説明

改良された疎水性汚れ洗浄のための親水性変性ポリオール

5〜11個のヒドロキシ部分を含む親水性変性ポリオール化合物であって、少なくとも1つのヒドロキシ部分が更に1つ以上のエトキシ部分を含み、1つ以上のエトキシ部分が更に陰イオン性末端保護ユニット、陽イオン性末端保護ユニット又はその混合物を含む、組成物は、親水性変性ポリオール化合物を含む、並びに防再析出及び疎水性汚れ洗浄利益のための前記組成物を使用する方法及び前記組成物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された疎水性汚れ洗浄及び(防再析出)灰色化防止のための親水性変性ポリオール化合物、最も好ましくは、双極性イオン特性及び界面活性剤系を有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グリース、油、生地汚れ、疎水性微粒子(例えば、すす、ほこり等)及びある程度の親水性汚れ(粘土等)等の疎水性汚れの効率的な洗浄は、洗剤配合者にとって、特に手で洗い、より冷水条件である地域において、引き続き難題である。これらの地域の多くの消費者は、自動洗濯機に加え手洗方法を用いることがある。これらの地域の洗濯方法には、浸漬、前洗い、前処理、及び洗濯水再使用の工程が含まれる。手洗方法の洗濯水は、たいていの場合、冷たく、並びに硬度、遷移金属濃度、汚れ度合い及び微粒子等不純物が多い場合がある。これらの要因のすべてが、主として再使用洗濯水の汚れ度合い、硬度、及び微粒子の点で、正に「ストレスがかかる洗濯条件」と呼ばれる原因となる。これらの洗濯条件は、米国又は欧州連合において主に自動洗濯機の使用によりしばしば見られるものと類似した典型的な粒状の洗濯洗剤とは異なる。
【0003】
従って、ストレスがかかる洗濯条件に伴う課題は、再使用洗濯水中での不十分な洗浄で、洗濯時に白い及び明るい布地製品が汚れ及び微粒子の付着によって灰色化することである。ストレスがかかる洗濯条件に伴うもう1つの課題は、消費された界面活性剤系、高い汚れ負荷、より高い硬度及びより低い洗濯温度による疎水性汚れ洗浄及び微粒子汚れ洗浄レベルの低下である。これらの課題は、洗濯水の再使用において特に際立っている。
【0004】
改良された粘土及び親水性汚れ洗浄、並びに洗濯時白い及び明るい布地製品を灰色化することを防止するためのいくつかの既知のポリマーがある。それらには、米国特許4,661,288号、同6,444,633号、同6,579,839号及びWO01/05874に記載されているこれらのポリマーが挙げられる。WO01/79408A1に記載されているもの等のいくつかのポリマーが、他の汚れの洗浄を改良できることも知られている。
【0005】
糖系物質等のポリオール化合物は、持続性のある、簡単に入手できる原材料で、具体的な処方及び性能要求に対応するためそれ自身が幅広く調整される。具体的な性能要求としては、白い及び明るい布地製品の灰色化防止、並びにひどい汚れ及び高い硬度を有する手洗条件下での疎水性汚れ(グリース、油、生地汚れ、すす等)洗浄が挙げられる。その他の性能要求としては、自動食器洗い及び食器手洗い組成物、床クリーナー、木、セラミックタイル、リノリウム、クリーナー等の表面洗浄組成物、シャンプー、ヘアーコンディショナー、石鹸及び身体洗浄剤等のパーソナルケア組成物、並びに犬及び猫シャンプー等のペット洗浄ケア組成物の使用が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
グリース及び油汚れ洗浄を提供するいくつかの現行市販ポリマーを粒状及び液体洗濯洗剤、硬質表面クリーナー、皿洗浄組成物、パーソナルケア組成物並びにペット洗浄組成物に処方することは、洗剤配合者にとって引き続き難題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、組成物に関し、前記組成物は、(a)5〜11個のヒドロキシ部分を含む1つ以上の親水性変性ポリオール化合物であって、少なくとも1つのヒドロキシ部分が更に1つ以上のエトキシ部分を含み、前記1つ以上のエトキシ部分が更に陰イオン性末端保護ユニット、陽イオン性末端保護ユニット又はその混合物を含み、親水性変性ポリオール化合物の全平均電荷が約−4〜約+4である1つ以上の親水性変性ポリオール化合物の0.005%〜30%、並びに(b)組成物の9重量%〜25重量%のC10〜C15直鎖アルキルベンゼンスルホネート、及び組成物の0重量%〜7重量%の非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される補助界面活性剤を含む界面活性剤系を含む。
【0008】
本発明は、更に前記組成物を使用する方法及び前記組成物を製造する方法に関する。本発明は、更に親水性変性ポリオール化合物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
持続性のある簡単に入手できる原材料から比較的製造しやすい材料を含む組成物に対してニーズがあり、それは、具体的な処方及び性能要求に対応するため幅広く調整されてよい。好適な材料の選択は、組成物の他の構成成分、性能要求、加工性要求、洗濯条件及び洗浄組成物の使用に包含される消費者の習慣によって変化する。
【0010】
親水性変性ポリオール化合物等の調整可能なポリマーは、洗浄組成物の性能を強化する試剤であり、ストレスがかかる洗濯条件に有効であると思われ、界面活性剤だけでは、効率良く洗浄し、白い及び明るい布地製品を灰色にすることを防止し、及び所望の疎水性汚れの洗浄を発揮できない。しかしながら注目すべきは、親水性変性ポリオール化合物の使用が、ストレスがかかる洗濯条件に限定されないばかりではなく、親水性変性ポリオール化合物が、ストレスがかからない洗濯条件の性能利益を増加させる可能性があることである。
【0011】
理論に制限されるものではないが、系における各種分子パラメーターの変性によるポリマー構造の調整が、所望の用途に最も好適なポリマーの使用を可能にすると思われる。理論に制限されるものではないが、下記の親水性変性ポリオール化合物と下記の界面活性剤系の組み合わせが非常に効率の良い微粒子汚れの分散を可能にすると思われ、それが、汚れ再析出の防止に寄与し、及び界面活性剤の存在下で油等の疎水性汚れの乳化を助ける。更に、親水性変性ポリオール化合物単独、並びに下記の界面活性剤系との混合物は、疎水性汚れとの相互作用を可能にし、及び被洗浄表面に界面活性剤をより効率よく放出できる。
【0012】
本明細書で使用する時、「軽質液体食器用洗剤組成物」は、手動で(すなわち手で)食器を洗う際に用いる組成物に関するものである。前記組成物は一般的には、本来起泡性又は発泡性が高い。
