説明

新規医薬組成物を用いた免疫調節

一群の新規腫瘍壊死因子(TNFα)阻害剤及び免疫調節剤の合成及び使用を提供する。これらの化合物は、薬理学的用途で用いられるとともに、TNFα及び他の関連するサイトカインに関係のあるアッセイにおいて使用できる。医薬として、上記化合物は、TNFα及び/又は1種以上の他の関連するサイトカインが、求められていないにも関わらず存在している状態、又は活動する状態と関係がある炎症性、伝染性、自己免疫性又は他の増殖性の疾患及び症状を治療するために、単独で、あるいは他の薬剤と組み合わせて使用されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一群の新規腫瘍壊死因子(TNFα)阻害剤及び免疫調節剤の合成及び使用に関する。これらの化合物は、薬理学的用途で用いられるとともに、TNFα及び他の関連するサイトカインに関係のあるアッセイにおいて使用できる。医薬として、上記化合物は、TNFα及び/又は1種以上の他の関連するサイトカインが、求められていないにも関わらず存在している状態、又は活動する状態と関係がある炎症性、伝染性、自己免疫性又は他の増殖性の疾患及び症状を治療するために、単独で、あるいは他の薬剤と組み合わせて使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
炎症誘発性サイトカインが豊富に産出されることは、多くの炎症性疾患及び自己免疫性疾患の病因と関係がある。TNFαの分泌は、炎症性カスケードの開始における最初の事象であり(非特許文献1、非特許文献2)、上記疾患の始動及び維持に直接寄与する。さらにインターロイキン1β(IL‐1β)、IL‐6、IL‐8、IL‐12、一酸化窒素(NO)、IFN‐γ及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)等の他の炎症誘発性サイトカインもまたある役割を果たし、一方IL‐10等の抗炎症性サイトカインは疾病を軽減し得る。免疫系の細胞、特にマクロファージは、刺激の活性化に反応して上記サイトカインの多くを分泌する。炎症誘発性のサイトカイン、及び特にTNFαをブロックすることにより、様々な炎症性疾患の症状及び進行が改善されることが示されている。従って、TNFαの産出若しくは活動のいずれかを抑制すること、及び/又は、疾患の際に活動する他のサイトカインを調節することは、炎症性、伝染性、自己免疫性又は他の増殖性の疾患及び症状を処置するための注目すべき治療上のターゲットとなっている。
【0003】
多くの炎症性疾患は、ステロイド、メトトレキサート、又は、シクロホスファミド;シクロスポリン、アザチオプリン及びレフルノミド等の免疫抑制剤、アスピリン、アセトアミノフェン及びCOX‐2インヒビター等の非ステロイド系抗炎症剤、金剤及び抗マラリア剤を用いて治療されている。これらの医薬品は、副作用や効能不足等の種々の欠点を有している。そこで緩和の軽減がより早く、効能が改善された、新しい抗TNFα性の生物療法が現れている。しかしながら、タンパク質をベースとする治療においても、注射部位反応、発疹、呼吸器系最上部の感染、自己免疫疾患及び重度の伝染病等の副作用等の障害が生じる。これらの生物的治療のもう一つの短所は、静脈内(IV)、あるいは皮下(SC)といった投与経路が必要とされることである。このような投与経路は、より便利でかつより抵抗の少ない経口経路又は皮膚経路とは相反するものである。従って、TNFαを阻害し、かつ/又は、1種以上の他のサイトカインの発現を調整することによって、炎症性、伝染性、自己免疫性及び他の増殖性の疾患及び症状を治療するために使用することができる新規小分子組成物を開発する必要性が未だ存在する。
【0004】
慢性の進行性炎症性自己免疫疾患である関節リウマチ(RA)の病因はサイトカインが介在している。TNFα(非特許文献3)、IL‐1(非特許文献4)、IL‐10(非特許文献5)及びGM‐CSF(非特許文献6、非特許文献7)等のいくつかのサイトカインは、進行中の疾患を患っているRA患者の関節中で上方制御される。関節炎及びヒトRAの実験動物モデルにおいて、TNFα及びIL‐1βの量の増加が関節の腫れの一因になり得ることが確認された(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12)。TNFαに対して抗体及び融合タンパク質の両方を使用する抗TNFα療法は、マウス(非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15)及びヒトの臨床的環境(非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22)において、コラーゲン誘導性関節炎の症状を軽減することが示されている。最近、組み換えIL‐1レセプター・アンタゴニストをメトトレキサートと組み合わせて使用する抗IL1β療法が、RA患者の治療において効果的であることが示された(非特許文献23)。関節炎の実験動物モデルにおいて、NOの産出の阻害(非特許文献24)、GM‐CSFの活動の妨害(非特許文献25)、又は、組み換えIL‐10(抗炎症性サイトカイン)を用いた治療(非特許文献26)によって関節炎の症状は弱められた。これらの研究は、RAの病因に対する個々のサイトカインの寄与を強く示すものであり、また2種以上のサイトカインをターゲットとするか、あるいは選択した一群のサイトカインをターゲットとする治療がより効果的である可能性があることを示唆している。
【0005】
TNFαをターゲットとする療法は、人体内、及び、ヒトの疾患の動物モデル内における他の炎症性疾患に有効なことが示されている。抗TNFα療法は、慢性炎症性腸疾患であるクローン病を効率よく治療するために使用されている。TNFαに対する静脈内投与用モノクローナル抗体であるインフリキシマブ(Infliximab)(Remicade、Centocor社製)は、難治性クローン病用の薬として市販することが承認されている。注射用TNFαレセプター融合タンパク質であるエタネルセプト(Etanercept)(Enbrel、Amgen社製)が投薬されている患者に対して組み合わせた結果が示されている。ある小調査においては、この薬での治療の後、患者には好ましい反応が見られ、炎症マーカーは減少した(非特許文献27)。別の研究においては、エタネルセプトは、中程度から重度の症状のクローン病の患者の治療には効果がないことが判明した(非特許文献28)。効果がない理由は、その機構及び処方量が異なっているから、という可能性もある他、生物製剤が標的細胞母集団に達しなかったことを示している可能性もある。他のTNFα制御剤としては、TNFα産出を下方制御し、かつ血管形成を阻害する小分子のサリドマイドが、実験において、ラットのヨードアセトアミド誘導型大腸炎を軽減することが示されている(非特許文献29)。さらに、サリドマイドによる治療を受けた子どもや若年の成人層に関わる長期的な治療プロトコルにおける初期の結果は、治療の結果としてクローン病の活動が減少したことを示唆している(非特許文献30)。
【0006】
脊椎関節症(SpA)は、脊椎炎、滑膜炎、乾癬性関節炎及び潜在性腸炎等の、多様な臨床的症状に関連する疾患群である。TNFαは、上記症候群の病因おいて重要な役割を果たすものと考えられ、また、SpA患者の関節、皮膚及び腸において、TNFαの濃度が高くなることがわかっている。エタネルセプト(Etanercept)は、乾癬性関節炎の治療薬として承認されている。インフリキシマブ(Infliximab)は、2回の一般試験の中で使用された結果、SpA(非特許文献31、非特許文献32)及び乾癬性関節炎(非特許文献33)に対して、有意な臨床上の効果を発揮することが実証されている。これらの医薬品の共通する作用機序及び臨床上の結果を改善する共通の能力から、抗TNFα治療がSpAの治療に有用であることが示唆される。
【0007】
TNFαの局所放出は炎症性皮膚病乾癬の一因となる。乾癬の患者の損傷した角質層からの抽出物中のTNFα及び可溶性TNFαレセプター(p5及びp75)の濃度は、対照の濃度よりも高かった(非特許文献34)。これらの結果から、免疫反応性TNFαの存在及びTNFαの作用を調整し得る可溶性TNFレセプターの定量的濃度が確認されている。多くの症例報告及び臨床での小調査において、インフリキシマブが乾癬の症状を改善したことが示されている(非特許文献35、非特許文献36、非特許文献37)。エタネルセプトもまた臨床的に評価されており、乾癬の症状に対する有効性が示されている。生体活性のあるIL−1βもまた乾癬の鱗屑中で発見されており(非特許文献38)、これにより乾癬の病因におけるこのサイトカインの役割が示唆されている。この場合もまた、種々のサイトカインの相互作用がこの疾病において重要であると考えられ、種々のサイトカインをターゲットとすることが治療において効果的であることを示唆している。
【0008】
TNFαの生産過剰は、さらに糖尿病等の多数の自己免疫疾患の臨床上の徴候の原因となる。TNFαに向けられた治療法はII型糖尿病における臨床上の利点を備えていることが示されている。例えば、チアゾリジンジオン誘導体はペルオキシソーム増殖剤応答性受容体‐γ(PPARγ)を活性化し、その結果としてマクロファージ活性化を減少させ、かつTNFαの産出を減少させる薬品群である(非特許文献39、非特許文献40)。これらの薬剤はインシュリン非依存性糖尿病に関するヒトでの種々の臨床研究で検証されており、またこれらの薬剤は、グルコース代謝と血液の脂質プロフィールの制御を改善し(非特許文献41、非特許文献42、非特許文献43)、さらに血漿中のTNFα量を低減させた(非特許文献44)。
【0009】
