説明

映像配信システム及びその制御方法、並びにプログラム及び記憶媒体

【課題】共連れ発生後の高い安全性を確保する映像配信システムを提供する。
【解決手段】映像配信システムは、特定箇所を撮影及び記録する撮像装置101と、撮像装置101によって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理装置202とを備える。また、画像処理装置202によって処理されたカウント人数と特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断装置205と、撮像装置101によって撮影された映像を認証識別子に基づいて配信する映像配信装置206とを備える。更に、比較判断装置205により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、撮像装置101からの映像をネットワーク内の映像配信先に送出する通信装置210とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅等における入退時のセキュリティ機能として有効な映像配信システムに関し、特に共連れ検出技術に特徴のある映像配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、凶悪犯罪の増加と児童を狙う卑劣な犯罪が多発しており、集合住宅や学校におけるセキュリティ機能の要求が高まっている。特に、特定の限られた人のみが通過できる入退出ゲートでのセキュリティは重要であり、強固に守られたシステムとして提供されている。
【0003】
また、マンション等の集合住宅のように、複数の家庭が同居する場合、共通玄関においてゲートを通過する際に、居住者と非居住者との識別をするためのID認証を行うところが増えている。しかしながら、居住者が認証を済ませゲートを通過する際に、居住者を装って不審者がゲートを一緒に通過する共連れ形式での侵入を許してしまうことがある。
【0004】
このような共連れを検出するために、セキュリティ用カメラによって撮影した映像を記録する監視用カメラシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。このシステムでは、カメラによって侵入者を発見した際に、集合住宅内のエレベーターや玄関ホール等の共通スペースに設置してあるディスプレイを利用して侵入者の映像を表示し、警告音を発する。
【0005】
また、入退ゲートを通過する際のID認証にRFID等の無線タグを利用したシステムを用いるものも知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−120086号公報
【特許文献2】特開2006−99381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のマンション等の集合住宅では、共連れを防止するシステムとして、フラッパーゲートや回転扉の導入が考えられる。しかし、例えば、マンションのように恒常的に居住者の出入りが人を伴う可能性のある場所においては、運用面や安全面から適用することが困難なことがある。
【0007】
特に親子連れ等の場合、特許文献2に記載の技術では、各人の特定が難しく、無線タグでの認証を逸脱した場合を想定せねばならず、運用が困難である事態が発生しうる。更に、共連れ発生時の状況を外部よりリアルタイムに把握することが困難であり、安全性をより高める必要がある。
【0008】
また、特許文献1に記載のシステムでは、共連れ検出後、侵入者と共連れされた居住者に対して警告を発するが、同居人に対しての通知等が行われないため安全対策を高めるためには、通知システムを追加する必要があり設置費用が高価になることがある。
【0009】
本発明の目的は、共連れ発生後の高い安全性を確保する映像配信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の映像配信システムは、特定箇所を撮影及び記録する撮像装置と、前記撮像装置によって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理装置と、前記画像処理装置によって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断装置と、前記撮像装置によって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信装置と、前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像装置からの映像をネットワーク内の映像配信先に送出する通信装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の映像配信システムは、特定箇所を撮影及び記録する撮像装置と、前記撮像装置によって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理装置と、前記画像処理装置によって処理されたカウント人数と前記前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断装置と、前記撮像装置によって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信装置と、前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像装置からの映像を前記映像配信装置からネットワークに送出する通信装置と、前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、警告音を発生する警告音発生装置と、前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、撮影されている映像をリアルタイムに表示する表示装置と、前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、事前に指定されている通報先へ通報を行う通報装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項14記載の映像配信システムの制御方法は、特定箇所を撮影