説明

撮像装置及びそれに用いる露出制御方法

【課題】被写体光学像の垂直解像度の低下が少なく、絞り開口の面積の調節とNDフィルタの位置調節とを併用する撮像装置、露出制御方法を提供する。
【解決手段】固体撮像素子14の受光面14Aのシャッタを開閉するシャッタ駆動部34と、絞り開口26を形成する絞り羽根を駆動する絞り羽根駆動部28と、NDフィルタ30の位置を絞り開口に対して調整するNDフィルタ駆動部32と、被写体光学像の光量を検出して光量信号を出力する光量検出部22と、F値とシャッタ速度と露出制御電圧の対応関係を示す露出制御テーブルを記憶するメモリ38と、光量信号に基づいて露出量を示す露出制御電圧を算出し、露出制御テーブルからNDフィルタ半掛かり状態を回避するように、露出制御電圧に対応するF値とシャッタ速度を読み出して各駆動部を制御する制御部24を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り開口に対するND(Neutral Density)フィルタの位置を調整して露出制御を行なう撮像装置及び露出制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラなどの固体撮像素子を用いた撮像装置は、撮影レンズに対する絞り開口の面積の調節、絞り開口に対するNDフィルタの位置の調節、固体撮像素子の受光面を開閉するシャッタ速度の調節、固体撮像素子から得られる光量信号の利得の調節などによって、露出制御を行っている。
【0003】
撮像装置における露出制御の際には、絞り開口に対してNDフィルタが部分的に掛かる状態(以下、NDフィルタ半掛かり状態という)となる場合がある。NDフィルタ半掛かり状態では、絞り開口を通過する光束の一部がNDフィルタを透過し、光束の残り部分が単に空気中を透過することになる。そのため、NDフィルタを透過する光線と、NDフィルタを通過せずに空気中のみを通過する光線とでは、結像する点に差異が生じて、被写体光学像の解像度が劣化する。
【0004】
また、NDフィルタの端部における光の回折でも、被写体光学像の解像度は劣化する。さらに、絞り開口に対して、NDフィルタの光学濃度が異なる少なくとも2つの領域が掛かる場合にも、被写体光学像の解像度が劣化する。以後、NDフィルタ半掛かり状態には、上述の絞り開口に対してNDフィルタの光学濃度が異なる少なくとも2つの領域が掛かる場合も含むものとして説明する。
【0005】
このNDフィルタ半掛かり状態のときに発生する被写体光学像の解像度の低下を改善する露出制御方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−25432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の露出制御方法は、絞り開口に対してNDフィルタが全く掛からない状態(以下、NDフィルタ全開状態という)からNDフィルタ半掛かり状態を経て、絞り開口に対してNDフィルタが完全に掛かる状態(以下、NDフィルタ全閉状態という)へと変化させる際に、被写体の明るさに応じた露出変化量が滑らかな直線となるように露出制御を行うものである。しかしながら、NDフィルタの半掛かり状態においても露出制御を行う方法であるので、依然として、被写体光学像の解像度が低下してしまう問題があった。
【0008】
本発明者は、上述の露出制御方法のNDフィルタの半掛かり状態における被写体光学像の解像度の低下について検証した。図7は、上述の露出制御方法における被写体の明るさと解像度(MTF:Modulation Transfer Function)の関係を示している。図7に示す「垂直」とは、NDフィルタを差し入れる方向が絞り開口を広げるまたは絞る方向と同一の方向を表し、撮像レンズの光軸に対しても垂直な方向である。また、図7に示す「水平」とは、撮像レンズの光軸方向及び上述の「垂直」の方向に対してそれぞれ直交する方向である。
【0009】
また、図7に示す「60本/mm」とは、垂直または水平方向1mmあたりに60本の白黒の縞の組が分解描写できることを表す解像度であり、「150本/mm」とは、垂直または水平方向1mmあたりに150本の白黒の縞の組が分解描写できることを表す解像度である。更に、図7に示す「Aa」はNDフィルタ全開状態、「Ab」はNDフィルタ半掛かり状態、「Ac」はNDフィルタ全閉状態を表す。
【0010】
図7に示すように、被写体の明るさが「暗」から「明」に至る範囲において、垂直解像度は絞り開口に対するNDフィルタの位置変化により大きく変化するが、水平解像度は絞り開口に対するNDフィルタの位置変化の影響は少ない。
【0011】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、絞り開口の面積の調整と、絞り開口に対するNDフィルタの位置の調整とを併用して露出制御を行なう場合でも、NDフィルタの位置変化によって、被写体光学像の垂直解像度を低下させることなく最適な露出制御を行うことができる撮像装置及びそれに用いる露出制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、固体撮像素子(14)の受光面(14a)のシャッタを開閉するシャッタ駆動部(34)と、撮像レンズ(12a,12b,12c,12d)の絞り開口(26)を形成する絞り羽根を駆動する絞り羽根駆動部(28)と、絞り開口に対して、固体撮像素子の受光面にて受光される被写体光学像の光量を調節するNDフィルタ(30)の位置を調整するNDフィルタ駆動部(32)と、固体撮像素子の受光面にて受光される被写体光学像の光量を検出し、被写体光学像の光量に基づく光量信号を出力する光量検出部(22)と、絞り開口の面積と絞り開口に対するNDフィルタの位置とにより決められるF値と、シャッタを開閉するシャッタ速度と、露出量を示す露出制御電圧との対応関係を示す露出制御テーブルを記憶するメモリ(38)と、光量