説明

支持体のポリカルボシラン処理

ポリカルボシラン官能性付加支持体は、表面オキシド基または表面ヒドロキシル基を包含する表面を有する支持体と、それに共有結合したポリカルボシラン層を含むことができる。該ポリカルボシラン層は、連続ポリカルボシラン基のウェブを包含することができ、ここで、該ポリカルボシラン基の炭素結合シラン部分はアルキレン部分である。場合により、追加の一つまたは複数のポリカルボシラン層を、該ポリカルボシラン層に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機支持体およびある種の有機支持体を含めたいろいろなタイプの支持体を処理する配合物、系および方法に関する。一例として、金属酸化物または半金属酸化物の固体保持体材料を、加水分解および熱崩壊に耐性であるポリカルボシランコーティング材料で処理することを包含し、そして更に、基底にある金属酸化物または半金属酸化物の表面の、類似の分解過程からの保護を提供する。更に詳しくは、本発明は、前駆体ポリカルボシランを製造する方法、および前駆体ポリカルボシランを無機支持体に結合して、ポリカルボシランで改変された支持体を形成する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィーにおいて、移動相は、典型的に、分離カラムを介して分析物を送るのに用いられる。それら分析物は、分離カラムを通過する際に、試薬で改変された固体保持体材料の固定相と相互作用しうる。これらカラムの安定性に関して、理想的な固定相は、移動相および分析物との可逆的化学反応に不活性、更には、分析条件下の熱崩壊に不活性であると考えられる。
【0003】
シラン類は、長年の間、シリカ表面を改変するのに用いられてきた。これら化合物は、通常は、いろいろなタイプの、典型的にはシランに官能性を与える広範なクラスの有機基で、更には、典型的には固体保持体表面にシランを取り付ける種々の加水分解性基で置換されたシランに基づいていた。代表的な加水分解性基には、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミンおよびアミン塩が含まれている。
【0004】
固体保持体材料へのシラン取り付けを代表するものは、シリカへの有機官能性シラン試薬の取り付けである。このような結合スキームの大部分は、それぞれの反応性基によるシリカ表面へのシラン試薬の取り付けを必要とする。例えば、加水分解性基およびシラノールは、相互作用して、シロキサン結合および該当する酸を形成することができる。典型的には、改変されたシリカはそれ自体、シリカ表面の若干のシラノール基が、そこに既に結合している他のオルガノシランによる立体障害のために、更に反応するのを妨げられるような密度で取り付けられたオルガノシランを包含する。より大きい官能性付加オルガノシランとの反応から遮蔽されているが、それ以外には、なお暴露されると考えられるシラノールと結合する「エンドキャッパー(endcapper)」として、しばしば、より小さいオルガノシランが用いられる。しかしながら、エンドキャッパーを使用しても、使用条件下の活性物質によるアンダーカットをもたらすことがありうるオルガノシランコーティング中に、依然として間隙がある。最終的には、これが、クロマトグラフィー条件下での溶質との強い吸着相互作用を、またはカラムの破損さえも、もたらすことがありうる。多数の固体保持体改変技術は、これら問題をいろいろな成功度で減少させることを試みてきた。
【0005】
使用条件下での安定性に関して挙げられる問題は、カラムが、より攻撃的な移動相添加剤およびより高い温度での使用に配置された場合、更に悪化する。具体的には、水、アルコール(類)、塩(類)および/または1種類または複数のpH調整用添加剤を、特に多量に含有する移動相は、当該技術分野において知られている典型的な固定相に関してきわめて攻撃的でありうる。これは、特に、クロマトグラフィー分離が高温で行われる場合に真実である。言い換えると、クロマトグラフィー技術分野で現在用いられている試薬結合固体保持体の多くで、他の添加剤および条件の中でも、水、アルコール(類)、塩(類)、1種類または複数のpH調整用添加剤および高温は、試薬結合固定相材料を分解し、しばしば、共有結合した試薬をカラムから一掃することが知られている。更に、これら同じ添加剤および条件は、基底にある保持体材料に作用し且つそれらのフラグメントを溶解させ、しばしば、高背圧、ベッドつぶれおよびカラム破損をもたらすことがありうる。
【0006】
上記のことにより、現在利用可能な多数の表面改変材料よりも耐久性である無機支持体改変用材料を提供することは、望ましいと考えられる。特に、クロマトグラフィー保持体の表面改変の分野において、クロマトグラフィーカラムの固定相を改変するのに用いることができる材料であって、より攻撃的な移動相による作用から支持体を保護する材料を提供することは、望ましいと考えられる。
【発明の開示】
【0007】
クロマトグラフィー分離用途のより耐久性の固体保持体表面、更には、他の適用に関して耐久性のコーティングおよび複合材料を提供するのが望ましいと考えられるということは理解された。更に、攻撃的な移動相による作用に弾力性があり且つ耐性である被覆固体保持体を包含する固定相を提供するのが有用であると考えられるということは理解された。これは、多種多様な取り付け点を有する表面取り付け部分を包含する支持体にポリカルボシラン材料を結合させることによって達成することができる。
【0008】
これら理解により、ポリカルボシラン官能性付加支持体は、表面オキシド基または表面ヒドロキシル基を有する表面を包含する支持体と、その表面に共有結合したポリカルボシラン層とを含むことができる。そのポリカルボシラン層は、連続ポリカルボシラン基のウェブを包含することができ、ここで、それらポリカルボシラン基の炭素連結性部分はアルキレン部分である。好ましくは、ポリカルボシラン基は、トリ−またはテトラカルボシラン基の一方または双方を包含するが、テトラ−、ヘキサ−、ヘプタ−等のカルボシランも、代わりに用いることができる。
【0009】
別の態様において、ポリカルボシラン官能性付加支持体は、表面オキシド基または表面ヒドロキシル基を有する表面を包含する支持体、その表面に共有結合した第一ポリカルボシラン層、および第一ポリカルボシラン層に共有結合した第二ポリカルボシラン層を含むことができる。第一ポリカルボシラン層は、連続ポリカルボシラン基の第一ウェブを包含することができ、そして第二ポリカルボシラン層は、連続ポリカルボシラン基の第二ウェブを包含することができる。第一ウェブおよび第二ウェブのポリカルボシラン基の炭素連結性部分は、典型的に、アルキレン部分である。再度、好ましくは、ポリカルボシラン基は、トリ−またはテトラカルボシラン基の一方または双方を包含するが、テトラ−、ヘキサ−、ヘプタ−等のカルボシランも、代わりに用いることができる。
【0010】
別の態様において、トリカルボシラン前駆体は、構造:
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、dは、各々独立して、1〜4であり、
Xは、各々独立して、ハロゲン;トリフラート;低級アルコキシ;アセチル、トリフルオロアセチルまたはプロピオニルなどのアシル;二置換アミン、例えば、ジメチルアミノまたはピロリジノに結合した酸素も含む、酸素によってケイ素に結合したものなどのオキシム;第二級アミン、例えば、ジメチルアミノまたはピロリジノなどのアミン;またはアミン塩であって、加えられた酸、例えば、HClまたはトリフル(トリフルオロメタンスルホン)酸との該当するアミノシラン、加えられたピリジンとハロゲン置換シランを用いて形成された類似の構造、または追加のカルボシラン基を含めたものであり;そして
Rは、メチル、エチル、直鎖または分岐状のC〜C30アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノアルキル、フルオロアルキル、メルカプトアルキル、エステル置換アルキル、カルボン酸置換アルキル、アミノアルキル、エーテル置換アルキル、エポキシ置換アルキル、シリル置換アルキル、ホスフィノアルキル、フェニルおよび置換フェニルであって、シアノ、フルオロまたはニトロ置換されたフェニルを含めたもの、およびそれらの組合せである)
を含むことができる。
【0013】
別の態様において、ポリカルボシラン官能性付加支持体を製造する方法は、多数の工程を含むことができる。このような工程は、ポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基を形成し、表面オキシド基または表面ヒドロキシル基を有する表面を包含する支持体に、ポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基を取り付け、そしてポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基から、連続ポリカルボシラン基の第一ウェブを形成することを包含することができる。ポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基は、束縛性ケイ素−酸素結合によって表面に取り付けることができ、そして更に、隣接したポリカルボシラン基を連続させる連結性シロキサン結合を包含することができる。
【0014】
本発明の追加の特徴および利点は、次の、例として本発明の特徴を詳しく説明している詳細な説明から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで、代表的な態様に言及するが、本明細書中においてそれを記載するのに特定の言語を用いる。それにもかかわらず、本発明の範囲がそれによって制限されるものではないということが理解されるであろう。本明細書中に示される本発明の特徴の変更および更なる修飾、および本明細書中に示される本発明の理論の追加の適用は、関係のある技術分野に熟練し且つ本開示の所有権を有する者が考えるであろうが、本発明の範囲内であると考えるべきである。更に、本明細書中で用いられる専門用語は、具体的な態様を記載する目的にのみ用いられるということが理解されるはずである。それら用語は、それ自体特定されない限り、制限するためのものではない。
【0016】
本明細書中および請求の範囲中に用いられる単数形は、特に明確に内容が示されない限り、複数の意味を包含するということに留意すべきである。
【0017】
「1個または複数のポリカルボシラン基」または「ポリカルボシラン」という用語は、一般的な分子構造内に3個またはそれを超えるカルボシラン部分、すなわち、少なくともトリカルボシランを含む構造を包含する。例えば、「トリカルボシラン」という用語は、3個のカルボシラン基またはそれに取り付けられた有機炭素連結性基およびケイ素含有基を有する、中心ケイ素原子を有する基を意味する。「テトラカルボシラン」という用語は、4個のカルボシラン基またはそれに取り付けられた有機炭素およびケイ素含有基を有する、中心ケイ素原子を有する基を意味する。更に、トリカルボシランおよびテトラカルボシランは、それに取り付けられた側鎖カルボシランを有して、本明細書中に更に詳細に説明されるような、ペンタカルボシラン、ヘキサカルボシラン等を形成することができる。それらシラン基は、支持体の表面オキシド基または表面ヒドロキシル基と反応して、束縛性シロキサン結合または束縛性ケイ素−酸素結合を形成することができる。更に、これら材料は、シランと反応して、連結性シロキサン結合を形成することができるし、ヒドロキシル化(加水分解)されることができるし、または例えば、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミンまたはアミン塩などの反応性基を包含することができる。
【0018】
「オルガノシラン」という用語は、典型的に、炭素に直接結合しているシラン基であって、追加のシラン基を含有するより大きい構造の一部分であってよいものを意味する。
【0019】
「束縛性シロキサン結合」または「束縛性ケイ素−酸素結合」という用語は、表面オキシドまたは表面ヒドロキシルを包含する支持体、例えば、金属酸化物または半金属酸化物の表面を、ポリカルボシラン基に取り付けているケイ素−酸素結合を意味する。表面がシリカである場合、シロキサン結合が形成されるであろうが、それは、ケイ素−酸素結合を包含する。しかしながら、表面が、アルミナなどのシリカ以外の何かである場合、支持体の表面にケイ素原子が不存在であるために、シロキサン結合は存在しないであろう。したがって、「束縛性ケイ素−酸素結合」という用語を、代わりに用いることができる。