及び記録する撮像ステップと、前記撮像ステップによって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理ステップと、前記画像処理ステップによって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断ステップと、前記撮像ステップによって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信ステップと、前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像ステップからの映像をネットワーク内の映像配信先に送出する通信ステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項15記載の映像配信システムの制御方法は、特定箇所を撮影及び記録する撮像ステップと、前記撮像ステップによって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理ステップと、前記画像処理ステップによって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断ステップと、前記撮像ステップによって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信ステップと、前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像ステップからの映像を前記映像配信ステップからネットワークに送出する通信ステップと、前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、警告音を発生する警告音発生ステップと、前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、撮影されている映像をリアルタイムに表示する表示ステップと、前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、事前に指定されている通報先へ通報を行う通報ステップとを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項16記載のプログラムは、特定箇所を撮影及び記録する撮像モジュールと、前記撮像モジュールによって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理モジュールと、前記画像処理モジュールによって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断モジュールと、前記撮像モジュールによって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信モジュールと、前記比較判断モジュールにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像モジュールからの映像をネットワーク内の映像配信先に送出する通信モジュールとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0015】
請求項17記載のプログラムは、特定箇所を撮影及び記録する撮像モジュールと、前記撮像モジュールによって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理モジュールと、前記画像処理モジュールによって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断モジュールと、前記撮像モジュールによって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信モジュールと、前記比較判断モジュールにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像モジュールからの映像を前記映像配信モジュールからネットワークに送出する通信モジュールと、前記比較判断モジュールにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、警告音を発生する警告音発生モジュールと、前記比較判断モジュールにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、撮影されている映像をリアルタイムに表示する表示モジュールと、前記比較判断モジュールにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、事前に指定されている通報先へ通報を行う通報モジュールとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0016】
請求項18記載のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、請求項16記載のログラムを格納する。
【0017】
請求項19記載のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、請求項17記載のプログラムを格納する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の映像配信システムは、特定箇所を撮影及び記録する撮像装置と、撮像装置によって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理装置とを備える。また、画像処理装置によって処理されたカウント人数と特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断装置と、撮像装置によって撮影された映像を認証識別子に基づいて配信する映像配信装置とを備える。更に、比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、撮像装置からの映像をネットワーク内の映像配信先に送出する通信装置とを備える。
【0019】
この構成により、共連れ発生後の高い安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る映像配信システム(共連れ検出システム)のネットワーク構成図である。
