放電灯点灯装置及び照明器具
【課題】電源電圧によらず放電灯の光出力が一定かつ出力波形も安定している放電灯点灯装置を安価に提供する。
【解決手段】交流電源Vsを整流・平滑する回路1と、その出力を高周波に変換するインバータ回路2と、インバータ回路2の動作を制御する制御回路4とを有し、インバータ回路2の高周波出力により放電灯FLを点灯させる放電灯点灯装置において、平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、リプル電圧を伴うものであって、平滑電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路5を備え、制御回路4は平滑電圧検出回路5の検出レベルに応じてインバータ回路2の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路2の出力を変動させ、インバータ回路2の出力を調整する。
【解決手段】交流電源Vsを整流・平滑する回路1と、その出力を高周波に変換するインバータ回路2と、インバータ回路2の動作を制御する制御回路4とを有し、インバータ回路2の高周波出力により放電灯FLを点灯させる放電灯点灯装置において、平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、リプル電圧を伴うものであって、平滑電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路5を備え、制御回路4は平滑電圧検出回路5の検出レベルに応じてインバータ回路2の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路2の出力を変動させ、インバータ回路2の出力を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置及びこれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放電灯点灯装置において、電源電圧によらず放電灯の出力を一定にする手段としては、インバータ回路に入力される整流・平滑回路の出力電圧を電源電圧によらず一定にする方式と、インバータ回路の出力レベルを常時検出しておき、この検出レベルが一定になるようにインバータ回路の動作を調整することによって、放電灯の出力が一定になるように制御回路にフィードバックする、いわゆる出力フィードバック方式などがある。
【0003】
前者の例としては、一般的に広く用いられている手段として、いわゆる昇圧チョッパ回路が挙げられる(従来例1)。この昇圧チョッパ回路は、近年では、放電灯点灯装置の入力電流高調波歪み改善のために用いられることが多い。
【0004】
後者については、例えば特開平7−274524号に示されるようなものがある。これは、放電灯に流れる電流を検出し、この検出レベルが一定になるようにインバータ回路の動作を制御する、いわゆるランプ電流フィードバック回路である(従来例2)。
【特許文献1】特開平7−274524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来例1,2を用いても、安価かつ高精度にインバータの出力を一定にするのは困難な場合がある。従来例1の昇圧チョッパ回路には、スイッチング素子やチョークコイル、スイッチング素子を制御するための制御IC等が必要となるため、回路構成が複雑になり、非常に高価なものとなってしまう。
【0006】
日本における電気用品安全法や、IECによって規定されている、照明機器の入力電流高調波歪規制は、照明機器の入力電力が25Wを超える場合と超えない場合とで規制内容が異なり、25Wを超えない場合については、昇圧チョッパ回路等による高調波歪改善の必要はない。したがって、入力電力が25Wを超えない照明機器については、昇圧チョッパ回路を使用せずに倍電圧整流あるいは全波整流によって整流・平滑を行うことにより、安価な構成とすることが多い。
【0007】
ただし、入力電力が25Wを超えない照明機器については、入力電流の位相についての規制があり、倍電圧整流あるいは全波整流によって商用電源を完全に平滑してしまうと、入力電流の位相が規制を満足できなくなってしまうため、倍電圧整流あるいは全波整流回路を用いて整流・平滑を行う場合でも、平滑容量を低減して、入力電流位相を改善する必要がある。この場合、平滑回路の出力電圧は電源周波数に応じたリプル電圧を伴うことになり、このリプル電圧はインバータ回路の出力にもそのまま現れるため、放電灯の光出力もリプルを伴うものとなる。
【0008】
