説明

料金準備機能付き車載装置

【課題】 料金所で通行料金の準備を強いられるというドライバの負荷や、それが原因で渋滞や事故が発生する点に着目し、これらの問題を解消することが可能な料金準備機能付き車載装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 ナビゲーションシステム(料金準備機能付き車載装置)100は、ナビゲーション装置1と料金準備装置9の連動によって、車両が有料道路の料金所に接近した場合に、料金所の接近をユーザに報知するとともに、紙幣や硬貨を予め収納している料金準備装置9からナビゲーション装置1が有する有料道路の料金データに基づいて通行料金を排出させることで、料金所におけるスムーズな現金支払いを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路で必要な通行料金を自動的に準備する料金準備機能付き車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有料道路(高速道路等、通行するのに料金が必要な道路)の料金所について、その料金所がETCシステムに対応しているか否かを、ドライバに予め報告するカーナビゲーション装置が考えられている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−99785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、料金所がETCシステムに対応していないと報告された場合に、通行料金を準備するのは結局ドライバであって、運転操作中に料金の準備を強いられるためドライバは多大な負担を感じることになる。また、ドライバが料金の準備を行うことによって料金所で渋滞が発生したり、慌てて料金を準備することで注意力が散漫になり事故が発生することも想定される。
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みて為されたものであり、料金所で通行料金の準備を強いられるというドライバの負担や、それが原因で渋滞や事故が発生する点に着目し、これらの問題を解消することが可能な料金準備機能付き車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の料金準備機能付き車載装置は、目的地までの経路を案内する経路案内手段と、有料道路に関する料金情報を記憶している料金情報記憶手段と、案内される経路中に有料道路が含まれる場合に、当該有料道路の通行に必要な通行料金を料金情報記憶手段から取得する通行料金取得手段とを備えるナビゲーション装置と、貨幣を収納しておく貨幣収納部と、通行料金の額の貨幣を貨幣収納部から排出する貨幣排出手段とを備える料金準備装置と、が通信可能に構成されてなることを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によると、案内する経路中に有料道路が含まれている場合に、当該有料道路の通行に必要な通行料金の額の貨幣を排出する料金準備装置を備えることにより、料金所で通行料金の準備を強いられるというユーザの負荷を軽減することができ、スムーズに料金所を通過することを可能とする。そして、ひいては料金所における渋滞や事故の発生を軽減することにも繋がる。なお、ここで「貨幣」とは、硬貨及び紙幣の両方を含む概念である。
【0008】
請求項2の料金準備機能付き車載装置では、請求項1の料金準備機能付き車載装置において、料金準備装置は、貨幣収納部が収納する貨幣の収納額を取得する収納額取得手段を備え、ナビゲーション装置は、収納額が通行料金よりも少ない場合に、該収納額の不足をユーザに通知する額不足通知手段を備えるように構成できる。これによると、収納額の不足を予めユーザに通知するので、支払いの段階で収納額の不足に気づいて慌てて通行料金の準備を行わなければならないような事態を未然に回避できる。
【0009】
請求項3の料金準備機能付き車載装置では、請求項1または2の料金準備機能付き車載装置において、ナビゲーション装置は、通行料金を支払うべき料金所の接近をユーザに報知する報知手段を備え、料金準備装置の貨幣排出手段は、報知手段による報知とともに、通行料金に相当する貨幣を排出するように構成できる。これによると、料金所の接近の報知とともに、通行料金に相当する貨幣が排出されることから、ユーザは、支払いの必要に応じて必要な額の貨幣を適時取得できる。