【0022】
図1において、監視用カメラ(撮像装置)101、共通玄関やエレベーターホール等のマンション内の各監視地点等の特定箇所に設置されている。監視用カメラ101と、各部屋に設置された映像表示装置(モニター)102は、宅内ネットワーク103で接続されている。また、宅内ネットワーク103は、公衆ネットワークを介して警察105や警備会社106と接続されている。
【0023】
映像表示装置102は、テレビで代用可能である。宅内ネットワーク103は、本システムの監視用カメラ101からの映像と音声を各部屋に配信し、各部屋の映像表示装置102にて表示がスムーズに行えるように専用回線となっている。そして、宅内ネットワーク103は、ルーターやプロキシ等の公衆ネットワークへのブリッジを利用し、外部の警備会社や警察に配信できるような構成を持っている。
【0024】
本実施の形態は、マンション等の集合住宅を前提に説明するが、ネットワーク構成として宅内ネットワーク103のような基幹ネットワークとインターネット等の公衆ネットワークとが切り離された構成がとれれば集合住宅以外の施設においても適用可能である。
【0025】
本実施の形態におけるシステムを構成するネットワークは、図1に示すマンション等の集合住宅に適用される。このシステムは、大きくわけて、監視用カメラ101による映像取り込み及び宅内ネットワーク103への配信を行う送信側と、宅内ネットワーク103からの映像を受信して表示を行う受信側のシステムにわけられる。
【0026】
図2は、図1の映像配信システムにおける映像配信側基本システムの概略構成図である。
【0027】
図2において、映像配信側基本システムは以下の装置を有する。
【0028】
監視用カメラ101は、各監視地点において映像及び音声を撮影や記録することの可能な映像入力装置である。監視用カメラ101は、パン、チルト方向への移動や、ズームによる被写体の拡大が可能であり、一般的なデジタルカメラやデジタルビデオカメラとは異なる専用のカメラを使用する。
【0029】
但し、監視用カメラ101は映像の撮影が可能であれば本発明の目的は達成されるため、必ずしもパン、チルト可動やズーム拡大が必須ではなく、ネットワークに対して映像配信のできる映像出力端子が付属したものであれば代用可能である。
【0030】
画像処理装置202は、監視用カメラ101からの映像に対して画像処理を行う。認証装置203は、集合住宅における共通玄関において居住者であることを認証する。入力装置204によって認証に必要な情報を入力することが可能である。
【0031】
入力装置204は、はテンキー等の数字を入力する方式や、IDカードや一般的な鍵を用いた接触型方式、無線タグを用いた非接触型方式、音声認識や指紋等の生体情報を用いた方式等、様々な方式を用いることが可能である。
【0032】
比較判断装置205は、画像処理装置202と認証装置203からの情報を元に、居住者であるか否かの判断を行う装置であり、映像配信装置206や表示装置207へ監視用カメラ101からの映像を配信させることが可能である。
【0033】
また、比較判断装置205によって、居住者でないと判断された場合は、警告音発生装置208にて警告音を発生させることも可能である。更に、映像配信装置206から通信装置210によって宅内ネットワーク103に対して映像を送信することが可能である。
【0034】
図3は、図1の映像配信システムにおける第1の実施の形態に係る映像受信側基本システムの概略構成図である。
【0035】
図3において、映像受信側基本システムは以下の装置を有する。
【0036】
通信装置210は、映像配信側基本システムにおける通信装置と同じ構成を持ち、映像受信装置301を通して宅内ネットワーク103内に送出された映像を受信し、映像表示装置102によって受信した映像をリアルタイムに表示することが可能である。
【0037】
映像表示装置102は、映像を表示することが目的であるため、専用のモニターを用いてもよいし、宅内にあるテレビを代用しても構わない。映像配信装置206と映像受信装置301は対になっており、双方でネットワークに適したデータに変換することにより、ネットワーク帯域の有効利用やリアルタイム性を確保することが可能である。
【0038】
認証装置203において認証を行う場合には、予め認証識別子を登録しておく必要がある。居住者はマンションへの入居時等に各々独立した一意の認証識別子を割り当てられ、入力装置204にて居住区内への立ち入りに際して認証識別子を入力する。
【0039】
ここで、認証装置203における認証識別子から特定される映像配信先は少なくとも複数存在する。そして、映像配信を行った際に映像配信先において映像を視聴することで安全性が確認できた場合に、監視用カメラ101に記録された映像を削除する。また、認証装置203は、入力装置203によって入力された認証識別しを用いて通過の是非(通過是非)を認証する。
【0040】
図4は、認証IDと配信先の関係を示す図表である。
【0041】
認証識別子毎に映像配信先の設定が可能であり、図4に示すように、認証ID(認証識別子ID)401毎に配信先を登録することが可能である。認証ID2001では、基本配信先として配信先1としての自宅、つまり居住区内に必ず存在する各部屋を指定し、配信先2としてマンション内にある管理室に映像を配信するように登録されている。更に、配信先3で緊急時等の映像配信先としての登録先を指定しておくことで、各個人による配信先優先度を自由に決定することが可能である。
【0042】
図5は、図2、図3の映像配信システムによって実行される第1の実施の形態に係る共連れ検出処理の手順を示すフローチャートである。
【0043】
図5に基づいてその制御の内容を説明する。
【0044】
居住者は居住区内への立ち入りに際し、入力装置204によって認証識別子を入力する。入力装置204は先に述べたように様々な方式に対応したものがあり、テンキーや無線タグ、生体情報認証を用いて認証情報を入力することになる(ステップS501)。
【0045】
認証識別子によって入力を行う際に、例えば、非居住者を居住者の承認の元で入居させる場合には、認証者として通過する人数の登録を行うことで非居住者を識別することが可能である(ステップS502)。
【0046】
