説明

撮影装置

【課題】 撮影シーン内に人間が存在する場合に、画像データの領域切り出しや画像合成などの複雑な画像処理を必要とせず、背景と人間の顔とのバランスが取れた画像が得られる撮影装置を提供する。
【解決手段】 上記目的を達成する本発明の撮影装置は、被写体像が結像されて画像データを生成する撮像素子と、複数の撮影モードの中から任意の撮影モードを指定する撮影モード指定操作子と、上記撮像素子で得られた画像データに基づいて、撮影シーン内に人間の顔が存在するか否かを検出する顔検出部とを備え、撮影シーン内に人間の顔が存在しかつその顔が所定輝度以上の場合、および撮影シーン内に人間の顔が存在しない場合にフラッシュオフ撮影を行ない、撮影シーン内に人間の顔が存在しかつその顔が所定輝度未満の場合にフラッシュオン撮影を行なう特殊撮影モードを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子上に被写体像を結像し撮影操作に応じて画像データを生成する撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の撮影モードの中から任意の撮影モードをユーザが指定して、その指定された撮影モードに応じた撮影条件で撮影を実行するデジタルカメラが知られている。これらの撮影モードには、例えば、夜景の撮影に適した夜景モード、夕焼けの撮影に適した夕焼けモード、人物の撮影に適したポートレートモード、動きの速い被写体を撮影するのに適したスポーツモード、デジタルカメラ側で撮影条件を自動的に制御するオートモードなどがある。
【0003】
ここで、ユーザが複数の撮影モードの中から、例えば、夕焼けモードを指定した場合、夕焼けモードでは、夕焼けが美しく撮れるようにフラッシュを非発光に固定したり、画像データの白色の色を調整するホワイトバランス調整を自動的に太陽光に固定して、必要以上に夕焼けの色を補正するのを防ぐようにする。
【0004】
ところが、この夕焼けモードでは、人間の顔が夕焼けを背景にして撮影されると、人間の顔が逆光状態になり暗く写ってしまうという問題がある。
【0005】
また、ユーザが夜景モードを指定した場合、夜景モードでは、通常、夜景が美しく撮れるようにフラッシュを非発光に固定する。
【0006】
ところが、この夜景モードでは、人間の顔が暗く写ってしまうという問題がある。
【0007】
従来、夜景モードの撮影において、人間の顔と夜景とのバランスの取れた画像を得ることを目的としたデジタルカメラが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−87645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この特許文献1のデジタルカメラでは、夜景を背景にして人間の顔を撮影する場合、同一の撮影シーンについてフラッシュオン撮影とフラッシュオフ撮影を行ない、フラッシュオン撮影で得られた第1の画像と、フラッシュオフ撮影で得られた第2の画像とから、第2の画像における人間の画像の領域を第1の画像における人間の画像の領域で置換する画像合成の処理を施すことにより、人間の顔と夜景とのバランスの取れた最終画像が得られる。
【0009】
ところが、この特許文献1のデジタルカメラでは、画像合成の処理を行う分、余計な時間がかかるため、ユーザが続けて撮影したい場合にシャッタチャンスを逃す恐れがあるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、撮影シーン内に人間が存在する場合、画像合成の処理を必要とせず、背景と人間の顔とのバランスが取れた画像が得られる撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の撮影装置は、
被写体像が結像されて画像データを生成する撮像素子と、
複数の撮影モードの中から任意の撮影モードを指定する撮影モード指定操作子と、
上記撮像素子で得られた画像データに基づいて、撮影シーン内に人間の顔が存在するか否かを検出する顔検出部とを備え、
撮影シーン内に人間の顔が存在しかつその顔が所定輝度以上の場合、および撮影シーン内に人間の顔が存在しない場合にフラッシュオフ撮影を行ない、撮影シーン内に人間の顔が存在しかつその顔が所定輝度未満の場合にフラッシュオン撮影を行なう特殊撮影モードを有することを特徴とする。
【0012】
なお、ここで本発明にいう「撮影シーン」とは、これから撮影を予定している撮影画角内のシーンを意味する。
【0013】
上記本発明の撮影装置によれば、撮影シーン内に人間の顔が存在してその顔が所定輝度未満の場合には、フラッシュオン撮影を行なうので顔が暗く写らずに済む。この場合、背景については、フラッシュオン撮影により背景の色が多少つぶれたりするおそれがある。しかし、フラッシュオフ撮影で顔が暗く写ってしまう場合と比較して、背景と人間の顔とのバランスが取れた画像が得られる。
【0014】