【0010】
請求項4の料金準備機能付き車載装置では、請求項1ないし3のいずれか1項の料金準備機能付き車載装置において、ナビゲーション装置は、ユーザの所用の額が入力される入力手段を備え、料金準備装置の貨幣排出手段は、入力された額の貨幣を貨幣収納部から排出するように構成できる。これによると、ドライブスルー等で料金の支払いが必要な場合などに、ユーザは自らの財布を取り出すことなく支払いを済ませることができる。
【0011】
請求項5の料金準備機能付き車載装置は、貨幣を収納しておく貨幣収納部と、ユーザの所用の額が入力される入力手段と、入力された額の貨幣を前記貨幣収納部から排出する貨幣排出手段とを備えることを特徴とする。これによると、ドライバは料金所やドライブスルー等で料金の準備が必要となっても、容易に必要な額の貨幣を取得できるため、料金準備の負担が軽減できる。
【0012】
請求項6の料金準備機能付き車載装置では、請求項5の料金準備機能付き車載装置において、貨幣収納部が収納する貨幣の収納額を取得する収納額取得手段と、収納額が入力手段から入力された額よりも少ない場合に、該収納額の不足をユーザに通知する額不足通知手段とを備えるように構成できる。これによると、ユーザは、収納額の不足を即座に知ることができるので、別途、財布等から料金の準備することで支払いをスムーズに行うことができる。
【0013】
請求項7の料金準備機能付き車載装置では、請求項1ないし6のいずれか1項の料金準備機能付き車載装置において、車載電源からの電力供給を遮断する操作が行われた場合に、貨幣収納部に貨幣が収納されたままであれば、その旨をユーザに警告する警告手段を備えるように構成できる。貨幣収納部に貨幣が収納されたままユーザが車を離れると車上荒らしに遭う等の危険性が想定されることから、かかる警告を行うことで、ユーザが貨幣収納部に貨幣を残したまま車両を離れるような事態を未然に防止できる。なお、請求項1ないし4の料金準備機能付き車載装置では、当該警告手段をナビゲーション装置及び料金準備装置のいずれに設けても良い。
【0014】
請求項8の料金準備機能付き車載装置では、請求項1ないし7のいずれか1項の料金準備機能付き車載装置において、ユーザの認証を行い、当該認証が行われた場合に貨幣収納部から貨幣を排出させるユーザ認証手段を備えるように構成できる。このように、貨幣収納部からの貨幣の排出に際してユーザの認証が必要となることで、第三者に貨幣を無断で引き出されるような事態を未然に防止できる。なお、請求項1ないし4の料金準備機能付き車載装置では、当該ユーザ認証手段をナビゲーション装置及び料金準備装置のいずれに設けても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(1)システム全体
図1は、本発明の一実施形態に係る料金準備機能付き車載装置としての料金準備機能付きナビゲーションシステム100(以下、単にナビゲーションシステムと称する)を組込んだ車両のコックピットを概略的に示す図である。ナビゲーションシステム100は、カーナビゲーション装置1(以下、単にナビゲーション装置と称する)及び料金準備装置9から構成されており、図に示すように、センターコンソールにはナビゲーション装置1が設置され、他方、それとはインストルメントパネルを挟んで反対側(窓側)には料金準備装置9が設置されている。
【0016】
ナビゲーションシステム100は、ナビゲーション装置1と料金準備装置9の連動によって、車両が有料道路の料金所に接近した場合に、料金所の接近をユーザに報知するとともに、ナビゲーション装置1が有する有料道路の料金データに基づいて貨幣を予め収納している料金準備装置9から通行料金を排出させることで、料金所におけるスムーズな現金支払いを実現する。また、ドライブスルーなどで、ユーザが必要とする金額をナビゲーション装置1に入力すると、料金準備装置9から入力した料金が排出されるようにもなっている。
【0017】
また、図2のシステム全体のブロック図に示すように、ナビゲーション装置1と料金準備装置9は、上記の動作を可能とすべく通信線によって互いに通信可能とされており、車内LAN(Local Area Network)を構築している。また、この車内LANには、他にもECU(Electronic Control Unit)等の車載電気機器が接続されている。以下、ナビゲーション装置1及び料金準備装置9の各々についての詳細な説明を行う。