【0020】
「連結性シロキサン結合」という用語は、隣接したポリカルボシラン基を互いに連結するシロキサン結合を意味する。
【0021】
「金属酸化物または半金属酸化物」という用語は、シリカ(ビーズおよびゲルを含めた)、シリケート類、ジルコニア、チタニア、アルミナ、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化スズ、酸化鉛、酸化ゲルマニウム、セラミック類、ガラス保持体等のような金属酸化物または半金属酸化物を意味する。
【0022】
「連続ポリカルボシラン基のウェブ」という用語は、相互連結性シロキサン結合および束縛性シロキサン結合の双方が(直接的にまたは中間ウェブを介して)存在する配合物を意味する。
【0023】
「ポリカルボシラン遮断層」という用語は、少なくともオルガノシラン基を有するポリカルボシランから形成されうるポリカルボシラン層を意味する。ポリカルボシラン遮断層は、疎水性アルキル等のような、嵩高の、例えば、低または非反応性のより大きい基、またはトリカルボシランの中心ケイ素原子に取り付けられた官能基を包含してもよい。
【0024】
「ポリカルボシラン官能性層」という用語は、少なくとも3個のオルガノシラン基を有するポリカルボシランから形成されうるが、ケイ素原子の少なくとも一部分に、少なくとも1個の嵩高基または官能基も包含するポリカルボシラン層を意味する。
【0025】
「表面オキシド基または表面ヒドロキシル基」および「表面オキシド基および/または表面ヒドロキシル基」という用語は、同じ意味に用いることができる。これら用語は、一方または他方だけが支持体表面に存在するということを意味していない。例えば、表面オキシド基、表面ヒドロキシル基、または表面オキシド基および表面ヒドロキシル基双方を有する表面は、これら用語に包含されると考えられる。
【0026】
濃度、寸法、量および他の数字データは、本明細書中に範囲形式で表すことができる。このような範囲形式は、単に便宜および簡潔のために用いられているので、その範囲の限界として明示された数値を包含するのみならず、その範囲内に包含される個々の数値または部分範囲を全て、数値および部分範囲が各々明示されているかのように包含すると柔軟に解釈すべきであるということが理解されるはずである。例えば、約1重量%〜約20重量%の重量比範囲は、1重量%および20重量%の明示された限界を包含するのみならず、2重量%、11重量%、14重量%などの個々の重量、および10重量%〜20重量%、5重量%〜15重量%等のような部分範囲も包含すると解釈すべきである。
【0027】
本発明は、ポリカルボシラン官能性付加支持体であって、表面オキシド基および/または表面ヒドロキシル基を有する表面を包含する支持体と、その表面に共有結合したポリカルボシラン層とを含むことができるポリカルボシラン官能性付加支持体に関する。そのポリカルボシラン層は、連続ポリカルボシラン基のウェブを包含することができ、ここにおいて、それらポリカルボシラン基の炭素連結性部分はアルキレン部分である。好ましくは、ポリカルボシラン基は、トリ−またはテトラカルボシラン基の一方または双方を包含するが、テトラ−、ヘキサ−、ヘプタ−等のカルボシランも、代わりに用いることができる。連続ポリカルボシラン基のウェブは、単一ウェブ層として適用することができる。ポリカルボシラン層は、ポリカルボシラン遮断層またはポリカルボシラン官能性層でありうる。
【0028】
別の態様において、ポリカルボシラン官能性付加支持体は、表面オキシド基および/または表面ヒドロキシル基を有する表面を包含する支持体、その表面に共有結合した第一ポリカルボシラン層、および第一ポリカルボシラン層に共有結合した第二ポリカルボシラン層を含むことができる。第一ポリカルボシラン層は、連続ポリカルボシラン基の第一ウェブを包含することができ、そして第二ポリカルボシラン層は、連続ポリカルボシラン基の第二ウェブを包含することができる。第一ウェブおよび第二ウェブのポリカルボシラン基の炭素連結性部分は、典型的に、アルキレン部分である。再度、好ましくは、ポリカルボシラン基は、トリ−またはテトラカルボシラン基の一方または双方を包含するが、テトラ−、ヘキサ−、ヘプタ−等のカルボシランも、代わりに用いることができる。一つの態様において、第一ポリカルボシラン層は、ポリカルボシラン遮断層であり、そして第二ポリカルボシラン層は、ポリカルボシラン官能性層である。
【0029】
これら態様について、本明細書中に挙げられる材料は、シランを誘導体化する伝統的な基と比較して、比較的広範囲のpH条件および温度にわたるクロマトグラフィー分離で用いるためのきわめて耐久性の表面を提供する。これら材料は、表面オキシド基および/またはヒドロキシル基、例えば、分離カラムで用いられることが知られている金属酸化物または半金属酸化物を含むほとんどいずれの支持体にも適用することができる。具体的なシリカに関して、ほとんどいずれのシリカ基材も、粒状および一体式双方の材料を含めた前駆体固体保持体材料として、更には、溶融シリカまたは石英管材料として用いることができる。
【0030】
本発明の材料の基本的な使用は、より攻撃的な流動条件、例えば、高温、低または高pH、高濃度の水またはアルコール類等でのクロマトグラフィーであるが、本発明の配合物は、毛管電気泳動またはガスおよび液体クロマトグラフィー用途の溶融シリカ管材料を処理するのに、または腐食性流体を必要とするいずれか他の使用に用いることもできる。したがって、本発明の配合物および方法は、化学的腐蝕または分解から支持体を保護すべきである腐蝕性流体、超臨界流体または気体環境中への金属酸化物または半金属酸化物の材料の浸漬を必要とするいずれの用途にも利点があるであろうという理由で、クロマトグラフィーに制限されない。更に、他のコーティング用途は、以下に論じられるように、本発明の遮断および/または官能性ポリカルボシラン層によっても利点があるであろう。
【0031】
本明細書中に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体に加えて、ポリカルボシラン官能性付加支持体を製造する方法を開示するが、それは、ポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基を形成し、表面オキシド基または表面ヒドロキシル基を有する表面を包含する支持体に、ポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基を取り付け、そしてポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基から、連続ポリカルボシラン基の第一ウェブを形成する工程を包含することができる。ポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基は、束縛性ケイ素−酸素結合によって表面に取り付けることができ、そして更に、隣接したポリカルボシラン基を連続させる連結性シロキサン結合を包含することができる。
【0032】
これによって、その方法は、更に、ヒドロキシル化された第一ウェブへの取り付け工程後に、連続ポリカルボシラン基の第一ウェブを加水分解する工程を更に含むことができる。加水分解後、ポリカルボシラン前駆体モノマーの第二基から、連続ポリカルボシラン基の第二ウェブを形成する引き続きの工程を行うことができる。例えば、工程は、ポリカルボシラン前駆体モノマーの第二基を、ヒドロキシル化された第一ウェブへと、連結性シロキサン結合によって取り付け;そしてポリカルボシラン前駆体モノマーの第二基から、連続ポリカルボシラン基の第二ウェブを形成することを包含することができる。その第二ウェブは、更に、隣接したポリカルボシラン基を(第二ウェブ内にも、第二ウェブから第一ウェブへも)連続させる連結性シロキサン結合を包含することができる。第二ウエブが適所にあることで、ヒドロキシル化された第一ウェブに第二ウェブを取り付け後に、連続ポリカルボシラン基の第二ウェブをヒドロキシル化する工程を、更に行うことができる。この一般的な方法を、所望ならば、層の上に層を加えて、繰り返すことができる。
【0033】
ポリカルボシラン
トリ−および/またはテトラカルボシランなどのいろいろなタイプのポリカルボシランを製造して、本発明のポリカルボシラン被覆支持体を形成することができる。下の式1は、本発明の態様によるポリカルボシラン遮断層および/またはポリカルボシラン官能性層を形成するのに用いることができるトリカルボシラン前駆体モノマーの一般的な配置を示す。
【0034】
【化2】

【0035】
上の式1において、aが1である場合、bは3であり;またはaが0である場合、bは4である。したがって、式1は、3個のオルガノシラン部分と、官能基または嵩高基(R)を有するトリカルボシランでありうるし、または或いは、式1は、4個のオルガノシラン部分を有するテトラカルボシランでありうる。更に、式1において、dは、各々独立して、3個または4個の個々のオルガノシラン部分各々について1〜4でありうるし、そしてXは、各々独立して、例えば、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミン、アミン塩、そしてなお他のカルボシランなどの前駆体部分でありうる。したがって、1個またはそれを超えるX基が、カルボシラン基である場合、式1のトリカルボシランは、実際上、テトラカルボシラン、ペンタカルボシラン、ヘキサカルボシラン等と称することができる。同様に、1個またはそれを超えるX基が、カルボシラン基である場合、式1のテトラカルボシランは、実際上、ペンタカルボシラン、ヘキサカルボシラン、ヘプタカルボシラン等と称することができる。言い換えると、命名法は、本発明の態様による連続性ポリカルボシランのウェブを形成する前の一般的な分子構造に、多数のカルボシラン基がどのように存在しているかに依存しうる。しかしながら、本発明の態様によるポリカルボシランは、好ましくは、共通の中心ケイ素原子に取り付けられた少なくとも3個のカルボシラン基を包含する。
【0036】
aが1であり且つbが3である式1による代表的な配合物は、下の式2:
【0037】
【化3】

【0038】
として示される。式2において、3個のオルガノシラン部分と官能基または嵩高基を有するポリカルボシランを示す。具体的には、dは、独立して、3個の個々のオルガノシラン部分各々について1〜4でありうるし、そしてXは、各々独立して、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミン、アミン塩、そしてなお他のカルボシランから成る群より選択される前駆体部分でありうる。一つの具体的な態様により、Xはクロロでありうるし、そしてRは、例えば、CまたはC18アルキル基でありうる。別の態様において、1個またはそれを超えるXは、メチル、アルキルまたは別のアルキルシリル基でありうる。
【0039】
下の式3は、次のような式1によるテトラカルボシラン前駆体モノマーの代表的な製造スキームを示す。
【0040】
【化4】

【0041】
上の式3において、nは1〜3でありうる。式1の配合物Aは、配合物Bのテトラカルボシラン前駆体モノマーを形成するのに用いることができる前駆体分子である。示されたテトラカルボシラン前駆体モノマーの4個のカルボ−または炭素連結性部分の内の3個はプロピレンであるが、これら鎖は、独立して、例えば、C〜Cアルキレンでありうるということは理解される。更に、配合物B中に示されるような、中心ケイ素原子から分岐している4個の示されたオルガノシラン基は、この段階で強く塩素化されている。他の反応性基を、本明細書中に記載のように用いることもできる。具体的な配合物Bに関して、それは式1に関しているので、aは0であり、bは4であり、dは、3個のオルガノシラン基について2であり、残りのオルガノシラン基について3、4または5であり、そしてXはクロロである。
【0042】
下の式4および式5は、式1による別のトリカルボシラン前駆体モノマーの代表的な製造スキームを示す。具体的には、二つの代表的な配合物の製造は、次のように示される、プロピレンカルボ−または炭素連結性基(式4)およびエチレン炭素結合基(式5)を包含することができる。
【0043】
【化5】

【0044】