信号に基づいて目標となる露出制御電圧を算出し、露出制御テーブルから露出制御電圧に対応するF値を読み出し、F値を用いて絞り羽根駆動部とNDフィルタ駆動部とを制御するときにNDフィルタが絞り開口の一部に掛かる状態であるNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断し、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性はないと判断した場合は露出制御テーブルからF値に対応するシャッタ速度を読み出し、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性があると判断した場合はNDフィルタ半掛かり状態を回避するように露出制御テーブルからF値を再度読み出し、露出制御テーブルから再度読み出したF値に対応するシャッタ速度を読み出して、露出制御テーブルから読み出したF値に基づいて絞り羽根駆動部とNDフィルタ駆動部とを制御し、露出制御テーブルから読み出したシャッタ速度に基づいてシャッタ駆動部を制御して露出制御する制御部(24)とを有する撮像装置(10)を提供する。
【0013】
ここで、NDフィルタ半掛かり状態は、絞り開口に対してNDフィルタの光学濃度が異なる少なくとも2つの領域が掛かる状態を含むことが好ましい。
【0014】
また、固体撮像素子の受光面にて受光される被写体光学像の光量に基づく電気信号を所定の利得で増幅する増幅器(18)を有し、制御部は、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性がないと判断した場合は、増幅器で与える利得を決定し、増幅器が電気信号に利得を与えるように制御することが好ましい。
【0015】
更に、制御部は、撮像される画像の種類に基づいて露出制御電圧を算出することが好ましい。
【0016】
また、本発明は、固体撮像素子の受光面にて受光される被写体光学像の光量を検出し、被写体光学像の光量に基づく光量信号を出力し、光量信号に基づいて目標となる露出量を示す露出制御電圧を算出し、絞り羽根を駆動することにより調節される撮像レンズの絞り開口の面積と絞り開口に対して固体撮像素子の受光面にて受光される被写体光学像の光量を調節するNDフィルタの位置とにより決められるF値と、固体撮像素子の受光面のシャッタを開閉するシャッタ速度及び露出制御電圧の対応関係を示す露出制御テーブルを記憶するメモリから、露出制御電圧に対応するF値を読み出し、F値を用いて絞り羽根とNDフィルタとの駆動を制御するときにNDフィルタが絞り開口の一部に掛かる状態であるNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断し、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性はないと判断した場合は露出制御テーブルからF値に対応するシャッタ速度を読み出し、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性があると判断した場合はNDフィルタ半掛かり状態を回避するように露出制御テーブルからF値を再度読み出し、露出制御テーブルから再度読み出したF値に対応するシャッタ速度を読み出して、露出制御テーブルから読み出したF値に基づいて絞り羽根とNDフィルタとを駆動するように制御し、露出制御テーブルから読み出したシャッタ速度に基づいてシャッタを駆動するように制御して撮像装置の露出を制御する露出制御方法を提供する。
【0017】
ここで、NDフィルタ半掛かり状態は、絞り開口に対してNDフィルタの光学濃度が異なる少なくとも2つの領域が掛かる状態を含むことが好ましい。
【0018】
また、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性がないと判断した場合は、固体撮像素子の受光面にて受光される被写体光学像の光量に基づく電気信号を増幅する増幅器の利得を決定し、増幅器が電気信号に利得を与えるように制御することが好ましい。
【0019】
更に、撮像される画像の種類に基づいて露出制御電圧を算出することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、絞り開口の面積の調整と、絞り開口に対するNDフィルタの位置の調整とを併用して露出制御を行なう撮像装置及びそれに用いる露出制御方法において、NDフィルタの位置変化によって、被写体光学像の垂直解像度を低下させることなく被写体の明るさによらず最適な露出制御を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るNDフィルタの構成例及び絞り開口に対するNDフィルタの位置の変化を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る露出制御テーブルのデータ内容の例を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る露出制御の例を示すプログラム線図である。
【図5】本発明の実施形態に係るNDフィルタ半掛かり状態を回避するF値とシャッタ速度との関係を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態に係る露出制御の方法を説明するフローチャートである。
【図7】従来の撮像装置における被写体の明るさと解像度の関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の撮像装置の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。図1に示す撮像装置10は、撮像レンズ群12と、固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)14と、記録媒体16と、増幅器18と、信号処理部20と、光量検出部22と、制御部24と、一対の絞り羽根26a,26bと、絞り羽根駆動部28と、NDフィルタと、NDフィルタ駆動部32と、シャッタ駆動部34と、動画/静止画切替スイッチ36と、メモリ38を有する。前記した記録媒体16は撮像装置10の構成の一部として以下説明するが、必要に応じて、記録媒体16を撮像装置10の構成から除外し、除外した撮像装置10に対して、外部から着脱可能に装着される記録媒体の形態であっても良い。