【0013】
本明細書で使用する時、「洗濯洗剤組成物」とは、衣類及びその他の布地を洗う際に使用される組成物及び希釈された形態の前記組成物を含有するいかなる溶液をも指す。前記組成物は一般的には、本来起泡性又は発泡性が低い。
【0014】
本明細書で使用する時、「シャンプー」とは、人間及び動物の毛髪洗いに使用されるこれらの組成物を指す。
【0015】
本明細書で使用する時、「身体洗浄剤」とは、皮膚表面の洗浄に使用される液体形態のこれらの組成物を指す。
【0016】
「X〜Y」、「約X〜約Y」又は「X−Y」の形式で記載される場合、あたかも本明細書に明示的に記載されているかのように、すべての範囲の数字が本明細書に組み込まれ及び包含される。当然のことながら、本明細書全体にわたって提示するあらゆる限界には、場合によっては、更に低い又は更に高い限界が本明細書に明確に記載されている場合と同様に、更に低い又は高い限界が含まれる。本明細書全体にわたって提示されるあらゆる範囲には、その広い範囲内の更に狭い範囲がすべて、その更に狭い範囲がすべて本明細書に明確に記載されている場合と同様に含まれる。
【0017】
指示がない限り、重量百分率は、組成物の重量百分率を基準とする。指示がない限り、温度はすべて摂氏(℃)で表記する。
【0018】
親水性変性ポリオール化合物
本明細書で使用する時、「調整」とは、ポリオール化合物の化学構造を調節する能力があることを意味し、所望の化学的特性を実現する。例えば、陰イオン性末端保護ユニット及び/又は陽イオン性末端保護ユニットを含むことにより変性されるエトキシル化ポリオール化合物は、具体的な処方及び性能要求に対し所望の特性を与える調整された構造体である。
【0019】
本発明に有用な親水性変性ポリオール化合物は、5〜11個のヒドロキシ部分、更に5〜10個のヒドロキシ部分、更に6〜9個のヒドロキシ部分を含む。本発明の組成物に使用する出発原料に好適なポリオール化合物としては、マルチトール、スクロース、キシリトール、ペンタエリシトール(pentaerythitol)、グルコース、マルトース、マルトトリオース(matotriose)、マルトデキストリン、マルトペントース(maltopentose)、マルトヘキソース(maltohexose)、イソマルツロース(isomaltulose)、ソルビトール、キシラン、ポリグリセロール、ジグリセロールエーテル及びこれらの混合物が挙げられる。よい例としては、ソルビトール、マルチトール及びこれらの混合物として選択されるポリオール化合物が挙げられる。
【0020】
ポリオール化合物のヒドロキシ部分の少なくとも1つは、更に1つ以上のエトキシ部分を含む。個々のヒドロキシ部分の平均エトキシル化度は、ヒドロキシ部分あたり約1〜約100、好ましくは約5〜約40、より好ましくは約10〜約35である。
【0021】
本発明に有用な変性ポリオール化合物は、更に少なくとも1つのエトキシ部分を有し、エトキシ部分は、少なくとも1つの陰イオン性末端保護ユニットを含む。好適な陰イオン性末端保護ユニットとしては、サルフェート、スルホスクシネート、スクシネート、マレエート、スルホネート、メチレンカルボキシレート、エチレンカルボキシレート、ホスフェート、ポリホスフェート及びこれらの混合物が挙げられる。陰イオン性末端保護ユニットは、サルフェート及び/又はスルホネートであることが好ましい。
【0022】
本発明に有用な親水性変性ポリオール化合物は、更に少なくとも1つのエトキシ部分を有し、エトキシ部分は、少なくとも1つの陽イオン性末端保護ユニットを含む。好適な陽イオン性末端保護ユニットとしては、アミン末端保護ユニットが挙げられる。アミン末端保護ユニットは、一級アミン含有末端保護ユニット、二級アミン含有末端保護ユニット、三級アミン含有末端保護ユニット、及びこれらの混合物から選択される。
【0023】
一級アミン含有末端保護ユニットに好適な一級アミン類としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、及びこれらの混合物が挙げられる。二級アミン含有末端保護ユニットに好適な二級アミン類としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、及びこれらの混合物が挙げられる。三級アミン含有末端保護ユニットに好適な三級アミン類としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
本発明において使用に好適なモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、又はポリアミン類としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、N,−N’−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン(hexemethylene diamine)、エチルアミン、ジエチルアミン、ドデシルアミン、N−メチルドデシルアミン、ジイソプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、N−メチル−N−エチルアミン、ビスジメチルアミノプロピルアミン(ビスDMAPA)、ベンジルアミン、イソキノリン、タロートリエチレンジアミン、単一置換モノアミン、単一置換ジアミン、単一置換ポリアミン、二置換モノアミン、二置換ジアミン、 二置換ポリアミン、三置換トリアミン、三置換ポリアミン、水素を含有する少なくとも1つの窒素を備える3つを超える置換を含む多置換ポリアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
本発明の別の実施形態において、アミン末端保護ユニットの少なくとも1つの窒素は四級化されている。本明細書で使用する時、「四級化された」とは、アミン末端保護ユニットがアミン末端保護ユニットの四級化又はプロトン化を通して正電荷が与えられることを意味する。例えば、ビス−DMAPAは3つの窒素を含有し、それら窒素の1つだけが四級化されればよい。
【0026】
実施形態において、1つ以上のヒドロキシ部分が、更に陰イオン性末端保護ユニットを有するエトキシ部分及び陽イオン性末端保護ユニットを有する1つ以上のヒドロキシ部分を含む。例えば、式(I)及び式(II)において、
【化1】

式中、式(I)のxは、約1〜約100、約5〜約40等の、又は約10〜約35等である。EOは、エトキシ部分を表す。
【化2】