さらに、画像合成の処理が不要になり余計な時間がかからず、ユーザが続けて撮影したい場合にシャッタチャンスを逃す恐れが回避される。
【0015】
また、撮影シーン内に人間の顔が存在しかつその顔が所定輝度以上の場合には、フラッシュオフ撮影で顔が暗く写らずに済む。この場合、背景については、フラッシュオフ撮影により背景の色がつぶれたりするおそれは回避される。したがって、人間の顔が所定輝度未満の場合におけるフラッシュオン撮影と比較して、さらに背景と人間の顔とのバランスが取れた画像が得られる。
【0016】
また、本発明の撮影装置において、上記特殊撮影モードは、夕焼けの風景の撮影に適した撮影条件が選択される夕焼けモードであることが好ましい。
【0017】
上記特殊撮影モードが夕焼けモードの場合、撮影シーン内に人間の顔が存在する場合には、顔の輝度に応じてフラッシュオン/フラッシュオフ撮影がなされ、夕焼けと人間の顔とのバランスが取れた画像が得られる。
【0018】
また、本発明の撮影装置において、特殊撮影モードは、夜景の撮影に適した撮影条件が選択される夜景モードであることが好ましい。
【0019】
上記特殊撮影モードが夜景モードの場合、夕焼けモード同様、撮影シーン内に人間の顔が存在する場合には、顔の輝度に応じてフラッシュオン/フラッシュオフ撮影がなされ、夜景と人間の顔とのバランスが取れた画像が得られる。
【0020】
また、本発明の撮影装置において、ホワイトバランス調整を行なうホワイトバランス調整部を備え、そのホワイトバランス調整部は、上記特殊撮影モードにおいてフラッシュオン撮影を行なう場合に、風景の趣きが残存するレベルのホワイトバランス調整を行うものであることが好ましい。
【0021】
撮影シーン内に人間が存在した場合、人間の顔について風景の趣きが残存するレベルのホワイトバランス調整をすることにより、人間の顔が撮影シーンに溶け込んだ画像が得られる。
【0022】
また、本発明の撮影装置において、撮影感度を設定する感度設定部を備え、その感度設定部は、上記夜景モードにおいてフラッシュオン撮影を行なう場合に、フラッシュオフ撮影を行う場合よりも相対的に高い感度に設定するものであることが好ましい。
【0023】
夜景を美しく撮影する場合は、通常、シャッタ速度を遅くするが、人間が存在した場合には、人間が動いてしまう可能性があるので、感度を上げてシャッタ速度を速くすることで被写体ブレを防ぐことができる。
【0024】
また、本発明の撮影装置において、上記感度設定部は、上記夜景モードにおいてフラッシュオン撮影を行なう場合に、顔の距離が遠いほど撮影感度を高めるものであることが好ましい。
【0025】
顔の距離が遠いほど撮影感度を高めることで、顔の距離が遠くなっても人間の顔が暗く撮影されることが低減される。
【0026】
また、本発明の撮影装置において、フラッシュ光の色温度調整が自在な撮影補助光源と、
撮影シーンの色温度を測定する色温度測定部と、
上記撮影補助光源の色温度を設定する色温度設定部とを備え、
上記色温度設定部は、上記特殊撮影モードにおいてフラッシュオン撮影を行なう場合に、上記フラッシュ光の色温度を撮影シーンの色温度に合わせた色温度に設定するものであることが好ましい。
【0027】
なお、ここで本発明にいう「撮影シーンの色温度に合わせた色温度」は、上記フラッシュ光の色温度を撮影シーンの色温度と同じにする場合や、フラッシュ光の色温度をR(赤)、G(緑)、B(青)等量の白色に相当する色温度から撮影シーンの色温度側に寄った色温度にする場合も含む。
【0028】
フラッシュ光の色温度を撮影シーンの色温度に合わせた色温度にすることにより、撮影時における被写体の色に近い色の画像が得られる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、撮影シーン内に人間が存在する場合、画像合成の処理を必要とせず、背景と人間の顔とのバランスが取れた画像が得られる撮影装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態のデジタルカメラの、前方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【0032】
図1に示すデジタルカメラ1の前面11には、撮影光学系を有するレンズ鏡胴10、被写体に向けてフラッシュを発光するためのフラッシュ発光窓12、および被写体を見るためのファインダ対物窓13が配備されている。また、このデジタルカメラ1の上面14には、レリーズボタン15、撮影モードダイヤル16が備えられている。レリーズボタン15は半押しと全押しの2つの操作態様を有しており、「半押し」とは、レリーズボタン15をある程度押し込み、その位置で止める操作のことである。「全押し」とは、レリーズボタン15を全部押し込む操作のことであり、全押し操作により撮影が行なわれる。撮影モードダイヤル16は、本発明にいう撮影モード指定操作子の一例に相当する。このデジタルカメラ1の撮影モードダイヤル16で指定される撮影モードには、夜景モード、夕焼けモード、スポーツモード、マクロモード、およびポートレートモードが備えられているが、説明の便宜上、以下、撮影モードとして、夜景モード、夕焼けモード、およびポートレートモードについて使用するものとする。