【0023】
撮像レンズ群12は、CCD14へ被写体光学像を導くための撮像レンズ12a,12bによる撮像レンズ第1群12Aと、撮像レンズ12c,12dによる撮像レンズ第2群12Bとを有する。撮像レンズ第1群12Aと撮像レンズ第2群12Bの間に、一対の絞り羽根26a,26bとNDフィルタ30が配置される。なお、撮像レンズ群は少なくとも1つの撮像レンズで構成され、撮像レンズ第1群12Aまたは撮影レンズ第2群12Bの一方を省略する構成でもよい。
【0024】
撮像レンズ群12は、一対の絞り羽根26a,26bとNDフィルタ30により適宜露出制御されて、被写体からの光を集光する。撮像レンズ群12により集光された光は、CCD14の受光面14aにて被写体光学像として受光される。
【0025】
CCD14は、受光した被写体光学像を電気信号に光電変換して増幅器18に供給する。増幅器18は、制御部24の制御により、CCD14から供給される電気信号を所定の利得を与えて増幅し、増幅後の電気信号を信号処理部20及び光量検出部22に供給する。
【0026】
信号処理部20は、不図示の記憶指示スイッチからの記憶指示を受けた場合、増幅器18より供給される電気信号に対して所定の信号処理を施し、所定の信号処理を施した後の画像信号を記録媒体16に供給し、画像信号を記憶するように記憶媒体16を制御する。
【0027】
光量検出部20は、増幅器18より供給される電気信号から被写体の明るさを検出して、被写体の明るさ表す信号である光量信号を制御部24に供給する。
【0028】
動画/静止画切替スイッチ36は、動画撮影モードと静止画撮影モードとを切り替えるためにユーザにより操作されるスイッチである。動画/静止画切替スイッチ36は、ユーザにより動画または静止画の撮影モードが選択されると、選択された撮影モードに基づくモード信号を制御部24へ供給する。
【0029】
制御部24は、光量検出部22より供給される光量信号と動画/静止画切替スイッチ36より供給されるモード信号に基づいて、目標とする露出量を示す露出制御電圧を算出する。なお、露出制御電圧は、光量信号のみに基づいて決定されるものでもよい。そして、制御部24は、算出した露出制御電圧となるF値及び不図示のシャッタを駆動する速度(以下、シャッタ速度という)の組み合わせを決定する。更に、制御部24は、絞り羽根駆動部28、NDフィルタ駆動部32及びシャッタ駆動部34を制御して、被写体の明るさの変化に対応した露出制御を行う。すなわち、制御部24は、所定のF値となるように絞り羽根駆動部28及びNDフィルタ駆動部32を制御し、所定のシャッタ速度となるようにシャッタ駆動部34を制御する。
【0030】
絞り羽根駆動部28は、制御部24の駆動制御により、絞り羽根26a,26bを駆動して、絞り開口26の開口面積が所定の面積となるように略連続的に調節される。なお、略連続的に調節するとは、完全に連続的な調節の他、ステップ量が十分に小さいために連続的とみなせる調節を含むものである。そして、絞り羽根駆動部28は、絞り羽根26a,26bを駆動制御して、絞り開口26が開放された状態(以後、開放状態という)から絞られた状態(以後絞り状態という)となるまでの調節を可能にする。
【0031】
NDフィルタ駆動部32は、制御部24の駆動制御によりNDフィルタ30を駆動して、絞り開口26に対するNDフィルタ30の位置を変化させる。以後、絞り開口26に対するNDフィルタ30の位置をNDフィルタ30の出没状態という。また、絞り開口26に対してNDフィルタ30が全く掛からない状態をNDフィルタ全開状態、絞り開口26に対してNDフィルタ30が部分的に掛かる状態をNDフィルタ半掛かり状態、絞り開口26に対してNDフィルタ30が完全に掛かる状態をNDフィルタ全閉状態という。そして、NDフィルタ駆動部32は、NDフィルタ30を駆動制御して、NDフィルタ全開状態からNDフィルタ半掛かり状態を経てNDフィルタ全閉状態となるまでの調節を可能にする。
【0032】
なお、NDフィルタ半掛かり状態には、絞り開口26に対してNDフィルタ30の光学濃度が異なる少なくとも2つの領域が掛かる場合も含むものである。
【0033】
シャッタ駆動部34は、制御部24の駆動制御によりCCD14の受光面14a上に配置されるシャッタ速度を制御する。
【0034】
次に、NDフィルタ30の具体的な構成例について説明する。図2は、実施形態に係るNDフィルタの構成例及び絞り開口に対するNDフィルタの出没状態の変化を説明する図である。
【0035】
図2(a)に示すように、NDフィルタ30は、一対の絞り羽根26a,26bに対して略平行にかつ近傍に配置される。例えば、NDフィルタ30の基板30aにおける絞り羽根側26a,26bの表面は、領域N1と領域N2の2区画に分けられている。そして、領域N1及び領域N2の表面には、それぞれ光学濃度の異なる光学薄膜が成膜されている。なお、領域N2に成膜される光学薄膜の光学濃度の値は、領域N1に成膜される光学薄膜の光学濃度の値より大きいものである。
【0036】
また、NDフィルタ30の基板30aにおけるCCD14側の表面は、領域N3と領域N4の2区画に分けられている。そして、領域N3の面積は領域N1の面積より大きく、領域N4の面積は領域N2の面積より小さくなっている。また、領域N3及び領域N4の表面には、それぞれ領域N1,N2に成膜される光学薄膜と光学濃度の異なる光学薄膜が成膜されている。なお、領域N3に成膜される光学薄膜の光学濃度は領域N2に成膜される光学薄膜の光学濃度より大きく、領域N4に成膜される光学薄膜の光学濃度は領域N3に成膜される光学薄膜の光学濃度より大きいものである。
