説明

新規なポリ不飽和化合物、これらの化合物の製造方法、およびこれらの化合物を含む組成物

本発明は、下記式(I)の新規なポリ不飽和化合物に関する:


(上記式中、
R1は、R'1、-A-R'1基であり、
R'1は、-COOH、-COOR3、-CONH2、-CONHR3、-CONR3R4、-CHO、-CH2OH、-CH2OR5から選択され、
Aは、C2-C16アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンであり、
R2は、場合によって置換されたアリール基または場合によって置換されたヘテロアリール基、オシド残基、または場合によって分岐しおよび/または好ましくは末端が特にヒドロキシ、アセトキシ基によってまたは保護されているもしくは保護されていないアミノ基によって置換された脂肪酸残基、-OC-(CH2)nCO-トコフェリル(α、β、γ、またはδ)基(但し、2 ≦ n ≦ 10)、-R'2-O-R6基 (式中、R'2は場合によって置換されたアリーレン基または場合によって置換されたヘテロアリーレン基であり、R6は水素原子、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC1-C16アルキル、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルケニル、または直鎖状もしくは分岐状のC2-C16アルキニル基、場合によって置換されたトコフェリル基などである)、アミノ酸残基、またはオシド残基である)。本発明は、特に少なくとも1種類の式(I)の化合物を含む化粧用および/または皮膚用組成物、並びに白色化および/または脱色剤としてのそれらの使用、上記組成物を用いる化粧方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、レチノイドの新規なポリ不飽和誘導体、それらの製造方法、それらを含む組成物、および化粧品および/または皮膚科学の分野におけるそれらの使用に関する。
【0002】
背景技術
現在、レチノイン酸誘導体は、乾癬または魚鱗癬などの様々な適応症および皮膚の脱色素(ビタミンAの作用下でのメラニン産生の減少)における皮膚科学の分野において用いられている。
【0003】
しかしながら、局所経路によるレチノイン酸誘導体の使用には多くの問題があり、例えばこれらの誘導体の経時的および光存在下においての安定性の欠如、局所的な過剰濃度から生じる炎症とともに、角質層を介するこれらの誘導体の吸収が低いことなどがある。後者の不利益はこの物質の親油性が高い結果であり、これが皮膚に沈着すると大部分が落屑し、除かれることになる。
【0004】
赤味、炎症、水腫、および過剰剥離などの副作用により、刺激を多く受ける患者へのレチノイン酸誘導体の使用は制限されることになり、それゆえ、この活性成分のバイオアベイラビリティーおよびその吸収の改良することは、局所的な過剰濃度による有害作用を同時に回避することになる。
【0005】
本出願人は、2種類の酵素の作用下で活性物質を放出することができるようにする三元グリコシル化複合体の使用により、これらの化合物の副作用を克服する方法をこれまでに提出している(仏国特許第2 791 679号)。これによって放出が遅くなり、蓄積の問題が回避される。
【0006】
それにも拘わらず、問題のある副作用の少ない化合物または活性が大きく低濃度で用いることができ、望まれていない作用がほとんど問題とならない化合物が求められている。
【0007】
本出願人は、レチノイン酸の新規誘導体が顕著な脱色素作用を有することを見出した。
【0008】
本発明は、下記式(I)の化合物、それらの鏡像異性体およびジアステレオ異性体、並びに酸または生理学的に許容可能な塩基への付加により生じる任意の塩に関する:
【化1】