式中、式(II)のxは、約1〜約100、約5〜約40等の、又は約10〜約35等である。DMAPAは、ジメチルアミノプロピルアミンである。EOは、エトキシ部分を表す。
【0027】
更なる実施例が、下記の表1に包含される。又、個々の親水性変性ポリオール化合物は、下記実施例の混合物であってよい。出発ポリオール化合物が、「主鎖」として表1に示される。上記で定義された式(I)及び式(II)のxを有する式(I)のソルビトール及び式(II)のマルチトールと類似するいくつかの実施例が達成されてよい。
【表1】

【0028】
更に、親水性変性ポリオール化合物の全平均電荷が、約+4〜約−4、より好ましくは約+3〜約−3、更により好ましくは約−2〜約2、更により好ましくは約+1〜約−1であることが好ましい。本明細書で使用する時、「全電荷」は、以下の式(III)で定義されている。
全平均電荷=Σ平均正電荷−Σ平均負電荷
式(III)
【0029】
技術の1つは、材料の分布が存在する場合があり、それで、陰イオン性及び陽イオン性末端保護ユニットを有しない材料が存在し、上に示されたものとの間の全平均電荷を依然として取得する場合あると記載している。又、技術の1つは、陽イオン性末端保護ユニットが1つを超える正電荷を有してよいことを認めている。
【0030】
製造方法
本発明の親水性変性ポリオール化合物を製造する方法は、5〜11個のヒドロキシ部分を含むポリオール化合物をエトキシル化する任意の工程を含み、少なくとも1つのヒドロキシ部分の平均エトキシル化度は、約1〜約100、約5〜約40等の、更に約10〜約35等であり、少なくとも1つのエトキシ部分を含むエトキシル化ポリオールを形成する。あるいは、CAS52625−13−5等のエトキシル化ポリオールが、出発原料として使用されてよい。
【0031】
平均エトキシル化度が所望のレベルでない場合、約1〜約100、約5〜約40等、更に約10〜約35等の平均エトキシル化度を達成するためエトキシル化工程が使用されてよい。
【0032】
次に、前記方法は、化合物の少なくとも1つのエトキシ部分を陰イオン性末端保護ユニットと反応させ、陰イオン性エトキシル化ポリオールを形成する工程を含むが、より多くの陰イオン性末端保護ユニットが選択されてよい。前記少なくとも1つの陰イオン性末端保護ユニットは、以下の陰イオン性基;サルフェート、スルホネート及びこれらの混合物の1つから選択され、陰イオン性エトキシル化ポリオールを形成する。前記方法は、部分的に又は完全にエトキシル化ポリオールのエトキシ部分が、エトキシ部分の20%〜100%、好ましくは30%〜100%、好ましくは50%〜90%、及びより好ましくは60%〜80%の陰イオン性末端保護ユニットを含むようにしてよい。陰イオン性エトキシル化ポリオールの硫酸化方法は、流下薄膜三酸化イオウ、クロロスルホン酸によるもの、又は米国特許出願第60/554576号(2004年3月19日提出、米国特許第2005/0209476A1号として公開)に記載されているような硫酸の添加によるものであってよい。
【0033】
次に、前記方法は、陰イオン性末端保護ユニットの一部又は全部を窒素含有陽イオン性末端保護ユニットで置換することから成り、所望により米国仮出願第60/531385号(2003年12月19日提出、WO05/063847として公開)に記載されているような窒素含有陽イオン性末端保護ユニットを四級化し、双極性イオンポリマーを形成する。好ましい陽イオン性末端保護ユニットは、アミン末端保護ユニットから選択され、アミン末端保護ユニットは、ジメチルアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ビスジメチルアミノプロピルアミン(ビスDMAPA)及びヘキサメチレンジアミン(hexemethylene diamine)から選択される。
【0034】
ポリオールのエトキシル化
ソルビトールをエトキシル化し、ソルビトール19EO2DMAPA3〜4SOを形成する。
【0035】
ソルビトール等のポリオールのエトキシル化(EO)は、EP174436A1に記載されているもの等の任意の既知の技術で完成されてよい。ソルビトール(17.5g、0.0962モル)をオートクレーブに加え、オートクレーブを窒素でパージし、ソルビトールを110〜120℃に加熱する;オートクレーブが攪拌され、約2.7kPa(20mmHg)まで真空にする。
【0036】
オートクレーブを約110〜120℃に冷却しつつ継続し真空にする。メタノール溶液の25%ナトリウムメトキシド6.2g(0.0288モル)を投入し、ヒドロキシ部分を基材にして担持した5%触媒を得る。メトキシド溶液からのメタノールを真空下オートクレーブから除去する。装置を使用し攪拌機により消費される電力をモニターする。温度及び圧力と一緒に攪拌動力をモニターする。攪拌動力及び温度の値は、メタノールがオートクレーブから除去されるにつれ徐々に増加し、そして混合物の粘度が増加し、約1.5時間で安定する、それによって大部分のメタノールが除去されていることを示す。更に30分間、混合物を真空下で更に加熱・攪拌する。
【0037】
真空を解除し、オートクレーブを110℃に冷却又は110℃に保ち、同時にオートクレーブに窒素ガスを1,725kPa(250psia)まで充填し、それからオートクレーブを周囲気圧に通気する。オートクレーブに窒素ガスを1,380kPa(200psia)まで充填する。483g(10.97モル、OHのモルあたり合計19モルのエチレンオキシド(EO)となる)のエチレンオキシドをオートクレーブに逐次加え、同時にオートクレーブの圧力、温度及びエチレンオキシドの流量を注意してモニタリングする。温度を110〜120℃に維持し、反応発熱によるいかなる温度上昇も抑える。エチレンオキシドを加えた後、温度を120℃に上げ、混合物を更に2時間攪拌する。
【0038】
窒素ガスでパージした22L三つ口丸底フラスコ(three neck round bottomed flask)中に反応混合物を採取する。加熱(110℃)及び機械的撹拌をしながら、2.8g(0.0288モル)のメタンスルホン酸をゆっくり加えることにより強アルカリ触媒を中和する。反応混合物から残留エチレンオキシドをパージし、混合物を120℃で1時間攪拌及び加熱しながら不活性ガス(アルゴン又は窒素)をガス分散フリットにより混合物中に散布し、脱臭した。最終反応生成物約500gをわずかに冷却し、貯蔵のため窒素ガスでパージしたガラス容器に入れる。
【0039】