【0033】
ここで、夕焼けモードや夜景モードが本発明にいう特殊モードの一例に相当する。
【0034】
図2は、図1に示すデジタルカメラの、後方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【0035】
図2に示されるように、このデジタルカメラ1の背面21には、電源ボタン22、モードスイッチ23が設けられている。電源ボタン22は、デジタルカメラ1の電源をON/OFFするものであり、モードスイッチ23は、撮影モードと再生モードとを切り替えるスイッチである。
【0036】
また、このデジタルカメラ1の背面21には、メニュー切替えおよび実行キー24が備えられている。メニュー切替えおよび実行キー24は、撮影モード時には静止画撮影、再生モード時には静止画再生に使用されるメニューを自在に切り替えて設定条件を選択して実行するキーである。
【0037】
さらに、このデジタルカメラ1の背面21には、広角ズームキー25、望遠ズームキー26、液晶表示パネル27、およびファインダ接眼窓28が備えられている。広角ズームキー25は、焦点距離を広角側に変更するためのキーであり、望遠ズームキー26は、焦点距離を望遠側に変更するためのキーである。液晶表示パネル27は、被写体の画像、メニュー切替えおよび実行キー24のメニュー等を液晶表示するものである。ファインダ接眼窓28は、ユーザが撮影の際に被写体を覗く窓である。
【0038】
また、このデジタルカメラ1の側面31には、記録媒体装填口32が設けられている。記録媒体装填口32から、画像データが記録される記録媒体134が取出し自在に装填される。
【0039】
次に、デジタルカメラ1の内部のハードウエア構成を説明する。
【0040】
図3は、図1、図2に示すデジタルカメラの内部のハードウエア構成を示す図である。
【0041】
このデジタルカメラ1にはCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)100が備えられている。
【0042】
CPU100には、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory:電気消去可能プログラマブル読出し専用メモリ)100_1、ROM( Read Only Memory:読出し専用メモリ)100_2が備えられている。EEPROM100_1は書き換え可能な不揮発性メモリで構成されている。また、ROM100_2内にはプログラムが格納されている。このプログラムの手順にしたがってデジタルカメラ1の動作がCPU100により制御される。
【0043】
このデジタルカメラ1では、TTL(Through The Lens)測距により被写体距離が検出され、TTL(Through The Lens)測光により被写体輝度が検出される。
【0044】
TTL測距においては、撮影画角内が二次元的に分割された複数の測距領域それぞれについて測距が行なえるようになっており、TTL測光においても、撮影画角内が二次元的に分割された複数の測光領域それぞれについて測光が行なえるようになっている。さらに、後述するように被写体の顔の輝度や顔の距離を検出する場合には、顔を検出したエリアに対してスポット的にTTL測光およびTTL測距が行なえるようになっている。
【0045】
このデジタルカメラ1には、操作部20、および電源部110が備えられている。操作部20は、図2において既に説明したデジタルカメラ1の背面21および上面14に備えられている各操作子の操作を受け付けて、受け付けたことを表わす信号をCPU100に出すものである。電源部110は、不図示のバッテリ(充電池)が装着され、電源投入操作を受けてそのバッテリから各ブロックへ給電するものである。
【0046】
このデジタルカメラ1には、撮像部30が備えられている。撮像部30には、レンズ鏡胴10、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)104が備えられている。このCCD104は、本発明にいう撮像素子の一例に相当するものである。
【0047】
レンズ鏡胴10内には、前方から順に、ズームレンズ101、フォーカスレンズ102、およびアイリス103が備えられている。
【0048】
ここで、被写体光がズームレンズ101に入射し、フォーカスレンズ102を経て、被写体光の光量を調整するアイリス103を通過した後、CCD104に結像する。本来、撮影光学系には複数のレンズが配備され、それら複数のレンズのうち少なくとも1つのレンズがピント調節に大きく関与し、各レンズの相対位置が焦点距離に関与するが、この図3では、焦点距離の変更に係わるレンズをズームレンズ101として模式的に示しており、同じくピントの調節に係わるレンズをフォーカスレンズ102として模式的に示している。