【0037】
上述の領域毎に光学濃度の値が異なる光学薄膜が成膜されたNDフィルタ30に対して、絞り羽根26a,26b側から直交する方向(光軸方向)に光を透過させる場合を考える。その場合、図2(b)に示すように、NDフィルタ30は、領域N1と領域N3を透過するフィルタD1と、領域N2と領域N3を透過するフィルタD2と、領域N2と領域N4を透過するフィルタD3の3種類のフィルタを有するものとなる。以後、NDフィルタ30は、光学濃度の値がそれぞれ異なるフィルタD1〜D3を有するものとして説明する。なお、第2のフィルタD2の光学濃度の値は、第1のフィルタD1の光学濃度の値より大きく、第3のフィルタD3の光学濃度の値は、第2のフィルタD2の光学濃度の値より大きい。
【0038】
図2(b)〜(d)は、F値と、一対の絞り羽根26a,26bによる絞り開口26の面積及び絞り開口26に対して図2(a)に示すNDフィルタ30の出没状態を示す図である。
【0039】
図2(b)は、F値を3.5とする場合の一例であり、絞り開口26が開放状態で、かつNDフィルタ全開状態を示す。なお、以後の説明において、例えばF値が3.5の場合にはF3.5と記す。図2(c)は、F4の場合の一例であり、絞り開口26が所定段階絞られ、かつNDフィルタ全開状態を示す。図2(d)は、F8の場合の一例であり、絞り開口26が所定段階絞られ、かつNDフィルタ30のフィルタD3によりNDフィルタ全閉状態を示す。
【0040】
次に、絞り開口26とNDフィルタ30の出没状態を定めるF値とシャッタ速度Sの決定方法について説明する。制御部24は、動画/静止画切替スイッチ36より供給されるモード信号と、光量検出部22より供給される光量信号に基づいて、露出量となる露出制御電圧EV(Exposure Value)を決定する。なお、制御部24は、露出制御電圧EVを決定する際に、モード信号を用いずに光量信号のみで決定してもよい。
【0041】
図3(a)は、絞り開口26の状態と、NDフィルタ30の出没状態とF値の関係を示す図である。図3(a)に示すように、F値は、例えばF3.5からF16までの間で、10段階の値をとることができる。なお、F値によって、絞り開口26の状態とNDフィルタ30の出没状態は予め決められている。
【0042】
例えば、F3.5の場合は、絞り開口26が開放状態で、かつNDフィルタ全開状態である。F4の場合は、絞り開口26がF3.5の場合よりも絞り状態で、かつNDフィルタ全開状態である。F4.8の場合は、絞り開口26がF4の場合と同じ状態で、かつNDフィルタ30のフィルタD1の半分が絞り開口26に掛かるNDフィルタ半掛かり状態である。
【0043】
F5.6の場合は、絞り開口26がF4及びF4.8の場合と同じ状態で、かつフィルタD1が絞り開口26全体に掛かるNDフィルタ全閉状態である。F6.8の場合は、絞り開口26がF4,F4.8,F5.6の場合と同じ状態で、かつNDフィルタ30のフィルタD1とフィルタD2が絞り開口26に対して半分ずつ掛かるNDフィルタ半掛かり状態である。
【0044】
F8の場合は、絞り開口26がF4,F4.8,F5.6,F6.8の場合と同じ状態で、かつNDフィルタ30のフィルタD3が絞り開口26全体に掛かるNDフィルタ全閉状態である。F9.6の場合は、絞り開口26がF8の場合よりも絞り状態で、かつNDフィルタ30のフィルタD3が絞り開口26全体に掛かるNDフィルタ全閉状態である。
【0045】
F11の場合は、絞り開口26がF9.6の場合よりも絞り状態で、かつNDフィルタ30のフィルタD3が絞り開口26全体に掛かるNDフィルタ全閉状態である。F13.6の場合は、絞り開口26がF11の場合よりも絞り状態で、かつNDフィルタ30のフィルタD3が絞り開口26全体に掛かるNDフィルタ全閉状態である。F16の場合は、絞り開口26がF13.6の場合よりも絞り状態で、かつNDフィルタ30のフィルタD3が絞り開口26に全体に掛かるNDフィルタ全閉状態である。
【0046】
図3(c)は、F値と垂直解像度の関係を示す図である。図3(c)に示すように、NDフィルタ半掛かり状態となるF4.8及びF6.8の垂直解像度は、それらの1段階前または1段階後のF値における垂直解像度よりも急激に低下する。F4.8及びF6.8以外のF値における垂直解像度は、それぞれ1段階前または1段階後のF値における垂直解像度と比較して変化は少ない。
【0047】
図3(b)は、絞り開口26及びNDフィルタ30の出没状態を定めるF値、シャッタ速度S及び露出制御電圧EVとの関係を表す露出制御テーブルのデータの例を示す図である。露出制御テーブルのデータは、メモリ38に記憶されている。露出制御電圧EVは、絞り開口26及び絞り開口26に対するNDフィルタ30の出没状態を定めるF値とシャッタ速度Sとの組み合わせにより表される。例えば、図3(b)に示すように、シャッタ速度Sは2秒から1/2048秒までの間の値であり、25段階の値をとることが可能である。
【0048】
ここで、動画/静止画切替スイッチ36より供給されるモード信号と光量検出部22より供給される光量信号に基づいて、制御部24が露出制御電圧EVをEV9と算出した場合を考える。なお、露出制御テーブルにおけるF値とシャッタ速度Sの組み合わせを(F,S)として表す。
【0049】
図3(b)に示すように、露出制御電圧EVをEV9とするF値とシャッタ速度の組み合わせは、(F4,S1/32)、(F4.8,S1/22)、(F5.6,S1/16)等の複数の組み合わせがある。よって、制御部24は、上述の複数の組み合わせの中から一つを用いて、絞り羽根駆動部28、NDフィルタ駆動部32、シャッタ駆動部34を制御する。
【0050】
そして、制御部24は、露出制御電圧EVを上昇または下降させるときに、NDフィルタ半掛かり状態となるF値、すなわちF4.8とF6.8の値とを回避するF値を露出制御テーブルから読み出すように制御すれば、垂直解像度の低下を回避することができる。