従来例2に示すようなランプ電流フィードバック回路を用いた場合でも、放電灯の光出力の実効値は一定にすることができるが、出力波形はリプルを伴うものとなってしまい、場合によっては、ちらつき等を生じる場合も考えられる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に入力電力が25Wを超えない照明機器において、電源電圧によらず放電灯の光出力が一定かつ出力波形も安定している放電灯点灯装置を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明によれば、上記の課題を解決するために、図1に示すように、交流電源Vsを整流する整流回路(D1,D2)と、整流後の直流電圧を平滑する平滑回路(C1,C2)と、平滑回路の出力を高周波出力に変換するインバータ回路2と、インバータ回路2の動作を制御する制御回路4とを有し、前記インバータ回路2の高周波出力により放電灯FLを点灯させる放電灯点灯装置において、前記整流回路と平滑回路は倍電圧整流・平滑回路1であって、その平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、リプル電圧を伴うものであって、この平滑回路の出力電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路5を備え、制御回路4は平滑電圧検出回路5の検出レベルに応じてインバータ回路2の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路2の出力を変動させ、インバータ回路2の出力を調整することを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明によれば、同じ課題を解決するために、図6に示すように、交流電源Vsを整流する整流回路DB1と、整流後の直流電圧を平滑する平滑回路(C1)と、平滑回路の出力を高周波出力に変換するインバータ回路2と、インバータ回路2の動作を制御する制御回路4とを有し、前記インバータ回路2の高周波出力により放電灯FLを点灯させる放電灯点灯装置において、前記整流回路と平滑回路は全波整流・平滑回路1であって、その平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、いわゆるリプル電圧を伴うものであって、この平滑回路の出力電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路5を備え、制御回路4は平滑電圧検出回路5の検出レべルに応じてインバータ回路2の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路2の出力を変動させ、インバータ回路2の出力を調整することを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項1または2において、インバータ回路2の動作周波数を連続的に変化させることにより、放電灯出力を連続的に可変としたことを特徴とする(図7の調光回路6)。
【0013】
請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれかにおいて、図14に示すように、前記インバータ回路2の出力電流またはインバータ回路2を構成するスイッチング素子Q1,Q2を流れる共振電流を検出し、検出レベルに応じてインバータ回路2の動作周波数を変動させてインバータ回路2の出力を調整する出力フィードバック回路(抵抗R1、共振電流検出回路7)を有することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された放電灯点灯装置と放電灯とを用いて構成された照明器具である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、2、5の発明によれば、入力電流高調波歪規制を満足しながらも、電源電圧の変動によらず放電灯の光出力が一定かつ安定する放電灯点灯装置及び照明器具を安価に提供することができる。
【0016】
請求項3、5の発明によれば、上記の効果に加えて、連続調光機能を搭載した放電灯点灯装置及び照明器具を提供することができる。
【0017】
請求項4、5の発明によれば、上記の効果に加えて、環境条件や放電灯固有の要素による点灯状態の変動をなくし、立ち消えやちらつきの生じにくい放電灯点灯装置及び照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施形態1)
図1に本発明の実施形態1に係る放電灯点灯装置の回路図を示す。図1の放電灯点灯装置は、整流ダイオードD1,D2と平滑コンデンサC1,C2からなる、いわゆる倍電圧整流・平滑回路1によって交流電源Vsを整流・平滑し、インバータ制御回路4によりインバータ回路2のスイッチング素子Q1,Q2を交互にオンさせることによって高周波出力を得ている。
【0019】
負荷回路は、放電灯FLに並列接続された共振コンデンサC4と、放電灯FLに直列接続された共振チョークコイルL1よりなるLC共振回路3を含み、直流カット用コンデンサC3を介してスイッチング素子Q2の両端に接続されている。放電灯FLに対する高周波出力の大きさは、整流・平滑回路1の出力電圧およびスイッチング素子Q1,Q2の動作周波数によって決まり、共振チョークコイルL1と共振コンデンサC4および放電灯FLによって構成されるLCR共振カーブに従って変化する。スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数はLCR共振カーブの共振点よりも高い遅相モードに設定され、動作周波数が高くなると出力は減少する。