【0049】
このデジタルカメラ1には、ズームレンズ駆動用のズームレンズモータ(M1)101_1、フォーカスレンズ駆動用のフォーカスレンズモータ(M2)102_1、アイリス開閉用のアイリスモータ(M3)103_1、および光学制御部115が設けられている。光学制御部115は、CPU100からの指示に従って、ズームレンズモータ101_1にズームレンズ101を駆動させたり、フォーカスレンズモータ102_1にフォーカスレンズ102を駆動させるものである。また、光学制御部115は、CPU100からの指示に従って、アイリスモータ103_1にアイリス102の開口径を変化させるものでもある。
【0050】
このデジタルカメラ1には、CDS(Crrellated Double Sampling:相関二重サンプリング)111、A/D変換部112、ホワイトバランス調整部113、γ(ガンマ)処理部114、およびクロックジェネレータ116が備えられている。CDS111は、CCD104から出力された画像信号の雑音を低減する処理等を行ない、A/D変換部112は、アナログ信号をデジタル化されたRGB信号に変換するものである。
【0051】
ホワイトバランス調整部113は、A/D変換部112で変換されたRGB信号のR成分、G成分、B成分のバランスを調整することにより、画像データの白色のバランスを調整するものである。このホワイトバランス調整部113には、CCD104からの画像信号の増幅率(ゲイン)を変える増幅器(不図示)が設けられている。γ処理部114は、被写体像の階調特性(いわゆるγカーブ)を調整するものである。
【0052】
クロックジェネレータ116は、CPU100からの指示に基づいてタイミング信号を出力するものであり、CCD104での電子シャッタのタイミングや画像信号の読出しのタイミングを制御するものである。
【0053】
このデジタルカメラ1には、AF(Auto Focus:オートフォーカス)検出部117、AE(Auto Exposure:自動露出)検出部118が備えられている。AF検出部117は、CPU100からTTL測距の測距領域を指示されて、撮影画像を表す画像信号に基づいてその測距領域での合焦状態を検出するものである。その検出された合焦状態と、その時点におけるフォーカスレンズ102の位置とに基づいてCPU100が測距領域における被写体距離を算出する。AE検出部118は、CPU100からTTL測光の測光領域を指示されて、後述する輝度信号(Y)から画像の輝度情報に基づいて、その測定領域内における被写体輝度を検出するものである。
【0054】
このデジタルカメラ1には、バッファメモリ121、YC処理部122、YC/RGB処理部123、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示)制御部124、およびデータバス130が備えられている。バッファメモリ121は、ホワイトバランス調整部113での画像処理を経てγ処理部114において画像処理が施されたRGB信号を一時的に記憶するものである。YC処理部122は、AE検出部118へ輝度信号(Y)を提供するために、バッファメモリ121に記憶されたRGB信号を輝度信号(Y)と色信号(C)とからなるYC信号に変換するものである。YC/RGB処理部123は、YC処理部122で生成されたYC信号をスルー画像表示用のRGB信号に変換するものである。このRGB信号は、RGB信号を高速に処理するLCD制御部124を介して液晶表示パネル27に伝えられ、液晶表示パネル27上にスルー画像として表示される。
【0055】
このデジタルカメラ1には、圧縮/伸張部131、インターフェース(I/F)部132、媒体記録装置133、および記録媒体134が備えられている。
【0056】
圧縮/伸張部131は、YC信号に変換された画像データを圧縮もしくは伸長処理するものである。媒体記録装置133は画像データを物理的に記録媒体134に記録するものである。インターフェース(I/F)部132は、圧縮された画像データを記録媒体134に記録できるように、通信インターフェースを提供するものである。
【0057】
また、このデジタルカメラ1には、フラッシュ発光制御部151、フラッシュ発光部152が備えられている。
【0058】
フラッシュ発光部152は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)をフラッシュ光源とするものである。
【0059】
このフラッシュ発光部152が、本発明にいう撮影補助光源の一例に相当する。
【0060】
フラッシュ発光制御部151は、CPU100から色温度を指定されてフラッシュ発光部152が有する各LEDの発光量の比をその色温度に対応した比に制御することによりフラッシュ発光の色温度を、指定された色温度に調節するものである。フラッシュ発光部152はフラッシュ発光制御部151による色温度調節にしたがって撮影補助光を発光する。