(上記式中、
R1はR'1または-A-R'1基であり、R'1は-COOH、-COOR3、-CONH2、-CONHR3、-CONR3R4、-CHO、-CH2OH、-CH2OR5から選択され、Aは直鎖状もしくは分岐状のC1-C16アルキレン基、直鎖状もしくは分岐状のC2-C16アルケニレン基、または直鎖状もしくは分岐状のC2-C16アルキニレン基であり、
R2は:
・場合によって置換されたアリール基もしくは場合によって置換されたヘテロアリール基、または
・オシド残基、または
・場合によって分岐しおよび/または好ましくは鎖の末端が、特にヒドロキシ、アセトキシまたは保護されたもしくは保護されていないアミノ残基によって置換された脂肪酸残基、
・-OC-(CH2)nCO-(α、β、γ、またはδ)トコフェリル基(但し、2≦n≦10)、
・-R'2-O-R6
(上記式中、R'2は場合によって置換されたアリーレン基または場合によって置換されたヘテロアリーレン基であり、R6は水素原子、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC1-C16アルキル基、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルケニル基、または直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルキニル基、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたトコフェリル基もしくは類似体、アミノ酸残基、またはオシド残基である)を表し、
R3およびR4は、独立して、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC1-C16アルキル基、直鎖状もしくは分岐状のC2-C16アルケニル、または直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルキニルであり、
R5は、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC1-C16アルキル基、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルケニル基、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルキニル基、または直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アシル基である)。
【0009】
薬学上許容可能な酸としては、下記のような塩酸、臭化水素酸、硫酸、ホスホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、樟脳酸、シュウ酸などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0010】
薬学上許容可能な塩基としては、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、第三ブチルアミンなどが挙げられる。
【0011】
不飽和基の二重結合は概して総てがE配置を有するが、本発明は二重結合の総てまたは一部分のみがZ配置である式(I)の化合物の使用にも関する。
【0012】
アリールという用語は、フェニル、ナフチル、またはビフェニルを表す。
【0013】
ヘテロアリールという用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1-5個のヘテロ原子を含む少なくとも1個の5-11員の芳香族環を含む単または二環性基を表す。この基は、下記の基、すなわちピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
「-エン」という語尾は、問題の基が本発明の最も一般的な態様並びに特定の好都合および/または好ましい態様の両方に関して塩基と同じ定義を有する二価の基であることを意味する。
【0015】
アリール、ヘテロアリール、およびトコフェリル基に関して、「場合によって置換された」という用語は、これらの基が未置換であるか、または1個以上のハロゲン原子または分岐状もしくは直鎖状の(C1-C6)アルキル基、分岐状もしくは直鎖状の(C2-C6)アルケニル基、直鎖状もしくは分岐状の(C2-C6)アルキニル基、分岐状もしくは直鎖状の(C1-C16)アルコキシ基、ヒドロキシル基、直鎖状もしくは分岐状の(C3-C18)アルキルシリル基、メルカプト、アルキルチオ、シアノ、(場合によって、1または2個の直鎖状もしくは分岐状の(C1-C6)アルキル基によって置換された)アミノ、ニトロキシ、カルボキシ、ホルミル、アルコキシカルボニル、(場合によって、1または2個の直鎖状もしくは分岐状の(C1-C6)アルキル基によって置換された)アミノカルボニル、カルバモイル基によって置換されることを意味し、ヘテロアリール基をオキソ基によって当然置換できる。
【0016】
アルキル、アルケニル、アルキニル基に関する「場合によって置換された」という用語は、これらの基が未置換であるか、または1個以上のハロゲン原子もしくは直鎖状もしくは分岐状の(C1-C16)アルコキシ基、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、シアノ、(場合によって、1もしくは2個の(C1-C6)アルキル基によって置換された)アミノ、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、アルコキシカルボニル、(場合によって、1または2個の直鎖状もしくは分岐状の(C1-C6)アルキル基によって置換された)アミノカルボニル、およびカルバモイル基によって置換されることを意味する。
【0017】
アミノ酸残基という用語は、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびValのような天然のα-アミノ酸の残基、またはβ-アラニン、アリルグリシンなどのような非天然アミノ酸残基を意味する。
【0018】
オシド残基という用語は、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、フコース、ラムノースのような糖(または炭水化物)誘導体に対応する基を意味し、これらの残基において、1個以上のヒドロキシ基をベンジル、アセチル、またはベンゾイル基のような通常保護の目的に用いられる基によって当然保護できる。
【0019】
脂肪酸残基という用語は、4-30個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状脂肪酸に対応する基を意味する。この基は必須脂肪酸または非必須脂肪酸から生じることができる。下記のものは、酸残基の例である:酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸(arachinic)、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、アゼライン酸、リポ酸。
【0020】
これらの基は、未置換であるか、または1個以上のハロゲン原子もしくは直鎖状もしくは分岐状の(C1-C16)アルコキシ基、場合によってエステル化(好ましくは、アセチル化)したヒドロキシ基、またはメルカプト、アルキルチオ、シアノ、保護されたもしくは未保護のアミノ(場合によって1または2個の直鎖状もしくは分岐状の(C1-C6)アルキル基によって置換される)、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(場合によって1または2個の直鎖状もしくは分岐状の(C1-C6)アルキル基によって置換される)、またはカルバモイル基によって置換できる。
【0021】
トコフェリル基は、総ての種類のトコフェロール、すなわちα、β、γ、またはδ型から誘導することができる。
【0022】
これらの残基のキラル性を考慮すれば、アノマー炭素配置はα、β、または様々な比率でのα-βの混合物であることができる。
【0023】
本発明の範囲内においては、好ましいアリール基はフェニル基である。
【0024】
本発明による式(I)の化合物におけるアルキル基は、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の(C1-C6)アルキル基である。特に、それらはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル基であることができる。
【0025】
本発明による式(I)の化合物におけるアルケニル基は、好都合には直鎖状もしくは分岐状の(C2-C6)アルケニル基、例えばアリル基またはビニル基である。
【0026】
本発明による式(I)の化合物におけるアルキニル基は、好都合には直鎖状もしくは分岐状の(C2-C6)アルケニル基、例えばアルキン、プロピン、ブチン基である。
【0027】
式(I)の化合物において、基R1は、好都合には-COOH、-COOR3、-CHO、-CH2OH、-CH2OR5(上記式中、R3およびR5は上記において定義した通りである)から選択される基R'1である。
【0028】
本発明のもう一つの好都合な特徴によれば、Aは一般式(I)の化合物におけるメチレン基を表す。
【0029】
本発明の態様に適合する化合物は、式(I)の化合物であって、R2が基-R'2-O-R6(上記式中、R'2は場合によって置換されたアリーレン基であり、R6は直鎖状もしくは分岐状の(C1-C6)アルキル基もしくはオシド残基である)である化合物である。
【0030】
本発明の態様に適合する他の式(I)の化合物は、R2が基-R'2-O-R6(上記式中、R'2がフェニレンであり、R6がオシド残基、好ましくはグルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、フコース、ラムノースである)である化合物である。
【0031】
式(I)の化合物の中でも、下記の化合物はより一層好ましい:
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-{2,6,6-トリメチル-3-[4-((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-ヒドロキシメチル-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-フェノキシ]-シクロへキス-1-エニル}-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸
【化2】

(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
【化3】

(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化4】

(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-ヒドロキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
【化5】

(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-ヒドロキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化6】

(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-{2,6,6-トリメチル-3-ジメチル-[4-((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-ヒドロキシメチル-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-フェノキシ]-シクロへキス-1-エニル}-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化7】

9-[(3-トランスデセノエート)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル}-3,7-ジメチルノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化8】

9-[(3-オレエート)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化9】

9-[(3-リノレエート)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル}-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化10】

9-[(3-リノレネート)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチルノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化11】

9-[(3-リポエート)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチルノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化12】

9-[{3-(8-ヒドロキシ-5-メチル-2-オクテノエート)}-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]- 3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化13】

(E)-14-ヒドロキシ-テトラデク-2-エン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル
【化14】

(E)-10-ヒドロキシ-デク-2-エン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル
【化15】

(E)-10-アセトキシ-デク-2-エン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル
【化16】

9-[(3-テトラアセチルグルコース)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチルノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化17】

ヘプタン二酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチル-トリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルビスエステル
【化18】

ノナン二酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチルトリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルビスエステル
【化19】

コハク酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチルトリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルビスエステル
【化20】

ペンタン二酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチル-トリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルビスエステル
【化21】

【0032】
本発明は、式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)の化合物:
【化22】

(上記式中、R10は、基-CH2OHを除き上記において定義した基R1と同じ意味を有する)
の3位においてアリル酸化反応を行い、式(III)の化合物:
【化23】

(上記式中、R10は上記で定義した通りである)
を得て、
次に、その3位のカルボニル基を還元して対応する式(IV)のアルコール:
【化24】

とし、
化合物(IV)をアルカリ性、酸性、または中性媒質中において、場合によりカップリング試薬の存在下において、式R2-X (上記式中、Xはヒドロキシ基またはハロゲン原子であるが、ヒドロキシ基は必要ならば出発基の形態により当然活性化させることができる)の試薬を用いてアルキル化反応またはカップリング反応を行って、式(I)の化合物の具体例である式(Ia)の化合物:
【化25】