全身性エリトマトーデス(全身性紅斑性狼瘡、SLE)は、TNFα量の増加によって引き起こされるまた別の自己免疫疾患である。狼瘡の患者の体内では、血清C反応性蛋白質であるIL−1β及びTNFαの量が対照よりも高く、これは過剰の免疫反応がこの疾患において何らかの役割を果たしていることを示唆している(非特許文献45)。SLEの1形態である、神経精神的紅斑性狼瘡(NPLE)の患者に関するある研究により、TNFαに対するmRNAを発現する末梢血単核細胞の数、及び脳脊髄液中のNO代謝物質の濃度が、NPLE疾患の発病度と相関のあることが示された(非特許文献46)。Segalによる研究(非特許文献47)では、SLEはヒト抗DNA抗体を有するマウスの体内で誘発された。その後、これらのマウスは、抗TNFα抗体、あるいはTNFα産出を減少させるホスホジエステラーゼ阻害薬であるペントキシフィリンを用いて治療された。両方の治療によって、TNFαの産出は減少し、抗DNA抗体の血中濃度は低下した。抗炎症性のサイトカインであるIL‐10は、狼瘡のマウスモデルを制御することが示されている。IL‐10−/−ノックアウトマウスは狼瘡感受性マウスと交配された。これらのマウスでは、IL‐10+/+マウスよりも狼瘡がより重症となり、死亡率が高くなった(非特許文献48)。理想的なSLE治療は複数のサイトカインをターゲットとすることであろう。すなわちTNFα量を抑制する一方、IL‐10の量に対しては抑制を強めたり、抑制を加えたりしないことである。
【0010】
TNFαは、さらに皮膚での狼瘡に関与する。ヒトTNFαプロモーターのA‐308A多形は、亜急性皮膚LEを患う患者における有病率が著しく高い。この多形により、UVBへの曝露後のTNFαの誘導が野生型より実質的に高くなるが、これはこの疾患で見られる感光性を原因とするものである(非特許文献49)。局所的な円盤状のLEを患う患者からの生検によって、正常な皮膚と比較して、IL‐2及びIFNγ mRNAの量が著しく増加すること、及び、TNFα mRNA量が増加することが示されている(非特許文献50)。全般に、これらの発見は、抗TNFα治療がLEのこれらの形態のLEを患う患者に有益であろう、ということを示唆するものである。
【0011】
多発性硬化症は、ミエリン鞘に対するT細胞介在型自己免疫反応によって特徴づけられる、中枢神経系の炎症性脱髄疾患である。多くの炎症誘発性サイトカインは、ヒトの疾患(非特許文献51)及びマウスの自己免疫性脳脊髄炎(EAE)実験モデル(非特許文献52)における進行性炎症の原因となる。EAE動物モデルへの抗TNFα抗体の投与は、脱髄及び麻痺を解消した(非特許文献53、非特許文献54)。モノクローナル抗体及び可溶性TNFαレセプターを用いた臨床試験は失敗に終わり、新しい抗TNFα療法の開発の必要性が高まった(非特許文献55)。
【0012】
さらにTNFαは、T細胞クローン(非特許文献56、非特許文献57、非特許文献58)及び単球(非特許文献59)内でのヒト免疫不全ウイルス1(HIV‐1)の発現を強力に上方制御することが見出されている。TNFαは、HIVドッキングレセプターであるCXCR4の面密度を増加させることにより、T細胞中でのHIV‐1複製を増強する(非特許文献60)。TNFαの生体内での作用は、同型接合体のHIV‐1トランスジェニックマウスを用いた研究で実証された。これらのマウスでは血清中TNFα量が著しく増加しており、マウスは3〜4週以内に死に至る。TNFαに対する抗体を用いた治療は死亡を防ぎ、これらのマウスにおける特徴的な皮膚の損傷を減少させ、かつHIV‐1発現を大いに減少させる(非特許文献61)。このように、TNFαの抑制により、T細胞の活性化及びCXCR4の発現を抑制でき、ウイルスの拡散及び複製を遅らせることができた。
【0013】
炎症誘発性サイトカインは、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス及びヘルペスファミリーのウイルス等の他のウイルスの感染に関与している。TNFαは、ヒト・サイトメガロウイルスの主な前初期(immediate early) エンハンサー/プロモーターの基本活性を高めるものであり、前単球細胞の潜在性HCMV伝染の再活性化に関与している可能性がある(非特許文献62)。同様に、GM‐CSFは、インフルエンザA型ウイルスに感染したヒト単球中のインフルエンザA型ウイルス蛋白質デノボ合成、ウイルス粒子の放出及び細胞死を増強する。単純ヘルペスウイルス(HSV)に持続的に感染したマクロファージを、TNFαによって2週間治療した結果、HSVの産出量が増加し、かつウイルスに誘導された細胞毒性作用が増加した(非特許文献63)。さらに研究を進めた結果、TNFαに加え、恐らくGM‐CSFも、HSVに潜在的に感染したマウスの三叉神経節中のHSVの再活性化頻度及び複製を増強したことが示された(非特許文献64)。
【0014】
多くのサイトカインは、敗血症又は内毒素性ショックを患っている患者の死亡原因となる。TNFα及びIL−1βは、敗血症、敗血性ショック及び内毒素性ショックにおける中心的な役割を担うことが確立されている。上記サイトカインの量の増加は、発熱、低血圧及びショック(非特許文献65、非特許文献66)、並びに、ホスホリパーゼA2(非特許文献67)及びNO合成酵素に対する遺伝子発現の誘発に関与している。平滑筋細胞からのNOの誘発は、敗血性ショックの最中の平均動脈圧及び全身血管抵抗の減少を介在することから、NOに対する基本的役割が示唆される。TNFαをターゲットとする療法、特にIL−1β及びNOに対する下方制御作用を伴う療法は、敗血症、敗血性ショック及び内毒素性ショックの治療において有益となり得る。
【0015】
種々の細胞型が炎症プロセスに関与する。単球、マクロファージ及び他の免疫細胞によるTNFαの産出過剰は、多くの疾患の病因における重要な要素である。特にマクロファージ及びT細胞は、免疫反応の開始及び持続に中心的な役割を果たす。一度病理性又は免疫原性刺激によって活性化されると、TNFα、IL‐1β、IL‐8、IL‐12、NO、IL‐6、GM‐CSF、G‐CSF、M‐CSF等の多数のサイトカインが放出されることにより、マクロファージが反応する。T細胞は、IL‐2、IL‐4、インターフェロンγ及び他の炎症性のサイトカインを放出する。これらのサイトカインは他の免疫細胞を活性化し、中には単独で細胞毒素源として作用し得るものもある。したがって、マクロファージ及びT細胞由来の炎症性メディエイターが過剰に放出されることにより、正常細胞及び周囲の組織が損傷を受ける場合がある。このようなサイトカインの過剰化現象は、多くの慢性炎症性疾患の臨床上の特徴である。これらの症状の治療及び解消は、免疫細胞、特にマクロファージ及びT細胞の弱毒化に依存している。
【0016】
過去の報告によれば、TNFα等の炎症性メディエイターの分泌を阻害することにより、ポリアミンがマクロファージ機能を調整することが示唆されている(非特許文献68)。免疫活性化剤のリポ多糖類(LPS)による刺激の前に、スペルミンを用いてヒトの末梢血単核細胞又はマウスのマクロファージ細胞系統を処理することにより、TNFα等の炎症誘発性サイトカインの放出が阻害された。スペルミンによる処理はTNFα mRNA量の増加に全く影響せず、これにより転写促進的に抑制が生じることが示された。その後の研究において、Zhangらは、スペルミン及びLPSの添加前にポリアミントランスポートインヒビターを用いた細胞の前処理を行うことにより、TNFαの量が、スペルミンがない状態のレベルにまで回復されることを報告している(非特許文献69)。スペルミンの抑制作用から、免疫反応の弱毒化、及び過度の炎症性損傷からの保護に関わる自然界でのメカニズムが提唱される可能性がある。さらに、特許文献1には、抗炎症性作用を発揮する二環式ポリアミン組成物が記載されている。この組成物は、マウスのII型コラーゲン誘導型関節炎、及びラットの脚のカラギーナン誘導浮腫を適度に抑制した。さらに特許文献2は、スペルミン誘導免疫抑制を予防するスペルミンアンタゴニストを記載している。このように、炎症性の症状の治療におけるポリアミン類似体を基礎とする療法の有用性は確立されている。
【特許文献1】米国特許第5843959号明細書
【特許文献2】米国特許第6482833号明細書
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【非特許文献13】Williams,R.O.,et.al. Proc.Natl.Acad.Sci.,1992,89:9784‐9788
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【非特許文献16】Elliott M.J.,et.al. Arth Rheum.1993,36:1681‐1690
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【非特許文献21】Rankin E.C.,et.al. Br.Rheumatol.1995,34:334‐42
【非特許文献22】Sander O.,et.al. Arth.Rheum.1996,39 (suppl.):S242 (Abstract)
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【非特許文献25】Cook A.D.,et.al. Arth.Res.2001,3:293‐298
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【非特許文献69】Zhang M.,et.al. Mol.Med.1999,5:595‐605