【0020】
整流・平滑回路1の出力電圧は、平滑コンデンサC1,C2の容量を調整することにより、完全に平滑されない、図2のようなリプル電圧を伴うものとなるようにしている。これによって、入力電流の位相を、高調波歪規制を満足するように調整している。このとき、スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数が一定であれば、インバータ回路2の出力は図3のように整流・平滑回路1のリプル電圧波形がそのまま現れる形となり、リプル電圧の大きさによっては、ちらつき成分を含むなどの悪影響を及ぼすこともある。
【0021】
そこで、図1の回路では、整流・平滑回路1の出力電圧を検出してインバータ制御回路4に伝達する平滑電圧検出回路5を設けている。平滑電圧検出回路5の出力は、平滑電圧をそのまま伝達するため、図2のような波形となる。インバータ制御回路4によって、スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を、この平滑電圧検出回路5の出力波形に応じて図4のように変化させることにより、インバータ回路2の出力は、図5のように略一定に保たれるため、前述のような悪影響はない。
【0022】
また、電源電圧が変動して、平滑電圧のリプル成分が変化しても、これに追従してスイッチング素子Q1,Q2の動作周波数も変化するため、インバータ回路2の出力は略一定に保たれる。
【0023】
このように、本実施形態によれば、電源電圧によらず放電灯の光出力が一定かつ出力波形も安定している放電灯点灯装置を安価に提供することができる。
【0024】
(実施形態2)
図6に本発明の実施形態2に係る放電灯点灯装置の回路図を示す。本実施形態は、実施形態1において、整流・平滑回路方式を全波整流方式としたものである。全波整流・平滑回路1の構成については周知のものであり、交流電源Vsを全波整流器DB1により全波整流し、平滑コンデンサC1により平滑する。整流・平滑回路1の出力電圧は、平滑コンデンサC1の容量を調整することにより、完全に平滑されない、図2のようなリプル電圧を伴うものとなるようにしている。これによって、入力電流の位相を、高調波歪規制を満足するように調整している。本実施形態による動作及び効果は実施形態1と同様である。
【0025】
(実施形態3)
図7に本発明の実施形態3に係る放電灯点灯装置の回路図を示す。本実施形態は、実施形態1の回路構成に加えて、外部からの調光信号に応じてインバータ回路2の出力を変動させる、調光回路6を設けている。調光回路6の出力に応じて、スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路2の出力を連続的に可変させるものである。
【0026】
前述のように、平滑コンデンサC1,C2の容量は、平滑電圧が完全に平滑されないように調整されている。この場合、インバータ回路2の出力に応じて、平滑電圧のリプル成分は変化し、例えば最大出力時には図8のようにリプル成分が比較的大きいが、調光レベルを下げてインバータ回路2の出力が最小となった状態では、図9のようにリプル電圧がほとんど無い状態になる。
【0027】
ここで、平滑電圧検出回路5を用いた動作周波数制御を行わないと、リプル電圧波形がそのまま出力に伝達されるため、最大出力時のインバータ出力波形は図10のようにリプル成分が大きなものとなるのに対し、最小出力時のインバータ出力波形は図11のようにリプル成分は小さくなる。したがって、調光状態によって光出力のリプル成分が異なり、一様ではなくなってしまう。
【0028】
本実施形態では、平滑電圧検出回路5の出力に応じて、スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を変動させることにより、図12(最大出力時)及び図13(最小出力時)に示すように、調光状態によらず、光出力波形はほぼ一定かつ安定したものとなる。
【0029】
このように、本実施形態により、調光機能を持った放電灯点灯装置であっても、電源電圧によらず放電灯の光出力が一定かつ出力波形も安定している放電灯点灯装置を安価に提供することができる。
【0030】
(実施形態4)
図14に本発明の実施形態4に係る放電灯点灯装置の回路図を示す。本実施形態は、実施形態3の回路構成に加えて、スイッチング素子Q2のソース・グランド間に電流検出用の小さな抵抗R1が挿入されており、スイッチング素子Q2を流れる共振電流を検出してインバータ制御回路4に伝達する共振電流検出回路7を設けている。共振電流検出回路7はオペアンプ等で構成されている。
【0031】
本実施形態では、共振電流検出回路7によってスイッチング素子Q2を流れる共振電流を検出して、この共振電流が一定になるようにインバータ制御回路4によりスイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を変動させている。この共振電流を利用したフィードバック制御は、周囲温度などの環境条件や放電灯固有の要素によって、放電灯の点灯状態が変動することを抑止するために用いている。
【0032】