上の式4および式5において、Rは、広範囲の官能基または嵩高基であって、オクチルまたはオクタデシルなどの直鎖または分岐状のC〜C30アルキル、シアノプロピルなどのシアノアルキル、フルオロアルキル、フェニルのようなもの、またはトリカルボシランを製造するのに用いられる反応物と適合しうるいずれか他の官能基または嵩高基であって、適する保護基でブロックされた安定性の少ない基、および本明細書中に記載の他のR基を含めたものでありうる。示されたトリカルボシラン前駆体モノマーの4個の炭素結合部分の内の3個は、少なくともエチレンであるが、これら鎖は、独立して、例えば、C〜Cアルキレンでありうるということは理解される。更に、ポリカルボシラン前駆体モノマーの中心ケイ素原子から分岐している3個の示されたオルガノシラン基は、この段階で強く塩素化されているが、他の反応性基を用いることもできる。具体的な式4配合物に関して、それは、式1に関するので、aは1であり、bは3であり、dは2であり、そしてXはクロロである。具体的な式5配合物に関して、それは、式1に関するので、aは1であり、bは3であり、dは1であり、そしてXはクロロである。
【0045】
連続性ポリカルボシラン基を有する一つまたは複数のポリカルボシラン層で官能性付加された支持体
本発明の態様により、式1により製造されたポリカルボシラン基は、重合して、連続性ポリカルボシラン基のウェブ層を形成することができる。一つの態様において、そのウェブを形成し且つ支持体表面に取り付けることができる。しかしながら、好ましくは、個々のポリカルボシラン基を、支持体に取り付けた後、加水分解および/または縮合の工程を行って、ウェブを形成することができる。これら配合物は、例えば、その支持体がシリカ表面を包含する場合、束縛性シロキサン結合によって支持体に共有結合させることができる。一つの態様において、少なくとも1個のポリカルボシラン基を、2個または3個のアルキレン置換部分によって支持体表面に束縛して、その2個または3個のアルキレン置換部分によって少なくとも1個の束縛性シロキサン結合を形成することができる。より詳細な側面において、2個または3個の炭素結合基の少なくとも1個は、2個または3個の束縛性シロキサン結合を個々に形成する。
【0046】
具体的な例を与えるために、式3により製造された多数の活性モノマーと、乾燥シリカとを反応させることにより、下の式6に似た配合物を形成することができる。
【0047】
【化6】

【0048】
式6において、nは、1〜3でありうるし、そして星印()記号は、その式で示される二次元断面の外にある追加の結合を示唆するのに用いられている。式6のマトリックスの配置は、代表するものであるということに留意すべきである。例えば、シリカ表面のある場所において、あるシラノール基は、未反応状態として示されている。それら未反応のシラノール基の場所は、立体的な理由で、シリカ表面上に存在する全てのシラノール基と各々反応するのが難しいことから、多少ランダムでありうる。更に、式6配合物は、シリカ表面の一断面を示しているにすぎないので、同様に、この前駆体状態でのポリカルボシラン遮断層の二次元断面図のみが示されている。ポリカルボシラン遮断層は、三次元で表面に結合するであろう。更に、本発明は、表面オキシド基および/または表面ヒドロキシル基を有する支持体の改変に関するが、シリカ表面は、単に、本発明の実施を好都合に具体化するために示されている。
【0049】
これについて、式6配合物は、乾燥トルエンで洗浄することで過剰の試薬を除去することによって更に処理後、強く塩素化された表面を、水で充分に洗浄することによって加水分解し且つ中和することができる。この結果として、下の式7に似た配合物を生じることができるが、この場合、塩素化された表面は、更にヒドロキシル化された構造へと改変される。
【0050】
【化7】

【0051】
再度、上の式7において、nは、1〜3でありうるし、そして星印()記号は、その式で示される二次元断面の外にある追加の結合を示唆するのに用いられている。
【0052】
表面オキシド基またはヒドロキシル基へのポリカルボシラン基の束縛に加えて、ポリカルボシラン基は、互いに連結することができる。例えば、連続性ポリカルボシラン基のウェブは、第一連結性シロキサン結合によって第二ポリカルボシラン基に結合される第一ポリカルボシラン基を包含することができる。更に詳しくは、連続性ポリカルボシラン基のウェブは、更に、第三ポリカルボシラン基および第四ポリカルボシラン基を包含することができ、ここにおいて、第三ポリカルボシラン基は、第二連結性シロキサン結合によって第一ポリカルボシラン基に結合し、そして第四ポリカルボシラン基は、第三連結性シロキサン結合によって第二ポリカルボシラン基に結合している。この態様は、ポリカルボシラン基が互いに連結して、支持体の表面に束縛もされるし、相互連結もしているポリマー性三次元コーティング配合物を生じるパターンを示している。考えられうる相互連結を更に詳しく説明するには、若干のテトラカルボシラン基の間で、2個のまたは3個さえもの連結性シロキサン結合が、2個の隣接したテトラカルボシラン基を互いに連結することができる。
【0053】
第二前駆体状態での、すなわち、シロキサン結合の形成を伴わない、ヒドロキシル化されたポリカルボシラン遮断層の一断面である式7の後に具体的な例を続けるには、更に改変を行うことができる。具体的には、式7に似た配合物は、真空下において約200℃で乾燥させる、または酸、塩基でまたは溶液中のスズ触媒で触媒することができ、その結果、下の化8に示されるように、シロキサン結合を形成するように一層接近している若干のシラノール基の縮合を生じる。
【0054】
【化8】

【0055】
上の式8において、nは、1〜3でありうるし、そして星印()記号は、その式で示される断面の外にある追加の結合を示唆するのに用いられている。式8の配合物は、本発明の態様によって製造することができるポリカルボシラン遮断層の代表的な部分を示している。再度、シリカ表面のある場所およびマトリックス中のどこか他の場所において、あるシラノール基は、未反応状態として示されている。それら未反応のシラノール基の場所は、立体的な理由で、シリカ表面上に存在する全てのシラノール基と各々反応するのが難しいことから、多少ランダムでありうる。分子に隣接しているシラノール基は、示されてもいない隣接した基に反応した状態として示されている。若干のこれらシラノール基は、カルボシラン基の連続性ウェブの他のヒドロキシル化されたカルボシラン基へ連結性シロキサン結合によって、シリカ表面へ束縛性シロキサン結合によって、または引き続き適用されるカルボシラン官能性層へ連結性シロキサン結合によって反応することができる。更に、示されていないが、形成された材料は、トリメチルシリル剤などの小さい基でエンドキャップ付きにして、当該技術分野において一般的に知られているように、全体の残留シラノール含量を減少させることができる。
【0056】
個々のテトラカルボシラン基に関して、典型的には、各々が、C〜Cアルキレンシラン部分のような4個のアルキレンシラン部分を包含する。それらアルキレンシラン部分は、テトラカルボシランを他のポリカルボシランへと結合することができるし、または表面オキシド基および/または表面ヒドロキシル基へ、シロキサン結合またはケイ素−酸素結合によって結合することができる。若干の態様において、ポリカルボシラン基の少なくとも一部分は、官能基または嵩高基を末端とするアルキレン基を包含し、それによって、固体保持体支持体に追加の官能性を与えることができる。代表的な官能基または嵩高基には、直鎖または分岐状のC〜C30アルキル、ジオール置換アルキル、シアノアルキル、フルオロアルキル、フェニル、本明細書中に記載の他の基、またはそれらの組合せが含まれる。
【0057】
本発明の別の代表的な態様により、ポリカルボシラン基であって、それに取り付けられた嵩高基または官能基を有するものを包含するポリカルボシラン遮断層は、支持体へと結合させることができる。例えば、式4により製造される塩素化されたポリカルボシラン前駆体モノマーは、シリカと直接的に反応して、表面に結合したポリカルボシラン官能性層を形成することができるし、または前に記載のように製造されたポリカルボシラン遮断層と反応することができる。シリカ表面に結合したポリカルボシラン官能性層を示す代表的な態様を、(塩素化されたポリマーをヒドロキシル化し且つ連結性シロキサン結合を形成させた後)下の式9に与える。
【0058】
【化9】

【0059】
上の式9において、再度、Rは、広範囲の官能基または嵩高基であって、直鎖または分岐状のC〜C30アルキル、ジオール置換アルキル、シアノプロピルなどのシアノアルキル、フルオロアルキル、フェニルのようなもの、またはポリカルボシランために用いられる反応物と適合しうるいずれか他の官能基または嵩高基であって、適する保護基でブロックされた安定性の少ない基、および本明細書中の他のところに記載のその他を含めたものでありうる。
【0060】
連続性ポリカルボシラン基の多重ポリカルボシラン層で官能性付加された支持体
本発明の態様により、式1により製造された反応性カルボシラン基は、重合して、連続性ポリカルボシラン基の多重ウェブ層を形成することができる。この態様において、ポリカルボシラン遮断層は、典型的に、表面オキシド基および/または表面ヒドロキシル基を包含する支持体に、束縛性シロキサン結合によって取り付けられ、そして引き続き適用されるポリカルボシラン官能性層は、典型的に、連結性シロキサン結合によってポリカルボシラン遮断層に取り付けられる。これについて、二層を超える材料を適用することができる。更に、一つの態様において、二つのタイプの層の一方を、多重層中に適用することがありうる。
【0061】
便宜上、連続ポリカルボシラン基のウェブは、一つの態様において、ポリカルボシラン遮断(またはプライマー)層を包含する第一ウェブと、この態様において、ポリカルボシラン官能性層を包含する第二ウェブとに関して論じられている。しかしながら、第一ウェブおよび第二ウェブは、同じタイプの材料からでありうるし、そして更に、二層を僅かに超える材料を、本発明の態様による支持体に適用し且つ取り付けることができるということは理解されるはずである。
【0062】
連続性ポリカルボシラン基の第一ウェブに関して、連続性ポリカルボシラン基の単一ウェブ層で官能性付加された支持体に関して前に与えられた説明は、この態様に適用可能である。ポリカルボシラン遮断層中にポリカルボシラン基を一緒につないでいる連結性シロキサン結合に加えて、連結性シロキサン基も、二つのそれぞれのウェブを一緒に連続させるのに用いることができる。一つの態様において、連続ポリカルボシラン基の第一ウェブおよび第二ウェブは、前駆体部分を有するオルガノシラン基を包含することができる。このような前駆体部分には、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミンおよびアミン塩から成る群より選択されるものが含まれる。ウェブの形成後、これら前駆体部分は、前に記載のようにヒドロキシル化することができる。
【0063】
この態様による多重層配合物を示す代表的な態様は、式10で示される。具体的には、ポリカルボシラン遮断層を表面に共有結合するのに用いられるのと類似した反応を行って、ポリカルボシラン官能性層をポリカルボシラン遮断層へと結合することができる。得られた代表的な構造は、下の式10で示される。
【0064】
【化10】

【0065】
式10において、Rは、前に記載のような嵩高基または官能基でありうるし、nは、1〜3でありうるし、そして星印()記号は、その式で示される断面の外にある追加の結合を示唆するのに用いられている。式10のマトリックスの配置は、代表するものであるということに留意すべきである。更に、式10配合物は、シリカ表面の一断面を示しているにすぎないので、同様に、この前駆体状態でのポリカルボシラン遮断層の二次元断面図のみが示されている。例えば、配合物は、この構造に隣接していると考えられるが、示されてはいないポリカルボシラン基の間に生じると考えられる連続を示していない。更に、式10は、充分にヒドロキシル化された状態として示され、そのままで、いくつかの中間工程は前に示され且つ記載されたので、それらは示されていない。更に、示されていないが、形成された材料は、トリメチルシリル剤などの小さい基でエンドキャップ付きにして、当該技術分野において一般的に知られているように、シラノール含量を減少させることができる。
【0066】