【0018】
(2)ナビゲーション装置
ナビゲーション装置1は、図2に示すように、位置検出器2,データ入力器31,操作スイッチ群41,リモコン端末43,リモコンセンサ42,表示装置51,音声出力装置52,通信I/F(インターフェース)61,外部メモリ33及びこれらが接続された制御回路10を備えている。
【0019】
位置検出器2は、GPS衛星から送信されたGPS電波を受信し、その受信したGPS電波に格納されているパラメータを演算して位置データを取得するGPS受信機21、地磁気に基づいて方位を検出し、その検出した方位を表す方位データを取得する地磁気センサ22、角速度を検出することに基づいて方位を算出し、その算出した方位を示す方位データを取得するジャイロスコープ23、走行距離を検出し、その検出した距離を示す距離データを取得する距離センサ24を備えて構成され、各センサが取得した各データを相互補完することによって、自車の現在位置の検出(特定)と正確な走行距離の計測を行う。
【0020】
データ入力器31は、例えばCD−ROM,DVD−ROM,ハードディスクドライブ(HDD)或いはメモリカードなどの外部記録媒体32から、地図データ,マップマッチング用データ,目印データ或いはHTMLデータなどの各種データを入力する。また、地図データに含まれる道路情報には、一般道であるか有料道路であるか等の道路種別に関する情報が含まれている。
【0021】
操作スイッチ群41は、例えば、表示装置51と一体になったタッチスイッチ若しくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置51の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。リモコン端末43も、この操作スイッチ群41と同等の機能を有して構成されている。なお、これらの操作スイッチ群41及びリモコン端末43が、本発明の入力手段に相当する。
【0022】
表示装置51は、カラー液晶表示器により構成されており、その画面には位置検出器2から入力された車両現在位置マークと、データ入力器31から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示すると共に、本画面に経路案内の設定および経路誘導中の案内が表示される。また、音声出力装置52は、アンプやスピーカから構成され、目的地までの経路案内の実行時には案内のための合成音声を出力する。なお、これらの表示装置51及び音声出力装置52が後述の制御部10の指令によって動作することにより、本発明の額不足通知手段,報知手段,警告手段として機能する。
【0023】
通信I/F(インターフェース)61は、車内LANとの間のインターフェース機能を有しており、これによって料金準備装置9や車内の他の機器との通信が可能となっている。
【0024】
制御回路10は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU11,ROM12,RAM13,入出力インターフェース(I/O)14及びこれらの構成を接続するバスライン15が備えられている。CPU11は、ROM12及びRAM13に記憶されたプログラム及びデータにより制御を行う。ROM12は、プログラム格納領域12aとデータ記憶領域12bとを有している。プログラム格納領域12aには、ナビゲーションプログラム(以下、ナビプログラムと称する)12pが格納されている。このナビプログラム12pは、RAM13上にてナビプログラム用ワークメモリ13wを作業領域とする形で作動する。他方、データ記憶領域12bには、有料道路に関する料金情報(有料道路料金データ)をはじめとするナビプログラム12pの動作に必要な種々のデータが格納されている。従って、ROM12(のデータ記憶領域12b)が本発明の料金情報記憶手段に相当する。なお、これらのプログラム及びデータは、外部メモリ33に記憶されていてもよい。また、有料道路料金データは、地図データ等を記憶している外部記録媒体32に記憶されていてもよい。以上の構成によって、制御回路10は、CPU11によりナビプログラム12pが起動されると、本発明の経路案内手段,通行料金取得手段,ユーザ認証手段として機能する。