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、新規ポリアミン類似体及び誘導体、並びにTNFα及び/又は他の1種以上のサイトカイン、例えば、特に限定されないが、IL−1β、IL‐2、IL‐6、NO、GM‐CSF、インターフェロンγ(IFN‐γ)、G‐CSF、M‐CSF、IL‐8、IL‐12及びIL‐18等の発現又は活性の阻害における上記ポリアミン類似体及び誘導体の使用の方法に関するものである。本発明の上記類似体及び誘導体化合物は、TNFαの産出又は分泌が生じる条件下で細胞によって産出又は分泌されたTNFαの検出可能な量を低減する能力を有している。上記化合物は、さらに炎症誘発性又は抗炎症性のサイトカインに対して作用するものであってもよいし、作用しないものであってもよい。理論によって拘束されることなく、本発明の化合物は、TNFαの産出又は分泌が生じる条件下での細胞からのTNFαの産出又は分泌を抑制すると考えられている。本発明の化合物は、さらにサイトカインの産出又は分泌が生じる条件下での細胞からの1種以上の他のサイトカインの産出又は分泌を抑制できる場合もある。本発明の化合物は、単独で、又は炎症性、伝染性、自己免疫性若しくは他の増殖性の疾患及び症状に対して効果を発揮する他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の化合物及び誘導体は、下記式Iに包含されるものを含む。
【0019】
【化1】

【0020】
(式中、a、b及びcは同一でも異なっていてもよく、0〜12の整数であり、XはNH又はCHNHであり、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素、又は、直鎖若しくは枝分かれ鎖のC〜C20飽和若しくは不飽和の脂肪族基(メチル基等);脂肪族アミン基;脂環式基;単環式若しくは多環式芳香族基(1−又は2−ナフチレン基等);単環式若しくは多環式芳香族複素環基;単環式又は多環式飽和複素環基、及びそれらのハロゲン置換体である)。
【0021】
本発明の化合物及び誘導体は、さらに下記式IIに包含されるものを含む。
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、a、b及びcは同一でも異なっていてもよく、0〜12の整数である;R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素、又は、直鎖若しくは枝分かれ鎖のC〜C20飽和若しくは不飽和の脂肪族基(メチル基等);脂肪族アミン基;脂環式基;単環式若しくは多環式芳香族基(1−又は2−ナフチレン基等);単環式若しくは多環式芳香族複素環;単環式又は多環式飽和複素環基、及びそれらのハロゲン置換体である)。
【0024】
本発明の好ましい態様は、細胞の外側でのTNFαの発現若しくは分泌を減少若しくは阻害する、及び/又は、1種以上の他のサイトカインの発現若しくは分泌を調整することによって、炎症性、伝染性、自己免疫性又は他の増殖性の疾患及び症状の有望な阻害剤である化合物又は誘導体に関する。
【0025】
本発明はさらに、本明細書内に記載されたポリアミン類似体及び誘導体の、遊離塩基型又は遊離酸型(それらの塩類も含む)のものをも提供するものである。さらに本発明は、開示の類似体及び誘導体の光学異性体をも含んでいる。本発明のさらに他の態様においては、単一の準備段階、組み合わせ又は相互転換の結果生じるエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物が包含される。
【0026】
本発明は、さらに上述の類似体及び誘導体のプロドラッグを提供する。このプロドラッグは生体内で代謝され、上述の類似体又は誘導体が産出される。実際には、上述の類似体又は誘導体の中には、他の類似体又は誘導体のプロドラッグになりうるものもある。
【0027】
下記に列挙したものは、本発明を説明するために用いられる種々の用語の定義である。これらの定義は、別途個別に、又はまとまった語群のうちの一部として特定の例において限定されていない限り、本明細書を通して、用語が使用されている通りにそのまま適用されるものである。
【0028】
「アリール(基)」という用語は、フェニル(基)、ナフチル(基)、ビフェニル(基)及びジフェニル(基)等の、典型的には環内に6〜14個の炭素原子を含有する単環式又は多環式の芳香族炭化水素基を指す。それぞれの基は置換基を有していても良い。
【0029】
「飽和脂肪族(基)」という用語は、典型的には1〜20個の炭素原子、より典型的には1〜8個の炭素原子を有する、直鎖又は枝分かれ鎖の無置換炭化水素基を指す。「低級アルキル(基)」という表現は、1〜4の炭素原子を有する無置換のアルキル基を指す。
【0030】
好適な飽和脂肪族基又はアルキル基の例にはメチル基、エチル基及びプロピル基が含まれる。枝分かれ鎖を有するアルキル基の例にはイソプロピル基及びt‐ブチル基が含まれる。
【0031】
「ハロゲン」あるいは「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0032】
多環式芳香族(不飽和)複素環基の例は2‐キノリニル基、3‐キノリニル基、5‐キノリニル基、6‐キノリニル基、7‐キノリニル基、1‐イソキノリニル基、3‐イソキノリニル基、6‐イソキノリニル基、7‐イソキノリニル基、3‐シノリル基、6‐シノリル基、7‐シノリル基、2‐キナゾリニル基、4‐キナゾリニル基、6‐キナゾリニル基、7‐キナゾリニル基、2‐キノキサリニル基、5‐キノキサリニル基、6‐キノキサリニル基、1‐フタラオニル基、6‐フタラジニル基、1‐5‐ナフチリジン‐2‐イル基、1,5‐ナフチリジン‐3‐イル基、1,6‐ナフチリジン‐3‐イル基、1,6‐ナフチ7リジン‐7‐イル基、1,7‐ナフチリジン‐3‐イル基、1,7‐ナフチリジン‐6‐イル基、1,8‐ナフチリジン‐3‐イル基、2,6‐ナフチリジン‐6‐イル基、2,7‐ナフチリジン‐3‐イル、インドリル基、1H‐インダゾリル基、プリニル基及びプテリジニル基である。
【0033】
単環式複素環基の例は、ピロリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾイル基、チオフェニル基、フラニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、イソチアゾリル基及びイソキサゾリル基である。
【0034】
飽和複素環基の例は、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基及びモルホリニル基である。
【0035】
複素環基はN、O及び/又はSを含んでおり、典型的には環内に5〜10個の原子を含んでいる。
【0036】
好適な脂環式基の例はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基である。
【0037】
好適な脂肪族アミン基の例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、tert‐ブチルアミン及びジエチルアミンである。アミン基にはジアミンとトリアミンが含まれ、1級、2級、又は3級アミンであってもよい。
【0038】
典型的には、上記アミンは1〜20個の炭素原子を含んでおり、より典型的には1〜8個の炭素原子を含んでいる。
【0039】
本発明の化合物は、個々の治療用薬品として、あるいは治療用薬品を組み合わせて、医薬品と共に使用するために利用可能ないかなる従来の手段によっても投与することができる。上記化合物は単独で投与することができるが、一般に、選択された投与経路及び標準の薬学的なプラクティスに基づいて選ばれた薬学上の担体と共に投与される。
【0040】
種々の窒素系官能基(アミノ基、ヒドロキシアミノ基、ヒドラジノ基、グアジニノ基、アミジノ基、アミド基等)を有する化合物のプロドラッグの形態としては下記のタイプの誘導体が含まれていてもよい。ここでR基は、それぞれ独立に、上述したような、水素、置換又は無置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルキルアリール基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基、シクロアルキル基又はシクロアルケニル基であってもよい。
【0041】
カルボキサミド、‐NHC(O)R
【0042】
カルバミン酸エステル、‐NHC(O)OR、又は、
【0043】
カルバミン酸(アシルオキシ)アルキルエステル、NHC(O)OROC(O)R
【0044】
エナミン、‐NHCR(=CHCROR)又は‐NHCR(=CHCRONR
【0045】
シッフ(Schiff)塩基、‐N=CR
【0046】
マンニッヒ(Mannich)塩基(カルボキシイミド化合物由来)、RCONHCHNR
【0047】
上記プロドラッグ誘導体の調製法は、種々の文献において議論されている(例えば、 Alexander et al., J.Med.Chem.1988,31,318; Aligas‐Martin et al., PCT WO pp/41531, p.30)。これらの誘導体を調製する際に変換される窒素系官能基は、本発明の化合物の窒素原子のうちの1つ(又は2つ以上)である。
【0048】
本発明の、カルボキシル基を有する化合物のプロドラッグ型の形態にはエステル(‐COR)が含まれる。ここでR基は、酵素的又は加水分解的プロセスを介して体内に放出される量が薬学的に許容されるレベルにあるいずれかのアルコールに相当する。
【0049】
本発明のカルボン酸型化合物に由来する別のプロドラッグは、 Bodor et al., J. Med. Chem. 1980, 23, 469に記載された下記4級塩型構造であってもよい。
【0050】
【化3】

【0051】
本発明の化合物は、分子内に種々の原子における可能性のある全ての光学異性体及びステレオの異性体に関しているものであることは、当然に理解されるものである。
【0052】