【0051】
NDフィルタ半掛かり状態を回避するため、制御部24は、メモリ24に記憶されている露出制御テーブルから読み出したF値を用いて絞り羽根駆動部28とNDフィルタ駆動部32を制御するときに、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断する。そして、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性はないと判断した場合、制御部24は、露出制御テーブルからF値に対応するシャッタ速度Sを読み出す。例えば、制御部24がEV9を算出してF4を読み出した場合、図3(a)に示すようにF4におけるNDフィルタ30の出没状態はNDフィルタ半掛かり状態とはならないので、制御部24は続いてF4に対応するシャッタ速度Sとして1/32秒を読み出す。
【0052】
一方、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性があると判断した場合、制御部24は、NDフィルタ半掛かり状態を回避するように露出制御テーブルからF値を再度読み出す。制御部24は、露出制御テーブルから再度読み出したF値がNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断し、上述の動作を繰り返す。例えば、制御部24がEV9を算出してF4.8を読み出した場合、図3(a)に示すようにF4.8におけるNDフィルタ30の出没状態はNDフィルタ半掛かり状態となるので、制御部24は次のF値としてF5.6を読み出す。図3(a)に示すようにF5.6におけるNDフィルタの出没状態はNDフィルタ半掛かり状態とはならないので、制御部24は続いてF5.6に対応するシャッタ速度Sとして1/16秒を読み出す。
【0053】
そして、制御部34は、NDフィルタ半掛かり状態を回避するF値に基づいて絞り羽根駆動部28とNDフィルタ駆動部32を制御し、NDフィルタ半掛かり状態を回避するF値に対応するシャッタ速度Sとなるようにシャッタ駆動部34を制御して露出制御する。
【0054】
次に、露出制御電圧EVがEV9からEV17まで上昇するときに、制御部24が、プログラム線図に基づいてF4.8とF6.8のNDフィルタ半掛かり状態を回避して、絞り羽根駆動部28、NDフィルタ駆動部32及びシャッタ駆動部34を制御する場合について説明する。
【0055】
図4は、図3に示す露出制御テーブルに基づいて、F4.8とF6.8の値を回避するように露出制御を行うモードの一例を示すプログラム線図である。図5は、図4のプログラム線図のF値とシャッタ速度Sのデータの内容を示す図である。なお、プログラム線図は、露出制御テーブルの一部分のデータの読み出し順序を規定したものであり、露出制御テーブルの1つの形態である。
【0056】
例えば、制御部24は、動画/静止画切替スイッチ36より動画モードを示すモード信号が供給されたとき、メモリ38に記憶されている複数のプログラム線図のうち、図4の破線で示すプログラム線図を選択する。プログラム線図は、自然に露出量を変化させるように、F値及びシャッタ速度の変化を最小限とするものが望ましい。例えば、露出制御電圧EVが段階的に変化するとき、図4の破線で示すプログラム線図のように、露出制御電圧EVの1段階の変化に対して、F値及びシャッタ速度共にそれぞれ2段階以内の変更することが望ましい。
【0057】
制御部24は、動画/静止画切替スイッチ36より供給されるモード信号と、光量検出部22より供給される光量信号に基づいて、目標とする露出制御電圧EVをEV9と算出した場合、図4に示すプログラム線図よりF3.5を読み出す。そして、制御部24は、F3.5のNDフィルタ30の状態がNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断する。F3.5のNDフィルタ30の状態は、図3(a)に示すように、NDフィルタ半掛かり状態とはならないので、制御部24はF3.5に対応するシャッタ速度Sとして1/45秒を読み出す。そして、制御部34は、NDフィルタ半掛かり状態を回避するF3.5に基づいて絞り羽根駆動部28とNDフィルタ駆動部32を制御し、シャッタ速度Sを1/45秒とするようにシャッタ駆動部34を制御して露出制御する。
【0058】
次に、制御部24は、露出制御電圧EVをEV9.5と算出した場合、図4に示すプログラム線図よりF3.5を読み出し、図3(a)に示すように、F3.5のNDフィルタ30の状態がNDフィルタ半掛かり状態とはならないので、F3.5に対応するシャッタ速度Sとして1/64秒を読み出す。制御部24は、以後NDフィルタ半掛かり状態とはならない場合には、図4に示すプログラム線図にしたがって、上述と同様の制御をする。
【0059】
ここで、制御部24は、露出制御電圧EVをEV13と算出して、図4に示すプログラム線図よりF4、シャッタ速度Sとして1/512秒を読み出し、上述と同様に絞り羽根駆動部28、NDフィルタ駆動部32及びシャッタ駆動部34を制御した後の処理について説明する。制御部24は、上述の処理に続いて、露出制御電圧EVをEV13.5と算出した場合、図4に示すプログラム線図よりF4.8を読み出す。そして、制御部24は、F4.8のNDフィルタ30の状態がNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断する。F4.8のNDフィルタ30の状態は、図3(a)に示すように、NDフィルタ半掛かり状態となるので、制御部24はF4.8の状態を飛び越して、F値を再度読み出す。すなわち、制御部24はF5.6を読み出す。
【0060】