【0025】
(3)料金準備装置
料金準備装置9は、硬貨処理部8(図3参照)と紙幣処理部7(図5参照)が組み合わされた構成とされており、投入口71,81から投入された貨幣(硬貨,紙幣)を収納し、排出する。料金準備装置9は、図2に示すように、CPU91,ROM92,RAM93及び入出力インターフェース(I/O)94がバスライン95により接続された制御部90を備え、これにナビゲーション装置1との通信を可能にする通信I/F96や、処理部7,8内に配されたセンサ,モータ,ソレノイドが接続されている。
【0026】
CPU91は、ROM92及びRAM93に記憶されたプログラム及びデータにより制御を行う。ROM92は、プログラム格納領域92aとデータ記憶領域92bとを有している。プログラム格納領域92aには、料金準備プログラム92pが格納されている。他方、データ記憶領域92bには、貨幣の識別を行うための貨幣データ92dや、料金準備プログラム92pの動作に必要な種々のデータが格納されている。また、料金準備プログラム92pは、RAM93上にてワークメモリ93wを作業領域とする形で作動する。また、料金準備プログラム92pが起動されると、RAM93には、料金準備装置9内に収納されている収納額をモニタリングする収納額メモリ93sが形成される。当該収納額メモリ93sは、貨幣の投入/排出が行われる都度、その内容が書き換えられる。なお、料金準備装置9内に貨幣が収納されている場合(すなわち、収納額メモリ93sに記憶されている収納額が0を超えている場合)には、車内LANを介して接続されているECU(図示せず)に貨幣収納フラグを立てるようになっている。これにより、後述するように、料金準備装置9内に貨幣が収納されている場合には、車載電源から電気機器への供給が遮断されないようになっている。以上の構成によって、制御回路90は、CPU91により料金準備プログラム92pが起動されると、本発明の収納額取得手段,貨幣排出手段として機能する。
【0027】
硬貨処理部8について説明する。硬貨処理部8は、上部から硬貨識別部,硬貨収納部,硬貨排出部を主に有している。なお、これらは、周知の硬貨処理装置等と同様の構成であるので、簡略な説明に留める。硬貨識別部では、投入口81から投入された硬貨Cが、硬貨の通路82に沿って下流方向へ転動していき、通路82の側壁に設けられた厚みセンサ84a,材質センサ84b,外径センサ84cによって種類が識別される。かかる識別は、センサ84a〜cからの入力を受けたCPU91が、ROM92のデータ記憶領域92bに格納されている貨幣データ92dとの比較を行うことによって行われる。
【0028】
硬貨収納部では、通路82から落下する硬貨Cは、硬貨の識別結果に応じ切替え爪82a〜cの方向が切替えられることによって、硬貨の種類ごとに各筒を有する収納筒83に各々振り分けられて収納される。この収納筒83が本発明の貨幣収納部に相当する。ここで、切替え爪82a〜cは、CPU91からの命令を受けたソレノイド86a〜cによって動作する。また、収納筒83の各筒の上部には硬貨の通過を検知する光学センサ84d〜gが設けられており、CPU91は、センサ84d〜gからの入力を受ける都度、通過した硬貨の額をRAM93の収納額メモリ93sに記憶されている収納額に対して加算し、記憶内容を更新していくことで、収納筒83全体に収納されている硬貨の額を監視している。すなわち、制御部90(CPU91)に入力を行うセンサ84d〜gも、本発明の収納額取得手段に相当する。
【0029】
硬貨排出部では、図4の要部拡大図に示すように、収納筒83に積層収納された硬貨Cのうち最下部の硬貨をスライダ87により引き出して落下させる。その後、図3に示すように、ベルトコンベア88で排出口89の受け皿89aに排出する。具体的には、収納筒83は、底面との間に硬貨1枚分程度の隙間を有しており、その間に最下部の硬貨を引き出すスライダ87が配置されている。スライダ87sは各筒にそれぞれ設けられ、CPU91の命令により動作するモータ85a〜dの回転を往復運動に変換してスライダ87sに伝達することで(図示せず)、各種類の硬貨Cが引き落とされる。また、硬貨Cを排出口89まで運搬するベルトコンベア88のローラはモータ85eによって回転する。すなわち、制御部90(CPU91)からの命令で駆動するモータ85a〜e、これにより動作するスライダ87s及びベルトコンベア88が、本発明の貨幣排出手段に相当する。