【0061】
次に、本発明の一実施形態のデジタルカメラ1の機能について、機能ブロック図およびフローチャートを用いて説明する。先に、機能ブロック図について説明し、必要に応じて図3に示すデジタルカメラ1の内部のハードウエア構成を参照する。
【0062】
図4は、図3に示すデジタルカメラ1の機能を示した機能ブロック図である。
【0063】
このデジタルカメラ1は、機能的には、撮影操作部200、撮像処理部201を有する。
【0064】
撮影操作部200は、ユーザからの撮影操作を受け付けて、どの撮影操作を受け付けたかを示す信号を他の機能ブロックへと伝えるものである。この撮影操作部200の機能は、図3に示すハードウエア上では、操作部20およびCPU100によって担われている。
【0065】
撮像処理部201は、撮影操作部200から全押し操作が伝えられると、撮像素子上に被写体像を結像させ、その被写体信号を表わすRGB信号を出力する撮像処理を行うものである。
【0066】
この撮像処理部201は、上記撮像処理の他に、スルー画像を表わすRGB信号を出力する処理も行う。また、撮影操作部200で指定された撮影モードの判定も行い、撮影モードが夕焼けモードもしくは夜景モードのうちのいずれか一方の撮影モードである場合には、後述する顔検出部202に対する顔検出の指示も行う。
【0067】
また、撮像処理部201は、半押し操作を受けて、TTL測光により撮影画角内におけるデジタルカメラ1の感度の決定も行う。この場合、アナログカメラの感度を表わすために国際的に標準化されているISO感度で言うところの、ISO感度‘100’、ISO感度‘200’、ISO感度‘400’、ISO感度‘800’、ISO感度‘1600’に相当する各感度のうちから選択的にデジタルカメラ1の感度を決定する。
【0068】
この撮像処理部201の機能は、図3に示すハードウエア上では、撮像部30、CDS111、A/D変換部112、光学制御部115、クロックジェネレータ116、AE検出部118、およびCPU100によって担われている。
【0069】
このデジタルカメラ1は、機能的には、顔検出部202も有する。
【0070】
顔検出部202は、撮像処理部201から顔検出の指示を受けて撮影画角内で顔を検出し、その顔の範囲の輝度を検出したり、その顔の距離を検出するものである。具体的には、顔検出部202は、スルー画を表わした画像データを利用してCPU100で肌色の部分を抽出することにより被写体像の顔の部分を検出し、撮影画角内における顔の位置を特定するための座標データ、および顔の存在する顔検出エリア(水平幅、垂直幅)を求める。顔が検出された場合、AE検出部118が、CPU100から顔検出エリアへのTTL測光の指示を受け、顔検出エリア内における各点の輝度信号に基づいて顔の輝度を求める。また、AF検出部117が、CPU100から顔検出エリア内へのTTL測距の指示を受け、顔検出エリア内における各点の画像信号に基づいて合焦状態を検出し、CPU100はその合焦状態を用いて顔の距離を求める。つまり、顔検出部202の機能は、図3に示すハードウエア上では、AF検出部117、AE検出部118、およびCPU100によって担われている。
【0071】
このデジタルカメラ1は、機能的には、顔輝度判定部203、感度設定部204も有する。
【0072】
顔輝度判定部203は、顔検出部202で検出された顔検出エリアの輝度に基づいて、フラッシュオンをするのか、フラッシュオフをするのかを決定するものである。この顔輝度判定部203の機能は、図3に示すハードウエア上では、CPU100によって担われている。
【0073】
感度設定部204は、夜景モード時に顔検出部202で顔が検出された場合、デジタルカメラ1の感度として、撮像処理部201で決定された感度を顔検出部202で検出された顔の距離に応じた感度に変更する。この場合、顔の距離が遠いほど感度を高める。こうすることにより、顔の距離が遠くなっても人間の顔が暗く撮影されることが低減される。
【0074】
この感度設定部204の機能は、図3に示すハードウエア上では、CPU100によって担われている。
【0075】
また、このデジタルカメラ1は、機能的には、ホワイトバランス用画像処理部205、信号処理部206、表示部207、および記録部208も有する。
【0076】
ホワイトバランス用画像処理部205は、画像データのホワイトバランス調整を行ったり、決定された撮影感度を実現するものである。このホワイトバランス用画像処理部205の機能は、図3に示すハードウエア上では、ホワイトバランス調整部113、CPU100によって担われている。
【0077】
信号処理部206は、ホワイトバランス調整がなされた後の画像データの階調特性を調整し、YC信号に変換するものである。この信号処理部206の機能は、図3に示すハードウエア上では、γ処理部114、YC処理部122、CPU100によって担われている。
【0078】