あるいは、リポケミカル社(Lipo Chemicals Inc.)から入手可能なCAS52625−13−5等の所望のソルビトールポリオキシエチレンエーテルの又はそれ未満のエトキシル化度でポリオールを購入してもよい。そこで、所望のエトキシル化度は、既知及び/又は上記方法により実現される。
【0040】
ソルビトールEO114(ヒドロキシ部分あたり平均19EO部分)の硫酸化
500mLの三角フラスコ中にソルビトールE114(299.7g、0.058モル)及び塩化メチレン(300g)を計量する(「前記溶液」)。フラスコに磁性攪拌子を装備し、溶解が完了するまで攪拌する。溶液が約10℃に達するまで、フラスコを氷浴中に設置する。激しく攪拌し、同時にクロロスルホン酸(48.3g、0.415モル)を約5分間かけてゆっくり入れ、反応溶液を形成する。氷浴中で反応溶液を1.5時間攪拌する。
【0041】
ナトリウムメトキシドの溶液(メタノール中25%を197g)を、1L三角フラスコ中の50gメチレンクロライド(「塩基溶液」)中に置き、溶液温度が約10℃に達するまで、氷浴中で冷却する。磁気攪拌子を使用して塩基溶液を激しく攪拌する。反応溶液を塩基溶液に、約3分間にわたってゆっくりと注ぐ。軽度の発熱が観測されるはずである。得られた溶液は塩が形成されるにつれて乳白色になる。添加完了後、pHを約12に測定する。この得られた溶液に約100mLの蒸留水を加え、得られたエマルションを1Lの丸底フラスコに移し、ロータリーエバポレーターを50℃で使用し、一部を揮散させ、透明な溶液を得る。透明な溶液をクーゲルロア(Kulgelrohr)装置に移す。60℃及び133Pa(1mmHg)にて溶液を揮散させ、366gの90%活性物質(10%の塩)のオフホワイトワックス状固体を得る。
【0042】
カーボンNMRスペクトル(500MHz;パルスシーケンス:s2pu1、溶媒D20;緩和.遅延(relax.delay)0.300秒、パルス45.0;採取時間1.090秒)は、約60ppmでアルコール基がないことを示し、約67ppmで新ピークの出現は終端基サルフェートの形成と一致する。プロトンNMRスペクトル(500MHz又は300MHz;パルスシーケンス:s2pu1、溶媒D20;緩和.遅延(relax.delay)1.000秒、パルス45.0;採取時間2.345秒)は、約3.5ppmでエトキシ基プロトンに統合された新ピークを約4ppmで示し、6つの終端基サルフェートを有する分子と一致する。
【0043】
ソルビトールEO114ヘキササルフェート(Hexasulfate)のアミノ化
200mLガラスライナー中にソルビトールE114ヘキササルフェート(90%活性物質の61.3g、0.0095モル)及び3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン(「DMAPA」18.5g、0.181モル)を計量する。そのライナーをロッキングオートクレーブにて温度が165℃に達するまで152kPa(150psig)で窒素下にて加熱し、165℃で2時間維持する。室温(20℃〜25℃)まで冷却する。その材料を150mLの塩化メチレン中にとり、遠心分離して塩を分離する。上清液を500mLの丸底フラスコに移し、上清液をロータリーエバポレーターにて溶媒の大部分(5mL未満)が除去されるまで50℃で揮散させる。クーゲルロア(Kugelrohr)装置にて120℃及び133Pa(1mmHg)で30分間加熱し、過剰のアミンを除去して、47.8gの茶色の硬質固体を得る。プロトンNMR(500MHz又は300MHz;パルスシーケンス;s2pu1、溶媒DO;リラックスディレイ0.300秒、パルス45.0;収集時間3.744秒)は、1分子あたり約3個のサルフェート及び約2個のDMAPAを示した。
【0044】
実施例3:実施例2のアミン含有サルフェートの四級化
電磁攪拌子を備え、氷浴中で温度が10℃に達するまで冷やされた500mL丸底フラスコ内で100gのアミノ化されたソルビトールEO114を100gの塩化メチレン中に溶解する。溶液をナトリウムメトキシド(25%メタノール溶液)でpH12に調整する。その溶液にヨウ化メチル(15.0g、0.106モル)を添加する。フラスコを塞ぎ、溶液を一晩(約14時間)攪拌する。溶液をクーゲルロア(Kugelrohr)装置にて50℃及び133Pa(1mmHg)にて揮散させ、66gの粘着性の茶色固体を得る。プロトンNMR(500MHz又は300MHz;パルスシーケンス:s2pu1、溶媒DO;リラックスディレイ1.000秒、パルス45.0;収集時間2.345秒)は、アミン末端保護ユニットのすべての窒素が完全に四級化されたことを示した。
【0045】
マルチトールEO272DMAPA5SO−への形成のためのマルチトールのエトキシル化
マルチトール等のポリオールのエトキシル化(EO)は、EP17436A1に記載の技術等のいずれかの既知の技術によって完成されてよい。プロポキシ化も既知の技術によって完成されてよい。
【0046】
マルチトール(50g、0.145モル)続いてナトリウムメトキシド(2.8g、0.0131モル、メタノール溶液中の25%ナトリウムメトキシドを用いる、全体で9モル%の触媒レベル、又はヒドロキシ部分あたり1モル%の触媒レベルを実現する)をオートクレーブに加え、マルチトール混合物を形成する。マルチトール混合物を150〜160℃に加熱し、同時に2.67〜4kPa(20〜30mmHg)の真空にする。マルチトール混合物が溶融したら攪拌し、マルチトールが完全に除去されるまで真空下で数時間(5〜15時間)攪拌する。
【0047】
エチレンオキシド(EO)を逐次オートクレーブに加え、同時に注意してオートクレーブの圧力及び温度をモニターし、一方反応発熱によるいかなる温度上昇も抑える。287gのエチレンオキシド(6.53モル、ヒドロキシ部分(−OH)モルあたり合計5モルのエチレンオキシドとなる)を加えた後、追加のエチレンオキシド(1,263g、28.7モル、ヒドロキシ部分(−OH)モルあたり合計27モルのエチレンオキシドとなる)を加える前に温度を110〜120℃に冷却する。すべてのエチレンオキシドが消費された後;圧力指数の変化がないことで示される、混合物を2時間攪拌する。
【0048】
反応混合物を窒素ガスでパージした5L三つ口丸底フラスコ内に採取する。加熱(110℃)及び機械的撹拌をしながら、1.3gのメタンスルホン酸(0.0131モル)をゆっくり加えることにより強アルカリ触媒を中和する。混合物を120℃で1時間攪拌及び加熱しながら不活性ガス(アルゴン又は窒素)をガス分散フリットを通して混合物中にスパージ(sparging)することにより反応混合物から残留エチレンオキシドをパージし、脱臭した。最終反応生成物約1,600gをわずかに冷却し、ガラス容器に入れ、それから貯蔵のため窒素でパージした。
