実施の形態2に示した撮像装置70を組み込んでいる点にある。図18において、この列車事故回避装置は、予め定められた範囲を撮像し、監視するTVカメラ531と、異常判定部と、TVカメラ531が列車軌道に浸入した障害物を発見し、事故が発生しないように高速で対処するために中央監視装置と、緊急事態発生を知らせる緊急情報出力部とを備える。
【0078】
TVカメラ531は、予め定められた範囲、例えばプラットフォームの敷地内に敷設された列車軌道を全長にわたって監視するように1台または複数台設けられる。1台設置の場合のTVカメラ531の撮像エリアは、列車の前方の列車軌道とプラットフォームである。
【0079】
上記のTVカメラ531には、図8に示した撮像装置70が組み込まれているので、鮮明な画像を得ることができ、また雨・霧などがあるときでも水分の影響を受けにくい波長域において高感度を有するため、天候に左右されず、確実な監視を行うことができる。また、赤外線等の照射をする必要がないので、多数の乗客に対してアイセーフの問題を回避することができる。
【0080】
(実施の形態8−監視装置(2)−)
図19は、本発明の実施の形態8における訪問者監視装置を示す図である。この訪問者監視装置540は、カメラ付きドアホンの親器と子器とから構成される。子器はドアに設けられ、訪問者はドアチャイムのボタンを押し、フィルタを通して撮影される。親器は屋内に設けられ、子器のカメラで撮像された訪問者の像が親器の表示画面に表示される。
【0081】
図20は、子器に設けられたカメラ541を示す図である。カメラ541には、図8に示した撮像装置70が組み込まれ、訪問者の撮像を行う。本実施の形態では、上記近赤外域〜赤外域に高感度を有する受光層を持つ撮像装置70を用い、例えば宇宙光(night
glow)の反射で訪問者を識別できるので、従来のカメラ付きドアホンのように、子器内に赤外発光素子を取り付ける必要がない。このため、この赤外発光素子がフィルタで反射して来訪者の画像の周りに赤外発光素子の虚像を形成する、という問題などは生じないので、それを防止するためカメラの周囲に筒状の壁等を設ける必要がない。また、赤外線照射に起因するアイセーフ問題を回避することができ、さらに赤外発光LEDなどの光源の電源電力を省略することができる。このため、カメラ付きドアホンの子器における構造を簡単化でき、消費電力を節減し、アイセーフ問題を回避することができる。しかも、宇宙自然光は昼夜一定であるので、昼夜の差などに起因する違和感のない訪問者の明瞭な映像を得ることができる。
【0082】
(実施の形態9−監視装置(3)−)
図21は、本発明の実施の形態8における侵入者検知装置550を示す図である。監視カメラ551は室内に取り付けられ透明窓面越しに外を監視できるように配置されている。監視カメラ551には、実施の形態2の図8に示した撮像装置70が組み込まれており、近赤外〜赤外域に高い感度を有する。監視カメラ551に撮影され、その画像は処理装置に送られ、画像処理にて該当者を検知し、さらに窓面付近での停滞時間を計測し、規定時間たとえば侵入の可能性が大と判定される1分間以上の停滞時間の場合には、侵入予定者と判断する。
【0083】
本実施の形態における監視カメラ551は、近赤外〜赤外域に高い感度を有する撮像装置70が組み込まれているので、赤外線照射器を設ける必要がない点に特徴を有する。監視カメラ551は、人物の宇宙光(night
glow)の反射光を受光することによって高い識別力をもって侵入予定者を検知することができる。このため、この種の監視装置の構成を簡単化することができる。また、侵入者監視装置では、とくに撮影対象者に向けて赤外線照射を集中させるので、問題化しやすいアイセーフについてのトラブルを回避することができる。また、複数の侵入者等の場合に、赤外線照射した場合に侵入者について鮮明な像を得にくいが、赤外線照射しない場合には、鮮明な情報を得ることができる。
【0084】
また、図示は省略するが、上記のタイプと別の従来の監視装置は、光源としての赤外線LEDの配置を必須としていた。たとえば監視カメラの両側(両翼)には、モータ駆動によって前方との対面角度を自在に変えられるように基板が配置されており、その基板上に複数の発光LEDが取り付けられていた。発光LEDからの赤外線により監視範囲を照射して、監視カメラはその反射光を受光して撮像する。監視カメラのレンズを、標準から広角、もしくは広角から標準のように交換した場合、または監視領域を変えた場合、監視カメラからの映像信号の輝度データを求め、輝度分布を求め、輝度分布を検出していた。輝度が不均一の場合、モータを駆動して基板の対面角度を変えて発光LEDの照射角度を変えて輝度分布が一様になるようにする。
【0085】