表示部207は、図2に示す液晶表示パネル27にスルー画像を表示する。この表示部207の機能は、図3に示すハードウエア上では、YC/RGB処理部123、LCD制御部124、液晶表示パネル27、CPU100によって担われている。記録部208は、記録媒体に画像データを記録するものである。
【0079】
この記録部208の機能は、図3に示すハードウエア上では、圧縮/伸張部131、インターフェース(I/F)部132、媒体記録装置133、CPU100によって担われている。
【0080】
また、このデジタルカメラ1は、機能的には、フラッシュ発光制御処理部209、色温度測定部210、および色温度可変フラッシュ発光部211を有する。
【0081】
色温度測定部210は、スルー画像データに基づいて撮影シーンの色温度を測定するものである。この色温度測定部210の機能は、図3に示すハードウエア上では、CPU100によって担われている。
【0082】
フラッシュ発光制御処理部209は、色温度可変フラッシュ発光部211が有する各LEDの発光量の比を、色温度測定部210で測定された色温度になるように調節するものである。このフラッシュ発光制御処理部209が、本発明にいう色温度設定部の一例に相当する。
【0083】
このフラッシュ発光制御処理部209の機能は、図3に示すハードウエア上では、フラッシュ発光制御部151、CPU100によって担われている。
【0084】
色温度可変フラッシュ発光部211は、フラッシュ発光制御処理部209によって調節された発光量の比に従って各LEDを発光させてフラッシュ発光をするものである。この色温度可変フラッシュ発光部211の機能は、図3に示すハードウエア上では、フラッシュ発光部152によって担われている。
【0085】
図5は、本発明の一実施形態のデジタルカメラの機能を示すフローチャートである。
【0086】
ユーザが図2に示す電源ボタン22を押すという電源投入操作を行うと、撮影操作部200が電源投入操作を受け付けたことを表わす信号をCPU100に伝える。CPU100では、デジタルカメラ1の初期化として、ROM100_2内のプログラムの実行が開始され、液晶表示パネル27にスルー画像が表示されるとともに、撮影条件の設定操作やレリーズボタン15の操作を受け付ける状態となる。
【0087】
図5に示すフローチャートは、デジタルカメラ1の初期化を受けて開始される。
【0088】
まず、撮影操作部200で撮影モードが指定されると、撮像処理部201等がその撮影モードを表わす信号を受け付ける(ステップS101)。
【0089】
レリーズボタン15が半押しされると(ステップS102)、撮像処理部201はどの撮影モードが指定されたかを判定する(ステップS103)。
【0090】
撮影モードが夕焼けモードもしくは夜景モードのうちのいずれか一方の撮影モードである場合には、撮像処理部201は顔検出部202に顔検出の指示を出し、顔検出部202は、上述した通り、撮影画角内の顔の位置を特定するための座標データ、および顔の存在する顔検出エリア(水平幅、垂直幅)を求める(ステップS104)。
【0091】
次に、顔が検出されたか否かの判定がなされる(ステップS105)。
【0092】
顔が検出された場合には、ステップS106に進み、顔検出部202が、顔の輝度や顔の距離を求める。
【0093】
次に、顔輝度判定部203では、顔の輝度が、フラッシュを発して外光の光量不足を補わなくても済む輝度であるか否かが判定される(ステップS107)。
【0094】
顔の輝度が、フラッシュを発して外光の光量不足を補うべき低輝度であった場合には、ステップS108に進み、撮影モードが夜景モードであるか否かが判定される。
【0095】
ステップS108の判定において、夜景モードである場合には、ステップS109の感度設定の処理に進み、感度設定部204は、顔の距離に応じて、ISO感度‘400’、ISO感度‘800’、ISO感度‘1600’に相当する感度の何れかにデジタルカメラ1の感度を決定する。この感度設定の処理は、夕焼けモードの場合にはスキップされる。
【0096】
次にステップS110に進み、色温度測定部210は、撮影シーンの色温度を測定する。
【0097】
続いて、フラッシュ発光制御処理部209は、色温度可変フラッシュ発光部211が有する各LEDの発光量の比を色温度測定部210で測定した色温度になるように調節する(ステップS111)。
【0098】
その後、ユーザによりレリーズボタン15が全押しされることにより(ステップS112)、撮影操作部200が撮像処理部201とフラッシュ発光制御処理部209に撮影開始の信号を送る。この撮影開始の信号を受けて、フラッシュ発光制御処理部209は、色温度可変フラッシュ発光部211に指示することにより、色温度可変フラッシュ発光部211は、色温度測定部210で測定された色温度に合わせた撮影補助光を発光する。また、このフラッシュ発光のタイミングに同期して、撮像処理部201は、デジタル信号に変換されたRGBからなる画像データを生成する(ステップS113)。