一般的に、この共振電流を用いたフィードバック制御は、商用周波数と比べて非常に早い追従性を持たせる必要がある。しかし、追従性が早い場合には、本実施形態で示しているような、平滑電圧が完全に平滑されない場合においては、商用周波数の2倍の周波数で変動する平滑電圧のリプル成分の影響を吸収することができず、結果として放電灯の出力波形はリプル成分を含むものとなってしまう。
【0033】
本実施形態における平滑電圧検出回路5の働きは、前述の実施形態1と同様であり、本実施形態では、共振電流を用いたフィードバック制御に加えて、平滑電圧検出回路5を用いた制御を併用することにより、商用周波数のリプル成分という比較的速度の遅い放電灯の点灯状態の変動と、環境条件及び放電灯固有の要素による放電灯の点灯状態の変動の双方に対して、放電灯の出力を略一定に保つことが出来る。
【0034】
なお、インバータ回路2を構成するスイッチング素子を流れる共振電流を検出する構成に代えて、インバータ回路2の出力電流をインダクタL1の2次巻線出力や電流検出トランスにより検出する構成としても良い。
【0035】
(実施形態5)
上述の実施形態1〜4の放電灯点灯装置は、入力電力が25Wを超えない照明器具、例えば、デスクスタンドに搭載して蛍光ランプの点灯装置として用いることができる。これにより、入力電流高調波歪規制を満足しながらも、電源電圧の変動によらず放電灯の光出力が一定かつ安定する照明器具を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の平滑電圧の波形図である。
【図3】本発明の実施形態1の周波数一定時のインバータ回路出力を示す波形図である。
【図4】本発明の実施形態1の動作周波数の時間変化を示す波形図である。
【図5】本発明の実施形態1の周波数可変時のインバータ回路出力を示す波形図である。
【図6】本発明の実施形態2の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の実施形態3の構成を示す回路図である。
【図8】本発明の実施形態3の最大出力時の平滑電圧の波形図である。
【図9】本発明の実施形態3の最小出力時の平滑電圧の波形図である。
【図10】本発明の実施形態3の周波数一定時のインバータ回路の最大出力時の出力波形図である。
【図11】本発明の実施形態3の周波数一定時のインバータ回路の最小出力時の出力波形図である。
【図12】本発明の実施形態3の周波数可変時のインバータ回路の最大出力時の出力波形図である。
【図13】本発明の実施形態3の周波数可変時のインバータ回路の最小出力時の出力波形図である。
【図14】本発明の実施形態4の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0037】
FL 放電灯
1 整流・平滑回路
2 インバータ回路
4 インバータ制御回路
5 平滑電圧検出回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置及びこれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放電灯点灯装置において、電源電圧によらず放電灯の出力を一定にする手段としては、インバータ回路に入力される整流・平滑回路の出力電圧を電源電圧によらず一定にする方式と、インバータ回路の出力レベルを常時検出しておき、この検出レベルが一定になるようにインバータ回路の動作を調整することによって、放電灯の出力が一定になるように制御回路にフィードバックする、いわゆる出力フィードバック方式などがある。
【0003】
前者の例としては、一般的に広く用いられている手段として、いわゆる昇圧チョッパ回路が挙げられる(従来例1)。この昇圧チョッパ回路は、近年では、放電灯点灯装置の入力電流高調波歪み改善のために用いられることが多い。
【0004】
後者については、例えば特開平7−274524号に示されるようなものがある。これは、放電灯に流れる電流を検出し、この検出レベルが一定になるようにインバータ回路の動作を制御する、いわゆるランプ電流フィードバック回路である(従来例2)。
【特許文献1】特開平7−274524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来例1,2を用いても、安価かつ高精度にインバータの出力を一定にするのは困難な場合がある。従来例1の昇圧チョッパ回路には、スイッチング素子やチョークコイル、スイッチング素子を制御するための制御IC等が必要となるため、回路構成が複雑になり、非常に高価なものとなってしまう。
【0006】
日本における電気用品安全法や、IECによって規定されている、照明機器の入力電流高調波歪規制は、照明機器の入力電力が25Wを超える場合と超えない場合とで規制内容が異なり、25Wを超えない場合については、昇圧チョッパ回路等による高調波歪改善の必要はない。したがって、入力電力が25Wを超えない照明機器については、昇圧チョッパ回路を使用せずに倍電圧整流あるいは全波整流によって整流・平滑を行うことにより、安価な構成とすることが多い。
【0007】