再度、示された式は、種々のアルキレン基、シラノール基、シロキサン基等が存在しうるように、代表するものであるということが強調されるべきである。更に、これら構造式は、シラノール基が生じ且つシロキサン結合が生じる場所に関して、統計的に調節されるであろう。本発明は、構造内のこれら結合の場所を正確に調節することに関してはいないが、むしろ、本明細書中に記載のポリカルボシランを取り付けた支持体に形成に関する。更に、示された構造は二次元であり、ポリカルボシランの連続性ウェブの断片を示しているにすぎない。実際の構造は三次元であるので、二次元構造として示すのは困難である。他の変化には、官能性の度合い、脱離基の組成および性状等が含まれうる。更に、ヒドロシル化(hydrosilation)過程中に組み立てられる類似の材料を用いることができるし、またはそれらの分子サイズおよび物理的性質に依存して、真空蒸留によって更に精製するまたは分別することができる。更に、分岐の程度および性状の変化も、本発明の範囲内と考えられる。より一般的には、本発明のポリカルボシランを取り付けた支持体が記載されているように、それらは、段階合成法によって組み立てられるので、官能性の変化は、当業者が本開示を考察後に承知するであろうように、各々の工程での反応物の選択によって工学処理することができる。
【0067】
シリカは、代表的な態様の全体に記載されているが、本発明は、表面オキシド基および/または表面ヒドロキシル基を有する支持体の改変に関する。したがって、本発明は、多点結合が可能な材料の製造をもたらしたので、結合エネルギーが、酸化ケイ素表面ほど強くない場合に、安定な材料を得ることができる。例えば、アルミナ、チタニア、およびジルコニア、酸化クロム、酸化スズ、酸化鉛、酸化ゲルマニウム、セラミック類、更には、連続性ポリカルボシランのウェブで改変されたその他の表面も、苛酷な条件下での分解に対して安定性を示す。
【0068】
クロマトグラフィー
無機保持体は、しばしば、クロマトグラフィーおよび他の結合・解法分離技術において用いられるので、有機材料と無機材料との間には、しばしば、界面が必要とされる。伝統的には、有機部分と無機部分に架橋するのに、シラン、例えば、典型的には、3個またはそれ未満の無機結合性部分と、中心ケイ素原子に取り付けられた少なくとも1個の無機部分とを有する単一シランが用いられてきた。この界面は、その系の耐久性に有意に寄与することができる。これら界面結合の乾燥強度は、ある材料が使用に有効であるか否かを決定する場合に考慮する一つの因子であるが、水作用下のこれらタイプの結合の強度ほど重要ではない。例えば、二酸化ケイ素などの表面は、水への自然親和性を有するので、水は、この極性表面へと自然に移動して、これら界面結合を弱体化させるであろう。本発明の態様によれば、ポリカルボシランを用いて連続トリ−および/またはテトラカルボシラン基のウェブを形成することにより、より多くの連続結合場所が実現するので、これら界面結合の弱体化は、より極端な環境条件においても、一層難しくなる。
【0069】
したがって、本発明の配合物および方法は、好都合には、分離カラムでの、具体的には、用いるために一層極端な条件、例えば、より高い温度、より極端なpHレベル等が望まれる用途での、それらの使用に関して例示することができる。言い換えると、本発明の材料の高い安定性ゆえに、いくつかの利点が達せられうる。例としては、高熱安定性、より有効な選択性調整、より迅速な分析、必要な(除外されないが)有機改変剤がより少ないこと、より広範な等温および温度プログラミング範囲等が含まれる。更に、特に、より適度な分離条件下では、カラムまたは試薬で改変された固体保持体の延長された寿命を実現することもできる。また更に、広いpH範囲を、本発明の態様による分離に用いることができる。この性質が有益である代表的な態様には、酸のためのイオン抑制、アミンのためのイオン抑制、およびpH極値での混入物の溶離によるカラム再生が含まれ、例えば、高pHで塩基性分析物を分離することは、増加した負荷量、増加した保留性、および/または増加した分解能を提供することができる。
【0070】
本発明の態様によるポリカルボシラン官能性付加固体保持体は、好都合に、多数の商業的に入手可能な製品に対して匹敵する。例えば、RがC18であり且つnが1である式10に関して記載の一般式を有する多座改変シリカ(polydentate-modified silica)は、200℃でおよび/またはpH1〜pH12で安定でありうる。この系は、ほとんどいずれのシリカにも、更には、改善された結果を有する他の固体保持体材料にも働く単純表面コーティングを提供する。基底にある粒子構造は、妨害されない状態のままでありうるし、そして低および高pHでの、更には、高温での安定性を実現することができる。逆に、上の多座改変シリカに対して好都合に働く他の材料は、ある種の欠点を有する。例えば、ポリマー性DVB(ジビニルベンゼン)は、適合しうるカラムハードウェアと共に、pH0〜pH14での使用に有効であるが、150℃まで安定であるすぎない。或いは、Thermo Electron Corporation による HypercarbTMは、適合しうるハードウェアと共に、200℃まで安定であるが、伝統的なシリカカラムで認められるのとは大きく異なった選択性を示す。Agilent's Stable BondTMのような、立体障害のあるシランで改変されたシリカは、低pHおよび適度な高温で特に有用であるが、高pH条件下でほとんど安定性を示さない。Water's XterraTMのような、ハイブリッドで有機的に改変されたシリカは、約85℃まで安定であるすぎないが、逆相条件下においてより高い温度で相減量およびシリカ主鎖分解を示す。Water's XterraTM技術では、各々の粒子タイプが最適化されるべきであり、固体マトリックス内の有機官能性の取込みは、粒子強度に部分的に影響することがありうる欠点を生じる。
【0071】
ジルコニア固体保持体は、化学的に安定であるが、過度のブリードゆえに、温度プログラミング条件について推奨されない。これまでに紹介された、ジルコニア粒子を基剤とする製品は、基底にある保持体への共有結合を安定化することを欠いた架橋有機ポリマーで被覆されていた。もう一方において、シリカは、産業界で広く許容され且つ全く予測可能である、例えば、広範囲の寸法(粒度、細孔度、表面積等)で入手可能な高効率である固体保持体材料であり、高い粒子強度を示す。クロマトグラフィー試験は、本発明のポリカルボシランで処理されたシリカが、他の伝統的なシリカ基剤カラム装填材料に類似した選択性を示すが、加水分解または熱分解に対する安定性が大きく増強されているということを示した。
【0072】
天然シリカは、次のようなpHに対する水への溶解度を有することが知られている。pH6は、約120mg/Lであり、pH7は、約120mg/Lであり、pH8は、約125mg/Lであり、pH9は、約150mg/Lであり、pH9.5は、約180mg/Lであり、pH10は、約460mg/Lであり、そしてpH10.5は、約875mg/Lである。したがって、pH9.5より上で、シリカの水への溶解度は、有意に増加し始める。更に、シリカは、次のような温度に対する水への溶解度を有することが知られている。0℃は、約30mg/Lであり、25℃は、約120mg/Lであり、50℃は、約225mg/Lであり、そして75℃は、約340mg/Lである。シリカの溶解速度は、流体中へのまさにその嵩溶解度を超えて関係している。例えば、表面積(クロマトグラフィー用シリカについて、典型的には、150〜300m/gm)、表面をわたる流体の流れ、水分濃度、pH等は全て、シリカ溶解速度にある役割を果たすことがありうる。したがって、シリカ保持体材料が使用中に受ける環境ストレスは、クロマトグラフィーに望まれるその固有の性質をより充分に利用できるように、本発明の態様を用いて軽減することができる。例えば、多座結合シリカ粒子を製造することができるが、それは、改善された加水分解安定性および熱安定性を示す。更に、シリカカラム選択性を伴う逆相作業は、少なくとも200℃までの温度でおよび/または少なくともpH1〜12のpH範囲で行うことができる。上の代表的な態様は、主にシリカに関するが、他の固体保持体の安定性および耐久性も、本発明の態様によって改善することができる。
【0073】
他の用途
本発明の遮断コーティングおよび/または官能性コーティング配合物は、クロマトグラフィー用途に特に有用であるが、これら材料について、支持体コーティング;追加のコーティングを上に適用することができる遮断層;亀裂充填剤;防蝕遮断層;他の材料(充填剤および/または顔料を含めた)を包含する表面用処理剤;および添加剤であって、プライマー、ペイント、インク、染料、接着剤、それぞれのポリマーの形成前の有機モノマー(アクリル系など)、最終製品へと加工する前のポリマー、および本発明のポリカルボシランで複合材料を形成するのに用いられる複合材料または材料と一緒に用いるための添加剤の形で、他に有効な用途がある。これら材料は、更に、ポリエステル類またはコンクリートのような、ポリマーまたは支持体主鎖中に取り込むことができるし、またはシリコーン樹脂合成のための反応性中間体として用いることができる。これら材料の他の可能な用途は、本発明を考察後、当業者に明らかであると考えられる。
【0074】
より具体的には、支持体への本発明の材料の適用には、例えば、織物類、カーペット、カーペット裏地、椅子張り、被服、スポンジ、プラスチック類、金属類、外科用包帯、メーソンリー、シリカ、砂、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、木材、ガラスビーズ、タイル、床板、カーテン、船舶用製品、テント、バックパック、屋根材、羽目、フェンス材、装飾材、絶縁材、壁板、くず入れ、屋外装置、水精製システムおよび土のような支持体への適用が含まれるうる。更に、それらコンパウンドで処理可能な製品には、概して、それらの製造に用いられる空気濾過器および材料、水槽濾過器、ガラス繊維ダクトボード、ポリウレタン・ポリエチレンフォーム、サンドバッグ、ターポリン類、帆、ロープ、木材防腐剤、プラスチック類、接着剤、ペイント、パルプ、紙、および非食品または食品接触用表面材も含まれうる。
【0075】
次に、本発明のポリカルボシラン遮断層および/または官能性層の代表的な用途についてなお一層具体的なリストを与える。このような支持体には、コンクリート水導管およびコンクリート雨水・下水管などのコンクリート;義歯、保定装置および器具などの歯科用品;建築用フェーシア、墓材および床材などの大理石スラブ;彫像および露出した芸術作品;レンガ、石、Dryvit システムおよびスタッコ仕上材料、更には、ルーフィング紙、タイル、金属類およびこけら板を含めた外部建築用仕上製品;防水材料;ピッキング機で綿をロールまたはラップにする前または後の混合綿などの紡織繊維;食品包装材料および容器;およびバイオフィルムおよび接着剤(テープおよびシリコーンウェファー)が含まれる。これらの例は、本発明のコーティングの多用性を詳しく説明するために与えられている。しかしながら、特に好都合なのは、従来入手可能な材料、例えば、一官能性、二官能性または三官能性のシランカップリング剤で入手可能であるよりも耐久性で且つ加水分解崩壊耐性のある表面への結合が要求されている場合の支持体へのこれらコーティングの適用である。
【0076】
上述の態様およびその他に関して、多くのこれら支持体の処理は、概して、処理される製品と、発生期の水または加えられた水の存在下のポリカルボシランの溶液とを、活性ポリカルボシラン成分(またはその一部分)が製品に永久結合するのに充分な一定時間、接触させることまたは混合することを必要とすることがありうる。概して、処理は、接触で直ちに開始することができる。好ましくは、反応時間は、約15秒〜約48時間でありうる。一つの態様において、大きいガラス支持体製品は、このようなポリカルボシラン溶液中に1〜2分間浸漬後、乾燥させることができる。他の支持体タイプは、より短いまたはより長い時間浸漬することができる。例えば、布は、ポリカルボシラン配合物の溶媒浴を介して40ヤード/分またはそれを超える速度で通過させることができ、そして浸漬後、過剰の溶液を、穏やかにぬぐい去るまたはすすぎ除去することができる。或いは、ポリカルボシラン溶液を、支持体上に噴霧する、支持体上にぬぐう、またはそれ以外に、スポンジまたは布等を用いて適用することができる。例えば、布上に噴霧する場合、これら溶液は、押出繊維用の噴霧冷却液として、と一緒に、またはそれに加えて用いることができる。また更に、これらポリカルボシラン含有溶液は、顔料および/または充填剤に加え且つそれと一緒に数分間、例えば、2〜3分間撹拌することができるし、または或いは、これら溶液は、使用または適用前に、エマルジョンまたは他の既存の製剤に加えることができる。