これに対して、図22に示す本実施の形態の変形例における監視カメラ551では、近赤外〜赤外域に高感度を有する撮像装置70を用いるので、監視装置に用いられて暗所を監視する場合、発光LEDがなくても鮮明な撮像を行い、輝度分布を精度よく検出することができる。さらに、宇宙光(night
glow)の反射光を感度よく受光できるので、レンズを広角にして撮像範囲を広範囲にした場合やその逆の場合の如何によらず、上記の発光LED付きの基板、角度を変えるモータ、その制御装置などを省略でき、監視装置の構成を非常に簡単にすることができる。
【0086】
(実施の形態10−監視装置(4)−)
図23は、本発明の実施の形態10における室内監視装置560を説明するための図である。図23において、監視カメラ561には、図8に示す撮像装置70が組み込まれ、ホームの室内を撮像するように配置されている。また、センサターミナルは、上記の監視カメラと一体に形成され、監視カメラによって撮像された画像を処理し、人存在確率等を算出することによって、人の在室を判定するように構成されている。このセンサターミナルの判定結果は、LANを介して、ホームターミナルに通知され、ホームターミナルから電話回線を介してセンターのセンターターミナルへ通知がなされる。
【0087】
上述の撮像装置70を組み込んでさえいれば、上記の監視カメラ561に人工網膜カメラ等を用いてもよい。従来用いられてきた赤外線カメラでは、赤外ランプによって室内居住者(被介護人)の生活空間全域に、常時、照射する必要があり、赤外光照射の被介護者への影響が無視できなかった。また、定点監視において、照射の陰になる位置では被介護者の表情や動作が不鮮明となり、対応が遅れる場合があった。監視カメラ561は、撮像装置70が近赤外〜赤外域に高い受光感度を有するため、赤外線照射をすることなく、暗闇下でもまた照明下でも、高感度の撮像ができ、上記の人存在確率を精度よく算出することができ、対応の遅れをなくすことができる。
【0088】
(実施の形態11−監視装置(5)−)
図24は、本発明の実施の形態11における都市防災用監視装置を説明するための図である。この都市防災用監視装置570は、火災を自動的に検知可能とし、その発生場所の特定を容易にすることができる。その構成は、たとえば建屋の屋上にカメラ台を設け、その上部の旋回台に取り付けたカメラハウジング内に監視カメラ571を収納する。本実施の形態における監視カメラ571には、図8に示した撮像装置70が組み込まれている点に特徴がある。このため、火災等から発せられる赤外光を感度よく検知することができる。
【0089】
この監視装置では、監視カメラを搭載する旋回台を駆動することによって、監視カメラ571の撮像方向を変化させ、そのときの角度をモニタすることによって、都市内の予め定める領域についての赤外線画像を撮像することができる。画像信号を演算処理して、局部的な熱源を認識すれば、火災発生部位を検出することができる。そのときの監視カメラ571の撮像方向を、監視装置を用いて、俯瞰図に重ねた座標軸上にプロットすることにより、火災発生場所を正確に割り出すことができる。従来用いられてきた赤外線カメラでは、炎から放出される赤外光を赤外カメラで撮像すると、大きな火炎の箇所は極端に明るく、ハレーションを生じるため、他の箇所は不鮮明になる場合があり、火炎の認識と周辺状況とを、同時に行うことが困難であった。しかし本実施の形態における監視カメラ571には、撮像装置70が組み込まれ、近赤外域の光を検知するため、火炎があってもハレーションを生じず、火災位置および周囲野状況を精度よく検知することができる。
【0090】
また、図示は省略するが、別の従来の都市防災用監視装置では、火災の感知センサとして炎の放射赤外線を映像化する監視カメラを用い、監視カメラで撮像された近赤外線画像を画像処理する火災判定装置により、火災の発生早期に確実にそれを検知し、かつ火災発生場所の特定を行っていた。このような従来の都市防災用監視装置に対する本発明の実施の形態11における都市防災用監視装置では、上記の炎の放射赤外線を映像化する監視カメラに、図8に示した撮像装置70を組み込む。このため、本実施の形態11の別の都市防災用監視装置における監視カメラで撮像された近赤外線画像を画像処理することにより、天候等に左右されずに、火災の早期に確実にそれを検知し、かつ火災発生場所の特定を行うことができる。さらに、火災判定装置の機能を追加することにより、近赤外線画像による火災状況の映像による確認や高精度の温度情報の取得を可能にする。
【0091】
(実施の形態12−監視装置(6)−)
図25は、本発明の実施の形態12における遠隔監視装置580を説明するための図である。この遠隔監視システム580は、昼夜の監視をする際の電気配線の手間が不要である。また、夜間監視時に、夜間照明が不要である。本実施の形態において、監視カメラ581には図8に示す撮像装置70が組み込まれている点に特徴がある。