ただし、入力電力が25Wを超えない照明機器については、入力電流の位相についての規制があり、倍電圧整流あるいは全波整流によって商用電源を完全に平滑してしまうと、入力電流の位相が規制を満足できなくなってしまうため、倍電圧整流あるいは全波整流回路を用いて整流・平滑を行う場合でも、平滑容量を低減して、入力電流位相を改善する必要がある。この場合、平滑回路の出力電圧は電源周波数に応じたリプル電圧を伴うことになり、このリプル電圧はインバータ回路の出力にもそのまま現れるため、放電灯の光出力もリプルを伴うものとなる。
【0008】
従来例2に示すようなランプ電流フィードバック回路を用いた場合でも、放電灯の光出力の実効値は一定にすることができるが、出力波形はリプルを伴うものとなってしまい、場合によっては、ちらつき等を生じる場合も考えられる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に入力電力が25Wを超えない照明機器において、電源電圧によらず放電灯の光出力が一定かつ出力波形も安定している放電灯点灯装置を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明によれば、上記の課題を解決するために、図1に示すように、交流電源Vsを整流する整流回路(D1,D2)と、整流後の直流電圧を平滑する平滑回路(C1,C2)と、平滑回路の出力を高周波出力に変換するインバータ回路2と、インバータ回路2の動作を制御する制御回路4とを有し、前記インバータ回路2の高周波出力により放電灯FLを点灯させる放電灯点灯装置において、前記整流回路と平滑回路は倍電圧整流・平滑回路1であって、その平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、リプル電圧を伴うものであって、この平滑回路の出力電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路5を備え、制御回路4は平滑電圧検出回路5の検出レベルに応じてインバータ回路2の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路2の出力を変動させ、インバータ回路2の出力を調整することを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明によれば、同じ課題を解決するために、図6に示すように、交流電源Vsを整流する整流回路DB1と、整流後の直流電圧を平滑する平滑回路(C1)と、平滑回路の出力を高周波出力に変換するインバータ回路2と、インバータ回路2の動作を制御する制御回路4とを有し、前記インバータ回路2の高周波出力により放電灯FLを点灯させる放電灯点灯装置において、前記整流回路と平滑回路は全波整流・平滑回路1であって、その平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、いわゆるリプル電圧を伴うものであって、この平滑回路の出力電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路5を備え、制御回路4は平滑電圧検出回路5の検出レべルに応じてインバータ回路2の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路2の出力を変動させ、インバータ回路2の出力を調整することを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項1または2において、インバータ回路2の動作周波数を連続的に変化させることにより、放電灯出力を連続的に可変としたことを特徴とする(図7の調光回路6)。
【0013】
請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれかにおいて、図14に示すように、前記インバータ回路2の出力電流またはインバータ回路2を構成するスイッチング素子Q1,Q2を流れる共振電流を検出し、検出レベルに応じてインバータ回路2の動作周波数を変動させてインバータ回路2の出力を調整する出力フィードバック回路(抵抗R1、共振電流検出回路7)を有することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された放電灯点灯装置と放電灯とを用いて構成された照明器具である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、2、5の発明によれば、入力電流高調波歪規制を満足しながらも、電源電圧の変動によらず放電灯の光出力が一定かつ安定する放電灯点灯装置及び照明器具を安価に提供することができる。
【0016】
請求項3、5の発明によれば、上記の効果に加えて、連続調光機能を搭載した放電灯点灯装置及び照明器具を提供することができる。
【0017】
請求項4、5の発明によれば、上記の効果に加えて、環境条件や放電灯固有の要素による点灯状態の変動をなくし、立ち消えやちらつきの生じにくい放電灯点灯装置及び照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施形態1)