本発明の化合物は、広範囲にわたる種々の有機酸・無機酸、ならびに有機塩基・無機塩基と共に、酸及び塩基が付加した塩を形成する。その中には、薬化学の中でよく使用される生理学的に許容される塩が含まれる。そのような塩類もまた本発明の一部である。上記塩を形成するために使用される典型的な無機酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次リン酸等が含まれる。脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸、フェニル基置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸及びヒドロキシアルカンジオン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸等の有機酸由来の塩類もまた使用することができる。従って、上記薬学的に許容される塩類には、酢酸塩及びフェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o‐アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン‐2‐ベンゾエート、臭化物、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、β‐ヒドロキシ酪酸塩、ブチン‐1、4‐ジオエート、ヘキシン‐1,4‐ジオエート、カプロン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、珪皮酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタ燐酸塩、ピロ燐酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、琥珀酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酒石酸塩等が含まれる。
【0053】
塩類を形成するために一般に使用される塩基には、水酸化アンモニウム、並びに、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、さらに1級、2級及び3級の脂肪族アミン、脂肪族ジアミンが含まれる。付加塩類の調製に特に有用な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、メチルアミン、ジエチルアミン及びエチレンジアミンが含まれる。
【0054】
上記化合物は、単独で、あるいは他の薬品と組み合わせて、特に他のポリアミン合成又はポリアミン輸送の阻害剤と組み合わせて利用されてもよく、また他の細胞増殖阻害剤を含んでいてもよい。
【0055】
本発明の別の態様では、上述の化合物及び誘導体を含んでいる組成物が提供される。好ましくは、上記組成物は、適当な担体若しくは賦形剤及び/又は抗炎症剤を含んだ状態で、製薬上又は農業上の使用に適合するよう調合される。
【0056】
本発明の別の態様では、上記の通り開示された類似体及び誘導体を含有する組成物が提供される。好ましくは、上記組成物は、1つ以上の適した担体あるいは賦形剤を含んだ状態で、製薬上の使用に適合するよう調合される。
【0057】
本発明のさらに他の態様においては、上述の類似体及び誘導体、並びに組成物の使用の方法も提供される。これらの方法は、TNFα及び/又は1種以上の関連するサイトカインの産出、分泌、発現及び/又は活動を抑制するか、遅らせるか、あるいは調整することによって、TNFα及び/又は1種以上の関連するサイトカインの求められていない、あるいは望ましくない存在若しくは活動に関連する症状を治療するための本発明の化合物の使用を含む。ヒトの疾患及び症状の例には、限定されないが、慢性若しくは急性の炎症;(クローン病等の)炎症性腸疾患;炎症性腸症候群;自己免疫疾患;慢性関節リウマチ;全身性紅斑性狼瘡;狼瘡状の皮膚;糖尿病;多発性硬化症;乾癬;脊椎炎等の脊椎関節症(SpA);滑膜炎;乾癬性関節炎;潜在性腸炎;並びに、敗血症、敗血性ショック、内毒素性ショック;HIV及びサイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス等のウイルスによるウイルス性感染症等の感染性疾患、並びに、限定されないが、癌等の他の増殖性疾患及び症状が含まれる。
【0058】
本発明における好ましい化合物は、図1に示したMQT 100と称されるものである。この化合物は、再現可能でかつ確固たる方法によってTNFαの産出を抑制する。別の好ましい化合物は図1に示されているものであり、MQT 600と称されるものである。
【0059】
有望な分子であるMQT 100及びその類似体(例えばシリーズ100及び200)は、図2中で示されている経路を介して合成することができる。この合成経路は、ジアミノシクロヘキサンの6つの可能な異なる異性体から始まり、一つのアミノ基をモノ‐t‐ブトキシカルボニルカルバメートとして保護し、その後2‐ニトロベンゼンスルホニル基を用いた誘導体化が行われ(Fukuyama,T.,et.a1. Tetrahedron Lett. 1997,38,5831‐5834)、中間体A‐Fが生成する。その後、これらの中間体は、それぞれ個々に光延反応を介してN‐(3‐ヒドロキシプロピル)フタルイミドにカップリングされ、垂直状に保護された中間体G‐Lが生成する。化合物G‐Lは、2つの異なるシリーズの最終生成物を得るために使用されたものである。1つのケースでは、単に脱保護されて先端を切り取ったような形の、シリーズ200に属する6つの類似体が得られる。他方のシリーズにおいては、G‐Lに対して、N‐Boc‐6‐アミノ‐1‐ヘキサノールを用いてまた別の光延鎖延長反応が行われ、その後脱保護することによってシリーズ100に属する類似体が得られる。
【0060】
このシリーズの対生物作用が分析された結果、シクロヘキサン環に結合している2つのアミノ基の配置と対生物作用が相関している可能性があることがわかった。この環の配置の配座解析を行うことにより、(CambridgeSoft Chem3D、バージョン5.0を使用して求めた)エネルギーが最小となる構造において、これらの2つのアミノ基の間隔が劇的に異なることが示されている。図3は、その結果得られたシリーズ200の構造を、便宜上付した呼称と共に示したものである。エネルギーが最小となる構造において測定された上記2つのアミノ基間の距離を図3に示す。
【0061】
シリーズ300と400の化合物は、本発明の化合物のうち代表的なものである。これらの化合物においては、分子の直線部分における窒素原子間の距離は異なっている(「窒素・スキャン」類似体又は「アミノ・ウォーク」類似体)。4つの窒素原子間の距離の改変、すなわち窒素原子間のメチレン単位の数の改変は、図2において示される合成スキームに変更を加えることによって行なわれる。この改変のための反応経路を図4に示す。N‐フタルイミド基によって保護されたアミノアルコールは、アミノアルコールを、エタノール中で無水フタル酸とともに標準条件で一昼夜還流することにより得られる。その結果得られた一連の前駆体は、図5a〜図5cに記載の類似体を得るための反応経路において利用された。図2において示されている中間体A−Fを使用した場合に基づき、図4のスキームにおける前駆体においても同様に、分子のシクロヘキサン部分のジアミン基の幾何学的及び立体化学的な配置が異なることが想定される。
【0062】
種々の枝分かれ鎖を有する、あるいは置換された官能基を有する別の類似体は容易に想定できる。変形された類似体は、生物系での有用性が高まるような特徴を有するように作り変えられる。例として、窒素原子に隣接する炭素原子へのメチル基の付加、特にアミノプロピル基部分での付加により、種々のポリアミン及びアミノオキシダーゼ酵素によって代謝される能力は大幅に低下する。この変性が行われた好ましい化合物の類似体を図6に示す。
【0063】
種々の芳香族置換アミノアルコール前駆体分子は、図7に示すスキームにおいて利用され、MQT 600によって処理される、ナフチレン環部位を有する生体活性化合物を与える。
【0064】
芳香族置換アミノアルコール前駆体分子は、図8に示す経路によって得られた。新しく、効率的な試薬を用いることにより、種々のアミノ酸前駆体のN‐フタロイル化が可能となった(Casimir J.R.,et.al. J.Org.Chem.2002,67, 3764‐3768)。生じるN‐フタルイミド基によって保護されたα及びβ‐アミノ酸は、次にイソブチル基も併せて有する無水物に変換され、NaBHを用いて系内で還元された (Rodriquez,et.al. Tetrahedron Lett.1991,32,923‐926)。保護されたアミノアルコールは、図7の反応経路において使用された。図9a〜図9cは、図7中で示される反応経路において生産された分子の例を示すものである(シリーズ 600類似体群)。また図10a〜図10cは、同様に図7中で示される反応経路において生産された、先端を切り取ったような形の分子の例を示すものである(シリーズ700類似体)。これらの例のなかには、さらに、ポリアミン骨格に沿ってアミノ基の位置を変更させることにより生産された類似体(「アミノ‐ウォーク」類似体)を包含するものもある。アミノ基間のメチレン(‐CH2 ‐)基の数の違いは、生物学的なターゲットへの親和性に影響を及ぼすだけでなく、薬分子の物理的性質に対して劇的な影響をもたらす。影響を受ける特性の一例としては、分子の疎水性が挙げられる。この疎水性は、生体膜に浸透し、最終的に生物学的なターゲットと相互作用するための分子の能力に大いに影響を及ぼすであろう。さらに、臨床で薬が使用される際の分子の投与経路にも大いに影響を与えるであろう。最も望ましい特徴は、本願の開示を一たび知ることによって、制御された綿密な方法によって構造を調節することにより、上記分子に付与させることができる。ADME(吸収、分散、代謝及び排泄)と呼ばれる医薬開発の分野は、薬特性のこれらの特徴に取り組むために発展している。
【0065】
説明されているシリーズ内での最適な官能基を組み合わせた分子の種類は想定可能である。コンビネーション型分子の例は図11中で、シリーズ 800として示されている。
【0066】