【0030】
紙幣処理部7について説明する。紙幣処理部7は、上部から紙幣識別部,紙幣収納部,紙幣排出部を主に有している。なお、これらは、周知の紙幣処理装置等と同様の構成であるので、簡略な説明に留める。紙幣識別部では、投入口71に紙幣が搬入されると、投入口71付近に設けられた搬入センサ74aがそれを検知し、CPU91は、モータ75aに接続された搬入ローラ721,722を回転させて、紙幣を奥へと搬送する。その途中には、磁気センサ74b及び光学センサ74cが設けられており、紙幣の種類の識別を行う。かかる識別は、センサ74b,cからの入力を受けたCPU91が、ROM92のデータ記憶領域92bに格納されている貨幣データ92dとの比較を行うことによって行われる。
【0031】
紙幣収納部では、搬送路から送られてきた紙幣が、紙幣の識別結果に応じ切替え爪73a〜cの方向が切替えられることによって、紙幣の種類ごとに設けられた収納箱77に各々振り分けられて収納される。この収納箱77も、本発明の貨幣収納部に相当する。ここで、切替え爪73a〜cは、CPU91からの命令を受けたソレノイド76a〜cによって動作する。また、収納箱77の各箱の上部には紙幣の通過を検知する光学センサ74d〜gが設けられており、CPU91は、センサ74d〜gからの入力を受ける都度、通過した紙幣の額をRAM93の収納額メモリ93sに記憶されている収納額に対して加算し、記憶内容を更新していくことで、収納箱77全体に収納されている紙幣の額を監視している。すなわち、制御部90(CPU91)に入力を行うセンサ74d〜gも、本発明の収納額取得手段に相当する。
【0032】
硬貨排出部では、収納箱77内の紙送りローラ727〜730がモータ75f〜iにより回転し、紙幣を1枚ごと搬出ローラ731〜734へと送り出す。送り出された紙幣は、モータ75j〜mにより回転する搬出ローラ731〜734によって収納箱77の外へ搬出され、モータ75nにより回転する排出ローラ735〜737によって、排出口79から排出される。なお、搬送経路の最後に設けられた排出センサ74が紙幣の通過を確認することによって、排出ローラ735〜737は停止する。すなわち、制御部90(CPU91)からの命令で駆動するモータ75f〜n、これにより動作するローラ727〜737も、本発明の貨幣排出手段に相当する。
【0033】
(4)ナビゲーション装置1及び料金準備装置9の処理
次に、ナビゲーション装置1及び料金準備装置9の作動について、図6ないし9を参照して説明する。ここで、図6ないし9のフローチャートは、ナビゲーション装置1のCPU11が実行するナビプログラム12pの処理及び料金準備装置9のCPU91が実行する料金準備プログラム92bの処理をフローチャートとして示している。
【0034】
図6は、ナビゲーション装置1のメインルーチンを表すフローチャートである。CPU11によりナビプログラム12pが起動されると、CPU11は、ユーザにより入力された目的地までの最適な経路を検索する経路設定ルーチンS1と、ユーザに当該経路を案内する経路案内ルーチンS2とを行う。後述するように、各ルーチンS1,S2において、ナビゲーション装置1は料金準備装置9と連動して動作を行う。
【0035】
図7は、料金準備装置9のメインルーチンを表すフローチャートである。CPU91により料金準備プログラム92が起動されると、CPU91は、貨幣の投入に備えるとともに、ナビゲーション装置1からの割り込み入力があった場合に後述する所定の処理を行う。貨幣が投入口71,81から投入されると、投入された貨幣をセンサ74a〜c,84a〜cにより検知・識別し(ステップT1)、センサ74d〜g,84d〜gにより投入額を取得して、当該投入額をRAM93の収納額メモリ93sに記憶されている収納額に対して加算し、その額を新たな収納額として収納額メモリ93sの記憶内容を更新する(ステップT2)。
【0036】
(4−1)経路設定
ナビゲーション装置1の経路設定ルーチンS1について説明する。経路設定ルーチンS1の詳細を図8のフローチャートに示す。まず、目的地設定(ステップS11)及び経路設定(ステップS12)では、ユーザが表示装置51の画面上に表示されるメニューから操作スイッチ群41によって目的地を入力すると、GPS受信機21から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な経路を求める処理が行われる。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