【0092】
この遠隔監視システムでは、監視カメラ581を用いて遠隔地から設備を監視するのに、監視対象箇所に蓄光材等を配置する必要がなく、監視対象となる設備は特に限定されず、何でもよい。たとえば砂防ダムの水抜き穴、ダムの水位レベルや土砂堆積レベル表示ライン、工場の設備機器、家屋、ビル建造物、管理区域の棚の南京錠、山中に設置した観測機器などである。
【0093】
蓄光材等を用いない場合、蓄光材の材料費ならびにその初期配置および経年劣化に伴う更新の工数を省略することができる。また、蓄光材を広い範囲にわたって配置できない場合に生じる問題を解決することができる。すなわち、蓄光材を配置しない経路からの侵入者や、豪雨時の周辺状況は、局所的に蓄光材を配置しても把握できないが、撮像装置70を備えた監視カメラ581を用いる場合、近赤外〜赤外域に高い受光感度を有するので、赤外発光装置を用いなくても、鮮明な画像を得ることができる。また、赤外線投光器(赤外発光装置)は、当然、不要である。この結果、装置の簡単化、小型化、コスト節減等を実現することができる。
【0094】
(本発明の実施の形態における撮像装置の受光域と、SWIR宇宙光)
本発明の実施の形態における撮像装置は、長波長側3μm程度まで受光感度を持つ。また、SWIR宇宙光は、図26に示す強度分布をもつ。図26より、本発明の実施の形態における撮像装置は、SWIR宇宙光の全域をカバーすることができる。一方、図27は、水の吸収スペクトルを示す。これより、たとえば、本発明の実施の形態における撮像装置は、たとえばフィルタをかけて、1μm〜2μmに限定して受光感度を持たせることによって、水の吸収の影響を回避することができる。これによって、たとえば雨、霧、などの影響を除いて、鮮明な画像を得ることができる。
【実施例】
【0095】
−半導体受光素子アレイの構造についての実施例−
本発明の受光素子アレイの素子間隔または画素ピッチをどの程度まで小さくできるか、図28に示す受光素子アレイを用いた実施例によって検証した。受光素子間隔または画素ピッチは、図28に示すように、SiN選択拡散マスクパターン36の非開口部の幅である。Znの選択拡散の後に、p側電極11はAuZnにより、またn側電極12はAuGeNiにより、それぞれ形成した。図3の場合、InP基板1にFeドープの半絶縁性基板を用いているので、高濃度不純物のバッファ層2にn側電極12を設けているが、図1に示すようにn型InP基板を用いる場合には、基板裏面にn側電極を設けてもよいし、または基板表面側に基板と隣接するn型半導体層(たとえばバッファ層2)にn側電極を設けてもよい。本実施例では、図3の受光素子アレイのp側電極11とn側電極12との間に5Vの逆バイアス電圧を印加して、暗電流を測定した。InP窓層5の厚みは0.6μmと1.6μmの2種類について、また素子間隔は3μm〜20μmの範囲にわたって7種類の素子間隔について、それぞれ受光素子アレイを製造して、暗電流を測定した。拡散濃度分布調整層4の厚みは1μmとした。
【0096】
結果を図29に示す。図29によれば、InP窓層5の厚みが0.6μmと薄い場合、素子間隔または画素ピッチを5μmまで小さくしても、暗電流は1E−10A(アンペア)とすることができる。InP窓層5の厚みが1.6μmの場合には、上述したように、横方向へのZnの拡散が広がり、素子間隔7μmを超えないと、1E−10Aとすることができない。しかし、本実施例によって、InP窓層5の厚みを0.6μmと薄くし、かつ拡散濃度分布調整層を配置することによって、素子間隔5μmとすることができることを確認した。
【0097】
拡散濃度分布調整層4の作用については、Znの深さ方向濃度分布をSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)分析によって検証した。図30に、Znの深さ方向濃度分布を示す。図30によれば、InGaAs拡散濃度分布調整層4と受光層3との界面において、Znのパイルアップのピーク値は5×1016cm-3以下に抑制されている。このため、受光層3のn型キャリア濃度のバックグラウンドと、Zn濃度との交差位置(図中○印)に形成されるpn接合において、Zn濃度は確実に低くすることができ、結晶性等の劣化を防止することができる。そして、この拡散濃度分布調整層4の配置によって、受光層の多重量子井戸構造にその本来の作用を奏させることが可能になる。
【0098】
(他の実施の形態について)
上記の実施の形態では、拡散濃度分布調整層を備えた受光素子または受光素子アレイについて説明したが、最も広くは、受光素子は拡散濃度分布調整層を備えなくても、多重量子井戸構造内の不純物濃度が5E16cm−3以下であり、当該不純物が選択拡散で導入されていればよい。