図1に本発明の実施形態1に係る放電灯点灯装置の回路図を示す。図1の放電灯点灯装置は、整流ダイオードD1,D2と平滑コンデンサC1,C2からなる、いわゆる倍電圧整流・平滑回路1によって交流電源Vsを整流・平滑し、インバータ制御回路4によりインバータ回路2のスイッチング素子Q1,Q2を交互にオンさせることによって高周波出力を得ている。
【0019】
負荷回路は、放電灯FLに並列接続された共振コンデンサC4と、放電灯FLに直列接続された共振チョークコイルL1よりなるLC共振回路3を含み、直流カット用コンデンサC3を介してスイッチング素子Q2の両端に接続されている。放電灯FLに対する高周波出力の大きさは、整流・平滑回路1の出力電圧およびスイッチング素子Q1,Q2の動作周波数によって決まり、共振チョークコイルL1と共振コンデンサC4および放電灯FLによって構成されるLCR共振カーブに従って変化する。スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数はLCR共振カーブの共振点よりも高い遅相モードに設定され、動作周波数が高くなると出力は減少する。
【0020】
整流・平滑回路1の出力電圧は、平滑コンデンサC1,C2の容量を調整することにより、完全に平滑されない、図2のようなリプル電圧を伴うものとなるようにしている。これによって、入力電流の位相を、高調波歪規制を満足するように調整している。このとき、スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数が一定であれば、インバータ回路2の出力は図3のように整流・平滑回路1のリプル電圧波形がそのまま現れる形となり、リプル電圧の大きさによっては、ちらつき成分を含むなどの悪影響を及ぼすこともある。
【0021】
そこで、図1の回路では、整流・平滑回路1の出力電圧を検出してインバータ制御回路4に伝達する平滑電圧検出回路5を設けている。平滑電圧検出回路5の出力は、平滑電圧をそのまま伝達するため、図2のような波形となる。インバータ制御回路4によって、スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を、この平滑電圧検出回路5の出力波形に応じて図4のように変化させることにより、インバータ回路2の出力は、図5のように略一定に保たれるため、前述のような悪影響はない。
【0022】
また、電源電圧が変動して、平滑電圧のリプル成分が変化しても、これに追従してスイッチング素子Q1,Q2の動作周波数も変化するため、インバータ回路2の出力は略一定に保たれる。
【0023】
このように、本実施形態によれば、電源電圧によらず放電灯の光出力が一定かつ出力波形も安定している放電灯点灯装置を安価に提供することができる。
【0024】
(実施形態2)
図6に本発明の実施形態2に係る放電灯点灯装置の回路図を示す。本実施形態は、実施形態1において、整流・平滑回路方式を全波整流方式としたものである。全波整流・平滑回路1の構成については周知のものであり、交流電源Vsを全波整流器DB1により全波整流し、平滑コンデンサC1により平滑する。整流・平滑回路1の出力電圧は、平滑コンデンサC1の容量を調整することにより、完全に平滑されない、図2のようなリプル電圧を伴うものとなるようにしている。これによって、入力電流の位相を、高調波歪規制を満足するように調整している。本実施形態による動作及び効果は実施形態1と同様である。
【0025】
(実施形態3)
図7に本発明の実施形態3に係る放電灯点灯装置の回路図を示す。本実施形態は、実施形態1の回路構成に加えて、外部からの調光信号に応じてインバータ回路2の出力を変動させる、調光回路6を設けている。調光回路6の出力に応じて、スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路2の出力を連続的に可変させるものである。
【0026】
前述のように、平滑コンデンサC1,C2の容量は、平滑電圧が完全に平滑されないように調整されている。この場合、インバータ回路2の出力に応じて、平滑電圧のリプル成分は変化し、例えば最大出力時には図8のようにリプル成分が比較的大きいが、調光レベルを下げてインバータ回路2の出力が最小となった状態では、図9のようにリプル電圧がほとんど無い状態になる。
【0027】
ここで、平滑電圧検出回路5を用いた動作周波数制御を行わないと、リプル電圧波形がそのまま出力に伝達されるため、最大出力時のインバータ出力波形は図10のようにリプル成分が大きなものとなるのに対し、最小出力時のインバータ出力波形は図11のようにリプル成分は小さくなる。したがって、調光状態によって光出力のリプル成分が異なり、一様ではなくなってしまう。
【0028】
本実施形態では、平滑電圧検出回路5の出力に応じて、スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を変動させることにより、図12(最大出力時)及び図13(最小出力時)に示すように、調光状態によらず、光出力波形はほぼ一定かつ安定したものとなる。
【0029】