【0037】
その後、CPU11は、求めた経路に有料道路が含まれるか否かを判断し(ステップS13)、含まれる場合には(ステップS13:Yes)、その区間の通行料金をROM12のデータ記憶領域12bに記憶されている有料道路料金データから読み出すとともに(ステップS14)、料金準備装置9に対して収納箱(筒)77,83の収納額の通知を通信I/F61を介して要求する(ステップS15)。料金準備装置9のCPU91は、ナビゲーション装置1からの収納額通知要求(割り込み入力)を検知すると、収納額通知ルーチンT3を開始する。収納額通知ルーチンT3では、まずRAM93の収納額メモリ93sに記憶されている収納額を読み出し(ステップT31)、それを通信I/F96を介してナビゲーション装置1に通知する。
【0038】
ナビゲーション装置1のCPU11は、料金準備装置9から収納額の通知を受けると(ステップS16:Yes)、当該収納額とステップS14で読み出した有料道路の通行料金との比較を行い(ステップS17)、収納額が通行料金に足りている場合は(ステップS17:Yes)、後述の経路案内時に通行料金を排出する契機となる料金準備フラグをONにしてリターンする(ステップS17f)。一方、収納額が通行料金に足りなければ(ステップS17:No)、表示装置51や音声出力装置52によって収納額の不足を通知し、貨幣の追加投入を促す(ステップS18)。この際、料金準備装置9のCPU91は、所定の時間内に貨幣の追加投入を検知した場合には(ステップT33)、RAM93の収納額メモリ93sに記憶されている収納額を更新し(ステップT34)、ナビゲーション装置1に対して収納額を再度通知する(ステップT35)。ナビゲーション装置1のCPU11は、料金準備装置9から再度の収納額通知を受けると(ステップS19:Yes)、ステップS17に戻って、収納額と有料道路の通行料金との比較及びそれ以降の処理を再度行う。
【0039】
また、ステップS16及びS19において、料金準備装置9から収納額の通知が所定の時間内になければ、料金準備フラグをONにせずにリターンする。ここでは、表示装置51の画面に有料道路になっても通行料金を排出しない旨の表示を行わせる。
【0040】
(4−2)経路案内
ナビゲーション装置1の経路案内ルーチンS2について説明する。経路案内ルーチンS2の詳細を図9のフローチャートに示す。まず、経路案内(ステップS21)では、経路設定ルーチンS1において求めた現在位置から目的地までの最適な経路を、表示装置51の画面上の道路地図に重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。また、表示装置51や音声出力装置52によって操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0041】
経路案内時において、車両が有料道路の料金所に接近した場合には(ステップS22:Yes)、CPU11は、まず料金準備フラグがONとされているか否かを判断し(ステップS23)、料金準備フラグがONであれば(ステップS23:Yes)、料金準備装置9に対し通行料金に相当する額の貨幣を収納箱(筒)77,83から排出するよう通信I/F61を介して要求するとともに(ステップS24)、料金所の接近を表示装置51や音声出力装置52によってユーザに報知する(ステップS25)。一方、料金準備フラグがOFFであれば(ステップS23:No)、料金所接近の報知のみを行う(ステップS25)。そして、料金所の報知が終了すると、通常の経路案内(ステップS21)に戻る。以上の経路案内は、車両が目的地へ到着するまで行われる。
【0042】
料金準備装置9のCPU91は、ナビゲーション装置1からの通行料金排出要求(割り込み入力)を検知すると、料金排出ルーチンT4を開始する。料金排出ルーチンT4では、CPU91は、所定のモータ75j〜n,85a〜eを駆動することにより通行料金に相当する額の貨幣を収納箱(筒)77,83から排出させる(ステップT41)。そして、排出額をRAM93の収納額メモリ93sに記憶されている収納額から減算し、その額を新たな収納額として収納額メモリ93sの記憶内容を更新して(ステップT42)、リターンする。なお、ステップT41において、通行料金と同額の貨幣を排出できない場合には、通行料金を充足する額の中で最小の額の貨幣を排出するようにする。