F5.6のNDフィルタ30の状態は、図3(a)に示すように、NDフィルタ半掛かり状態とはならないので、制御部24はF5.6に対応するシャッタ速度Sとして1/358秒を読み出す。そして、制御部34は、NDフィルタ半掛かり状態を回避するF5.6に基づいて絞り羽根駆動部28とNDフィルタ駆動部32を制御し、シャッタ速度Sを1/358秒とするようにシャッタ駆動部34を制御して露出制御する。
【0061】
また、制御部24は、露出制御電圧EVをEV14.0と算出し、続いてEV14.5と算出した場合も、上述と同様にF6.8のNDフィルタ半掛かり状態を飛び越して、上述と同様の制御をする。
【0062】
次に、露出制御電圧EVがEV17からEV9まで下降するときに、制御部24が、プログラム線図に基づいてF4.8とF6.8のNDフィルタ半掛かり状態を回避して、絞り羽根駆動部28、NDフィルタ駆動部32及びシャッタ駆動部34を制御する場合について説明する。
【0063】
制御部24は、動画/静止画切替スイッチ36より供給されるモード信号と、光量検出部22より供給される光量信号に基づいて、目標とする露出制御電圧EVをEV17と算出した場合、図4に示すプログラム線図よりF16を読み出す。そして、制御部24は、F16のNDフィルタ30の状態がNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断する。F16のNDフィルタ30の状態は、図3(a)に示すように、NDフィルタ半掛かり状態とはならないので、制御部24はF16に対応するシャッタ速度Sとして1/512秒を読み出す。そして、制御部34は、NDフィルタ半掛かり状態を回避するF16に基づいて絞り羽根駆動部28とNDフィルタ駆動部32を制御し、シャッタ速度Sを1/512秒とするようにシャッタ駆動部34を制御して露出制御する。
【0064】
次に、制御部24は、露出制御電圧EVをEV16.5と算出した場合、図4に示すプログラム線図よりF13.6を読み出し、図3(a)に示すように、F13.6のNDフィルタ30の状態がNDフィルタ半掛かり状態とはならないので、F13.6に対応するシャッタ速度Sとして1/512秒を読み出す。制御部24は、以後NDフィルタ半掛かり状態とはならない場合には、図4に示すプログラム線図にしたがって、上述と同様の制御をする。
【0065】
ここで、制御部24は、露出制御電圧EVをEV12.5と算出して、図4に示すプログラム線図よりF8、シャッタ速度Sとして1/90秒を読み出し、上述と同様に絞り羽根駆動部28、NDフィルタ駆動部32及びシャッタ駆動部34を制御した後の処理について説明する。制御部24は、上述の処理に続いて、露出制御電圧EVをEV12.0と算出した場合、図4に示すプログラム線図よりF6.8を読み出す。そして、制御部24は、F6.8のNDフィルタ30の状態がNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断する。F6.8のNDフィルタ30の状態は、図3(a)に示すように、NDフィルタ半掛かり状態となるので、制御部24はF6.8の状態を飛び越して、再度F値を読み出す。すなわち、制御部24はF5.6を読み出す。
【0066】
F5.6のNDフィルタ30の状態は、図3(a)に示すように、NDフィルタ半掛かり状態とはならないので、制御部24はF5.6に対応するシャッタ速度Sとして1/128秒を読み出す。そして、制御部34は、NDフィルタ半掛かり状態を回避するF5.6に基づいて絞り羽根駆動部28とNDフィルタ駆動部32を制御し、シャッタ速度Sを1/128秒とするようにシャッタ駆動部34を制御して露出制御する。
【0067】
また、制御部24は、露出制御電圧EVをEV11.5と算出し、続いてEV11と算出した場合も、上述と同様にF4.8のNDフィルタ半掛かり状態を飛び越して、上述と同様の制御をする。なお、制御部24は、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性がない場合には、動画/静止画切替スイッチ36より供給されるモード信号と、光量検出部22より供給される光量信号に基づいて、増幅器18に入力される電気信号の利得AGCを適正な値に制御することが望ましい。
【0068】
制御部24は、露出制御電圧EVをEV0.5毎に上昇または下降をさせて、絞り羽根駆動部28、NDフィルタ駆動部32及びシャッタ駆動部34を制御する際に、所定時間を必要とする。しかし、所定時間を経過すれば、撮像装置10は常にNDフィルタ半掛かり状態を回避する状態となるので、垂直解像度の低下を避けることができる。また、絞り開口26やNDフィルタ30の制御はアナログ制御であるが、F値とシャッタ速度Sの変化を最小限にすることによって、自然な露出とすることができる。
【0069】
本実施形態では、露出制御電圧EVが上昇する場合と下降する場合で異なるプログラム線図を説明したが、露出制御電圧EVが上昇する場合と下降する場合とで同じプログラム線図を用いても良い。また、露出制御テーブル上で参照している現在のF値とシャッタ速度Sの値によって、複数のプログラム線図から1つのプログラム線図を選択できるようにしても良い。更に、目標とするF値とシャッタ速度Sへ最短で到達できるようにプログラム線図を選択するなど種々の変更が可能である。
【0070】
次に、図6を用いて露出制御の方法について説明する。図6は、露出制御の手順を示すフローチャートである。制御部24は、動画/静止画切替スイッチ36より供給されるモード信号と、光量検出部22より供給される光量信号に基づいて、プログラム線図を選択する。プログラム線図は、例えば図4に示したものである。
【0071】
制御部24は、プログラム線図を選択した後、動画/静止画切替スイッチ36より供給されるモード信号と、光量検出部22より供給される光量信号に基づいて、露出制御電圧EVの初期値を決定する(ステップS01)。制御部24は、プログラム線図上において、露出制御電圧EVから読み出したF値について垂直解像度が低下する可能性があるか否か、すなわちNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断する(ステップS02)。