(上記式中、R2は上記において定義した通りであり、R10は上記と同じ意味を有する)
を生成させ、
これを、基R10が基-COOR3である場合には、加水分解または還元反応を行って、式(I)の化合物の具体例である式(Ib)の化合物:
【化26】

(上記式中、R2は上記において定義した通りであり、R11は基-COOHまたはCH2OHである)
を生成させることができ、
上記化合物に含まれる様々な基は、当然、用いられる試薬の不適合性に依存し、保護後、任意の時間に脱保護した基の合成に適切であることを特徴とする式(I)の化合物の製造方法にも関する。本発明の範囲内で用いることができる保護基は、Protective Group in Organic Synthesis)」, Wiley-Interscience,3rd Edition,1999に記載されているような一般に用いられる基から選択される。
【0033】
式(II)の化合物の3位における酸化反応は、酸化セレン、次亜塩素酸ナトリウム、酸化ルテニウム、酸化クロム、および酸化マグネシウムなどのアリル位に対する通常の酸化剤を用いて行う。好ましくは、酸化マグネシウムが用いられる。反応は、ジクロロメタン、ジクロロ-1,2-エタン、テトラヒドロフラン、ペンタン、またはヘキサンのような様々な溶媒中において行うことができる。反応媒質の温度は、選択した溶媒によって低温、室温、または還流下とすることができる。
【0034】
式(III)の化合物のカルボニル基の還元は、好ましくは水素化アルミニウムまたはホウ素のような水素化物、更に詳細には、ブロックされかつ不活化された水素化アルミニウムを用いて、低温において行われる。好都合には、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)が、テトラヒドロフランまたはジオキサンのようなエーテル含有溶媒中だけでなく、トルエン中においても、-20℃〜-70℃の範囲の温度条件下において選択される。
【0035】
式(Ia)または(Ib)の化合物を生じる式(IV)の化合物のアルキル化反応は、例えば、アルキル化剤がホスフィンとアゾジカルボキシレート、更に具体的には、トリフェニルホスフィンとアゾカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)との組合せによって活性化されたフェノールであるミツノブ反応である。
【0036】
式(Ia)の化合物に含まれる基R10の選択還元または加水分解は、加水分解にはテトラブチルアンモニウムフルオリドおよび還元にはDIBAL-Hのような通常の試薬を用いて行うことができる。
【0037】
本発明は、式(IIIa)の化合物にも関する:
【化27】

(上記式中、基R3aは分岐状のC3-C16アルキル基である)。この化合物は上記されており、ある種の式(I)の化合物を得るための合成中間体として用いられる。
【0038】
本発明は、式(IVa)の化合物:
【化28】

(上記式中、R3aは分岐状のC3-C16アルキル基である)
であって、上記されておりかつ本発明の範囲内において、式(I)の多数の化合物を得るための合成中間体として用いられる化合物にも関する。
【0039】
好都合な態様においては、式(IIIa)および(IVa)の化合物において、基R3aは第三ブチル基を表す。
【0040】
これらの化合物(IIIa, IVa)の中においては、下記の化合物を特に挙げることもできる:
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-3-オキソ-シクロヘキス-1-エニル)-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
【化29】

(2E,4E,6E,8E)-9-(3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
【化30】

【0041】
上記において定義した式(I)の化合物は、メラニン細胞によるメラニンの産生を阻害する良好な能力を示しており、従って化粧品および/または皮膚科学の分野におけるそれらの利点を示す。本発明は、従って生理学的に許容可能な媒質中に少なくとも1種類の上記で定義した式(I)の化合物を含む組成物に関する。
【0042】
本発明の組成物は、特に局所塗布を目的とするものである。更に、これは、生理学的に許容可能な媒質、換言すれば頭皮、粘膜、頭髪、体毛、および/または目と適合性のある媒質を含み、化粧用および皮膚用組成物を構成できる。
【0043】
本発明の誘導体の単独または組み合わせたもの、並びにそれらを含む組成物は、皮膚、体毛、および/または頭髪への塗布の目的で局所的に使用できる。
【0044】
本発明の範囲内で用いることができる誘導体の量は、明らかに所望な効果によって変化する。
【0045】
一つの例として、この量は、組成物の総重量に対して0.01重量%-5重量%、好ましくは0.05重量%-0.5重量%の範囲であることができる。
【0046】
式(I)の化合物は、毒性が極めて低いという利点を有し、メラニン細胞によるメラニンの産生の良好な抑制特性を示す。更に、それらの化合物は、例えばレチノイン酸または同種の他の合成酸など現在用いられている標準的生成物より副作用(皮膚の乾燥および炎症)が少ない。それらはまた、一層良好な安定性を有する。
【0047】
本発明のもう一つの態様は、少なくとも1種類の上記において定義した式(I)の化合物を含む化粧用組成物を皮膚および/または体毛および/または頭髪に塗布することを含む皮膚および/または体毛および/または頭髪を白色化および/または美白化する化粧方法に関する。
【0048】
本発明は、少なくとも1種類の上記において定義された式(I)の化合物を含む化粧用組成物をヒトの皮膚に塗布することを包含する褐色色素斑点および/または老化斑点を皮膚から除去するための化粧方法にも関する。
【0049】
一つの変更態様では、本発明は、少なくとも1種類の式(I)の化合物の医薬品としての使用に関する。
【0050】
更に詳細には、本発明は、皮膚および/または体毛および/または頭髪の脱色素に使用することを目的とする皮膚用組成物を製造するために上記において定義した少なくとも1種類の式(I)の化合物の使用に関する。
【0051】
本発明は、単独でまたは1種類以上の薬学上許容可能な賦形剤と組み合わせて、少なくとも1種類の上記において定義された式(I)の化合物を含む医薬組成物にも関する。
【0052】
本発明による医薬組成物の中では、特に経口、非経口、鼻内、経皮または皮膚貫通、直腸、舌下、目または呼吸器投与に適したもの、例えば、錠剤または糖衣ピル、舌下錠、サシェ、カプセル、ゲルカプセル、座剤、注射可能または飲用バイアルを挙げることができる。
【実施例】
【0053】
下記の実施例により、本発明の範囲は限定されない。化合物は、場合により、その化学名またはそのCTFA名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)が与えられる。
【0054】
調製A
工程1:過アセチル化アルブチン
【化31】