【0049】
マルチトールEO27の硫酸化
250mL三角フラスコ中にマルチトールEO27(25g、0.0023モル)及び塩化メチレン(40g)を計量する(「前記溶液」)。フラスコに磁性攪拌子を装備し、溶解が完了するまで攪拌する。溶液が約10℃に達するまで、フラスコを氷浴中に設置する。クロロスルホン酸(2.3g、0.020モル)を約5分にわたりゆっくり入れながら激しく攪拌し、反応溶液を形成する。氷浴中で反応溶液を1.5時間攪拌する。
【0050】
ナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%を9g)を500mL三角フラスコ内の塩化メチレン20g中に入れ(「塩基溶液」)、溶液温度が約10℃に達するまで氷浴中で冷却する。磁気攪拌子を使用して塩基溶液を激しく攪拌する。反応溶液を塩基溶液に、約3分間にわたってゆっくりと注ぐ。軽度の発熱が観測されるはずである。得られた溶液は塩が形成されるにつれて乳白色になる。添加完了後、pHを約12に測定する。この得られた溶液に約50mLの蒸留水を加え、得られたエマルションを1L丸底フラスコに移し、ロータリーエバポレーターを50℃で使用し、一部を揮散させ、透明な溶液を得る。透明な溶液をクーゲルロア(Kulgelrohr)装置に移す。60℃、133Pa(1mmHg)で溶液を揮散させ、灰色がかった白色蝋状固体、95%活性物質(5%塩)28gが得られる。
【0051】
マルチトールEO8.7サルフェートのアミノ化
磁気攪拌子を装備した10mL高圧小型反応器内に調製され上記したマルチトールEO27、8.5サルフェート(4.3g、0.0031モルサルフェート)及び3−ジメチルアミノ−1−プロピルアミン(DMAPA、1.1g、0.0108モル)を計量する。反応器をリアクティ−サーム(Reacti-Therm)(登録商標)装置内に配置し、約1.5時間にわたり約170℃に加熱する。反応物を170℃で2.5時間攪拌する。室温に冷却する。約20mL塩化メチレン中の反応混合物を取り上げ、遠心分離し、存在するすべての塩を除去する。ロータリーエバポレーター(50℃)続いてクーゲルロア(Kugelrohr)(約267Pa(2mmHg)で1.5時間160℃)で上澄みを揮散し、3.5gの薄茶色の柔らかい固体を作製する。
【0052】
この薄茶色の柔らかい固体物質を約20gの塩化メチレンに溶解し、メタノール中25%ナトリウムメトキシドでpHを約10に調節する。前記溶液にヨードメタン(0.3g、0.0021モル)を加える。フラスコを塞ぎ、室温(20℃〜25℃)で1時間溶液を攪拌する。pHは、約7に調整されなければならない。追加のナトリウムメトキシドを加えpHを約10にし、追加のヨードメタン(0.3g、0.0021モル)を加える。溶液を室温(20℃〜25℃)で夜通し(約12時間)攪拌する。ロータリーエバポレーター(50℃)続いてクーゲルロア(Kugelrohr)(70℃、1時間、約267Pa(2mmHg))で溶液を揮散し、3.9gのオレンジ色の油状物質を作製する。プロトン及びカーボンNMRスペクトルは、分子あたり5.1個のサルフェート基及び2.5個の四級化されたDMAPA基の存在を示す。
【0053】
本発明の組成物は、組成物の約0.005重量%〜約30重量%、約0.01重量%〜約10重量%等、更に約0.05重量%〜約5重量%等の本明細書に記載されるような親水性変性ポリオール化合物を含んでよい。
【0054】
界面活性剤系
本発明の組成物は、C10〜C15アルキルベンゼンスルホネート(LAS)及び非イオン性、陽イオン性末、陰イオン性又はその混合物から選択される1つ以上の補助界面活性剤を含む界面活性剤系を含む。
【0055】
補助界面活性剤の選択は、所望の利益により決められてよい。1つの実施形態において、補助界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、好ましくはC12〜C18アルキルエトキシレートとして選択される。他の実施形態において、補助界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、好ましくはC10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)(式中、xは1〜30である)として選択される。他の実施形態において、補助界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤、好ましくはジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリドとして選択される。
【0056】
10〜C15アルキルベンゼンスルホネート(LAS)
界面活性剤系は、組成物の約9重量%〜約25重量%、約13重量%〜約25重量%、又は約15重量%〜約23重量%のC10〜C15アルキルベンゼンスルホネート(LAS)を含む。界面活性剤系は、更に組成物の0重量%〜約7重量%、約0.1重量%〜約5重量%、又は約1重量%〜約4重量%の非イオン性補助界面活性剤、陽イオン性補助界面活性剤、陰イオン性補助界面活性剤及びこれらのすべての混合物から選択される補助界面活性剤を含む。
【0057】
非イオン性補助界面活性剤
非イオン性補助界面活性剤の非限定例としては、シェル(Shell)からのネオドール(NEODOL)(登録商標)非イオン性界面活性剤等のC12〜C18アルキルエトキシレート;C〜C12アルキルフェノールアルコキシラート(式中、アルコキシラート単位は、エチレンオキシ及びプロピレンオキシ単位の混合物である);バスフ(BASF)からのプルロニック(登録商標)等のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルポリアミンエトキシレートを有するC12〜C18アルコール及びC〜C12アルキルフェノール縮合体;米国特許第6,150,322号に記載されているようなC14〜C22中鎖分枝状アルコール、BA;米国特許第6,153,577号、同第6,020,303号及び同第6,093,856号に記載されているようなC14〜C22中鎖分枝状アルキルアルコキシラート、BAE(式中、xは1〜30である);米国特許第4,565,647号(レナド(Llenado)1986年1月26日発行)に記載されているようなアルキル多糖類;具体的には米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号に記載されているようなアルキルポリグリコシド;米国特許第5,332,528号に記載されているようなポリヒドロキシ脂肪酸アミド(GS塩基);並びに 米国特許第6,482,994号及びWO01/42408に記載されているようなエーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0058】