居住者は入力装置204にて入力後、共通玄関等を通過する。同時に監視用カメラ101は入居者の撮影記録を開始する(ステップS503)。監視用カメラ101で撮影された映像は、画像処理装置202にて、映像を画像処理され、各居住区内への玄関を通過した人数をカウントされる(ステップS504)。
【0047】
カウントされた人数と認証識別子により、認証された人数と実際に通過した人数の差を比較判断装置205によって検査し、共連れが発生しているかどうかの確認を行う(ステップS505)。
【0048】
認証された人数と実際に通過した人数に差があった場合、認証情報との比較を行い、予め登録された配信先を割り出す(ステップS506)。比較判断装置205によって指示された配信先情報を元に映像配信装置206は、記録した撮影データと共にリアルタイム映像を配信先へ送信する(ステップS507)。そして、本処理を終了する。
【0049】
送信された映像を受信側では即座に表示することで、不審者と思われる共連れが発生したことを居住者に通知することが可能である。認証人数と通過人数に不一致が見られない場合は、監視用カメラ101の撮影記録を停止し(ステップS508)、監視用カメラ101内に記録された映像を削除する(ステップS509)ことで、不必要なデータを更新していくことが可能である。その後、本処理を終了する。
【0050】
本実施の形態では、マンション等の集合住宅において、不審者と認識される居住者ではない未認証者による共連れが発生した場合に、監視用カメラ101で撮影した映像と共にリアルタイム映像を、予め登録された配信先へ自動的に送信する。
【0051】
このことで、玄関通過時に気付かない入居者とは別の人物を判断することが可能となり、より高い安全性を確保することができる。
【0052】
本実施の形態では、映像に特化して説明を行ったが、音声や静止画等の人物を確認できる情報を用いて通報することにより、未認証者を特定することも可能である。
【0053】
図6は、図1の映像配信システムにおける第2の実施の形態に係る映像受信側基本システムの概略構成図である。
【0054】
図3に示す第1の実施の形態において説明した通信装置210、映像受信装置301、映像表示装置102を構成要素として備えている。
【0055】
本実施の形態では、更に、映像表示装置102によって表示される映像で安全性を確認するための安全確認装置601に加え、宅内ネットワーク103から外部の警察105や警備会社106に通報するための通報装置602を備えている。
【0056】
通報装置602は、比較判断装置205により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、事前に指定されている通報先へ通報を行う。また、映像配信装置206により配信された映像を確認して危険があると判断した場合に、ネットワークを介して複数の通報装置602によって指定の緊急通知先へ通報する。
【0057】
図7は、図2、図6の映像配信システムによって実行される第2の実施の形態に係る共連れ検出処理の手順を示すフローチャートである。
【0058】
図7に基づいてその制御の内容を説明する。
【0059】
居住者が居住区内へ立ち入る際に、入力装置204によって認証識別子を入力する。入力装置204は上述したように様々な方式に対応したものや複合的なものもあり、テンキーや無線タグ、生体情報認証を用いて認証情報を入力することになる(ステップS701)。
【0060】
認証識別子によって入力を行う際に、例えば、非居住者を居住者の承認の元で入居させる場合には、認証者として通過する人数の登録を行うことで非居住者を識別することが可能である(ステップS702)。
【0061】
居住者は入力装置204にて入力後、共通玄関等を通過する。同時に監視用カメラ101は入居者の撮影記録を開始する(ステップS703)。監視用カメラ101で撮影された映像は、画像処理装置202にて映像を画像処理され、各居住区内への玄関を通過した人数をカウントされる(ステップS704)。
【0062】
カウントされた人数と認証識別子により、認証された人数と実際に通過した人数の差を比較判断装置205によって検査し、共連れが発生しているかどうかの確認を行う(ステップS705)。
【0063】
居住者にて申告された人数と、認証通過人数とのカウントに差があった場合、登録された認証情報と照合を行い、予め登録された映像配信先を割り出す(ステップS706)。比較判断装置205によって指示された配信先情報を元に、映像配信装置206は記録した撮影データと共にリアルタイム映像を配信先へ送信する(ステップS707)。
【0064】
宅内ネットワーク103を用いて配信される映像は、映像受信側システムにおいて、映像受信装置301によってネットワーク内を通過した映像に対する同期を取り、映像表示装置102にリアルタイム映像として表示される。
【0065】
映像表示装置102上では、リアルタイム映像と共に監視用カメラ101にて記録された認証時からの映像も確認することができ、認証登録不足だったのか、共連れで不審者が入居したのかを時間を追って確認することができる(ステップS708)。
【0066】
ここで、共連れにより不審者が入居し、認証された玄関通過者への危害が及ぶ場合や、行動が不審である場合等、映像配信先にて安全性が確保されていないと判断した場合には以下の対処を施す。即ち、通報装置602を用いて管理人のいる管理室や、直接、外部の警備会社106や緊急を要する場合は警察105等の機関に対して通報を行う(ステップS709)。そして、本処理を終了する。
【0067】
同時に、映像配信側システムにある表示装置207に共連れが発生した監視用カメラ101のリアルタイム映像を映し、警告音発生装置208を用いて共連れが発生したことを伝えるメロディやメッセージを送出する。このことで、不審者に対しての警告を発すると共に、認証を受けた居住者に対しても注意を促すことができる。
【0068】
映像受信側では、配信された映像を記録する等の処理を行うことで証拠としての映像データの蓄積を行うことも可能である。逆に、配信先にて映像を確認した上で、共連れではないとの判断がされた場合や、装置の誤動作により配信された場合等、安全性が確保されていることが自明の場合は、安全確認装置601を用いることで受信側のリアルタイム映像の表示を停止する。