アルブチン15g (55.1ミリモル)をピリジン7容に溶解した後、無水酢酸55ml (0.5モル)を加えた。反応媒質を18時間攪拌した。容積を半分にまで濃縮した後、媒質を蒸留水100容に激しく攪拌しながら徐々に注ぎ入れた。生成する白色固形物を濾過し、水により洗浄し、30℃において真空乾燥し、白色固形物25.9g (53.7ミリモル)を得た。
Rf = 0.4 (トルエン/酢酸エチル 1/1)。
【0055】
工程2: テトラアセチル化アルブチン
【化32】

過アセチル化アルブチン25.9g (53.7ミリモル)を、メタノール10容およびテトラヒドロフラン10容に窒素気流下にて遮光下において溶解した。スパチュラ尖端1杯分の炭酸カリウムを加え、媒質を1.5時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーを用いて、完全な脱アセチル化が起こる前に反応を停止した。1M HCl 2容中において加水分解した後、媒質をジクロロメタンによって抽出した。有機相を飽和NaClにより洗浄し、MgSO4上において乾燥し、濾過して真空濃縮し、白色固形物18g (40.9ミリモル)を得た。
Rf = 0.6 (トルエン/酢酸エチル 1/1)。
【0056】
実施例1
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-{2,6,6-トリメチル-3-[4-((2S,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリアセトキシ-6-アセトキシメチルテトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-フェノキシ]-シクロヘキス-1-エニル}-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の2-トリメチルシラニル-エチルエステル
工程1:
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル)-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の2-トリメチルシラニル-エチルエステル
【化33】

レチノイン酸40g (0.13モル)を、酢酸エチル65容に窒素気流下にて遮光下において溶解した。ジシクロヘキシルカルボジイミド27.5g (0.13モル)、トリメチルシリルエタノール19.3ml (0.136モル)、およびジメチルアミノピリジン6.3g (0.05モル)を、0℃において加えた。反応媒質を、室温において18時間攪拌した。セライト上で濾過した後、濾液を真空濃縮した。粗生成物30gをシリカカラム上で精製し、トルエンにより溶出し、黄色固形物22g (0.055モル)を得た。
Rf = 0.8 (ヘプタン/酢酸エチル 8/2)。
【0057】
工程2:
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-3-オキソ-シクロヘキス-1-エニル)-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の2-トリメチルシラニル-エチルエステル
【化34】

工程1に記載の化合物22g (55.0ミリモル)を、ジクロロメタン40容に窒素気流下にて遮光下において溶解した。酸化マンガン329g (3.78モル)を加え、混合物を24時間攪拌した。媒質をセライト上で濾過し、真空濃縮した。粗生成物25gをシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントで溶出し、橙色固形物14.3g (34.5ミリモル)を得た。
Rf = 0.5 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)。
【0058】
工程3:
(2E,4E,6E,8E)-9-(3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の2-トリメチルシラニル-エチルエステル
【化35】

工程2に記載の化合物14.3g (34.5ミリモル)を、テトラヒドロフラン10容に窒素気流下にて遮光下において溶解した。媒質を-78℃に冷却し、20% Dibal-Hのトルエン溶液29ml (35.2ミリモル)を温度を-78℃に保持したまま滴加した。媒質を5時間攪拌した。ローゼン塩の飽和溶液20容を、-78℃において徐々に加えた。媒質を酢酸エチルにより抽出した。有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO4上において乾燥し、真空濃縮した。粗生成物16gをシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントで溶出し、黄色固形物10g (24.0ミリモル)を得た。
Rf = 0.4 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
【0059】
工程4:
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-{2,6,6-トリメチル-3-[4-((2S,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリアセトキシ-6-アセトキシメチル-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-フェノキシ]-シクロヘキス-1-エニル}-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の2-トリメチルシラニル-エチルエステル
【化36】

テトラアセチル化アルブチン(調製A参照)11.8g (26.8ミリモル)を、テトラヒドロフラン10容およびトルエン3容に窒素気流下にて溶解した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル5.2ml (29.5ミリモル)とトリフェニルホスフィン10.4g (40.2ミリモル)とをトルエン10容に溶解して新たに調製した溶液を、-5℃において滴加した。媒質を0℃において10分間攪拌した後、工程3に記載の化合物5g(12.0ミリモル)をトルエン10容に溶解したものを徐々に加えた。混合物を20時間攪拌した。媒質を真空濃縮し、残渣をシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントで溶出し、黄色固形物3.0g (3.6ミリモル)を得た。
Rf = 0.3 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
質量分析: [MNa+] 861 (計算値[MH+] 839)
【0060】
実施例2
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-{2,6,6-トリメチル-3-[4-((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-ヒドロキシメチル-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-フェノキシ]-シクロヘキス-1-エニル}-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の2-トリメチルシラニル-エチルエステル
【化37】

実施例1の化合物0.5g (0.6ミリモル)を、テトラヒドロフラン4容に遮光下において溶解した。次いで、メタノール3容並びにスパチュラ尖端1杯分の炭酸カリウムを加えた。混合物を6時間攪拌した。蒸留水中において加水分解した後、媒質を濃縮し、ジクロロメタンにより抽出した。有機相を飽和NaCl溶液により洗浄し、MgSO4上において乾燥し、真空濃縮し、淡黄色固形物30g (0.04ミリモル)を得た。
Rf = 0.1 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
質量分析: [MNa+] 693 (計算値[MH+] 671)
【0061】
実施例3
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-{2,6,6-トリメチル-3-[4-((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-ヒドロキシメチル-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-フェノキシ]-シクロヘキス-1-エニル}-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸
【化38】

実施例1の化合物0.5g (0.6ミリモル)を、エタノール10容に遮光において懸濁させた。2Mソーダ溶液0.3ml (0.6ミリモル)を、反応媒質に加えた。混合物を7時間攪拌した。2Mソーダ1.8mlを再度加えた。酸加水分解(HCl 6N)によりpH = 5.8とした後、媒質を濾過し、固形物残渣を真空乾燥し、淡黄色固形物0.07g (0.12ミリモル)を得た。
Rf = 0.1ジクロロメタン/メタノール 9/1)
質量分析: [MNa+] 593 (計算値[MH+] 571)
【0062】
実施例4
(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
工程1:
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル)-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
【化39】