【0043】
以上の処理により、車両が有料道路の料金所に接近すると、ナビゲーション装置1によって料金所接近の報知が行われるとともに、料金準備装置9によって通行料金が用意されるので、ユーザはスムーズな料金所の通過が可能となる。
【0044】
(4−3)所用額の排出
次に、ユーザにより入力された額の貨幣を排出する入力額排出処理について説明する。これは、ドライブスルーなどの貨幣の支払いが必要とされる場面等で、ユーザがナビゲーション装置1に所用額を入力すると、料金準備装置9からその額の貨幣を排出することで、支払いをスムーズにさせるものである。上記した経路案内時等に、入力額排出処理を開始するための操作をユーザが操作スイッチ群41により行うと、ナビゲーション装置1のCPU11は、かかる入力を検知して、図10に示す額入力ルーチンS3を現在の処理に割り込ませる。額入力ルーチンS3では、まずセキュリティに万全を期すべくユーザに対してパスワードの入力を求める。すなわち、CPU11は、パスワード入力用の画面を表示装置51に表示し(ステップS31)、ユーザが操作スイッチ群41等によって入力したパスワードと外部メモリ33等に予め記憶されているパスワードとを照合することにより、ユーザの認証を行う(ステップS32)。
【0045】
ユーザの認証に成功すると(ステップS32:Yes)、CPU11は、所用金額の入力用の画面を表示装置51に表示し(ステップS33)、次に操作スイッチ群41等からの所用額の入力を検知すると(ステップS32:Yes)、料金準備装置9に対して入力額の貨幣を収納箱(筒)77,83から排出するよう通信I/F61を介して要求し(ステップS35)、リターンする。なお、ユーザの認証に失敗した場合(ステップS32:No)若しくは所用額の入力がなかった場合(ステップS34:No)には、貨幣を排出できない旨を表示装置51に表示してリターンする。
【0046】
なお、経路案内時にユーザが料金準備装置9から所用額を引き出すと、収納額がその後に必要となる通行料金よりも下回ってしまう場合が考えられるので、ステップS35の後に、図8のフローチャートにおけるステップS14〜19と同じ処理を行わせるようにして、収納額が不足となる事態を未然に防ぐようにすることができる。
【0047】
(4−4)警告処理
次に、警告処理について説明する。料金準備装置9に貨幣が収納されたままユーザが車を離れると車上荒らしに遭う等の危険性があることから、車載電源からの電力供給を遮断する操作がユーザにより行われた場合に、ナビゲーション装置1は貨幣が収納されたままである旨の警告をユーザに対して行う。具体的には、上述したように、料金準備装置9に貨幣が収納されている際には車内LANを介して接続されているECU(図示せず)に貨幣収納フラグが立てられており、この場合にはユーザがアクセサリ(ACC)スイッチをOFFにしても、ECUは、車載電源からナビゲーション装置1及び料金準備装置9等の電気機器への電力供給が遮断されないように制御するとともに、貨幣収納フラグが立っていることをナビゲーション装置1に通知する。ナビゲーション装置1のCPU11は、かかる通知を受信すると、表示装置51や音声出力装置52によって料金準備装置9に貨幣が収納されたままである旨の警告を行い、ユーザに貨幣の引出しを促す。かかる警告を受けたユーザは、上記した入力額排出処理によって料金準備装置9から残された貨幣を引き出すことができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得るものである。例えば、上述した料金準備機能付きナビゲーションシステムは、通信可能なナビゲーション装置1及び料金準備装置9を含むことによって実現しているが、これに限らず、互いの機能を一つにまとめた装置として構成することも可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の料金準備機能付きナビゲーションシステム(料金準備機能付き車載装置)を組込んだ車両のコクピット部分を概略的に表す図
【図2】料金準備機能付きナビゲーションシステム(料金準備機能付き車載装置)のブロック図