【0072】
NDフィルタ半掛かり状態となる可能性があると判断した場合(ステップS02,Y)、制御部24は、そのNDフィルタ半掛かり状態となるF値を飛び越すようにプログラム線図上のモードを制御する(ステップS03)。次に、制御部24は、プログラム線図上でNDフィルタ半掛かり状態となるF値を飛び越して、F値を読み出し、続いてそのF値に対応するシャッタ速度Sの制御値を読み出す(ステップS04)。
【0073】
制御部24は、ステップS04で読み出したF値とシャッタ速度Sの制御値となるように各駆動部28,32,34を制御する。すなわち、制御部24は、ステップS04で読み出したF値となるように、絞り羽根駆動部28、NDフィルタ駆動部32を制御し、ステップS04で読み出したシャッタ速度となるように、シャッタ駆動部34を制御する(ステップS05)。
【0074】
制御部24は、絞り羽根駆動部28により調整された一対の絞り羽根26a,26bの位置と、NDフィルタ駆動部32により調整されたNDフィルタ30の出没状態とからF値の実効値を取得し、シャッタ駆動部34により調整されたシャッタからシャッタ速度Sの実効値を取得する(ステップS06)。
【0075】
制御部24は、ステップS04で読み出したF値及びシャッタ速度Sの制御値とステップS06で取得したF値及びシャッタ速度Sの実効値とがそれぞれ一致するか否かを判断する(ステップS07)。ステップS07において、制御部24は制御値と実効値とがすべて一致すると判断した場合(ステップS02,Y)はステップS11に進み、一致しないものがあると判断した場合(ステップS07,N)は所定時間待機後(ステップS08)、ステップS06に戻る。
【0076】
次に、NDフィルタ半掛かり状態となる可能性がないと判断した場合(ステップS02,N)、またはステップS07においてF値とシャッタ速度Sの制御値と実効値とが一致すると判断した場合(ステップS07,Y)について説明する。
【0077】
制御部24は、プログラム線図に基づいて、メモリ38に記憶されている露出制御テーブルのデータから、露出制御電圧EVに対応するF値を読み出し、そのF値に対応するシャッタ速度Sを読み出し、増幅器18に入力される電気信号に与えられる利得AGC(Auto Gain Control)を決定する(ステップS11)。NDフィルタ半掛かり状態となる可能性がない場合には、動画/静止画切替スイッチ36より供給されるモード信号と、光量検出部22より供給される光量信号に基づいて、増幅器18に入力される電気信号に与えられる利得AGCを適正な値に制御することが望ましい。
【0078】
制御部24は、ステップS11で読み出したF値とシャッタ速度Sの制御値となるように各駆動部28,32,34を制御し、増幅器18に入力される電気信号に与えられる利得AGCを制御する。すなわち、制御部24は、ステップS11より読み出したF値となるように、絞り羽根駆動部28、NDフィルタ駆動部32を制御し、ステップS11で読み出したシャッタ速度Sとなるように、シャッタ駆動部34を制御し、ステップS12で決定した利得AGCとなるように、増幅器18を制御する(ステップS12)。
【0079】
制御部24は、絞り羽根駆動部28により調整された一対の絞り羽根26a,26bの位置と、NDフィルタ駆動部32により調整されたNDフィルタ30の出没状態とからF値の実効値を取得し、シャッタ駆動部34により調整されたシャッタ速度Sの実効値を取得し、増幅器18の利得AGCの実効値を取得する(ステップS13)。
【0080】
制御部24は、ステップS12で読み出したF値,シャッタ速度S及びステップS12で決定した利得AGCの制御値と、ステップS13で取得したF値,シャッタ速度S,利得AGCの実効値とがそれぞれ一致するか否かを判断する(ステップS14)。制御値と実効値とがすべて一致すると判断した場合(ステップS14,Y)はステップS15に進み、一致しないものがあると判断した場合(ステップS14,N)は所定時間待機後(ステップS21)、ステップS13に戻る。
【0081】
ステップS14で、制御部24は制御値と実効値のすべてが一致すると判断した場合、光量検出部22より現在の被写体の明るさを示す光量信号を取得し、取得した光量信号の値を評価値Yとして算出する(ステップS15)。
【0082】
制御部24は、ステップS15にて算出した評価値Yが所定範囲内にあるか否か、すなわち露出制御が適正か否かを判断する(ステップS16)。制御部24は、ステップS15で算出した評価値Yが所定範囲内にあると判断した場合(ステップS16,Y)、所定時間待機後(ステップS22)、ステップS15に戻る。
【0083】
制御部24は、ステップS15で算出した評価値Yが所定範囲内にないと判断した場合(ステップS16,N)、一対の絞り羽根26a,26bの位置と、NDフィルタ30の出没状態とからF値の実効値を取得し、またシャッタ速度Sの実効値を取得して現在の露出制御電圧EV’を算出する(ステップS17)。
【0084】
制御部24は、現在の露出制御電圧EV’と評価値Yに基づいて修正露出制御電圧EVを算出し(ステップS18)、ステップS02に戻り上述の動作を繰り返す。
【0085】
以上説明したように、プログラム線図を含む露出制御テーブルを用いて、NDフィルタ半掛かり状態を回避できる撮像装置であるので、いかなる露出制御状態であっても、被写体光学像の垂直解像度の低下を抑えて高画質な画像を得ることができる。なお、NDフィルタ半掛かり状態を回避できるF値の段階を1段階とする例を用いて説明したが、2段階以上回避する必要がある場合にも適用できるものである。また、NDフィルタ半掛かり状態を回避できる方法であれば、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 撮像装置
12a,12b,12c,12d 撮影レンズ