このように、本実施形態により、調光機能を持った放電灯点灯装置であっても、電源電圧によらず放電灯の光出力が一定かつ出力波形も安定している放電灯点灯装置を安価に提供することができる。
【0030】
(実施形態4)
図14に本発明の実施形態4に係る放電灯点灯装置の回路図を示す。本実施形態は、実施形態3の回路構成に加えて、スイッチング素子Q2のソース・グランド間に電流検出用の小さな抵抗R1が挿入されており、スイッチング素子Q2を流れる共振電流を検出してインバータ制御回路4に伝達する共振電流検出回路7を設けている。共振電流検出回路7はオペアンプ等で構成されている。
【0031】
本実施形態では、共振電流検出回路7によってスイッチング素子Q2を流れる共振電流を検出して、この共振電流が一定になるようにインバータ制御回路4によりスイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を変動させている。この共振電流を利用したフィードバック制御は、周囲温度などの環境条件や放電灯固有の要素によって、放電灯の点灯状態が変動することを抑止するために用いている。
【0032】
一般的に、この共振電流を用いたフィードバック制御は、商用周波数と比べて非常に早い追従性を持たせる必要がある。しかし、追従性が早い場合には、本実施形態で示しているような、平滑電圧が完全に平滑されない場合においては、商用周波数の2倍の周波数で変動する平滑電圧のリプル成分の影響を吸収することができず、結果として放電灯の出力波形はリプル成分を含むものとなってしまう。
【0033】
本実施形態における平滑電圧検出回路5の働きは、前述の実施形態1と同様であり、本実施形態では、共振電流を用いたフィードバック制御に加えて、平滑電圧検出回路5を用いた制御を併用することにより、商用周波数のリプル成分という比較的速度の遅い放電灯の点灯状態の変動と、環境条件及び放電灯固有の要素による放電灯の点灯状態の変動の双方に対して、放電灯の出力を略一定に保つことが出来る。
【0034】
なお、インバータ回路2を構成するスイッチング素子を流れる共振電流を検出する構成に代えて、インバータ回路2の出力電流をインダクタL1の2次巻線出力や電流検出トランスにより検出する構成としても良い。
【0035】
(実施形態5)
上述の実施形態1〜4の放電灯点灯装置は、入力電力が25Wを超えない照明器具、例えば、デスクスタンドに搭載して蛍光ランプの点灯装置として用いることができる。これにより、入力電流高調波歪規制を満足しながらも、電源電圧の変動によらず放電灯の光出力が一定かつ安定する照明器具を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の平滑電圧の波形図である。
【図3】本発明の実施形態1の周波数一定時のインバータ回路出力を示す波形図である。
【図4】本発明の実施形態1の動作周波数の時間変化を示す波形図である。
【図5】本発明の実施形態1の周波数可変時のインバータ回路出力を示す波形図である。
【図6】本発明の実施形態2の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の実施形態3の構成を示す回路図である。
【図8】本発明の実施形態3の最大出力時の平滑電圧の波形図である。
【図9】本発明の実施形態3の最小出力時の平滑電圧の波形図である。
【図10】本発明の実施形態3の周波数一定時のインバータ回路の最大出力時の出力波形図である。
【図11】本発明の実施形態3の周波数一定時のインバータ回路の最小出力時の出力波形図である。
【図12】本発明の実施形態3の周波数可変時のインバータ回路の最大出力時の出力波形図である。
【図13】本発明の実施形態3の周波数可変時のインバータ回路の最小出力時の出力波形図である。
【図14】本発明の実施形態4の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0037】
FL 放電灯
1 整流・平滑回路
2 インバータ回路
4 インバータ制御回路
5 平滑電圧検出回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源を整流する整流回路と、整流後の直流電圧を平滑する平滑回路と、平滑回路の出力を高周波出力に変換するインバータ回路と、インバータ回路の動作を制御する制御回路とを有し、前記インバータ回路の高周波出力により放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、前記整流回路と平滑回路は倍電圧整流・平滑回路であって、その平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、リプル電圧を伴うものであって、この平滑回路の出力電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路を備え、制御回路は平滑電圧検出回路の検出レベルに応じてインバータ回路の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路の出力を変動させ、インバータ回路の出力を調整することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