この発明にて説明する種々の化合物は、種々の変化しうる立体化学的形態にて存在することができる。また、ある鏡像異性体を他の鏡像異性体から分離するための化学的方法も種々存在する。例として、MQT 600は3つの異なる方法のうちの1つを経由して、鏡像異性体成分へと分離することができる。第一の、最も直接的な方法は、混合物のクロマトグラフィーによる分割及び晶析による分割であろう。これらの方法は、当該分野で十分に確立されているものであり、2つの異性体を、テストを行うための純品として得ることができるという長所がある。他方、これらの方法による分割では、所望の異性体の収率が、理論上最大でも50%以下にとどまる。さらに、これらの方法による分割は、個々の異性体の絶対的な立体構造がどのようなものであるかを決定する必要もある。これらの理由で、立体構造が既に決定されている立体化学的に純な前駆体を原料とした合成によって、純品の立体異性体を生産するほうが有利な場合もある。
【0067】
所望のMQT 600立体異性体対を合成するための第二のアプローチは、酵素的分割ステップを伴うものであろう。図12はβ‐アミノ酸エステルのラセミ混合物をRodionow反応(Rodionow,W.M.,et.al J.Am.Chem.Soc1929,51,841‐847)によって生産し、その後、酸を触媒とするエステル化を行う反応経路を示すものである。その後、この混合物を、(S)‐異性体エステルを選択的に加水分解することが示されている、エステラーゼ酵素のAmano PSで処理する(Faulconbridge,S.J.et.al. Tetrahedron Lett,2000,41,2679‐2681)。得られた分割後のエステル/酸型物質は、本願に示した反応経路を用いて所望のMQT 600 R異性体及びS異性体に変換することができる。
【0068】
別の方法としては、MQT 600の立体化学的に純な成分は、立体化学的形態が決定されているものを購入し、本願において概説された合成経路の中でそれらを使用することにより得ることができる。β‐アミノ酸である1‐ナフチレングリシンを、FMOCによって保護した形態もののエナンチオ的に純なR‐体又はS‐体を、バッケムAG(BaChem AG、スイス)から入手することができる。図13に示すように、これらの化合物からアルント‐アイシュテルト(Arndt‐Eistert)反応によってFMOC‐β‐アミノ酸が得られることが認められている(Guichard,G.et.al. Helv.Chim.Acta 1998,81,187)。その後、これらの異性体は、本願で概説された方法によって最終的にMQT 600の異性体を得る際に使用される前駆体に変形することができる。
【0069】
本発明によって想定されるそれぞれの類似体をまとめたものを図14中で示す。
【発明の効果】
【0070】
一群の新規腫瘍壊死因子(TNFα)阻害剤及び免疫調節剤の合成及び使用を提供する。これらの化合物は、薬理学的用途で用いられるとともに、TNFα及び他の関連するサイトカインに関係のあるアッセイにおいて使用できる。医薬として、上記化合物は、TNFα及び/又は1種以上の他の関連するサイトカインが、求められていないにも関わらず存在している状態、又は活動する状態と関係がある炎症性、伝染性、自己免疫性又は他の増殖性の疾患及び症状を治療するために、単独で、あるいは他の薬剤と組み合わせて使用されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
下記例は、本発明をさらに理解できるよう例証したものであるが、本発明の態様がこれらに限定することを意図したものではない。
【0072】
(実施例1)
<MQT 100の合成>
化学の試薬及び出発原料はすべて入手可能な最上級グレードのものであり、それ以上さらに精製することなく使用した。粗反応生成物の薄層クロマトグラフィー分析及びカラムクロマトグラフィーは、メルク F254シリカゲルプレート及びベーカー(Baker)40μmフラッシュクロマトグラフィー・パッキングをそれぞれ使用して行なった。
【0073】
[トランス‐N‐Boc‐4‐アミノシクロヘキサノール]
1.52g(10mmol)のトランス‐4‐アミノシクロヘキサノール塩酸塩を、10mLの10%炭酸ナトリウム水溶液及び5mLのTHF中に溶解させ、室温にて撹拌した。BocOを15mLのTHF中に溶解させた溶液を添加し、溶液を室温で18時間攪拌した。得られる溶液を減圧下にて濃縮し、次に、50mLのHOと50mLのEtOAcの間で分配させた。水相をもう一度EtOAcで抽出し、集めた有機抽出物を1N HClとブラインで洗浄した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、減圧下で溶媒を蒸発させて、2.02gの白色固体を得た(94%)。R 0.26(1:1 ヘキサン:EtOAc)。この物質は、精製せずに次のステップでそのまま直接使用した。
【0074】
[トランス‐N‐Boc‐4‐アミノ‐1‐フタルイミド‐シクロヘキサン]
トランス‐N‐Boc‐4‐アミノシクロヘキサノール1.5g(7.0mmol)、フタルイミド1.15g(7.8mmol)及びPhP2.0g(7.6mmol)の無水THF(50mL)溶液をアルゴン雰囲気下で0℃で攪拌した。その後、無希釈のDIAD(1.67mL、8.5mmol)を滴下して加えた。黄色溶液を25℃で18時間攪拌し、減圧下で濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで、最初8:2 ヘキサン/EtOAcで、次に1:1 ヘキサン/EtOAcで溶出させることにより精製した。ニンヒドリン検出を用いたTLC(R0.68(1:1 ヘキサン:EtOAc))によって決定される生成物の留分から、溶媒を蒸発させることにより、500mgの収量の透明な油状液体(21%)を得た。
【0075】
[N‐Boc‐N‐Nbs‐トランス‐1,4‐ジアミノシクロヘキサン]
トランス‐N‐Boc‐4‐アミノ‐1‐フタルイミドシクロヘキサン500mg(1.5mmol)のEtOH20mL溶液を、151μlのヒドラジン水和物で処理した。得られた溶液を18時間室温で攪拌し、そのとき形成された沈殿をろ過した。濾液から溶媒を蒸発させて乾燥させ、総量で422mgのモノ‐Boc‐1,4‐ジアミノ中間体を得た。その後、この化合物を15mLのCHClに溶解させ、554mg(2.5mmol)の塩化2‐ニトロベンゼンスルホニルを加えて、得られた溶液をアルゴン雰囲気下、0℃で攪拌した。その後、348μLのトリエチルアミン(2.5mmol)を添加し。その溶液を25℃で2時間攪拌した。次に、反応溶液を0.1N HCl水溶液に注ぎ、その後すぐに50mLのCHClを用いて3回抽出した。集めた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、次に溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた粗白色固体は、シリカゲル上で6:4 ヘキサン/EtOAc混合溶液を溶離液として精製することにより、415mg(収率53%)の透明な油状生成物を得た(R0.40(1:1 ヘキサン/EtOAc))。
【0076】
[N1‐Boc‐N4‐Nbs‐N4‐(3‐プロピル‐1‐フタルイミド) ‐トランス‐1,4‐ジアミノシクロヘキサン]
310mg(0.78mmol)のN‐Boc‐N‐Nbs‐トランス‐1,4‐ジアミノシクロヘキサンを、254mgのPh3P(0.97mmol)及び127mg(0.62 mmol)のN‐(3‐ヒドロキシプロピル)フタルイミドと共に、20mLの1:3 CHCl/ベンゼンに溶解させることにより溶液を調製した。得られた溶液を、アルゴン雰囲気下、25℃で攪拌した。この溶液に、DIADの40%トルエン溶液191μL(0.97mmol)を滴下して加えた。添加が完了した後、さらに18時間撹拌を続けた。その溶液から溶媒を蒸発させて乾燥し、粗油状液体をシリカゲル上で、最初、8:2 ヘキサン/EtOAc混合溶液で溶出させ、次に1:1ヘキサン/EtOAcで溶出させて精製することにより、総量で322mg(89%)の生成物を透明油状液体として得た(R0.35(1:1 ヘキサン/EtOAc))。
【0077】
[N1‐Boc‐N4‐Nbs‐N4‐(3‐プロピル‐1‐Nbs‐アミノ) ‐トランス‐1,4‐ジアミノシクロヘキサン]
322mg(0.55mmol)のN1‐Boc‐N4‐Nbs‐N4‐(3‐プロピル‐1‐フタルイミド)‐トランス‐1,4‐ジアミノシクロヘキサンを、10 mLの無水EtOH中に溶解させた溶液に、50μLの無希釈のヒドラジン水和物を添加した。その溶液を室温で18時間攪拌させ、そのときに生じた白色沈殿をろ過した。出発原料が残っていないことを確認するために濾液のTLC分析を行ったのち、溶媒を蒸発させ、150mgの白色固体を得た。これを、93mg(0.42mmol)の塩化2‐ニトロベンゼンスルホニルと共に10mLのCHClに溶解させ、アルゴン雰囲気下、0℃で攪拌することにより、すぐに次のステップで用いた。次に59μL(0.42mmol)の乾燥トリエチルアミンを加え、また、溶液を25℃まで暖めた後、さらに18時間撹拌した。その後、その溶液を0.1N HCl水溶液へ注いだ後、すぐに25 mLのCHClを用いて3回抽出した。集めた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させることにより、溶媒を蒸発させて乾燥させた。粗白色固体を、1:1 ヘキサン/EtOAc混合溶媒を溶離液としてシリカゲル上で精製し、142mg(収率40%)の生成物を浅黄色の油状液体として得た(R0.50(48:48:4 ヘキサン/EtOAc/MeOH))。
【0078】
[N‐Boc‐N‐Nbs‐N‐(3‐プロピル‐1‐Nbs‐アミノ‐1‐(6‐ヘキサニル‐1‐Boc‐アミノ)) ‐トランス‐1,4‐ジアミノシクロヘキサン]