レチノイン酸9.1g (30.3ミリモル)を、ジクロロメタン10容に溶解した。2-第三ブチル-l,3-ジイソプロピル-イソ尿素14g (69.6ミリモル)を、室温にて窒素気流下で遮光下において加えた。媒質を18時間攪拌した。薄層クロマトグラフィースクリーニングにより、反応の終点を確認した(UV検出)。次に、尿素塩を濾過した。濾液を遮光下において濃縮し、シリカカラム上で溶離剤としてヘプタン/酢酸エチル 9/1を用いて遮光下において精製し、クリーム状油状生成物10.4g (29.2ミリモル)を得た。
Rf = 0.4 (ヘプタン/酢酸エチル 8/2)
【0063】
工程2:
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチル-3-オキソ-シクロヘキス-1-エニル)-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
【化40】

工程1の化合物10.4g (29.2ミリモル)を、ジクロロメタン40容に窒素気流下にて遮光下において溶解した。酸化マンガン114g (131ミリモル)を加え、混合物を72時間攪拌した。媒質をセライト上において濾過し、シリカカラム上でヘプタン/酢酸エチル9/1混合物を用いて精製した。結晶化の後、橙色固形物10g (27.0ミリモル)を得た。
Rf = 0.5 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
【0064】
工程3:
(2E,4E,6E,8E)-9-(3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
【化41】

工程2の化合物10g (27.0ミリモル)を、テトラヒドロフラン10容に窒素気流下にて遮光下において溶解した。媒質を-78℃に冷却し、20% Dibal-Hのトルエン溶液23ml (27.5ミリモル)を温度を-78℃に保持しながら滴加した。媒質を3時間攪拌した。ローゼン塩の飽和溶液20容を、-60℃において加えた。媒質をジクロロメタンにより抽出した。有機相飽和NaCl溶液により洗浄し、MgSO4上において乾燥し、真空濃縮した。粗生成物50gをシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントで溶出し、黄色クリーム状油状生成物6.8g (18.3ミリモル)を得た。
Rf = 0.3 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
【0065】
工程4:
(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
【化42】

4-メトキシフェノール0.67g (5.2ミリモル)をトルエン20容に窒素気流下にて溶解した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.58ml (28.6ミリモル)とトリフェニルホスフィン1.1g (38.9ミリモル)とをトルエン40容に溶解して新たに調製した溶液を、-5℃において滴加した。媒質を0℃において10分間攪拌した。工程3の化合物0.97g (26.0ミリモル)をトルエン20容に溶解したものを遮光下において徐々に加えた。混合物を20時間攪拌した。媒質を真空濃縮し、残渣をシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチル系(98/2)で溶出し、黄色油状生成物0.5gを得た。
Rf = 0.7 (ヘプタン/酢酸エチル 8/2)
質量分析: [MNa+] 501 (計算値[MH+]479)
【0066】
実施例5
(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7- ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化43】

実施例4の化合物0.5g (1.04ミリモル)を、トルエン10容に窒素気流下にて遮光下において溶解した。媒質を-78℃に冷却し、20% Dibal-Hのトルエン溶液0.89ml (1.07ミリモル)を、温度を-78℃に保持しながら滴加した。媒質10分間攪拌した。ローゼン塩の飽和溶液10容を、-78℃において加えた。媒質をトルエンにより抽出した。有機相を飽和NaCl溶液により洗浄し、MgSO4上において乾燥し、真空濃縮した。粗生成物0.8gをシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントにより溶出した。得られた黄色結晶生成物をペンタンにより洗浄し、黄色固形物150mg (0.37ミリモル)を得た。
Rf = 0.2 (ヘプタン/酢酸エチル 8/2)
質量分析: [MNa+] 429 ( 計算値[MH+]407)
【0067】
実施例6
(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-ヒドロキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル
【化44】

ヒドロキノン1.1g (10.06ミリモル)を、テトラヒドロフラン40容に窒素気流下にて溶解した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.87ml (4.42ミリモル)とトリフェニルホスフィン1.6g (6.04ミリモル)とをトルエン30容とテトラヒドロフラン30容に溶解して新たに調製した溶液を、-5℃において滴加した。媒質を0℃において10分間攪拌した後、実施例4の化合物1.5g (4.03ミリモル)をトルエン20容に溶解したものを遮光下において徐々に加えた。次に、混合物を20時間攪拌した。媒質を真空濃縮し、残渣をシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチル系(8/2)で溶出し、黄色固形物0.6gを得た。
Rf = 0.6 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
質量分析: [MNa+] 487 (計算値[MH+]465)
【0068】
実施例7
(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-ヒドロキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7- ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化45】

第三ブチルジメチルシリル基によってモノ保護されたヒドロキノン6.9g (31.0ミリモル)を、トルエン10容に窒素気流下にて溶解した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル7.9ml (40.3ミリモル)とトリフェニルホスフィン12.2g (46.5ミリモル)とをトルエン10容に溶解して新たに調製した溶液を、-5℃において滴加した。媒質を0℃において10分間攪拌した後、実施例4の工程3により得た(2E,4E,6E,8E)-9-(3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル6g (2.68ミリモル)をトルエン10容に溶解したものを遮光下において徐々に加えた。混合物を20時間攪拌した。混合物を真空濃縮し、残渣をシリカカラム上で精製し、ヘプタン/イソプロピルエーテルグラディエントで溶出した。黄色固形物5.16g (8.91ミリモル)を得た(収率55%)。
【0069】
脱保護およびアルデヒド官能基の生成
上記化合物1.32g (2.28ミリモル)を、トルエン10容に窒素気流下にて遮光下において溶解した。媒質を-80℃に冷却し、20% Dibal-Hのトルエン溶2.46mlを徐々に加えた。媒質を20分間攪拌した後、ローゼン塩の飽和溶液20容を-78℃において加えた。激しく攪拌した後、媒質をトルエンにより抽出した。有機相を飽和NaCl溶液により洗浄し、MgSO4上において乾燥し、真空濃縮した。粗製混合物をシリカカラム上で精製し、ヘプタン/イソプロピルエーテルグラディエントで溶出した。黄色固形物0.58g (1.18ミリモル)を得た(収率51%)。
【0070】
上記誘導体1.87g (3.69ミリモル)を、テトラヒドロフラン10容に遮光下において溶解した。1Mテトラブチルアンモニウムフルオリド溶液5.2ml (5.17ミリモル)を0℃において滴加した。媒質を20分間攪拌した後、飽和NH4Cl溶液に注ぎ入れた。イソプロピルエーテルにより抽出した後、有機相を飽和NaClにより洗浄し、Na2SO4上において乾燥し、真空濃縮した。粗製混合物をシリカカラム上で精製し、ヘプタンにより処理し、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントにより溶出した。橙赤色固形物1g (2.55ミリモル)を得た(収率69%)。
【0071】
実施例8
9-[(3-トランスデセノエート)-2,6,6トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル- ノナ-2,4,6,8テトラエナール
工程1:
9-(2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化46】