【0077】
適用方法にかかわらず、引き続きの加工工程は、結合を改善するように行うことができる。例として詳しく説明するには、布支持体などの支持体表面を、本発明の態様によるポリカルボシラン溶液で処理後、その表面を加熱して、支持体表面へのコンパウンド、製品または配合物の結合を更に完成させることができる。或いは、酸、塩基またはスズ触媒への暴露は、縮合過程を促進するであろう。
【0078】
他の材料も、本発明の材料と一緒に共適用することができる。例えば、安定化用コンパウンドおよび方法は、イオンまたは非イオン界面活性剤および洗剤の使用のような、オルガノシランについていろいろな技術分野で知られている安定化方法と一緒にまたはそれに加えて用いることができる。更に、当該技術分野において周知のように、あるクラスのオルガノシランは、水および他の液体をはじくことができる性質を有する。したがって、本発明の一つの態様は、支持体を耐汚染性にするように支持体を処理するための、本発明の一つまたは複数のコーティングの適用を包含することができる。
【0079】
ポリマーおよびコンクリートなどの他の支持体を、成形または硬化の前に、支持体のばら材料中への本発明の材料の取込みによって処理することは、それによって得られた製品を、表面の劣化、臭気発生および潜在的に有害な汚染から保護することができる。例えば、ポリマーおよび/またはコンクリート中へのポリカルボシラン結合UV安定剤の取込みは、直射日光からの保護を与えることができる、および/または得られた製品の寿命を延長することができる。
【0080】
本発明の態様による遮断層および/または官能性層を形成するのに用いることができる適するポリカルボシラン前駆体には、テトラキス−(トリクロロシリルエチル)シラン、トリクロロシリルエチルトリス−(トリクロロシリルプロピル)シランおよびテトラキス−(トリエトキシシリルエチル)シランが含まれ、それらの部分加水分解形も含まれる。他には、テトラ(トリクロロシリルプロピル)シラン、オクタデシルトリス−(トリクロロシリルエチル)シラン、オクタデシルトリス−(トリクロロシリルプロピル)シラン、トリデカフルオロオクチルトリス−(トリクロロシリルエチル)シラン、トリデカフルオロオクチルトリス−(トリエトキシシリルエチル)シランおよびそれらの部分加水分解形が含まれる。これら材料は、二炭素(2)〜三炭素(3)アルキレン基スペーサーを有するが、概して、より短いアルキレン基、例えば、二炭素(2)が、時々、より安定でありうる。具体的な例を、いろいろな支持体をコーティングすることについて与えるが、これら材料およびそれらの類似体、延長部、別の脱離基等も、シリケートプライマーの代替品として用いて、他の材料をそれに取り付けるためのコーティング基剤を与えることができる。
【0081】
本発明の配合物は、可能性のある取り付け点を、典型的な3個を超えて有するので、本発明のコーティングは、コーティング材料として従来用いられてきたシラン類よりもはるかに大きい接着強度および耐久性を与える。例えば、本発明のポリカルボシラン基は各々、3個よりもむしろ9個またはそれを超える場所で(互いにおよび/または支持体表面に)取り付けることができる。他の利点を詳しく説明するのに、コーティングフィルムの架橋度または密度およびその透過性は、用いられたシランのタイプ、更には、それを適用する方法の一次関数でありうる。9個またはそれを超える結合点は、本発明の材料で入手可能であるので、それら結合点は、表面に取り付けるだけでなく、互いを結合することもして、より一層耐久性の薄膜を生じる。
【実施例】
【0082】
次の実施例は、現在最も良く知られている本発明の態様を詳しく説明する。しかしながら、次が、本発明の理論の適用を代表するまたは例示するにすぎないということは理解されるはずである。多数の改変、および別の配合物、方法および系は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者が考えることができる。請求の範囲は、このような改変および配列を包含するものである。したがって、本発明を上に具体的に記載してきたが、次の実施例は、本発明の最も実際的で且つ好適な態様であると現在考えられることに関連して、更に詳細を与える。
【0083】
実施例1−高温での粒子安定性
式4の断面図に似るように製造された材料は、攻撃的浸出条件においてきわめて安定であることが判明した。具体的には、式4の材料を、熱処理し、ステンレス鋼製管中に装填し、そして200℃で過熱水流を施した。水の液体状態は、250psiで設定された背圧調節器の使用によって維持した。10,000カラム容量の過熱水を、その材料を介して通過させた後に、ベッドの可視変化も圧縮も、明らかではなかった。
【0084】
実施例2−ビニルトリアリルシランの製造
約180mlのテトラヒドロフラン(Aldrich)中の2Mアリルマグネシウムクロリドを、窒素下において250mlフラスコ中に入れ、ドライアイス中で−78℃に冷却した。徐々に、16.5グラムのビニルトリクロロシランを、絶えず振とうしながらフラスコ中に入れた。固体が生じ且つ発熱した。その溶液/スラリーを、室温に暖めた後、500mlの水に徐々に加えた。再度、発熱した。約20mlの酢酸を加えて、沈殿したマグネシウム塩を溶解させた。次に、有機画分を分離し、水性部分を、20mlずつの塩化メチレンで3回洗浄し、そして有機画分を一緒にした。配合物を、各20mlずつの2回に分けた水で洗浄し、そして有機部分を、5mlのシリカゲルを介する濾過により、ある程度まで乾燥させた。生成物を蒸留し、そして188℃で沸騰した主要画分を集めた。
【0085】
実施例3−トリクロロシランでのヒドロシル化生成物の製造
上の実施例2で製造される約15グラムのビニルトリアリルシランを、マグネチックスターバーを含むバイアル中に入れた。それら内容物に、窒素を50℃で45分間散布した。次に、内容物をドライアイスで冷却し、そして10グラムのトリクロロシランを、窒素圧でバイアル中に入れた。20マイクロリットルの第二塩化白金酸溶液(1重量%エタノール/99重量%テトラヒドロフラン中の1重量%、約0.5重量%の白金を与える)を充填したシリンジを、触媒導入用に用いた。混合物を、圧力下で80℃〜90℃に加熱し、そして毛管SFC分析用に、定期的に試料採取した。追加のトリクロロシランを、全部で約45グラムが加えられるまで加えた。反応進行は、出発オレフィンシランの減少および増加濃度のトリクロロシラン付加物を示した。2日毎に、追加の20マイクロリットルの触媒を加え、反応を続けた。7日後、過剰のトリクロロシランを留去して、麦わら色油状物を残した。生成物に、乾燥窒素を散布して、約200℃のポット温度への揮発物を除去した。多数のトリクロロシラン基が存在する生成物分布を形成した。
【0086】
実施例4−オクタデシルトリアリルシランの製造
約50グラムの蒸留オクタデシルトリクロロシランを、約200mlのテトラヒドロフラン中の2Mアリルマグネシウムクロリドに、ドライアイスで冷却しながら徐々に加えた。窒素雰囲気を維持した。添加を完了後、混合物を室温に暖め、一晩放置した。生成物および溶解した塩のスラリーを、酢酸の添加によって酸性にした水に、徐々に加えた。油状層が上方に分離し、それを取り出し、そして各々の洗浄につき100mlの水で2回洗浄した。生成物を、固体NaClの添加によって乾燥させ、濾過して、麦わら色油状物を生じた。
【0087】
実施例5−トリクロロシランでのヒドロシル化生成物の製造
実施例4によって製造された約15グラムのオクタデシルトリアリルシランを、マグネチックスターバーを含むバイアル中に入れた。それら内容物に、窒素を50℃で45分間散布した。次に、内容物をドライアイスで冷却し、そして20グラムのトリクロロシラン(約30%過剰)を、窒素圧でバイアル中に入れた。20マイクロリットルの第二塩化白金酸溶液(1重量%エタノール/99重量%テトラヒドロフラン中の1重量%、約0.5重量%の白金を与える)を充填したシリンジを、触媒導入用に用いた。混合物を、圧力下で80℃〜90℃に加熱し、そして毛管SFC分析用に、定期的に試料採取した。反応進行は、出発オレフィンシランの減少および増加濃度のトリクロロシラン付加物を示した。2日毎に、追加の20マイクロリットルの触媒を加え、反応を続けた。7日後、過剰のトリクロロシランを留去して、麦わら色油状物を残した。生成物に、乾燥窒素を散布して、約200℃のポット温度への揮発物を除去した。
【0088】
実施例6−ポリカルボシラン処理済みシリカ粒子の製造
シリカ粒子(SMB,3μm球状,100Å細孔度,Fuji Silicia 製)を、真空下において200℃で一晩乾燥させた。ガラスバイアル中の3グラムのこの材料に、5グラムの乾燥トルエンと、実施例5からの2グラムのオクタデシルトリアリルシラン/トリクロロシラン生成物を加えた。乾燥窒素の雰囲気を、スラリー上で維持した。混合物を、110℃に加熱し、マグネチックテフロン(登録商標)被覆スターバーで撹拌した。5時間後、2グラムの乾燥ピリジンを加え、加熱および撹拌を一晩続けた。
【0089】
そのスラリーを濾過し、そして粒子を、乾燥トルエンで、次にメタノール(各25ml)で洗浄した。それら粒子を、0.5ミクロンステンレス鋼フリットを両端に有するステンレス鋼製管中に粗く装填した。その管を、Selerity Polaratherm オーブン中に入れ、10,000容量の水を、粒子を介して200℃で通過させた。装置を冷却し、Polaratherm から取り出し、そして粒子を真空オーブン中において200℃で一晩乾燥させた。その処理過程を、同じ試薬で前のように繰り返して、第二コーティングを取り込んだ。濾過、過熱水抽出および乾燥の工程を繰り返した。
【0090】
実施例7−高温および高水分でのカラム安定性
実施例6によって製造された粒状物を、ステンレス鋼製カラムハウジング中に、アセトンをスラリー溶媒としておよびメタノールを押し溶媒として10,000psiで装填した。ハウジング寸法は、2.1mm内径および5cm長さであった。カラムを、Polaratherm 中に設置し、200℃に加熱し、水中の5重量%ACNの溶離剤を4ml/分で用いた。そのシステムは、3975psiの背圧を報告した。ウラシル、アンドロスタジエンジオン、アンドロステンジオンおよびエピテストステロンを含有する試験混合物を、図1に示されるように、254nmでのUV検出で分析した。カラムは、少なくとも数千カラム容量の水性基剤移動相の200℃での通過中、安定であった。
【0091】
実施例8−多層ポリカルボシラン処理済みシリカ粒子の製造
約150gのシリカ粒子(Pinnacle II,3μm球状,110Å細孔度,Restek Corporation 製)を、テフロン(登録商標)/ガラス製機械的撹拌パドルを装備した1リットル三口RBフラスコ中に入れた。そのシリカを、約600mlのキシレン中に懸濁させた。撹拌しながら加熱し、そして Dean-Stark 冷却器/トラップを用いて水を除去した。水の発生が止んだら、Dean-Stark トラップを、抽出シンブル(extraction thimble)中に乾燥4Aモレキュラーシーブが入っている Soxhlet アセンブリーと交換した。沸騰キシレンを、そのアセンブリーを介して3時間循環させて、微量の水分の除去によって懸濁液を「磨いた(polish)」。
【0092】
30.8グラムの蒸留テトラキス−(トリクロロシリルエチル)シランのほぼ同量の乾燥キシレン中の溶液を、急速撹拌された乾燥スラリーに、滴下漏斗によって徐々に加えた。次に、乾燥ピリジンを、全35グラムについて、滴下漏斗によってその懸濁液に徐々に加えた。シランがシリカ粒子と反応するにつれて発熱が起こり、生じたHClをピリジンによって掃去した。還流条件は、前の乾燥工程から依然として定位置にある Soxhlet アセンブリーによって維持した。ピリジニウム塩酸塩を、キシレンと一緒に共蒸留し、Soxhlet 中で結晶化させた。この結晶化は、沸騰過程中のその除去が、粒子の濾過および掃除をはるかに容易にすることから望まれた。懸濁液を撹拌し且つ一晩還流させた。
【0093】