【0099】
夕焼けモードの撮影時には、夕焼けの橙色を乱すような光ではなく、夕焼けの色に合った色でフラッシュが発光するので、夕焼けの雰囲気が保たれつつ、顔が好適な明るさで写った画像が得られる。
【0100】
また、夜景モードの撮影時には、街灯等の色を乱すような光ではなく、街灯等の色に合った色でフラッシュが発光するので、夜景の雰囲気が保たれつつ、顔が好適な明るさで写った画像が得られる。
【0101】
続いて、ホワイトバランス用画像処理部205は、顔の色味を考慮したホワイトバランス調整を行う(ステップS114)。具体的には、夕焼けや街灯による顔の色つきを完全に補正すると、夕焼けや夜景自体の色が弱まるので、夕焼けや夜景の趣きが残存するレベルに抑えられたホワイトバランス調整がなされる。そのため、顔の明るさだけではなく、顔の色味も好適に撮影できる。
【0102】
続いて、信号処理部206の処理が実行される。
【0103】
ここで、表示部207は、撮影画像を表示し、記録部208は、画像データを記録媒体134に記録する(ステップS115)。
【0104】
記録媒体134に画像データが記録された後、ユーザにより電源がオフされると(ステップS116:Yes)、この図5に示す撮影動作の処理ルーチンは終了する。一方、ユーザにより電源がオフされない場合には(ステップS116:No)、ステップS101の撮影モード受付けに戻る。そのままの撮影モードで撮影する場合には、半押しされることにより(ステップS102)、ステップS103の撮影モードの判定に進み、撮影モードを替える場合には、ステップS101で撮影モードが切替えられた後、半押しされることにより(ステップS102)、ステップS103の撮影モードの判定に進む。
【0105】
以上説明したように、本実施形態のデジタルカメラ1では、夜景もしくは夕焼けの撮影シーン内に人間の顔が存在し、その顔の輝度が低輝度の場合にフラッシュオン撮影を行なうので、顔が暗く写らずに済み、背景と人間の顔とのバランスが取れた画像が得られる。さらに、画像合成などの複雑な処理が不要になり余計な時間がかからず、ユーザが続けて撮影したい場合にシャッタチャンスを逃す恐れが回避される。
【0106】
なお、上記のステップS103における顔の検出の判定において、夜景もしくは夕焼けの撮影シーンに人間の顔が検出されなかった場合と、上記のステップS105における顔の輝度の判定において、顔の輝度が、フラッシュを発して外光の光量不足を補わなくても済む輝度以上であった場合には、まず、フラッシュ発光制御処理部209はフラッシュを非発光に設定し、ユーザによりレリーズボタン15が全押しされることにより(ステップS121)、撮像処理部201による半押し時の感度設定は元のままでフラッシュオフ撮影がなされ、撮像処理部201は、デジタル信号に変換されたRGBからなる画像データを生成する(ステップS122)。
【0107】
次に、夜景/夕焼けの色味が残存するようにホワイトバランス調整がなされる(ステップS123)。
【0108】
その後、ステップS115に進み、このステップS115以降は、上記説明した処理と同様の処理が実行されるので重複説明は省略する。
【0109】
このように、夜景もしくは夕焼けの撮影シーン内に人間の顔が存在しかつその顔の輝度が高輝度の場合や人間の顔が不存在の場合には、フラッシュオフ撮影が行なわれることにより、背景の色がつぶれたりするおそれが回避されるので、夜景や夕焼けのシーンが好適に撮影された画像が得られる。
【0110】
また、上記のステップS103の撮影モードの判定で、ポートレートモードが選択されていた場合は、ステップS131にスキップし、ポートレートモードの撮影条件に設定され、ユーザによりレリーズボタン15が全押しされることにより(ステップS132)、撮像処理部201は、デジタル信号に変換されたRGBからなる画像データを生成する(ステップS133)。
【0111】
続いて、ホワイトバランス画像処理部205は、ポートレートモードに応じたホワイトバランス調整を行う(ステップS134)。
【0112】
その後ステップS115に進み、このステップ115以降は上記説明した処理と同様の処理が実行されるので重複説明は省略する。
【0113】
以上で、本発明の実施形態についての説明を終了する。
【0114】
以上説明した、本発明の実施形態では、本発明にいう特殊モードにおいて、フラッシュ発光の色温度調整がなされて発光する例が示されているが、本発明の撮影装置は、キセノン管をフラッシュ光源とし、特殊モードにおいてフラッシュオン/フラッシュオフの切り替え制御のみを行うものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の一実施形態のデジタルカメラの、前方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの、後方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【図3】図1、図2に示すデジタルカメラの内部のハードウエア構成を示す図である。