実施例4の工程3に準じて調製したヒドロキシレチノイン酸の第三ブチルエステル2g (5.37ミリモル)を、トルエン10容に窒素気流下にて遮光下において溶解した。媒質を-78℃に冷却した後、20% Dibal-Hのトルエン溶液4.57ml (5.48ミリモル)を滴加した。-78℃において3時間攪拌した後、ローゼン塩の飽和溶液20容を加えた。媒質をトルエンにより抽出し、有機相を飽和NaCl溶液により洗浄し、MgSO4上において乾燥して濾過し、真空濃縮した。得られた粗生成物をシリカカラム上で精製し、ヘプタン、ヘプタン/酢酸エチル 9/1グラディエントにより溶出した。黄色固形物180mgを得た(20%)。
Rf = 0.2 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
質量分析: [M+Na+] = 323 (計算値[MH+]300)
【0072】
工程2:
9-[(3-トランスデセノエート)-2,6,6トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ- 2,4,6,8テトラエナール
【化47】

工程1の化合物0.3g (1ミリモル)を、ジクロロメタン30容に0℃において溶解した。ジメチルアミノピリジン0.14g (1.15当量)並びにトランス-2-デカン酸1.1当量を加えた。ジシクロヘキシルカルボジイミド0.24gを加え、反応混合物を室温において24時間攪拌した。媒質をセライト上で濾過し、尿素塩を除去し、濾液を濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、予想生成物を得た。
Rf = 0.7 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
質量分析: [MNa+] 475 (計算値[MH+]452)
【0073】
実施例9
9-[(3-リノレエート)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8テトラエナール
【化48】

実施例7、工程1の化合物0.3g (1ミリモル)を、ジクロロエタン30容に溶解した。ピリジン0.09ml (1当量)を加えた。これに続いて、塩化オレイル誘導体1.1当量を反応媒質に徐々に加えた。媒質を室温において7時間攪拌した。媒質を加水分解し、ジクロロエタンにより抽出した。有機相を、飽和NaClで、次いで0.1M HClで、最後に飽和NaCl溶液で洗浄した。Na2SO4上において乾燥して濾過した後、有機相を真空濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、予想生成物を得た。
Rf = 0.7 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
質量分析: [MNa+] 587 (計算値[MH+]564)
【0074】
実施例10
9-[(3-リノレエート)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化49】

予想生成物を、塩化オレイルを塩化リノレイルに換えることを除き、実施例8に記載の方法と同一の方法を用いて得た。
【0075】
実施例11
9-[(3-リポエート)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化50】

予想生成物を、塩化オレイルを塩化リポイルに換えることを除き、実施例8に記載の方法と同一の方法を用いて得た。
【0076】
実施例12
9-[{3-(8-ヒドロキシ-5-メチル-2-オクテノエート)}-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7- ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化51】

予想生成物を、塩化オレイルを8-ヒドロキシ-5-メチル-2-オクテン酸の塩化物に換えることを除き、実施例8に記載の方法と同一の方法を用いて得た。
【0077】
実施例13
9-[(3-テトラアセチルグルコース)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール
【化52】

1.0M ZnCl2のエーテル溶液8ml (2.5 当量)を、モレキュラーシーブ4Å 0.7gの存在下にてトルエン2容およびアセトニトリル2容により希釈した。10分間攪拌した後、反応媒質を90℃の水槽に浸漬し、実施例7、工程1の化合物0.21g (0.70ミリモル, 1当量)を加えた。10分間攪拌した後、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α- D-グルコピラノシルブロミド0.32g (0.77ミリモル, 1.1当量)およびトリエチルアミン0.25ml (1.75ミリモル, 2.5当量)を加えた。反応媒質を、80℃において一晩加熱した。媒質を室温において濾過し、濾液を飽和NaHCO3溶液中において攪拌した。抽出し、飽和NaCl溶液により洗浄した後、有機相を真空濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、予想化合物を得た。
Rf = 0.7 (ヘプタン/酢酸エチル 7/3)
質量分析: [M+Na+] = 653 (計算値[M+H]+ 630)
【0078】
実施例14
(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル
【化53】

三つ口フラスコ中で、窒素気流下遮光下で、ヒドロキシ-レチナール0.25g (0.83ミリモル)をジクロロメタン35容に溶解した。リノレン酸0.28g (1.2当量)並びにジメチルアミノピリジン0.13g (1当量)を、媒質に加えた。ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.20g, 1当量)をジクロロメタン5容に溶解したものを、徐々に加えた。反応媒質を、室温において一晩攪拌した。TLCスクリーニングにより、反応の終点を調整することができた。次に、媒質を濾過し、真空濃縮した。残渣をシリカカラム上で遮光下にて精製した後、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントにより溶出し、黄色固形物(0.40g、すなわち、収率約85%)を得た。
TLC (ヘプタン/酢酸エチル 7/3): Rf = 0.8
質量分析: [M+Na]+ = 583 (計算値 560)
【0079】
実施例15
(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル
【化54】

実施例13と同じ操作条件をヒドロキシレチナールおよびリノレン酸に応用して、250mgの量についてエステル化を34%の収率で行う。
【0080】
実施例16
(E)-14-ヒドロキシ-テトラデク-2-エン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル
【化55】

保護-エステル化-脱保護についての同じ操作条件をヒドロキシレチナールおよび(E)-14-テトラデク-2-エン酸(上記で合成)に500mgの量について総収率15%で応用する。
TLC (ヘプタン/酢酸エチル 7/3): Rf = 0.2
質量分析: [M+Na]+ = 547 (計算値 524)
【0081】
実施例17
(E)-10-アセトキシ-デク-2-エン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル
【化56】