半極性非イオン性補助界面活性剤の非限定例としては、約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分並びに約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分から成る群から選択される2つのアルキル部分を含有する水溶性アミンオキシド;約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分並びに約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分から成る群から選択される2つのアルキル部分を含有する水溶性ホスフィンオキシド;或いは約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分並びに約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分から成る群から選択される2つのアルキル部分を含有する水溶性スルホキシドが挙げられる。WO01/32816、米国特許第4,681,704号及び同第4,133,779号を参照。
【0059】
陽イオン性補助界面活性剤
陽イオン性補助界面活性剤の非限定例としては、米国特許第6,136,769号に記載されているようなアルコキシラート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;米国特許第6,004,922号に記載されているようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリル アンモニウムクロリド;WO98/35002、WO98/35003、WO98/35004、WO98/35005及びWO98/35006に記載されているようなポリアミン陽イオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260,529号及び同第6,022,844号に記載されているような陽イオン性エステル界面活性剤;並びに米国特許第6,221,825号及びWO00/47708に記載されているようなアミノ界面活性剤、具体的にはアミドプロピルジメチルアミン(APA)を含む26個までの炭素原子を有してよい四級アンモニウム界面活性剤が挙げられる。
【0060】
陰イオン性補助界面活性剤
本明細書で有用な陰イオン性補助界面活性剤の非限定例としては、C10〜C20一級分枝鎖及びランダムアルキルサルフェート(AS);C10〜C18二級(2、3)アルキルサルフェート;C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)(式中、xは1〜30である);1〜5個のエトキシ単位を含むC10〜C18 アルキルアルコキシカルボキシレート;米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に記載されているような中鎖分枝状アルキルサルフェート;米国特許第6,008,181号及び同第6,020,303号に記載されているような中鎖分枝状アルキルアルコキシサルフェート;WO99/05243、WO99/05242及びWO99/05244に記載されているような変性アルキルベンゼンスルホネート(MLAS);メチルエステルスルホネート(MES);並びにα−オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0061】
組成物
本発明は、変性されたアルコキシル化ポリオール化合物、C〜C18直鎖アルキルスルホネート界面活性剤を含む界面活性剤系、及び補助界面活性剤を含む組成物に関する。組成物は、任意の形態、すなわち液体;粉末、顆粒、粒塊、ペースト、錠剤、小袋、棒、ジェル等の固体;エマルション;二区画容器を有する形式;飛沫又は泡洗剤;予め湿らせた拭取り布(すなわち、米国特許第6,121,165号(マッケイ(Mackey)ら)に記載されているもの等の不織布材を組み合わせた洗浄組成物);消費者により水で活性化される乾燥拭取り布(すなわち、米国特許第5,980,931号(フォーラー(Fowler)ら)に記載されているもの等の不織布材を組み合わせた洗浄組成物);及び他の均質又は多相の消費者洗浄製品の形態であってよい。
【0062】
又、組成物は、工業用のクリーナー(すなわち、床クリーナー)に使用又は組み込まれるのに適したものであってよい。1つの実施形態では、本発明の洗浄組成物は、液体又は固体洗濯洗剤組成物である。別の実施形態では、本発明の洗浄組成物は、硬質表面洗浄組成物であり、好ましくはこの硬質表面洗浄組成物が不織布基材に含浸される。本明細書で使用する時、「含浸」とは、不織布基材の少なくとも一部分に硬質表面洗浄組成物が染み込むように、好ましくは硬質表面洗浄組成物が不織布基材に十分に染み渡るように、硬質表面洗浄組成物が不織布基材と接触して置かれることを意味する。
【0063】
別の実施形態では、洗浄組成物は、液体食器手洗い組成物のような液体食器洗浄組成物、固体自動食器洗い機用洗浄組成物、液体自動食器洗い機用洗浄組成物、及び自動食器洗い機用洗浄組成物のタブ(tab)/単位用量形態である。
【0064】
洗浄組成物はまた、広葉樹材、タイル、セラミック、プラスチック、革、金属、ガラスなど、様々な表面を洗浄するカーケア組成物で使用されてもよい。又、この洗浄組成物は、界面活性剤が遊離硬度に接触するシャンプー組成物、身体洗浄剤、液体又は固体石鹸及び他の洗浄組成物等のパーソナルケアとペットケア組成物、並びに石油掘削組成物等の硬度耐性界面活性剤系を必要とするすべての組成物に使用されるように設計されてよい。
【0065】
本発明の組成物を製造する方法は、
(a)全電荷が約+3〜約−3であるような親水性変性ポリオール化合物であって、親水性変性ポリオール化合物がもたらされる工程、並びに
(b)親水性変性ポリオール化合物を組成物の約13重量%〜約25重量%のC10〜C15直鎖アルキルベンゼンスルホネート及び組成物の0重量%〜約7重量%の非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される補助界面活性剤を含む界面活性剤系と混合する工程を含む。
【0066】