56mg(0.087mmol)のN‐Boc‐N‐Nbs‐N‐(3‐プロピル‐1‐Nbs‐アミノ)‐トランス‐1,4‐ジアミノシクロヘキサンを、30 mg(0.11 mmol)のPhP及び17 mg(0.080mmol)のN‐Boc‐アミノヘキサノールと共に3.0 mLの1:3 CHCl/ベンゼン混合溶媒に溶解させた溶液に、22μL(0.11 mmol)のDIADの40%トルエン溶液を、アルゴン雰囲気下25℃で添加した。添加が完了した後、反応溶液をさらに18時間攪拌した。その溶液から溶媒を蒸発させて乾燥し、次に粗油状液体をシリカゲル上で、最初、8:2 ヘキサン/EtOAc混合溶液で、次に1:1 ヘキサン/EtOAc混合溶媒で、最後に48:48:4 ヘキサン/EtOAc/MeOH混合溶媒で溶出させて精製することにより、53mg(79%)の生成物を透明油状液体として得た(R0.30(48:48:4 ヘキサン/EtOAc/MeOH))。
【0079】
[MQT 100]
53mg(0.063mmol)のN‐Boc‐N‐Nbs‐N‐(3‐プロピル‐1‐Nbs‐アミノ‐1‐(6‐ヘキサニル‐1‐Boc‐アミノ))‐トランス‐1,4‐ジアミノシクロヘキサンを2mLのTHF中に溶解させた溶液に、250μLのDBUを、50μLの2‐メルカプトエタノールと共に添加した。得られた溶液を25℃で18時間攪拌し、アルゴン気流下で溶媒を蒸発させた。得られた生成物を、まず90:10 CHCl/MeOH混合溶媒で、次に85:14:1 CHCl/MeOH/NHOH混合溶媒で、最後に80:18:2 CHCl/MeOH/NHOH混合溶媒で溶離させ、25mgの上記ジ‐Boc中間体(R0.26(80:18:2 CHCl/MeOH/NHOH))を得た。その後、この生成物を、3N HCl(MeOH溶液)2 mLに溶解させ、25℃で18時間撹拌した。その溶液から溶媒を蒸発させて乾燥し、少量の水中に再溶解させ、その後溶媒を蒸発させて乾燥し、12mg(46%)のMQT 100のHCl塩を白色固体として得た(R0.16(1:1 CHCN/NHOH))。
【0080】
(実施例2)
<細胞培養と試薬>
RAW264.7細胞系をATCC(マナッサス、バージニア)から入手し、推奨の培地、血清及びCO濃度において培養した。培地は、メディアテック(Mediatech)社(ハーンドン、ワシントン)から、また血清はギブコ(Gibco)BRL社(ゲイザースバーグ、メリーランド)から入手した。50U/mLのペニシリン、50mg/mLのストレプトマイシン及び2mMのL‐グルタミン(バイオウィッタカー(BioWhittaker)社製、ウォーカーズビル、メリーランド)は全ての培地に含まれている。
細胞を化合物と共に培養する際には、血清アミンオキシターゼの活動を阻害するために1mMのアミノグアニジン(AG;シグマ)が含まれていた。
【0081】
(実施例3)
<RAW264.7 増殖阻害度の分析>
RAW264.7マウスマクロファージを、3日間、最大で100μMの化合物濃度に曝露することにより、化合物の細胞増殖阻害度をスクリーニングした。4日目に、MTS/PMS染料(Cell Titer 96 Aqueous Non‐Radioactive Cell Proliferation Assay(プロメガ、マジソン、ウィスコンシン、アメリカ))溶液を添加し、OD490を測定した。未処理の対照と比較することにより増殖が阻害された割合を確認し、IC50(細胞増殖の50%が阻害された濃度)を計算した。示された数値は、3回のそれぞれ独立した実験の代表値である(図15)。
【0082】
(実施例4)
<TNFα阻害度>
TNFαの阻害実験のために、RAW264.7マウスマクロファージを、3日間ある範囲の濃度の化合物に曝露した。4日目に、免疫活性化剤であるLPS(シグマ、セントルイス、ミズーリ、アメリカ)を細胞培地に4時間かけて添加することによりTNFαの産出を誘導し、次に細胞外の培地を採取した。上清中のTNFα濃度を、ELISA(R&D Systems and Endogen)によって分析した。LPSのみで処理された対照と比較することによりTNFαの阻害割合が確認され、またEC50(TNFα分泌の50%が阻害された濃度)が計算された。結果は、少なくとも3回の独立した実験の平均±stdev(stdev:標準偏差)である(図15)。
【0083】
本願で説明される薬学的に許容可能な担体、例えばビヒクル、佐剤、賦形剤又は希釈剤は、当業者に周知のものである。典型的には、薬学的に許容可能な担体は、活性化合物に化学的に不活性で、使用条件下で有害な副作用や毒性がないものである。薬学的に許容可能な担体にはポリマー及びポリマーマトリクスが含まれる。
【0084】
本発明の化合物は、個々の治療薬として、あるいは治療薬を組み合わせて、医薬品と共に使用するために利用可能ないかなる従来の方法によっても投与することができる。
【0085】
当然ながら、投薬量は、個々の薬剤の薬力学的特性、その形態及び投与経路;投薬対象者の年齢、健康及び体重;症状の性質及び程度;同時に行う治療の種類;治療回数;並びに所望の作用等の公知の要因によって変化するであろう。活性成分の1日当たりの投与量は、体重1キログラム(kg)当たり約0.001〜1000ミリグラム(mg)であると予測することができ、また好ましい投与量は0.1〜約30mg/kgであると予想することができる。
【0086】
(投与に適した組成物の)剤形には、1単位当たり約1mg〜約500mgの活性成分が含まれている。これらの医薬組成物では、活性成分は通常組成物の全重量のうち約0.5〜95重量%の量で存在するであろう。
【0087】
上記活性成分は、カプセル剤、タブレット及び粉末等の固体の剤形、又はエリキシル剤、シロップ剤及び懸濁液等の液体の剤形により経口投与することができる。さらに、上記活性成分は滅菌した液体の剤形によって非経口的に投与することもできる。さらに上記活性成分は、鼻腔内で(点鼻剤)、あるいは薬粉末のミストの吸入によって投与することもできる。他の剤形としては、パッチ構造あるいは軟膏によって経皮的に投与すること等も潜在的に可能である。上記活性成分は、持続性若しくは徐放性デリバリーシステム、又は、即放性デリバリーシステムを用いて投与することができる。
【0088】
経口投与に好適な調合物は、(a)有効な量の化合物を、水、食塩水又はオレンジジュースなどの希釈剤に溶解させた液体溶液;(b)(それぞれ所定量の活性成分を含む)カプセル剤、サッシェ、錠剤、菱形錠剤及びトローチ等の固体又は顆粒;(c)粉末;(d)適当な液体中の懸濁液;並びに(e)好適な乳剤;からなるものが考えられる。液体の調合物としては、水及びアルコール(例えばエタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレンアルコール)等の希釈剤を含んでいてもよい。上記液体調合物には、薬学的に許容可能な界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤が添加されていても、無添加でもよい。カプセルとしては、例えばラクトース、スクロース、リン酸カルシウム及びコーンスターチなどの界面活性剤、滑剤並びに不活性充填剤を含む、通常のハード又はソフトシェル型ゼラチンタイプのものが考えられる。錠剤には、ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、バレイショデンプン、アルギン酸、微結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、グアルゴム、膠質二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、防腐剤、香料及び薬学的に適合性のある担体のうち、1種以上のものを含有することができる。菱形錠剤としては、香味料(通常はスクロース及びアラビアゴム、又はトラガント)中に活性成分を含んだものが挙げられる。さらにゼラチンやグリセリンなどの不活性基剤又はスクロース及びアラビアゴム中に活性成分を含むパステル剤、乳剤、及び、活性成分に加えて当該技術分野で知られているような担体を含んでいるゲル剤であってもよい。
【0089】
本発明の化合物は単独で、又は他の好適な成分と組み合わせて、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤にすることができる。これらのエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン及び窒素などの許容可能な加圧不活性ガス中に入れることができる。さらに、上記エアロゾル製剤は、ネブライザー又はアトマイザーような非加圧式薬剤として調剤してもよい。
【0090】
非経口投与に好適な製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び、目的の投薬対象者の血液と製剤を等張にする溶質を含んでいてもよい、水性又は非水性の等張無菌注射溶液、ならびに、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤及び防腐剤を含むことができる水性又は非水性の無菌懸濁液が含まれる。上記化合物は、製薬用担体としての生理学的に許容される希釈剤中に化合物を含ませた状態で投与することができる。上記希釈剤としては、例えば水、食塩水、デキストロース及び関連の糖水溶液;エタノール、イソプロパノール又はヘキサデシルアルコールなどのアルコール類;プロピレングリコール、又は、ポリ(エチレングリコール)400等のポリエチレングリコール等のグリコール類;2,2‐ジメチル‐1、3‐ジオキソラン‐4‐メタノール等のグリセリン・ケタール類;エーテル類、油(オイル)類、脂肪酸、脂肪酸エステル若しくはグリセリド、又は、アセチル化脂肪酸グリセリド等を含む滅菌済液体又は液体の混合物が挙げられる。上記滅菌済液体又は液体の混合物は、石鹸若しくは洗浄剤等の薬学的に許容される界面活性剤、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはカルボキシメチルセルロースなどの懸濁化剤、又は、乳化剤及び他の製薬用補助剤を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0091】