三つ口フラスコ中で窒素気流下にて、(E)-10-ヒドロキシ-デク-2-エン酸1g (5.3ミリモル)を、ピリジン10容に溶解した。無水酢酸546μl (1.1当量)を加えた。反応媒質を、室温において一晩攪拌した。TLCスクリーニングによって、反応の終点を調整することができた。次に、媒質を濾過し、真空濃縮した。残渣を、塩水と酢酸エチル溶液とに吸収させた。混合物を酢酸エチルにより抽出し、有機相を1M塩酸により洗浄し、次いで飽和NaCl溶液により洗浄した後、MgSO4上において乾燥し、濾過して真空濃縮し、褐色油状生成物を得た。粗生成物をシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントで溶出した。黄色油状生成物850mgを得た(収率70%)。
【0082】
三つ口フラスコ中で窒素気流下にて、ヒドロキシレチナールの黄色結晶生成物0.25g (0.83ミリモル, 1.2当量)をジクロロメタン40容に溶解した。アセテート形態の保護されたヒドロキシ酸(0.25g, 1当量)をジクロロメタン40容で希釈し、反応媒質に加えた。メチルアミノピリジン0.15g (1当量)を加えた後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.38g, 1.2当量)をジクロロメタン20容に溶解したものを、反応媒質に徐々に加えた。混合物を、遮光下において一晩攪拌した。TLCスクリーニングによって、反応の終点を調整することができた。次いで、反応媒質を濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカカラム上で精製した後、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントで遮光下にて溶出した。黄色油状生成物0.28gを得た(収率65%)。
TLC (ヘプタン/酢酸エチル 7/3): Rf = 0.4
【0083】
実施例18:
(E)-10-ヒドロキシ-デク-2-エン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル
【化57】

実施例17と同じ手順で行った後、上記油状生成物0.2gをフラスコ中でメタノール40容で希釈した。KHCO3およびK2CO3(それぞれ、メタノール1ml中70mgおよび50mg)の新たに調製した溶液467μlを加えた。媒質を、室温にて遮光下において4.5時間攪拌した。TLC測定によって、脱保護の終点を調整することができた。媒質に水を加えて加水分解した。次いで、これをジクロロメタンで抽出した。有機相を集めて、飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過して、濃縮した。残渣をシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントで遮光下において溶出した。黄色固形物0.11gを、60%の収率で得た。
TLC (ヘプタン/酢酸エチル 7/3): Rf = 0.2
質量分析: [M+Na]+ = 491 (計算値 468)
【0084】
実施例19
ヘプタン二酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチル-トリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルビスエステル
【化58】

三つ口フラスコ中で、窒素気流下にて、ピメリン酸0.8g (0.95当量)をジクロロメタン20容に溶解した。ジシクロヘキシルカルボジイミド1.1g (1当量)およびジメチルアミノピリジン0.63g (1当量)を加えた。室温において5分間攪拌した後、(+)-δ-トコフェロール2.1g (5.2ミリモル)をジクロロメタン10容に溶解したものを、徐々に加えた。反応媒質を6時間攪拌した。TLC測定によって、反応の終点を調整することができた。次いで、媒質を濾過して濃縮した。残渣をシリカカラム上で精製し、ヘプタン/酢酸エチルグラディエントで溶出した。油状生成物0.35gを得た(収率12%)。
【0085】
三つ口フラスコ中で、窒素気流下遮光下で、ヒドロキシレチンアルデヒド0.17g (0.57ミリモル)を0℃においてジクロロメタン30容に溶解した。ジメチルアミノピリジン0.08g (1.2当量)を加え、上記で得たトコフェロール-C7スペーサー誘導体0.35g (1.15当量)を加えた。ジシクロヘキシルカルボジイミド0.17g (1.4当量)をジクロロメタン20容に溶解したものを、0℃で媒質に加え、混合物を室温において24時間攪拌した。TLC測定によって、反応の終点を調整することができた。媒質をセライト上で濾過して尿素塩を除去し、濾液を濃縮した。粗生成物を遮光下でシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、橙黄色油状生成物(0.28g, すなわち、収率60%)を得た。
TLC (ヘプタン/酢酸エチル 7/3): Rf = 0.5
質量分析: [M+Na]+ = 849 (計算値 827)
【0086】
実施例20:
ノナン二酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチル-トリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルビスエステル
【化59】

上記実施例と同じ操作条件を(+)-δ-トコフェロールおよびアゼライン酸に応用した。次に、この誘導体を、250mgの量でのエステル化によってヒドロキシレチナールに総収率11%でカップリングした。
TLC (ヘプタン/酢酸エチル 7/3): Rf = 0.6
質量分析: [M+Na]+ = 877 (計算値 854)
【0087】
実施例21:
コハク酸の3-(1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチル-トリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルビスエステル
【化60】

上記と同じ操作条件を、(+)-δ-トコフェロールおよびコハク酸に応用した。次に、この誘導体を、200mgの量でのエステル化によってヒドロキシレチナールに総収率3%でカップリングした。
【0088】
実施例22:
ペンタン二酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチル-トリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルビスエステル
【化61】

上記と同じ操作条件を、(+)-δ-トコフェロールおよびグルタル酸に応用した。次に、この誘導体を、250mgの量でのエステル化によってヒドロキシレチナールに総収率21%でカップリングした。
TLC (ヘプタン/酢酸エチル 7/3): Rf = 0.6
【0089】
実施例23:
【0090】
白色化組成物
【表1】

【0091】
白色化ローション
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物、それらの鏡像異性体およびジアステレオ異性体、並びに酸または生理学的に許容可能な塩基への付加により生じる任意の塩:
【化1】