更に、洗浄補助剤材料が、前記方法の任意の工程に加えられてよい。親水性変性ポリオール化合物は、エトキシル化による上記いずれの調整であってよく、陰イオン性末端保護ユニット、陽イオン性末端保護ユニット又はその混合物のいずれが選択されてもよい。
【0067】
洗浄補助物質
一般に、洗浄補助剤は、最低限の必須成分だけを含有する洗浄組成物を、洗濯、硬質表面、パーソナルケア、消費者、商業、及び/又は工業洗浄目的に有用な洗浄組成物へと転換するのに必要なあらゆる物質である。特定の実施形態では、洗浄補助剤は、洗浄製品、特に家庭環境で消費者による直接使用が意図された洗浄製品の特徴を絶対的に示すものとして、当業者には容易に認識可能である。
【0068】
これら追加構成成分の精確な性質、及びそれらを組み込む濃度は、洗浄組成物の物理形態、及びそれが使用されることになる洗浄操作の性質に左右される。
【0069】
洗浄補助成分は、漂白剤と併せて使用される場合、漂白剤との良好な安定性をもつべきである。本明細書の洗浄組成物の特定の実施形態は、法律で定められるように、無ホウ素及び/又は無リンであるべきである。洗浄補助剤の濃度は、洗浄組成物の約0.00001重量%〜約99.9重量%、例えば約0.0001重量%〜約50重量%である。全体的な洗浄組成物の使用濃度は、目的とする用途に応じて大きく異なる場合があり、例えば、溶液中で数ppmの濃度から、洗浄する表面への非希釈洗浄組成物のいわゆる「直接適用」までにわたる場合がある。
【0070】
非常に典型的に、本明細書中の洗浄組成物、例えば、洗濯洗剤、洗濯洗剤添加物、硬質面クリーナー、合成及び石鹸ベースの洗濯バー、柔軟仕上げ剤及び布地処理液、固体及びすべての種類の処理物品は、いくつかの補助剤を必要とするが、漂白添加剤のような単純に処方された特定の製品は、例えば、酸素漂白剤及び本明細書中に記載されるような界面活性剤のみを必要とする場合がある。適した洗濯又は洗浄補助剤物質の包括的なリストは、PCT国際公開特許WO99/05242中に見出すことができる。
【0071】
通常の洗浄補助剤としては、ビルダー、酵素、上述されていないポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、触媒物質等が挙げられ、上にすでに定義された物質を除く。本明細書の他の洗浄補助剤としては、起泡促進剤、抑泡剤(消泡剤)など、各種の活性成分若しくは特殊な物質、例えば、前述した以外の分散性ポリマー(例えばBASF社(BASF Corp.)若しくはローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から得られるもの)、カラースペックル(color speckles)、シルバーケア(silvercare)、曇り防止剤及び/又は耐食剤、染料、フィラー、殺菌剤、アルカリ源、ヒドロトロープ、酸化防止剤、酵素安定化剤、プロ香料、香料、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、並びに、液体製剤の場合、溶媒、キレート剤、移染阻害剤、分散剤、増白剤、抑泡剤、染料、構造弾性化剤(structure elasticizing agents)、布地柔軟仕上げ剤、磨耗防止剤、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに他の布地ケア剤、表面及び皮膚ケア剤を挙げることができる。このような他の洗浄補助剤の好適な例及び使用濃度は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812B1号、及び同第6,326,348B1号に見出される。
【0072】
使用方法
本発明は、対象とする表面を洗浄する方法を含む。本明細書で使用する時、「対象とする表面」としては、布地、食器、ガラス製品、及びその他料理用の表面、硬質表面、毛髪又は皮膚等の前記表面が挙げられてよい。本明細書で使用する時、「硬質表面」としては、広葉樹、タイル、セラミック、プラスチック、皮革、金属、ガラス等の典型的な家庭で見られる硬質表面が挙げられる。前記方法は、変性ポリオール化合物を含む組成物が、適切な形態又は洗浄溶液で希釈され少なくとも対象とする表面の部分と接触し、それから所望により対象とする表面を濯ぐ工程を含む。好ましくは、対象とする表面は、前述したすべての濯ぎ工程の前に洗浄工程が実施される。本発明の目的上、洗浄することは、擦ること、拭くこと及び機械的攪拌を含むが、これらに限定されない。
【0073】
当業者には理解されるように、本発明の洗浄組成物は、理想的には、ホームケア(硬質表面洗浄組成物)、パーソナルケア、及び/又は洗濯用途で使用するのに適している。
【0074】
組成物溶液のpHは、対象とする表面に対して最も相補的になるように選択され、pH約5〜約11の広い範囲にわたり洗浄される。皮膚及び毛髪洗浄のようなパーソナルケアの場合、そのような組成物のpHは、好ましくはpH約5〜約8であり、洗濯洗浄組成物の場合、pH約8〜約10である。組成物は、好ましくは、溶液中で約200ppm〜約10,000ppmの濃度で用いられる。水温は、好ましくは約5℃〜約100℃にわたる。
【0075】
洗濯洗浄組成物で使用される場合、組成物は、好ましくは、溶液(又は洗浄液)中で約200ppm〜約10000ppmの濃度で用いられる。水の温度は、好ましくは約5℃〜約60℃の範囲である。水と布地の比率は、好ましくは約1:1〜約20:1である。
【0076】
前記方法は、本発明の組成物の実施形態を含浸した不織布基材に接触する工程を含む。本明細書で使用する時、「不織布基材」は、適した坪量、キャリパー(厚さ)、吸収力及び強度特性を有するすべての従来通りに作られた不織布シート又はウェブを含んでよい。好適な市販の不織布基材の例としては、デュポン(DuPont)より商標名ソンタラ(SONTARA)(登録商標)として販売されるもの、及びジェームス・リバー社(James River Corp.)より商標名ポリウェブ(POLYWEB)(登録商標)として販売されるものが挙げられる。
【0077】
当業者には理解されるように、本発明の洗浄組成物は、理想的には、液体食器洗浄組成物で使用するのに適している。本発明の液体食器組成物を使用する方法は、汚れた皿類を、有効量、通常は約0.5mL〜約20mL(処理されるべき皿25枚あたり)の水で希釈された本発明の液体食器洗浄組成物と接触させる工程を含む。
【0078】
製剤
【表2】

1表1からの実施例のいずれかによるポリマー又はすべてのポリマー混合物