16時間後、かなりの量のピリジニウム塩酸塩が、Soxhlet トラップ中に存在した。熱を除去し、懸濁液を室温に達しさせた。Soxhlet を除去し、清浄にし、そしてシリカ懸濁液を、加圧フィルターを介して濾過して、過剰の試薬を除去した。濾過ケーキを、300mlずつの乾燥キシレンで2回、次に300mlずつの乾燥テトラヒドロフランで2回洗浄した。これは、きわめて塩素化されたシリカ表面を、結合したテトラキス−(トリクロロシリルエチル)シランから離した。塩酸(HCl)を、大気水分への暴露によって放出した。粒子を、制御された加水分解のための冷却器を装着した1リットルRBフラスコ中に戻し入れた。
【0094】
それら粒子を、約600mlのキシレン中に再懸濁させた後、撹拌および還流を開始した。約40mlの水を、滴下漏斗によって徐々に加えた。塩化水素ガスが発生したが、それを適当なトラップシステムによって浄化した。HClガス発生が遅くなったら、過剰のピリジンを、滴下漏斗によって徐々に加えて、加水分解反応を終わらせた。ピリジン添加は、加水分解が発熱性であるので、注意深く制御した。
【0095】
蒸留ヘッドを設置し、そして水、THF(初期の濾液洗浄工程により残留)および過剰のピリジンを除去した。蒸留は、ヘッドがキシレン還流温度に達するまで続けた。乾燥モレキュラーシーブを含む清浄な絶縁 Soxhlet アセンブリーを再度設置し、そして溶液を抽出器によって還流することによって水の痕跡を除去した。その溶液を3時間循環させ、その間に、遮断層内の表面シラノール基の若干の縮合が起こり、システムから流され且つトラップされたより多くの水を生じ、そしてそこで、より多くのピリジニウム塩酸塩を抽出器中へと昇華させた。
【0096】
この配合物に、追加のキシレン中のテトラキス−(トリクロロシリルエチル)シラン(30.8gm)を滴下漏斗によって加え、方法を繰り返して(上の前の30.8gmのテトラキス−(トリクロロシリルエチル)シラン添加から)、第二層を形成した。この第二(遮断)層を濾過し、洗浄し、加水分解し、縮合させ、そしてスラリーを再度乾燥させた後、それを、C18基での官能性付加に用意した。
【0097】
全52.2グラムのオクタデシルトリス−(2−トリクロロシリルエチル)シランを、それら撹拌、還流、乾燥と、キシレンでスラリーにした粒子に徐々に加えた。この3回目の添加は第三層であり、それが、官能性ポリカルボシラン層になると考えられる。乾燥ピリジン(39グラム)を徐々に加えた。発熱が起こり、そのスラリーを Soxhlet によって還流させた。スラリーを機械的に撹拌し且つ一晩還流させた。Soxhlet を、蒸留ヘッドと交換し、スラリーが撹拌するのにあまり粘稠にならなければ、できるだけ多くのキシレンを除去した。次に、容器を冷却し、400mlの乾燥THFを加えた。生成物を濾過し、そして固体を各300mlずつのTHFで2回洗浄した。生成物は、二つの遮断層と第三官能性層とを有する三層配合物を生じた。
【0098】
次に、それら粒子を、浸出用のプレプスケールカラムハウジング中に直ちに充填することによって状態調節した。本明細書中に記載のスケールについて、ステンレス鋼フリットを含む1インチ直径x24インチ長さの二つの全ステンレス鋼製カラムを用いて、粒子を入れた。それらカラムを一続きに連通させ、水流を10ml/分で開始した。カラムが水で完全に満たされ且つ(残留塩化ケイ素の加水分解によって生じる)HCl発生が止んだら、流速を3ml/分に低下させ、そして流れを続行させながら、容器をオーブン中で200℃に加熱した。水流を伴う加熱を12時間続けた後、水をアセトニトリルに換え、200℃での流れを更に8時間続けた。流れをシリンダーから直接的に二酸化炭素へと切り替えることによって、アセトニトリルを粒子から除去した。温度は、アセトニトリルが出口ラインからもはや出なくなるまで200度で維持した。二酸化炭素流を止め、カラムハウジングを室温に冷却した。
【0099】
実施例9−高温および高水分でのカラム安定性
実施例8によって製造された粒状物を、ステンレス鋼製カラムハウジング中に、アセトンをスラリー溶媒としておよびメタノールを押し溶媒として10,000psiで装填した。ハウジング寸法は、2.1mm内径および5cm長さであった。カラムを、Polaratherm 中に設置し、200℃に加熱し、100%水の溶離剤を4ml/分で用いた。この試験は、実施例6によるポリカルボシラン処理済みシリカよりもむしろ、実施例8によるポリカルボシラン処理済みシリカを用いたことを除いて、実施例7で行った試験と同様である。もう一つの相違は、溶離剤として、5%ACN溶液よりもむしろ100%水を用いたことであった。ウラシル、アンドロスタジエンジオン、アンドロステンジオンおよびエピテストステロンを含有する試験混合物を、254nmでのUV検出で分析したが、結果は、図2に示されている。カラムは、少なくとも数千カラム容量の水性基剤移動相の200℃での通過中、安定であった。
【0100】
実施例10−選択性決定
実施例8によって製造された粒状物を、ステンレス鋼製カラムハウジング中に、アセトンをスラリー溶媒としておよびメタノールを押し溶媒として10,000psiで装填した。ハウジング寸法は、4.6mm内径および10cm長さであった。カラムを、Polaratherm 中に25℃において、80:20のメタノール:5mMリン酸カリウムpH7の移動相を2ml/分で設置した。NIST870混合物を、254nmでのUV検出で分離したが、結果は、図3に示されている。具体的には、アミトリプチリンのテーリングおよび無対称は、若干のシラノール相互作用を示し、キニザリンのピーク形状および溶離は、金属キレート剤に対して低い活性を示す。全選択性は、オクタデシルシラン(ODS)処理済みシリカについて典型的であった。
【0101】
実施例11−鎮痛薬のpH11での分離
実施例8によって製造された粒状物を、ステンレス鋼製カラムハウジング中に、アセトンをスラリー溶媒としておよびメタノールを押し溶媒として10,000psiで装填した。ハウジング寸法は、4.6mm内径および10cm長さであった。カラムを、Polaratherm 中に、1重量%TFAを含有する水中の40重量%アセトニトリルの溶離剤を2ml/分で設置し、温度を30℃で1分間保持した後、30℃/分で、110℃の温度に達するまで上昇させた。鎮痛薬を含有する試験混合物を、その成分部分に分離し、アセトアミノフェン、アスピリン、サリチル酸、ナプロキセンおよびイブプロフェンの順序で化合物を溶離した。UV検出を235nmで用いたが、結果は、図4に示されている。カラムは、数千カラム容量の水性基剤移動相の200℃での通過中、安定であった。
【0102】
実施例12−高pH安定性
実施例8によって製造された粒状物を、ステンレス鋼製カラムハウジング中に、アセトンをスラリー溶媒としておよびメタノールを押し溶媒として10,000psiで装填した。ハウジング寸法は、2.1mm内径および5cm長さであった。カラムを、Polaratherm 中に40℃において、50:50のACN:50mMピロリジンの移動相をpH12、0.8ml/分で設置した。カラムを、254nmでのUV検出で分析したが、結果は、図5に示されている。具体的には、高い方のピークは、最初に結果を示したが、低い方のピークは、2500カラムを実験後に記録される通りである。理解されうるように、2500カラム後、ポリカルボシラン改変固体保持体は、アミトリプチリンを同じ保留性およびピーク形状で溶離した。
【0103】
実施例13−遮断コーティングの製造
テトラカルボシラン材料である少量(<0.3グラム)のテトラキス−(トリクロロシリルエチル)シランを、数個の Pyrex 実験用フラスコの内部に加えた。それら固体を塩化メチレン中に溶解させ、フラスコ底にコーティングするように旋回させてた。溶媒を蒸発させ、残留物を実験室空気に一晩暴露した。薄膜がフラスコの底を被覆したが、それは、半透明で且つ僅かに曇りがあった。それらフラスコを水で満たし、2時間放置し、その後、水を傾瀉した。この処理後、薄膜は未変化に見えた。フラスコをオーブン中に入れ、空気中で200℃に加熱した。薄膜は無傷に見えた。それは、金属スパチュラでの物理的掻き取りでまたは AjaxTMクレンザー(研磨粒子および塩素漂白剤を含有する)で除去され得ない硬質樹脂状層として存在した。形成された層は、沸騰アルコール性水酸化カリウム(ガラスからのシロキサン除去に用いられる一般的な洗浄剤)、熱発煙硝酸、熱濃硫酸、5%水性フッ化水素酸、および(濃硫酸中の過酸化水素溶液である)「Pirhana」溶液との接触によっても影響されなかった。各々のフラスコ上のコーティングは、空気中で400℃への反復熱処理に耐えた。その層を除去しうると判明した唯一の処理は、HFの添加によって増大する熱 Pirhana 溶液での加熱であったが、それは、Si−C結合を酸化的に開裂することが知られている方法である。
【0104】
実施例14−遮断コーティング層の製造
実施例13の方法を、テトラキス−(トリエトキシシリルエチル)シランおよびテトラキス−(トリクロロシリルプロピル)シランを用いたことを除いて、同様の結果で繰り返した。具体的なテトラキス−(トリエトキシシリルエチル)シランに関して、クロロ−シラン結合と同様に、エトキシ−シラン結合の加水分解も、水の添加で起こる。
【0105】
実施例15−比較表面処理
トリデカフルオロオクチルトリス−(トリエトキシシリルエチル)シラン(配合物I)を、三工程反応法で、トリデカフルオロオクチルトリクロロシランから、ビニルグリニャールを用いて製造後、トリクロロシランでのヒドロシル化およびエタノールでのアルコーリシスを行った。言い換えると、配合物Iを、本発明の態様によって製造した。比較目的のために、同じトリデカフルオロオクチルトリクロロシランを、エタノールでのアルコーリシスによってトリエトキシ類似体にも変換した(配合物II)。配合物IIは、その薄膜から突出している過フッ素化炭化水素官能基ゆえに、低表面エネルギーおよび撥水性を与える表面処理剤として用いられてきた。配合物Iは、同様の表面エネルギー低下および撥水性を示すが、増強された耐久性を有すると考えられた。
【0106】
比較のためのこれら製造で、配合物Iおよび配合物II各々の5重量%溶液を、エタノール中で調製し、市販のガラスクリーナーで新たに清浄にされた自動車フロントガラスの隣接した区域に適用した。それら配合物の適用は、ペーパータオルにその溶液を飽和させ、それを表面上にぬぐうことによって行った。環境条件は、29°F温度、ほぼ100%相対湿度および100mph風速であった。適用時、エタノール溶液は速やかに蒸発して、配合物Iおよび配合物II各々について、フロントガラス上に半透明の曇りを残した。5分後、その表面を、最初は湿ったペーパータオルで、次に乾燥したもので磨いた。配合物Iで処理された区域は、配合物IIで処理された区域よりも、曇りのない半透明表面へと磨くのが難しかったが、乾燥ペーパータオルでぬぐった場合にしっかりと加圧されて、本質的に等しく見える磨きフィルムを形成した。
【0107】
フロントガラスに、冬季条件で運転しながら、雪、雨、氷、塩および道路汚れの衝突を施した。更に、ゴム製フロントガラスワイパーブレードの研磨作用を、定期的に加えた。最初と、悪天候条件への暴露から1週間後に、どちらの区域も、湿潤性および水滴接触角に関してほとんど同一に見えた。次に、ガラス表面を、コーティング間に差異を生じさせることを試みて、漸次、より攻撃的な薬剤で清浄にした。これらには、市販のガラスクリーナー(WindexTM)、泡状アンモニア溶液、pH12の50mMリン酸塩溶液、そしてなおメタノール中の5%水酸化カリウムも含まれた。各々の場合、ペーパータオルで激しくぬぐうことを行い、その表面の湿潤性および水滴接触角について調べた。この点までは、どちらの被処理区域でも差が認められず、各々が、依然としてその元の状態に近い状態であった。
【0108】
次に、各々の区域に、ペーパータオルで円運動にしっかりと加圧してこすることにより、湿った AjaxTMクレンザーの研磨作用を施した。次に、その表面を、HPLC等級脱イオン水で充分にすすぎ洗浄した。配合物IIで処理された区域は、この点で、水によって有効に湿潤して、ガラスから円滑に排水する連続フィルムを形成した(表面は45度鉛直角であった)。配合物Iを含む区域は、その初期状態との差を示さなかったし、依然として非湿潤性で且つ連続遮断フィルムとして無傷であった。
【0109】
本発明を、ある好ましい態様に関して記載してきたが、当業者は、いろいろな改変、変更、省略および置換を、本発明の精神から逸脱することなく行うことができるということを理解するであろう。したがって、本発明は、請求の範囲の範囲によってのみ制限されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、本発明の態様による連続ポリカルボシラン基のウェブによって改変されたシリカ保持体を用いた、高温および高水分でのカラム安定性を示す。