【0099】
本発明の宇宙光を受光して撮像する撮像装置は、各受光素子が、最も広くは、3.0μm以下に感度を持つ量子井戸構造の受光層で形成されていれば、どのような材料で構成されていてもよい。また、本発明の視界支援装置は、自動車用の視界支援装置について説明したが、そのほか医療用、生体認識用など自動車以外の用途に用いてもよい。
【0100】
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によれば、近赤外域に受光感度を有し、良好な結晶性を得やすく、かつ、その一次元または二次元アレイを、高精度で形成しやすく、暗電流を低くできる受光素子、当該受光素子が配列された受光素子アレイを得ることができる。また、本発明の撮像装置および視界支援装置は、SWIR帯の宇宙光を光源として、その宇宙光の全域を受光でき、かつ暗電流を増大させるほど不要に広い帯域の光を受光しないので、暗電流や暗点を抑制することができ、鮮明な撮像を行うことができ、搭載スペースや製造コスト節減に資することができる。またInP窓層を用いることができ、宇宙光全域に良好な感度を有し、暗電流をより低く抑制して鮮明な画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施の形態1における受光素子を示す断面図である。
【図2】図1の受光素子におけるZn濃度分布を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1における受光素子アレイを示す断面図である。
【図4】本発明と異なる参考例1の受光素子の断面図である。
【図5】図4の受光素子におけるZn濃度分布を示す図である。
【図6】本発明と異なる参考例2の受光素子の断面図である。
【図7】図6の受光素子におけるZn濃度分布を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2における撮像装置の概要を示す図である。
【図9】図8の撮像装置の受光素子アレイを示す図である。
【図10】図9の受光素子アレイにおける一つの受光素子を示す図である。
【図11】エピアップ実装の受光素子の断面図である。
【図12】エピダウン(フリップチップ)実装の受光素子の断面図である。
【図13】本発明の実施の形態3における視界支援装置を示す図である。
【図14】図13の視界支援装置の変形例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態4における暗視装置の構造の説明図である。
【図16】本発明の実施の形態5における夜間航海支援装置の説明図である。
【図17】本発明の実施の形態6における夜間航海支援装置のレーザレーダの説明図である。
【図18】本発明の実施の形態7における列車事故回避装置の説明図である。
【図19】本発明の実施の形態8における訪問者監視装置を示す図である。
【図20】図19のドアホン装置の子器に設けたカメラの説明図である。
【図21】本発明の実施の形態9における侵入者監視装置の説明図である。
【図22】本発明の実施の形態9における侵入者監視装置の変形例の説明図である。
【図23】本発明の実施の形態10における室内監視装置の説明図である。
【図24】本発明の実施の形態11における都市防災用監視装置の説明図である。
【図25】本発明の実施の形態12における遠隔監視装置の説明図である。
【図26】本発明の実施の形態における撮像装置の受光域と、SWIR宇宙光の強度分布を示す図である。
【図27】水の吸収スペクトルを示す図である。
【図28】実施例に用いた受光素子アレイの部分断面図である。
【図29】実施例において測定した暗電流と素子間隔との関係を示す図である。
【図30】実施例におけるZnの深さ方向濃度分布を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1 InP基板、2 バッファ層、3 多重量子井戸構造の受光層、4 拡散濃度分布調整層、5 InP窓層、5a 窓層の表面、6 p型領域、10 受光素子、11 p側電極、12 n側電極、12b はんだバンプ、15 pn接合、35 反射防止膜、36 選択拡散マスクパターン、27 配線電極、43 ポリイミド保護膜、50 受光素子アレイ、51 InP基板、60 制御装置、65 表示装置、70 撮像装置、71 マルチプレクサ(実装基板)、510 暗視装置、520 夜間航海支援装置、521 カメラ、530 列車事故回避装置、531 TVカメラ、540 訪問者監視装置、541 カメラ、550 侵入者監視装置、551 監視カメラ、560 室内監視装置、561 監視カメラ、570 都市防災用監視装置、571 監視カメラ、580 遠隔監視装置、581 監視カメラ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