【0069】
そして、監視用カメラ101内の撮影記録を停止し(ステップS710)、カメラ内の撮影記録映像を削除する(ステップS711)。同様に、通過人数と認証人数が一致した場合においても、撮影記録を停止し記録映像を削除する。そして、本処理を終了する。
【0070】
共連れによる不審者が入居した場合の映像は、監視用カメラ101内に記録されているため、警告音等で居住区画内から逃走した場合や、何らかの不審行動を行った場合には、確認用の証拠映像として使用することが可能である。
【0071】
本実施の形態では、マンション等の集合住宅において、不審者と認識される未認証者による共連れが発生した場合に、監視用カメラ101で撮影した映像と共にリアルタイム映像を、予め登録された配信先へ自動的に送信する。
【0072】
このことで、入居者とは別の人物を判断することが可能となる。また、映像確認先で安全性が確保されていないと判断された場合に、警備会社等のセキュリティシステムと連動させることで、より高い安全性を確確保することができる。
【0073】
更に、リアルタイム映像を表示したり警告音を発することで、不審者だけでなく共連れされた居住者に対しても注意を促すことが可能となる。
【0074】
本実施の形態では、映像に特化して説明を行ったが、音声や静止画等の人物を確認できる情報を用いて通報することにより、未認証者を特定することが可能となる。
【0075】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0076】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0077】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0078】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0079】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明における映像配信システムは、イベント会場や公共施設等の不特定多数の来場者が見込まれる場にも適用可能である。また通知先等の情報を認証識別子と共に登録できるため、事前登録した識別カードを各家庭に配布しておくことにより、災害時の緊急避難先や危険地域への入退出ゲート等に使用することにより安否の確認を行うシステムを組むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態に係る映像配信システム(共連れ検出システム)のネットワーク構成図である。
【図2】図1の映像配信システムにおける映像配信側基本システムの概略構成図である。
【図3】図1の映像配信システムにおける第1の実施の形態に係る映像受信側基本システムの概略構成図である。
【図4】認証IDと配信先の関係を示す図表である。
【図5】図2、図3の映像配信システムによって実行される第1の実施の形態に係る共連れ検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の映像配信システムにおける第2の実施の形態に係る映像受信側基本システムの概略構成図である。
【図7】図2、図6の映像配信システムによって実行される第2の実施の形態に係る共連れ検出処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
101 監視用カメラ(撮像装置)
102 映像表示装置
103 宅内ネットワーク
202 画像処理装置
203 認証装置
204 入力装置
205 比較判断装置
206 映像配信装置
207 表示装置
208 警告音発生装置
210 通信装置
301 映像受信装置
401 認証ID
402 登録配信先一覧
601 安全確認装置
602 通報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定箇所を撮影及び記録する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理装置と、
前記画像処理装置によって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断装置と、
前記撮像装置によって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信装置と、
前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像装置からの映像をネットワーク内の映像配信先に送出する通信装置と、
を備えることを特徴とする映像配信システム。
【請求項2】
前記映像配信装置に対して、認証識別子に基づいて映像配信先を事前に登録する機能を有することを特徴とする請求項1記載の映像配信システム。
【請求項3】
前記認証装置における認証識別子から特定される映像配信先が少なくとも複数存在することを特徴とする請求項1記載の映像配信システム。
【請求項4】
前記比較判断装置で共連れが発生したと判断した場合に、前記撮像装置が映像を記録することを特徴とする請求項1記載の映像配信システム。
【請求項5】
映像配信を行った際に映像配信先において映像を視聴することで安全性が確認できた場合に、前記撮像装置に記録された映像を削除することを特徴とする請求項4記載の映像配信システム。
【請求項6】
共通玄関を含む前記特定箇所を通過するために認証識別子を入力する入力装置と、
前記入力装置によって入力された認証識別子を用いて通過の是非を認証する認証装置と、をさらに有し、
前記撮像装置は、前記入力装置と前記認証装置とを含む前記特定箇所を撮影及び記録することを特徴とする請求項1に記載の映像配信システム。
【請求項7】
特定箇所を撮影及び記録する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理装置と、
前記画像処理装置によって処理されたカウント人数と前記前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断装置と、
前記撮像装置によって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信装置と、