(上記式中、
R1はR'1または-A-R'1基であり、R'1は-COOH、-COOR3、-CONH2、-CONHR3、-CONR3R4、-CHO、-CH2OH、-CH2OR5から選択され、Aは直鎖状もしくは分岐状のC1-C16アルキレン基、直鎖状もしくは分岐状のC2-C16アルケニレン基、または直鎖状もしくは分岐状のC2-C16アルキニレン基であり、
R2は:
・場合によって置換されたアリール基もしくは場合によって置換されたヘテロアリール基、または
・オシド残基、または
・場合によって分岐しおよび/または好ましくは鎖の末端が、特にヒドロキシ、アセトキシ、または保護されたもしくは保護されていないアミノ残基によって置換された脂肪酸残基、
・-OC-(CH2)nCO-(α、β、γ、またはδ)トコフェリル基(但し、2≦n≦10)、
・-R'2-O-R6
(上記式中、R'2は場合によって置換されたアリーレン基または場合によって置換されたヘテロアリーレン基であり、R6は水素原子、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC1-C16アルキル基、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルケニル基、または直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルキニル基、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたトコフェリル基もしくは類似体、アミノ酸残基、またはオシド残基である)を表し、
R3およびR4は、独立して、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC1-C16アルキル基、直鎖状もしくは分岐状のC2-C16アルケニル、または直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルキニルであり、
R5は、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC1-C16アルキル基、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルケニル基、直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アルキニル基、または直鎖状もしくは分岐状の場合によって置換されたC2-C16アシル基である)。
【請求項2】
R1が、-COOH、-COOR3、-CHO、-CH2OH、-CH2OR5(上記式中、R3およびR5は請求項1において定義した通りである)から選択される基である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Aがメチレン基である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
R2が基-R'2-O-R6(上記式中、R'2は場合によって置換されたアリーレン基であり、R6は直鎖状もしくは分岐状の(C1-C6)アルキル基またはオシド残基である)である、請求項1−3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
R'2がフェニレン基であり、R6がグルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、フコース、ラムノースから選択される糖残基である、請求項4に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
下記から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物:
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-{2,6,6-トリメチル-3-[4-((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-ヒドロキシメチル-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-フェノキシ]-シクロへキス-1-エニル}-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸、
(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル、
(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール、
(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-ヒドロキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル、
(2E,4E,6E,8E)-9-[3-(4-ヒドロキシ-フェノキシ)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール、
(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-{2,6,6-トリメチル-3-ジメチル-[4-((2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-ヒドロキシメチル-テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-フェノキシ]-シクロへキス-1-エニル}-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール、
9-[(3-トランスデセノエート)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル}-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール、
9-[(3-リノレエート)-2,6,6-トリメチル-シクロへキス-1-エニル}-3,7-ジメチルノナ-2,4,6,8-テトラエナール、
9-[(3-リノレネート)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール、
(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル、
9-[(3-リポエート)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール、
9-[{3-(8-ヒドロキシ-5-メチル-2-オクテノエート)}-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]- 3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエナール、
(E)-14-ヒドロキシ-テトラデク-2-エン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル、
(E)-10-ヒドロキシ-デク-2-エン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル、
(E)-10-アセトキシ-デク-2-エン酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルエステル、
9-[(3-テトラアセチルグルコース)-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル]-3,7-ジメチル-ノナ- 2,4,6,8-テトラエナール、
ヘプタン二酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチル-トリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルビスエステル、
ノナン二酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチルトリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルのビスエステル、
コハク酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチルトリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルのビスエステル、
ペンタン二酸の3-((1E,3E,5E,7E)-3,7-ジメチル-9-オキソ-ノナ-1,3,5,7-テトラエニル)-2,4,4-トリメチル-シクロヘキス-2-エニルおよび(R)-2,8-ジメチル-2-((4R,8R)-4,8,12-トリメチル-トリデシル)-1-ベンゾピラン-6-イルのビスエステル。
【請求項7】
請求項1−6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)の化合物:
【化2】

(上記式中、R10は、基-CH2OHを除き、請求項1に記載の基R1と同じ意味を有する)
の3位においてアリル酸化反応を行い、式(III)の化合物:
【化3】

(上記式中、R10は上記において定義した通りである)
を得て、
次に、その3位のカルボニル基を還元して対応する式(IV)のアルコール:
【化4】

とし、
化合物(IV)をアルカリ性、酸性、または中性媒質中において、場合によりカップリング試薬の存在下にて、式R2-X (上記式中、Xはヒドロキシ基またはハロゲン原子であるが、前記ヒドロキシ基は必要ならば出発基の形態において当然活性化させることができる)の試薬を用いてアルキル化反応またはカップリング反応を行って、式(I)の化合物の具体例である式(Ia)の化合物:
【化5】

(上記式中、R2は請求項1において定義した通りであり、R10は上記と同じ意味を有する)
を生成させ、
これを、基R10が請求項1に記載の基-COOR3である場合には、加水分解または還元反応を行って、式(I)の化合物の具体例である式(Ib)の化合物:
【化6】

(上記式中、R2は請求項1において定義した通りであり、R11は基-COOHまたはCH2OHである)
を生成させることができ、
上記化合物に含まれる様々な基は、当然、用いられる試薬の不適合性に依存し、保護後、任意の時間に脱保護した基の合成に適切であることを特徴とする、方法。
【請求項8】
式(IIIa)の化合物:
【化7】

(上記式中、基R3aは分岐状のC3-C16アルキル基である)。
【請求項9】
請求項8に記載の式(IIIa)の(2E,4E,6E,8E)-9-(3-オキソ-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル。
【請求項10】
式(IVa)の化合物:
【化8】

(上記式中、R3aは分岐状のC3-C16アルキル基である)。
【請求項11】
請求項10に記載の式(IVa)の(2E,4E,6E,8E)-9-(3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-シクロヘキス-1-エニル)-3,7-ジメチル-ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸の第三ブチルエステル。
【請求項12】
生理学的に許容可能な媒質中に請求項1−6のいずれか一項に記載の少なくとも一種類の式(I)の化合物を含むことを特徴とする、化粧用または皮膚用組成物。
【請求項13】
前記式(I)の化合物の量が、組成物の総重量の0.01重量%-5重量%の範囲であることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1−6のいずれか一項に記載の少なくとも一種類の式(I)の化合物を含む化粧用組成物を、皮膚および/または体毛および/または頭髪に塗布することを含んでなる、ヒトの皮膚および/または体毛および/または頭髪を白色化および/または美白化する方法。
【請求項15】
皮膚および/または体毛および/または頭髪の脱色素のための使用を目的とする皮膚用組成物を製造するための、請求項1−6のいずれか一項に記載の少なくとも一種類の式(I)の化合物の使用。
【請求項16】
医薬品として使用するための、請求項1−6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項17】
皮膚の脱色素のための使用を目的とする組成物を製造するための、請求項1−6のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−519298(P2009−519298A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545006(P2008−545006)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069731
【国際公開番号】WO2007/068745
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(500166231)ピエール、ファブレ、デルモ‐コスメティーク (30)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO−COSMETIQUE
【Fターム(参考)】