交流電源を整流する整流回路と、整流後の直流電圧を平滑する平滑回路と、平滑回路の出力を高周波出力に変換するインバータ回路と、インバータ回路の動作を制御する制御回路とを有し、前記インバータ回路の高周波出力により放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、前記整流回路と平滑回路は全波整流・平滑回路であって、その平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、いわゆるリプル電圧を伴うものであって、この平滑回路の出力電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路を備え、制御回路は平滑電圧検出回路の検出レべルに応じてインバータ回路の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路の出力を変動させ、インバータ回路の出力を調整することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項3】
請求項1または2において、インバータ回路の動作周波数を連続的に変化させることにより、放電灯出力を連続的に可変としたことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記インバータ回路の出力電流またはインバータ回路を構成するスイッチング素子を流れる共振電流を検出し、検出レベルに応じてインバータ回路の動作周波数を変動させてインバータ回路の出力を調整する出力フィードバック回路を有することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された放電灯点灯装置と放電灯とを用いて構成された照明器具。
【請求項1】
交流電源を整流する整流回路と、整流後の直流電圧を平滑する平滑回路と、平滑回路の出力を高周波出力に変換するインバータ回路と、インバータ回路の動作を制御する制御回路とを有し、前記インバータ回路の高周波出力により放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、前記整流回路と平滑回路は倍電圧整流・平滑回路であって、その平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、リプル電圧を伴うものであって、この平滑回路の出力電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路を備え、制御回路は平滑電圧検出回路の検出レベルに応じてインバータ回路の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路の出力を変動させ、インバータ回路の出力を調整することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
交流電源を整流する整流回路と、整流後の直流電圧を平滑する平滑回路と、平滑回路の出力を高周波出力に変換するインバータ回路と、インバータ回路の動作を制御する制御回路とを有し、前記インバータ回路の高周波出力により放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、前記整流回路と平滑回路は全波整流・平滑回路であって、その平滑容量は、出力電圧が完全に平滑されない、いわゆるリプル電圧を伴うものであって、この平滑回路の出力電圧の変動を検出する平滑電圧検出回路を備え、制御回路は平滑電圧検出回路の検出レべルに応じてインバータ回路の動作周波数を変動させることにより、インバータ回路の出力を変動させ、インバータ回路の出力を調整することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項3】
請求項1または2において、インバータ回路の動作周波数を連続的に変化させることにより、放電灯出力を連続的に可変としたことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記インバータ回路の出力電流またはインバータ回路を構成するスイッチング素子を流れる共振電流を検出し、検出レベルに応じてインバータ回路の動作周波数を変動させてインバータ回路の出力を調整する出力フィードバック回路を有することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された放電灯点灯装置と放電灯とを用いて構成された照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−53132(P2008−53132A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230047(P2006−230047)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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