【0079】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0080】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)5〜11個のヒドロキシ部分、好ましくは5〜10個のヒドロキシ部分、より好ましくは6〜9個のヒドロキシ部分を含む1つ以上の親水性変性ポリオール化合物であって、少なくとも1つのヒドロキシ部分が1つ以上のエトキシ部分を更に含み、前記1つ以上のエトキシ部分が陰イオン性末端保護ユニット、陽イオン性末端保護ユニット又はその混合物を更に含み、前記親水性変性ポリオール化合物の全平均電荷が−4〜+4、好ましくは−3〜+3、より好ましくは−2〜+2、最も好ましくは−1〜+1である1つ以上の親水性変性ポリオール化合物の0.005%〜30%、並びに
b)組成物の9重量%〜25重量%のC10〜C15直鎖アルキルベンゼンスルホネート、及び組成物の0重量%〜7重量%の非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される補助界面活性剤を含む界面活性剤系
を含む、組成物。
【請求項2】
前記親水性変性ポリオール化合物が、1つ以上のエトキシ部分を更に含み、前記1つ以上のエトキシ部分が、更に前記陰イオン性末端保護ユニットを含み、前記陰イオン性末端保護ユニットが、好ましくはサルフェート、スルホスクシネート、スクシネート、マレエート、スルホネート、メチレンカルボキシレート、エチレンカルボキシレート、ホスフェート、ポリホスフェート及びこれらの混合物から選択され、より好ましくはサルフェート、スルホネート、メチレンカルボキシレート及びエチレンカルボキシレートから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記親水性変性ポリオール化合物が、1つ以上のエトキシ部分を更に含み、前記1つ以上のエトキシ部分が、前記陽イオン性末端保護ユニットを更に含み、前記陽イオン性末端保護ユニットが、好ましくはアミン末端保護ユニットから選択され、より好ましくはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、N,−N’−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ドデシルアミン、N−メチルドデシルアミン、ジイソプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、N−メチル−N−エチルアミン及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記親水性変性ポリオール化合物が、1つ以上のエトキシ部分を更に含み、前記1つ以上のエトキシ部分が、前記陰イオン性末端保護ユニットを更に含み、前記陰イオン性末端保護ユニットが、好ましくはサルフェート、スルホスクシネート、スクシネート、マレエート、スルホネート、メチレンカルボキシレート、エチレンカルボキシレート、ホスフェート、ポリホスフェート及びこれらの混合物から選択され、より好ましくはサルフェート、スルホネート、メチレンカルボキシレート及びエチレンカルボキシレートから選択され;並びに1つ以上のエトキシ部分が、前記陽イオン性末端保護ユニットを更に含み、前記陽イオン性末端保護ユニットが、好ましくはアミン末端保護ユニットから選択され、より好ましくはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、N,−N’−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ドデシルアミン、N−メチルドデシルアミン、ジイソプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、N−メチル−N−エチルアミン及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記補助界面活性剤が、陽イオン性界面活性剤として、アルコキシラート 四級アンモニウム界面活性剤類、ジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム、ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド、ポリアミン陽イオン性界面活性剤類、陽イオン性エステル界面活性剤類、及びアミノ界面活性剤類から成る群から選択され、具体的にはアミドプロピルジメチルアミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記補助界面活性剤が、非イオン性界面活性剤として選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記補助界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤として選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
a)全電荷が+4〜−4であるようにポリオール化合物を親水性的に変性し、親水性変性ポリオール化合物がもたらされる工程、並びに
b)前記親水性変性ポリオール化合物を組成物の9重量%〜25重量%のC10〜C15直鎖アルキルベンゼンスルホネート及び組成物の0重量%〜7重量%の非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される補助界面活性剤を含む界面活性剤系と混合する工程
を備える、組成物を製造する方法。
【請求項9】
5〜11個のヒドロキシ部分を含む親水性変性ポリオール化合物であって、少なくとも1つのヒドロキシ部分が更に1つ以上のエトキシ部分を含み、前記1つ以上のエトキシ部分が更に陰イオン性末端保護ユニット、陽イオン性末端保護ユニット又はその混合物を含み、親水性変性ポリオール化合物の全平均電荷が−4〜+4、好ましくは−3〜+3、より好ましくは−1〜+1である親水性変性ポリオール化合物。

【公表番号】特表2008−523226(P2008−523226A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545744(P2007−545744)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045535
【国際公開番号】WO2006/066060
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】