【図2】図2は、本発明の態様による連続ポリカルボシラン基のウェブによって改変されたシリカ保持体を用いた、高温および100%水分でのカラム安定性を示す。
【図3】図3は、本発明の態様による連続ポリカルボシラン基のウェブによって改変されたシリカ保持体を用いたカラム選択性を示す。
【図4】図4は、本発明の態様による連続ポリカルボシラン基のウェブによって改変されたシリカ保持体を用いた、低pHおよび高温での鎮痛薬の分離を示す。
【図5】図5は、本発明の態様による連続ポリカルボシラン基のウェブによって改変されたシリカ保持体を用いた、高pHでのカラム安定性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカルボシラン官能性付加支持体であって、
(a)表面オキシド基または表面ヒドロキシル基を有する表面を包含する支持体;および
(b)該表面に共有結合したポリカルボシラン層であって、連続ポリカルボシラン基のウェブを包含する該ポリカルボシラン層を含み、ここで、該ポリカルボシラン基の炭素連結性部分はアルキレン部分である、ポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項2】
表面が、金属酸化物を包含する、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項3】
表面が、半金属酸化物を包含する、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項4】
支持体が、クロマトグラフィー用固体保持体材料である、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項5】
クロマトグラフィー用固体保持体材料が、シリカ、シリケート、ジルコニア、チタニア、アルミナ、セラミック保持体、ガラス保持体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項4に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項6】
支持体が、ガラス、ガラス繊維、シリカ、アルミニウムおよびその合金、鋼、ステンレス鋼、マグネシウムおよびその合金、黄銅、銅、青銅、大理石、コンクリート、シリカ質鉱物、石灰石、炭素繊維、カーボンブラック、綿繊維、炭化ケイ素、およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項7】
支持体が、紙、木材、プラスチック、フェノール類、アクリレート類、ポリオレフィン類、ポリスチレン類、エポキシ類、ユリアホルムアルデヒドおよびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項8】
ポリカルボシラン基が、トリカルボシランを包含する、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項9】
ポリカルボシラン基が、テトラカルボシランを包含する、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項10】
ポリカルボシラン基が、ペンタカルボシラン、ヘキサカルボシラン、ヘプタカルボシラン、オクタカルボシラン、ノナカルボシランおよびデカカルボシランから成る群より選択される少なくとも一つのメンバーを包含する、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項11】
少なくとも一つのメンバーが、ペンタカルボシランである、請求項10に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項12】
少なくとも一つのメンバーが、ヘキサカルボシランである、請求項10に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項13】
ポリカルボシラン層が、ポリカルボシラン遮断層である、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項14】
ポリカルボシラン層が、ポリカルボシラン官能性層である、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項15】
連続ポリカルボシラン基のウェブが、束縛性ケイ素−酸素結合によって表面に共有結合している、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項16】
ポリカルボシラン基の少なくとも一つが、2個または3個のアルキレンシラン部分によって表面に束縛されていて、該2個または3個のアルキレンシラン部分各々によって少なくとも一つの束縛性ケイ素−酸素結合を形成している、請求項15に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項17】
2個または3個のアルキレンシラン部分の少なくとも一つが、個々に、2個または3個の束縛性ケイ素−酸素結合を形成している、請求項16に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項18】
連続ポリカルボシラン基のウェブが、第一ポリカルボシラン基であって、第一連結性シロキサン結合によって第二ポリカルボシラン基に結合している第一ポリカルボシラン基を包含する、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項19】
連続ポリカルボシラン基のウェブが、更に、第三ポリカルボシラン基および第四ポリカルボシラン基を包含し、ここで、第三ポリカルボシラン基は、第二連結性シロキサン結合によって第一ポリカルボシラン基に結合していて、そして第四ポリカルボシラン基は、第三連結性シロキサン結合によって第二ポリカルボシラン基に結合している、請求項18に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項20】
第一ポリカルボシラン基および第二ポリカルボシラン基が、第四連結性シロキサン結合によってに更に結合している、請求項19に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項21】
連続ポリカルボシラン基のウェブが、ヒドロキシル化されているオルガノシラン基を包含する、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項22】
連続ポリカルボシラン基のウェブが、反応性脱離基であって、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミンおよびアミン塩から成る群より選択される該脱離基を有するオルガノシラン基を包含する、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項23】
アルキレン部分が、C〜Cである、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項24】
ポリカルボシラン官能性層が、トリカルボシラン基を包含し、該トリカルボシラン基の少なくとも一部分が、官能基または嵩高基を末端とするアルキレン基を包含する、請求項14に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項25】
官能基または嵩高基が、メチル、エチル、直鎖または分岐状のC〜C30アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノアルキル、フルオロアルキル、メルカプトアルキル、エステル置換アルキル、カルボン酸置換アルキル、アミノアルキル、エーテル置換アルキル、エポキシ置換アルキル、シリル置換アルキル、ホスフィノアルキル、フェニルおよび置換フェニル、およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項24に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項26】
支持体およびポリカルボシラン層が、複合マトリックスを形成する、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項27】
支持体が、複合マトリックスであり、そしてポリカルボシラン層が、該複合マトリックス中に包含されている、請求項1に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項28】
ポリカルボシラン官能性付加支持体であって、
(a)表面オキシド基または表面ヒドロキシル基を有する表面を包含する支持体;
(b)該表面に共有結合した第一ポリカルボシラン層であって、該表面に結合した連続ポリカルボシラン基の第一ウェブを包含する該第一ポリカルボシラン層;および
(c)該第一ポリカルボシラン層に共有結合した第二ポリカルボシラン層であって、連続ポリカルボシラン基の第二ウェブを包含する該第二ポリカルボシラン層を含み、ここで、該第一ウェブおよび第二ウェブのポリカルボシラン基の炭素連結性部分はアルキレン部分である、ポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項29】
表面が、金属酸化物を包含する、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項30】
表面が、半金属酸化物を包含する、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項31】
支持体が、クロマトグラフィー用固体保持体材料である、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項32】
クロマトグラフィー用固体保持体材料が、シリカ、シリカゲル、シリケート類、ジルコニア、チタニア、アルミナ、酸化ニッケル、セラミック保持体、ガラス保持体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項31に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項33】
支持体が、ガラス、ガラス繊維、シリカ、アルミニウムおよびその合金、鋼、ステンレス鋼、マグネシウムおよびその合金、黄銅、銅、青銅、大理石、コンクリート、シリカ質鉱物、石灰石、炭素繊維、カーボンブラック、綿繊維、炭化ケイ素、およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項34】
支持体が、紙、木材、プラスチック、フェノール類、アクリレート類、ポリオレフィン類、ポリスチレン類、エポキシ類、ユリアホルムアルデヒドおよびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項35】
ポリカルボシラン基が、トリカルボシランを包含する、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項36】
ポリカルボシラン基が、テトラカルボシランを包含する、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項37】
ポリカルボシラン基が、ペンタカルボシラン、ヘキサカルボシラン、ヘプタカルボシラン、オクタカルボシラン、ノナカルボシランおよびデカカルボシランから成る群より選択される少なくとも一つのメンバーを包含する、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項38】
少なくとも一つのメンバーが、ペンタカルボシランである、請求項37に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項39】
少なくとも一つのメンバーが、ヘキサカルボシランである、請求項37に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項40】
第一ポリカルボシラン層が、ポリカルボシラン遮断層である、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項41】