【図4】図3に示すデジタルカメラ1の機能を示した機能ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態のデジタルカメラの機能を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
1 デジタルカメラ
10 レンズ鏡胴
11 デジタルカメラ1の前面
12 フラッシュ発光窓
13 ファインダ対物窓
14 デジタルカメラの上面
15 レリーズボタン
16 撮影モードダイヤル
20 操作部
21 デジタルカメラの背面
22 電源ボタン
23 モードスイッチ
24 メニュー切替および実行キー
25 広角ズームキー
26 望遠ズームキー
27 液晶表示パネル
28 ファインダ接眼窓
31 側面
32 記録媒体装填口
100 CPU
100_1 EEPROM
100_2 ROM
101 ズームレンズ
101_1 ズームレンズモータ
102 フォーカスレンズ
102_1 フォーカスレンズモータ
103 アイリス
103_1 アイリスレンズモータ
104 CCD
110 電源部
111 CDS
112 A/D変換部
113 ホワイトバランス調整部
114 γ(ガンマ)処理部
115 光学制御部
116 クロックジェネレータ
117 AF検出部
118 AE検出部
121 バッファメモリ
122 YC処理部
123 YC/RGB処理部
124 LCD制御部
130 データバス
131 圧縮/伸張部
132 I/F部
133 媒体記録装置
134 記録媒体
151 フラッシュ発光制御部
152 フラッシュ発光部
153 色温度測定部
154 色温度設定部
200 撮影操作部
201 撮像処理部
202 顔検出部
203 顔輝度判定部
204 感度設定部
205 ホワイトバランス用画像処理部
206 信号処理部
207 表示部
208 記録部
209 フラッシュ発光制御処理部
210 色温度測定部
211 色温度可変フラッシュ発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像が結像されて画像データを生成する撮像素子と、
複数の撮影モードの中から任意の撮影モードを指定する撮影モード指定操作子と、
前記撮像素子で得られた画像データに基づいて、撮影シーン内に人間の顔が存在するか否かを検出する顔検出部とを備え、
撮影シーン内に人間の顔が存在しかつ該顔が所定輝度以上の場合、および撮影シーン内に人間の顔が存在しない場合にフラッシュオフ撮影を行ない、撮影シーン内に人間の顔が存在しかつ該顔が所定輝度未満の場合にフラッシュオン撮影を行なう特殊撮影モードを有することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記特殊撮影モードは、夕焼けの風景の撮影に適した撮影条件が選択される夕焼けモードであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記特殊撮影モードは、夜景の撮影に適した撮影条件が選択される夜景モードであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項4】
ホワイトバランス調整を行なうホワイトバランス調整部を備え、該ホワイトバランス調整部は、前記特殊撮影モードにおいてフラッシュオン撮影を行なう場合に、風景の趣きが残存するレベルのホワイトバランス調整を行うものであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項5】
撮影感度を設定する感度設定部を備え、該感度設定部は、前記夜景モードにおいてフラッシュオン撮影を行なう場合に、フラッシュオフ撮影を行う場合よりも相対的に高い感度に設定するものであることを特徴とする請求項3記載の撮影装置。
【請求項6】
前記感度設定部は、前記夜景モードにおいてフラッシュオン撮影を行なう場合に、顔の距離が遠いほど撮影感度を高めるものであることを特徴とする請求項5記載の撮影装置。
【請求項7】
フラッシュ光の色温度調整が自在な撮影補助光源と、
撮影シーンの色温度を測定する色温度測定部と、
前記撮影補助光源の色温度を設定する色温度設定部とを備え、
前記色温度設定部は、前記特殊撮影モードにおいてフラッシュオン撮影を行なう場合に、前記フラッシュ光の色温度を撮影シーンの色温度に合わせた色温度に設定するものであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−85581(P2008−85581A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262546(P2006−262546)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】