InP基板に形成された半導体受光素子を画素として、該画素の二次元アレイを備え、物体で反射された近赤外域の光を受けて、撮像する装置であって、
前記半導体受光素子は、前記InP基板上に設けたIII−V族半導体の多重量子井戸構造の受光層と、前記受光層の前記InP基板側と反対側に位置する拡散濃度分布調整層とを備え、
前記受光層のバンドギャップ波長が1.65μm〜3μmであり、
前記拡散濃度分布調整層のバンドギャップエネルギがInPよりも小さく、
不純物元素の選択拡散によって、前記画素ごとにpn接合が形成され、
前記不純物の受光層における濃度が、5×1016/cm以下であることを特徴とする、撮像装置。
【請求項2】
前記拡散濃度分布調整層内において、前記不純物元素の濃度が、前記受光層と反対側の面における1×1018/cm〜9.9×1018/cmから前記受光層側の面における5×1016/cm以下に低下することを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記多重量子井戸構造が、タイプIIのGaAsSb/InGaAs多重量子井戸構造、またはタイプIIのGaAsSb/InGaAsN(P,Sb)多重量子井戸構造であることを特徴とする、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記不純物元素が亜鉛(Zn)であり、前記拡散濃度分布調整層がInGaAsから形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記InP基板は、(100)から[111]方向または[11−1]方向に、5°〜20°傾斜したオフアングル基板であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の撮像装置。

【請求項6】
前記InP基板、前記受光層の量子井戸構造を構成する各層、および拡散濃度分布調整層、の任意の相互間において、格子整合度(|Δa/a|:ただし、aは格子定数、Δaは相互間の格子定数差)が0.002以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項7】
波長域1μm〜3μmの光を受光することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の撮像装置を用いることを特徴とする、視界支援装置。
【請求項9】
車両における視界支援のために用いられる装置であって、前記車両の前方または後方を撮像する撮像手段と、その撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段とを備え、前記撮像手段に前記請求項1〜7のいずれか1つに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする、視界支援装置。
【請求項10】
前記撮像手段および/または表示手段を駆動制御する制御手段を備えることを特徴とする、請求項9に記載の視界支援装置。
【請求項11】
夜間に物体を可視化する光学装置であって、請求項1〜7のいずれか1つに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする、暗視装置。
【請求項12】
船舶に搭載され、他の船舶等の物標を認識するための光学装置を含む装置であって、前記光学装置に、請求項1〜7のいずれか1つに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする、航海支援装置。
【請求項13】
定点に設置され、監視対象物を監視する光学装置を含む装置であって、前記光学装置に、請求項1〜7のいずれか1つに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする、監視装置。
【請求項14】
赤外光、近赤外光および可視光の光照射手段を備えないことを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1つに記載の視界支援装置、請求項11に記載の暗視装置、請求項12に記載の航海支援装置、または請求項13に記載の監視装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−67861(P2010−67861A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233948(P2008−233948)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】