【図3】料金準備装置の硬貨処理部の内部構造を表す概略図
【図4】硬貨処理部の要部拡大図
【図5】料金準備装置の紙幣処理部の内部構造を表す概略図
【図6】ナビゲーション装置のメインルーチンを表すフローチャート
【図7】料金準備装置のメインルーチンを表すフローチャート
【図8】経路設定時の処理を表すフローチャート
【図9】経路案内時の処理を表すフローチャート
【図10】ユーザ入力による排出時の処理を表すフローチャート
【符号の説明】
【0050】
1 ナビゲーション装置
9 料金準備装置
10 制御回路(経路案内手段,通行料金取得手段,ユーザ認証手段)
41 操作スイッチ群(入力手段)
43 リモコン端末(入力手段)
51 表示装置(額不足通知手段,報知手段,警告手段)
52 音声出力装置(額不足通知手段,報知手段,警告手段)
727〜737 ローラ(貨幣排出手段)
74d〜g センサ(収納額取得手段)
77 収納箱(貨幣収納部)
83 収納筒(貨幣収納部)
84d〜g センサ(収納額取得手段)
87s スライダ(貨幣排出手段)
88 ベルトコンベア(貨幣排出手段)
90 制御部(収納額取得手段,貨幣排出手段)
100 料金準備機能付きナビゲーションシステム(料金準備機能付き車載装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの経路を案内する経路案内手段と、有料道路に関する料金情報を記憶している料金情報記憶手段と、案内される経路中に有料道路が含まれる場合に、当該有料道路の通行に必要な通行料金を前記料金情報記憶手段から取得する通行料金取得手段とを備えるナビゲーション装置と、
貨幣を収納しておく貨幣収納部と、前記通行料金の額の貨幣を前記貨幣収納部から排出する貨幣排出手段とを備える料金準備装置と、
が通信可能に構成されてなることを特徴とする料金準備機能付き車載装置。
【請求項2】
前記料金準備装置は、前記貨幣収納部が収納する貨幣の収納額を取得する収納額取得手段を備え、前記ナビゲーション装置は、前記収納額が前記通行料金よりも少ない場合に、該収納額の不足をユーザに通知する額不足通知手段を備える請求項1に記載の料金準備機能付き車載装置。
【請求項3】
前記ナビゲーション装置は、前記通行料金を支払うべき料金所の接近をユーザに報知する報知手段を備え、前記料金準備装置の前記貨幣排出手段は、前記報知手段による報知とともに、前記通行料金に相当する貨幣を排出する請求項1または2に記載の料金準備機能付き車載装置。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置は、ユーザの所用の額が入力される入力手段を備え、前記料金準備装置の前記貨幣排出手段は、入力された額の貨幣を前記貨幣収納部から排出する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の料金準備機能付き車載装置。
【請求項5】
貨幣を収納しておく貨幣収納部と、ユーザの所用の額が入力される入力手段と、入力された額の貨幣を前記貨幣収納部から排出する貨幣排出手段とを備えることを特徴とする料金準備機能付き車載装置。
【請求項6】
前記貨幣収納部が収納する貨幣の収納額を取得する収納額取得手段と、前記収納額が前記入力手段から入力された額よりも少ない場合に、該収納額の不足をユーザに通知する額不足通知手段とを備える請求項5に記載の料金準備機能付き車載装置。
【請求項7】
車載電源からの電力供給を遮断する操作が行われた場合に、前記貨幣収納部に貨幣が収納されたままであれば、その旨をユーザに警告する警告手段を備える請求項1ないし6のいずれか1項に記載の料金準備機能付き車載装置。
【請求項8】
ユーザの認証を行い、当該認証が行われた場合に前記貨幣収納部から貨幣を排出させるユーザ認証手段を備える請求項1ないし7のいずれか1項に記載の料金準備機能付き車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−221343(P2006−221343A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33053(P2005−33053)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】