非経口投与用製剤において使用することができる油類には、石油性油、動物性油、植物性油あるいは合成油が含まれる。油類の具体例には、ピーナッツ油、大豆油、ごま油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ペトロラタム及び鉱油が含まれる。非経口投与用製剤で使用される好適な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸が含まれる。オレイン酸エチルとミリスチン酸イソプロピルは好適な脂肪酸エステルの例である。非経口投与用製剤で使用される好適な石鹸には、脂肪酸アルカリ金属塩類、脂肪酸アンモニウム塩類及び脂肪酸トリエタノールアミン塩類が含まれる。また、好適な界面活性剤には、(a)陽イオン洗剤、例えばジメチルジアルキルアンモニウムハライド及びアルキルピリジニウムハライド等、(b)陰イオン洗剤、例えばスルホン酸アルキル、スルホン酸アリール及びオレフィンスルホナート、アルキルスルフェート(硫酸アルキル)、オレフィンスルフェート、エーテルスルフェート及びモノグリセリドスルフェート等、(c)非イオン性界面活性剤、例えば脂肪族アミン酸化物、脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレン‐ポリプロピレン共重合体、(d)両性洗剤、例えばアルキル‐β‐アミノプロピオネート及び2‐アルキルイミダゾリン四級アンモニウム塩など、並びに、e)それらの混合物、等が含まれる。
【0092】
非経口投与用製剤は、典型的には、溶液中に約0.5重量%〜約25重量%の活性成分を含んでいる。好適な防腐剤及び緩衝剤はそのような製剤中で使用することができる。注射する部位での刺激を最小限にするかあるいは刺激を取り除くために、上記組成物は、親水性・親油性バランス(HLB)が約12〜約17である1種以上の非イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。上記製剤中における界面活性剤の量は、約5重量%〜約15重量%の範囲である。好適な界面活性剤には、ソルビタンモノオレエート等のポリエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、及び、プロピレンオキシドとプロピレングリコールの縮合によって形成される、疎水性のベースを有するエチレンオキシドの高分子付加体などが含まれる。
【0093】
さらに、薬学的に許容される添加剤もまた当業者に周知である。賦形剤の選択は、幾分は個々の化合物によって決定されると共に、組成物を投与するために使用される個々の方法によっても決定されるであろう。従って本発明の医薬組成物には、種々の好適な製剤態様がある。下記方法及び賦形剤は単に例を示すものであり、これらに限定することは全く意図していない。薬学的に許容される賦形剤は、活性成分の作用を妨害せず、有害な副作用を引き起こさないものが好ましい。好適な担体及び賦形剤には、水、アルコール及びプロピレングリコール等の溶剤、固体吸着剤及び希釈剤、界面活性剤、懸濁化剤、タブレット形成用結合剤、滑剤、香味料及び着色剤が含まれる。
【0094】
上記製剤は、アンプルとバイアルなどの1回服用分分包密封容器(unit−dose sealed containers)又は複数回服用分含有密封容器(multi−dose sealed containers)にすることができ、滅菌液体賦形剤(例えば水)を加えるのみで、凍結乾燥された状態で、注射剤としてすぐに使用できる状態で保存することができる。注射溶液及び懸濁液は、滅菌した粉末、顆粒及びタブレットからその場で調製することもできる。注射用組成物のための有効な製薬用担体に対する必要条件は、当業者に周知である。Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B. Lippincott Co.,Philadelphia,PA, Banker and Chalmers,Eds.,238‐250(1982) and ASHP Handbook on Injectable Drugs, Toissel,4th ed.,622‐630(1986)を参照のこと。
【0095】
局所投与に好適な製剤には、香味料(通常はスクロース及びアラビアゴムか、トラガント)中に活性成分を含む菱形錠剤;ゼラチンとグリセリンなど不活性塩基、又は、スクロース及びアラビアゴム中に活性成分含むパステル剤;また適当な液体担体中に活性成分を含む口内洗浄剤;並びに、活性成分に加えて当業者に公知の担体を含むクリーム剤、乳剤及びゲル剤、が含まれる。
【0096】
さらに、直腸投与に好適な製剤としては、乳化性基剤又は水溶性基剤等の種々の基剤と混合することにより得られる坐剤があげられる。膣投与に好適な製剤としては、活性成分に加えて、当業者に好適な担体として公知の担体を含む、膣坐剤、タンポン、クリーム、ゲル剤、ペースト剤、泡剤又はスプレー剤等が挙げられる。
【0097】
好適な医薬用担体は、本分野で標準的な参考書である、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)で説明されている。
【0098】
本発明の状況における動物(特にヒト)に投与される投薬量は、時間枠を超えた場合でも、合理的な範囲であれば、治療上の応答を動物の体内で作用させるのに十分な量であるべきである。当業者は、動物の症状、動物の体重、及び治療される症状などの種々の要因に投薬量が左右されることは認識できるであろう。
【0099】
適当な服用量は、所望の応答を発揮することが知られている、患者体内の活性成分の濃度に基づいて求められるであろう。
【0100】
また、服用量の程度は、投与の経路、タイミング及び頻度と同時に、化合物の投与に伴って生じる可能性のある副作用の存在、性質及び程度、及び所望の生理学的作用によって決定されるであろう。
【0101】
本発明の化合物の投与に有用な製薬の剤形は、以下のように例証することができる。
【0102】
<ハードシェルカプセル剤>
100mgの粉末状活性成分、150mgのラクトース、50mgのセルロース及び6mgのステアリン酸マグネシウムを、標準ツーピースハードゼラチンカプセルに充填することにより、多数のカプセル剤が製造される。
【0103】
<ソフトゼラチンカプセル剤>
大豆油、綿実油又はオリーブ油等の消化されやすい油中に活性成分を混合させた混合物を調製し、溶融させたゼラチン中へ容積移送式ポンプによってその混合物を注入することにより、100mgの活性成分を含んだソフトゼラチンカプセル剤を形成する。カプセル剤を洗浄し乾燥させる。活性成分は、ポリエチレングリコール、グリセリン及びソルビトールの混合物中に溶解させて、水混和性医薬調合物を作ることができる。
【0104】
<錠剤>
一錠あたりの処方量が、活性成分100mg、謬質二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、結晶セルロース275mg、デンプン11mg及びラクトース98.8mgとなるように、従来の方法によって多数の錠剤を製造する。適当な水性・非水性のコーティングを施すことにより、飲みやすさを向上せたり、上品さや安定性を改善したり、あるいは吸収を遅らせることもできる
【0105】
<即放性錠剤/カプセル剤>
これらは、従来法及び新規な方法によって作製される固体経口投与用の剤形である。これらの剤型単位は、薬剤が即時に溶解し、送達されるよう水なしで経口摂取される。活性成分は、糖、ゼラチン、ペクチン及び甘味料などの成分を含んでいる液体中で混合される。これらの液体は、凍結乾燥及び固体抽出技術によって固体の錠剤又はカプレットへと固体化される。薬剤用調合物は、水を使わずに、粘弾性でかつ熱弾性の糖、及び、ポリマー又は発泡性成分と共に打錠することによって、即放性を目的とした多孔性マトリクスを製造してもよい。
【0106】
さらに、本発明の化合物は、点鼻剤の形で投与することができるし、また服用量を計量して投与することや、経鼻頬吸入によって投与することもできる。薬剤は点鼻液微細からミストとして送達されるか、あるいはエアロゾルとして粉末から送達される。
【0107】
上記の発明の説明は、本発明を例証し、説明するためのものである。さらに、開示されているものは、発明の好ましい実施形態のみを示し、説明するものであるが、上述の通り、本発明は種々の他の組み合わせ、変更及び環境において使用できるものであって、本明細書に表された発明の概念を逸脱しない範囲で変更・改良ができることは、上述の教示及び/又は関連する技術分野のスキル若しくは知識に従えば理解されるはずである。さらに上述の実施形態は、本発明を実施する上で知られている最良の形態を説明することを意図したものであり、また当業者が本発明を上記の通りに、又は、本発明の個別の適用又は使用によって求められる種々の変更を伴う他の実施形態において利用できるよう意図したものである。従って、本願の詳細な説明は、発明を本明細書に開示された態様に限定されることを意図したものではない。さらに添付の請求の範囲は、代替可能な別の実施形態をも含むものとして解釈されるよう意図したものである。
【産業上の利用可能性】
【0108】
一群の新規腫瘍壊死因子(TNFα)阻害剤及び免疫調節剤の合成及び使用を提供する。これらの化合物は、薬理学的用途で用いられるとともに、TNFα及び他の関連するサイトカインに関係のあるアッセイにおいて使用できる。医薬として、上記化合物は、TNFα及び/又は1種以上の他の関連するサイトカインが、求められていないにも関わらず存在している状態、又は活動する状態と関係がある炎症性、伝染性、自己免疫性又は他の増殖性の疾患及び症状を治療するために、単独で、あるいは他の薬剤と組み合わせて使用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】好ましい化合物であるMQT 100とMQT 600の構造を示すものである。