第二ポリカルボシラン層が、ポリカルボシラン官能性層である、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項42】
連続ポリカルボシラン基の第一ウェブを形成するのに用いられるポリカルボシラン基が、連続ポリカルボシラン基の第二ウェブを形成するのに用いられるポリカルボシラン基と同じである、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項43】
連続ポリカルボシラン基の第一ウェブを形成するのに用いられるポリカルボシラン基が、連続ポリカルボシラン基の第二ウェブを形成するのに用いられるポリカルボシラン基と異なる、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項44】
連続ポリカルボシラン基の第一ウェブが、束縛性ケイ素−酸素結合によって表面に共有結合している、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項45】
連続ポリカルボシラン基の第二ウェブが、連結性シロキサン結合によって、連続ポリカルボシラン基の第一ウェブに共有結合している、請求項44に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項46】
第一ウェブのポリカルボシラン基の少なくとも一つが、2個または3個のアルキレンシラン部分によって表面に束縛されていて、該2個または3個のアルキレンシラン部分各々によって少なくとも一つの束縛性ケイ素−酸素結合を形成している、請求項44に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項47】
2個または3個のアルキレンシラン部分の少なくとも一つが、個々に、2個または3個の束縛性ケイ素−酸素結合を形成している、請求項46に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項48】
第一ウェブの2個または3個のアルキレンシラン部分の少なくとも一つが、個々に、2個または3個の束縛性シロキサン結合を形成している、請求項46に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項49】
ポリカルボシラン遮断層の個々のポリカルボシラン基が、1個または2個の連結性シロキサン結合によって互いに結合している、請求項40に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項50】
ポリカルボシラン官能性層の個々のポリカルボシラン基が、1個または2個の連結性シロキサン結合によって互いに結合している、請求項41に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項51】
連続ポリカルボシラン基の第一ウェブおよび第二ウェブが各々、ヒドロキシル化されているオルガノシラン基を包含する、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項52】
連続ポリカルボシラン基の第一ウェブおよび第二ウェブが、反応性脱離基であって、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミンおよびアミン塩から成る群より選択される該脱離基を有するオルガノシラン基を包含する、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項53】
アルキレン部分が、C〜Cの長さである、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項54】
ポリカルボシラン官能性層が、トリカルボシラン基を包含し、該トリカルボシラン基の少なくとも一部分が、官能基または嵩高基を末端とするアルキレン基を包含する、請求項41に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項55】
官能基または嵩高基が、メチル、エチル、直鎖または分岐状のC〜C30アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノアルキル、フルオロアルキル、メルカプトアルキル、エステル置換アルキル、カルボン酸置換アルキル、アミノアルキル、エーテル置換アルキル、エポキシ置換アルキル、シリル置換アルキル、ホスフィノアルキル、フェニルおよび置換フェニル、およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項54に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項56】
支持体およびポリカルボシラン層が、複合マトリックスを形成する、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項57】
支持体が、複合マトリックスであり、そしてポリカルボシラン層が、該複合マトリックス中に包含されている、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項58】
第一または第二ポリカルボシラン層の少なくとも一つに共有結合した第三ポリカルボシラン層であって、連続ポリカルボシラン基の第三ウェブを包含する該第三ポリカルボシラン層を更に含み、ここで、該第三ウェブのポリカルボシラン基の炭素連結性部分がアルキレン部分である、請求項28に記載のポリカルボシラン官能性付加支持体。
【請求項59】
トリカルボシラン前駆体であって、構造:
【化1】

(式中、dは、各々独立して、1〜4であり、
Xは、各々独立して、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミン、アミン塩、C〜C30アルキル、C〜Cアルキレンシリルまたはカルボシランであり、ここで、少なくとも一つのXは、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミンまたはアミン塩であり、そして、
Rは、メチル、エチル、直鎖または分岐状のC〜C30アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノアルキル、フルオロアルキル、メルカプトアルキル、エステル置換アルキル、カルボン酸置換アルキル、アミノアルキル、エーテル置換アルキル、エポキシ置換アルキル、シリル置換アルキル、ホスフィノアルキル、フェニルおよび置換フェニル、およびそれらの組合せである)
を含むトリカルボシラン前駆体。
【請求項60】
Rが、直鎖または分岐状のC〜C30アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノアルキル、フルオロアルキル、メルカプトアルキル、エステル置換アルキル、カルボン酸置換アルキル、アミノアルキル、エーテル置換アルキル、エポキシ置換アルキル、シリル置換アルキル、ホスフィノアルキル、フェニルおよび置換フェニル、およびそれらの組合せである、請求項59に記載のトリカルボシラン前駆体。
【請求項61】
Rが、C〜C18である、請求項59に記載のトリカルボシラン前駆体。
【請求項62】
RがCである、請求項59に記載のトリカルボシラン前駆体。
【請求項63】
RがC18である、請求項59に記載のトリカルボシラン前駆体。
【請求項64】
Xがクロロである、請求項59に記載のトリカルボシラン前駆体。
【請求項65】
少なくとも一つのXが、前駆体が少なくともテトラカルボシランになるようなカルボシランでもある、請求項59に記載のトリカルボシラン前駆体。
【請求項66】
ポリカルボシラン官能性付加固体保持体を製造する方法であって、
ポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基を形成し;
表面オキシド基または表面ヒドロキシル基を有する表面を包含する支持体に、ポリカルボシラン前駆体モノマーの該第一基を取り付け、ポリカルボシラン前駆体モノマーの該第一基は、束縛性ケイ素−酸素結合によって該表面に取り付けられていて;そして
ポリカルボシラン前駆体モノマーの該第一基から、連続ポリカルボシラン基の第一ウェブであって、隣接したポリカルボシラン基を連続させる連結性シロキサン結合を包含する該第一ウェブを形成することを含む方法。
【請求項67】
表面が、シラノール部分を包含し、そして、束縛性ケイ素−酸素結合がシロキサン結合である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
ポリカルボシラン前駆体モノマーの第一基が、それぞれ、構造:
【化2】

(式中、aが0である場合、bは4であり、そしてaが1である場合、bは3であり;
dは、各々独立して、1〜4であり;
Xは、各々独立して、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミン、アミン塩、C〜C30アルキル、C〜Cアルキレンシリルまたはカルボシランであり、ここで、少なくとも一つのXは、ハロゲン、トリフラート、アルコキシ、アシル、オキシム、アミンまたはアミン塩であり;そして
Rは、存在する場合、メチル、エチル、直鎖または分岐状のC〜C30アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、シアノアルキル、フルオロアルキル、メルカプトアルキル、エステル置換アルキル、カルボン酸置換アルキル、アミノアルキル、エーテル置換アルキル、エポキシ置換アルキル、シリル置換アルキル、ホスフィノアルキル、フェニルおよび置換フェニル、およびそれらの組合せである)
を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
Rが、C〜C18である、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
連続ポリカルボシラン基の第一ウェブをヒドロキシル化する工程を更に含む、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
ヒドロキシル化された第一ウェブに、ポリカルボシラン前駆体モノマーの第二基を、連結性シロキサン結合によって取り付け;そして
ポリカルボシラン前駆体モノマーの該第二基から、連続ポリカルボシラン基の第二ウェブであって、隣接したポリカルボシラン基を連続させる連結性シロキサン結合を包含する該第二ウェブを形成する工程を更に含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
連続ポリカルボシラン基の第二ウェブをヒドロキシル化する工程を更に含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
第一ウェブが、ポリカルボシラン遮断層である、請求項66に記載の方法。
【請求項74】
第二ウェブが、ポリカルボシラン官能性層である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
第二ウェブが、ポリカルボシラン遮断層である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
ヒドロキシル化された第一ウェブまたは第二ウェブに、ポリカルボシラン前駆体モノマーの第三基を、連結性シロキサン結合によって取り付け;そして
ポリカルボシラン前駆体モノマーの該第三基から、連続ポリカルボシラン基の第三ウェブであって、隣接したポリカルボシラン基を連続させる連結性シロキサン結合を包含する該第三ウェブを形成する工程を更に含む、請求項72に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−537055(P2007−537055A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500943(P2007−500943)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/005731
【国際公開番号】WO2005/086652
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(504319541)セレリティ テクノロジーズ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】