14 CCD(固体撮像素子)
14a 受光面
18 増幅器
22 光量検出部
24 制御部
26 絞り開口
26a,26b 絞り羽根
28 絞り羽根駆動部
30 NDフィルタ
32 NDフィルタ駆動部
34 シャッタ駆動部
38 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子の受光面のシャッタを開閉するシャッタ駆動部と、
撮像レンズの絞り開口を形成する絞り羽根を駆動する絞り羽根駆動部と、
前記絞り開口に対して、前記固体撮像素子の前記受光面にて受光される被写体光学像の光量を調節するNDフィルタの位置を調整するNDフィルタ駆動部と、
前記固体撮像素子の前記受光面にて受光される前記被写体光学像の光量を検出し、前記被写体光学像の光量に基づく光量信号を出力する光量検出部と、
前記絞り開口の面積と前記絞り開口に対する前記NDフィルタの位置とにより決められるF値と、前記シャッタを開閉するシャッタ速度と、露出量を示す露出制御電圧との対応関係を示す露出制御テーブルを記憶するメモリと、
前記光量信号に基づいて目標となる前記露出制御電圧を算出し、前記露出制御テーブルから前記露出制御電圧に対応する前記F値を読み出し、前記F値を用いて前記絞り羽根駆動部と前記NDフィルタ駆動部とを制御するときに前記NDフィルタが前記絞り開口の一部に掛かる状態であるNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断し、前記NDフィルタ半掛かり状態となる可能性はないと判断した場合は前記露出制御テーブルから前記F値に対応する前記シャッタ速度を読み出し、前記NDフィルタ半掛かり状態となる可能性があると判断した場合は前記NDフィルタ半掛かり状態を回避するように前記露出制御テーブルから前記F値を再度読み出し、前記露出制御テーブルから再度読み出した前記F値に対応する前記シャッタ速度を読み出して、前記露出制御テーブルから読み出した前記F値に基づいて前記絞り羽根駆動部と前記NDフィルタ駆動部とを制御し、前記露出制御テーブルから読み出した前記シャッタ速度に基づいて前記シャッタ駆動部を制御して露出制御する制御部と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記NDフィルタ半掛かり状態は、前記絞り開口に対して前記NDフィルタの光学濃度が異なる少なくとも2つの領域が掛かる状態を含むことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記固体撮像素子の前記受光面にて受光される被写体光学像の光量に基づく電気信号を所定の利得で増幅する増幅器を有し、
前記制御部は、前記NDフィルタ半掛かり状態となる可能性がないと判断した場合は、前記増幅器で与える前記利得を決定し、前記増幅器が前記電気信号に前記利得を与えるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、撮像される画像の種類に基づいて前記露出制御電圧を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
固体撮像素子の受光面にて受光される被写体光学像の光量を検出し、前記被写体光学像の光量に基づく光量信号を出力し、前記光量信号に基づいて目標となる露出量を示す露出制御電圧を算出し、絞り羽根を駆動することにより調節される撮像レンズの絞り開口の面積と前記絞り開口に対して前記固体撮像素子の前記受光面にて受光される前記被写体光学像の光量を調節するNDフィルタの位置とにより決められるF値と、前記固体撮像素子の前記受光面のシャッタを開閉するシャッタ速度及び前記露出制御電圧の対応関係を示す露出制御テーブルを記憶するメモリから、前記露出制御電圧に対応する前記F値を読み出し、前記F値を用いて前記絞り羽根と前記NDフィルタとの駆動を制御するときに前記NDフィルタが前記絞り開口の一部に掛かる状態であるNDフィルタ半掛かり状態となる可能性があるか否かを判断し、前記NDフィルタ半掛かり状態となる可能性はないと判断した場合は前記露出制御テーブルから前記F値に対応する前記シャッタ速度を読み出し、前記NDフィルタ半掛かり状態となる可能性があると判断した場合は前記NDフィルタ半掛かり状態を回避するように前記露出制御テーブルから前記F値を再度読み出し、前記露出制御テーブルから再度読み出した前記F値に対応する前記シャッタ速度を読み出して、前記露出制御テーブルから読み出した前記F値に基づいて前記絞り羽根と前記NDフィルタとを駆動するように制御し、前記露出制御テーブルから読み出した前記シャッタ速度に基づいて前記シャッタを駆動するように制御して撮像装置の露出を制御することを特徴とする露出制御方法。
【請求項6】
前記NDフィルタ半掛かり状態は、前記絞り開口に対して前記NDフィルタの光学濃度が異なる少なくとも2つの領域が掛かる状態を含むことを特徴とする請求項5記載の露出制御方法。
【請求項7】
前記NDフィルタ半掛かり状態となる可能性がないと判断した場合は、前記固体撮像素子の前記受光面にて受光される前記被写体光学像の光量に基づく電気信号を増幅する増幅器の利得を決定し、前記増幅器が前記電気信号に前記利得を与えるように制御することを特徴とする請求項5または6記載の露出制御方法。
【請求項8】
撮像される画像の種類に基づいて前記露出制御電圧を算出することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の露出制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−33011(P2010−33011A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94629(P2009−94629)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】