前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像装置からの映像を前記映像配信装置からネットワークに送出する通信装置と、
前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、警告音を発生する警告音発生装置と、
前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、撮影されている映像をリアルタイムに表示する表示装置と、
前記比較判断装置により認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、事前に指定されている通報先へ通報を行う通報装置と、
を備えることを特徴とする映像配信システム。
【請求項8】
前記映像配信装置により配信された映像を確認して危険があると判断した場合に、ネットワークを介して複数の前記通報装置によって指定の緊急通知先へ通報する機能を有することを特徴とする請求項7記載の映像配信システム。
【請求項9】
前記映像配信装置に対して、認証識別子に基づいて映像配信先を事前に登録する機能を有することを特徴とする請求項7記載の映像配信システム。
【請求項10】
前記認証装置における認証識別子から特定される映像配信先が少なくとも複数存在することを特徴とする請求項7記載の映像配信システム。
【請求項11】
前記比較判断装置で共連れが発生したと判断した場合に、前記撮像装置が映像を記録することを特徴とする請求項7記載の映像配信システム。
【請求項12】
映像配信を行った際に映像配信先において映像を視聴することで安全性が確認できた場合に、前記撮像装置に記録された映像を削除することを特徴とする請求項11記載の映像配信システム。
【請求項13】
共通玄関を含む前記特定箇所を通過するために認証識別子を入力する入力装置と、
前記入力装置によって入力された認証識別子を用いて通過是非を認証する認証装置と、をさらに有し、
前記撮像装置は、前記入力装置と前記認証装置とを含む前記特定箇所を撮影及び記録することを特徴とする請求項7に記載の映像配信システム。
【請求項14】
特定箇所を撮影及び記録する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理ステップと、
前記画像処理ステップによって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像ステップからの映像をネットワーク内の映像配信先に送出する通信ステップと、
を備えることを特徴とする映像配信システムの制御方法。
【請求項15】
特定箇所を撮影及び記録する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理ステップと、
前記画像処理ステップによって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像ステップからの映像を前記映像配信ステップからネットワークに送出する通信ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、警告音を発生する警告音発生ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、撮影されている映像をリアルタイムに表示する表示ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、事前に指定されている通報先へ通報を行う通報ステップと、
を備えることを特徴とする映像配信システムの制御方法。
【請求項16】
特定箇所を撮影及び記録する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理ステップと、
前記画像処理ステップによって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像ステップからの映像をネットワーク内の映像配信先に送出する通信ステップとを備える映像配信システムの制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
特定箇所を撮影及び記録する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された映像を、画像処理によって前記特定箇所を通過した人数をカウントすることが可能な画像に変換し通過人数をカウントする画像処理ステップと、
前記画像処理ステップによって処理されたカウント人数と前記特定箇所の通過を認証された人数とを比較する比較判断ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された映像を前記認証識別子に基づいて配信する映像配信ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、前記撮像ステップからの映像を前記映像配信ステップからネットワークに送出する通信ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、警告音を発生する警告音発生ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、撮影されている映像をリアルタイムに表示する表示ステップと、
前記比較判断ステップにより認証者数とカウント人数が異なると判断された場合に、事前に指定されている通報先へ通報を行う通報ステップとを備える映像配信システムの制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
請求項16記載のプログラムを格納するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項19】
請求項17記載のプログラムを格納するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−217205(P2008−217205A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51257(P2007−51257)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】