【図2】MQT 100の類似体(シリーズ100及び200)の合成スキームを示すものである。試薬と条件:a) BocO, NaCO, THF/HO;b) 塩化2−ニトロベンゼンスルホニル、CHCl、EtN;c) N‐フタルイミド‐3‐アミノ‐1‐プロパノール、PhP、DIAD、THF;d) NHNH、EtOH、還流;e) N‐Boc‐6‐アミノ‐1‐ヘキサノール、PhP、DIAD、THF;f) HSCHCHOH,DBU,DMF;g) 3N HCl in MeOH
【図3】シリーズ200類似体を配座解析したものを示した表である。
【図4】「アミノ・ウォーク」類似体の合成のための反応スキームを示したものである。試薬と条件:中間体Aの使用はこの反応経路における一例として示したものである。a) 無水フタル酸、EtOH、還流;b) HOCH(CHCHNPhth、PhP、DIAD、THF、b=0〜12;c) NHNH、EtOH、還流;d) HOCH(CHCHNPhth、PhP、DIAD、THF、c=0〜12;e) 塩化2‐ニトロベンゼンスルホニル、CHCl、EtN;f) HSCHCHOH、DBU、DMF;g) 3N HCl in MeOH
【図5a】シリーズ300と400の「アミノ‐ウォーク」類似体の代表的なものを示した表である。
【図5b】シリーズ300と400の「アミノ‐ウォーク」類似体の代表的なものを示した表である。
【図5c】シリーズ300と400の「アミノ‐ウォーク」類似体の代表的なものを示した表である。
【図6】メチル化された「耐代謝性」分子の代表的な例を示すものである。
【図7】(先端を切り取ったような形の)シリーズ600及びシリーズ700分子の合成のための反応スキームを示すものである。試薬と条件:a) HOCH(CHCHNPhth,PhP, DIAD,THF,b=0〜12;b) NHNH、EtOH、還流;c) 塩化2‐ニトロベンゼンスルホニル、CHCl、EtN;d) HOCH(CHCHRNPhth,PhP,DIAD,THF,c=0〜12;e) HSCHCHOH,DBU,DMF; f) 3N HCl in MeOH
【図8】芳香族置換アミノアルコール前駆体分子の合成のための反応スキームを示すものである。試薬と条件:a)メチル2‐((スクシンイミドオキシ)カルボニル)ベンゾエート、CHCN、H2O、NaCO;b)i. イソブチルクロロホルメート、EtN、 THF ii. NaBH, MeOH
【図9a】シリーズ600分子の前駆体及びシリーズ600分子の例を示した表である。
【図9b】シリーズ600分子の前駆体及びシリーズ600分子の例を示した表である。
【図9c】シリーズ600分子の前駆体及びシリーズ600分子の例を示した表である。
【図10a】シリーズ700類似体を示した表である。
【図10b】シリーズ700類似体を示した表である。
【図10c】シリーズ700類似体を示した表である。
【図11】2つの代表的なコンビネーション型類似体(シリーズ800)の構造を示したものである。
【図12】MQT 600立体異性前駆体の混合物の酵素的分割のための反応スキームを示したものである。試薬と条件:a) NHOAc、CH(COH)、EtOH、還流;b) HSO、EtOH、還流;c) AmanoPS、HO。
【図13】立体的に純な前駆体から、化学的な合成を介してエナンチオ的に純なMQT 600前駆体を合成するための反応スキームを示すものである。試薬と条件:i. BuOCOCl、N‐メチルモルホリン、THF;ii. CH,エーテル;iii. CFCOAg,N‐メチルモルホリン,HO,THF
【図14】類似体のまとめを表として示したものである。
【図15】(IC50と称される)細胞増殖阻害度、及び、LPSによって誘発される細胞外の環境へのTNFα放出の阻害度(EC50と称される)について、MQT 100及びMQT 600を分析した結果を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造を有する化合物:
【化1】

(式中、a、b及びcは同一でも異なっていてもよく、0〜12の整数であり、XはNH又はCHNHであり、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素、又は、直鎖若しくは枝分かれ鎖のC〜C20飽和若しくは不飽和の脂肪族基、脂肪族アミン基、脂環式基、単環式若しくは多環式芳香族基、単環式若しくは多環式芳香族複素環基、単環式又は多環式飽和複素環基、及び、それらのハロゲン置換体である)。
【請求項2】
前記構造が下記式で表される請求項1の化合物。
【化2】

【請求項3】
下記の構造を有する化合物:
【化3】

(式中、a、b及びcは同一でも異なっていてもよく、0〜12の整数であり、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素、又は、直鎖若しくは枝分かれ鎖のC〜C20飽和若しくは不飽和の脂肪族基、脂肪族アミン基、脂環式基、単環式若しくは多環式芳香族基、単環式若しくは多環式芳香族複素環基、単環式又は多環式飽和複素環基、及び、それらのハロゲン置換体である)。
【請求項4】
前記構造が下記式で表される請求項3の化合物。
【化4】

【請求項5】
請求項1の化合物と、望ましくは薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又はビヒクルと、を含有し、炎症性細胞のサイトカインの産出、放出又は活動を調節する、疾患又は症状の治療に有用な医薬組成物。
【請求項6】
請求項2の化合物と、望ましくは薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は、ビヒクルと、を含有し、炎症性細胞のサイトカインの産出、放出又は活動を調節する、疾患又は症状の治療に有用な医薬組成物。
【請求項7】
請求項3の化合物と、望ましくは薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は、ビヒクルと、を含有し、炎症性細胞のサイトカインの産出、放出又は活動を調節する、疾患又は症状の治療に有用な医薬組成物。
【請求項8】
請求項4の化合物と、望ましくは薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は、ビヒクルと、を含有し、炎症性細胞のサイトカインの産出、放出又は活動を調節する、疾患又は症状の治療に有用な医薬組成物。
【請求項9】
特に限定されないが、TNFα、インターロイキン‐1β、インターロイキン‐2、インターロイキン‐6、インターロイキン‐8、インターロイキン‐12、インターロイキン‐18、一酸化窒素、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、インターフェロン‐γ等を含むあらゆる又は全ての炎症性サイトカインの発現又は活性を阻害するのが望ましい、疾患又は症状の治療に有用な請求項5〜8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記賦形剤、希釈剤又はビヒクルが薬学的に許容されるものである請求項1〜4記載の組成物。
【請求項11】
前記賦形剤、希釈剤又はビヒクルが局所投与用又は耳内投与用のものである請求項1〜4記載の組成物。
【請求項12】
静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、頭蓋内投与、腹腔内投与、局所投与、経皮投与、膣内投与、鼻腔内投与、気管支内投与、頭蓋内投与、眼内投与、耳内投与、直腸投与又は非経口投与用として製剤された請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1〜4のうちいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、炎症サイトカインの求められていない、あるいは望ましくない存在若しくは活動に関連する1以上の症状を治療する方法。
【請求項14】
前記投与が全身投与である請求項13の方法。
【請求項15】
前記投与が経口投与である請求項13の方法。
【請求項16】
徐放性のビヒクルを介して前記投与を行う請求項13の方法。
【請求項17】
前記症状が、限定されるわけではないが、慢性若しくは急性の炎症;(クローン病等の)炎症性腸疾患;潰瘍性大腸炎;過敏性腸症候群;自己免疫疾患;慢性関節リウマチ;全身性紅斑性狼瘡;狼瘡状の皮膚;糖尿病;多発性硬化症;乾癬;脊椎炎等の脊椎関節症(SpA);滑膜炎;乾癬性関節炎;及び、潜在性腸炎;並びに、敗血症、敗血性ショック、内毒素性ショック;HIV及びサイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス及びインフルエンザウイルス等の他のウイルスによるウイルス性感染症等の感染性疾患、並びに、癌及び他の増殖性疾患及び症状を含む群から選択されたものである請求項13記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−501280(P2007−501280A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533351(P2006−533351)
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/016269
【国際公開番号】WO2005/012226
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(500023990)メディクエスト セラピューティックス インク (9)
【Fターム(参考)】